平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇25番(飯澤匡君) 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。
 議会の手による岩手県議会基本条例が昨年12月に満場一致で制定され、本定例会から質問形式が一問一答式も可能となりました。このたび議長に就任された議会のあり方調査特別委員長、佐々木委員長の卓越した指導力によるものであります。
 議会基本条例が目指しているものは、質問の形式ではなく、あくまで実のある建設的な議論をこの本会議場で行うことでありますので、その趣旨に照らして質問してまいりたいと思います。
 また、知事初め、執行部におかれましても同様に、条例の趣旨を御理解いただきまして、簡潔明瞭に答弁していただきますようお願いいたします。
 達増県政が2年を経過し、早くも任期4年の折り返しになりました。この春、全国紙、地方紙がこぞって達増県政の評価と後半任期の県政課題の特集を組み、私も注意深く知事の言葉を紙面を通じて拝見いたしました。
 昨年1月に策定した希望創造プランに基づき達増県政は実質的なスタートをいたしましたが、昨年は、岩手県にとって試練の連続でありました。2度の大地震の発生。期待された平泉の世界文化遺産登録の延期。アメリカ発の金融不安による経済の落ち込みと雇用不安。不適切事務処理問題の発生。これらの対応に忙殺された感があります。そのような中でも、職員は適切に対処し、特に岩手・宮城内陸地震の際の奮闘ぶりには、改めて心から敬意を表したいと思います。
 知事がだれになろうとも構わず県政は自然に動いていたと、ある県職員OBが言っておりましたが、それは、予算が右肩上がりに上がっていた時代。今や事業の選択と集中、費用対効果が叫ばれ、マニフェスト型選挙の普及も相まって、民間会社であれば会長と社長を兼務する県のトップリーダーたる知事の考え方と施策実行力は、県政運営に多大な影響を与える時代となってきたことは、御案内のとおりであります。
 達増知事は、リーダーのあるべき姿として、アフリカのサバンナにいる動物の群れ、リーダーの役割というのは、集団に迫る危機をいち早く察知して、逃げるべきときは逃げ、戦うべきときは戦うというのがリーダーの基本的役割。うまくいけば集団は生きていけるし、失敗すれば集団は滅びると申しております。常に厳しい判断を迫られる知事の心構えを示されたところでしょうか。
 私も2年間知事の姿を見てまいりましたが、理を重んじ、理が絶対に正しいと判断されたときは、とことん前進を図る姿勢をかいま見るとき、これが達増流のやり方、こういうやり方もあるのかと興味深く見ておりました。
 希望創造プランは、達増県政のいわば羅針盤。プランから落とし込まれた施策を県が主導して実行力を上げ、成果を生むことが、いわば県全体の命題であります。知事たるリーダーは、政策の推進力を上げるために、常日ごろ施策の浸透力と庁内のベクトルの方向性を上げる努力を傾注することは当然のことと考えます。ましてや、希望創造プランは、達増知事が掲げたマニフェストを具現化したものであります。
 そのような中、ことしの2月定例議会において、補正予算の採決をめぐり、この本会議場で知事の土下座がありました。当時の知事の胸中を思うとき、いささかのしんしゃくの余地はありましょうが、私は、率直に言って大変残念でありました。理を重んじるはずの知事が、目の前で予想すらしない情緒に訴える行動をとったときに、完全に私の中ですら達増知事像が混乱を来しました。
 私は、最大の問題は、土下座という行動が、この先、また将来、県民、県職員、あらゆる岩手県の関係者にどのような影響を与えるかの予見することなしに行動したことにあると考えております。結果として、映像は全国を駆けめぐり、県内、県外、私の知るところによれば、岩手県の話題となるとき、知事のとった土下座の行動をとらえて、〇〇の岩手県という形容詞となっている事実があります。これを知事はどう考えますか。
 買うなら岩手のもの、働くなら岩手の地、知事が岩手のアイデンティティーを高めるためにつくったフレーズも、残念ながら色あせているのではありませんか。また、希望創造プランを実行するエンジン役の県職員のモチベーションがどのような状況になっているか、知事は知っていますか。
 達増知事はこの件に関して、やってよかったと申されておりますが、私は、あなたの起こした行動のマイナス波及はいまだに続いていると思っております。
 この際、知事は、土下座をした行動について県民に対して総括していただきたい。リーダーがリーダーとなり得るために、あえてこの質問をいたします。県職員との信頼が築けない状況を放置すれば、県政執行全体に影響が出るのは明らかです。しっかりとお答え願いたいと存じます。
 なお、私は、あなた個人に対して何の感情も持ち合わせておりませんし、一昨年の6月定例会の一般質問で申し上げたとおり、知事の掲げた政策については是々非々で臨んでおります。知事の役職として政策推進力を上げるため何が必要かという観点に立って伺っていることを、ぜひ御理解いただきたいと存じます。
 県政の推進には、現場となる市町村の協力は不可欠です。達増県政2年目には、無床化問題を初め、国体の主会場選定等、関係市町村に対し半ば唐突に計画を発表するケースが目立ったと報道されております。県北広域振興局の本局位置をめぐり、当該首長が、希望の持てる計画ではないと公然と活字になったことに、私はショックを覚えました。最近、県政は、完全に市町村に対して上から目線で対話している証左ではないかと不安を感じます。
 知事は、地方自治法上、市町村の役割、県の役割は明らかにされているから、県は地方自治法上の県の役割を放棄することはないと、いわば、みずから県の役割と市町村の役割について法を根拠に線引きをしているような意味の発言をされていますが、これでいいのでしょうか。県政重要課題に関して、県と市町村との合意形成のあり方について、改めて知事のスタンスをお聞きします。
 知事は、内需拡大型の社会を岩手から構築することが、後期2年間の課題と申されております。外需に頼り切ってきた我が国の経済社会が、リーマンショックによる金融不安で一気にその基盤を瓦解した反省に立ったお考えと推察いたします。
 そこでお伺いしますが、内需拡大は、言うはやすく行うはかたし。1986年4月に内需拡大をうたった前川レポートが出ましたが、内需主導型の経済への移行は全く進んでいない現状をどのように分析し、本県がどのような施策を展開して主導しようとするのかお聞きします。
 また、希望創造プランとの整合性はどのように図られ、県民にどのように政策を具体的に熟知、浸透させていくのか、手順をお示し願います。
 県立病院の経営のあり方について質問いたします。
 記憶に新しい2月定例会は、無床化問題をめぐって大きな議論が展開されました。今計画は条件つきで可決され、4月から計画どおり体制が移行されていますが、新年度になってからも県立病院を去る医師が6名になるなど、退職する医師が後を絶たない状況は、県立病院の経営改革が本質的な病巣に達していないことを示唆しています。
