平成21年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成21年10月15日(木)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長     浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     石木田 浩 美
  主任主査     岩 渕 伸 也
  主任主査     鈴 木 文 彦
  主任主査     藤 原 由喜江
  主査       菅 原 俊 樹
  主査       大 森 健 一   
1説明員
  総合政策部長   高前田 寿 幸
  副部長兼
  首席政策監    中 村 一 郎
  政策調査監    大 平   尚
  政策調査監    小 山 康 文
  政策調査監    菅 原 伸 夫
  政策推進課
  総括課長     木 村 卓 也
  調整課長     千 葉   彰
  政策推進課
  管理課長     花 山 智 行
  政策課長     小 向 正 悟
  評価課長     高 橋   勉
  秘書課総括課長  杉 村   孝
  調査統計課
  総括課長     長 岡 栄一郎
  広聴広報課
  総括課長     川 口   眞
  情報公開課長   清 水 一 夫
  報道監      菅 原 芳 彦
  国体推進課
  総括課長     八重樫 典 彦

  企画理事     藤 尾 善 一

  地域振興部長   加 藤 主 税 
  副部長兼
  地域企画室長   工 藤 孝 男
  地域振興支援室長 菊 池 正 佳
  交通政策参事   佐々木 幸 弘
  地域企画室
  企画課長     鈴 木 浩 之
  地域企画室
  管理課長     佐々木   淳
  交通課長     平 野   直
  市町村課総括課長 小 原 敏 文
  NPO・文化
  国際課総括課長  岩 間   隆
  IT推進課
  総括課長     紺 野 由 夫
  行政情報化課長  菅 野 義 克
  県北沿岸振興課長 高 橋   厚

  環境生活部長   松 川   求
  副部長兼
  環境生活企画室長 稲 葉 比呂子
  環境担当技監兼産
  業廃棄物不法投棄
  緊急特別対策室長 加 藤 陽 一
  環境生活企画室
  企画課長     成 田 公 哉
  環境生活企画室
  管理課長     佐々木 康 夫
  温暖化・エネルギ
  ー対策課長    平 井 孝 典
  環境保全課
  総括課長     吉 田   茂
  資源循環推進課
  総括課長     谷 藤 長 利
  自然保護課
  総括課長     立 花 良 孝
  青少年・男女共同
  参画課総括課長  佐 藤 応 子
  県民くらしの
  安全課総括課長  佐 藤   新
  食の安全安心課長 白 岩 利惠子
  県民生活安全・
  消費生活課長   小 川   肇
  調査追及課長   田 中 耕 平
  再生・整備課長  吉 田   篤

  会計管理者    古 内 保 之

  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長     奈須川 博 司
  監査第二課
  総括課長     小 原 一 信

  予算調製課
  総括課長     八 矢   拓
〇小田島峰雄委員長 これより本日の会議を開きます。
 昨日の議会審査の際、後刻提出することとしておりました資料については、あらかじめお配りしておりましたので、御了承願います。
〔参照〕
決算特別委員会資料
平成21年10月15日
議会事務局総務課
 全国における政務調査費にかかる住民訴訟の和解・判決等の状況
 (平成18年1月から平成21年3月までに和解・判決等のあったもの)
平成21年4月1日現在

都道府県
訴   訟   等   の   状   況
政務調査費
対象年度
種別和解・判決年月交付先当時の
領収書の
添付状況
和 解 ・ 判 決 の 概 要
宮城県15.4和 解21.3.23会派なし仙台高裁で2件、仙台地裁で2件の訴訟が継続中であったもの。
(和解の主な内容)
(1) 県議会は、政務調査費の制度改革を行なうこと。
  ・ガソリン代は1キロメートル37円とする。
  ・一括先払いから後払い精算とする。
  ・月ごとに政務調査活動記録簿をまとめ公開する。など。
(2) 県議会の各会派は、平成15年度分と平成17年度分の返還請求額(約9500万円)の半額を返還すること。
(3) オンブズマンは、19年度、20年度の住民監査請求や訴訟提起を行なわないこと。
(4) オンブズマンは、訴訟4件を速やかに取下げること。
(5) 県議会の各会派は、訴訟に要した弁護士費用を支払うこと。
16全て
17
18
栃木県16判 決19.7.11
東京高裁(控訴棄却)
会派なし 原告は、政務調査費の交付先が会派であるにもかかわらず、会派が議員個人に分配していることは違法であるとして、交付先である会派に対して、知事から返還請求することを求めたが、請求が棄却されたもの。
埼玉県15判 決18.12.21
最高裁(上告棄却)
会派なし 原告は、県の公文書(政務調査費の領収書等)の不存在通知の取消しを求めたが、領収書等は長が保管する文書ではないとして公文書の不存在が認められたもの。
新潟県17判 決20.2.29
新潟地裁(請求棄却)
会派

議員
なし 原告は、議員の「私的な支出」や「高額な交通費」など、政務調査費の支出の一部に違法があることを知りながら、各議員に返還請求をせず県に被害を被らせたとして、知事個人に損害賠償請求をするよう求めたが、請求が棄却されたもの。
福井県17和 解19.12.26会派なし福井地方裁判所で訴訟継続中であったもの。 
(和解の概要)
 支出に関する全ての領収書等の添付を行なうなど、使途を明らかにすること。
長野県16和 解20.11.21会派全て東京高裁で訴訟継続中であったもの。
(和解の概要)
 会派自らが政務調査費の使途を判断する際の統一した指針として作成した「政務調査費マニュアル」では「飲食を伴う会合の飲食費は政務調査費を充当しない」としているところ、会費名目で飲食に充当している事例があることから、今後、飲食費には会費名目でも充当しない等の見直しを行なうことなど。
愛知県15.4判 決19.4.24
最高裁(上告棄却)
会派なし 原告は、平成15年4月分の政務調査費について、選挙運動などの目的外支出された蓋然性が高く、支出の違法性が強く疑われることから、その返還を三会派に対して知事から請求することを求めたが、請求が棄却されたもの。
兵庫県17判 決21.3.26
大阪高裁(請求棄却)
会派

議員
なし 原告は、政務調査費から支出したホームページ、県政報告の作成、発行、及び維持はいずれも議員とは異なる主体(後援会等)が行なったものであって、議員個人に対して支出された政務調査費から支出することは違法であるとして、知事から議員に返還請求することを求めたが、請求が棄却されたもの。
島根県17判 決20.11.10
松江地裁(一部容認)
会派

議員
なし 原告は、政務調査費の一部支出が違法であるとして、知事から議員に返還請求することを求めたが、「同伴者との私的な旅行」、「マニュアルに定める額を超えるガソリン代」などについて、一部請求が認められたもの。
岡山県16~17判 決20.5.27
岡山地裁(請求棄却)
議員なし 原告は、ある特定の議員に支払われた政務調査費は虚偽に基づくものであるとして、知事から議員に返還請求することを求めたが、当該議員が政務調査費を全額返還したことにより、請求の理由なしとして棄却されたもの。
18~19取下げ20.3.31
岡山地裁(取下擬制)
議員なし 原告は、ある特定の議員に支払われた政務調査費における収支報告書の内容で、事務所費と人件費は使途基準に違反するとして、知事から議員に返還請求することを求めたが、原告が裁判期日に欠席したこと等により、取下げとなったもの(取下擬制)。
徳島県18取下げ20.7.16
徳島地裁
会派

議員
なし 原告は、議長に提出している政務調査費収支報告書だけでは支出内容が使途基準に合致しているかどうか確認できず、政務調査費の透明性を確保しようとする法の趣旨からすると、適合性を確認できない場合は、政務調査費が適正に支出されていると認めることが出来ないので、法律上の原因を欠く不当利得であるとして、知事から議員に返還請求することを求めたが、原告が訴えの全部を取り下げたもの。(平成20年度交付分から全ての領収書を添付する改正をしたため。)
宮崎県18判 決20.11.28
福岡高裁(控訴棄却)
会派なし 原告は、県が支出した政務調査費全額について、具体的な使途が不明であるので、目的外支出で違法であるから、知事から各会派に返還請求することを求めたが、本件訴えが適法な住民監査請求を経ておらず、不適当な訴えとして第一審で却下され、原告は控訴したが、控訴審で請求が棄却されたもの。
本表は、全国都道府県議会議長会事務局の調査結果を基に、さらに本県議会で聞き取り等を行なって作成したものである。

 これより議事に入ります。
 認定第1号平成20年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成20年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、総合政策部、地域振興部、環境生活部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、総合政策部長に総合政策部関係の説明を求めます。
〇高前田総合政策部長 平成20年度の総合政策部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえた今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
 総合政策部では、政策評価結果等を生かした施策の見直し、立案などによる、いわて希望創造プランの着実な推進や、本県のイメージアップに向けた情報発信などに重点的に取り組むとともに、10年後の岩手の将来像を描く新しい長期計画の策定に着手したところでございます。
 まず、いわて希望創造プランの着実な推進につきましては、各部局との連携や横断的な取り組みの推進のほか、戦略的な政策形成を支援するために見直しを図った政策評価システムを通じた選択と集中による効果的、効率的な施策の推進や政策形成の基礎となる統計数値の把握、各種データの分析などにより、政策形成支援機能の充実に努めたところでございます。
 今後におきましても、政策評価システムに基づいた成果や課題等を検証し、その結果を次の政策等に適切に反映させるなど、県政の全般にわたる、より効果的な政策の推進に努めていく考えであります。
 次に、県内外への情報発信につきましては、県の重要施策等について県民に周知し、県政への積極的な参画と協働の促進に努めるとともに、岩手県のイメージアップと岩手ブランドの構築を目指し、首都圏を中心とした県外への積極的な情報発信に努めたほか、行政情報の積極的な公開に努め、行政の透明性の確保を図ったところであります。
 なお、新しい長期計画につきましては、さきの特別委員会において御説明させていただきましたとおり、今後、パブリックコメントや県議会の皆様からの御意見を踏まえ、総合計画審議会からの答申をいただき、県としての最終案を取りまとめ、12月県議会定例会に承認議案として御提案申し上げたいと考えております。
 その他、重点的な取り組み事項といたしましては、本県の多様な組織が手を携え、地域の自立と活性化に向けてオール岩手で総力を挙げて取り組む仕組みとして、いわて未来づくり機構を立ち上げ、知事等ラウンドテーブルメンバーによる活発な意見交換を行うとともに、平成20年度は、大学生の工場見学会や企業を対象とした雇用対策説明会の開催、買うなら岩手のもの運動の推進などに取り組んだところであります。
 また、第71回国民体育大会へ向けた準備を鋭意進めており、引き続き競技団体や市町村等との連携を図りながら、大会の開催に向けて着実かつ円滑に準備を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、当部関係の決算について、歳入歳出決算書によりまして御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、歳入歳出決算書12ページをお開き願いたいと思います。総合政策部の決算は、2款総務費のうち、2項企画費及び7項統計調査費でございますが、これらの支出済総額は18億113万円余でございまして、不用額は2、040万円余となっております。
 以下、決算の内容につきまして、お手元に配付されております歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の160ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費の主なものでございますが、備考欄の管理運営費は、人件費及び一般管理事務に要した経費であります。
 なお、外部監査費から地方独立行政法人評価費までの4事業につきましては、本年度から総務部に移管しております。総務部において御審議いただいておりますことから、説明は省略させていただきます。
 次に、162ページをお開き願います。第71回国民体育大会開催準備費は、平成28年に本県開催が内々定しております国民体育大会開催に必要な準備を行うために要した経費であり、うち4億円余は、大会運営基金への積立金であります。2目計画調査費の主なものでございますが、6行目の政策評価推進費は、外部の有識者で構成される政策評価委員会の意見を反映させながら、政策等の評価を行うとともに、県民協働型の外部評価を推進するために要した経費であり、7行目の新しい長期計画策定費は、10年後を展望しながら、行政のみではなく、県民の皆様とともに取り組んでいくための羅針盤となる新しい長期計画の策定に要した経費であります。3目広聴広報費の主なものでございますが、2行目の県政広報事業費は、県の主要な政策等について、さまざまな広報媒体を通じて、広く県民に周知し、県政への県民の理解と積極的な参画や協働を促進するために要した経費であり、3行目のいわて情報発信強化事業費は、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向けて、岩手が持つ豊かさと信頼を、首都圏を中心とした県外へ情報発信するために要した経費であります。
 次に、飛びまして、174ページをお開き願います。7項統計調査費1目統計調査総務費の主なものは管理運営費でございますが、これは、人件費及び一般管理事務に要した経費であります。2目地方統計調査費は、いずれも県単独で実施した統計調査に要した経費であります。次に、176ページをお開き願います。3目委託統計調査費は、いずれも国の委託により実施いたしました統計調査に要した経費であります。
 以上で総合政策部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇熊谷泉委員 それでは、何項目かに分けて質問いたしますが、最初に、いわて平泉年ということで、推進事業費、昨年は世界遺産登録ということで非常に県を挙げて取り組んだわけでございますが、7月に登録はならなかったということではございますが、世界遺産登録後1年間をいわて平泉年として事業推進を行うということになっておりましたが、実際登録はなされなかったわけですが、その事業はどのようにその後実行されたかお伺いいたします。
〇小山政策調査監 いわて平泉年の取り組み状況についてでありますが、平泉の文化遺産が昨年、世界遺産に登録された場合には、以後1年間をいわて平泉年として、いわて平泉宣言による国内外への情報発信など、さまざまな取り組みを予定していたところでありますが、しかし、残念ながら登録延期になったことから、約950万円を措置しておりましたいわて平泉年推進事業の予算につきましては、約50万円に2月補正で減額補正を行い、世界遺産登録に向けた連絡調整を行ったところであります。
 なお、昨年度におきましては、平泉の文化遺産の関連事業として、このいわて平泉年推進事業以外にも、庁内の部局横断的プロジェクトチームを設置し、関係する部局や振興局が連携しながら、平泉の文化遺産巡回展の開催、県内の小・中・高校での平泉授業の実施、いわて・平泉観光キャンペーンなど、平泉の価値の普及啓発などに取り組んだところであります。
〇熊谷泉委員 当初950万円の予算を計上して、登録延期ということで、実際はかなりのお金が余ったという今の説明でございますが、それでは、当初、国内外に情報発信するということでございましたが、実際には、外国には当初、それも発信する予定だったと思いますが、その辺はもうなされなかったということでございますか。
〇小山政策調査監 このいわて平泉年推進事業費による情報発信は特に行わなかったところでありますが、海外への情報発信につきましては、平泉の文化遺産の価値を海外の方々に広く知っていただくため、英語、中国語、韓国語によるパンフレットを作成し、海外で開催される旅行博や海外旅行代理店に配布するとともに、県のホームページにおきましても、英語、中国語、韓国語による紹介に努めたところであります。
 さらに、海外のマスコミや旅行代理店の関係者を本県に招聘し、平泉を実際に見学していただくことにより、海外のマスメディアや海外からの観光客の誘致を通じて、平泉の価値を広く海外の方にも理解していただくよう情報発信に努めたところであります。
〇熊谷泉委員 外国の方にはパンフレット等をつくったということでございますが、また再来年の登録に向けて新たな活動が必要だと思いますが、予算も余ったということでございますが、今後どのように発信されていくのか伺いたいと思います。
〇小山政策調査監 今後の海外への情報発信についてでありますが、今年度以降も、海外のマスコミや旅行代理店関係者の招聘を継続して行うとともに、このたび御承認いただきました9月補正予算におきまして、英語、中国語、韓国語の県の観光ホームページのリニューアルを予定しておりますが、その中で平泉の文化遺産に関する情報も大きく取り上げていくよう検討しているところであります。
 また、昨年初めて、本県から世界遺産委員会に参加し、委員初め海外の専門家の方々に直接アピールして、情報収集することの重要性を認識したところであります。このため、今年度も、日本国政府代表団の一員として、教育委員会から2名の職員を派遣し、情報収集に努めたところでありますが、今後とも、いろいろな機会をとらえ、平成23年の世界遺産登録に向けて情報収集を図るとともに、海外への情報発信にも力を入れてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それでは、再度の登録に向けて頑張っていただきたいと思います。
 次に、第71回国民体育大会開催の準備についてでございますが、国体の準備は大体予定どおり進行しているのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
〇八重樫国体推進課総括課長 第71回国民体育大会の開催に向けた準備につきましては、昨年7月に開催しました準備委員会の常任委員会におきまして、開催準備総合計画を策定し、この計画に基づいて準備を進めているところでございます。現在まで、計画どおり順調に開催準備が進行していると認識しております。
 具体的には、競技会場地の市町村の選定につきましては、本年9月の常任委員会におきまして、第2次選定を行いまして、正式競技、特別競技38競技中、一部種別を含む30競技が決定したところでございます。今後は、本年度中に、残る、一部種別を含む12競技につきまして選定を行う予定としてございます。
 また、競技役員等の養成につきましては、昨年度、常任委員会におきまして基本方針と基本計画を策定していただきまして、本年度から、補助要綱を定めまして、競技役員等の養成のための補助事業を開始したところでございます。
 次に、国体の広報等につきましては、先月の常任委員会におきまして広報・県民運動専門委員会を設置したところでありまして、今後、本格的に国体開催に向けた広報や県民運動の企画、実施に取り組み、県民の機運の盛り上げを図ってまいりたいと考えております。
 来年度につきましては、輸送、交通、それから宿泊、衛生に係る専門委員会を立ち上げる予定でありますほか、中央競技団体の正規視察というものが行われることとなっておりまして、翌年の開催申請書の提出、開催内定に向けて、準備に万全を期してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 38競技のうち、大体決まったようでございますが、12競技が残っているということで、なぜこの競技だけが残っているのか。あるいは競技団体の交渉の結果なのか、市町村との協議がまだうまくいっていないのか。
 そこでお伺いしますが、各種競技の競技場の整備についての負担割合は、市町村と県とどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫国体推進課総括課長 今、まだ決まっていない競技につきましてですけれども、さまざまな要因がございまして、例えば、開催地市町村の希望が競合しているとか、あるいは市町村の希望と競技団体の意向が一致しない、あるいは国体の基準に適合する施設がない、あるいは、準備委員会とすれば、できるだけ県内各地に分散して開催したいということで考えていますけれども、それらの調整に時間を要しているということでございます。
 それから、いわゆる競技場の整備の負担割合のことでございますけれども、競技会場につきましては、今申し上げましたとおり、来年度、中央競技団体による正規視察が予定されておりますことから、視察準備も含めて、会場地市町村と協議を進める予定としております。
 競技会場の整備につきましては、中央競技団体による正規視察の結果等も踏まえまして、来年度以降、競技施設整備計画を策定することとしてございます。
 会場地市町村に対する財政支援としては、先催県の例によりますと、競技施設の整備の補助を初めとしまして、リハーサル大会、それから本大会の運営費について補助を行っておりまして、本県におきましても、先催県の例を参考に、補助事業の創設について検討してまいりたいと考えております。
 なお、補助の割合については、その検討の中で決めていくということになると思います。
〇熊谷泉委員 ちょっと確認しますが、リハーサルと大会の運営については補助の対象になるということですが、競技場施設のハードの部分については、各競技場について個々に決めていくということですか。それをお伺いしたいと思います。
〇八重樫国体推進課総括課長 今申し上げましたとおり、競技施設の整備についても補助事業を先催県ではやっているということでございます。それで、具体的な競技場の整備とか補助事業の中身につきましては、先催県の例によれば、例えば競技の種類、一般的に後利用がされるような競技か、あるいは特殊な競技で、仮設でつくって国体が終わると取り壊してしまうようなもの等によって差をつけて、できるだけ市町村の負担にならないような補助制度になっているようでございます。
〇熊谷泉委員 それでは次に、いわて情報発信強化事業ということでございますが、岩手ブランドを具体的に県内外にどのように発信したのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
〇川口広聴広報課総括課長 岩手ブランドの発信についてでございます。
 岩手全体が持つ豊かさと信頼を黄金の國、いわてと表現いたしまして、そのイメージコピーを前面に出した広報展開を進めたところでございます。
 具体的には、広報誌黄金の國、いわてを首都圏の地下鉄、それから大型書店のテークワンラックに入れ込みまして配布いたしております。それから、岩手の食、伝統工芸、伝統芸能、歴史、風土を紹介するいわて学シリーズ、これは4シリーズでございますけれども、これを発刊しております。それから、雑誌社を対象といたしましたプレスツアーの開催、あるいは発信力の大きいブロガーという方々がいらっしゃいます。そのブロガーの方々を対象といたしました岩手の魅力体験会、こういったものを開催しておりまして、情報発信を行ったところでございます。
 また、首都圏等におきましては、希望王国いわて文化大使、昨年度末で107人ほど委嘱しておりますけれども、この大使の方々による岩手のPR、こういったものを通じまして岩手ブランドの構築に努めてきたところでございます。
〇熊谷泉委員 各種情報発信の方法はあったようでございますが、文化大使も含めて、評価としてはどういうような評価をなされているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
〇川口広聴広報課総括課長 客観的な評価という形では特には実施しておりませんけれども、こういったさまざまな媒体を通じて、首都圏、もちろん県内も含めてでございますが、広報活動を展開いたしまして、岩手に対する認知度といいますか、それから黄金の國、いわて、こういったものの浸透が徐々になされてきているのではないかと感じております。
〇久保孝喜委員 それでは、平成20年度の決算と同時に配付されます主要施策の評価に関する説明書にかかわってお尋ねしたいと思います。
 最初に、この説明書では、2部構成になっていまして、一つは全体状況の評価があって、特にも希望創造プランにかかわっての具体の成果がかなり従来に比べますと見やすく、ビジュアル的につくられていまして、大変評価するものでありますし、私どもの決算審査にとっても大変参考になる資料として活用させていただいているわけですが、その中で、それぞれの分野ごとに指標設定というものがかなりの項目にわたってつくられて、この説明書でも、その指標にかかわっての達成度がどうであったのかということが前提として書かれているわけですが、この指標の設定そのものが、どういう庁内のプロセスの中でまずは設定されてきているのか、その設定過程での庁内の議論、協議というのはどういうふうに行われているのか、まずお聞きしたいと思います。
〇木村政策推進課総括課長 まず、指標の設定に関するプロセスということでございます。
 いわて希望創造プランにおきましては、31の政策項目ごとに、それぞれ目指す姿指標というものを掲げております。その姿を体現する数値目標として、73の目指す姿指標を設定しているところでございます。
 この目指す姿指標につきましては、目指すべき水準などを、できるだけ数値を用いて定量的にわかりやすく示すということをまず基本的な考え方といたしまして、一つは、行政だけではなくて、県民、それから企業、NPO、行政など、地域社会の構成主体の総力によって実現を目指すという、いわゆるアウトカム─最終成果となるような指標としたい。それから、統計データ、まず数値ということでございますので、そういう客観的な数字が、できるだけ毎年度評価にできるということで、毎年度取得できるということに配慮しながら、当部と関係部局、担当部局とが、それぞれ連携、調整しながら設定したものでございます。
〇久保孝喜委員 この希望創造プランの今説明のあった最終の姿としての指標73のうち、達成度がこの時点で未確定、あるいは達成度の判定ができない指標というものがあるわけです。そういう点で数えてみますと結構な数になるんですが、創造プランの中では、73項目のうちの18項目が達成度の判定ができない、もしくは未確定と。
 そもそもそういう庁内のプロセスを経て、全体の行政の進展度合いを見ようとして定めた指標が、決算の時点で未確定あるいは判定ができないという指標の項目が18にも及ぶという点では、これはいかがなものかなという気がするんですね。73に対する18はおよそ25%。4分の1の指標が、PDCAサイクルのもとで業務を行っていくという過程のこの報告書において、未確定、判定不能、そういう姿になってしまっているわけですが、私どもに配付されたこの資料の後に、当然、それが判定をする、判定が出てくる、確定をするということもあろうかと思いますけれども、それは、どういう形で処理をされているのか、その事後対応ということについてはどうなさっているのでしょうか。
〇高橋評価課長 未確定指標に関する事後対応ということでございます。
 この平成20年度主要施策の成果に関する説明書において、この8月までに数値が確定しないというものについては、今お話のように、未確定指標ということで18指標ございます。
 これらにつきましては、順次、確定したところで盛り込んでいくということになりますが、これから、今後、この年度後半、秋に向けて実施する、政策形成支援評価と言っておりますけれども、そちらのほうの中で実績の把握に努めまして、適切な評価を行って入れ込んでいきたいと考えているところでございます。
〇久保孝喜委員 結局その姿は、残念ながら私どもの側にはなかなか明らかになってこない。すると、73指標があって、未確定が4分の1あって、その4分の1についての結果はどういう形で我々に示されるのかという点で言うと、なかなかそれは判然としない、こういうことなんですね。
 そもそもが、さっきから説明があったように、PDCAサイクルのもとでの指標とその判定なわけですから、少なくとも、全部とは言わないまでも、4分の1も判定不能という指標の設定そのものに無理があるか、あるいはためにする指標なのかという疑念を抱かざるを得ないわけなんですよ。
 しかも、達成度が判定不能というだけじゃなくて、もう一つ私が問題だと思うのは、そもそもこのいわて希望創造プラン、3年間にわたるプランの中で、基準値を平成18年に置いているわけですよね。その指標そのものの基準値が判定不能とか、いわゆる同じ基準値そのものがないという指標もかなりの数あるわけですね。基準値がなくて目標設定はある。しかも、今度は達成度も、つくられた段階では未確定というような項目すら中にはあるわけですよね。そうすると、そもそもこの指標設定そのものにどれだけの意味があるのかというようなことにまで疑問を持ってしまいかねない。
 希望創造プランと同様に、県が主体的に取り組むという形での指標が258あるわけですけれども、その中でも、例えば達成度の判定不能というのは35もある。全体の14%ぐらいですかね。結局そうやって、PDCAサイクルだといいながら、そういう形で具体的に我々の前には達成度がわからない領域が依然として残って、なおかつ、これは非常に問題だと思うんですが、この説明書の冒頭に、全体の達成度を円グラフにしているんですが、その中でもきちんと明記はしています。実績値が確定していないなどの理由で達成度の判定ができない指標は除いていますと。つまり、判定ができない分は除いて、そして判定できる分だけの達成、未達成という区分けをしてしまっているわけですよ。そうすると、まさに全体の政策評価としての表に出す発信が、結果的にここでは加工されてしまっているということになりはしまいか、こういうことなんですが、その点についはどのようにお考えなんでしょうか。
〇高橋評価課長 この未確定指標があることによって、成果の取りまとめが不十分な形になっているのではないかということでございますけれども、この指標の設定の際には、先ほどお話しさせていただきましたが、平成19年のいわて希望創造プランの策定のときに、どの指標が適当かということで、いろいろ議論を重ねてつくったということでございます。
 まず、指標を前面に掲げて、その測定をしていきながら政策を進めていくというPDCAサイクルの重要な部分という認識をしております。その中で、この未確定指標に関しましては、指標の設定をするに当たって幾つか難しい点がございまして、一つは、データの入手が容易であるかという点ですとか、あとは、データの入手のためのコストがどうであるか、また、あと、今お話にありましたような確定の時期が遅くないかという観点等々を踏まえて、その中で、部局のほうと検討しながらこの指標になっているという状況にあります。
 また、前の総合計画といいますか、現在の総合計画の持っていた指標で、その中から関係する部分を写し出したといいますか、そういうものもありまして、なかなかこの決算の時期にすべての指標がそろうということになっていないのが、現在の状況でございます。
 その点につきましては、今つくっているアクションプランになるわけですけれども、そちらの指標設定の際に、そのような未確定指標がなくなるような形で現在見直しをして、設定しようと努力しているところでございます。
〇久保孝喜委員 今後そういうことがないようにという方向での検討は了解いたしますけれども、しかし、こうした評価が、個別指標を設定して、事細かに事務事業の評価をしていくという手法そのものまで否定するものではもちろんありませんけれども、しかし、それが総体で指標に寄りかかった全体評価ということになると、先ほど言ったように、未確定要素を除外して確定している分だけで評価をしてしまう。
 結果、どういうことになっているかというと、例えば、アクションプランである希望創造プランの中での達成度、この円グラフによると、達成とおおむね達成を合わせて6割強になるわけですね。ところが、これが判定不能という全体の指標の中ではどうかということになると、ほぼ45%ということになってしまうわけですよ。それから、もう一つの具体的な推進方策指標のほう、258項目あるこの指標の中で言うと、7割が達成されましたと言っていますが、これも判定不能の全体項目の中からしていくと、達成とおおむね達成で6割ということになってしまう、こういうことなんですよ。
 そうすると、私は、この政策評価の結果示された冒頭にかいてある円グラフのことが、例えば今回の本会議の一般質問での知事答弁にもありました、おおむね7割達成、あるいはおおむね6割達成というぐあいになっているということなどを含めて、個別指標と全体評価のあり方については極めて重要な要素を持っているやり方になっていると言えるかと思うんですが、部長、最後に、この辺をどういうふうに総括されますでしょうか。
〇高前田総合政策部長 政策評価のあり方に関連して、具体的なその未確定の数値をどう扱うかという問題でございますが、先ほど担当課長からも御答弁申し上げましたとおり、今の時点で把握し得るデータでまずは実績を評価させていただくというのが、今回の説明書でございます。
 それから、年度後半には、新たに加わるデータ、それから、さきの総括質疑の際にも御説明させていただきましたが、その後の社会経済情勢の変化であるとか、おくれている要因であるとか、県民のニーズといったようなものを踏まえた政策形成支援評価というものを年度後半に行うことにしております。
 その段階におきましては、新たに実績として出てきたデータというものも、しっかりとその政策形成支援評価の中では踏まえた形で評価をいたしまして、今の段階で未確定なものも含めた最終的な評価をすることといたしておりまして、その結果につきましては、まずは、私ども来年度の予算編成の中で、そういった評価を踏まえたさまざまな検討をさせていただきますし、具体的な最終的な評価結果につきましては、2月定例会に具体的な説明書としてまたお示しするといったような流れになってございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、やはり、できる限り実績評価の段階でも、具体的なデータを踏まえた評価ができるような形が望ましいのではないかという御指摘はもっともでございまして、先ほどもお答え申し上げましたが、今、策定中のアクションプランの指標につきましては、そういった点が少しでも改善できないかといったような検討をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、この政策評価の関係につきましては、県民の皆様に、できるだけわかりやすく、かつ正確な評価結果をお示ししたいということでさまざま工夫を重ねてきたところでございますが、今後とも、さらにまた工夫をしていきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 そういう方向で、新しい計画のもとでの工夫に期待したいと思いますが、ただ、申し上げたように、実態とは異なるアナウンス効果を持ってしまうという事態をきちんと認識すべきであろうと思いますので、その点、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
〇小野寺有一委員 私も、久保孝喜委員に引き続きまして、主要施策の成果に関する説明書、岩手県総合計画実施状況報告書と、それから、いわて希望創造プランの取り組みと成果について伺わせていただきたいと思います。
 私も記憶がはっきりしておりませんけれども、平成20年1月にいわて希望創造プランの策定の際に、1人当たりの県民所得260万円を達成するという目標が掲げられていたように記憶しているわけでありますが、この重大な目標について、その成果、そして、できれば課題についてお示しいただきたいと思います。
〇木村政策推進課総括課長 県民所得260万円という重点目標でございます。これは、いわて希望創造プランに四つの重点目標を掲げておりますが、その一つとして掲げたものでございます。そのために、これまで、ものづくり産業の集積促進ですとか本県の特性を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興に取り組んできたところでございます。
 成果ということでございますが、その取り組みのときは、ものづくり分野では、自動車や半導体関連産業での地場企業との新規取引の開拓、IT関連企業等の新たな立地、それから、食産業分野では、しめさばなどの水産加工品の首都圏量販店での定番化や大手製パンメーカーによる県産山ブドウを活用したパンの全国展開、それから、観光分野では、2度の大きな地震の風評被害、ガソリン高騰等の影響等もあったわけですが、豊かな自然とか地域資源を活用した教育旅行誘致ですとか体験型観光の定着、それから、農林水産分野では、認定農業者などの中核となります経営体の育成、安全・安心で高品質な産地づくり、民間ノウハウの積極的な活用による農林水産業の販路拡大などの成果が得られたところと成果については総括しているところでございます。
 課題ということでございますが、御存じのとおり、昨年以来の経済不況ということでございますので、こういったような取り組みの中でもございましたが、なかなかそういう外からの非常に大きな影響があったというようなこともございまして、県民所得というような部分についても含めまして、県内経済の状況は非常に厳しい、まだまだその達成に向けては課題があると考えているところでございます。
〇小野寺有一委員 これはぜひ、この説明書をおつくりになったのが、多分、総合政策部でおつくりになったと思いますので、教えていただきたいのですが、この中で、いわて希望創造プランの四つの重点目標の本当の柱の柱であった県民所得260万円達成のための取り組みについての評価が、この説明書の1部、2部の中のどこに書いてあるのか、私は一生懸命読んだつもりなんですけれども、どうしても見つけられなかったので、ちょっと教えていただきたいと思うんですが。
〇木村政策推進課総括課長 県民所得の説明書への記載ということでございます。
 この県民所得の向上というのは、プランに掲げました31の政策項目の総合的な取り組みの推進によって実現を図るべきものと考えておりまして、個々の施策の取り組みにその具体的な成果をそれぞれ記載することはなかなか難しいと考えております。
 また、今般御報告したこの主要施策の成果に関する説明書は、指標の実績評価測定による成果ということで取りまとめているものでございまして、県民所得につきましては、先月、平成19年度の県民経済計算の確定値が出されまして数値が出たわけでございますが、平成20年度の実績数値がまだ確定していないということもございます。そういうこともございますが、いずれ今後、年度後半に行う政策形成支援評価の中で、県民所得の向上に関する具体的な指標の動向ですとか、それからそれ以外のさまざまな取り組み成果等もさらに分析をしながら、重点目標に係る成果につきましても、県民の皆さんに説明できるような工夫、検討をしていきたいと考えております。
