平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇12番(熊谷泉君) 自由民主クラブの熊谷泉であります。
 3度目の一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様方に感謝を申し上げます。
 質問の中に、さきの質問者の方々と一部重複する箇所もあることを御了承いただけますようにお願いを申し上げます。
 それでは、通告に従い、順次質問をしてまいります。
 昨年秋のアメリカでのサブプライムローンに起因して始まった金融危機の影響は、対岸から津波のように瞬時に押し寄せ、日本にも深刻な不況をもたらしました。最初に影響が出たのは自動車やITなど輸出によって大きな利益を上げてきた企業であり、本県に立地していた自動車産業やIT産業も非正規社員から始まり、工場閉鎖、移転などで大量の解雇者が出ました。これらものづくり産業から始まった不況は下請企業などの中小企業、サービス業と広がり、本県の事業者も先行きの見えないこの状況から、改めて100年に一度という表現をかみしめていることと思います。
 政府は、この世界同時不況に当たり、3段ロケットともいわれる緊急経済対策を打ち出しました。国内の金融の安定化と需要拡大であります。昨年末から矢継ぎ早に出された信用保証協会枠の拡大などで、年末や年度末の資金繰りを金融機関からの融資で乗り切った企業は県内でも多いと思います。今、行われているのが内需拡大を初めとする需要拡大に向けての経済対策であります。ハイブリッド車の製造販売で一部明るい兆しが伝えられてはいるものの、本県において景気の回復を実感している企業はほとんどない状態にあり、それらを背景に雇用情勢は依然として厳しい状態にあると考えられます。
 政府は、今般、15兆円の経済対策を打ち出し、県においても今議会に大型補正予算を提出していますが、県民も、その額から大きな期待を寄せており、その中身は雇用対策が大きく占められており、その内容について詳しく確認させていただきます。
 まず第1に、県は昨年末より出された経済対策で、どのような雇用対策を行ってきたのか、また、今回の大型補正予算で何に重点を置いたのかお伺いをいたします。
 第2に、昨年、県南局を中心に自動車産業、IT産業など大量解雇が続いたのは周知のとおりです。ものづくり産業の痛手は3次産業にも及び、全県において雇用問題は深刻であり、県都盛岡においても中心市街地から飲食業の撤退が相次ぎ、盛岡振興局管内の有効求人倍率も2月の0.48から4月には0.39と悪化しています。また、岩手労働局は、昨日、5月になりさらに悪化したと発表しています。本県は各広域振興圏によって産業構造が異なり、例えば県北・沿岸のように第1次産業中心のところは、農林漁業での雇用拡大も重要であると思います。これらを踏まえ、各広域振興圏の求人状況とそれぞれの雇用対策を伺います。
 第3に、建設業界への支援についてですが、かつて、1929年以降の大恐慌において、米国でとられたニューディールといわれる社会経済政策において、植林、土壌保全、治水、その他の公共事業が失業者の救済に大きな役割を果たした時代がありました。介護、医療、福祉については今回の議案の中にも示されていますが、長年、公共事業の削減で経営に苦しんだ建設業界への対策も重要と考えますが、その対策について伺います。
 第4には、若者の就職支援についてですが、昨年からの解雇者の対応に追われているうちに来春の新卒者の就職活動が始まったというのが実感でないかと思われます。リクルート活動を始めている学生たちもかつてない厳しさを感じているわけであり、県内に一人でも残ることがベストと考えますが、今の状況下では、まず職につくのが課題と思われます。これらの若者の就職についての具体の支援策を伺います。
 次に、地域医療についてですが、4月1日からの5地域の無床診療所への移行に当たっての取り組みと、新たに生じた課題に対応するために、各地域で、無床診療所化後1年間を目途に、市町村、医療・福祉関係者及び各種団体等で構成する協議の場を継続するとしたことについては、一定の評価をするものであります。しかし、このような協議の場については、本来、無床化する1年前ぐらいから設定し、各地域の診療センターについて行われるべきものであり、私も5月7日に紫波地域の懇談会に出席しましたが、第1回目は、従来の医師不足により無床化はやむを得なかったとの県の説明に終始したように思われました。その場での知事の、地域の痛みを知るために出席したとの発言については、かなりのやじと怒号が飛び交いました。知事は無床化後の問題を聞く考えのようでしたが、無床化そのものが地域にとっての痛みなわけで、多分に誤解を生ずる発言だったと考えられます。
 そこでお伺いいたしますが、昨年11月に無床化を打ち出してから各地域での反対の運動が活発になり、また、パブリックコメントにおいても無床化に反対される意見が多く、そのような議論の中、12月に知事みずからが地域に出向いて説明を行う趣旨の発言をされましたが、実際には、どの地域説明会にも出席されなかったわけで、これも住民の怒りの声につながっていると考えられます。地域から無床化反対の11万もの署名が出された今回の場合、無床化の前に知事が1カ所でも直接出向いて説明すべきだったと思いますが、所見をお伺いいたします。また、無床化への移行に当たっての取り組みの検証と、新たに生じた課題を探るとして、五つの地域を回られたとのことですが、それぞれの地域によって課題も異なると思われます。第1回目を終えた段階での知事の御所見を改めてお伺いいたします。
