平成21年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成21年10月13日(火)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長     大 矢 正 昭
  議事調査課
  総括課長     浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     石木田 浩 美
  主任主査     岩 渕 伸 也
  主任主査     鈴 木 文 彦
  主任主査     藤 原 由喜江
  主査       菅 原 俊 樹
  主査       大 森 健 一
1説明員
  知事       達 増 拓 也
  副知事      宮 舘 壽 喜
  企画理事     藤 尾 善 一
  会計管理者    古 内 保 之
  総合政策部長   高前田 寿 幸
  副部長兼
  首席政策監    中 村 一 郎
  政策推進課
  総括課長     木 村 卓 也
  政策課長     小 向 正 悟
  評価課長     高 橋   勉

  地域振興部長   加 藤 主 税
  副部長兼
  地域企画室長   工 藤 孝 男
  地域振興支援室長 菊 池 正 佳
  市町村課総括課長 小 原 敏 文

  総務部長     菅 野 洋 樹
  副部長兼総務室長 菊 池 俊 夫
  予算調製課
  総括課長     八 矢   拓

  警察本部長    保 住 正 保
  警務部長     島 村   英
  会計課長     内 山 新 次

  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長     奈須川 博 司
  監査第二課
  総括課長     小 原 一 信
〇大矢議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま局長から御紹介いただきました菊池勲と申します。何とぞ、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りをいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りをいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に小田島峰雄君を指名いたします。
 お諮りをいたします。ただいま当職において指名した小田島峰雄君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました小田島峰雄君が決算特別委員長に当選をされました。
 ただいま当選されました小田島峰雄君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 小田島委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔決算特別委員長小田島峰雄君委員長席に着く〕
〇小田島峰雄委員長 ただいまは、委員各位の御推挙により、決算特別委員長に御指名をいただきまして、大変光栄に存じておる次第であります。
 何分にも経験の浅い私でございますけれども、委員各位の御協力を賜りまして、公平、公正に職務を全ういたしてまいりたいと存じます。何とぞ、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に高橋雪文君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した高橋雪文君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋雪文君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました高橋雪文君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 高橋副委員長、ごあいさつを願います。
〇高橋雪文副委員長 ただいまは、委員各位の御推挙により決算特別副委員長に御指名をいただき、大変光栄に存じている次第であります。
 委員長を補佐し、委員会を円滑に運営できるよう、皆様の御協力をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)
〇小田島峰雄委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から16日まで、19日から22日までの8日間は、会計管理者及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算15件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月22日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成20年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成20年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算までの15件を一括議題といたします。
 これより会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇古内会計管理者 それでは、平成20年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料といたしまして、歳入歳出決算説明書をお配りしております。
 まず、決算の概況について、便宜、歳入歳出決算説明書等に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成されました平成20年度一般会計歳入歳出予算は、いわて希望創造プランを着実に推進するため、希望の芽を守り育てる希望創造予算として6、583億5、151万円が措置され、義務的経費を中心とした骨格的予算であった前年度の当初予算に比べまして381億8、226万円、5.5%の減となりました。また、6月補正予算以降におきまして、岩手・宮城内陸地震に係る災害復旧・復興事業、厳しい経済情勢に対応した県単融資制度の貸付金の増額及び国の交付金を活用した基金の造成などに263億1、581万円の増額補正が行われました。これに前年度からの繰越額207億4、749万円を加えた結果、予算現額は7、054億1、481万円となり、前年度に比べますと394億2、345万円、5.3%の減となったものであります。
 なお、減額となった要因につきましては、決算の特色のところで改めて説明させていただきます。
 次に、歳入についてでありますが、恐れ入ります40ページ及び41ページをお開き願います。まず、収入済額は6、834億6、380万円余で、前年度と比べますと476億3、592万円余、6.5%減少し、予算現額に対しまして96.9%、調定額に対して98.2%となりました。
 なお、収入未済額は121億7、831万円余で、前年度に比べまして22億8、060万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
 次に、歳出についてでありますが、少しページを飛びまして48ページ及び49ページをお開き願います。支出済額は6、728億8、501万円余で、前年度に比べますと483億4、082万円余、6.7%減少し、予算現額に対します支出済額の割合は95.4%となりました。また、翌年度繰越額は271億8、111万円余で、前年度に比べまして64億3、362万円余増加いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費、農林水産業費及び災害復旧費であります。
 なお、不用額は53億4、867万円余で、前年度に比べまして24億8、375万円余増加いたしました。
 次に、実質収支の状況についてでございますが、少し戻っていただきまして38ページ及び39ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入総額は6、834億6、380万円余、歳出総額は6、728億8、501万円余であり、歳入歳出差引額は105億7、878万円余となったものでございます。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源62億3、936万円余を差し引きました実質収支額は43億3、942万円余の黒字となりました。
 次に、一般会計の決算の特色についてでございますが、恐れ入りますが歳入歳出決算説明書の1ページに戻っていただきたいと思います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、まず第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、県債、繰入金、地方交付税、県税などの減少によりまして、前年度を476億3、592万円、6.5%下回り、歳出におきましては、公債費、衛生費、災害復旧費などの減少によりまして、前年度を483億4、083万円、6.7%下回ったものであります。この主な要因は、平成20年度新たに設置いたしました公債管理特別会計に、借換債の借り入れや県債償還などに係る経理を移行したことによるものでありまして、平成19年度決算額から公債管理特別会計に相当する額を控除した額との比較におきましても、歳入で44億7、535万円、0.7%、歳出で51億8、025万円、0.8%それぞれ前年度を下回ったものであります。
 第2には、実質収支が黒字となったことであります。厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効果的な執行に努めました結果、実質収支は43億3、942万円の黒字となっております。
 第3には、自主財源が減少したことであります。自主財源は、基金繰入金等が減少したことによりまして、前年度に比べ102億1、834万円、3.8%減少しております。また、依存財源は県債等が減少したことによりまして、前年度に比べ374億1、759万円、8.1%減少しております。この結果、歳入総額に占める割合は、自主財源が前年度より1ポイント増加し37.5%に、依存財源が1ポイント減少し62.5%となっておりますが、公債管理特別会計相当額を控除した額との比較においては、自主財源が1.3ポイント減少し、依存財源が1.3ポイント増加しております。
 恐れ入りますが2ページをお開き願います。第4には、県税収入が減少したことであります。県税は、所得税から個人県民税への税源移譲による増加要因もございましたが、世界不況の影響によりまして、法人県民税と法人事業税の法人2税や軽油引取税等が減少いたしまして、前年度に比べ51億6、283万円、4.0%減少しております。
 第5には、義務的経費が減少し、その他の経費は増加したことであります。義務的経費は、公債費、人件費が減少したことにより、前年度に比べ577億8、674万円、16.0%減少しております。また、投資的経費は、災害復旧事業費等が減少したことによりまして、前年度に比べ65億9、515万円、5.1%減少しております。その他の経費は、ふるさと雇用再生特別基金など、基金への積立金等が増加したことによりまして、前年度に比べ160億4、106万円、7.0%増加しております。この結果、歳出総額に占める割合は、義務的経費が前年度より5ポイント減少し45%に、投資的経費は0.3ポイント増加し18.4%に、その他の経費が4.6ポイント増加し、36.6%になっております。
 なお、公債管理特別会計相当額を控除した額と比較した場合は、義務的経費は1.8ポイント、投資的経費は0.8ポイントそれぞれ減少し、その他の経費は2.6ポイント増加しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算について御説明申し上げます。今度は、歳入歳出決算書の20ページをお開き願います。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入合計は、次の23ページに記載されておりますとおり1、961億9、801万円余であり、収入未済額は17億9、701万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計におけます中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出合計額は、ページを少し飛びまして、26ページに記載されておりますとおり1、923億3、351万円余であり、実質収支は各会計とも黒字となりました。
 以上で、決算の概要説明を終わらせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところであります。
 また、なお、今般明らかになりました県警察本部の不適切な会計処理事案などについては、これを重く受けとめ、今後、各部局への指導や適切な出納審査を通じ、県民皆様方の信頼回復に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〇小田島峰雄委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が47分、次に、自由民主クラブが29分、次に、政和・社民クラブが23分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順にそれぞれ7分となっております。各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす、遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。中平均委員。
   〔中平均委員質問者席に着く〕
〇中平均委員 民主党の中平均であります。会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。知事初め執行部には、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、最初に、決算審議の前に、先般の台風被害についてお伺いしたいと思います。
 先週、大型で強力な台風18号が日本列島を横断したところであり、被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
 そこで、県内においての被害状況、被害金額は今現在でどうなっているのか、まずお伺いいたします。
〇菅野総務部長 現在判明している被害状況等について申し上げさせていただきます。
 まず最初に、避難状況でございますが、久慈市、普代村及び野田村におきまして、河川の水位上昇により、一部の地区に避難勧告が発せられたところでございますし、また、釜石市ほか4市町村においても、数世帯が自主避難されたところでございます。翌日にはすべて避難勧告が解除されるなどいたしまして、すべての方が帰宅されている状況にございます。
 次に、被害の状況といたしましては、人的被害は現在のところ報告されておりません。住家被害として、屋根や窓ガラスの破損などの一部破損が88棟、床上浸水が1棟、床下浸水が24棟となっております。
 公共土木施設や水産関係施設等につきましては、路肩決壊やのり面崩壊などの道路被害、養殖施設や漁船の破損などの水産関係被害、パイプハウスの倒壊やリンゴ落果被害などの農業関係被害、校庭等の電柱破損や校舎の雨漏りなどの学校被害など、広範囲にわたり被害が報告されております。現在、被害額も含め、関係部局が詳細な調査を行っているところでございます。
〇中平均委員 人的被害がなかったということは、まず何よりだったと思います。ただ、ただいま説明があったとおり、公共土木関係、水産また農業各関係の被害もあったということでございますので、この被害額の取りまとめ、また、迅速な復旧作業等に当たっていかなければならないと思いますが、そのスケジュールについてどのように考えているか、お伺いいたします。
〇菅野総務部長 ただいま被害状況を鋭意取りまとめ中と御報告申し上げましたが、今後、被害状況を詳細に調査の上、国それから関係機関と連携を図りながら、迅速な復旧に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 今行われているのは、平成20年度の決算の総括質疑であります。中平委員の質問は、平成21年度の、つい最近の質問をしているわけであります。今回の総括決算に当たっては、委員長、平成20年度の決算と、こういうことで議事を進行するという役目にあると思います。例えば、去年の災害に関してどうだと。ところでと、こういう聞き方もあるかもしれませんけれども、そこは委員長のほうで─いきなりことしの話をできるということであれば、決算ではなくてもう来年も含めて、そういったことの質疑ということであれば何でもありの話になってしまうのではないかと思うところでありますので、委員長には、そこをしっかりと進行していただきたいということであります。よろしくお願いします。
〇小田島峰雄委員長 中平均委員には、平成20年度の決算を中心に質疑をいただきますよう、御留意願います。
〇中平均委員 はい。昨年度の災害もあって、迅速な復旧という点でさまざま問題も出たところでありました。そういった意味におきまして、今回の災害復旧におきましても迅速な対応ということをよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、平成20年度決算についてお伺いしてまいります。
 平成20年度は、10月のリーマンショックに端を発した世界の同時不況、6月、7月の2度にわたる地震災害、平泉世界遺産登録の延期、医療崩壊の危機を回避するための県立病院再編といったさまざまな問題が発生した年度でありました。平成20年度決算は、前年度決算との対比で、歳入で476億円余、歳出で483億円余の減少、公債管理特別会計の設置による影響を考慮すると、歳出で51億円余、歳入で44億円余の減額となっています。税収も、決算で前年度対比51億円余の減額であり、財政運営に厳しさが年々増しているこの状況を踏まえて、平成20年度決算について順次質問させていただきます。
 まず初めに、平成20年度決算についての所感を知事にお伺いいたします。
 平成20年度予算は、達増知事が就任して初めての本格予算であり、希望創造予算と銘打っての予算編成でありました。重点としていたのは、いわて希望創造プランに盛り込んだ四つの重点目標、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、地域医療の確保、この4点に重点を置いて編成していましたが、前述したとおり、予想外の世界同時不況等の発生もあり、この点を踏まえて、平成20年度県行政の成果と課題をどのように認識しているか、お伺いいたします。
〇達増知事 平成20年度予算は、いわて希望創造プラン推進のための第一歩の予算として編成し、希望創造プランに掲げた四つの重点目標の実現に向け、ものづくり産業の集積の加速化、食や観光など本県の個性や豊かな資源を生かした産業振興、医師確保対策を初めとする地域医療の確保などに取り組みました。また、2度にわたる大きな地震や、秋以降の金融危機に伴う世界規模での経済の減速によりまして、希望創造プラン策定時よりも県民の暮らしや仕事を取り巻く状況が厳しさを増していることにかんがみて、6月補正以降5度の補正予算を編成し、災害復旧事業や観光風評被害対策など、地震災害からの復旧・復興対策、いわて農商工連携ファンドの組成や県単融資制度の拡充など、県内中小企業等への支援、緊急雇用創出事業臨時特例基金などを活用した雇用対策、そして灯油高騰対策や新型インフルエンザ対策など、県民生活の支援などに力を注いだところであります。
 こうした取り組みによりまして、ものづくり産業分野における産学官連携が推進されるとともに、女性医師の職場復帰や即戦力医師の招聘などが進みました。また、県外転出者数の減少や県外からの定住者数の堅調な推移等により、人口の社会減に歯どめの兆しが見られたことなど、希望創造プランの重点目標の実現に向け、着実に進んでいるものと認識しております。しかしながら、有効求人倍率や新設住宅着工戸数の低迷、さらには病院勤務医の不足など、依然として社会経済情勢や地域医療を取り巻く環境等が厳しい状況にありますことから、新しい長期計画のアクションプランにおいても、希望創造プランの重点目標と同様の目標を政策推進目標として掲げ、引き続き注力していくこととしているところであります。
〇中平均委員 わかりました。では、引き続いて質問してまいります。
 知事は、プライマリーバランスの単年度均衡ではなくて、複数年での均衡を図ることを目標とし、平成22年度までにその均衡を達成する見込みで財政運営を行ってきたと認識しています。しかしながら、社会情勢の急激な変化により、平成22年度の均衡達成は無理なことの説明が先般あったところです。この件に関して知事の所見を伺います。
〇達増知事 先般発表しました岩手県の今後の収支見込み等では、厳しい経済情勢の中、県税収入の減少に加え、国の財政措置として、地方交付税の振りかえとして臨時財政対策債が大幅に増発されるなど、県債への依存が継続すること等により、当面、プライマリーバランスは赤字基調と見込まれるところであります。
 臨時財政対策債は、地方財政全体の財源不足に対処するために制度上設けられたものでありまして、その償還に当たっては、後年度に地方交付税措置がなされるものではありますが、近年、このように国の施策の選択に伴い、発行を余儀なくされる地方債が多額となっていますことから、地方の立場から、地方債の発行総額等を計画的にコントロールすることが事実上困難な状況となっております。したがいまして、地方の財源を十分に確保できるような税財政制度改革を国に求めてまいりますとともに、引き続き県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを目指して、県として主体的に管理可能な通常の地方債については、県債残高の増加要因とならないよう、発行規模を適切に管理していく考えであります。
 同時に、今後しばらく県債償還の増加が見込まれます中で、財政運営に支障が生じることのないように、事務事業や管理経費の見直しを含めて、より一層の行財政改革を推進して、持続可能な財政構造を構築してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ただいま御説明がありましたプライマリーバランスの赤字基調の原因としては、県税収入の減少に加えて、地方交付税の振りかえとしての臨時財政対策債の増発、結果として、県債への依存が継続していることが要因との説明でありました。
 実際、決算書等を見ましても、発行額も、平成19年度888億円が平成22年度見込みで1、076億円。そのうち、臨時財政対策債も229億円から543億円と、県財政に占める割合も増加していくということが見込まれています。そういった中で、平成20年度決算の中での県税と地方消費税清算分の減額、これを県債でそのまま穴埋めしているというような数字が読み取れるんでありますけれども、この県税収入の減額の要因をどのようにとらえているかという点、そして、それを踏まえて、先ほどの答弁と重複するかもしれませんが、知事は、このような厳しい財政状況をどのように見ているのか、この2点についてお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 それでは、まず厳しい財政状況に関する認識について先にお答えさせていただきますと、歳入面では、景気低迷等による県税収入の減少、そして近年の地方交付税の削減によりまして、県債に大きく依存せざるを得ない状況であること、また、歳出面では、県債の償還など義務的な経費の支出割合が高い水準にあること、そして、主要3基金の残高が大きく減少しているということで、極めて厳しい財政状況と認識しております。
〇菅野総務部長 昨年秋以降の米国発の金融危機に端を発します景気後退によりまして、県内においても景気が急激に悪化している状況にございます。このような経済状況にありまして、平成20年度の県税決算額は、前年の所得により課税する個人県民税が、税源移譲により前年度決算額に比較して15億300万円余、4.7%の増加になったものの、一方、法人県民税・事業税は、急激な景気後退の影響によりまして、前年度に比較して24億8、900万円余、6.9%の減収、軽油引取税につきましては、暫定税率の失効や軽油価格高騰、急激な景気後退の影響等により21億2、200万円余、12.4%の減収となったこと等により、県税全体では、前年度決算額を51億6、200万円余、4.0%下回るという結果になったものでございます。
〇中平均委員 先ほどの質問、答弁、また今の知事の答弁、それを踏まえても非常に財政が厳しいと。地方債のコントロール、今、なかなか現場でやれないという状況にあるということです。そういった点を踏まえて、先般の全国知事会等においても、このままでは平成23年には全国の都道府県財政は破綻する。制度改正の必要性を訴え、その点について総務大臣も理解しているという感触を得ていると、先週の一般質問において知事の答弁がございました。実際、平成23年度以降、毎年度700億円規模の収支ギャップが見込まれているということでもあります。また、県債の償還ピーク、これも平成27年に来るということで、これから先の財政運営、本当に厳しいというところになりますけれども、そういったところを踏まえた上で、今後の財政運営をどう考えているか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 全国知事会の試算におきましては、今後、地方財政は深刻な状態に陥るとされております。地方の財源不足は、地方税財政制度の構造的な問題が大きな原因となっておりますので、今般公表した収支見込みにおいても、将来、本県でも同様に大幅な収支ギャップが生じる試算となっているところであります。
 収支見通しで示しましたように、適切な財源調整、財源保障がなされる制度的な手当てが不可欠でありますが、民主党の政権公約では、地域主権を確立し、地方政府が地域の実情に合ったサービスを提供できるようにするとされており、このため、一括交付金制度の創設や財政調整と財源保障機能を強化した制度を創設することとされております。
 今後も、全国知事会等を通じ、国に対し、地方税財源の充実強化を強力に要請してまいりますとともに、地方のこの厳しい状況については現政権も把握していると考えておりますが、その実現に向け、積極的に協力してまいりたいと思います。
 同時に、力強い経済社会構造を構築するとともに、多様な主体による公共サービスを担う仕組みづくりを図るなど、あらゆる取り組みを通じて、持続可能な財政構造の構築に向け力を注いでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 先週の一般質問における知事答弁においても、厳しい行財政運営をしていかなければならない。その中で、今後は、多様な主体による行政運営が必要になってくるとの答弁があったと記憶しております。新しい長期計画案にも同様の趣旨が記載されておりますが、その中において、県民の役割というものはどのようになるのか、お伺いいたします。
〇達増知事 社会経済環境が変化してまいります中で、県民の皆さんが求める公共サービスも多様化し、県のみでは十分対応できないものや、あるいは県以外の主体が担ったほうが効果的であるものもありますことから、今後は、県民の方々を含め、多様な主体がそれぞれの役割に応じて、また、ときには連携しながら、公共サービスを提供していく仕組みづくりが必要であると考えております。
 このようなことから、新しい長期計画では、基本目標として掲げた希望郷いわてを実現していくために、県民、企業、NPOや行政など、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら総力を結集していくという、地域経営の考え方に基づく取り組みが必要であるとされているところであります。
 これからの希望あふれる岩手を実現していくためには、県民の皆さんとの協働が不可欠であり、県民の皆さんには、県とともに地域づくりを担うパートナーとしての役割を期待しております。
〇中平均委員 お伺いいたしました。そこの県民の役割というのが具体的にまだちょっと見えづらいところもあると思いますが、この長期計画案等に記載の上で、また厳しい財政環境を乗り切っていく上での今後の知事のリーダーシップに大いに期待したいと思います。
 それでは、質問を続けさせていただきます。歳出削減策についてお伺いいたします。
 先週の一般質問におきまして、小額からの歳出削減と歳入確保の必要性が答弁されていました。歳出削減策における通常経費の削減については、金融機関からの一時借入金の利率交渉や必要機材の一括発注などを行っているとお伺いはしているところでありますが、今後、どのような方法によってさらに削減を行っていく予定なのかをお伺いいたします。
〇菅野総務部長 こういう非常に厳しい財政環境にございますので、あらゆる角度から歳入確保の取り組みを進める一方、お話のありました歳出の徹底の見直しが必要とされているところでございます。
 具体的な歳出の削減策といたしましては、予算編成段階では、政策評価結果等を踏まえまして、事業効果、効率性等を十分検証し、政策の選択と集中を行った上で事業を厳選し、必要最小限度の経費で最大の事業効果を生み出すような事業の経費の精査ですとか、精選を行ってまいりたいと考えております。
 さらに、予算の執行段階におきましては、各種県営施設における管理運営費の節減ですとか、いわゆる契約業務の発注におきましては、一般競争入札や企画競争入札の導入拡大などによりまして、行政サービスの水準を極力落とすことなく、一方で、経費の節減、削減に努めてまいりたいと考えております。
 今後におきましても、このような全庁的な取り組みを通じまして、歳出削減の取り組みをより一層強化してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ただいまお伺いいたしましたが、先週の一般質問でもあったと思うんですが、乾いたタオルをさらに絞るのかと、絞れるのかという質問等もあったと記憶しておりますが、総務部長、どうでしょう。まだまだ絞れるところがあるんですか、お伺いしたいと思います。
〇菅野総務部長 県民の方々によりお役に立つような予算に注力していく、そういった意味で、とにかくゼロベースで見直していくということだろうと思います。中には、非常に小額なものになるかもしれません。例えば、公用車の耐用年数を、極力更新時期を延ばすですとか、あとは電話使用料というのも結構大きなものがございますので、現在、各社のいろんな割引制度が出ておりますので、そういったもののより的確な導入ですとか、あとコピー用紙の両面使用ですか、リサイクル用紙の導入、そういった細かいものでも一つ一つ積み重ねながら、何とか歳入(後刻「歳出」と訂正)の節減に努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 歳出削減について、非常にもう何回もプログラムを組んでやってきている中で、厳しい段階に来ているんだろうというのは重々承知できます。そういった中で、何とか小額からでも頑張っていかなければならない、当然と言えば当然なのかもしれませんが、また、そこも徹底していただきたいと思います。
 それに関連して、歳入確保についてお伺いいたします。こちらも小額からでも、少しでも歳入を確保していかなければならないということで、収入未済額の減少に向けての取り組みや県有財産の処分、また、ホームページやエレベーターホール等の広告収入、そういった歳入確保を行っているというところであります。これについて、今後どのように見通して少しでも多くの歳入確保を図っていく予定なのか、お伺いいたします。
〇菅野総務部長 先ほど歳出と申し上げるべきところを歳入と申し上げまして、大変失礼を申し上げました。
 歳入確保に係る取り組みと今後の見通しについてでございますが、やはり入る方も何とかふやしていかなければならないということでございまして、まず収入未済額の減少に向けた取り組みといたしましては、平成20年10月に、岩手県滞納債権対策基本方針を策定いたしまして、全庁的に滞納債権の回収対策を推進することとしたところでございます。昨年は滞納債権回収強化月間、平成20年11月から12月でございますが、これを設けまして、各部局が一斉に取り組んだところでございます。
 今後におきましても、県民負担の公平性の確保や財政の健全化といった視点から、相手方の経済状況等にも十分配慮しながら、収入未済額の減少に努めてまいりたいと考えております。
 県有未利用地資産の処分につきましては、活用計画のない土地や建物の売却を進めているところでございます。平成20年度は25件、3億1、000万円余(後刻「3億6、000万円余」と訂正)の土地、建物を売却したところでございます。
 今後におきましては、なかなか売却できる土地も少なくなっているわけでございますが、新聞広告や県ホームページ、市町村広報誌等を活用いたしまして、県有地の売却情報を広くお知らせするなどその処分を進め、歳入の確保につなげてまいりたいと考えております。