 経営的見地から言えば、働き手にとって魅力ある会社ではなくなった経営。本社経営の改革を半端にしたまま、地方の営業所を撤退させて何とか会社を存続させたと言えます。今回の計画は、従来の問題の先送りに歯どめをかけたと評価される向きもありますが、あくまで始まりであって、問題はこれからどうするかです。
 一方、住民側からは、県立病院がある地域は、再編縮小がいや応なしに医師の不足という理由で実行されるのではないかという不安が渦巻いています。県立病院の将来の姿、いつまでに、どこまで確実に経営に関して改革する意思があるのかがセットで示されていないところに、地域医療の確保の議論が発展していないと指摘せざるを得ません。
 知事は、公立病院改革推進指針に基づき経営形態の見直しを検討することが重要と2月定例会で答弁しておりますが、その後どのように検討されているのかお示しください。
 医療局は、無床化対象地域を対象に地域診療センター等懇談会を、保健福祉部は、二次医療圏単位に地域医療に関する懇談会を設置し、5月末に1回目が終了しました。
 知事は、地元の方々は、直接的には無床化という現実があり、無床化の背後に医師不足があり、医師不足の問題が緩和されて、そこに住んでいる人たちにとってもメリットがあるような2段、3段構えの議論がある中、3段まで理解してもらうのは簡単ではなかったと感想を申されております。それは、言わずもがなの最初から予想でき得る現実であり、地域医療の確保という目標に向かっていく現状の議論の姿を3段ロケットに例えると、1段目が地域住民、2段目が市町村、3段目が県とすれば、県の3段目だけが勢いよく発射して、1段目、2段目には燃料も入っていないという状況が言えるのではないかと思います。
 地域医療に関する懇談会において地域を預かる最高責任者である首長から、一体何の趣旨でこの会議を開くのかと強い疑問の声が上がるのは、県の本気度が問われた結果と言えます。まさにこれから県の医療政策のみならず、保健福祉とあわせた政策の浸透度が問われることになります。
 この後、それぞれの懇談会において、どのように議論を喚起させ所期の目的を達成しようとするのか、具体的なスケジュールを示してお知らせ願います。
 これから地域医療を確保していくかは、他人のせいにはできない、地域総合力で医師を招聘するまでの覚悟がなければ自分たちの命は守れないと、私の地元の県立病院の院長が懇談会で切々と住民に語りかけました。そこの地点まで住民の意識を高めるには、県立病院が歴史的に果たしてきた役割を重く見れば、結果として、再編縮小を余儀なくした県が主体的な責任を負うものと考えます。
 県は、単に計画を県民に示すことにとどまらず、認識の共有を県から仕掛ける県みずからの意識改革が必要と考えますが、いかがでしょうか。県の認識を改めてお伺いいたします。
 次に、農地法等の法改正について、県の対応をお伺いいたします。
 政府は、食料の安定供給の確保のため、耕作放棄地再生利用緊急対策、農地法の改正等、矢継ぎ早にことしに入り政策化しております。農地の需要をいかにして喚起していくかが耕作放棄地対策の最大の課題であり、農地の所有と利用が分離する中で、利用調整コストが増大していることから、農地法の改正は、一気に農地の有効利用にかじを切ったものと考察されます。
 岩手の目指す農業生産の基本となる担い手をいかに将来に持続的に発展させていくかが一義的な県の目標と思いますが、改正農地法の施行により、一般企業の参入が容易になることが予想されることから、家族経営を中心とした地域営農が崩され、農村社会に混乱を生むのではないか、また、賃貸権の緩和により、ローマ時代のラティフンディウム土地所有制度のような、資本力のある者が営農喚起を阻害するのではないか、それらをチェックする農業委員会が業務量増大に耐えられるか等の懸念がされておりますが、本県の農業振興への影響をどのように考察、また対応しようとしているのか、方針をお尋ねいたします。
 国際リニアコライダー計画に関してお伺いいたします。
 先般、社団法人国際経済政策調査会の主催による第57回加速器科学研究会が、岩手県で初めて奥州市で開催され、インターナショナルリニアコライダーに関して理解を深める機会がありました。当日は、周辺市町村からも多数の聴衆が参加し、当計画への関心の深さを裏づける格好となりました。
 リニアコライダー国際研究所の日本誘致に関しては、まだ閣議決定されておらないものの、産学官による東北加速器基礎科学研究会が設立されるなど、誘致に向けた外部環境は確実に進行していると言えます。研究会では、産学官連携はもとより、社会への周知、理解と支持を得ることが課題に上げられており、県としても、今後、壮大な夢の実現に向かって、各機関と連携をしながら着実なサポート体制を敷くことが求められます。
 本県の北上山系は国内でも有力な候補地になっていることから、情報のタイムリーな県民への提供など、ソフト面での対応を計画的に進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、関係機関との連携も含めた今後の県の対応についてお伺いいたします。
 次に、いわての水を守り育てる条例の運用についてお伺いいたします。
 この条例は、昨年の12月定例会に議員発議条例として可決し、本年7月1日から施行されるものです。その内容は、世界的な水不足や水質の汚染の問題が懸念されている中、本県の良質な水を守り次世代に引き継いでいくために、意識啓発等の取り組みを徹底するとともに、事業者と県民、県とのコミュニケーションを促進する仕組みを設けるため、その基本となる事項を定めております。
 水に特化した形でのこの条例は、既存の環境保全という限定的な枠を超え、県民に建設的なアクションを促す役目を果たすものと考えており、施行期日が迫る中、この条例を活用した水にかかわる顕彰の統一化など、県の積極的な運用を期待するものです。無論、議員発議の条例であることから、議会も積極的な中間管理をすることは必要と考えておりますが、県の具体的な運用方針をお示し願います。
 以上で壇上においての質問は終了します。御清聴ありがとうございました。
   〔25番飯澤匡君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2月定例会における私の行動についてでありますが、私のとった行動は、議会が一度議決したことをもう一度審議していただく再議の付議という異例中の異例のことについて、特に礼を尽くしてお願い申し上げなければならないという気持ちをお示ししたものであります。
 この行動についてはさまざまな御意見があることは承知しておりますが、深刻な医師不足を背景とした地域医療の崩壊を防ぐため、県政のトップとして信念を持って行ったものであります。
