平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(木村幸弘君) 政和・社民クラブの木村幸弘です。
 任期も折り返しの年度を迎える中、本定例議会において一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。先輩、同僚議員各位の御指導をお願い申し上げ、県当局におかれましては、県民がひとしく安心な暮らしを営むために、実りある議論と課題解決に向けた前向きの御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問を行います。
 第1に、新しい長期計画についてお伺いいたします。
 まずは本論の前に、知事自身、任期折り返しを迎えて、この2年間の県政運営について、県民意識調査の生活満足度の数字を引き合いに出して、県民意識が昨年同期の調査に比べて逆風であるにもかかわらず、その危機感のもとに、県の取り組みに対して、満足度が向上していることをもって評価をしております。しかし、実体経済について、県民の多くは、不安と課題を感じているという現状をさらにしっかりと踏まえての対応が望まれますが、知事の所見をお伺いいたします。
 今後の課題として、特に雇用経済と地域医療が大事であるとの認識については一致するところでありますが、知事は、中長期的に内需拡大型の経済、社会構造に持っていきながら、新しい長期計画で方向性を定め、各産業や社会福祉基盤をしっかりとさせることで、雇用へのつながりをきちんとやっていきたいとのことですが、この基盤、つまり経済構造、社会構造を強くするとは具体的にどういうことなのか、お伺いします。
 そして、これまで国が推し進めてきた市場原理主義の構造改革路線による競争力強化とは異なる内需拡大型の岩手の取り組みとは具体的にどのようなものなのか、お伺いいたします。
 さて、新しい長期計画についてでありますが、最初に、素案に対する地域説明会が11地区で開催されましたが、この説明会においては、各地域からどのような意見や質疑が交わされたのか、その特徴的な意見についてお伺いするとともに、今後の策定過程にどのような意見が反映されるのか、現時点でポイントとなるべき点を示していただきたいと思います。
 次に、この長期計画の期間が今年度を含む10年間とされていますが、12月の成案を予定していることから言えば、平成21年度は実質策定期間であり、これを含めた10年計画というのは、期間設定として果たして適当であるのか。本来、計画策定時期と実施時期は別に区切って、実施年度に向けた県民への周知期間を確保する設定をすべきだと思いますが、こうした政策決定手順についてどういう考え方であったのか、お伺いいたします。
 また、県民計画として、計画づくりへ多くの県民の参加を求めていくとしていますが、特に、今後、アクションプランについて具体的に策定する過程で、広域圏ごとの諸課題などを含めて、当該圏域の関係者、市町村とそれぞれの計画との整合性を図る上でも掘り下げた意見交換が必要であり、意見集約の機会が確保されるべきだと思いますが、お伺いいたします。
 次に、長期計画の内容についてでありますが、本計画遂行の原動力、いわゆる実施主体として、県民一人一人の力の結集と地域社会を構成する主体の総力で、地域経営の考え方に基づく取り組みを第3章で求めています。
 そこで、地域経営のかじ取り役として重要となる第7章の県政運営の基本姿勢に示された県と市町村の役割分担について、地域に合った課題解決の仕組みづくりとか、多様なニーズに適切に役割を分担するための行財政基盤の強化を挙げていますが、これまでの主要な政策決定に際して、上下のような関係とは違う対応としてどのように再構築をされるのか、お伺いいたします。
 次に、第6章のいわての未来を切り拓く構想の考え方についてですが、分野を超えた取り組みの方向を、県民みんなで取り組む観点を重視するとしています。また、長期ビジョンに考え方と推進方向を示すとしており、だとすれば、第2章の未来を拓くのところで、ゆたかさ、つながり、ひとの視点を踏まえて、弱みと言われる課題のうち、分野を超えた構想の考え方が本計画の柱、中心のような存在として、ここで示された上で、第3章の実現したいイメージ、第4章の個別政策の展開として示していく計画構成がよいのではないかと考えますが、お伺いをいたします。
 また、今回の計画策定に当たり、昨年4月に設立されましたいわて未来づくり機構について、この機構の目指す姿が、今回の長期計画と理念等において重なって見えるわけでありますが、この機構が1年間経過した中で果たしてきた役割や成果はどのようになっているのか、お伺いします。あわせて、本長期計画策定との関係性についてもお伺いをいたします。
 第2に、雇用対策についてお伺いします。
 去る6月1日に、県として緊急雇用対策本部の今年度第1回会議が開催されたとのことですが、雇用の創出対策において、今年度当初予算に緊急雇用創出事業の18億9、100万円、ふるさと雇用再生特別基金事業の21億1、200万円が盛り込まれ、厳しい雇用情勢を踏まえて失業者の緊急避難的な対策が講じられてきましたが、先ごろの報道では、ふるさと雇用再生特別基金事業の事業化率が県と市町村合わせて33.2%、緊急雇用創出事業は84%で、特にふるさと雇用再生特別基金事業の低調ぶりが問題となっているとのことですが、そうした中で、今回の6月補正予算によって、この事業化率が65.3%に改善する見通しとのことを示しております。補正予算との関係も含めて、具体的に改善するとしたその理由についてお伺いします。
 また、同制度がそもそも使い勝手が悪いとされてきた要件についてはどのように改善し、事業化率をどう引き上げるかについてお伺いいたします。
 さらに、事業化による改善と同時に、具体的な就労へと結びついているのか、その実績を示していただきたいと思います。
 次に、5月29日に開所したいわて求職者総合支援センターが、特に危機的状況に陥っている県南広域圏にその拠点を置いて対応しようとしていることについては大いに期待されるところでありますが、具体的な機能と役割について示していただくとともに、1カ月余り経過したわけですが、その成果と課題についてお伺いいたします。
 また、職業訓練機関における再就職のための支援対策について、平成20年度当初計画に対して、21年度において雇用能力開発機構実施部門を含めて、コースで58から65へ拡大をし、訓練人数が621名から1、147名へと倍近い体制が組まれているところですが、報道によりますと、昨年度の県の離転職者職業訓練の就職率が57%にとどまっているとのことであり、再就職についての厳しさが今年度は一層増していると推察されますが、そこで、今回、再就職支援コーディネーターを県内20カ所に配置し対応するとのことですが、具体的な取り組み内容と目標をどのように考えているのか、お伺いいたします。
 第3に、県立高等学校のあり方についてお伺いします。
