平成21年9月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇4番(工藤勝博君) 政和・社民クラブの工藤勝博でございます。
 このたび、3度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員各位に衷心より感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い、分割・一問一答方式で質問させていただきます。
 最初に、県政運営と知事の政治活動について一括して質問いたします。一つ目に、政権交代に伴う岩手県政への影響についてであります。
 達増知事の願いがかない、8月30日、日本の政権が交代いたしました。知事は、政権がかわれば日本全体がよくなり、岩手もよいほうに変わると言っております。国民、県民の期待と不安がある新政権のもとで、知事として唯一、民主党籍を持つ達増知事の言動が注視されているところであります。
 そこでお伺いいたします。まず、知事就任以来2年半、県政と国政のねじれの中で、どのような思いで県政を担ってこられたのか、お聞かせください。
 次に、鳩山政権による政権交代が岩手県政にどのような変化をもたらすと認識されているのか、また、知事は、新政権に対しどのように向き合っていくのか、お考えをお伺いいたします。
 二つ目に、国、市町村要望のあり方についてお伺いいたします。
 知事は、国に対しての統一要望について言及されています。わざわざ東京に出向いて要望しなくても岩手の声は届くと。さらに、県内の各市町村要望についても仕組みを改めるとのことですが、どのような考えに基づき要望のあり方を改めるのか、その基本的な考えをお伺いいたします。
 また、今後の市町村の要望はどのように県政に反映させていくお考えなのか、お伺いいたします。
 三つ目に、知事のトップセールスの成果と今後の方策についてお伺いいたします。
 知事のトップセールスは、岩手県の顔として、また最高責任者として、県外はもとより海外でも大きな力を発揮するものと思います。企業誘致はもとより、昨年秋からの経済不況を受け、工場の撤退防止や雇用の場の確保に向けて精力的にトップセールスを行っていらっしゃることは、大変心強く思います。
 そこでお伺いいたします。これまでのトップセールスの実績と成果について、知事御自身がどのように評価をされておるのか、また、今後のトップセールスについて、どのようなお考えのもとに取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 四つ目に、岩手県の国際交流についてお伺いいたします。
 県産品の海外への販路開拓を目的とした知事のトップセールスなどもあって、中国大連、香港、マレーシア、シンガポールなどとの物を通じた交流が盛んになっていると認識しておりますが、私は、まずは人的な交流も重要ではないかと考えております。諸外国との人的交流について、知事はどのように考え、今後どのように取り組まれていくお考えなのか、お伺いいたします。
 五つ目に、知事の政治活動についてお伺いいたします。
 達増知事は、これまでも、御自身の政治活動は個人の自由とのお考えに立ち行動されていらっしゃいますが、知事の在任中は表立った政治活動は控えたほうがよいのではという意見がございます。私も、多くの岩手県民は、絶大な権限を持つ知事としての行動には中立を求めていると思っておりますが、御自身の政治活動について改めてお考えをお伺いします。
   〔4番工藤勝博君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政権交代に伴う県政への影響についてでありますが、まず、これまでの2年半の県政や国政の状況ということでありますが、議会の勢力については、有権者である県民、国民の民意の結果であり、それを前提として県政に取り組んでまいりました。私は、県政や国政の状況にかかわらず、地域で暮らす人々の豊かな生活を実現していくことが課題であり、行政の執行は、公正中立、不偏不党との考えに基づいて、希望ある岩手を実現していくため県民本位の県政を推進してきたところであります。
 国の新政権のもとでは、これまでの官僚依存の政治から、国民の声に耳を傾けて、民意が国のあり方を決めていく、いわゆる政治家主導の政治への転換が図られ、新政権みずから、地方を初めとした民意をしっかり把握し、それを十分踏まえた政策が展開されることによって、岩手県民も安心して暮らせる社会の実現が期待されるところであります。
 また、新政権との間では、国と地方の役割分担のあり方などについて、双方がパートナーとして十分に議論をして、合意形成を図り、住民の生活を守り福祉を向上させる政策を協調して進めるという関係を構築してまいりたいと考えております。
 次に、国及び市町村要望のあり方についてでありますが、今のお答えの中で申し上げましたとおり、新政権は、いわゆる政治家主導の政治へと転換していく中で、地方の声を初め、民意を新政権みずからしっかりと把握していくものと考えておりますが、さらに、地域に根差した個別、具体の実情を把握したい、そういう姿勢に対しては、積極的に協力していきたいと考えております。これまでの上下、主従関係を前提としたような、国に対するいわゆる陳情型の要望については、見直したいと考えているところであります。
 市町村要望については、現在は、県が調整して、市町村から一律に要望を受けるという形になっておりますが、県と市町村は、そもそも対等な関係であり、平成22年度からは広域振興局体制に移行することでありますことも踏まえ、今後は、広域振興局長が、市町村からの要望に随時対応する体制を軸として見直す方向で検討しております。
 また、市町村からの要望内容については、県政の推進に当たって十分留意するとともに、特に県の予算にかかわるものについては、優先順位を判断する際の参考とさせていただくなど、可能な限り県政運営に反映させるよう努力してまいります。
 次に、知事のトップセールスについてでありますが、トップセールスというものは、効果的で意義のあることと認識しております。就任以来、安全・安心な農林水産物や、また、特色ある県産品の魅力を強くアピールしてまいりました。また、観光や企業の誘致など、機会あるごとにトップセールスを積極的に行ってまいりました。
 こうした結果、昨年は、東芝の新工場の立地が決定を見たほか、いわて・平泉観光キャンペーンとあわせ、地震による風評被害の払拭に努めてきたところであります。
 また、先月は、中国上海市において南部鉄瓶のトップセールスを行い、中国への販路拡大についても好感触を得たところであります。