 次に、地域懇談会の進め方ですが、5月25日には盛岡で第1回盛岡保健医療圏・地域医療に関する懇談会が開かれ、今回は地域医療における現状と課題についてが主なテーマでしたが、診療センター無床化への不満もあり、各市町村長からは同じような内容の会議が多過ぎるとの声が上がりました。これは、地域診療センター懇談会の中で、知事が、今後の地域医療は市町村が担っていくべきだと発言したことへの反発もあると思います。今後、このようなことが続くと、首長の出席も少なくなっていくと考えられ、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、無床化された施設の利用についてですが、4月1日で無床化された診療センターについては、大迫のように介護施設としての再利用を考えている箇所と、花泉のように民間によりベッド再開を検討している地域もあります。地域住民にとっては県立でのベッド再開がベストと考えますが、今までの議論の経過からして、この点はかなり難しいと思われます。
 一方、民間で経営するとしても、施設そのものは県の財産なわけで、クリアすべきいろんな課題が生じてまいります。紫波地域で開業している先生方の試算では、今まで県立として出ていたほどでなくても、かなりの赤字が想定されており、入院施設を開業するとなると経営的にはかなり難しいと思われ、さまざまな支援策も必要と考えます。各診療センターの償却の状況等も異なり、それらも個別に支援策を明示して民間に公募を行うのか、あるいは市町村や民間の方から意思表示があった場合にそれぞれ個別に対応するのか、県の支援によっては各市町村も何らかの対応が考えられます。これについての方針を伺います。
 次に、県立病院の運営についてですが、医療局の会計では、平成20年度、29億円の赤字が計上され、前年度に比べ、1年で約19億円ほど赤字がふえたことになります。まず、これらの主たる要因は何か伺います。
 また、昨年までは医師不足による受診者の減少が理由の一つとして挙げられていましたが、医師確保についてはいまだ厳しい状態にあると聞いております。このような中、ことし2月の新しい経営計画の中で示されている数字では、平成21年度においては16億円の赤字縮小を計画し、平成23年度には黒字を目指しています。今の状況の中で、これらが計画どおりに進むのか、見通しを伺います。また、この計画を実行するに当たり、今回の診療センターの無床化のような地域住民にさらなる痛みを伴うものがないか伺います。
 次に、廃止された県立病院の跡地利用についてでありますが、今年春より岩手中部病院が開業し、花巻厚生病院と北上病院の旧施設が残されました。同様の例は一関市の磐井病院でもあり、それぞれ市街地に立地しており、これらの旧施設がいつまでも廃屋として残っていることは好ましいことではなく、他の利用計画がないのであれば、早期に整理する方向を考えるべきではないでしょうか。また、小さな例では、紫波の県立病院附属の看護師寮もここ数年空き室になっており、これらも地元での利用も含めて検討すべき課題と考えます。国の公立病院改革ガイドラインの中では、公立病院改革に関する財政措置の中に、再編ネットワーク化に伴う経営基盤強化のための出資、病院等の施設の除去についての所要の地方財政措置をするとありますが、この方法では、旧施設を解体し、市街にある跡地利用を進めることが制度的に困難とされております。今後の跡地利用の考え方を伺います。
 次に、新型インフルエンザ対策について何点かお伺いいたします。
 今回の新型インフルエンザは豚由来ということで、従来想定してきた鳥由来の高病原性のインフルエンザではありませんでした。しかし、世界的に見れば、世界保健機構がフェーズ6を表明したように、予断を許さない情勢にあります。本県でも患者が確認されており、今のところ適正な対応がなされていると思われます。今回、メキシコに端を発したインフルエンザが国内に侵入し、多くの事例で感染経路が明らかにされておりますが、疫学的な情報が示されなかった場合には、県民に大きな不安を与えたものと考えられます。いずれ、今回のH1N1の流行はH5N1の流行に対しての警鐘であり、従来策定されていた国のガイドラインや県のマニュアル等においてさらなる検討を加える機会になったものと考えられます。
 まず第1は、おくれが指摘されていた市町村における体制整備がどの程度進んだのかお伺いいたします。
 第2に、今回、県内にも新型インフルエンザの患者が出ましたが、これに対応することにより、従来策定されていたマニュアルで問題になった点は何か。また、今回、市町村そして医療現場に多くの問い合わせがあったものと思われますが、それら住民への対応が十分なされたのかお伺いいたします。
 第3は、PCR検査体制についてですが、今回の発生は、幸い日本は夏に向かい、インフルエンザの流行期は過ぎていましたが、春先には学級、学校閉鎖が多く出ているように、次期の流行期にはA型インフルエンザの患者が増加するものと考えられます。民間の医療現場でも、発熱外来に対しては簡易検査はほとんど行われるものと考えられ、A型インフルエンザと診断されれば、PCR検査対象は今期と比べてかなり増大するものと思われます。県内では盛岡市にある岩手県環境保健センターでPCR検査を実施していますが、これからもこの1カ所のみで対応する予定なのか、このセンターの人員の体制と、県内各地からの検体の搬入方法について伺います。
 第4は、もし、H5N1が流行し、入院患者が発生した場合、患者の移動はかなり制限されてくるものと考えられ、二次医療圏内で対応するのが適正と考えられます。二次医療圏ごとの対応について県の考え方を伺います。また、今回の6月補正予算でも、患者の搬送車や、発熱外来設置病院や感染症病床を有する病院への整備が盛られていますが、これらの中身は重要であり、もう少し詳細に説明をお願いいたします。
 次に、農林業の振興策について幾つか質問をさせていただきます。
 まず、肉用牛についてお伺いいたします。