 現在、県立高等学校のあり方、グランドデザインの検討が進められ、その中間まとめに対する懇談会等における意見集約の作業が進められています。これまで、平成10年に答申されました社会の変化に対応した県立高等学校のあり方についてをベースに、県立高等学校新整備計画の前・後期計画により再編整備が行われてまいりました。その現行計画が最終年度を迎える中で、次期計画の基本となるべきグランドデザインについては、少子化社会の進展という、子供たちを取り巻く環境の変化を見据えると同時に、県行政全体の視点からも、高齢化、人口減少といった中で加速する住民力の低下による地域社会システムの崩壊、ひいては知事の言う、岩手の強みである勤勉で実直な県民性や結いの精神に基づく地域文化や伝統といった、ソフトパワーの根幹にも影響を与えてしまいかねないほど重要であり、長期計画との関係も含めて、慎重な議論が必要であると思います。
 そこで、去る5月19日から6月9日までの期間に実施されました県内9地区のブロック別懇談会において、具体的な意見としてどのような意見の集約が行われているのか、お伺いいたします。
 また、新計画の策定に向け作業が行われておりますが、タイムスケジュールはどのように考えておられるのか、お伺いします。
 さらに、今後、重要な課題として浮上するのは小規模校の再編問題でありますが、この点について基本的にどのような考え方を持って本計画の策定に当たろうとしているのか、お伺いします。
 また、県全体の学校配置の考え方として、現在の8学区を当面現行とすることが望ましいとしていますが、県教育委員会としてはどうとらえているのか。そして、今後の中長期的な展望として、生徒減少を踏まえて、より広域的な地域単位での設置も検討する必要性について述べていますが、このことは、言いかえれば、さらなる統合再編を前提とした考え方や、あるいは、あわせて進められている教育事務所の配置を含め、広域圏にリンクしたものとなるのか危惧されるところであり、都市部への集約化が懸念されるが、どうとらえているのかお伺いいたします。
 第4に、医療対策についてお伺いします。
 既に各議員からも質疑が行われており、重複することをお許しいただき、幾つかの質問をさせていただきます。
 まずは、診療所休床化に伴い、当該地域との議論の中で、8項目の取り組みを成案化に当たっての追加対策としたわけですが、その具体的な取り組みの状況と課題についてお伺いします。特に、知事が直接出席をされた地域診療センター等懇談会において、地域住民の声を聞いての御所見と、あわせて、今後の対応についてどのように取り組むのか、お伺いします。
 次に、地域医療に関する懇談会の開催に当たっての課題についてでありますが、一つは、この懇談会の持ち方として3回の開催を予定し第1巡が終了しましたが、県としてどのように意見集約を行い課題を認識されたのか、お伺いします。
 また、進め方についても、県の立場や考え方、あるいは医師の立場から医療の現状を伝えることに多くの時間が割かれ、現状を共有しようとするのは理解しますが、中部地区での進め方を例に挙げれば、意見交換の場も、まずは医療関係者中心に意見を求めようとしたため、住民側も市町村も、どのような意見がこの懇談会で求められているのか、困惑した状況に至ったと感じましたし、県側の一方的な思惑で進めていこうとする姿勢に、不満があらわになったとも思います。無論、各圏域ごとにさまざまな考え方や意見はあったと思いますが、今後の進め方としてどのような姿勢で臨むのか、お伺いします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、地域医療問題を今後協議していくための会議等のあり方についてでありますが、この協議を行い、具体的に実行するための組織がどこでどうつながっているのか、また、屋上屋を架すような計画を審議する場が多く、県はそれぞれの担当課において対応できますが、住民側や市町村段階では同じような会合に振り回され、一体どこで何を決めて取り組むのかが見えてこないのではないでしょうか。少なくとも、地域医療に関する会議等について、今後、内容に踏み込んで協議を行うためには、こうした協議機関の集約化と交通整理が必要だと思いますが、考え方をお伺いします。
 次に、産科医不足の問題にかかわってお伺いします。
 まずは、本県の産科医療体制について、現状はどのようになっているのでしょうか。県全体の産科医の実態について、医療圏ごとの状況をお示しください。
 産科医不足の問題は、先般の地域医療に関する懇談会でも、もはや産科医問題は二次保健医療圏の枠組みだけでは対応できないとの意見が、北村中部病院長から訴えられました。そこで、当然のこととして、産科医の確保については継続的に求められている課題でありますが、助産師の活用についても、これまで市民運動なども含めて求められてきた課題であり、2年ごとに行われる助産師業務従事者届の直近の集計結果によると、県内の助産師資格を有する方が、届け出によって就業が明らかになっている人数として、平成18年12月現在で324名となっています。ただ、この資料は、残念ながら助産師有資格者の総数の把握がされていないため、潜在的な資格者がどの程度いるのか把握できないのでありますが、県立病院に限っては、有資格者216名中143名が専任の助産業務に従事しており、73名が管理職や産婦人科のない病院勤務、産婦人科以外の診療科の従事者となっています。また、産科医師の負担を軽減し、正常な妊産婦への健診と保健指導対応として整備がなされている助産師外来開設施設が11カ所、正常経過の分娩に限って妊産婦のケア及び助産を行う院内助産システムが県立病院のみ3カ所となっています。
 そこで、これらの助産師外来や院内助産システムによってどのような実績を上げているのか、また、どう評価をしているのか、お伺いします。
 さらに、今後の体制について、計画が進められているとすれば、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
 また、産科医師の不在地域におけるモデルとして、助産師を活用した遠野市のねっと・ゆりかごの取り組みが全国的に高い評価をいただいておりますが、こうした産科医不在地域における助産師を活用した対策について、今後の取り組みとしてどのようにしていくのか、お伺いします。
 第5に、温暖化対策についてお伺いします。
 地球温暖化防止に向けた取り組みは、国際社会において喫緊の重要な課題として論議され、メディアなどを通じて、私たちは、このままでは地球環境が大変なことになるというメッセージを耳にする機会がふえています。しかし、一方においては、先日発表された政府の温室ガス削減目標は、洞爺湖サミットでの長期目標、いわゆる2050年に世界全体の排出量半減の目標に至る中期目標として、2020年までに2005年対比で15%削減するという方針についても、果たせるかな、発表と同時に、経団連からは経済活動の影響を懸念しての批判が、環境保護団体や途上国からはその実現性や目標の設定に対しての批判が相次いでいます。
 こうした中、本県に目を向けますと、2005年のCO2排出量が1、366万2、000トンとなり、いわゆる基準年である1990年に比べ6.1%増となっています。その結果、本県の削減目標としてきた基準年対比8%削減の達成のためには、基準年総排出量対比で14.1%、181万5、000トンの削減が必要となります。平成17年に策定された岩手県地球温暖化対策地域推進計画によりますと、これらの増加分を合わせた排出削減目標について、排出抑制による削減分を約91万9、000トン、7.1%とし、固定分として森林吸収分を約89万6、000トン、7%としています。
