平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇9番(高橋昌造君) 民主党の高橋昌造でございます。
 佐々木一榮議長を初め、議員各位の御配慮により登壇の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
 質問の第1点目は、新しい長期計画策定後の取り組みについて知事にお伺いします。
 新しい長期計画は岩手県民計画として位置づけられ、平成21年度から平成30年度までの10年間の計画であります。計画の基本目標としては、いっしょに育む希望郷いわてを目指し、実現していきたいねらいとして、この未来の中には、皆さん生き生きと働いています、安心して暮らしています、楽しく学んでいますの三つのことを掲げておりますが、この計画を実現してまいるためには、しっかりとした具体性と継続性が求められるわけでございます。
 そこでお伺いしますが、新しい長期計画の実効性を高めるために具体的にどのように取り組まれるのか、また、実施状況などを明らかにするために、毎年度、長期計画に対し、第三者が進捗状況などを検証できる組織を設置するお考えがあるのかお伺いします。
   〔9番高橋昌造君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋昌造議員の御質問にお答え申し上げます。
 新しい長期計画策定後の取り組みについてでありますが、計画の実効性を高めていくには、立案した計画に基づいて施策を実施し、その評価を通じて次に実施する施策を見直ししていく一連のマネジメントサイクルによって計画を着実に推進していくことが重要と考えております。
 このため、現在の総合計画においては、外部の有識者で構成する政策評価委員会での審議を経て政策評価を適切に実施するとともに、総合計画審議会において、政策評価の結果などを踏まえながら、計画に掲げた施策の取り組み状況を検証するなど、より効果的な施策の推進方策について御意見をいただいてまいりました。こうした現行の仕組みも踏まえながら、新しい長期計画を着実に推進するためにはどのような方法がよいか、今後、具体的に検討してまいります。
〇9番(高橋昌造君) 第2点目として、今後における行財政運営についてお伺いします。
 まず、今後の県政運営の展開についてお伺いします。
 新聞報道によりますと、急激な景気悪化により、平成20年度の県の税収見込み額は1、242億円余と前年度より51億円余の減少となり、本年度の税収も平成20年度比で約200億円少なくなるようなことで見込まれておりますが、いずれ1、000億円を割りそうな状況にあると考えられます。
 このような県税の減少が歳入に与える影響はどうなのか、そして将来を見据えて、県として今後どのように行財政運営を行うのかお伺いします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 平成21年度当初予算における県税収入見込み額は1、047億円余でございまして、急激な景気低迷による企業収益の減少等により、前年度当初予算に比べまして248億円余、19.2%の大幅な減額を見込んだところでございます。こうした地方の減収分に対し、平成21年度の地方財政対策においては、臨時財政対策債を大幅に増加させる形で財源不足の補てん措置が講じられたことから、本県においても臨時財政対策債を増額せざるを得なかったところでございます。
 今後の景気の動向やこれに伴う国の制度の先行きも不透明でございますので、確たる形で将来を見据えた行財政の姿をお示しすることは極めて困難ではございますが、現在の県債残高の水準が本県の財政運営上の大きな課題の一つとなっておりますことは強く認識いたしてございます。今後とも、中長期的には県債残高の規模を抑制していくことを目指すとともに、短期的には、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるような予算の組み立てを工夫していくことが重要であろうと考えております。
 また、あわせて、今後とも地方の安定的な財政運営が可能となるよう、地方税財政改革について、全国知事会等とも連携しながら、引き続き国に強く働きかけていかなければならないと考えているところでございます。
〇9番(高橋昌造君) 次に、行財政運営の基本となります契約等の実態についてお伺いいたします。
 地方自治法第234条の規定により契約の方法が決められておりますが、会計ごとの契約方法の実態についてお示し願います。特にも、契約の適法性及び3E監査と言われておりますが、経済性、効率性、有効性の確保が求められている中で、随意契約の実態をお示し願います。随意契約の必要性、そして事務手続マニュアル等のルールが決められているのかお伺いします。また、今後、特命随意契約の内容を重点的に検証し、必要がある場合には見直しを検討するお考えがあるのかお伺いします。
 また、昨年度から不適切な事務処理の問題を受けて、監査委員事務局では監査体制の整備を今後どのように行っていくのか、また、監査計画の中で不適切な事務処理を防止するための取り組みをどのように考えているのかお伺いします。
〇監査委員事務局長(千田永君) まず、契約方法の実態、随意契約の見直し等についてでございますが、平成20年度に実施しました平成19年度普通会計の定期監査において、広域振興局等で行った業務委託契約3、183件のうち随意契約は2、151件、67.6%でありまして、工事請負契約2、249件のうち随意契約は115件、5.1%となっております。また、平成20年度企業会計に係る業務委託契約1、517件のうち随意契約は1、310件、86.4%であり、工事請負契約212件のうち随意契約は125件、59.0%となっております。
 また、随意契約によることができる場合は地方自治法施行令第167条の2や県の会計規則に定められておりまして、監査委員事務局として、こうした制度に基づいて適切に行われているか確認しておりますが、その他随意契約の手続的マニュアルを用意しているものではございません。
 なお、特命随意契約につきましては、平成18年度に道路台帳の作成業務委託について、また、平成19年度に道路パトロール業務について見直しの意見提言を行っておりまして、今後も監査を行う中で、必要がある場合には見直し検討の意見提言も検討していきたいと考えております。
 次に、不適切な事務処理を受けての監査体制についてでありますが、平成21年度から監査第一課、監査第二課の2課体制と事務局をしておりまして、再任用職員を1名今年度新たに採用し、人員体制の充実を図ったところでございます。また、自治大学校や会計検査院での研修に職員を派遣いたしまして資質向上を図っているところでございます。
 また、不適切処理を防止するための取り組みについてでございますが、平成21年度監査の執行方針におきまして、不適切な支出の発生の未然防止と早期の発見を図ることを目的に、監査における重点項目の中に需用費及び備品購入費の執行を新たに位置づけまして、事務用品の在庫確認や再発防止策の実施状況の点検、確認、納入業者の外部確認を取り入れた監査を実施し取り組んでおります。
