平成21年9月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇37番(阿部富雄君) 議案第24号県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例についてお聞きします。これは、岩手県立磐井病院附属花泉地域診療センターを廃止しようとするものです。県は、花泉地域診療センターの施設を活用して、有床診療所の運営を基本とし、介護や福祉事業などの事業をあわせて行う事業に関する企画提案と事業者を募集しました。平成21年9月2日に開催した第5回地域診療センター等懇談会で、地域診療センターの空きスペースの利活用について企画提案内容を説明し、参加者から理解を得られたとして事業者の内定を行い、9月上旬に事業者に対して選考結果を通知しています。懇談会は市議会議員等26名の方々がいますが、参加者は14名、うち代理出席2名、欠席12名という状況で、代理出席を除くと半数に達しない中で行われています。当日は一関市議会が開催中であり、参加者の日程等を把握しないまま会議の開催日程を決定したことに無理があったのではないでしょうか。こうした懇談会のあり方は問題ですが、どう認識しているのかお聞きします。
 地域診療センター等懇談会は任意の協議会です。懇談会で理解を得られたとしても、多くの住民の理解を得られたのではありません。診療センター廃止でどうなるのかわからないので、今の診療センターのままでよいとする住民も少なからずいます。民間移譲を目的化し、拙速に進めてきており、だれのための医療整備かが欠けていると思われます。協議会の方向を受けて住民説明会を開催し、広く意見を求め、住民の理解を得て行われるべきものですが、どう認識するのかお聞きします。また、これからでも住民説明会を開催し、住民の不安を払拭したり、意向を聞き、対処すべきことと思いますが、どう対応されるのかお聞きします。
 企画提案募集要項についてお聞きします。事業内容では有床診療所を必ず運営することとしていますが、県が無床化したものについて募集事業者に有床を押しつけることは理解しがたいのですが、どのような認識に立つのかお聞きします。
 応募条件は、開設後最低10年間は事業を継続することとしていますが、最低10年間の事業継続はどう担保されればよいと考えるのかお聞きします。
 貸付料について、土地は無償貸し付けとしていますが、土地の評価は幾らになるのか。また、有償とした場合の金額をお示し願います。
 附帯設備を含む建物は、原則として1年目は年間約336万円、通常の貸付料の4分の1相当、2年目以降は年間約672万円、2分の1相当を上限とし、有償貸し付けします。なお、実際の貸し付けに当たっては、施設改修等の初期投資、ランニングコスト、事業運営状況等を勘案しながら貸付料を決定します。また、上記にかかわらず、両者協議の上、物価の変動、事業運営状況等により貸付料の変更を行う場合がありますとしています。県民の財産であること、他の開業医との公平性の確保を図る必要があること、事業運営状況等を勘案しながら貸付料を決定するとか、両者協議で変更もあり得るなど、予断を与えることは経営努力にも少なからず影響を与えるものと思います。原則で優遇していることから、なお、またの規定については削除すべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 応募条件では、有床診療所と介護や福祉などの事業をあわせて行う場合には、同一事業者による併設のほか複数事業者が共同で併設する計画、例えば医療施設と福祉施設が別法人なども可能としています。医療施設と福祉施設が別法人で運営する場合、有床診療所を必ず運営するとの縛りは両法人にかかると理解してよいのかお聞きします。
 また、土地、建物の貸し付けはどちらかの法人に一括して貸し付けるのか、医療施設部分と福祉施設部分に分けてそれぞれの業者に貸し付けするのかお聞きします。
 公募の結果、1法人、医療法人白光から応募があり、選考基準により選定し、内定しています。企画提案の概要は、医療関係では医療法人白光が事業者となり、有床診療所19床、診療科は内科、整形外科、医師は常勤2名、非常勤3名、看護職員は看護師2名、準看護師2名、看護補助3名としています。福祉関係では、事業者は社会福祉法人七星会を新設し、特別養護老人ホーム事業、定員29人、老人デイサービスセンター事業、定員20人、老人短期入所事業、定員2人、職員配置数は19名、非常勤含み21名としています。選考方法は、地域の医療や福祉の維持、向上が図られるものであるかなど4項目、100点で評価する選考基準により、県、一関市及び一関地区広域行政組合が共同で審査し、選考しています。選考基準は何点であれば事業者として評価するのか、白光の評点はどうであったのかお聞きします。
 企画提案で示されている有床診療所19床、標榜診療2科に伴う医師、看護職員の配置は、医療法、労働関係法令等からして十分な人員と言えるのか、各法令で規定されている配置人員はどう見込まれるのかお聞きします。同様に、福祉関係の職員はどのように配置しなければならないのかお聞きします。