〇小野寺有一委員 本当にそれでいいんでしょうか。細かいそれぞれの取り組み項目においての達成状況は示されているというのはわかります。ただ、現実の数字として、県民所得というのは、少なくとも先月、数値が出てきているわけでありまして、それが、もしも計画期間の途中だとしても、基本的にいわて希望創造プランのほかの指標もみんな途中の数字で出てきているわけでありまして、この四つの最も柱となるべき目標数値について、この取り組みと成果の報告の中に記載が全くないというほうがむしろおかしいのではないかと思うわけですけれども、部長の見解を教えていただきたいと思います。
〇高前田総合政策部長 1人当たり県民所得の関係でございますけれども、この県民所得につきましては、もととなるデータが県民経済計算で行われておりまして、平成19年度の分が、去る9月14日に確報値が出たという段階でございます。したがいまして、今回、平成20年度のこの成果といいましょうか報告書の中では、20年度の数値はまだ出ておらないということで、このデータについては扱えなかったわけでございますけれども、この県民経済計算の基礎となります製造業の出荷額でありますとか農林水産分野の産出額といったようなものが、一部、12月ごろには出てまいります。平成20年度の分でございますけれども。
 こういうものを踏まえて、年度後半に行います政策形成支援評価の中で、こういったものも含めてしっかりと所得の状況というものを取りまとめて御報告させていただきたい。現時点では、そういった平成20年度のデータがないものですから御説明はできませんけれども、年度後半の評価の中で御説明申し上げたいと考えております。
〇小野寺有一委員 先ほどの久保孝喜委員の質疑とも関連してまいりますけれども、ほかの指標については、基本的には、判定できないというような形で、少なくとも判定できないという事実を記載しているわけでありまして、そういった意味では、この県民所得260万円の達成状況というものを、僕は、平成19年の時点の数字を記載すべきだったと思いますけれども、それがもしも記載できないとしても、これこれ、こういう理由でこれが判定できないとか、年度途中でのそういったものを示すべきだと思うわけであります。そうしないと、こういった大きな柱を達成するための取り組みとしての指標がここに記載されているわけでありまして、何を目標としてこういった個別の取り組みがなされているのかということが、非常に漠然としてしまうと思うわけであります。
 したがいまして、今後こういった説明書あるいは報告書といったものが成る場合には、こういった大きな柱の部分を、あえて削ったとは言いませんけれども、そういったことのないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇高前田総合政策部長 この、例えば県民所得の向上、そして人口減少の歯どめといったような目標につきましては、先ほども総括課長から答弁申し上げましたように、いわて希望創造プラン全体を推進する中で達成していく目標として私ども考えておりますが、いずれにいたしましても、平成19年度の分も含めて、今の段階でそういった重点目標についての状況であるとか、そういうものをわかりやすく説明するべきではないかという御指摘については、それを踏まえていろいろ、どういう工夫ができるのかということは検討させていただきたいと思います。
 重ねて申し上げますが、いずれにしても、年度後半の政策形成支援評価の中では、しっかりとそういったようなことは御説明するような内容として取りまとめていきたいと思っております。
〇小野寺有一委員 最後に一つだけお尋ねいたします。先ほどから、部長からも何度かお話が出ております平成19年度岩手県県民経済計算についてお尋ねいたします。
 本県の経済というのは、以前から1%経済と言われて、日本全体の1%程度の総生産を要する経済規模だと言われていたわけでありますけれども、この平成19年度の県民経済計算によると、名目の県内総生産が4兆5、444億円という形で減少して、全国シェアが平成8年度以降最も低い0.88%まで低下したということであります。もう既に1%経済とも言えない状況まで落ち込んできたということであろうと思います。
 例えば、これにはいろいろな不況の影響とか、そういった外的な要因というものはもちろんあると思いますけれども、そういった影響、世界的な経済の影響を受けているのはほかの県も同じでありまして、その中で全国シェアが低下しているということは、岩手県がほかの県に比べても落ち込んでいるということを指し示すわけでありますが、この要因についてどのように分析されているかということと、それから、この結果を県全体の施策をつかさどる総合政策部としてどのように受けとめられて、今後どのように対応されていくのか、方針を示されたいと思います。
〇木村政策推進課総括課長 まず、全国シェアが低下した要因ということでございますが、この平成19年度のシェアの低下は、本県の経済成長率が、名目で0.3%のマイナス成長であったのに対しまして、国が1.0%のプラス成長となったことによるものでございます。
 県がマイナス成長となりましたのは、建設業や卸・小売業などが減少したことによるものと考えております。
 建設業の減少は、前年度にマンション着工が好調だった反動、それから改正建築基準法施行の影響で、民間の建築工事が大幅に減少したことなどによるもの、また、卸売業の減少は、流通体制の合理化の進展、それから建設業の落ち込みによる建築材料卸売業の販売額の減少などによるもの、小売業の減少につきましては、個人消費の低迷などによると考えているものでございます。
 こうした状況に対応していくためには、今申しましたさまざまな外部要因によって大きな影響を受けにくい、内需主導型の安定的な経済基盤の構築に向けた産業振興に力を入れていくことが重要であると考えております。
 そのため、長期的な視野に立ちましたものづくり産業の振興はもとより、地域の特性ですとか資源を最大限に生かした産業によりまして、県外から安定的に外貨を獲得する、いわゆる域外市場産業を強化して、その得られた所得を県内で循環させることによりまして、商業、それからサービス業の振興を図って、地域経済を安定的、持続的に成長させていくことが必要だと考えているところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、現在、策定中の新しい長期計画におきまして、国際競争力の高いものづくり産業の振興とあわせまして、農林水産業、食産業、観光産業などの地域資源型産業の振興に取り組むとともに、中心市街地の活性化、生活支援型サービスの展開支援など、商業、サービス業の振興を図る、さらには、本格的な人口減少、超高齢社会の到来を踏まえまして、今後、成長がまた見込まれます医療機器産業ですとか健康長寿関連産業、それから環境関連産業などの育成につきましても重点的に進めていくという方向性を打ち出しているところでございます。
〇小野寺有一委員 済みません、ちょっと僕はよくわからなかったのですが、要因としては、建設業とか、それから卸・小売業の不調が、こういった全国シェアの低下に結びついたという説明だったと思うんですが、それでは、建設業とか卸・小売業というのは、文字どおり全く内需主導の産業だと思うんですけれども、それで、先ほど内需主導の産業に転換して、このシェアの低下を乗り切っていくんだという趣旨のお話だったと思うんですが、要因の分析と対応が全くちぐはぐなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇木村政策推進課総括課長 説明が不十分でございましたが、いずれ内需主導型の産業をやっていくためには、まず、先ほど申しました域外市場産業、ものづくり産業ですとか、地域資源型の産業の振興によりまして、県外から安定的にまずお金というか外貨を獲得して、それを県内で循環させていくことによりまして、結果として、商業とかサービス業、建設業も含めまして、そういうような振興を図っていくことによって、安定的、持続的な地域経済の成長につなげていきたい、そういうような考え方でございます。
〇斉藤信委員 私も、いわて希望創造プランの取り組みと成果について最初にお聞きします。
 6本の柱と31の政策項目というのが全体像ですが、これは全体としてどう評価をされているのか。私は、県民の実態や県政の実態に合わない評価になっているのではないかと思いますが、いかがですか。
〇高橋評価課長 評価が県民の実態に合わないのではないかということでございますが、このいわて希望創造プランにつきましては、31の政策項目について73の目指す姿指標を設定しまして、政策評価によって数値目標の進捗を管理する、そういう中でプランの着実な推進を図っているという状況にあります。
 政策評価につきましては、まず、年度の前半で、プランに掲げる各指標の達成度から取り組みの進捗状況を把握するという実績測定評価を行っております。その結果を、この説明書として報告させていただいているところであります。
 成果に関する説明書では、指標の達成状況から見た評価と、あと、県民の実感などに違いがあるというものも考えられるということで、この説明書の中に、外部要因等の特記事項という欄を設けまして、現時点で把握できる要因等についても記載しているところでございまして、政策評価につきましては、委員が御指摘になっている部分につきましても、この説明書の中で記載するようにしているものでございます。
〇斉藤信委員 ちょっと私、個別の課題で、本当に評価が正確なのかということをお聞きしたい。
 達増県政は、雇用問題を重点課題の一つにしている。四つの重点課題の一つですね。やはり雇用破壊の状況が、求人不足数という形では出ているけれども、県政の実態、県民の生活実態という点では、それ以上には反映されていないのではないか。
 それと、私は、雇用として大変大事な指標というのは、実はこれは今までの指標にあるんですが、製造業に就職した者のうち県内に就職した者の割合というのがあるんですよね。これはB評価です。ところが基準値より下がっているんですよ。基準値より下がっていて何でB評価なのかと。
 もう一つは、実はこれは長期計画の中には消えてしまっているんですよ。私は、これは県内の雇用改善という点では大事な指標だと思いますよ。なぜこういう評価になって、大事な指標が新しい長期計画の指標では消えてしまうんですか。
〇高橋評価課長 雇用関係の指標についてでございます。
 この説明書の19ページ、第2部がもしお手元にあれば、成果説明書の19ページに、委員お話になりました製造業に就職した者のうちの県内に就職した者の割合ということで、指標の26番ということになってございます。
 この達成度Bになった理由でございますが、この指標につきまして、平成20年度末の目標値を設定してございます。その目標値に対してマイナスでございますが、その実績が70.3%ということで、この目標に対する差が、マイナスではございますが、その範囲が、達成度でいいますと目標に対しての80%から100%の中にあるということでの達成度Bということになっているものでございます。
 ここのところに説明がありますように、製造業に就職した新規高卒者のうち、県内に就職した者の割合につきましては、平成20年度は70.3%で、前年度と比較して約6ポイント減少しており、達成度はBとなっているところでございます。
 もう一つの御質問であります、次の長期計画の中での指標にならない理由についてでございますが、新しい長期計画の案の中のアクションプランの政策編というものの中の10ページでございますが、この目指す姿指標として取り上げているものでございます。ただ、政策項目のタイトルのほうが移動しているということでございまして、国際競争力の高いものづくり産業の振興の中の目指す姿指標として、製造業に就職した者の県内の割合ということで指標を設定してございます。
〇斉藤信委員 指標はありました。それで、部長に聞きましょう。
 いいですか。私が言ったのは、基準値が77.2%なんです。目標値が80%なんです。実績が70.3%なんですよ。目標に接近しているんじゃなくて、後退しているのですよ、この指標は。これで何でBなんですか。
 去年の就職状況を言いますと、いわばリーマンショックが破綻する前なんですよ、基本的に就職が決まっているのは。深刻なのは、どちらかというとことしなんです。いわば、去年までは経済が好調だったんですよ。誘致企業も、夏までは史上空前の利益を上げる勢いだったんですよ。しかし、一貫して、県内の製造業の就職率が落ちているのはなぜなのか。評価とあわせて、今まで好況でぼろもうけしてきた誘致企業がたくさんあったのに、なぜ県内就職が落ち込んでいるのか、これは全く矛盾じゃないですか。
〇高前田総合政策部長 先ほど評価課長のほうから御答弁申し上げましたとおり、この達成度の評価の仕組みにつきましては、目標に対して8割といった水準であればBというような評価といった考え方で行っているものでございますけれども、再三申し上げて恐縮ですけれども、いろいろと御指摘いただいております県民感覚とのずれといったような部分、県民ニーズとの差といったようなことも含めて、しっかりと、年度後半の政策形成支援評価の中では、分析をして取りまとめていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今の部長の答弁、全然答弁になっていないですよ。目標に対する接近というのは、基準値を基準にして考えるんですよ。基準値から下がっていて、80%達成しているということにならないでしょう。いいですか。基準値から下がっているのですよ。基準値から上がって接近しているんじゃないんですよ。算数の問題ですよ、これは。算数の問題。数学じゃない。
 それでいて、去年の秋直前までは好況だったと。関東自動車だってソニーだって富士通だって、莫大な利益を上げていたんですよ。そういう状況が数年続いていたのに、なぜ県内就職率が下がるのかということを言っているんですよ。それがあなた方が進めてきた産業振興ですか。私は、そこに問題があると指摘したんですよ。
〇高前田総合政策部長 数値の評価につきましては、先ほど私8割と申し上げましたのは、掲げた目標の水準に対して8割ということでございまして、特に製造業に就職した者のうち県内に就職した者の割合というものは、毎年毎年のさまざまな産業振興、そして雇用環境の整備といったような取り組みの中で、またゼロから築き上げて水準を目指して取り組んでいくものでありまして、昨年度の実績をベースとした取り組みではないということもございます。したがいまして、こういったような考え方を行っているものでございます。
 それから、こういったようなことがなぜ起きるのか。特に地元の定着という問題、就職した方の割合がなぜ下がるのかということにつきましては、確かに我が国全体の社会経済情勢というものもございますし、それから、私どもそういったような中で、今、産業振興それから雇用環境の改善ということに鋭意取り組んでいるところでございますが、さまざまな社会経済情勢の中で、非常に厳しい状況になっているということでございます。したがいまして、新しい長期計画の中でも、こういった状況を踏まえて、雇用環境の改善、それから県民所得の向上といったようなものを重点目標として掲げて、しっかりと取り組んでいきたいと考えているものでございます。
〇斉藤信委員 部長、不十分さを認めて、評価を変えたらいいですよ。基準から下がって、ずっと下がっているのにB評価ということはないんだから。ほかの評価の仕方とも違っていますよ、これは。まだ私、そういう矛盾を指摘しますけれども、この評価は完全に間違っていますよ。そして、経済が落ち込んだときじゃないんですよ。経済が好況だったときに落ち込んでいるから問題だと指摘しているんですよ。
 次に行きましょう。次は、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立というのが6本の柱の2番目で、高く位置づけられている。私の実感からすれば、ここはなかなか農業生産額は停滞をして、後退をして大変厳しい。しかし、達成度Aが71.4%になるんです。ほぼ達成していると。私はこういう点でも実感からずれているのではないかと思いますが、農業生産額がずっと落ち込んでいる、その問題の要因、打開策も含めて、これがなぜこういう高い指標になるのか示していただきたい。
〇高橋評価課長 日本の食を守る食料供給基地岩手の確立の評価についてでございます。
 いわて希望創造プランの政策の柱のIIの日本の食を守る食料供給基地岩手の確立につきましては、農林水産業をリードする経営体の育成など、三つの政策項目から構成されております。達成度をはかる目指す姿指標として、10の指標を設定しているものでございます。
 これらの指標の達成状況を見ますと、先ほど来お話しさせていただいております未確定指標についてを除いて、七つの指標の中で五つの指標、認定農業者数ですとか地域牽引型林業経営体数ですとか、中核的な養殖漁業経営体数、林業産出額、園芸作物の契約取引率、この五つの指標が達成度Aということでございまして、その割合ということで71.4%となっているものでございます。
〇斉藤信委員 ここは実態に合わないと。指標の中では、生産額がふえているかどうか、これは決定的な指標ですよ。農業が振興しているのか、縮小しているのか。私は、そういう基本的な指標というのに結びつくような努力がないとだめだと思うんですよ。あれこれ努力したと。しかし、農業生産額全体が減少したと。これでは、努力が結果として結びついていないということになりますよ。
 これは指摘だけにとどめて、次、三つ目。
 共に生きる岩手、達成度80%というのも、これは県民の実感に合わない。今、我々は医師不足で、地域医療崩壊の危機に直面している。ところが、県政の指標を見ると80%、一番達成率が高いんですよ。この点でも本当に県民の実感に合わないわけですが、具体的にちょっと聞きます。
 合計特殊出生率、この第2部で言いますと50ページです。合計特殊出生率は1.39。これは基準値も目標値も実績も変わらないんですね。これでA評価なんですよ。合計特殊出生率というのは、今、少子化の中で、これをどう高めるかということが我々の政策目標でしょう。大体、基準値と目標値が同じ、実績も同じと、これでAと。これだったら少子化対策にならないじゃないですか。1.39が特別にこれは低いんですよ。全国は1.37だけれども、1.35から伸びたと。こういう設定自身が不正確ではないか。
 51ページを見ますと、保育サービスの充実、保育所待機児童数。これは基準値が79人で目標値がゼロになっています。なくすということです。実績値が平成20年度75人ですから、今年度もっと90人を超えたんですが、達成度Dと。一番低かった。これは目標を積極的に掲げたからこうなるんですよ。私はこの方が前向きだと思いますよ、現状を見るには。しかし、いいですか。ここでDと提起しながら、実は主要施策のこの薄っぺらなほうの報告書を見ると、ここでは保育所待機児童というのは白丸になっているんです。白丸の評価。白丸というのはおおむね達成ですよ。こっちではDだと。同じこっちではおおむね達成だと。何でこんな評価の違いが出てくるんですか。
〇高橋評価課長 まず、共に生きる岩手の実現の評価についてでございます。
 この共に生きる岩手の実現の中の政策項目、子育て環境の整備につきましては、先ほどお話にありましたように、第2部の50ページに記載しておりますように、目指す姿指標を合計特殊出生率としております。平成20年度は、平成19年度と同率の1.39を維持することを目標としているというものでございます。
 この目標値の考え方につきましては、いわて希望創造プランをつくった平成19年度にその作業をしておりまして、いわて希望創造プランの中でこの指標の考え方を示してございます。本県の合計特殊出生率が全国平均を上回っているものの、昭和25年以降、一貫して低下傾向にあるということから、まずはその低下に歯どめをかけて、現状維持を目指すということとして設定されたところであります。平成20年度は、その目標値である1.39を維持できたということで、達成度はAという評価結果を示しているものでございます。
 なお、先ほど委員のほうからお話のございました薄いほうの説明書の中の30ページでございますが、この30ページの部分につきましては、岩手県総合計画のほうで設定している私たちの暮らし指標というものについて達成度を確認している一覧表でございます。そこの中の下のほうにございますように、保育所待機児童数が丸になっているということでございますが、この判断の仕方が、総合計画の場合につきましては、明確に目標値と中間目標と最終目標ということで、中間年次の目標は設定しておりますが、年度ごとの目標値を設定しているものではございませんでした。そのようなこともございまして、年度ごとにはかればどうなるかということを工夫した形で年間で割り返したと申しますか、最終的な目標をもとに、12年間の計画になっておりますので、12年間で割り返して、それを現在10年目ということで出しているということでございまして、そのような方法で出した結果、おおむね達成の丸という形に出ているものでございます。
〇斉藤信委員 私、二つ今指摘をしました。一つは、合計特殊出生率が基準年と目標値で同じと。いわば、改善しないという目標を掲げて、改善しなかったからA評価だと。これで何で県政が発展するんですか。少子化対策が前進するんですか。私はこういう目標の設定自身が、大体こんなA評価で満足していたら、何の進歩もありませんよ。そういう設定自身が正しくないのじゃないか。
 保育所待機児童は、今、本当に深刻な問題ですよ。だからゼロにするという目標を掲げた。私は積極的だと思う。そして、それに対して待機児童を減らしているけれどもD評価と。厳しく見て、もっと取り組みを強めようという、私はこの評価は正しいと思う。ところが、もう一方で見ると、この薄い表で見ると、おおむね達成になってしまう。これ、完全に矛盾でしょう。私はこういう指標の違いで、D評価とおおむね達成と、このぐらい違ったら、何のための評価かということになってしまうんですよ。部長、やっぱりそこらは整合性をとるべきです。
 そして、もう一つお聞きしたいのは、居宅介護サービス利用割合なんですよ。53ページです。ここは52%の目標を掲げて、実績が53%だからA評価だと。しかし、私は特別委員会でも指摘したけれども、介護サービス利用料は、岩手県は全国で最低なんです。サービス利用料が全国最低の中で、居宅サービスの利用割合だけ問題にしたって意味ないでしょう。どうやってサービス料をふやすのか。居宅サービス料をふやすのか。
 また、特養ホームの待機者が去年で5、400人もいたと。この待機者を解消するのかということを掲げなかったら、県民の立場から見たら前進がないのですよ。こういう指標も極めて不正確。これは新しい長期計画でもこうなっていますから、こういう目標を掲げたって私は意味ないと思いますけれども、部長、どうですか。
〇高前田総合政策部長 介護サービス等の指標の設定については、確かに御指摘のとおりでございますけれども、今回の説明書の記述は確かに御指摘のとおり、ございませんけれども、今後さらに、年度後半で実施をさせていただきます政策形成支援評価の中で、そういった点も踏まえて、総合的な評価を行っていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 これ最後です。
 個別指標の教育の指標で、この第2部の最後のところ、129ページを見ていただきたいんですが、私は、教育の指標で一番大事な指標は、この2項目だと思っています。
 一つは、授業がわかる児童生徒の割合。もう一つは、学校が楽しいと答えている児童生徒の割合。これは生徒の全体的な満足度を示すんですよ。個別の算数の点数がどうだとか、国語の点数がどうだとかという、そんな部分的な評価ではなくて、こういう評価こそ大事にすべきだと。ところが、実は微妙にこの指標が変わっているんですね。学校が楽しいという指標は変わっていないが、よくわかるという指標を使っている場合と、ただわかるという指標を使っている場合と二つあるんですよ。長期計画はただわかるというふうに書いてしまった。こうなると、比率が全然違ってくるのです。よくわかるという指標は、厳しい評価になるんですよ。ところが、わかるという評価になると比率が高くなるので、私は、よくわかるという子供の比率を高めるということが必要なんではないか。そして、こういう全体的な評価こそ教育は求められていて、個別の部分的な数値目標というのは掲げるべきではないと。それは教育をゆがめると、市場原理主義にゆがめてしまうと思いますが、この点ではどうですか。
〇高橋評価課長 人材育成における指標についてでございます。
 このふるさとづくりを担う人材の育成につきましては、児童の生徒学力の向上ですとか、豊かな心をはぐくむ教育の推進など、九つの政策項目から構成されておりまして、その目指す姿として28の指標を設定し、具体的な県の取り組みを図る指標として推進方策指標、43指標を設定しているところでございます。
 指標については、各政策項目の目指す姿の実現がどの程度図られているかというものを、定量的にわかりやすく示すという基本的な考え方を持っておりまして、確かに指標の設定の仕方が大変難しいと考えてございます。低い目標を設定した場合につきましては、そのような指標では目標にならないというお話をいただくわけでございますし、高い指標を設定すると、なぜ達成できないと、どうやって達成するんだというお話もいただいているところでございます。
 そのような点で、目指す姿指標、それぞれの指標の設定の仕方については大変難しいと考えて、その質を高めるために頑張っているという状況にございます。
 委員御指摘の、授業がわかる児童生徒の割合につきましては、児童生徒の学力向上の推進方策指標の中で設定しているところでございますし、また、学校が楽しいと答える児童生徒の割合につきましては、豊かな心をはぐくむ教育の推進の目指す姿指標において設定して評価をしているという状況にございます。
〇斉藤信委員 私、指摘したんだけれども、この薄いほうの主要施策の成果にかかわる指標はこうなっているんですよ。
 授業がよくわかる子供の割合。希望創造プランのほうは、授業がわかる生徒の割合。わかりますか、この違いが。授業がよくわかる割合というのは、小学校で実績値28%なんです。授業がわかるという指標を見ると、これが90%になるのです。このぐらい違うんですよ、指標のとり方で。授業がわかる生徒の割合というのもD評価で厳しく見ていますよ、これは。私はそれはいいと思いますね。よくわかるというのも、これは未達成となっています。これは子供の実態から把握した大事な指標だと。
 学校が楽しいか楽しくないか。この指標も私は大事な指標だと思うけれども、これもD評価なんです。そういう意味では、私はそういう子供の実態から把握した指標を大事にしてやっていただきたいと。やっぱり数値目標で教育をゆがめるべきではないと、改めて指摘をしておきます。
 大きな2番目。大きな2番目は、私は今度の経済危機に直面した教訓を踏まえて産業振興、特に内需拡大策に本格的に取り組むべきだと思っております。
 実は今度の経済危機というのは、正確に言いますと、皆さんが長期計画で言っているようなグローバル化の結果じゃないんですよ。金融危機と過剰生産恐慌の結合なんです。グローバル化だから起きた経済危機じゃないんですよ。そこをしっかり見定めて、過剰生産恐慌ということは、いわばつくられたバブル、これがはじけた。決してアメリカの需要は簡単に戻りませんよ、そういう意味では。だから、そうしたところに依拠したような輸出型の産業だけでは、もとに戻らないということなんですよ。私はそういう意味でいけば、今、思い切って内需拡大策に転換すべきだと思いますが、その具体的な方策、これは新しい長期計画の中でどういうふうに打ち出されているんですか、出されていないのですか。
〇木村政策推進課総括課長 産業振興と経済の活性化という御質問でございます。
 委員御指摘のとおり、本県は厳しい経済状況のもとにあるということで、地域において内需主導型の経済基盤を構築して、安定的な雇用を維持していくことが非常に重要だと考えております。そのためには、先ほども小野寺委員のときに申し上げましたが、長期的な視野に立ったものづくり産業の振興を進めるとともに、地域資源を生かした産業の振興によって、域外から外貨を獲得していくような産業を強化していく。それと同時に、それを県内で循環させていくことによりまして、県内の商業、サービス業、そういうような産業振興を図って、地域経済を安定的に成長させていくことが必要だと。
 具体的には、自動車、半導体産業を初めとしたものづくり産業の基盤強化、こういうことにつきましては引き続き強化に努めていくということでございますが、世界経済の影響を受けにくい地域の特性とか、資源を生かした産業を同時に振興していくことが重要だと考えておりまして、国内有数の生産力を図ります農林水産業、それから質の高い農林水産物を活用しました食産業、それから豊かな自然、それから高品質な食材、伝統文化などを生かした観光産業などの振興に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 さらに、本格的な人口減少、超高齢社会ということも踏まえまして、今後、成長が期待されます医療機器産業、それから健康長寿関連産業、環境関連産業などの育成を重点的に進めていきたいと考えておりまして、今般公表いたしました新しい長期計画におきましても、そのような方向性を盛り込んでいるところでございます。
〇小田島峰雄委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 了解しました。残念ながら、やっぱり内需拡大策の抜本的な転換の方向というのは示されていない。私はそれこそ、長期計画をつくる最大の意味だと思いますよ。そういう点で、例えば観光産業にしても地場産業にしても、具体的なビジョンを示さなかったら、長期計画、10年後の岩手を示す中身にならないと、これは残念ながら指摘だけにとどめます。委員長の指摘のとおり。
 これ最後で終わります。
 昨年の市町村要望、知事はどういう形で市町村要望を受けとめ、どういう要望が出され、どれだけ実現したのか示していただきたい。
〇川口広聴広報課総括課長 平成20年度の市町村要望につきましては、昨年8月から9月にかけて実施をいたしまして、知事が35市町村全部に出向きまして御要望を受けたというところでございます。全体で684件の要望を受けたところでございますが、主な内容でございますけれども、継続といたしましては、道路整備などの社会資本整備が多いといった状況でございます。そのほか、テレビ放送のデジタル化への対応、携帯電話不感地域の解消、企業誘致、医師確保、こういったものが継続として出されてございます。
 それから、新規といたしましては、平泉の文化遺産の世界遺産登録推進、それから国体の主会場の誘致、あるいは地震による観光産業の風評被害対策、それからマイマイガ大量発生による被害対策、こういったものが寄せられております。
 その中で、全体の684件のうち提言に沿って措置をしたもの、それから実現に向けて努力しているもの、このトータルが406件ということになっておりますので、全体の約6割が措置をされている、あるいは現在進行形で措置をしているというものでございます。残りの4割につきましては、当面は実現できない、あるいは実績が極めて困難であるということでございまして、これにつきましては、各市町村に対しまして、文書でもって理由をお示しして回答している状況でございます。
〇斉藤信委員 私、部長にお聞きをしたい。35市町村を知事が回られたと。私は大変大事なことだったと思いますよ。ところが、広域振興局の再編で、これからは4カ所で広域振興局長が市町村要望を受けると。すると、知事は顔を出さないということになるんじゃないか。せっかく35市町村に足を運んで、直に市町村長の要望を受けるというのは私は大事なことだったと思うけれども、広域振興局再編でこれを振興局長に任せるということになったら、ますます市町村と知事は離れてしまうのではないか。
 もう一点、嵯峨委員が取り上げた問題ですけれども、宮古市のことしの要望で、県立山田病院の内科医の確保の要望に対して、政権交代すれば大丈夫だと答えたと。私、これは失言ではないかと、知事の発言の重みが問われる問題ではないかと思いますが、これは失言だったら訂正する。でなければ、これはそのとおりやってもらわなければ困りますよ。どうなんでしょうか。
〇高前田総合政策部長 2点のお尋ねでございました。
 まず、最初の市町村要望の関係でございますけれども、これにつきましては、まず今年度の実施状況をしっかりと踏まえて、来年度のあり方について今検討をしているところでございますが、来年度につきましては、4月から広域振興局体制がスタートいたします。広域振興局長にできる限り権限を集中して、地域のことを地域で対応していくといったような考え方のもとに、市町村要望につきましては広域振興局長に対応していただいて、その内容については、しっかりと本庁そして知事にも伝えるといったようなシステムを施行していきたいと考えているものでございますし、御指摘の市町村との関係については、そういった要望以外に、随時意見交換といったようなことで、申し出があれば知事にそういったようなお話をして、随時対応をさせていただくといったようことで考えているところでございます。
 それから、2点目のお尋ねでございます。
 知事の発言についてでございますけれども、これにつきましては、委員既に御案内のとおり、10月13日の決算特別委員会の総括質疑におきまして、知事から、医師不在にかかわる住民からの不満が町長やまた町議会に寄せられても、住民が満足するような対応をとることができない、いつまでこうなのかという話の流れの中で、いつまで我慢しなければならないかということでありましたので、政権交代によって新政権が地方の声や民意をしっかり把握して、それを十分に踏まえた政策が展開され、今のように住民が、また首長さんや議会が我慢をしている状況の解消が図られていけば、安心して暮らせる社会の実現が期待されると、直接、御答弁を申し上げたと承知をしているところでございます。
〇斉藤信委員 市町村要望については、私、ますます市町村長が知事にも会えないと、本当に知事に物が言えないと、ますます天の人になって、現場から離れてしまうのではないか。これ、再考を求めておきます。
 知事発言について、新聞報道ではこう言っているんですよ。
 手元に、医療局が書いた今のままで仕方がないんですみたいな内容があったが、私が言ってしまうと医療局が努力しなくなってしまう。大所高所からの政治論ではぐらかさせていただいた。
 はぐらかしたというんですよ。とんでもない話ですよ、これ。地元の要望に対して、はぐらかすような発言でいいのか。
 実は岩手町で、知事が出席する懇談会があって、私も傍聴しました。岩手町は、県立沼宮内病院の無床診療所化が出されている。それに対して、知事は、もし自分が市町村長だったら、自前の病院を経営したいと思うと。みずからが切り捨てておいて、私が町長だったら自前でやりますなんて、これはとんでもない話ですよ。私たち政治家というのは、言葉の重みなんですよ。知事の発言がこんな軽くていいのですか。こんな無責任なことでいいのですか。もし部長が答弁できなかったら、ぜひ、これは最終日に知事を呼んでいただきたい。いかがですか、委員長。
〇高前田総合政策部長 まず1点目の御指摘でございますけれども、その発言について、政治論ではぐらかさせていただいたといったような発言についてでございますけれども、この発言につきましては、地域医療の問題は、地方の事務レベルで解決できるというよりは、むしろ基本的には医師の養成など、国政レベルの諸制度にかかわる問題が大きなウエートを占めておりますことから、それが解決されませんと、医師不足といった地域医療についての根本的な解決には至らないといったような強い思いからの御発言と、私どもは承知をしているところでございます。
 このようなことから、さきの総括質疑でも知事から御答弁申し上げておりますとおり、10月7日には、知事が直接厚生労働大臣にお会いをして、また、厚生労働省の政務三役に対しまして、地域医療の確保、再生について政策提言を行ったものと承知をいたしております。
 また、岩手町での発言についての御指摘がございましたけれども、この御指摘の発言につきましては、これは県医療局の新経営計画に関して、地元の意見をお伺いするために医療局が開催しました地域診療センター等懇談会での発言と存じておりまして、具体的な内容の詳細については承知をいたしておりません。
〇斉藤信委員 私、二つの知事発言を指摘し、その真意を新聞報道から具体的に示しました。部長の答弁とはちょっと違っていますね。
 知事発言の重みというのは県政にかかわる重大課題なので、先ほど委員長にお願いしましたが、ぜひ最終日に知事を呼んで、徹底した審査をできるようにしていただきたい。
〇小田島峰雄委員長 この際、ただいまの件につきましては、後刻世話人会を開き協議いたしたいと思いますので、御了承願います。
 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、総合政策部関係の質疑をこれで終わります。
 次に、地域振興部長に地域振興部関係の説明を求めます。
〇加藤地域振興部長 平成20年度の地域振興部関係の決算について説明申し上げます。
 初めに、地域振興部所管の事務事業に係る総括的な評価、成果及び今後の取り組み方針につきまして説明申し上げます。
 まず、総括的な評価についてでございます。
 当部では、いわて希望創造プランの着実な推進により、自立と共生に基づく社会の構築を目指すため、権限移譲や市町村合併の推進など、市町村の行財政基盤の強化に向けた支援、広域振興局等による広域行政の推進及び県北・沿岸圏域の振興、地域コミュニティの維持、再生、文化芸術の振興、いわてファンの拡大を通じた本県への定住と交流の促進、地域公共交通の維持、確保や、情報通信基盤の整備による地域社会を支える基盤整備などに重点的に取り組んできたところでございます。
 いわて希望創造プランにおける政策6本の柱の評価におきましては、ふるさとづくりを担う人材の育成の分野におきまして、まず、多様な市民活動を牽引するさまざまな人材の育成と活用にありましては、草の根コミュニティ大学の開催や元気なコミュニティ100選の選定などを通じまして、地域におけるリーダーとなる人材の育成とコミュニティの活性化に向けた支援が進むとともに、企業とNPOとの協働を推進するためのワークショップやセミナーの開催等によりまして、市民活動に参加する県民への支援機能の充実に取り組んでまいりました。
 また、団塊の世代を中心とした定住と交流の促進につきましては、岩手独自の情報発信として、ブログやメールマガジン等により、岩手県の魅力の発信、物産展やふるさと回帰フェア等でのPRに取り組んでまいりました。
 次に、政策の6本の柱の土台となる基盤の整備におきましては、IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道とも、鉄道事業者及び沿線市町村と連携いたしまして、具体的な利用促進策や収支改善策に取り組みまして、利用者の確保と経営基盤の強化に努めるとともに、バスにつきましては、市町村総合補助金によりまして、地域の実情に応じた適切な交通システムを構築しようとする市町村の取り組みを支援したところでございます。
 また、情報通信基盤の整備につきましては、ブロードバンド加入可能世帯率や地上デジタル放送の世帯カバー率などの指標が伸びるなど、ブロードバンド等の環境整備が進んだところでございます。
 こうした取り組みによりまして、多くの分野におきまして着実に成果を上げてきたところでありますが、今回の評価結果等を踏まえまして、今後、次のような点について、一層の選択と集中を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、二重行政の解消を通じて県と市町村との役割分担を明確にしながら、市町村の行財政基盤の強化に向けた支援、市町村合併の推進、広域振興局等による広域行政の推進及び県北・沿岸圏域の振興に取り組むとともに、市町村との連携による地域コミュニティの維持、再生に取り組んでまいります。
 次に、岩手県文化芸術振興指針に基づき、文化芸術活動者や各地域の住民の方々との協働によりまして、文化芸術活動ネットワーク化や県内外への情報発信に取り組んでまいります。
