平成21年9月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第24号県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
 この議案は、県立磐井病院附属花泉地域診療センターを廃止しようとするものであります。花泉地域診療センターはことし4月に無床診療所化されたばかりで、民間移管を理由に半年もたたずに廃止しようとすることは極めて重大な問題であります。
 1945年に岩手県農業会磐井病院附属花泉診療所として開設され、県立病院として1950年に県立花泉診療所として県に移管されてから59年余にわたって地域の医療を支えてきました。この県立の医療機関を廃止することは慎重に、地域住民の合意と納得を通じて進められるべき問題であります。
 特に今回問われたことは、民間移管の対象となっている医療法人が地域の医療と福祉を担うにふさわしい医療法人かという問題でありました。
 第1に、医療法人の応募書類の中身が全く不備どころか、監事監査報告書の偽造まで行っていることであります。監査もされていない監査報告書が提出されていることは、この医療法人の不適正な運営と不誠実さを如実に示すものであります。定款に明記されている年2回の定期社員総会が開催されている様子もありません。
 第2に、医師確保の見通しが全くあいまいなことであります。8月25日の応募時点では、5人の医師の確保の見通しがあると医師の年齢だけが示されましたが、県議会が開催された1カ月後には全く違う5人の医師の年齢が示されました。特に、診療所長と明記された医師は、医療法人の紹介で6月から8月の2カ月間、花泉地域診療センターで勤務するなど、医療局と医療法人の癒着を感じさせる出来事まで起きました。ところが、この医師は十分に役に立たず、9月から医療法人の運営する老健施設シルバーヘルス一関の嘱託医師・管理者として引き取られたのであります。1カ月でやめてしまいました。シルバーヘルス一関は半月以上にわたって常勤医師不在の違法な事態に陥ったのであります。
 10月19日からシルバーヘルス一関に75歳の医師が着任しましたが、この医師は診療所の常勤医師の候補者でありました。2度にわたって医師確保の見通しが崩れていると言わなければなりません。
 さらにシルバーヘルス一関の8月末までの常勤医師の実態は、火曜日の夕方から金曜日までの勤務で、常勤医師の32時間以上の勤務に当たらない疑惑まで指摘されているのであります。医療法人は5人の医師確保どころか、これまでも医師確保ができない違法な状態であったと言わなければなりません。
 第3に、19床の入院ベッドを持つ有床診療所を運営する計画ですが、看護師はわずか4人、補助者が3人で、看護師が宿直しない日もある極めて貧困な体制であります。
 第4に、29床の小規模特養ホーム、2床のショートステイ、20人定員のデイサービスを行うとしています。ところが、社会福祉法人七星会の設立準備は全く行っていません。3月18日に行ったという設立準備会は間違いで、3月7日に打ち合わせを行っただけということでありました。提出された社会福祉法人設立総会の議事録は今後の予定ということで訂正されましたが、その中には同意もしていない人が理事として明記されていました。施設長や理事の予定者にも何の協議もありません。10万円の寄附も合意なしに明記され、拠出金として1年後には返還するということまで書かれているのであります。こうした不備どころか法令に反するでたらめなことを平気で書く医療法人に社会福祉法人を設立する資格はないと言わなければなりません。
 なお、県の長寿社会課からは、応募書類について、施設設備、人員配置、報酬単価等について少なくない助言が行われています。内定する前に突き返すべき問題であります。
 第4に、応募書類では人員配置は看護師も介護士もぎりぎりの体制で良質な医療と介護の保障もないものでありますが、給与水準は看護師で月20万円、介護士で16万円という低賃金となっている一方、医療法人の役員報酬は医業収益5億6、400万円余の8.4%に当たる4、610万円という異常さであります。
 第5に、地域住民に十分な情報が公開されず、地域住民の合意形成が不十分なことであります。花泉地域の医療と福祉を守る会など地域住民からも情報公開と慎重審議を求める要望と声が出されています。本日開催された環境福祉委員会の審査では、9月2日に開催された地域診療センター等懇談会では医療法人の応募内容が示されましたが、24人中11人が欠席し、賛成の発言をした人がわずか2人だったことが明らかになりました。地域住民には、民間移管の法人の実態、医療や介護の事業内容が示されていないのが実態です。地域住民の理解と合意が得られているとは言いがたいのが実態ではないでしょうか。
 最後に、内定に至る経過も問題です。医療法人の応募書類にはこうした不備と不正が数多くあったにもかかわらず、8月25日の応募の2日後の27日にはヒアリングを行い、31日に審査を行って内定としたことは、先に結論ありきではなかったかを疑わせるものであります。
 医療法人は、無床化が実施される前の3月6日に臨時の社員総会を開き、診療所を開設する定款の一部改正を行っています。1月下旬以来医療局と話し合いが持たれてきたことも明らかになりました。昨年12月には知事が医療法人の会長に電話をかけていたとの関係者の情報も寄せられました。こうした不明朗な経過は徹底的に明らかにされなければなりません。
 こうした問題の多い医療法人に地域医療をゆだね、59年続いた県立の医療を廃止することは、県立病院の歴史と地域医療の歴史に禍根を残すものと言わなければなりません。県医療局は内定を取り消し、県議会での議論を踏まえて、地域住民に情報を公開し、地域説明会を開催するなど慎重な検討と住民の合意形成に改めて努めるべきであります。
 以上申し上げまして、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、小野寺好君。
   〔48番小野寺好君登壇〕

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