平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇17番(五日市王君) 民主党の五日市王でございます。
 今般、4度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員各位に衷心より感謝を申し上げます。
 また、私ごとで恐縮に存じますが、去る5月23日、40にして10年ぶりに第2子が誕生し、県議会議員親交会よりお祝いをたくさんちょうだいいたしました。心から御礼を申し上げる次第でございます。今後とも、出生率向上及び少子化社会に少しでも寄与できるよう努めてまいりたいと存じますので、先輩各位のさらなる御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従い、質問いたします。
 最初に、友愛精神とこの国の形についてであります。
 去る5月16日、友愛の精神をみずからの政治理念に掲げる鳩山由紀夫氏が民主党代表に就任いたしました。直近の各種世論調査においては民主党中心政権への期待は膨れ上がるばかりで、政権交代が起きれば鳩山総理誕生となるだけに、その考え方や政治思想はきちんととらえておかなければならないと思います。
 かく申す私も、急遽、鳩山氏の著書である新憲法試案や板垣英憲氏著の鳩山家の使命などの本を読みあさり、その考え方に触れたところであります。特にも、鳩山氏本人著の新憲法試案には、憲法改正論者であった祖父鳩山一郎氏のDNAを受け継ぎ、みずからも憲法改正を強力に推し進めるため、現憲法の条文に沿って具体的な改正案を公表しております。
 この中でも、鳩山家の政治思想である友愛精神についてと地方自治に関する条項について、今後の国のあり方に深くかかわりがある内容となっておりますので、知事の御所見をお伺いいたします。
 まず、鳩山家の政治思想である友愛精神については、EU、つまりヨーロッパ共同体を早くから提唱したオーストリアの政治家クーデンホフ・カレルギー伯の友愛革命、すなわち、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する思想を基礎とする友愛のための改革なくしては民主政治は完成しないという発想に立つもので、鳩山代表の言葉では自立と共生であり、それぞれが自立して違う個性であることを認め、尊重しながら、もたれ合いではなく共生の社会をつくること、すなわち自立と共生を両輪とした民主主義政治の確立を目指した友愛革命こそがこれからの日本には必要であると説いております。
 達増知事は、御自身のマニフェストの中で公正と、自立そして共生を理念として掲げ、この理念こそが岩手にふさわしいとしておりますが、新しい長期計画の策定に当たり、この理念をどのように位置づけられているのかを改めてお伺いいたします。
 次に、新憲法試案の中の地域主権のあり方についてお伺いいたします。
 この地域主権のあり方に関しては、補完性の原理、つまり自分でできることは極力自分でやり、できないことだけより大きな仕組みにゆだねようという考え方を取り入れております。国と地方のあり方については、この補完性の原理に基づき、基礎的な自治体に最も大きな権限と財源を移譲し、広域的な自治体には調整的な役割、国単独の役割は今の2分の1から3分の1程度に縮小するという考え方であります。
 これを現在に当てはめてみますと、現在の国、都道府県、市町村の3層構造を国、広域自治体としての圏と基礎自治体としての市に再編し、国の役割は外交、安全保障、皇室、年金、国勢調査などに限定し、災害、税、教育、公的保険、郵便などは、国が全国的な基準を設定しつつもそれぞれの地域特性に対応できるようにし、国、圏、市の共同にする、圏の役割は、市が行うことができない事務に限り立法の権限を有し、域内各市の相互調整を行うとされております。
 ここで注目すべきは、現在の都道府県を圏域の圏とし、圏の行政は圏行政委員会が行い、この圏行政委員会の長を圏知事とし、圏議会議員の中から圏議会が任命するとしている点、つまり圏は議員内閣制を採用するという点と、圏行政委員会の委員の過半数は圏議会議員でなければならないとしている点であります。
 この圏の規模については明らかではございませんが、この新しい国の形への提案は、昨年の一般質問において二元代表制のあり方について質問をいたしましたが、県行政の長、つまり部長職は県議会議員の中から選ぶべきとの考えは私も全くの同感であり、ぜひとも実現していただきたいと考えておりますが、これら新しい国のあり方や地方分権に対する知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、平成の大合併についてお伺いいたします。
 1999年の市町村数3、232から来年3月で1、760市町村と約半数になる平成の大合併も、合併新法の期限切れである本年度末に一段落し、また、第29次地方制度調査会も本年度で一区切りすることが適当との答申をまとめたところです。我が岩手県においても、今後、宮古市と川井村の合併が予定されており、また、一関市と藤沢町は合併に向けた研究会を立ち上げており、次なるステージに入っていくものと思います。
 総務省は、合併推進の次なるステージとして、市町村間の組織の統合や都道府県との統合、広域連携など、いわゆる自治体間の連携重視へ方向転換の方針を打ち出しました。具体的には、会計課などの経理処理や会計監査、農業、観光などの産業振興部門などを、自治体の枠を超え、統合、連携することによって合理化を目指す方針のようでありますが、平成の大合併に対する県の評価と今後の市町村のあり方に対する県の考え方をお伺いいたします。
 次に、知事のマニフェスト検証についてお伺いいたします。
 達増知事の任期も折り返しを迎え、新聞各紙などでも前半2年間の総括や検証を行うなど、後半2年間に寄せる期待の大きさをうかがわせております。また、6月23日に青年会議所の主催によるマニフェスト検証大会が行われ、第三者評価は61点との報告がなされたところであります。私も現役の青年会議所会員ではありますが、この検証大会には出席できませんでしたので、詳しい内容については資料のみでしかわかりませんが、その検証は議会でも行う必要があると思います。
 そこでまず、知事のマニフェストには、2大戦略として新地域主義戦略及び岩手ソフトパワー戦略に8項目、政策の6本柱として53項目の合計で61項目の項目が示されておりますが、これらが希望創造プランにどのように反映され、また、その評価をどのようにとらえているのかお伺いいたします。
 また、知事がマニフェストで掲げた政策は、現在策定中の新しい長期計画にも随時盛り込まれていくことと思いますが、後半2年間に最も力を入れて取り組もうとしている項目をお示しいただきたいと思います。