 そこで、本県としては改めてCO2削減に向けた県民総参加の組織を立ち上げたわけですが、政府方針もそうですが、数字だけがひとり歩きをしている感が否めず、私たちが取り組む際に、あるいは取り組んできた姿としての実態がどういう形で目に見えるものとなっていくのか、実感をすることのできる対策が必要であると思います。
 そこで、まず排出抑制を実現するための取り組みとして、直接的な削減効果として期待される太陽光発電装置導入対策であります。新年度予算に措置した助成制度について説明会なども開催し、積極的な導入を働きかけていますが、助成活用による現在の導入に向けた需要動向についてはどのようになっているのか、また、県の予定する目標達成への見込みをどう分析されているのか、お伺いします。
 また、助成の内容について、果たしてこれで十分なのかという点で、平成17年度まで行ってきた制度に比べて、国の助成額が引き上げられているとはいえ、その分、本県の助成額はむしろ消極的な内容となっているのではないでしょうか。国が選定した環境モデル都市の事例としては、2010年度から太陽光発電の余剰電力買い取り料金を、10年間にわたり、現在の倍の料金で買い取る固定価格買い取り制度を見据えて、先行して独自の買い取り制度を導入する富山市の例や、公共施設だけでなく、長野県飯田市の市民の屋根貸しシステムの検討など、市民ファンドの資金調達と市の予算措置として発電装置に付随する温水器、ペレットストーブ、ペレットボイラーへの助成など、一体的な支援が行われているケースなどを考えると、さらに追加的な支援制度を検討して、県民の目に見える形で市町村との制度連携を図るなどしながら、積極的な導入促進策を示すべきだと考えますが、お伺いをいたします。
 最後に、森林吸収にかかわる対策ですが、本県の削減目標の中で、この森林吸収分にかかっている数字は目標の半分を占めています。しかも、この目標達成のための依存度合いは、2001年度当初、約59万トンであったものが90万トンとなり、1.5倍の上乗せをして、直接の排出削減分を森林吸収によって数字として補っている実態が浮き彫りになっています。国の試算によると、本県のCO2森林吸収量は140万トンと推計され、計画における最大許容量を104.5万トンまで認められていることから、その枠は極めて限界の方向へと近づいており、排出量取引制度の活用といった今後の展開にも影響が必至と言わざるを得ません。
 そこで、森林整備等についても、CO2を固定させるための対策として大変重要となってまいりますが、県としてどう具体的な取り組みを推進するのか、お伺いします。
 また、特別委員会でも講演をいただきました宮脇昭氏のお話では、森林の整備や里山、森の再生には、その土地土地の最も適した樹種を生かすことが大切だとの指摘もあることから、森林税の活用などの面においても、そのような視点からの取り組みが必要であると考えますが、お伺いいたします。
 以上で、登壇による私の一般質問を終わりますが、引き続き何点かについて答弁を踏まえ、質疑を行わせていただきたいと思います。
   〔1番木村幸弘君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、実体経済や県民生活の現状を踏まえた対応についてでありますが、昨年来の世界規模での景気の減速による深刻な経済、雇用情勢、また、新型インフルエンザへの不安など、県民生活を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあると認識しております。こうした考えに立ち、平成21年度当初予算を、岩手を守る逆風立ち向かい予算と位置づけ、8年ぶりに増額した予算として編成いたしました。
 さらに、悪化を続けている県内の景気、雇用情勢を踏まえ、喫緊の課題である地域経済の下支え、雇用対策と、強い岩手をつくるための構造転換、体質強化に向けた取り組みを盛り込んだ6月補正予算を今議会に提案しているところであり、今後とも、県民の不安を取り除くよう、迅速、的確な対応に努めてまいりたいと思います。
 次に、経済構造、社会構造の基盤構築についてでありますが、グローバル化や人口減少、少子・高齢化の進行など、本県を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、県民がみずからの希望に向かって生き生きと働き、安心して暮らしていくことのできる社会を実現していくことが重要と考えます。また、このような社会を実現していくためには、ものづくり産業や地域の特性、資源を生かす農林水産業、食産業、観光産業などの産業振興を進め、その優位性を世界に発信するとともに、若者の雇用の場を確保し、県外への人口流出を抑制しながら、県民一人一人が生き生きと働くことができる、グローバル化の時代に適合した力強い経済構造を構築していくこと。それと同時に、安定した財政基盤のもとで、少子・高齢社会における医療・子育て・福祉、防災・防犯、教育など、県民生活の基本となるサービスを、地域で主体的に、かつ、良質に提供していくことができる仕組みを築きながら、県民一人一人が、安心して暮らしていくことができる社会構造を構築していくことが必要と考えております。
 次に、内需拡大型の本県の取り組みについてでありますが、現下の厳しい経済情勢のもとで、地域において内需主導型の経済基盤を構築していくためには、製造業や農林水産業、観光業などの、県外から安定的にいわゆる外貨を獲得する域外市場産業を強化するとともに、得られた所得を生産、流通、販売、消費を通じて県内で循環させることにより、商業やサービス業の振興を図り、地域経済を安定的、持続的に成長させていくことが必要と考えます。
 具体的には、依然厳しい経済状況にはありますものの、中長期的には引き続き成長が見込まれる自動車、半導体関連産業を初めとしたものづくり産業の基盤強化に努めていくとともに、世界経済の影響を受けにくい地域の特性や資源を生かした産業を同時に振興していくことが重要でありますので、国内有数の生産力を誇る農林水産業、質の高い農林水産物を活用した食産業、豊かな自然や高品質な県産食材、伝統文化などを生かした観光産業などの振興に積極的に取り組むとともに、地域や業種の垣根を越えた連携に積極的に取り組んで、本県の強みを生かした産業の振興をさらに図っていきたいと考えております。
 次に、主要な政策決定に際しての県と市町村との関係についてでありますが、グローバル化や人口減少、少子・高齢化の進行など、私たちを取り巻く社会、経済環境が大きく変化する中で、県あるいは市町村が個別に対応するだけでは解決できない課題がますます増加しています。このため、新しい長期計画では、県民、企業、NPOや行政など、地域を構成するあらゆる主体が、ともに支え合いながら総力を結集していく地域経営の考え方を基本として、県民一人一人が希望を持てる岩手の実現を目指したいと考えております。こうした地域経営の考え方を進める上で、市町村は県の重要なパートナーであり、対等、協力の関係にありますことから、県と市町村がそれぞれの役割を十分に果たしつつ、共通の地域課題については認識を共有し、連携を図りながら、施策を展開し、住民福祉の向上にともに取り組んでいきたいと考えております。