 私は、岩手が今どうなっているのか、県民にとって何がよりよい選択か、そして何をなすべきかを考え、私が先頭に立ち、県職員はもとより、県民の総力を結集して岩手を守っていくことがリーダーとしての務めであると考えておりまして、こうした2月定例会における私の思いを直接、庁議の場などにおいて各部局長へ伝えるとともに、各部局長等から職員へも説明し、理解を求めたところであります。
 今後とも、職員との対話などを通じて、私の思いを直接伝えていくとともに、職員ともども知恵を出し合い、県として高い総合力を発揮できる組織づくりを進め、政策推進力を強化してまいります。
 次に、県と市町村との合意形成のあり方についてでありますが、地方自治法においては、市町村は、基礎自治体として、住民に身近な事務を総合的に担うこととされ、県は、広域自治体として、市町村を超える広域的事務、国や市町村との間の連絡調整事務、そして、市町村に対する補完事務を担うこととされています。
 こうした役割分担を踏まえた上で、市町村は県の重要なパートナーでありますから、地域の課題について、市町村との間で認識を共有し、連携を図りながら、施策を展開し、住民福祉の向上にともに取り組んでまいりたいと考えております。
 このため、県政の重要課題については、私自身、地域に赴いて説明するなど、市町村長や市町村議会議長との懇談、あるいはさまざまな地域説明会やパブリックコメントなどを通じて、住民の皆さんや市町村との間で共通理解が得られるよう努めてきたところであります。
 今後においても、県政運営上のさまざまな課題に対して十分な御理解と御協力が得られるよう、これまで以上に市町村との対話に意を用いていきたいと考えております。
 次に、内需拡大型経済への移行についてでありますが、現在、我が国の経済が厳しい状況にある主な要因は、世界経済の急速な減速を背景に、外需依存型の経済構造のもとで、大幅に輸出が落ち込み、さらに、個人消費や企業の設備投資も大きく減少したことなどであります。これは、我が国が、これまで地方が主役になる内需主導型の真の構造改革を行わず、また、セーフティネットを十分に構築しないまま、市場原理最優先型の政策を行ってきたことによるものと考えております。
 このようなことから、いわて希望創造プランにおいては、地域において内需主導型の経済基盤を構築していくために、製造業や農林水産業、観光業などの県外から安定的にいわば外貨を獲得する、いわゆる域外市場産業を強化するとともに、得られた所得を県内で循環させていくことにより、商業やサービス業の振興を図り、地域経済を安定的、持続的に成長させていく考え方を織り込んでおります。
 具体的には、依然厳しい経済状況が続いておりますが、中長期的には成長が見込まれる自動車・半導体産業を初めとしたものづくり産業の基盤強化に努めるとともに、国内有数の生産力を誇る農林水産業の振興、質の高い農林水産物を活用した食産業の展開、豊かな自然や高品質な県産食材、伝統文化などを生かした観光産業の振興、こうしたことに積極的に取り組んでいるところであります。
 今般、お示ししております新しい長期計画の素案においても、地域循環型の経済の活性化を目指して、地域資源型産業や商業、サービス業の振興を掲げているところであり、今後、地域説明会など、あらゆる機会をとらえて、広く県民の皆さんに施策の浸透を図りながら、内需主導型の経済基盤の構築を進めてまいりたいと思います。
 次に、公立病院改革推進指針に基づく経営形態の見直しについてでありますが、現在、保健福祉部において、さきに独立行政法人化を決定した長野県立病院などの事例の調査を行うとともに、医療局が平成18年度に行いました地方独立行政法人化を含めた経営形態の見直しについての検討結果を整理しているところであります。
 例えば、地方独立行政法人化する場合には、多額の累積欠損金の清算や借入金の返済、退職給与引当金の措置などでさまざまな検討すべき課題があると理解しております。
 今後、これらの検討作業を踏まえて、秋ごろをめどに外部有識者から成る懇談会を立ち上げて、中長期的な県立病院の経営形態のあり方について、専門的見地から議論していただきたいと考えております。
 次に、地域医療に関する二つの懇談会でありますが、まず、地域診療センター等懇談会については4月から5月にかけて開催、地域の方々から、介護保険施設の入所者への対応、夜間、休日の救急対応など、病床休止に伴う不安や心配の具体的な内容について伺いました。
 また、地域診療センターと基幹病院とを結ぶ交通アクセスの改善や地域診療センターの施設を活用した民間による病床確保など、さまざまな御意見をいただいたところであります。
 病床休止に伴う八つの取り組み事項の中で、病床休止後1年間をめどに、地域診療センター等懇談会を継続することとしておりまして、今後は、それぞれの地域ごとに、医療局と地元との間で十分に話し合ってもらいたいと考えております。
 次に、地域医療に関する懇談会についてでありますが、1回目の懇談会は、各圏域における地域医療に関し現状と課題の共有を目的として開催したところであり、参加者からは、病院を守るため、みずからできることを何か取り組んでいきたいですとか、市町村でも、主体的に医療機関と一体となって地域医療について考えていくといった、それぞれの立場からの御意見、御決意などをいただいております。
 2回目以降の懇談会では1回目の懇談会での意見などを整理し、必要に応じて病院現場の視察を行うなど、さらに理解を深めながら意見交換を進めていくこととしておりまして、そうした中で、県としては、例えば地域包括ケア体制の一層の構築強化のため、医療、介護、福祉の連携体制の具体化に向けた議論を深めていただきたいと考えております。
 なお、懇談会における議論の内容のうち、次年度からすぐに取り組めるものについては、県、市町村、関係団体等による対応を考慮して、秋ごろをめどに提言としてまとめていただきたいと考えております。また、さらに議論を積み重ねる必要があるものについては、懇談会の意見を聞きながら、その対応について検討してまいります。
 次に、住民との認識の共有についてでありますが、県としては、本県の地域医療の現状と課題について、今後、地域の方々と認識を共有しながら、住民、市町村、関係団体等と協働して地域医療を確保していくという意識を持ち、そのための取り組みを進めていくことが重要と考えております。このため、まずもって、今年度から開催している地域医療に関する懇談会においては、病院長を初め現場の医師から、県立病院の現状や勤務医の実態について説明を行うなど、出席者に理解を深めていただきながら、意見交換を進めております。
 さらに、県民みんなで支える岩手の地域医療推進プロジェクト事業の一環として、各圏域でシンポジウムを開催して、懇談会でまとめられた提言などを広く地域住民の方々に発信して、その共有を図ってまいります。
 次に、国際リニアコライダー計画についてでありますが、国際リニアコライダー計画は、人類が長年抱いてきた宇宙の成り立ちや、物質の根源を探求しようとする素粒子物理学の分野における極めて高度な学術研究であり、現在、世界の高エネルギー物理学の研究機関、研究者で構成される国際委員会のもとで、加速器の研究開発や技術設計を行っている段階にございます。その実現に向かっては、我が国政府の誘致に向けた正式な決定や関係各国との調整が必要でございまして、ある程度長期的な観点から取り組むべきものと考えております。