 以降につきましては、質問席から質問をいたします。
   〔17番五日市王君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私のマニフェストの理念の新しい長期計画への位置づけについてでありますが、私は、マニフェストにおきまして、岩手の歴史は、人として正しい道を歩もうとする志を持った先人たちの歴史であり、人と人とのつながりの中で地域を守ってきた歴史で、公正と、自立そして共生こそ岩手にふさわしい理念であるという考え方を示しました。
 公正については、奥州藤原文化に代表される平和の価値観や原敬、新渡戸稲造─敬称略でございますが─らが持つ国際的で民主的なリーダーシップなど、岩手が受け継いできた正しいもの、確かなものの価値に連なるものと考えております。
 自立と共生は、平安時代、京都中心の中央集権の時代にあって、地域主権を確立していた平泉でその理念を実現していたものでありまして、この理念は岩手に脈々と流れ、はぐくまれてきたものであると認識しております。
 今般お示しした新しい長期計画の素案は、総合計画審議会の中間答申を最大限尊重して取りまとめたところでありますが、この中間答申におきましては、公正という理念に基づいて、日本国内はもとより、世界からの岩手に対する道義的信頼を高め、県民の誇りの醸成や、もの、人の交流の拡大を通じて、岩手ならではの豊かさをはぐくむことや、グローバル化の進展の中で、主体的に世界に通用する岩手の独自性を発揮していくことのできる自立した人をはぐくむこと、人と人、人と自然が共生し、お互いの信頼関係のもとで、強みを発揮しながら連携していくつながりをはぐくむこと、こうしたことを岩手の未来を開いていくための重視すべき視点として位置づけられているなど、こうした公正と、自立そして共生という理念に通じるものがあると考えているところであります。
 次に、新しい国のあり方や地方分権についてでありますが、近接性、補完性の原理に従って、住民の日常生活に関する行政サービスの提供は基礎自治体が担い、基礎自治体でなし得ない広域的な見地に立った産業振興や基盤整備などについては広域自治体が行い、そして外交、社会保障など国家や人権にかかわる部分は国が担うべきというふうに私も考えております。そして、この国のこれからの形を考える上で、まず何よりも、地域のことは地域の判断と責任で決定することができる地域主権型社会の実現を図るべきであり、そのためには、国に集中する権限や財源を地方に移すなど、地方の視点に立った真の地方分権改革が必要不可欠であると考えます。
 このようなことから、これからの国の形については、真の地方分権改革が進み地域主権型社会が実現する中で、住民サイドから、地方自治のあり方として、鳩山民主党代表が提唱する国と地方の考え方なども含めて幅広く議論が進められていく必要があると考えているところでございます。
 次に、平成の大合併についてでありますが、平成の大合併で、本県では59市町村から35市町村となりましたが、人口10万人を超える市が新たに三つ誕生するなど、市町村の行財政基盤の強化が図られ、分権型社会によりふさわしい体制が整えられつつあると評価しております。一方、人口1万人未満の町村が10町村存在するなど、小規模町村の行財政運営や行政サービスの持続的、安定的な提供が引き続き課題であると考えます。
 地方制度調査会の答申では、広域連携の活用などに触れるとともに、市町村の行財政基盤強化のためには、市町村合併が引き続き有効な手段であるとしています。今後においては、答申の内容を十分検討の上、基礎自治体がその役割をしっかりと担えるよう、合併など市町村の取り組みを支援してまいります。
 次に、いわて希望創造プランの評価についてでありますが、私のマニフェストに基づいて策定したいわて希望創造プランに掲げる各政策については、県の取り組み状況、指標の達成状況、県民満足度の調査結果などの総合的な観点から毎年度評価を行っているところであります。
 ことし2月、いわて希望創造プランを構成する31の政策項目について、順調からおくれまでの4段階で評価した結果では、雇用環境の改善や子育て環境の整備など、約3分の1がおくれ、またはややおくれとなりました。一方、防災や治安対策、高齢者や障がい者とともに生きる岩手の実現など、約3分の2が順調またはおおむね順調となっており、全体としてはおおむね着実に進んでいるものと考えております。
 今後は、雇用環境の改善など特におくれている施策については、達成度が上がるよう、その要因、課題の分析等を的確に行い、政策の質を高めながらその着実な推進を図ってまいります。
 次に、後半2年間に力を入れて取り組む項目についてでありますが、今、世界を覆っている経済危機は、日本のみならず岩手にも大きな影響を及ぼしており、こうした私たちの暮らしや仕事の現場を脅かし、緊急性を要する重大な課題についてしっかり対応していかなければならないと考えております。
 こうした状況を踏まえ、まずは、さらに厳しさを増している雇用の維持、創出などの喫緊の課題や、県民が将来にわたって安心して暮らしていくための医師確保を初めとした地域医療の確保にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また、10年後の岩手の未来やその実現に向けた取り組みを示す新しい長期計画を県民の皆さんの参加をいただきながら12月をめどに策定し、計画に掲げる基本目標の実現に向け、県民と一体となって全力を傾注してまいります。
〇17番(五日市王君) 御答弁ありがとうございました。
 いずれ今、地方分権あるいは地方主権が最も大事だというお話をいただきました。折しも、マスコミ報道なんかでも地方主権のあり方でいろいろな知事さんから発言があって騒がせているようなところでもございますが、私もその方向性はそのとおりだと思います。
 今、市町村合併が一段落しまして、やはり次は県のあり方をどうするかというのが、私、非常に大事になってくる視点であろうと思っております。自民党、民主党どちらも、道州制にしろ、あるいは700、800の自治体にまとめるという構想にしろ、いずれ県の役割というのは私はどんどん縮小していくべきなんだろうというふうに実は考えているところでございまして、そういった議論は南のほうではかなり熱心にやられているようでございますので、ぜひともその辺はアンテナを高くしていただいて、この国の形がどうあるべきかというのもいろいろと研究をしていただければよろしいのではないのかというふうに感じております。
