平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇38番(斉藤信君) 農林水産常任委員長に対して質問いたします。
 さきの報告では、請願陳情第67号について不採択とのことでありました。この請願は、政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて政府米買い入れを求めるものであります。
 主要食料の需給及び価格の安定に関する法律によれば、必要な数量の米穀を在庫として保有することを定めています。政府が定めている備蓄数量は100万トンであります。この間、2月に、08年産集荷円滑化対策区分出荷米として10万トンを政府米として買い入れましたが、05年産米の超古米を21万トンも売却することによって、米価下落の要因をつくりました。その結果、6月末の備蓄米は88万トンとなっているのであります。昨年6月末は99万トンでありました。不足している12万トンを政府米として買い入れることは、当然のことではないでしょうか。米価は、4月以降急速に下落しており、6月の民間取引価格は、宮城ひとめぼれも1万3、000円台に急落し、暴落の危険さえ指摘をされています。
 そこで質問いたします。第1に、政府がみずから決めた、法律に基づく備蓄ルールに基づいて政府米の買い入れを求める請願を、どういう審議と理由で不採択としたのでしょうか。
 第2に、法律に基づく備蓄ルールを実行しなくてもよいとする具体的な理由は何でしょうか。
 第3に、米価が急速に下落をしています。米価下落の要因とその解決策については審議をされたのでしょうか。
 第4に、このまま米価が暴落した場合、09年産米の価格に対する影響も考えられますが、検討、審議されたのでしょうか。
 第5に、既に米どころの花巻市議会、奥州市議会では、同様の意見書が採択されています。県議会での不採択は米どころの意思に反するものと思いますが、どう考えているのでしょうか。
〇農林水産委員長(新居田弘文君) 斉藤信議員のただいまの質疑にお答えいたします。
 本請願の備蓄米の買い入れを直ちに実施することについて、まず、不採択とした理由でありますが、本県の平成20年産米の販売契約はほぼ100%となっており、備蓄米として供給する米はほとんど残っていないため、仮に新たに政府備蓄米の買い入れが決定した場合であっても、本県稲作農家への効果は極めて小さいこと。また、買い入れによって在庫が積み増しされることから、平成21年産米の備蓄運営が硬直化するおそれがあることなどの点を踏まえ、全会一致で不採択と決定したものであります。
 次に、備蓄ルールを実施しなくてもよいのかとの御質問でありますが、備蓄は国において適切に行われるべきものでありますが、平成20年産米を直ちに買い入れすることについては、先ほど申し上げたように、本県にとってデメリットが予想されるところであります。
 次に、米価下落の要因と解決策や09年産米の価格に対する影響について審議したのかとの御質問でありますが、それらの点については、具体的な質疑、意見交換はありませんでした。
 次に、県議会での不採択は米どころの意思に反するのではないかとの御質問でありますが、本請願を採択することについて、本県稲作農家等へのメリット、デメリットを総合的に勘案して不採択としたものであります。
 以上です。
〇38番(斉藤信君) 驚くべき答弁でありました。法律に基づいて、本来の備蓄ルールに基づいて政府米を買い入れると、これは当然のことでありまして、買い入れをしていないことに対して、それを当然に求めたことについて不採択というのは、もう法律を否定することになるのではないか。
 農協の契約は確かに100%近いものがあります。しかし、今、農協の契約でさえ買い取りをされていないのです。暴落をしているからです。様子を見ているのですよ。そして、求めている請願は、岩手県だけではない、全国の農家への影響について国に意見書を上げてほしいと言っているのであります。そして今、こうした暴落のもとで09年産の新米価格が形成されるとしたら、新米の暴落という危険性があるのですよ。
 100万トンの備蓄ということ自身が、極めて低い備蓄の設定であります。その低い備蓄の設定でさえ、昨年99万トン確保していた。今88万トンですよ。そういう中で、大手スーパー・卸売業者による買いたたきがされて、もう1万3、000円という大変な暴落水準になっている。そういうときに政府が必要な対策をとるのは当然のことじゃないでしょうか。
 私はそういう点では、法律に基づいた、政府がやっていない備蓄米の確保を求めた請願を不採択にしたというのは、米どころの県議会としては大変恥ずかしい、あってはならないことだというふうに考えます。
 また、米価の価格対策については審議をしなかったと。これまた米価暴落で、どうやって米価を今支えるかということが審議されているときに、そこまで立ち入って審議もしないで、請願は不採択としたと。
 今、生産者価格は1万6、400円ですよ。そして1万3、000円台で取引されている。農家の手取りは1万1、000円台ですよ。現状の米価でさえ再生産が賄えない、赤字前提のこういう米価になっている。私はそういうときにこそ、政府がやれることは最大限やって米価を下支えする、同時に、買いたたきについては政府は指導する権限を持っていますから、そういう指導もやるという、そういうことを本来求めるべきではないのか。法律に基づいた、政府自身が決めた備蓄ルールの実行を求めることについて不採択をしたというのは、これは岩手県議会の汚点として残るようなことではなかったのかと思いますが、改めてお聞きをします。