 今後とも、職員の資質向上の取り組みに加えまして、外部確認など業務運営上の工夫、さらには平成21年度の監査体制も検証しながら、監査機能がよく発揮できるように努めていきたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 会計検査院に続けざまに不適切な不正経理処理が指摘され、また、最近、新聞報道でも契約事務の不適切な事案等があったわけでございますが、どうかこの再発防止のためにもう一度洗い出しをして徹底的に総点検をしてほしい。
 それから、私からもお願いなんですが、やはり行政の無駄を徹底的になくすためには、特命随意契約などの見直しをこれから図っていってほしいということをぜひお願いいたしたいと思います。
 それでは、第3点目として、保健・医療・福祉施策の充実についてお伺いします。
 まず、肝炎対策についてお伺いします。
 肝炎対策につきましては、知事には本当に前向きな対応をいただいて、ありがとうございます。
 岩手県肝炎対策計画に基づく肝炎対策のうち、肝炎に関するシンポジウム、それから講演会の開催は県、特にも各保健所、そして市町村との連携が基本となりますが、開催状況はどうなっているのか、そして、各市町村の肝炎ウイルス検査の受診勧奨の取り組み状況及びC型肝炎ウイルス検診受診率の目標設定の状況はどのようになっているのかお伺いします。
 また、未受診者の解消に向けて課題があるとすれば、今後、解決に向けた取り組みをどのようになされていくのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 県の肝炎対策についてでありますが、まず、県が主催、共催または後援いたしました肝炎対策に係るシンポジウムや講演会等は、昨年度は6回、今年度はこれまで2回開催しておりまして、7月以降も複数の開催を予定いたしております。
 次に、市町村の肝炎ウイルス検査の受診勧奨の取り組みについてでございますが、6月の調査によりますと、35市町村のうち31市町村で広報活動を実施しておりまして、広報紙による呼びかけや個別の受診勧奨などが行われている状況にございます。
 また、健康増進法に基づいて行われます検診受診率の目標は17市町村で設定しておりますが、市町村によりまして数値に大きなばらつきがあるところでございます。これは、受診対象者数の考え方が異なるためでありまして、県では、受診率の設定方法を統一するため、現在、市町村に対しまして、ことし3月に厚生労働省が示した市町村におけるがん検診の受診率の算出の考え方を準用いたしました案をお示しし、現在、意見を求めているところでございます。その結果等を踏まえ、受診率の考え方を統一した上で県として目標値を設定し、それに基づく市町村の目標設定と取り組みの促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、未受診者の解消についてでございますけれども、県及び市町村では、これまでもC型肝炎についての正しい知識や検査の重要性についての周知に努めてきたものの、肝炎ウイルス感染者は自覚症状が出にくいなどにより、受診行動に結びつかないことが大きな課題となっているところでございます。
 今後とも、県といたしましては、市町村や関係機関等と一層連携を強めながら、ポスター、リーフレット、県の広報媒体等を活用した普及啓発に努めてまいりたいと思っております。
〇9番(高橋昌造君) そこで保健福祉部長、まず、肝炎に関する制度の周知、それからウイルス性肝炎の検査を通しての早期発見、早期治療、そして未受診者を解消するためにも、特にも県、市町村、それから岩手県予防医学協会を初め、検査機関一体となってしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、次に、県立病院におけるカルテ開示に向けた対応についてお伺いします。
 C型肝炎の救済への道として、血液製剤の投与証明、いわゆるカルテの開示が求められるわけですが、県立病院に対するカルテの開示の請求及び開示状況はどのようになっているのか。また、今後、医療局としてカルテの開示に向けた対応をどのように果たしてまいるお考えなのかお伺いします。
〇医療局長(田村均次君) 県立病院のC型肝炎に係るカルテ開示の請求及び開示状況についてでありますが、厚生労働省が納入先医療機関名等を再度公表した昨年1月から本年5月末までのフィブリノゲン製剤の使用の有無に関する照会は176件となっております。そのうち、カルテの開示請求件数は16件、内訳としまして、カルテが11件、分娩記録が2件、病歴台帳が3件の開示をしているところでございます。
 今後のカルテ開示に向けた対応についてでありますが、カルテを保管している場合は当然のことながら開示を行ってまいりますが、可能な限り情報提供を行い支援をするという基本姿勢のもと、カルテがない場合におきましても、手術記録、分娩記録等、フィブリノゲン製剤の投与事実の証明になり得るような記録があれば積極的に情報提供に努めていきたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 医療局長、前より大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
 医療局長は、やはり県民の命を守る立場、いわゆる命の番人でございますから、どうかひとつこれからカルテ等の開示を求められたときは積極的に対応していただくようにお願いいたしたいと思います。
 それでは、次に、新型インフルエンザ対策としての事業継続計画についてお伺いいたします。
 新型インフルエンザ対策は本県の危機管理に関する重要課題と考えますが、新型インフルエンザに感染した県職員が欠勤した状況に応じた対策の一環として、事業を継続するために必要な準備や対応方針を事前に定め、職員に徹底しておるのかお伺いします。
 また、県内の各市町村や各消防本部のBCP、いわゆる事業継続計画の策定状況がどのようになっているのかあわせてお伺いします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 現在、県におきましては、所属ごとにおおむね4割の職員が欠勤する場合を想定いたしまして、県民生活に最低限必要な機能を維持するとともに、新たに発生する業務等への的確な対応を図る必要がございますので、新型インフルエンザ発生時においても継続する業務、それから中断する業務、さらに新たに生ずる業務など四つの業務区分の設定のもとに、業務の優先区分の設定や業務執行体制の見直し等について検討を行ってございます。
 今後、この検討結果を踏まえ、新型インフルエンザの感染や被害の拡大状況等に応じ、全庁レベルでの優先的に継続すべき業務や新たに対応すべき業務を設定するなど、職員の行動指針となる業務継続計画を早急に策定してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 市町村や消防本部の事業継続計画の策定状況についてでございますけれども、6月26日現在、消防本部は一部事務組合も含めまして12団体中6団体が策定済みとしております。市町村につきましては、35団体のうち、策定済みとするところが2団体、水道部門のみ策定済みとするところが1団体にとどまっている状況にございます。