 また、私ちょっと気になってといいますか、注目していることがございましたので御披瀝させていただきたいんですが、減税自治体構想というのが実はございまして、読み上げますが、去る4月26日、名古屋市長に初当選した河村たかし氏は、日本一税金の安いまち名古屋を政策の第一に掲げ、市民税10%減税を公約に当選いたしました。この実現に向けては紆余曲折があるようでございますが、日本人には余りなじみのないこの減税政策は、欧米では大変関心の高い政策でもあります。
 東京杉並区の山田宏区長は、自治の基本は財政の自立にあるとして減税自治体構想を提唱しております。この構想は、毎年一定の予算額を積み立てていき、10年後にその積立金が生む利子で減税を行い始める減税自治体を行い、住民税を安くする恒久減税を行い、住民の税負担を下げるというものであります。
 この構想のきっかけは、国の支出から毎年1割を貯金していけば、いずれ予算は利子だけで賄える計算になるという松下幸之助氏の無税国家構想からであるようですが、これを杉並区に当てはめてみますと、杉並区の一般会計が約1、500億円だそうでございますので、この1割、つまり150億円を基金として毎年貯金し、これを2%で運用すると33年後には4分の1の減税、58年後には2分の1の減税、そして78年後に晴れて無税にできるとの結果が出たようでございます。
 山田区長は、この実現に向けた条例案を来年2月に区議会に提出するそうです。この方法ですと、住民負担を下げ行政サービスを向上させるという行政の永遠の課題が解決でき、新しい時代の日本のモデルになると意気込んでいるようでございます。
 それができる自治体、できない自治体、あるいは交付税の関係とかいろいろあるとは思いますが、こういった取り組みをしているところもあるようでございますので、ぜひともいろいろな意味で研究をしていただければと思います。
 次に、振興局再編と県北・沿岸振興についてお伺いいたします。
 来年4月から4広域振興局体制の完全移行を目指し、23日に基本的考え方の成案が発表されました。これまで、県北地域の首長や議会、地域住民などからさまざまな要望が出されてまいりましたが、本局の設置場所以外は、副局長の設置や産業振興部門の設置、強化、職員削減の激変緩和など、おおむね願いがかない、一定の評価をするものであります。
 しかしながら、広域振興局体制移行に関し地元住民の不安が完全に払拭されたわけではなく、特にも地元の心配は、本局が久慈であれば県北が見捨てられるのではないか、また、行政センターは縮小の一途をたどり、近い将来完全になくなるのではないか、あるいは、県北・沿岸振興に逆行しているのではないかというものであります。
 まずはこれら住民の不安に対し、知事自身からメッセージを発していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 振興局再編に関する地域住民の皆さんの不安の払拭についてでありますが、新体制への移行に伴って、二戸地区の皆様の中に、本局を久慈地区に置くことによって自分たちの住んでいる地域が取り残されるのではないかと心配する声があることは承知しております。
 広域振興局体制への移行は、現下の厳しい経済情勢や県内における格差の拡大が懸念される中にありまして、限られた行財政資源を戦略的に集約し、組織力を最大限に発揮できる体制を整備するものであります。これによって産業振興の取り組みを強化して、とりわけ県北・沿岸圏域の発展につなげていきたいと考えております。新しい長期計画の素案の中でも、県北・沿岸圏域については、すぐれた地域資源を生かした産業振興等を強化していく旨、明記されております。
 私は、カシオペア連邦の発展なくして県北圏域の振興はないと考えております。新しい広域振興局体制のもとで、地域の不安を払拭するよう、県北振興に全力で取り組んでいく所存です。
〇17番(五日市王君) ありがとうございました。
 次に、実施計画案によりますと、行政センターには産業振興部門を担う部署を配置し強化させるということですが、この際、県北・沿岸振興本部を二つに分け、すなわち県北振興本部と沿岸振興本部の2本に分割し、沿岸振興本部の設置場所は沿岸の方々で御相談いただき、県北振興本部をぜひとも二戸に設置し、産業振興にかける意気込みを示していただきたいのですが、これは本部長であります副知事から御答弁をいただきたいと思います。
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北振興本部の設置についてでありますが、県北・沿岸振興本部は、県北・沿岸圏域の産業振興を全庁的に推進するため、私を本部長として、本庁各部局長及び県北・沿岸圏域の地方振興局長で組織しているものであります。
 この本部につきましては、引き続き部局横断的な政策調整機能を発揮する必要があることから、広域振興局体制移行後におきましても本庁に置くこととしておりますが、それぞれの圏域における具体的な振興施策については、産業振興機能を強化した広域振興局におきまして、本部と十分な連携を図りながらその取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 二戸地域の産業振興につきましては、県北広域振興局長を補佐する副局長のもとに、地域振興センターなどの部門ごとの行政センターが地域特性を生かした振興施策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) なかなか二つに分けるということは難しいというようなことで、確かに全庁的なという立場であれば本庁にあってもいいのかもしれませんが、ただ、極端に言いますと、今、二戸にと言いましたが、県北・沿岸振興本部が本庁になくてもいいのではないかというようなことでもあるんです、逆説的に言いますと。やっぱり現場に一番近い県北、沿岸のどこかにあってもいいのではないのかというような思いも実はあってこういう質問をいたしましたが、まず、今ある組織の中できちんと対応していただければと思います。
 次に、ことしの予算特別委員会で広域振興局体制に伴う県北振興の方向性について質問いたしましたが、その際、農商工プロジェクトチームの設置や市町村との人事交流による連携などの広域的、専門的な支援体制をつくりたいとの答弁をいただいておりますが、これらの方向性について地域振興部長からお願いいたします。
〇地域振興部長(加藤主税君) 県北振興における広域的、専門的な支援体制の方向性についてでございますが、二戸地区においては、これまでも二戸地域雑穀振興戦略会議等を設置し、関係部門横断による農商工連携や、二戸地方振興局と二戸市の間で産業振興部門における人事交流を進めてきたところでございます。
