平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブの嵯峨壱朗でございます。
 昨年4月、2回目の議席をちょうだいしてから1年半、初めての一般質問となるわけでありますが、達増知事への質問も初めてということで、私の登壇をもって正副議長を除く全議員が1度は達増知事に相まみえることになるわけであり、今回、待ちに待った一般質問の機会をくださいました会派の皆さんに心から感謝申し上げます。
 それでは、初めに、幾つかの点で知事の基本的な考え方について質問させていただきます。
 知事は就任以来、特定の政党の党籍を維持し、私どもの会派を初め、多くの議員の皆さんからその政治的スタンスについて質問を受けているわけでありますが、幾多の批判、非難、評価を受けながらも、変えることのないその一貫した政治姿勢には、ある意味で私も心から敬意を表するところであります。
 しかしながら、外から見て、その一貫した政治姿勢の何とも言えない矛盾というか違和感のようなものを感じざるを得ないのも事実であります。私は、知事のこれまでの政治家達増拓也と行政の長としての達増拓也との共存の話を聞くにつけ、私の勝手な解釈ではありますが、西田幾多郎の東洋的な思想、特に禅を背景とした西欧的二元論を超越しようとして至った境地、いわゆる絶対矛盾的自己同一という言葉を思い浮かべるわけでありますが、そうした私の見解に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、競馬組合議会での知事の発言に関連して、二元代表制に対する基本的な認識についてお尋ねいたします。
 9月30日の競馬組合議会において、知事は、競馬議会にお願いするのは民間委託のあり方ではなく、岩手競馬の経営のあり方の最終チェックだと述べたとの報道がありました。それは事実でしょうか。全体の内容を知らないので、どのような文脈の中での発言なのかわかりませんが、もしその発言が事実とするなら、二元代表制の中で、議会軽視ともとれる発言ではないのでしょうか。民間委託する場合には議会の議決を経なければならないということで、経営のあり方のチェックだけが議会の役割ではないように思えますが、これらを通じて、私には、競馬議会のみならず、執行者と議会のあり方についての知事の基本的な認識がかいま見れるような気がいたします。
 今、県議会では、地方分権の進展という大きな流れの中で、各会派で構成する議会のあり方調査特別委員会において、二元代表制における議会のあり方、執行権とのかかわり、議会の権能等、議会のあるべき姿を求めて、(仮称)岩手県議会基本条例を本年度中に制定するべく鋭意検討を進めているところであります。当然知事は、議会側のこうした動きを御承知のことと思います。
 そこでお伺いしますが、知事は、二元代表制についてどのような認識をお持ちでしょうか。また、議会の権能をどのようにとらえているのでしょうか。
 次に、記者会見における総選挙に関する知事発言の真意についてお尋ねいたします。
 9月16日の知事記者会見において、今般、想定されております総選挙における知事の対応に関する質問に対して、知事は、去年の参議院議員選挙とか岩手1区衆議院補欠選挙のときと同じでありまして、政治家個人として、あるいは達増個人として、いろいろ工夫して世の中のためになるのではないかということを関係者と相談しながら、その中で一定の役割を果たすというか、引き受けるというか、そういうことはあるかもしれない。また、去年の参議院や衆議院1区補選のときも、あらかじめこうすると決めてやっていたわけではなく、それこそ選挙の当事者や関係者の皆さんには戦略とか戦術もありますので、その辺も伺いながら自分が何をすべきかを考え、決めていきたいと思いますと述べておりますが、その真意をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、知事室の祭壇、いわゆる神社の例大祭等の祭と、壇上の壇の祭壇についてお伺いいたします。
 なお、県議会での一般質問は、県行政の施策一般について問いただすのが常でありますが、136万県民のリーダーとしての知事の信条、人となりを知る上でとても重要だと思える事柄であるのと、私自身も宗教的なものに関心もあり、知事の記者会見資料を読みながら、興味深い内容のものがありましたので、以下、あえて質問させていただきます。