 事業継続計画は、基本的には各事業者が自主的に策定するものではございますが、インフルエンザ流行時に住民生活を支援する市町村や、社会機能を維持するいわゆるライフライン関係事業者につきましては計画の策定は必須であると考えておりますことから、岩手県新型インフルエンザ対策連絡協議会や市町村の担当課長会議等の場を通じ、策定するよう強く働きかけているところでございます。
 いずれ流行の第2波に備えまして、秋口までに策定していただけるよう、引き続き所管部局と連携しながら情報提供等、働きかけを強めてまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 総務部長、私、きょうあなたの答弁をいただきましてがっかりしました。ということは、検討ではない、私はもう既に取り組んでおるのかなと。そこで、各市町村なり消防本部、または各市町村の消防団、そういうところでどのような策定状況になっているのかということをお聞きしたんです。
 やはり県民生活に直結する例えば県立病院、地域診療センター、それから警察、消防、またインフラの電気事業とか水道事業とかいろいろあるわけですが、ここでひとつ約束していただきたいのは、いつまでに策定して、それを公表して、県の広聴広報を使って早く県民の皆さん方に公表してお知らせして、事前に理解をしていただくというお考えをぜひ示していただきたいと思います。
〇総務部長(菅野洋樹君) 御指摘のとおりでございまして、やはり県の業務というのは県民の方々に大きな影響を持つ業務が多うございます。そういった意味で、いずれどういう業務を優先すべきかということについて県民の方々に公表し、御理解いただくことが非常に大事でございますので、今申し上げましたとおり早急に策定を完了いたしまして、速やかにこれをお示しするように全力を尽くしてまいりたいと存じております。
〇9番(高橋昌造君) それでは、よろしくお願いいたします。
 次に、地域診療センター無床化後の医療と介護のあり方についてお伺いします。
 紫波地域診療センターは、医療と介護が連携した要介護者支援のモデルケースとされてきましたが、今後、要介護者の医療ニーズに対応した地域医療を県としてどのように構築してまいるお考えなのかお伺いします。
 また、県の地域ケア体制整備構想の中で、在宅療養支援診療所を中心とした在宅医療提供体制の整備について今後どのように具体化していくのかお示し願います。
 そして、具体化する過程におきまして、地元自治体、医師会、医療機関及び介護施設等との合意形成を図るための協議組織の設置、及び県立病院として要介護者の容体が悪化した際の受け入れ体制の整備と在宅医療スタッフとの連携等にどのように取り組まれるのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 要介護者の医療ニーズに対応した地域医療の構築についてでございますが、まず、要介護者の容体が悪化した場合における入院受け入れを含め、要介護者の個々の医療ニーズに適切に対応していくためには、今後とも紫波地域診療センターを初めとする関係医療機関、地元の地域包括支援センターや介護施設等が緊密に連携を図っていくことが重要であり、県としてもその連携体制づくりをともに推進してまいりたいと考えております。
 また、現在、紫波町内には在宅医療の中心となる在宅療養支援診療所がございませんことから、在宅医療提供体制の整備につきましては、より広域的な視点で検討していく必要があるものと考えております。
 昨年度策定いたしました盛岡圏域の医療連携推進プランにおきましては、医療と介護の連携を推進するための地域ケア体制を構築する柱の一つとして在宅医療提供体制の整備を掲げているところでございまして、今後、圏域の中でその取り組みを促進していく段階にあるものと考えております。
 したがいまして、今後におきましては、議員御提言のような関係者の参画のもとに、当該プランを推進する圏域連携推進会議の中にワーキンググループを設けるなど、具体化に向けた議論を行っていくなどという方策を考えておりますことから、関係者と速やかに協議してまいりたいと考えています。
〇医療局長(田村均次君) 要介護者の容体悪化時の受け入れ体制についてでありますが、介護施設等から容体悪化─主に肺炎、尿路感染症などによるものが多いようでございますが─によりまして診療要請があった場合は、地域医療福祉連携室や外来看護師等が窓口となって受け入れをしております。
 地域診療センターと連携のあった介護施設等からの病床休止後の受け入れは、4月、5月で、休止後の地域診療センターには39名、ほかの県立基幹病院等には68名の107名となっており、そのうち35人が基幹病院等への入院となっております。例えば、紫波地域診療センターと連携のあったにいやま荘からは、紫波地域診療センターで17名が診察し、中央病院には1名の入院となっております。
 今後とも、容体悪化時の受け入れには、圏域内県立病院を中心に、民間病院とも連携しながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、在宅医療スタッフとの連携についてでありますが、市町村や二次保健医療圏などを単位として、地元医師会、市町村、介護施設、県立病院を含む医療機関等で構成する地域の連絡会議等が開催され、在宅医療や退院後の施設でのケアなど、介護、福祉との連携について協議をしており、今後におきましても、地域の関係機関と連携を図りながら対応してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) それでは次に、要介護認定の見直しについてお伺いいたします。
 4月から新しい要介護認定の見直しが行われたわけですが、要支援1、2及び要介護1、2の軽度者が1次判定で非該当と出たり、また、介護認定審査会での介護度の変更が難しくなるなどいろいろな問題点が指摘されている中で、介護認定の更新申請者で、希望者に限り、新しい認定によって出た結果を従来の介護度のままにすることができるというもので、希望しない者や新規申請者は対象外であるということは全く不公平であり、県としてこの実態をどのように把握しているのか、また、今後、国に対して制度の見直しを含め、どのように取り組まれるお考えなのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 要介護認定の見直しについてでございますけれども、今回の見直しにつきましては、軽度に認定される、必要なサービスが受けられなくなるなどの更新申請者の不安感が大きいことから、国において、その検証を行う間、経過措置を実施することとしたものと承知しております。この国の経過措置におきましては、更新申請者がこれまでと同じように安心してサービスを利用できることを目的としていることから、希望しない方及び新規申請者は対象とされていないものと承知しております。