 県北広域振興局におきましては、県全体として職員数が限られる中にあっても、重点的に職員を配置することにより、本局、行政センター双方に、産業振興を担う体制を整備することとしております。
 新しい体制のもとで、そのメリットを生かしながら、地域特性を踏まえたプロジェクトチーム等を機動的に設置するとともに、市町村との人事交流を進めるなど、より広域的、専門的な支援を強化し、地域課題に柔軟に対応するよう努めてまいります。
〇17番(五日市王君) 次に、今回で3回目の指摘になりますけれども、振興局の職員はその勤務地に住むべきではないかと、改めて御提案をさせていただきます。特にも、県北・沿岸に勤務する職員は、県の最重要課題である県北・沿岸振興にかんがみ、みずから地域経済への貢献及び地域住民との交流促進のためにも、管内居住率に目標を定めて取り組むべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 県北・沿岸地域を初め振興局に勤務する職員は、それぞれの地域におきまして地域振興に尽力しますとともに、地域社会と一体となって、意欲的に地域経営に参画することがその使命であろうと存じております。
 振興局等の職員がその勤務する地域に居住しますことは、こうした地域への貢献に一層大きな効果をもたらすものと存じておりまして、各振興局等に対しましても、管内居住に職員の理解を深めるよう要請しているところでございます。ただ、一方で、配偶者の勤務状況や子育て、親の介護など、職員個々の家庭事情等もございますから、職員の居住地や居住形態につきまして、県として目標を定め、指示、誘導等を行うことは、難しい面もあるということについて御理解を賜ればと存じております。
 振興局に勤務する職員の管内居住者の割合は、盛岡を除く振興局全体で申し上げますと、対前年比1.5%の増、県北・沿岸地域では2.7%の増となっておりますが、引き続き、職員の理解が得られるよう努めてまいりたいと存じております。
〇17番(五日市王君) 今回で3年連続同じ質問をして、恐らく、3年連続同じ答えだったと思います。
 職員の方のそういう個々の事情もわかるんですが、やはり県の職員というのは、勤務地は県全体が前提で県の職員になるわけですよね。そうなったときに、やはりその地域に住んで、地域の皆さんと一緒にやるということは大事だと、必要性というのは多分お認めだと思います。同じ認識だと思うんですが、そこでどうするかということだと思うんですが、県南本局、花巻、北上、二戸、ここが20%から30%台ということで大変低いわけですね。ですから、ここをせめて半分ぐらい、50%ぐらいの人が住むような、しかも県の職員というのは、一関にも二戸にも久慈にも住むことがあるんだよという前提の採用の仕方をしなければいけないと私は思うんです。その理解の上で、その後生じたそれぞれ個々の理由に応じて勤務地を選ぶという逆のやり方というのもあると思いますので、ぜひ、それは何とか強化をしていただきたいと思います。
 警察官なり学校の先生方は、きちんとその地域に住んでいる方が多いわけでございますので、その辺はぜひとも強く指導力を発揮していただければいいのかなというふうに思っております。
 次に、県北・沿岸振興に関しお伺いをいたします。
 平成18年1月に県の最重要課題として県北・沿岸振興本部が設置され、今日まで3年半が経過いたしました。まずは、これまでの総括についてどのように分析をなされているのか、お伺いをいたします。
 また、現在進められております新しい長期計画での県北・沿岸振興の位置づけについてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 また、県北・沿岸振興の中長期的な方向性についてはどのようにお考えか、お伺いをいたします。
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興の総括と今後の方向性についてでありますが、これまで、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、本庁関係部、関係地方振興局が連携し、産学官連携や企業支援などのコーディネーターの設置や、地域との協働による産業ネットワークの構築、企業誘致を初めとする各種優遇制度の創設などにより、産業振興の取り組みを進めてきたところであります。その結果、新たな企業誘致や既存企業の増設を初め、食産業、観光産業、農林水産業においても新たな展開が図られるなど、一定の成果が出てきているものと認識しております。
 その主な成果といたしまして、例えば、県北圏域にありましては、企業誘致は、二戸市、九戸村で5社、既存企業の増設は、二戸市、久慈市、一戸町で8社となっておりまして、二戸地域が一体となった取り組みにより、雑穀につきましては対前年比119%、浄法寺漆については対前年比137%と、それぞれ生産量が大幅に拡大しております。また、観光面では、久慈市における教育旅行の受け入れ数が対前年比111%と、順調に増加しているところであります。
 県北・沿岸圏域の振興は、引き続き力を入れて取り組んでいくべき県政の最重要課題でありまして、これまでの成果をさらに発展させ、地域の所得向上や雇用につなげていかなければならないものと認識しております。このため、新しい長期計画の素案におきましても、とりわけ、県北・沿岸圏域については、すぐれた地域資源を生かした産業振興等を強化していくこととしておりまして、今後、県北・沿岸圏域の未来につながる新たな振興方策も盛り込んでまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) それでは次の項目に移らせていただきます。銀河プラザの有効活用についてお伺いをいたします。
 1998年に開設された銀河プラザは銀座の一等地にあり、昨年度の売り上げは約5億4、720万円で、本年オープンした山形県を除く東北各県のアンテナショップとの比較でも、宮城3億9、000万円、青森3億3、000万円、秋田2億6、500万円、福島1億2、000万円と、群を抜いた売り上げを誇っております。
 この銀河プラザを活用し、去る4月17日、私の母校でもある金田一中学校の3年生は、修学旅行の一環で、みずから育て収穫をしたいわてっこを、銀河プラザ、有楽町などの首都圏4カ所で販売、PRを行いました。
 私も応援に駆けつけ、元気よく呼び込みや接客をしている生徒の姿に感心をいたしました。この体験は、生徒たちにとってかけがえのない体験となり、今後の人間形成に必ずやプラスに働くものと確信をいたしておるところであります。
