平成21年2月定例会 第10回岩手県議会定例会 会議録

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〇4番(工藤勝博君) 政和・社民クラブの工藤勝博です。
 本定例会におきまして一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、通告に従い順次質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、知事が就任して丸2年になります。県政運営についてお伺いいたします。
 今日まで、達増知事におかれましては、危機を希望に変えるべく粉骨砕身の取り組みには心から敬意を表します。知事語録の一つに、知事の仕事は知ることが最も大きな役目と言い、県内各地に出向き、県民と触れ合う事業を展開しておりますが、その中で知事は県民に何を期待し、何を求め、県民の声をどのように県政に反映させるおつもりでしょうか。
 昨年秋以降、米国発の金融恐慌から始まった世界経済の激変、激動は、国内の主力産業に多大な影響を及ぼしております。景気の動向はまさに不透明であり、先の見通しが立たない。特にも岩手の経済を牽引してきた自動車関連、半導体関連企業の縮小は、雇用、所得の確保で緊急を要する課題であります。この経済危機に直面し、厳しい県財政の中、どのように対処し、希望創造プランを実践していくのか、お伺いいたします。
 次に、達増知事には華麗な職歴を有し、現職にありますが、外交官、衆議院議員で培った経験、人脈、識見を県政の中でどのように発揮していくのでしょうか。知事は講演等でグローカルポリシーの話をなされております。地方自治の危機、地方経済の危機、地方社会の危機などで日本がグローバル化に対応できないことが原因であり、国が対応できないのであれば地方がやるしかないと述べられています。世界同時不況が地方にも襲いかかっている今そこ、その理念を実践すべきではないでしょうか。知事が言うグローバル化に対応できる岩手の創造を県民にわかりやすくお示しください。
 次に、山形県知事選挙の結果にコメントを発しておりますが、歳出削減を最優先させた現職が敗れた結果に対して、岩手では歳出削減は最優先ではないと判断されたと伺っております。初当選した吉村知事は、県民に寄り添うような形で、県民の暮らしや仕事が第一という心の通う政治姿勢で選挙を戦い、勝利をおさめました。民主党が主張する生活が第一と同じです。知事もかねがね言っておられますが、県民総参加の県政、一人一人の力を結集すれば危機が希望に変わると。しかしながら、今まさにその声を発している県立病院の新しい経営計画の当該地区の皆さんの切実な思い、心が無視されました。あらゆる機会を通じて各地から出た声を知事はさまざま聞いていると思います。生活が第一という党籍を持つ知事の目線はどこにあるのか、お伺いいたします。
 次に、平成20年を振り返って、知事は多事多難と総括していますが、まさに県政史上に残る2度の地震大災害、不正経理問題、平泉の世界遺産登録延期、経済不況による雇用不安等、激動の1年であったと思います。そういう中で、県庁内の職場環境は大分変わってきたという声を聞きます。職場内の会話、部局長が率先して若い職員に声をかけている姿勢は、県政に活力を生み出す源です。知事は、草の根の地域訪問、また、市町村長との対話も数多く進めていますが、肝心の政策に関する事項になると、職員が用意したメモを読み上げる場面が多いと不評を買っております。世界同時不況により経済の圧縮が県財政に多大な影響を及ぼしています。過去に例を見ない税収減は、今後の県財政、県政運営に対し、さらに厳しさを与えています。負のスパイラルに落ち込まない手だてが求められます。今こそ知事は県民と向かい合い、そして痛みも分かち合い、この難局を乗り切るべきだと思いますが、御所見を伺います。
 次に、県立病院の新しい経営計画についてお伺いいたします。
 既に、昨年12月定例会、そして本定例会においても毎日議論されておりますが、私も当該地区の議員として、また、請願に賛成した議員として何点か質問いたします。
 まず1点目に、昨年11月に突然経営計画が示されました。その背景は、平成20年度中に、病院事業を経営する地方公共団体に公立病院改革プランの策定を求められての計画案と理解しています。総務省は、全国に約1、000ある公立病院の4分の3は、税金の投入を受けても赤字を抱えていると発表しています。経営の建て直し、地域医療の向上につなげるため本格的に自治体支援に乗り出し、そのために経営の効率化や再編、ネットワーク化、さらに経営形態の見直しということで議論がなされているわけです。この計画案が当該地区で議論もされないまま示され、わずかな期間で住民説明会、地域懇談会があり、住民の声には耳を傾けず、これが成案ですとのプロセスには到底納得できるものではありません。知事は、5年前の改革プランに対して言及しています。衆議院議員のときは、無床化にすることは地方の切り捨てになるから反対したが、知事になってから二つわかったことがある。一つは医師不足の深刻化、二つ目は、改革プラン・無床化が実現しなかったことで勤務医が失望し、さらに医師不足になった。このことに罪悪感を持ち、罪滅ぼしのためにも今回はしっかりやらなければならないと言っています。計画案そのものが知事の罪悪感の解消になると解釈されます。4月から実施しなければ地域医療が崩壊するという確たる根拠は何なのでしょうか、お伺いいたします。
 2点目に、今回の新計画案は6施設、6市町村が当該地域になっています。それぞれの地域では、地域に根差した医療環境をはぐくんできたと思います。住民説明会、地域懇談会の声では、何が何でも反対とは言っていません。60年の長い歴史で、暮らしの盾、命の盾として果たしてきた県立病院には住民の魂が宿っているはずです。計画案に反対の意見が圧倒的なことに、知事は記者会見の中で、特定の地域の中で不安を感じている方が多いということが背景にあると思うと述べています。県内において医療に不安を感じない地域はどこでしょうか。また、県民の多くが達増県政に求めているのは、安心して受けられる地域医療対策です。この声を無視して県政を推進することは県民の不信を招くと考えますが、知事の御所見を伺います。
 3点目に、経営改革の核心についてお伺いいたします。
