平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文でございます。
 このたび、先輩・同僚議員の御配慮により一般質問の機会を与えていただきました。通告しておりました順により質問いたしますので、明快な御答弁をお願いします。
 最初に、日本経済についての現状認識と岩手の対策についてお伺いします。
 いざなぎ景気を上回る長期の景気拡大は足踏み状態をたどり、むしろ最近の景気動向は厳しさを増し、内閣府が発表した4月―6月のGDP改定値では、物価変動の影響を除いた実質で前期1月―3月期から0.7%減、年率換算で3%の減となり、速報値の年率2.4%減から下方修正されました。平成14年2月から続いた今回の景気拡大は、庶民にとっては全く実感がなく、むしろ自公政権が市場万能、弱肉強食の政治を進めた結果、あらゆる分野で格差が拡大し、県民生活は一段と厳しさを増しています。所得の分配も株主や経営者、役員に比重が置かれ、勤労者は、国の雇用条件の緩和政策により、パートや派遣労働者等非正規職員の拡大により、所得の減少と、いわゆるワーキングプアが増大している状況にあります。
 また、石油製品の大幅な値上げとともに、生活物資の値上げラッシュにより国民生活に重大な影響が生じており、国の国民生活基礎調査でも、生活が苦しいと感じている世帯が57%に達するなど、6年連続で過去最多になったと報告しています。また、生産活動も内需の低迷により陰りが指摘されております。
 政府が率先して対策を講ずる重要な時期に、昨年の安倍総理に引き続き、総理就任1年足らずにして福田総理も政権を投げ出すなど、その無責任ぶりに憤りを禁じ得ないところであります。
 そして最近では、アメリカの大手証券会社の経営破たんに端を発した金融危機が全世界を駆けめぐり、東京証券市場で大幅安値を記録するなど、アジア、ヨーロッパの株式市場に衝撃を与えました。加えて、アメリカの大手保険会社がサブプライム住宅関連の損失拡大で資金繰りに窮し、連邦準備制度理事会から約9兆円の支援を受けざるを得なかった等、世界各国の金融市場に一層の不安を与えています。
 そこで知事に伺います。日本経済の腰折れや地域、業種などに格差が拡大していますが、その認識と原因はどこにあるとお考えでしょうか、お聞きいたします。
 また、岩手の知事として、今日的課題を解決するために県内対策としてどのような施策を講じようと考えているのでしょうか。
 次に、岩手県財政の現状と今後の対策についてお伺いします。
 岩手県の一般会計予算規模は、公債管理特別会計相当額を除いたベースで見ると、平成13年度当初予算の9、005億円余をピークに減額の一途をたどり、平成20年度当初予算では6、584億円まで減少しました。一方、県の借金に当たる県債残高は、一般会計の平成19年度末で1兆4、000億円に増加し、県民1人当たり101万円になったところであります。また、主要3基金は、ピーク時の平成8年の1、564億円が平成20年度末には約150億円まで減少します。
 そこで伺います。小泉政権の三位一体改革により、地方交付税の大幅減額等が地方財政の急激な悪化の原因となったところであり、国は地方に配慮した財政や施策を講ずるべきと思いますが、知事の御所見はいかがでしょうか。
 あわせて、知事は、県財政の現状をどのようにとらえ、財政規律を確保していくのでしょうか。
 基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスを早期に実現することは当然ですが、あすの岩手を担う世代に対して、この借金を可能な限り削減しつつ、地域課題や県民要望にどうこたえるのか、今後の見通しや考え方をお聞かせ願います。
 また、政府の地方分権改革推進委員会において、国の出先機関の事務や権限の見直しに対する各省庁からの回答は、そのほとんどが現状維持で、地方分権の推進に対し消極的な姿勢となっています。このことは、幾ら政府が地方分権の必要性を述べても、官僚の壁は厚く、制度の変革にはほど遠く感じられることから、全国知事会と連携し、地方分権の一層の推進を図るべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 岩手・宮城内陸地震及び岩手県沿岸北部を震源とする地震の復興対策等については、県を初め関係市町村、団体及び地元関係者、ボランティア等の協力・支援によっていち早く取り組まれたことに改めて感謝と敬意を申し上げますとともに、被災された方々に改めて心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、本県では、今後、極めて高い確率で発生することが想定される宮城県沖地震に備えて各種対策が進められています。地震の被害を最小限に食いとめるための住宅の耐震診断や耐震改修工事、住民の避難場所となる学校等の耐震化、負傷者の収容・診療機能を持つ病院等の耐震化のほか、人命救助や災害復旧活動を対象とした他県との連携や医療チームの早期派遣体制の充実と不断の訓練が求められていると思います。また、地域では、住民が自主的に避難するための避難路、避難場所の確保、あるいは地域住民による自主的な防災活動などを行う自主防衛組織の確立が急務となっています。
 私たち民主・県民会議会派では、より一層の災害に強い県土づくりや宮城県沖地震への具体の対応に向けた検討のため、会派内に研究チームを立ち上げ、調査研究を継続的に実施しております。
 自助・共助に重点を置き、具体的な県民の行動規範的な条例を策定した高知県や、県内で唯一の総合防災学部を持つ静岡の富士常葉大学での調査研究を初め、実際の災害において大きな役割を果たしている自衛隊の方々との懇談などを行いながら、今後、具体の政策提言に結びつけていきたいと考えているところであります。
 そこで伺いますが、二つの地震を経験され、課題をどう認識し、どう取り組んでいるのか伺います。
 県内の住宅の耐震診断、耐震改修の現状はどうなっているのでしょうか。また、耐震改修促進に向けて今年度より県の新たな制度が創設されましたが、その活用状況はいかがでしょうか。また、課題はないのでしょうか、伺います。
 自主防災組織の確立は市町村が主体的に取り組むものと思いますが、県としての指導体制はどうでしょうか。
 次に、岩手の産業振興と雇用対策についてお聞きします。