 いわて銀河プラザは、全国のアンテナショップがひしめく有楽町、銀座かいわいの中でも多くの来場者に恵まれ、県産品の展示販売、観光や文化など地域情報の発信、県内の中小企業者の首都圏における活動拠点など、総合情報発信基地として大きな成果を上げてきたと承知しておりますが、周辺地区に、平成20年7月に群馬県、21年4月には山形県のアンテナショップが進出するなど、競争が激しくなってきていると認識しております。また、歌舞伎座の改修工事による休業に伴って、集客の一因を担ってきた歌舞伎座への来場者の銀河プラザへの来店が激減することが予想されます。このような周辺環境の変化をどのように認識し、銀河プラザの機能強化を図っていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 さらに、他県のアンテナショップの中には、福島県のように量販店の中の一角をアンテナショップとしているところもあり、また、宮城県や山形県のように、飲食店を併設し地域の食材をPRしているところもあります。
 いわて銀河プラザも10周年を経過し、単にこれまでどおりの運営方法を継続していくのではなく、例えば、店舗を改修して通行人にダイレクトに声をかけて販売を行うとか、県内の多くの地域コミュニティが行っている食の取り組みについて情報発信をするなど、戦略的に新たな顧客を獲得する取り組みが必要と考えますが、県の考え方をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、いわて銀河プラザの機能強化等についてでありますが、近年、銀座、有楽町周辺には、各県のアンテナショップが集中してきており、競争が激化している一方、アンテナショップめぐりを楽しむ方々もあらわれてきております。こうした環境の変化の中で、いわて銀河プラザは、立地条件に恵まれ、広い店舗面積を有し、1、800アイテムを超える品ぞろえ、広いイベントスペース、観光コーナーにおける情報発信など他のアンテナショップにはない優位性を有しておりますことから、従来にも増して、このような岩手の特色を発揮し差別化を図っていくことにより、相乗効果も期待できると考えております。
 また、銀河プラザのお客様の中には、歌舞伎座観劇からの来場者が1割から2割と推計しているところでありますが、改修工事の期間中も、近隣の新橋演舞場において公演が行われますことから、それほど大きな影響は受けないものと考えております。
 県といたしましては、岩手の食の安心・安全、懐かしさ、素朴さなどの岩手らしさを前面に打ち出し、その特性に一層の磨きをかけ、首都圏における総合的な情報発信拠点として、その機能強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、戦略的に新たな顧客を獲得する取り組みについてでありますが、銀河プラザの来場者の約7割がリピーターでありますことから、これらのリピーターを大切にし、引き続き御来店いただけますよう、ダイレクトメールやチラシを利用したタイムリーな情報発信に継続的に取り組んでまいります。
 また、イベントスペースにおいては、現在でも多くの市町村の食を中心とした物産フェア等が開催されておりますが、こうしたフェアを各市町村のふるさと会と連携してより効果的に実施するなど、イベントの充実を図り、リピーターの期待にこたえる取り組みを促進してまいります。さらに、新聞、雑誌のほか、テレビ、ラジオなどの情報媒体を通じた積極的な情報発信により、新規の顧客獲得にも努めているところであり、今後とも、より一層、積極的な取り組みを展開してまいります。
 去る6月22日、23日には、東芝本社におきまして、いわて銀河プラザの出張販売という方法で岩手県産品の販売会を実施し、大変な好評を博したところでありますが、今後とも、こうした販売会の実施や各種のイベントに積極的に出展すること等によりまして、新たな取引先の開拓、顧客の開拓に努め、アンテナショップとしての機能を一層強化してまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 先ほど質問の中でも御提案をさせていただきましたが、私の母校がアンテナショップに米を売りに行きました。一つ気になったのは、入口で呼び込みをするんですね。中に入ってきてもらって、中でまた並べているんですが、そこで買ってもらうと。これは、今の現状の中ではそういうやり方しかできないんですが、もしかすれば、あそこは通行人が多いですよね。例えば店舗を改修して、ダイレクトに通行人に声をかけてその場で買ってもらうというようなことができれば、あるいは食の文化を発信するときも外で─外といいますか、通行人にわかるように発信できるような改修なんかをすれば、より効果が上がるのではないかというふうなのを実は素直に感じてまいりました。もし、その点について何かお答えできることがあれば、その改修について、あるいは外で販売することについてどのようにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 銀座の商店街のほうでは、のぼりを外に余り出すなというような自粛をしていることとか、あるいは築地の警察署からは、通路、歩道で通行人に対する売り込みは自粛しましょうというような制約のある地域でございまして、今の構造の中で、できるだけ通行人の方々から、店内が見えるように一応ガラス張りにはしております。そういった限られた制約の中で、いかにして通行人の方々にPRをしていくかというのは、これからもいろいろと検討してまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 先ほど、地域の食を市町村のふるさと会なんかと連携しながらPRしていきたいというようなお話もいただきました。所管は地域振興部のほうになるかもわかりませんが、これまで元気なコミュニティ100選、これをこれまで選定をしてまいりました。知事も今、一生懸命回られて、励ましたりいろいろされているところだと思うんですが、こういったコミュニティには、実は必ずと言っていいほど食の文化というのがあります。その食の文化をどうにかして全国に発信できないか。
 今、銀河プラザでやっているように、岩手のいいものを集めて売りましょうと。これはこれでいいと思います。だけれども、今度はちょっと発想を変えて、岩手の地域を売り込みましょうという発想にすれば、ただでさえ、今、100の元気なコミュニティがあります。さらにもっとあるかもしれません。そういったところの、例えばおじちゃん、おばちゃんたちが何人か行って、地元のそばを皆さんに振る舞ったりとか、そういったことが実は生きていく中で非常に地域の自信につながるというか、誇りにつながるのではないのかなと思っております。