 また、首都圏の岩手ファンの拡大を通じた本県への定住と交流の促進、東アジアを中心とした海外の高度産業人材の活用、育成、市民活動への積極的な参加を促進する環境の整備に取り組んでまいります。
 最後に、地域公共交通の維持、確保や地域情報化の戦略的方策の検討を進めるなど、地域社会を支える基盤の整備に取り組んでまいります。
 続きまして、決算の概要につきまして説明申し上げます。
 地域振興部関係の決算は、岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページの第2款総務費のうち、第3項地域振興費及び第5項選挙費でありますが、これらの支出済総額は95億9、026万円余でありまして、翌年度への繰越額は1億3、219万円余、不用額は1億2、751万円余となっております。
 それでは、便宜、お手元に配付されております歳入歳出決算事項別明細書によりまして、各項目ごとに主な事業を中心に説明申し上げます。
 歳入歳出決算事項別明細書の164ページと165ページをお開き願います。第2款総務費第3項地域振興費第1目地域振興総務費の支出済額47億1、319万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。
 まず、地域振興推進費2億6、436万円余は、広域振興局等におきまして、市町村やNPO、民間との協働のもと、産業の振興を中心に、圏域の活性化へ向けた事業等を行うために要した経費でございます。次に、草の根コミュニティ再生支援事業費242万円余は、地域社会の中で多面的な機能を有してまいりました地域コミュニティにつきまして、地域住民が主体的に集落の維持、再生のあり方を検討するため、草の根コミュニティ大学及び地域活性化セミナー実施に要した経費であります。次に、地域総合整備資金貸付金1億5、000万円は、県内民間放送事業者2社が行う地上デジタル放送設備の整備に対しまして、金融機関と協調し資金の貸し付けを行ったものでございます。次に、NPO協働推進事業費438万円余は、県民の参画と協働による地域づくりを推進するため、NPOの活動支援や多様な主体による協働推進のための各種研修等の実施に要した経費でございます。次に、いわて文化芸術王国構築事業費1、775万円余は、県民が豊かな文化芸術とともに生きる地域社会の形成を目指し、文化芸術総合システム運営拡充や文化芸術資源の把握と発信、文化芸術振興指針の策定に要した経費でございます。続きまして、いわて県民情報交流センター管理運営費7億5、189万円余は、いわて県民情報交流センター─アイーナでございますが、この管理運営に要した経費でございます。次に、県北・沿岸産業推進費262万円余は、県北・沿岸の各地域における産業振興の取り組みを総合的に支援するため、地域産業戦略会議の運営、首都圏等での情報受発信及び県北・沿岸移動県庁の実施に要した経費でございます。次に、いわてへの定住・交流促進事業費794万円余は、首都圏等の団塊の世代の本県への移住を促進するため、市町村及び関係団体と連携し、情報発信や受け入れ体制の整備を行うために要した経費でございます。
 なお、繰越明許費625万円余は、いわて文化芸術王国構築事業費及びいわて県民情報交流センター管理運営費等の一部を繰り越したものであります。
 次に、第2目市町村振興費の支出済額28億8、920万円余のうち、主なものにつきまして説明申し上げます。まず、市町村総合補助金5億3、978万円余は、地方分権型社会の構築と産業の振興による自立した地域を構築するため、市町村が地域の自立に向けて取り組む事業及び生活基盤の維持、確保や行財政基盤の強化を図るために取り組む事業に要した経費につきまして助成したものでございます。次に、市町村優先の行政システム構築事業費346万円余は、市町村優先の行政システム構築を目指し、国、県及び市町村を通じました望ましい行政システムのあり方を検討する場であります岩手県分権推進会議の開催及び権限移譲の先進的な取り組みを行うモデル市町村への交付金等の交付に要した経費でございます。次に、167ページをお開き願います。合併市町村自立支援交付金13億3、000万円は、合併特例法の適用を受けて成立いたしました合併市町村が、自立に向けた新たな行政課題等に先導的に対応していくために必要な取り組みに対して交付したものでございます。次に、市町村振興宝くじ交付金8億915万円余は、市町村の単独事業等に対する貸付事業及び交付金を原資といたしまして、財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして、市町村振興宝くじの販売収益金を交付したものでございます。
 なお、繰越明許費5、069万円余は、市町村総合補助金等の一部を繰り越したものでございます。
 次に、第3目情報化推進費の支出済額12億7、741万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。まず、地域情報化推進事業費198万円余は、岩手県内の情報通信基盤に係る戦略的な方策を検討いたしますいわて情報通信基盤整備戦略会議の開催のほか、各種検討会への参加、関係機関への要望活動に要した経費でございます。次に、移動通信用鉄塔施設整備事業費補助1億5、956万円余は、地域住民の生活に密着した情報通信基盤の整備を促進するため、移動通信用鉄塔の整備実施主体であります市町村に対しまして、経費の一部を助成したものでございます。次に、情報システム最適化事業費1、862万円余は、個別業務システムのサーバー統合に当たりまして実施した対象システムの稼働状況の調査や、統合基盤となります機器の設定等、情報システムの最適化に要した経費でございます。
 なお、繰越明許費6、725万円は、移動通信用鉄塔施設整備事業費補助及び情報システム最適化事業費の一部を繰り越したものでございます。
 次に、第4目交通対策費の支出済額5億938万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。まず、三陸鉄道運営支援事業費1億3、188万円余は、三陸鉄道の経営を支援するため、関係市町村と連携し、前事業年度の経常損失相当額及び鉄道設備の整備に係る経費等に助成するとともに、三陸鉄道強化促進協議会が実施いたします誘客促進事業等に要した経費の一部を負担したものでございます。次に、並行在来線対策事業費1億4、277万円余は、IGRいわて銀河鉄道株式会社によります鉄道事業の経営の安定化を図るため、いわて銀河鉄道経営安定化基金を積み立てるとともに、通学定期運賃の激変緩和、鉄道設備の更新及びいわて銀河鉄道指令システムの構築等に要した経費を助成したものでございます。
 なお、繰越明許費800万円は、三陸鉄道運営支援事業の一部を繰り越したものでございます。
 次に、第5目国際交流推進費の支出済額1億1、857万円余のうち、主なものにつきまして説明申し上げます。まず、国際交流推進費5、802万円余は、本県の国際交流を推進するため、語学指導等を行う外国青年招致事業等に要した経費でございます。次に、グローバルネットワーク推進事業費1、749万円余は、海外ネットワークの維持拡大を図るため、海外県人会との交流及び支援等に要した経費でございます。次に、東アジア留学生等人材ネットワーク形成事業費893万円余は、東アジアを中心とした各国からの県内大学等への留学生に対する支援や、中国大連市からの研修員受け入れを通じまして、本県との密接なネットワークの形成を図ったものでございます。
 最後に、171ページをお開き願います。第5項選挙費についてでございますが、支出総額8、247万円余は、県選挙管理委員会の運営と海区漁業調整委員会委員選挙の管理執行に要した経費等でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
午後1時3分 再開
〇高橋雪文副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩中に世話人会を開催いたしましたので、その協議結果を報告いたします。
 斉藤信委員から申し出のあった知事の出席を求める件につきましては、知事の出席は求めないとの結論に至りましたので、御了承願います。
 それでは、これより地域振興部の質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは、平成20年度における難視聴解消対策についてお伺いしてまいります。
 御承知のとおり、地上デジタル放送の完全実施までは2年を切っております。平成20年度におきましては、それまでの送信対策から受信対策のほうに軸足が次第にシフトしてきたものと承知しておりますけれども、その結果、平成20年度において、地デジの世帯カバー率はどの程度まで進捗したのか、また、中継局のデジタル整備はどの程度進んだのでしょうか。一方で、どの程度の世帯が残され、難視エリアがどの程度の地域に偏在というか、もしあれば教えていただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 地デジ関係のお尋ねでございます。
 まず、本県では、平成17年12月にNHK盛岡放送局から地上デジタル放送の電波発射が開始されて以来、平成20年12月末までに88局の地上デジタル放送の中継局が開局しております。平成20年12月末時点におきまして、地上デジタル放送の世帯カバー率は81%となっているところでございます。
 世帯数については、済みません、後ほどお答えさせていただきます。
 また、主に中山間地域に設置されております辺地共聴施設につきましては、本年3月時点で537施設ございまして、そのうち131施設のデジタル化改修が終了してございまして、改修率は24.4%となっているところでございます。
〇岩渕誠委員 今後、地上デジタルの整備は、大規模中継局のようなところは進むのですが、最終的に9割程度になるということで、今後の難視聴解消については、恐らく辺地共聴施設のデジタル化をどう進めるかというのが一番の問題になってくるかと思います。やはり中山間地帯、県境地帯が一番の難視の影響を受けるところなんですが、ことしの8月末に総務省のほうで地デジの放送難視聴に対する対策計画というものが明らかになって出ております。難視地域をどういうふうにして解消していくかということだと思うんですが、これについて県はどのように取り組みを進めていくおつもりなのでしょうか、また、どういう対策をもって辺地共聴の改修を進めるおつもりなんでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 難視地域の解消についての現状の取り組みということでございますが、まず、委員御指摘のとおり、本年8月末に地上デジタル推進全国会議が公表した地上デジタル難視地区対策計画というものがございます。これによりますと、本県では平成19年までに開局した中継局エリア267地域につきまして実測調査をしたところでございます。その結果、18市町村141地区におきまして1、798世帯が新たな難視世帯として特定されたところでございます。
 この新たな難視世帯につきましては、地上アナログ放送を視聴していたにもかかわらず、地上デジタル放送へ移行することによりまして、新たに地上放送が視聴できなくなるという世帯でございまして、これら世帯の解消につきましては、地デジ移行を国策として推進している国及び放送事業者に、その責務があるものと県としては考えているところでございます。
 このため、国におきましては、仮に平成23年7月までに対応が間に合わない地区につきましては、最終的には衛星による暫定的な難視聴対策を5年間に限り実施する方針と聞いておりますけれども、内容が、放送内容が衛星なものですから在京キー局の番組となるということでありまして、防災情報を初めとする地域情報の入手が困難になるという弊害もございます。
 このため、県といたしましては、地上デジタル放送難視地区対策計画における平成23年7月までの対策の実施につきまして、国及び放送事業者に対しまして強く要請してきたところでございます。これらの要望にこたえるような形で、国におきましては、新たな難視地区における中継局並びに辺地共聴施設の新設に対して、支援制度を創設したところでございます。
 このほか、NHKにおいても、独自の支援制度などを創設して、新たな難視世帯の最小化に向けて取り組んでいるところでございます。
 本県141の難視地区のうち、78地区が10世帯以下の極めて小さな集落ということで、今後は、個別世帯を対象とした補助制度の創設が強く望まれているところでございます。このため、平成22年度、総務省の予算概算要求に個別世帯に対する支援措置を盛り込んでいただけるように、他県と連携して強く要望してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 国への要望の前に、まずやらなければならないことがあると思います。これは、地上デジタルの難視聴地区対策計画をきちんと立てて、まずカバーをするという努力をした上で、それでも残ったところについてどうしていくかというのが今のお話だったと思いますが、現状の中で、このデジタル化の困難共聴施設というのは、調べてみましたら、東北では64あるんですけれども、そのうち岩手県は35あるということで、岩手県がどうしていくのかということが非常に問われていると思いますし、これが難視聴を解消するかどうかの最大のポイントだと思います。
 それで、現状で対策計画の策定を置いているのはどの程度なのか、あるいは、もしそれに漏れているもの、これから検討するという部分がどれぐらいあるのか、それをどういう方法によって具体で解決しようとしているのか、お示しいただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 デジタル化困難含め、難視解消の関係では、まず、個別の世帯につきましては、やはり市町村、放送局、国、当然、私ども県なんですけれども、もう後ろが、平成23年7月というのが決まっておりますので、やはり協調してできるところはお互い協調しながら、連携しながら、共同しながら対応していくということが求められていると認識しております。
 このため、手前どものほうで市町村情報化サポートセンターというものを設置しておりますけれども、この活動の中で、市町村、現地に赴きまして、いろいろと調整作業に当たりますとか、また、地区でいろいろと説明会などをしております。その際に、県職員もできるだけ参加して、いろいろな補助制度ですとか支援制度の説明をするなり、そういったところで対応させていただいておるところでございます。
 また、デジタル化困難共聴、やはりデジタル化に伴いまして改修が困難であるというようなところ、世帯につきましては、できるだけ、例えば現行の共聴施設があるんですが、それを、世帯数を多くするということで、できるだけ大型化するというか、できるだけ世帯が参加して経費が削減できるようなことを誘導したりとか、そういったことをしております。
 また、本年度、国の補正予算で地域情報通信基盤整備交付金というものが拡充されてございます。433億円程度でございますけれども、これに県内7市町ですが、ブロードバンドゼロ地域の解消とあわせて、地上デジタル放送の難視聴解消も計画してございまして、それらを総合的に活用いたしまして、難視世帯なりデジタル化困難共聴の対応をしてまいるということで計画しているところでございます。
〇岩渕誠委員 いずれにせよ、これまで地デジ化なっているところは、受益者といいますか受信する住民の負担はほとんどないわけです。これから地デジの対策を打っていくところについては、住民負担も考えざるを得ないような状況になってきていると思います。本来であれば、国策ですから、これは何らかの支援が欲しいものだと思います。
 まず、これからの整備において大事なことは、僕は3点あると思います。一つは、まず何といっても見られること。もう一つは、サービスにおいて遜色がないこと。これは、地デジというのは、単純に音がきれいだ、絵がきれいだということでなくて、ワンセグとかいろいろなことができるわけでありますが、そうしたサービスにおいて遜色がないこと。そして三つ目が、負担コストが最小であること。こういったことを想定して、基準にして進める必要があると私は思っております。
 そうした中で、今、各地域においていろいろな説明をしているんだという話がありましたけれども、その説明が、なかなか一般的、確かに個々の事情もありますし、かなり専門的な部分があるので難しいところはあるんですが、大まかに言いますと、ケーブルテレビに加入する、あるいは有線共聴の部分で少し世帯数を広げていく、もう一つは、無線共聴、いわゆるギャップフィラーによってやっていくということだと思うんですが、この辺の費用負担の関係がもう少し明確になると、少し地元としての対応の仕方、あるいは財政負担に対しての将来予測みたいなものができると思うんですが、そういったあたりの比較というものはなさっているんでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 コスト比較の関係でございますけれども、例えば設置コストの関係で申しますと、有線共聴におきましては、設置の際、約730万円程度のコストがかかります。あとは、無線共聴ということで、委員御指摘のギャップフィラーでございますが、これも大体730万円程度かかるということでございます。
 維持コスト、ランニングコストの部分でございますけれども、有線共聴のほうですが、年間22万円程度でございますし、ギャップフィラーの場合は18万円程度というように私ども試算してございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、そういった具体の数字が出て、例えば1世帯当たりの負担がどうなる、それに対して、例えば県としてできる負担がどれぐらいあるのか、市として支援できるものがどうあるのか。もちろん国としてどういう負担があるのか、支援策があるのかということをある程度提示をしないと、やっぱりその地域地域によって、とりあえずつくってはみたものの、後年度負担のほうが大きいというような話では、だったらテレビぐらい全部見なくても、一つ二つ入ればいいやなんていうような格好になるんですが、やはり情報化社会においての情報の役割というのは空気と水と同じようなものですから、それは万全を期していただきたいと思っております。
 最後にいたしますけれども、この地上デジタルの難視聴対策というのは、難視聴対策全体から見ればその一部なわけであります。これまでアナログ放送においても難視聴地域があるということであります。そういったところをどうカバーしていくのかという視点がないと、地デジの関係の難視聴対策が終われば、あと終わりということでは、これはいけないと思っておりました。そういう意味においては、今、例えば県境地帯における難視聴地域をどういうふうにやっていくのか、それをデジタル難視聴の対策の中でどうやっていくのかということを明確におっしゃっていただきたいということが一つ、その見解をお聞きしたい。
 それから、岩手県は、地デジ普及対策検討会の幹事県ということで、これまでも先導的な役割を果たしてこられたと承知しております。地デジ対策については、新年度予算が事実上、最後の対策予算になります。そういった意味において、先ほどもありましたけれども、国に対してどういうような形で、どの辺を今後要請していくおつもりなのか、その2点をお聞きしたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、第1点目、アナログ難視を含めた、特に県境の関係ということでございますけれども、まず、特に県南部におきましては、県境ということもありまして、NHK以外の民放につきまして宮城県域の放送を受信してきているという実態もございまして、岩手県域放送の視聴機会の確保が課題となっているところということで認識してございます。
 このため、対策といたしましては、県境のアナログ難視地域におきましては、解消を図るために、現在、例えば藤沢町が全域ケーブルテレビ整備によって難視聴解消を計画中だということがございますし、また、これも一関市でございますけれども、平成19年度に地域イントラネット網の光ファイバーを整備してございます。これを活用して県内放送波の送信を計画しているというように、県境のアナログ難視の解消に、できるだけ既存のケーブル網ですとか、新たに設置するケーブル網を活用しながら対応に努めているということでございますし、また、ギャップフィラーを、設置コストが低廉だということ、また、維持コストについても通常の共聴施設よりも低廉だということもございまして、それの活用も図っていくということで対応してまいるということでございます。
 県といたしましては、委員御指摘のように、最適の視聴手段は何かということを十分、コストも提示しながら、最適な方法を放送事業者、国、県、市町村、地域住民の方々一体となって解消に努めてまいりたいと考えてございます。
 もう一つが、国等に対する要望ということでございます。
 冒頭、私ちょっと先走って申し上げてしまったんですが、実は、この地デジの難視対策につきましては、平成18年度までは特に何もなかった、何も支援措置がなかったということもありまして、難視地域を多く抱える本県といたしましては、地デジの完全デジタル化までは間に合わないということもありまして、強く要望してきたところでございます。
 その結果、平成19年度から制度が創設されまして、以降、例えば、補助率が当時3分の1だったものが、徐々に、3分の2とか大きく枠が拡大されてきた、また対象も拡大されてきたということもございます。これは、送信側、受信側対策、両方にとって拡充されてきたということがございます。
 あと、冒頭申し上げたように、最終的に難視計画で、今回、難視世帯が提示されたわけでございますが、いろいろ対策を講じて、それに対して最終的に残った支援をどうするのかという問題が出てきます。特に来年1年、来年度その対策を進めなければいけません。
 そのため、最終的に残った世帯、共聴にも入れない、ケーブルにも入れない、そういった世帯をどうするかということですが、衛星は暫定的、抜本的な対策のために私どもがお願いしているのは、高性能アンテナの設置を難視世帯に支援できないかということを強く要請しておりまして、国の概算要求、1回は出したんですけれども、その中には盛り込んでいただいておりました。ただ、出し直しということになりましたので、その中にも、やはり盛り込んでいただけるように、現在、強く働きかけているところでございますし、デジタル普及協議会で、さらに強く今月要請する運びになってございます。
〇高橋雪文副委員長 当局に改めて申し上げます。答弁は簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
〇工藤勝子委員 いわてへの定住・交流促進事業についてお尋ねいたします。
 私が言うまでもなく、岩手県は、どこの市町村に行っても、すばらしい恵まれた自然もあるし資源もある、さらには、いろいろな多様な文化もあるし、今、高齢化が進む中で、そういう人たちを、定住する人たちを受け入れようとする地域の人たちの心の変化もあります。
 そういう中において、団塊の世代を中心として定住交流の促進を図ろうとする岩手県の取り組み、それに対しまして、いろいろなホームページへのアクセス等は8万7、041件という数に上っております。じゃ、これによって定着した数はどのくらいかといいますと、946名という調査の結果がございます。非常に、例えばアクセス量に比べて定住者が少ないのではないか、目標に達していないというところもございます。
 そこで、やはり受け皿となっているのが、まさにそれぞれの市町村ではないかと思っているんですね。そこで、県といたしまして、その市町村に対する調整と申しましょうか、連携をどのようにとっているのか、また、平成20年度、市町村に対してどのような形で支援策を打ち出してきたのか、まずお伺いいたします。
〇菊池地域振興支援室長 定住交流に関する受け皿となる市町村との連携、それから支援についてのお尋ねでございます。
 定住交流の促進を図るためには、まず、実際の受け皿となります市町村において、円滑な対応あるいは受け入れ体制が充実するということが重要であると認識いたしてございます。
 このため、県の定住交流施策の推進に当たりましては、これまでも市町村と連携した取り組みや支援ということに意を用いて進めてきたところでございます。
 具体的には、相談情報の迅速な交換を行う、つまり県と市町村の相談窓口の連携ということ、それから、県と市町村、民間団体等から成りますいわて定住交流促進連絡協議会というものがございますが、この場を活用した事例等、各種情報の共有化と研修の実施、それから、首都圏でのPRの場で、県と市町村が共同出展をしたり運営をしたりしているという連携の取り組みがございます。
 今度、11月に開催されます総合イベント、黄金の國いわてフェアにおきましても、県と市町村が共同して田舎ぐらし相談コーナーを設置いたしますけれども、これも共同して運営することにしてございます。
 また、支援の面で申しますと、県で委嘱してございます定住交流アドバイザー、この方々を市町村の必要に応じて派遣して支援しているということ、それから、県と連携して定住交流に積極的に取り組む市町村を認定してございまして、これらの市町村を中心に、定住交流に係る市町村の取り組みを強化するという視点での支援を実施しているところでございます。
 今後とも、市町村との連携をさらに強化するとともに、市町村における円滑な対応あるいは受け入れ体制の充実に効果的な支援のあり方というものを検討してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 アクセスが多い割に定住者が目標に届かなかった、その課題をどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
〇菊池地域振興支援室長 先ほど委員からもお話がございましたけれども、平成20年度のアクセス数は8万7、000件余ということで、平成19年度に比べまして73.9%増というすごい伸びを示してございます。その一方、定住数というものは、目標の1、000人に対して946人ということでございまして、アクセス数の大幅な伸びと定住者数というものが、必ずしも現段階では連動していないという状況にございます。
 移住を決める条件というものについて、NPO法人が実施した全国的な調査がございますが、これによりますと、自然環境がよい、気候がよい、住居があること、それから就労の場があることなどの項目が上位項目として挙げられてございます。県が物産展とか首都圏のPRの場でアンケート調査した結果におきましても、移住を判断する情報ということで、同じような情報が必要だということが回答として得られているところでございます。
 県といたしましては、これらの情報が移住希望者のニーズに応じて適切に提供されることが、移住を促進する上で重要ではないかと考えてございまして、この10月から、市町村と連携したきめ細かな生活情報等を提供する、それから、その提供から定住に関する相談までをワンストップで対応いたします田舎暮らしサポート事業というものを開始したところでございます。
 当面、この事業の状況の推移を見守りながら、移住希望者に必要な情報を発信する機能をどう高めていくか、あるいは、よりきめ細かな相談ができる方法について努力してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 確かに、定住するまではいろいろな相談窓口、いろいろなものがあるんだろうと思っておりました。定住されて、確かに自然もいいし、確かに人もいいんだろうなと思って住んでみた。ところが、なかなか田舎の風土とか、それから地域によっていろいろな市町村との協働事業という中で、例えば、道路の農免の砂利を市の車が持ってきて、おろしていったところを、地区の人たちが出て、それを協働という形の中で、砂利敷きを地域民でやるというような作業があったとき、なぜ税金を払っているのにそんなことしなければならないのかという、まさに田舎に暮らしてきて、そういう作業まであるとは思っていなかったというような話をされる方もあるわけです。
 そういう中で、地域の人たちも、そういう人を受け入れて地域を元気にしたいという思いはあるんですけれども、いろいろな部分で、後のサポート、そういう苦情、悩みというものをどのような形で県はやっているのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
〇菊池地域振興支援室長 定住後のフォローアップということでございますけれども、県あるいは市町村の定住交流窓口の相談を受け付けるというのがまずございます。その相談に基づきまして、県では、各振興局で合計100人ほど定住交流サポーターズというものを設置してございまして、これらと連携しながら個別に対応するという体制をとってございます。
 さらに、本年度から、定住者に対するフォローアップも兼ねまして、知事と移住者との意見交換会というものを実施してございまして、3回ほど実施いたしております。この中で、移住に際しての課題はもちろんですが、定住後の課題等についても御意見を伺っている最中でございます。
 今後とも、県、市町村の連絡、連携というのは当然のことですが、定住交流サポーターズを活用した定住者の相談内容に応じたきめ細かなフォローアップを行うということ、それから、定住者からの相談あるいは意見交換の場で出された意見や要望等について、可能なものから定住交流施策に生かすように検討してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 これで最後にいたしますけれども、私にもあるんですが、こういう情報発信の本がございますね。何年に発行したのか見たんですけれども、なかなか見つけられなかったんですね。多分、結構年数がたっているのではないかと思うんですが。
 遠野にも、家族で住んで、まさにそこの郷土芸能が、もうなくなりそうな、ほとんど今まで引き継がれないできたもの─神楽だったんですけれども─があって、それが、その人たち家族が、子供たち3人、奥さんも、もちろん本人も含めてそれを復活することに力を注いで、今、家族総出で踊りに参加しているんですね。そういうふうに、いろいろな形で地区の人たちとうまく連携をとりながら活動している。
 今後また新たなそういう情報誌の発行等もあればいいのではないかと思うわけですけれども、今後のそういう形での情報の考え方について聞いて、終わりたいと思います。
〇菊池地域振興支援室長 委員御指摘のとおり、定住者の方々が、その地域に溶け込んで、地域住民の方と交流しながら生き生き活躍されているということは、もちろんその地域にとっても、その方々にとってもすばらしいことでありますし、定住交流を推進する上でも、その市町村の大きな魅力として発信できるものと考えてございます。
 このようなケースにつきましては、今お話のありました定住、交流のパンフレット、あるいはホームページ、それから、先ほどお話いたしましたいわて定住交流促進協議会の場での事例紹介などに活用させていただいておりますけれども、現在、そのパンフレットをちょうど新たなものに更新する作業をしてございまして、本年度中にはでき上がる予定になってございます。
 いずれにしましても、今後とも、それぞれの実際の受け皿となる市町村でも情報発信に努めていただくのはもちろんでございますけれども、県としましても、市町村と連携した積極的な情報収集を行いまして、ホームページあるいはパンフレットを活用いたしまして、岩手の魅力あるいは定住者が生き生きと活躍されている情報というものを全国に向けて発信していきたいと考えてございます。
〇亀卦川富夫委員 私は、情報通信網の整備についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、産業振興にいたしましても、あるいは今後の医療、教育、そういったものをすべて含めて、この社会の維持発展のために、私は、この情報通信網という、人体で言えば神経の整備というものは大変大切だと思います。なかんずく、ブロードバンドあるいは携帯電話、こういったものについて、これまで岩手県は全国の中では最下位と言われるくらいの後進県だ、このように認識しております。
 そこで、いわて希望創造プランといったものでの取り組みが今日まで図られてまいりました。指標を見ますと、インターネット人口普及率とか、あるいはブロードバンドインターネット世帯普及率、さらに携帯電話の人口普及率、こういったことが掲げられて、着々と整備は進められているわけでありますが、現状認識についてまずお伺いしたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、ブロードバンドの状況でございますけれども、総務省公表のブロードバンドサービスエリア加入世帯率、これは、光ファイバーが住居のすぐ近くまで整備されて、インターネット接続業者に申し込めば、すぐにインターネットが利用できるという世帯でございますが、これが平成20年3月末で本県は90.7%でございます。これが平成21年3月、本年3月におきましては93.7%と3ポイントほど上昇してございます。
 また、今年度ですが、国の交付金を活用して、平成20年度からの繰越事業として滝沢村と川井村が、基盤整備を進めているところでございます。
 さらに、今回の国の補正予算を活用いたしまして、本県で14の市町村が基盤整備を進める予定でございます。結果、整備が完了いたしますと、ブロードバンドサービスエリア加入可能世帯率につきましては96.5%ということになる予定でございます。平成21年3月の93.7%から2.8%ほど上昇する予定となってございます。
 また、2点目の携帯電話でございますけれども、携帯電話につきましては、私ども、不感地域の解消というものを指標としてございます。市町村からの不感地域の要望箇所が23市町村203地域ございまして、これを不感地域として、私ども指標としてとっているところでございます。
 これにつきましては、既に46地域が解消されて、整備率は22.7%というところになってございます。これが本年度、やはり国の補正予算を活用して解消するものと、あと事業者が整備するもの、合わせて171地域が解消される見込みで、整備率が、結果84.2%に達する見込みでございます。
〇亀卦川富夫委員 今の、携帯不感地帯を指標化しているという話でありましたが、これは、希望創造プランのほうの指標には人口普及率となっているんですが、これはどういうふうに読んだらいいのでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 人口普及率からいたしますと、後ほど平成20年度末の数字はお示しいたしますが、整備されますと、平成21年3月現在(後刻「平成20年度末現在」と訂正)で98.5%ほどに上昇する予定となってございます。
〇亀卦川富夫委員 私も、人口普及率とか、あるいは線がそこまで来ているから、あとはつければいいんだ、こういうことはそのとおりだと思うんです。ですから、県とすれば、このサービスエリアの拡充とか、あるいは今の携帯で言えば不感地帯の解消が整備の目的だろうと思いますが、そういうことですか。
〇紺野IT推進課総括課長 ブロードバンドにつきましては、まさしく加入しようとすればすぐにできるということで、まさしくエリアカバー率ととらえてよろしいかと思います。
 あと、携帯電話につきましては、確かに面としてどこまでつながるかという問題がございますけれども、ある意味では、市町村要望の箇所に対しての整備率でございますので、岩手県全域つながるか、面が全部接続できるのかというと、そういうことにはなってございません。あくまでも私ども203というのは、市町村要望に対しての整備をどう図るかというところでとらえてございます。
〇亀卦川富夫委員 それでは、今後についてお尋ねしていきたいと思います。
 いわゆる国のほうの方策とすれば、2010年、平成22年を目標年次にしたいわゆるデジタル・ディバイドの解消ということで、特にも今のブロードバンド、あるいは携帯、先ほどのお話の地デジも、ある意味ではそういったものに合わせわざということで含まれていくんだろうと思いますが、来年、平成22年度までに本年と2年、この間に一体岩手がどこまで整備できるのか。そういった意味で、岩手の具体的な整備目標というものをお持ちなのでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 委員御指摘のように、確かに厳しいとは思いますが、私どもとすれば、やはり社会の基盤だというところもございます。また、現代においては不可欠なツール、道具ということもございまして、何とか市町村、事業者の協力も得て、国の支援制度も活用して、目標をぜひ達成するように取り組んでいくというところで、現在、私ども頑張っているところでございます。
〇亀卦川富夫委員 重ねてここはお尋ねしていきたいところでありますが、先ほど申し上げました総務省の中にデジタル・ディバイド解消戦略の会議というものが設置されて、これは2008年に既にいろいろな方法論等も含めて具体的に整備についての指針を出しているんですね。この会議には、幸い岩手県も構成員として入っていたわけでございますから、十分その辺のやりとりの中で、岩手の実情なり、岩手はどうしても広大な面積を持っていますから、他県と違ってかなり難しい面もあろうかと思いますが、そういったものを含めて、この会議の中で、私は、国の整備目標とか、あるいは解消するための手だてというものを考えてきたと思うんです。
 したがって、今までのおくれを取り戻すので岩手は精いっぱいと言ってしまえばそれまでですが、やはり残された時間をしっかりした整備目標を立てて、そして推進のための施策を十分予算面からも裏づけていく、これが、私は希望創造プランの検証、あるいは平成20年度の決算の上で十分図っていくべきものだろうと思います。
 そういった意味で、これは、担当というよりも、部長に、今後のそういう進め方についてのお考えをお示し願いたいと思います。
〇加藤地域振興部長 来年度までブロードバンドゼロ、携帯電話不感地域解消ということで、ちょっと課長の答弁が明確でなかった部分もあったかもしれませんが、基本的に、今、把握できている部分につきましては、すべて解消する、リストアップされているものについては、ブロードバンドもゼロ地域を解消する、携帯電話につきましても、不感地域としてリストアップされているものについては解消するという方向で進めております。
 残る地域というのが、今年度かなり進んだわけですが、まだ補正予算とかが出てまいりますので、これにつきましては市町村、最終的には、事業者だけというと、岩手県だと条件不利地域ということでなかなか難しい面がありますので、市町村の公設民営というか、そういう方法をとらざるを得ないところがありますので、市町村の意向を伺いながら、必要な財政支援、国からとってくる分もございますし、市町村総合補助金等を使う分もございます。そういう部分で、よく市町村の意向も伺いながら、またいろいろ技術的に難しい面もありますので、人的な支援もしながら、漏れがないようにきちっと解消できるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、その過程の中で、国にもしっかりと提言することはしていきたいと思っております。
〇亀卦川富夫委員 大変心強い御返答をいただいたと思います。そこで、ぜひ、今のお考えを岩手県版の整備目標、そして整備の具体的な方策、そういったことで取りまとめて、ひとつ今後お示しを願いたい、こういうことを申し上げて私の質問を終わりますが、何かそこに対する御返答があればお聞きしたいと思います。
〇加藤地域振興部長 市町村ごとに市町村別整備工程表というものを設けているんですが、なかなか人口に膾炙していないというか、そういうものがあると知られていないところもあります。