 このようなことから、今年4月に、東北経済連合会が中心となり、東北の産学官で構成する東北加速器基礎科学研究会が設立されたところであります。本県としては、この研究会と連携しながら、講演会やシンポジウム、あるいは大型加速器施設の見学などを行うことにより、東北各県はもとより、県民の皆様に、国際リニアコライダーの学術的意義や研究内容、さらには、立地した場合の地域社会への波及効果などについて、正しく理解いただけるような活動を展開してまいりたいと思います。
 東北大学などの研究機関や宮城県を初めとする東北各県、さらには、社団法人国際経済政策調査会が主宰している加速器科学研究会などとも連携を深めながら、東北地域が一体となって、国際リニアコライダーを受け入れるための環境整備と機運の醸成に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 改正農地法についてでありますが、今般の農地法等の改正は、将来にわたって国民に対する食料の安定供給を図るための重要な生産基盤である農地の確保と、その有効利用を図るために行われたものであります。
 御指摘のありました一般企業の参入への懸念については、法律において、一般企業の参入は、地域の農業における他の農業者との適切な役割分担のもと、継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれる場合などに限って許可されることとされ、また、農地を適正に利用していないと認められる場合には許可を取り消さなければならない旨の定めがあり、一般企業には、耕作放棄地等の有効利用による産地づくりなどの面で、地域農業の担い手の一員として活躍いただくことを期待しているところであります。
 また、農業委員会の業務の増大への懸念については、今般の改正により、農地の利用状況調査や有効利用のための指導などの業務が追加されることになることから、国に対して、農業委員会の活動を強化するための十分な財源措置を講ずるよう要望したところであり、今後、農業委員会等に対しても、農地制度の運用面や執行体制の確保について助言等を行うこととしております。
 県としては、今般の農地法等の改正の趣旨の徹底と的確な運用を通じ、担い手の効率的、安定的な経営を確立するとともに、企業参入等により新たな担い手の確保を図るなど、本県農業、農村の振興につながるよう対応してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) いわての水を守り育てる条例の運用についてでございますが、これまで、7月1日の条例施行に向け、本条例の周知を図ってまいりました。4月に市町村を対象とした会議を開催し、本条例の趣旨や市町村の役割について説明したほか、6月には、県政テレビ番組において、いわての水を守ろうをテーマに本条例について紹介し、周知を図っております。そのほか、県のホームページへの掲載や、関係団体を通じた周知などを行っているところであります。
 条例に掲げる施策の推進につきましては、7月に庁内関係課による連絡会議を設置し、関係部局の水にかかわる事業や顕彰など、本条例に係る取り組みの進捗状況等について共有を図るとともに、施策の効果的な推進について協議を行い、本県の良好な水環境と豊富な水資源を守り育てる取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) それでは、これから一問一答で、再質問とそれから質問の項目に挙げたもの、答弁によっては順不同になるかもしれませんので、気をつけて御答弁をいただきたいと思います。
 私が今回の質問の大きな趣旨としたのは、知事の発進力とそれから政策の浸透力です。いかに立派な計画を立てても、実行が伴わないのでは何の意味もありません。民間会社でも危機突破能力が問われている時代に、県庁という行政組織の中でそれをあえて求めるのは、大変なエネルギー、情緒的に申せば情熱であるとか危機感の共有、これが大変必要となるものと考えます。それゆえに、私は知事の発言、行動は、大きな意味を持つものと考えております。
 先ほど、2月定例会の出来事について知事から御答弁がありましたけれども、私の質問した、行為をする前に、今後本県にどのような影響が出るのか予想できなかったのか。
 二つ目、現在、県庁内でどのような影響が出ているのか、知事御本人の認識をまず伺います。
〇知事(達増拓也君) 再議という異例中の異例のことを議会にお願いするに当たってあのような頭の下げ方をしたわけでありますけれども、議会にはそれにきちんとこたえていただいて、地方自治法に定められる再議の手続を粛々と行っていただき、有意義な議論そして最終的な採決もすることができて、大変よかったと思っております。
 それから、職員については、去年の地震でありますとかさまざまな危機を一緒に取り組む中で、知事と職員の一体感はますます高まっていると感じております。
〇25番(飯澤匡君) 一つ、私のほうから指摘をさせていただきますが、知事が再議をかけた案件は、3月の末の常任委員会でも否決され本会議でも否決されたものであります。
 一般会計のこのたびの県立病院の新しい計画とそれらに関連するものについては大変な意義を持つということで、私たちの会派も組み替え動議等、さまざまな県民理解を得られるための、議会でできるだけのことはやってきたつもりでありますので、ただいまの御答弁は、私は、その行為をしたという前提と知事の認識がかなり異なるのではないかということを、一つ指摘をさせていただきます。
 この問題に関しては、また最後に知事に伺ってまいりたいと思います。
 国際リニアコライダー計画に関連してお伺いします。
 報道のとおり、管内に、私が住む選挙区も含み、有力な候補地が県南広域振興局内にございます。県南広域振興局長として、将来に向けた夢の壮大な実現に向かって、この職責に当たる責任者として地元の協力体制をどのようにとるのか、これが現時点で大変大きなかぎと考えておりますが、企画理事というよりも県南広域振興局長の立場として、これまで行ってきたこと、これから必要なこと、今後のこともございますので答弁をお願いします。
〇企画理事(勝部修君) 国際リニアコライダー計画に係る県南広域振興局としての対応についてでございますが、何よりもまず、この計画につきましては、日本国内への建設を実現するための取り組み、すなわち、日本国政府としての誘致に向けた意思決定が前提となるところでございます。したがいまして、現時点では、本県が独自に誘致活動を行うことは避けるべきというふうに考えております。