 一昨年あたりから枝肉相場の低迷と、それに続き子牛市場の価格も下落し、さらに昨年は世界的な穀物市場の高騰による飼料代の増加等の要因で、その経営は厳しさが続いています。販売面については、東京食肉市場を中心として、前沢牛については名実ともに日本を代表するブランドになっていますが、本県における他の地域では、県内の屠畜場で解体されるものを初めとしてブランドとしての確立が急がれるところであります。従来、海外での販路拡大も一つの方策として進めてきましたが、現在の世界的な経済状況から見るとかなり厳しいものがあり、これらの見通しと、国内における販路拡大や県内消費の拡大が当面の課題と考えますが、これらの課題にどのように対応するのか、具体的にお示しを願います。
 また、粗飼料生産に対する支援策ですが、酪農においては、近年、TMRの普及に伴い、粗飼料生産から飼料供給までを専門的に行う組織も出始めています。肉牛生産においては、まだそこまで行っている事例は少ないですが、グループで粗飼料生産を行い、機械の有効利用と省力化で成果を上げ始め、規模拡大を図っている生産者がいます。また、これらのグループでは後継者の育成にも積極的に取り組んでいます。一般に粗飼料生産は天候に左右されることが多く、共同で作業を集中して行うことは大きなメリットがあります。稲のホールクロップサイレージの利用拡大は県内でも進み、技術面でも定着したものと思われますが、コーンやソルガムの作付には、近年、細断型ロールベーラーが導入され始めました。ホールクロップサイレージであれ、細断型であれ、機械が高額であり、経営環境において今の状態は更新もかなり厳しい状況にあります。これらに対する技術導入や機械導入について、支援策をお伺いいたします。
 次に、松くい虫被害対策であります。
 ナンブアカマツは県の木にも指定されているとおり、本県においては重要な樹種であります。また、何代にもわたって庭木として手入れされてきた銘木も少なくありません。県央部においては、紫波町で被害の北上がとまっていますが、現実は町内で少しずつ被害が拡大しており、昨年は800立方メートルほどの被害が報告されております。原因とされるマツノマダラカミキリは、気流に乗ると2キロメートル以上も飛ぶとされており、紫波町内においては2キロメートル以上の思い切った空白地帯をつくる必要があると考えられます。従来の方法よりも一歩踏み込んだ対策が必要と思われますが、御所見をお伺いいたします。
 また、被害木については、30キロメートル以内にチップ工場がある場合はチップ化するとの方針でありましたが、このような世界的な不況の中でチップ材の受け入れ制限もあると聞きます。これらの状況はどうなっているのか。また、紫波町においては、搬出路に近い場所では、景観上の観点からも林地から搬出し、地元で利用したいとしており、これらについても支援策がないか伺います。
 次に、二酸化炭素削減と自然エネルギー導入について質問をさせていただきます。
 まず、本県の温室効果ガス排出量増加の要因について質問させていただきます。
 国は先ごろ、温室効果ガス排出量削減中期目標をマイナス15%と表明しましたが、本県も、従来の国のマイナス6%に対して、2010年までに二酸化酸素排出量を8%削減する目標を掲げ、取り組んできましたが、本県の2005年の排出量は増加しています。この主な要因は何か、お伺いいたします。
 第2に、本県の新たな目標設定についてですが、今回、国の目標値を受けて、かなり高い目標値を示した県もありますが、森林の多い本県では環境重視をアピールする機会と考えます。いつごろまでにどの程度の数値を示されるのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 第3に、本県の自然エネルギー対策についてですが、我が国でも、緑の経済と社会の変革と言われる日本版グリーン・ニューディール構想を掲げ、太陽光や風力発電、省エネ家電や省エネ住宅の普及など、環境への投資による環境関連市場の活性化による経済の復興を図っているところであります。国は、再度、太陽光発電の普及に力を入れ始め、太陽光発電を現在の20倍にするとしております。北東北など積雪地帯への普及はおくれていると聞いております。本県における課題は何かお伺いいたします。
 また、木質ボイラーの導入が今現在どのぐらい進んでいるのでしょうか。県内には木質ボイラーの製造メーカーもあり、私の町内では学校や保育所にペレットボイラーを導入しております。学校や病院などの公共施設、あるいは一般の事業所などの導入が効果的と考えられますが、所見をお伺いいたします。さらに、本県は水力、風力、地熱などの自然エネルギーに恵まれています。地球温暖化防止や二酸化炭素排出削減に向けて、これらの新エネルギーを積極的に導入拡大していくべきと思いますが、今後の方針をお伺いいたします。
 次に、道路行政についてですが、昨年は道路特定財源の議論がなされ、特定財源が一般財源化され、道路整備も従来の進展にブレーキがかかりつつあります。しかし、本県のような広大な面積を有する県においては車は必需品であり、そして道路整備もいまだ必要であり、沿岸の高規格幹線道路等の整備促進や、喫緊の課題となっている都南川目道路については再開への議論がされ始めましたが、計画どおりの事業再開となるよう積極的に国に働きかけるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、県道及び市町村道の所管についてですが、近年、交通事情が大きく変化しており、信号機の少ない裏街道や狭い町道を県外からの大型車両が頻繁に通るなど、十数年前に比べ交通量が倍増した道路や、反対に市街地の中ではバイパスに主交通が移動し、バス以外の大型車が通らなくなり、生活道路としての利用実態の県道もあります。県は、近年、管理している道路や橋梁等の社会資本ストックの増加あるいは老朽化に伴い、維持管理費の増大が見込まれているとしており、また、厳しい財政環境にあるとして、県道の新たな認定は難しいとの見解を示していますが、一般に町道で大型車の1日当たりの交通量が1、800台、あるいは重交通量の割合が35%以上などの条件では維持管理が難しく、財政的にはどの自治体も同様の事情があります。