 こうした一連の取り組みによりまして、企業誘致や県産品の販路拡大はもとより、国内外において岩手県の知名度の向上とイメージアップが図られるなど、一定の成果があったものと考えております。
 今後とも、引き続き、積極的にトップセールスを行い、本県の魅力を国内外に向けて積極的に発信してまいりたいと思います。
 次に、本県の国際交流についてであります。
 グローバル化が急速に進む中で、これまで以上に、世界の中の岩手という観点を強く意識して、岩手の特性を生かした交流を通じて、世界と共存しつつ発展を図っていく必要があると考えております。そうした中で、人的資源というものは、あらゆる交流の基礎となると認識しております。
 このため、例えば中国大連市との間で職員の相互派遣を実施しております。また、外国人留学生を本県と海外とを結ぶ貴重な人材として位置づけ、県内企業への就職支援や奨学金の支給など留学生への支援も行っております。
 今後は、関係機関と十分連携をしながら、海外からの研修員や外国人留学生等が、いわてファンとなって、帰国先でのネットワーク形成が図られるように努めるとともに、海外県人会や、また海外に進出している民間企業なども含めた多様な主体による交流を、経済はもとより、文化、学術など、さまざまな分野で推進してまいりたいと考えております。
 次に、私の政治活動についてでありますが、政治活動は、知事の権限とは関係なく行われることでありまして、そこは個人として自由に行われるべきものと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 大変ありがとうございます。知事の政治活動についてですけれども、しつこいようですが、135万県民の長として、知事は、県民一人一人と向き合って県政を運営していかなければならないと思うんですけれども、そのことを考えてみますと、やはり公正中立というさっきの言葉がありましたが、公平無私といいますか、自分の心をなくしてということで決するべきだろうと私は思うんですが、再度いかがでしょうか。
 それと、あわせて、先般の地元市長選がありましたけれども、その中で知事の政務秘書が、政治活動的な、選挙活動的なことをなされておりましたが、その辺の対応について知事はどのようなお考えを持っておりますか、再度お聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 議員の政治観、またリーダーシップのあり方についての御意見は、参考として伺わせていただきたいと思います。
 また、政務職、政務秘書官、特別職の公務員の政治活動については、諸般の法令に違反しない形で行われることは自由であり、最近も、大阪府知事が、堺市長選挙で活発な選挙応援活動を行ったということも報道されておりますけれども、そうした特別職の公務員、特に政治的に選ばれ、また活動するべき立場の公務員については、長野県における政務秘書の活動をめぐる裁判の中で、むしろ法令が期待している政治家的活動を行うことが公益に資するものであるというのが法制度の趣旨であるという判例もございますので、そうしたことが参考になるのではないかと思います。
〇4番(工藤勝博君) それでは、次に進ませてもらいます。
 次の県立病院・地域診療センターの経営改善と地域医療についてお伺いいたします。
 まず、地域住民の声の把握についてでありますけれども、県立病院の5地域診療センターの病床休止に伴って、地域住民の声を聞きながら対策を講じる取り組みを行ってこられたと思いますが、6月定例会以降、その後の取り組み状況と今後の対応についてお伺いいたします。
〇医療局長(田村均次君) 地域住民の声の把握についてでありますが、まず、地域診療センターの施設活用につきましては、花泉地域において、懇談会を6月定例会以降では2回、ことしの1月からは5回開催いたしまして、ベッドを残してほしいという住民の声を受けて、事業の公募を行い、先般、事業者の内定に至ったところであります。
 次に、交通アクセスの確保についてでございますが、もっと利用しやすいようにしてほしいという御意見をいただきましたことから、交通手段に路線バスを加えますとともに、利用先についても実態に即して拡大することとしたほか、夜間、休日の問い合わせへの電話対応についてでございますけれども、これまでの利用状況を踏まえまして、地域と相談して、基幹病院等に転送するなどの見直しをすることとしております。
 今後とも、こうした地元市町村や地域住民の声を聞きながら、柔軟に対応したいと考えております。
 また、去る7月には市町村連絡協議会を開催したところであり、この協議会をも活用して、市町村と話し合いながら、十分連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) それぞれの地域では、まだ、やっぱり病床をなくしては困るという声が大分あるようです。その辺も十分踏まえて今後の対応を進めていただきたいと思います。
 次に、医療局の改革についてお伺いいたします。
 公立病院改革ガイドラインには、病院経営の効率化が求められておりますけれども、医療局自体の改革はどのような形で進めていくお考えなのか、2点お伺いいたします。
 まず、新しい経営計画に対する意見でありますけれども、県立病院経営委員会においては、医療局が策定した新計画、2009年から2013年の収支計画について、実現の可能性を疑問視するという声があります。また、今までの経緯から見て、平成23年度の黒字への転換は信じられないという意見もありますが、どのようにとらえておりますか、お聞かせください。
 2点目として、医療局の経営体制についてお伺いします。
 医療局の経営体制についても、現実を直視した意見があります。五十数年の歴史ある医療局であっても、今は県の職員が病院を経営できるような時代ではないというものです。経営責任の明確化、経営体制のあり方など早急に検討すべきと思いますが、医療局としてのお考えをお示しください。
〇医療局長(田村均次君) まず、1点目の新しい経営計画の見通しについてでございますけれども、4月から新しい経営計画に係るさまざまな取り組みを行っているところでございます。これまでの状況を見ますと、収益面では、平成20年度と比較してみますと、患者数は残念ながら減少しておりますが、7対1看護体制による入院基本料の増、DPC、診断群分類包括評価の導入、外来化学療法の増などによりまして、医師の減により厳しい病院はありますものの、全体としては、入院、外来収益とも下げどまりの兆しが見えていると考えております。
 それから、費用面につきましては、当初から計画に盛り込んでおりました特殊勤務手当の見直し、業務改善等による給与費の適正化、後発医薬品の使用拡大、材料費の削減などにより、一定程度の抑制が図られるものと見込んでおります。