 この経過措置に係る県内の状況は、5月までに更新申請をして認定結果が出た3、340名中、事前に経過措置を希望した方は76.2%の2、545名、そのうち、更新前よりも軽度の判定となった者586名、重度の判定となった者175名の計761名─これは希望者の29.9%でございます─が実際に経過措置の適用を受けているところでございます。このように県内で7割を超える方が経過措置の適用を希望している実態にあることから、更新申請者や新規申請者に不安感を持たれることがないような要介護認定制度となるよう、県としても国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 次に、介護人材の確保についてお伺いします。介護人材の処遇の向上を図るため、今回の補正予算にも提案されておるわけですが、介護業務従事者処遇改善交付金を活用し、安定した介護サービスの提供体制を整備することになりますが、まず、3年間の期間限定つきで対象範囲も限られており、ケアマネジャー、訪問看護師等は対象外であり、果たして介護人材の確保につながるのか甚だ疑問であります。県として、このことについてどのように認識しておられるのか。また、これでは今後ますます人材不足に拍車をかけることになるものと思われますが、国に対し、さらなる介護人材の確保、育成のためにも恒久対策を求められるお考えはないのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 介護人材の確保についてでございますが、今議会に御提案申し上げております介護業務従事者処遇改善交付金事業の実施によりまして、介護に直接従事する職員の処遇の向上が確実に進むものと考えております。しかしながら、本事業は介護関係職員の中で特にも給与水準が低いとされる訪問看護員や施設介護職員という介護に直接従事する職員の処遇改善を目的としておりますことから、御案内のとおり、国の制度におきましては、ケアマネジャーや看護師等は対象とされていないところでございます。
 県といたしましては、これまでも、介護に直接従事する職員のみならず介護従事者全体の処遇改善等について国に対し要望してきたところでございまして、引き続き、介護従事者全般の処遇に係る恒久的な制度改善について要望してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 次に、介護サービス情報公表制度の見直しについてお伺いします。
 介護サービス情報の公表制度は、利用者及びその家族等が介護サービスを選択する際の判断材料となりますが、情報の公表はインターネット上で公開されているのみで、この対象の方々、利用者とか家族の方々は高齢者の方が多いわけでございまして、実際、利活用なされているのか。そして、県としてその実態を調査の上、把握なされているのか。また、国に対して公表制度の必要性を含めた制度の見直しを求めるお考えがあるのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 介護サービス情報の公表制度の見直しについてでございますが、本県では、介護保険法に基づく指定情報公表センターとして岩手県長寿社会振興財団を指定しておりまして、インターネット上で介護サービス情報を公表しております。そのトップページには、平成19年度、平成20年度ともに2万件を超えるアクセスがあったところでございます。この公表制度は、平成21年度からは認知症グループホームなど15事業が公表対象に追加され、さらに利用情報の充実が図られてきておりますので、適切なサービス選択に資するため今後とも活用されるものと考えております。
 しかしながら、公表する情報内容や公表に係る手数料金額などの課題が指摘されておりまして、県では、手数料額の引き下げなどの改善を図ってきたところでございますけれども、高齢者を含めて利用しやすい公表形式、理解しやすい情報内容に見直すこと、調査を一定の周期で実施し、事業者の申告による公表を取り入れるなど効率的なあり方を検討することなどにつきまして、これまでも国に対して要望しておりまして、今後とも引き続き要望してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) それで、保健福祉部長、岩手県は47都道府県で認知症のサポーターがナンバーワンということはおわかりになっていらっしゃいますね。やはり、これからそういったサポーターとか、そういうものもうまく利活用なされるように、あわせてひとつ推進していくようにお願いをいたしたいと思います。
 それでは、次に地域包括支援センターの総合化についてお伺いします。
 現在、地域包括支援センターは介護保険上で運営され、支援対象は高齢者となっておりますが、実際は、多くの問題を抱えている家族の相談が多く、児童虐待から精神障害を持つ介護者などへの対応が最近目立ってきておるということをお聞きしております。5月22日付で厚生労働省から公表されました地域包括ケア研究会報告書の中で、地域包括支援センターの役割の拡張と明確化について示されましたが、地域においては、医療、介護及び福祉の一体的な提供の実現が求められるわけですが、今後、地域包括支援センターを、地域住民すべてを対象とした医療、介護及び福祉の地域包括支援の拠点としての総合相談センター化へと体制整備をするため、各市町村と一体となり、県として支援していくお考えはないのかお伺いします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 地域包括支援センターの総合化についてでございますが、地域包括支援センターは、現状におきましても、本来の業務の中で、例えば高齢者の相談に関連して、障がいや児童に関する問題等を把握した場合は、市町村の障がい者や児童の相談窓口に速やかに連絡するなど、それらの問題解決にも一定の役割を果たしているものと認識しております。市町村におきまして、地域住民すべてを対象といたしました医療、介護及び福祉の総合相談体制を整備する場合には、現行の介護保険制度を初め障がい者福祉、児童福祉、医療等の分野を超えた体制整備が必要となろうと考えておりますが、他県の市町村におきましては、既にそのような取り組みを行っているところがあるものと承知しております。
 県におきましても、支援センターの総合化は方向性としては望ましいものと考えておりまして、本年3月に、市町村、県立大学、関係団体等の協力を得て策定いたしました岩手県地域福祉支援計画におきましても、住民が身近なところで相談、支援のワンストップのサービスが受けられるよう、保健センターや地域包括支援センターなどの相談、支援機能を統合した(仮称)保健福祉サービスセンターの設置などの検討についてお示ししているところでございます。今後におきましては、計画に携わりました関係者の皆様の協力を得ながら、議員の御提言を踏まえまして、地域の特性を踏まえた総合的な体制の整備に向け、市町村と連携して調査、研究を進めてまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) それでは、第4点目として農業振興についてお伺いいたします。