 次に、地域診療センター等懇談会についてでありますが、この懇談会においては、私のほうから、地域診療センターを病床休止せざるを得なかった背景や、地域の方々の不安や心配に対するおわびの気持ちを直接お話しすることができました。
 地域の方々からは、病床休止に伴って感じている不安や心配の内容について具体的に伺いました。また、市町村長、市町村議会議員の方々にも出席をいただき、地域の問題として一緒に考えていきたいなどの発言もいただいたところであります。
 今後は、それぞれの地域の実情に応じて、地域診療センターの円滑な運営や活用について、地元市町村とよく相談して取り組んでいく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総合政策部長高前田寿幸君登壇〕
〇総合政策部長(高前田寿幸君) まず、長期計画に係る地域説明会における意見についてでございますが、計画の素案公表後、県内11地区において地域説明会を開催し、県民の皆さんの御参加をいただいたところでございます。
 この地域説明会におきましては、主な意見といたしまして、なぜ10年間の長期計画を策定するのかといった策定趣旨に関することや、計画内容に関しては、岩手の未来を開くために重視する視点として示したゆたかさ、つながり、人の考え方に共感をいただく一方で、人口減少への歯どめ、若い世代の地元定着、食料自給率の向上、地域医療の確保、さらには県北・沿岸振興や地域コミュニティの強化などを進める必要があるなど、合わせて92件の御意見をいただいたところでございます。
 今後は、こうした地域説明会での御意見のほか、市町村や県内各団体との意見交換、8月中旬まで実施いたしますパブリックコメントや総合計画審議会での議論などを踏まえながら、アクションプランを含めた計画案の策定作業を進めてまいります。
 次に、計画期間の考え方についてでございますが、計画策定に当たりましては、策定期間中に具体的な案をお示しし、広く県民の皆さんの御意見をいただきながら計画内容の周知を図っていくことが重要であると考えております。今回の新しい長期計画におきましても、6月の計画素案、9月の計画案の2度の地域説明会やパブリックコメントの実施などによりその周知を図るとともに、未来のいわて作文・論文コンクールやいわての未来を切り拓く構想グランプリの実施等により、県民の皆さんに計画策定へ積極的に参加いただくこととしており、このようなことから、計画策定後、特に周知のためだけの期間を設けないこととしているところでございます。
 また、地域経済や雇用、医師確保など速やかな対応を求められる課題も多いことから、計画策定後、直ちに県民の皆さんの力を結集しながら計画目標の実現を目指し取り組みを進めていく必要もあり、お示ししているような計画期間としたところでございます。
 次に、広域圏関係者や自治体との意見集約についてでございますが、新しい長期計画の策定に当たりましては、できるだけ多くの県民の皆さんに参画いただきたいと考えておりますが、特にアクションプランの策定過程におきましては、住民はもとより、市町村や関係団体などから具体的な政策等に関するさまざまな御意見をいただきたいと考えております。
 このため、これまで、市町村や地域の有識者で構成する圏域運営懇談会を広域圏ごとに開催し、地域の課題や将来像について御議論いただくとともに、県内11カ所で開催した地域説明会でも、住民の皆さんはもとより、市町村や市町村議会、各種団体などさまざまな立場の皆さんに御参加いただき、意見交換に努めているところでございます。
 今後におきましても、こうした取り組みにより、地域経営の重要なパートナーである広域圏関係者や市町村と十分な意見交換を行い、アクションプランが地域にとってより実効性の高いものとなるよう取り組んでまいります。
 次に、分野を超えた構想、取り組みの位置づけについてでございますが、いわての未来を切り拓く構想は、実現していきたい岩手の未来をより確かなものとしていくため、先駆性、独自性があり、分野を超えた取り組みの方向を盛り込もうとするものでございまして、県民からのアイデア募集や総合計画審議会からの御意見、御提言もいただきながら、今後、具体的な中身を詰めていくこととしております。
 議員御指摘の、計画の構成におけるこの構想の位置につきましては、基本目標や目指すべき実現していきたい岩手の未来との関係におきまして、いわゆる政策の縦の柱としての各政策分野の展開方向をまず描くべきか、あるいは政策の横の切り口としての分野横断的な構想を描くべきか、審議会でも御意見があったところでございます。そうした議論も踏まえつつ、素案では、県民によりわかりやすい計画とするため、岩手の未来を実現していく上でどのような政策が必要かが明確にわかる形とすることを重視し、各政策分野の展開方向をまず説明した上で、分野を超えた取り組みとしての構想はその後に説明する構成としているものでございます。
 新しい長期計画の構成上のこの構想の位置につきましては、今後、検討を進めることとしております構想の具体的な内容も踏まえつつ、審議会などからも御意見をいただき、さらに検討を進めてまいります。
 次に、いわて未来づくり機構の役割、成果等についてでございますが、この機構は、県内の産学官など多様な組織が手を携え、地域社会の総合的な発展に向けてオール岩手で取り組み、実践していくことを目的に設立され、岩手ブランドの国内外への展開など、五つのテーマについて作業部会を設置し、具体的な活動を展開しております。
 昨年度は、雇用改善に向けて、大学生の工場見学会や企業を対象とした雇用対策の説明会の開催、地域経済活性化のための買うなら岩手のもの運動などを展開するとともに、本年6月には、この機関が調整機関となって、国の地域中核産学官連携拠点に選定されるなどの成果を上げてきているところでございます。
 また、この機構は、地域の自立と活性化を目標に掲げており、この目標は地域社会のあらゆる力を結集し、岩手の未来をつくるという新しい長期計画の目指す方向と同じでありますことから、計画の具体的な推進に当たってこの機構と連携を図ることも重要であると考えておりまして、今後、機構会員との意見交換等を行い、いただいた意見も踏まえつつ計画を策定してまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、ふるさと雇用再生特別基金事業についてでありますが、今年度の当初予算編成段階におきます事業化の検討につきましては、国の平成20年度第2次補正予算成立後ということで検討時間が限られていたことに加え、本事業につきましては、委託事業であること、継続的な雇用が見込まれる事業であることなどの要件がありましたために事業化が進まなかったところであります。その後、民間企業、団体からの企画提案を求める方式の導入や、他の都道府県の事例も参考とするなど、県と市町村が一体となって事業の検討を推進した結果、事業化率が向上したものであります。