 依然として厳しい経営状況にはございますけれども、職員が一丸となって計画の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、2点目の医療局の経営体制についてでありますけれども、今年度、保健福祉部では、外部有識者から成る懇談会を設置し、専門的な見地から議論をしていただくこととしております。医療局としましても、この懇談会におきまして県立病院事業の現状や課題をお示しし、経営体制のあり方について、議員御指摘の点も含めまして幅広く御議論をしていただきたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) それでは、次に、地域医療に関する懇談会等の意見について御質問いたします。
 私も3回参加させていただきました。地域医療に関する懇談会では、医師や看護師など現場の第一線で地域医療に取り組む方や地域住民から、多くの貴重な意見が出されておりました。これらの貴重な意見を地域の声としてどのように受けとめ、県立病院あるいは地域診療センターの運営に生かしていくのか、再度、医療局の考えをお聞きしたいと思います。
〇医療局長(田村均次君) 地域医療に関する懇談会での意見についてでありますけれども、意見交換の中では、地域住民、それから市町村、関係団体等の方々から、医療、介護、福祉の連携がさらに必要ではないか、医療機関の役割分担や開業医との連携を進めるべきである、さらには、市町村の広報手段をもっと活用してほしい、あるいは医師の勤務負担軽減のため、適正受診の普及啓発を行いたいというような、さまざまな御提案をいただいたところでございます。
 こうした御意見、御提言を踏まえまして、市町村を初め、医療、福祉関係者や地域の方々と一体となって、地域医療がしっかり確保されるよう、県立病院としましても積極的に役割を果たしていきたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 私もその意見の中で特に感じたことがありましたけれども、PTAの役員の皆さん、そして若いお母さん方の声としては、実際、小児科のそういう、よくコンビニ受診ということがあるんですが、情報が伝わっていない。個々ではもう、夜でも日曜でも行きたいという思いがあってやるんですけれども、そういう病院の大変な姿が伝わっていないということが、大変貴重な意見として出されておりました。そういうことも含めて、情報の量をもっともっとふやすべきだろうと思っていましたので、その辺もあわせてお願いしたいと思います。
 次に、持続可能な地域医療についてということでお伺いいたします。
 県立病院の所在する地域の中で、遠野市の医師確保対策は、まさに地域医療を守り育てるすばらしい取り組みと思います。市でできるのは医師の生活面での支援。病院の話は院長にお任せし、医師がやめないような環境をつくることが重要だと遠野市長がお話しされております。
 県立病院だから病院のことはすべて県に任せるというのではなく、地域の医療機関は地域全体で守るという姿勢は高く評価されるべきと思いますし、私は、ここに県立病院の改革に必要な大きなポイントがあるものと思います。
 医療局のお役所的な体質の運営から脱却し、真の意味での経営を目指すことが必要であり、現場に即した運営に努め、時代の流れを的確に読み、変化に素早く対応できる経営体質にすべきと思います。
 このことから、私は、持続可能な地域医療を確立するためにも、市町村にも積極的にかかわりを求めるとともに、県立病院に限らず、公立や民間医療機関であっても、地域の中核となる病院を中心に、地域住民を含めた地域医療のネットワークづくりを推進すべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 持続可能な地域医療についてでございますが、現在、県内の各保健医療圏域ごとに開催しております地域医療に関する懇談会では、地域医療を支えるために地域住民、関係団体、市町村、県の各主体が、自主的に、あるいは連携して取り組むべき内容について議論が交わされているところでございます。
 このような中で、例えばでございますが、山田町の、町民の方とタイアップして県立病院を支援するための活動や、釜石市における県立病院の診療応援を行う医師に対する支援など、市町村が県立病院の支援に積極的にかかわる具体的な取り組みが既に動き出し始めておりまして、県といたしましては、このような先導的な取り組みを、他の市町村におきましてもそれぞれ独自の形で主体的に実施していただくことを強く期待しておるところでございます。
 また、地域医療を支えるネットワークづくりにつきましては、かかりつけ医と病院との病診連携や、1人の患者につきまして、その急性期、回復期、維持期をそれぞれ医療機関が分担して治療を担う地域連携クリティカルパスの導入など、公立病院、民間医療機関等によるさまざまな連携システムの構築が進められているところでございます。
 しかしながら、現在の厳しい医療状況のもとで、これらのシステムが今後有効に機能するためには、そのシステムについて地域住民の方に広く情報を提供し、地域住民の方々が、当該システムを理解していただきまして、適切な受診行動などにより支えていただくことが極めて重要であると考えております。
 今後、さまざまな医療連携システムの構築に向けた取り組みと地域住民の方々の適切な受診行動の二つが連動しつつ展開していくように、県としても推進していきたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) やはり当該地域に積極的に足を運んで、情報を提供しながらネットワークをつくる必要があるだろうと思います。今まで以上のそういう取り組みを御期待申し上げたいと思います。
 次の質問に移ります。1次産業の振興について、まず、知事の農業に対する哲学についてであります。
 私は、農業は自然と人間のわざで命をつくり出す、この世になくてはならない崇高ななりわいだと肝に銘じて励んでおります。また、先人が築いた土台の上に立ち、未来永劫、農耕民族の誇りを持ち続けたいと念じております。
 達増知事におかれましては、食料供給基地岩手を目指し、農業の現場にも足を運ばれていらっしゃるわけですが、そこからお感じになる農業観、農業哲学について、どのようなお考えをお持ちなのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 農業は、自然と共生しながら、人間の生存に欠かすことのできない食料を生産する営みであり、長い歴史の中で地域に適した生産活動が受け継がれ、発展してきました。