 一関市内で開業している例を挙げれば、17床の診療所では、看護師12名、準看護師3名で行っており、白光の企画提案を大きく上回る体制となっています。企画提案されている体制で、従前の医療水準、サービスの維持、良質な医療と介護を提供できるとお考えなのか、できるとすれば、医療や介護の具体を示してください。
 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、老人短期入所事業を行うには介護保険で運営されますが、これら事業に要する費用はどう見込まれるのか、介護保険にはどのような影響を及ぼすのかお聞きします。
 県は、3年間費用を補てんするとしていますが、県の都合で行われる事業ですから、費用は県が継続して負担すべきものと思いますが、対応をお聞きします。
 福祉関係の特別養護老人ホーム事業、老人デイサービスセンター事業、老人短期入所事業は一関地区広域行政組合が介護保険事業計画に位置づけなければならないものです。一関地区広域行政組合では、給付などの精査が必要なことから、それが終了し、問題がなければ介護保険運営協議会に諮り、介護保険運営協議会の動向を見きわめながら、変更は早くても12月になると聞いています。一関地区広域行政組合の介護保険事業計画が定まらない中で花泉診療センターを廃止することは拙速と言わざるを得ません。一関地区広域行政組合、介護保険運営協議会に介護保険事業計画変更を強要する事態は避けて、両機関が結論を出すのを待って対応すべきものと思います。どう対応するのかお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、花泉の地域診療センター等懇談会のあり方についてでありますが、医療局において、6月5日に開催した第3回懇談会において公募から事業開始までの大まかなスケジュールをお示しし、また、7月29日の第4回懇談会の時点で、次回の開催については、公募締め切り後の9月2日に開催することであらかじめ御了承をいただいており、公募を行う方針や具体的な公募条件、選考の方法など、各段階において御意見を聞きながら進めてきたものであると承知しております。
 次に、住民の方々からの御理解についてでありますが、医療局主催の地域懇談会を今年度で都合4回開催し、一関市とも節目節目で話し合いを進めて事業者の公募を行ったと聞いております。地域懇談会では、医療ベッドを確保する方向で公募を行うことについて、大方の賛同を得られたことから公募に踏み切ったものと承知しております。今後の進め方については、医療局と一関市の間でよく話し合って進めてもらいたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇医療局長(田村均次君) 民間事業者による有床診療所の運営についてでありますけれども、花泉地域診療センター等に係る懇談会におきましては、施設の利活用について、県の無床診療所と福祉施設との併設というパターン、民間の病院または有床診療所の開設というパターン、民間の病院または有床診療所もしくは無床診療所と福祉施設との併設というパターン、それから福祉施設を全部使うというパターン、この四つのパターンをお示しいたしまして議論していただいたところでございます。地域の方々からは、医療のベッドを残してほしいという御意見を多数いただいたことから、それらの意見を踏まえまして、有床診療所を必ず運営することを条件とする公募を実施したものでございます。
 応募条件についてでありますが、地域診療センター等懇談会におきましては、地域の方々や一関市にも私が直接行って相談いたしましたけれども、最低10年は事業を継続してほしいといった声があったところでございます。このため、募集要項では10年間の事業継続を条件としたところであり、この条件をきちっと守っていただくように、医療局としても施設の貸付料の減額などに取り組んでいく考えであります。また、施設の貸し主という立場でございますので、最終決定に当たっては10年間の事業継続を貸付条件に明示するなど、一関市とも連携し、事業が継続されるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、土地を有償とした場合の金額についてでありますが、土地の評価につきましては、固定資産台帳の帳簿価格では699万円となるものでございます。募集要項では土地は無償貸し付けというふうに表示しておったわけでございますけれども、使用料算定の考え方につきましては、土地の使用料、建物使用料という区分はしませんで、建物の占有面積等に応じて貸付額を算定しているものでございます。なお、今般のケースにつきましては、先例がございました釜石市の旧釜石市民病院の貸付方法も参考にさせていただいたところでございます。
 次に、貸付料の優遇措置についてでございますが、地域の方々には、何とか事業を継続していくということが今回の一連の考え方の基本であるというお話をしております。これを考えた場合には、減免額についてより踏み込んだ支援が必要になる場合もあるのではないかというようなことが一つございます。一方では、物価変動等事業運営の状況によって貸付料の変更を行うことも想定されるというようなことで、そういう規定を設けたものでございます。