 さらにお話のありました県有資産の広告媒体としての活用についてでございますが、平成18年度から県ホームページでの広告事業を実施してきておりまして、その後、事業を拡大しているところでございます。
 平成20年度は、新たに自動車税の納入通知書用の封筒の印刷広告を開始、そういう取り組みを行ってございまして、全体で6事業を実施いたしまして、それほど大きな額にはならないんですが、500万円余の広告収入を確保できたところでございます。
 今後とも、もう一つ何かできないのかということを工夫しながら広告事業を拡充し、全庁的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 了解であります。まず、頑張っていただきたいと思います。
 ちょっと歳出削減に少し戻るんですけれども、先ほどのもので、県が借りている土地、建物がありますよね。例えば古くなって職員の方が入っていない宿舎、教育関係なり警察関係なり、県の各振興局のほうにもあるかと思うんですが、そこで借地料が発生して、ただ、建てたのは昭和40年代前半とかでもう古くて入れないと。取り壊すにはお金がかかると。ただ、残してそのままにしていると、今度は借地料が毎年ふえていってしまうといった現実もあるということです。そういったところをどっちを先にするか。ただ、壊すにはお金がかかるのでその予算をとれない。借りているとずっと借地料を払って、負担がいつまでたってもなくらない。どういった点をどういうふうに考えて今後計画的な進め方等考えているのか、ちょっと追加の質問で恐縮ですが、お願いいたします。
〇菅野総務部長 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、県でお借りをしている土地で、その後、行財政改革等施設の集約等を進めたということもございまして、現在、使用していないという土地等が出てきてございます。知事部局では6件、それに対しまして、平成21年度で申し上げますと、そのための借地料として7万9、000円ほどお支払いさせていただいている。教育委員会におきましては、同じく4件でございますが、167万円ほどの借地料が支払われているという実態にございます。
 こういったことが生じておりますのは、なかなか上に建物が建っておりまして、建物を壊すにしても非常にお金がかかるということで、なかなか除却の予算が確保できないという実態、これは委員御指摘のとおりでございます。ただ、一方で、使ってもいない土地に借地料をお支払いしているということについては、県の予算執行の過程からしますと問題があろうと存じております。総務部といたしましても、除却するためのお金をどう確保していくかという大きな課題もございますが、よく関係部局と相談しながら、支出の無駄をなくし、財産が有効に活用できる方策を考えてまいりたいと思います。
〇中平均委員 そこら辺をよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、単年度予算と繰り越し制度についてお伺いいたします。
 平成20年度決算書を見ますと、繰り越し案件が、例年より、件数、金額とも増加しております。この原因は国の景気対策による2月補正が原因と思われますが、改めてこの点についての確認をしたいと思います。
〇菅野総務部長 平成20年度の繰り越しについてでございますが、委員から御指摘のありましたとおり、昨年度、急激な内外の金融経済情勢の変化に対応するため、国におきましては、平成20年度の秋以降、順次、緊急的な補正予算を措置したところでございます。本県におきましても、同様に厳しい経済状況を踏まえまして、平成20年度の2月補正において、国の経済対策に伴う交付金を活用いたしまして事業の予算化を図ることとしたところでございます。この結果といたしまして、平成20年度から21年度の繰り越しについては、昨年度より、件数、金額とも大幅に上回る、このような結果になったものでございます。
〇中平均委員 今の単年度会計ですと、どうしても2月に補正が来ると繰り越しせざるを得ないという現実です。この単年度予算の会計制度の改革の必要性というのは、避けて通れないんだろうと感じています。民主党政権におきましても、単年度予算主義を改め、複数年度予算を大幅に導入する見通しと報道されています。私自身も、過去の一般質問において、この単年度主義の弊害を指摘してきたところでありますが、やっと国の政策転換が行われることに感慨ひとしおのものがありますが、この点につきまして知事はどのように考えているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 年度末の予算の使い切りを防ぐことで、無駄を減らすことをねらいとした複数年度予算の導入など、予算制度の見直しに関する検討を国が開始したことは、これまでできなかったさまざまな改革の取り組みが着々と新政権のもとで行われているものとして、非常に関心を持っているところであります。また、この国による見直しの検討が、よりよい形で地方の予算制度の見直しにつながることを期待しております。
 本県におきましては、従前より、現行地方自治法で可能な範囲で節減効果を翌年度予算に上乗せする節減加算システムや、不用残となった需用費を財源として総務部予算に一括計上して各部に配分する仕組みなど、予算執行の工夫に取り組んできたところであります。
 本県のこの取り組みは、単年度予算制度のもとでの予算の使い切りを抑制して、無駄な予算執行を防ぐために実施しているものであり、この趣旨は、現在、国が行っている検討の方向性と大きな違いはないものと認識しております。今後示される国の見直しも参考としつつ、引き続き、効率的かつ効果的な本県予算制度の検討に努めてまいりたいと思います。
〇中平均委員 ぜひぜひ、そこのところを国に対してもさまざまな場を通じて知事からも発信していただきたいと。特にも、岩手県に限らずこの東北とか、公共事業の補正が2月に来ても、もう冬期間ということもあって冬期の補正でプラスになり、さらに繰り越しと。一番悪いお金がかかる時期に、一番品質の保証をしづらい時期にやらなければならないといった現実等もあります。こういった点を、ぜひ知事においてはいろいろ発信していっていただきたいと。実情をもってまた国の会計制度のほうにも反映させていただきたいと思いますが、知事、そういう点について所感があればちょっとお伺いしたいと思います。
〇達増知事 予算制度は行政の根幹でありますので、それが生活そしてそれを支える草の根の経済に使い勝手のよい、やりやすい制度になっていくことが基本だと考えておりますので、さらなる工夫と努力をしてまいりたいと思います。
〇中平均委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、不正経理問題についてお伺いします。
 今回の県警の不正経理問題につきまして最初にお伺いするんですが、県警に対する知事の監督権限というのはどうなっているのか、確認の意味でお伺いいたします。
〇菅野総務部長 警察といいますか、いわゆる公安委員会と知事との関係につきましては、警察法に規定がございます。第38条第1項でございますが、これによりますと、都道府県知事の所轄のもとに都道府県公安委員会を置くこととされております。この所轄という意味につきましては、公安委員会に対する指揮監督権を含まず、委員の任命権のほかは、議会に対する警察に関する条例案の提出、予算の調製、提出などの権限があるにとどまると、このようにされているところでございます。
〇中平均委員 指揮監督権は含まれていないということでございました。今回、県警の不正経理問題で、この間中間報告ということでありましたけれども、最終報告はいまだないままの決算審議となっております。平成22年度予算に決算審議の内容を反映させるため、審議促進の考え方から決算審議がきょうから始まったと考えておりますが、議案の提出権は知事にありますが、知事は、今回の県警の事案についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 岩手県警察は、県民の安全・安心を担う重要な組織であり、県警においては、最終報告に向けて内部調査をしっかり進めるとともに、今後、このような不祥事を発生させないよう、再発防止のための体制づくりを行って、県民の信頼回復に全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 なお、知事部局等におきましては、昨年度において全庁調査を実施し、その結果を踏まえ、再発防止策を講じ、法令違反を行うことがないよう相互チェック体制を強化しておりますが、今回の県警の報告を受け、10月9日の庁議におきまして、私から各部局長に対して改めて適切な事務処理を行うよう、また、問題が発生した場合には、管理監督者や監督部門に速やかに報告するよう、指示を行ったところであります。
〇中平均委員 知事から県警に対して、どのような指導なり依頼なり、この不正経理の問題についてあったのか、お伺いをいたします。また、県警から知事に対して、どのような報告があったのかも、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 本年3月の会計検査院の会計実地検査後、県警本部が再調査に着手して以来、総務部を通じて、決算議会前には県議会に対し調査結果を報告するよう要請してきており、また、10月1日には、私から県警本部長に対し、直接その旨を伝えたところであります。そして、10月5日に、県警本部長から、現時点での調査状況について、県議会に中間報告を行いたい旨と調査結果の概要について報告があったところであります。
〇中平均委員 まず、指揮監督権がないという中での精いっぱいのところだったのかなと思っております。
 それでは引き続きまして、県警の危機管理能力という点でお伺いします。
 今回の不正経理問題がことし3月に発覚しております。3月の総務委員会においても質問しておりますが、情報開示は早く行わなければ不審を招くということではないでしょうか。まして6カ月もたち、いまだ最終報告ができてこないということは、県警の自浄能力に疑問を持たれても仕方がないのではないかと考えます。また、危機管理としても組織としても問題があるのではないか。決算審査があると、きょうから始まるというのを知りながら報告ができなかったのは、あえてしなかったと言われても、これは仕方がないと思います。
 それでお伺いします。最初に、なぜ6カ月、このくらい調査に時間がかかって、最終報告が現段階でまだできていないのかを、改めてお伺いいたします。
〇保住警察本部長 今回の不適切な事務処理に係る調査につきましては、昨年11月10日に、警務部長をトップとする体制を確立し、さらにことしの4月から調査方法などを見直した上で、徹底した調査を行ってまいりました。
 今回の調査方法は、調査対象業者数を前回の29社から275社に大幅に拡大し、また、業者の帳簿と県警察の支出関係記録に基づき、約3万4、000件余のすべての契約内容を突合するという帳簿方式に変更したため、膨大な調査となったものであります。とりわけ、現在、納入物品の所在確認作業や関係する職員の聞き取り、納入業者の聞き取りなどの最終局面に差しかかっており、これらの作業に時間を要しているものであります。
 今後、一刻も早く調査を遂げ、県民の皆様への説明責任を果たしたいと考えております。
〇中平均委員 全容解明にこれだけ時間がかかってきていると。これに対して不審が生じてしまうというところがありますけれども、どのようにしてこの不審を信頼回復していくのかという点をお伺いいたします。
〇保住警察本部長 ただいま申し上げましたとおり、今回の調査方法につきましては、県警職員からの申告だけに頼ることなく、調査可能な経理書類に基づき、事実を徹底的に調査して問題を洗い出すべく調査方式を変更したため、膨大な調査となったものであります。県警といたしましては、今後、一刻も早く調査を遂げるとともに、改善、再発防止策にしっかりと取り組んでまいる所存であります。県民の皆様に信頼される県警察を取り戻すために、全警察職員一丸となって、再生に向けて懸命に取り組んでいくことを県民の皆様にお約束するものであります。
〇中平均委員 それでは、来週の県警の決算審査前までに最終報告ができるよう努力するとの中間報告でのことでありましたけれども、この点について、決算審査前までに出せるという確約はできないのかお伺いいたします。
〇保住警察本部長 県警察に係る決算部局審査日までに報告できるよう、現在も鋭意頑張っているところでありますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
〇中平均委員 ぜひ最終報告していただきたいということを強く、決算審査前までにということを申し入れておきます。
 次に、県警の報告、10月5日でしたか、中間報告をいただきましたが、これがおくれてきたことで、決算審査に入ることについて、議会においてもさまざま議論があったことは既に御承知のことと思いますが、このことについてどのように考えているのかお伺いいたします。
〇保住警察本部長 私どもの調査結果の提出がおくれまして、県議会運営に支障を来たしましたことに対しまして大変申しわけなく思っておるところでございます。また、議会の御意向を重く受けとめた上で今回の中間報告を行ったものでありますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
〇中平均委員 では、続けます。
 不正経理の原因と対策についてということでお伺いします。
 まず1点目、私的流用があるのかどうか、この点を確認いたします。
〇保住警察本部長 現在、納入物品の所在確認作業、関係する職員の聞き取り、納入業者の聞き取りなどを行い、私的流用の有無も含め調査中であり、この調査を遂げた上で、速やかに報告したいと考えております。
〇中平均委員 契約前納入という不正経理項目が新しく出てきておりますが、このような処理をしていた理由は何なのでしょうか。そして、翌年度納入、契約前納入の金額が突出している理由もあわせて二つお伺いいたします。
〇保住警察本部長 契約前納入という態様につきましては、例えば車両の部品交換を急遽行わなければならないような場合に、業者から金額を確認の上、県警のほうで口頭で発注し、その後、部品交換が行われ、後日、契約行為をしたため、契約日前に納入されていることになるものであります。こうした形態は、見積書を徴収し、部内決裁を経て正式発注するには時間を要するため、こういった処理が行われていたものであります。
 翌年度納入の金額の関係でございますが、予算は使い切らなければならないという風潮の中で、業務に必要な物品の購入等を年度末において行った結果、納品が翌年度になってしまったものが多く存在していたことによるものであります。
 契約前納入の金額が突出しているわけでありますが、この理由につきましては、県警察におきましては、突発的な車両の部品交換ですとか修理を要する事態が多く、本来の適正かつ迅速な経理処理といったものを怠っていた職員が少なくなかったことによるものと考えております。
〇中平均委員 今回の不正経理により返還しなければならない金額が生じてくるのだろうと思います。どの程度の金額となるのか、総額をどういうふうにとらえているのかお伺いいたします。また、この返還金の原資について、知事部局等においては職員から負担を求めておりましたが、県警はどのようにしていくのでしょうか。返還する場合のこの総額と、1人当たりの金額を含めてお伺いいたします。
〇保住警察本部長 国に対する返還金につきましては、いわゆる補助金適正化法第18条及び第19条に基づきまして、関係機関と協議の上で決定されるものと認識しており、現時点で報告できる金額は持ち合わせておりません。
 職員負担につきましては、こうした返還金が確定した上で、知事部局等の例を参考としながら金額を決定の上、職員等に対して相応分の負担を求めることとしており、現時点で報告できる総額、あるいは1人当たりの金額も持ち合わせていないということでございます。
〇中平均委員 では、いつぐらいにその総額なり1人当たりの金額なりがはっきり示されるのでしょうか、お伺いいたします。
〇保住警察本部長 補助金適正化法第18条の条文をちょっと読み上げますと、補助金等の返還に関する条文でございまして、各省各庁の長は、補助金等の交付の決定を取り消した場合において、補助事業等の当該取り消しに係る部分に関し、既に補助金等が交付されているときは、期限を定めて、その返還を命じなければならないといった規定がございます。したがいまして、今後、関係機関との調整をしなければ、なかなかこの返還額というものも決まらないということでございまして、交渉に依存するところがございますので、現時点で当方としていつまでにという期限を申し上げるのは困難であるという事情を御理解していただければと存じます。
〇中平均委員 事情を理解してくれということでございます。理解できるかどうかは別ですけれども、まず、進めます。
 県警における不正経理の原因は、報告書も読ませていただきました。今の答弁等々でも感じるところですが、警察という組織の、秘密主義とまでは言いませんが、密閉された環境というのでしょうか、そういった点もまた原因ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
〇保住警察本部長 警察業務につきましては、犯罪捜査を初めまして他の行政機関とは異なる特殊性があり、そういう意味におきましては、どうしても秘匿性といった部分が存在するわけであります。しかしながら、これらの業務の秘匿性が不適切な事務処理に直ちに結びつくものではなく、不適切な事務処理の原因につきましては、職員の意識の問題、ルール上の問題、体制上の問題、これら3点であると認識しているところでございます。
〇中平均委員 捜査とかに対して秘匿性というのは皆さん十分理解しているんだと思います。ただ、それに対して、それだから、例えば何を聞いても、それは捜査上どうと言う、もちろんそういう理由は十分認識した上で、ただ、余りにも、何というんですか、木で鼻をくくったとまでは言いませんが、答弁がちょっと納得しづらいところが出てくるんだと思うんですよね。そこら辺を、やはり対外的なものも含めて考えていく必要性が県警というのはあるんじゃないかと思います。これは指摘というか、意見です。
 また、報告書における再発防止策等を見ていましても、今の点も踏まえて情報公開の項目─全部が全部情報公開しろと私は言うつもりはないんですが、今回のこの不正経理の原因を受けて、やはり公開する部分はきちんと公開して、早く迅速な処理をしていくということが必要ではないかと思います。再発防止策に情報公開の項目も加えていくという必要性があるかどうか考えているかをお伺いいたします。
〇保住警察本部長 岩手県警察におきましては、情報公開の関係でございますが、ホームページの活用などによりまして、積極的に警察行政施策、あるいはその進捗状況などを公表しているところでありまして、県民の皆様が警察活動に御理解を深めていただけるよう、適切な情報公開と積極的な情報提供に県警としては努めているつもりでございます。今後とも、不適切な事務処理問題の再発防止を図る上でも、積極的に情報公開を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇中平均委員 それでは、県警の関係で最後です。
 再発防止に向けての対策についても、先週の報告等を読ませていただきました。県民の信頼回復までにはちょっと時間がかかるんじゃないかとも予想されますけれども、日常の警察業務等にも支障が生じる可能性も予想されますが、この点についてどのように考えているかお伺いいたします。
〇保住警察本部長 委員御指摘のとおり、日常の警察業務に支障が生じることや、職員の職務執行に対する士気が低下することなどが懸念されるところでございます。県警察といたしましては、再発防止策にしっかりと取り組むとともに、県内の治安維持のためより一層尽力し、県民の皆様に信頼される県警察を取り戻すため、今まで以上に全職員一丸となって再生に向けて懸命に努力していきたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ、信頼の早急な回復を目指していただきたいですし、そのためにも今回のものについては、今、答弁の中で、なかなか時期等を明確にできなかった点がありましたので、早急に関係機関等と協議の上、いち早くの情報公開という点をお願いしていきたいと思います。
 それでは、続きまして広域振興局体制についてお伺いしてまいります。
 県南広域振興局において二重行政のチェック中であり、平成21年度以降、全県に成果を波及させると一般質問での答弁がありました。また、政策調整会議を設置し、議論はこれからということでもありました。二重行政、中二階制度と言われて久しい中におきまして、改善に向けて動き出したことは大きく評価できます。さまざまな検討結果はこれから出てくるということでもございますが、実際に現場で県南広域振興局長を務める企画理事に、今現在、二重行政の実態と改善についてどのように考えているか、所感をお伺いいたします。
〇藤尾企画理事 政策調整会議についてでありますが、現在、県南広域振興局と奥州市、金ケ崎町及び民間委員による政策調整会議を設置いたしまして、県と両市町との間における二重行政の状況や、望ましい役割分担などについて検討を進めているところでございます。この中では、全予算事業3、600事業につきまして棚卸しを行い、分野ごとに七つの部会を設けまして、地方分権改革推進委員会の役割分担のメルクマールや、全国知事会、全国市長会による事例などを参考にしながら議論を進めております。これまで二重行政と思われる事業は200件程度となっております。また、これらの事業のうち、非効率あるいは役割分担の見直しをすべき事業がないかについても現在検討を進めているところでございます。これら部会の議論を踏まえまして、今後、親会議である政策調整会議でさらに検討を深め、知事が議長を務める岩手県分権推進会議へ報告いたしまして、次年度以降の事務事業に反映させていくことといたしております。
 これまでの検討を通じまして、職員がお互いの事務事業を理解いたしまして、二重行政等の政策調整の必要性を認識するなど、職員の意識改革にもつながっていると感じております。
 一方で、3点ほどの課題があるのではないかと認識いたしておりますが、一つは、二重行政の解消にとどまらず、県と市町の政策が相乗的な効果を発揮するための視点で調整すべきではないか、二つ目には、他圏域でも早急に取り組むべきではないか、3点目として、今回検討の対象とされなかった予算事業以外の許認可関係の事務につきましても検討対象とすべきではないかといったところでございます。今後、こうした点にも十分配慮し、市町との二重行政の解消や政策面での一層の連携による相乗効果の発揮に努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ただいま、課題というところでさまざま出てまいりました。その上で、4広域振興局体制というものを目指していく中で、今、御答弁いただきました県南広域振興局が抱えている課題、そして解決について、この方策というものを早急に出していかなきゃならないのだろうと。そして、新体制、4広域振興局体制に向けて動き出さなければならないと考えます。来年度からこの方針についてやっていくという答弁がありましたけれども、これについてタイムスケジュールをお伺いしていきたいと思います。
〇加藤地域振興部長 タイムスケジュールについてのお尋ねでございますが、今年度におきましては、先ほど企画理事のほうから御答弁がありましたが、その後、親会議の政策調整会議を都合3回程度開催いたしまして、県と市町村の間の二重行政の状況やその解決策、県と市町村との連携、協働のあり方について検討することとしております。この検討結果につきまして、明らかになった課題等につきましては、県南局管内で解決、実施できるものにつきましては、来年度ということを待たずに、速やかにできることは着手してまいりたい、対応してまいりたいと思っております。
 一方、全市町村に共通する課題が浮かび上がってくるということも考えられます。こういったものにつきまして、来年度以降、4広域振興局と連携を図りながら、それぞれの市町村の実情、いろいろ地域ごとの実情もございますので、それを把握いたしまして、政策調整会議でさらに協議、調整の上、しっかりと解決できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 二重行政という話は、県南広域振興局ができたときからでしょうか、それ以前の全部に今の振興局があったときからでしょうか、ある課題であります。やはりこれは早急にやっていくことが必要だと思いますので、そこら辺を含めて、具体的にもっと早く、できる限りやっていただきたいと考えております。
 次に、県から広域振興局、また県から自治体への権限移譲がなされておりますが、その先にある住民の役割─先ほど知事から、協働で新しい行政のあり方をという話がございました。そこは具体に、また明確にこれからはなっていかなければならないんじゃないかと考えておりますが、この点についてはいかが考えているでしょうか。
〇加藤地域振興部長 分権が進展する中にありまして、移譲された権限を適切に行使する、そして地域づくりの成果を上げていくというためには、当然、住民は自治体の主権者であることを自覚して行動していただく、そして、これまで以上に地域づくりの主体としての役割を担うといったことが期待されるところでございます。このため、地域の課題につきまして、住民と行政とが情報や問題意識を共有いたしまして、連携を図りながら、行政任せになることなく住民が適切に意思決定に参画する、そして協働して課題解決に当たるという住民中心の地域経営の姿が望ましいと考えております。
〇中平均委員 よろしくお願いいたしたいと思います。そして、自治体、市町村も人員削減しているという中にあって、県からの権限移譲が負担にならないようにしていかなければならないと考えています。この点についてはどのように方策を行っているのかお伺いします。
〇加藤地域振興部長 市町村への権限移譲につきましては、市町村の規模や職員体制などを踏まえつつ、協議、調整を行っております。そういう協議、調整を経まして、すべての市町村との間で権限移譲プログラムを策定して、計画的に移譲を進めているということでございます。その際、県職員の市町村への派遣、事務処理に必要なノウハウを習得するための研修の実施などによりまして支援を行っております。
 こうした中でございますが、昨年5月に、国の地方分権改革推進委員会から、まちづくり分野などを中心に359項目につきまして、県から市町村へ法令により権限移譲すべきといった勧告が出されております。これが実現を見た場合、市町村への移譲事務がさらに増加するということが想定されます。こういう動きがございまして、いろいろ状況も変わってきております。市町村の職員定数が減少するという状況もございます。そうした中で市町村への権限移譲を進めまして、住民に身近な行政サービスの向上を図るためには、さらなる方策の検討も必要と認識しております。単独の市町村では担うことが難しい事務につきましては、市町村の間で共同処理するといったことも考えられますので、その推進方策などにつきまして、分権推進会議や政策調整会議の場におきまして議論してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 地方分権が進んでいく中で、さらに権限移譲ときた場合のその体制、また、人員をふやす場合の税源といったことについても、あわせて今後の検討をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、県北・沿岸振興についてお伺いします。
 最初に、県北・沿岸振興本部を立ち上げ、県政の重要課題と位置づけ、各種対策を行ってきていただいております。平成20年度において、厳しい財政環境の中で各種事業を行ってきていると認識しておりますが、この成果と課題についてをまずお伺いします。
〇宮舘副知事 県北・沿岸振興の成果と課題についてでありますが、これまで、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、本庁関係部、関係地方振興局が連携し、産学官連携や企業支援などのコーディネーターの設置や、地域との協働による産業ネットワークの構築、企業誘致を初めとする各種優遇制度の創設などにより、県北・沿岸圏域の産業振興の取り組みを進めてきております。その結果、新たな企業誘致や既存企業の増設を始め、食産業、観光産業、農林水産業におきましても新たな展開が図られるなど、一定の成果が出てきているものと認識しております。
 平成20年度の主な成果といたしましては、例えば県北圏域にありましては、企業誘致は二戸市で3社、既存企業の増設は久慈市、二戸市で2社となっており、また、南部アカマツ振興センターを設立いたしまして、アカマツ製材品の生産と販路開拓の取り組みを開始しましたし、観光面では、久慈市における教育旅行の受け入れ数が対前年度比111%と順調に増加しているところであります。
 今後の課題といたしましては、若者を初めとする人口減少により地域産業の生産活動の低下や経済規模の縮小などが懸念される中で、これまでの成果をさらに発展させ、雇用の場の確保や所得向上につなげていくことが重要であると考えているところであります。
〇中平均委員 了解であります。その上で平成22年度から広域振興局体制となってまいりますが、県北・沿岸振興本部の組織体制と役割はどのようになるのかお伺いします。あわせて、県議会における県北・沿岸振興議員連盟では、毎年、県北・沿岸振興に関する提言を行っております。平成22年度予算編成に当たってどのように反映させるのかもあわせてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県北・沿岸振興本部の組織の役割についてでありますが、県北・沿岸振興本部は、県北・沿岸圏域の産業振興を全庁的に推進するため、私を本部長として、本庁各部局長及び県北・沿岸圏域の地方振興局長で組織しているものであります。この本部につきましては、引き続き部局横断的な政策調整機能を発揮する必要があることから、広域振興局体制移行後におきましても本庁に置くこととしておりますが、それぞれの圏域における具体的な振興施策については、産業振興機能を強化した広域振興局におきまして、本部と十分な連携を図りながら、その取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 具体的には、広域振興局の本局におきましては、広域的な産業振興施策の企画立案や推進を担う一方で、県北・沿岸の各圏域の行政センターにおきましては、企業、関係団体に対するきめ細かな支援を行うなど、それぞれの地域の実情に応じた産業振興に取り組んでいくこととしているものであります。今後とも、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、本庁関係部はもとより、来年度から新たに発足いたします県北・沿岸振興圏の広域振興局の総力を挙げまして県北・沿岸振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、平成22年度予算編成への反映についてでありますが、当初予算の編成に当たりましては、地域経済、雇用情勢の厳しい状況が続き、県税収入の減少も見込まれるなど、さまざまな危機に直面しているところでありますが、新しい長期計画に盛り込まれた施策を着実に推進していく必要があるものと考えております。
 県北・沿岸振興議員連盟からの御提言につきましては、県北・沿岸振興の県政における重要性にかんがみ、広域振興局体制への移行も踏まえながら、可能な限り予算に反映できるように努めてまいる考えであります。
〇中平均委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、移動県庁についてお伺いいたします。移動県庁は、平成20年度、また今年度、それぞれ2回ずつ行っております。これにつきまして知事の所感をまずお伺いいたします。
〇達増知事 移動県庁は、一昨年、中平委員からの御質問を契機として、県北・沿岸振興にかける知事の思いを地域の皆さんと共有するため、平成20年度に初めて実施したものであります。私自身、地域で起きていることをこの目で見、この耳で聞くことにより、通常、県庁では思い描けないような県北・沿岸圏域の地域振興の可能性を肌で感じるとともに、地域の皆さんとの活発な意見交換を通じまして、そうした地域資源を活用した県北・沿岸圏域における地域振興の方向性を共有できたところであります。
 具体的には、沿岸圏域にありましては、三陸沿岸の海洋資源や海洋関連研究機関の集積を生かした海洋産業の振興、県北圏域にありましては、八戸圏域とのより一層の交流、連携による広域観光の展開や、豊かな自然環境を生かした体験型観光、教育旅行の一層の推進などに取り組む必要性を感じたところであります。
 これら移動県庁を通じて得られました意見、提言等については、新しい長期計画の岩手の未来を切り開く六つの構想やアクションプランにも盛り込んでいるところでありまして、移動県庁の実施は、県北・沿岸振興にとって非常に有意義であると考えているところであります。
