平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(関根敏伸君) 民主・県民会議の関根敏伸でございます。会派を代表いたしまして、発議案第3号畜産・酪農経営の抜本的対策を求める意見書及び発議案第4号森林の多面的機能に着目した山村活性化、森林管理、環境保全等の対策を求める意見書について、一括して提案理由の説明をいたします。
 まず初めに、我が国の農山漁村は、これまで、良質で安心・安全な食料供給のほか、国土の保全や水源涵養などの公益的で多面的な機能を発揮してきております。また、地球温暖化問題などの環境対策においても、温室効果ガスの吸収量確保等の新たな観点も加わるなど、快適で健康な国民生活を送る上で、農山漁村の持つ役割はますます重要性を増しております。しかし、その一方で、農山漁村を取り巻く環境は厳しく、経済的な状況などから、当該地域を離れる人々が加速度的に増加しているほか、いわゆる限界集落化が進むなど、棄村・廃村が現実のものとなっております。こうした状況を放置すれば、農山漁村に期待される機能の発揮が危ぶまれる事態となり、食料供給や環境保全の面で我が国は大きな危機に直面しかねないことになります。二つの意見書は、これまで述べてきた認識をもとに、農山漁村の再生とその地域に住んで持続可能な生活と経済活動ができるようにとの思いから、諸施策を国に求めるものであります。
 発議案第3号は、畜産・酪農経営の抜本的対策を求める内容です。
 現下の配合飼料の価格の高騰は、安価な輸入飼料を前提とした現在の配合飼料価格安定制度の想定を超えたことから、畜産・酪農の経営は危機的な状況に陥っております。国も今年6月には、配合飼料価格安定制度の安定運営や加工原料乳補給金制度等の政府価格の期中引き上げなど対策を行っておりますが、現行制度では限界があり、抜本的な解決には至っておりません。これらの点を踏まえ、意見書では、畜産・酪農農家の実質負担軽減のため、飼料購入費の補てんなどの緊急対策の実施とともに、畜産・酪農対策を抜本的に見直し、飼料価格の高騰や畜産物価格の下落に対応し得る新たな所得補償制度の構築などを求めております。
 発議案第4号は、森林機能に着目した各種対策を求める意見書であります。
 ここでは、現在20%にとどまっております木材自給率について、10年後には50%と目標設定することと、それによる雇用拡大での活性化や地域材の優先使用や生産、加工、流通のそれぞれの体制を効率化して、地域内でより大きな経済的価値を生み出すための独自産業化への道筋を支援することを求めております。
 また、多面的機能発揮に欠かせない適切な森林管理を促進するため、一定の条件のもとでの森林管理・環境保全直接支払制度の創設や、さらには温室効果ガスの森林吸収量確保の観点から、国内排出量取引制度の活用の検討を促しております。さらには、国産材のトレーサビリティーシステムの導入による国産材のブランド化とともに、違法伐採による外材輸入の規制を求めたことは、山村の経済的支援とともに、海外の森林資源の保全と環境対策につながるグローバルな視点での対策の必要性を訴えたものであります。
 以上、提案理由の説明を行いましたが、岩手のような地方の農山漁村の果たす役割を正当に評価することは、ふるさとに誇りを持てる地域づくり、国づくりを進めていくためには、ぜひとも必要なものであると考えます。
 議員各位におかれましては、何とぞ御賛同をいただきますようお願いを申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、会議規則第34条第3項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第3号及び発議案第4号は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第3号及び発議案第4号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第3号及び発議案第4号は、原案のとおり可決されました。
   日程第37 発議案第5号漁業所得補償制度の創設等を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第37、発議案第5号漁業所得補償制度の創設等を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。伊藤勢至君。
   〔42番伊藤勢至君登壇〕

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