 知事は、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守ることを最重点としたいわて希望創造プランを策定し、県政を進められています。特にも、6本の柱の中に地域に根ざし世界に挑む産業の育成を掲げ、ものづくり産業の集積促進、食産業の展開などに取り組むとしております。幸い、関東自動車岩手工場の年間30万台体制、さらに宮城県に立地決定したセントラル自動車の年間12万台体制の稼働予定があり、それを支える部品メーカーの立地の動きも活発になっています。また、北上市では東芝の本体工場が立地決定するなど、県民にとって大きな期待と経済効果が見込まれているところであります。
 そこで伺います。県は、自動車産業新戦略実現のため岩手県自動車関連産業振興本部を設置しましたが、そのねらいと今後の具体的取り組みをお聞きします。あわせて、最近の県内への企業の立地状況はいかがでしょうか。
 今後、自動車部品の県内調達率の向上対策が求められますが、どのように進めるのか、その戦略をお聞きします。
 また、現在、自動車部品の受け入れは盛岡貨物ターミナル駅で行っていますが、将来、関東自動車岩手工場の近隣に設置する動きはないのでしょうか。
 一方、現実の雇用状況は依然として厳しく、岩手県内有効求人倍率は、8月には0.56%まで低下しています。また、高校新卒に対する県内企業の求人倍率は0.64倍で、前年比0.03ポイント上回っているものの、この状況が続けば、県が掲げる岩手のものづくり産業を支える人づくりを進めるため育てられた技術者が県外に流出しかねません。雇用状況が依然として厳しい中で、今後、県内企業への就職希望者の雇用拡大への働きかけはどのように進めていくのでしょうか。
 最近の東北地方の各種経済指標は、原油の高騰等を含めた生産コストの大幅な上昇や消費の減速により景況の悪化が鮮明になっています。加えて、世界的な金融危機による影響が東北・岩手にも及ぶ懸念があり、企業の資金繰りが悪化し、企業倒産にもつながるおそれがあります。
 そこで伺いますが、今回のアメリカの金融危機が遠因となって、国内金融機関でも金融面での引き締めが懸念されていますが、岩手県として中小企業の運転資金等の金融円滑化対策に怠りはないのでしょうか。
 次に、最低賃金についてですが、平成20年度の地域別最低賃金の改正は、中央最低賃金審議会が提示した平成20年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を参考にし、各地方最低賃金審議会において審議され、各都道府県労働局長に答申されたところであります。その答申によれば、全国加重平均は前年度を2円上回る16円の引き上げとなり、前年度に引き続き大幅引き上げとなったところであります。本県では、9円の引き上げ額で時給628円と答申されました。
 今年度は、本年7月に施行された最低賃金法の改正に伴い、最低賃金が生活保護水準より低い逆転現象が起きている都道府県がこの逆転を解消する方向で例年以上に引き上げたことが背景にあったとしております。
 県は、この最低賃金をどう評価されていますか。8時間勤務として1日当たりわずか5、024円であり、決して高い水準ではないと思いますが、知事の御所見を伺います。
 次に、農林業の振興対策について伺います。
 日本の食料自給率は、昭和40年当時73%であったものが、現在40%まで落ち込んでいます。
 一方、近年は、国際的にも発展途上国の穀物への需要拡大と地球温暖化に起因した干ばつや、化石燃料からバイオ燃料へのシフトによる作物転換等によって穀物の需給バランスが崩れています。しかも、国際的に穀物の在庫量が激減し、従来の輸出国が輸入国に転じるなど大きく変貌しています。さらには、国際的投機マネーが原油や穀物を投機の対象として高騰に拍車をかけています。
 日本は、経済のグローバル化と称し、工業製品の海外輸出の見返りに農業生産物を海外に求める政策を続けてきました。しかし、今は金があっても輸入が困難な時代となり、また、安全・安心な食料品を海外に求めることは大きなリスクを伴い、見直しが強く求められている状況であります。中国産ギョーザ問題を初め、ミニマムアクセス米として政府が輸入した中国、ベトナム、アメリカ産の残留農薬基準を超過した米、いわゆる汚染米が三笠フーズ等の横流しにより、本来の使用目的に反して、学校、病院など食用や酒用として故意に転売され、関係機関・団体を初め消費者に多大な迷惑をかけるとともに、食に対する信頼を傷つけました。しかも、この間、農林水産省職員が100回を超える現場検査を実施したにもかかわらず、事前に摘発できなかったことはまことに重大であるほか、担当課長が業者から接待を受けるなど、言語道断と言わざるを得ません。そして、あげくの果ては太田農林水産大臣が辞任に追い込まれる事態にまでなったところであります。
 県内でも、カビが付着した事故米が不正転売によって学校給食等にも使用されていたなど、あってはならない事態となっております。また、さらに有害物質メラミンが混入した食材が輸入され、岩手県内にも大手食品メーカーが製造した菓子類が出回ったとの事実があり、まさに食の安全・安心が危機に立っていると言っても過言ではないと思います。
 さて、本県は、日本有数の食料供給基地を標榜し、いわて希望創造プラン政策の6本の柱の一つとして、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を掲げています。しかしながら、岩手農業の中心をなす水稲経営は規模が小さく、その上、米の過剰供給による価格の低迷により厳しい経営環境にあります。
 9月9日、東北農政局が07年米の販売農家の収入や生産コストの調査の結果を発表しました。
 それによると、東北6県の販売農家の手取り収入を示す所得は10アール当たり2万8、727円で、前年度3万2、549円に比べ11.7%の減少となり、過去10年間で最も少ない所得となっています。特にも、岩手県は米価の下落に比べて苗の購入費など生産費の減少幅が小さく、所得が前年の2万1、385円から27.9%も減少しており、県経済に与えた影響は大きかったと思います。
 そこで伺いますが、まず、食料の生産装置の最も基礎となる水田の機能を最大限に発揮するための農地の基盤整備が重要であり、水田においては水稲以外の作物を作付できる汎用化も求められます。県としての水田の整備目標と、その進捗状況及び今後の推進方法について伺います。
 また、県は、水稲農家の実質所得の向上策として生産コスト2割ダウン戦略を掲げていますが、生産資材が高騰している中で、その実現のためどのように取り組まれていくのかお伺いします。