 それから、有床診療所の運営についてでありますけれども、施設の活用に当たりましては、有床診療所と特別養護老人ホームなどの介護保険施設を併設することも可能として公募したものでございますけれども、この場合、医療法人は特別養護老人ホームの運営ができないことから、社会福祉法人との共同での運営、あるいは医療法人が新たに社会福祉法人を設立して運営することも認めることとしたものでございます。法人格が異なる場合であっても、事業を継続していくためには、両法人が一体となって責任を持って施設を運営していくことが重要でありますので、県としてもそのような考え方で指導したいと考えております。
 次に、複数事業者が併設する場合の貸し付けの方法についてでありますが、それぞれの法人に貸し付けるという場合と、どちらか一方を代表者として一括して貸し付ける、いろんな方法が考えられると思いますので、具体の契約手続において相手方とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、事業者の選考についてでありますが、選考基準につきましては、あらかじめ募集要項において四つの視点で選考基準を定めております。合計100点になるということで配点を示しております。それの基準に基づきまして、県、一関市、それから一関広域行政組合が共同で書類審査とヒアリングを行ったところでございます。事業者の内定に当たっては、3者で付した評価点に加え、地域の医療や福祉の維持、向上を図ることができる事業者であるか等について総合的に審査し、内定を行ったものでございます。何点以上であれば評価するというような基準は設けているものではございません。なお、評価点につきましては、情報公開条例に基づいて定めている競争入札及び随意契約の情報の公表に係る要綱に準拠して申し上げますと、3者の平均で66.7点となってございます。
 それから、医師、看護職員の配置についてでありますが、医療法では、一般病床の有床診療所の医師や看護師については人数の基準は定められておりません。ただし、医療法では有床診療所の管理者は医師でなければならないと規定されており、さらに夜間等の診療体制について、入院患者の病状が急変した場合においては、適切な治療を提供することができるよう、医師が速やかに診療を行う体制を確保するよう努めるとともに、他の医療機関との連携を確保しておくこととされております。
 今回の企画提案では、医師については診療所に近接した場所に居住するということになってございます。さらに、ヒアリングの中では、看護要員の宿日直も予定していると確認しておりますけれども、労働基準法の宿日直の許可基準は、宿直につきましては週1回、日直につきましては月1回が限度とされております。法令の基準は満たしているものと考えております。
 それから、福祉施設の職員配置についてでありますけれども、小規模特別養護老人ホーム29人、ショートステイ2名、デイサービス20名の事業を一体的に行う場合、人員配置基準上、施設長が1名、生活相談員2名、看護職員3名、介護職員11名、機能訓練指導員1名、介護支援専門員1名、栄養士1名の20名に非常勤の医師1名が基準というふうに認識しております。
 それから、良質な医療と介護の提供ということについてでありますが、事業者の事業計画書では、医療につきましては、一般外来患者の診療を、内科は月曜日から土曜日の午前9時から午後5時まで、整形外科は火曜日から土曜日までの午前9時から午後5時まで行うほか、在宅医療も行うこととしてございます。介護につきましては、定員29名の特別養護老人ホーム事業を運営するほか、定員20名のデイサービスセンター事業及び定員2名の老人の短期入所事業を行うこととしてございます。
 また、年6回の評議委員会の開催や年1回の地元区長あるいは福祉関係の有識者との会合を設けるなど、地域の要望を事業運営に反映させる計画となってございます。
 それから、一関地区広域行政組合の対応の関係でございますけれども、地域診療センターの施設が福祉施設として活用される場合には、介護保険事業計画の変更を伴うことから、6月18日に一関地区広域行政組合を訪問いたしまして、公募の条件や進め方について説明するとともに、事業者の決定に当たっての協力や介護保険事業計画の見直しについて依頼を行ったところでございます。
 その後、事業者の公募や選考に当たっては、一関地区広域行政組合にも選考メンバーとして、ともにヒアリングや事業内容の確認、評価を行っていただくなど、御相談をしながら進めてきたところでございます。
 今後も、事業開始まで一関地区広域行政組合と十分連携を図りながら対応していきたいと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 介護保険事業への影響についてでありますが、議員お尋ねの介護保険で給付する費用につきましては、県内の平均的な状況と一関地区広域行政組合の第4期介護保険事業計画を参考に試算いたしますと、29人定員の特別養護老人ホームで年間約9、000万円、20人定員のデイサービス事業で年間約1、150万円、2人定員のショートステイ事業で年間約560万円、合計約1億700万円と見込んでいるところでございます。