 国際リニアコライダーの建設の適地として安定した岩盤地帯が条件とされておりますが、本県の南部北上高地に広く分布しております花崗岩岩盤は、国立天文大が阿原山、これは奥州市江刺区にございますが、その阿原山に設置しております地球潮汐観測施設など、国際的学術研究の面からも高い評価を得ているところでございまして、十分にその条件を満たすものと考えているところでございます。したがいまして、県南広域振興局としては、今後、奥州市や一関市など関係する自治体と情報を共有しながら、国際研究機関の受け入れのための検討、すなわち、交通アクセス、研究インフラ、外国人研究者のための生活環境、子弟の教育環境など、これらについて本県県南地域から仙台都市圏までをも含む広域的な視点で、国際化時代における地域づくりについて検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、奥州市などにおいて、中学生あるいは高校生のつくば研究学園都市への研修事業が行われておりますが、今後とも、国際リニアコライダー計画に対する理解増進はもちろんのこと、地域住民の皆さんが科学への理解と関心を深めるための取り組みについて、積極的に展開してまいりたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) この国際リニアコライダー計画に関しては、この厳しい環境にある経済状況の中で、大変夢のある事業がこの岩手県で展開されようとしております。企画理事が申されたように、今、大変微妙な時期でもございます。国としても、8、000億円を超える事業費を投じなければならないということで、大変ハードルが高いわけですが、ぜひともこの計画が本県の地で、誘致という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、その中で私たちの生活環境が、そしてまた経済環境がよくなるような、そういう夢のあるものを情報発信しながら、とりもなおさず、住民への理解というものが時間をかけてやらなければならない重要な視点だと私は思いますので、この点については県のほうに、関係機関との連携をさらに密にしていただくことをお願い申し上げておきたいと思います。
 次の質問に入ります。
 先日、日本青年会議所東北地区岩手ブロック協議会で、達増知事の掲げる希望王国マニフェストの検証大会が開催されました。2大戦略の新地域主義戦略、ソフトパワー戦略について抽象的で説得力に欠けるなど、かなり厳しい評価結果となったようであります。知事が掲げたマニフェストの中で、数値的な目標の設定とは別に、施策の達成度とはリンクしない知事の理念的なマニフェストの項目の中で、競馬問題の失敗を繰り返さないよう政策決定過程をより明らかにするとともに、失敗については徹底した検証を行いますとあります。
 今回の県立病院の無床化案は、政策決定過程を明らかにしたと言えるでしょうか。このような中央突破とも言える県施策を市町村へ一気におろすようなやり方は、適切と言えるでしょうか。それを今後どのように検証していきますでしょうか、お答え願います。
〇知事(達増拓也君) 知事マニフェストと県政運営についてでありますが、地域にかかわる県政の重要課題については、市町村との間で認識を共有し、連携を図りながら政策を展開していく必要があると考えておりまして、これまでもさまざまな地域説明会やパブリックコメントなどを通じて、地域の皆様や市町村との間で、共通理解が得られるよう努めてきたところであります。
 今回の地域診療センター等の病床の休止については、新しい経営計画案を公表し、パブリックコメントや地域説明会の開催などにより、地域の皆様の御理解をいただくよう努めたところでありますが、地域の皆様に御心配、御不安をおかけしたと存じているところであります。
 今後においても、県政運営上のさまざまな課題に対して十分な御理解と御協力が得られるよう、これまで以上に、市町村との対話に意を用いていきたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) 検証のあり方についてどのように考えていますでしょうか。答弁漏れがありましたので、答弁していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今後におきましても、県政運営上のさまざまな課題に対して十分な御理解と御協力が得られるよう、今回のことも踏まえて、市町村との対話に意を用いていきたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) 知事の答弁とすれば、やり方は正しかったと。ただ、理解が得られず、それについてはおわびをすると。
 どうも、私が考えていることと現実は、大変異なるようであります。今後、市町村等の理解を得られるように意を尽くしたいという答弁でありましたが、私はそのような漠然とした答えではなくて、今回の無床化に関する県立病院の将来の計画の浸透度を図るについては、県庁内での検証体制はしっかりと組織立てて、県民の目にもわかりやすくすべきと考えます。この点について、現時点で知事はどのように考えておりますでしょうか、お答え願います。
〇知事(達増拓也君) 県と市町村との意思疎通には、首長同士の意思疎通のみならず、それぞれの担当の事務レベルの意思疎通も非常に重要で、日ごろからそうしたところの意思疎通が頻繁に行われている、あるいはさまざまな政策課題について行われているような分野においては、県と市町村の意思疎通がいいような傾向がございます。
 地域医療に関しては、今後、県と市町村の間の事務レベルの意思疎通もかなり高まることが期待されますので、それが今回の反省に基づいた効果かなと思っております。
〇25番(飯澤匡君) 私たち政和・社民クラブは、このたびの無床化に関して、大迫地区でみずからタウンミーティングを開いて住民の声を聞きました。これは無床化ありきという県の施策に対して住民の声を聞くと、そういう趣旨もありましたが、大きな目的は、地域医療の確保を住民がどのようにしてかかわるべきかという、そのような視点でありました。大迫病院の副院長さんからも現状の説明をいただき、そのような非常に有意義な時間を過ごしたわけであります。しかし、住民の中から声が出たのは、やはり県行政に対する不信感であります。これは当該自治体もそのような傾向にある。傾向にあるというよりも、私はかなり県行政の執行の仕方について、しこりを残したのではないかというふうに思っております。
 ただいま知事から、今後についての方針が示されましたが、私はもっとしっかりとした形で、今回のやり方が適切であったかどうかということについては、総合政策部を中心にきっちりと検証をすべきだというふうに思っております。
 ただいま2度質問しても確かな答えが出ませんでしたので、きょうはこれぐらいにしておきますけれども、そういう大きな問題点について、今回は2月議会の様子を見ても議論が沸騰しました。やはりそのようなあり方も含め、きちっとした形で検証体制を整えるべきだというふうに思います。
 知事は先ほど来、この間の無床化の案を含めた県の新しい県立病院の計画については、極めて肯定的な、というか楽観的な視点で申しておりますが、私の調査によりますと、どうもそうではない部分がたくさん見えてまいります。県の施策浸透度がいかなるものか、先ほど申し上げましたように、県の2月議会の議論を踏まえた本気度について、具体的な質問をしながらお聞きします。