 医師確保の課題は、あえて申すまでもなく、県病発足時からの命題です。60年の間、幾度となく経営改善、改革を経て今日に至っているわけですが、根本的な解決には、なおほど遠いものがあると思います。今計画の検討の中で当該市町村との意見交換がなかったのはなぜでしょうか。当該市町村長は寝耳に水と憤慨するのは至極当然と思います。
 政和・社民クラブは、この計画案に対しさまざまな角度から検証を行いました。県病の現場で孤軍奮闘している医師、県病ОBの医師、看護師、また開業した医師。総論では、医師の勤務環境は過酷であるということは言うまでもありませんが、全病院がそうだとは言い切れないところです。最も目を向けなければならないのは、医師が気持ちよく勤務できる環境整備ではないでしょうか。現職の医師、県病ОBの医師は、医療局の体質、制度に少なからず不満、不信があることを語っています。今まさに、その声をもとに改革案を取りまとめるべきと思います。医師、患者あっての病院経営と思いますが、どのように把握されているのか、お伺いいたします。
 4点目に、今回の改革案で6地域の事情はそれぞれ違いがあります。同一にして実施すること自体、無理があるのではないでしょうか。地域懇談会においては、各地で地元の医師会が代案を提示、提案されています。地域でできることは地域に任せるべきで、議論百出の中、災い転じて福となす、よい機会と思います。4月まで時間がないから再検討は無理だとは、余りにも一方的過ぎではないでしょうか。今、地域医療の崩壊が叫ばれている中、各地で医師会、住民が立ち上がっています。県内においても、宮古病院の例、釜石の病院サポーターズ、遠野の連携事業等、このような動きがさらに広がり医療現場の理解が進めば、地域医療は守り育てられると思いますが、立ち上がる前に切り捨てられたらどうしようもないと考えます。地域医療に深くかかわる市町村の理解と連携がぜひとも必要と思いますが、どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 5点目に、沼宮内病院の無床化について、さらにお伺いいたします。
 沼宮内病院は、平成14年、移転新築され、60の病床です。隣接している岩手町役場、県立沼宮内高校等、恵まれた環境の中にあります。地域説明会には、会場あふれんばかりに町民が足を運び、事の重大さに真剣に聞き入っている姿は言葉に言いあらわしようがありません。初めて資料を見た地元開業医は、県病の経営がこんなにひどいとは思ってもいなかった。平成17年は黒字、平成18年、平成19年はマイナス、病床利用率も70%以下という情報は、行政にも、医師会にも、ましてや町民には伝わっていなかったといいます。ここにも大きな問題があると思います。沼宮内病院は、県立病院ながら町立病院的に地域に溶け込み、保健推進委員が町とタイアップして各種がん検診の高検診率を誇っています。集団検診のモデル病院でもあります。その成果は全国で認められ、保健文化賞を受賞しています。県病看護師のОBの方が、患者の名前も顔も覚えられ、心の通う患者中心の医療ができることを誇りに思うと言ったことがすごく印象に残りました。また、地元医師会の、できることは協力し合い地域医療を守るという提案をどうして受け入れられないのでしょうか。沼宮内病院は新築後わずか7年で病床をなくするということは、病院経営そのものに計画性、理念がないことを示唆しているのではないでしょうか。県病の基本理念は、県下にあまねく良質な医療の均てんであり、基本方針は、心の通う患者中心の医療展開、働きがいを持つ職場づくり、地域と一体となった医療の確保の運営ではないのですか、改めてお伺いいたします。
 次に、少子化対策と青少年育成についてお伺いします。
 人口減少の進行は、岩手の社会、経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。少子化の進行により生産年齢人口が減少し、経済の成長を妨げます。また、少子化により子供同士、特に年齢が異なる子供同士の交流機会の減少により、子供の社会性がはぐくまれにくくなるとともに、乳幼児と触れ合う機会を持たずに子供が成長した場合、親になってからの子育てに大きな戸惑いを持つことが指摘されています。こうしたことからも少子化の流れに歯どめをかけ、合計特殊出生率向上のためにさらなる取り組みが喫緊の課題と思います。県としての少子化対策の取り組みの現状をお示しください。
 出生率で伸びに転じている福井県の例を見ますと、延長保育や一時保育、病児デイケア等きめ細やかな保育サービスを提供しています。また、経済的支援として、ふくい3人っ子応援プロジェクトを実施し、3人目以降の子供について、保育料、病児保育、一時保育等の利用料、医療費を原則無料化しています。さらに、不妊治療費の助成事業を拡充しています。また、若者の出会い、交流の機会を提供するイベント等に支援や縁結びの相談員を設けるなど、新しい家庭を築く若者の支援があります。核家族化が進む中、本県の今後の取り組みをお示し願います。
 次に、平成19年に北海道大学医学部で小中学校1年生の生徒でうつ病の調査が行われ、中学1年で明確にうつ病の診断基準に当てはまった生徒が4%もいることがわかりました。大人で5%といいますから、それとほとんど変わらない数字です。しかも、落ち込んでいるときと、そうでないときが交互にあらわれる躁うつ病に該当する子供も含めると10.7%にはね上がります。つまり10人に1人が精神を病んでいるということです。こうした事例からも、子供のメンタルヘルスに適切に対応することが必要と思われますが、学校では、心の健康づくりにどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 次に、思春期の保健対策についてお伺いいたします。
 10代の人工妊娠中絶数は減少傾向にあると伺っていますが、性に関する正しい知識を普及し、みずからの行動を管理できる能力を育成するとともに、命の大切さを指導すべきと思います。また、家庭、地域、学校保健関係者、専門機関等が連携し、児童生徒に対して、性教育、喫煙防止、薬物乱用防止教育を進めるべきと思いますが、どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 次に、農業振興について伺います。
 まず、ことしのえと、うし年にちなみ、畜産の現状と将来展望についてお伺いいたします。