 いろいろな状況の変化もありますので、また、これにつきましては、再度、市町村と相談いたしまして、状況の変化とか、その後の時間的な進展とかがありますので、それを踏まえたものにまたブラッシュアップいたしまして、そういうものをきちんと、実際に情報通信基盤の成果を享受されるであろう方々がわかるように示すように、そういう取り組みのあり方につきまして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
〇紺野IT推進課総括課長 先ほどの携帯電話の人口普及率の関係でございますが、私、誤って平成20年度末が98.5%のところを21年3月と申し上げておりました。平成20年度末が98.5%でございまして、来年3月末が99.1%ということで、残すところ0.9%まで普及するというところになってございます。
〇熊谷泉委員 先ほど工藤勝子委員からも質問がありましたが、私もいわてへの定住、交流促進について触れておりましたので、2点ほど質問したいと思います。
 まず、先ほどインターネットによる首都圏へのPRとありましたが、それ以外に有効な手だてが主にあったのか、それから、946人定住されたということですが、これは、先ほど自然、就労、住宅があるということが非常に魅力だということですが、岩手県で大体どの辺に定住されたのかお伺いしたいと思います。
〇菊池地域振興支援室長 どこに定住されたかというお尋ねでございますが、この定住者数の移住された方々の数の把握というものは、県内部のほかに、市町村などの他の機関の御協力を得ながら取りまとめてございます。県と市町村で把握している数字につきましては、どの地域に何人行ったかというのは把握できるのでございますが、他の機関は、個別にはという条件のもとに出していただいているということもございまして、現在、946名のうち232名については、どの地域に移住されたかということがわかってございます。
 すべてではないのでございますが、この232名を圏域ごとにお話し申し上げますと、沿岸圏域には32名、県南圏域には88名、盛岡圏域には78名、県北圏域34名となってございます。
 いずれにしても、私どもとしても、きめ細かな施策を立てていく上で、どの地域にどのぐらいの方が行ったかというのは、やはり市町村との連携をする上でも必要だと考えておりますので、今後、さらに御協力をお願いいたしまして、地域別の動向を把握できるような形に持っていきたいと考えてございます。
〇熊谷泉委員 私も団塊の世代そのものなんですが、大体、昨年あたり定年を迎えた方々が多いわけでして、ここ、昭和24年あたりまでが団塊の世代ということで、これからもそういう第2の人生を迎える方々がまだあるわけでございます。
 多分、かなりの市町村は、首都圏において、ふるさと会とかそういう各市町村での首都圏の交流の場を持っているものが多くあると思うんですが、ぜひ市町村との連携の中で、そういうところでPRといいますか、定住に関するいろいろな情報のリーフレット等を配布するというのも一つの手かなと思うんです。
 そしてまた、市町村の中で、そういう関係であれば、本来ふるさとから出た人でありますので、いろいろなきめ細かなサービスもできると思うんですが、その辺の所見をお伺いしたいと思います。
〇菊池地域振興支援室長 首都圏に各市町村ともふるさと会を設けているので、その場でもPRしたらいいのではないかというようなお話でございますけれども、県では、首都圏の県人会の連合会総会におきましては、定住PRコーナーを設置しておりますほか、各地域単位での県人会の総会、あるいは求めがありますと、ふるさと会などにも祝電を打たせていただいておりまして、その中で定住についてもPRさせていただいてございます。
 そのほかに、首都圏でのPRということでまいりますと、平成20年度には、いわゆる定住希望者というものをねらいとしたふるさと回帰フェアとか、岩手県U・Iターンフェアというイベントがございますが、それに参加してございますし、それから、東武百貨店とか日本橋高島屋の物産展でも定住PRコーナーを設置してございます。さらに、岩手県に興味を持つという観点で、旅行者を対象にしたセミナーへも参加して、岩手への定住交流についてのPRをさせていただいてございます。
 そのほかに、あとは、いわて銀河プラザで、いわて定住・交流支援センターで相談対応をしますとか、あと東京事務所がメールマガジンで情報発信をしているというようなことで、さまざまな形でPRさせていただいてございます。
〇熊谷泉委員 定住促進については随時やられていくということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、北東北3県地域連携の推進についてですが、これは、地域振興部で取り上げられている事案ですが、今までに3県連携で、具体的にどのような成果が上がってきたのか、それをお知らせ願いたいと思います。
〇鈴木地域企画室企画課長 北東北三県地域連携推進費についてでございますが、北東北知事サミットを契機といたしまして、北東北地域における民間主体の交流連携活動の促進を目指しまして、平成12年2月に北東北広域連携推進協議会が設立されまして、本協議会に対しまして、3県でその活動を支援してきたところでございます。
 協議会の平成20年度の主な取り組みといたしましては、北東北3県における観光や地域づくり団体の活動等の北東北3県連携に係るさまざまな情報を、ホームページや雑誌の広告、メールマガジンの発行により情報発信したほか、北東北各地におきまして、食を通じて地域づくりや食育、体験学習などに取り組む方々の交流とネットワークづくりを目的とした北東北広域連携塾 in いわてを開催したところでございます。
 こうした北東北におけるさまざまな取り組みの情報発信や交流等を通じまして、地域団体や個人レベルでの北東北3県の連携促進や、それぞれの地域の活性化に向けた人的な交流連携の促進が図られたところでございます。
 なお、これまでの民間主体の交流連携の輪をさらに広げていくことを目的といたしまして、本協議会につきましては本年度末をもって発展的に解散いたしまして、本年5月に民間主体の北東北連携ネットワークが発足したところでございまして、北東北三県におきましては、引き続き支援をしていくということにしているところでございます。
〇熊谷泉委員 いろいろな手だてでやられたようですが、余り実効としてはまだ確認できないで、今度は民間のネットワークに移すということでございますが、それで県としては目的が達成されるというふうに、それだけでよろしいでしょうか。
〇鈴木地域企画室企画課長 本協議会といたしましては、そもそも北東北地域における民間主体の交流連携活動の促進ということを目指しておりましたので、それがさらに、民間がまさに中心となりまして、また柔軟な活動を推進していくということで、発展的に改組するということでございます。
 従前、昨年度までは負担金等も負担しておりましたが、現段階におきましては、民間主体ということで、人的な支援ということで3県ともやらせていただいているところでございます。
 このほか、行政組織といたしましては、先ほど申し上げました北東北知事サミットを契機としたさまざまな連携をさせていただいているということでございます。一例を申し上げますと、国内主要都市、福岡、名古屋、大阪、北海道での合同事務所の設置でありますとか、大阪市、福岡市における合同アンテナショップの設置、また、北東北文化観光振興アクションプランの策定等、さまざまな取り組みを行政ベースではまた別途やらせていただいているところでございます。
〇熊谷泉委員 東北で6県あるわけですが、北東北は秋田、岩手、青森ですが、その隣の宮城県のほうのいろいろな物流その他について、むしろ北東北というか、北よりも岩手県と非常に密接だと思うんですが、そのほうの連携は今どういうふうになされているのか、それをお聞きしたいと思います。
〇鈴木地域企画室企画課長 宮城県との連携についてでございますが、委員仰せのとおり、宮城県は本県と歴史のつながりが大変深く、東北最大の人口、経済規模を持っているところでございまして、宮城県との連携は、経済、産業の活性化を初め、さまざまな課題解決を図る上で、大変有意義なものと考えているところでございます。
 これまで宮城県との間では、例えば中国大連経済事務所の共同設置でありますとか、宮城県沖地震に備えました津波防災対策のほか、県南地域におきましては、宮城県北との県際連絡会議の開催によります観光、農林水産業振興に係る意見交換、公共事業の調整、市町災害時相互応援協定の締結や県際花めぐり紀行スタンプラリーなど、さまざまな取り組みを実施してきたところでございます。
 今後とも、さまざまな分野におきまして、宮城県との幅広い連携を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 ちょっとお聞きしたところによりますと、宮城県との連携は総合政策部のほうが主にやられてきたというお話もありますし、それから、先ほどもありました北東北3県あるいは北海道の事務所については、あるいは商工労働観光部の管轄かとも思いますが、これは、ある意味、マスタープランを立てるときは総合政策部でやられて、いよいよ実行に移すといいますか事業に結びつくときは、あるいは商工労働観光部なのか、その辺の縦分けをやっているのを、私は、一括して一つの部で、北東北3県も宮城県も一つのくくりの中でやるほうがいろいろな情報が得られると思いますが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 組織の問題ということでございまして、なかなか当部だけでお答えしにくいところがございますが、その効果、全体的に、戦略的にどういうふうに連携を位置づけていくのか、いろいろな側面がございますが、全体的に戦略を立てて、その中で各部あるいは、これはその地域地域の振興局等の取り組みもございますが、また市町村の取り組みというものもございます。それを総合的、一体的に発揮させていかないとなかなか成果も見えてこない、上がってこないということがございますので、指摘の趣旨も踏まえまして各部と相談させていただきたいと思いますし、また今後の展開に生かしてまいりたいと思っております。
〇熊谷泉委員 この点について一つだけお伺いしますが、今、1県1空港とか、そういうことで非常に問題になっているわけですが、東北も福島を初め、我が県もそうなんですが、空港運営に対して非常に苦労しているわけですし、県土整備委員会で私らも調査させていただきましたが、仙台港におきましては、非常に埠頭も広げていて次の戦略を打っているということであります。岩手県も、港湾も今整備されているわけですが、空港にしろ港湾にしろ、案外隣の県とは対抗意識というか、競争ということでやられてきたような嫌いがあると思うんですが、ここまで来れば、競争だけしていても、宮城はまた別として、なかなか東北6県が生き残るのは大変だと思います。
 仙台空港におきましては、仙台空港におりた飛行機に、出迎えに来ているのはほとんど他県のバスだというお話もありました。仙台空港を玄関として各東北6県に散らばって、帰りはどういう方法をとっているかわかりませんが、これからはそれぞれの県の施設を有効に使うためにも東北の連携が非常に大切だと思いますが、その辺の部長の御意見を伺いまして終わります。
〇加藤地域振興部長 それぞれの県の事情なり意見もありまして、なかなか一挙には難しいと思いますが、いろいろ情勢も変化してまいりますし、今後の基盤整備をどうするかという全体的な戦略ということを考えていく必要はあろうかと思いますので、まず、各県が真摯に問題意識とか課題を持ち合って協議する、話し合うと、そういうところからほぐしていく必要があるんじゃないかと思いますし、そういう積み重ねの中で、今後のあり方も見えてくるのではないかと思っております。
〇熊谷泉委員 先ほど終わりますと言いましたが、今の3県の連携については終わりますが、次に市町村の振興宝くじ交付金が8億円という予算でありまして、これは額も大きいわけですが、これはどういう中身なんでしょうか、お知らせ願いたいと思います。
〇小原市町村課総括課長 市町村振興宝くじ交付金についてでございますが、これはいわゆるサマージャンボ宝くじ及びオータムジャンボ宝くじ、これの発売収益金を都道府県ごとに設置されました財団法人市町村振興協会に交付しているものでございます。
 平成20年度でございますが、これは売上金に応じまして、財団法人岩手県市町村振興協会に対してサマージャンボの収益分として約5億9、400万円ほど、オータムジャンボ宝くじ収益金分として約2億1、600万円ほど、これの合計で8億900万円余を交付したものでございます。
 この交付先であります岩手県市町村振興協会でありますが、この交付金を市町村に対する低利の貸付事業等の原資、また、市町村へ交付を行うための資金として活用しているものでございます。
〇熊谷泉委員 貸し付けについてはわかるわけですが、申し込みがあれば貸し付けているということだと思うんですが、交付については、35市町村あるわけですがどういう基準で交付をされているのか。人口割なのかよくわかりませんが、それはどうなっているでしょうか。
〇小原市町村課総括課長 この市町村の交付に当たりましては、岩手県市町村振興協会で一定のルールを設けてございます。
 具体的に申し上げますと、このサマージャンボについてでございますが、平成20年度におきましては、35市町村に対して7億円を交付してございます。この配分基準は、市町村の均等割が50%、人口割が50%でございます。
 もう一つのオータムジャンボでございます。これにつきましては、35市町村に対して均等割で30%、人口割で70%とされてございます。
〇高橋博之委員 それでは事項別明細書165ページ、草の根コミュニティ再生支援事業についてお尋ねをいたします。
 同事業の中の草の根コミュニティ大学それから地域支援希望ファンド、この二つの事業の取り組み状況、それから成果、課題について教えてください。
〇鈴木地域企画室企画課長 まず、草の根コミュニティ大学についてでございますが、住民が主体的に集落の維持、再生のあり方を具体的に検討することで、集落活動の促進や人材育成を図ろうとするものでございまして、岩手県立大学の御協力をいただきまして、ワークショップ形式により実施したところでございます。
 平成20年度は、滝沢村大沢地区、西和賀町長瀬野地区、岩泉町鼠入地区、久慈市小田瀬地区の4地区におきましてそれぞれ3回ずつ実施いたしまして、延べ156人の参加があったところでございます。
 成果といたしましては、住民自身が、歴史や文化などの地域資源を再認識いたしまして、地域の将来を考え、活性化のために主体的に取り組んでいこうという機運が生まれたところでございます。
 例えば、滝沢村の大沢地区では、農村地域の観光と食文化をテーマとしたコミュニティビジネスについて、また、西和賀町の長瀬野地区では、地区の高齢者の交流について、それぞれ住民が主体的かつ継続的に参加して検討がなされたところでございまして、その後、大沢地区では事業化に向けたモニターツアーが行われるなど、草の根コミュニティ大学開催を契機とした自主的な取り組みが行われており、地域コミュニティ活動の活性化が図られるとともに、活動を牽引する後継者の育成につながっていくことを期待しているところでございます。
 また、この草の根コミュニティ大学につきましては平成12年度から実施しておりまして、このような地域コミュニティ関連の事業につきましては、振興局、市町村におきましても、広がりを見せているところでございます。
 今後の課題でございますが、まさにこうした取り組みを各地域に拡大していくということが大変重要ではないかと考えているところでございまして、このため、草の根コミュニティ大学の実施結果報告書を各市町村に送りましたほか、市町村の地域づくり担当職員等を対象に、今年度実施しております地域人財力活性化セミナーにおきまして、岩手県立大学の先生方から事例紹介、講義をちょうだいしたところでございます。
 次に、地域希望ファンド人材版についてでございますが、平成19年度に実施いたしました集落状況調査で、地域から後継者育成が課題だということで挙げられておりまして、これを支援するために、地域活性化のノウハウを有する人材と地域コミュニティをマッチングいたしまして、地域再生、活性化につなげ、その活動を通して、地域コミュニティを担うリーダーを養成することを目的として創設したものでございます。
 予算といたしましてはゼロ予算ということでございますが、データベースの構築に当たりましては、県と非営利活動法人いわてNPOセンターが協働いたしまして、内閣府の官民パートナーシップ確立のための支援事業を活用いたしまして、データベースの活用をいたしたところでございます。人材登録とマッチングを昨年度から開始してございます。その後、ファンドの登録人材につきましては、募集開始時の20名から、現段階では39名に増加しております。
 マッチングの実績につきましては、平成20年度は1件、今年度は現段階で8件となっているところでございます。その中で、例えば地産地消メニューづくりをテーマに派遣を受けた地域におきましては、雑穀をおいしく調理する調理法を伝授していただきまして、現在、そのメニュー化に向けて協議が進められるなどの成果が生まれているところでございます。
 今後の課題といたしましては、地域の活性化により、一層役立つ制度としていくために、制度の周知を図るとともに、登録リーダーのさらなる充実が必要と考えておりまして、引き続きNPOと連携しながら、地域コミュニティの支援を行ってまいりたいと考えております。
〇高橋雪文副委員長 当局に再度申し上げたいと思います。答弁は、簡潔明瞭にお願いいたします。
〇高橋博之委員 コミュニティ大学が156人、それから人材ファンドのほうが、当初の20人から39名に登録者がふえたと。少しずつ成果が上がっているということですけれども、しかしながら、こうした地域に暮らしている方々の全体の母数からするとまだまだ少ないなと思いますので、いかに広げていくかのかというのが大変大きな課題だと思います。
 この登録者なんですが、20人から39人にふえたということですけれども、どういった方々がこの人材バンクに登録されているんでしょうか。
〇鈴木地域企画室企画課長 これまで地域づくり活動に取り組んでこられましたNPOの方でありますとか、県立大学の先生方でありますとか、食の匠の方でありますとか、これまでもそれぞれさまざまな活動をしてきていただいた方々に、当方からも声をかけるなりNPOのほうからも声をかけるなりというような形、あと、一般の公募というような形で、人材を確保していっているということでございます。
〇高橋博之委員 提言なんですけれども、今、県立大学の学生さんたちが、ボランティアに登録する人数が近年大変ふえていると聞いております。県立大学、我々の県民の税金でつくった大学で、総合政策学部出身の生徒さんたちの多くが県外に流出をしているという状況もありますが、ぜひ、授業の中でもいいしあるいはフィールドワークの一つとして、まさに総合政策学部で学んでいることが、そうした中山間地、こういった集落で求めているもの、ニーズと合致をすることも私はあると思うんですね。ですから、そういう形で、若者が集落の支援に自分たちの力を活用できるという機会をつくるためにも、県立大学との連携を進めていただきたいなと思います。
 また、一時的に、土曜、日曜だけボランティアで行って支援をするということだけでなしに、そこに住んで暮らさないと、なかなか地域の方々の信頼というのは得られないと思うんですね。
 今、秋田県の阿仁で、国の集落支援員を利用して、どこの若者でもいいから住んでくれと。住んだら、月16万円出すよということでやっているようですが、ぜひ県内でも、何か役に立ちたいということで青年海外協力隊に応募する若者も多いようでありますが、何も海を渡らなくても、車で30分も行けば、若者の力を必要としているこういう集落がありますから、県内でそうした青年集落協力隊のような仕組みもいいと思います。ぜひ若者がこうした集落の中に入っていって、若い人の力を求めている皆さんのために役に立てるような仕組みを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇鈴木地域企画室企画課長 まず、県立大学の連携につきましては、先ほども申し上げました草の根コミュニティ大学、県立大学の御協力をいただいて実施したところでございまして、その際、県立大学の先生方のほかに、学生さん方にも一緒に御参加をいただいております。この間、今年度、地域人財力活性化セミナーということで、市町村の地域づくりの担当職員等が開催いたしますセミナーにおきましても、県立大学の先生方から、この草の根地域コミュニティ大学の実施状況についても御紹介をいただいたところでもございますし、あと、県内の市町村におきましても同様の取り組み、県立大学の先生を講師といたしまして同様の取り組みを行っていく中で、県立大学の学生さんたちも一緒に入って活動されている地域もございます。
 いずれ、県立大学との連携を深めるというのは大変重要なことだと考えておりますので、今後とも引き続き、県立大学の御協力いただきまして連携して取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、若者の力を得てというようなことでございますが、まさに地域づくりを進めるに当たりまして、若者に限らずでございますけれども、さまざまな方々の御協力をいただきながら進めるというのが大変重要だと考えているところでございます。
 具体的な仕組みにつきましてはちょっと検討させていただきたいと思いますが、基本的に、地域づくりをそれぞれに入って具体的な支援をするということは、まず市町村がそれぞれの地域の事情に応じてどう活用していくのかと、お願いしていくのかということになろうかと思いますので、県としても、そういう市町村の取り組みを支援するということを考えているところでございます。
〇高橋博之委員 集落のアンケート調査の結果でも、多くの方々が、若手後継者の育成が大きな課題だということも挙げておりますし、こだわるようですけれども、県立大学の生徒が卒業した後、できれば県内の市町村の自治体に多く入っていただきたいと私は思うわけですが、県立大学で自分たちが学んだことが、県内で多くの人たちに役に立つんだということを実感してもらうためにも、ぜひそこの連携をもっともっと強化をしていただくことが、県内にとどまらせるインセンティブにもなっていくだろうと思っておりますので、そこのところはよろしくお願いをいたします。
 それから、よく、こういった集落の維持、再生ということを聞くわけですが、基本的に集落の維持、再生というのは、何をもって再生ということを考えておられるのか、基本的な認識をお尋ねしたいと思います。
〇鈴木地域企画室企画課長 集落の維持、再生の基本認識についてでございますけれども、集落等の地域コミュニティにつきましては、日常生活や災害時における相互扶助、地域文化の創造、保全、まちづくりなど、住民生活の基本となるものでございまして、大変重要な役割を担っていると認識しているところでございます。しかし、人口減少、少子・高齢化の進行などによりまして地域コミュニティの機能が低下し、ひいては、県全体の活力の減退につながるということが懸念されますことから、県といたしましては、市町村との適切な役割分担のもとで、NPOなど多様な主体と協働いたしまして、地域コミュニティの活性化に向けて取り組んでいるところでございます。
 具体的には、市町村と連携しながら、基盤整備や第1次産業の振興などを進めているほか、集落活動を牽引する人材の育成、先進的な活動事例の発信などを通じて、市町村の取り組みを支援しているところでございます。
〇高橋博之委員 教科書的にはそういう模範解答になるんだと思うんですが、実際にこういった中山間地、限界集落一歩手前のような集落を歩いて皆さんとお話をしていると、大体7割、8割は、再生ということは望んでいるようには見えません。せめて、安心してこの集落で、最後まで、自分たちだけでも生活をしていきたいという方が大変多いわけです。アンケートだけとって、アンケートの結果、数字だけを見ていると、そういうお答えになるんでしょうけれども、皆さんの中で中山間地出身の方がどれだけいるかわかりませんが、ぜひ市町村の職員が、まさに現場の最前線でそういった方々とも接しておられますから、市町村の職員たちと私はひざを交えて、今後の集落のあり方について議論するべきだと思うんです。つまり、実態。まずはアンケート調査も大事ですけれども、どんな思いでああいう地域で暮らしておられるのかという実態をしっかりとまず把握をするところから、もう一回スタートしなければいけないんじゃないのかなと私は思います。実態がわかれば、7割、8割の方々は、かつてのような集落が再生できるなどというのはとても思っておりませんので、最後、心穏やかに安心して生活をしていきたいと。そうすると、自分たちの地域がずっと代々伝わってきた伝統や芸能、あるいは自然とどうやって折り合って生きていくのかという知恵、こういうものが集落がなくなることによって自分たちで途絶えてしまう、それは心残りで死ぬに死ねない、こういうようなお話も伺います。こういったものを保存していくということも私は考えていかなければならないと思いますし、あるいは限界集落一歩手前の集落で、例えばお葬式ができないと。そういうとき、隣の集落ではまだお葬式をやってあげられる力があるので、隣の集落の力を借りられないかとか。実際に島根県では、お葬式ボランティアと言って、一つの集落ではとてもできなくなってしまった機能を、少し大き目の新たなコミュニティを形成することによって解決をしているという事例もあるようであります。
 あるいは、もう完全に限界集落になってしまったら、今、東和町の土沢商店街で長屋プロジェクトというものをやっておりますが、中心市街地は一方で空き家がたくさん出てきて人が住んでいないと。こういうところにコンパクトシティという理念で入っていくのか、維持をしていくのかといったことも、実態を見ればこそ、そういう施策も浮かんでくるんだと思うんですが、改めてアンケート調査だけではなくて、市町村の職員の皆さんとしっかりお話をして、皆さんももっと集落に分け入って実態を把握してはいかがかと思うわけですが、どうでしょうか。
〇加藤地域振興部長 市町村職員とひざ詰めで談判というか、相談ということでございました。
 実は結構、振興局レベル等で、かなり市町村職員を含め、あるいは地域コミュニティの方々も含めたさまざま取り組みを行っておりますし、そういう中から、いろいろ実情なり課題なりを聞いて把握しているという動きもございます。ただ、いろいろ振興局と取り組みになっていたりして、全体的にそれが共有されているのか、そういったこともございます。片や、いろいろ状況は一層厳しさを増しているということでございますので、そうしたこれまでの取り組みの上に立って、それを全体としてどう整理して意識共有を図る、さらにちょっと足らざるところをどう補っていくかということ、提言の趣旨も踏まえてどういうふうにコミュニティ施策、実態の把握とか、実情把握というのを進めていくのかということは考えてまいりたいと思っております。
〇高橋博之委員 見えてこないのが、岩手県として、限界集落を初め中山間地をこれからどう位置づけていくのかということが、5年後、10年後が見えてこないわけです。今、おやりになっていること、あるいは今、私が提案をさせていただいたことは、もう集落の消滅をできるだけ延ばそうと。消滅をしていく過程の中で、安心をして生活できる環境をどうつくるのか。ある意味、撤退をできるだけ遅くするという議論なんだと思うんですね。もしも本当にああいう中山間地を維持、再生していくということであれば、やはりなぜああいう限界集落ができてしまったのかという根本的な原因をしっかり把握して、それを取り除いていかなければいけないと思います。
 そもそも、戦後の経済成長の中で、ああした中山間地が資源の生産と循環を担ってきたわけですが、それを他の国に我々は資源を大きく依存する消費社会をつくっていく過程の中で、そもそも利用価値というものがなくなっていった結果、みんな人が出ていってしまったわけです。ですから、そこのところをもう一回考え直して、格差是正とかという観点で言ったら、結局、消費社会の物差しではかっているだけですから、なかなか反転というのはできないと思うんです。やはりもう一度資源の枯渇時代がやってくるということを見据えて、資源の生産と循環の拠点というふうに新たに意義を見出していくということでなければ、なかなか維持、再生はかなわないと思うんですが、県としてどっちでいくんですか。そこはしっかり10年後を見据えて、基本的な考え方を県も持っていかなければいけないと思うわけですが、部長、そこのところはいかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 どちらかという形での二者択一の答えというのは、持ち合わせておりません。それぞれ地域コミュニティの状況というのは、さまざまだと思います。住民のお考えもさまざまで、コミュニティに属する市町村も、どうしていくかということはさまざまでございます。その中で、県として、では、どうしていくのかということで一律の考えというのは持ち合わせていないところでございまして、まずは、コミュニティの考え方あるいは市町村の考え方、それを伺って、そのためにどうしたらいいのか。再生なり活性化ということを目指すのであれば、我々はそのための刺激なりきっかけというものをもたらせるように頑張りますし、場合によっては、委員おっしゃるような撤退ということを考えておるのであれば、そのために、では、どういうことをしていけばいいのかということを一緒に考えていくというところで対応していきたいと思っております。
〇高橋博之委員 これを最後にしますが、私が一番心配しておるのは、県立病院の問題とは違いますけれども、結局、このまま中途半端な形で、場当たり的に維持、再生ということで全く効果が見られないという中でじりじり後退していった結果、最後、ここから先に住んでいる方々は税金を半分にしてもいいですよと、そのかわり、行政サービスはもう提供できませんというような、ぎりぎりの段階で最悪の決断を迫るような事態というのは避けなければいけない。そのためにも、今から、きれいごとではなくてしっかり5年後、10年後、そういう集落がどういう人口構成になって、県の財政もどうなっているのかというところも含めて、私は議論を始めるべきときに来ていると思います。もちろん、最終的には当該市町村が決めることではありますが、なかなかこの問題は大変難しい問題ですから、市町村の職員が住民の皆さんと向き合ってこういう問題を直接議論をしていくということは、実は簡単なことではないと思うんです。ですから、県がある程度、この前部長さんがお話ししたように、フレームワークなり中に入ってこういう議論を始めるべきときに来ていると思いますので、ぜひそこのところはよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは二つ目、NPOとの協働についてお聞きしたいと思いますが、長期計画の中でも、多様な主体により公共サービスを担う仕組みづくりについてこれから力を入れていくんだというお話をされておりますが、現在の県内のNPOの現状、それから協働していく際の現時点でとらえている課題についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 NPOとの協働、現状と課題についての御質問でございます。
 現状についてお答えを申しますと、県内のNPOの法人数でございますが、平成21年、ことしの8月末現在、328法人ございます。これは全国的な傾向でございますが、近年、認証数が鈍化をしているという、本県も同様でございます。しかしながら、着実に増加をしてきているという認識をしてございます。
 その内訳を御紹介申し上げますと、保健、医療、福祉、定款に定める分野でございますが、実施割合64%と最も高い状況になっておりますし、次にまちづくり59%、子供の健全育成55%等々となってございます。
 こういう328法人、順調に増加をしてきたということで申し上げましたが、一方で、課題も抱えていると認識をしてございまして、県内のNPO法人の活動状況、課題等、全県的あるいは総括的に把握をしたいという考えのもとに、今般、NPO法人の活動状況等に関するアンケート調査を法人を対象に実施いたしました。これは平成16年に同様の調査、16年のときはボランティア団体等も含んでの調査でございましたが、同列に比較はできないと考えてございまして、そのアンケート調査の集計をただいま行っている最中でございます。
 その結果の一端を御紹介申し上げますと、課題として挙げられてございますのが、例えば活動資金の不足でございますとか、スタッフの不足、これは事業運営職員でございますとか経理等専門職員も含めてでございます。こうした不足の割合が高いという結果が出てきてございます。これは平成16年、先ほど申し上げました調査結果と同様の結果となってございます。
〇高橋博之委員 これから県庁職員の力だけでは、この難局を乗り切ることができないと知事も含めてお話しになっておりますが、このNPO、数がここまでふえてきたわけですが、今、ある程度頭打ちの状態だと。今、課題の中で、活動資金の不足ということが挙げられておりましたが、運営基盤がまだまだ脆弱だというNPOが散見されます。こうした行き詰まっているNPOをどう支援していくのかということでありますが、一つ、各県でNPOに対して優遇税制を行うなどの取り組みも始まっているようでありますが、県として、活動資金の面でどのような支援を行っていけるのか、今、既にあるのかあるいは検討していくのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 支援のあり方についてでございますが、これまで県といたしまして、平成15年度から17年度まで、集中支援期間として財政的な面も含めましてさまざま支援を行ってまいりまして、今、NPOの数あるいは協働の進展という状況が見られてきたと考えてございます。
 具体的な財政的な支援という側面で申し上げますと、大変県の財政も厳しい中で具体的な検討を進めるという状況では現在のところございません。そうした中で、例えば財政的な運営基盤が弱いという実態に照らした場合に、これまで行政との協働が中心であったと考えてございますが、それが例えば企業との協働でございますとか、あるいは自治会との協働、多方面とのさまざまな団体機関との協働ということが考えられようかと思います。そうした地域の中で、NPO法人と多様な主体との協働を進めていく中で、場合によっては行政だけではなくて、民間の団体からの支援が出てくるとか、あるいは協働で事業を行うことによって、NPOが財政基盤が弱いのであればそれを民間企業が補うとか、さまざまな形態が考えられると思います。
 そういった総合的な視点に立ちまして、県のこれからの支援のあり方を含めて、今後、鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
〇高橋博之委員 お金がないのはそのとおりでありますが、しかし、お金がこれからどんどんなくなっていく中で、県庁職員のマンパワーもどんどん減少していく中で、こういった方々の力を借りなければいけないと。中長期的に見たら、やはり育てていかなければならないと思うので、確かに財政難ではありますが、埼玉県では、法人県民税の2万円を免除するというような税制上の優遇措置も行っているようでありますので、これは長い目で見れば、今回出したお金というのは、そうした形でNPOを育てて財源不足、マンパワーの不足を補うということにつながっていくと思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 時間になりますので、最後に一つ、地域通貨についてお聞きをしたいと思いますが、県が現在把握している県内の地域通貨でありますけれども、資料請求をさせていただいたところ、西和賀のわらびも有名でありますが五つでありました。ほかにも県内に地域通貨の実例はございますが、私はもっと、県として地域通貨の今の取り組みの状況を把握しておくべきだと思っております。
 といいますのも、地域通貨なら一つの市町村の枠の中だけでとどまっていない場合もありますので、県として、そうした市の境をまたいだ地域通貨の取り組みの事例も、しっかり私はとらえておくべきだと思います。
 なぜかと申し上げますと、行き過ぎた市場経済がよくないと。小さな政府もよくないということで、これから大きな政府あるいは福祉と本来向かっていくべきなんですが、そこにも実は高齢化、人口減少で向かっていけないと。こうなると、市民社会というのがこれから大きなかぎを握ってくるわけであります。その市場経済とは異なる価値尺度を持っている自然環境だとか、あるいは集落の中での助け合いだとか、伝統芸能といったような価値を適正に評価し、そしてこれらを循環させるシステムを暮らしの中に組み込んでいくのが地域通貨であります。ですから、県が10年後、人がつながっていって豊かさをはぐくむという社会をつくっていく上で、この地域通貨というのは大変大きな可能性を秘めていると私は思っております。
 そこで、この地域通貨について、今県がどのように評価をし、そして今後どのような支援を考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇鈴木地域企画室企画課長 地域通貨に対する評価についてでございますけれども、地域通貨は委員仰せのように、貨幣経済ではカバーできない新しい価値をみずから創造することで地域づくりを進めようとする手法であり、人的ネットワークの形成など、地域の活性化を図る上でさまざまな効果があると考えてございますが、その効果を波及させていくためには、地域住民の理解を得て継続していくことが重要だと考えているところでございます。
 このため、地域通貨につきましては、それぞれの地域の状況に応じまして、一義的には市町村におきまして支援等取り組みを検討することが適当と考えておるところでございますが、県といたしましても、市町村と連携の上、取り組みの目的、期待される効果などを見きわめながら、必要に応じまして支援、協力してまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋雪文副委員長 高橋博之委員に申し上げます。
 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことがないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇高橋博之委員 はい。最後にします。
 都市から我々の富を収奪されないという力強い経済構造をつくっていく上でも、この地域通貨というのは大変有効な手だてだと私は思っております。地域通貨の成否を握っているのは流通量だと言われておりますが、場合によって、中長期的に自治体がこの地域通貨を発行することも制度的には可能であります。発行して例えばボランティア活動をした方には、この地域通貨を発行して、これで税金を納められるようにするというような可能性だって私はあると思うんですね。
 そういうことで、最後に部長にお聞きをして終わりますが、この地域通貨を今後私たちが目指していくべき社会にとって大変有効なツールだと思うんですが、しっかりそれを評価して支援をしていくような─県の読み物を読んでも、なかなか地域通貨という言葉が出てこないものですから、もう少し地域通貨を考えていく必要があるのではないのかなと思いますが、最後に部長の考えをお聞きして終わります。
〇加藤地域振興部長 地域通貨につきまして定まった制度があるわけではないわけです。つくり方も自由、概念もというところがございまして、ちょっとこれまで県としても十分な把握ができていなかったということは事実でございます。