 今後、事業化率をさらに引き上げていくためには事業要件の緩和も必要と考えており、このため、国に対して、継続的な雇用創出の観点から、将来、収益が見込める産業分野─民間企業等への補助も認めることなどについて、先ごろ本県としても要望書を提出したところであります。
 他方、現行制度の課題はありますものの、地域において早急に雇用の創出を図る必要がありますことから、現行では十分な事業化が図られていない市町村に対しては個別に働きかけを行うなど、さらなる事業化に努めてまいります。
 また、県事業におきましては、今年度の雇用創出を174名と見込んでおり、現時点で5事業により26名が就労しております。その他の事業につきましても、委託発注に向けた準備を速やかに進め、早期の就労に結びつくよう取り組んでまいります。
 次に、いわて求職者総合支援センターについてですが、緊急雇用創出事業を活用して、県が行う生活、就労相談とハローワークが行う職業相談、職業紹介をワンストップで実施することにより、総合的、きめ細やかな就業、生活支援を行うこととして5月29日に開設したものであります。
 今月23日までの利用状況は、求人検索機等の利用者が2、098人、職業相談、職業紹介が647人、生活相談等が111人、その他求人情報誌等の閲覧や提供等も含めますと、利用者数は延べ4、086人となっています。なお、職業紹介を経て就職に至った方は14人となっています。
 開設してまだ間もないため課題と言うまでには至りませんが、現場からは、関係機関との密接な連携が必要であるとの声が寄せられておりますことから、今後、ハローワークやジョブカフェ等との情報共有を図り、中核的な施設としてその機能が発揮されるよう努めてまいります。
 次に、再就職支援の具体的な取り組み内容と目標についてでありますが、本事業は、ふるさと雇用再生特別基金事業の活用により、約20名の再就職支援コーディネーターを求職者の中から新たに雇用して、離転職者訓練等を委託する民間職業訓練機関等に配置するものであります。本コーディネーターは、訓練受講生の就業相談や求人開拓等に従事しながら、一方で本人自身のスキルアップを図ることにより、求職者の適性や職業経験等に即して就業相談に応じられるキャリアコンサルタント等としての養成もあわせて行おうとするものであります。
 大変厳しい雇用環境下ではありますが、再就職支援の目標としては、昨年度の実績を上回る就職率65%以上を掲げて取り組むこととし、本事業により配置されました再就職支援コーディネーターが将来的にキャリアコンサルタント等として養成され、本格的に訓練受講生の就業支援に従事することにより、さらに高い就職率が達成されることを期待しているものであります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 診療所休床化に伴う取り組み状況と課題についてでありますが、入院が必要な患者さんの受け入れ先の確保については、地域診療センターからの紹介で入院している患者さんは、4月、5月の実績で少ないところで4名、多いところで18名、5地域診療センターの合計で47名となっており、入院先の内訳としては、県立の基幹病院等に38名、連携している民間病院等に9名で、県立病院を中心に確保しているところでございます。
 患者さんと家族の無料送迎については、5月末までの利用状況は、延べで患者さん11名、御家族の方73名の合計84名となっております。
 また、夜間、休日の電話等による相談への対応については、5地域診療センターで5月までに電話によるものが181件、来所によるものが44件で、合計225件、1センター当たり1日平均で0.7件の相談となっております。
 無料送迎及び電話等による相談対応につきましては、これまでの実態や地域の要望を踏まえ、関係市町村と相談をして見直しをすることとしております。
 空きスペースの活用につきましては、地域診療センター等懇談会などの場において、地域の皆様から意見、提言をいただいているところでありますが、花泉地域診療センターについては公募することでほぼ合意が得られ、地元市町村と協議をしているところであります。
 地域診療センターを円滑に運営するためには地元市町村との連携が大切であり、今後、関係市町村等と十分協議しながら取り組んでいく考えであります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、地域医療に関する懇談会の意見集約と課題認識についてでありますが、1回目の懇談会では、地域住民代表、関係団体、市町村などからさまざまな御意見をいただいたところでありますが、住民の自主的な取り組みや市町村の主体的な取り組みの必要性など、現状に対する危機意識を踏まえた発言が相当数あったものと理解しております。
 2回目以降の懇談会では、1回目でいただいた意見などをもとに、それぞれの圏域において各主体がみずから行うこと、連携して行うことなどについて活発な議論を行っていただきたいと考えておりますが、そのためには、特に住民の視点から数多くの意見をいただけるよう、関係団体や市町村の出席者に対し、なるべく専門用語でなく平易な言葉を使って説明いただくよう要請を行うほか、理解が得やすい資料の作成や懇談会前に書面で御意見をいただき、当日は論点を整理してお示しするなど、さまざまな工夫をしながら進めていくことが課題であると考えているところでございます。
 次に、地域医療に関する懇談会の今後の進め方についてでありますが、この懇談会は、二次保健医療圏ごとに地域医療の今後の姿などについて御協議いただくものでありますことから、その進め方については、県が特定の道筋を示していくものではなく、さきの県議会での動議の趣旨を踏まえ、住民の視点からなどによる、各圏域の医療資源など地域の状況に即した活発な議論を行っていただき、提言をまとめていただけるよう進めてまいりたいと考えております。
 次に、地域医療問題を協議する会議のあり方についてでありますが、地域医療に関する懇談会については今年度新たに設置し、開催しているところでございますが、一部懇談会におきまして、既存の協議会などとのすみ分けがわかりにくいことについて御意見があったところであります。
 今後、1回目でいただいた御意見をもとに、さらに意見交換を行い議論を進めるとともに、秋ごろまでに提言をいただきたいと考えておりますが、それらのうち、専門的な議論をさらに深める必要がある内容につきましては、既存の協議会のうちそれぞれのテーマにふさわしい場などにおきまして引き続き具体化に向けた議論をしていく必要があるものと考えております。
 なお、保健福祉部、医療局で運営するこれらの協議会につきましては、本年度、休止や協議事項のテーマを絞ることなどにより開催回数を減らすなど必要な調整を行ってるところでございますが、今後、本年度内に必要な見直しを行うこととしております。