 高騰していた原油価格、飼料価格も幾分落ちついた状況にありますが、それでも、依然として飼料価格は高水準にあり、これに販売価格の低迷も加わって、極めて厳しい状況にあります。そして、酪農家の廃業が増加しています。県内の酪農家は平成20年12月末現在で1、232戸、前年同月比で81戸の減少、ここ数年は年間60戸程度の減少が続いていますが、平成19年度から廃業する農家が目立ってきています。この増加の原因は明らかに経営環境の悪化にあります。3月から乳業メーカーは飲料向け生乳の買い取り価格を1キログラム当たり10円引き上げますが、それでもほとんどの酪農家は飼料の値上がり前に比べると収入が目減りした状況にあるといいます。この打開には、粗飼料生産基盤のある岩手ならではの自給飼料の確保など、酪農経営の収益性の向上につながる方策が必要と思いますが、その施策をお伺いいたします。
 また、本県の牛文化を全国に発信するMOWMOWプロジェクトは、生産者を初め関係機関の意欲的な取り組みに期待が持てます。岩手の黒毛和牛、短角牛はブランド品として消費者から高い評価を得ていますが、近年増加に転じた県内の飼養頭数は、価格の低迷により再び減少に向かうことが懸念されます。ブランド品を維持していくために欠かすことのできない条件として優秀な種雄牛が必要です。現在、県が実施している種雄牛の造成と精液の利用はどうなっているのでしょうか。それをどのように評価し、今後どういう方向に進めようとしているのか、伺います。
 青森県には第1花国というスーパー種雄牛がいます。平成19年では、家畜市場で取引される子牛価格は全国第1位です。1頭のすぐれた牛の出現で主産地を目指しています。
 次に、食料供給基地岩手の確立についてお伺いいたします。
 40年続いた米の生産調整、減反政策は制度疲労が進んで限界は明らかです。地球温暖化により稲作の適地も変わりつつあります。持続可能な生産基地として、東北が最も適地であると思います。そこで、食料供給基地岩手が目指す農業の姿と、その実現に向けた農業政策についてお示しください。
 次に、園芸振興についてお伺いいたします。
 野菜の消費量は、平成18年には1人当たり95キログラムと10年前に比べ10キログラム、9.5%も減っています。流通をめぐる環境も著しく変化し、卸売市場経由率は77%で、相対取引が増加し、競り、入札取引は低下しています。野菜、果実の小売店、いわゆる八百屋の数は、大型スーパー、量販店の進出などで激減しています。供給面では、国内産地が定量、定価を求める実需者のニーズにこたえ切れていないことが輸入野菜の増加と言われています。そこで、今こそ契約取引等の拡大で産地強化を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、地産地消の推進に大きな役割を果たしている産地直売所の評価と支援についてお伺いいたします。
 農業改良普及会が毎月発行している農業普及誌の表紙は、県内各地で頑張っている産直組合の皆様です。老若男女を問わず、笑顔の表情には大きな希望を感じます。安心・安全はもとより、新鮮でよりリーズナブルな価格で消費者に支持されています。地域にある資源を最大限に活用しながら、雇用を含め地域経済に大きく貢献している産地直売所をどのように評価しているのか、また、今後どのように支援していくのか、お伺いいたします。
 次に、観光振興についてお伺いいたします。
 産業振興を図る中で、ものづくり産業と観光産業は大きな柱です。岩手の豊富な自然、歴史、伝統文化など地域の大切な資源を活用し、観光産業を地域経済、発展につなげなければなりません。しかし、残念なことに、岩手の知名度はいま一歩のところです。逆に、知られていないことは、今後伸ばせる余地があると思いますが、そこで、観光立県を目指す本県の位置づけと新たな施策をお示しください。
 次に、自然豊かな八幡平の観光についてお伺いいたします。
 八幡平アスピーテラインは11月上旬から積雪のため閉鎖され、長い冬に入ります。スキー場も休止の状態で、ひっそりと春が来るのを待っています。春が来ない冬はないわけで、例年、アスピーテラインは4月下旬のゴールデンウイーク前に開通しておりましたが、ことしは開通予定日を早期に発表いたしました。例年より10日ほど早く開通すると伺っております。観光関係者は、春の観光シーズンに弾みがつくと大歓迎しています。ことしも積雪が多く、除雪隊の安全と奮闘を祈っているところです。しかし、秋田県側はさらに1週間早く開通する予定です。不可能を可能にした県土整備部のさらなる努力で同時開通ができれば、両県にとって観光PRが促進され、観光客の増加が期待されます。雪の回廊と桜が楽しめるアスピーテラインの実現に向けての所感をお聞かせください。また、アスピーテラインを含む八幡平周辺の観光資源を生かした観光振興について、県はどのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。
 次に、雇用と経済対策についてお伺いいたします。
 経済の急激な変化により、地方の雇用確保はまさに喫緊の課題です。基本的には輸出産業の需要拡大が進まなければ景気回復の道筋は見えてきません。この難局に対し、知事は、トップセールスで自動車関連、半導体関連企業を相次いで訪問し、雇用の確保に尽力されました。
 そこで、岩手経済の屋台骨であるものづくり産業の強化策、また、岩手から人材が流出しないためどのような手だてを講じているのか、お伺いいたします。
 世界的な景気後退の影響から、本県の雇用情勢も急激に悪化しており、全く明るい兆しが見えません。今の厳しい経済状況は長引くと予想もされることから、本県でも、短期的な雇用対策のみならず、中長期的な観点から安定雇用を実現できるよう、総合的な雇用対策にしっかり取り組むことが求められております。
 このような状況のもとで、県は、雇用対策の一環として、昨年12月に緊急雇用対策本部を立ち上げ、さらに本年1月5日には、雇用対策・労働室を設置したところであり、組織の改編から、知事を初めとした雇用対策にかける心意気を感じるところであります。また、この暗い世相を打開するためにも、大いに期待しているところであります。