 また、農村という生活と生産の場を通じて、多彩な文化や人間性がはぐくまれ、豊かな地域社会が築かれてきました。
 こうした農業、そして農村の持つ多面的で根源的な価値は、これは、林業や水産業にもつながるものでありますが、昨今の社会経済情勢の中で改めて見直されています。
 一方、産業として見ると、本県農業は、経済波及効果が大きく、すそ野が広い産業であり、内需拡大型経済の振興基盤として大きな役割を担うことができるものと期待しています。
 本県農業はさまざまな課題を抱えておりますが、すべての関係者の努力によって、本県農業が地域経済を支える希望となる産業として発展するとともに、自然と調和し、生き生きとした農村社会が形成されていくことを強く願っています。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。
 今月の19日には、北海道・北東北の知事サミットがあるわけですけれども、その主要テーマである農林水産業の大いなる可能性、そして未来像ということでありますが、まさに食料自給率上位4道県です。また、日本の食料供給基地を自他ともに認める4道県でありますけれども、ホスト県である知事のリーダーシップのもとに、この大変な農林水産業の苦境を活性化あるものに、実りのあるものにしていただきたいなと思います。サミットに向けて知事の御所見がもしあれば、お聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 去年、青森県八甲田で行われた北海道・北東北知事サミットはエネルギーがテーマでありました。去年は洞爺湖サミットもありまして、環境とエネルギーというのが世界、日本、また北海道・北東北においても大変重要なテーマだったわけであります。そこで、ことしのこの岩手における北海道・北東北知事サミットのテーマを何にすればいいかということを、これは北東北連携、北海道も含めた連携の今までの歴史、経緯も踏まえながら、県として検討した結果、やはり今、農業であろうと。これは特に去年の秋、サブプライムローン問題に端を発する世界的な経済、雇用の危機が発生している中で、市場原理主義に偏った経済社会からの脱却をこの岩手から、全国はもとより世界に発信していくためにも農業というテーマがふさわしいということでやってまいりますので、ぜひ頑張っていきたいと思います。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。次に進みます。
 政権交代による農業政策の転換についてお伺いいたします。
 自由民主党政権下で長らく続いた我が国の農業政策ですが、このたびの政権交代によりどのような政策転換が図られるとお考えなのかお伺いいたします。また、このたびの政権交代により、県の農業政策に大きな方向転換があるのでしょうか。あるとすれば、どのような方向に向かうのか、継続すべき点、改革を進める点に分けてお示し願います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 政権交代による農業政策の転換についてでございますが、今後創設することとされております農業者戸別所得補償制度は、これまでの市場販売価格などを重視した政策から生産コストを加味した政策への転換であり、厳しい経営環境のもとでも農業者の経営安定の確保が図られることを目指しているものと承知しております。県としましては、これまで、地域の合意形成を基本としながら、担い手への農地の利用集積などによる経営規模の拡大や、小規模、兼業農家の集落営農への参画の促進など、生産性の高い農業経営の確立に取り組んできたところであり、新しい制度のもとにおいても、このような取り組みが生かされるよう支援してまいりたいと考えております。
 また、新たな制度が導入されることにより、これまで品目別に実施されてきた経営安定対策や生産振興対策などが整理、統合され、農業者にとってわかりやすい制度となることを期待しているところであり、こうした国の政策転換が行われた場合にあっては、新たな制度の周知に努めるとともに、農業者の経営努力が報われ、将来展望を持って農業に取り組むことができるよう支援してまいります。
〇4番(工藤勝博君) 現場で取り組んでいる農家の皆さんが混乱を起こさないような、そういう速やかな、適切な取り組みもお願いしたいと思います。
 次に、急激に経営が悪化しております酪農経営についてお伺いいたします。
 本県の農業産出額の過半を占める畜産経営は、昨年来のコスト上昇により大変厳しい状況を強いられております。例えば搾乳牛1頭当たりの推定所得額を見ますと、平成20年度の乳価改定後のプラス影響を加味しても、平成18年度の所得額の16万5、420円に比べ、県の試算値で平成20年度の所得額は3万6、960円と実に22.3%まで減ったことになります。77.7%もの減少率です。この数値を見てもわかるように、経営の維持すら困難であると多くの経営者が訴えております。多額の資本投下をしており、急激に経営が悪化している酪農経営に対し、県はどのような支援策を講じてきたのか、また、今後どのような支援策を講じていくのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 酪農経営への支援策についてでございますが、酪農経営が厳しさを増す中で、昨年度は、県では飼料価格高騰の影響を最小限に抑えるため、国の交付金事業の支給要件を本県の実情に即して緩和する等の措置を講じたほか、経営安定に向けて、県や市町村、農協などで組織する酪農支援チームが中心となって、飼料用トウモロコシの作付拡大による飼料自給率の向上、飼養管理技術の改善による生産性向上や、市場価格の高い和牛受精卵の移植による収益性の向上などにも取り組んだところであります。本年度からは、こうした経営安定対策に加え、国が新たに創設した飼料自給率向上に必要な機械のリース事業の活用などにより自給飼料のさらなる増産を支援するとともに、農場段階でのHACCP方式の導入による安全・安心な生乳生産を促進するなど酪農経営の収益性向上に努めているほか、さまざまな普及啓発活動を通じて牛乳の消費拡大に取り組んでおります。酪農経営は依然として厳しい状況が続いていることから、今後とも生産現場の実情を定期的に把握し、安定した酪農経営が継続できるよう施策の充実強化を図るとともに、国に必要な政策提案を行ってまいります。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。
 次に、林業の活性化と雇用確保についてお伺いいたします。