〇中平均委員 今、知事からさまざまな成果があったと。それを受けまして、移動県庁の成果をどのように県の施策に反映させてきていたのかをお伺いいたします。
〇加藤地域振興部長 概括的には、先ほど知事から成果ということの答弁を申し上げたとおりでございますが、さらに具体的にということになりますと、広域観光の推進に向けましたいわて沿岸広域観光推進会議、北三陸サンライズレール観光振興会議の設立といった動き、県北圏域と八戸圏域が連携いたしました八戸・久慈・二戸観光物産展の開催でございますとか、三陸沿岸の海の資源を生かしました三陸沿岸海洋産業振興指針─これはまだ仮称でございますが─の策定などの動き、こういった新たな取り組みにつなげております。これらの取り組みを受けまして、知事からも御答弁がありましたが、新しい長期計画の案の中でも六つの構想の中に、主に県北・沿岸圏域において展開されると期待されます海の産業創造いわて構想や、元気になれるいわて構想といったものを盛り込ませていただいたところでございます。
〇中平均委員 平成22年度、来年度以降、移動県庁を行う予定なのか。行うとすれば、さらなる充実に向けて、より一歩を進めていく必要があると考えます。広域振興局体制もスタートすることになることからも、より充実させていくために、年2回ではなく回数をふやすなり、より深く時間をとるといったことも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 移動県庁のあり方についての御質問でございます。来年度、平成22年度におきましても移動県庁につきましては実施したいと考えております。そのやり方でございますが、これまでの成果や反省の上に立ちまして、議員御提言の趣旨も踏まえまして、どのような形で移動県庁をより有意義なものにさせていくのがよいのか、また地域の意見等もあろうかと存じます。その内容や回数、時間等も含めてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 続きまして、3県交流人事についてお伺いいたします。
 現在、岩手、青森、秋田の北東北3県で行っている3県交流人事は、平成13年度から今年度で9年目ですから、平成20年度だと8年目だったんでしょうか、この成果についてどのように評価しているのかをお伺いいたします。
〇菅野総務部長 いわゆる北東北3県の人事交流についてでございますが、これまで3県で延べ145人、本県での派遣者が延べ48人となってございます。これまで行ってきました人事交流によりまして、やはり関係県との情報交流の円滑化や人的なネットワークができますので、そういった面での仕事のやりやすさが出てきている。他県の仕事の進め方、新しい目で本県の仕事をもう一回見直してみるというところ、それから、広い意味では外からもう一度岩手県を見直してみるという機会を与えられたことによる職員の資質向上、さらには県境の現地機関、特に振興局の土木部ですとか土木事務所等におきまして、両県間で公共事業の調整がやっぱり円滑に進むようになったという成果が報告されているところでございまして、一定の成果が上がってきているものと考えております。
〇中平均委員 成果が上がっているということであります。
 それでは、具体的にちょっとお聞きしたいんですが、県においては行政経営の課題等、人事交流された方からどのような形で調査、検討を行っているのかをまずお伺いします。
〇菅野総務部長 いわゆる交流職員、本県から他県に行っている職員、他県から本県に来ていただいている職員と定期的に意見交換の場を持たせていただいています。これは私も出席させていただいておりますが、それとあわせまして、直接面と向かってはということも想定されますので、別途、アンケート等もあわせて実施して、経験ですとか意見等の把握を行っているところでございます。
〇中平均委員 それでは、その中で具体的に岩手県から他県に行った方、他県から来た方がどのように評価される点があったものでしょうか。また、逆に他県のことを参考にした点、事例というのはどういうものがあったのでしょうか、そこをお伺いいたします。
〇菅野総務部長 先ほど申し上げました交流職員との意見交換等で出てきた御意見で、恐縮ですが、先に本県が相対的にすぐれているという評価をいただいたものは、一つは仕事や意思決定のスピードが速く、効率的な業務が遂行されているという御意見がございましたし、また、いわゆる振興局について非常に評価されておりまして、振興局が適切な権限を持っていて、活発に業務を行っているのではないかという御意見がありました。さらに、業務マニュアルの整備、データや資料の管理が総体的にいいのではないかというお話がございました。
 ただ、一方で、他県の方から、それから本県から他県に行った職員からは、本県が、組織のフラット化ということもあると思いますが、職場内のコミュニケーションが他県に比べてちょっと足りないんじゃないかという御意見もありましたし、職名が複雑でわかりづらい。特に総括課長とか担当課長とか、課長という名がたくさんありまして、だれが権限を持って、だれがどのぐらい偉いのかが外から見るとよくわからないという御意見等もいただいております。特にこうした御意見等も踏まえまして、組織内のコミュニケーションの問題は、やっぱり仕事の進め方として重要な問題でございますので、担当内に総括という役割がございますので、その総括の役割を、よりマネジメントに軸足を置いたものに見直したとか、いわゆる担当課長の職位をちょっと見直しまして、いわゆる課長職の整理を図ったところでございます。そういうのが具体例だと存じます。
 あとは、別途、農林水産物のブランド化ですとか販売戦略の強化といったものにつきましては、やはり青森県でこういうことをやっている、秋田県でこういうことをやっているというのを相互に情報を収集しながら、よりよい方向に努めているという状況でございます。
〇中平均委員 人の芝生は青く見えるものなのでしょうけれども、いい点、悪い点が具体的に出てきて、それをまず─いい点、悪い点というのは失礼ですが、参考にする点があったということで、それを生かしていっているということで、今後もその点をきちんとしていっていただきたいと。ただいまの評価からも行政機関同士の交流は重要であるんだなということがうかがえました。そして、知事の言う県民総参加の多様な行政運営を実行していくために、どうでしょう、一歩進んで地元の民間企業なりNPO団体等とも人事交流を行って、さらにさまざまな団体なり企業との交流の中で、県庁としてどうあるべきか、そしてその中で行政運営のあり方はどうあるべきかといった点も今後必要になっていくんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇菅野総務部長 委員から御指摘がありましたとおり、本県の人事交流はこれまで、今申し上げました北東北3県の人事交流ですとか、国ですとか、市町村との交流を中心に、あと、民間企業についても行っていたところでございますが、どうしても在京の大手企業に一方的に派遣しているという例が多ございました。しかしながら、特に産業振興分野を中心としまして、県内の企業との連携が非常に大事だということでございまして、ここ数年は、例えば関東自動車工業岩手工場ですとか、JR東日本盛岡支社等、県内に所在する企業にも派遣を行っているところでございます。特にJR東日本盛岡支社につきましては、相互人事交流ということで行わせていただいておりまして、観光分野における職員育成、そういう民間のノウハウの習得、あとは、戻ってきて同社との連携が非常にスムーズに進むようになったという具体的な成果もあらわれてきていると思っております。委員から御指摘のありましたとおり、今後、県民総参加による多様な行政運営ということを実行していくためには、これまで以上に県内企業、NPO団体等多様な主体との協働が必要だと思ってございますので、人材育成面のメリット等、制度的な面等もいろいろ検討を進めながら、県内企業などとの人事交流につきましても前向きに検討を進めさせていただきたいと考えております。
〇中平均委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして公共事業に関してお伺いいたします。
 下請企業対策について、県営建設工事に関しましては、請負者が下請契約を締結した場合におきまして、元請人と下請人との関係について適正な工事執行のために、県においてはどのようなことを行っているのか、まずお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県営建設工事における元請、下請関係の指導についてでありますが、この関係の適正化を図るため、毎年度、各広域振興局等におきまして、100社程度を対象として、建設業事務調査指導を実施しているところであります。また、予定価格が1億円以上の低入札工事を受注した建設業者に対しましては、低入札価格調査に係る追跡調査を行っておりまして、下請発注、下請契約の状況等も調査しているところであります。
〇中平均委員 ただいま御答弁いただきました下請調書による下請金額の調査、また、建設業法令にのっとった支払いの有無の確認を行っているとのことでありました。例えば支払いの状況とか、工事完了時における調書の履行確認というのは行われていないとお伺いしています。入り口と出口の両方のチェックが契約履行の確認につながると考えますし、県としても、民間企業同士の契約であり、両者の関係からもわかりづらい面、また、直接指導していく面も限られてくるのは理解できます。しかし、去年から始まった経済不況、こういった社会情勢等を考えても、これからの指導は、工事品質を確保していくためにも、より積極的なあり方が求められると考えますが、今後そのようなあり方をどう考えているのかお伺いいたします。
〇宮舘副知事 元請、下請関係の今後の指導のあり方についての御質問でございますが、現在、県で行っている調査、指導は主に元請を対象とするものではありますが、建設業を取り巻く状況が一層厳しさを増し、下請への不当なしわ寄せが懸念されておりますことから、新たにこの10月から、1億円未満の低入札工事の下請に対しまして、直接、書面による調査を行い、元請、下請関係の状況をより的確に把握することによりまして、工事品質の確保を含め一層の適正化を図っていきたいと考えております。
〇中平均委員 それでは、公共事業の進め方という点についてお伺いしてまいります。
 公共事業の進め方について、現行の方法では、計画から完成まで時間がかかり過ぎているように感じております。地域との協議、また多額の事業費、工事期間ということがその原因だとは考えますが、例えば今度開通します北山トンネルは、計画から完成まで26年ということです。これでは、当初予想していた効果の発現は期待値より少なくなることは容易に想像できます。こういったことにならないよう計画的な事業執行、まさに選択と集中といった考えが必要であると考えますが、どのようにしていく予定でしょうか。
〇宮舘副知事 公共事業の進め方についてでございますが、事業実施に当たりましては、厳しい経済状況にあることから、国の補助金や交付金などの有効活用により予算の確保に努めるとともに、計画的な事業実施等による事業に着手している箇所の早期完成、公共事業評価による新規事業箇所の厳選などにより、今後におきましても最大限の整備効果が上がるように、選択と集中により重点的、効果的に進めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 事業費の積算に関しても同様のことが言えるのではないかと考えます。当初に計画した金額から、さまざまな理由があったのは承知しておりますが、大きく増加した北山トンネルの例をとってみても、これは、北山トンネルに限らず各種事業にあるんですが、最初の積算の根拠は何だったのかと首をかしげざるを得ない例が多いと考えます。県道281号の平庭トンネルについては、平成13年に事業費100億円で、各種調査を現在行っていただいております。この事業費が発表されてから、平成13年ですから、既に8年経過しております。積算した当時と社会情勢等は大きく変化しており、こういった事業費発表から期間がたっている事業に関しては、再積算を行ったその上で具体的な計画を示していくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 平庭トンネルについての御質問がございましたが、現在の事業費は、事業の計画段階に実施した概略設計に基づいて積算したものであります。平庭トンネルの事業につきましては、多くの事業費を必要とする大規模な事業でございますので、具体的な進め方については、交通量の推移や公共事業予算の動向を見きわめながら検討することとしておりまして、この検討を進めていく中で、再積算により事業費の精度を高めていきたいと考えております。
〇中平均委員 今、交通量の話もございました。そういった点でお伺いするんですが、事業選択の基準でBバイC、これはずっと使われてきているのでわかるんですけれども、事業評価のあり方についても今後検討していかなければならない必要があるんじゃないかと考えます。人口減少が進んでいく中で、地方の資本整備というのは、現行基準では、どうしても人が少なくなる、世帯が少なくなるといった中で、採択基準がより厳しくなっていくんだろうと思います。そういったところを考えていきますと、交通量が人口減少で減っていくということを考えながら、例えば都市部における道路の拡幅等は、交通量が減っていくんだからこれ以上拡幅しなくてもという判断なり何なりができるのかなと思うんですが、例えば自治体間をつなぐ道路というところは、今、整備になっていないところは当然人口減少が激しくて過疎化が進んでいる地域で、そういったところにおいて、BバイCの中に交通量と入ってしまうと、もう、嫌でもどんどん選択が遠くなっていってしまう。自治体間をつなぐ道路というのは、交流促進といった面、あとは、何より医師不足等がある中で、どうやって基幹病院なり二次医療圏の中核に行かなきゃないかという点だと思うんです。県道281号でいえば、葛巻町で救急車で運ばれるとなると、当然、久慈の病院に来るか、盛岡に来るかと。そういった中での隘路をどうやって解消していくかというのは、純粋に交通量だけではやっぱりはかれないのだろうと考えます。これは久慈に限らずさまざまな地域地域の同じ課題だと思うのですが、こういった点を検討しながら、今のBバイCの基準というものをやはりもう一回再検討、本当に都市部の中のものと自治体間の道路という考え方をしてかいなきゃないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
〇宮舘副知事 事業評価のあり方についての御質問でございますが、現在、国のBバイCの算定に当たりましては、救急医療や観光、地域活性化、企業立地、あるいは安全・安心の確保など多くの効果があるにもかかわらず、走行時間短縮便益などの三つの便益が用いられておりまして、御指摘のありましたように、交通量が少ない地方にとっては大変厳しい方法となっております。
 BバイCの算定につきましては、これまでの、今申し上げましたような3便益に、救急医療における効果や災害等における通行どめ、あるいは冬期の交通状況等を加えた便益を用いること、また、事業評価につきましては、BバイCのみによって判断するのではなくて、地域にもたらされるさまざまな効果や地域の実情を十分考慮した総合的な事業評価を実施する必要があると考えております。このため、県といたしましては、これまで国に対しまして事業評価の見直しを提言してきておりまして、今後もさまざまな機会を通して働きかけていきたいと考えております。
 また、県が行う公共事業評価の改善につきましては、道路整備を求める多くの声を踏まえまして、評価委員会の意見や他県の事例などを参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、平泉の世界遺産登録についてお伺いします。
 昨年、世界遺産登録は登録延期という結果でございました。そして、先日、平泉世界文化遺産推進調査委員会におきまして、登録に向けての作業状況等について説明を受けたところです。そういった中で、平泉の価値を県民で共有し、世界遺産登録に向けて機運を盛り上げていくことが必要なのは言うまでもありません。現在、各種事業を行っていることは存じておりますが、これが全県的な広がりにはなっていないという感じも持っております。事実、文化遺産の県民認知度は84.4%で、達成度Dとの評価をしていることからも、県でも必要性は感じていると思います。世界遺産登録を実現させる、意義あるものにするためにも、県民全体での平泉のさらなる理解を深める必要があると考えますが、どのような施策を講じているのかをお伺いいたします。
〇高前田総合政策部長 平泉世界遺産登録に係る取り組みについてでございますが、県では、世界遺産関連事業を推進する部局横断プロジェクトチームを設置いたしまして、関係部局が連携して平泉の価値の普及啓発などに取り組んでいるところでございます。具体的に申し上げますと、昨年度は平泉の文化遺産巡回展を県南地域を中心に開催するとともに、知事にも講師となっていただき、県内の小・中学校、高校を対象とした平泉授業などの事業を実施したところでございます。また、今年度は世界遺産登録推薦書の暫定版の提出時期に合わせまして、9月から民放4局のアナウンサーが連携して平泉の魅力を紹介し、世界遺産登録を応援するキャンペーンを実施いただきますとともに、巡回展につきましても、会場を県北、沿岸などに拡大して開催しているところでございます。こうした取り組みに呼応する形で、民間や地域の団体におきましても、平泉に関連するミュージカルの公演や、夢灯り+in平泉の開催などさまざまな活動が広がってきており、今後とも世界遺産登録に向けた県民全体の機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 それを受けまして知事にお伺いしたいんですが、先週でしたでしょうか、オリンピック誘致東京落選ということでございました。この原因の一つに、地元の熱意が他都市に比較して低かったのではないかとの指摘もありました。熱意があるからすべて大丈夫というわけではないのでしょうが、これは大きなアピールポイントであることは言うまでもございません。情報発信、価値の共有の方法を検討し、その上で県民運動として平泉の世界遺産登録を目指す必要があると考えますが、知事の決意をお伺いいたします。
〇達増知事 敵も味方も、さらには鳥獣、魚介の類までもあらゆる生命をとうとび、自立と共生を目指す平泉の理念は、時代を超えた世界共通の価値であり、世界が今必要としている平和や環境の理念に通ずるものであり、今に生きる私たちが、平泉の文化遺産をこれからも継承し、守り続けていかなければならないと考えております。このような普遍的価値を持つ平泉の文化遺産の世界遺産登録実現に向けて、市町村や団体、民間企業などの協力をいただきながら、県民一丸となった県民運動的な盛り上げを図り、平泉の価値を、県内はもとより国内外へも積極的に情報発信できるよう、県としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇中平均委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 続きまして、防災対策についてお伺いいたします。
 昨年度の地震災害、住民相談や支援の方法で課題はなかったのか。あったとすれば、どういう点だったのか、改めてお伺いいたします。
〇菅野総務部長 住民の方々の相談の受け付けに当たりまして、やはり所管する各課が個別に対応している市町村が多かったと。その結果、住民の方々から相談いただいた内容について、組織内部、市町村内部でなかなか情報共有が図られず、結果として対応が必ずしも十分ではなかったのではないかという反省を市町村から伺っているところでございます。
〇中平均委員 ただいまの点を受け、迅速な住民対応という点、また、膨大な事務作業量を軽減する方法として、私ども民主党会派では視察調査を行い、被災カルテの導入を提言しておりましたが、この提言をどのように受けとめて、そして、今、対応しているのであれば、どのように対応していたのかをお伺いいたします。
〇宮舘副知事 御提言いただいた被災者生活支援カルテにつきましては、被災者支援を行う市町村において、被災者が多数に及ぶ場合に、被災者が相談した各部署の情報が集約、共有され、被災者個々の課題の把握と迅速な対応が容易になることから、生活再建の相談サービスにおいて大変有効なツールであると認識しているところであります。
 県におきましては、市町村に対しまして、昨年12月に当該カルテの紹介及び導入についての通知を発出するとともに、3月と7月に市町村等の担当者を対象とする研修会を開催いたしました。そして、導入の働きかけを行ったところであります。特にも7月に開催した研修会におきましては、平成19年の能登半島地震の際、当該カルテを活用し、効果を上げた石川県穴水町の担当者を講師として招聘し、カルテの具体的な活用について説明を受けるとともに意見交換を行い、その理解を深めたところであります。
 被災者生活支援カルテは、被災者に対し適切な支援を行うための情報管理手法として極めて有効であると考えておりまして、これまでに釜石市においてその導入が図られていることから、県としては引き続き他の市町村に対して導入を働きかけていきたいと考えております。
〇中平均委員 次に、昨年の地震災害を受けて、県の災害対応マニュアルという点で、課題等があった点は改善されていると思いますが、どのように改善されているのかお伺いいたします。
〇菅野総務部長 やはり昨年の2度の大きな地震、大きな教訓がございました。マニュアル関係では、一つはやはり総合防災室、いわゆる災害対策本部が立ち上がるまで近隣の職員を集めまして支援室というものを設けることになっているんですが、その職員が集まっても具体的にどう動いていいかわからなかった、うまく十分機能しなかったという反省もございまして、このマニュアルの中に、支援室の班構成を再構築の上、情報処理の方法や各班相互の連携などについてわかりやすくマニュアルの中に図式化して、すぐ対応できるようにするという取り組みを行いましたし、あとは、支援室のレイアウトについてでございますが、従前のマニュアルでは県庁の4階と12階の会議室にそれぞれ分散して設置するということになってございまして、結果として非常に連携が不十分であったということもございましたので、一部施設を改造いたしまして、4階に総合調整所を設け、県と防災関係機関が一体となって対応できるように見直したところでございます。
 さらに、職員の参集に当たりまして、携帯電話及び一般の電話がほとんどつながらなかったという実態もございまして、今までは連絡を受けてから集まるということにしておったんですが、それではもう対応できないということが判明いたしましたので、連絡を待たずに自主的に、勤務公所に自主参集することを原則とするというふうに非常招集のルールを改める等、必要なマニュアルの見直しを行ったところでございます。
〇中平均委員 了解いたしました。地震災害等広範な範囲に及ぶこのような災害に対応するため、隣県との防災対策を行っているとお伺いしております。他県との災害対応の勉強会や、その上で県内市町村との情報交換等をより積極的に行う必要があるのではないかと考えます。昨年被災した岩手県は全国から多くの御支援をいただきました。それに対して、昨年の地震対応の成功例や課題、こういったものを伝えていくのも支援に対する恩返しの一つであると考えますし、果たすべき責任だと思いますが、いかがでしょうか。
〇菅野総務部長 私どもで経験させていただいたいい面、悪い面も含めまして、他県、市町村にお伝えしていくというのは、御指摘のとおり、私どもの責務だろうと思ってございます。これまで東北地区の防災部局連絡会議などで本県の対応、課題等について御説明するとともに、国が発行するいろんな機関紙等への寄稿ですとか、私どもが経験したことをお伝えしているところでございます。また、県内市町村に対しましては、防災主管課長会議等において、孤立化対策や自主防災組織の育成強化などの課題について意見交換等をさせていただいておりました。そのほか、消防庁が主催いたしております大規模災害時の消防と医療の連携に関する検討会や緊急消防援助隊の活動に関する意見交換会等におきまして、私どもの実例を御紹介させていただいて、全国の参考に供させていただいているところでございますし、今後とも、あらゆる機会を通じまして、私どもが得た経験というものを全国にお伝えする努力を続けてまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員長 中平均委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 中平均委員、御了承願います。
   午前11時57分 休 憩
午後1時3分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、総務部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菅野総務部長 午前中の歳入確保対策に対する答弁の中で、平成20年度における土地、建物の売却額について3億1、000万円と申し上げましたが、3億6、000万円の誤りでございます。
 おわびをして訂正させていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 続きまして、介護保険対応施設についてお伺いしてまいります。
 最初に、平成20年度の老健、特養施設、いわゆる介護保険対応施設への待機者の現状はどうなっているか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 介護保険対応施設への待機者の現状についてでありますが、老人保健施設及び特別養護老人ホームの入所待機者数は、平成20年3月末時点の調査では、合計で6、171人となっております。
 その内訳を申し上げますと、老人保健施設の入所待機者数は749人、そのうち在宅の待機者が308人、中でも要介護度が高い方、これは要介護度3以上でございますが、186人となっております。また、特別養護老人ホームの入所待機者数は、同様に平成20年3月末で5、422人、在宅の待機者が1、836人、そのうち、市町村が早期の入所が必要と判断した方が913人おられます。
 なお、平成21年3月末時点の調査につきましては、市町村からの報告期限を9月末として調査しているため、現在精査しているところでありますが、速報値で申し上げますと、合計で6、300人程度となっております。このうち、老人保健施設待機者で要介護度の高い方は200人程度、それから、特別養護老人ホーム入所待機者のうち、在宅で早期に入所が必要な方は1、000人程度と、いずれも1年前よりも増加しているものと見込んでおります。
〇中平均委員 平成20年の数字をいただきました。また、平成21年、まだ速報値といいますか、ふえているだろうということでございます。そして各市町村において今の待機者の現状が、今やっている第4期計画でどの程度人数というものが解消される見通しなのか、お伺いいたします。
〇宮舘副知事 待機者解消の見込みについてのお尋ねでございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、市町村が早期に特養への入所が必要と判断した在宅の方は、平成20年3月末で913人でございます。平成20年度に特別養護老人ホーム303床の整備が決定されていたことから、当該時点で、平成21年3月末には、約600人に対応する施設の整備が必要になるものと見込んでいたところであります。しかしながら、今回の調査ではこれが約1、000人となっておりまして、結果として、約400人がさらに増加したことになるものと思われます。第4期計画期間中におきましては、特別養護老人ホームで約660床が整備される予定でありますが、待機者の解消までには至らない状況でありまして、さらなる対応を進める必要があると考えております。
 現在、認知症グループホーム等の居住系サービスの整備も進んでいることから、当面、増加する待機者は、当該サービス等の中で受け入れていくこととなるものと考えますが、今申し上げましたとおり、特別養護老人ホームの新たな整備は緊急の課題であることから、今年度創設いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金におきまして、第4期計画に上乗せした施設整備ができることとされておりますことから、市町村等に、当該地域の実情に応じた整備を強く働きかけていくこととしております。
〇中平均委員 そういった中で、一戸病院においては空き病床利用ということで、平成21年度より対応をしていくということをお伺いして、始まる見込みでありますが、今あった待機者解消に向けて、県立病院は再度の計画等々で空き病床が出ておりますが、ここを活用した施設整備の必要性はさらに増していくと予想されます。民間で、さらに施設整備しやすい対策というものをどのように考えているのかをお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県立病院の空き病床の活用についてでありますが、特別養護老人ホームの待機者の解消は喫緊の課題と考えておりまして、県立病院等の空き病床を活用した介護保険施設の整備を促進することは、地域における資源を有効に活用しながら、待機者の解消に結びつく取り組みとなることから、大変効果的なものと考えております。しかしながら、第4期計画は既に昨年度末に策定済みであることから、市町村等がその財政に支障を来さないで空き病床の活用を図ることができるよう、今年度、県立病院等空き病床利用型介護保険事業特例交付金制度を創設いたしまして、市町村等の財政支援を行うこととしているものであります。
 これまで、これらの施設整備に関する補助事業におきましては、補助の対象となる資産の自己所有を前提としておりましたので、賃借施設の整備は補助対象外でありましたが、今年度創設いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用いたしまして、市町村を通じて行う補助事業においては、施設を賃借する場合であっても、一定の補助条件を付することで、県の判断により、補助の対象とすることが可能である旨、過日、国から示されたところでございます。
 県におきましては、待機者を早期に解消する観点から、県立病院等の空き病床を活用した施設整備を促進するため、先般、関係補助金交付要綱の一部を改正いたしまして、賃借施設もその補助対象とすることにしたところであります。
 なお、この場合におきましては、事業の趣旨等を踏まえまして、通常の補助条件に加え、事業者には、知事が定める期間以上、その事業を継続することなどの条件を付すこととしております。
〇中平均委員 では、最後に知事にお伺いしたいと思います。
 少子・高齢化という中で、整備してもどうしても待機している方がふえていってしまうという、これは現実としてしようがないところがあるんだと思います。それに対して積極的にできることは、行政が手を打っていかなければならないということなんだと思います。
 今、副知事の説明からもありました、病院等の空き病床を利用して補助要件を緩和してやっていこうということでございました。例えばこれを自治体の保有する空き施設、病院等に限らず、今、統廃合が進んできて学校の施設等もあいてきています。そういったところをやるとなれば、当然、改修等が必要になってくるであろうと思います。そういうところは現行の補助要件、基本的には新設か増設のみの補助要件となっておりましたが、病院等の場合には、それが可能になったということでの今の報告でありました。そういったのを含めて、学校等の自治体の保有施設、これを賃借して改修して施設として使用する場合にも、これも対応できるように補助要件の緩和を検討していく必要があるかと思いますが、どうでしょう、知事、こういった点を進めていくということでやっていってはいかがかと思うんですが、お考えをお伺いします。
〇達増知事 先ほど副知事から申し上げましたとおり、県立病院等の空き病床を改修して行う賃借施設の整備についても、介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用した補助事業においてその補助対象としたところでありますが、施設入所待機者の解消が喫緊の課題とされています状況を考慮しますと、県立病院の空き病床のみならず、委員御提言の廃校となった学校の空き教室など、自治体の空き施設を活用して行う介護保険施設の整備についても同様に有効なものと考えられますことから、今後、市町村や事業者の要望も踏まえながら、当該補助事業の対象として支援することについて、早急に検討してまいりたいと思います。
〇中平均委員 ぜひとも前向きに、しかも早急にそこら辺はまた図っていっていただきたいと思います。
 それでは、私からの総括質疑はここで終わらせていただきまして、残りの時間は、会派の喜多正敏委員より続けて行わせていただきます。
 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
〇小田島峰雄委員長 次に、喜多正敏委員。
   〔喜多正敏委員質問者席に着く〕
〇喜多正敏委員 民主党の喜多正敏でございます。中平委員の残りの時間をいただきまして、引き続き私から質問させていただきたいと思います。