 そこで、緊急雇用対策本部等におけるこれまでの議論を踏まえ、今後、明るい雇用環境をいつごろ実現できるのか、その見通しについてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁の内容によりましては再質問させていただくことを申し上げ、終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、いわて希望創造プランの実践についてでありますが、本県が極めて厳しい経済状況や雇用情勢にある中、平成21年度当初予算においては、特にこうした喫緊の課題に迅速かつ的確に対処するため、緊急的な就業の場の確保や安定的な雇用機会の創出に向けた取り組み、求職者に対する総合的な就業支援などを通じて、雇用の維持・創出に努めるとともに、ものづくり産業の基盤強化や農林水産業を初めとする地域の特性、資源を生かした産業の振興に取り組むことにより、地域経済の活性化を図ることとしたところであります。
 また、2度の地震被災からの復旧、復興に重点的に取り組むこととしたほか、医療、福祉、教育など県民生活に身近な分野にも十分配慮しながら、いわて希望創造プランを着実に推進していく考えであります。
 私は、平成21年度を経済危機に総力を結集して取り組む1年、いわて希望創造プランに基づき必要な施策を着実に実施する1年にしていかなければならないと考えており、県民の皆様の参画をいただきながら、この危機を希望に変えるため全力で取り組んでいく考えであります。
 次に、グローバル化への対応についてでありますが、本県を初め、地方が世界的な経済危機の影響を受け厳しい状況にあるのは、地方が主役となる内需拡大が行われなかったことによるものであると考えております。
 グローバル化の時代の内需拡大策は、私は、地域の価値を経済的に高め、直接世界と結びつくことで世界からお金を呼び込み、それが地域内で循環することにより、地域経済が活性化する状況をつくっていくことであると考えております。
 そのためには、本県に存在する平泉の自立と共生の理念や、高品質で安全・安心な農林水産物、地域に根差した伝統文化、豊かな自然環境など、全国はもとより広く世界に通じる多くの資源に光を当て、さらに磨きをかけ、国内外に発信していくことが重要であると考えています。
 こうした考え方は、岩手ソフトパワー戦略を初め、いわて希望創造プランに盛り込んでおり、プランの着実な推進を通じて、グローバル化の時代に対応した希望ある岩手の創造につなげていきたいと考えております。
 次に、県政運営における私の目線についてでありますが、私は、日ごろから、知事の仕事は知ることであり、岩手が今どうなっているのか、どこで、だれが困っているのか、そして、どうすれば解決できるのか、これを考え、実行していくことが、知事の務めであると考えております。
 本県が危機的な状況にある中、例えば、仕事を失うことになった方々、企業経営に苦労している方々、医師不足の中で適切な医療を受けることに不安を感じている患者の方々、そして、学費を払うことが困難になっている生徒の方々、こうした厳しい立場に置かれている県民の方々に、特に目を向けなければならないと考えております。
 こうした考えのもと、今後とも、さまざまな機会を通じて県民と触れ合い、ともに力を合わせながら、県民一人一人が希望に向かって進んでいくことができるよう、県民本位の県政を進めてまいりたいと思います。
 次に、県政運営に関しての所見についてでありますが、本県は、かつてない逆風にさらされております。この厳しい状況にある県民、そして岩手を守っていくため、平成21年度当初予算を逆風立ち向かい予算と名づけ、喫緊の課題である雇用の維持・創出や地域経済の活性化に迅速かつ的確に対応するとともに、将来にわたって県民一人一人が安心して暮らしていくために、今やるべきことにしっかりと取り組む必要があるとの考えのもと、厳しい財政状況にありますが、予算規模を前年度比で8年ぶりの増とする積極的な予算案としたものであります。
 私は、今、岩手がどうなっているのか、県民が何に困っているのかということをしっかりと把握し、どう対処すればそれが解決できるかを常に考えながら、さまざまな機会を通じて県民の皆さんと対話を行い、一緒に手を携えて、希望ある岩手づくりを進めていきたいと考えています。
 次に、県立病院の新しい経営計画についての住民の声に対する所見でありますが、新しい経営計画については、昨年11月の公表以来、地域説明会や地域診療センター等懇談会の開催などを通じ、住民の皆様に対し計画案を説明し、いただいた意見のうち反映できるものは可能な限り取り入れ、入院患者の受け入れ先や交通アクセスを確保すること、当面、病床を休止扱いすることなど、8項目について対応策を盛り込んだところであります。
 計画案に反対の意見が出されていることは承知しておりますが、今回の地域診療センター等の無床診療所化は、医師不足が危機的な状況にある中で、過酷な医師の業務負担を少しでも軽減し、離職防止につなげたいとの考えのもと、やむにやまれぬ判断であったことを御理解願いたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 新しい経営計画を4月から実施しなければならない理由についてでありますが、県立病院を取り巻く環境は、医師不足、患者数の減少、経営収支の悪化など、極めて厳しい状況にありますが、特に、医師不足については、常勤医が平成15年度末の535人から、平成21年度当初には449人と86人、16.1%減少する見込みであり、類型別に見ますと、センター病院や広域基幹病院では10.6%の減、その他の地域病院では29.4%の減、精神病院では46.7%の減、五つの地域診療センターでは55.6%の減と、地域病院や地域診療センターで大きく減少しております。
 これは、医師の派遣元である大学自体でも医師不足が深刻なことから、広域基幹病院への派遣すら厳しい状況にあり、地域病院への派遣については、殊のほか難しく、年々厳しさを増しているところでございます。
 平成19年度の県立病院や市町村立病院への当直を含む診療応援の状況は、釜石病院に約520件、千厩病院と沼宮内病院に約390件、一戸病院に約350件など、県立病院間で約5、700件となっており、市町村立病院に対しましては、沢内病院に170件、葛巻病院とまごころ病院に約140件、西根病院に約80件など、約800件の応援を行っているところであります。