 まず、食料自給率についてお伺いします。県では、新しい長期計画の策定を進めておりますが、農業分野では今後どのようにして本県の食料自給率を向上させ、いわて希望創造プランで目標としております食料供給基地岩手の実現を図っていくのか、基本的なお考えをお示し願います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 食料自給率についてでございますが、県といたしましては、これまでも自給率の向上に向けて、いわて希望創造プランに基づき、生産面においては、担い手の育成はもとより、安全・安心で高品質な食料を安定的に供給できる産地づくりや、本県の豊かな草資源を生かした自給飼料の生産拡大等に取り組むとともに、消費面では、食育活動による米の消費拡大や、地産地消の促進による県産農産物の利用拡大に取り組んできたところでございます。今後におきましては、喫緊の課題でもあります水田のフル活用や耕作放棄地の再生利用により、新たな需要として期待される米粉用米や飼料用米の生産拡大を図るとともに、こうした取り組みを新しい長期計画の検討にも反映させながら、食料供給基地岩手を確立してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) それでは、次に新規需要米等の取り組みについてお伺いします。新規需要米等の取り組みについてですが、国の支援制度を積極的に活用するとともに、県としても最大限の支援をしていく必要があると思いますが、本県における飼料用米や米粉用米などの作付状況や利用計画はどのようになっているのか。また、今後、県はどのように支援してまいるお考えなのかお伺いします。
 また、県では、水稲の低コスト栽培として水稲湛水直播作溝同時播種技術を開発し、現地実演会を開いて普及に努めているとのことですが、飼料用米や飼料用稲などをより低コストで栽培するためには直播技術の導入が欠かせないと考えますが、飼料用米や飼料用稲などの直播栽培技術の導入状況はどのようになっているのか。また、今後、県としての支援策があればお示し願います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 新規需要米の取り組みについてでございますが、まず、飼料用米や米粉用米の作付状況につきましては、飼料用米は16市町村で約270ヘクタールとなっており、主に肥育豚や採卵鶏へ給与する計画であります。また、米粉用米は約20ヘクタールで、主としてパン用として利用される計画となっております。これらの新規需要米の生産振興は米利用の新たな可能性を拡大し、水田の有効利用や自給飼料の確保による畜産の振興に資するものであり、積極的に推進する必要があると考えております。このような考えから、昨年7月に、農業団体と県で構成する飼料用米等生産拡大対策チームを設置し、安定的な需要の確保や低コスト生産技術の普及、拡大などを支援しているところであります。今後におきましても、これらの取り組みにあわせ交付金など国の支援制度を活用し、調整水田等の不作付地への作付拡大を誘導し、新規需要米の生産拡大に努めてまいります。
 次に、飼料用米等における直播栽培の状況についてでありますが、平成21年産の直播栽培面積は75ヘクタールで、飼料用米等の作付面積520ヘクタールの14%となっております。生産コストの低減のため一層の普及を図る必要があると考えているところでございます。このため、県ではこれまで農業研究センターにおいて、本県など冷涼な地域でも安定生産ができる本県独自の湛水直播技術と直播専用肥料を開発するとともに、先進的な農業者が中心となって実践研究を行っておられる直播栽培米研究会と連携した研修会の開催等による技術の普及に取り組んでいるところであります。今後におきましては、これらの取り組みに加え、生物工学研究センターや東北農業研究センターと連携した多収で直播適性にすぐれ、耐病性が強い品種の開発や、国の交付金や農業機械リース事業などによる直播機の導入支援などにより、直播栽培の普及、定着を加速させてまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 農林水産部長、もう少し夢のある農業政策のお話ができないものか。何か、悲しくなるんですよね。私もうちに帰れば百姓の一人なんですが、やはり新規需要米の取り組みは本県にとっては非常に重要な、本当に一番大事なかなめのところでございますので、もう少し工夫をしていただくように、ぜひお願いをいたしたいと思います。
 次に、6次産業化についてお伺いします。6次産業化の推進は、農畜産物の生産による収入のみならず、農業者が主体的に、総合的に食品加工や流通、販売にかかわることにより、付加価値分を農業者が所得として得られるようになることから、農業の活性化に大いに貢献するものと期待できるものであります。県では、いわて6次産業チャレンジ支援事業を推進しているとのことでありますが、地域特産物等の特性を生かした新商品の開発や新たな流通、販売など、本県における6次産業化の取り組み状況、そして具体的な成果をお示し願います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 農商工連携による6次産業化についてでございますが、県では、安全・安心で高品質な県産農林水産物等を生かし、より付加価値の高い加工品の生産、販売や、農産物等の地産地消等を支援するいわて6次産業チャレンジ支援事業を実施しているところでございます。この事業は、新たな6次産業化の企画を募集し、雇用創出効果等が期待されるものをモデル事業として委託するものでございまして、ことし4月に9者を選定しております。現在、バイヤーOB等の民間アドバイザーによる指導や、商談機会の提供等を通じて事業化を進めているところでございます。現在、各事業が始まったところではございますが、販路の開拓という面では、広域連携による街なか産直の開設、農産物の宅配、ネット販売の展開といったような成果が上がっております。また、新商品の開発では、耕作放棄地を活用したそば栽培や県北産の雑穀を活用したレトルト食品、山菜等の地元農産物を活用した加工品開発等の取り組みが開始されたところでございます。
〇9番(高橋昌造君) 次に、地産地消の推進について知事にお伺いいたします。
 平成20年6月に学校給食法が改正され、学校給食での地域の産物の積極的利用が法律で規定されたところでありますが、学校給食における地産地消の取り組み状況や産直施設との連携はどのようになっておるのか、また、食育推進の観点から、農業体験など地域おこしにつながるような農業への取り組みも支援していく必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 地産地消の推進についてでありますが、次代を担う子供たちが、学校給食を通じてより多くの県産食材に触れて、本県農林水産及び食文化に理解を深めてもらうことは極めて意義深いことであります。このため、県では関係団体と連携して学校給食への地元食材の供給システムづくりなどを支援してきたところでありまして、その結果、平成19年度の文部科学省調査によりますと、県産食材の利用状況は34.5%、これは全国平均を約11ポイント上回り、全国8位となっているところであります。
 また、学校と産直施設との連携については、県内産直施設の約3割が学校給食への食材提供をやっておりまして、また、約2割の施設が体験学習の支援などに取り組んでいるところであります。今後は、県産食材を活用した給食用商品の開発の支援など、引き続き地産地消の取り組み等を積極的に推進してまいります。