 次に、農業者戸別所得補償制度についてですが、従来実施されています品目横断的経営安定対策は、個別農家及び集落営農組織を経営面積の規模によって選別するなど、農村の実態を考慮しない制度でありました。このため、農業者等からの不満や指摘によって、一部制度の見直し後、名称を水田経営所得安定対策に変えて進められています。その中心となるものは、当年度の販売収入が標準的収入を下回った場合に減収額の90%を補てんする、いわゆるナラシ対策でありますが、この制度でも毎年米価が下がる状況での減収補てんは先細りとなり、農家所得の確保は一段と厳しい状況にあります。また、生産調整による水稲作付以外の水田に係る土地改良区賦課金等の負担を含めると、生産費の確保にはほど遠いものと指摘せざるを得ません。このようなことから、対象作物を米、麦、大豆などを含め、販売農家に販売額と生産費の差額を直接支払いする農業者戸別所得補償制度の実現によって自給率の抜本的向上を図るべきと思いますが、その認識について伺います。
 県と農業団体は一体となって、いわて純情米生産販売戦略により、岩手を代表するひとめぼれやあきたこまちの銘柄を中心に販売戦略を進めていますが、現状の生産者価格の低迷についてどう認識され、どのように対応していくのでしょうか、伺います。
 全農岩手県本部は、平成20年産ひとめぼれの米の集荷段階での農家に支払いする額を、ひとめぼれA地区産検査等級1級60キロ当たり1万2、300円とし、昨年比1、300円高に決定したと発表しました。昨今の生産資材の高騰を考えると当然と考えますが、一方で、米の需給関係から考察すると思い切った決断だと思いますが、その背景と今後の米価の見通しはいかがでしょうか、伺います。
 県南ひとめぼれが食味ランキングで特Aの評価を受けていますが、この4月、日本穀物検定協会を訪問した際の説明では、同じ全国特A17産地の中での評価は決して高い評価とは言えず、引き続き品質向上に向けた研究を期待したいとの見解を伺ったところでありますが、県はこの指摘をどうとらえられておりますか。そして、ひとめぼれにかわる新たな品種開発が求められますが、その取り組みを伺います。
 エタノール燃料用等水稲品種の開発について伺います。
 化石燃料からバイオエネルギーへの流れは世界的に大きく加速しています。特に、アメリカとブラジルは世界の主導権を目指して競っております。日本でも、化石燃料にかわる自然エネルギーの開発に取り組み、風力・太陽エネルギー等の活用に取り組んでいます。また、秋田県では第2世代バイオエタノール開発として、稲わらからのエタノール開発に取り組み、実用化を目指しています。岩手県として、エタノール用や飼料向け多収穫米の品質開発、実験圃場での栽培などの取り組みは進んでいるのでしょうか、お伺いします。
 次に、このたびの事故米と中国からのメラミン混入食品の問題についてであります。
 この問題は、さまざまな業者が介在し、行政のかかわりも各部局にまたがることと思われますが、このことは生活の基本である食生活の危機管理の問題であります。組織の縦割りを超えて一体的に対応すべきものと考えます。
 そこで伺いますが、食の安全・安心の危機管理に対する連携体制はどのようになっているのでしょうか。これまで県が把握しているこれらの食品の流通状況と、これに対する県としての対応など、あわせて伺います。
 次に、岩手の森林づくり県民税事業についてお尋ねいたします。
 森林には、水源の涵養や県土の保全、温暖化防止等のさまざまな公益的機能があり、すべての県民が森林からさまざまな恩恵を受けています。森林環境を維持、保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため、森林からの恩恵の受益者である県民全体の負担により、平成18年度からいわての森林づくり県民税が導入されたところであります。この事業内容として、公益的機能の高い森林に誘導するため、所有者にかわり県による森林整備の実施や、地域住民、NPO等が主体的に取り組む森林づくりの活動への支援の実施があります。
 そこで伺いますが、事業が3年目を迎えた本年度、これまでの事業成果や県民意見を踏まえて事業の拡充を図ったと伺っていますが、その内容をお聞きいたします。また、県民からの貴重な税の負担を求めていますが、県民からの評価をどのようにとらえているのでしょうか。
 次に、食生活と生活習慣病対策についてお尋ねいたします。
 日本の平均寿命が毎年延びる中で、沖縄県の平均寿命はひときわ群を抜いています。1995年に沖縄県は、戦後50年目を記念して世界長寿地域宣言を行いました。厚生労働省が5年ごとに発表してきた都道府県別の平均寿命を見ると、沖縄県は1980年以降女性は全国トップを維持し、男性は80年、85年とトップだったものの、90年には全国第4位に順位を下げています。それでも全国的に見れば高い水準を維持し、100歳以上の長寿者が多いことで知られています。
 そんなことから日本じゅうに長寿の国というイメージが定着し、世界長寿地域宣言に結びついたものと思います。
 ところが、宣言した5年後の2000年になりますと、男性の平均寿命は何と全国26位まで順位を下げ、しかも年齢階層別死亡率は35歳から44歳までの死亡率が最も高く、50歳以下の死亡率は全国平均を上回っています。つまり、100歳以上の高齢者は多いものの、働き盛りとされる人々が沖縄ではむしろ短命傾向にあると言われています。
 なぜこのようなことになったのか、沖縄の病院関係者の見解を紹介します。沖縄は太平洋戦争の最後の地上戦の舞台となり、終戦後、沖縄本土は東アジアの最重要米軍基地として収容され、日本に主権が復帰した今も何ら変わっておりません。米軍の長期駐留により経済的恩恵があったものの、米軍の食文化、食材の進入によって沖縄古来の食文化が大きく変貌し、脂質や糖質の摂取過剰により肥満になった者が増大し、その肥満に起因した高脂血症、糖尿病、高血圧症患者が増発し、深刻な状況にあると述べています。
 しかし、このような状況は沖縄県にとどまらず、今や全国的問題になろうとしています。三大栄養素と呼ばれるたんぱく質、脂質、糖質の摂取比率に占める脂質の割合は年齢帯でおおよその限界値が示されていますが、全国的にその摂取量が増加傾向にあります。生活の利便性、簡易性や洋風化の進行によって冷凍食品やファストフードなど脂質や糖質の高い商品を買い求めた結果、日本古来の食文化が敬遠され、運動不足と欠食、偏食と相まってメタボリックシンドローム等の生活習慣病の対象者及びその予備群が増加し、国、県の保健福祉対策の重点テーマになっています。
 今、沖縄を例にして食習慣と肥満等について述べましたが、日本における食生活、食習慣の実態と生活習慣病の因果関係をどのようにとらえているのか。県は、この肥満や生活習慣病対策を重点施策として位置づけていますが、県は具体的にどのように取り組まれるのかお伺いします。
 次に、全国学力調査結果に対する評価についてお伺いします。