 それで、葉っぱビジネスでおなじみの徳島県上勝町。この中で、高齢者がいわゆるつまもの販売を行い、今では年間2億6、000万円もの売り上げを達成し、人口2、000人だそうでございますが、代表する産業に育て上げたことは御存じのことと思います。
 この仕掛け人である横石知二氏の著書、「そうだ、葉っぱを売ろう!過疎の町、どん底からの再生」の中には、過疎再生あるいは地方再生へのさまざまなヒントが隠されており、久々にわくわくしながら読ませていただきました。
 この本の帯には、作家の村上龍氏がコメントを寄せており、そこには、重要なのは町興し、村興しではなく、その土地に生きる一人一人が目標と生きがいを持てるかどうかだと、見事に証明して見せたとのコメントを載せ、横石氏は現代の二宮尊徳だと絶賛をいたしております。
 この本の中の上勝いろどりからの提言というところに、みんなが働ける社会をつくることが大事であり、そして、一人一人が自信を育てることが大切であると書かれております。
 今、地域コミュニティは高齢化や人口減少が続いており、それゆえに、達増知事は、元気なコミュニティ100選を選定し、活力を取り戻そうとしております。この政策の次の段階には、私はそういった─お金にもならないと思います。だけれども、その生きがいという面から言えば、東京の銀座の一等地に行ってそばを食べてもらった、おいしかったと言われたとか、そういったことが地域のコミュニティというか、元気、自信につながっていくんだと思うんです。ですから、そういったコミュニティを元気にしていく次の段階に、ぜひともそういったことも御検討していただけないかなと。これは提案なんですが、それについてお答えがございましたらお願いいたしたいと思います。
〇地域振興部長(加藤主税君) 元気なコミュニティ100選につきましては、平成19年度から選定しております。この100選の団体につきまして、先進的な地域活動を県のホームページや各種会議において情報発信しているということ。それから、草の根地域訪問におきまして、知事が順次100選団体に足を運び、活動内容等につきまして懇談いたしまして、地域コミュニティ施策に生かしているところでございます。
 今年度、これらの取り組みに加えまして、新たに100選活動事例集の作成や市町村職員を対象としたセミナーにおける先進事例紹介を実施しております。また、選定団体が相互に情報交換等を行い、その活動をより活性化していただくことを目的とした連携促進セミナーの開催といったことに取り組むこととしております。
 今、議員から御提案ありました食の視点、これも大変重要な考え方だろうと思います。今後のコミュニティ100選の展開、あるいはその先のコミュニティ施策の展開に当たりまして、十分そのお考え方を生かしてやっていきたいと思います。
 食と申しますと、人間だれしもが持っているものというか、持っている欲求でございまして、皆さん非常に関心を引きやすいというふうなことがありますので、大いにそういった視点につきまして勉強させていただきたいと思っております。
〇17番(五日市王君) ぜひとも検討していただきたいと思います。
 それでは次の項目に移らさせていただきます。自殺対策についてであります。
 本県の2008年の自殺者数は、前年比17人増の454人で、人口10万人当たりの自殺率は33.7人となり、秋田37.0人、青森34.1人に次いで、ワースト3位であることが明らかになりました。県内地域別で見ますと、人口10万人当たり二戸46.7人、久慈42.2人、宮古42.1人の順で、県北・沿岸に多いことがわかります。
 国では、平成18年に自殺対策基本法を制定し、その取り組みを強化し、県では、県自殺対策推進協議会の設置や、各振興局でさまざまな対策を講じているわけですが、経済・雇用情勢の悪化などの影響も大きく、その改善が見られないのが現状であります。県では、自殺の原因をどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。
 また、今定例会に自殺対策緊急強化基金条例案が提案され、1億6、539万5、000円の基金積み立てが計上されておりますが、この活用方法について、国の地域自殺対策緊急交付金の内容とあわせてお示しを願います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 自殺対策についてでありますが、県といたしましては、これまで、県自殺対策推進協議会と協働しながら、さまざまな自殺対策に取り組んできたところでございますけれども、議員御指摘のとおり、今般、自殺者数、自殺率ともに前年を上回ったことにつきましては、まことに憂慮すべき事態であると認識しております。
 まず、自殺の原因についてでありますが、警察統計の原因、動機別の自殺要因を見ますと、健康問題、経済、生活問題の順で多くなっておりますが、男性の働き盛り世代に自殺者が多いことから、経済、雇用情勢の悪化なども、その要因の一つとなっていると考えているところでございます。
 一方、地域社会構造の変化や医師数など、医療資源の少なさが影響しているのではないかという専門家の指摘もあることから、今後、その原因につきましては、さらに分析を深めていく必要があるものと考えております。
 今般、国におきましては、地域における自殺対策を緊急に強化するため、地域自殺対策緊急交付金を各都道府県に交付することとしておりまして、自殺対策に係る相談支援事業、人材養成事業、普及啓発事業等のメニューが提示されているところであります。したがいまして、県では、この交付金により、速やかに自殺対策緊急強化基金を造成することとし、今議会に条例及び当該基金造成予算を提案しているところでございます。
 この基金に基づきます具体的な実施事業につきましては、市町村や関係団体、専門家の意見をお伺いしながら検討し、今後、できるだけ早期に、歳出予算に計上していきたいと考えているところでございます。その上で、それらの事業を活用いたしまして、自殺対策の強化を図ってまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 自殺の原因につきましては、例えば宗教観の問題とかいろいろなことがあって、なかなか特定するということも難しいのだと思います。ただ、これは、日本が自殺者が3万人を超えているということで、世界でも日本は今第8位ぐらいなんですね。先進国であれば一番多いわけでございますが、県内においても、二戸、久慈が一番今までもずっと多くて、あと宮古ということで、県北・沿岸に多いということで、これは、これまで以上に今の基金を活用して、その対策にぜひとも力を入れていただきたいという切なるお願いでございますので、これはよろしくお願いをいたします。
 次に、物品の地元調達についてお伺いをいたします。