 次に、医療圏ごとの産科医の状況でありますが、平成18年の県全体の産科医師数は90人で、医療圏ごとの人口10万人当たりの医師数を比較いたしますと、盛岡が9.2人で最も多く、次いで両磐と二戸が6.3人となっており、胆江5.5人、気仙5.4人、釜石5.1人、久慈4.5人の順で、最も少ないのが岩手中部の3.4人となっております。盛岡では全国平均の7.9人、県平均の6.5人を上回っておりますが、盛岡以外の医療圏ではいずれも全国平均、県平均を下回っており、他の診療科と同様に地域偏在が認められるところでございます。
 次に、県内の助産師外来や院内助産システムの実績、評価と今後の計画等についてでありますが、県内の助産師外来11カ所の平成20年度における利用者実績は延べ1、689人であり、前年度と比較いたしますと利用者は540人増加しております。また、県内の院内助産システムについては、平成20年度から2病院ふえまして3病院となっており、昨年度、この3病院において同システムを利用した分娩件数は383件となっているところでございます。
 こうした助産師外来や院内助産システムの開設、拡充によりまして、産科医の負担軽減が図られていること、妊産婦が自宅に近い医療機関で健診や出産ができること、助産師自身のモチベーションの向上が図られることなどおおむね良好な評価が得られている等、有益な取り組みであると考えているところでございます。
 今後の計画等についてでございますが、現時点において県内の医療機関で新たに開設に向けて具体的に準備をしている事例は承知しておりませんが、将来の新規開設や既に開設している施設の体制強化等に向けた検討に取り組んでいる事例はあるものと承知しております。
 県といたしましては、産科医の絶対数が不足する中、助産師活用により地域の産科医療を確保することが重要であると考えております。そのために、助産師の資質向上等の観点からこれまでも県単独事業として研修会を開催してきたところであり、平成17年度からは、助産師外来や院内助産の開設促進に向け研修内容を充実させてきております。今後とも、助産師養成施設や岩手県産婦人科医会等関係団体との連携のもと研修内容の一層の充実を図り、助産師の専門性の向上の支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、産科医不在地域における助産師を活用した対策についてでありますが、遠野市のねっと・ゆりかごでの助産師による遠隔妊婦健診は、妊婦の通院負担を軽減するとともに、安心感を与えるなど大きな成果を上げているものと考えております。
 県といたしましては、国の事業を導入し、昨年度から支援しているところでありますが、また、他の地域への普及を図るため、今年度、新たに国の来年度予算編成に向けまして、実施市町村に対する新たな財政支援制度の創設を要望しているところでございます。
 現在、遠野市の事例をモデルとして、助産師による遠隔妊婦健診の導入を検討している市町村もございますことから、これらの市町村の取り組みを支援し、今後、その拡充を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 太陽光発電装置導入対策に係る助成制度についてでありますが、現在までの補助金申請状況は昨日の時点で341件となっており、補助事業のなかった昨年の4月から6月までの導入件数131件と比較して倍以上の申請数となっております。
 なお、国の補助事業が再開された本年1月から3月までの導入状況は190件でございまして、前年同期の2倍であり、補助事業のなかった昨年のおよそ2倍のペースで導入が進んでいる状況でございます。このままのペースで推移しますと、秋ごろには補助枠の500件を達成できるのではないかと考えております。
 次に、追加的な支援制度についてでございますが、今回の補助事業は、現在のところおおむね順調に活用されておりますが、追加的な支援制度につきましては、今後の利用状況や国の取り組みの動向等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 また、市町村との連携については、太陽光発電導入への助成など積極的に取り組みを進めている市町村もあることから、市町村の今後の取り組み方向についての意向をよく把握し、連携した取り組みなどについて検討してまいります。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 二酸化炭素吸収のための森林整備の取り組みについてでありますが、国では、京都議定書の削減目標6%のうち3.8%を森林吸収により削減することとしており、また、吸収源として算入できる森林は、間伐など適切な管理がなされていることが条件となっておりますことから、国を挙げて間伐の促進に取り組んでいるところでございます。
 本県でもこれに呼応し、間伐がおくれている森林の解消に鋭意取り組んでいるところであり、その結果、国の試算では、本県の平成19年度の二酸化炭素吸収量は平成17年度に比べ41%増加するなど、成果が着実にあらわれているところであります。
 我が国の森林吸収量の目標達成のためにはさらに間伐を進めることが必要となっており、全国有数の森林県である本県としては、二酸化炭素吸収における間伐の重要性の普及啓発や国庫補助事業を活用した森林整備に引き続き取り組んでいくほか、今年度からは、道路がないなど不利な条件のため手入れがおくれてる森林の間伐についても強力に推進することとしており、市町村や関係団体と一体となって積極的に間伐を促進してまいります。
 次に、土地土地に適した樹種の活用についてでございますが、間伐を推進している中で、所有者がみずから管理ができず、公益上特に重要で緊急に整備する必要がある森林については、いわての森林づくり県民税を活用し、おおむね5割の間伐を行ういわて環境の森整備事業を実施しており、これにより地域に自生する広葉樹の生育を促し、針広混交林に誘導することでその土地に適した森林の形成が期待されるところであります。
 今後とも、こうした取り組みにより森林の公益的機能が十分に発揮されるよう、いわての森林づくり県民税を活用した森林整備を推進し、森林吸収源対策に積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、ブロック別懇談会における意見の集約についてでありますが、ブロック別懇談会ではさまざまな意見が出されており、検討委員会の事務局として集約の途中でありますが、高校教育の基本的な考え方には理解を示していただいたと受けとめているところであります。
 その主な意見としては、望ましい学校規模や学級定員について、小規模校の方向性や少人数学級の考え方について地域の実情を踏まえて対応してほしい、ブロックごとに多様なタイプの高校や学科を配置してほしい、統合した場合には通学支援を講じてほしい、地域振興を担う高校の役割を重視してほしいなどの意見があったところであります。
 いただいた御意見等については、検討委員会の場で委員の皆様方に報告し、今後の検討の参考にしていただくこととしております。