 委員おっしゃいますように、また、私も考えますが、地域通貨、それを介しての取引というか触れ合いという中で温かいぬくもりを感じられるですとか、人と人との触れ合いの再発見があるとか、連帯感、仲間意識の高揚という、確かに貨幣価値ではとらえられないような心の価値というか、そういうものがあるんだろうと思います。今のところ、なかなか県としても地域通貨の位置づけとか、それをどう活用していくのかということを持っていないわけですが、どういうふうなものに使えるのだろうか、可能性があるのだろうかとか、そういったことは頭をやわらかくして、アンテナを高くして、勉強、研究してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ただいまの高橋博之委員の方から中山間地の再生、そういう基本的な考えに立って議論がありましたが、達増県政が掲げた新地域主義戦略の中で、コミュニティに光を当てたコミュニティ100選、木村委員からも総括で質疑があったところです。私は、県が、市町村がやるべき仕事まで光を当てたということは、これは大変評価をいたします。しかし、その継続性に当たっては、どうも市町村との連携がその後とれていないような気がします。今後、広域振興局の体制が4月からなる予定ですから、ただただ顕彰してそれで終わりと。
 この間、委員会視察で行きましたけれども、東和町の方々から、その後、県からも市からも何の連携策も示されていないというような厳しいお話もありました。今後の方針について、企画理事並びに地域振興部長に、どのような県の基本施策であるのか、考え方であるのか、その考え方についてお伺いします。
〇藤尾企画理事 コミュニティにつきましては、言うなれば、今、現状の中においては、さまざまな課題があると承知いたしておるわけでございますけれども、そういった意味で、長期計画の中に位置づけをしまして、維持、再生のためのさまざまな方策を展開していく、そういうスタンスをとっております。これを展開するに当たっては、当然、市町村、当事者であるコミュニティとの連携ということが必要であるわけでございまして、特に中山間地域におけるコミュニティの活動の意義というものは、私は今後重点的に取り組んでいかなければならない非常に重要な課題であると考えてございます。したがって、広域振興局体制が本格的に来年4月からスタートいたすわけでございますけれども、特に中山間地域、例えば県南局の場合でございますと西和賀とか、あるいはまた遠野地域、あるいはまた東磐井地域、こういったようなところは重点的な地域として特別の体制を整えまして、そういったコミュニティ対策というものを推進していかなければならないと考えております。十分にそういった継続性ということにも配慮しながら、さまざまな知恵と工夫を出して展開してまいりたいと考えております。
〇加藤地域振興部長 元気なコミュニティ100選につきまして御指摘がございました。
 元気なコミュニティ100選について申し上げますと、そもそも、そういう100選団体につきましては、いろんな活動なりを評価して光を当てる。それで、その地域の人々に誇りを持ってもらって、やる気になってもらうという発想のものでございまして、なかなかそれで現世利益が出てくるというふうなものとして構成していないところでございまして、それ自体は、ちょっと次の手がということは確かにあろうかと思います。
 コミュニティのあり方につきまして、コミュニティをどうしていくか、コミュニティを活性化、これは本当に県全体の活性化として非常に第一の構成要素ですから、そちらが活性化しないと、元気にならないと県も元気にならないという意味で、死活的に重要なんだと思っております。
 今議会においても、さまざまな場で御質問、御提言をいただきました。その中でも、市町村と連携なりが不足しているのではないか、コミュニティの実態をどこまで把握できているのか、認識が甘いのではないかという趣旨の言葉もいろいろいただきました。広域振興局体制が来年整備されるという中で、改めて重要性を認識したところでございまして、今回、来年に向けて一層ねじを巻き直して、市町村との連携体制、コミュニティとどうつながっていくか、どう考え方なり課題を吸い上げていくかということを、もう一度洗ってというかさらって点検して、今後の施策をしっかり進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 コミュニティ100選については顕彰し、励ますだけという、目的という理解でよろしいですね。
 それからもう一点、企画理事からお話があった中山間地の部分について、広域振興局が手厚くさまざまな点で組織改編も含めた意味だと思うんですが、今、具体的に考えている、構想している点で御披瀝を願えれば幸いです。
〇藤尾企画理事 例えば我が県南局の北上総合支局では、西和賀再生ということでさまざまなプロジェクトを立ち上げまして、そしてまた役場とかあるいはまた住民の方々と特産品の開発とかあるいはイベントだとか、これまでにないような活発な取り組みをいたしてきてございます。したがって、せっかく県南局の総合支局段階でそういった取り組みをしてきていることにつきましては、当然、継承し発展するという、そういう視点に立った特別なチームを今月中に立ち上げまして、継承するための課題とか、あるいはまたちょっと角度を変えてみたときにどういった新しいやり方ができるのかといったようなことを検討させつつ、来年度予算にも反映させながら、総合支局廃止後の広域振興局体制の円滑な船出としたいと考えてございます。
〇鈴木地域企画室企画課長 元気なコミュニティ100選についてでございますが、県内各地に元気なコミュニティをふやしていこうということで、他地域の先例となるべきものというようなことで、他の地域の参考にしていただきたいということで選定したものでございますし、あわせて、元気なコミュニティに選ばれた地域コミュニティにおきましては、その情報を県のホームページでありますとかいわてグラフで紹介したりとか、また、知事が、草の根地域訪問こんにちは知事ですということで訪問させていただきまして、直接、元気なコミュニティの住民の皆さんと意見交換をいたしたい。また、今年度の事業といたしましては、年度内に元気なコミュニティ100選団体事例集ということで発行させていただきまして、さらに他地域への波及効果を図ってまいりたいと思っておりますし、あと、元気なコミュニティ100選団体の連携促進セミナーということで、100選団体が相互に意見交換を行うような場も設定したいと考えているところでございます。
 先ほど部長が申し上げましたとおり、元気なコミュニティ100選に選ばれた団体にさらに光を当てまして、その活動がさらに活発になるように、県としても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
〇小野寺有一委員 町内会などの地域コミュニティのあり方についてお尋ねをしたいと思います。
 前に質疑をされた委員と若干重複する部分もあろうと思いますけれども、なるべく違う観点からお尋ねをしたいと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
 行政以外で地域を支えるいわゆる地縁団体であります町内会あるいは自治会というものが、中山間地あるいは都市部に限らず、どちらにしても、現在でも地域コミュニティの中核であるということに変わりはないと思うわけでございますけれども、住民の方の町内会とか自治会への加入率の動向を把握していらっしゃるのか。把握していらっしゃるとすれば、その動向を教えていただきたい。
〇鈴木地域企画室企画課長 町内会や自治体などへの住民の加入率の動向についてでございますが、市町村への聞き取り調査であることや、市町村によりまして町内会などのとらえ方に差異があることを前提にお聞き願いたいのでございますが、加入率につきまして把握している市町村数が8市町村でございます。
 それぞれの最新状況、直近の状況について教えていただきたいということで紹介をさせていただきますが、平成18年から20年までの間での数値ということでございます。この8市町村で加入率は平均89.5%でございました。このうち動向ということでございますので、推移ということで、平成15年までさかのぼって加入率が把握できた市町村は2市町村でございます。この当該2市町村だけで見れば、加入率の平均は、平成15年が90.3%、平成20年が89.2%と、1.1ポイント減少しているところでございます。この件につきましては、市町村に対しまして緊急に調査をいたしたものでございまして、県内市町村全体の町内会等の加入率の動向の把握とまでは言いかねますので、その点、御理解を賜りたいと存じます。
〇小野寺有一委員 2市町村の結果としては、若干の低下は見られるけれどもそれほどではないということのようでありますけれども、全国的なそういう傾向を見ても、多分、全体としての統計をとれば、恐らく加入率は低下傾向にあるのではないかと想像されるわけでありますけれども、県として、町内会を初めとするそういう地縁団体の組織化あるいは組織の弱体化の歯どめについて、何か手助けというか支援をする必要があると思われるわけでありますけれども、いかがでしょうか。そうした具体的な手だてを持ち合わせているのであれば、御披瀝いただきたいと思います。
〇鈴木地域企画室企画課長 町内会等の組織化への支援についてということでございますが、町内会等への加入でございますとかその活動への参加率の向上というのは、人口減少、少子・高齢化の進行でありますとか産業構造の変化の中で、まさに地域コミュニティが直面している難しい課題の一つであると認識しているところでございます。
 町内会等の組織化などへの直接的な支援につきましては、それぞれの地域の状況等を十分踏まえた上で対応する必要があると考えているところでございまして、まさに住民に身近な市町村の役割であると考えておりますが、県といたしましては、地域コミュニティを担当する市町村職員でありますとか地域のリーダー等を支援しまして、その活動を通じて、地域コミュニティの活性化を図るためのセミナーを開催するなど、地域活動を牽引する人材の育成でありますとか、地域活性化につながるノウハウを有する人材を募集、登録し、地域活性化に取り組みたい地域コミュニティとマッチングし、先ほども御説明申し上げましたが、紹介を行う地域支援ファンドをNPOと協働して実施しているなど取り組みをしているほか、各振興局におきましても、コミュニティ関連のさまざまな事業を展開しているところでございます。
 施策の実施、推進に当たりましては、県民、企業、NPOや行政など、地域社会を構成するあらゆる主体が連携して取り組んでいくことが大変重要だと考えているところでございまして、地域コミュニティにつきまして、市町村を初めさまざまな主体と連携しながら、その強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小野寺有一委員 先ほどから地域の多様な主体、あらゆる主体によって、公共サービスの提供を共助というんですか、それで協働して行っていくのだというような言及がたびたびなされておりますし、その方向性については、全くそのとおりだと思うわけでありますけれども、この辺であらゆる主体というものを具体的に考えていくべきではないか。
 例えば、先ほど申し上げました町内会とか自治会はもちろんでありますけれども、それから総務部のところで消防団のことについてのいろんな言及もございました。それから、NPOについても言及がございましたが、それ以外に例えばボランティアグループであるとか、地域の学校のPTAであるとか、あるいは商店街それから集合住宅の管理組合、あるいは地域の企業とかそれから金融機関といったものも、そういった主体になり得るのではないかと思うわけですが、そういった相互の主体が県と直接ばらばらに結びついているとか、自治体とばらばらに結びついているということではなくて、主体同士が有機的に結びついて、地域の公共サービスを担っていくというような地域協働体─協働のドウは、もちろんともに働くというほうの協働体といったものに踏み込んでいくべき時期が来ているのではないかと思うわけでありますけれども、そういったところの認識を伺って、この質問を終わらせていただきたいと思います。
〇加藤地域振興部長 大変重要な御指摘だと思います。とかく、どうしても我々行政の側ですと、協働ということを、いろいろな主体とともにということをお経のように申し上げるんですが、具体的になると法令等があってなかなか難しいとか、そういうふうな形で線を引いてしまうようなところがあるんですが、お題目ではなくて、具体の場面でどういうふうなことが、行政だけではなくほかのパートナーとなる団体なりの方々とできるのかどうか。また、そのために各パートナーなり団体、住民の方に強くなってもらうために、どういう仕組みなりネットワークというのが要るのかというのを具体的に考えていく、そういう必要性はあるんじゃないかと思っておりますので、いろいろ所管の中でも、そういう工夫なり何ができるか考えてまいりたいと思っております。
〇高橋雪文副委員長 小野寺有一委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際10分ほど休憩いたします。
 小野寺有一委員、御了承願います。
   午後2時55分 休 憩
午後3時13分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇紺野IT推進課総括課長 先ほど岩渕委員からの御質問の関係でございます。地デジのカバー世帯数ということでございました。私ども把握してございますのは難視世帯数というとらえ方をしておりまして、現時点におきまして2、425世帯がデジタル化に伴う難視世帯というとらえ方をしてございます。
〇小田島峰雄委員長 質疑を続行いたします。
〇小野寺有一委員 それでは、話題が変わりまして、市町村合併などによる公共の空き施設の有効活用についてお尋ねしたいと思います。
 市町村合併などによって生じた公共施設の空きスペースの実態を県として把握していらっしゃるのかどうか。把握していらっしゃるとすれば、その現況をお示しいただきたいと思います。
 そしてまた、あわせてそうした空き公共施設のスペースを有効活用している好事例があれば、ぜひ教えていただきたい。逆に、何らかの形で活用を断念した例があれば、その理由とともに具体的な事例を教えていただければと思います。
〇小原市町村課総括課長 いわゆる平成の大合併で誕生しました12市町に対しまして、ことしの2月1日現在で、合併後の庁舎の空きスペースの状況について調査してございます。その結果でございますけれども、本庁舎以外の旧役場庁舎につきましては、総合支所または分庁舎として活用はされておりますが、大体1割弱が、いわゆる余剰スペースといいますか空きスペースとなっておるところでございます。
 これらの空きスペースにつきましては、会議室やパソコンルームといったような活用のほか、社会福祉協議会、森林組合、土地改良区、消防団などの事務所として活用されている事例がございます。
 しかしながら、もとの議場や町村長室等、一部については、依然として未活用であるといったような状況になってございます。
 合併以外の理由に基づくものでございますが、これは、大変恐縮でございますが、全体は把握しかねてございます。しかしながら、特にも児童生徒の減少により小・中学校の学校統合に基づいて活用されていない施設というものがございまして、それらについては課題となってございます。
 これらの有効活用でございますが、学校で言えば、体育館などは地元の地域において活用はされておりますが、その建物のほとんどはいわゆる老朽化しておりまして、それを新たな用途に用いるということは、改修工事等を伴うということから、なかなか進んでいないと把握してございます。
 また、もう一つの活用の障害という点で、過去におきましては、補助金が入った施設につきましては、いわゆる補助金適正化法の財産処分ということでその制約がございましたが、これにつきましては、昨年度から、10年以上経過していれば無償譲渡等が可能になるといったような弾力化が図られてございますので、これらの周知、活用によって、いわゆる遊休施設の活用等を促進してまいりたいと考えてございます。
〇小野寺有一委員 質問は最後にいたしますが、基本的に、そういった空きスペースについては、当該市町村が窓口になって対応していらっしゃるということでしょうし、それから、今のお話によりますと、市町村合併等によってあいたスペースは1割弱であるということで、比較的少ないなと感じたわけでありますけれども、やはり市町村の個別の対応に加えて、県内市町村全体の空き施設に関する情報を県として把握しておいて、それで、民間企業等が活用しやすい仕組みを構築すべきではないかと感じるわけであります。
 特に、全国的には、例えば、今のお話ですと、団体の事務所として使っている場合も、半分公共団体のような、そういった団体が多いようでありますけれども、全国的な例を見ると、例えばコールセンターとして使っていたり、あるいはスーパーマーケットが入ったり、そういった例まであるようでありますので、そういったことも念頭に置いて、ぜひ、そういう民間企業なども活用しやすい仕組みを構築すべきと考えますが、いかがでしょうか、御見解をお伺いして終わりたいと思います。
〇小原市町村課総括課長 この空きスペースの問題でございますけれども、一義的には、まず、当該市町村においてどのような利活用を考えておられるのかと。これにつきまして、県といたしましても、その市町村の判断を尊重した上で、今、委員から御提言のあった趣旨を含めまして有効活用を促進してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 私のほうから2点お聞きいたします。一つ目に、エコパーク平庭高原の整備状況といいますか、昨年完成したわけですけれども、構想から長い年月がたって完成したと思っております。そういう中で、当初計画した事業枠からかなり縮小した中での完成と伺っておりますけれども、その利用実態と、また、その利用された皆さんからの声というものをどのように把握しておりますか、お聞きしたいと思います。
〇菊池地域振興支援室長 エコパーク平庭高原の利用実態ということでございますが、この整備事業は、平成15年3月に策定されました実施計画に基づいて、平成18年度、19年度で整備したものでございます。
 久慈市の平庭高原自然交流館、これは通称、愛称でしらかばの湯と申してございますが、平成20年3月24日に完成し、一方、葛巻町の平庭高原体験学習館、これは愛称、森のこだま館でございますが、長雨の影響によりまして一部繰り越しをして、平成20年4月25日に完成してございます。
 しらかばの湯は平成20年4月8日、森のこだま館は5月30日にそれぞれオープンしてございます。
 平成20年度の利用実績でございますが、森のこだま館は2万2、065人でございまして、計画数2万人に対して110.3%という利用実績となってございます。一方、しらかばの湯は1万9、676人ということで、計画数3万人に対して65.6%ということでございます。
 しらかばの湯につきましては、計画を下回っておりますので指定管理者の一層の努力が求められるところでございますが、一方で、しらかばの湯が開設されたことによりまして、平庭山荘のレストランあるいは自動販売機、売店等の売り上げが前年度対比で18%増という効果も出てございまして、1年の間でございますのではっきり申し上げるわけにはいきませんけれども、期待しておった相乗効果があらわれつつあるのかなということも考えてございます。
 それから、お客様の声というものについては、私どものほうでまだ把握いたしておりません。ただ、利用促進を図るために、指定管理者と県と、それから設置市町により構成するいわて体験交流施設利用促進戦略会議というものがございまして、これの中で把握させていただきたいと考えてございます。いずれ、この会議を適宜開催いたしまして、両施設の利用増に向けた指定管理者の取り組み方法を検討して、関係者一体となって利用増に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 葛巻町には行政視察が大変多いと伺っております。このこだま館にも、多分そういう視察も入っていると思うんですけれども、事業を縮小した中で、多分足らざるものもあると思うんですね。そういうものを補うべきは補って、さらなる交流の一つの目玉にしていただければいいのかなと思いますし、やっぱり何といっても山村の魅力を発信する、岩手県にも、岩手県というか、全国にもああいう取り組みはないと思うので、葛巻高原食品ですか、そこの指定管理を受けている皆さんも、私もたまたま寄らせてもらいますけれども、大変一生懸命取り組んでいると思っていました。そういう情報も含めて、さらなる利用客の増進を図っていただきたいと思います。
 次に、交通対策の中でバス交通に関してお伺いいたします。
 広域バスの路線も年々減少していると伺っておりますが、特にも、平成17年から比べると36路線廃止になっておりますし、今般のこういう状況の中で、さらなるバス離れが考えられますけれども、そういう中で、赤字路線に支援している対策、補助ですか、1億8、500万円、これは、全路線の中でどの程度のウエートを占めているのか、まずお聞きします。
〇平野交通課長 私どものほうで広域バス路線に対しましては補助を行っておるわけでございますが、手元にはっきりしたデータがございませんので、これは、もう一度調べた上で、お答えさせていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 このバスに関連して、実は、県北・沿岸の大きな交通機関であります県北バスが、今、民事再生の協議中ということでありますけれども、その実態、わかる範囲でよろしいですので紹介していただきたいと思います。
〇平野交通課長 岩手県北自動車の今後の経営の見通しというようなことでございますけれども、5月14日に民事再生手続を開始いたしたわけでございますが、会社としましては、8月12日に東京地裁に正式に民事再生計画案を提出したところでございます。
 今後でございますが、来週21日に債権者集会がございます。これが最大の山場であろうかと思っております。ここで債権者からの同意が得られれば、あと、その後、諸手続はございますけれども、早ければ来年1月には、スポンサー企業が今、名乗りを上げております。このスポンサー企業が出資するところの新会社が経営を引き継ぐと伺っております。
〇工藤勝博委員 これに関しては、県ではどのような支援といいますか、お考えになっておるのかが一つと、あと、やはり観光も含めて二次交通を担っていただくバス会社には、ぜひとも継続した経営をしていただきたいと思いますので、その辺も含めてお願いします。
〇平野交通課長 まず、県としての支援でございますけれども、バスの経営主体がかわることが仮にあったといたしましても、私ども、バスに対する補助要件、路線に対する補助要件がございますので、現行どおりの路線が走るのであれば、変わらずに補助金等を含めまして支援してまいるという考えでございます。
 なお、バス路線の維持の見通しということにつきまして、県北自動車並びに経営共創基盤のほうから、何度かお会いしましてお話を伺っております。その中では、一つ目としては、基本的な考え方といたしまして、現行のバス路線は、便数、ダイヤも含めまして維持する。雇用についてもこれを維持する。早急な路線の廃止は考えていないと。さらには、市町村がバスの運行を委託している例もございます。これにつきましても、同条件で引き続き維持すると。なお、プラスアルファといたしまして、公共交通の利用回帰というような格好で、市町村を巻き込みながら利用者をふやすような工夫をしていきたいという話を伺っておりますので、このようなことから、現時点では、これまでどおりの路線が維持されるものと考えてございます。
〇工藤勝博委員 今の県北バスのほうと関連があるんですけれども、市町村でもかなり過疎地といいますか、今まで、特に八幡平ですが、タクシーがあったとかというのがなくなって、どうしても市町村でそういう交通網、足の確保をしなければならないということがあります。そういうので、このデマンド交通とかそういうシステムに対しても県のほうでは支援をなされておるようですが、これは今後とも伸ばす方向で考えておるのか、お伺いしたいと思います。
〇平野交通課長 現在、市町村におきましては、やはり路線バスに対する利用が少なくなってきているということで、路線バスを維持すること自体が難しくなってきております。そういった場合に、全く足がなくなるといいますのは、これまた大変なことでございますので、その際に、少ない人数で採算がとれるようなデマンド型のバス、タクシー等の導入、これがやはりふえてございます。
 そういった形で、県といたしましても、やはり地域の実態に合った交通手段というものを構築していただきたいということで、総合補助金等で、これは私どものほうで総事業費1、000万円、それに対して2分の1補助ということで500万円でございますけれども、こういったものを用意して支援をしております。こういった形は、ますますふえていくのではないかと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 最後に、交通弱者の足の確保ということで、特段の御配慮をお願いして質問を終わります。
〇斉藤信委員 最初に、広域振興局の再編問題についてお聞きしたいと思います。
 一つは、県北・沿岸の広域振興局、これは行政センターとなるのでしょうか、人員配置はどうなるのか。産業振興の人員も配置するという話をしているようですが、その体制はどうなるのか。
 二つ目、県北・沿岸だけに副局長を配置するのか。これは当面なのか。基本的には恒常的な配置になるのか。
 三つ目、県南広域振興局の行政センターの人員、機能はどれほど縮小されるのか。
〇工藤地域振興部副部長兼地域企画室長 まず、県北・沿岸の人員配置についてでございます。
 県北・沿岸の広域振興局につきましては、産業振興という観点から、特に重点的に職員を配置することにしております。知事部局の職員数を4、000人体制に移行するという中にありましても、広域振興局全体の現在の目安でございますが、4、000人体制に移行する中で、4広域振興局の総職員数、定数が約4%減少せざるを得ないという中にありましても、県北・沿岸の各広域振興局につきましては、今年度と同程度の人員を配置したいという考えでございます。
 2点目の産業振興の体制についてでございます。
 現在の企画総務部が、本局におきましては経営企画部に移行するということでございますが、ここが企画あるいは商工業振興、あるいは総務的な部門を担うということになるわけでございますが、本局の経営企画部に企画部門あるいは商工観光部門を一定程度集約いたしまして、ここで広域的、専門的な産業振興機能を強化すると。一方、行政センターに移行する二戸、宮古、大船渡地区につきましても、地域からの産業振興に対する要望が強いということにかんがみまして、地域振興センターということで、いわゆる商工観光の振興部門を配置することとしております。
 こういったことで、本局、センターを合わせた全体としては、体制の強化を図ってまいりたいという考えでございます。
 また、重要な地域の基幹産業であります農林水産業の振興につきましても、例えば、本庁から地域営漁計画等の移管を進めることに伴いまして、沿岸広域振興局につきましては、特に水産部門の体制の強化を図るなど、現在の体制を全体として維持、強化することによりまして、これら合わせまして、地域の実情を踏まえた産業振興を地域の中で担えるような体制になるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 あと、副局長の配置の件でございます。
 副局長につきましては、県南局と同様に、沿岸・県北にも配置することにしております。ただ、その配置先につきましては、地域との連携に配慮して、地域の声を各種施策にしっかり反映させてほしいというような声にこたえる意味、あるいは各部門の行政センターの一体性の発揮を図るという観点から、この地域に、行政センター化される地区にそれぞれ配置することとしておりまして、この体制につきましては、特段の事情の変化がない限り、基本的に維持していきたいと考えているものでございます。
 次に、県南広域振興局の体制はどうなるのかというお尋ねでございます。
 県南広域振興局につきましては、総合支局の行政センター化等々の効率的な組織運営の観点から、本局に集約を図るということ等がございまして、全体といたしまして、現時点では8%程度の職員の減少を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 柔軟といえば柔軟な対応なんでしょうね。恐らく県北・沿岸から強い反対の声、抵抗の声があってこういう対応にしたんだと思うんですよ。人員も減らさない、副局長も置くと。だったら今までと何が違うんだ、こうなってしまうんですよ。一方で、県南広域振興局は8%人員減ですよ。
 私は先日、一関へ行ったんですけれども、本当にがらんとしている。もったいないぐらいですよ。そして権限がないのですよ。一関のことを一関の行政センターに行って聞いても、いや、その権限は本局ですと。さらにそれが8%も減らされたら、行政センターは、これは北上もそうでしょうけれども、本当に何のためにあるのかと思われるようなね。だから、県北・沿岸と県南とのこの格差は大変に広がるのではないか、アンバランスになるのではないかと。逆格差。こんなアンバランスな広域振興局の体制でいいんでしょうか。理念も哲学もないということになるのではないですか。
〇工藤地域振興部副部長兼地域企画室長 県北・沿岸地区につきましては、現行とほぼ同じような体制であれば移行する意味がないのではないかというお尋ねであったかと思います。
 産業振興を図る上で、いわゆる現在の地方振興局のエリアは、こういったより広域的な取り組みというものがやはり望まれるわけでございます。例えば沿岸の各広域振興局につきましては、それぞれ宮古、釜石、大船渡という、共通の課題を持ちながら産業振興に取り組んでいる部分がございます。そういった面で、より広域的な観点から産業振興を図るという意味で、広域振興局体制への移行につきましては、意義があるものと考えてございます。
 県南の広域振興局につきましては、大幅に職員が減るのではないかということでございますが、県南の広域局の本局の機能を強化するということをまず1点目は考えてございます。そういった中で、広域振興局の本局の経営企画部が、圏域全体のものづくり産業、食産業、あるいは先ほど来、御議論のありましたコミュニティの問題、そういったことに職員の力を結集することによって、機動的に対応できる体制が構築されるのではないかと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 藤尾企画理事、県南広域振興局は8%人員削減だと。今でも権限も人員も本当に縮小された行政センター、もう本当に、私は市町村長から見たら、こんなのだったら要らない、かえって不便になったという声が実際に出ているでしょう。どうですか、そこらの点で、県南広域振興局の体制というのは歓迎されていますか。それにどういうふうに対応しますか。
〇藤尾企画理事 県南広域振興局の来年度の定数、体制についてでありますけれども、私は、先ほど副部長が答弁したとおりの数でも、必要にして十分なものは整えられていると考えております。
 長期計画の改革編にも書いてございますように、それはなぜかというと、要は組織パフォーマンスを高めるということでございまして、具体的には、例えば市町村との間で、今現在取り組んでおります二重行政の解消を図ることによってリソースの効率化を図っていく、あるいはまた市町村との連携を深めて施策の相乗効果を高めていくとか、そういったさまざまな工夫をすることによって組織パフォーマンスを高めていく。そういう基本に立って考えていけば、先ほど副部長から答弁したような数値であっても必要にして十分であるということでございますし、そしてまた、これまでも、市町村あるいはまた民間の方々のいろいろな意見をちょうだいいたしておりまして、もう既に平成18年から4年たっておるわけでございますけれども、改良、改善を重ねてきて、それなりに評価をいただいていると、私は、この4月に行ってから、そのように実感いたしておるところでございます。
〇斉藤信委員 市町村や住民の実感と局長の実感はかなり乖離しているなと。それはもう指摘だけにとどめておきますよ。不毛の議論になってしまうのでね。
 二つ目、市町村合併の検証はどうなっているか。地域自治区、地域協議会の設置状況、その機能は発揮されているでしょうか。13億3、000万円の合併市町村自立交付金、この財源というのは、これは県単なんでしょうか。
〇小原市町村課総括課長 市町村合併の検証でございますけれども、岩手県市町村合併推進審議会におけます平成20年3月のこの検証によりますと、合併市町においては、行財政基盤の強化が図られ、分権型社会によりふさわしい体制が整いつつあると。また、その強化された行財政基盤を生かして、住民サービスの維持向上が図られるとともに、重点施策への予算配分や大規模投資などが可能となっていると評価しているところでございます。
 しかしながら、一方で、合併により規模が大きくなることで住民の声が届きにくくなるとの懸念があるということで、地域自治組織の活用などによる行政への住民参画の仕組みの確立が求められておるところでございます。
 この制度的な担保といたしまして、地域の住民の意見を行政に反映させること等を目的に、地域自治区制度や地域審議会の制度が設けられているところでございます。
 本県におきましては、平成の大合併、12市町が合併したところでございますが、このうち、合併時に地域自治区を設けたところは5市でございます。この地域自治区は、同時に地域協議会も設けることとされております。また、地域自治区は設置せず、地域審議会を設置したところが5市町ございます。これらの地域自治区等につきましては、合併により自治体の規模が拡大した中で、住民自治を充実させるための非常に大事な役割を果たしているものと考えておるところでございます。
 あと、交付金の財源の御質問でございましたが、これは県の一般財源でございます。
〇斉藤信委員 実は今、平成の大合併の検証というのは大問題になっているんですよ。10月14日付のこれは河北新報なんですけれども、平成の大合併、福島大学の教授が議員アンケートの分析というので、大変興味深い分析をしています。市町村合併には三つの誤解があった。一つは、合併すれば今後の財政運営が楽になる。第2は、国の財政再建に寄与できる。第3は、広域化すれば行財政を効率化できるというものだった。しかし、いずれも幻想にすぎなかった。こう言っているんですね。例えば、合併すれば今後の財政運営が楽になる。ならなかったと。地方交付税が減らされて。
 例えば、これはガバナンスの9月号、10月号に出ていますが、平成の大合併の一番のモデルになった篠山市、今、深刻な財政危機に陥っております。
 例えば、先日は一関市の市会議員選挙、これは合併後初めての市会議員選挙でした。各紙を見ても、合併効果、実感乏しい。4年前の検証がない。合併後の一体感をどう醸成するか。みんなこうですよ。
 これは一番新しいきょうの岩手日報ですけれども、これは、選挙のときに市民、議員からアンケートをとった。合併効果はあらわれていないというのが、市民58.7%、市会議員は55.9%。約6割が合併効果があらわれていない。
 私は、そういう意味では、やっぱり今、本当にこの合併を、合併を進めた首長のアンケートじゃなくて、地域住民の立場から進めるべきだと思いますが、どういう認識ですか。
〇小原市町村課総括課長 この平成の大合併に関しましては、さまざまな御意見があることは認識してございます。この合併の目的でございますが、これは、地方分権の推進なり、あるいはこれからの少子化社会に対応した安定的な行財政基盤の構築、さらには、増大する広範囲な行政需要への対応ということを目的に進められているものでございます。
 これらにつきましては、合併後直ちに、住民にすぐ効果が実感できる部分と、将来にあらわれる効果、さまざまあろうかと思います。行財政基盤の確立、さらには市町村において専門的知識、技能を持った職員の採用、こういうものが可能となる一方、御指摘のとおり、やっぱり住民の声が遠くなるといったような意見はございます。
 それで、県といたしましても、いわゆる合併新法が今年度末で切れることとなっておりますし、また地域協議会、これは、設置はされているものの、この議論の施策への反映などの課題も指摘されておるところでございますので、県としましては、本年度、改めて市町村合併の実情を把握し、合併市町への今後の支援に反映させたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 実は、平成の合併の検証というのは、4年が経過して、今かなりわかりやすくなっているんですよ。10年たったら、地方交付税は一本化されて、がばっと減らされて、そのときに本当に破綻するんですよ。今効果があらわれなかったら、率直に言うと、合併の効果ってないのですよ。
 例えば、合併で行財政を効率化するために、中心部に投資を集中して、地域に目配りしてきた役所の職員、議員を減らす。当然、これは周辺部が衰退するのです。例えば、一関市でいいますと、花泉町は80億円の役場経済があった。これが全部本庁に吸い上げられましたよ。大東町は80億円から100億円ですよ。それが全部本局に行ってしまったんですね。職員は減らされる。この減らされた職員は、ほとんど支所です。3分の1以上減らされていますよ。
 私は、そういう意味でいくと、本当に地域の周辺の衰退に拍車をかけたのはこの合併じゃないかと。そして、その投資効果というのは中心部。私は今、二重、三重に弊害が出ていると思うので、例えば青森市なんかでも、合併検証委員会を立ち上げたと。今後の合併を考える上で、まず検証が先と。県立大学もやっているようですが、私は、県として責任を持って検証すべきだと思いますが、いかがですか。
〇小原市町村課総括課長 この合併の検証につきましては、県のほかに、各合併市町においても、その検証がなされていると把握してございます。
 先ほど御説明しましたけれども、今年度改めて合併の実情の調査を行うこととしてございますので、その中でいろいろ、県としても再度検証してまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 では次に、県の地方分権セミナーの研修は、なぜ同じ講師が毎年行っているのか。その人選、その報酬はどうなっているのか示していただきたい。
〇工藤地域振興部副部長兼地域企画室長 県の分権推進セミナーについてでございますが、まず、1点目の、なぜ同じ講師が毎年行っているのかという点でございますが、昨年は、これは立正大学法学部教授の山口道昭さんをお願いしたところでございまして、その前の年は、上智大学の北村先生をお願いしているところでございまして、必ずしも毎年同じ講師をお願いしているということではございません。
 ただ、昨年については、一昨年が1カ所、盛岡だけでしか開催しませんでしたので、参集範囲が広くなかったということで、その反省に立ちまして、昨年は、北上と盛岡、久慈の会場3カ所でやりました。
 セミナーを開催するに当たりまして、効率的にやる必要があるということで、7月28日から7月30日まで、同一の講師の方に3日間お願いいたしました。これによりまして、仮にその都度、3日間それぞれ通しでやらなかった場合と比べますと、旅費について4万2、000円ぐらいの節約ができたのかなと考えてございます。
 なお、昨年お願いした講師につきましては、主として市町村の職員向けということの観点から、川崎市の職員の御経験がある方をお願いしたということでございます。
 講師の報酬につきましては、県における講師報償費支給基準によります大学教授の1時間当たり単価7、600円を用いて積算したものでございます。
〇斉藤信委員 上智大学の北村氏の場合もそうですか。北村氏はどのぐらいやっていますか。
〇工藤地域振興部副部長兼地域企画室長 済みません、今ちょっと手元に一昨年の北村先生のときの単価がございませんので、調べて御回答したいと思います。
〇斉藤信委員 じゃ、最後です。いわてNPOセンターについて。
 これは、新聞報道でも、NPOの職員が外務員証を所持していたということがきょうも報道されました。これは旅行会社のほうに問題があったというようなことでありますが、私は、以前にもいわてNPOセンターには問題を提起いたしました。岩手県、市町村からどれだけ事業を委託していますか。そして、このいわてNPOセンターの人員体制はどうなっていますか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 NPO法人いわてNPOセンターについてのお尋ねでございます。