 市町村立病院を含む小規模病院の医師不足はますます深刻になってきており、派遣元である中央病院や広域基幹病院の医師が減少することにより、診療応援を受けているこれらの小規模病院では診療や当直を維持できなくなり、県全体の医療提供体制に重大な支障が生ずる懸念があると考えております。
 次に、医師等の声の把握についてでありますが、県立病院の医師との意見交換の機会は、毎年開催される全病院長会議や医師の代表で構成される団体との協議会のほか、平成17年度から、本庁幹部職員が各病院に出向き、病院長を初め各診療科長等との意見交換を行い、各病院の実情や提言、要望などを伺っているところであります。
 そうした機会に出される提言、要望には、医療機器の整備や増員の要望が多く出され、県立病院全体を運営する上で調整が必要な場合もあり、残念ながら要望にこたえられないことも少なからずありますが、可能な限り対応しているところであります。
 今回の新しい経営計画についても、医師を含めた各職種の代表による検討委員会、全病院長会議などで十分議論を重ね、全病院長会議の了承を得て策定したものであります。
 次に、市町村の理解と連携についてでありますが、これまで県立病院においては、二次保健医療圏ごとに開催する県立病院運営協議会の開催などにより、医師の不足、患者数の減少、経営収支の悪化など、県立病院が置かれている現状と課題等について、行政関係者や医療関係者を初め、住民の方々への情報提供に努めてきたところであります。
 しかしながら、県立病院全体、二次保健医療圏全体の状況などの情報提供が不十分だったのではないかと考えており、今回の新しい経営計画で設置する市町村連絡協議会を足がかりとして、医師確保や介護、福祉との連携の推進など、地域医療の確保に向けて十分に連携していきたいと考えております。
 次に、県立病院の運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、県立病院は、これまで、本県の地域医療の確保に大きな役割を担ってきたところであります。現在の県立病院は、深刻な医師不足など、非常に厳しい環境のもとにあり、これまでと同様の機能や規模を維持できない状況となっており、県民に良質な医療を持続的に提供していくためには、各二次保健医療圏を基本として、県立病院相互の役割分担と連携を一層進め、限られた医療資源を有効に活用していかなければならないと考えております。
 さらに、運営の基本として、医療安全対策の推進や患者満足度の向上など、患者中心の安全・安心な医療の展開を目指した取り組みを進めるとともに、人材育成や働きやすい職場づくりなど、職員の資質と満足度の向上を図り、基本方針に掲げる患者本位、職員重視などを実現していきたいと考えております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、少子化対策の本県の取り組みの現状についてでありますが、いわて希望創造プランにおいては、子育て環境の整備を重要な政策の一つとして掲げ、合計特殊出生率1.39を平成22年度まで維持することをその目標としておりますが、平成19年は1.39を維持したものの、出生数の減少が続いております。
 本県におきましては、安全・安心な出産環境を充実するため、ITを活用した遠隔妊婦健診や産後メンタルヘルスケアを実施し、乳幼児、妊産婦への医療助成や特別保育、地域子育て拠点施設の整備により乳幼児の育児支援を行うとともに、学齢児の健全育成のため、放課後児童クラブの拡充などを行っているところであります。
 しかしながら、若い世代への支援や子育てに優しい職場環境づくりを促進するための企業、団体への支援、地域における子育て活動への支援は、十分ではないと考えております。
 次に、今後の取り組みについてでありますが、これまで実施した事業の充実を図るほか、財団法人岩手県長寿社会振興財団が管理している、いわて保健福祉基金33億円のうち10億円を活用し、いわて子ども希望基金(仮称)を本年10月を目途に創設することとしております。この基金は、従来の国、県、市町村の施策事業と一体となりながら、運用益を活用して、補完的かつ柔軟に取り組むことができる事業を新たに加えて、社会全体での子育て支援策を充実しようとするものであります。
 具体的には、未婚男女に結婚のきっかけとなる出会い、交流の場を提供することや、企業内に設置されている子育て支援推進員の研修、男性の育児休業取得者のいる企業への助成を行うとともに、親子が遊びを通して触れ合う交流イベントや子の食育に役立つ親子料理教室の開催など、地域の多様な子育て活動への支援を行うことなどを考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、酪農経営の収益性向上の方策についてでございますが、酪農経営の収益性の向上を図るためには、本県の強みである豊富な草資源を最大限に活用した自給飼料の増産と生産コストの低減が重要であると考えております。
 このため、県といたしましては、市町村や関係団体と連携し、自給飼料基盤の計画的な整備や公共牧場の機能強化、さらには、飼料用トウモロコシとライ麦との二毛作による単収向上等により自給飼料の増産を図るとともに、分娩間隔の短縮や事故率の低減など飼養管理技術の改善と、本県独自に開発した受精卵移植器を活用した和牛受精卵移植の普及促進等により生産性の向上を図り、本県酪農経営の収益性の向上に努めてまいります。
 次に、種雄牛の造成とその利用状況についてでございます。
 本県では、これまでに39頭の種雄牛が造成されてきたところでございますが、これらの種雄牛は、国が昨年7月に実施いたしました能力調査によりますと、脂肪交雑の評価で菊福秀が、枝肉重量では房平茂が、それぞれ第1位となるなど、本県種雄牛の能力の高さが証明されております。このようなことから、平成19年度の県有種雄牛の利用割合は、平成15年度から10ポイント増加し、現在では約30%となっているところでございます。
 しかしながら、近年、他県で優秀な種雄牛が造成されており、今後の産地間競争に勝ち残れる種雄牛の造成が課題となっておりますことから、今後におきましては、受精卵移植技術を最大限に活用して、種雄牛造成の効率化を図るとともに、農家段階での普及促進のための種雄牛の能力情報の迅速な提供や、農協や人工授精師との連携による繁殖雌牛の能力に合わせた県有種雄牛の利用促進、さらには、受胎率を高めるための飼養管理技術の指導などを通じて、県有種雄牛を活用した特色あるブランド牛産地を確立してまいります。