 最初に、県立病院間の患者等の輸送体制についてであります。
 土下座まで飛び出した患者等の輸送体制は、県側の提案はバスを購入することとして提案されましたが、否決されました。しからば、4月からの実績はいかがであったか。
 医療局からいただいた資料では、2カ月間、4月、5月の延べ人数は84人。これは5診療所であります。延べ人数だからして往復利用と計算されているので、実際利用したのは半分の42人です。2カ月で42人です。2月議会でも議論があったように、バスは5月末まで調達できないという予定でありましたから、この議案を否決したことは、無駄な税金を使わなくてよかったと言えるのではありませんか。購入したとすれば、他の分野への転用は必至であったと思います。
 私はバスは門外漢でありますから、これは外部に委託して調査いたしましたところ、1カ月のコストは50万4、000円。バスを所有するだけでそれだけのコストがかかります。これが5台分ですから250万円。これだけの実績の人数からしてバスを運行するということが、そういう議案を出したということが、極めて調査がずさんであったということだと思います。
 無床化から2カ月を経過して、患者輸送に関して、需要にどのように医療局は対応してきましたでしょうか。また、2月議会の議論を経て、効率的な患者輸送に関して、当該自治体との協議はどのようになされましたでしょうか、お伺いします。
〇医療局長(田村均次君) 患者さんの、それから家族の送迎の関係でございますが、紫波、花泉、九戸の三つの地域診療センターにつきましては、4月当初から事前に申し込みがあった都度、タクシーによる運行としてきたところでございます。また、大迫、住田両診療センターにつきましては、4月中はジャンボタクシーとレンタカーによる定時運行としてきたところでございますが、利用状況を勘案しまして、5月からほかの地域と同様に、申し込みがあった都度、タクシー等による運行とする方法に変更したところでございます。
 5月までの利用状況でございますが、先ほど議員からもございましたけれども、5地域診療センターで患者さんが11名、家族の方が73名ということで、延べ84人の利用となっております。
 4月以降、関係市町村との協議あるいは地域診療センター等懇談会の中で、利用実態を見て、できるだけ早く見直しをしたい旨説明してきたところであり、去る6月25日に関係市町村─ちょっと花巻市はいらしておりませんでしたが─関係市町村に見直しの申し入れを行ったところでございます。
 今後、市町村と十分協議を行い、それぞれの地域の実情を勘案した上で、できるだけ早く見直しをしてまいりたいと考えております。
〇25番(飯澤匡君) 局長、それは最近の話じゃないでしょうかね。この間、地元紙で、当該市町村長が見直しの要請をしたというときに、初めて県の案が出されたんじゃないですか。
 議事調査課に依頼をして、6月19日時点で無床化された診療施設がある市町村に対し、バスの運行に関して県からどのような相談があったのか、その相談に基づき改善をしたのか、改善した場合には、いつから、何を、どのようにやったかを確認をさせていただきました。
 紫波町長寿健康課長は、県からの相談一切なし。花巻市健康づくり課長は、特に何もなかった、医療局が地域の声を聞き、利用の状況を見ながら改善が図られていると聞いている。一関市保健センター所長は、一関市の保健センターでは直接相談は受けていない。花泉町保健福祉課長は、地元説明会の際にこのようにやりますとの説明が医療局からあったが、特に相談はなかった。住田町保健福祉課課長補佐は、町長にはあったかもしれないが事務方にはなかった。九戸村住民生活課長は、村に相談はなかった、年度末、年度始めに医療局が診療センターに来ていたので、その際に住民要望などを聞いていたのではないかと。
 あれほど公共交通機関との連携が図られていないという前提で、これ否決されたわけですね。そういう経緯を全く医療局側は無視していると。これは医療局だけでなくて、このような議論を踏まえた中で、県の施策の浸透度というのは本当に図られているのかと。とりもなおさず、これは一時期、熱いところを過ぎればそれでいいのではないかという考え方に立っているのではないかと思います。
 冒頭に申し上げましたように、県の施策の浸透度というのは、こういう微細なところから漏れていくんじゃないでしょうか。私は県の本気度を問いたいと思います。
 医療局長、先ほど御答弁がありましたが、過去のことを振り返ってはちょっと私も本意ではありませんけれども、バスの購入について今時点で本当に正しかったかどうか。その点について、現時点での考え方を示していただきたいと思います。
〇医療局長(田村均次君) まず、前段の部分の市町村の関係でございますけれども、2カ月ほど実績を見てきたわけでございますけれども、実績を見てきた経過の中には、一つは、当初は本院との間を3往復結ぶという計画のもとに進みましたけれども、実際の入院患者さんの動きを見たかったということがございます。事実、例えば大迫でも、中央病院に行ったり、盛岡赤十字病院に行ったり、総合花巻病院に行ったり、宝陽病院に行ったりと、当初、遠野との間を結ぶという考え方でやってきましたけれども、どうも行き先が必ずしも、例えば住田でも、大船渡、高田、遠野方面と分かれているという事情がございましたので、その辺を見たかったということがまず1点ございます。
 それから、先ほどの利用実績でございますが、診療センターで実際、かなりばらつきがございます。例えば花泉は、5月は、証明書というものを最初に発行するんですが、発行実績はゼロです。それから住田もゼロです。利用状況がどうも診療センターでかなりばらつきがございますので、いずれ4月、5月という2カ月の実績を見た上で見直しをしますというのが一つの考え方でございました。
 それから、見直しに際しましては、地域診療センター等懇談会に、きちんとそういった実績をお見せした上でやると当初から考えておりましたので、そういった点も踏まえて見直しをするとしてきたものでございます。市町村との具体的な協議ということはまだしておりませんが、いずれ2カ月程度の状況を見て、見直しをするという話はしてきてございます。
 それから、バス購入の考え方でございますが、これについては、基本的に、現実の利用実態は今のところ少ないわけでございますが、当初想定していたのは、当時の入院患者さんの数字、それと、その家族の方々がお見舞いに毎日行く、そういうようなことを想定しまして、それをマックスで試算しますと十数人になるというようなことが想定されるということで、あくまでも利用希望者の需要に応じて最大限の想定をした場合に、タクシーあるいはジャンボタクシーでは間に合わないケースがあるということを想定して、今回のような計画をしたものでございます。結果として、実績が少ないわけでございますので、そういった意味で、当時の議論が我々の想定どおりではなかったというのは、そのとおりだと思っております。
