平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。緊急質問をお許しいただいた皆さんに心から感謝を申し上げます。
 西松建設事件と岩手県政にかかわる天の声に関して、達増知事に緊急質問を行います。
 6月19日、準大手ゼネコン西松建設による小沢一郎民主党前代表への違法献金事件で政治資金規正法違反などの罪に問われた西松建設前社長国沢幹雄被告の初公判が開かれました。注目されるのは、検察側が冒頭陳述で、献金を受け取っていた小沢氏の事務所が東北地方の談合組織に強い影響力を持ち、岩手県の公共事業などで天の声を出していたなどの事実を明らかにしたことであります。重要なことは、巨額の献金をしていた西松建設の前社長国沢被告が起訴事実を認めていることであります。
 公判で明らかになった重大な事実の第1は、西松建設から小沢一郎氏側への献金の目的が、岩手県などで公共事業の受注を拡大するために、小沢一郎事務所から天の声を得ることだったということであります。実際に西松建設は1995年には小沢事務所の要求に応じて1、000万円を超える献金を行い、1996年には国道283号秋丸トンネル築造工事を25億3、000万円で落札。落札率99.2%となりました。その結果、1997年の献金は2、812万円に急増しました。また、1997年には小沢事務所の要請にこたえ、年間2、500万円の献金を行う申し合わせを行っています。
 明らかになった重大な事実の第2は、西松建設からの献金が、1、500万円は西松建設のダミー団体から行い、1、000万円は下請企業の松和会から、各社50万円ずつ行う仕組みを共同でつくったことであります。どの団体に幾ら振り込むかという割り振りは、本社総務部長が小沢事務所と打ち合わせをし、同事務所から請求書が送付されたということであります。西松建設から小沢一郎議員側への献金は、1995年から2006年の間に2億円を超え、特に1997年以降は毎年2、500万円も恒常的に行われていました。新政治問題研究会と未来産業研究会というダミー団体からの献金は12年間で1億2、900万円に及んでいます。公判では、政治団体からの献金が西松建設からの献金と知っていたという小沢一郎代表代行の公設第一秘書大久保隆規被告の供述調書も明らかにされました。
 明らかになった第3の重大な事実は、天の声と談合のシステムであります。検察側冒頭陳述では、受注を希望するゼネコンは小沢事務所に、自社を談合の本命業者とする天の声を出してほしいと陳情し、小沢事務所から了承が得られた場合には談合の仕切り役に連絡し、当該ゼネコンを本命業者とする談合が取りまとめられていたと指摘しています。
 県政にとって重大なことは、西松建設による1995年から2006年までの巨額の献金によって、岩手県の四つの公共事業と秋田県の一つの公共事業で小沢事務所の天の声を得て4工事で談合が成立し、122億7、000万円の工事をJVで落札したとされていることであります。
 そこで、達増知事に質問いたします。
 第1に、小沢氏側に献金していた西松建設前社長の被告も認めている検察側冒頭陳述、論告の内容、政治資金規正法違反の実態について、知事はどう受けとめたでしょうか。
 第2に、岩手県が発注した三つの公共事業が小沢事務所の天の声によって談合で落札されていたと指摘されています。国道283号秋丸トンネル工事、県立一戸病院新築工事、簗川ダム建設主要地方道盛岡大迫東和線トンネル工事の落札額と落札率はどうなっているでしょうか。談合と指摘された以上は関係業者を調査すべきではないでしょうか。談合による損害額はどう試算されるでしょうか。
 また、西松建設が1995年以降受注した県の県営建設工事の件数と落札額の総額、落札率、最終契約額はどうなっているでしょうか。
 第3に、達増知事が衆議院議員で民主党岩手県連の代表だった2003年から2006年の4年間に、民主党岩手県連が西松建設のダミー団体、新政治問題研究会から800万円、未来産業研究会から300万円、合計1、100万円の献金を受けています。ダミー団体の献金が小沢氏側への公共事業の受注と天の声を目的とした献金とされていることについて、どう受けとめているでしょうか。責任を持って返還すべきではないでしょうか。
 第4に、達増知事がみずからの衆議院議員選挙で、西松建設とその職員、下請業者から物心両面の応援を受けてきたことはないでしょうか。
 第5に、小沢一郎民主党代表代行は達増知事の政治の師とも仰ぐ人物でありますが、西松建設からの巨額献金の目的、その使途などについて、国民からは全く説明責任が果たされていないと批判されています。政治と金の問題は民主主義の土台の問題であります。政治への信頼の問題であります。知事はどう受けとめているでしょうか。もっと説明責任を果たすよう進言すべきではないでしょうか。
 以上、質問といたします。答弁によっては再質問をいたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、検察の冒頭陳述、論告の内容についてでありますが、現在、裁判中であり、コメントは差し控えさせていただきます。
 次に、民主党岩手県連に対する献金についてでありますが、政治団体の献金目的については、現在、裁判中であり、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 また、献金を返還すべきということでありますが、これは、現在の民主党岩手県連において判断がなされるものと考えております。
 次に、私の衆議院議員選挙に関するお尋ねでありますが、公職選挙法等法令に違反するような支援は受けておりません。