 次に、食料供給基地岩手の確立についてでございますが、本県は、食料の安定供給はもとより、地域の経済、社会を支える基幹産業として、また、県土保全など多面的な機能を発揮する産業としての役割が期待されております。
 こうした期待にこたえるため、意欲と能力のある担い手と小規模、兼業農家が共存する効率的な生産体制のもと、生産者が、将来に希望を持って農業経営にいそしみ、広大な農地と変化に富んだ気象条件を生かし、適地適作を基本とした安全・安心な農産物を供給する産地が形成され、県産農産物のブランドを確立し、消費者や実需者から高い評価を得ているといった農業の姿を目指しているところでございます。
 この実現に向けて、いわて希望創造プランに基づき、本県農業をリードする経営体の育成、生産性、市場性の高い産地づくり、さらには、消費者ニーズに対応した販路拡大などに重点的に取り組み、本県農業の体質強化と所得の向上を図り、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいります。
 次に、園芸振興についてでございますが、近年の食の外部化の進展により、加工・業務用野菜の需要が拡大するとともに、取引形態が卸売市場の競り取引から予約、相対取引や契約取引にシフトするなど、野菜の流通は大きく変化しております。
 このような中で本県の園芸振興を図るためには、こうした需要や流通形態の変化に適切に対応し、需要が拡大している加工・業務用野菜の生産拡大や契約取引の拡大を図っていくことが、喫緊の課題となっております。
 このため、県といたしましては、来年度から新たにマーケットイン産地モデル確立支援事業を実施し、加工・業務用向けの適性品種の選定や栽培の実証、省力化や加工ニーズにこたえるための機械設備のリース料に対する助成などにより、加工・業務用需要に積極的に対応した野菜のモデル産地を広域振興圏単位に育成するとともに、この成果を県内各地域に波及させ、市場ニーズに対応した園芸産地づくりを推進してまいります。
 次に、産地直売所についてでございますが、産地直売所は、県内に約250カ所設置され、その売り上げが100億円を突破するなど、地産地消の拠点として、生産者の所得確保や販売意欲の向上はもとより、消費者との交流や農林水産業への理解の促進といった役割を担うとともに、最近では、環境負荷の指標となるフードマイレージの短縮といった観点からも評価が高まってきているところでございます。
 県といたしましては、これまでも、ハード面では、国や県の助成事業を活用し、施設整備を支援するとともに、ソフト面では、民間の専門家による店舗づくりや商品開発などの指導を行ってきたところでございます。
 今後は、こうした支援に加えまして、来年度から新たに実施するいわて6次産業チャレンジ支援事業等も活用し、街なか産直等の新たな店舗展開や産直間のネットワーク化による観光産業等への食材供給システムづくりなどを支援し、地産地消の核となる産地直売所の機能強化を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、観光立県を目指す本県の位置づけと新たな施策についてでありますが、本県には、自然、歴史・伝統文化、海、山、川の幸など、豊富な観光資源がありますことから、そうした地域資源を本県経済の活性化につなげる上でも、観光産業を総合的な基幹産業と位置づけているところであります。
 このため、県では昨年、部局横断的組織として設置しました岩手県観光産業振興本部や、経済界や行政、関係機関によります、いわて世界遺産観光推進会議における議論も通じながら、観光産業の振興を一層強力に推進してまいりたいと考えております。
 また、今議会においては、議員発議により観光振興に係る条例が提案されることとなっており、県民が一丸となって、本県観光を総合産業としてつくり育てる観光立県の実現に向けた体制が整っていくものと考えております。
 新年度におきましては、グリーン・ツーリズムや産業観光など、農商工分野との連携強化によります新たな体験型ツアーの創出を図りますほか、本年、ユネスコ無形文化遺産への登録が見込まれております早池峰神楽と平泉、八幡平などを組み合わせた広域観光ルートの設定、いわて・平泉観光キャンペーンなどによります情報発信を強力に展開してまいります。
 次に、八幡平周辺の観光振興についてでありますが、八幡平地区と安比高原などの周辺地区も合わせました八幡平市全体では、毎年、年間300万人を超える観光客が訪れておりますが、その9割を日帰り客が占めており、通過型観光から滞在型観光への転換が必要であると考えております。
 このため、県としましては、地元と連携を図りながら、豊富な自然体験プログラムを組み込んだ教育旅行の誘致のほか、温泉資源を生かしました健康やいやしをテーマとしたさまざまなメニューによりまして、魅力ある観光エリアの形成を促してまいります。
 次に、ものづくり産業の強化策についてでありますが、これまで、自動車関連産業と半導体関連産業を柱としましたものづくり産業の集積を進めながら、県内企業の技術力向上や競争力強化に努めてきたところであり、本県ものづくり産業の基盤をさらに強化するためには、こうした取り組みを引き続き着実に進めていくことが重要と考えております。
 一方、県としましては、県内企業が現在の厳しい経済状況を乗り越えていけるよう、雇用維持対策を初め各般の施策を講じているところでありますが、こうした時期にこそ、技術力向上や人材育成など、次の飛躍のための準備を行っていくことも必要と考えております。
 こうした認識のもと、大学等と連携いたしました独創的な技術開発や、三次元設計技術者などの高度技術人材の育成に注力するとともに、研究開発部門の誘致に係ります優遇措置などを通じまして、これまでの加工、組み立て中心の生産機能に加えて、研究開発機能を有する地域としてのポテンシャルを高めていく考えであります。
 次に、人材の県内定着についてでありますが、昨年秋に、県内理工系大学生及び工業高等専門学校生に対しまして、就職意識に関するアンケート調査を実施しました結果、県内に残りたいが県内の企業情報が入手しにくいとの意見が多く寄せられたところであります。
 このような状況を踏まえて、学生向けの企業見学会やセミナーなど、県内企業の認知度向上のための取り組みを展開しているところであり、今後も、各地域のものづくりネットワークの活動とあわせ、企業PRを強力に行っていく考えであります。