 広大な森林面積と、そして豊富な森林資源を有する本県の林業を活性化するために、林業の現場で活躍する林業労働力の確保を図ることが重要と考えますが、林業労働力の現状はどのようになっているのか、また、労働力の確保に向けた対策はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 林業労働力の現状についてでございますが、本県の林業従事者は、木材生産分野では増加しているものの、造林分野では高齢化などにより大幅に減少を続け、平成19年度は5年前に比べ2割減の約1、900人となっております。一方、新規就業者はここ5年間で約400人となっておりますが、就労環境の改善が他産業に比べておくれていること、技術の習得に時間を要することなどが林業従事者確保の課題となっております。このため、平成3年に県が設立した岩手県林業労働対策基金を通じ、就業説明会の開催や就業準備資金の貸し付けなどの新規参入対策、社会保険の加入や高性能林業機械の導入など就労条件の改善に取り組んできたほか、平成15年度からは、国の緑の雇用制度を活用し、新規就業者の技術習得を促進してきたところであり、今後とも市町村や関係団体と一体となって林業労働力の確保に努めてまいります。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。
 次に、農業研究センターの機能の充実についてお伺いいたします。
 農業センターでは、これまでもさまざまなテーマの研究に取り組み、多くの成果を上げてきたと認識しておりますが、時代の流れとともに農業もさまざまな面で変化をしております。これに伴って農業研究センターでの研究に対する要望や求められる成果も変化してきていると思いますが、今後、変化する要望や求められる成果に対応するため、農業研究センターの機能充実をどのように図っていくのかお伺いいたします。また、研究成果をどのように農家に普及して農家の収入増に寄与していくお考えなのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 農業研究センターの機能充実についてでありますが、農業研究センターでは、生産現場に密着した研究開発の要請に的確にこたえるため、普及センターを通じて農業者や関係団体などの要望をお聞きしながら課題を設定し、研究開発に取り組んでいるところであります。特にも平成20年度からは、生産現場の重点課題に迅速に取り組むため、病害虫防除や施肥管理、機械利用などの分野の研究員によるプロジェクト推進室を設置するなど、研究開発機能の充実強化に取り組んでいるところであります。今後におきましても、限られた研究資源を最大限活用し、生物工学研究センターや東北農業研究センターなどの研究機関、県内の大学、企業、さらには北東北各県などの研究機関との連携を強化し、共同研究の実施や、これに必要な外部研究資金の積極的な導入により、研究の充実を図ってまいる考えであります。
 また、研究成果の農家への普及につきましては、プロジェクト推進室の現地試験圃場を活用し、技術開発途中から農家の意見を反映するとともに、普及センターと密接に連携して成果をわかりやすく生産現場に還元するなど、所得向上に向けた技術の早期普及に努めてまいります。
〇4番(工藤勝博君) 私も仕事柄、研究センターには大変お世話になってきております。新技術、新品種の情報あるいは経営指導等、まさに農家にとってはよりどころの研究センターであります。しかし、ここ数年、多分、予算の減少とか職員の減少とかということもあって、その施設が十二分に活用されていないのではないかと大変危惧されます。せっかくの充実した研究センターを、もっともっと活用の頻度、度合いを高めてもらって、何とか農業が元気になるような形にしていただきたいと思います。
 ちなみに、山形県では4年間で農業予算を1.5倍にして産出額を復活させるという工程も組んでおりますので、それに見合うような形で岩手県の農業政策も取り組んでもらいたいと思います。
 次に、雇用と経済対策についてお伺いいたします。
 まず、岩手の経済状況と今後の総合的な経済対策についてであります。国内の経済の動向には、底を入れた、回復の兆しが見えるといった見方も一部にはあるようですが、岩手県内では経済の回復を実感するにはほど遠い状態と思います。
 そこで、県では現在の県内の経済状態をどのように分析し、認識しているのか。また、県内経済の回復に向けてどのような総合的経済対策を講じていくお考えなのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県の経済状況と今後の総合的な経済対策についてでありますが、本県経済は、鉱工業生産指数が4カ月連続で前月水準を上回る一方で、新規住宅着工戸数が7カ月連続で前年水準を下回り、さきに公表された8月の有効求人倍率も0.32倍と依然として低い水準となっています。一部に変化の兆しは見られますものの、引き続き厳しい状況が続いていると認識しております。こうした経済状況にかんがみて、これまでの緊急雇用対策本部を改組し、振興局を加え、新たに経済・雇用対策本部を設置し、中小企業の経営や県民の生活の安定に向けた貸付金等を拡充するとともに、雇用対策や地域活性化のための取り組みのさらなる推進など、これまで以上に総合的な経済・雇用対策を組織を挙げて強力に進めていくこととしております。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。経済対策とあわせて新規高卒者の雇用ということもお伺いしたいと思いますが、先ほど知事のほうからも発表がありました有効求人倍率が本当に低い。それにあわせて新規高卒者の就職が大変厳しいという状況の中で、知事はふだん、今までやっていないそういう対策を今度はとらなければならないとおっしゃっておりますけれども、その辺の特段の手段があればお話を聞かせていただきたいと思います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 新規高卒者の雇用対策についてでありますが、県としては、少しでも多くの高校生が県内に就職できるよう全力を挙げることとしており、岩手労働局、教育関係機関と連携しまして、経済、商工団体に対し、再度、新規高卒者の採用について強く要請を行いますとともに、各振興局が中心となって、ハローワークや学校と共同しまして、各企業への要請活動や求人開拓を行うほか、就職未決定者を対象としました就職面接会を例年より多く開催するなど、就職に向けた支援を一層強化してまいりたいと考えております。また、ものづくり産業や食産業、観光産業など地域の特色ある産業の振興にも努め、県内への就職を希望する若者が安心して就職できるよう雇用の場の拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 次に進みます。