 県行政における物品の地元調達について、建設業関係者のみならず、地産地消を求める地域住民の声は不況の御時世ゆえ、大きな声となって我々に届いております。まず、現状の物品購入の地元調達率の実情はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 また、地元で買えるものは地元でを徹底し、地元調達率を高め地域貢献に寄与すべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
〇会計管理者(古内保之君) 物品の地元調達についてでありますが、平成20年度において、出納局及び広域振興局等で、用品調達基金を通じて集中調達を行った物品の件数は5万2、685件、金額では36億8、780万円余であります。そのうち県内に本社を有する業者、いわゆる地元業者でございますが、この件数は5万388件、調達率で申し上げますと95.6%、金額では31億3、418万円余、率で85.0%となっております。
 出納局で物品を調達する場合は、県内全域の業者を対象としておりますが、広域振興局等で少額の物品、160万円以下の随意契約に該当するものでございますが、これを調達する場合は、これまでも管内の業者を優先し、可能な限り、地域で調達可能な物品は地域から調達するように取り組んできたところでございます。
 さらに、今般、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用して調達する物品につきましては、広域振興局等で、随意契約だけではなく一般競争入札を行う場合であっても、入札参加条件を、原則、その管内に本社または支店、営業所等を有している業者とするなど、地域企業の受注機会の拡大に努めてまいりたいと、そのように考えております。
〇17番(五日市王君) そのように努力していただきたいと思います。
 私がお聞きしたかったのは、県内と県外ということではなくて、例えば振興局であれば、各振興局の管内での地元調達率、これは振興局に限らず、例えば警察なり各病院なり、そういったものがどういうふうになっているのかというのをお聞きしたかったんですが、なかなかこれは資料も膨大だということであれだったわけですが、いずれそういったものについては、やはりきちんと地元で極力買うというようなシステムにはなっているという理解でよろしいんですか、そこをお願いします。
〇会計管理者(古内保之君) 今、答弁申し上げましたとおり、出納局におきましてはどうしても県全体の業者を対象として取り扱わなければならないということになりますけれども、広域振興局、地方振興局におきましては、管内の企業を優先して見積もりに参加していただいたり、今後、一般競争入札を行う場合もそういう参加の条件設定をして、できるだけ地元で調達するようにしてまいりたいというふうに考えております。
〇17番(五日市王君) ちょっとわからないのでお聞きしたいんですが、例えばこの間の補正でも地デジのテレビとかありましたよね。そういったのはどういうところで買われるのかちょっと教えていただきたいんですが。どういった方々に、あれは見積もりですか、入札になるんですかね、どういった業者さんが対象になるんですか。というのは、例えば大きな量販店なのか、あるいは町の電気屋さんなのか、そういうことです。
〇会計管理者(古内保之君) 県の物品を調達する場合は、まず一つに、物品購入等競争入札参加資格者名簿というのがございまして、その名簿に登載していただくことがまず基本になります。その名簿に登載していただいた業者の方であれば、例えば出納局で一般競争入札を行う、あるいは、オープンカウンター方式と言っておりますが、見積もり合わせを行う場合に、出納局のホームページでこういったものを調達しますということでオープンにいたしますから、それに自由に参加していただくということになります。
 ですから、登録している業者はいわゆる大手の業者の方もございますし町の小さな業者の方もございますので、そういう意味では競争入札する場合は同じテーブルの上で競争していただくということになりますけれども、今回の経済対策の関係では、出納局ではなかなか難しいんですが、広域振興局、地方振興局では、一般競争入札する場合には、地元に本社がある、あるいは営業所がある、支店があるということを参加条件にいたしますので、例えば大手の業者でも地元にそういうものがなければ参加ができません。ですから、地元で営業していただいている業者の方に優先的に入札に参加していただくと。そうすることによって今回の経済対策の効果が広い範囲に及ぶことになるのではないかというふうに考えております。
〇17番(五日市王君) 入札ですから、その結果がどうなるかはあれといたしましてわかりませんが、やっぱりそうやって地元で頑張っている業者の人たちにも少しでも恩恵が行くような、それがまさに友愛の精神だと思いますので、何かそういうふうに─祈るしかないんですかね─なっていただければいいなという感想です。
 それでは、最後の県立高校再編についてお伺いいたします。
 これは教育事務所とは分けて御質問させていただきますので、教育長、よろしくお願いいたします。
 2010年度以降の県立高校再編に向けた県立高校長期構想検討委員会による今後の県立高校のあり方について中間まとめが公表され、県内各地で懇談会が開催されました。私も二戸ブロックに参加させていただきましたが、委員からは、定員である40人学級に対し柔軟な対応を求める声が相次ぎました。会場の雰囲気としては、少子化による生徒数の減少や再編の必要性についてはおおむね理解が得られているように感じましたが、小規模校の存続を求める声が相次ぎ、特にも40人学級の基準を緩和してほしいとする意見が多かったように思います。
 新聞報道によれば、2008年度の高校1年生を1学級35人とした場合、教諭が64人ふえ、給与だけで年間約5億円を超えるとのことですが、教育の機会均等あるいは人材育成強化の観点から、40人学級に関し、全県一律の基準ではなく、ブロックごとの実情に応じて柔軟に対応すべきと思いますが、教育長の見解をお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 県立高等学校の再編における40人学級の基準緩和についてでありますけれども、高等学校の学級編制の標準というのは現行法令上40人と定められておりまして、本県においても40人学級を標準として運用しているところであります。
 現在、県立高等学校のあり方については、第2次県立高等学校長期構想検討委員会において検討をいただいておりまして、先般、中間まとめをお示しいただいたところでありますが、学級規模についてはそれぞれメリット、デメリットがありまして、さまざまな議論を経て、現行の40人定員が現実的であるとお示しいただいたところであります。
