平成21年1月臨時会 第9回岩手県議会臨時会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号について知事に質問いたします。
 今回の臨時議会と補正予算の提案は、アメリカ発の金融危機に端を発した急速な景気悪化に対応し、中小企業に対する融資枠を拡大し雇用を守るとともに、公共事業を前倒しし、仕事と雇用を確保しようとするものだと思います。
 議案第1号2008年度岩手県一般会計補正予算(第4号)の内容ですが、中小企業経営安定資金51億6、140万円余の増額、公共事業の前倒し発注が9億600万円余、債務負担行為による追加分が29億8、800万円余、減額を含めて総額では51億4、046万円余の補正となるものであります。私は今回の提案を評価するものでありますが、問題は、今日の経済危機と中小企業、雇用破壊の実態とその要因をどう把握し、認識しているか、対策が現状の深刻さにふさわしいものになっているかであります。
 そこで知事に質問いたします。
 第1に、アメリカ発の金融危機による景気悪化が岩手県経済にどのように影響を与えているのか。県内中小企業と雇用にどういう影響と打撃を与えているのか。
 第2に、日本経済の脆弱性、景気が墜落的に悪化をしていますが、私は、外需頼みの経済となり、内需が軽視されてきたこと、アメリカ型の金融立国論で外国からの投資・ヘッジファンド頼みで会社が短期的な利益追求に変質してきたこと、雇用を守るルールがなく、非正規雇用を拡大してきたこと等が今回の景気悪化と不況の新たな要因となっていると考えますが、知事の認識はどうでしょうか。
 第3に、自動車産業、半導体・電機産業は、県が産業振興の柱として強力に推進してきたものであります。ところが今、減産、受注減という実態はあるものの、派遣切りや期間工切りの雇用破壊の先頭に立っているのがこの産業であり、誘致企業であります。県内の実態をどう把握されているか、また、特別な対策を講じるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第4に、知事は12月県議会で、知事みずから企業を訪問し雇用確保を求めていくと答弁されていましたが、どう取り組まれてきたでしょうか。関東自動車などには行かれたのでしょうか。また、その反応、対応はどうだったでしょうか。
 第5に、県内中小企業対策としては、緊急の融資とともに仕事の確保も重要な課題であります。仕事の確保策はどのように検討されているのでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問させていただきます。
〇知事(達増拓也君) 御質問にお答えいたします。
 まず、金融危機の本県経済、県内中小企業と雇用への影響についてでありますが、現時点においては本県経済への影響を具体的に分析することは困難でありますが、県内の景況は、個人消費は、大型小売店販売額が3カ月連続、乗用車新車登録台数では2カ月連続して、いずれも前年水準を下回っております。建設投資は、公共工事請負金額が8カ月連続で、新設住宅着工戸数が5カ月ぶりにいずれも前年水準を下回っています。
 生産活動は、鉱工業生産指数、現指数が8カ月連続で前年水準を下回っており、本県経済は停滞し、厳しい状況にあると認識いたします。
 県内の中小企業においては、県の中小企業経営安定資金の融資実績が昨年11月以降急激に増加しておりまして、雇用面においては、本県の有効求人倍率が昨年10月以降0.5倍を割り込んで、県内の雇いどめも1月22日現在、91事業所4、115人となるなど、県内企業を取り巻く状況は深刻であると考えております。
 次に、景気悪化に対する認識等についてでありますが、日本経済が急速に悪化している要因は、これまで輸出などの外需に依存し、内需拡大型の経済構造へ転換させてこなかったことや、国の財政再建に軸足が置かれた財政政策により地方経済が疲弊していることなどによるものであり、日本の経済社会の構造的な問題によるものと考えています。
 次に、自動車関連産業等の雇用の実態についてでありますが、県内企業の派遣社員、期間社員などの雇いどめの状況については、1月22日現在で91事業所4、115人であり、このうち、自動車関連企業については28事業所1、560人、半導体関連企業については16事業所689人となっています。
 今後しばらくは厳しい状況が続くものと考えられ、県としても引き続き雇用の維持について要請活動を行ってまいりますが、このような時期こそ生産技術の高度化、次世代技術などの研究開発に力を注ぐことが肝要と考えられますので、企業のこうした活動への支援や研究開発部門の誘致を積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、企業への訪問とその反応等についてでありますが、12月以降、私自身四つの団体や企業を訪問しましたほか、県の幹部職員が精力的に関係団体や県内企業及び誘致企業の本社等を訪問し、雇用の維持・確保について要請しております。
 また、関東自動車工業株式会社には私が今月中に訪問し、雇用確保についてさらに理解を求めてまいる考えです。