 県としましては、今後、ものづくり産業強化のための施策を通じ、学生にとっても魅力のある企業を育成しながら、こうした企業の情報を積極的に提供することによって、すぐれた人材の県内定着につなげていきたいと考えております。
 次に、雇用対策の取り組みについてでありますが、県は、昨年12月10日、岩手県緊急雇用対策本部会議を立ち上げ、全庁的な取り組みとして、離職者の住宅対策や生活費などの生活支援や雇用の維持に向けた企業の資金支援などに取り組んできたところであります。
 こうした緊急的な取り組みに加え、ふるさと雇用再生特別基金の活用や産業振興施策の推進によりまして、中長期的な雇用の創出に取り組むこととしたところであります。
 特にも、雇用の確保と安定を図っていくためには、産業の振興が不可欠であり、先ほどお答えしましたものづくり産業の強化に加えまして、経済変動の影響を受けにくい介護福祉分野、環境分野、新エネルギー分野、農商工連携などによります第6次産業など、多様な産業を育成しながら、雇用創出に取り組んでいくこととしております。
 県としましては、こうした取り組みが実を結び、雇用環境が次第に改善していくことを期待しているところであります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) アスピーテラインについてでありますが、岩手県側の頂上までの道路は、その延長が10.6キロメートルあり、急峻な山腹斜面を走り、また、雪の壁は、多いときで11メートルにも達し、秋田県側と比べますと、延長が1.5倍、積雪量が2倍以上の状況となっております。除雪に当たりましては、これまで雪崩の発生もたびたびあり、例年、慎重に作業を進めてきたところであります。開通日は、その年の気象条件によっても左右されますが、4月中旬の桜の季節に開通させるよう、今後とも取り組んでまいります。
 開通予定日につきましては、昨年までは開通の1週間前ぐらいに公表しておりましたが、ことしは早目に公表することとし、2月上旬に、昨年より1日早い4月17日を開通予定日として発表したところでございます。春の観光シーズンに向けての宣伝や旅行会社への早期の情報提供によりまして、国内外からの誘客拡大へつながることを期待しております。今後とも、地元八幡平市や八幡平観光協会などとの連携を図りながら、開通予定日を早目に公表できるよう努めてまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 学校における心の健康づくりについてでありますが、本県においても児童生徒の心身の健康課題は多様化し、心の健康づくりは重要な課題であると認識しております。学校においては、学級担任や養護教諭が中心となり、健康観察等により実態把握や個別の相談活動による対応、精神科医による講演などを開催し、児童生徒、教員、保護者の心の健康に関する理解を深めているところであります。また、校内に設置しております教育相談委員会や学校保健委員会を通じて、学校、家庭、地域及び関係機関との連携の上、学校医やスクールカウンセラーなどの指導助言を得ながら、児童生徒の心の健康づくりに努めております。今後とも児童生徒の心の健康づくりに努めてまいります。
 次に、思春期の保健対策についてでありますが、学校では、生命尊重の教育の一環として性に関する教育を行っているところであり、正しい知識や自己管理能力を育成するとともに、命の大切さや性についての理解を一層深めるため、専門家である産婦人科医や助産師による講演会の実施など、児童生徒の発達段階を踏まえながら、学校と関係機関が連携して行われているところであります。また、御案内のあった各般の教育については、教職員と学校薬剤師、警察職員などと十分に連携し、互いの専門性を生かして、引き続き指導に当たってまいりたいと考えております。
〇4番(工藤勝博君) 御答弁、大変ありがとうございます。何点か再質問をさせていただきます。
 まず最初に、農業振興に関してですけれども、私は、農を制するのは種だと思っております。種苗があっての持続できる農業ということで、農業振興の土台をなすのはオリジナルな種苗開発と技術開発ではないかと思っておりますが、先ほど、種雄牛について、県の所有を使った畜産農家と、あとはまた岩手県には家畜改良事業団がありますけれども、その精液を使っている農家があります。その辺の家畜改良事業団との連携はどのようになっているのか、一つお伺いします。
 次に、グローカルポリシーを岩手でやるには、私は、1次産業が最も手っ取り早いのではないか、近道ではないかと思っていますけれども、そのためには、農、畜、林、漁業という研究センターがあるわけですけれども、生物工学研究センターともあわせて、その充実は欠かせないだろうと思いますし、まさに今、バイオテクノロジーがこの危機を救ってくれるものだと思っていますので、その辺のさらなる知事の思いというか、それらもお聞かせいただければありがたいと思います。
 次に、県病について何点か再度お伺いしたいと思います。
 県立病院の新しい経営計画は県民の声をなかなか反映させづらい、していないということが言われていますけれども、経営と医師確保のみの観点からの計画案、実施計画に見えます。医療を受ける立場の議論はなく、経営側の論理だけで事を進めようとしているのではないか。患者の視点も含めて議論を深める必要があると思いますが、このことをどのようにお考えか、お伺いします。
 次に、医療局職員は平成20年度で5、590名という大所帯です。大企業という形ですけれども、昭和25年の発足時から60年の歴史があり、その体制、制度はかなり疲労しているのではないかと見受けられますけれども、その辺はどのように受けとめているのでしょうか。
 また、あわせて、病院の設置者は知事であり、運営体は医療局、そして医療計画を立てるのは保健福祉部ということで、トライアングルと言えばいいんですけれども、その責任体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 先ほどの答弁の中にも、今般の経営計画の見直しの中に、当分の間、夜間、休日には看護師を配置するとありますけれども、県内の市町村が運営している有床診療所では医師の当直は行っていない。実は19床以下の診療所には医師の当直義務はなく、急変の少ない高齢入院患者中心の診療所では、オンコール体制で有床を維持できるのではないかという盛岡の医師会長さんからの提言もあります。このオンコール体制の提言があったわけですけれども、その辺の検討はなされたのでしょうか、お伺いします。