 次に、小沢一郎民主党代表代行の説明責任に関する批判への対応についてでありますが、さまざまな批判への対応については、政治家として本人が判断すべきことと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) まず、県工事の落札額等についてでございますが、国道283号秋丸トンネル築造工事につきましては、消費税抜きで落札額25億3、000万円、落札率は99.2%、県立一戸・北陽病院新築工事につきましては、消費税抜きで落札額37億7、000万円、落札率98.6%、簗川ダム建設主要地方道盛岡大迫東和線トンネル築造工事につきましては、消費税抜きで落札額24億9、000万円、落札率94.5%となっております。
 次に、県工事に関する関係業者の調査についてでございますが、今般、政治資金規正法違反等事件の冒頭陳述等において、お話のありました、御指摘があったことは承知いたしておりますが、一連の裁判等が継続中であり、その推移を注視してまいりたいと存じております。
 次に、談合による損害額の試算についてでございますが、政治資金規正法等違反事件として一連の裁判等が行われている段階であり、現段階において損害額を算定することは困難であろうと存じております。
 次に、西松建設株式会社への県工事の発注状況についてでございますが、平成8年度以降の普通会計及び企業会計において、JV─共同企業体の代表者としての契約が6件ございます。消費税込みの落札額が121億6、586万円余、落札率は平均いたしまして98.1%、最終契約額が128億217万円余となっております。また、これ以外に、同じく共同企業体の非代表といたしまして6件ございまして、消費税込みの落札額が60億2、280万円、落札率が95.4%、最終契約額が74億735万円余となっております。
〇38番(斉藤信君) 重大な事件にもかかわらず、知事の答弁は、答弁できないという答弁でありました。極めて残念であります。この西松事件は、係争中といいながら、被告は、事実を争わないと、冒頭陳述で指摘された事実は認めると。ですから、7月には判決が下されるということですよ。結審されているのですよ。事実については争わないと認めているという。これは西松建設事件ですから、大久保事件じゃないのでね。私は、知事の答弁は、それは逃げの答弁ではないのかと。ましてや、県政にかかわる談合問題が指摘されているわけです。岩手県政が係っている事件なんですよ。単なる談合事件、政治資金規正法事件ではない。そういう点で、知事として、岩手県政を舞台にしてこういう天の声が出され、談合がなされ、県民に損害を与えたという事件について、知事がどういうふうに受けとめているのか。この指摘について、争わない事実について、私は、これをまずお聞きしたい。
 それと、献金の目的は小沢事務所から天の声を得るためだったと。そのために小沢事務所の要請に基づいて西松建設は献金をしてきたわけです。私は先ほどの質問でも言いましたが、最初は1、000万円を超える。秋丸トンネルをとったら、翌年は2、800万円に実は献金がふえる。簗川ダムについて、これは、談合の仕切り役をした鹿島建設の担当者がこういう供述をしています。西松が落札した簗川ダム・トンネル工事は、西松の担当者が鹿島に来てアピールした。小沢事務所から本命の了解を得たと言ってきたので、私は、静にしていろ、他社に言うなと指示し、大久保被告に、西松でよろしいでしょうかと聞いた。すると、大久保被告は結構ですと言った。今、岩手県の大問題になっている簗川ダムのこの契約が、こういう天の声と談合で落札していたとしたら、重大なことじゃないですか。簗川ダムのこの天の声と談合問題について、知事はどういうふうに受けとめていますか。
 知事の政治姿勢について、民主党県連へのダミー団体からの献金について。知事が代表だった責任ある地位のときのものですよ。そして、このダミー団体の献金というのは、小沢事務所と打ち合わせしてやったんですよ。知らない間にもらったお金ではない。私は2月にも聞きましたが、このダミー団体に対しては、実は西松建設に請求書が出されているんです。ダミー団体からもらっていた献金を知事は知らなかったんですか、知っていたんですか、改めてお聞きします。
 実は、西松建設の大本命は胆沢ダムでありました。胆沢ダムは2005年9月25日に公告をされています。その年の12月に1、300万円の献金がなされ、民主党県連にも300万円が献金されています。2006年3月10日に胆沢ダムの洪水吐き打設工事を西松建設が落札しました。その年の10月から11月に500万円の献金が行われ、民主党県連にも200万円。特に民主党県連には工事開始日に100万円の献金がされています。胆沢ダムの工事をとるために、そして、とったお礼に明々白々な献金がされて、その一つが民主党県連だったと。この点について、あなたが会長のときにこの問題をどういうふうに受けとめていたか。こういう日時符合─それともあなたが知らない間に小沢氏との関係でやられたのか、そのことをお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 御指摘の政治団体の存在については、今回、一連の報道がなされて初めて知ったということについては、2月議会で答弁したとおりであります。
 当該団体の献金目的については、報道などによりますと、大久保氏側弁護団は争う方針であるということでもあり、献金を返還すべきかどうか、そういった対応については、現在の民主党岩手県連において判断されるものと考えております。