 初めての総括質問でございますので、大変緊張いたしております。1期生の私がここに立たせていただいておりますことに感謝を申し上げながら質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 最初に、平成20年度決算に関し、平成20年度主要施策の成果と岩手県総合計画実施状況についてお伺いいたします。
 県では、今、県民の参加を得ながら、10年後の希望あふれる岩手の未来や、その実現に向けた取り組みを示す新しい長期計画の策定を進めておられ、このたびその案が公表されましたが、これに先立ち、平成20年度主要施策の成果に関する説明書、岩手県総合計画実施状況報告書が公表されました。言うまでもなく、各年度の予算や事業は、総合計画に位置づけられて推進されるものであると思いますが、知事は、総合計画との関連で、この主要施策の成果と総合計画実施状況についてどのように評価されておられますか、まずお伺いいたします。
〇達増知事 現総合計画につきましては、基本目標でありますみんなで創る夢県土いわての実現のための主要な指標を掲げており、これまで、この主要な指標の達成度合いにより、進捗状況が評価されてきたところであります。
 総合計画では、この主要な指標のうち、県民生活に密接に関連する指標として、私たちの暮らし指標、75指標を設定しており、今議会に御報告させていただいている平成20年度主要施策の成果に関する説明書に基づいてこの指標の達成状況を見ますと、測定可能な55指標中、達成とされたものが24指標、43.6%、おおむね達成が11指標、20%と、約3分の2、63.6%の指標がおおむね達成以上となっております。
 総合計画に掲げる五つの社会別では、社会別の指標数が少ないことから厳密な評価は難しいのでありますが、快適に安心して暮らせる社会、自然と共生し、循環を基調とする社会の進捗が、それぞれ75%、70%と高い一方で、個性が生かされ、共に歩む社会の実現が33.3%以上と、達成がおくれているという状況にございます。
〇喜多正敏委員 分野においてはほぼ満足すべきというか、順調に推進をしているところと、それからまだまだというところがありますが、こうした成果、実績について、今、策定を進めている新しい長期計画にどのように反映をしていこうとされているか、お伺いします。
〇達増知事 政策評価によります施策の進捗状況、おくれの要因、課題の分析結果につきましては、今回の新しい長期計画の策定に当たりまして、できる限り活用してきたところであります。特に、新しい長期計画の長期ビジョンのところにおきましては、本県の強み、可能性、弱み、課題をまとめた岩手の現状や、各政策分野の基本的考え方、政策推進の基本方向をまとめた岩手の未来の実現に向けた七つの政策というところに反映させているところであります。
 また、長期ビジョンを実現するための具体的な取り組みを示したアクションプランにおきましては、政策分野の目指す姿指標や主な取組内容、そして県民や市町村等との役割分担の考え方といったところに反映をさせているところであります。
〇喜多正敏委員 今までの事業実施状況や評価、成果を踏まえながら、県民が希望を持ってしっかりと取り組むことができる長期計画の策定を目指していただきたいと思っております。
 ところで、主要施策の成果説明では、さらに要因分析や課題の抽出、今後の取り組み方向などを検討、整理を行い、来年度の施策への反映状況を今後報告するとしておりますが、実績や評価を早目に行うということは理解できるわけでありますが、実績と要因分析なり今後の施策への反映方向などを含めて公表しなければ、県民から見て実績の評価や判断が難しいと思いますが、いかがでしょうか。
〇高前田総合政策部長 政策評価の報告時期等についてでございますが、平成19年度までは、年度前半に、指標の達成度のほか、その原因や課題の分析などもあわせた政策評価を行ってきたところでございますが、このシステムでは、評価後の社会経済情勢の変化等が加味されていないため、翌年度の施策検討や予算編成作業に十分に活用できないなどの問題がございましたことから、平成20年度に、政策形成支援機能の強化のための大幅な見直しを行ったところでございます。
 具体的に申し上げますと、年度前半に、まず指標の達成度等から総合計画の進捗状況を把握する実績測定評価、これを実施いたしまして、9月議会に、主要施策の成果に関する説明書として報告、公表させていただき、その上で、年度後半に、直近の社会経済情勢の変化等も踏まえた施策の課題の抽出や分析、今後の方向などを含めた総合的な評価を実施し、その結果を翌年度の施策検討や予算編成作業に活用しているところでございまして、その内容につきましては、どのように来年度の施策や予算に反映されたかと合わせまして、2月議会に政策評価等の実施状況及び評価結果の政策等への反映状況報告書として報告し、公表させていただいているところでございます。
 政策評価の実施状況の公表につきましては、県民の皆さんに対する県の説明責任を果たすといった観点からも重要と考えておりまして、県の取り組みや成果がより見やすく、よりわかりやすくなるよう、今後ともさらに工夫し内容の充実に努めてまいります。
〇喜多正敏委員 変化の状況や、実際に予算に反映されなければということは理解できないことはないのでありますけれども、最近の県民の県政や予算編成過程への関心の高まりや、透明感の促進、新しい長期計画への参画を促進するために、さらに工夫をしていただきたいと思います。
 次に、監査制度についてお伺いいたします。
 県警の今回の不正経理は、犯罪や交通事故等から県民を守っている県警に対する県民の信頼を大きく損なうものでありました。不正経理の実態解明が、当初、署員の聞き取りを行い、後に帳簿方式で確認、チェックしたということは、迅速性や正確性に欠けたのではないかと思いますが、県警の意識の改革と実態解明に基づき、こうしたことが二度と起こらないような内部の仕組みづくりが必要であり、また、同時に、内部や外部の適時適切なチェックが必要であります。
 そこでお伺いします。監査では、今回の県警の不正経理に関してどのような所感を持っておられるか、お伺いします。
〇菊池監査委員 今回の県警の問題に関しては、非常に残念なことだと思っております。特に、不適当な事務処理が昨年度公表よりも増加していると。非常に遺憾なことだと思っております。しかし、その一方で、私どもの監査業務を考えるときに、果たして責務を十分果たしていたかという疑問がわいてきます。我々はやはり、一部責務を果たしていなかったなという強い後悔に立っております。したがって、この場をお借りいたしまして、県議会議員の皆さんあるいは県民の皆さんに、監査委員を代表しておわびしたいと思います。
〇喜多正敏委員 監査では、昨年の不正経理問題が起きたわけでありますが、これを受けてどのような監査を行ったのか。その上で、今回判明できなかったことに関してどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
〇菊池監査委員 どのような監査を行ってきたかということでありますが、昨年明白になった不適当な事務処理問題を受けて、その後監査手法を見直し、会計書類と現物を確認するとともに、監査対象機関から、直接、預けあるいは差しかえなどがないか聴取したところであります。抽出により、納入業者に文書照会をし、外部確認も実施しました。その結果、新たな不適当な事務処理は確認できなかったところであります。
 警察本部は、昨年度の調査に加え、さらに対象業者を拡大して内部調査を行っているということを承知しましたので、これまで定期監査や決算概況説明の際など、機会あるごとに調査の状況や内容について説明を求めてきたところであります。しかしながら、有効な内容の説明や資料の提供などが得られなかったために、新たな不適当な事務処理を明らかにできませんでした。非常にこれは残念なことと思っております。したがって、現在、実はきょうからでございますが、新たな不適当事案に関して監査を進めているところであります。
〇喜多正敏委員 限られた監査委員事務局及び監査委員の陣容ということもあるわけですけれども、今回の問題を受けて、監査のさらなる充実が必要ではないかと思います。人員配置、納入業者への聞き取り調査の法的根拠などの充実が必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。
〇菊池監査委員 監査のさらなる充実ということでありますが、昨年度の問題を受けまして、現場における監査人員、つまり事務局職員でありますが、この増員を図ったところであります。引き続き、期待される監査水準の達成に向けて、専門性の強化も含め、さらなる監査体制の充実強化に努めてまいりたいと思います。
 納入業者などへのいわゆる外部調査問題でございますが、県民に義務を課し権利を制限する場合は、その必要性について慎重な判断が求められると思っております。昨年度からこの問題を受けて、納入業者に対する納入事実の照会、つまり外部調査でありますが、これを進めておりますが、業者においても協力的であります。したがって、関係人に強制的に聴取に応じさせなければならないという状況にはないと考えております。
〇喜多正敏委員 監査は適切、効率的な県の事業や事務の執行をチェックし、促進をするものであります。監査品質を高めるとともに、その体制強化にも積極的に御努力をいただきたいと存じます。
 協力をしていただけるものであれば、法的に根拠があってもおかしくはないのではないかなと私は思うのであります。
 次に、監査における指摘事項についてお伺いをいたします。
 監査の指摘事項は、平成18年度で34件、平成19年度は36件、平成20年度では27件とほぼ横ばいに推移をしておりますが、平成21年度は、9月末現在で35件と増加傾向にあります。その内容は、会計の初歩的なミスではないかとも思料されますが、この原因と今後の対策をどうされていくか、その予定をお伺いしたいと思います。
〇古内会計管理者 指摘事項が増加傾向にあるのではないかということでございますが、監査での指摘の内容を分析させていただきますと、まず一つは、収入では、調定のおくれ、また、収入証紙収納額報告のおくれ、誤り、また、支出では、支払いのおくれでありますとか、諸手当の支給誤りなどがございまして、事務処理のおくれによるものが目立っているほか、会計や諸手当制度などの理解不足と思われる事例が見られるところでございます。これは、事務の執行管理や組織内部におけます相互チェックが十分にしっかりと機能していないことによるものと私どもはとらえております。
 出納局におきましては、各種研修会を開催するとともに、各部主催の職員研修の機会も活用するなどして会計知識の普及と啓発に努めておりますほか、研修以外では、不適切経理の発生を防止するために、特に力を入れて取り組むことといたしました管理監督者である所属長みずからによる会計事務自己点検を実施しているところでございます。
 今後とも、監査で指摘があったような誤りを繰り返すことがないように、また、初歩的なミスを未然に防止する観点からも、今後、研修プログラムの見直し、そしてその内容の充実、さらに日常の支出審査時におけるきめ細かな指導、また、各部主催の職員研修の機会を積極的に活用するなどを通じまして、会計事務処理の理解を深めるとともに、事務の執行管理や組織内部における相互チェックの徹底について指導してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 細かいミスやおくれが不正経理にもつながり、あるいは原因の究明、今までも一生懸命やってきたとは思いますけれども、これを除去するための例えば見える化とか、ミスがきちんとわかるように、そうしたことがされていかない限り、この指摘事項はなくならないのではないかと思いますので、これからも一層頑張っていただきたいと思います。
 次に、小・中学生の全国学力学習状況調査についてお伺いいたします。
 平成18年度にGアップシート、平成19年度に学校改善支援プランの作成、活用に関する指導資料を作成し、平成20年度にはこれを活用するなどいろいろ取り組んでこられましたが、全国調査の結果を見ますと、特に中学校においては、数学で全国最下位クラスにあるなど、その成果は満足できるものではありません。
 一方、学力調査の結果が高い水準となっている秋田県では、生活習慣や自宅学習が学力に大きな影響を及ぼしていると考え、早寝、早起き、朝ごはんを食べるということや、自宅学習を奨励していると聞いております。他県では、大阪府のように、橋下知事の大号令のもとに対策を講じている自治体もあります。学力向上については家庭の協力も不可欠だと思いますが、知事は、小・中学生の学力向上策について、秋田県等他県の取り組みも踏まえ、どうお考えなのかお伺いします。
〇達増知事 義務教育におきましては、知・徳・体の総合的な力を育てることが大切であり、すべての児童生徒に、学力の基礎、基本を確実に定着させていくことが重要であると考えております。
 本県の児童生徒の状況を見ますと、特定の教科や学力調査の順位だけで学力をはかるものではないわけでありますが、中学校数学の定着率が低いことや、家庭学習の時間が不足している等の課題が明らかになってきております。この課題を解決するために、秋田県等の取り組みも参考にし、これまで本県が進めてまいりました教員の授業力の向上を図る一方で、学校、家庭、地域の連携を図るいわて型コミュニティスクール構想や教育振興運動を通じて、家庭学習の取り組みを充実させていくことによって、学力向上に、より一層取り組んでいくことが必要であると考えております。
〇喜多正敏委員 世の中で子供たちがしっかりと生きていく、あすの岩手を支えていく、そうした意味で学力の定着というのは大事だと思うわけでありますので、その取り組みをさらに充実強化をして、何よりも実績を上げていただきたいと思います。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 最初に、岩手ブランドについてお伺いします。
 販売なくして事業なしであり、産業の振興のためには販路の拡大が不可欠であります。販路の拡大には、ほかと差別化して購入していただけるブランドが大事であると思います。県では、岩手のブランド確立のため、平成20年度の取り組みを含め、どのように取り組んでこられたのか、成果と課題についてお伺いします。
〇宮舘副知事 ブランドの確立は、他産地や他の商品との差別化や有利な販売につながることから、各業界や産地では商品力の向上を図るとともに、ロゴマークやキャッチコピーを用いて情報発信を行ってまいりました。
 例えば、観光と物産におきましては、こちら、岩手ナチュラル百貨店、農産物におきましては、純情産地いわてのキャッチコピーを用いまして情報発信に努め、ブランド化に取り組んできたところであります。平成20年1月からは、新たに黄金の國、いわてを県全体のイメージコピーとして情報発信に努めてきたところであり、これを受けまして、いわて純情黄金米やいわて純情りんご黄金シリーズといった、新たなブランド形成にも取り組んでいるところであります。
〇喜多正敏委員 もちろん、農林水産品やそれぞれの製品がPRを行い、ブランドを確立していくことは大変大事であると思います。県としては、岩手のものとして販路の拡大に支援する立場から、そこに流れる岩手としての共感できる、共通する価値としての岩手の地域ブランドの形成が効果的であると思います。黄金の國、いわてということでもありましたが、それとそれぞれのブランドがうまくつながっていないというか、わかりにくいということがありますので、岩手の地域ブランドの形成についてどのようにお考えであるか、お伺いします。
〇宮舘副知事 今後の取り組みについてでありますが、岩手ブランドの確立には継続した地道な取り組みが肝要であることから、こうした県全体のイメージアップと、各業界や産地における商品力の向上や情報発信と密接に連携を図りながら、岩手ブランドを確立して、県産品の販路の拡大に、今後、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 いずれ、各産品、各業界がばらばらでなくて、そのよさを糾合して、全体として岩手というものはどういうイメージでやるか、その岩手がそのイメージから産品のよさが伝わるような運動をしていただきたいと思います。
 次に、県内の産業の販路拡大のために、達増知事を先頭として物産観光展や商談会など、海外や国内においてさまざまな取り組みをされておられます。平成20年度の取り組みを踏まえ、こうした活動の成果と所感についてお伺いします。
〇宮舘副知事 知事が先頭に立った観光物産展や商談会の成果と評価についてでありますが、トップセールスは大変効果的で意義のあるものと認識しておりまして、特に知事は、就任以来、首都圏等における大手量販店や百貨店を初め、海外での商談会などにおいて、安全・安心な農林水産物や特色ある県産品の魅力を強くアピールしてきたほか、観光や企業誘致にも取り組んできたところでありました。こうした結果、首都圏等における県産品の販路の拡大につながっているほか、海外におきましては、マレーシアや香港における販路開拓を初め、南部鉄瓶の中国への販路拡大が図られつつあるなど、県産品の販路の拡大はもとより、本県の知名度の向上とイメージアップにつながるなどの成果があったと認識しております。
〇喜多正敏委員 いろいろお伺いしました。今、そうした販売促進の活動や誘客、さらには企業誘致や文化等の活動を、期間を同じくして集中的に行うことにより、岩手のイメージをわかりやすく、強く訴求することができ効果的であると思い、今いろいろお話をしてまいりましたが、そうしたことを総合的に実行するということについての御所見をお伺いします。
〇宮舘副知事 さまざまな活動を時期を同じくして集中的に総合的に行うこととの御提言についてでありますが、本年11月に、埼玉県の越谷市で、県内の市町村や関係機関、企業等と一体となりまして、郷土芸能やコンサート、さまざまな展示販売を通じまして、岩手の楽しさ、おいしさ、いやしを感じていただきながら、岩手の自然環境や暮らし、食、文化などを一堂に集めてPRし、岩手の魅力を丸ごと発信する黄金の國、いわてフェアを開催することとしております。これには、知事が先頭に立ってPRする予定となっておりまして、こうした総合的なイベントを通じて、岩手のよさを効果的にアピールしていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 ぜひ岩手の総合力を展開して、在京の県人やあらゆるネットワークを駆使して、継続して行っていただきたいと思います。
 産業振興には農林水産業や観光、中小企業の専門的な指導が必要であると思いますが、県では、生産、販売、マーケティングなど、こうした県職員の専門的な職員の採用や、人材養成と配置についてどのように取り組まれ、今後どのような方針なのか、お伺いします。
〇宮舘副知事 生産、販売、マーケティングなど、農林水産業、観光、中小企業の専門的な指導を行うためには、専門的知識を持った職員の採用や職員の能力向上、また、そうした能力を十分に発揮できるような職員配置などに取り組んでいくことが大変重要であると認識しております。このような観点から、これまでも職員の採用に当たりましては、民間企業等における職務経験者や農林水産業における専門的知識を有する者の採用にも配慮してまいりました。また、人材養成の面では、研究機関等における専門研修による専門的知識、ノウハウの習得、それから、先ほど中平委員の御質問にもお答えしておりますけれども、民間企業への派遣による現場経験を通じた指導能力の向上を図るなど、専門的な知識を持った職員の適材適所への配置に努めているところであります。
 今後とも、本県産業の一層の振興を図るため、専門的知識を有する職員の採用や人材の養成と適正な配置に努めるなど、組織力の向上に努めてまいる考えであります。
〇喜多正敏委員 農林水産業あるいは建築部門でも技師といったような方々が配置をされて養成もされているわけでありますけれども、例えば観光においては観光学部であるとか、あるいは中小企業診断士の養成とか、そうした面でさらに事業は人なりと言うわけでありますので、そのことについて、従来型の採用や配置ではなくて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、県産材の需要拡大についてお伺いします。
 県産材の需要拡大には、公共施設・公共工事木材利用推進行動計画により取り組んでおられますが、平成20年度の取り組みを含め、今までの実績と課題をお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 県産材の需要拡大のための取り組みについてでありますが、県では、率先して県産材の利用を推進するため、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定しておりまして、第2期計画の平成19年度から21年度までの3年間におる木材利用量は、全体の目標が1万7、100立方メートルに対しまして、21年度末見込みでは1万8、082立方メートル、進捗率は106%、全体計画を達成する見込みであります。
 一方、住宅着工戸数の落ち込みによる木材需要の急激な減少は、地域経済に深刻な影響を与えることが懸念されるため、本年6月に開催した本部会議におきまして、来年度以降も取り組みを継続することとしたところであります。
 また、公共工事以外の県産材利用拡大につきましては、県産材の主な用途であります住宅分野への需要拡大が重要でありますので、住宅分野における県産材利用拡大に向けたセミナーや、首都圏における商談会への参加、県北・沿岸地域においては、南部アカマツ振興センターの設置によるアカマツ材の生産から販売まで、地域一体となった取り組みの支援などに取り組んできたところであります。
〇喜多正敏委員 質問をしたこと以外にもお答えをいただいたようで、ありがとうございます。
 生産面での支援も大事ですが、県のリーダーシップのもとで計画を立て、需要拡大に努めていただきたいと思います。
 県では、岩手型住宅ガイドラインを平成19年度に策定をされましたが、平成20年度において、岩手型住宅の普及推進をどう進められたか、お伺いをいたします。
 また、県産材を活用した住宅建設について、県の補助制度を廃止し、パンフレットなどを作成し、県産材の活用、普及に努められているということですが、補助制度とパンフレット配布等のPRはどの程度効果があったのでしょうか、お伺いします。
〇宮舘副知事 岩手型住宅の普及推進についてでありますが、平成20年度は、岩手型住宅ガイドラインのパンフレットを作成いたしまして、県内4カ所で設計事務所や工務店向けに開催した研修会で活用するとともに、住まエネフェスタ等のイベントにおきまして、県民に向けて岩手型住宅のPRを行ったところであります。
 設計事務所や工務店におきましては、岩手型住宅の理解が深まりつつあるものと考えておりますが、今後は、一般県民への普及啓発に向けて取り組んでいく必要があるものと認識しております。このため、今年度から岩手型住宅に取り組もうとする県内工務店を広く県民に紹介し、顧客の獲得を支援するため、岩手元気のある工務店支援事業を立ち上げるとともに、キャッチコピーを公募し、岩手の自然と岩手の技術で岩手のエコライフと決定するなど、県民の方々に岩手型住宅のイメージをPRし、普及推進に努めているところであります。
 それから、県産材を活用した住宅建設についてでありますが、県産材を利用して木造住宅を建設する場合の補助については、平成17年度まで約700戸を対象に利子補給等の支援を行い、県産材利用住宅の建築促進に一定程度の寄与をしたと考えております。
 平成20年度に開催いたしました岩手型住宅ガイドラインのパンフレットを活用した設計事務所や工務店向けの講習会の参加者からは、県産材の活用といった特色のある取り組みは、今後の地域の工務店経営に重要であるといった意見をいただくなど、理解が深まったもの考えております。
 また、県産材を活用する木造住宅建設への支援については、木材業界のみならず、建設業界からも強い要望があり、また、本年7月に実施いたしました県民アンケート調査では、県産材住宅建設への支援や工務店等による県産材の積極的な利用へのニーズの高さが明らかとなったところでございます。
 県産材を活用した住宅の建設促進や、技術伝承のためには、地域の製材所や工務店、市町村等との連携が不可欠であることから、今後、建設の促進に向けた一体的な取り組みについて、その支援のあり方を含め、幅広く検討してまいる考えであります。
〇喜多正敏委員 平成19年度に岩手型住宅ガイドラインを作成したと。平成20年、21年ということで、普及、啓蒙に努められてきたということでありますが、この間、2年なり3年かかっているということで、どうもスピードが遅いのではないかと思います。それから、啓蒙、普及が進んだとは言いながらも、それでは岩手型住宅の建設についてはどの程度の戸数を建設しようと思っているか、その目標についてお伺いしたいと思います。
 あわせまして、これに関して、先般、みやこ型住宅の取り組みを視察する機会がありました。今、副知事からもお話がありましたとおり、設計会社や工務店、林業関係者、振興局や宮古市などが連携して、省エネや気候風土に合わせた住宅を開発し、宮古市が建設費等の補助や紹介を行っておりました。県では、この取り組みについてどのように認識をされておられるでしょうか。また、県が単独で補助制度を設けられて、平成17年度まで700戸着工されたということでありますが、それもそれでいいのでありますけれども、むしろ、市町村と連携をして、こうした取り組みに支援や奨励策を講じることも一考ではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 みやこ型住宅の取り組みと宮古市が実施している補助についてでありますけれども、みやこ型住宅につきましては、宮古市、下閉伊地区で生まれ育った地域材であるアカマツ等の活用や、当該地区の気候風土を生かした家づくりを、地域の設計事務所、工務店及び林業関係者が一体となりまして、平成16年度から実施している取り組みであります。
 また、宮古市では、本年度から地域材の利用拡大を目的といたしまして、地域木材を8割以上かつ10立方メートル以上使用した住宅に対しまして、1棟当たり30万円の補助を行っておりまして、これまで3件の実績があると聞いているところであります。あわせて、地方振興局におきましても、みやこ型住宅のPRや見学会の開催などの支援を行っているところであります。このみやこ型住宅と宮古市の補助につきましては、地産地消の家づくりを推進する上で、有効な手法であると考えているところであります。
 それから、県産材を活用した住宅の建設促進、技術伝承のためには、地域の製材所や工務店、市町村等との連携が不可欠であることから、今後、建設の促進に向けた一体的な取り組みについて、市町村とも連携してその支援のあり方を含め、幅広く検討してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 県は県で、もちろん林業振興や環境あるいは健康もといったようなことで、岩手型住宅について取り組んでいるわけでありますけれども、今、私が質問したのは、この岩手型住宅をどの程度着工していきたいのか、どの程度普及していきたいのか、そういう計数的な目標を持っておられるか。
 私は、経営は結果であり、結果は数字にあらわれると思っているわけでありまして、数字の裏づけのない計画というのは、やっぱり実現の度合いが低いと思うのであります。やはり林業振興のためには末流の流通を拡大することが一番の先決であり、環境や治山、治水の面からも山を守ることが大事であるわけでありまして、そうしたときに、岩手型住宅をせっかくお金をかけて作成をしたと。これについてどの程度建設をするかという目標がないのでは、どうも計画の実効性や事業の効果性に疑問があるわけでありますけれども、その点についてはどうでしょうか。
〇宮舘副知事 今、御質問のありました岩手型住宅の目標については手元に資料がございませんので、後ほどまたお知らせします。
〇喜多正敏委員 いずれ、市町村と連携をしながら、宮古市、他県でも助成をして県産材を使っているわけでありますので、具体的な数値を持って林業の振興に努めていただきたいと思います。
 御丁寧な御答弁をありがとうございました。これで質問を終わります。
〇小田島峰雄委員長 次に、嵯峨壱朗委員。
   〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 総括質疑をさせていただきます。余り近くで見たことがないので大変緊張しますけれども、誠意を持って質問しますので、よろしくお願いしたいと思います。
 平成20年度決算議案についてですが、今般、平成20年度岩手県一般会計歳入歳出決算書の認定については本会議で提案されたところでありますが、私は、まず議案として設立要件を十分満たしているのか、提出の仕方はどうなのかというさまざまな疑問を抱いておりますので、その入口論議から入りたいと思っております。
 知事は10月9日の記者会見の中で、翌年度予算のかかわりにおいて、9月議会で審議に入ることは、県民のためにも大変よい選択を議会でされたと思っております。警察の決算の取り扱いについてはいろいろな議論があるようですので、そこは議会の判断を尊重しながら対応していけばよいと思っていますと述べております。
 決算は、全体で一つの議案であり、県警のみを切り離して提案されているわけではなく、知事が言うように、県警の決算の取り扱いとして分離できる性質のものではないと考えております。そうした前提に立って、初めに、この決算議案が議会に提案されるまでの手続とその経緯、その考え方等について、事実の確認と基本的な考え方について質問させていただきます。
 まず初めに、知事への決算書の提出についてでありますが、地方自治法第233条第1項によると、会計管理者は、毎会計年度決算を調製し、出納閉鎖後3カ月後以内に、書類その他政令で定める書類と合わせて知事に提出しなければならないとされておりますが、具体的に会計管理者は、いつ知事に提出したのでありましょうか。
 次に、監査委員への決算書の提出についてでありますが、また、同条第2項に基づき、知事は、決算及び関係書類を監査委員の審査に付さなければならないとされておりますが、知事は、いつ監査委員に対して審査に付したのでありましょうか。
 三つ目に、監査の実施スケジュールについてでありますが、監査委員では、この関係書類の受理後、どのようなスケジュールで審査を実施したのか、お尋ねいたします。
 また、10月9日の新聞報道によりますと、県警察本部に随時監査を行うと報道されておりましたが、既に監査は終わっておると思っておりますが、一体何を監査するのでありましょうか。そして、それが平成20年度分とするならば、ただいま私どもが審議しておりますこの平成20年度の決算書また審査意見書はどうなるのでしょうか、お尋ねいたします。
〇古内会計管理者 まず最初のお尋ねでございますが、知事への決算書をいつ提出したのかということでございますが、平成20年度歳入歳出予算に係る決算書は、法の規定に基づきまして、平成21年7月30日に知事に提出しております。
 もう一つ、知事は、監査委員の決算の提出、いつ審査に付したかというお尋ねでございますが、この会計管理者から提出のあった決算は、監査委員の審査に付す権限を、岩手県事務委任及び代決専決規則におきまして、出納局長の専決事項とされておりますことから、出納局長としての立場で、同日、平成21年7月30日に、監査委員事務局に提出しているものでございます。
〇千田監査委員事務局長 監査のスケジュールについてでございますが、監査委員は、知事から平成21年7月30日に決算関係書類を受理いたしまして、これまで行ってまいりました監査及び現金出納検査の結果を集約、確認するとともに、決算調製に必要な証拠書類を照合精査し、8月27日と9月10日の2回にわたり監査委員協議を実施いたしました。これらの協議の結果を踏まえて、9月24日に知事あてに決算審査意見書を提出いたしました。
 次に、随時監査についてでございますが、この随時監査といいますのは、定期の監査に対して用いている言葉でございますが、このたび、県警察本部の内部調査の結果、平成20年度会計について、平成20年12月9日公表の調査結果のほかに、新たな事務費の不適当な処理が明らかになりましたので、地方自治法第199条第5項に基づいて随時監査を実施することとしたものでございます。
 監査の対象事項は平成20年の財務事務で、県警の新たな不適当事案について、契約前納入を含め、その事務処理の実態や手法、背景、原因などについて調査するものでございます。
〇古内会計管理者 もう一つお尋ねがございました。決算書についてどうかということでございました。決算書につきましては、地方公共団体の歳入歳出予算に係る出納は、地方自治法の規定によりまして、出納閉鎖である5月31日をもって閉鎖され、この日以降は、一切の現金の移動ができないこととされております。そのため、決算に係る計数は5月31日をもって確定するものでございます。したがいまして、決算書は、確定した計数をもとに歳入歳出予算の執行の実績を把握し、整理し、それを予算と比較し検討しやすいように整えたものでございまして、決算書に記載している計数としては確定したものということでございます。
〇菊池監査委員 決算書及び審査意見書についてであります。