国道には国道の果たすべき役割があり、そして、県道には県道としての役割があるわけで、それらの道路網が県勢発展に寄与しているものと考えます。市町村においては、生活道路の整備がおくれており、地域住民からの請願陳情が多いのもこの関係であります。県道及び市町村道の所管について柔軟に見直すべき時期に来ていると考えますが、御所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁の内容によりましては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 熊谷泉議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地域診療センター等懇談会についてでありますが、昨年度の時点では、医療局長や現場を熟知した医師から説明したほうがわかりやすく、また、要望や提言を受けやすいと判断したところでありますが、医師不足の危機的状況について理解を求め、また、地域の皆様の声を直接伺うため、私自身が地域に出向いたものであります。この懇談会において、私から地域診療センターを病床休止せざるを得なかった背景や、地域の方々の不安や心配に対するおわびの気持ちを直接お話しすることができたと考えております。
 地域の方々からは、病床休止に伴って感じている不安や心配の内容について具体的に伺うとともに、各市町村長や各市町村議会議員の方々にも出席をいただいて、地域の問題として一緒に考えていきたいという発言もいただきました。今後は、地域診療センター等懇談会などを通じて、医療局と地元との間で十分に話し合ってもらいたいと考えております。
 次に、地域医療に関する懇談会の今後の進め方についてでありますが、地域医療に関する懇談会については、さきの議会における動議を踏まえ、新たに設置、開催しているところでありますが、既存の協議会等が専門的な議論を行う場であるのに対し、この懇談会は地域住民の代表を多く含み、その視点をも踏まえて地域医療の今後の姿などについて議論を行うという点で既存の協議会等と性格を異にするものであります。しかしながら、一部の懇談会において他の協議会とのすみ分けがわかりにくいことについて御意見もあったと承知しておりまして、既存の協議会の見直しを検討するよう各関係部局に指示しているところであります。
 県としては、住民、市町村、関係団体と協働して地域医療を確保していくという意識を持って、そのための取り組みを進めていくことが重要であると考えておりまして、この懇談会の場では、特に地域包括ケア体制の一層の構築、強化のための医療、介護、福祉の連携体制の具体化に向けた議論などにおいて住民の生活に最も身近な市町村に主導的な役割を担っていただくことを期待しておりまして、今後、これらの議論を踏まえて提言をまとめていただきたいと考えております。
 次に、本県の新たな二酸化炭素排出量の削減目標についてでありますが、現在、本県では、環境基本計画において二酸化炭素排出量を1990年を基準年にして2010年までに8%削減する目標を立てて、さまざまな排出削減対策や新エネルギーの導入を図ってきたところであります。
 2011年以降の削減目標については、ことし12月、コペンハーゲンで開催される気候変動枠組条約第15回締約国会議において決定される我が国の削減目標や、本県における二酸化炭素排出削減の取り組み、新エネルギー導入の状況、森林県である本県の特性等を勘案し、新しい環境基本計画に関する県環境審議会の議論を踏まえて、2010年末には決定したいと考えております。
 次に、太陽光発電導入の課題などについてですが、太陽光発電は、化石燃料に頼らない新エネルギーとして温暖化対策に有効であり、国の中期目標を達成するための大きな柱として位置づけられています。
 本県における太陽光発電導入の状況は、雪国は有効性が低いのではという誤解や導入コストが依然として高いなどの課題があり、平成20年度末の導入件数は全国35位にとどまっています。このため本年度、国の補助制度の再開に呼応して、県でも住宅用太陽光発電の補助制度を創設し、普及に取り組んでいるところであります。
 ペレットボイラーやチップボイラーといった木質ボイラーについては、これまで学校などの啓発効果の高い公共施設を中心に導入を進め、二酸化炭素排出量の削減と県民への啓発を行ってきたところであります。平成20年度末現在、県施設に21台、市町村等の公共施設に22台、個人や事業所に19台、合計62台導入されており、全国でもトップクラスの導入台数となっています。今後とも公共施設への導入を継続し、一般事業者などへの一層の普及を図ってまいります。
 太陽光、木質バイオマスなどの新エネルギーの導入については、環境と経済の両立を図り、本県の豊かな自然を次の世代に引き継いでいくためにも重要な課題であり、地域特性に応じた新エネルギーの利活用を今後も積極的に推進してまいります。
 次に、道路の整備についてでありますが、県土の骨格を形成する高規格幹線道路などはいまだ多くの未整備区間が残されておりますので、県民の安全で安心な暮らしを守り、活力ある地域社会の形成を図るため、その整備促進を図ることが極めて重要と考えております。
 これまでも関係省庁に対しさまざまな機会を通じて要望してきたところであり、先月には、私が国土交通省に対し、一般国道106号都南川目道路の速やかな事業執行の再開や高規格幹線道路等の整備促進、道路整備財源の確保などについて緊急要望を行ったところであります。
 今後も、高規格幹線道路等の整備促進を国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、緊急雇用対策の重点についてでありますが、これまで県は、緊急雇用対策として、生活支援、雇用維持、雇用創出、就業支援の四つを柱に各種施策を推進してきたところであります。このうち、生活支援及び雇用維持につきましては、生活支援のための各種制度の活用促進、中小企業経営安定資金の融資枠の拡大などの取り組みを実施してきたところであり、雇用創出と就業支援につきましては、雇用関係の二つの基金事業等によります雇用創出や二つの支援センター等の就業、生活相談体制の充実、職業訓練コースの増設など、離職者の早期再就職に向けた取り組みを行っているところであります。
