平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第23号、第27号に反対の討論を行います。
 議案第23号は、岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例であります。これは、県立高等学校新整備計画に基づき、県立高校の統廃合と再編を行うものであります。
 第1に、県立岩谷堂高校と県立岩谷堂農林高校を統合し、総合学科高校として新たな県立岩谷堂高校を設置するとしています。総合学科高校は、今、そのあり方が根本から問われています。ことし6月に実施された県立高校の教員2、172人の意識調査結果では、総合学科高校について、減らすべきと答えたのが34.6%で最も多く、見直しが求められています。教員の特別の加配もなく、今後、生徒減少と学級減が進めば、選択科目も十分設置することもできず、さらに矛盾が深まりかねません。この間、県内各地に総合学科高校が設置されてきましたが、結局は、普通科型か専門高校型か、どちらを目指すかどうかで混迷を深めているのが現状であります。これまでの取り組みを検証して、今後の総合学科のあり方を抜本的に見直すべきであります。
 第2に、県立釜石工業高校と県立釜石商業高校を統合して、新たに県立釜石商工高校を設置するとしています。学級減は当面ないものの、機械科と電子機械科をくくり募集するとしていることは、これまでの例からいって根拠がなく、生徒を混乱させるものであります。また、商業科として総合情報科が設置されていますが、商業科のイメージが全く出てこないことは極めて問題であります。
 第3に、県立東和高校の情報科学科、県立久慈工業高校の土木科と建築科、県立福岡工業高校の都市工学科が廃止されます。既に募集停止となり、3年生が卒業すれば、事実上なくなる学科であります。しかし、これらの学科は、地域の方々や担当の教員から存続を強く求められた学科でありました。また、長野県のように、募集停止の段階で県議会にその是非をかけるべきであります。
 第4に、奥州市に多部制の杜陵高校奥州校を設置する計画ですが、民間企業の多い北上地区に定時制がなくなることは、働きながら学びたい生徒の教育の機会を制約しかねないと危惧するものであります。
 第5に、県立こまくさ幼稚園が廃止されます。既に新規の募集が停止されています。県議会の商工文教委員会で繰り返し述べたとおり、県立こまくさ幼稚園は、岩手県の幼児教育をリードする重要な、そしてかけがえのない役割を果たしてきました。その教育内容と実践は、公立、私立問わず、幼児教育の目標となってきたのであります。昨年はこまくさ幼稚園のPTAである育友会が県教育委員会表彰を受け、ことしは文部科学省からも優良PTA文部科学大臣表彰を国公立幼稚園部門で受けました。こまくさ幼稚園の園内研究も、ことし1月には県教育委員会教育長表彰を受けています。こうしたすばらしい県立の幼稚園を財政的理由だけで廃止することは、教育の貧困を示すものであります。教育立県を掲げる達増県政の実態が問われるものであります。
 第6に、現在、第2次県立高等学校長期構想検討委員会が設置され、新たな県立高校の統廃合計画が検討されています。その中には、専門高校の割合を高める一方、普通科の割合を減らす、具体的には小規模な地域の高校を廃止するという極めて重大な内容が示されています。小規模校は教師が配置できず、教育的に問題があるとしていますが、現場の教師は、さきに紹介した意識調査でも、現在の高校を維持存続させるべきという答えが46.7%で最も多くなっています。実際、世界一の学力と言われるフィンランドでは、学校規模は中高一体で100人規模となっています。
 地域と結びつき、地域に支えられた高校を守り、充実させるべきであります。
 議案第27号は訴えの提起に関し議決を求めるものであります。これは、県営住宅の家賃滞納者に対して住宅の明け渡しを求める訴訟を行おうとするものであります。
 私が本会議の質疑で取り上げたように、対象となっている滞納者の中には、昨年失業し、ことし就職してからは7カ月分の家賃を支払い、残りも分割払いで支払う意思のある方も含まれています。こういう入居者まで訴訟を提起する理由は全くありません。また、収入が月10万円を大きく下回る入居者もおります。実際に家賃の支払いができない入居者には、生活保護の申請や生活を再建・確立する支援を部局横断で行うべきであります。
 県行政の最大の目的と役割は、県民の暮らし・生活を守ることであります。決して、サラ金業者のように滞納を取り立てることではありません。それどころか、県民の生活を守り、再建を支援してこそ、滞納の解決に結びつくものであります。盛岡市の消費生活センターが滞納者の多重債務の解決に当たり、市民の生活再建を支援するとともに、結果として、さまざまな滞納の解決にも結びついていることは全国から注目されている取り組みであります。岩手県もこの教訓から学び、生かすべきであります。
 県営住宅家賃の滞納の回収を民間業者に委託し、回収額の40%という成功報酬で進めようとしていることは、県行政のサラ金業者的変質であり、許されるものではありません。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第33号生活品の物価高騰に対する緊急対策を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、受理番号第33号生活品の物価高騰に対する緊急対策を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第28号教育予算の拡充、教職員定数の改善を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、受理番号第28号教育予算の拡充、教職員定数の改善を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第34号及び受理番号第43号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第34号及び受理番号第43号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第23号及び議案第27号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第23号及び議案第27号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第22号まで、議案第24号から議案第26号まで、議案第28号から議案第30号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第22号まで、議案第24号から議案第26号まで、議案第28号から議案第30号まで、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第32 委員会の閉会中の継続審査の件
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第32、委員会の閉会中の継続審査の件を議題といたします。
〔参照〕
各委員会の閉会中の継続審査事件
1 継続審査
  環境福祉委員会 請願陳情受理番号第39号
           「放射能を海に流さないこと」とする法律、放射能海洋放出規制法(仮称)の法律制定を求める請願
          請願陳情受理番号第42号
           岩手県を六ヶ所再処理工場の放射能汚染から守ることについての請願
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査の件につきましては、環境福祉委員長からお手元に配付いたしてあるとおり申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
   日程第33 発議案第1号教育予算の拡充、教職員定数の改善を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第33、発議案第1号教育予算の拡充、教職員定数の改善を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。亀卦川商工文教委員長。
   〔商工文教委員長亀卦川富夫君登壇〕

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