 次に、次期高校再編計画策定に向けたタイムスケジュールについてでありますが、第2次県立高等学校長期構想検討委員会においては、5月から6月にかけて県内9ブロックで開催した懇談会で今後の県立高等学校のあり方について中間まとめに対するさまざまな御意見、御提言をいただいたところであります。今後、それらの御意見、御提言を踏まえさらに議論を深めていただき、9月中旬ころをめどに県教育委員会に対し成案をお示しいただく予定となっております。この検討委員会からの御報告をいただいた後、今年度末までに県教育委員会として今後の県立高等学校のあり方を策定する予定としております。来年度において、そのあり方を基本としながら具体的な県立高等学校の整備計画の検討に着手する予定としております。
 次に、小規模校再編についての基本的な考え方についてでありますが、現在、外部有識者による検討委員会において県立高校のあり方について検討していただいており、中間まとめをお示しいただいたことは先ほど申し上げたとおりであります。学校規模のあり方については、小規模高校の取り組みや実態を評価しつつ、科目ごとの専門教員の配置や教育課程の編成など、生徒の学習環境の面において生徒の希望に応じた専門性の高い指導を受けることができることや、部活動数や生徒会活動においても学校の活性化につながること、3学級以下の小規模校では生徒の学習面や指導面における課題が認められることなどから、1学年4学級以上が高校教育の質を保証する観点から望ましいとされているところであります。
 高校教育における望ましい学校規模のあり方については検討委員会において検討いただいているところであり、現段階では、その最終的な取りまとめを待って県教育委員会としての考え方を検討してまいりたいと考えています。
 次に、現在の学区及び都市部集約化への考え方についてでありますが、現行の通学区域のあり方については、平成18年度に、県立高校入試改善検討委員会において、学区外からの入学者数が許容率として設定した10%を大きく下回っていること、現行の8学区が定着していること、子供たちを地域の高校で育てるという観点が必要であることなどから、当面、8学区のままとすることが望ましいとされたところであり、それを十分踏まえながら検討されていると思います。第2次県立高等学校長期構想検討委員会の中間取りまとめにおいても、それを踏まえながら、当面、現行のまま取り扱うことが望ましいとお示しいただいたところであります。
 一方、中長期的には、生徒数の減少により、ブロック総体での設置学級数が10学級程度となり、多様なタイプの高校や学科の配置が困難となると予想される地区が生じてくることが予測されています。将来を見据え、より広域的な地域単位での学区の設置も視野に入れた検討が必要であることもお示しいただいているところであります。
 学区の設置については、生徒の選択を制限すべきでない、あるいは地域を担う人材は地域で育てるべきなど、さまざまな御意見があると承知しており、今後、検討委員会からの報告を受けて、県教育委員会として、将来を見据えながら、望ましい学区設定のあり方についても総合的に検討してまいる考えであります。
〇1番(木村幸弘君) それでは、引き続き質問をさせていただきますが、時間等も大変残り少なくなっておりますので、簡潔に質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、雇用対策についてでございますが、先ほどさまざまな施策を通じての取り組みが示されたところでございます。本日、ちょうどニュースを見ておりましたならば、有効求人倍率がさらに本県は厳しい状況になっているということが報じられているところでございまして、そうした中で、就労実績の拡大に向けて具体的に対策をしていく上で、今回の緊急避難的な各制度の事業をより効果的、有効に生かしていくためには、この事業のそれぞれの持つ特徴、いわゆる期間の限定等があるわけでありますけれども、こうした期間を切れ目なくつないでいくというふうな施策が大変重要になってくるのではないかと。再就職率の厳しさを考えていくときに、今の特定の期間だけで、それで切れてしまったならば、あとは失業に置かれてしまうという状況を最大限避けていくような取り組みが必要であると思いますけれども、そのような意味から、継続的な事業の実行と、そして前倒しをしながらそうした手だてをしていくという考え方をどのように考えているのか、お伺いします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) ただいまの御質問は、継続的でしかも効果的な雇用対策をしっかりとやってほしいというお話かと思います。
 緊急雇用創出事業について申しますと、本事業は、今議会での審議をお願いしております緊急雇用創出事業臨時特例基金の積み増し分を含みます総額77億円を財源としまして、平成23年度までの3年間にわたりまして、短期の雇用機会を創出していくものであります。今年度におきましては、緊急の対策として、可能な限り前倒しで実施することとして、県、市町村合わせて、基金総額の約4割に相当いたします31億円を目途に事業化を図る予定としております。
 なお、現時点におきましては、来年度以降の雇用状況の変化にも備えまして、平成22年度、23年度分としまして、基金総額の約6割を留保しているところでございますが、今後、さらに雇用情勢が悪化した場合には基金の取り崩しを行い、事業を前倒し実施することも検討してまいります。
〇1番(木村幸弘君) ただいまの御答弁をいただきまして、大変力強く感じたところでございます。いずれ、不幸にして失業された方々の今の状況を考えますと、大変厳しい状況だと思います。例えば、今回のこうした短期の創出事業を受けながら、また一方では、職業訓練校との連携、あるいは失業保険給付期間、こうしたものとそれぞれ個別にケース・バイ・ケースでいろんな状況が考えられると思います。そうしたつなぎをうまくつないでいきながら、再就職へ何とかこぎつけるための手だてということで、今回設置された支援センター等も含めながら、万全の対策を期していただきたいということを強くお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それから、ふるさと雇用再生事業の課題の関係でありますけれども、いわゆる使い勝手が悪いという形で、うまく事業が進まなかったというふうな状況があったわけでありますけれども、特に事業利益が委託先で生じた場合に、委託費の返還などが求められるというふうなことも新聞等でも指摘をされておりました。そうした考え方について、国の方針、法律そのものも含めて変えていく必要があるんでしょうけれども、やはり一定の委託をした事業先は当然利益も得ながら、そうした雇用の維持、確保に努めていかなければならないという現実の問題を考えれば、この柔軟な対応をぜひとも早急に求めていく必要があると思いますし、また、一定の利益が生じた場合に、そこに就労している労働者の方に対して、所得としての一部の分配が図られるような、そうした形の中でこの事業がより効果的に進められるような方向というものも、逆に国に対して提案をしてもいいのではないかというふうに思いますけれども、そうした点についてはどうお考えでしょうか。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) ふるさと雇用再生特別基金の使い勝手につきましては、先般、6月15日に厚生労働大臣官房参事官のほうに改善要望を求めたところでございます。大きく三つほど要望いたしました。