 文部科学省が実施した春の全国学力調査の結果が発表されました。昨年と比べ、全国的に正答率が下がる一方で、昨年と同様、秋田県と福井県が好成績で、少人数学級でのきめ細かい指導や自宅学習等の習慣づけが結果につながったと報じられています。
 一方、本県の中学3年生の数学での平均正答率は、全国47都道府県で知識問題が45番目、応用力問題が44番目と、最下位クラスに低迷したと報道されております。また、調査した児童生徒の生活習慣、学習に対する意欲などについては、テレビやDVDを長時間にわたり視聴する児童生徒の割合が前年度の調査からさらに増加傾向にあります。
 そこで伺いますが、全国学力調査結果をどのように分析されているのか。特にも秋田県との違いはどこに原因があると考えているのか。秋田県に学ぶところがあるとすればそれは何か。30人学級の取り組みを強化する考えはないのか。生活習慣や学習意欲を高めるための具体的取り組みをどのように進めるつもりでしょうか。
 特に気になるものとしては、朝食をきちんととっているかどうかによって学力への影響もあったと聞き及んでおり、朝食と学力の結果との相関関係があると思います。この解決には、単に教師と児童生徒との関係のみでは解決されるものではなく、親御さんの理解と協力がなければなし得ないものであります。教育委員会としてどのような取り組みをするお考えでしょうか。
 次に、児童生徒の体力・運動能力についてですが、最近の車社会の進展により、大人も子供も歩く機会が減少しています。このことから、地方の者は都市住民より体力が劣っているとさえ指摘されております。
 平成19年度に実施した体力・運動能力調査の結果によると、小学校及び中学校の男女とも、筋力系の運動能力が全国平均よりやや上回っているものの、瞬発力系の運動能力に係る部分は、逆に全国平均を下回っているとのことですが、これをどのようにとらえて今後の学校指導に取り組まれるのでしょうか。
 また、平成19年度主要施策の成果に関する説明書中、児童の体力向上についての評価でも、肥満傾向児の割合の抑制を目標にしているにもかかわらず、結果は増加傾向にあり、抜本的対策が求められております。今後の取り組みを伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、日本経済についての現状認識と岩手の対策についてでありますが、我が国の経済情勢を見ますと、緩やかながら息の長い景気拡大を続けてきたということなんですが、その実態は、都市と地方の所得や雇用の格差を拡大させたものであり、また、昨年来の原油価格の高騰に伴い、企業収益や国民生活が圧迫されるとともに、アメリカ大手証券会社の経営破綻に伴う金融不安の高まりなど、景気はこのところ弱含んでいると認識しております。
 本県においては、景気回復の実感のない中、主要な経済指標が総じて前年を下回って推移しており、また、行政面では、税収低迷と地方交付税の大幅削減により、財源不足が深刻化するなど、これまで以上に厳しい状況となっています。
 こうした要因は、バブル崩壊後の長期不況とグローバル化の急速な進展の中で、規制緩和を含む市場原理を拡大し行政サービスを縮小する一方、医療・福祉など生活に関する分野において自己負担を拡大させてきたことや、国の財政再建に軸足が置かれた地方財政対策が講じられてきたこと等によるものと考えられます。
 私は、これまでも内需の拡大こそが真の構造改革であるということを主張してまいりましたが、政府には、地方に活気をもたらすような経済対策を早期に実施することを期待するものでありますし、県においては、まず、喫緊の課題である原油等の価格高騰や地震被害の復旧・復興のための対策を着実に進めるとともに、危機を希望へ変えるために策定したいわて希望創造プランを推進していくことが、今日の厳しい状況の改善につながっていくとの考えのもと、国の経済対策の動向も踏まえながら、県民の仕事や暮らしの向上につながる施策の推進に全力を傾けてまいりたいと思います。
 次に、地方財政への国の責務についてでありますが、現在の地方財政の窮乏は、近年の地方交付税の大幅な削減が大きな要因となっていることは事実であり、現在求められていることは、地方経済に活力が戻り、地方が元気になり、国民経済全体が成長していく方向に国としての経済運営を切りかえていくことであると考えます。
 同時に、各地域がそれぞれの強みや魅力を最大限に生かして地域経営を行うことができるよう、権限や財源を大幅に地方に移譲する地方分権改革が必要であると考えます。
 そのような意味では、国は、財政面においても、経済政策面においても、地方を重視することを基本とした政策展開を行うべきであると考えております。
 次に、県財政の現状及び財政規律の確保についてでありますが、本県では、県債の償還が財政を圧迫していることに加え、近年の交付税の大幅削減などにより、危機的とも言える極めて厳しい財政状況となっています。
 このような中、将来に向けて安定的に持続できる財政運営を行っていく視点から、地方財政健全化法に基づき、財政指標等を適切に管理していくとともに、プライマリーバランスに留意し、県債残高の規模を現状以上に増加させないようにしていくことを基本的な方針として、規律ある財政運営を行ってまいりたいと思います。
 次に、地方分権の推進についてでありますが、地域に密着した事務については、地域の実情に精通している地方自治体に国の権限を移したほうが、住民や事業者に対する行政サービスがより効果的・効率的に行われることから、国の出先機関の見直しは地方分権を推進する上で必要であり、本年6月に閣議決定された経済財政改革の基本方針2008においても、年度内に計画策定を行うとの政府の方針が示されております。
 しかしながら、地方への移譲について、各省庁の見解は極めて消極的であるとともに、財源や人員等の措置が明確に示されていないことは遺憾であり、改革の先行きに憂慮の念を抱かざるを得ません。
 こうした各省庁の抵抗を抑えて、地方の立場に立った分権を推進していくためには、何よりも、政治がリーダーシップを発揮し、分権改革に強力に取り組むことが必要と考えます。
 また、地方としても一丸となって取り組んでいくことが重要であり、本県としては、これまで、全国知事会と連携して、国等への提言・要請などに取り組んでまいりましたが、今後においても、全国知事会議などのさまざまな機会をとらえて、この問題はもとより、地方が自立的な行財政運営を行う上で必要な税財源の移譲を強く求めるなど、分権改革が一層推進するよう積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、最低賃金の引き上げに対する評価についてでありますが、地域別の最低賃金は、最低賃金法に基づき、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮しながら、地域における労働者の生計費及び賃金を考慮して定めなければならないとされています。