 次に、スポーツ、文化振興についてお伺いいたします。
 まず、国体開催に向けた競技力の向上についてであります。国体開催に向け、県内競技者の競技力向上が求められておりますが、それには、まず、すぐれた指導者の養成と確保が急務と考えますが、県ではこのことについてはどのような対策を講じておりますかお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 国体開催に向けた競技力向上についてでありますけれども、第71回国民体育大会岩手県選手強化本部で策定されました選手強化基本計画に基づき、組織の拡充・強化、指導体制の確立、選手の育成・強化、サポート体制の整備・充実を柱として競技力向上を計画的に今進めているところでございます。
 指導者の養成については、各競技の優秀指導者を中央競技団体などが主催する指導者研修会、講習会へ派遣するとともに、競技種目ごとに国内トップコーチを本県に招聘して、トップレベルの指導方法や最新の指導技術の習得を図っているところでございます。
 また、指導者の確保については、公立学校教員採用候補者選考のスポーツ特別選考により、本県の中核的指導者を目指す人材を、平成8年度から平成20年度までに36名を採用しておりまして、指導者の計画的な確保に努めてきているところであります。競技力向上において指導者の果たす役割は非常に大きいものと認識しており、今後ともすぐれた指導者の養成と確保を進めてまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 次に、地の利を生かした冬季スポーツの振興策についてお伺いいたします。
 岩手県は冬期間が長く、寒さの厳しい日が多いことで、逆に豊富で良好な雪質に恵まれるなど、冬季スポーツにはうってつけの条件がそろっているにもかかわらず、残念ながら、同じような条件の他道県と比べても冬季スポーツが盛んであるとは言えない状況にあると思います。県内の各スキー場の入り込み者数も年々減少していることから、県外スキー客の誘致に力を入れることも重要と思われますが、まず、県内の人が身近な施設を気軽に利用して冬季スポーツを楽しめるような施設が必要と思いますが、県ではどのような冬季スポーツを振興策としてお考えなのかお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 冬季スポーツの振興についてでありますけれども、冬季スポーツの振興のため、地域や競技団体が行う各種の講習会、ジュニア教室や競技会の開催など、普及、強化活動などに対する支援や施設の充実など環境整備に努めているところでございます。また、冬季スポーツの競技力の向上も一つの有効な手段ということと考えておりまして、平成28年の2巡目国体に向けて、底辺拡大の推進、環境整備の促進、選手強化の充実を柱として、競技団体、地域や学校と連携を図りながら取り組んでおり、特にもスキーのジャンプ競技は本県から国際大会で活躍する多くの優秀選手を輩出し、国体成績においても大きな得点源であることから、小学校低学年から選手育成に取り組める環境整備として、今般、夏場の練習専用施設である25メートル級のスモールヒルジャンプ台を整備するために9月補正予算に計上し、審議をお願いしているところであります。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。冬季スポーツにも、そういう地理的な条件のいいところ、あるいはまたわざわざ遠くまで行って自分の競技力を高めるために努力している方々もたくさんおるわけですけれども、実は八幡平市ではオリンピック選手を育てる会という組織もございまして、市民、県民一体となったサポートの組織もあります。今後さらに期待したいなと思っておりますし、二戸にはカーリングのすばらしい選手も出ているということで、本当に冬季スポーツも岩手県ならではのそういう取り組みが必要だろうと思います。さらなる努力をお願いしたいと思います。
 次に、岩手の伝統芸能の保存と継承についてお伺いいたします。
 岩手県内には早池峰神楽や鬼剣舞など重要無形民俗文化財に代表される多くの伝統芸能があります。まずは、せんだって、早池峰神楽がユネスコ無形文化遺産に登録されたということで、大変お祝いを申し上げたいと思います。私は、重要無形民俗文化財に指定されているものに限らず郷土の伝統芸能というものは大切に守り、次の世代へ引き継いでいかなければならないと考えておりますが、これらの伝統芸能の保存と継承について、県ではどのような施策を講じていくのかお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 伝統芸能の保存と継承についてでありますけれども、本県において、地域の結びつきの中核をなしてきた伝統芸能は、少子・高齢化や過疎化により、その保存や継承をしていくことが難しい団体が多くなってきていることから、昨年度、民俗芸能団体のネットワーク組織を設立し、情報交換を行ってきているところでございます。その中で、保存、継承についての課題解決には公演機会の確保も有効であるということから、青少年民俗芸能フェスティバルや岩手県民俗芸能大会を開催し、後継者の育成や保存、継承への意欲の向上を図っております。
 また、用具類購入に対する支援の要望も多いことから、県文化振興事業団の文化振興基金などを活用して、用具や衣装の整備等に助成を行ってきているところでございます。今後とも、これらの施策を継続するとともにネットワーク組織を活用し、地域と学校の連携を図りつつ、本県の伝統芸能の保存と継承を図ってまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございました。伝統芸能も、何といいますか、すばらしい資源ということであると思いますので、それぞれの地域で引き継げられるような取り組みをさらにお願いしたいと思います。
 次に、新エネルギーを活用した環境対策についてお伺いいたします。
 まず、水力、風力、地熱、太陽光などの新エネルギーの活用についてであります。エネルギー自給率の低い岩手県にとって、水力、風力、地熱、太陽光などの環境に優しい新エネルギーの有効活用を推進することは、環境王国岩手の実現を目指す上からも最も重要な課題と考えますが、県では、これらの新エネルギーをどのように有効活用していくお考えなのかお伺いいたします。