 警察の中間報告によれば、不適当な事務処理の総額は2億2、200万円余りとなっております。これは、内部調査の中で新たに発見されました契約前納入を含む7態様について、平成15年度から20年度の合計であります。しかし、悪質性の高い預けあるいは差しかえ、一括の3態様については、監査対象とした平成20年度決算に限って見ると、今回の中間報告では87万円余りとなっております。そのうち、約76万円分については監査済みであり、既に県報に公表、あるいは公表する、登載する手続中であり、残る11万円余りの不適切な経理について、現在進めている監査で明らかにしたいと思っております。
 決算審査の意見書でありますが、既に事務費の不適当な処理があったことを明記しております。したがって、現在のところ、意見書の修正については考えておりません。
〇嵯峨壱朗委員 今の一連のことを聞いているのは、この後も質問しますけれども、決算書である姿というのは、一定の条件があるわけです。その条件を満たしていないのではないかという疑問で聞いているんですね。それはそれとしていいですが。続けます。
 次に、警察本部長に質問させていただきます。
 警察本部にかかわる不適切事務処理についてでありますけれども、先日、警察本部より不適切な事務処理に関する中間報告が説明されたところでありますけれども、これに関連して質問いたします。
 初めに、平成20年度分の不適切事務処理の総額は幾らになるのでしょうか。ただいま87万円という説明がありましたけれども、それでいいのかどうかも含めてです。
 次に、新たな不適切事務処理の把握についてでありますが、この中間報告によりますと、平成20年12月定例会において報告した後、継続して調査を行ってきたところ、新たに不適切な事務処理の疑いのある取引を把握と記載されておりましたが、いつ把握したのでありましょうか。
 次に、最終的な報告時期、これは先ほども中平委員の質問の中でも出ておりましたけれども、審査までには間に合わせるという話もありましたが、それでいいのかどうかという確認であります。
 次に、会計検査院の指摘とその対応についてでありますが、会計検査院の検査が行われたのは、これも答弁は以前知事からもあったかと思いますけれども、再度確認させていただきます。具体的にいつなのでしょうか。その際、どのような指摘がなされたのでありましょうか。また、それを受けて、これまでどのような対処をしてきたのでしょうか、お示し願いたいと思います。
〇保住警察本部長 まず、第1点目の平成20年度分の不適切な事務処理の総額についての御質問でございました。
 全部で6態様ございまして、6態様の合計で1、495万2、824円となっております。この6態様といいますのは、預け金、差しかえ、一括払いの3態様に加えまして、前年度納入、先払い、契約前納入でございます。
 続きまして、新たな不適切の疑いのある事務処理を把握した時期についての御質問でございますが、平成20年12月定例会以降も継続して調査してきたところ、その後、会計検査院による会計実地検査が、平成21年3月9日から12日までの4日間行われることとなったため、部内におきまして事前準備の調査を実施していたところ、3月4日に、不適切な事務処理の疑いのある取引を新たに把握したものであります。
 最終的な報告の時期についてでございますが、県警察に係る決算部局審査日までに報告できるよう、現在、鋭意頑張っているところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
 岩手県警察に対します会計検査院による実地検査でございますが、ことしの3月9日から12日までの4日間行われたほか、これに付随する資料収集が7月29日から31日までの3日間行われました。
 検査の結果及び対応につきましては、受検する立場であり、お答えは差し控えたいと思います。
 なお、会計検査院におきましては、例年11月上旬に検査結果を総理に報告する予定と承知しております。
 また、3月上旬の会計検査院の指摘等を踏まえまして、岩手県警察としては、調査方法等を見直した上で、徹底した調査を行うことといたしました。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの代表監査委員の87万円という数字は、預けという理解でいいんですか。今の説明は、全体の6態様を含めたという理解でいいのかどうか、確認だけしておきます。
〇菊池監査委員 先ほど私が申し上げた87万円余りは、預け、差しかえ、一括の合計であります。
〇嵯峨壱朗委員 了解であります。
 それと、会計検査院の指摘を受けて以降ですけれども、4月6日でしたか、新たな不適切な事務処理に係る調査プロジェクトチームというものを再構築して、いわゆる突合によって把握するという対処をとったという理解でよろしいでしょうか。
〇保住警察本部長 御指摘のとおりでございまして、会計検査院の対応の準備の過程で新たな疑いが判明いたしましたので、その後、体制を強化し、調査方法を、徹底的に事実関係を調査するという方針に改めたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ徹底的な調査を行って、この際ですので、一定のけりをつけていただきたいと思っていました。
 次に、会計管理者に質問させていただきます。
 会計検査院の指摘内容等について、今は明確には言えないということでしたけれども、一連の不適切な事務処理問題に係る会計検査院の対応は警察本部で受検されたわけでありますけれども、これらの指摘内容について、知事部局としては、いつ、どのような情報を認知していたのでしょうか。
 また、決算書の調製についてでありますけれども、このような不適切なと言われる事務処理の存在があることや、その全容が解明されていないにもかかわらず決算書ができ上がるものなのかどうか、お尋ねしたいと思います。
〇古内会計管理者 いつ認知したかというお尋ねでございますが、ことしの3月の会計検査院による実地検査が行われた後に、県警本部長から知事に対して報告があった際に、検査結果の概要として、不適切な経理処理の疑いがあるとされたことについて伺っていたところでございます。その後も、知事に報告があったことについては、関係する部局で随時情報を共有してきたというところでございます。
 また、決算の調製に関することです。これについては、先ほども申し上げましたけれども、決算書というのは、1会計年度の歳入歳出の予算の執行状況を計数的に取りまとめるというものでございまして、先ほど申し上げました5月31日をもって確定した計数でもって、その実績を把握、整理して、予算と比較して検討しやすいように整えたものでございます。仮に、予算の執行上、適正を欠くものがその中に含まれている場合であっても、歳入歳出予算の執行の結果のまま整理、調製して作成するものだとされております。
〇嵯峨壱朗委員 今の説明だと、まず、どんなに不適切なものがあっても、数字上、合っていれば、決算としては問題ないというふうに理解していいんでしょうか。
〇古内会計管理者 決算書として調製した計数上のこととしては問題ないと理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 我々とは、法律と違って認識が違うというか、私的に見ると、やはり問題があることを知っていた上で、計数が合っていればそれでいいというのは、事務的にはそうなのかもしれませんが、大変ちょっと疑問を持つなと思っていました。
 次ですけれども、知事は、そういった事実を、先ほど4月1日以降という話でしたか、ちょっと忘れましたけれども、了知しておきながら、決算書の一部に不備が認められる、そういった可能性があるということを今も申し述べておりましたけれども、数字が合っていればいいということでした。にもかかわらず、監査委員の審査に付したことについて、知事の認識を伺いたいと思います。また、こうした一部に不備がある決算書であることは、議案として私はやっぱり素朴に疑問を感じるわけでありますけれども、こうした不備のある議案を議会へ提案したことへの知事の認識もお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 一部不適切な支出が含まれているということについては、予算執行上の問題として甚だ遺憾なことと考えておりまして、これを重く受けとめているところであります。
 一方、先ほど会計管理者から答弁しましたとおり、決算書というものは計数的な取りまとめでございまして、これを5月31日の時点で締めて監査委員の審査に付し、また、議会に提案することは法令上の義務でありますので、法令に従って対応させていただいているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 それでは、監査のほうに改めてまた質問しますけれども、監査委員は、こうした決算書に一部不備があるということを認識した上で審査意見を付したのでしょうか、その認識をお尋ねしたいと思います。
 また、決算書類の調製についてでありますけれども、これは会計管理者のほうですけれども、地方自治法第233条第1項には、会計管理者は出納閉鎖後3カ月以内に決算書類を調製することとされているのに、私から見れば不備があると思われる決算書からすると、実態的には3カ月以内に決算書類が調製されていなかったのではないかと。数字が整っていれば、それで決算書として成り立っているという認識というか、それが法的にはそうだというのであればどうなのかと思いますけれども、我々とすれば疑問があるところです。これは、地方自治法に抵触するのではないかと。行政実例にもあるところですけれども、期限遅延は職務怠慢であると言われております。こうした一連の事務処理に対する所感をお尋ねしたいと思います。
〇菊池監査委員 監査委員は、決算書で一部不備を認識した上で意見を付したのかという御質問でありました。平成20年度の決算は、審査の結果、関係諸帳簿、証拠書類などと合致しており、その計数は正確であることを確認したところであります。また、定期監査の結果では、収入事務や支出事務などの不適当なものがあったほか、事務費の不適当な処理があったことを摘示しております。また、不適当な事務処理があった場合には、その都度、岩手県報に公表してきたところであります。このような状況の中で、監査委員としては、明らかになっている事実に基づいて意見を付したものであります。
〇古内会計管理者 大変恐縮に思うわけですが、繰り返しになってしまいますけれども、お手元の決算書につきましては、平成20年度の歳入歳出の執行状況に係る実績を積み重ねまして、それを計数的に整理し、予算と比較して検討しやすいような形に整えて、法令に従って、出納閉鎖後3カ月以内である7月30日に知事に提出したものとなっております。決算書につきましては、形式的には計数の把握、整理とも正確なものであると認識しておりまして、不適切経理に係る事柄につきましては、決算書類の調製に係る正否のこととしてではなく、予算執行上の問題として、別な観点での評価が行われるべきものと考えているのですけれども、予算執行上、適切さを欠く内容が一部含まれている点につきましては、会計事務の適正執行の確保に意を用いなければならない立場の者としては遺憾なことと考えておりますし、また、責任を感じているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 何となくわかってまいりましたというか、要するに、我々はこうやって決算とかで審査する場合に、実は、どちらかというと、計数の出入りは当然合っているだろうという大前提でやっているわけです。予算執行上の問題としてどうなのかというところを通常議論しているんですね。ですから、こういった問題として取り上げているわけです。計数が合っていればいいんだというのでは我々の役割もなくなるし、どうかなと思っておりました。予算執行上の問題としての不適切さがあったということは認めて、遺憾であるということであります。今回ばかり言いましたが、その点も、我々の見方からすると、執行上の問題が大きいなということだけまず指摘しておきたいと思います。
 次に行きます。決算不認定に対する県の認識についてお尋ねしたいと思います。
 ちょっと飛びましたので、事実がわかってきたので、この一部ははしょりますけれども、一連のこうした事態を受けて、前年の不適切事務処理問題の反省として挙げられてきた知事みずからの初動対応のまずさといった言葉があったと思っておりますけれども、そういった点でどのように改善されたのかお尋ねしたいと思います。また、この一連の中で、知事の動きが見えなかったというか、去年の反省点はどういう形で生かされてきたのか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 さらに、この不適切事務処理問題によって平成19年度決算が不認定になったという事実があったわけでありますけれども、こうした状況から見ますと、平成20年度決算も、もしかしたら不認定になる可能性があるのかなという感じがしておりますけれども、これは審議を通じなければはっきりしませんが、平成19年度、平成20年度決算と2年連続で県の決算が不認定ともなれば、やはり県庁組織内部の構造的な問題があるという指摘がされるかなと思っております。知事自身が何をしたわけではないのでしょうけれども、自身の責任についてはどのような認識を持って、万が一にも再度同様の問題が生じた場合、どのような形で責任をとるのかお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 昨年の不適切経理に関する問題への対処について、情報がしっかりと上げられていなかったのではないかとの指摘がありましたことから、以後、必要な情報等は適時適切に報告するよう徹底してきたところであります。今般の県警察本部の事案については、ことし3月の会計検査院の検査状況を初めその後の調査の経過等についても随時報告を受けており、私からしっかりとした調査を行うよう伝えてきたところであります。そして、平成20年度決算議案でございますけれども、これは、5月31日時点での計数的な取りまとめとしては誤りのないものと認識しておりますので、認定をいただきたいと考えております。
 一方、今般の県警察本部における事案については遺憾なことであり、二度とこのような不祥事を発生させないよう、再発防止に徹底的に取り組み、県民の信頼回復に全力を挙げていただきたいと考えております。また、昨年の知事部局等における不適切経理事案については、現在、再発防止の徹底について私も職員とともに取り組んでいるところであり、今後も全力で取り組んでまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、そういったことのないように取り組んでいっていただきたいと思います。
 先ほども質問がありましたけれども、不適切な事務処理に係る私的流用について、今、調査中ということでありましたけれども、新聞報道によりますと、あたかも存在するかのような具体的な内容の記事が出ております。となるとすれば、調査中であるのか、いろんな意見があって、これは調査なのか、捜査なのかという話もありますけれども、実際、同じ答えになるのでしょうけれども、私的流用は事実なのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
〇保住警察本部長 お尋ねの件でございますが、現在、納入物品の所在確認作業、関係する職員の聞き取り、納入業者の聞き取り等を行っておりまして、私的流用の有無も含め調査中であり、この調査を遂げた上で速やかに報告したいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 認識の違いとか、いろいろ明らかになったわけですが、私としては、議員としてさまざまな疑問点というものを持っていることには変わりはないわけで、それを前提としながら平成20年度の決算について質問させていただきたいと思います。
 まず、いわて希望創造プランの成果についてでありますけれども、平成20年度予算は、達増知事就任後、年間予算として初めて本格編成した実質的な最初の予算であります。マニフェストの実現に向けたものと私は理解しておりますけれども、そこで、知事の全体的な所感について、改めてマニフェストという視点でお伺いできればと思っております。当然、マニフェストの実現に向けて第一歩の予算編成であるわけでありますので、所感をお尋ねしたいと思います。
 次に、いわて希望創造プランの成果についてでありますけれども、平成20年度予算は希望の芽を守り育てる希望創造予算としていわて希望創造プランを推進する第一歩の予算として編成したところと言われております。今般、平成20年度の決算が取りまとまったところでありますが、いわて希望創造プランはどのように推進されたのでしょうか、その成果はいかがだったのでしょうかお尋ねいたします。
〇達増知事 平成20年度予算は、厳しい財政状況の中にあって、マニフェストを織り込んだいわて希望創造プランを具体的に推進していくための第一歩として編成したところであります。とりわけ、本県が有する地域の特性やさまざまな資源を生かしながら地域経済の活性化を実現すること、すべての県民がふるさと岩手に誇りと愛着を持ち、安心して暮らしていくことができるよう医療や福祉などのセーフティネットを充実していくことに意を用いながら、いわて希望創造プランに掲げました四つの重点目標の推進に向けて、ものづくり産業の集積促進や、安全・安心、高品質な農林水産物を生かした地域経済の活性化、医師確保や全県的な地域医療体制づくりなどに取り組んだところであります。加えて、年度当初には予測しなかった2度の大きな地震や、世界的な金融危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化などに迅速に対応するため、5度にわたる補正予算を編成し、地震災害からの復旧・復興対策、観光風評被害対策などを進めるとともに、厳しい経済、雇用情勢を踏まえた中小企業等の経営安定対策、雇用の維持確保対策などを重点的に推進したところであります。
 そして、その成果でございますが、本議会に報告させていただいております平成20年度主要施策の成果に関する説明書に基づいて、目指す姿指標の達成度を見ますと、未確定等の指標を除く55指標中、農業や教育分野などの34指標、約6割が達成、おおむね達成となっております。一方で、世界同時不況による生産活動の低迷等によりまして、産業や雇用分野などの21指標については、ややおくれあるいはおくれとなっております。いわて希望創造プラン全体としては、一部にややおくれがあるものの、全体としてはおおむね着実に進んでいるという評価と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先日の新しい長期計画に係る特別委員会の質疑において、知事のマニフェストが新しい長期計画でどのように反映されているのかという質問がございました。新しい総合計画は、総合計画審議会からいただいた中間答申内容を最大限尊重し、審議会での議論もできるだけ反映し、策定していることや、マニフェストに掲げた新地域主義戦略や岩手ソフトパワー戦略の考え方は、長期ビジョンの岩手の未来を開く重要な視点に通ずるなどという答弁がございました。一連の議論を聞いてわかりにくかったので、またお聞きしますけれども、知事のマニフェストと、マニフェストを踏まえて策定したいわて希望創造プラン、そして、いわて希望創造プランの発展型である新しい長期計画の関連性についてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 いわて希望創造プランは、現行の総合計画も踏まえながら、私がマニフェストに掲げた基本的な考え方や施策を織り込んで、それを県として推進するために、今の総合計画の後期実施計画として策定したものであります。
 次に、新しい長期計画でございますが、これはマニフェスト・サイクルを超える計画として、10年後を見据えて、知事がだれであるかといったことにかかわりなく、岩手の未来と、その実現に向けた長期的な方向を描いた長期ビジョンという部分、そして、長期ビジョンの実現に向けて、4年間のマニフェスト・サイクルに合わせて、そのときの知事の考え方を踏まえながら、具体的に取り組む施策を盛り込んだアクションプランによって構成することとしておりまして、今般お示ししているアクションプランは、長期ビジョンに掲げた岩手の未来の実現に向けた具体的施策を示すものとして、今の希望創造プランとの継続性にも留意しながら策定していくものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 知事の選挙のときに、マニフェストについての意見が、フランスの女性の大統領候補のロワイヤルさんのと比較して、どちらかというとマニフェストに消極的な感を感じていたわけです。もちろん、マニフェストというのは、はやりといえば、僕らもそうでしたけれども、そういった形で何をしたいというものをつくったわけですけれども、そういった意味でいうと、マニフェストというのはやはりこういった計画にも、もちろんサイクルを超えているとは言いながらも、大きくはっきりと出てくるべきかなと思っています。もちろん、修正というのが適切な言葉かどうかわかりませんけれども、変化に応じた対応は必要かもしれませんが、もっと強く出してもいいような気がしているんですけれども、その辺の所感をちょっとお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 私のマニフェストは、危機を希望に変えるというスローガンもありましたように、今、岩手が直面する危機的状況を、これに何とかしっかり対応して、克服して希望に変えていきたいということから、やはり4年間という短期的な視点で策定したマニフェストでございました。したがいまして、長期計画のほうは、そういうものとはまた別に10年というスパンの中で、特に10年後、自分がこうなっていたいとか、岩手がこうなっていてほしいとかという県民の生の声も生かしながら、県の総合政策審議会での議論も重ねていただいてつくってきているものであります。
〇嵯峨壱朗委員 何となくわかりました。大体考えはわかりました。
 次の質問に入ります。
 本県では毎年さまざまな国庫補助制度を導入して事業を実施しているところでありますけれども、国との連携を密接にし、事業を推進することが肝要と思われますが、本年9月9日の岩手日報の論説だったと思いますけれども、こういった記事がありました。国家戦略室だったかな、それに達増知事が入るべきじゃないかという提案でありましたけれども、その中で、これまで全国唯一の民主党籍を持った知事として自民党政治と対峙してきたと。行政の不合理や矛盾、与党の嫌がらせも含め、地方を熟知しているでありますとか、政府、自民党から受けた理不尽な仕打ちもあっただろうという指摘がございましたけれども、実際に知事は理不尽な仕打ちを受けたことがあったのかどうかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 私といたしましては、特段理不尽な仕打ちというものに思い当たるところはございません。
〇嵯峨壱朗委員 この新聞社の論説の指摘が余り事実ではないということかなと思って理解しました。
 次に入りたいと思います。
 平成20年度の決算において、財政の健全化比率についてお尋ねしたいと思います。地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて、平成20年度決算から、地方自治体の財政健全化判断比率が基準を超える団体は財政健全化計画の策定が義務づけられているところであります。先般、議会報告された平成20年度決算における本県の数値は、実質公債費比率が14.8%、将来負担比率が312.4%となっております。この将来負担比率の数値は、平成19年度決算において307.7%という数字でありました。比較しますと、4.7%悪化しております。この数値は全国の都道府県で下から3番目となっております。この将来負担比率が400%を超えると早期健全化基準に該当し、いわゆる黄色信号とも言われております。現時点では地方自治体の財政健全化判断比率の基準を超える状況に至っているわけではありませんが、かなり高い水準であることは事実であります。この現状をどのように認識しておられるのかお尋ねいたします。また、こうした高い将来負担比率の要因についてもお尋ねしたいと思います。
〇菅野総務部長 将来負担比率は、お話にありましたとおり312.4%となっております。400%に達すると、委員御指摘のとおりでございますが、400%に達しますためには、県債残高等の将来負担額が現在より2、700億円程度増加した場合に、この400%になってしまうということでございますので、今後直ちに将来負担比率が早期健全化基準に達することはないと思われるところでございますが、ただ、一方、他団体に比べて将来負担比率が高い水準にあることは、御指摘のとおりでございます。
 この高水準の要因といたしましては、やはり過去に発行した県債の残高が将来負担額の大部分を占めているという事実もございます。これは、将来の公債費の増嵩にもつながることでもありますので、県債残高が過度にふえることのないよう十分に配慮しながら財政運営を行っていかなければならないと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 公式的に言うと、400%という数字らしいですけれども、専門家に言わせると、300%を超えると、赤とは言わないまでもやはり黄信号だという指摘がありますけれども、それはどのようにとらえますか。
〇菅野総務部長 いわゆる地方財政の専門家でいらっしゃる大学の先生からそういう御指摘があり、その論文は私も拝見したこともございます。将来負担比率をどのようにコントロールしていくかというのは非常に大きな課題でございますが、一般的には、将来のいわゆる次の世代の岩手県民の負担となるものでございますので、将来負担比率が上がらないようにとは言いながら、一方で現在置かれている危機を克服しなければならないという両方の課題がございますので、両方をよくよく見ながら、適切な水準で財政をコントロールしてまいりたい。そのための大学の先生からの一つの御指摘なのであろうと理解して、留意してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 次に、中期的な財政収支の見通しについてでありますけれども、平成23年度以降は700億円程度の収支ギャップが生じると見込まれておりますが、これも種々議論のあったところですけれども、質問させていただきます。今後、健全化に向けた将来の見通しはどのように考えているのかお尋ねします。
 また、さきの一般質問では、本県の財政は非常に厳しい状況であり、あらゆる角度から歳入確保の取り組みを進めてまいると述べておりましたが、どのような対策が考えられるのか。また、世界的な景気低迷が続いております。国、地方とも税収入の減少が見込まれる中で、平成23年度、平成24年度、平成25年度と3年間継続的に同額のギャップが見込まれるわけですけれども、継続的にこういった対策をできるものなのかお尋ねしたいと思います。
〇菅野総務部長 財政の健全化に向けた将来の見通しでございますが、今回、いわゆる700億円を超える収支不足が将来生じるという見通しを示させていただいたところでございますが、一方、今回お示しした当該アクションプランの期間内においては、おおむね収支均衡した状態でもっていけるという見通しを立てたところでございます。平成23年度以降については、そういったいわゆる財源対策ですとか歳出削減の効果等を、まだアクションプランが決まっておりませんので、何も織り込まずに試算した結果、毎年度700億円程度の収支ギャップが生ずるという試算が生じたところでございます。これまでいろいろな財源対策ですとか歳出削減策を講じたところでございますが、今後、平成23年度以降のアクションプランを策定する中で、この収支ギャップをどう解消していくかということについて、しっかりと具体的な対応を検討していかなければなりませんので、あらゆる取り組みを検討させていただいた上で、持続可能な財政構造にもってまいりたいと考えております。
 また、御指摘のありました歳入確保の取り組み等でございますが、当然、不断の行財政改革を行わなければならないということはそのとおりでございますが、一方で、やはり先ほど知事からも御答弁申し上げましたとおり、本県だけが危機的な地方財政の状況に陥るわけではなくて、全国知事会の試算でも全国各地方公共団体において同様の状況になってございます。これはやはり地方財政全体につながる大きな問題、課題もございますので、適切な財源調整、財源保障がなされる制度的な手当てが一方で必要不可欠でございます。こういった点も含めて、地方交付税の増額、確保ですとか適切な財源保障の仕組み等、全国知事会とも連携しながら、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 この財政については、当然、私も含めて県民がいろんなことを要望してきて、そしてそれにこたえてきたという側面もあって、国のいろんな制度の問題もあって、そういった複合的なものだと思っております。そういった意味で言うと、中でも岩手県が特に厳しいというのも事実でありますので、そういったことを念頭に置きながら、県民全体の問題として対処していくべきだと思っていますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、医師確保についてであります。医師確保対策の成果ですが、平成20年度における医師確保対策はどうだったのか、その成果をお示しいただきたいと思います。
 次に、これは知事の発言についての事実の確認であります。8月21日、岩手日報の報道によりますと、宮古市で開かれた市町村要望の中で、山田町の方々から、内科常勤医の不在について、いつまで我慢しなければならないのかとの質問に対して、政権交代すれば大丈夫と回答したとの新聞報道がございました。それは事実なのかどうか。また、事実とすれば、その真意は何だったのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 まず、平成20年度における医師確保対策の成果についてでありますが、医師確保対策アクションプランに基づいて、奨学金制度等による医師養成、県内の臨床研修体制の充実による初期臨床研修医の受け入れ拡大、そして女性医師の就業支援等に取り組んできたところであります。奨学金制度等を活用した医学生20名が平成20年4月から県内で初期臨床研修を開始し、平成19年度に初期臨床研修を修了した医師74名のうち、平成20年4月から62名、83.8%が引き続き県内において病院での勤務や大学院に進学をしました。また、女性医師への就業支援によって、平成20年度は育児支援について延べ13名が30日利用して、職場復帰研修について3名が受講しているところであります。それから、医師支援推進室による即戦力医師招聘活動によって、平成20年度には6名の医師を招聘することができました。なお、平成18年9月の同室設置以来、3年間で24名の医師を招聘しております。こうした成果を踏まえて、引き続き地域医療の確保に向けて充実を図っていきたいと考えております。
 次に、宮古市で開かれた市町村要望での発言についてでありますが、医師不在にかかわる住民からの不満が町長やまた町議会に寄せられても、住民が満足するような対応をとることができない、いつまでこうなのかという話の流れの中で、いつまで我慢しなければならないのかということでありましたので、政権交代によって新政権が地方の声や民意をしっかり把握して、それを十分に踏まえた政策が展開されて、今のように住民が、また首長さんや議会が我慢をしている状況の解消が図られていけば、安心して暮らせる社会の実現が期待されるという趣旨で申し上げたところであります。
〇嵯峨壱朗委員 政権交代によって医師がふえたのかという質問はしません。それで、実は新聞報道を見ますと、10月7日に知事が長妻厚生労働大臣にお会いしてきたという記事がございました。地域医療についてさまざまなお話をして、要望もしてきたという記事が載っておりました。大変結構なことだと思っておりますが、10月9日の長妻厚生労働大臣の発言かと思いますけれども、いろんな削減の中で、地域医療再生臨時特例交付金というものが、新聞にいろいろ出ていましたので多分わかるかと思いますけれども、これも実は3、100億円という中で、いろんな形で、先ほど述べられたことの後の話なのか、いろいろやっていると思うんですけれども、750億円削減するというのが記事になっていました。これはやっぱり、せっかく行ったわけです。ちょっと見ていて、若干ショックだった部分もありました。せっかくのそれこそ政権交代したわけで、知事は親しいでしょうから、ぜひそういったものは、私が言うのも何ですけれども、大いに利用していただいて、意見をどんどん述べて、こういったことも逆の方向に行くようにやってもらいたいと思うんですけれども、所見をお願いしたいと思います。
〇達増知事 10月7日に長妻厚生労働大臣を訪問しまして、また、厚生労働省の政務三役に対しまして、医師の地域偏在、診療科偏在を解消し、地域医療を再生させていくために、地域医療に関する総合的な施策を推進する体制を確立し、その中で各都道府県、医療圏ごとに必要な病院勤務医数を算出するガイドラインを策定するでありますとか、臨床研修制度と一体化した運用等によって、医師不足地域における医師の病院勤務の義務づけ等の確保を図ることなどについて、政策提言を行ったところであります。