 このたび実施されたブロック別懇談会において、少人数学級の導入についてさまざまな意見があったことについては承知しておりますけれども、現行法令上における教職員配置、あるいは給与費などの制度的、財政的な課題があり、現時点で40人を下回る学級編制を採用していくことはなかなか難しいのではないかというふうに認識しております。
 しかしながら、今後、学級定員を含めた県立高校のあり方については引き続き検討委員会での論議が行われることとなっておりまして、その最終報告を踏まえるとともに、国においては新しい公立高等学校教職員定数改善計画というものもありまして、その策定動向を十分注視しながら、県の教育委員会としての今後の方向性については、今後その最終報告を待って検討を進めてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 35人とすれば結局県費で教員の分を賄わなければいけないということだと思います。私もやっぱりブロックごとには基幹となる学校、理想である1学年4から6学級、そういった基幹となる学校も必要だと思うんですが、やはり県北においては距離の問題、いろいろな問題がありまして、何とか35人にして存続してくれないかというような声も非常に多いです。
 今回の補正予算、全部で453億円余のうち241億円は基金への積立金となっているなど、基本的には国の経済・雇用対策に呼応した予算ということでありまして、これに教育関係のメニューがないというのは私は非常に残念に思っているところでございます。今後、人口減少とか、明らかにそういう社会になっていくわけですから、私はそういったことに対応する教育への、こういう教員確保の基金とか、そういったものも県独自でつくっていきながら、そのときのニーズに対応していくというのは実は必要だと思っているのでありますが、まずはそういったことも国に対しても力強く要請していっていただきたいというふうに思います。
 次に、教育事務所の再編についてお伺いいたします。
 教育委員会では、来年4月から、現在10ある教育事所を6事務所に統合する計画を策定中とのことでありますが、そもそも教育事務所を統合する理由がわかりません。
 例えば二戸地域は、昭和40年代から現在までの四十数年もの間、県北の教育水準を上げることを目的に二戸地区教育推進協議会を設置し、指導主事の旅費や社会教育関係者の研修費などを市町村で負担してきた歴史がございます。この中心的な役割を果たしてきたのが今の二戸教育事務所でありますが、まず、今進められております統合の理由、目的、効果、それと来年4月実施を急ぐ理由をお示し願います。
〇教育長(法貴敬君) 教育事務所の再編についてでありますけれども、教育事務所は、市町村が行う小・中学校教育の向上に資するよう、その指導、助言、援助を行う機関として設置してまいりました。その改廃や所管区域の見直しについては、これまでも地方振興局の設置あるいは再編を契機としながら、さらには指導主事の訪問活動範囲を考慮して行ってきているところであります。
 このたびも、知事部局において広域振興局を再編することとされ、その案が示されていることから、教育事務所についても、これまでの振興局の設置などの経緯と同様に配置の見直しについて検討を進めているところであり、検討に当たっては、市町村教育委員会や小・中学校経営指導の機能を集中化し、喫緊の課題である児童、生徒の学力向上に向けた教科指導体制の一層の充実と事務処理効率の向上を図るとともに、広域人事など市町村間の調整や小規模市町村に対する支援をさらに重点的に実施し得るように選択と集中を行おうというものであります。
 これまでの指導、援助の機能が再編に当たって低下することのないように十分留意することとしているものであります。
〇17番(五日市王君) 今、10から6にするということで、この6というのは、盛岡、花巻、一関、宮古、大船渡、久慈の6カ所で、現在の北上、奥州、釜石、二戸は統合されるという方向性のようですが、県北広域圏におきましては振興局の再編問題が一難去ったばかりで、久慈に統合となれば住民感情の火に油を注ぐ結果になるものと思います。県北以外の統合場所は、盛岡以外は振興局本局でないところへ事務所を置くなどバランスに配慮の跡が見受けられますが、統合場所選定の基準を明らかにしていただきたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 教育事務所の再編に当たっての位置の選定についてでありますが、先ほど、方向性として10から6というふうなときに当たりますと、全県的な配置の場所をやはりバランスよく配置していくということがまず第1点であります。広域振興局の連携の視点も重要であると認識しておりますが、基本的には、教育事務所の主要な業務であります市町村が行う学校教育への支援、指導の質の確保の観点から、各市町村教育委員会や小・中学校への移動時間、管内における学校の分布状況等を総合的に考慮して決定してまいりたいというふうに考えております。
〇17番(五日市王君) 振興局を再編したときと同じような理由といいますか、そういった理由で今の6カ所の案が出されているようでございますが、であれば、逆に本局があるところ4カ所にすればいいのではないかというふうな論にも当然なってくるわけですよね。特にも、沿岸は本局釜石以外の宮古、大船渡、県南は本局水沢以外の花巻、一関と、県北だけは本局のある久慈に置く、これは、その6カ所が妥当なのかどうなのかということもあるわけですが、もちろん久慈から取り返すとかそういうことではなくて、県北・沿岸振興にかんがみて、7カ所でもいいのではないかということもひとつ検討いただければと思います。
 答弁があればお伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 教育事務所の配置の箇所からいきますけれども、市町村数に応じた教育事務所の数からいきますと、例えば青森県は44市町村に対して6カ所、それから福島が62カ所に対して7カ所、うちが35市町村に対して10カ所、宮城が41市町村に5カ所と……
〇議長(佐々木一榮君)簡潔明瞭にお願いします。
〇教育長(法貴敬君) (続) 全体でいきますと平均すれば6カ所くらいということで、6については妥当性があるというふうに考えております。
 それから、いずれ……
〇議長(佐々木一榮君) 執行部に申し上げます。申し合わせの時間を経過いたしましたので、発言の終了をお願いします。
 次に、嵯峨壱朗君。
   〔23番嵯峨壱朗君登壇〕(拍手)

前へ 次へ