〇農林水産委員長(新居田弘文君) 今、いろいろ御指摘がございましたが、それらを踏まえて、県内の米の在庫状況とか、あるいは最近における米の取引状況等、いろいろ総合的に判断して、委員の良識によって決定したものだと思っております。
 以上です。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕
〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第4号と請願陳情第67号の不採択に反対の討論を行います。
 議案第4号は、2009年度岩手県工業用水道事業会計補正予算(第1号)であります。
 その内容は、工業用水道を使用している企業に対して、雇用の維持、創出を名目に、料金を約1億円余減免しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、雇用の維持、創出を名目としているにもかかわらず、どれだけの雇用の維持、確保ができるか、全くあいまいであることであります。雇用を維持、確保をする保証も条件もないことであります。
 第2の理由は、工業用水道の料金減免の対象となる企業は製造業17社でありますが、この企業の中には、雇用の維持、確保どころか、大規模な派遣切り、期間工切りを進めているのがあるのが実態であります。
 関東自動車岩手工場は、この間、540人以上の派遣、期間工を雇いどめ、解雇しています。岩手東芝エレクトロニクスは150人、富士通マイクロエレクトロニクスは50人削減するとともに、1、000人以上の配転合理化を進めています。こうした企業に対する1億円余の料金の減免は、リストラ応援の逆立ちした対策であります。
 第3に、関東自動車や岩手東芝エレクトロニクス、富士通マイクロエレクトロニクスなどの誘致企業には、巨額の内部留保など、雇用を守る十分な体力があるということであります。
 関東自動車は、09年3月期決算で4億円の純利益でありましたが、株主には、13億8、000万円余の配当を行っています。内部留保のわずか1.8%、18億円を活用するだけで、600人の期間工の雇用確保ができるのであります。08年3月には、1、024億円の内部留保をため込んでいました。東芝は本体で、08年3月期で1兆7、212億円の内部留保を持っています。富士通も、本体では8、093億円の内部留保を持っています。こうした体力のある大企業、誘致企業に、国民の税金で支援する理由は全くないと言うべきであります。
 第4に、1億円余の料金減免の財源は、国の経済対策による地域活性化・経済危機対策臨時交付金であります。
 本来、経済危機のもとで仕事を失い、または収入減や低所得者のために、生活に困っている県民の生活再建にこそ、活用すべきものであります。県の補正予算でも、燃費の悪い車まで対象とする環境対応車購入補助金が4億3、000万円余も計上されていますが、金持ち優遇の補助金であるとともに、リストラを率先して進めている自動車産業支援の異常な補助金であるということも指摘をしておきたいと思います。
 次に、請願陳情第67号は、政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて政府米買い入れを求める請願であります。
 政府自身が決めた備蓄ルールの実行を求める請願を農林水産常任委員会で全員一致で不採択としたことは、自民、民主、政和・社民の会派が、法律に基づくルールに背を向けるとともに、農民の願いにも背を向けるものであります。
 不採択に反対する第1の理由は、備蓄ルールに基づく政府米の買い入れは、主要食料の需給及び価格の安定に関する法律に基づき、必要な数量の米穀を在庫として保有するとしたものであります。政府自身が100万トンの備蓄を決め、6月末で88万トンの在庫となっている中で、12万トンの政府米の買い入れは当然のことであります。
 第2に、08年産米は、4月以降急速に下落しています。6月の民間取引価格は、宮城ひとめぼれで1万3、000円にまで暴落しています。このまま推移すれば、09年産米の新米価格にも大きな影響を与えかねないのであります。
 第3に、この間政府は、2月に集荷円滑化対策で10万トンを政府米として買い入れたものの、05年産米の超古米を21万トンも売却しました。本来、超古米は市場から隔離して加工米や飼料米として活用すべきものであります。
 また、米が余っているという一方で、ミニマムアクセス米を年間77万トンも輸入していますが、直ちに中止すべきであります。
 第4に、米の生産費が1俵当たり1万6、000円余となっている中で、相対取引価格が岩手ひとめぼれで1万4、000円台となっていること自身が問題であります。米の再生産を保証する生産者米価こそ確立すべきであります。異常な米の買いたたきを、政府は指導すべきであります。
 政府自身が決めた備蓄ルールに基づく政府米の買い入れを求める請願を不採択としたことは、自民、民主、政和・社民の農政と農民に対する態度が問われるとともに、法律に基づく当然の備蓄ルールを無視するものだということを改めて強く指摘して、私の討論といたします。