 地域医療再生基金につきましては、これは全国知事会のほうからも、医療圏ごとにしかできないといった使い勝手の悪さを解消してほしいという指摘が行われておりましたし、また、100億円という額が10カ所にしか対象にならないといったことがいかがなものかというような問題点の指摘もありました。こうしたことも踏まえて、3、100億円の補正予算のうち750億円をまずは執行停止するという見直し案が公表されたものと考えておりまして、当該基金事業を地域の実情に応じた事業として有効に活用していくために、国に対してさらに県単独あるいは全国知事会を通じてさまざまな提言を行っていきたいと考えているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 見直しの過程でいろいろ切られているわけですけれども、その中で必要なものの形として継続するとか、そういったことはぜひ提案していっていただきたいと思っております。
 次に、新政権下における公共事業の見直しについてお尋ねしたいと思います。岩手県における公共事業の実施については、ダム事業も含めて政策等の評価に関する条例に基づき、専門委員会での審議や県民からの意見等を踏まえて事業の必要性等を判断し、進めてきたところであります。また、さきの一般質問における答弁でも、県内のダム建設の意義については、洪水から県民の生命、財産を守るとともに、県土の保全を図ることは県行政の根幹的な責務の一つであり、治水面ならず発電、水資源の確保といった県民生活や経済活動にも大きな役割を果たしているとの答弁をいただいたところであります。
 初めに伺いますが、9月25日の記者会見で知事は、津付ダムはまさに今、再々評価の審議中であり、その結果を待っているところと述べられておりましたが、これまでの審議経過や、いつ、その審議結果が出るのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 事業を継続するとした県の評価を付しまして大規模事業評価専門委員会委員長に対し5月に諮問をいたしまして、これまでに計6回の委員会が開催されてきたところであります。委員会では、事業計画の確認、現地調査、そしてパブリックコメントに対する県の考え方の聞き取り、また地元自治体、地域住民、市民団体の代表者並びに漁業者からの意見聴取を行うなど、審議をしていただいているところであります。今月末に第7回の委員会が予定されておりまして、答申案の検討が行われる見込みとなっております。
〇嵯峨壱朗委員 次に、新政権が凍結を検討している八ツ場ダムのBバイCが国土交通省によると3.4と高い評価とされているところに比べ、人口が少ないせいもあるのでしょうが、県内の建設中の国事業である胆沢ダム並びに県事業で進めている三つのダムのBバイCを見ると、最高は胆沢ダムの1.7、最低は簗川ダム並びに津付ダムの1.4と、新政権が凍結を検討している八ツ場ダムの3.4を下回っている状況であります。この状況を踏まえると、県内のダム建設についても凍結が見込まれるのではないでしょうか、知事の所見をお伺いいたします。
〇達増知事 本県の公共事業の実施に当たりましては、政策等の評価に関する条例に基づいて、専門委員会等で、費用便益比だけではなく、事業の進捗状況や社会経済情勢の変化など、総合的に評価を行った結果を踏まえて事業の必要性等を判断し、進めてきたところであります。
 県が進めている三つのダム事業については、それぞれの河川の治水対策に必要なものであり、また、国の直轄事業で進められている胆沢ダムは、胆沢川及び北上川沿川の治水、利水にとって大きな役割を担うものであり、早期の整備が必要という認識であります。
 10月9日の前原国土交通大臣のコメントによりますと、補助事業については各道府県知事の判断を尊重するということでありますので、現在行われている工事については進めていくこととしております。また、直轄事業については、新たな段階に入ることとなる工事の契約や用地の買収などは行わないこととされておりますので、胆沢ダムについては、現在、本体工事中でありますので、新たな段階に入るという枠には入らず、予定どおり執行されるものと認識しております。
 平成22年度における個別のダム事業の進め方に関する基本的な方針については、政府予算案の提出時までに明らかにすると前原国土交通大臣からコメントされていますので、県内のダム建設については、平成22年度については、その方針が示された段階で適切に対応してまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 また、県が進める三つのダム事業について、最初の1点目の質問で、大規模事業評価専門委員会において、これまでの評価がどのようになっているのか。
 2点目は、環境影響評価を実施したダムについては、その内容がどうなっているのかも、ちょっと具体的ですけれども、お尋ねしたいと思います。
〇達増知事 まず、津付ダムでありますが、これは平成16年度、そして簗川ダムが平成17年度、遠野第二ダムは平成20年度に、それぞれ政策等の評価に関する条例に基づいて大規模事業評価専門委員会で再評価を実施して、事業継続とした県の評価は妥当であるとの答申をいただいているところであります。
 環境影響評価についてでありますが、県が進めている三つのダムのうち、簗川ダムと津付ダムで環境影響評価を実施しております。その検討項目は、水質等の水環境、重要な種などの動植物等への影響などであり、水環境については、両ダムとも工事中は中和処理などの濁水処理等の保全措置を行うことにより、大きな影響がないと予測されています。影響を受ける希少動植物については移植や、種を採取し影響がないところにまく、いわゆる播種による保全措置を講ずることとしています。また、周辺には猛禽類の営巣が確認されておりますことから、繁殖等への影響が出ないように継続してモニタリングを行うとともに工事工程を調整するなど、保全措置を講ずることとしております。
 なお、両ダムでは環境に関する専門家からなる委員会を設置しておりまして、保全措置の具体的な手法や環境影響評価実施後も継続して行っている環境調査の評価等について、委員会から指導、助言をいただきながら自然環境の保全等に努めているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 県の事業の場合、県の大規模事業評価というものを踏まえてということでありますけれども、今度、今月末でしたか、津付ダムとかの結果が出るということでしたけれども、想定した結果じゃなかった場合、どうなのかなと思ったりするんですが、どうでしょうか。
〇達増知事 大規模事業評価専門委員会での評価結果については、これを尊重して対応してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 いずれ、先ほどの午前中の議論でもございましたけれども、BバイCという数値のみで、先ほどの例えば道路で言うと3要件とか、そういったものだけで判断していくと、八ツ場ダムと岩手県のダムとも、当然、流域の人口数が違うので、そういったBバイCで見ると、こういった数字が出てくると思うんです。そういった数値だけではない、先ほども出た、知事が説明した三つの要件のようなものというものは、岩手県の場合、いろんな事業で説明する場合に必要だと思うんです。そうしなければ、今のそういったカットの流れの中に入っていってしまうのではないかと思っておりますので、その辺をきっちりと、岩手だからというか、そういった地方だからということを念頭に置いた提案をしていっていただきたいと思います。
 次に、県職員の天下りについてお尋ねしたいと思います。今、民主党はマニフェストの中で、いわゆる天下りと言われるものについて、国においては根絶をするという表現をしておりました。岩手県では県職員の天下りはないとされておりますけれども、こういった県幹部の再就職の状況をお尋ねしたいと思います。恐らく天下りがないという認識の裏には、平成12年ですか、政府のほうで3要件、いわゆる高額報酬、高額の退職金、そして渡りはだめよという方針が出たと思いますが、それを受けて岩手県でも恐らく何らかの対応をして、その対応をした結果、天下りはないという認識になっているのかなと理解しておりますが、こういった国で行われている天下りの実例を本県職員の退職及び再就職に適用した場合、該当する事例はないのかどうかお尋ねしたいと思います。
〇菅野総務部長 まず、県職員の再就職の状況でございますが、平成20年度末で申し上げますと、平成20年度末に退職しました当時の副部長級以上の退職者21名のうち、いわゆる県が行っております退職予定者人材バンクというものがございますが、これを通じて県出資法人に9名、県行政と深いかかわりのある法人に6名が再就職したところでございます。
 また、いわゆる天下りのお問い合わせがありましたが、俗に天下りと申していますのは、ただいま委員から御指摘のありましたとおり、国においては、事務次官への出世レースの過程で、1人を除いて同期の者がどんどん早期に退職してしまうという慣行、あとは省庁のあっせんにより関係団体に再就職する、それから、その再就職先で高額な報酬─俗に秘書、車、個室と言われているみたいですが─や退職金を得ながら法人を渡り歩くといった実態を俗に天下りということで言っているのではないかと思ってございますが、本県におきましては、そういった退職予定者人材バンクを通じて再就職した方に関しましては、退職金は当然支給しないこと及び年間報酬についても在職時の俸給の大体6割から7割程度に制限してほしいということを強く求めているところでございまして、巷間言われているような天下りに属するものについてはないものと承知してございます。
〇嵯峨壱朗委員 国の基準に基づいて見た場合の天下りはないということだと思うんですけれども、単純に天下りをやめた場合でも、恐らく65歳まで年金が出ないわけですよね。そういったところからすると、どうやってやるのかなという感じもするし、かなりトータルな、定年制のあり方から含めていろんな角度から見ていかないと、単純にいかないと思います。平成12年度のそういった人材バンクを通じての6割とかといったものは今でも生きているんですか。
〇菅野総務部長 御指摘のとおり、今でもそういう運用をさせていただいております。委員から御指摘のありましたとおり、確かに公務員制度改革全体の一環とて、国におきまして、国家公務員の退職ですとか再就職のあり方についていろいろ検討が進められているものと承知してございまして、こういった新たなルールとか仕組みができた場合について、県としても適切に対応してまいりたいと思います。
 国においては、一方で公益法人にいわゆる天下りを行って、そこの高額な報酬を支給するために国が委託事業等を行って、極端に言うと、公益法人の業務の必要性というものが議論されているところでございまして、本県におきましては、あわせて県の出資法人改革を進めさせていただいているところでございますので、公務員制度改革全体及び県の出資法人に対するあり方、そういう多面的な面で検討していかなければならないものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 国と違って、単純に天下りといった国の基準で見た場合に、該当するような実例というのがそうないということで、そうかもしれません。実際に、さはさりながらというか、やはり一定の知識、そういう専門的なものを持っているのも事実なわけですよね。そういったものを、有効に使うという言い方は変ですけれども、有効に活用してもらうというか、するというか、そういった視点も大事だと私は一方では思っています。ですから、適切な管理といったら何ですけれども、そういったものを前提に、きっちりとした体制をつくっていっていただきたいと思います。
 これは知事に最後に質問しますけれども、民主党では、今、そういった国を抜本的に改革しようと思っておりますけれども、岩手県においた場合、知事はどういった姿勢で臨もうと思っているか、お考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 国のほうで民主党政権が天下り根絶ということに取り組んでいるのは、天下り先を確保するために無駄な独立行政法人や公益法人が温存され、あまつさえ多額の税金がそこに流れ込んでいるということがあると承知しております。そういう意味では、岩手県においては、県出資等法人改革ということが重要であると思っておりまして、これは行財政改革プログラムにのっとって、既に幾つかの県出資等法人の廃止でありますとか、そういったところにも取り組んでいるんですが、これを引き続ききちっとやって、そういう無駄な法人が温存されない、そういうところに無駄な税金が流れないということにきちんと対処していくことが重要と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 私が見ますと、やはり、もしかしたら統合してもいいんじゃないかといったよう組織も結構あるように見受けられます。ですから、そういった面も厳しく見ていただいて、中期プログラム改革をしていかなきゃならない点が多々ありますので、十分厳しい視点で見ていただきたいと思います。
 また、一連の先ほどの議論の中で、何というかな、単純にやっているとどんどん減らされてしまうというのがございますので、その辺も、再度ですけれども、医療の問題も、いわゆる公共事業の問題も含めて強く要望していっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
〇小田島峰雄委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時53分 休 憩
午後3時12分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 執行部に申し上げます。喜多正敏委員の質疑における岩手型住宅の普及推進の目標数値について答弁できますか。
〇宮舘副知事 先ほどは大変失礼いたしました。
 岩手型住宅の目標数値についてでございますけれども、岩手型住宅につきましては、一定の省エネ性能に加えまして、県産木材の活用など、岩手らしさに配慮した住宅として普及を推進することとしているものであります。
 具体の目標につきましては、まずは岩手型住宅の趣旨に賛同する事業者を募って、地域の工務店等における取り組みが推進されることが必要であると考えております。賛同事業者は今後募集することとしているところでありますが、できれば、来年度末までに50社程度の賛同事業者を確保することを目標としておりまして、具体の住宅の目標数値については、今のところ持っていないところでございます。御了承願います。
〇小田島峰雄委員長 次に、木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 政和・社民クラブの木村幸弘でございます。平成20年度決算特別委員会におきまして、総括質疑の機会をいただき、ありがとうございます。初めての経験でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、冒頭におきまして、去る10月9日の台風18号により被災されました県民の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。県当局におかれましては、早期の被害実態を掌握し、対策に万全を期すようお願いを申し上げる次第でございます。
 それでは、会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 平成20年度においては、厳しい雇用情勢と医療資源の偏在を初め、さまざまな山積する課題に直面しているとの認識のもとに、平成22年度までの重点、優先課題の政策を示すとして、いわて希望創造プランを平成20年1月に策定し、それまでの経済対策による県債償還への対応、財源不足と主要3基金の大幅な減収を踏まえた予算編成が行われてまいりました。
 まずは、平成20年度予算編成方針として、政策の選択と集中による行財政資源の最適配分を可能にするとして、予算編成方法の見直しにより、政策的経費の部局予算枠を廃止して、全庁的な調整で編成をし政策の重点化を図るとしてきましたが、そうした予算編成に対する結果が本決算に照らし合わせてどうであったのか、総括的な知事の所見についてお伺いいたします。
〇達増知事 平成20年度予算編成におきまして、政策的経費については、一律削減や部局予算枠を原則廃止して、知事自身が政策的経費の全体に目を通して、その調整、決定について判断しながら、全庁的な視点で政策の優先度等に応じて財源の範囲内で事業を採択したところであります。
 平成20年度決算では、景気低迷に伴う県税の大幅な減収があり、決算上も厳しい財政状況があらわれています。このような中で、限られた財源を重点的、戦略的に活用したという点で、平成20年度の予算編成手法は効果があったと考えております。
〇木村幸弘委員 昨年のそうした厳しい状況の中で、米国発のいわゆる金融危機に端を発して、衝撃的とも言える国内経済あるいは産業界への深刻な影響をもたらしている状況に加えまして、本県の場合には、2度の大地震の影響、あるいは地域から世界へと、ソフトパワー戦略の目玉とも言えた平泉の世界遺産登録延期に伴う見直し、さらに、世界金融不況による県内産業の主力として期待をされておりました電気、自動車輸出関連産業の低迷と雇用破壊の増大など、予測を超えた不可抗力的な事態に対して具体的にどのような対応を打たれてきたのか、お伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 まず、2度の大きな地震災害に対しましては、関係市町村とも連携をしながら、国道342号の早期復旧などの災害復旧事業や、被災者の方々の生活再建支援に迅速に取り組むとともに、風評被害対策も含めた、がんばろう!岩手運動に取り組むなど、被災地域の復旧、復興に努めてきたところであります。
 また、平泉の文化遺産の世界遺産登録については、登録延期によって、その歴史的、文化的価値が否定されたものではないという認識を踏まえ、引き続き、全庁一丸となって世界遺産登録に向けた活動に取り組むとともに、平泉の文化遺産の巡回展の開催や平泉授業の実施など、平泉の価値を県内全域に波及し、県民運動的な盛り上げを図るための取り組みを進めてまいりました。
 また、登録延期とされた経緯などを踏まえながら、推薦書作成委員会や海外の専門家などの有識者の意見を反映させた推薦書の改訂、再提出を行って、平成23年度の登録を目指すこととしたところであります。
 そして、本県の厳しい経済状況や雇用情勢に対応するために、昨年12月、岩手県緊急雇用対策本部を設置し、生活支援、雇用維持、雇用創出、そして就業支援の四つの対策の柱を掲げて、ふるさと雇用再生特別基金事業の実施や、中小企業者向け県単融資制度の拡充など、県組織を挙げて、県民の暮らしと雇用を守るための施策を展開してきたところであります。
〇木村幸弘委員 また、主要な施策の成果と課題という点から言いますと、いわて希望創造プラン元年とも言える20年度の施策について、政策の6本の柱に基づく各施策の実施とその達成度に対する評価について、知事の所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 本議会に報告させていただいております平成20年度主要施策の成果に関する説明書に基づいて、いわて希望創造プランの政策の柱ごとに目指す姿指標の達成度を見ますと、成果の上がっているものとしましては、農業分野であります政策の柱IIの、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立において、経営体の育成や産地形成などに取り組んだ結果、達成、おおむね達成が85.7%と、昨年度を10.7ポイント上回りました。また、保健福祉分野であります政策の柱IIIの、共に生きるの実現では、達成、おおむね達成が80%となったところであります。
 その一方、産業分野であります政策の柱I、地域に根ざし世界に挑む産業の育成では、ものづくりの産業集積や人材育成などに取り組んだところではありますが、世界的な景気悪化の影響や岩手・宮城内陸地震等により、雇用や観光関係の指標が悪化いたしまして、達成、おおむね達成が46.2%と、昨年度を7.7ポイント下回りました。
 また、環境分野であります政策の柱VIの、世界に誇れる岩手の環境の実現では、二酸化炭素排出量の指標が悪化するなど、達成、おおむね達成が50%となったところであります。
 いわて希望創造プラン全体といたしましては、未確定指標等を除く55指標で、達成、おおむね達成が34指標、61.8%でございまして、総じて見ますと、一部にややおくれがあるものの、全体としてはおおむね着実に進んでいるという評価と考えております。
〇木村幸弘委員 今、それぞれの6本の柱に対する評価といいますか、達成度について御答弁をいただきましたけれども、県の基本計画全体との関係で、平成20年度予算編成において、重点目標の達成に向けた具体的取り組みについて示されております。
 その一つは県民所得の向上、二つ目に雇用環境の改善、三つ目に人口転出への歯どめ、四つ目に地域医療の確保であります。これらの重点目標に対する総合的な成果についてはどうでしょうか、御所見をお伺いします。
〇達増知事 重点目標に対する成果でありますが、平成20年度は、いわて希望創造プランに掲げた四つの重点目標の推進に向けて、ものづくり産業の集積促進や、安全・安心、高品質な農林水産物を生かした地域経済の活性化、医師確保や全県的な地域医療体制づくりなどに取り組みました。加えまして、年度当初には予想し得なかった2度にわたる大きな地震や、世界的な金融危機に端を発した経済・雇用情勢の悪化などに見舞われましたことから、地震災害からの復旧・復興対策や観光風評被害対策などを進めるとともに、厳しい経済・雇用情勢を踏まえた中小企業等の経営安定対策、雇用の維持確保対策などを重点的に推進したところであります。
 こうした取り組み等によりまして、県民所得や雇用環境分野では、低い有効求人倍率など依然厳しい情勢ではありますが、立地企業を対象とした満足度調査において、全国第2位となる評価が得られたことや、農業への新規就業者数が増加していること。人口については、県外への転出者数の減少や県外からの定住者数の堅調な推移等により、社会減に歯どめの兆しが見られたこと。地域医療の分野では、臨床研修を終えた医師の県内定着が高まるとともに、即戦力医師の招聘により、6名を確保したことなどの成果が上がったところであります。
〇木村幸弘委員 そこで、それぞれに政策を遂行する上で、今、いろいろと成果を御披瀝いただいたわけですが、最初の方で答弁いただきました個別の指標のいわゆる達成度のランク、こうした問題にとらわれない観点から、やはり関連する指標を政策として総合的に評価した場合にどうなのかという点で見たときに、例えば、先ほどお話のあった地域に根ざし世界に挑む産業の育成、雇用求人対策関連指標では、AあるいはDという両極端な評価がされているわけであります。
 昨年以来の経済金融危機という特殊な事情の影響があったということはそのとおりでございますけれども、その結果、重点目標の県民所得の向上、あるいは雇用環境の改善、人口転出の歯どめの課題について総合的にトータルで考えていくと、今後の対策を検討する上において、まず一番重要になってくるのは、雇用の場の確保が大事ではないかなということが、より強く見えてくるわけであります。
 あるいは、共に生きる岩手の実現で、達成度判定ができないという形で評価をされておりますが、医師確保を初めとした地域医療の確保について、基準値に対する医師の人数、今、6名の増員が図られたというお話をいただいたわけですけれども、こうした増加を踏まえて、これまでの医師確保アクションプランに基づく取り組みや対策が一定の成果を上げているという判断をしているわけでありますが、しかし、地域医療の確保というこの意味合いを考えたときに、結果として、人材の育成あるいは医師確保に主眼が置かれて、これまで大きな議論になってきた医師の地域や診療科別の偏在の問題、あるいは医師の退職がとまらないという実態、さらに言えば、県立病院のこれまでの新しい経営計画前の平成20年度まで実施されてきた計画との関連性など、成果あるいは総括が、そうした意味では言及されていないのではないかと思われてなりません。大切な視点が欠落しているということが言えるのではないでしょうか。
 本年1月から2月にかけて調査された県民意識調査においても、重要度と満足度の関係を示した県民ニーズ度では、依然として、これらの指摘した施策に対してのポイントが高いという状況にあるわけです。そのような意味で、事業の評価の仕方あるいは決算における個別の指標の成果とともに、政策的に総合的な評価についてもしっかりと行い、その成果が次年度以降にしっかりと生かされていくようにすべきだと考えているわけですが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 政策に対する総合的な評価についてでありますが、政策評価については、政策形成支援機能を強化するために、いわて希望創造プランの策定とあわせて、平成20年度にシステムの大幅な見直しを行って、評価の実施時期等についても改善を図ったところであります。
 まず、年度の前半において、指標の達成度等から総合計画の進捗状況を把握する実績測定評価を実施して、その時点の前年度の取り組み成果として、9月議会に主要施策の成果に関する説明書として報告し、公表をさせていただき、さらに年度後半には、おくれが生じている施策の課題の抽出や分析を行って、社会経済情勢の変化や企業、国、市町村等の県以外の実施主体の取り組み状況、さらには、県民意識調査などの各種統計データも加えて、総合的な評価を実施しているところであります。
 この見直しによりまして、それまでの年度の早い時期の評価では、評価後の社会経済情勢の変化等が加味されていないため、翌年度の施策検討や予算編成作業に十分に活用できないという課題の改善を図ったところであり、その総合評価の結果については、翌年度の施策や予算への反映状況とあわせて、2月議会に政策評価等の実施状況及び評価結果の政策等への反映状況報告書として報告し、公表させていただいているところであります。
 今後とも、個別の指標の達成状況だけからの評価に偏らないように、総合的な政策評価を実施して、次年度以降の政策形成に努めてまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 達成度評価については、施策の重点化ということで、当然、常に予算編成あるいは諸計画との整合性を図りながら対応していただいているわけでありますが、そういう意味で、今、具体的に協議が進められております新しい長期計画において、こうした希望創造プラン基本計画において、例えば達成度おくれという形で評価をされている各種の指標について、より重点的な取り組みが求められていると思います。特に、環境対策などもおくれの評価が目立つ状況になっており、新たな国の方針ともかかわって重要課題としてクローズアップされてくるようでありますから、そういった点で、先ほど指摘をさせていただいた四つの重点目標を引き続きしっかりと行うと同時に、こうした考え方を長期計画に反映をしていただきたいと思います。
 次に、政策評価の観点で引き続き質問いたしますが、成果と課題が生かされるためにも、さらなる選択と集中による行財政資源の最適配分が必要となってくるものと考えられますが、先般、平成23年度以降、毎年度700億円程度の収支不足が見込まれるという収支見込みが公表されました。希望創造予算としての編成方針として、平成22年度までは収支均衡を見据えたものでありますが、今決算と状況から展望する今後の収支見込み等の考え方について、そのポイントをどうとらえ、今後の方向性をどう定めていくのでしょうか。
 また、本決算の歳入歳出の特徴的な実態として、実質収支あるいは単年度収支、実質単年度収支が黒字ということですが、県税の当初収入見込みで0.2%増から一転してマイナス4.4%と落ち込む中で、緊急雇用対策と経済対策のために、国庫支出金等の増や臨時財政対策債等により踏みとどまったという感が否めません。予算調製課の示した今後の収支見込み等によれば、平成21年、22年度の見通しについて収支均衡を達する見込みとしていますが、具体的にどのような見通しのもとに収支均衡が図られると見るのか、その具体的な対応とあわせてお伺いをしたいと思います。
〇菅野総務部長 最初に、今後の収支見込み等の考え方についてでございますが、先般発表させていただいた岩手県の今後の収支見込み等では、平成20年度決算にもあらわれているとおり、現行の非常に厳しい経済状況がこのまま推移した場合という前提で、粗い試算をさせていただいたところでございます。
 平成23年度以降については、御指摘のとおり、700億円を超える収支不足が生じているところでございますが、この試算に当たりましては、財源不足を解消するために必要な財源対策ですとか歳出削減の具体的内容は一切織り込まず、いわゆる自然体で試算したという状況になってございます。
 今後、平成23年度以降のアクションプランを策定する中でどのような歳入確保策を講じるのか、歳出削減策を講じるのかという具体的な検討を行うこととなりますが、先ほど申し上げましたとおり、まず一つは、全国知事会の試算にもありましたとおり、現行の地方財政は危機的な状況にございます。したがいまして、全国的な課題として取り組んでいかなければならない地方の税財政制度そのものの改革。それからもう一つは、本県独自としても歳入歳出両面にわたってさまざまな取り組みを行っていかなければならない。この全国的な課題、それから本県独自の取り組み、この両面にわたりましてしっかり取り組みながら、将来的に持続可能な財政構造の構築に向けて、全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
 次に、平成21年度と22年度は収支均衡という格好で見通しを示させていただいたところでございますが、この具体的な対応についてでございますが、平成21年度におきましては、主要3基金の活用、それから退職手当債等の各種資金手当債の発行等によります歳入確保対策に加えまして、歳出面におきましては、給与の特例減額それから各種の歳出削減策を講じることにより、おおむね収支均衡を達成できたところでございまして、平成22年度においても、同様の取り組みを行いたいと考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 そこで、次に、集中改革プログラムに基づく事務事業の総点検によって、平成22年度までの改革の方向性を示した1、547事業のうち、平成20年度で404事業を改革し、改革効果見込み額として事業費ベースで60億円の効果を掲げておりましたが、その実績と具体の成果はどうだったでしょうか。
 また、残りの1、100近い改革の方向性を検討した件については、これからの2カ年でどのような計画としてその件数や効果見込み額を検討されているのか、お伺いします。
〇菅野総務部長 事務事業の総点検につきましては、非常に行財政環境が厳しいこの中で、質の高い行政サービスをどう提供していくのかという観点で、平成19年度に策定いたしました岩手県集中改革プログラムに基づいて、従来から実施している事務事業評価を拡大しまして、すべての事務事業の必要性等についてゼロベースから検討を行ったところでございます。
 点検結果につきましては、平成19年度6月時点の総事務事業1、727事業を対象に総点検を行ったところでございまして、この中で廃止、縮小することとしたもの168事業等を含めまして、全体で1、547事業について改革の方向性を示したところでございます。これに基づく事務の廃止、縮小等によりまして、委員御指摘のありましたとおり、平成20年度当初予算の編成において約60億円、平成21年度当初予算の編成において約9億円の削減を行ったところでございます。
 今後におきましても、事務事業の統廃合それから具体的な仕組み、やり方の改善、そういう総点検結果を踏まえまして、さらなる見直しを進めてまいりたいと考えてございますし、先般公表させていただきました岩手県の今後の収支見込みにおける歳出額の範囲におさまるよう、歳出の徹底した見直しを行う必要もございますので、事務事業評価を踏まえつつ、効果的、効率的な事業の取捨選択に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 質問の中で、60億円の効果を掲げていたということについての実績がどうだったのかという答弁がなかったように思いますので、お答えいただきたいと思います。
〇菅野総務部長 失礼をいたしました。
 予算関係で申し上げますと、平成20年度当初予算の編成において約60億円、それから、平成21年度当初予算の編成において、約3億円の実質の削減効果があったものと考えております。
〇木村幸弘委員 次に、人件費についてお伺いしたいと思いますが、当初予算の考え方において、集中改革プログラムに基づき総人件費の抑制策が示され、対前年度比マイナス2.9%、約57億2、600万円の減額として組織、職員体制のスリム化、先ほど答弁のあった職員給与の特例減額等の実施もあって抑制が図られ、決算においては、対前年度比マイナス3.5%、約68億7、000万円と大幅に削減をされておりますが、どのような理由によりましてこのような大幅な増加になったのか、お伺いします。
