平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員長(高橋博之君) 交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成19年6月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、交流人口の拡大に関する調査及びコミュニティ再生に関する調査について、その現状と課題、対策等について関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、交流人口の拡大に関する調査についてでありますが、少子高齢化による定住人口の減少が見込まれる本県においては、体験型観光旅行や体験型教育旅行の受け入れにより、交流人口の拡大を図る動きが各地に見られたところです。
 近年の観光形態は、人々の価値観や生活様式の多様化に伴い、団体で名所旧跡をめぐる従来の通過型から、個人あるいは少人数で特定の目的を持ってその地域を訪れる滞在型へ変化してきており、本県においても、豊かな自然を生かした体験型観光の受け入れに向けた取り組みが、各地域で進んでいるところです。
 体験型観光の進展は、観光客の増加のみならず、取り組みを通じた受け入れ側の地域の活性化とともに、岩手のおもてなしの心を体験していただいた都市部の住民との交流促進にもつながるものと考えているところであり、二地域居住者を含む移住、定住者の増加にも資するものであることから、今後とも一層推進することが重要であります。このため、県においては、本県の豊富な観光素材の紹介とあわせて、豊かな自然を生かした体験型観光の情報を各種メディアを活用して一層積極的に県内外に発信されるよう要望するものです。
 各地区における取り組みが広がる一方で、受け入れ側の地域における高齢化も進んでおり、継続的な取り組みに向けた後継者の確保が課題となっている現状も見受けられることから、地域内の自発的な活性化と後継者の育成を支援する集落支援員等の活用が重要であると考えているところであり、集落支援員等を対象とした研修会の充実などをあわせて要望するものです。
 次に、コミュニティの再生に関する調査についてでありますが、本県においては、全国を上回る速度で人口減少、高齢化が進行しており、これまで多面的な機能を担ってきた自治会、町内会等の地域コミュニティの機能低下が進んでおります。
 平成19年に県が実施した集落の状況に関する調査結果によれば、65歳以上の高齢者が半数を超える地域コミュニティが県内には数多く存在しており、今後消滅の可能性が指摘される集落も相当数に上っている実態があります。
 一方で、多くの地域コミュニティにおいては、さまざまな悩みを抱えながらも、地域住民が一体となって集落機能の維持に向けてさまざまな努力をしている実態もあるところです。
 従来は自治体が行っていた道路整備についても、地権者との交渉や用地測量などを住民みずからが行い、役所からの最小限の支援で集落内の生活道路を整備した地域がありました。また、地域コミュニティ単位に担当職員を張りつけ、地域住民とともに地域のあり方や振興策を考えようとする自治体もふえており、住民主導の地域づくりが着実に広がりを見せているところです。
 このような地域コミュニティへの支援は、住民に最も近い基礎自治体として、市町村が取り組んできているところであり、県としては市町村と連携し、広域的な情報収集と提供などを行い、市町村の取り組みを支援することが重要と考えるものであります。今後とも優良活動事例の紹介や地域コミュニティ相互の交流の促進に向けて、広域的な視点でのより一層の支援に取り組むことを望むところであります。
 また、当該地域を抱える市町村への国の支援については、過疎地域自立促進特別措置法が平成22年3月をもって失効することから、基幹道路や公共下水道の整備などの従来の支援に加え、都市との交流対策や地域を担う人材の育成・確保などを積極的に支援するためのソフト対策の充実、強化とともに、必要な財政措置が講じられるよう、新たな過疎対策法の制定を強く求めるよう要望するものです。
 なお、消滅の可能性を指摘される集落について、今後のあり方を考えるとき、当該地域に暮らす人々が真に求めている幸せとは何かを明らかにすることが、まずもって大切なことであろうと考えます。
 地域住民、市町村、県がともに考え、地域住民の生活が守られるよう、さらに積極的な施策の推進を期待するものであります。
 以上をもって交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、高橋環境・エネルギー対策特別委員長。
   〔環境・エネルギー対策特別委員長高橋雪文君登壇〕

前へ 次へ