 また、診療所にはレントゲン技師、薬剤師、臨床検査技師などの常駐の必要がないにもかかわらず、県の地域診療センターには常駐体制をとっていると聞いておりますけれども、この辺も含めて、今計画にはどのように実施されるのか、お伺いします。
 最後に、また知事にお伺いしますけれども、いずれにしても、初めに無床化ありきという観点が否めませんけれども、このような県民の命に関する重要案件について、今、提言を申し上げた点も含めて、最初にあらゆる可能性を示した中で合意を図るべきではなかったのでしょうか。いま一度検討する余地があると思いますけれども、知事の御見解をお伺いして、質問を終わります。よろしくお願いします。
〇知事(達増拓也君) グローバル化への対応ということに関連して、第1次産業に関連する研究センターの活用とおっしゃいましたでしょうか、そうしたことについての御質問がございました。我が県の経済的なグローバル化への対応に関しましては、第1次産業の果たす役割が大変大きいと私も考えますので、研究機関がその中でどういう役割を果たしていくかについては、私自身もさらに勉強していきたいと思いますし、県としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 次に、県立病院の新しい経営計画についてですが、今回の計画は、病院長初め現場の医師の意見を踏まえて策定したものでございまして、医師確保、また、ことし4月以降の診療体制など、そうしたことを踏まえての案を昨年11月に御提案させていただいたところでございます。地元の皆様を初め多くの声をいただきながら、8項目についての対応策を盛り込んだ修正された経営計画ができたと思っておりますので、それを尊重しながら、岩手の地域医療を守ってまいりたいと思います。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 種雄牛の造成に関連いたしまして、家畜改良事業団との連携についてのお尋ねをいただきました。本県の種雄牛の関係で、先ほど、県有種雄牛が3割を占めていると申し上げましたが、実は、家畜改良事業団の占める割合というものも非常に高くて、現在、平成19年でございますけれども、約5割ほどの割合を占めているという現状にございます。そういった意味で、家畜改良事業団との連携も非常に重要ということでございます。
 現在の取り組みといたしましては、一つは、種雄牛に関する情報交換ということをまずしっかりやっていくということでございますし、それから、やはり種雄牛の造成の関係では、限られた遺伝資源の中での交配というのは限界がございますので、新しい遺伝資源を入れていくということが重要でございまして、このための素牛の導入といったようなことでも家畜改良事業団との連携を図っているところでございます。今後とも家畜改良事業団との連携を強化して、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇医療局長(田村均次君) 患者さんの立場といいますか、そういう方の声を反映していないんじゃないかというのが1点目だと思いますけれども、確かに、11月公表から少ない時間の中ということで、限られた時間だったわけですけれども、私どもとすれば、最大限そういった立場を考えまして8項目の追加項目を加えたということで、我々のできる範囲で最大限そういったものは取り入れたと考えております。
 それから、非常に大きな組織で、60年もたって制度疲労を起こしているのではないかというお話ですが、そういった御批判は我々としても率直に受けとめたいと思っておりますけれども、いずれ、ともすれば、現場との距離が遠くなるということがやっぱり一番大きな課題だと思っておりますので、そういった意味で、先ほども御答弁申し上げましたけれども、やっぱり現場に行って、現場のお医者さん、看護師さんの話を聞く機会というようなものをまめに持ちながら取り組んでいく。その中で、やっぱり課題があるものについては見直しをしていくというふうに考えております。
 それから、病院の開設者、そして保健福祉部は医療計画をつくる、私どもは病院事業管理者ということで、権限が確かにふくそうしている部分があるわけですけれども、病院の開設者というのは、まさしくそのとおりでオーナーでございますので、県立病院のオーナーは知事がオーナーになっていると受けとめておりますし、そのオーナーに経営を公営企業管理者としてゆだねられているというのが私の立場でございますし、それから、民間とか、あるいは、市町村立病院も含めた岩手県全体の医療体制のことは保健福祉部が所管しながら考えていくということで、一応そういうすみ分けになっておりますけれども、ただ、非常に錯綜する部分が多々あるものですから、その点については連携を非常に密にとりながら対応させていただいております。
 それから、民間の診療所ではオンコールというようなやり方があるというお話でございますけれども、市町村立病院とかはオンコールというやり方があるということでございますけれども、県立病院の今の有床診療所は救急告示も受けているということが一つございます。そういった意味で、医師がやはり当直する必要があるんじゃないかという考え方でやっておりますし、それから、労働基準法上のさまざまな制度上の整理というようなこともございますし、もう一点は、そこに住んでいる勤務医だけが当直対応しているわけじゃなくて、さまざまなところから来て当直対応しているというような実態もありますので、そういった点から、県立病院としてそういう体制はなかなかとりにくいのではないかというようなことで、そういう対応をしてきていないということでございます。
 それから、薬剤師さん等々の体制でございますけれども、これについては、それぞれの病院の業務状況に応じて体制を決めてやっておりますので、ものによっては、今お話があったようなオンコール、呼び出しで対応するとか、それについては病院のそれぞれの事情に応じて対応させていただいております。

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