〇菅野総務部長 人件費の決算の状況でございますが、平成20年度の当初予算編成時点におきましては、平成19年度の6月現計予算と比較いたしまして、委員からお話のありました特例減額措置、それから職員数の減少等によりまして52億円程度の減、それから退職者の減等による退職手当の減で約4億円、トータル57億円程度の減を見込んだところでございます。
 一方、決算におきましては、退職者数が込みを下回ったこと等によりまして、平成19年度決算と比較しまして、職員数の減及び給与の特例減額措置等による給与の減として53億円程度、それから退職者の減等による退職手当の減で約14億円程度、人件費全体で約69億円程度の減額となったところでございます。
〇木村幸弘委員 そうした職員数の削減等におきまして、平成20年度末で、知事部局で140人、全体で455人の削減が行われております。こうした削減の実態には、いわゆる団塊世代の大量定年退職者の関係も含めてあるのではないかと見ておりましたが、平成23年度には、平成15年度対比で、知事部局で20%削減の4、000人体制へと向けておりますし、全体でも既に10%を超えて2、700人以上が削減をされている状況なわけです。
 平成21年度以降の知事部局と、それ以外も合わせた全体数の見通しがどうなっているのでしょうか。また、定年退職見込み数とあわせてお伺いをしたいと思います。
〇菅野総務部長 委員から御指摘ありましたとおり、現在、集中改革プログラムに基づいて、平成23年度までに、知事部局においては4、000人弱体制を目指すこととして計画を進めているところでございます。この計画期間でございます平成22年度当初におきましては、知事部局が約4、080人程度、県全体では2万4、590人程度、さらに平成23年度当初におきましては、知事部局が4、000人弱程度、県全体では2万4、500人程度の職員数になるものと見込んでいるところでございます。
 一方、定年退職見込みの数でございますが、先ほど申し上げましたプログラムの推進期間内におきましては、平成21年度末は、知事部局が104人、県全体では420人、平成22年度末におきましては、知事部局で120人、県全体では454人程度の退職者を見込んでいるところでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、今後の厳しい財政の見通しの中で、きょうの質疑にもありましたし一般質問でもありました。いろいろな県としての厳しい財政事情を踏まえながら、さまざまな施策を講じて、いわゆる歳出の抑制等に取り組まれているわけであります。そうした中で、人件費に与える影響といいますか、こうしたものが非常に色濃く出てきているのではないかと感じます。
 今後の展開として、総人件費の抑制、その大枠として限界に来ているのではないかというふうにも感じられるわけでありますけれども、職員数の減や特例減額による給与抑制、さらに人事院勧告の動向などもあって職員への多大な負担となっていることが否めない、そのように思います。こうした抑制の動き、県内経済や一般勤労者へも当然影響を与えているものと思われますが、職員への負担拡大あるいは県内への影響というものをどうとらえているのか、お伺いをしたいと思います。
〇菅野総務部長 委員御指摘のとおり、非常に厳しい行財政環境にもあるということで、職員の定数縮減を進めてきたところでございますし、あとは、あわせて給与の特例減額という措置を講じさせていただいているところでございまして、それからしますと、職員に対する負担感というのが、非常に高まっているのではないかと考えてございます。
 総務部といたしましては、職員全体が意欲を持って県民のために働く環境をどうつくっていくかということが私どもの最大のミッションでございますので、職員の意欲をどう喚起していくか、どう意欲を持って仕事に取り組んでいただける環境を形づくっていくのかということについて、さらにいろんな手法を用いながら検討を進め、努力してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 知事にお伺いしますけれども、こうした人件費の抑制策が、以前、県内経済へ悪影響を与えるのではないかという指摘に対して、知事は、商工会等へ要請などを行いながら、いわゆるそうした理解と協力を求めて、負の連鎖にならないようにしたいんだというお答えをいただいた経緯がございます。また、そうした状況が実際にはどうだったのか、知事にお尋ねをしたいと思いますし、あわせて、このマイナスの連鎖によって、県内経済に歯どめを行う意味で、引き続いて雇用対策あるいは景気対策をしっかりと行うということが重要であろうと思います。今後の厳しい県財政事情において、さらに底なしの人件費抑制策という形にならないように、一定の歯どめなどが必要ではないかと思うわけでありますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 民間部門におきまして、県の動きに追随してさらに給与等を下げる、人員を削減するといったことがないように経済団体を通じてお願いをしているところでありますけれども、一方、こういう厳しい経済情勢もございます。そういう意味で、集中と選択の予算の中で、雇用の確保、仕事の現場、暮らしの現場を少しでもよくしていくような、そういった施策を県が強力に推進していくことが極めて重要と考えておりますので、県庁一丸となって、そうしたことに取り組んでまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 次に、出資等法人改革推進プランについてお伺いします。
 平成20年1月に策定をされました新岩手県出資等法人改革推進プランにおいて、どのような実績と効果が図られたのでしょうか、まずお伺いします。
〇菅野総務部長 新岩手県出資等法人改革プランにおきましては、県出資等法人のあり方の見直し、それから県関与の適正化、県民の理解を深めるための情報公開の推進、この三つを柱として取り組んだところでございます。
 具体的には、整理合理化の進捗状況といたしましては、解散した法人が4法人、それから、あと県の出資法人でなくなった法人が1法人となりまして、現在、指導監督を行っております法人数は44法人となってございます。
 また、県関与の見直しにつきましては、県職員の代表者就任を取りやめた法人が1法人、それから運営費補助廃止が1人、県職員派遣も、平成19年度と比較して平成21年度については43名減少させているところでございます。
 整理合理化は順調に推移しているとは考えてございますが、今後とも、運営評価制度等を通じて、各法人が徹底した経費節減などの経営改善に努め、今後とも、県民の方々から信頼していただける法人となるよう、県としても支援を続けてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今の御報告によりまして、いわゆる平成20年度までに、この2カ年間でおおむねの外科的手術が終了したということだろうと思いますが、そうした評価が一方にある中で、残された2カ年間、平成22年度までの計画としては、今後どのような取り組みが行われようとしているのか、その検討の内容を含めてお伺いしたいと思います。
〇菅野総務部長 委員から御指摘のありましたとおり、まず、おおむね外科的手術は終了したのではないかと思ってございまして、今後は、各法人の経営の体質を強化いたしまして、自立化の促進、それからよく言われますコーポレート・ガバナンスの確立など、自律的な経営の確立に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 具体的には、経営改善を要する法人として、現在5法人が経営改善計画を実行中でございますので、この計画達成に向けた指導、監督を適切に行ってまいりたいと考えてございます。
 また、先ほどもお話し申し上げましたが、県の財政的関与につきましては、法人の経営状況等を勘案しながら、引き続き削減を行いたいと考えておりまして、今後とも、それぞれ県からの支援等をどう減少させていけるかということにも取り組んでまいりたいと思ってございます。また、人的関与につきましても、県職員派遣については、今後、平成21年度と比較して20名程度削減をしたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、平成22年度中には次期アクションプランの策定とあせまして、今後、新公益法人制度に公益法人が移行してまいりますので、こういった新公益法人制度における各法人のあるべき姿について改めて検証いたしまして、さらなる方向性を定めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 そこで外郭組織、いわゆる団体等との県の政策にかかわる責任の共有化であるとか、雇用対策についてお伺いをしていきたいわけでありますが、推進プランにおける県関与の適正化ということでは、法人の解散、統廃合に伴う債権債務の整理は出資等の範囲内を原則としています。また、そうした中で、住宅供給公社の解散に伴う例を踏まえると、残存した分譲地あるいは資産の分配は一定の整理が図られたものの、いわゆるそこに働いていたプロパー職員の処遇については、直接の雇用関係にある公社との間での対処になりまして、県においては、再就職あっせんを含む雇用対策としての指導的関与について、知事の遺漏なきよう努力したいとの意向を踏まえながら連携が図られたものと思いますけれども、最終的には、そうしたプロパー職員の身分がどのような状況になったのか、お伺いをしたいと思います。
〇菅野総務部長 住宅供給公社については、お話がありましたとおり、ことし3月末に解散を行ったところでございます。この時点におきまして、職員13名のうち、定年退職をされた方1名を除きまして、12名の方々について雇用確保が課題となったところでございます。その中で、いわゆる住宅供給公社の清算法人での雇用、それから、土地を引き継ぎました県土地開発公社での雇用について県としても要請を行ってきたところでございますが、その結果、清算法人で1名、県土地開発公社で1名など、現在4名の方の再就職が決まっている状況にございます。
 また、残る8名の方につきましては、農業への従事を希望されている方が2名、再就職を希望しない方が3名おられまして、差し引きで現在3名の方々が再就職を希望されていると、こういう状況にございます。このうち2名の方は、住宅供給公社が契約した再就職支援会社を活用して、現在、再就職活動を行っていらっしゃると伺っております。
 県といたしましては、再就職を希望されている方々のために、再就職に有用な情報提供など、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 いずれ、大変こうした政治的、政策的な判断から解散ということが進められてきた部分で、そのような雇用に不安を抱く状況があるという事実をしっかりと踏まえて、万全を期した再就職の取り組みを引き続き関係者との連携の中で徹底を図っていただきたいというふうに申し添えたいと思いますが、いずれ、そうした中で、今後さまざまな法人等の関係の整理が行われていく部分で、先ほど、今後は財政的関与も削減の方向で見直すんだという答弁があったわけですけれども、そうしますと、必然的にその必要性において、その法人で働いている方々、労働条件を含めて、原則的に、当該雇用関係にあるその法人との中で協議されるべきものではありますけれども、県の意向がこれまでも少なからず大きな影響力を持ってきたということを考えますと、その職と身分が失われるあるいは労働条件の低下につながると想定される事態について、当然、県としての適切な指導と対策が必要だと思うわけであります。県関与の適正化という面について言えば、このプランの中では、県職員の対応のみの中身が記載されているわけでありまして、当該法人のそうした関係について、やはりきちんとこの際位置づけて、一定の身分や雇用の確保につなげていくという考え方が示されるべきだと思いますけれども、この点については知事の所見をぜひお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県出資等法人が解散した際の法人職員の再就職支援については、直接の労使関係にある法人が主体的に対応するべきことではありますが、県としても非常に重要な問題と認識しているところであります。このため、県出資等法人の廃止に際しては、これまでも再就職についての情報収集や提供に努めるなど、法人職員の再就職活動を最大限支援してまいりました。
 今後も同様の事態に当たりましては、当該法人と連携を図りながら、再就職に関する情報収集や提供を行うほか、業務承継法人や類似法人がある場合には、雇用の可能性の検討を依頼するなどの支援に努めていく考えであります。
〇木村幸弘委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 次に、地方分権の取り組み状況と市町村との連携のあり方についてでありますが、これまでに1万件を超える権限移譲が行われ、これまでの議論でも一定の成果が果たされているとのことですが、改めて権限移譲に伴う市町村との連携によるその成果及び課題の総括的な所見についてお伺いします。
〇加藤地域振興部長 権限移譲に伴う市町村との連携についてでございますが、権限移譲につきまして午前中も答弁申し上げさせていただきました。
 権限移譲に当たりましては、県と市町村が合意の上で進める必要がありますことから、市町村との研究会等をすべての広域振興局等に設置いたしまして、市町村と協議調整しながら、移譲する事務の検討を行ってきたところでございます。また、県におきましては、ポイント式一括移譲制度によりまして県職員を派遣し、また、権限移譲モデル市町村等支援交付金によりまして、先進的な取り組みに対して財政支援をすることなどによりまして、権限移譲を進めてまいりました。その結果、総括的な評価といたしましては、身近な住民サービスの質や利便性の向上につながっているものと認識しております。
 一方、課題といたしましては、市町村の間に権限移譲に対する取り組みに差が見られること、移譲事務の定着のため、県のフォローが必要であることなどが挙げられるところでございまして、引き続き、市町村との連携のもとに権限移譲が進むように、県としても必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 次に、元気なコミュニティ100選がゼロ予算事業として実施されてまいりましたが、その効果と活用策はどのようになっているのでしょうか。
 そもそもゼロ予算事業ということで、頑張っている地域を検証することで励ますことは大切なことだと思います。知事が訪問をして、しかし、その実態をただ選んで終わりということになってはいないでしょうか。例えば、先進的なコミュニティとしての事例を他地域へどう生かしていくのか。あるいは、当該市町村との連携などによって推進事業を立ち上げるなど、このことをどう次の展開へ発展させていくのかといった取り組みが必要だと考えますけれども、その点についてお伺いします。
〇加藤地域振興部長 コミュニティ100選団体の活動につきましては、県のホームページやいわてグラフ等で紹介しておりますほか、各種研修会での活動事例の発表をお願いするなど、他地域への波及にさまざま取り組みを進めているところでございます。
 また、知事が草の根地域訪問などで100選団体を訪問する機会がございます。コミュニティ活動に取り組んでいる住民の声を直接伺いまして、それをさまざま施策に反映させていただいているところでございます。
 そういったことのほかに、圏域レベルの取り組みといたしまして、例えば、昨年度では、県南広域振興局が花巻市におきましてコミュニティフォーラムを開催したところ、それを契機といたしまして、そば打ちをテーマとしたコミュニティビジネスの新しい動きが出てくるなど、さまざま展開も図られているところでございます。
 そういった取り組みがございますが、委員の御指摘もございました。今後も広域振興局と市町村が連携しながら、地域の特色を生かしたきめの細かいコミュニティの支援を図ってまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今、御答弁をいただきまして、いわゆる他地域も含めた波及の取り組みについては、そのとおり努力が見られるかと思います。ただ、先般、総務委員会で調査に行った際には、意見交換の中で、100選に選ばれて何か変わったことがありますかと、いいことがありましたかという意見交換が率直に行われた際には、何も変わらないということが返ってきたわけであります。いろいろと他の地域がこれらをモデルにすることも大事でありますが、同時に、せっかく100選に選ばれた地域がさらに次への発展というか、そういったステップが踏めるような手だてというか、対策が必要ではないのかなと思うわけでありまして、そうした点についての考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
〇加藤地域振興部長 これまでの取り組みというのは、コミュニティ100選に選びまして、それをいろいろ紹介して、他地域も含めて、全体として元気な圏域に、県の中に元気なコミュニティをたくさんつくっていこうということを中心に私どもはやってまいりましたが、実際にそういう意見が上がっているということでございますので、そもそもの選ばれたコミュニティの住民の方々、そこの活動をされている方々が目に見えるというか実感できるような、100選に選ばれてよかったというものとして何か考えられないかということにつきましては、御指摘の趣旨も踏まえまして勉強してまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 次に、いわて花巻空港利用促進対策等について伺います。
 空港整備とその利用率の向上は、相関関係のもとに推し進められてきたものでありますけれども、今日の状況はだれの目にも厳しいとの認識が強まっております。そうした中で、経済の低迷と今般言われているJAL再生問題を含めて地方空港路線の見直し論なども加わり、空港利用促進等活用対策はこれまで以上に重要さを増しているわけでありますが、平成20年度の取り組みとして、その成果と課題、そしてそうしたことを踏まえて、今後どのような対策を進めようとするのか、お伺いいたしたいと思います。
〇宮舘副知事 いわて花巻空港の利用促進に関する取り組みの成果と課題についてでありますが、国内定期便につきましては、航空会社と粘り強く協議を行いまして、大阪線に関しては、本年4月から伊丹便が3便化となりました。また、札幌線におきましては、昨年12月から、花巻発午前便ダイヤが実現いたしまして、ビジネス、観光ともに、利便性の高いダイヤに改善されたところであります。
 今後は、他空港や他交通機関との競争力の向上の観点から、一層の便数、ダイヤの改善のほか、空港のアクセスの充実などが課題ではないかと考えております。
 また、国際チャーター便につきましては、県内の観光関係者と連携いたしまして、台湾などの東アジア圏からの外国人観光客の誘致拡大に向け、トップセールスを含む取り組みを行ってきておりまして、昨年度は台湾から初めての冬季チャーター便が就航したほか、来月には、台湾第3の航空会社であります復興航空のチャーター便が初めて就航する予定となっております。
 今後は、四季を通じてのチャーター便の誘致や就航地の拡大、さらには、本県から海外へのチャーター便の運航拡大が課題ではないかと考えております。
 それから、今後の対策についてでありますが、地方空港を取り巻く環境は、御指摘のとおり大変厳しいものと認識しておりまして、国内線については、現行の路線ネットワークの維持はもとより、増便や運賃割引の拡大などの一層の利便性の向上について、航空会社へ働きかけを強化していきたいと考えております。
 また、空港への2次交通アクセスの改善など、空港の利便性向上にも取り組んでいくこととしております。
 それから、国際線につきましては、ターミナル機能の向上など受け入れ態勢の整備を進めながら、観光資源を広くPRすることによりまして、チャーター便の運航の拡大を図っていくなど、岩手県空港利用促進協議会などを通じまして、県内の関係者とこれまで以上に連携して、県民と一体となった取り組みを進めていく考えであります。
〇木村幸弘委員 これからの国の動向、さまざまな条件が大きく変わろうとしておりますから、そうした部分を注意深く見守りながらの対策に万全を期してほしいと思います。
 次に、農業政策の推進についてでございますが、県南地域では、南いわて食戦略的産業育成事業として従来の農業などの産業の垣根を取り払い、付加価値の高い総合的な産業育成に取り組んでいます。県内経済を活性化させるために、1次産業が2次、3次産業と連携したいわゆる6次産業化の取り組みを進め、本県の安全・安心な農作物の高付加価値化を進めることが重要と認識しております。6次産業化としての取り組みとその成果はどのような状況となっており、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いします。
〇達増知事 これまで、本県農林水産物の高付加価値化を進めて生産者の所得向上を図るために、農林水産業の流通加工や外食部門への進出を促進するとともに、商工業や観光との連携のもとで、地域資源を活用した新商品の開発や販路拡大の取り組みを積極的に支援してきたところであります。この結果、例えば一関・平泉もち街道や、雑穀やヤマブドウの産業クラスター、高齢者の食べやすさに配慮した魚製品など、地域資源を活用した新たな取り組みが展開されております。
 今年度においては、県内生産者の広域ネットワークによります街なか産直の開設や、生産者と食品加工業者の連携による地域内宅配サービスなどの新たな取り組みが始まっているところであります。
 今後は、いわて6次産業チャレンジ支援事業やいわて農商工連携ファンドを活用して、2次、3次産業と有機的に連携した農林水産業の6次産業化を促進してまいります。
〇木村幸弘委員 そうした中で、最近の事例でございますけれども、さまざまな地域ブランドとして、いわゆる豚肉を中心に、養豚業から独自の生産に対するこだわりを持った、肥育から食肉加工あるいは販売体制に至るまでの取り組む姿勢が、山形県の平田牧場などの例に見られるように、高い人気を得ているようであります。花巻の白金豚も頑張っておりますが、本県においては、こうした銘柄豚の取り組みに対してどのような取り組みや支援が行われているのか、お伺いします。
 また、こうした畜産体制について、耕作放棄地の活用による飼料用米の供給体制であるとか、肥育環境の面から敷きわらやチップの活用などを通じて、それを堆肥として資源循環が図られるような取り組みなども進められているわけでありますが、そうした取り組みの状況についてもお伺いしたいと思います。
〇達増知事 国内外の産地間競争が激化する中で、養豚経営の所得確保を図る上で、特色ある地域ブランド化の取り組みは有効な手段の一つであります。県内でも、外食部門に進出する花巻市の白金豚やハム、ソーセージの加工に取り組む藤沢町の舘ケ森高原豚など、全国に誇れる先進的な取り組みが出てきております。
 県としては、こうした独自の取り組みに対して、肉質にすぐれた黒豚の種豚の供給や、豚肉の安定生産のための人工授精技術の普及など生産面での支援とともに、県外のバイヤー等を招聘したいわて食のマッチングフェアや、首都圏のホテル、量販店でのいわてフェアの開催などにより、販路拡大への支援や情報発信を行っているところであります。
 また、飼料用米の供給や資源循環の取り組みについては、県では、国の交付金等を活用しながら、畜産農家の需要の掘り起こしや稲作農家とのマッチングなど、地域の合意形成を支援してきたところであります。この結果、一関市における稲作農家と養豚経営体が連携して、堆肥を水田に還元して生産された飼料用米を肥育豚に給与し、こだわりのある豚肉の生産、販売を行う取り組みなどが拡大してきているところであります。
 こうした取り組みは、地域資源の有効活用とともに、県産畜産物の高付加価値化にもつながるものであり、今後とも、積極的に支援して県内各地への普及に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 時間がなくなってまいりましたが、予算編成等に関する基本姿勢についてお伺いしたいと思います。
 毎年副知事名によりまして、予算編成に当たっての通知が出されております。ちょうど10月の初旬に毎年出ているようであります。その中で留意すべき事項として、次のような記載があります。
 近年、予算の繰り越しや不用額が多額になっていることから、予算調製に当たっては、事業ごとに、年度内に執行可能な事業量を十分に検討の上、多額の繰り越しや不用額が生ずることのないよう、特に留意することとなっています。
 極めて当たり前のこととしてあるべき通知ではありますが、しかしながら、不適切経理があった事実などをこの間目の当たりにして、このような通知がある意味形骸化していたとも思いますし、多額の繰り越し、不用額が生ずることのないようにという意味が、使い切りという悪しき慣例に通じるものであったとも考えられるとすれば、予算の編成や執行に当たっての不適切経理の反省をどう生かしていくのか、あるいは再発防止への決意とあわせて、まず知事にお伺いしたいと思います。
〇達増知事 昨年来、予算の使い切りの意識を防ぎ、無駄な予算執行を抑止するための予算編成でのさまざまな工夫や、発注と検収の分離など物品調達システムの見直し、職員研修等を通じた職員の意識改革の徹底などのさまざまな取り組みを職員一丸となって実行したところであり、今後においても、こうした取り組みを通じて、予算の適正な執行に努めてまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 警察にお伺いします。
 先ほどのやりとりの中で、監査の方からは、機会あるごとに説明を求めてきたけれども、そうした点について資料の提出あるいは説明が明らかにされずに来たという菊池監査委員の答弁がありました。こうした姿勢は県としていかがなものかと、県警として、どう判断をしてそのような協力関係がとれなかったのか、お伺いしたいと思います。
〇保住警察本部長 今回の不適切な事務処理に係る調査につきましてでございます。
 昨年の11月10日に、警務部長をトップとする体制を確立しまして、本年4月から調査方法を見直した上で、徹底した調査を行ってまいってきているところでございます。
 前回も御説明申し上げましたが、今回の調査方法につきましては、県警職員からの申告だけに頼ることなく、調査可能な経理書類に基づいて事実を徹底的に調査して、問題を洗い出すべく、調査対象業者数を前回の29社から275社に大幅に拡大し、また、業者の帳簿と県警察の支出関係記録に基づき、約3万4、000件余のすべての契約内容を突合すると、こういった帳簿方式に変更したため、膨大な調査となったものであります。
 県警としては、残りの納入物品の所在確認作業等々を含めまして現在最終局面にあるわけですが、こういった一連の作業を一刻も早く遂げまして、その上で関係者、県民の皆様に対しまして説明責任を果たしたいと、このように考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 ちょっと明確な答弁になっていません。部局別審査にその議論をゆだねたいと思いますが、いずれ、本部長としては、これまでの県民の信頼を損ねるようなこうした不適切な経理が行われてきた実態を踏まえながら、本当に警察権力の特権にただあぐらをかいているのではないかと、そんな思いさえするわけであります。納税者、県民に対する情報開示の責任あるいはそういったことをしっかりと果たすためにその責任をどのように感じているのか、最後にお伺いします。
〇保住警察本部長 私といたしましても、今回一連の調査を継続してきているわけですが、徹底した調査を行って、事実関係をすべて県民の皆様に報告をするということが一番大事であるということで、結果的に時間がかかる作業になっておりますことは大変遺憾でありますが、私としても、一刻も早く、とにかく調査を遂げた上で県民の皆様への説明責任を果たしたいと、このように考えているところでございます。
〇小田島峰雄委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 津付ダム建設事業の見直しについて知事に質問します。
 民主党と鳩山新政権は、税金の無駄遣いをなくす、八ツ場ダムなど全国143のダム事業を見直す政策方針を示しています。画期的で当然なことだと思いますが、知事はどう受けとめていますか。
〇達増知事 厳しい財政状況の中で、国民生活にとって必要なものは何かを考え、税金の無駄遣いをなくし、不要不急な事業を根絶する。そして、住民の理解に基づいて事業が進められるべきという、民主党のマニフェストの精神を踏まえた新政権の考え方については、基本的に国民の利益に資するものと考えております。
〇斉藤信委員 民主党のマニフェストではどう言っていますか。
〇達増知事 抜粋いたしますと、国民生活にとって必要なものは何か。国の総予算207兆円を徹底的に効率化。無駄遣い、不要不急な事業を根絶するとあります。
〇斉藤信委員 ダムのところではこう言っているんですよ。現在計画中または建設中のダムについては、これを一たんすべて凍結し、一定期間設けて、地域自治体住民とともに、その必要性を再検討するなど治水政策の転換を図りますと。どうですか、そのとおりですか。
〇達増知事 民主党INDEX2009にそのように書いてあると承知しております。
〇斉藤信委員 民主党籍を持つ全国唯一の知事ですよ。だったら、率先して津付ダムの中止、見直しに取り組むべきじゃないですか。
〇達増知事 洪水から県民の生命、財産を守るとともに県土の保全を図ることは県行政の根幹的な責務の一つであり、それぞれの河川の特性に応じたダムによる治水対策は、河川改修等と同様に有力な手法と認識しております。
 前原国土交通大臣のコメントによりますと、平成21年度における進め方は、補助事業については各道府県知事の判断を尊重するとしておりまして、県が進めている三つのダム事業については、政策評価システムの中で外部の意見を聞きながら、必要性や緊急性を客観的に判断しておりますので、現在行われている工事については引き続き進めていくこととしております。また、直轄事業については、新たな段階に入ることとなる工事の契約などは行わないこととされておりますので、現在、本体工事中の胆沢ダムについては、予定どおり執行されるものと認識しております。
〇斉藤信委員 鳩山政権、民主党は一たんダムをすべて凍結して見直すと。ところが、達増県政は、県としては継続すると。ねじれじゃないですか。
〇達増知事 5年ごとに大規模事業評価のプロセスで見直すということは、ある意味、民主党マニフェストが実現する以前からそういう見直しを県では行っているということで、ねじれてはいないと理解しております。
〇斉藤信委員 大規模事業評価専門委員会をやっているけれども、県は継続という方針を出しているんですよ。これがねじれだと言っているんです。
〇達増知事 評価としては、県からの諮問を尊重するという答申をいただいておりますので、それを尊重したいと考えております。
〇斉藤信委員 大規模事業評価専門委員会は一度でも県の方針を変えたことがありますか。
〇達増知事 幾つか例があると記憶しております。
〇斉藤信委員 ないと思いますよ。具体的に出してください。
〇高前田総合政策部長 県の大規模事業評価専門委員会におきまして、県側から答申した内容については、各分野の専門的なデータ等を収集しまして、各界のいろんな御意見を聞いた上で、県としての考え方を諮問しているところでございまして、これまでのところは、大規模事業評価専門委員会に諮問した内容と違う答申があったということはございません。
〇斉藤信委員 そういうことなんですよ。まともな評価をされてないというのが率直ですよ。ダムの専門家もいません。私は、本当に徹底した審査をすべきだと。
 それで、津付ダム建設事業は、いつ、どういう理由で始められた事業ですか。先にダムありきで始まった事業じゃないですか。
〇宮舘副知事 津付ダム建設事業の開始時期等についてでありますが、気仙川では昭和22年のカスリン台風、昭和23年のアイオン台風を初め昭和47年や昭和54年の洪水などによりまして、住田町や陸前高田市が洪水の被害を受けてきたわけでございます。このため、河川改修とあわせてダムによる気仙川の治水対策のほか、住田町の水道用水の確保等を目的といたしまして、昭和56年4月から津付ダムの建設事業を始めているものであります。
〇斉藤信委員 県が着手したのは昭和52年、1977年ですね。
〇宮舘副知事 津付ダムの利水調整の経過でございますけれども、予備調査に着手したのが昭和52年でございまして、ダムの建設事業を始めているのが、昭和56年から実施計画調査をやっているものでございます。
〇斉藤信委員 知事、これは地元住民から要望があってやったんじゃないんですよ。県が津付にダムをつくりたいと。そして、関係市町村に、ダムをつくるから、どういう目的があるか出しなさいとやったんですよ。知ってますか。
〇達増知事 県として、防災の対策を地域と相談しながらやっていくということは必要であると考えます。