 また、今回審議をお願いしております補正予算におきましては、依然として厳しい状況が続いております雇用情勢を踏まえ、雇用の場のさらなる創出と雇用の維持に重点を置いた施策を講じようとしているところであり、具体的には、雇用の創出として、緊急雇用創出事業臨時特例基金53億1、000万円の積み増しや県事業の追加実施、市町村事業への補助8億1、000万円を計上するとともに、雇用の維持として、ものづくり企業が技術力向上等を図りながら雇用を維持するための経費や工業用水道を利用している企業に対する料金の減免経費などを計上したところであります。
 次に、県内の広域振興圏ごとの求人状況と雇用対策についてでありますが、岩手労働局の発表によりますと、平成21年5月の有効求人倍率は、県央広域振興圏が0.34倍、県南広域振興圏が0.20倍、沿岸広域振興圏が0.27倍、県北広域振興圏が0.27倍となっております。中でも、製造業が集積しております県南広域振興圏の落ち込みが顕著となっております。このような状況を踏まえまして、各広域振興圏におきましては、地域の関係機関等によって構成されます協議会等を中心に、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが行われているところであります。
 例えば、特に雇用情勢の厳しい県南広域振興圏では、花巻、北上合同の就職ガイダンスの開催、県と市による雇用・生活相談会と企業による求人説明会の同時開催などの取り組みを行っております。
 また、県北・沿岸広域振興圏においては、農林水産業におきます流通、加工分野への展開を支援するいわて6次産業チャレンジ支援事業や、園芸農家等の農作業を支援するいわての産地形成促進事業などを活用しながら雇用への取り組みも行うこととしております。
 次に、若者の就職支援についてでありますが、6月22日から始まりました来春卒業予定の高校生に対する求人受け付けの状況は、岩手労働局の発表によりますと、6月30日現在で398人と、昨年同期の4割程度にとどまっております。大学生においても求人数が減少していると聞いており、極めて深刻な状況と認識しております。
 このような状況を受けまして、県としましては、先般、岩手労働局、盛岡市とともに、県商工会議所連合会等の経済団体に対し、特に新卒者の採用枠の確保について要請を行いましたほか、各振興局に対しましては、企業への要請活動とさらなる求人開拓、採用計画の把握などを徹底して行うよう指示しているところであります。教育委員会でも、県内20校に就職支援相談補助員を配置し求人開拓の強化を図るとともに、学校間での求人情報の共有化など、効果的な支援を検討することとしております。
 また、大学生に対しましては、県として、県内外での就職面接会、県内企業の見学ツアーを開催するほか、大学においても4年生向けのガイダンスを新たに開催しての情報提供、模擬面接などによります就職指導をきめ細かく行っているとのことであります。
 今後、若者たちが希望の進路に進めるよう、国、県、市町村、学校現場が連携して支援を強化してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 建設業界への支援対策についてでありますが、県ではこれまで、建設企業がみずから行う経営基盤の強化や技術力の向上、経営多角化など経営革新に向けた取り組みを支援してきたところでございます。県内建設企業の厳しい現状を踏まえ、本業による収益力向上に資する取り組みもあわせて行ってきております。
 また、今回の6月補正予算においては73億円余の公共事業関係予算を計上しているところでございまして、当初予算と合わせ3年ぶりに1、000億円を超える規模となったところでございます。昨年度の補正予算での工事の発注、また、当初予算において公共事業の切れ目のない発注に取り組んでいるところでございまして、今回の6月補正予算につきましても、成立後、可能な限り早期の発注に努めてまいります。
 次に、県道及び市町村道の所管についてでありますが、県が管理している道路や橋梁などの社会資本ストックの増加や老朽化に伴いまして、今後8年間で約330橋を修繕する計画である橋梁を初め、トンネル、照明、スノーシェッドなど道路施設の維持更新には今後ますます費用が増大することが見込まれているところでございます。厳しい財政状況を踏まえ、現状では市町村道の県道への新たな認定は難しいものと考えているところでございます。
 しかしながら、市町村道の改築整備が進んだことなどによりまして、地域における交通の流れが変化してきていることも考えられますことから、市町村道の県道への昇格と県道の市町村道への移管をあわせて行うことも含め、県道と市町村道のあり方につきましてさらに研究を進めてまいります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) まず、病床休止している地域診療センターへの支援についてでありますが、地域診療センターの施設の活用に当たりましては、地域にとってどのような活用方法が最も望ましいのか地元市町村と十分協議し、事業者の公募を行うこととしているところであります。
 公募に当たっては、公募条件の中で、施設利用に係る賃借料の減免というものがございます。これは、売店や食堂など通常のテナント料として使用する場合の賃借料をもとに算定した額に対し、原則として、1年目は4分の1の額、2年目以降は2分の1の額を上限として貸し付けを行うこと、さらに、貸し付け決定段階では、施設の改装などの初期投資やランニングコスト、事業運営状況等を勘案しながら貸付額を決定することができる旨を記載したいと考えているところであります。最終的には、事業者が決定した段階で調整することになると考えております。