〇環境生活部長(松川求君) 新エネルギーの活用についてでございますが、新エネルギーは、地域のエネルギー自給率の向上や二酸化炭素の排出量削減効果、さらには地域経済への寄与などが期待できるものでございまして、本県におきましても積極的に導入を促進してまいりました。これまで、新エネルギーの導入事例や国などの支援措置を紹介するなど、新エネルギー導入促進に向けた普及啓発に努めるとともに、今年度におきましては住宅用太陽光発電に係る補助を実施し、導入支援に取り組んできたところでございます。今後におきましても、国の支援制度の活用を図るなどして、本県の地域特性を生かした新エネルギーの導入促進と有効活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 住宅用の太陽光パネルはそちこち見受けられるということは大変よいことだなと思っておりますし、あわせて、次の項目でまた質問させていただきますけれども、農業用水などを活用した小水力発電についてお伺いいたします。
 県内の広大な耕地を潤す豊富な農業用水を利用した小水力発電は、エネルギー対策上も、また環境保全対策上も有効なものと考えますが、このような小水力発電の事業化について、県はどのようなお考えをお持ちなのかお伺いいたします。
〇環境生活部長(松川求君) 農業用水などを利用した小水力発電についてでございますが、小水力発電は二酸化炭素排出量が少なく、地球温暖化対策やエネルギーの地産地消の観点からも有効であり、これまでも導入促進を図ってきたところでございます。本県におきましては、基幹的な農業用水路が約1、300キロメートルあり、高低差に富む地形条件を活用した小水力発電の可能性が見込まれますことから、今年度、農業用小水力発電導入調査事業により、小水力発電の建設適地等の概略調査を行うことといたしております。このほか、企業局では、本年12月の運転開始を目指し、北ノ又発電所の下流部において、最大出力61キロワットの小水力発電所を建設中でございます。また、今月には小水力発電を紹介するセミナーを開催することといたしておりまして、今後も農業用水などの未利用エネルギーを利用した小水力発電の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 何といいますか、活用の頻度が今まで大変少なかったそういう資源が目の前にあるということも事実なので、有効に活用できる資源をさらに高めながら、逆に地域の活力を生み出す方策にしていただければいいなと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、先ほどの太陽光パネルの設置の話もありました新エネルギー、特に太陽光発電のシステムは導入しやすいと思います。県営の各施設では、例えばこの議会棟であろうと、県庁でもそうですけれども、そういうものを率先して導入するお考えがないのか。また、各市町村で取り組む施設等でも、そういう太陽光発電の支援策等がこれから考えられるのかどうかお伺い申し上げたいと思います。
〇環境生活部長(松川求君) 太陽光発電の県営施設への導入、あるいは市町村への支援ということについてでございます。県営施設における太陽光発電の導入状況でございますが、新エネルギービジョンに基づきまして、これまで学校や病院などの公共施設を中心に42施設、約820キロワットの太陽光発電設備を導入してまいりました。現在、県営施設に係る具体的な導入計画はございませんが、今後、施設の建てかえ等の機会をとらえまして、関係部局とも連携して、できるところから導入を図ってまいりたいと考えております。
 また、市町村施設への太陽光発電の導入につきましては、企業局において設備導入に対し支援をしているほか、国の支援制度の活用を助言しているところでございます。今後におきましても、市町村のニーズに応じ、これらの支援制度の活用について助言するなど支援を行ってまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 まず、北東北の観光連携についてであります。
 平成22年10月の東北新幹線新青森延伸に伴い観光客の行動パターンの変化が予想され、その動向が注目されるところです。県では、東北新幹線の新青森延伸に伴う県内観光地への影響をどのように予想し、どのような観光振興策を講じるお考えかお伺いいたします。
 また、観光客を奪い合うのではなく、北東北3県の観光連携を進めていくことが、今後一層重要になると考えますが、観光連携についての県のお考えをお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 北東北の観光連携についてでありますが、東北新幹線の新青森延伸は、北東北に対する全国からの注目度が向上するとともに、首都圏を初め、東北各県から本県への所要時間が一層短縮されますことから、本県観光産業が飛躍する大きなチャンスであると考えております。
 新青森延伸を契機としまして増加することが予想されます観光客に、県内で楽しんでいただくためには、何よりも魅力ある観光地づくりが肝要でありますことから、県では、青森方面からの観光客を呼び込むため、今回の補正予算においても、沿岸地域において専門家による観光資源調査、着地型旅行商品の造成支援、モニターツアーの実施等によります継続的な観光資源の創出とブラッシュアップに取り組むこととしており、青森から八幡平・十和田地域、さらには三陸沿岸への広域観光ルートを強化したいと考えております。
 また、北東北3県の観光連携につきましては、県境を超えた密接な広域連携によりまして、北東北全体の観光地としての認知度を高める必要があると考えており、北東北三県観光立県推進協議会におきまして、今年度、既に東海、近畿地区の旅行業者等を対象にしました体験ツアーや高速道路のETC効果をねらった北東北ドライブマップの作成などを行いましたほか、今後におきましては、首都圏での冬季誘客キャンペーンを実施するなど、北東北3県が一致協力して新青森延伸の効果を最大限に活用し、国内外からの誘客に努めてまいります。
〇4番(工藤勝博君) ことしの4月に開通したときのアスピーテライン、秋田県との連携がうまくいって同時開通になったわけですけれども、その折に、台湾から来た観光客が、このようなすばらしい自然を見たことがない。桜と雪の回廊を一緒に楽しめるということで、本当に感激して帰っております。それらも含めて、やっぱり広域的な観光のPRといいますか、そういうルートとおっしゃいましたけれども、それを早急に確立しながら、連携を含めて誘客に努めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、多様化する観光客の要求への対応についてでございます。
 近年、観光客の要求はますます多様化しております。これまでの有名観光地を見る、めぐるだけのものから、体験したり、あるいは一定期間地域で生活しながらといったものまで非常にバラエティーに富んでおります。