 また、子供たちが農業を体験し、地域の農業者等と交流することは、地域コミュニティの活性化にもつながります。今後とも、農業県岩手の特徴を最大限に生かし、農業体験の受け入れ態勢の充実を図って、食と農が連携した学びの場として、岩手らしい食育の推進と農業、農村の活性化を図ってまいります。
〇9番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それでは、次に耕作放棄地の解消についてお伺いいたします。農林水産省が4月7日に公表した耕作放棄地の平成20年度実態調査では、本県の耕作放棄地は6、952ヘクタールであり、このうちおおむね10年以上放置され、復元不可能な土地は全体の40%弱に当たる2、670ヘクタールとのことであります。県として、今後どのように耕作放棄地の解消を進めてまいるのかお伺いします。
 また、例えば、耕作放棄地を市民農園として開放して活用するようなことも考えていくことが必要でないかと考えますが、現状の取り組み状況はどうなっているのかお伺いします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 耕作放棄地の解消についてでございますが、これまで、県としては市町村等と連携し、中山間地域等直接支払制度等を活用して耕作放棄地発生の未然防止活動を支援してきたところでありますが、昨年度からは庁内にプロジェクトチームを設置し、土地情報のデータベース化や産地づくりの視点に立った広域的な利用調整に取り組んでおります。今後、さらに国の耕作放棄地再生利用緊急対策交付金を活用した耕作放棄地の解消などに取り組むほか、農地再生広域コーディネーターの配置によります市町村を越えた広域的な利用調整を積極的に行い、耕作放棄地の解消に向け、市町村、関係団体等と十分連携しながら、地域の実情に応じてきめ細かく対応してまいりたいと考えております。
 また、御提案のありました市民農園につきましては、現在、20市町村で32の農園、6.7ヘクタールが開設されているところでございますが、利用希望者が多いことから、耕作放棄地解消への一つの方策と考えており、市町村や関係団体と連携して支援してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 第5点目として、地球温暖化対策についてお伺いします。
 まず、日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標についてお伺いします。政府が、6月10日に平成32年までの日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標を平成17年比で15%にすると発表しましたが、知事はこのことについてどのように評価しているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 政府が発表しましたのは2020年までに2005年─平成17年─比で15%削減というものでありますが、この目標は、ことし12月にコペンハーゲンで行われる気候変動枠組条約第15回締約国会議に向けた我が国の考え方を示したということでありまして、排出枠購入分、森林吸収量を含まない国内削減分のみのいわゆる真水の目標ということであります。今後、この締約国会議の中で最終的な我が国の削減目標が決定されるということでありますので、現段階での評価は差し控えたいと思います。
〇9番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 それでは、次に県の二酸化炭素排出量削減の数値目標達成のための取り組み等についてお伺いします。来年までに県の二酸化炭素排出量を平成2年比で88パーセント削減するということですが、環境王国いわてを標榜している環境立県としての立場から、数値目標達成のためどのように取り組まれるのか、県民にわかりやすく具体的にお示し願います。また、政府の中期目標との整合性を県として今後どのように図ってまいるのかお伺いします。
〇環境生活部長(松川求君) 二酸化炭素排出量8%削減に向けた取り組みについてでございますが、二酸化炭素排出量が増加傾向にあります家庭部門やオフィス・店舗等の民生業務部門、そして自家用車を含む運輸部門を中心にCO2ダイエット・マイナス8%運動、地球環境にやさしい事業所の認定、エコドライブなどを推進しております。今年度はさらに、去る6月22日に県内41団体の参加を得て設立した温暖化防止岩手県民会議を中心として二酸化炭素排出削減に向けた具体的な取り組みを行い、その成果を広く公表することなどの取り組みを展開していくことといたしております。また、住宅用太陽光発電システムへの補助の実施や環境対応車への買いかえを支援するなどの新たな取り組みを加え、二酸化炭素排出削減を進めてまいります。
 次に、政府の中期目標との整合性についてでありますが、県では2010年までの二酸化炭素排出量の削減目標を定めているわけでございますけれども、2011年以降の削減目標につきましては、今後、本年12月にコペンハーゲンで開催される会議、気候変動枠組条約第15回締約国会議において決定される我が国の削減目標を踏まえ検討してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 次に、地球温暖化対策の計画的かつ総合的な推進についてお伺いします。
 地球温暖化対策を実効性のあるものにするために、先ほど御答弁の中にもございましたが、6月22日に立ち上げられた県民組織とあわせて、やはり県内市町村との連携を強化して地球温暖化対策を計画的かつ総合的に推進しなければならないと思うわけですが、今後、県としてどのように取り組まれるのかお伺いします。
〇環境生活部長(松川求君) 市町村との連携についてでございますが、地球温暖化対策の推進のためには、地域の実情に応じて地域に密着した取り組みが必要不可欠でございます。市町村との連携は特に重要と考えております。このことから、温暖化防止岩手県民会議には、市長会、町村会に参加していただき、各家庭におけるエコライフの推進など、県民会議と市町村とが連携した取り組みを進めていくことといたしております。
 また、今月、市町村との連絡会議を開催することといたしておりまして、こうした場を通じ、二酸化炭素排出削減に向けた取り組みや地域資源を活用した新エネルギーの導入など、県と市町村の連携した取り組みについて検討してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 環境生活部長、私は今回、前の予算特別委員会のときもそうだったんですが、一つ勉強させていただいたことがあるんですよ。画餅に帰すということです。辞典で調べてみたら、計画などが無駄骨に終わるということですね。どうか、そういうことのないようにしっかり取り組んでいただきたい。
 余りこれ以上は責めませんが、お聞きすると、対策本部を設置して、その中にはいろいろ委員会とか検討会議、ワーキンググループ、やはり庁内の中にもそういった対策本部があるわけですから、そういうところではしっかり取り組んで、やはり県は率先垂範を示していかなければならないと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、第6点目として、学校教育の充実についてお伺いします。