〇25番(飯澤匡君) 今の答弁で、行き当たりばったりやったということは明らかになりました。これは、全く我々の議論を踏まえていない。2カ月で様子を見て、それから決定するというのは、どう考えてもおかしくないですか。私は大変疑問を感じます。
 じゃ、仮にバスを購入した場合、仮にの話ですが、これは他の部分に転用するということになる、そういうことが予想されたかもしれません。補助金の適正利用という観点から、再議までかけたという案件については、これは執行部のアンテナが非常に低かったのではないですか。これが、いわゆるこれからの県政運営についても、県民の声を聞くという基本的な県の姿勢から、私は、そこまで達しないと。言葉では立派なことを言っても、現状がこういうことであるということだと思います。
 総務部長にお伺いしますが、さきの2月定例会で、バス議案がこのように否決をされました。これが転用されるということは、補助金の運用について、もし仮にの話ですけれども、そのようなことになった場合、県としての責任はどう果たされるべきかということについて、基本的な考えをお聞きしたいと思います。
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま医療局長が御答弁申し上げましたとおり、今回の交通手段につきましては、その時点の判断といたしまして、マイクロバスの購入が最も妥当であろうという判断でなされたものでございます。
 いずれにいたしましても、厳しい財政環境下にもございますので、私ども総務部といたしましても、効果的な事業実施が図られるよう、事業担当部局ともども努めてまいりたいと存じております。
〇25番(飯澤匡君) 総務部長は、その当時、別の部局におりましたから、あえて掘り出しませんけれども、その当時のことを振り返りますと、知事も間違って答弁したように、これは、この議論が閉塞されてしまうと、いわゆる医療局の計画が進まないと。
 ところが、議案はそうじゃなかったわけですよ。私たちがきちんと議員として、また議会として判断しなければならなかった、そのバスの購入は妥当かどうか、そういう点について議論したのであります。確かに、無床化という前提、そしてその無床化という議案が提出される、本議案が提出される前に、補正予算の場でそのような議案が出されたということ、これは、執行部の態度としても私はいかがなものかと。そういうことを、私たちの会派を含め多数の議員の方々が、そういう主張をしてきたのであります。
 どうも今までの答弁を聞いていると、本当に県施策として、この新しい地域医療の確保に向けて、県自体が本当の本気でやっているかということについて、私は大変疑問を感じざるを得ない、そのような感想を得ました。
 もう一つ指摘をさせていただきますと、二次医療圏ごとに、今後の医療確保の問題について、地域医療確保をどのようにしていくのかと。我が会派で、それから賛同者の議員の方々で、組み替え動議で求めた予算の3点のうちの最初の項目、二次医療圏ごとに、保健福祉部が中心となり、医療局、市町村、県立病院施設、医師会、福祉施設及び事業者、住民代表から成る機関を立ち上げ、各地域事情に即した完結した地域医療体制の確立を目指すこと、これに対する補正予算を要求したわけです。これは、県のほうで受け入れていただきまして、先ほど答弁があったように、5月の末で1回目が終了しました。
 知事は、非常に住民からの肯定的な部分のコメントを紹介されましたが、実際はどうだったのかと。これは、当時の発言録を執行部から入手しまして、私も読ませていただきました。中部医療圏において遠野市の本田市長はこういうことを言っている。専門的な議論は必要だと思うが、医師確保にあっても、市町村の連携における思いはほとんど伝わってきていない。この中でいろいろ議論しても、医師の確保はやはり難しい。命を守るということについて、この限られた資源の中で真剣に議論する場がこの場だと思って来たが、今の説明ではほとんどそれが伝わってこない。これが、やはり第1回目の会議の現状です。
 1回目は、現状認識ということで説明をするということに時間が割かれましたが、私も両磐の医療圏のを拝聴しました。ほとんど執行部の説明で3分の2以上の時間が割かれた。議論の交換は残りの3分の1、一人一人に保健所の所長が聞いただけです。これはもう淡々と県施策の説明を事務的に行っている。他の診療地域、確かに、知事がおっしゃったように建設的な意見もありました。
 ただ、初動でいかに本気にこれから地域で市町村に、これは、医師の確保を含めて一緒になってやっていこうという大事な会議の1回目にですよ、議会でこういう意見がありましたから開催いたしましたというような保健所長の発言もありました。全く地域医療の確保について県の熱意が感じられない。
 これは保健福祉部が所管となっていますが、こういうようなやり方で、9月の末に3回目を行って、本当に熟度を上げた住民との協議というものができるでしょうか。
 保健福祉部長にお聞きします。この会議の進め方について、事前の庁議はどのようになされてきたのか。そしてまた、2月定例会の議論も踏まえて、どのような熱意でこの会議を進めようとしたのか。その点についてお答え願います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 地域医療に関する懇談会についてお話がございました。地域レベルの懇談会で、住民の方々に入っていただいて、その視点から御提言をいただくという形の協議会は、これまでございませんでした。今回のこの懇談会の設置に当たりまして、既存の懇談会との、果たして新たなものが必要かという声も市町村からもあったのですが、いずれ私どもといたしましても、このような懇談会がぜひ必要と考えて、新たに設置してやらせていただきたいということでお願いしたところでございます。
 この懇談会の開催につきましては、3月末に1回目の保健所の関係職員との打ち合わせをしまして、4月早々にも、保健所長を招集いたしまして、この会議への対応につきまして連絡調整を図ったところでございます。
 いずれ、この会議につきましては、第1回目の開催内容につきまして、いろいろな御意見があったことは、承知いたしているところでございます。しかし、私も、すべてではございませんが出席させていただいてございますが、できるだけ1回目は、どうしても住民の方々に現在の状況等を御説明させていただくと。やはり市町村あるいは医師会の方々と同じようなレベルで御意見をいただくためには、ある程度、その前提となる課題等につきまして御理解を事前にいただく必要があるのではないかということで時間を割いたことは事実でございます。ただ、それが、運営に当たりまして、非常に説明一方ではないかというような御批判を賜ったことも承知いたしております。