 次に、中小企業の仕事の確保策についてでありますが、これまでも官公需における中小企業者の受注の拡大などに取り組んでおり、さらに今年度は、いわて希望ファンドを組成して中小企業者の革新的、個性的な活動を支援しております。
 今後、国の補正予算で成立が見込まれるふるさと雇用再生特別交付金や本年3月に組成するいわて農商工連携ファンドの活用により、地域特産品や地域資源を生かした農・商工連携の推進を通じて中小企業の新たな事業展開を積極的に支援していく考えであります。
〇38番(斉藤信君) 誠意のある回答をいただいたと思っております。
 今の答弁の中で、知事がこれから関東自動車にも要請に行くと、これは極めて私は重要だと思います。県内最大のリーディングカンパニー、自動車産業の中心であります。
 そして、全国的にも今、大量解雇の先頭に立っているのがトヨタグループでありますので、私はこの点について改めて知事にお聞きしたいのですが、実は関東自動車は、08年3月期で1、024億円の内部留保をため込んでいます。これは04年3月と比べますと、4年前が804億円でしたから、約200億円わずかこの4年間で内部留保をため込んだということになります。
 私は今、こういう減産―確かに厳しい状況にあるけれども、景気のいいときには期間工とか派遣を使って利益を上げた。景気が悪くなったら真っ先にこの派遣や期間工を切り捨てるというのでは、企業の社会的責任を果たしたことにはならないと思います。その点で、体力がない企業ではないので、今までため込んだ内部留保のわずか一部でも使えば、私は350人余の大量解雇を回避できるのではないか、そのように考えますが、知事としてこうした派遣切り、期間工切りの合理的理由について、ぜひ関東自動車に求めるように、これをお聞きしたいと思います。
 もう一つは、実は派遣切りの横行の中で今、大問題になっているのは、厚生労働省の調査でも、派遣切り5万7、300人のうち、契約期間中の雇いどめが2万9、451人、51%は契約期間中の、労働契約法に違反する違法な解雇です。
 岩手県のデータは出ていませんけれども、岩手県の場合でも派遣労働者の解雇が一番多いわけでありますが、半分以上は契約期間中だと思われます。私は、こういう大量解雇をやめさせるという対策が今、雇用を守る、景気を回復する上では最優先の課題ではないかと思いますが、このことについてお聞きして終わります。
〇知事(達増拓也君) まず、内部留保を活用した雇用の維持・確保策ということについてでありますが、関東自動車工業株式会社からは、可能な限り期間社員の雇用が継続できるよう手を尽くすと聞いているところであり、県としても、同社、また同社に限らず、市町村や関係機関と連携しながら、県内企業に対して従業員の雇用の維持・確保が図られるよう、あらゆる機会を通じて引き続き要請してまいります。
 なお、雇用の維持・確保の手法については、内部留保の活用を含め、それぞれの企業の独自の経営判断によるものと考えております。
 次に、雇いどめ、解雇をとめさせる対策についてでありますが、岩手労働局では、昨年の12月から企業を個別に訪問して、不適切な解雇、雇いどめを行わないよう監督指導を行っていると聞いています。
 県には国のような監督指導権限はありませんが、就業支援員等が企業を訪問する際に国のパンフレットを配布して違法な解雇等を行わないよう理解を求めており、今後とも岩手労働局と連携しながら積極的に啓発に取り組んでまいります。
〇議長(渡辺幸貫君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第4号)は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第9回県議会臨時会 平成21年1月23日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
   第3条
商工文教委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第7款
県土整備委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
   第2条
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後1時19分 休憩
出席議員(47名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時57分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 各委員長から、それぞれ委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   日程第3 議案第1号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第4号)(続)
〇議長(渡辺幸貫君) 日程第3、議案第1号平成20年度岩手県一般会計補正予算(第4号)の議事を継続いたします。
 本案に関し、委員長の報告を求めます。工藤総務委員長。
   〔総務委員長工藤大輔君登壇〕

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