 まず、小学校での英語教育についてお伺いします。
 平成23年4月から完全実施されます小学校英語教育を実効性あるものにするためには、特にも小学5、6年生の担任教師の英語研修や外国語指導助手の活用などの取り組みが必要であると考えますが、本県の小学校での英語教育について今後どのように取り組まれるのかお伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 小学校での英語教育についてでありますけれども、まず、今般の学習指導要領の改訂に伴って導入された小学校の外国語活動は、英語のみならず、中国語や韓国語、フランス語、スワヒリ語など多様な言語や文化に体験的になれ親しみ、言語活動を充実させ、コミュニケーションを図ろうとする態度を育成するものとされており、英語そのものよりも音声によるコミュニケーションを重視し、豊かなコミュニケーションを体験させるということにされています。
 この外国語活動の推進に当たっては、担当する教師だけではなくて、学校全体として研修を実施し、教師全体が外国語活動の指導ができるようになることが大切であると認識しており、昨年度と今年度において、小学校及び中学校の先生方を対象に外国語活動の趣旨や具体的な授業の進め方についての研修を実施しており、今後一層充実を図ってまいりたいと考えています。
 また、外国語活動の先行実施として、平成19年度、平成20年度の2カ年にわたりまして県内の11校の小学校を研究拠点校として指定し、現在、その実践内容について普及活動を進めているところであり、今年度は新たに11校の研究指定校を指定し、指導のあり方の研究を一層深めているところであります。
 さらに、外国語指導助手の活用については、積極的に活用を図るよう、市町村教育委員会との連携を深めながら進めてまいります。
〇議長(佐々木一榮君) 本日会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇9番(高橋昌造君) 教育長、いずれ小学校英語には学校現場の不安も強いようですので、ぜひこの不安解消のためにしっかり取り組んでほしい。それから、やはり英語教育は小・中学校の緊密な連携も必要だと思いますので、ぜひそこにも御配慮をいただきたいと思います。
 次に、退職教師のボランティア活動についてお伺いします。
 新規採用教師のサポート育成支援及び教師のメンタルヘルス対策や、学校または教師の自由度を高めるためにも、学校現場における経験豊かな退職教師をボランティアとして活用してまいるお考えがあるのかお伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 退職教師のボランティア活動として採用する考えはということですけれども、退職教員については、御案内のとおり豊かな経験を持つ貴重な人材であり、これまでも学校現場において活躍いただいているところです。
 今年度は、教員の再任用者25人、新採用教員の指導等に45人、小学校における少人数教育の対応としてのすこやかサポート26人を初めとして226人の退職教員を任用しております。
 ボランティアとしての活動をしている事例も見受けられますけれども、国においても、退職教員等を活用することにより、教員が子供一人一人に向き合う環境をつくるための外部人材活用事業を導入しており、退職教員の活用の道も開かれてきていますので、本県でもその活用に向けて検討してまいりたいというふうに考えています。
〇9番(高橋昌造君) 第7点目として、地域総合防災力の強化についてお伺いします。
 まず、岩手・宮城内陸地震を教訓とした地域防災計画の見直し等についてお伺いします。
 昨年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震を教訓として、地域防災計画を具体的にどのように見直しをしたのかお伺いします。
 また、総合防災の観点から、地域防災計画の実効性をどのように高めていくお考えなのかお伺いします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 岩手・宮城内陸地震を教訓とした地域防災計画の見直しについてでありますが、県の地域防災計画の見直しに当たっては、あらかじめ内閣総理大臣との協議を経た上で県の防災会議で決定することとされてございます。
 このようなプロセスを経て既に地域防災計画に反映させたものとしては、DMAT─災害医療対策チームでございますが、その役割や機能及び救助、救急輸送機関との連携などの項目を新たに追加し、計画上の位置づけを明確にしたことなどでございます。また、既に見直しを行い、今年度の県防災会議に諮ろうとしているものといたしましては、災害対策本部において、応援部隊などの運用に関して総合的な調整を行う総合調整所及び被災現場での現地調整所の設置、さらには、県災害対策本部支援室の班編成の再構築やその役割分担の明確化等について実際、今後、進めてまいりたいと思ってございます。
 いずれにいたしましても、岩手・宮城内陸地震の教訓を今後の本県の防災機能の向上に生かしていきたいと考えてございます。
 また、実効性の確保についてでございますが、実際に事が生じた場合、計画に沿って職員が動けるかどうかというものが非常に大事でございますので、総合防災訓練を初めとした実践的な訓練を積み重ねるとともに、自衛隊、消防などさまざまな防災関係機関との連携を強化してまいりたいと存じます。
 先月、職員の非常招集訓練に合わせまして、当部において災害の初動対応についての図上訓練を実施したところでございますが、こうした訓練を積み重ね、そこで明らかになった課題を一つ一つ解決しつつ計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 次に、耐震改修促進計画の目標達成のための取り組みについてお伺いします。
 改正耐震改修促進法に基づき、各都道府県に策定が義務づけられた耐震改修促進計画では、平成27年までに耐震化率90%という具体的な数値目標が示されたわけですが、目標達成のための具体的な取り組みについてお伺いします。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 県では、改正耐震改修促進法に基づきまして、耐震改修計画を平成19年1月に策定したところであります。住宅の耐震化率は平成18年度に65%となっている実態を踏まえまして、平成27年度の目標値は、国が引き上げた割合15ポイントを加えました80%にしたところでございます。また、共同住宅やホテルなどの多数の方々が利用する建築物については、同様に70%から85%としたところでございます。
 住宅についての取り組みですが、平成17年度から耐震診断に対する支援制度を、平成20年度から耐震改修に対する支援制度を創設し、その促進に取り組んでいるところでございます。