 これらの観光客の多様な要求に対応するためには、県内観光に関する情報発信力の強化が必要不可欠と考えます。また、交流人口の拡大が、観光を通じての岩手県経済を活性化させる近道と考えます。情報発信力の強化と交流人口の拡大に向けた県の具体策があれば、お示し願いたいと思います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 多様化する観光客の要求への対応についててありますが、県ではこれまで、昨年4月にリニューアルしました岩手県観光ホームページいわての旅等の各種媒体の活用によりまして、地域の歴史、文化、イベント、交通アクセスなど、きめ細かな情報発信に努めているほか、首都圏を中心に駅におきまして強力な宣伝力を有するJR東日本と連携し、いわて・平泉観光キャンペーンを実施することによりまして、本県観光資源の魅力を全国にアピールしているところであります。
 また、久慈市における豊かな自然体験プログラムを組み込んだ教育旅行の誘致、田野畑村におけるサッパ船を活用した体験型観光などの成功事例も生まれてきておりますので、さきにユネスコ無形文化遺産に登録されました早池峰神楽や平泉の文化遺産を初めとする歴史文化、八幡平や陸中海岸国立公園などの豊かな自然景観など、岩手ならではの観光資源をブラッシュアップする取り組みを継続的に促進しながら、交流人口の拡大に努めているところであります。
 今後におきましても、首都圏において11月に開催します黄金の國いわてフェアを通じて本県の魅力を丸ごとPRいたしますほか、外国語版観光ホームページのリニューアルなどによりまして、情報発信力の強化にさらに磨きをかけるとともに、グリーン・ツーリズムや産業観光など、地域資源の特性を生かした農商工連携による観光メニューの造成に取り組むなど、本県が目指す地域回遊、交流型観光を粘り強く推進してまいります。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。
 次に、交通事故防止に向けたことについてお伺いいたします。
 まず、高齢者の事故防止についてであります。
 近年の交通事故の発生状況を見ますと、高齢者が、被害者としてだけでなく、加害者としてもかかわる交通事故も増加しております。運動能力の低下した高齢者が渡り切るには十分とは言えないような間隔で切りかわってしまう横断歩道用の信号機、運転中の瞬時の判断力がやや低下している高齢者にとっては、複雑で、かつ、わかりづらい標識や信号機が設置されている交差点など、高齢者の交通事故防止に向けた早急な改善措置や対策が必要と思われますが、どのように取り組まれておりますのかお伺いいたします。
〇警察本部長(保住正保君) 高齢者がかかわる交通事故防止を図るための交通安全施設の整備状況でありますが、まず、高齢歩行者対策としましては、高齢者感応信号機、こういったものを県内に47基整備しております。この信号機は、歩行者が、通常の押しボタンとは別に設置されております弱者用の専用ボタンを押すことで、青色信号の表示時間が通常より1.5倍長くなっておりまして、高齢者の方々が安心して横断できるよう配慮されております。
 また、それ以外の通常の信号機の新設あるいは更新に際しましても、高齢者の方々や児童等の利用が多いといったような場合には、青色信号の表示時間を通常の1.5倍の長さに設定しているところであります。
 さらに信号機のランプをより見やすくする、こういった観点から、発光ダイオードを使用したランプのLED化というものを推進しているところであります。
 次に、運転者対策でございますが、道路標識、道路標示を見やすく、わかりやすいものとするために、表示板を大きくする、自動車の前照灯の光に反射しやすい素材を用いるなどの対策を講じているところであります。
 なお、高齢運転者等の中央線はみ出しによる重大事故防止対策として、音や振動によって注意を喚起するランブルストリップスと呼ばれる工事があるんですが、こういったものの設置を道路管理者に働きかけておりまして、現在まで、県内の国道、県道等65カ所に整備していただいているところでございます。
 今後とも、高齢者の交通事故を防止するため、交通安全施設の充実整備に努めてまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 最後になりますけれども、この交通事故防止について、通学路の危険箇所対策についてお伺いいたします。
 国道282号西根バイパスが暫定開通してから2年近くなります。車の通行量も非常に多くなり、バイパスとしての機能を十分に果たしておりますけれども、残念なことに、通学路途中の交差点に信号機の設置がなく、道路を横断する子供たちは大変な危険を伴って横断しております。実際に、ことし8月には生徒が巻き込まれる人身事故も発生いたしました。
 このことからも、通学路にあっては優先的に信号機の設置が必要と思われます。その設置状況についてお伺いいたします。
 また、信号機のない交差点について、今後どのように信号機を設置していく計画なのか、お伺いいたします。
〇警察本部長(保住正保君) 通学路における信号機の設置状況につきましては、平成20年度は、全体の設置数20基のうち10基を設置しております。また、平成21年度は、全体23基のうち11基を設置することとしております。
 このように、県警察といたしましては、従来から、通学路の交通事故防止対策に重点的に取り組んでいるところであります。信号機や横断歩道などの交通安全施設につきましては、交通事故の発生状況や交通量及び学校、公共施設等の立地状況など全県的な見地から、設置の必要性、緊急性を総合的に検討し、限られた予算の中で真に効果的な場所を選定の上、整備を進めてまいりたいと考えております。
 また、ただいま議員から御指摘のあった児童が関係した交通事故が発生した地点につきましても、我々、このバイパスの中で、割合で見ても非常に事故が多いということは認識しております。また、この西根バイパスの交通実態を見ますと、相当程度の交通量になっているということも把握しております。したがいまして、県警といたしましては、今後、引き続き、こういった交通量等の推移を踏まえながら、設置について検討してまいりたい、このように考えております。
〇4番(工藤勝博君) ありがとうございます。
 以上で私の質問を終わります。当局におきましては、簡潔、そして前向きな答弁をいただき感謝申し上げます。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって工藤勝博君の一般質問を終わります。
 次に、三浦陽子さん。
   〔19番三浦陽子君登壇〕

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