 岩手県における御指摘の一連の事業については、適正な入札、発注が行われたというふうに承知しております。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって緊急質問を終結いたします。
   日程第6 議案第1号平成21年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第34 報告第8号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第6、議案第1号から日程第34、報告第8号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。
 議案第1号は、平成21年度岩手県一般会計補正予算(第3号)でございます。これは、国の経済危機対策に呼応して、県民生活の緊急課題への対応や、強いいわてを作るための事業などに要する経費について、地域活性化・経済危機対策臨時交付金等を活用して措置するなど、所要の補正を講じようとするものでありまして、総額で約453億円余の増額補正を行おうとするものでございます。
 補正の主なものは、環境対応車導入促進事業費4億3、100万円余、いわて銀河鉄道バリアフリー化事業費補助5、200万円余、介護業務従事者処遇改善等臨時特例事業費52億7、400万円余、新型インフルエンザ健康危機管理体制強化事業費5、600万円、森林整備加速化・林業再生事業費31億円、交通安全施設整備事業費4億1、000万円、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金53億1、000万円、建物等維持管理費─学校施設関係でございますが、2億7、000万円余でございます。
 次に、議案第2号から議案第4号までは、岩手県立病院等事業会計など3企業会計の補正予算でありますが、これらは、一般会計予算と同様、国の対策に呼応した事業実施のため、所要の補正を行おうとするものであります。
 議案第5号は、予算の補正に伴う建設事業に要する経費の一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 次に、議案第6号から議案第18号までの13件は条例議案でありますが、これらは、職員の退職手当に関する条例の一部改正、国の補正に伴い、国の交付金を活用して新設することとなった社会福祉施設等の耐震化対策などに対応する各種基金の設置、岩手県県税条例など県税関係条例の一部改正などに関するものであります。
 議案第19号は、請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
 議案第20号は、財産の取得に関し議決を求めるものでありまして、その内容は、新型インフルエンザ対策に係る行政備蓄用の抗インフルエンザウイルス薬の取得に関するものであります。
 議案第21号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めるものであります。
 次に、報告第1号から報告第4号までは、平成20年度一般会計及び特別会計の繰越明許費の繰り越し及び事故繰り越しについて報告するものであります。
 報告第5号及び報告第6号は、公営企業予算に係る支出予算の繰越額の使用計画について報告するものであります。
 報告第7号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について、また、報告第8号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について、それぞれ報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
   日程第35 発議案第1号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第35、発議案第1号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則を議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第1号は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、発議案第1号岩手県議会会議規則の一部を改正する規則は、原案のとおり可決されました。
   日程第36 臨時的な協議等の場の設置の件
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第36、臨時的な協議等の場の設置の件を議題といたします。
〔参照〕
議事日程第1号中 日程第36 臨時的な協議等の場の設置の件
名称目的構成員招集者
議員定数等検討会議議員定数等について協議又は調整を行うため交渉団体である会派において指名した議員最初に行われるものにあっては議会運営委員会委員長、その他のものにあっては座長

〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしておりますとおりでありますが、会議規則第115条第2項の規定により、議員定数等検討会議を設置いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時23分 散 会

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