平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇医師確保・少子高齢化対策特別委員長(三浦陽子君)
 医師確保・少子高齢化対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成19年6月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、医師確保対策に関する調査、子育て支援に関する調査及び少子高齢化対策に関する調査について、現状と課題、対策等について、関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、医師確保対策についてでありますが、本委員会は、地域医療のため御尽力されている医師、国の専門機関の長等との意見交換のほか、現地調査を実施しました。その中で、医師の地域遍在や勤務医の過酷な労働状況、さらに、国の医療費抑制政策や必要な体制整備のおくれといった厳しい現実と課題が改めて明らかになったところです。
 また、他方では、県立病院及び岩手医大の医師や研修医の方々による積極的な地域診療の応援、遠野市の地域事情に合わせた住民本位の医療環境整備事業の実施、県立二戸病院と歯科医師会等地元開業医の連携による地域医療の充実など、各地で厳しい医療環境の現実に立ち向かうべくさまざまな取り組みがなされているところです。
 そして今、本県では、県立病院地域診療センターの無床化を大きな契機として、県民全体が、医師不足の危機的状況について改めて問題意識を持ち、地域医療の維持及び充実に向けた機運が盛り上がりを見せてきております。まさに本県は、県民が安心して必要な医療を適切に受けることができる体制づくり、地域で働く医師も安心して医療を提供できる環境づくりに一体となって取り組むべき時期に来ていると言えます。
 本委員会といたしましては、岩手県医師確保対策アクションプランに基づいたさまざまな事業に加え、これからは、さらに、県、市町村、医療関係者及び地域住民が協働、連携して緊密な情報交換を行い、互いの理解を深める機会をふやすこと、そして、地域で医師を目指す人材を育て、地域で医師を支える取り組みを推進していくことが重要であると考えます。
 具体例としては、大学と連携し、地域住民と研修医との情報交換を行ったり、県立病院等の医療機関と地域住民との対話の場をふやすことなどが考えられます。
 他方、医師確保対策は、低医療費政策の見直し、医師の無過失責任制度の検討、今後の高齢者医療のあり方の見直しなど、医療政策全体にかかわる問題として国が早急に対応すべき問題を含んでおります。
 よって、本委員会といたしましては、県が、市町村や医師会等関係団体と一体となって、地域医療の充実を図るために必要な医療費財源の確保と医療提供体制の再構築を行うこと等について、これまで以上に国に対する働きかけを行い、医師の確保、定着のための取り組みをしていくことを強く求めるものであります。
 次に、子育て支援対策についてでありますが、これまで県では、いわて子どもプランに基づき、子育てサポートセンターの設置事業など各種の施策を実施し、企業や地域における子育て支援の取り組みが徐々に進んでいるほか、県内各地では、NPO団体による取り組みが広がりを見せてきているところであります。
 本委員会は、地域に根差した特色ある子育て環境づくりに積極的に取り組んでいるNPO団体の長等との意見交換や現地調査を実施いたしましたが、中には、自治体の財政状況が厳しさを増すにつれて、補助金が削減されるなどして事業の縮小や必要な人件費の削減を余儀なくされ、活動に支障を来している団体もあるということでした。
 子育てを社会全体で支えていく地域社会づくりには、行政と各家庭とのつなぎ役となるNPO団体の存在は欠かせないものであることから、本委員会といたしましては、県が子育て支援対策を推進するに当たっては、地域の子育て活動の拠点となるべき施設を確保するとともに、NPO団体等の人材確保のための必要な財源を措置し、相互に協力しながら、いわて子どもプランの着実な推進を図っていく必要があると考えます。
 次に、少子高齢化対策についてでありますが、本委員会は、高齢者が尊厳を持って、家庭や住みなれた地域の中で安心のある生活を送ることができる社会の構築という観点を中心に、高齢者などで障がいを持った人が地域で生活するための機能回復を支援する医療機関や、高齢者の安心ある生活を支援する施設の長などとの意見交換や現地調査などを実施いたしました。その中で、退院後の受け皿が十分でないことや、介護保険の対象とならない生活援助やサービスを支える仕組みが確立されていないといった問題点が明らかになりました。
 本委員会といたしましては、高齢者が安心して生活し長生きを喜べる社会にするためには、行政が必要なニーズを把握しサービスを提供できる環境を整えていくことに加えて、医療、介護、福祉のすべての関係機関がネットワークを形成し一体的・効果的にサービスを提供していくこと、さらに、公的な枠組みから外れたところでは、地域の中でお互いを支え合っていく仕組みづくりを推進していく必要があると考えたところです。
 具体例としては、高齢者や障がいのある子供が病院や施設を出た後、在宅で生活を営むことができるまでの地域リハビリテーション体制の強化、高齢者介護と子供の保育を一体的に行い、相互効果を生む幼老統合ケアの導入促進、高齢者の日常生活をサポートする団体の育成、互いに支え合う地域力を強化していくための支援事業の実施など、県がモデルを示し、各地域の実情に即した取り組みを推進していくことが考えられます。
 終わりに、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮いただきながら、なお一層の努力を傾注され、すべての県民が安心して、共に生きる岩手が実現することを強く切望いたしまして、医師確保・少子高齢化対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、高橋交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員長。
   〔交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員長高橋博之君登壇〕

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