 次に、医療局の経営についてでありますが、平成20年度県立病院等事業会計決算は、平成19年度と比較して、医師の退職者による診療体制の脆弱化などによって、外来患者数が1人平均で824人、7.7%減少したことなどの影響によりまして7億1、000万円の収益減となったこと、退職者の増加による退職手当の増加などにより給与費が6億3、000万円の増加となったこと、医事業務の委託拡大等により経費が4億2、000万円の増加となったことなどにより収支が18億6、000万円悪化したものであります。
 今後とも、何よりもまず医師の定着、確保に最大限の努力をするとともに、7対1看護体制の施設基準の取得やDPC─診断群分類包括評価の導入など、患者に良質な医療を提供しながら収益の確保に努め、また、特殊勤務手当の見直しや業務改善などによる給与費の適正化、後発医薬品の使用拡大、材料費の縮減などにより費用の抑制を行うことにより新しい経営計画の着実な達成に努めてまいる考えであります。
 次に、旧病院施設の整備と跡地利用の計画についてでありますが、病院跡地の利用につきましては、地元市町村に活用していただくことが第一と考えており、まず、地元市町村との話し合いを進めているところでありますが、地元市町村での利用が見込めない場合は、民間企業等への売却も視野に入れながら検討することとしております。
 旧病院の建物が残る病院跡地は、旧磐井病院、旧南光病院、旧山田病院、旧北上病院、旧花巻厚生病院の5件でございます。これら五つの建物につきましては、建築の年代は違いますが、それぞれ増改築をしてきた経緯がございます。平成20年度末現在での建物の残存価格は合計で43億9、400万円余、起債残高は31億2、800万円余となっております。また、建物の解体費用は概算で12億5、000万円余と見込んでおり、現在の県立病院の厳しい経営状況から早急に建物の解体をすることは困難な状況にありますが、今後の経営収支の状況も勘案しながら、活用に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、紫波地域診療センターの合同宿舎につきましては、隣接の施設の寮として貸し付けし、有効活用する方向で検討を進めております。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、新型インフルエンザ対策に係ります市町村の体制整備についてでありますが、市町村に対しましては、感染者が確認された場合に適切に対応できるよう、これまで行動計画の策定などを要請してきたところでございます。4月末時点では3市のみにとどまっておりました行動計画策定済み市町村数も現時点では26市町村まで増加しているほか、対策本部につきましても、類似組織を含めて31市町村が設置済みということであり、新型インフルエンザに対応する体制は相当程度整えられたものと考えております。
 現時点で行動計画を策定していない市町村におきましても、現在、策定中あるいは検討中と伺っており、早期に策定がなされるよう引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、従来の対策マニュアルの問題点についてでありますが、現行の行動計画及びガイドラインは、国、県ともに強毒性の場合を想定しているものでございますが、今般発生した新型インフルエンザでは多くの感染者が軽症のまま回復しており、多数の患者が発生した府県等におきましては、入院や学校の休校措置などの面で、実態にそぐわない過剰な対応ではないかという指摘もなされたところであります。
 県といたしましては、11月を目途に現行の対応方針にかえ行動計画を策定するとともにガイドラインを改定することとしておりますが、今般の事態も踏まえまして、強毒性以外の場合の対策も盛り込む考えであります。
 また、住民からの問い合わせについてでございますが、各保健所と県庁に電話相談窓口を設置し、6月30日までに4、310件の相談を受け付け、発熱外来への誘導など必要な対応をとったところでございます。市町村や医療現場にもさまざまな問い合わせがあったものと思われますが、回答が困難なケースにつきましては、保健所や、あるいは県庁の相談窓口に引き継がれた例もございまして、全般的には適切な対応がなされたのではないかと考えているところでございます。
 次に、PCR検査の実施体制についてでありますが、感染症の病原体の収集、分析につきましては、感染症法に基づく指針によりまして地方衛生研究所が行うことが望ましいとされておりまして、本県では環境保健研究センターがこれに当たりますことから、今後も同センターで検査を行うこととし、その検査機器を現在の1台から2台に増設するため、6月補正予算案に所要の経費を計上しているところであります。これにより、1日当たりの検査可能人数は現在の45人から倍の90人になるものでございます。検査には通常、同センターの保健科学部の研究員5人が当たっているところでございますが、繁忙期にはセンター内で応援体制を組むこととしております。
 また、発熱外来等で採取された検体は、管轄の保健所の職員が公用車等でセンターに搬入することとなっております。
 次に、H5N1流行時の入院患者への対応等についてでございますが、流行時においては、議員御指摘のとおり、二次医療圏ごとでの対応が基本となるところでございます。
 まず、発生の早期段階におきましては、感染拡大防止のため、症状を問わず感染症指定医療機関等への入院措置を行いますが、入院医療は二次医療圏内での対応を基本としております。また一方、蔓延期には重症患者の救命を最優先とする医療提供体制に移行することとしておりますが、重症患者数の増加に対応できる病床数を確保するため、二次医療圏内ごとにその対応を検討することとしております。
