平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇行財政構造改革等調査特別委員長(小田島峰雄君)
 行財政構造改革等調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成19年6月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、行財政構造改革の取り組みや出資法人等の経営健全化に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について、関係人からの参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 さきの三位一体改革では、補助金を廃止して地方に必要な税源移譲を行うこととし、約4兆円の補助金削減と約3兆円の税源移譲がなされましたが、その移譲された補助金のほとんどが義務教育費、児童手当、国民健康保険、保育所運営費など義務的経費に係るものであり、地方の自由な裁量の拡大にはつながりませんでした。また、あわせて行われた約5.1兆円の地方交付税の削減は、地方財政を一段と厳しい状況にしたところです。
 さらに、平成20年に端を発した国際金融危機の問題は、雇用問題、県民生活問題に直結し、平成21年度財政に対して大きな影響を国、地方を含めてもたらすものとなっております。また、地方財政健全化法が平成20年4月から本格施行されたことに伴い、地方債の増発を抑え、いたずらに将来世代に負担を転嫁しないよう配慮が一層求められるとともに、第三セクター、地方公営企業などの経営健全化が求められるなど、同法の制定及び施行は、地方財政に大きな影響を与えることとなりました。
 このような中にあって、本県の場合は、岩手県競馬組合の問題や岩手県林業公社の解散とそれに伴う県の負債肩がわりなど、本県独自に抱える要素によるところもあり、現在の厳しい財政状況に至ったところであります。
 本県の少子高齢化の状況を考えるとき、厚生労働省の人口推計では、本県は全国に先駆けて人口減少が進みつつあり、2009年3月現在で135万人を切っている人口が、2035年には104万人となり、さらには65歳以上人口が40%を超えると予測されています。これに伴い、労働者人口の減少、県内総生産の減少、ひいては県税収入の減少が徐々に進行すると懸念され、本県は、行財政の新たな枠組みを模索すべき時期に来ています。
 これまで本県では、行財政改革について岩手県行財政構造改革プログラムを策定し、安定した行財政基盤の構築、質の高いサービスの提供を目指し、現在、第2期として平成19年度から平成22年度にかけて歳出削減、歳入確保及び組織・職員体制の見直し等に取り組まれております。また、岩手県出資等法人改革推進プランを策定し、施策推進上の使命を終えた岩手県住宅供給公社などの廃止や出資引き揚げに取り組まれたことは高く評価するところでありますが、本委員会としては、昨今の社会情勢等の変化やこれまでの調査結果を踏まえて、この際、県当局に対して、今後の行財政構造改革の取り組みの推進や出資法人等の経営健全化の推進に当たり、特に次の事項に配慮し取り組まれることを切望いたします。
 すなわち、行財政構造改革の推進について、1、総務省が昨年度公表した将来負担比率は400が制度上で危険水域とされているところ、本県の場合は将来負担比率307.7と、他の都道府県に比して高い数値となっており、今後、県の財政再建について一層の対策を講じること。
 2、県の歳入確保の状況や将来の負担状況について、県民にわかりやすく、かつ明確に示し、一層の理解を得るよう努めること。
 3、施策の優先順位を適切に予算に反映できるシステムの整備に一層努めるとともに、質の高い行政サービスが提供されるよう、適切な職員体制の構築について配慮すること。
 4、歳入確保策を一層推進するとともに、県有資産売却に際しては、県民の理解が得られるよう慎重に取り進めること。
 5、県と市町村の間の権限移譲に当たっては、ミスマッチが生じないよう、これまでの取り組みを検証し十分な議論を行うとともに、県として明確なビジョンを示し、市町村の立場を尊重し進めること。
 次に、出資法人等の経営健全化について、1、出資法人等の経営に係る指導監督に当たり経営責任を明確にして取り組み、第三者評価を行うとともに、債務内容を含む経営状況を議会及び県民に対し十分に情報開示すること。
 2、出資法人等の経営に係る指導監督に当たっては、政策的な必要性のほか、採算性及び事業性について十分に考慮し、経営の健全化を促すこと。
 3、岩手県農業公社において懸案となっている農業用地問題の処理に一層取り組むよう指導監督すること。
 4、いわて銀河鉄道及び三陸鉄道は地域の交通政策上重要であり、県民負担の軽減を図るとともに、マイレール意識を高め、住民の利便性を考慮した取り組みを進め一層の経営努力を促すこと。
 5、今後、出資法人及び公営企業等の経営において問題が生じた場合、安易に延命措置をとらず、さまざまな法的整理、解決手続も考慮し、十分に処理策を検討するよう努めること。
 6、なお、県の出資等法人改革の一環として解散をした岩手県住宅供給公社職員の再就職については、今後とも県として十分な対策を講じること。
 以上の11項目は必要な諸対策と考え、ここに要望するものであります。
 終わりに、厳しい経済状況にかんがみ、県当局におかれましては、本委員会の意見や要請に十分配慮されまして、なお一層の努力を傾注されるとともに、本県の行財政運営が適切になされ、将来の行政需要にも十分対処できる足腰の強い行財政基盤が整備されますことを強く切望いたしまして、行財政構造改革等調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、三浦医師確保・少子高齢化対策特別委員長。
   〔医師確保・少子高齢化対策特別委員長三浦陽子君登壇〕

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