 同時に、経営者の賃金支払い能力についても考慮することとされており、地域の労働者、経営者のそれぞれの実態を十分に勘案した上で決定されなければならないものと理解しております。
 本県における地域別の最低賃金につきましては、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会において、十分な御審議を経て答申されたものと伺っており、その結果については、尊重すべきものと考えております。
 今回答申された本県の最低賃金は、全国的にはいまだ低位の水準であり、今後とも、産業振興に向けた取り組みを強化し、県民所得の向上を図り、最低賃金の引き上げにつながるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、農業者戸別所得補償制度についてでありますが、私は、国際的な食料の需給事情が不透明な中で、本県が、安全で安心な食料を安定的に供給し、日本の食を守る食料供給基地としての役割を果たしていくためには、農業者が、将来に希望を持って経営に取り組むことのできる環境の整備が重要であると考えております。
 こうした中で、民主党が掲げる農業者戸別所得補償制度は、米、麦、大豆などを生産する販売農家を対象に、再生産可能な所得を補償するものと承知しており、昨今の生産資材価格の高騰等、厳しい経営環境のもとでも、農業経営の持続的な発展が期待されるとともに、生産目標の着実な達成により、我が国の食料自給率の向上に寄与するものと考えております。
 このようなことから、今後、国においてさらに十分な議論が尽くされ、国民の理解のもとに、主業型農家はもとより、小規模・兼業農家も希望を持って農業に取り組むことができるよう、新たな制度として実現することを期待しております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 県財政の再建と地域課題等への対応についてでございますが、現在の国や地方の財政状況を考えますと、本県の県債残高を急速に縮小していくことは、現実的には難しいと考えておりますが、現在の水準程度の範囲内に県債残高をとどめつつ、中長期的には残高の減少が実現できるよう、プライマリーバランスを重視しながら、今後の財政運営を進めていきたいと考えているところでございます。
 一方で、県債残高を適切に抑制していくことと同時に、県債の活用により、世代間の負担の公平性に配慮しながら、各年度で必要となる事業を、地域課題や県民要望に的確にこたえながら実施していくことが、地域活性化を図る上からは大変重要となってくるものと認識しておりますので、その両者のバランスをとりつつ、事業の効果や効率性などの観点から、一層の創意工夫を凝らしながら、健全で、かつ積極的な財政運営を行ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、防災対策についてでありますが、今回の地震対応につきましては、全体としては、おおむね比較的迅速に対応が図られたものと感じておりますが、一方で、今後の災害対応に向けて検討を要する課題も明らかになったところでございまして、現在、おのおの検証や改善を図ってきているところであります。
 具体的には、職員参集のルールについては、連絡を待たずに自主参集することや、勤務公所への参集を優先するといった方式で、9月1日の職員参集訓練から実施したところであります。
 また、宮城県沖地震を初め、より大規模かつ広範な被害が生じた場合にも、県災害対策本部の機能が十分に発揮されるよう、本部支援室の班編成の再構築や各班ごとの担当者やその役割の明確化など、より迅速かつ円滑に機能するよう支援室体制を強化したところであります。
 また、DMATにつきましては、その役割や機能及び救助・救急搬送機関との連携などにつきまして、県の地域防災計画を先日修正いたしまして、計画上の位置づけを明確にしたところであります。
 また、孤立地域が発生した場合の各市町村の対策につきまして調査をするための関係事務を、現在進めているところでございます。
 今後、こうした課題につきましてさらに検証を進めますとともに、これらの課題の改善を図りながら、より実践的な訓練の実施などを通じまして、地域全体の対応力の向上を図ってまいりたいと存じます。
 次に、自主防災組織の組織率向上につきましては、各市町村におきまして、地域防災計画の重点項目として位置づけるなどして取り組んでいただいているところでありまして、平成20年4月現在の組織率は65.8%となり、前年に比較して0.7ポイント増加しております。
 県としては、組織率向上に向けて、自主防災組織育成マニュアルの活用やフォーラムの開催などを通じて、市町村等と連携して組織化の促進を進めてきたところであります。
 また、県では、組織率の向上とあわせまして、その機能が十二分に発揮できるよう、組織の活動の充実強化を図ることが重要と考えておりまして、町内会や自主防災組織を対象に、防災に関する講演やワークショップを行うほか、リーダー育成研修会の開催などを行っており、今後も、市町村や関係機関の防災担当者を対象とした講習会を開催するなどして、自主防災組織の活動の活性化を支援してまいりたいと存じます。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 県内住宅の耐震診断の現状等についてですが、県では、耐震診断につきましては平成17年度から、耐震改修については平成20年度から、費用の一部を助成する形で取り組んできたところです。
 現状でございますが、県の助成が制度化される以前に、大船渡市のほかに五つの市が独自に助成を行った戸数も合わせますと、平成20年9月までの耐震診断を受けている戸数は2、662戸で、耐震改修を行った戸数は81戸となっております。
 県による耐震改修への助成制度の活用状況についてでありますが、今年度は100戸を予定しておりますが、9月までに、12市町村で53戸の方々に利用されております。
 今後の課題についてでありますが、県内の住宅の耐震化を促進していくためには、現在、21市町村だけで実施されております耐震改修の助成制度を全市町村に広げていくことが必要であると考えております。