〇斉藤信委員 32年前からダム先にありきでこの事業は計画されたけれども、進まなかった。それが平成12年にやっと国庫補助事業のダム事業として採択された。このときには世界7不思議だと言われたんですよ。そういうダム事業だったんですよ。
 それで、お聞きしますが、今回、パブリックコメントがやられましたが、その結果と内容、ダム建設事業反対の声はどれだけありましたか。
〇宮舘副知事 パブリックコメントにつきましては、ことしの5月25日から6月24日までの1カ月間実施したところであります。期間内に521名の方から、治水対策の手法や自然環境への影響等について御意見をいただいたところであります。その中で建設事業に反対する方は504名となっております。
〇斉藤信委員 新しい長期経営計画でもたった400件ですよ。難しいダムの問題について521件、実はその後、期限が切れたけれども、711件まで声が出て、9割以上が反対ですよ。これを知事はどういうふうに受けとめていますか。
〇達増知事 地域の声というのは尊重していかなければならないと思います。
〇斉藤信委員 極めて重要な答弁でしたね。これは私は極めて重要だと思います。
 それで、津付ダム建設事業、気仙川水系河川整備計画はどういう計画になっていますか。
〇宮舘副知事 津付ダム建設事業は、利水の需要を見直した結果、平成15年度に治水専用のダムに目的を変更しております。また、気仙川水系の河川整備計画につきましては、目標とする治水安全度を70分の1とする河川整備基本方針に基づきまして、当面の治水安全度を30分の1として、ダム下流全川にわたり水位低下の効果がある津付ダムを河川改修に先行して整備する計画となっております。
〇斉藤信委員 河川法の改正によって、整備基本方針と整備計画というふうに分けられました。河川整備計画というものはどういう目的を持っていますか。
〇宮舘副知事 気仙川の河川整備計画は今後20年程度の整備を目標とした計画でございまして、治水安全度をおおむね30年確率として、ダム下流全川にわたって水位低下の効果がある津付ダムを先行して整備するというものになっております。
〇斉藤信委員 津付ダムは30年に1回の洪水に対応する、こういう整備計画であり、事業なんです。だとしたら、ダムプラス河川改修の事業費、河川改修の事業費はどうなっていますか。
〇宮舘副知事 30年確率の洪水に対応するそれぞれの事業費についてでありますが、まず、ダムと河川改修の組み合わせの場合は、ダムが141億円、河川改修が23億円となっておりまして、合計で164億円となります。また、河川改修単独の場合は94億円となります。しかしながら、県内の主要河川の治水安全度を勘案いたしまして、気仙川は目標とする治水安全度を最終的には70分の1にしたいというものでございまして、この場合のダムと河川改修の費用は334億円、一方、河川改修単独の費用は354億円となっておりまして、ダムと河川改修を組み合わせたほうが費用が少ない、安くできるということ、また、移転家屋の数も少ないこと等から、ダムと河川改修の組み合わせが、社会的にも経済的にも最適であると判断しているところでございます。
〇斉藤信委員 知事にお聞きしたい。いいですか、河川法の改正によって、整備基本方針と整備計画に分けられた。いわば70分の1の整備をするには長期の期間がかかるから、当面20年、30分の1でやるということになったんですよ。だったら、30分の1で最も効果的な治水計画を立てるというのが一番大事なことなんです。知事、なぜ、30分の1で70億円も過大なダムをつくらなきゃだめなんですか。
〇達増知事 気仙川は、現況の治水安全度は20分の1程度の能力しかなく、河川整備基本方針で目標としている治水安全度70分の1に対して、当面はおおむね30分の1まで治水安全度を引き上げることとしておりますが、津付ダムを先行して整備することによって、ダムの下流全川にわたり早期に効果的に治水安全度を向上させるとともに、並行して河川改修を進めていき、そして70分の1の治水安全度を達成していこうというものであります。
〇斉藤信委員 基本方針と整備計画をあなた方はわざと混同しているのですよ。70分の1がすぐ達成できないから、当面、20年の範囲で30分の1の治水対策をとるというのが河川整備計画の最大のポイントなんですよ。だったら、30分の1に最も適切な治水計画というのは、70億円も安くつく河川改修でしょう。知事、70億円もの無駄遣いを、こんなに厳しい財政状況でやっていいんですか。
〇達増知事 気仙川は戦後もたびたび水害に見舞われているところでありますし、流域も広く、また、下流には市街部もあり、県の他の河川の治水安全度と比較いたしまして70分の1という目標が掲げられていると理解しております。
〇斉藤信委員 知事、答弁になっていないんですよ。あのね、141億円でダムをつくって、30年に1回の洪水に対応できないのですよ。人口密集地の陸前高田市の地域で、このダムでどのぐらいの水位が下がると思っていますか。
〇達増知事 当面の30分の1という目標を達成しつつ、70分の1という治水安全度を目指していくことが適当という判断と理解しています。
〇宮舘副知事 先ほど、河川整備計画と基本方針を混同しているというお話がございましたけれども、河川法によりますと、河川整備計画は河川整備基本方針に沿って計画的に整備を実施する区間について、当該河川の整備に関する計画を定めることとされておりまして、それぞれ別々に考えるものではない、一体的なものだと考えております。
〇斉藤信委員 だからといって、70億円も過大なダムをつくるなんていうところはどこもありません。いいですか、141億円のダムをつくっても、30年に1回の洪水に対応できないのですよ。陸前高田市の河口近くの水位はたった11センチしか下がらないのですよ、知ってますか。
〇宮舘副知事 当面、20年間でダムと河川改修を一体的にやって、その治水安全度を30分の1に整備していくと。それで最終ではなくて、最終的には70分の1までもっていくという計画でございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 一番いいのは、30年に1回の治水対策、最も効果的な対策をとって、20年たったら、その後また考えればいいんですよ。70分の1までさらに50年かかるんですよ。そんな責任はだれも持てないでしょう。知事、いかがですか。
〇達増知事 治水安全度70分の1を目指していく際に、河川改修のみで図るよりも、まずダムを建設し、そして河川改修によって70分の1を目標とする順番が合理的であると理解しております。
〇斉藤信委員 道理も合理性もない、ただただダムをつくりたいという答弁ですよ。70億円の無駄遣いをやる、これは鳩山政権の方向と全く違うんじゃないでしょうか。古い自民党の県政がここにあるというような感じが私はするんだけれども、知事、いかがですか。
〇達増知事 そういうことはございません。
〇斉藤信委員 実は河川改修のほうが効果的だという話を私はしますよ。いいですか、河川改修をやれば、危険な箇所を最優先してやれるのですよ。そうすると、最も効果的な治水効果がすぐ出るのです。94億円というのは県の試算です。しかし、洪水であふれるところは農地もたくさんありますから、私は、この94億円というのは実際には半分ぐらいになると思いますよ。そういう意味では、たった11センチしか水位が下がらない無駄なダムではなくて、一番危険な箇所を直ちに手当てできる、こういう河川改修こそやるべきじゃないですか。
〇宮舘副知事 繰り返しになりますけれども、70分の1の確率というのは、県内のほかの河川の整備状況を見ましても、決して高い確率ではない。100分の1で河川の安全度を確保しているところがほとんどでございます。(斉藤信委員「そんなことを聞いてないの、僕は。そういうことは聞いてないのよ、基本方針のことは。河川改修のほうが有効だと私は聞いているんですよ」と呼ぶ)
〇達増知事 県といたしましては、県民の安全を守るという目的を合理的な形で達成していくという方向で施策を進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 何の具体性もなかったですね。
 それで、私はもう一つお聞きしたい。実はダムをつくったら、超過洪水対策に対応できないのです。総合治水もできないのです。ダムというのは、先にダムをつくるから河川改修に手がつかないのですよ。しかし、予測を超えた大洪水、超過洪水が出てくる。それに対応できるのが河川改修なんですよ。知事、わかりますか。
〇達増知事 超過洪水の場合には、ダムも河川も、それは変わりがないのではないでしょうか。
〇斉藤信委員 ダムというのはためるだけなんですよ。それを超えた場合には、放流するしかないんですよ。そうすると、下流はそれに対応できないということです。河川改修というのは、あふれることを前提にして超過洪水対策、総合治水ができるのです。わかりますか、知事。
〇達増知事 70分の1の対応がとられた場合でも、100分の1あるいはそれ以上の災害というのはあり得るわけでありますので、治水対策においては超過洪水等が発生した場合に備えたソフト対策等は重要であると認識しておりまして、地区ごとに住民の方々と総合的な治水対策に取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 知事は穴あきダムの危険性について認識していますか。
〇達増知事 危険性について具体的に御指摘いただければ、担当の者に答弁させたいと思います。
〇斉藤信委員 時間がないから私から具体的に言えないけれども、時間がないからですよ。知事、片山知事はみずから県当局のごまかしを指摘して、220億円の中部ダムをやめさせました。河川改修は70億円で済みました。あなたね、県の担当者の言うことをただ聞いていたら、官僚主導の県政ですよ、これは。地域住民の声、そして知事自身がこの計画の妥当性をしっかり見定めて、見直しを勇気を持ってやるべきじゃないですか。
〇達増知事 県民の安全を守り、そして地域を守っていくということが県の重要な役割だと考えておりますので、適切に対処してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私は、河川改修のほうが効果的で、そして安くこの治水対策がとれるということを言っているんですよ。そのことを知事自身、しっかり確かめてください。官僚の言うことだけ聞かないで、政治主導でやってくださいよ。
〇小田島峰雄委員長 答弁は要りますか。
〇斉藤信委員 もちろんです。
〇達増知事 民意を踏まえて行政を進めることが政治主導の本質だと思っておりますので、地域の方々、また、県民の声を聞きながら進めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 終わります。
〇小田島峰雄委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党、小野寺好であります。
 平成20年度は2度の大地震、県立病院附属地域診療センターの無床化発表、アメリカ発の金融危機による製造業を中心とした業績不振と雇用悪化などが発生いたしました。総括質疑は、これらの県政課題について伺います。
 最初に、昨年6月14日発生の岩手・宮城内陸地震の関係について伺います。これによる災害に関し、局地激甚災害に指定され、旧一関市や奥州市の旧衣川村の災害復旧事業等では特別の財政援助等を受けております。既に1年3カ月余り経過し、一応落ちついてきましたが、全体の損害額、県や当該市が負担した金額、支援を受けることのできなかった住民、企業の損害は、最大の方でどのぐらいであったか。被災者生活再建支援制度の適用実態はいかがでしょうか。また、行政としての教訓、今後の大規模地震対策などを伺います。
 なお、平成17年3月の議会で、旧胆沢町出店と雫石と折爪などの未調査活断層を調査すべきではないかと伺いましたが、当時の部長答弁は、今後30年間の確率はゼロであるとのことでありましたが、現実として3年後に発生いたしました。順番からすると、次は二戸広域が心配されますが、改めて調査するお考えがあるかどうか伺います。
〇菅野総務部長 まず最初に、岩手・宮城内陸地震の被害額についてでございますが、その額はほぼ確定いたしてございまして、総額で209億6、000万円余となってございます。その復旧に要する事業費としては、平成20年度決算ベースで申し上げますと、県が57億2、000万円余、一関市が17億5、000万円余、奥州市が14億6、000万円余の事業費となってございます。被害額のうち、住家被害につきましては785世帯で2億9、000万円余、企業─これは商業、工業、観光施設等でございますが─の被害が338カ所で5億9、000万円余となってございますが、この分析に当たりましては、支援を受けることができたか、できなかったかという区分をしてございませんので、恐縮でございますが、御指摘のあった内容について御報告するのは困難であろうかと考えてございます。
 今回の地震災害では、国の被災者生活再建支援制度は適用されなかったところでございます。県におきましては、地震災害により住宅の全壊、全焼または宅地の崩壊等により移転を余儀なくされた5世帯の方々を対象といたしまして、市が住宅再建のための助成を行うこととした場合、1世帯当たり300万円を上限に補助金を交付できる被災者住宅再建支援事業を独自に創設したところでございます。平成20年度は、奥州市の1世帯に対して助成いたしておりますが、今年度は奥州市の2世帯及び一関市の2世帯分として、合計1、200万円余を予算措置させていただいているところでございます。
 また、行政としてのいわゆる教訓でございますが、先ほども御答弁申し上げましたが、昨年の2度の大きな地震において、市町村において総合的な住民相談のあり方が課題とされたところでございますし、また、県におきましても、職員の参集ルールの見直し、さらに県災害対策本部支援室の充実強化や孤立化想定地域の把握と対策の推進など、防災対策上の課題も明らかになってございます。このため、個別に検証を進め、順次改善措置を図っているところでございます。
 次に、今後の大規模地震への対策等についてでございますが、いわゆる防災マップの関係につきましては、津波とか火山の場合は、過去の災害のシミュレーションを行った上で防災マップを作成しているところでございますが、地震の場合はなかなか発生規模と発生場所などが多様なこともございまして、一律、防災マップという作成はなかなか困難な状況にございますが、県といたしましては、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の地震防災戦略、これは国が進めてございますので、この戦略に基づきまして、より具体的ないわゆる減災目標を定めまして、宮城県沖地震など想定される大規模な地震に備えてまいりたいと考えております。
 最後に、活断層調査の関係でございます。お尋ねのありました二戸地域につきましては、折爪断層が想定されるところでございますが、現在、この断層につきましては、地表及び地下における位置、形状等につきまして、国等の詳細な地形、地質調査が進んでおらない─現在のところ、全体の3分の1程度までいってございますが、まだ、これが詳細なものが進んでおらないという実態にございまして、過去の活動がなかなかわからないという状況にございます。今後の調査につきましては、国に対し、過去の活動履歴資料に基づく基礎的な調査研究の積み重ねや、現在の活動性などを考慮したさらなる調査等の推進を強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 この地震発生当日、関係各省庁の集計によりますと、防災ヘリや自衛隊機等、ヘリコプターを中心とした航空機が102機出動したとされ、道路が寸断されて孤立した住民等400人以上が救出されました。さらに千葉県、福島県からはドクターヘリの支援をいただき、心強く思いましたが、このドクターヘリに対し、本県では導入に向けた調査費を平成20年度に300万円措置いたしましたが、その成果はいかがでしょうか。地震、洪水等災害時における医療体制については、その後どのような体制が組まれているか伺います。
 なお、防災ヘリを購入して十数年経過いたしましたが、耐用年数、今後の更新についてはいかがお考えでしょうか。ドクターヘリの場合、機体と操縦士、整備士をまとめてリース契約すると聞いていますが、整備期間に空白が生じないので、とても参考になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 ドクターヘリの導入に関してでありますけれども、昨年度においては、県の防災ヘリコプターを用いた模擬飛行調査や、県内の救命救急センターに搬送された重症患者の事例について調査、分析を行い、ドクターヘリによって医師による治療開始までの時間を大幅に短縮できることを確認したところであります。また、こうした調査結果を踏まえまして、本年度においては、引き続き、本県への導入可能性をさぐるため、県内の医療、消防等の関係機関を構成員とする有識者会議を設置するとともに、岩手医科大学を基地病院と想定して、ヘリポートや格納庫などの具体的な設置箇所等について調査を実施し、検討を進めてきたところであります。
 この結果、当該大学の敷地内や近隣地域に運航基地となるヘリポートを確保することは困難ではありますが、郊外に、医療スタッフ等も常駐する基地を整備して、出動要請に応じて当該基地から発進するいわゆる発進基地方式による導入が可能と判断されたところであります。今後におきましては、当該方式による運航態勢を基本に据えながら、導入先として想定される岩手医科大学とも十分協議、調整を図りながら、本県へのドクターヘリの導入可能性について検討してまいりたいと思います。
〇宮舘副知事 災害時における医療体制についてでありますが、災害が発生した場合には、県は、岩手県地域防災計画に定める医療・保健計画に基づきまして、被災地の市町村や、岩手県医師会、岩手県歯科医師会等の関係医療機関等と連携いたしまして初動体制を整え、医療活動、保健活動に当たることとなっております。
 具体的には、災害派遣医療チームDMATを含む医療救護班が編成、派遣されまして、現地において医療救護活動が行われるほか、あらかじめ指定しております災害拠点病院や地域の医療機関において、傷病者の受け入れや救命医療等が行われることになります。また、必要があれば、県の防災ヘリコプターを使用した傷病者の広域搬送も行うことになっております。さらに、災害急性期を過ぎた後は、避難所等での被災者の保健指導やメンタルケア等が重要となることから、県及び市町村におきましては、保健所を拠点とした保健活動班を編成いたしまして保健活動を行うこととなるものであります。
 次に、防災ヘリの更新についてでありますが、航空機は、航空法により機体及びエンジン等の製造メーカーが定めるメンテナンスマニュアル等に基づきまして点検整備が義務づけられております。本県の防災ヘリの場合も、適時適切に部品交換やオーバーホール等を行うことにより、機体及びエンジンは常に安全運航できるように保たれているところであります。今後とも適切なメンテナンスを行いまして、できるだけ長く今の機体を使用したいと考えておりまして、更新について検討する段階に至ってはおりません。本県の防災ヘリは、機体は県が所有し、運航管理は委託する方式で運用しております。他県においても同様の方式がほとんどでございます。耐空検査や整備点検によりまして運航ができない期間におきましては、代替機のリース、警察ヘリの応援や、北海道・東北8道県の相互応援協定に基づく各道県からの消防防災ヘリの応援などにより、救助活動等に支障を来たさないように運用しているところであります。
 御提案のありました機体も含めたリース契約方式につきましては、防災ヘリとしての機能を十分に発揮できるかどうかも含めて、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。
〇小野寺好委員 次に、県民医療について伺います。
 県民1人当たりの医療費を見ますと、県内では盛岡市とその周辺住民が高くなっていて、県北・沿岸地域はかなり低くなっています。盛岡広域住民だけが事故率、有病率が高いわけではなく、ここには医療機関が大小、各種さまざま存在し、また、交通手段も多様で、住民にとっても通院しやすい環境にあることに起因すると思われます。
 県立病院は、採算が悪くても、各地に存在することによって、ある程度条件不利な地域住民の医療を担ってきたわけですが、県は、不採算県立病院の撤退傾向にありますが、こうした地域の医療を今後どう確保していくか伺います。その際、県立病院の勤務医師確保が問題になりますが、必ずしも医大の定数がふえれば安心というわけではないと思います。その中から県民医療に貢献したいという意欲ある医師を県病に迎え入れるための方針を伺います。
〇達増知事 地域医療の確保についてでありますが、県立病院は、本県の地域医療の確保に大きな役割を担ってきたところであります。現在、県立病院は深刻な医師不足など非常に厳しい環境下にあり、今年度を初年度とする県立病院等の新しい経営計画では、県立病院の機能や規模の見直しを行ったところであります。
 こうした状況の中で、県民に良質な医療を持続的に提供していくためには、二次保健医療圏を基本として、県立病院相互の役割分担と連携を一層進めるほか、市町村や民間の病院、診療所とのネットワークを強化するなど、限られた医療資源を有効に活用しながら、医療提供体制を確保していく必要があると考えております。
 そして、県立病院の勤務医師確保についてでありますが、医師にとって魅力ある勤務環境としていくことが重要であり、現在、県立病院に勤務する医師をメンバーとするプロジェクトチームによりまして、勤務医の処遇の改善や服務の見直しなどについて検討を行っているところであり、現場の医師の意見を踏まえて、具体的な取り組みを進めていきたいと考えております。さらに、特に医師不足が深刻な地域病院の診療体制を確保するための方策として、地域病院の担い手として総合的診療を行うことができる医師を育成するための仕組みや研修プログラムなどについて、具体的な検討に着手することとしています。
 医師確保については、今後も厳しい状況が見込まれますが、医師の派遣元である関係大学との連携の一層の強化や医師招聘活動、臨床研修医の確保と定着に向けた取り組みなどを進めながら、勤務環境の改善や地域医療の担い手育成にも取り組むことにより、医師確保に努めてまいります。
〇小野寺好委員 県立病院等の新しい経営計画が平成20年度に出され、四つの基本方針を軸に平成21年度から実施されています。その第6章の11、無床診療所への移行に当たって取り組む事項は、無料送迎や夜間、休日の対応など8項目書かれております。無床化の後、廃止とは一言もありませんが、その先にあるのは廃止ではないかとの懸念が地域住民の間では言われてきました。現実に今議会に花泉地域診療センターの廃止が提案され、他の4カ所や沼宮内についても不安が募っております。県民に良質な医療を提供してきた県立病院等の維持に関する方針を伺います。
 また、県病跡地については、廃止になる期日が明白であるにもかかわらず、先を見通した計画を立てず、移転後も放置されているという現実があります。県有財産が活用されないままになっていることへの所見を伺います。
〇達増知事 県立病院等の維持に関するお尋ねでありますが、今般の新しい経営計画は、深刻な医師不足など県立病院を取り巻く環境が非常に厳しい状況のもとで、これまでと同様の機能や規模を維持することが困難な状況となっていることから策定されたものであります。本県の地域医療の現状を踏まえますと、限られた医療資源を効率的に活用して、二次保健医療圏の基幹病院を中心にしながら、地域の病院、診療所等との機能分担と連携を一層進めることによって、県営医療を維持していくべきものということが方向性でございます。
 次に、県立病院跡地の活用についてでありますが、県有地の処分に当たっては、まず県で活用すること、次に地元市町村において活用していただくことを基本に検討することとしております。県立病院跡地については、その多くが市町村の中心地に位置しておりますので、地元市町村に活用していただきたいと考えているところでありますが、今後とも、地元市町村とよく協議をしながら、地域にとって有効な活用策を検討してもらいたいと考えております。
〇小野寺好委員 鳩山新政権は、地球温暖化防止対策として、温室効果ガスの排出を1990年比25%削減すると世界に宣言いたしましたが、おととしの国内排出量は9.2%増加したと報道されています。本県の昨年度までの実績と今後の対応はいかがでしょうか。
 県企業局は、クリーンエネルギーとして水力だけでなく風力にも取り組んでまいりましたが、最近はその意欲が低下しているのではないかと見受けられます。今後の方針はいかがでしょうか。
 新政権の25%削減を目指した場合、事業所、一般家庭への影響を伺います。
〇宮舘副知事 温室効果ガスの排出削減実績及び今後の対応についてでありますが、本県の二酸化炭素排出量は、直近のデータであります平成18年が1、358万5、000トンとなっておりまして、1990年、これは平成2年でございますが、それに比べますと5.5%増加しておりまして、8%削減の目標達成のためには、平成22年までに173万8、000トン以上の削減が必要であります。この削減につきましては、岩手県地球温暖化対策地域推進計画によりまして、排出削減対策で91万9、000トン、残りの81万9、000トンについては森林吸収によることとしております。
 平成20年度までの主な排出削減対策といたしましては、家庭部門ではCO2ダイエット・マイナス8%いわて倶楽部の会員数を2万6、063人に拡大いたしました。それから、産業・業務部門におきましては、いわて地球環境にやさしい事業所を154事業所認定いたしまして、エネルギー使用量の大きな事業所等221社による削減対策を実施しております。また、運輸部門におきましては、エコドライブ普及のために普及員を30人養成したほか、県内各地で講習会を15回開催いたしました。このほか、太陽光発電や風力、木質バイオマスなど合計約1万2、000キロワットの新エネルギーの導入を図ってきたところであります。これらの取り組みなどによりまして、平成19年度におきましては、推計で27万トン以上を削減したところであります。平成20年度の削減量は集計中でありますが、今後、本年6月に設立いたしました温暖化防止いわて県民会議を中核とした県民運動の推進、地球温暖化対策等推進基金の活用など、温暖化対策の一層の強化を図り、目標の達成を目指していきたいと考えております。
 次に、企業局のクリーンエネルギーに係る今後の取り組み方針でございますが、水力発電につきましては、本年12月の運転開始を目指して、八幡平市に北ノ又第三発電所─これは出力61キロワットでございますが─を建設中であるほか、胆沢ダム建設事業に参加いたしました胆沢第三発電所─これは出力が1、500キロワットでございます─を平成26年の運転開始を目指して建設を進めているところであります。
 風力発電につきましては、稲庭高原風力発電所に続く新規風力の開発に向けまして、一戸町の高森高原地点について、平成18年度の東北電力の風力発電募集に応募いたしましたが、電力会社の募集条件に合わず、現時点では開発に至っておりません。今後、募集条件が緩和されれば開発は可能であると考えておりまして、国の施策や電力会社の動向に注視するとともに、風力開発の拡大に向けまして、全国知事会等を通じて国に要望してまいります。今後におきましても、水力や風力は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーでありますので、地球温暖化防止の観点からもその重要性は増しているとの認識のもとに、新たな開発の可能性を調査しながら積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、最後の質問ですが、25%削減を目指した場合の一般家庭等への影響についてであります。ことしの4月に地球温暖化対策に係る中期目標検討委員会におきまして、地球温暖化対策の経済への影響の分析を行っておりますが、現政府は、1990年比25%削減とした場合のこれまでのコスト試算を年内に再試算する方針と聞いているところであります。鳩山首相は25%の削減を表明しておりますが、我が国の最終的な削減目標は、本年12月に開催されます国連気候変動枠組条約第15回締約国会議における国際的な合意によって決定されるものであります。削減目標のうち、国内削減分や森林吸収分、そして国外からの排出枠購入分等については、会議において決定されたルールに基づいて、我が国においてその後決定していくものであります。したがいまして、今後決定される我が国の排出の削減目標の内容と、その達成に向けた国の対策の動向などによりまして、事業所や一般家庭への影響の度合いは異なってくるものと考えておりまして、現段階では影響を予測することは困難な状況でございます。
〇小野寺好委員 次に、国直轄事業負担金に関し、見直すべきではないかとの議論がありますが、同じ理屈で市町村負担金を求めている実態があります。県総合政策部長名で先月7日に発した文書によりますと、今年度、県が市町村に求めている負担金は約61億円であります。地方財政法を根拠に、それぞれの自治体からは同意していただいているとのことであります。一往、国はずるいことをしている、県も同様だとの批判はありますが、再往考えれば、これによって国や県が不当に利得を得ているわけではなく、負担金を外せば事業の規模が小さくなるだけの話ではないかと思います。新政権のもと、来年度から国直轄事業の地方負担金は廃止される方向にありますが、これまでの直轄事業負担金の実態を省みて、今後どのような方針で臨むのか伺います。
〇高前田総合政策部長 県の建設事業に対する市町村の負担金につきましては、詳細な情報開示や地方の意見の反映、さらには対象経費の精査や役割分担の明確化など、国直轄事業負担制度の改革の趣旨に照らして、改善すべき点があれば見直しをする必要があると考えておりまして、委員御指摘の事業の着実な推進といった課題についても十分留意する必要があると考えております。
 また、本県が市町村から負担を求めております事業の中には、受益者からの申請に基づき国や県が実施しております土地改良事業や急傾斜地崩壊対策、過疎地域公共下水道整備など、受益が当該市町村内に特定される事業がございまして、これらの事業の実施に際しては、市町村と十分な協議をしながら進めているところでございます。現在、市町村に対して、負担金の明細等の説明を終了いたしまして、市町村負担金のあり方に関する意向調査を行っているところでございまして、今後は、市町村の意向を尊重しながら、望ましい役割分担を念頭に置きつつ、受益と負担のあり方や財源の問題、さらには関連する国直轄事業負担金制度の改革や他県の動向等も踏まえて、総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 最後に競馬についてであります。
 平成19年3月の臨時県議会で、県は、岩手競馬再生推進基金277億5、000万円を創設することとなり、構成団体から競馬組合への330億円の融資で競馬事業は継続しております。しかしながら、発売金額は年ごとに減少し、再生3年目のことしは83日目の10月11日現在135億円、1日平均1億6、300万円ぐらいです。前年実績を5%下回っております。行政への財政貢献という本来の目的を果たすどころか、借入金の返済さえめどが立たず、施設の維持補修にも難儀し、限界とも思える経費節減に悲壮感を覚えます。そろそろ決断すべき時期ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手競馬は、構成団体から330億円の融資を受け、収支均衡を条件として事業を継続することとされ、これまで新計画のルールに沿って、平成19年度、平成20年度と2年連続の黒字を達成してきたところであります。今年度は、他の地方競馬と同様に自場発売が低迷し、厳しい経営状況が続いておりますが、関係者の協力をいただきながらコスト調整による経費の縮減を図るとともに、インターネット事業者との連携、首都圏への情報発信など新たな取り組みも加え、発売の確保を図りながら、3年連続の黒字達成を目指しているところであります。なお、岩手競馬の最高峰レースである南部杯が行われた昨日、12日月曜日には、発売額が前年度実績を上回るなど明るい兆しも見えているところであります。
 岩手競馬の継続により競馬関係者の雇用が確保され、地域における大きな経済主体としての活動を継続することで、地域経済に今後とも貢献していくこと、収益の確保を図り、時間はかかるにせよ、構成団体に利息に加え元金も返済していくこと、さらには廃止になった場合における構成団体、ひしては県民、市民の負担を回避することが極めて重要と考えており、今後とも岩手競馬の存続がより確実なものとなるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
〇小田島峰雄委員長 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりましたので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時59分 散 会

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