 また、多数の方々が利用する建築物につきましては、耐震性が低いとされる約1、100棟の建築物につきまして、文書による耐震診断、耐震改修の指導を行うとともに、このうち延べ床面積がおおむね2、000平米以上の約400棟につきまして、個別に管理者または所有者に対しまして現地指導を実施してきたところでございます。さらには、県及び市町村施設につきましては、国の補助制度である住宅・建築物安全ストック形成事業等を活用しまして、施設の耐震診断、耐震改修など耐震対策の促進を図っているところでございます。
 今後とも耐震改修の促進に積極的に取り組んでまいります。
〇9番(高橋昌造君) 次に、避難場所の耐震化の実態等についてお伺いします。
 地域の防災拠点であり、また、避難場所でもあります各市町村の保育園、幼稚園、学校、体育館及び公民館等公共施設等の耐震化の実態はどうなっているのか。また、住民の安全・安心の確保のため、耐震性を満たしている避難場所であることを周知させるため、県として統一した表示制度を導入するお考えがないのかお伺いします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 消防庁における平成20年4月1日現在の調査結果では、県内の公共施設等6、782棟のうち、平成20年度末で耐震基準に適合する施設は4、506棟、66.4%となっております。このうち、防災拠点に指定されている施設は2、975棟あります。そのうち、耐震基準に適合する施設は1、949棟、65.5%となっております。
 次に、避難場所等の耐震性に関する統一した表示制度の御提言についてでありますが、他県において、耐震改修済み建築物であることを表示する制度を統一的に設けている例もございます。避難場所等を指定する権限を有している市町村や施設の管理者ともよく相談しながら、どのような対応が最も適切なのか、よく研究してまいりたいと存じております。
〇9番(高橋昌造君) 最後に、地域防犯力向上の取り組みについてお伺いします。
 平成20年版警察白書に、第一線で活躍する本県の警察職員の手記が載せられておりますが、その一端を紹介しますと、刑務所に移送されることになった者に対し、刑務所に行ってもおまえなら大丈夫だ、二度と同じ過ちをするなよと言って送り出したところ、しばらくしてその者から、看守の人に言われたことを励みにして頑張っていますという手紙をもらいましたという内容のことを書いておりますが、そのさりげない、そしてぬくもりのある対応に何かしら熱いものが込み上がる思いです。
 そこでまず、第一線の警察職員の研修についてお伺いします。
 警察予算の約8割は人件費ということで、警察がいかにマンパワーで支えられているかをうかがい知ることができます。県民の安全・安心を守るため、第一線の職員が昼夜を分かたず、大変御苦労なされていることに改めて敬意を表するものであります。地域の防犯力向上を図るためには、現場の活動体制の維持、強化をすることが求められます。第一線の職員一人一人の意欲を高めるためには常日ごろの訓練や定期的な研修が大変重要と考えられますが、どのような取り組みをなされているのかお伺いします。
〇警察本部長(保住正保君) 近年の厳しい治安情勢の中で大量退職、大量採用時代が到来し、警察官の職務執行を取り巻く環境が著しく悪化している状況にある中、議員御指摘のとおり、県警といたしましても、警察職員の訓練や研修が極めて重要であると認識しております。
 警察では訓練や研修を含めて教養というふうに総称しておりまして、これは、警察学校における教養と職場における教養の二つに大別されております。
 まず、警察学校における教養でありますが、採用時の基礎教養のほか、刑事警察、交通警察など専門分野における知識、技能を修得させるための専科教養を実施しております。
 次に、職場教養でありますが、日々の業務を通じて行う、例えば職務質問の技能を伝承するといった個別教養、さらには事件、事故発生時の初動対応など、テーマを設けた所属全体や年齢層、階級、職務別に行う集合教養を実施しております。特に本年度は、今年度からでありますが、通信指令、鑑識などの業務で卓越した専門的技能を有する技能指導官を2名から10名に増強指定し、教養を強化しているところであります。
 また、訓練につきましても、日ごろから警察職員の体力、気力の養成を目的として、柔道、剣道、逮捕術、けん銃射撃等の訓練を推進しており、本年度からは、高段位を有するすぐれた指導力のある首席師範代を各警察署等に配置してその強化を図っているところであります。
 今後とも、現場執行力の維持、強化を図るための教養や訓練を計画的に推進してまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 次に、交番及び駐在所の機能強化についてお伺いします。
 地域の安全と安心のよりどころとなります交番及び駐在所の果たす役割がますます重要となっておりますが、今後、人員の増強や施設の充実など、交番及び駐在所の機能強化のため、具体的にどのように取り組まれるのかお考えをお伺いします。
〇警察本部長(保住正保君) 交番、駐在所についてでありますが、現在、県内17警察署に交番39カ所、駐在所162カ所の合計201カ所を設置しております。これらの交番、駐在所に、平成21年4月1日現在で468名の地域警察官と27名の交番相談員を配置しております。
 交番、駐在所の役割は、議員御指摘のとおり地域の安全と安心のよりどころでありまして、一定の地域を受け持ち、その地域の安全に対する第一次的な責任を担う、これらの地域の生活安全センターとして位置づけております。
 交番、駐在所の機能強化のための今後の具体的な取り組みについてでございますが、県警といたしましては、地域の人口動向、事件、事故の発生状況などを総合的に勘案しながら、毎年、全県的視野に立って、交番、駐在所の配置、運用について検討を進めているところであります。
 また、交番、駐在所の新設を含めまして、建てかえにつきましては、画一的な基準はございませんが、建築後おおむね25年を経過した施設について、個別に老朽度、狭隘度、地域住民の利便性等を総合的に検討いたしまして建てかえなどをしているところであります。
 今後とも、地域安全活動の拠点であります交番、駐在所の機能強化に向け、治安情勢の変化に的確に対応できる警察力の運用、さらには行政サービスの向上を図りながら、より効果的な警察活動を推進するため、関係当局と連携して機能の強化及び施設の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) 以上をもちまして私の質問が終わりますが、知事を初め、当局の皆様方には前向きな誠意ある御答弁をいただきましてありがとうございました。
 本当に御清聴ありがとうございます。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成21年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第22 議案第21号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木一榮君) この際、日程第2、議案第1号から日程第22、議案第21号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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