 また、耐震診断を受けられた方々が、耐震改修を行うかどうかを決める際に、あるいは、まだ受けていない方々にも参考となるような改修費用やその方法などにつきまして、具体的な情報を提供していくことが必要であると考えております。
 県としましては、制度化されていない市町村に、その創設に向けた取り組みを働きかけているとともに、パンフレットやチラシなどの周知に加えまして、今年度実施する改修事例につきましても紹介していくなど、耐震改修の普及啓発に努めてまいる考えであります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、岩手県自動車関連産業振興本部の設置などについてでありますが、本年7月に策定しました岩手県自動車関連産業成長戦略の実現に当たり、商工部門のみならず、教育部門や県土整備部門など、関係部局が一体的に連携し、総合的・機動的に施策を展開する必要がありますことから、副知事を本部長とする岩手県自動車関連産業振興本部を設置し、部局横断的体制で、県内外企業の多様で広範なニーズに的確かつ迅速に対応することとしたものであります。
 具体的には、関東自動車工業を初めとします自動車関連企業に対する総合窓口を設置し、新たな企業誘致や人材確保、インフラ整備、地場企業の参入促進など、自動車関連産業の集積促進に向け強力に取り組むこととしております。
 なお、最近の自動車関連企業の立地状況は、平成18年度が4社、19年度が3社となっており、今年度においても、立地決定を目指し、現在、誘致活動を積極的に進めているところです。
 次に、自動車部品の県内調達率の向上と貨物ターミナル駅についてでありますが、調達率の向上につきましては、部品メーカーの誘致のほか、県内企業の技術力向上や取引拡大が重要と認識しており、関東自動車工業など特定企業向けの技術展示商談会の開催や、県工業技術集積支援センターにおきます分解部品の展示及び研究会の開催を行っているところであり、今後も、県内企業の一層のすそ野の拡大に向けて、これら商談会等への参画を強く働きかけてまいります。
 また、貨物駅の設置につきましては、本日、北上商工会議所が中心となりまして、花巻市から奥州市に至るエリアの民間企業や自治体など約70団体により構成されます、きたかみ新貨物駅設置促進協議会が発足しており、私も顧問として参画しております。
 県としては、北上地域におけます新貨物駅は、県南地域のものづくり産業振興に寄与する物流拠点となるものと認識しており、今後とも、協議会を初め、地元自治体及び各企業等と連携しながら、JR貨物に対し、新駅設置について働きかけてまいります。
 次に、県内企業への雇用拡大の働きかけについてでありますが、昨年度の高校新卒者の有効求人倍率は、県内企業は1.40倍であるのに対し、県外企業は3.59倍と高くなっており、就職内定者3、898人のうち、県内企業は2、343人、県外企業は1、555人と、約4割が県外企業となっています。
 県内の高校生が県外に就職する理由としては、県内企業に比べ県外企業の求人が早く、早期に内定を得やすいこと、高校生や保護者が地元企業に対する十分な知識や情報がないこと、給与面などの採用条件で県内企業と県外企業に差があることなどが挙げられております。
 このため、県内企業に対しましては、振興局やジョブカフェを通じまして早期に求人票を提出するよう要請するとともに、効果的な採用活動や人材育成のノウハウを学べる研修会を開催しております。
 さらに、高校生に対しましては、県内企業の業務内容や魅力について、各企業の若手社員がわかりやすくプレゼンテーションを行う企業魅力発信フェスタなどのイベントや、職場見学会を開催するなど、高校生の県内就職を支援しているところであり、今後においても、産業団体、労働団体、教育委員会などの関係機関が一体となって取り組んでまいります。
 次に、中小企業の運転資金についてでありますが、県単融資制度の今年度の中小企業向けの融資枠は、商工観光振興資金、中小企業経営安定資金、小口事業資金など、設備・運転資金合わせて436億9、900万円となっております。このうち、経営の安定に支障を生じております中小企業者に対して運転資金を融資する中小企業経営安定資金の今年度の融資枠は180億円で、8月末現在の融資実績は65億5、500万円余、対前年同月比で17.1%増、融資枠に対しての達成率は36.4%となっております。
 県としましては、現在設定しております融資枠の範囲内で、今年度の中小企業者の資金需要に対しては十分に応じることができるものと考えておりますが、金融機関等と十分な連携を図りながら、中小企業者への円滑な資金の供給に努めてまいります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、水田の基盤整備目標と進捗状況についてでございますが、本県農業の一層の振興を図るためには、意欲と能力のある経営体を育成するとともに、農地の汎用化など、圃場条件の整備による生産性の高い水田農業を確立することが重要であると認識しており、このような考え方のもと、水田の圃場整備を最重点に掲げ、平成22年度末の整備目標を70%として、生産基盤の整備を推進してきたところでございます。
 こうした中で、平成19年度末における水田の整備率は、財源面での制約などもございまして62%にとどまっておりますことから、今後におきましては、整備水準の見直しによる建設コストの一層の縮減に努め、限られた予算を有効に活用するとともに、効率的な農業生産を進めるための圃場の大区画化、さらには、転作作物の導入に向けたきめ細やかな暗渠排水の整備など、地形や土壌条件を勘案した圃場の整備を重点的に推進してまいります。
 次に、稲作の生産コスト2割ダウン戦略についてでございますが、産地間競争が激化する中で、競争力のある産地づくりを推進するため、県内農業団体の参画のもと、本年7月、稲作生産コスト低減に向けた行動計画を作成したところでございます。
 現在、この行動計画に基づき、各農協単位で地域行動計画を作成し、農地の利用集積等による経営規模の拡大、収量増加等による生産性の向上、農業機械の効率的利用などに取り組んでいるところでございます。
 また、こうした取り組みとあわせ、最近の肥料等生産資材価格の高騰を踏まえ、資材費節減マニュアルの作成と普及、従来の10分の1の時間とコストで分析が可能な簡易土壌分析システムの開発、燐酸等を減じた安価な配合肥料や発酵鶏ふんなどの利用促進、水稲の直播栽培技術の普及など、本県独自の取り組みを展開しているところでございます。
 今後とも、農業団体との連携のもと、こうした取り組みを一層強化し、生産コストの削減を図り、競争力のある産地づくりと稲作農家の所得確保に努めてまいります。