 この3事業につきまして、保険者負担額─実質的には市町村負担額だと思いますが─につきましては、総額の12.5%の約1、350万円、第1号被保険者の介護保険料相当分が同じく20%の約2、150万円、合計約3、500万円となるものでございますが、このうち特別養護老人ホーム入所待機者の解消につながる介護サービスの提供ができる特別養護老人ホーム事業とショートステイ事業の2事業の合計額約3、100万円につきましては、保険者と被保険者に新たな負担が生じないよう、今年度創設いたしました県立病院等空き病床利用型介護保険事業特例交付金による支援が可能であり、また、デイサービス事業につきましては、第4期計画に計上しておりますサービス料の増加分の中で吸収できることと見込んでおりますことから、したがいまして、第4期計画期間中の介護保険料には実質的な影響が生じないものと考えているところでございます。
 また、この交付金は、特別養護老人ホームの待機者の解消が喫緊の課題とされる中、県立病院等の空き病床を活用した介護保険施設の整備を促進しようとするものでございますが、第4期計画は、既に昨年度末に策定済みであることから、市町村等の財政に支障を来さないよう支援を行うこととしたものであり、交付金の対象となります介護サービス量は、第5期計画におきましては当初からその積算に含まれますことから、したがいまして、この取り扱いは第4期計画期間限りとなるものと考えているところでございます。
 しかしながら、多数の入所待機者がおられましても、第4期計画におきまして、特別養護老人ホーム整備に係る定員増がゼロあるいは極めて少数の圏域もございますことから、整備に慎重となっております市町村等に今後どのように働きかけていくべきか、考えていく必要があるものと考えているところでございます。
〇37番(阿部富雄君) これからの住民対応については、知事は、医療局と一関市でよく話し合って進めてもらいたいということですが、医療局長はどういうふうに対応していこうという考えなのか、お尋ねします。
 それから、白光の医師確保の状況を見ますと二転三転しているように見受けられるわけであります。この提案で果たして運営できるのかなと私自身は危惧して見ているわけであります。
 そこでお聞きしますけれども、10年間の継続の縛りについては、条件の中でということですから、恐らく契約の中でということになるだろうと思いますが、先ほど、事業の主体は、その両者が協力してやってもらうんだという言い方をしていますけれども、法的には、法人ですから別人格ですよね。すると、どこが一体その責任を持つかということが明確にならない、この辺についてはどのようにお考えなのか。
 それから、仮に、医師等の都合で病床が廃止される、あるいは有床診療所が廃止となった場合に、どこにその契約の履行を求めていくのか、それから、廃止された場合、県は住民にどのように対応されるとお考えなのか、お尋ねします。
 それから、白光の応募書類を見ますと、診療所開設に伴い定款の一部を変更する承認の件の議事録に年月日が入っていないとか、社会福祉法人七星会設立総会の議事録にも日付が入っていないという、まさに議事録の用をなしていないというよりは、虚偽の書類ではないかと疑われても仕方のないようなものがあるわけであります。こうした議事録を了としたこの意図は何ですか、お尋ねして、終わります。
〇医療局長(田村均次君) まず、住民対応の関係でございますけれども、一関の市長もかわったことでございますので、私どもとしても、新市長にきちっとあいさつをして、この事業の進め方を打ち合わせしなければならないと考えておりますので、そういうことをしながら、打ち合わせをして対応を考えていきたいと思っております。
 それから、医師確保については、我々も大変苦慮してやっているわけでありますので、そういった面で、今度対応する法人もいろいろとあの手この手を尽くして探していると承知しております。
 一定の数についてはめどが立っているということで、内科の常勤医師が1名、それから外科系が1名、それから非常勤の医師が、内科系が3名と、そのほかにも内科系が2名現在交渉中だと承知しております。そういうことを踏まえて認めてきたものでございますけれども、事業開始予定は1月を予定してございますので、私どもとすれば、そういうことの確認作業はこれで終わりではございませんので、オープンに向けて、引き続きそういうものはきちっと確認をしていきたいと考えております。
 それから、法人が別ではないかというお話でございますが、いずれ医療系の事業は医療系の法人が運営していただくわけですし、福祉系のほうは福祉系の法人を設立して運営していただくわけですが、そういったことを、いずれ両者に対してきちっとそれぞれの事業がしっかり運営されるように指導していきたいと考えております。
 それから、廃止になった場合の対応ということでございますけれども、我々は、いずれしっかり10年やっていただくということで考えておりますので、そういう方向で引き続き、場合によってはさまざまな支援をしながら、継続していただくような形で支援を続けていきたいと思っております。
 それから、年月日が入っていない云々というのもございましたけれども、その辺は、きちっと指導させていただきたいと思っております。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、斉藤信君。

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