 平成20年度におけます県がNPO法人に委託した件数でございますが、50事業でございます。その委託料の合計は1億4、100万円余となってございます。
 全体50事業のうち、当該法人、NPO法人いわてNPOセンターに対しましては3事業、その委託費用の合計は2、200万円余となってございます。
 また、人員体制についてでございますが、平成19年度の数字で恐縮でございますが、有給職員の合計は、当該法人42名と承知をしてございます。
〇斉藤信委員 もうちょっと丁寧に答えてほしいんだけれども、事業報告もあるし、私も資料ももらっているんだけれども、いいですか、岩手県から委託を受けているのは三つの事業です。しかし、指定管理者を受けているのが二つですね。さらに、盛岡市などの市町村からの委託も受けていますが、それは把握していますか。それと人員体制を、具体的に内訳を示してください。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 申しわけございませんでした。先ほど、50の委託事業の関係だけ御紹介申し上げたのですが、ただいま御指摘のありました指定管理者を指定している公の場所の受託をしている件数についてでございますが、県におきましては、県民の森、それから公会堂と認識してございます。
 それから、市町村からの委託については、恐縮でございますが、ただいま手元に資料がございませんので、御答弁は控えさせていただきたいと存じます。
 人員体制についてでございます。人員体制につきましては、先ほど申し上げました42名という有給職員でございますが、事業報告を毎年度提出していただいてございます。それに基づく組織概要について申し上げますと、事業開発部、それから中間支援事業部、地域振興事業部、就業支援事業部等が組織としてございます。当然、総会、理事会がございまして、理事長、事務局という組織体制でございます。その有給職員の状況でございますが、業務執行理事が6名、正職員が5名、臨時職員が12名、パート職員12名、嘱託職員7名、合計で有給職員が42名という内訳になってございます。
〇斉藤信委員 実は、いわてNPOセンターというのは、県内最大規模のNPOなんですよ。元祖と言ってもいい。そして、県から三つの委託事業、二つの指定管理者。さらに、事業報告を見れば書いているんですよ。盛岡から、盛岡市のインキュベーター施設の指定管理、紫波町の指定管理を受けているわけですね。市町村からの委託も受けている。何もかにもやっている。
 私は、非営利法人というのは、ある意味では一つの分野、基本的にはすき間産業なんですよね。そこで、そういう特徴を生かして仕事を進めるというのが本来のNPOだと思いますよ。
 しかし、いわてNPOセンターというのは、岩手県の公共サービスの下請機関なんですよ。だから、どこにでも手を出す。市町村にも手を出す。しかし、その人員体制は42人です。臨時職員12名、パート職員12名、嘱託職員7名。実に31人が非正規です。74%。
 私は、決算書も見せてもらったので計算してみましたが、パートの場合は1人110万円程度ですよ。これはワーキングプアです。私のところには、余りにも待遇が劣悪で、問題も多くて、絶えず職員がかわっている、こういう指摘が繰り返しされております。やっぱりNPOのあり方というものを、私は、県が安易に公共サービスを下請に出すような形にしてはならないと思うんですよ。そして、そこで働く職員、労働者の実態というものもよく把握をして。県が発注する仕事でワーキングプアを広げていたら、私は仕方ないと思うんですよ。ここまでしっかり見てやるべきではないのかと思いますが、いかがですか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 NPO法人が県の事業等の下請的な役割を負っているのではないかという御指摘でございます。
 県の事業にかかわる契約の選定に当たりましては、もとより、企画競争あるいは競争入札等によりまして適切な業務の選定に努めてございます。これは、当該法人を相手方とする契約についても同様だと認識してございます。
 また、県が平成19年3月に策定してございます協働推進マニュアルというものがございます。その協働推進マニュアルに、協働相手の選定に際しまして、選定基準の明確化でございますとか、あるいは選定の公平性、透明性の確保を定めてございまして、毎年度、行政職務を対象としている研修会等につきましても、こういった旨を周知しているところでございます。
 労働雇用関係についてのお尋ねでございます。NPO法は、行政の関与を極力抑制して、法人の自主性でございますとか自立性を主体とした運営をもともと趣旨とした法律でございます。行政が関与できる範囲はなかなか限られてございます。
 しかしながら、関与できる範囲は限られてはございますが、市民の方々、あるいは県民の方々からそういった御指摘が多数寄せられているということであれば、例えば、法律によらない任意の方法等によってお話を伺うとか、そういった方法で実務的に対応していきたいということで、今、そういった観点について、内部的に検討を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、やっぱり県が発注する事業で新たな官製ワーキングプアをつくってはならないと。総務部の総務事務センターでは派遣労働をやめたけれども、これは大事なことですよ。安かろう、悪かろうということでは、私は、公共サービスとは言えないんだと思うんですよ。
 指定管理者制度、また委託事業には、メリットももちろんあるでしょう。しかし、県が発注する事業で100万円程度のワーキングプアを広げているとしたら、これは大問題ですよ。私は、そういう意味では、公契約条例で、そこで働く人の最低賃金をきっちり保障するような手だても考えていく必要があるんだと思うんですね。
 これは最後に部長に、私は、そういう形で、県が発注する事業で官製ワーキングプアをつくってはならない、それを支えるような公契約条例などのことも踏まえて、県の仕事を安易に下請に出すようなやり方というのは見直すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇加藤地域振興部長 県の事業につきまして、安易に下請に出す、そういう考え方はとっておりませんし、そういう運用もしていないと考えております。
 県におきましては、契約の相手方ということですので、発注者というか、その立場で必要な指導には努めてまいりたいと思います。
 公契約条例につきまして御提言がございましたが、これにつきましては、県全体の発注なり、そういう事業の出し方ということでございますので、庁内全体での議論にゆだねたいというか、その中に、こちらのほうとしても必要な意見は申し上げてまいりたいと思っております。
〇平野交通課長 工藤勝博委員から御質問のございました県全体のバス路線数に対します補助路線数の割合でございますが、補助路線数は、国の補助、県の補助を合わせまして80路線ございますので13.6%となっております。
 ちなみに、広域バス路線数に限ってみれば、27.4%が補助路線となっております。
〇工藤地域振興部副部長兼地域企画室長 一昨年の県の分権推進セミナーの際の北村教授の報酬でございますが、同じく大学教授ということで、県の報酬基準に基づきまして、時間当たり単価7、600円を適用して報酬をお支払いしたところでございます。
 なお、これは分権セミナーとは別でございますが、昨年11月に県の分権推進研修会の講師もお務めいただいておりまして、その際は、先生の御厚意により、無償ということで講習を引き受けていただいた経緯がございます。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 1点だけお伺いいたします。平成18年度に県南振興局がスタートいたしました。その際に、元気のない県北・沿岸振興についての対策はどうなんだと当時の総合政策室長に伺いましたところ、おおむね10年先ということでございまして、そういうものは認めがたいということで、副知事を頭とする県北・沿岸振興対策本部をここに開いてもらったわけであります。
 そして、いよいよ来年から新しい振興局制度がスタートする、こういうことでありますが、看板が違っただけで内容がほとんど変わっていないのではないか。看板のすげかえ、はめかえだけで終わってしまっているのではないかと思います。
 そういう中で、県北・沿岸振興を本当に図っていく、やっていくというつもりがおありなのであれば、農林水産部の水産部機能を久慈、釜石、宮古、大船渡に全部張りつける、そのくらいのドラスチックな展開をしていかないと、県北・沿岸振興は図れないのではないか、私はこのように思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
〇加藤地域振興部長 県北・沿岸振興の必要性につきましては、これまでもるる、副知事なり私のほうからも申し上げてきたとおりでございまして、県政の最重要課題という認識はいささかも揺るぎはございません。
 広域振興局体制につきましては、先ほどの御質問の中にもありましたが、特に県北・沿岸圏域につきましては、産業振興、地域振興が大きな課題だということで手厚い体制を敷いております。それは、本局におけます企画部門、産業振興部門、広域全体を見る機能の充実、それと、地域地域、地区単位の行政センターにおけるきめ細かい体制ということで、その両者の妙味をあわせ持つような体制を敷いたところでございまして、その2者、車の両輪相まって成果を上げてまいりたいと思っております。
 農林水産部の水産機能の県北ないし沿岸振興局への移管につきましては、これは県全体の組織にかかわるものでございますので、御指摘を踏まえまして、庁内でどうするか、県全体の水産機能、水産の振興をどういうふうに図っていくのかという大きな観点も踏まえながら考えていきたいと思っておりますし、その中で、県北・沿岸振興の観点からも、必要な意見は申し上げてまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 水産部の機能を全部といいましても、例えば国の情報収集機能でありますとか、あるいは県の予算を配分する機能でありますとか、あるいは内水面の漁業もありますので、そういったところ、あるいは議会対策に1人か2人、この程度を本庁に残せば、全部久慈から釜石まで、現地を踏んで、現場を踏んで初めて水産漁業が語れる、こういうことになって、相当元気を出していける転換ができると思うんです。
 先般、大船渡の視察をしてまいりましたが、エゾイシカゲガイという、これまで全然食用にもしていなかった貝を開発して、また、築地の市場で大変高価に売れているということで、これは非常に有効な手段だと思っておりますし、山田町のアカモクについても、今まで見向きもしなかった海藻であります。それから、宮古湾では今、国の栽培センターと協力してニシンの養殖を、一部藻場をつくって始めております。あるいは花見ガキということで、本来2年で収穫するものを、1年延ばして大きくして高く売っている。
 こういうことが実際にできるわけでありまして、それには、県庁の中から海岸線を見ていてもわからないと思うんです。したがいまして、本当に県北・沿岸振興を語る、やる気がある、こういうことでありましたら、やはり、まず現地を見るということからみんなが始めていただかなければならないと思います。
 そもそも同じ太平洋といいましても、黒潮と親潮と違うんです。それから、今は余り言われなくなりましたが、岩手県の正月に食べるお魚はサケだったんです。そして、宮城県の場合はナメタガレイ、福島県に行きますとブリなんですよね。だから、例えば岩手の人がおいしいサケですといってあちこちに配っても、配られた人は食べ方がわからなくて困るかもしれない。そういうことを、現地を見てわかってもらうのが水産部の仕事だと思うんです。そういうことをやらなければ、これはドラスチックな県北・沿岸振興のかぎとならないと思うんです。
 いきなりの議論でありますけれども、十分にこれは議論をしていただく価値あるものだと思っております。ぜひ御検討をいただきたい。もう一度、答弁をいただいて終わります。
〇加藤地域振興部長 指摘の趣はしっかり受けとめたいと思います。特に、組織全体だというところはいろいろございますが、現地を見ないとわからない、現地を見ないと答えも出てこないということは、私も、こちらへ参りまして、県北・沿岸をいろいろ回らせていただいている中でも痛切に感じておりますので、特にそういった趣旨が生かせるような体制としてどんなものがいいのかということは、頭を柔軟にして考えてみたいと思っております。
〇及川幸子委員 1点だけお伺いいたします。岩手県民情報交流センターの管理運営費が7億5、100万円余で計上されております。これについてですが、どういう利用状況だったのか、大まかなところで結構ですが、教えていただきたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 岩手県民情報交流センター・アイーナの利用状況についてでございます。
 平成20年度の全館の利用者数を申し上げますと140万363人ということでございまして、平成19年度141万5、861人に比較いたしまして98.9%、若干割り込みはしてございますが、そもそもつくりましたときに140万人の入館者数という目標を立ててございまして、それについては達成していると認識してございます。
 御参考までに内訳を御説明申し上げますと、県立図書館が平成19年度に比較して101.1%、県民活動交流センターが97%、県立大学サテライトがございますが165.5%という利用状況になってございます。
〇及川幸子委員 大変な達成だととらえていいのかと思います。その中で、この運営費の中で、暖房費というのは一体どのくらいかかっているのでしょうか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 決算額の7億5、189万円余のうち、いわゆる委託料でございますが、情報システムの運用、補修費も含めてですと7億4、400万円余でございます。そのうち、いわゆる指定管理料につきましては7億2、861万円余となってございます。
 これも御参考までに指定管理料の対前年度比を申し上げますと、指定管理料全体でまいりますと98.6%、それから、お尋ねの光熱水費でございますが、光熱水費は指定管理料に含まれてございまして、平成20年度の決算が2億7、900万円余、平成19年度に比較いたしますと96.2%、いわゆる節減が図られたと思ってございます。
〇及川幸子委員 この建設に当たってはさまざまな意見が交わされたところでした。そしてまた、あそこのアイーナに行ってみますと、吹き抜けで、大変すばらしい全館の様子でございます。しかしながら、訪れた人は口々に申します、一体この暖房費は相当かかるねと。ああいう空間があるものですから。そういう点では、ほかの利用のああいう大きなビルと比較して、暖房費のこの2億円というのはどう見ますか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 他の施設との暖房費の比較というお尋ねでございますが、大変申しわけございません、他の施設との比較した資料を手元に持ち合わせてございませんので、お答えはできかねます。
 ただ、委員御指摘のとおり、環境に優しい建物ということで建築をしてございまして、例えば、環境への配慮として、トータルコストを削減するために自然エネルギーですとか新エネルギーを有効利用する、例えば太陽光による発電でございますとか、ただいま御指摘のありましたアトリウム形状を利用した自然換気でございますとか、あるいは運用時の省エネ、省資源化で申し上げますと、非常にガラスの多い建物でございますが、ダブルになってございまして、ダブルスキンという構造なんですが、そういった外壁性能の向上による空調エネルギーの削減等々、いわゆる建物自体がエネルギーを節減するというコンセプトでつくられたものと考えてございます。
〇及川幸子委員 環境に優しい、大変口当たりは優しく聞こえましたけれども、懐には大変厳しい建物ではなかったかと思われます。
 何を言いたいかといいますと、あの7億円というのは大変な金額だと思っておりますが、今後において削減する余地があるのかどうか、その点を最後にお聞きして終わります。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 指定管理料、約7億円でございます。平成18年から20年まで第1期として、3カ年、指定管理者と契約を結びまして管理運営をしてきました。今年度からまた3カ年で、指定管理者と指定管理の委託契約を結んで管理運営を進めていくわけでございますが、一つは、光熱水費の関係で申し上げますと、これまでは実績ベースでお支払いをして、管理委託といいますか指定管理料に含めておったんですが、それですと、指定管理者も中に入っている入居団体も、エネルギーの削減インセンティブがなかなか働かないと。使った分だけもらえるということでございましたので、今期から定額制に変えてございまして、そういう意味で、減らせば減らすだけある程度浮くと申しますか、そういったインセンティブ方式を今回取り入れてございます。
 あと、7億円全体の指定管理料の削減で申し上げますと、今回の指定管理の選定に当たって、1社からしか応募がなかったということで、委員会等においても御指摘をちょうだいしてございました。次期に向けて、できるだけ競争原理を働かせた指定管理のあり方について、今後、鋭意検討してまいりたいと考えておりまして、例えば周知期間の問題ですとかあるいはコンソーシアムの考え方でございますとか、さまざまな角度から検討を加えて、次の第3期に向けて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、地域振興部関係の質疑をこれで終わります。
 大変御苦労さまでございました。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇松川環境生活部長 平成20年度の環境生活部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえた次年度以降の取り組み方針について御説明いたします。
 当部では、世界に誇れる岩手の環境の実現と、県民生活の安全・安心の確保と地域の活動を支えるさまざまな人材の育成の二つを基本的な方針に掲げて取り組んでまいりました。
 主な取り組みですが、環境分野につきましては、まず、二酸化炭素排出量8%削減に向けて、県民一人一人が身近なエコライフを主体的に実践できるよう、エコドライブの普及、拡大や、CO2ダイエット・マイナス8%いわて県民運動などを推進するとともに、県民の環境学習の取り組みに対する支援を行ってきたところであります。また、環境に対する県民や企業などの取り組みを定着、発展させるため、いわて環境王国展を開催し、いわて環境王国宣言の発表や、県内企業、行政、NPO等のさまざまな取り組みを広く県内外に発信したところであります。
 循環型地域社会の形成に向けては、ごみの排出抑制やリサイクルの促進、産業廃棄物の不適正処理の未然防止、いわてクリーンセンター第II期最終処分場の整備などに取り組んだほか、青森県境の不法投棄廃棄物の撤去などに取り組んできたところでございます。
 多様で豊かな環境の保全に向けては、イヌワシの繁殖支援などの希少野生動植物の保全や野生動物の被害防止対策の推進、グリーンボランティアの育成や自然公園施設の整備を進めたほか、水生生物調査や環境保全活動団体の交流などを通じて、森・川・海でつながる流域における県民主体の環境保全活動を促進してまいりました。
 次に、生活分野では、県民生活の安全・安心の確保に向けて、県民への防犯意識の向上のための普及啓発や、地域における防犯力の強化を目指した自主防犯リーダー研修会などを実施したほか、食の信頼確保向上のための事業者への監視指導の徹底、食育普及啓発キャラバンの実施などによる食育の推進、多重債務問題の解決支援など消費生活相談の充実、さらには、交通安全対策などに取り組んできたところであります。
 また、青少年の健全育成や男女共同参画社会の実現に向けて、青少年活動交流センター、男女共同参画センターを拠点として、地域社会を担う青少年の活動の支援や男女共同参画のための普及啓発などに取り組んだところであります。
 こうした取り組みにより、総体としては、目標の達成に向けておおむね順調に推移しているものと考えておりますが、課題のある項目もあります。特に、地球温暖化対策の推進では、2006年─平成18年の二酸化炭素排出量が1990年に比較し5.5%増加しており、目標達成のためには取り組みを強化していく必要があります。このため、二酸化炭素排出量削減に向けて、県民、事業者、行政などが一体となった取り組みを一層推進するとともに、バイオマスエネルギーや太陽光エネルギーなど、地域に賦存するエネルギーの利活用促進に取り組んでまいります。
 また、ごみの減量化、食育、男女共同参画の推進などの取り組みにつきましては、県民一人一人が、身近な問題として意識し、行動していただくことが重要でありますことから、市町村などと連携しながら、より一層の意識啓発などに取り組んでまいります。
 以上、総括的な評価と取り組み方針について申し上げました。
 続きまして、平成20年度環境生活部関係の決算について御説明申し上げます。
 なお、平成20年度の決算は、食品衛生や動物愛護など、平成21年度に保健福祉部から移管された事業につきましても、現在所管している当部から御説明申し上げますので、御了承願います。
 お手元の平成20年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。環境生活部の決算は、3款民生費2項県民生活費、4款衛生費2項環境衛生費の一部、16ページに参りますが、11款災害復旧費4項庁舎等施設災害復旧費の一部、さらに、13款諸支出金2項公営企業出資金及び3項公営企業負担金の一部を含めまして、環境生活部関係の支出済額の総額は86億2、831万円余となるものであります。
 なお、平成21年度への繰越額は、恐れ入ります12ページに戻っていただきまして、環境衛生費の5億6、754万8、000円であります。
 また、保健福祉部からの移管分としては、12ページでございますけれども、4款衛生費1項公衆衛生費の一部と4款衛生費2項環境衛生費の一部であり、これらの支出済額の総額は3億2、380万円余となるものであります。
 以下、決算内容につきましては、平成20年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。歳入歳出決算事項別明細書の191ページをお開き願います。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承を願います。
 3款民生費2項県民生活費1目県民生活総務費の主なものでありますが、備考欄の管理運営費は、生活部門の職員28人分の人件費など、管理運営に要した経費であります。多重債務問題解決支援事業費は、県内各地域での多重債務問題を中心とした無料弁護士相談の実施に要した経費であります。食の信頼確保向上対策事業費は、食の安心安全委員会の運営や、JAS法に基づく食品表示の点検指導等に要した経費であります。犯罪のない安全・安心まちづくり推進事業費は、県民大会の開催や地域安全マップ作成指導員養成講座の開催等に要した経費であります。消費者行政活性化基金積立金は、2月補正予算で措置したものでありますが、県、市町村が実施する消費者行政の活性化のための事業に要する経費の財源に充てるため、基金を造成したものであります。193ページに参ります。2目交通安全対策費のうち、交通安全指導費は、市町村が交通指導員を設置する場合の補助などに要した経費であります。次に、3目青少年女性対策費の主なものでありますが、青少年活動交流センター管理運営費は、青少年育成・支援の拠点施設として、アイーナに設置している青少年活動交流センターが行ういわて希望塾などの青少年の交流促進や活動支援などの事業の実施に要した経費であります。男女共同参画センター管理運営費は、男女共同参画推進の拠点施設として、アイーナに設置している男女共同参画センターが行う意識啓発や交流促進などの事業の実施に要した経費であります。
 飛びまして、205ページをお開き願います。4款衛生費1項公衆衛生費3目予防費の主なものでありますが、上から3項目めでございます。狂犬病予防費は、野犬、放浪犬の捕獲、抑留、犬、猫の引き取り等に要した経費であります。
 209ページをお開き願います。4款衛生費2項環境衛生費1目環境衛生総務費の主なものでありますが、管理運営費は、環境部門の職員195人分の人件費など、管理運営費に要した経費であります。環境保全等管理事務費は、いわてクリーンセンターを建設した際等に電気事業会計から一般会計に借りた資金に係る元金及び利子の支払いに要した経費であります。環境学習交流センター管理運営費は、環境学習の拠点施設として、アイーナに設置している環境学習交流センターが行う環境に関する情報の収集や提供、県民の学習支援などの事業の実施に要した経費であります。循環型地域社会形成推進事業費は、循環型地域社会の形成を図るため、事業者による廃棄物の排出抑制やリサイクル等のための調査研究、製品製造等に対する補助等に要した経費であります。土地利用対策費は、適正な地価の形成を図るための地価調査などに要した経費であります。エネルギー確保対策費は、エネルギーの確保や新エネルギーの導入、省エネルギーの促進を図るための諸調査や連絡調整及び電源立地地域対策交付金の交付に要した経費であります。石油貯蔵施設立地対策費は、石油貯蔵施設立地対策等交付金の交付などに要した経費であります。屋内温水プール管理運営費及び屋内温水プール整備事業費は、屋内温水プールの運営に要した経費及び老朽化した自動審判計時システムの更新に要した経費であります。地球温暖化対策事業費は、CO2ダイエット・マイナス8%いわて県民運動の推進やエコドライブ講習会の開催、地域や学校への地球温暖化防止活動推進員の派遣など、地球温暖化防止に向けた普及啓発事業の実施などに要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費4、204万3、000円は屋内温水プール管理運営費に係るもので、老朽化により緊急に修繕が必要な屋内温水プールの外壁等の修繕方法の検討に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。
 2目食品衛生指導費の主なものでありますが、管理運営費は、食品衛生部門の職員27人分の人件費に要した経費であります。211ページに参ります。BSE安全安心対策事業費は、県民の不安を解消するため、屠畜場に搬入されるすべての牛へのBSEスクリーニング検査の実施に要した経費であります。3目環境衛生指導費の主なものでありますが、下から3項目の廃棄物適正処理監視等推進費は、産廃Gメンの配置やスカイパトロールの実施など、廃棄物適正処理の指導、監視等に要した経費であります。213ページに参ります。産業廃棄物処理モデル事業推進費は、財団法人クリーンいわて事業団に対する最終処分場整備への補助及び運営資金の貸し付けなどに要した経費であります。県境不法投棄現場環境再生事業費は、青森県境において不法投棄された廃棄物について、代執行による撤去及び原因者や排出事業者等の責任追及などに要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。恐れ入ります211ページに戻っていただきたいと存じます。繰越明許費4億550万5、000円のうち5、550万5、000円は、産業廃棄物処理モデル事業推進費に係るもので、老朽化により緊急に修繕が必要なえさしクリーンパークの蒸気ボイラー等の修繕方法の検討に不測の日数を要したため翌年度に繰り越したものであり、3億5、000万円については県境不法投棄現場環境再生事業費に係るもので、汚染濃度の高い土壌の処理の検討に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。また、事故繰越1億2、000万円は、県境不法投棄現場環境再生事業費に係るもので、汚染濃度の高い土壌の処理方法の見直しに不測の日数を要したため、平成19年度から平成20年度に繰り越した繰越明許費6億6、000万円余のうち、1億2、000万円をさらに翌年度に繰り越したものであります。
 213ページに参ります。次に、4目環境保全費の主なものでありますが、休廃止鉱山鉱害防止事業費は、旧松尾鉱山の坑廃水処理、処理施設の耐震化工事などに要した経費であります。大気汚染防止対策費及び水質保全対策費は、県内の大気及び水質の保全を図るため、工場や事業場への立入検査及び各種の調査、測定に要した経費であります。次に、5目自然保護費の主なものでありますが、自然公園等保護管理費は、自然公園保護管理員の設置などに要した経費であります。215ページに参ります。国定公園等施設整備事業費及び自然公園施設整備事業費は、国定公園等の自然公園における自然歩道、登山道及びトイレなどの整備に要した経費であります。次に、6目鳥獣保護費の主なものでありますが、鳥獣行政運営費は、鳥獣保護員の設置など鳥獣の保護及び狩猟の適正化に要した経費であります。希少野生動植物保護対策事業費は、いわてレッドデータブックの改訂に向けた調査や、イヌワシの保護、増殖のための事業などに要した経費であります。鳥獣保護センター整備事業費は、センター敷地内の放鳥池の堰堤の改修工事などに要した経費であります。
 飛びまして、349ページをお開き願います。11款災害復旧費4項庁舎等施設災害復旧費1目庁公舎等災害復旧費でありますが、国定公園施設災害復旧事業費は、岩手・宮城内陸地震で被災した栗駒国定公園内の須川ビジターセンターの災害復旧工事に要した経費であります。
 飛びまして、353ページをお開き願います。13款諸支出金2項公営企業出資金1目公営企業出資金でありますが、工業用水道事業会計出資金は、工業用水道事業の経営の健全化を図るため、工業用水道事業会計に対し出資したものであります。
 次に、3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、電気事業会計負担金及び工業用水道事業会計負担金は、地方公営企業職員に係る児童手当の一部について、それぞれの会計に対し負担したものであります。
 以上で環境生活部関係の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 私は、廃棄物について大きく分けまして3点についてお伺いいたします。
 第1点目、第2点目につきましては、お手元の平成20年度歳入歳出決算事項別明細書の210ページ、211ページの環境衛生指導費44億8、970万円余に関連して、そして廃棄物とは一般廃棄物と産業廃棄物、そして実施主体は県と市町村、県内の各市町村について関連してお伺いをいたします。
 それで、まず第1点目につきましては、いわゆる廃棄物の不法投棄の現状とその対策についてお伺いいたします。
 まず一つは、廃棄物の不法投棄、不適正処分の現状についてお伺いいたします。
 それから二つ目には、廃棄物の不法投棄の未然防止、そして、もし不法投棄があった場合の早期の対応、具体的にどのような取り組みをなされておるのか。そして、環境省では、平成16年6月から不法投棄特別アクションプランというものを策定いたしまして現在に至っておるわけですが、その中でも、特に不法投棄のホットラインが設置されているわけですが、これは環境省とそして県、市町村はどのような連携をなされておるのか、その辺の具体的な取り組みをお伺いするとともに、平成19年5月30日から6月5日にかけての全国ごみ不法投棄監視ウイークというのがスタートいたして今日に至っているわけですが、その取り組み状況についてお伺いをいたしたいと。
 それから三つ目には、不法投棄、不適正処分の監視体制。県では、人工衛星等を使ってやっておるわけですが、県内の市町村では、監視カメラの設置なんかをやられて取り組んでおるのか。まず、ごみの不法投棄、不適正処分の状況についてお伺いいたします。
〇谷藤資源循環推進課総括課長 まず、平成20年度におけます一般廃棄物、産業廃棄物の不法投棄、不適正処分の状況でございますけれども、平成20年度におけます産業廃棄物の不法投棄の件数、これは県で把握しているものは19件ございます。それからまた、平成20年度におけます不適正処理事案、これはただいま申し上げました不法投棄件数を含みますけれども118事案ございまして、行為者、関係者を含めて、167件の報告徴収等を実施して対応してきているというところでございます。
 それから、一般廃棄物に係る不適正処分につきましては、市町村のほうが一義的に対応してございまして、その詳細な数値等については承知していないところでございますけれども、県警本部からの情報等によりますと、平成20年度の摘発件数として、産業廃棄物に係るものが9件、それから一般廃棄物に係るものが55件と承知してございます。
 それから、不法投棄の未然防止及び早期対応に向けた取り組みといたしましては、広域振興局等に産業廃棄物適正指導員11名を配置しておりますほか、ヘリコプターによるスカイパトロールあるいは監視カメラ等による監視、こういったものに取り組んできておりますけれども、先ほど委員からお話のございましたアクションプランの中のホットライン、これの関係では、昨年度につきましては1件ほど、国を通じて不適正処理の疑いがあるという情報が寄せられて、それを地元の振興局あるいは市町村とも連絡をとりながら対応したというものがございます。そんなに多くはないんですけれども、そのような対応をしているところでございます。
 それから、不法投棄の監視ウイークの関係でございますけれども、これと連動する形になりますけれども、県におきましては、6月と10月を不法投棄監視の強化月間と位置づけておりまして、こうした中で、先ほど申し上げましたようなパトロールであるとか、あるいは指導員による重点的な監視といったものを行っているところでございます。また、未然防止の一つといたしまして、これまでの状況を見てみますと、こういった不適正処理を行っております行為者の大半が排出者ということもございます。そういったこともございますので、排出者を対象といたしました廃棄物処理法の説明会等を行って、法の趣旨の徹底等を図ってきているところでございます。
 また、市町村との連携というお話もございました。これは先ほど申しましたように、市町村との合同でのパトロールをやっているところでもございますし、それから、廃棄物処理法に基づきます産業廃棄物の立入検査の権限、これは岩手県では市町村に移譲してございますけれども、現在、25市町村がこの移譲を受けておりまして、各広域振興局と連携を強化しながら、対応に当たっているという状況でございます。
〇高橋昌造委員 それでは、第2点目につきましては、廃棄物の最終処分場の現状とその対応についてお伺いをいたします。
 平成20年度の最終処分場の処分量、全体で幾らになっているのか。そのことによって、最終処分場の埋めることのできる残余の量がどのぐらいで、それを年数換算をすればどのぐらいの年数、岩手県として産業廃棄物なり一般廃棄物、どのような対応ができるかということと、それから、次に一番あれなのは、今、埋め立ての問題では早期に安定化を図ること、これについて県でもどのような指導をしているか。そして、それにあわせて跡地利用、いわゆる埋め立て跡地の活用策、これもどのような状況になっているか、お伺いいたしたいと思います。
 そして、今は厚生労働省ですが、厚生省の時代には、過去には岩手方式と言って、ごみでは47都道府県でも先進県であったわけです。岩手方式という、技術から考え方から、一つの確立されたものがあった時代があるわけですが、この埋立地の延命化を図るために埋め立て、いわゆる処分地の再生技術を含めた、環境省に先駆けてガイドイランを整備するお考えがないのかどうか。そして、できる限りハードの面ではもう県は民間にお任せをして、公共関与からソフトの面に力を入れてみたらどうなのかということ。
 そして、去年も大きな災害があったわけですが、災害廃棄物の発生した場合の取り組み、特にも最初の受け皿は最終処分場なわけでございますので、これからは公共関与のあり方も具体的に計画の中で、策定する中で考えていく必要があるのではないかということで、そこをまずお伺いいたします。
〇谷藤資源循環推進課総括課長 まず、最終処分場の容量、残余の状況ということでございますけれども、一般廃棄物につきましては市町村からの報告を受けて取りまとめてございまして、現在、平成19年度のデータになっておりますが、そこを御了解いただきたいと思います。
 現在、平成19年度末、市町村等が設置しております一般廃棄物の処分場の残余容量は133万立米ほどでございます。それから、平成19年度の埋立容量が6万6、800余立米となってございまして、直近の埋立量で割りますと、残余年数が約20年となってございます。
 それから、産業廃棄物の最終処分場でございますけれども、瓦れき類等を対象にしてございますいわゆる安定型と呼ばれている最終処分場がございます。これは平成20年度末の値になりますけれども、残余容量が68万2、900余立米になってございまして、埋立量が3万9、000余立米となってございます。これをもとに算出をいたしますと、残余年数が17年ほどとなってございます。
 それから、汚泥ですとか燃え殻等を対象としてございます管理型の最終処分場でございますが、これは江刺にございますいわてクリーンセンターも該当してございます。平成20年度末に工事を進めておりました第2期処分場の3工区あるうち2工区が完成をしておりまして、その容量を加えた量になりますけれども、52万7、000余立米になってございまして、平成20年度埋立量6万7、000余立米から出していきますと、およそ8年程度という残になります。
 なお、残っている工区が20万立米ほどございます。これは、今後の廃棄物の埋め立て状況を見ながら、後年度に整備をする予定としてございますけれども、そういうものを加えたとして、それからまた、年々廃棄物の埋立量というのは減少する傾向にございますので、こういったものを考えていきますと、残余年数としては管理型の最終処分につきましても、15年近くはあるのではないかと見込んでいるところでございます。
 それから、ハードよりもソフト面での早期安定化とか、あるいは跡地利用策ということでございます。
 延命化ということは大事な視点だと考えてございますけれども、実は国のほうといたしましては、平成21年6月にごみの焼却施設のほうについて、長寿命化のガイドラインを示しているところでございますが、最終処分場につきましては、古い構造の処分場の適正化ということでの指針は示しているものの、早期安定化あるいは跡地利用策、長寿命化に係るガイドライン等については、まだ示されていないという状況でございます。
 県として整備する考えはないのかということでございましたけれども、最終処分場につきましては、かなり多方面の技術の集積ということもございますので、なかなか県単独でガイドラインを整備するには少し難しいのかなと考えておりますが、いろいろ研究はしてまいりたいと思ってございます。
 なお、廃止された最終処分場につきましては、跡地利用の関係でございますけれども、廃棄物処理法におきまして、その土地に係ります掘削等の形質の変更を行う場合には、事前に知事に届け出るということが義務づけられてございますので、この制度の適切な運用を図って、適正な跡地利用というものを図ってまいりたいと考えてございます。
 また、法律ではございませんけれども、社団法人全国産業廃棄物連合会におきまして、産業廃棄物の最終処分場の維持管理のマニュアルといったものを策定してございます。このようなマニュアル等も補てんしながら、これに沿った適切な最終処分場の維持管理等を指導しているところでございまして、こういう維持管理を行うことによりまして、最終処分場の早期安定化にもつながっていくのではないのかなと考えているところでございます。