 次に、米の生産者価格向上への取り組みについてでございますが、生産者価格は、これまで、米消費の減少に歯どめがかからないことに加え、米の需給調整が十分に機能せず生産が過剰となっていることなどから、下落傾向で推移しており、本県稲作農家の所得確保が重要な課題と認識しているところでございます。
 このため、本年3月にいわて純情米生産販売戦略を策定し、生産面におきましては、生産コスト2割ダウンを目標とした稲作生産コスト低減に向けた行動計画の実践、販売面におきましては、県産米のプライスリーダーとなり得るプレミアムブランド米の確立などに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係団体と連携を図りながら、この戦略に基づき、競争力のある高品質な米の産地づくりを推進するとともに、県産米の評価向上と有利販売に努めてまいります。
 次に、米の概算金決定の背景と今後の米価の見通しについてでございますが、最近の輸入小麦の価格上昇等により、本年1月より米の消費量が増加に転じたことや生産資材価格の高騰などを背景として、全農岩手県本部では、稲作農家の生産意欲の向上を図るため、このたびの概算金を決定したものと伺っております。
 米価につきましては、生産量や消費動向に加え、政府備蓄米の買い入れなど、国の施策による影響もございまして、現時点でこれを見通すことは困難と考えておりますが、生産面で、全国的には生産調整が十分機能しておらず、加えて、作況指数は102となり、消費面でも米の大幅な需要拡大が期待できないことなどから、本年産米の価格の上昇は難しい状況にあると考えております。
 次に、食味の評価と新たな米の品種開発についてでございますが、県南ひとめぼれは、食味ランキングにおきまして平成6年以降13回特Aの評価をいただいているところでございますが、産地間競争が激化している中で、現状に甘んじることなく、一層の食味の向上に努める必要があると考えております。
 このため、今後とも、適地での作付誘導や、きめ細かな栽培管理の指導を徹底するとともに、本年度から、日本穀物検定協会との共同により、官能評価と化学分析をミックスした新たな食味評価方法について研究することとしておりまして、こうした成果も踏まえて、食味の向上を図り、トップブランド産地としての地位を確立してまいります。
 また、品種開発につきましては、現在、ひとめぼれ以上の食味で、いもち病に強い品種の開発に取り組んでおりまして、本年度は、県南の5カ所で、特に有望な1系統の試験栽培を実施しているところでございます。今後は、その成果を踏まえまして、できる限り早期に農家に普及してまいりたいと考えております。
 次に、エタノール燃料用等の水稲品種の開発についてでございますが、県では、10アール当たり800キログラムの収量が期待できる県南向けの岩南29号、県中北部向けの岩手85号を開発したところでございまして、今年度は、岩南29号につきましては、奥州市胆沢区と金ケ崎町の2カ所で、岩手85号につきましては、八幡平市と軽米町の2カ所で多収栽培の現地実証に取り組んでおりまして、この結果をもとに来年度から本格的な普及を図ることとしております。
 今後におきましては、さらに多収で直播適性を有し、耐病性のある品種を開発するため、生物工学研究センターの遺伝子解析技術を活用し、開発期間の短縮に努めるとともに、育種素材の交換など、東北農業研究センターと連携を強化しながら品種開発を加速してまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税の拡充内容についてでございますが、県民の皆様や県議会の御意見、さらには外部有識者等で構成する事業評価委員会での検討結果を踏まえまして、事業内容を見直し、今年度から、森林整備事業の事業主体に地域に精通した森林組合等を加え、ソフト事業メニューに森林環境学習などを追加するとともに、新たに、子供たちを対象としたいわて森のゼミナールを開設したところでございます。
 また、県民からの評価についてでございますが、昨年度の県民アンケート調査やワークショップ等の結果では、本事業は今後も積極的に推進していくべきとの評価をいただく一方、一層の事業の周知や森林環境学習などの事業内容の拡充が必要といった提言もいただいたところでございます。
 このようなことから、こうした評価も踏まえ、今回、事業を拡充させていただいたところでございまして、今後とも、県民や県議会の皆様の御意見をいただきながら、県民税を活用した森林環境の保全に努めてまいります。
   〔環境生活部長瀬川純君登壇〕
〇環境生活部長(瀬川純君) まず、食の安全・安心の危機管理に対する連携体制についてですが、食の安全安心関係危機管理対応指針に基づき、食品衛生や食品表示、農林水産物の流通等を所管する関係部局による食の安全安心危機連絡会議を随時開催し、情報を共有しながら緊密な連携を図っております。また、岩手農政事務所など国の機関等との情報共有と連携にも努めております。
 収集した情報や県の対応につきましてはホームページで公表するとともに、必要に応じて岩手県食の安全安心委員会に情報提供し、意見を求めております。
 次に、事故米等の県内における流通状況とその対応についてでございますが、現在までのところ、国及び県の調査並びに取り扱い業者からの情報では、事故米については、事故米を取り扱う全国20業者のうち、県内の1社が平成16年と18年に購入したものの、全量堆肥と混合して圃場に散布し、不正流通がなかったことを確認しております。
 また、新潟県の島田化学工業が事故米を原料として製造した可能性のある米でん粉を使用して、すぐる食品株式会社が製造した厚焼き卵などの製品が財団法人岩手県学校給食会等を通して県内の学校給食施設に平成15年度から現在まで20市町村、61施設、217校で16万8、946食提供されておりました。今のところ健康被害の報告はないとのことですが、県教育委員会では、すぐる食品株式会社製造の事故米を原料とした米でん粉を使用した可能性のある商品については安全が確認されるまで使用を控えるよう通知するとともに、引き続き関係機関と連携し情報収集するなど、学校給食の一層の安全確保に努めることとしております。
 なお、岩手農政事務所から、島田化学工業製の米でん粉が県内に流通し、それを使用した食品製造業者が2社あったという情報があり、調査した結果、平成19年以前に事故米の混入した米でん粉を使用した可能性がありましたが、現在、製造・流通している商品には事故米の混入した米でん粉の使用がないことを確認しております。