 御清聴ありがとございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第65号及び受理番号第66号を一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、受理番号第65号及び受理番号第66号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第70号生活保護の母子加算復活を要求する国への意見書を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、受理番号第70号生活保護の母子加算復活を要求する国への意見書を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第67号政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて政府米買い入れを求める請願を採決いたします。
 本請願に対する委員長の報告は不採択であります。本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立少数であります。よって、受理番号第67号政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて政府米買い入れを求める請願は、不採択と決定いたしました。
 次に、議案第4号平成21年度岩手県工業用水道事業会計補正予算(第1号)を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第4号平成21年度岩手県工業用水道事業会計補正予算(第1号)は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第3号まで、議案第5号から議案第21号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第3号まで、議案第5号から議案第21号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第24 委員会の閉会中の継続調査の件
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第24、委員会の閉会中の継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
 各委員会の閉会中の継続調査事件
1 継続調査
  総務委員会   ・盛岡地方気象台の防災対策における役割について
          ・県内の地上デジタル放送の取組状況等について
  環境福祉委員会 ・岩手県における2006(平成18)年の二酸化炭素排出量について
          ・食の安全・安心及び食育に関する取組方針について
          ・盛岡赤十字病院の緩和ケアの提供体制について
  商工文教委員会 ・平成22年度県立学校の学科改編等について
          ・いわて希望ファンド等の運営状況について
          ・雇用対策の状況について
  農林水産委員会 ・岩手・宮城内陸地震における復旧・復興状況について
          ・岩手県農業研究センターにおける試験研究成果について
  県土整備委員会 ・いわて花巻空港新ターミナルについて
          ・木造住宅の耐震化施策の取組状況について
〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続調査の件につきましては、各委員長からお手元に配付いたしてあるとおりそれぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第25 議案第23号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第25、議案第23号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。宮舘副知事。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第23号は、人事委員会の委員であります細屋正勝氏の任期が7月16日で満了となりますので、その後任として、新たに飛澤重嘉氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第23号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第23号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第23号人事委員会の委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第26 特別委員会の中間報告
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第26、特別委員会の中間報告であります。
 行財政構造改革等調査特別委員会、医師確保・少子高齢化対策特別委員会、交流人口拡大・コミュニティ再生調査特別委員会及び環境・エネルギー対策特別委員会から中間報告をしたいとの申し出がありますので、この際、発言を許します。小田島行財政構造改革等調査特別委員長。
   〔行財政構造改革等調査特別委員長小田島峰雄君登壇〕

前へ 次へ