 こうした医療機関の機能強化のため、昨年度、23病院に対して人工呼吸器と個人防護具の整備を支援したところでございますが、今回の6月補正予算案におきましても、10病院に対して人工呼吸器3台、気圧を減ずることで病原菌を拡散することを防ぐ陰圧式空気清浄装置7台などの整備、感染症病床の一部設備改修を支援するための経費を計上しているところでございます。また、円滑な患者搬送体制を確保するため、陰圧式搬送装置を搭載した感染症患者搬送車をすべての二次医療圏に1台ずつ配備するための経費も計上しているところでございます。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 農林業の振興についてのお尋ねであります。
 まず、県産牛の販売戦略についてでありますが、これまで、県、市町村及び関係団体で構成するいわて牛普及推進協議会の活動を通じて、東京食肉市場での枝肉共励会や首都圏の量販店でのいわて牛フェア等による実需者への普及宣伝、県内外のいわて牛取扱店を通じた普及キャンペーンなどに取り組んできたところであります。こうした取り組みの結果、首都圏の市場関係者を中心に、質の高い牛肉を安定的に供給する産地としての高い評価を得ているところでございます。
 今年度は、これまでの取り組みに加え、いわて牛の商標管理や活用、マーケティングなど、知名度と競争力のあるブランド確立を目指すいわて牛のブランド戦略の策定に着手しておりますほか、新たに首都圏のホテルでのいわて牛フェアの開催や県外食肉事業者等の産地招聘等による新たな販売ルートの開拓に取り組んでいるところであります。
 さらに、県内消費の拡大を図るため、いわて・平泉観光キャンペーンなど観光とタイアップした知名度向上や、県内消費者や実需者と生産者との交流会を開催することとしており、今後とも官民一体となって県産牛の販路拡大に努めてまいります。
 次に、粗飼料生産に対する支援策についてでありますが、水田や豊富な草資源を活用した自給飼料の増産は、肉用牛生産の低コスト化を図る上で極めて有効な取り組みであり、県内でも、紫波町や一関市などで水田を活用した先駆的な取り組みが進んでおります。
 県としては、こうした取り組みを県内に波及させるため、細断型ロールベーラによる飼料用トウモロコシやソルガムの収穫、調製作業の省力化技術を普及するとともに、国の強い農業づくり交付金や経済危機対策として新たに措置された畜産自給力強化緊急支援事業などを活用し、共同利用機械の導入を促進しているところであります。
 今後におきましても、こうしたソフト、ハード両面からの支援により、自給飼料基盤に立脚した体質の強い肉用牛経営の確立に努めてまいります。
 次に、松くい虫被害の対策についてでありますが、平成20年度の被害量は約4万5、000立方メートルで前年度と比べ16%増となっており、紫波町や大船渡市など被害の先端地域で被害量が増加しているところであります。
 これまでの防除対策は、感染により葉が赤枯れしたアカマツ被害木の駆除を実施してきたところでありますが、被害木周辺には、感染しても赤枯れしない潜在的な被害木などが存在しており、被害の拡大を完全に阻止することが難しかったところであります。このため平成21年度からは、この点に着目した対策として、未被害地域との境界に2キロメートルから4キロメートルの幅で設置しております被害防除監視帯等において、被害木に加え、被害拡大の感染源となり得る潜在被害木や衰弱木等の徹底駆除を、国の経済危機対策による森林整備加速化・林業再生基金事業を活用して行うこととし、これにより未被害地域との間に被害の空白地帯を設け、被害の北上を阻止してまいりたいと考えております。
 次に、チップ材の受け入れの現状についてでありますが、世界的な景気の後退で紙製品の需要が落ち込んだため、県内及び隣県の製紙工場は軒並み減産体制をしいており、チップの受け入れはおおむね30%から50%のカットと聞いているところであります。こうした現状を踏まえ、山林から間伐材等を安定的に供給できるように、運搬等に要する経費に対して一定額を補助する森林整備加速化・林業再生基金事業を活用するなどして、被害木を初めとする木質資源を地元で有効活用できるような支援をしていきたいと考えております。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 2005年の二酸化炭素排出量の増加の要因についてでありますが、2005年の排出量は前年比6%増と大幅に増加しております。この主な要因としては、厳冬による家庭の暖房用灯油の消費量の大幅な増加、電機、機械などの製造業の生産拡大による排出量の増加、セメント生産の増加などによるものでございます。
〇12番(熊谷泉君) 御答弁ありがとうございました。何点かについて再質問をさせていただきます。
 まず、地域医療圏における懇談会のあり方でございますが、きのうも同僚議員の質問についてお答えがありましたが、私は地元の懇談会に出席させていただきまして、どうも、5地域の診療センターの無床化になったところの市町村長さんたちの県に対する不満が非常に多いといいますか、そういう声が暗に会議の中でも聞こえてくるわけであります。そこで、この間、盛岡で5月25日に開かれた会議のように、大勢の方々が集まってそれぞれ意見を言う場では、1人当たりの発言の時間も大変制限されるわけでありまして、先ほど演壇でも申し上げましたが、今後、ああいう場には首長さんたちは恐らくもう出てこないというふうに思います。それでは住民にいろんな─県として、医療を取り巻く問題を考えてもらうという場とは別に、市町村長さんたちと別の会議の場を数回設けるべきというふうに考えます。これについてお伺いしたいと思います。また、出席者が非常に多いわけでして、あと2回、皆さんからいろんな提言を受けられたとしても、3回目にはそれを取りまとめるということでありますが、多くの意見が出された場合、果たしてどのぐらい対応することができるのか。無床化になったこと自体はもはや復活できないというようなことになれば、根本的にそういう問題が解決しなければ、枝葉末節の意見が幾ら出たとしても、地域住民はなかなか納得しないというふうに考えます。先ほど申し上げましたけれども、その辺も含めまして、世の中は、ある団体のトップ同士といいますか、会社でも社長さん同士の話、あるいはその下の事務方レベルの話というふうにあると思います。そういうことで、ぜひとも県当局と地域の首長さん方の話をもう少し詰めるべきと思います。