 次に、メラミン混入のおそれがある食品につきましては、丸大食品株式会社の中国の子会社が製造した施設用クリームパンダが日清医療食品株式会社を通じて県内の病院や福祉施設など60施設に5、980袋が提供され、570袋が回収されております。また、市販用グラタンクレープコーンなどが県内量販店16施設で363袋販売され、58袋が回収されたことを県保健所及び盛岡市保健所が確認しております。さらに、兼松株式会社が輸入し、株式会社JTB商事が企画する通信販売商品JTB海外おみやげマカオエッグタルトが国内で289セット販売されましたが、県内での流通状況は調査中であります。これらのほか、新たにジェイティフーズが販売する業務用ちまきに事故米が混入していたとして自主回収が始まりましたほか、エヌエスインターナショナルが輸入した中国産のチョコレート菓子からメラミンが検出され、大阪市が回収を指示しておりますが、本県でも販売されていたと言われており、情報の収集、確認を急いでおります。
 現在、国において、中国から輸入される食品のうち、原材料に乳及び乳製品を使用した食品について、輸入者に対し、食品衛生法に基づく検査命令を実施するよう通知などしており、新たな混入等が確認された場合には、県としても適切に対応し、速やかな情報開示に努めてまいります。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 我が国における食生活・食習慣の実態と生活習慣病の因果関係についてでありますが、平成18年3月に国が定めた食育推進基本計画では、我が国における食生活の現状を、脂質の過剰摂取、野菜の摂取不足、朝食抜きに代表されるような栄養の偏りや食生活の乱れが子供も含めて見受けられるとしております。この結果、余分なエネルギーとして体内に蓄えられた脂肪から分泌されるさまざまな物質が高血圧、高血糖、脂質異常症等の生活習慣病を招くことが近年明らかにされており、さらにこの状態を放置することにより、メタボリックシンドロームを経て心筋梗塞や脳梗塞等の重大な疾病の危険性が高まると認識されております。
 これに対応する県としての肥満や生活習慣病対策でありますが、平成18年度岩手県生活習慣病等実態調査によりますと、40歳から74歳までの県民のうち、男性は約2人に1人、女性は約4人に1人がメタボリックシンドロームの該当者、またはその予備群に当たると見られております。
 このような状況を改善するため、今年度から40歳以上の方々を対象に医療保険者が行う特定健診、特定保健指導が開始されておりますが、県の支援策として、メタボリックシンドローム1割削減推進事業を進めているところであります。
 具体的には、特定健診、特定保健指導に従事する保健師、管理栄養士等の資質向上のための研修の実施や特定健診等の結果を医療保険者において有効に活用していただくためのデータベースの構築、さらには、40歳未満の肥満予防のための学校や事業者等と連携した普及啓発等を実施しているところであります。
 今後とも、肥満や生活習慣病対策のため、これらの取り組みを効果的に進めてまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 全国学力調査の結果に対する評価などについてでありますが、学力を特定の教科の正答率だけで推測するのはなかなか困難でありますが、本県の児童生徒は、小学校においては比較的良好な学力を持っているものの、中学校においては理解が不十分な状況にあることが課題ととらえております。
 秋田県の強みは、小・中の接続を意識した授業の工夫や、授業を中心としながら課題の与え方を工夫した家庭学習を進めていることであり、今後の岩手の教育を進めるに当たって十分に参考にしなければならないと認識しております。
 30人学級など少人数教育について、岩手と秋田の違いは、秋田が中学校1年生においても少人数学級―これは34人でございますけれども―を実施していることを除いてはほぼ本県と同程度であるととらえているところであります。本県の今後の少人数教育については、現在、市町村教育委員会及び小・中学校に対してアンケートを実施しているところであり、この少人数教育のあり方についてはさらに検討を重ね、年内には一定の結論を出したいと考えております。
 次に、生活習慣については、本県の状況はおおむね良好であるととらえておりますが、今後も、早寝・早起き・朝御飯などの取り組みを教育振興運動などを通して推進していきたいと考えております。
 また、学習意欲の向上については、家庭学習の課題の与え方や定着させる取り組みを進めるとともに、いわて型コミュニティスクールやまなびフェストの取り組みを通じて、県PTA連合会とも連携を図りながら、家庭、地域、学校が一体となって推進してまいりたいと考えております。
 次に、児童生徒の体力・運動能力についてでありますが、体力・運動能力調査結果と今後の学習指導については、平成19年度の体力・運動能力調査結果によると、全国平均を超える項目の割合は小学校65.6%、中学校72.9%、高等学校79.2%となっており、学年が進行するにつれて全国平均に追いつく傾向が見られるものの、小学校期の体力低下が課題となっております。
 このことから、今年度より小学生を対象とする岩手っ子体力アップ運動の推進と体育実技アシスタント派遣事業などによる体育の授業力向上に取り組んでいるところであります。児童生徒の体力を向上させるためには、運動の楽しさを体験させながら運動の習慣化を図る必要があることから、学校、家庭、地域が連携した取り組みを支援してまいります。
 また、児童生徒の肥満傾向児の抑制のための取り組みについてでありますが、平成19年度の学校保健統計調査における本県の肥満傾向児の割合は、指標としている小学校6年生で15.1%となっており、前年度より0.2ポイント上回っています。
 肥満は、一般的には食生活、生活習慣や通学方法を含めた運動の実態等さまざまな要因が絡み合って進行すると言われております。本県における原因については、県内の大学に調査分析を依頼してその要因の分析を進めているところでありますが、一方では、食育や運動機会の増加など多角的な取り組みを進めることが必要であると考えております。当面は、学校と家庭、地域が連携した肥満対策の進め方などについてまとめたリーフレットを作成し、その有効活用や効果的な取り組みの実践例を紹介するなど、各学校の主体的な取り組みを支援してまいります。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時26分 散会

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