 いずれ、今回、これらのいろいろな御意見をちょうだいいたしましたので、2回目以降の進め方については、できるだけ住民の方々の御意見をいただく、あと、専門家の方々にも、できるだけ専門用語は使わずに平易な言葉で語っていただくというようなことも含めまして、まずお願いしているところでございます。懇談会は、やはり1回当たり2時間半ぐらいが最大リミットだと思っておりますので、その中で効率的な御議論を賜るためには、あらかじめその議論の論点等を整理したものをお配りして、あらかじめお考えいただいてから御出席を賜るというようなことも含めて、いろいろ工夫をしながら進めたいと考えているところでございます。
〇25番(飯澤匡君) 部長としてはそういう答弁になるんだと思います。しかし、実態は、自治体を預かる首長さんから厳しい意見が出たということ、これは、先ほど本質問の中で私も言いましたけれども、どうも市町村との連携が、本当に浸透度がうまくいっているのかどうか。最初の初動から間違っているのではないかと思うんです。
 知事は、最初の答弁の中で、何回も申し上げますが、随分肯定的なことを申されましたが、このような問題点があるということ、そして、今後、その問題点を踏まえて、地域医療に関して市町村との協力体制はどのようにしていくべきか、改めて知事の答弁を求めたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 遠野市長さんの場合は、遠野市は、地域医療についてはかなり先進的で、岩手の中でも先を行っているほうであります。地域医療崩壊の中でも、きちんとやっている病院はあるという新書版の本が最近出たんですけれども、岩手県立遠野病院がそこで紹介されています。そういうところから見れば、今さら住民一人一人の意識改革から積み上げていこう、そのための基礎的な情報交換からやっていこうというのは、そんなところは遠野はもうとっくに卒業しているという思いだったのかもしれませんけれども、岩手全体からしますと、委員が先ほど、1段ロケット、2段ロケット、3段ロケットの話で指摘されたように、やはり住民の意識を変えていくというか、みずから変わることをお手伝いするのが大事な局面かなと思っております。
 といいますのも、岩手の県民には、地域医療を変える力があるという確信を私は持っております。最近のある報道でも、深夜のコンビニ受診というんでしょうか、夜間救急の利用が岩手において10%減った。これは、今までなかったくらいの大幅な減り方でありまして、やはり病院の受診態度といった地域医療を守っていくための基本のところを、住民本位に、住民が主役になって変えていこう、そういう芽が岩手にはしっかりある。そこを県と市町村が協力しながらどう育てていくかということだと思います。希望の芽がしっかりありますので、それを育てていきたいと思います。
〇25番(飯澤匡君) それでは、その件に関連してもう一点聞きます。
 知事は、全国で初めて、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議を設立し、体制整備に自信のあるところを述べておりました。しかし、過去2回しか開催されておりません。ただいまの答弁で、岩手の県民にはそのような本当に前向きな芽があるというふうに、私もそう思います。しかし、私が質問で言ったように、いわゆる不安を覚える住民に対して、県側がこれまで医療提供側とした責任、それから撤退するということに対して、本当にエネルギーを県側でそれだけ注入してきたか、不安解消のためにしてきたか。その点について、やはり指摘せざるを得ないと思います。
 今後、2回しか開催されていない岩手の地域医療推進会議、これについて、現在までの検証と、これからどのように発展的になされようとするのか、その点についてもお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の年次総会は2回行っているわけでありますけれども、さきに行われた2回目の総会でも、関係団体から報告がありましたように、この県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の枠のもとで、それぞれの地域団体や、あるいは産業等、分野別の団体が、さまざまな地域医療を支える活動に取り組んでくださっております。そうした広がりが注目されて、地域医療推進に関する全国団体から、私に基調講演をやってほしいという声もかかっております。岩手における地域医療推進の取り組みが全国的にも注目されてきていると考えておりますので、しっかり進めてまいりたいと思います。
〇25番(飯澤匡君) 残り時間も少なくなりました。最後になります。
 私は、達増知事がつくった希望創造プラン、この推進力を上げるには、コアになるエンジンが必要です。立派な車を設計しても、エンジンがなければ動きません。エンジンは、職員がモチベーションを上げることにあります。常に燃料がエンジンに循環しているか留意するのは、知事として当然の仕事です。あれだけ議論がさきの議会で起きながら、それが、私の調査によると、知事は肯定的な答弁をしておりますが、半端になっているのは残念であります。
 首長も地域を守る最高責任者であり、本音の議論が展開されるのは大変結構でありますが、実際は県に対する不信感は高まっています。私は、物事を協働で行うには、手順は省いてはいけないと思います。私自身に対する戒めの言葉として、ユリウス・カエサルの言葉に、人間ならばだれにでも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。
 知事は、自分の土下座に関しても正当性しか言及がありませんでした。あなた自身は納得したかもしれない。私は、聞こえざる声を聞く県庁内の体制をしっかりつくるべきであると思います。県庁の職員が、国の出先機関に行って、あの岩手県ですかと言われて、これは二の句を継げますか。
 私は、きっちりとした知事の職責を果たして県政運営をしていただきたい、そういう思いをして今回の質問をいたしました。最後に、知事の所感を聞いて、今回の質問は閉じます。
〇議長(佐々木一榮君) 飯澤匡君に申し上げます。
 申し合わせの時間を経過いたしましたので、発言はそれで終わらせていただきたいと思いますが、執行部にもあわせて申し上げたいと思っております。所定の時間になりましたので、発言を終了願いたいと思っております。
〇議長(佐々木一榮君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時24分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(2名)
21  番 高 橋 比奈子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時59分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第3、一般質問を継続いたします。及川幸子さん。
   〔40番及川幸子君登壇〕(拍手)

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