 一つは、研修、人材が主たる目的の事業も対象とすること。あるいは、将来、収益が見込める産業分野への補助も認めること。それから、基金の委託事業から収入が生じた際に、翌年度以降の事業実施に充てる場合には、当該収入額を返還不要とする取り扱いとすること。そして三つ目には、結果として事業終了後の雇用が継続しなかった場合の対応を具体的に明らかにし、事業実施要領に規定することということでお願いをしたわけでございます。この辺につきましては、さらに国の当局と具体的な詰めも引き続き行ってまいりたいと考えております。
〇1番(木村幸弘君) 次に、通告しております質問については、この間、前にお2人の質問の中でもお答えをいただいている部分でありますから、改めてその中で、それを踏まえてちょっと質問させてもらいますけれども、高等学校のあり方の問題であります。その中で、いわゆる学級定員の40人のこの定数の問題については、それぞれが各地域も含めて非常に見直しを含め、検討が必要ではないのかという強い意見が出されているわけであります。教育長の答弁の中で、メリット、デメリットはあるけれども、結局、法律に基づいた40人という、その枠からはみ出すことは難しいというふうな状況の中で御答弁をいただいたわけであります。
 また、小規模校の評価の問題についても、中間のまとめの中の内容をよく見てみますと、一方では、小規模校やそうした定員の関係の中で、生徒指導や生活集団機能の問題と、それから学習集団機能としての位置づけ、この二通りの考え方から、この定員と小規模校の評価が出されているわけでありますけれども、しかし、私はこの40人という定員が、学習機能ではある意味、意味を持たないと。生徒指導や生活集団機能のために40人が適正なんだという、そうした文科省の位置づけをそのまま、ただ踏襲をした考え方に立って、岩手的にその考え方を乗り越えていくような議論に、実は財政の問題が先にあるものですから、それ以上の議論に発展していないというふうに、この中間のまとめの中身を見て感じております。そういった点についてどのように対処していくのか、具体的に考えていく岩手の実情というものを踏まえた検討、協議が必要だという点について、教育長に再度御答弁をお願いしたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 先ほど述べましたように、今、検討委員会で検討されている中で、地域の御意見がさまざま出てきていることは承知していますので、その中で、もう一度、引き続き検討委員会の中で検討していただきたいというふうに思っています。ただ、小・中学校と比べて、高校というのは社会に出る一歩手前の教育ということで、もう少し大きい集団の中で切磋琢磨していくということが必要ではないのかなというふうに考えています。
 小規模校では、確かに小集団できちんとした生徒指導なんかはできるんですけれども、子供にとっては望む部活動ができないとか、さまざまな弊害も出てくることも確かでありますので、法令上では、6学級の240人規模で教職員なんかの定数みたいなのが出ているんですけれども、できれば、子供たちが望む教育を受ける。例えば、地理とか地学とかさまざま選択した場合には先生方の数もそろえていかなければいけないということもありますので、そういうことも議論の中で最終報告を待って、県の素案をつくるときに、ぜひ検討してまいりたいなというふうに考えています。
〇1番(木村幸弘君) そこで、検討委員会が今回策定しているグランドデザインの位置づけと、これからのスケジュールの中で、この成案に基づいて県教委として整備計画を検討しようとするというふうな方向で、今スケジュールが進んでいるわけでありますけれども、このグランドデザインと検討委員会の結果と、それから県教委との検討における整備計画の整合性、これについてはどのような関係を持って高校の今後の再編のあり方に反映させようとしているのか、その関係をお聞かせ願いたいというふうに思います。
 それから、知事にお伺いいたしますけれども、冒頭、私も登壇の質問の中で、長期計画のあり方、あるいは高校教育のあり方のところで指摘をしたわけでありますけれども、地域社会のシステムが今このような厳しい状況の中で、どんどん縮小あるいは崩壊をしていく懸念が強まっている。そうした状況の中にあって、例えば今回の高校再編の問題、さらには、これまで議論されている医療の体制の問題、そうしたことも含めて、非常に個別にそれぞれが計画を練るのも大事なことでありますけれども、総合的にどのような影響が地域社会に与えられていくのかということを踏まえての計画の考え方というものが、今、大変重要になってきているというふうに思うんです。そこが実は知事の言う、岩手の強みあるいはソフトパワーとして、本当に地域コミュニティをどう守り生かしていくのか、あるいは地域の文化や伝統をどう発信をさせていくのかというところと、全体の計画とあわせた考え方をきちんととらえて慎重に協議、検討を進めていくべきだというふうに思いますけれども、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 地域コミュニティは、日常生活や災害時における相互扶助、地域文化の創造、継承、まちづくりなど、県民生活にとって重要な役割を担っていますが、人口減少、少子・高齢化の進行などによって地域コミュニティの機能が低下し、ひいては、県全体の活力低下につながることも懸念されています。こうした中で、地域コミュニティの機能を維持していくためには、まず、県民一人一人が、地域において、みずからの判断と責任において行動しながら、県もまた市町村やNPOなど、地域の多様な主体との協働のもとで、地域活動を牽引する人材の育成や他地域との連携、交流など、その地域のその機能の維持、発展に向けた取り組みを強化していくことが重要と考えております。
 また、市町村とも連携しながら、地域の状況に応じた社会資本の整備、医療・福祉の維持、確保、産業基盤の強化などを進めていくことも重要と考えております。
〇教育長(法貴敬君) 検討委員会と県の案についてはできるだけ尊重し、整合性を持って進めたいというふうに考えています。
〇1番(木村幸弘君) 時間の都合上、医療関係についての質疑を省略させていただきました。大変申しわけございません。
 いずれ、これまでの私自身の考え方として、実は大迫の内川目地区の方と懇談したときに、神楽の伝承は、そこに生活の営みと住民の信仰があることで守られているのだと。言いかえれば、地域の営みが衰退することにより、伝承されてきた文化も失われていく。そういう地域の実情がある中で、総合的な政策というものを十分に考えていただきたいということであります。それが、知事の求める内需拡大の中で、住民の力を引き上げるための一つの方向性としても大事ではないのかなということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時12分 散 会

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