 それから、長寿命化につきましては、分別、選別の徹底によりましてリサイクルを推進することによって、埋立量そのものを減少するということも大事なことと考えてございます。このほかに、県内の市町村におきましては、ごみの焼却あるいは直接溶融施設を持っておりますメリットを生かしまして、埋め立てた廃棄物の掘り起こし、あるいは溶融処理を行っている工夫をされている市町村等もございます。
 最終処分場の長寿命化、こういったいろんな方策もあろうかと思いますけれども、それらの費用対効果であるとか、あるいは二酸化炭素の排出量等環境への負荷、そういった種々の条件を考慮しながらいろんな方策、広範囲の適用といったいい事例があれば紹介もしてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 谷藤総括課長、岩手県は、余りいい表現ではないんですが、県境産廃でいろんな廃棄物の知識なり技術が、ノウハウが蓄積されたわけですよね。だから、私は岩手県の廃棄物担当の方々は、私はすばらしい頭脳集団だと思うんです。だから、ぜひ全国に先駆けて、最終処分場なり廃棄物処理施設の長寿命化を含めたガイドラインをいち早く示して、岩手に続けという心構えを示していただければと。私は大変評価をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたい。
 それで、最後に第3点目でございますが、同じく事項別明細書の16ページ、17ページの産業廃棄物税、この6、712万円余のこのお金を、私は産業廃棄物の関連にお使いになることも大事なんですが、産業廃棄物を中心にした事業に充当してやることができないのか。
 そこでお聞きしますが、この産業廃棄物税を平成20年度にはどのような事業に充当したか、また、状況がどうなのか、ひとつお伺いいたします。
〇谷藤資源循環推進課総括課長 産業廃棄物税の使途ということでございますけれども、平成20年度におきましては、廃棄物の減量や再生利用等に積極的に取り組んでおります事業者等を支援するなどの循環型地域社会形成推進事業にその大半、6、579万円余を支出しているところでございます。
 その内訳の主なものでございますけれども、環境に配慮いたしました事業活動などを促進し、環境産業の育成を図ることなどを目的といたしました事業者への補助として、産業地域ゼロエミッション事業に3、722万円余、また、産業廃棄物の実態調査などの基礎調査と解析に用いました産業廃棄物処理状況調査に834万円余、それから、産業廃棄物処理業者の格付制度あるいは業者保障金制度の運営を行っております育成センターへの補助として541万円余となってございます。
 この用途でございますけれども、産廃税につきましては制度導入時の産業界との約束等もございまして、その使途を産業界に還元することを主に運用してきているところでございますけれども、今後もこの趣旨に沿いながら、より関係者の意見も聞きながら、どういった使い方ができるのかといったことも含めて、適切に運用してまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 谷藤総括課長、廃棄物の御担当をなされている部署の方々はいろいろ御苦労があるわけです。特にも、どうもごみを担当すると暗くなるわけでございますが、ごみには光と影が、そして迷惑施設だと言われる考え方があるんですが、ぜひ前向きに、そして、もちろん35市町村をリードするのは当然ですが、全国に岩手ありと。廃棄物は岩手を見習えという気概を持って取り組んでいただきたい。終わります。
〇工藤勝子委員 鳥獣保護費についてお尋ねをいたします。
 環境生活部とすれば、例えばこういう鳥獣というものを、岩手の豊かな自然の中でしっかり守っていこうとする側ではないかなと思っているところでございますけれども、非常に近年において、遠野も含めましてシカの被害がふえているところであります。それで、シカ特別対策費というのもあるわけですけれども、適正な頭数の考え方、それから、今日の被害を環境生活部としてどのようにとらえているか、まずその点をお聞きいたします。
〇立花自然保護課総括課長 シカ特別対策費の効果と被害をどう認識しているかというお尋ねでございます。
 シカにつきましては、保護管理計画に基づきまして適正生息数に誘導すべく、狩猟や有害捕獲によりまして個体数の調整を図っているところでございますし、また、市町村とも連携しながら、防護さくの設置などによりまして、被害防除を図っているところでございます。
 適正生息数の考え方でありますけれども、第3次シカ保護管理計画におきまして、シカの冬季間のえさとしてミヤコザサというのが分布しているわけですけれども、その現存量から、五葉山地域においてはおおむね2、000頭が適正な生息数であると考えているところでございますけれども、さまざまなモニタリングの結果から、平成5年次では約8、500頭ほどおりますけれども、現時点では5、070頭ほどが生息していると推計されておりまして、適正生息数からは3、000頭ほどオーバーして生息しているという状況にございます。それにしたがいまして、農業被害額も非常にふえている現状でありまして、生息域が県北部まで拡大しているという状況から、五葉山地域の適正生息数への誘導とか、生息域の拡大を防ぐということが非常に大切になっていると認識しているところでございます。
〇工藤勝子委員 一応被害額とかいろいろ調査の資料をいただきました。その中で、遠野、大船渡、大船渡三陸町から始まったわけですけれども、陸前高田、住田、釜石、大槌、そして今は岩泉、川井という形で、遠野、岩泉、川井、非常に広大な面積を持っていますから、ここからは余り飛び出さないのかなというような思いもあるわけですけれども、3、000頭ぐらい多いと思われる中で、適正な頭数にするために今後どのような対策をとっていこうとしているのか。それから、今後、モニタリングの調査をいつ実施しようとしているのか。多分まだ多いのではないかと私は思うんですけれども、その点についてお聞きいたします。
〇立花自然保護課総括課長 先ほどのような認識であるわけでありますけれども、このために、まずシカの拡大につきまして、森林管理署とかそれから市町村などとも連携しながら、現在目撃情報のネットワークをつくっておりまして、生息域の拡大とか侵出監視というものをやっております。
 それから、シカの生息数の適正化に向けまして、今年度シカ被害地域の休猟区、これは岩泉町とか遠野市など10市町村、19カ所、3万4、000ヘクタールにつきましては、休猟区を見直しする予定としております。
 それから、生息数の減少に効果がある雌ジカ、シカはハーレムをつくっておりますので、減少には雌をとらないと減少しないということがあるわけでありますけれども、その雌ジカの捕獲の促進を狩猟団体と連携して行ってまいりたいと考えております。
 それから、狩猟頭数の制限の緩和につきましては、今年度思い切って緩和をしていくという予定としておりますし、それから、非常に高密度でシカが生息しております五葉山の猟区につきましても、狩猟期間の延長とか頭数の緩和といった対策を講じることとしておりまして、現在も毎年1、250頭ぐらい捕獲しているんですが、今年度は1、350頭、それから平成22年度、23年度については1、400頭ぐらい、こういった緩和によって引き上げて、適正生息数に誘導していくように取り組みを進めていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 見直しやらいろいろなことをお聞きいたしましたけれども、例えば何年ぐらいの予定で適正規模になるとお考えなのか、その辺のところをお聞きしたいと思っております。
 それに伴って、猟友会と申しますか、鉄砲を持った人たちの人数ですけれども、例えば平成17年には2、554人の方が登録されておりました。昨年度の平成20年度には2、219人と、335名も岩手県全体で減っているんですね。これはまさに高齢化の現象が及んでいるという話を聞いておりました。今の若い人たちは、趣味の多様化もあって、鉄砲を持って山に入って生きているものを殺すという、そういう……(「勇気」と呼ぶ者あり)勇気、よくわかりません。そういう認識というんでしょうか、やろうとするような感覚がないように、今の若い人たちと話してそのような思いがあるわけで、このままで減少をし続けていけば、非常に捕獲する人たちが減ってくるということで、まさに人材を育てるというようなことも県の大事な要素ではないかと思っております。
 鉄砲を持つためには、例えば公安委員会の許可をとるとか、猟友会としての指導研修だとか、いろんなことがあって結構お金もかかるようでありまして、その辺のところの人材育成まで環境生活部として考えていらっしゃるのか、そこもお聞きしたいと思います。
〇立花自然保護課総括課長 適正生息数への誘導につきましては、今般の第3次のシカ保護管理計画は平成23年までということで、ここの時点までに2、000頭に持っていくという計画となっておりまして、現在、1、250頭ぐらいずつ捕獲しておりますが、これを100頭あるいは150頭ほどこれからふやしていけば、大体1、900頭ぐらいに持っていけるというような推計を立てているところでございます。
 それから、今後のモニタリングにつきまして先ほど御質問がありましてちょっと答弁漏れがあったんですが、次期の計画が平成24年からスタートいたしますので、その前に計画をつくらなければならないので、その計画の基礎となるデータを得るために、大がかりなモニタリング調査を実施する計画としております。
 それから、狩猟者の確保と人材育成でありますが、猟友会の会員は、非常に高齢化し減少しているという状況にございまして、平成15年度からは25%ぐらい減少している状況でありますし、それから60歳以上の方は57%ぐらいという状況にございます。このために、狩猟のほか有害鳥獣の捕獲とかあるいはさまざまな生体の調査、こういったことにも支障が生じることが懸念されておりますので、県としても狩猟免許試験の予備講習会を猟友会と一緒に実施したりとか、それから、狩猟免許試験を休日に開催してたくさん来ていただくように配慮したりとか、それから、免許の所有者の確保とか、狩猟事故防止研修会など一緒になって開きまして、人材育成に努めているところでございます。それから、今年度はシカの被害が多い大船渡市で、狩猟免許試験を実施したというところでございます。
〇工藤勝子委員 御存じないかもしれませんけれども、遠野には既にシカ牧場と言われる場所までできたんですね。どのくらいいるかわからない。とにかく、夜行性なので夜出てくるということなんですよ。そして今一番困っているのは、農家のまさに山間部、中山間とまではいきませんけれども、山間部の人たち。田植えをすると、ある程度育ったやわらかい稲を、田んぼに入って根こそぎ食べてしまう。大豆、小豆はもちろんのことですけれども、最近はホップの若芽まで食べるんですよ。そういう状況の被害というのはどの程度把握されているのかよくわかりませんけれども、我が家も、豆を食べられるとか小豆を食べられるぐらいは大したことがないから届けたこともいないんですけれども、私の家のそばでホップをつくっている人がおりまして、例えばそういうホップの若芽まで食べてしまうというようなことは、非常に大変なことではないかなと思っております。
 ですから、ただ目撃情報だけで頭数がこのくらいというのは、ちょっと余り雑多な頭数の把握ではないかなと思っております。ですから、平成24年にモニタリングの調査を開始すると言っていましたけれども、前にもたしかヘリコプターで、冬場に上空のほうからどのくらいいるかというようなことを調査したという話を聞いたことがありましたけれども、ぜひこれを早目に予算をとって、しっかりした頭数を把握するべきではないかなと、私はそのように思っております。
 その辺で部長の御所見もお伺いしたいと思いますし、鳥獣保護センターの整備も行われているようですが、これはシカとは関係ないような先ほどの説明でありましたけれども、その整備状況とその効果も一応申し入れておりましたのでお聞きしたいと思います。
〇松川環境生活部長 シカの対策の部分について私からお答えをさせていただきます。
 先ほど自然保護課総括課長から御答弁申し上げたとおり、シカの被害につきましては、平成20年度、多額の被害に上っているということでございます。
 シカ対策についてでございますけれども、被害を食いとめる対策がまず必要であると。これは農林水産部と連携をして、しっかり取り組みをしていきたいと思っております。
 それから、もう一方で、先ほどもお答えいたしましたけれども、こういう野生生物関係の対策は、中長期的な視点での幅広い取り組みが必要ではないかと考えておりまして、当部では、ただいま委員のほうから、しっかりした生息状況調査をしろというお話でございますけれども、そのとおり、生息数をしっかり把握をいたしまして、保護管理計画、実効性のある計画をつくりまして、いわゆる共生の姿ということを目指していく必要があると考えております。こういった取り組みをしっかりやらせていただきたいと思います。
〇立花自然保護課総括課長 鳥獣保護センターの整備事業の状況とその効果についてでございます。
 平成20年度の整備事業は、センターの放鳥池の堰堤が老朽化いたしまして崩壊のおそれがありましたことから、その施設の堰堤工事を行いまして、平成21年3月に完成したところでございます。その整備によりまして、隣接する国道4号とか村道が冠水するおそれがありましたけれども、これが心配なくなったというものでございます。
 それから、施設が全般的に老朽化をしてございます。これは昭和40年にキジ養殖場として発足したわけですけれども、その当時の施設を活用してやっていたということで、非常に働く人たちの安全上もいろいろと問題が出ているところでございまして、平成21年度は、鳥獣の療養施設の改修とかそれから小型獣、これは結構逃げるものですから、普通の施設ではちょっとだめなので、専用施設を整備したいと考えておりまして、こういった整備によりまして、適切に治療収容施設の役割を果たしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 農林水産部のほうになるかもしれませんけれども、山間部が耕作放棄地になっていくのは、例えばシカに毎年どんな対策をとっても、電気が行くわけじゃない、電木も回せない。そういう中においてやってもやってもやられると。農家の人たちは放棄する以外にないわけですよ。そうすると、まさにそういうところから農地が荒れてくる。ますますシカが入ってくる、クマが入ってくる、そういう状況になりますので、ぜひしっかりと農林水産部と連携しながら対策をとって、適正な規模に1年でも早くやってもらえますように、お願いを申し上げまして終わります。
〇飯澤匡委員 同じ項目です。ただいまシカについてお話がありましたが、私は全般について法律面からお聞きをしたいと思います。
 シカのみならず、地球温暖化によりイノシシ等も県南部に行動範囲が広がってきました。農作物の被害も拡大をしております。シカについてはそのようにただいま答弁がありましたが、それ以外の被害状況をどのように把握し、課題としてどのようにとらえているか、改めてお伺いします。
 それから、農水省でこういう鳥獣被害が著しいということで、平成19年12月に、鳥獣による農林水産業に係る被害の防止のための特別措置に関する法律、いわゆる鳥獣被害防止措置法が施行されております。平成20年2月から施行されています。この内容については、農林水産部で聞けということですので、詳しくは聞きませんが、先ほど農林水産部と連携をするということですが、この計画が定められればさまざまな補助等が受けられるということを聞いておりまして、この策定状況も岩手県内はちょっとおくれているというようなことも聞いております。
 そこでお伺いしますけれども、鳥獣被害防止特措法とそれから鳥獣保護法の整合性をどのように図るのか。県は鳥獣保護事業計画を策定し、市町村は特措法に基づく被害防止計画を策定することになっています。先ほど申し上げましたように、岩手県はちょっとおくれていますけれども、この整合性をどのように図っていくのか。先ほど部長から言及されましたけれども、どのように具体的に連携をしていくのか。県と市町村、その関係も含めて御答弁をいただきたいと思います。
〇立花自然保護課総括課長 まずニホンイノシシの関係でございますけれども、イノシシは、本来、西日本を中心に生息しておりまして、積雪地域、30センチ以上70日間ほど降るような地域では生息できないと言われているわけでありますが、人為的な放逐とかあるいは最近の積雪量の減少などを原因としまして、北上しているというように言われているところでございまして、現在は宮城県までは非常にたくさん出て、被害が大きく発生しております。岩手県では、農林水産部の調べでは、これまでのところ被害は報告されていない状況でありますけれども、一関の厳美町付近では発生しているというようなことで、平成19年度からこれまで、大体年間20件程度の有害捕獲許可申請が出ているという状況でございます。
 イノシシは多産でありますので、定着しますと急速に増加して被害が大きくなるということでございますので、我々としても、もし発見したら早期にたたいていくということが必要であると考えております。しかしながら、本県に生息していない野生動物でありますので、捕獲従事者─狩猟ハンターでありますけれども、経験が不足しているという状況にありますし、捕獲技術の集積も十分でない状況でございます。今後、農林水産部とも連携しながら、先進地の効率的な捕獲技術等に関する情報の収集とか、あるいは技術の普及指導というような対策を講じてまいりたいと考えております。
 それから、特措法と鳥獣保護法との調整の関係でありますが、この鳥獣保護特別措置法では、市町村が計画を作成した場合に、鳥獣保護法との調整を図るために当部のほうに協議をするということになってございます。当方では、特に有害捕獲基準というものを鳥獣保護管理計画で定めておりますので、それとの整合性とか、あるいはシカ、クマについては、保護管理計画との整合性というものを見ながら、その計画について承認をするというような連携をしておるわけですけれども、特措法につきましては、原則として市町村の計画については認めるということとなっておりますので、そういった特措法の法律の趣旨に沿って、できるだけ市町村から出てきた計画については認めるというような対応をしてまいりたいと考えております。
 それから、市町村との連携の具体的な成果でありますけれども、市町村が設置します地域協議会で事業をやっていくわけですが、この協議会に地方振興局の職員とか、それから環境保健研究センターの研究員が委員とかアドバイザーになって参画して、技術的な助言を行っているところであります。また、これは大船渡地域なんですけれども、協議会と振興局が連携いたしまして、新人ハンターの研修会を開催したりとか、あるいはシカ肉加工とか流通、商品開発、こういったところを一緒に取り組んだりとか、それから里ジカの状況を見るためにライトセンサス、夜間の生息状況を調査したり、そういったことに取り組んでおりまして、捕獲技術の向上などに成果を上げていると考えております。
 今後も、連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 イノシシのみならず、最近はハクビシンという動物が出てきて、これはタヌキと比べて非常にたちが悪くて、ネットもかいくぐって農作物を荒らすというのも、私の地元で報告されております。
 詳しくは、この鳥獣被害防止特措法については農林水産部でお聞きしますけれども、先ほどハンターのお話が出ましたが、やはりハンターの不足について、その補完措置として、県や農林漁業団体の職員もその捕獲に参加できるという法律の枠を広げた形でやっていますので、先ほど答弁の中には、市町村が策定したものについては、県は速やかに対応したいということですので、そういう捕獲をする担い手といいますか、その枠を広げるためにも、これはしっかりとした連携を市町村ととって、まず第1に、工藤勝子委員がおっしゃったように、農作物の被害をいかにして食いとめるかということも、環境生活部の中で、大きく軸足を置いて、しっかりとした連携の姿を見せていただきたいと思います。
〇熊谷泉委員 私のほうからは、大きく分けて三つほど伺いたいと思います。
 まず、県境の不法投棄現場の環境再生事業についてですが、平成20年度においてどのくらい進捗したのか。原状回復と排出者への責任追及ということになっていますが、これはどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。
〇吉田再生・整備課長 平成20年度事業の進捗状況についてでございますけれども、まず、廃棄物の撤去につきましては、平成20年度の撤去量は4万6、810トンでございまして、これにより平成21年3月末における累計撤去量は17万6、000トン余りとなりまして、投棄推計量約32万4、000トンと推計してございますが、これに対しまして54%の進捗率でございます。
 また、土壌汚染の除去につきましては、いわゆるN地区、ここは廃油入りのドラム缶が発見された場所でございますけれども、このN地区について、平成19年度から土壌汚染除去に着手し、20年度は、地下水位より上部の汚染域2、000平米の浄化を完了してございます。それから、地下水位より下の部分の汚染域につきましては、浄化用井戸の設置を進めてきたところでございます。
〇田中調査追及課長 責任追及の状況でございますけれども、法律違反が疑われる事業者や排出量の多い事業者約100社程度の調査を優先的にこれまで実施してきておりまして、その結果、本県分として、これまで措置命令として25社、約429トン、自主撤去として27社、1万1、000トンほどの、合わせて52社で1万1、437トンの責任追及を行ってきているところでございます。
〇熊谷泉委員 54%の進捗率ということでございますが、先ほどの説明で、処理方法がまだ検討中ということで繰り越しが3億5、000万円という説明もありましたが、これは、こういう状態で当初の予定どおり完了する見通しなのか、それをお聞きしたいと思います。
〇吉田再生・整備課長 廃棄物の撤去につきましては、残るところが14万8、000トンでございます。これを今年度から平成24年度までに終わらせるということで、今年度4万8、000トンの処分の契約を既に結んでおります。ですから、来年度、再来年度、平成23年度まで4万8、000トンをそれぞれ撤去、処分をするということで、最終年度は4、000トンということになりますので、これに向けて、いや、これよりもっと早くできるように頑張るしかないというところでございます。
 それから、汚染土壌対策につきましても、これは、ドラム缶が、実は昨年、汚染土壌対策を進めていく中で、想定外のドラム缶が発見されまして、これの対策に時間を要しました。その結果、どうしても事業がおくれるということになりますので、繰り越しということでございました。
 これにつきましても、いわゆるドラム缶が入っておりました地下水位より上の部分については撤去が終わりましたので、今後、地下水位より下の部分について、これも一生懸命頑張ってまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 力強いお答えで、事業が進められることを期待しますが、隣接地の問題も後で起きたわけですが、これについての対応はどういうふうになっているでしょうか。
〇吉田再生・整備課長 隣接地でございます。
 県境不法投棄現場の南側、青森県になりますけれども、南側に隣接する和平高原牧野という牧草地がございますが、こちらの地元では、有害な廃棄物が不法投棄されているのではないかとの懸念を抱いているということがございます。本県としては、青森県に対して、地元の不安が払拭されるよう要請を行ってきたところでございます。
 しかし、青森県では、調査に当たって二戸市と和平高原牧野組合との考え方の隔たりが大きいため、ボーリング調査を実施しないとしているところでございます。
 このため、二戸市では、ことしの10月5日に、和平高原牧野の近接地、岩手県側でございますけれども、そこに2基の井戸設置に着手いたしました。今後、水質調査を行うとしているところでございます。
 本県といたしましては、これまで、和平高原牧野周辺の小端川上流地域にありますけれども、その水質調査を実施してきたほか、井戸の設置につきまして二戸市に技術的な協力を行ってきたところでございます。今後、県の機関によって、この二戸市の設置した井戸の水質測定などの支援を行っていきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 二戸市の不安もあることですので、隣の県のことではありますが、これは、国の援助がなければ、本来岩手県でもできない事業ですので、これからも進めていただきたいと思います。
 次に、同じような岩手県の負の遺産の一つでありますが、休廃止鉱山の鉱害防止事業ということで毎年5億5、000万円ほど予算計上しているわけでありますが、坑廃水の中和処理ということで、こういう処理方法が毎年のように続いておるわけですが、いろいろな技術も発達していると思いますが、処理方法はこれよりいいものがないのか、処理費用の軽減に何か対策はないのかお聞かせ願いたいと思います。
〇吉田環境保全課総括課長 坑廃水中の中和処理の進展についてでございますが、現在、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構では坑廃水処理の新技術開発に取り組んでおりますが、いまだに現在の旧松尾鉱山の処理方式であります鉄バクテリア酸化・炭酸カルシウム中和方式による坑廃水処理を上回る有効な技術は開発されておりません。
 なお、鉄バクテリアを利用した坑廃水処理というのは、旧松尾鉱山が置かれている条件のもとでは、最も安価で、経費が少なく効率よく処理できる方式と考えております。
〇熊谷泉委員 今のお答えですと、従来どおりの方法でやるということだと思いますが、これは、毎日どのぐらいの石灰が投入されて、こういうやり方でいって、四十四田ダムは、埋まってくると思いますが、あと何年維持できるでしょうか。
〇吉田環境保全課総括課長 石灰を投入しているわけでございますが、炭酸カルシウムの投入量は日量20トンぐらいでございます。
 それで、処理開始以来、いろいろ改善を行いましてコストの低減に努めてまいりましたが、平成11年度から16年度にかけて省エネルギー試験設備を整備して実証試験を行いました。その結果、処理費用の縮減効果が、電力消費量は平成11年度に比べて3分の2に、また炭酸カルシウムは、水量によって変動しますけれども、20~30%程度縮減が図られております。
 このような取り組みなどによって、処理委託料は、処理を開始した昭和57年度には約7億円でございましたが、平成11年度には6億円、20年度には約5億円というようになっております。
 四十四田ダムの状況でございますが、国土交通省北上川ダム統合管理事務所では、ダムの堆砂率が84%に達して、近い将来は堆砂計画量に達するということが見込まれたために、平成18年3月に四十四田ダム貯水池堆砂対策委員会を設置しまして、堆積物の取り扱いも含めて、ダム機能維持のための方策を検討しております。
 同委員会では、3年間の検討を重ねまして、本年2月に取りまとめを行いました。その結果、ダム容量減少への対策としましては、貯砂ダム設置と地山掘削を併用することによって治水容量を確保することが有効とされました。
 また、洪水時におきましても、砒素を含んだ堆積物を巻き上げる可能性は低いため、貯水池内の堆砂はこのまま存置し、監視体制を継続していくということにしております。
 同管理事務所では、この委員会の提言を受けて、今年度から具体策につきまして検討を開始していると聞いております。
 堆砂に関して、ダムがあと何年もつかということにつきましては、この委員会の報告書にも具体的に示されておりませんので承知しておりませんが、新聞報道によりますと、三十数年先には堆砂率100%になると試算されているとのことでございます。
〇熊谷泉委員 30年が長いか短いかはとらえ方だと思いますが、私が小さいころは、北上川はまさにレッドリバーで、今の若い方には想像できないと思いますが、この四十四田ダムの追跡の状況にいろいろな方法があると。砒素は巻き上がらないということでございますが、いろいろな工事の中で、下流では、市町村で飲用水に使っている部分や、農業用水に北上川を利用していますが、その辺の影響はどのように予測されているでしょうか。
〇吉田環境保全課総括課長 今、新中和処理施設を停止した場合を仮定して推計しているんですが、農業用水、工業用水及び生活用水に影響が出ます。これらの被害予測は、年間で493億円と試算してございます。
〇熊谷泉委員 今の予測でもう既に493億円の被害予測ということですが、これは、国と国土交通省の問題も一緒だと思いますが、工事自体が非常に難しい工事ではないかと思います。今いろいろなダムが非常に問題になっていますが、この四十四田ダムにおいては、一刻も猶予ならない工事になるかと思いますが、これは、国との協議を今後一体化するというのはどのように進めていくか、お聞かせ願いたいと思います。
〇吉田環境保全課総括課長 先ほど申し上げましたのは、ずっと上流にあります旧松尾鉱山の坑廃水処理の処理施設がとまった場合ということでございます。
 それで、四十四田ダムの対策につきましては、これは国の管理でございますので当方から答えられないと思いますが、国のほうの情報を得ながら注視してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 国のやることだということでございますが、岩手県にとっては、これはふるさとの川でありますし、下流流域には大変大きな問題であります。今のようにダムを見直すとかという問題ではないと思います。これは、ぜひとも明確な計画を立てて、30年という、ある意味、ダム工事においては何十年という工事がいっぱいあります。早く長期の計画を立てていただきたいと思います。
 ちょっと別な話でありますが、あす聞こうと思いましたが、所管の部署が変わったということで、きょうの環境生活部の所管ということで、実は、先刻皆さんも御存じだと思いますが、福岡県で犬の咬傷事故というよりも、死亡事故が起きました。4歳の男の子が大型犬にかまれるということで、非常に痛ましい事件でありました。
 ここに狂犬病予防費ということで、これは犬の関係の予算だと思いますが、岩手県では多分7万頭ぐらいは犬が飼養されていると思いますが、一つ聞きたいのは、その犬の咬傷事故を県内でどんなふうにとらえられているのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇白岩食の安全安心課長 まず、岩手県における犬による咬傷事故の件数でございますが、平成20年度は県全体で58件発生がございまして、63名の方がかまれたという状況でございます。
〇松川環境生活部長 先ほどの四十四田ダムに関連した御質問について、私からお答え申し上げたいと思います。
 北上川の清流化は本県の大事な課題でございまして、御案内のとおり、新中和処理施設については、これは一日も欠かさずきちんとした対応、対策をしていくと。
 それから、北上川の水質については、これは私どもで監視をいたしておりまして、もしこの水質に異常があるような場合には、当然ながら関係方面に適切な対応を申し入れたり、あるいは県民に対して、健康被害等が起こらないような情報提供等、適切に対処していく考えでございます。
〇白岩食の安全安心課長 先ほどの熊谷委員の質問にちょっと不足がございまして、犬の頭数でございますが、約7万2、000頭いるということでございます。
〇熊谷泉委員 狂犬病予防法という、これは人のほうの法律ですが、犬にワクチンを打つわけですが、これの病気自体は、もう既に、たしか昭和32年ごろなくなっていると思いますが、一つは、そのワクチンの接種率はどのようになっているでしょうか。
 これは、今回、犬の咬傷事故があったわけですが、飼い主の飼養の基本的な部分であります。飼養頭数の実際の把握と、この接種率はいろいろなバロメーターになると思いますが、どういうふうに把握しているでしょうか。
〇白岩食の安全安心課長 済みません、今の頭数でございましたが、注射頭数が7万2、000頭で、登録頭数が約8万1、000頭でございます。昨年度の狂犬病予防注射実施率は88.1%という状況になっております。
〇熊谷泉委員 この7万2、000頭で登録が8万1、000頭でございますが、これの実数は、ちまたではなかなか把握できない数字だと言われております。果たして8万1、000頭なのか。ここで、きょうの88%の実施率が、分母が変わってくれば当然変わってきます。狂犬病はそれほど島国の日本で、今、問題にされていませんが、いずれこのくらい外国との交流が盛んになりますと、これもいずれ、新型インフルエンザではないですが、一つの脅威になると思います。
 そこで、何かの方法でこの飼養頭数も確実に把握する必要があると思いますが、それをお聞かせ願いたいと思います。
〇白岩食の安全安心課長 適正な飼育と注射の実施率の向上、それから実際の犬の飼育の把握については、従来から岩手県獣医師会、市町村、保健所と連携しながら進めていたところでございますが、さらに、飼い主の意識を高める、狂犬病の大切さ、危険さというものを啓発するように、今後もその連携した取り組みを進めていきたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 関連。
 今の答弁でちょっと不満だったんですが、北上川の流域はたくさんの、493億円の被害はいいんですけれども、そして水質はしっかり守るとおっしゃいました。ところが、今、私たちは八ツ場ダムとかいろいろなことを聞いていますと、30年ぐらいかかってダムをつくっていくんですね。そうすると、今から対策を考えないと、今お話を聞いていると、一番いい方法で処理をしています。そして20トンの石灰は流れています。そして83%もう堆積しましたと。あとは国にございますというので、それで納得するんでしょうか。
 それは、対策をどうするように考えていますとか、アメリカのように、ダムをつくらないで、それをどうやって流そうかということを考え始めましたとか、何かやっぱり新しいことを言ってもらわなければ、我々流域の人間は不安でしようがないんですね。もう少し安心させるような答弁はいただけませんか。
〇吉田環境保全課総括課長 先ほど申し上げましたダム統合管理事務所で設置した委員会でございますが、こちらに県もメンバーとして入っておりますので、こういった情報をとりながら、県の立場で意見も言うなどして、いろいろ確認してまいりたいと思っております。
〇松川環境生活部長 先ほどの四十四田ダムの関係でございます。
 堆砂率が84%になったということで、このまま放置すれば、先ほど新聞報道の話も言いましたけれども、30年余で100%になってしまう。これをどうするかということで、国において、平成18年3月に、いわゆる有識者も加え、県も加えたこの対策委員会を設置した。それが、本年2月に、その対策の方向についての取りまとめを行ったということでございます。
 その中でいろいろ検討されたようでございますけれども、一つの方法として、いわゆる砒素を含んだ、そういった健康被害が考えられるような物質がダムの中にある。それを下から全部出せないかというような検討もされたようでございます。そうやった結果、やっぱり、まず、経費もかかるということと、それから、そういうことをやることによって、攪拌されて、逆にそういう健康被害がある物質をまき散らす結果になってしまうというような検討結果があって、今の段階では、いわゆる貯水容量自体を、地山掘削して、周りを掘削して水量を広げるという方向で対策を講じたいというような趣旨の検討結果を取りまとめたということでございます。それが一つ。
 それから、もう一つは、貯砂ダムをその上流につくるということで、入ってくる砂をそこでためて、いわゆるきれいな水が外に行くというような対策を講じるのがいいのではないかというような結論になったと承知いたしております。
 この結論を得て、国においては、本年度、この提言に沿った具体策について検討を開始しているということでございますので、基本的には、地山掘削なり貯砂ダムの設置に向けた検討が開始されているものと承知いたしております。こういったことによって、いわゆる北上川の基本的な水質というものについては守られていくものと思っております。
〇渡辺幸貫委員 俗に言うコンクリートのクライシス、ダムはどれだけもつのかというのが最近議論になっているという記事を見ました。今のような攪拌されるとかそういうことは、もう既に新聞なんかで報じられて、私も見ました。ただ、ダムそのものの本体の耐用年数というものをどういうふうにとらえていらっしゃるのか、それが、今の堆積物に対する私たちの不安なんですよね。その点については、その諮問機関なり何なりからどういうふうに聞いていらっしゃるのか。皆さんは、ダムとしてはどれぐらいもつと常識的に私たちはとらえればいいのか、お答えをいただきたい。
〇吉田環境保全課総括課長 コンクリートの耐性につきましては、この四十四田ダムをつくるときに検討して、ある程度の水質に耐えられるように設計されたと聞いております。ですから、ダムのコンクリート自体の危険性というのは、ここでは特に問題になっておりません。委員会では問題になっていないと理解しております。
〇渡辺幸貫委員 常識的にダムというのはどれぐらいもつのか。例えば、アーチ型ダムだったらどうだとか、ロック式だったらどうだとかと常識的なものがあるでしょう。ですから、四十四田ダムの場合はこういう様式だから、大体これぐらいが耐用年数だと我々とらえればいいんだなということを、常識的なことを教えてもらえば、私たちもそれに向けて、県は、不安になって、やっぱり早く30年間にわたる長い計画を立てなければ、我々の不安は取り除けないんですね。ですから、その常識的な線をひとつ教えてもらえば、私らも県民運動をしなければなりませんから、お願いします。
〇松川環境生活部長 ただいま手元にございませんので、調べまして、お答えさせていただきます。
〇小野寺有一委員 私からは、地域の発展とCO2削減の両立についてお尋ねしたいと思います。
 先ほどの部長の総括的な説明の一番最初の項目がCO2の削減でありました。そういった意味では、やはり環境生活部のファーストプライオリティーの問題なんだろうと思いましたが、CO2の削減自体は、いろいろな取り組みをされていらっしゃるのは承知しているところでありますけれども、CO2の削減は全体が受益をするわけですが、コストの負担をだれがするかというような問題もありますので、それをすべて、例えば税金とかで賄っていくのにはやはり限界があるだろう。そういった意味では、地域が発展することと、それからCO2の削減が同時に進んでいく、きのうあたりのニュースで、盛んにウイン・ウインの関係とかと言っていましたけれども、そういったものが求められているのではないかということでございます。
 そういった観点から、地域発展とCO2削減の両立をするための取り組みがどのようになされているかということをお尋ねしたい。
 それから、新しい環境技術やサービスを導入していくためには、先ほど申し上げましたとおり、国や公共団体などの税負担による事業では限界がある。やはり経済団体、企業等を初めとする民間の力に、CO2削減の枠組みに主要なプレーヤーとして参加していっていただかなければならないのではないかと思うわけですけれども、認識を伺わせていただきたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 初めに、本県で行われております地域発展とCO2の削減を両立するための取り組みでございますけれども、まず、新エネルギーの導入の取り組みといたしましては、木質バイオマス資源を活用したペレットストーブ、チップボイラー、これらが、化石燃料代替として暖房や給湯等に導入されております。
 また、県内4カ所の施設で畜産バイオマスからのメタンガスをエネルギー利用いたしましての取り組み、特に、雫石地区におきましては、家畜排せつ物や周辺の食品加工会社から排せつされます食品残渣等を利用しましたバイオマス発電に取り組んでいる企業もございます。そういう取り組みでCO2排出削減の面からも成果を上げております。