 また、医療局に対してでありますが、各地域において支援策もあるということでございましたが、先ほどの従来どおりの売店に対する賃借とか、そういう問題では根本的な解決にはならないのではないかと思います。本来、県が運営しておって、それに対して市町村の援助とか、あるいは民間のお医者さんとか、そういうものの支援を仰ぐということであれば、何ら問題はなかったわけでありますが、持ち主が、おれはやめた、あとはおまえさんたちが勝手にやってくれないかというような議論の中では、なかなか地域住民が満足するような方向性には行かないのではないかと思います。
 そこで、懇談会の場では各5診療センターで1年間を目途ということにしておりますが、休止した病院の設備や配管とかいわゆるそういう面は、ほうっておけばメンテナンスに後々非常にお金がかかると事務方から聞いております。つまり、今まで通っていた水をとめれば、当然、中にさびも生じてきます。そういうことで、今後、その辺の再開についてのタイムテーブルといいますか、ある程度時間的なものを制限していかないと、残ったところは全部利用されないで終わってしまうという結果になるのではないかと思います。そういうことで時間的なものをどういうふうにされるのか、それについてもお伺いしたいと思います。
 それから、県立病院の跡地についてでありますが、実は私も今回の県立中部病院に当たって、花巻厚生病院と北上病院の施設は、ちょうどそういうガイドラインにマッチするといいますか、そういう格好で、早く建物を整理して跡地利用にできるのではないかと思いましたが、今の制度では、それにも本県の場合はなかなか適応しないということでありました。それで公立病院改革ガイドラインの基準を見直して、現在対象外とされている施設を対象となるような働きかけを行っていく所存はないかお伺いいたします。
 以上です。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 地域医療に関する懇談会の今後の進め方についてでございますけれども、この懇談会を円滑に運営していくために、関係する市町村との会議の場を新たに設定すべきであるという御提言につきましては、圏域内の8市町村長の御意向を伺いながら、その対応について考えていきたいと思っております。
 この懇談会につきましては、御案内のとおり、地域住民、関係団体、行政が一堂に会して、二次保健医療圏ごとに今後の姿につきまして議論を深めていく。その中で各主体がみずから行うこと、連携して行うことなどについて御提言を賜るということを目的としておりますので、回数につきましては、必要に応じて開催回数をふやすなど柔軟に対応してまいりたいと考えております。また、特にも盛岡圏域におきましては構成員が多いことから、懇談会の場のみならず書面でも意見をいただくなどのさまざまな方法によりまして、論点を整理しながら進めていきたいと考えております。
〇医療局長(田村均次君) 1点目は病床を休止している施設の活用の関係でございますけれども、事業者の公募開始から施設の開設まで、仮に医療施設の場合ですと半年ぐらいかかるということで、かなり長期間使用しないということもございますので、我々としては、今使っていない部分も、次に活用されることを想定してメンテナンスには力を入れさせていただいております。また、議員御指摘のように、施設のメンテナンスを考えますと、できるだけ早く後利用が決まるのが望ましいと思っておりますけれども、一方で、地域診療センターの懇談会の開催は1年を開催めどにということにしておりますけれども、公募に向けた地元との合意形成に時間がかかるケースも想定されますので、その辺は柔軟に対応して、できる限り後利用がしっかりできるように対応していきたいと考えております。
 それから、廃止された県立病院の後利用の関係でございますが、議員御指摘のように、今のガイドラインを見直ししてというのはなかなか難しい部分もございますけれども、岩手県のように、こういった形で5カ所も使っていない病院があるというのも現実でございますので、我々としてもできるだけそういったものを活用する制度があれば大変ありがたいと思っておりますので、この辺は我々もよく研究をして、国に支援を働きかけていくことができないか、よく検討した上で、必要に応じて働きかけをしていきたいと考えております。
〇12番(熊谷泉君) 先ほどの地域懇談会に関してでありますが、次回からは、今の県立病院が当面、困っている医師確保とか、あるいはお医者さんたちの負担軽減、まずその辺にテーマをきちっと絞って皆さんに議論してもらうのも一つの方法かと思いますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 懇談会の今後のテーマ、論点ということでございますが、今、議員がおっしゃられたテーマにつきましては、かなりその中核をなしていくものと考えておりますので、そのテーマの構成の仕方については十分配意しながら進めてまいりたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって熊谷泉君の一般質問を終結いたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
〇副議長(小野寺研一君) 次に、菅原一敏君。
   〔10番菅原一敏君登壇〕(拍手)

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