 また、廃棄物の再利用の取り組み例といたしましては、県内各地、現在22施設と把握しておりますけれども、廃食用油からバイオディーゼル燃料─BDFでございますが、これの製造を行っておりまして、軽油代替燃料として利活用されております。
 例えば、大船渡地区でございますけれども、平成20年から気仙菜の花プロジェクトを開始しておりまして、遊休農地を活用した菜の花の栽培と、その菜種油などの廃食用油からつくり出しますBDFの利活用をしている、そういった取り組みもございます。
 そのほか、廃プラスチックの製品原料としての再利用とか、あとは代替燃料としての再生に取り組んでいる企業もございまして、県におきましても、地域経済の発展とCO2の削減が両立する、そういった取り組みを支援しているところでございます。
 次に、企業におけるCO2削減の主要な担い手になってもらわなければならないということでございますけれども、企業が関係いたします産業部門等の本県のCO2排出量に占める割合は、運輸部門を除きまして大体6割となっております。そういうことで、企業におけるCO2削減の取り組みは極めて重要でございます。
 これまで、県では、企業の省エネルギー技術、あるいは新エネルギーの導入に対しまして、支援制度の紹介─主にこれは国の制度でございますけれども─とか助言等を行ってきております。また、いわて地球環境にやさしい事業所の認定とか、エネルギー使用量の大きな事業所等による削減対策の取り組み、こういったことによりまして、事業所におけるCO2削減の取り組みを促進してきたところでございます。
 また、ことし6月に全県的な事業者団体とか地域活動団体などの参加をいただきまして、温暖化防止いわて県民会議を設立いたしました。そして、この中に事業者部会を設置したところでございます。
 今後は、この県民会議を中核といたしまして、企業や事業者などがCO2排出削減に向けた具体的な取り組みを実施していただきますよう取り組んでいきたいと考えております。
〇小野寺有一委員 ただいまさまざまな取り組みをしていただいているという御披瀝がありました。主に事業者が中心の取り組みであったと理解いたしましたが、そういった企業に主要な担い手として参加していただくに当たっては、企業単独の取り組みももちろん必要であると思いますけれども、もう少し横断的な取り組みが必要になってくるのではないか。
 具体的には、例えばCO2の排出量取引がいろいろ国際的なことでやられておりますし、国内的にもやられているようでありますけれども、たしか福岡県でしたでしょうか、何とかクレジット制度というような、CO2排出量取引のミニチュア版みたいな取り組みを県単独で進めているところもあるようでありますし、それから、先ほど木質バイオマスのところでペレットストーブの話がありましたが、例えば木質バイオマスでガスをつくって、工業用燃料の切りかえを図っていくというような取り組みも進められているわけであります。それは、企業単独の努力はもちろんでありますけれども、例えば間伐材を利用したそういう木質バイオマスにする場合には、間伐して、それを搬出するためのコストの一部をだれが負担するか、やっぱりそれは、もう少し広い観点で負担すべきではないかというようなこともあると思われるわけでございます。
 そういった横断的なものについては、先ほどの県民会議の主要な議題になってくるのかもしれませんけれども、まずは県が音頭をとって、そういう実験的なモデル事業としてやってみるとか、その具体的な取り組みが必要になってくると思われるわけでありますが、その認識を伺いたいということが一つ。
 それから、産学官連携というのがいろいろな政策分野で進められているわけでありますけれども、CO2削減についての産学官の連携が、そういった調査研究、取り組みが進められているのか、そういった例があればお示しいただきたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 まず、CO2排出量取引等の御質問でございますけれども、県では本年3月に、森林・林業関係二酸化炭素排出量取引等研究会を設置しております。この研究会におきまして、農林水産部とともに、CO2排出量の取引に向けた本県の現状とか課題等について検討を行っているところでございます。この研究会の中で、いわゆる排出量取引、あるいはそういった間伐材の収集等についても話はされているところです。
 ただ、ここに来まして、国におきまして、国内排出量取引制度の創設を検討しているということでございます。この制度の内容によりましては、現在実施されておりますさまざまな排出量取引制度、J−VER等を含めて、これらに影響が生じるということも考えられます。こういうことで、こういった国の動向とか、それを踏まえた研究会の検討結果を踏まえまして、農林水産部等とともに、必要な取り組みを考えてまいりたいと思います。
 なお、農林水産部にも少し聞いてみたんですけれども、間伐材等の搬出、そういったモデル、これは地域では少し動きがあるというお話は伺っております。
 次に、産学官連携によるCO2削減の調査研究でございますけれども、今お話ししました森林・林業関係二酸化炭素排出量取引等研究会、これは、岩手大学の関係者とか民間事業者等による産学官連携の研究会でございます。先ほど申しましたとおり、この研究会におきまして、間伐材などの林地残材の活用とか排出量取引等への参加について調査研究を行っているところでございます。
 また、いわてバイオエネルギー利活用促進事業では、食料と競合しない稲わらなどの茎とか葉から、ガソリン代替となりますバイオエタノールを生産するために必要なセルロース分解の技術の開発などに、財団法人岩手生物工学研究センター等と連携して研究を進めているということでございます。
 また、岩手大学が主催しますCSR/環境人材育成研究会というものがございますけれども、これには、他の大学とか産業界の方々とともにこちらも参加しておりまして、企業のCSR活動、環境貢献活動の調査研究、あるいは環境人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、環境と共生する地域社会の形成に向けまして、産学官の連携した取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇小野寺有一委員 先ほど高橋昌造委員から、廃棄物の処理について、ぜひ日本全体を岩手が引っ張っていくんだ、そういう気概で取り組んでほしいというようなお話がありましたが、この件についても同様でありまして、国のいろいろな制度がこれから出てくるんだろうと思いますが、それに、むしろ岩手県がその議論をリードしていくというような気概を持ってぜひ取り組んでいっていただきたいと思うところであります。
 それでは、続きまして、自然保護と生活の安全・安心の、主に社会基盤整備と自然保護の関係についての調和についてお尋ねしたいと思います。
 社会基盤整備、特に、例えば河川とか、砂防事業であるとか、そういった災害対策事業で、そういったことで生活の安全や安心を求める住民の方々と、自然保護の観点から、そういった社会基盤整備に対してどちらかというと反対の立場をとられている方々との間で、さまざまなところで摩擦が起こっているという事例を聞きます。
 例えば、住民の側から言えば、人間の命と鳥っこの命とどっちが大切だと思っているんだというような話とか、あるいは自然保護の立場の方からは、木を1本でも切ったら、例えば渡り鳥が場所がわからなくなってみんな来れなくなってしまうんだとかという、非常に極端な、それでステレオタイプな、かつ、余り幸せではない、不幸な議論で何か摩擦が起こっている例があると聞いております。
 そういったことが県内でどの程度起こっているのか、そういったことをお示しいただきたいということと、それから、そういった両方とも理のある話でありまして、ぜひそういった方々の対話を進めていくとか、それから信頼醸成を進めていくとか、もう少ししなやかな結論を出せるような仕組みが求められているのではないかと思うわけでありますが、そのための方策とか、あるいはどういった認識を持たれているのかお示しいただければと思います。
〇立花自然保護課総括課長 まず、自然保護団体等との摩擦の例でございますけれども、県が施行する公共事業はさまざまありますが、この実施計画に対しまして、自然保護団体の方々などから自然環境保護について要請があった件数で見ますと、平成20年度は4件、平成21年度は現時点で3件という状況にあります。
 主なものといたしましては、栗駒国定公園の山岳トイレ整備工事につきまして、環境の保全を優先すべきだということで整備の中止が求められたものとか、沿岸部の道路改良工事などにつきまして、希少植物が生育しておりますのでルート変更ができないかといった要請があったものとか、あるいは、最近でいいますと、林道の整備工事につきまして、イヌワシの営巣地の近くを通るのではないかということで工事の中止の要請があったもの、そういったものなどがございます。
 これらのうち、山岳トイレ整備工事など2件につきましては、一定の御理解を得て工事を進めているところでございますけれども、ほかの5件につきましては、なお要請を受けまして、現地調査の実施とか、それから振興局に希少種保護検討委員会というものを設けているんですけれども、そこでの継続検討というようなことになっている状況でございます。
 その方策、しなやかなということでありますけれども、やはり自然環境の保全というものと、それから、県民の安全・安心というものは、相互に調整あるいは調和した形で話し合いをしながら円滑に進めていくということが非常に大事だと考えております。それで、私たち、事後のいろいろな摩擦をまず最初に避けるような方策が大事だと思っておりまして、これまで振興局の希少種保護検討委員会のほうには、自然保護団体の方とか専門家の方々に入っていただいて、保全方法などについていろいろと議論していただくというような取り組みをしております。
 それから、要請があった場合には、自然保護課等が窓口になりまして、環境保健研究センターの研究員とか大学の先生などとともに、まず現地をきちんと見ましょうということで、現地調査を行っております。それで、さまざまな科学的な知見とか保全方法などのアドバイスをいただきまして、そのアドバイスと、それから岩手県自然環境保全指針とか、あるいは国の基準とか、いろいろな保全の基準がありますので、そういったものなどに……。
〇小田島峰雄委員長 答弁は簡潔に願います。
〇立花自然保護課総括課長(続) 沿って話し合いを持っているという状況でございます。
〇小田島峰雄委員長 この際、吉田環境保全課総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇吉田環境保全課総括課長 渡辺委員からのお尋ねでございますが、四十四田ダムは、昭和43年に完成しておりまして、ダムの耐用年数が80年から100年ということで設定されております。したがいまして、80年であれば2048年、100年であれば2068年というのが耐用年数ということになります。
 それで、昭和57年に新中和処理施設が稼働しました。これに伴って、それまで流入していた炭酸カルシウム等の沈殿物が除かれたということで、その堆砂の勢いが、かつてに比べて大きく減少しております。ですから、以前の状況とは違うというようなことになります。
〇斉藤信委員 最初に、地球温暖化防止対策についてお聞きします。
 温室効果ガス排出量の実態はどうなっているのか、なぜこれが改善の方向ではなくてギャップが広がる方向になったのか、その主な要因を含めて示していただきたい。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 まず初めに、温室効果ガスの排出量の実態でございますけれども、直近のデータであります平成18年が1、358万5、000トンということで、基準年であります1990年に比べまして5.5%増加しております。このため、8%削減の目標の達成のためには、平成22年までに173万8、000トン以上の削減が必要ということでございます。
 それで、増加した原因でございますけれども、1990年からバブル経済がございまして、大体1、500万トンを超える排出量に増加いたしました。その後、経済の動向あるいは排出量削減対策でほぼ1990年並みの排出量に下がったんですけれども、その後、2005年におきまして厳冬等、いわゆる冬が非常に寒かったということで、東北地域は灯油の消費量が非常に多いという影響、それが、一般の事業所とか小売店等の業務部門にも影響があったということがあります。
 あわせて、小売業界の売り場面積の増加とか、あるいは世帯数が依然として増加しておりまして、要は排出単位がふえているということで増加しております。これに対しまして、産業部門は、省エネの努力が浸透しておりまして、横ばいから減少傾向、運輸部門もここに来て減少傾向に入ってきております。
〇斉藤信委員 いずれにしても、このいわて希望創造プランの取り組みと成果でも、地球温暖化対策というのはD評価が多いわけで、私は、岩手の県政で最も力を入れなくてはならない課題の一つだと思いますよ。それが逆行現象になっているというのは、深刻に受けとめなければだめだと思います。
 それで、173万8、000トンを平成22年が目標でしょう。あと1年ですよ。あと1年で本気でこの削減をすると。その具体的な方策、どの取り組みでどのぐらい削減するのか示していただきたい。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 先ほど削減目標量のためには173万8、000トンの削減が必要だとお話ししました。これにつきましては、岩手県の地球温暖化対策地域推進計画におきまして、排出削減対策によって91万9、000トンを削減し、残りの81万9、000トンにつきましては、森林吸収によることとされております。
 この目標達成に向けまして、これまで家庭におけるエコドライブの実践、さまざまな取り組みを行ってまいりました。あるいは事業所における省エネルギーの取り組み、運輸部門におけるエコドライブの普及、あるいは環境対応車等の導入、また、新エネルギーとしまして太陽光発電とか木質バイオマスなど、そういったものの利活用の促進等、さまざまな排出削減に取り組んできたところです。
 こういった取り組みによる成果等もございまして、平成18年から19年までの1年間の削減量ですが、推計で27万6、000トンほどになっております。これは、先ほど言いました排出削減対策91万9、000トンの約3割ということになります。
 平成20年度の数値、これは、現在集計中でございます。そういうことで、今後、排出削減対策の一層の拡充を図るという観点で、本年6月に温暖化防止いわて県民会議を設置いたしました。これを中核とした県民運動の推進、あるいは地球温暖化対策等推進基金を活用した事業の展開などによりまして、目標を達成してまいりたいと考えております。
 そして、どの対策でどのくらいということでございますが、平成22年度にどのくらいの削減が必要か、これは、平成20年度と21年度の排出削減量を推計しなければなりません。そういうことで、今、こちらで一生懸命その推計に取り組んでいるところです。それによりまして、平成22年度にその目標が達成できるよう対策をとりたいと考えております。
〇斉藤信委員 今お話にあった地域推進計画に係る削減目標というのを出しているわけですね。このときが91万8、000トンなんです。今もこの削減量は踏襲して、ふえた分は森林吸収の分がふえる、こういうパターンなんですよ。何か新しい知恵があるわけじゃないんです。このときには8項目の対策、取り組みを出しているんですよ。だから、それぞれでどこまで削減するかという取り組みをしなければだめじゃないですか。推計が出てこなければ対策が出ないなんて、そんなことでは、あと1年間でやれるわけないでしょう。
 例えば、この8項目の中では、自動車依存の高い社会の改善ってあるんですよ。これは車を減らすということです。車がふえたんです、自家用車が。そのことによってCO2の排出がふえたとあなた方が分析しているじゃないですか。ところが、ことし何をやりましたか。環境対応車を買ったら補助しますということをやって、前年比30%車がふえたんですよ。車を減らすという目標を出しながら、あなた方は全く反対のことをやっているのではないですか。車を減らすことこそ必要なのではないですか。
 私は、そういう具体的な、少なくともこの地域推進計画では8項目の方針を立てた。それをどう具体的にやって91万9、000トンをやるのかという明確なプログラムがなかったら、あと1年で絶対行かないでしょう、これは。どうなんですか、それは。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 自動車、運輸部門のお話が出ましたけれども、今年度実施しました環境対応車導入支援事業、これは、環境対応車を導入することによりまして、1台当たりから出る二酸化炭素の排出を抑制すると。あわせて地域経済の活性化という面もございました。そういうことで、まず環境対応車の普及が、運輸部門からのCO2削減には非常に重要だと考えております。
 あと、自動車の保有台数ですけれども、貨物につきましては、もうここ10年ほど減少傾向に入っておりまして、軽油の消費もどんどん落ちております。また、自家用自動車も2006年から減少に転じておりまして、ガソリンにつきましても消費が落ちてきております。そういうことで、運輸部門は、もちろん県だけの対策ではございませんけれども、国、県民と一丸となって削減に取り組んでおりますので、そういった成果は徐々に出てきていると考えております。
〇斉藤信委員 私は、2010年目標達成についてという文書をいただいた。ここでどういう分析がされているかというと、運輸部門、これは全体の排出量の21.4%を占める。排出量の多くを占める乗用自動車の保有台数の増加、これは基準年比50%増なんですね。この排出量が大幅に増加した。基準年比44万4、000トン、43.9%増加。あなた方がこうやって分析しているときに、本気でやろうとしたら車を減らす作戦が必要なんですよ。
 そういう意味では、8項目の柱を立てたわけだから、例えば積極的な省エネ普及、これは何をどうするのか。森林資源の利活用、何をどうするのか。チップボイラーでもペレットでも、取り組み状況はD評価ですよ。D評価ですよ。努力した結果じゃないんですよ。進んでいないのですよ。
 だから、これは今、本当に地球的に最も重要な課題で、環境王国とあなた方は言っている。私は、王国なんておぞましいと思うけれども、あなた方が王国と言うんだったら、思い切ったそういう具体的なプログラムが必要なのではないですか。これでは行きませんよ。これは、1年たって、結果はこうでしたということしか出てきませんよ。
 部長、せっかく地域推進計画を立てた。8項目の目標も立てた。それを具体的にどう進めるか、そのための具体的な事業はどうやるか、これがなかったら行かないのではないですか。
〇松川環境生活部長 8%削減の目標を達成できるかどうか、こういうようなお尋ねでございます。
 平成17年につくりました地域推進計画でお話をいただいていると思いますが、この具体的な目標を達成できたかどうかということにつきましては、実は毎年、本県の二酸化炭素排出量を公表いたしております。いわゆる、それからどう減らしていくかという具体的な対策が必要だということを考えておりまして、直近のデータが平成18年の量をことしの8月に発表させていただきました。その結果、1990年比8%削減のためには、先ほど課長が答弁申し上げた削減の量が具体的に必要だということでございます。そのために、これは、なぜこういうタイムラグが生じるかといいますと……(斉藤信委員「タイムラグなんか聞いていない」と呼ぶ)
 結局、要は8%削減目標が達成できたかどうかを検証するのは、基本的に、本県の平成22年の二酸化炭素排出量が、1990年比8%削減になったかどうかによって検証されるわけでございます。ところが、国のエネルギー統計から本県分を算出して発表している関係上、平成22年の排出量は、25年度に判明するしかないという状況でございます。したがって、平成18年の排出量を公表させていただいて、それから以後の削減努力の分をできるだけ精度の高いもので推計をしていく。そして平成22年度これだけの削減量が必要だという対策を、具体的に目標を掲げて取り組みをすると。そういうことによって、8%削減の目標を達成していきたいと思っているわけでございます。
 先ほど課長から申し上げましたように、2005年のように、厳冬があると灯油の量が増嵩するということがございますので、だから確実にこうだと、いわゆる自然条件の部分もありますので、そういったことはあるわけでございますけれども、ただ私どもとしては、今そういう推計をできるだけ確度の高い形で積み上げてこの8%の目標を達成したいと、こういうことのために、平成18年度公表いたしました排出量に対し、どれだけの削減量が必要かというものを割り出して、それを確度の高い形で積み上げをしていく、必要な対策を具体的に講じていくと、こういう考えでございます。
〇斉藤信委員 今、公表されているのは2006年ですか、そうですね、平成18年。それでさっき担当課長が、それから27万6、000トンぐらいは削減をされているようだと。しかし、いいですか。2006年段階で削減量が必要な数は173万8、000トンだと。そのうち、91万トンは地域計画のとおりやるのですよ。ふえた分は森林吸収でと。あなた方、いいかげんな計画なんですよ。削減する量は全然変わっていないんですよ。だったら、91万トン削減する具体的なプログラムがなければだめでしょうと私は言っているの。推計値が出てからやったら、1年過ぎちゃうじゃないですか。そしたら、過ぎてから結果がこうでしたということにしかならないじゃないですか。そんなことではないでしょうと。私が言っているのはそういうことですよ、わかりますか。
〇松川環境生活部長 御質問の意図はよく承知いたしております。そういうことですからこそ、具体的に今、平成19年度の取り組み、平成20年度の取り組みによって、具体的にどの程度削減できたのかという確度の高い積み上げをして、平成22年度こういった取り組みをやれば、基本的に目標を達成できる程度の削減が可能になるというような推計をしながら、具体的に達成するための取り組みを進めようと、こういう考えでございます。したがって、平成20年度の推計を、例えば平成22年度までかかってやるというような考えはございません。今年度にそういう推計をしつつ、平成22年度の取り組みの計画を具体的に立てて目標達成に向けた取り組みを進めていく、こういうことでございます。
〇斉藤信委員 例えば平成21年度の事業計画を見たって、どのぐらいCO2を削減できるかと言ったら、何もないですよ、率直に言うけれども。21年度の予算事業で、ありますか。せっかく8%削減を掲げたけれども、私はあなた方の根拠が全くないと思うんですよ。八つの課題も出した。私が紹介した八つの課題、この時点では全部削減量が出ているのですよ。積雪寒冷地としての対策は16万9、000トン、自動車依存の高い社会の改善26万9、000トン、積極的な省エネの普及23万9、000トン、新エネルギーの利用11万1、000トン、エコライフの社会の構築12万2、000トン。だったら、これをどこまでやるのかということでしょう。それが私は21年度の事業にはないですよと言っているんです。やっぱり具体的にやらなかったら、目標を掲げればいいというものでもないんですよ。目標を掲げたらそれに本気で接近すると。まさに全地球的な、新しい長期計画でいけばグローバル化と言われているけれども、最もグローバル化の課題でしょう。環境王国の岩手の取り組むべき点はどうなんですか。私はそこを言っているんですよ。これ以上議論するつもりはないけれども。
 だったら、率直に言って、例えば今年度の事業で、どのぐらいCO2が削減できるという目標になっているんですか。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 委員御指摘のとおり、これまでその事業によってどれだけのCO2を削減するという個別事業に基づいた目標は立てておりません。また、今委員から御紹介いただきましたこの計画のほうの8項目の取り組みによる削減量、これは基本的には県でやるというものではなくて、先ほど言いましたけれども、事業者、県民、そういった方々がこのくらい取り組めばこのくらいになるだろうと。例えば高断熱住宅がどのくらい普及すればとか、そういうものですので、県としては、こちらでできる対策でどれだけのCO2が削減できるか。これは先ほど言いましたとおり、これまでそういう目標を立ててきておりませんでした。ただ、今、部長がお話ししましたとおり、平成22年度の対策においては、今回の事業の検証も踏まえて、どの事業でどれだけ削減をするという目標を持って取り組みたいと考えております。
〇斉藤信委員 国の目標だって県の目標だって、これは責任があるんですよ。ただ、県だけでやるなんていうことは私は一言も言っていない。それは大体8割は事業者ですから、この排出量は。私は事業者の責任は極めて重要だと思いますよ。だから、目標をやろうとしたら、東京のように、事業者に対してきちんと排出削減目標を出させるということも必要なんですよ。その具体的な課題が八つのことで、あなた方一度は出したんです。具体的に、八つの課題でこれだけ削減すると。だったら、それを毎年毎年具体化してやっていかなければならない。私はそのことを言っているんですよ。県だけでやりませんなんて、そんな無責任な話じゃだめですよ。8%削減目標に県が責任を持って、事業者とともに、県民とともにやると、そういうことじゃないんですか。
〇松川環境生活部長 御指摘のとおりでございます。私ども、この目標達成にもちろん本気で取り組んでまいりたいと思っておりますし、県だけで達成できるものではない。そのために本年度6月に、先ほど御答弁でも申し上げました県民会議をつくりまして、県民の方々、事業者の方々と連携をいたしまして、何とかこの8%削減目標を達成してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 私が取り上げているのは、これから25%削減しようという話じゃないんですよ。岩手県が、もうかなり前に決めた8%を必ずやるべきだということを提起しているので、勘違いしないでくださいよ。決めた責任ある目標をやるべきだということを私は提起している。県政の最も重要な課題だから、やっぱり部長がそういう強い意思を持ってひとつやっていただきたい。
 次に、消費者行政の抜本的な強化についてお聞きをいたします。
 消費者庁が設置をされまして、今、全国的に消費者行政というのは抜本的に強化をされようとしている。見通しはまだまだあいまいです。岩手県の消費者行政の現状はどうなっているでしょうか。
 昨年実施をした弁護士の多重債務相談の成果はどうなっているでしょうか。
 消費者庁の設置に対応した今後の取り組みの強化、どういうふうに図る予定でしょうか。
〇小川県民生活安全・消費生活課長 県の消費者行政に対する取り組みについてでございますけれども、岩手県では、岩手県消費者施策推進計画に基づきまして、消費者の自立支援のための施策を、総合的かつ体系的に推進しているところでございます。
 具体的には、消費者被害の救済のため、県民生活センターや広域振興局等、11カ所で消費生活相談員を配置しまして、消費者からの苦情や相談に対応しておりますほか、消費者への悪徳商法に関する情報提供や教育の機会提供を通して、消費生活セミナー等の消費者啓発講座の開催、商品の安全確保のための商品テストの実施、物価安定対策としての生活関連物資の監視調査などを行っております。このほか、消費者契約の適正化を図るため、特定商取引に関する法律や岩手県消費生活条例等の法律に基づきまして、違反事業者に対しては行政指導や処分を行っているところでございます。
 次に、多重債務者に対する弁護士相談の成果についてでございますけれども、平成20年度、県の弁護士会の協力を得まして、県内12カ所の振興局を会場にいたしまして、年間360回の弁護士無料相談会を開催したところでございます。
 その結果でございますけれども、総相談件数が1、826件、うち多重債務関係が1、465件でございます。この多重債務相談における1人当たりの平均借入件数ですけれども5件でございまして、また、平均負債額は、住宅ローンも含めて約550万円になっております。
 成果といたしましては、多重債務相談1、465件の相談のうち、委任を受けまして弁護士が債務整理に着手したものが621件となっております。
 次に、消費者庁の設置に伴う県の取り組み関係でございますけれども、消費者庁の設置に対応した取り組みの強化としましては、新たにこの消費者庁が設置されることに伴いまして、自治体におきましては、消費者事故等の国への通知義務、全国共通の相談電話番号加入による相談の増加、国の消費者行政一元化に応じた相談対応の強化などの新たな事務への対応が必要となっております。このため、県におきましては、このような事務に的確に対応できるよう、消費者行政活性化基金を活用しまして、消費生活相談員の増員や高度で専門的な消費生活相談員への対応力の向上など人的体制の強化を図っているほか、市町村における窓口設置や相談員の資質向上に向けた支援を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 弁護士相談は大きな成果を上げたと、私はそう思います。実は、全国的には、これ国民生活白書に出ているんですけれども、こういう消費者の悪質な訪問販売などの消費者被害というのは、最大3兆4、000億円と見込まれていると。経済的損失ですよ。すさまじい規模です。ところが、全国的にはこの消費者行政というのは予算が半分、人員も半分近くにこの間減らされてきたと。いわば事態が深刻になってきているのに、消費者行政というのは縮小してきたと。岩手の実態はどうなっているのか、どのぐらいの経済的損失、被害というのが推計されるのかわかったら示していただきたい。
 ただ、全国と比較して相対的に評価しますと、岩手県は消費者相談センターの配置などでは全国的には一番箇所が多いんです。盛岡市は全国のまさに典型というふうに評価をされていますから、私は岩手県は相対的には頑張っているほうだと思います。
 被害額の推計、そしてこの間、岩手の場合もそのぐらい予算や人員というのが減ってきたのかどうか、このことを示していただきたい。
 それともう一つは、国が1人当たり消費生活相談員、これはまさに専門家で、手口もどんどん悪質化する中で、それに対応する専門的力量を持った消費者生活相談員ですけれども、1人150万円から300万円に引き上げるという交付税措置がされていると思いますが、私は抜本的にこれは岩手県もそれを受けて改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇小川県民生活安全・消費生活課長 県内における消費者被害額でございますが、委員御指摘のとおり、全国で3兆4、000億円ということでございますので、これを人口割りして出すしかないのではないかと思っております。いわゆる、盛岡市も同様な形で被害額を出しておりますので、それを県民の皆様への情報提供という形で、被害額は算出しているところでございます。その被害額が減少したか否かについては、ちょっと把握しておりません。
 それから、平成21年度から、地方交付税措置に伴いまして消費生活相談員の報酬額が倍増したということの関係でございますが、消費生活相談に従事する非常勤の相談員の報酬につきましては、毎年度、他の類似の相談業務を行う婦人相談員、児童保護相談員等の非常勤職員との均衡を考慮した報酬額としているところでございまして、今般、消費者庁の創設や消費者安全法の実施に伴いまして、県民生活センターが市町村支援の中核センターとして機能強化を図る必要があり、また、それに伴いまして、相談の高度化や件数の増加なども予想されますので、その報酬額については、そのような状況や他県の状況などを勘案しながら、改善に向け検討していきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。本日、2回目でございます。
〇斉藤信委員 ちょっとこれが早かったような気がしますがね。まだ30分たっていないですね。ちょっと早かったですね。わかりました。
 今の答弁、せっかく国がそういうふうに待遇改善をすると、交付税措置もしますとやっているときに、何かよく見えない答弁でした。もちろん、均衡は大事ですよ。均衡は大事だけれども、本当に今の業務の重大性、緊急性、人員確保も含めてそういう措置を出されているわけだから、そこをてこにして、全体を改善するということが必要なんではないか。これは最後、部長にお聞きしたい。
 そして最後の質問ですが、これで終わりますが、六ヶ所村の再処理工場問題について、もう昨年からことしにかけて六ヶ所村の再処理工場、事故が続出していますが、この事故の状況をどういうふうに把握しているか。
 先日、NHKで、原発解体というスペシャルがありました。原発施設は、もう既に日本も解体の時期に入ってきています。しかし、解体の方策がない。解体したものを処分する処分場もない。私、こういう中で、一般の原発よりも危険なプルサーマル、核燃料サイクルというのは、私はもう進めるべきじゃないと。東海原子力事故から10年ですか、たったのは。あの問題でさえまだ解決していないのに、私はそのことを今、本当に三陸沿岸漁民が大変心配している中で、岩手県として必要な対応策をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇松川環境生活部長 報酬額に係るお尋ねでございますけれども、この報酬額につきましては、県民生活センターにおいて、この消費者安全法の施行に伴いまして、さまざまな相談内容も高度化したりあるいは増加してくるのではないかといったことが想定されているわけでございます。いわゆる県民生活センターにおける業務の質、量の状況、こういったことを勘案するとともに、他県の状況も調べまして検討させていただきたいと考えております。
〇吉田環境保全課総括課長 六ヶ所村の再処理工場の事故の状況についてでございますが、六ヶ所村の再処理工場では、現在、アクティブ試験の第5ステップを継続中でございますが、ガラス固化試験におけるガラスの充てん不足など、7月末までで239件の不適合があったと聞いております。1月下旬から2月にかけましては、高レベル放射性廃液の漏えいが確認されております。
 なお、この際には、外部への流出はなかったと伺っております。
 次に、原子力発電所の解体についてでございますが、運転を終了した原子力発電所としては、福井県敦賀市にあるふげん及び茨城県東海村にある東海発電所二つについて、廃止措置計画が認可されております。原子炉本体の解体についてはまだ着手されていないものの、使用済み核燃料の搬出は行われていると聞いてございます。
 原子力政策につきましては、我が国の産業や国民生活を支えるエネルギーの確保という重要な役割を担っておりまして、国の責任において十分な安全審査を行い、国民の理解を得ながら進められるべきものと考えております。
〇小野寺好委員 廃棄物適正処理について伺います。
 いつごろから始まったかちょっと定かではないんですけれども、県外ナンバーの車で、自転車、バイク、パソコン、ゲーム機、廃家電、こういったものを反復継続して、業として無償で回収、運搬されているという実態があります。これに関して、一つ、回収業者の位置づけはどうなのか。二つ目、回収した後どのように処分されているか、もしわかればお知らせいただきたい。3番目、いい面として、これによって道端、河川、雑木林への不法投棄が減っているのではないかという気もしますが、どうでしょうか。4番目、適正な処理料金を支払っている者との均衡はどう考えるか。5番目、この無償回収について法的責任はないのか。最後、他県はどのように対応しているか、お聞きしたいと思います。
〇谷藤資源循環推進課総括課長 廃家電等を回収している業者、ここ数年、県内でも動いているということで、我々としても把握はしてございます。ただ、廃棄物といたしますと一般廃棄物ということになりますので、市町村を通じて情報を得ているところでございますけれども、回収後につきましては、関東方面の事業者を経由して、海外に部品とかあるいは中古といった形で輸出されているといったような情報を得ていると聞いてございます。
 この位置づけでございますけれども、いわゆる資源回収業の範囲になってくると廃棄物処理法の対象にはなってこないという、非常に微妙なところがございます。現在、家電リサイクル法がございますけれども、これらはテレビ、冷蔵庫あるいは冷凍庫、それからエアコン、洗濯機、こういった4品目を指定してございまして、これらについては、その法に基づいて、廃棄物になった場合にルートが整備されて適正に処理する流れがございますけれども、必ずしもこれに乗らないで処理されている。先ほどのように輸出されたりとか、そういったものも実態としてあるということでございます。この家電リサイクル法はそこまで禁止をしているものではないということで、非常に今の法律の中では適用が難しい状況になっているのかなと思ってございます。ただ、こうして回収したものを不法投棄等された場合には、廃棄物処理法の違反ということで、指導の対象になるものと考えてございます。
 不法投棄でございますけれども、因果関係ははっきりしないんですけれども、家電リサイクル法が施行された以降、調査されているデータがございます。これは市町村が不法投棄された廃家電、先ほどの4品目を処理した台数として把握してございますけれども、平成15年には1、371台あったものが平成19年度には925台ということで、年々減少してきている傾向にはなっていると承知をしてございます。
 廃家電のリサイクルに係る料金というのは、リサイクルをするルート、事業者によって例えば洗濯機何千円とか、テレビという形で料金が示されてございますので、それらを廃家電として処理のルートに乗せるときには消費者、いわゆる排出する方がそのお金を出してやるということで、その分の差額がちょうど差になっているということでございます。
 法的な責任ということになりますと、廃棄物ということになりますと一般廃棄物ということになります。それから、家電リサイクル法の対象という形でありますと、経済産業省の所管の部分というのもございます。どういった実態で動いているのかということをもう少し確認をしてみないと、どういった法が適用になるのかということは、今の段階でなかなかはっきりと言えないのかなと思ってございます。
 他県の状況ということもございましたけれども、他県でも同じような状況として、廃棄物の処理法から見ると、非常に取り扱いの悩ましい状況になっていると考えてございます。
〇小野寺好委員 一番の問題は、まじめに対応している人はどうなのかと、その部分かと思います。例えば盛岡の場合は、自転車の場合に、コンビニに料金を払って、その払ったという証明書をくっつけてごみステーションに出す。また、家電については、買いかえの場合は業者にお金を払って処理をしてもらう。そうじゃない場合は、自分で郵便局にお金を払って、その紙と廃家電を持って、例えばこの辺であれば流通センターのほうに持っていくとか、非常に手間とお金がかかっている。そういうまじめにやっている人とそうじゃない人とのこの不公平感。しかも、報道によりますと、中国の奥地のほうで、日本から集めたようなのを野焼きして貴重な金属なんかを取り出していて、その周辺では非常に健康被害が出ている、そういったことに加担していることになるんじゃないのかと。そういったことについて部長、所見をお伺いして終わりにします。
〇松川環境生活部長 ただいま総括課長から申し上げましたとおり、まだ実態のほうがよく私どもで把握がされておりません。もう少し実態について調査をさせていただきまして、法に抵触するような事態があるとすれば、適切に対応させていただきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、環境生活部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時42分 散 会

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