 本年4月25日の知事記者会見において、平泉の世界遺産登録のかかわりの中で、知事は、あとは祈るばかりということで、私も知事室の奥の部屋に特殊な祭壇を設け、日々祈りをささげるようにしていますと述べております。その後、祭壇というのは、平泉の浄土思想と関係あるものなのでしょうかという問いに、秘密ですと答えております。また、5月7日の記者会見での記者からの、知事室の奥に祭壇をつくって日々お祈りしていると思いますが、成就の兆しみたいなものはありますか―これは遺産登録の決定に関してでありますが―との問いに、知事は、秘密の儀式については余り細かくは語らないものですけれどもと答えておりますが、当然のこと、知事がどのような信仰を持ち、どのような儀式をとり行おうが、私自身がとやかく言うべき事柄ではないことは十分承知しております。その上で、知事室でとり行われていたという点を重要視してあえてお尋ねするものであります。知事室に祭壇をつくっているのは本当なのでしょうか。だとすれば、どのような祭壇なのでしょうか。また、知事室にそのような祭壇を設置することに問題はないのでしょうか。
 次に、靖国神社のA級戦犯分祀問題にかかわっての、いわゆる霊―霊魂とか、または幽霊とかの霊でございます―に関する知事の考えについてお尋ねいたします。
 これについても、知事がどのような判断をしようとも、それについて批判をすることを前提として質問しているわけではございません。私なりに知事の世界観というか、宗教観と言ったらいいか、知事という人間を理解する上で極めて興味深いと考えたため、あえて質問するものであります。
 知事は8月18日の記者会見でA級戦犯の分祀論について所見を求められたのに対して、霊というのはそもそもどこにでも存在するわけで、霊の本質論からすれば、東条英機元首相の霊はここにも存在するんだと言ってよいのだと思います。中略ですが、本質的には霊というのは遍在しているものであって、あるところから霊を取り除こうとすることは、ただ、そういう考え方とか作法は宗派によってあり得るのでしょうけれどもねと答えております。なお、霊の問題ですから、行政と長としてはああすべき、こうすべきということは特に言わないつもりですと述べております。A級戦犯分祀論についての分祀についての質問に対して霊の問題としてとらえているのもどうかとは思いますが、知事は本当に霊の存在、さらにはその遍在、あまねくどこにでもあるという意味でありますが、偏在性を信じているのでしょうか、その真意をお尋ねします。
 次に、いわて希望創造プラン及び次期総合計画についてお伺いいたします。
 いつの間にか名称の変わったいわて希望創造プランは、当初、新しい地域経営の計画として提案されました。そして知事は、そのいわて希望創造プランを2010年度までの計画である現在の総合計画の後期実施計画と位置づけたわけであります。このプランは、昨年9月5日の総合計画審議会を皮切りに、2回のパブリックコメントを初め、地域説明会、議員との意見交換会など約5カ月をかけて、本年1月25日、成案として公表されました。これだけ多くの手続と時間をかけて作成され、議会からも県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例の対象になるのではないかという多くの議員の指摘があったにもかかわらず、執行者の判断として後期実施計画として位置づけ、基本計画の変更にも該当しないと判断されたわけでありますが、新しい知事のもと、そのマニフェストを踏まえて、新たな要素を加え、慎重に作成されたこのいわて希望創造プランは、私自身は今でも条例の対象であると考えておるところでございます。
 今般、知事は、もっと長期的な視野で県政に取り組むべきとの声が県庁の外から聞こえる。21世紀のグローバル化にあって、県がどういう役割を果たすべきかという長期計画をつくらなければならないと述べて、前倒しをして新しい総合計画の作成に取り組むことを表明したわけでありますが、そうだとするならば、なぜ最初から新しい総合計画として昨年度から策定に着手しなかったのでしょうか。骨太の方針に当たる部分をこれから新たに策定して、実施計画と位置づけられたいわて希望創造プランは微修正を想定しているという記者会見での説明もよく理解できません。私には本末転倒に思われてなりません。知事のマニフェストといわて希望創造プラン、次期総合計画のそれぞれの位置づけとその関連性を整理して説明願いたいと思います。
 また、そうした次期総合計画策定の必要性に関連してでありますが、現総合計画と知事マニフェストとの重なりについて、知事は2月の一般質問の答弁で、現在の総合計画の基本構想、基本計画が、私がマニフェストに掲げた理念や政策の方向性と多くの部分で重なり合っており、と述べているわけでありますが、重なり合っているのはどのような部分なのか説明をお願いしたいと思います。
 次に、振興局再編についてお尋ねいたします。
 まず、地域振興のとらえ方と振興局についてでありますが、国において、なぜ北海道・沖縄開発庁をつくったのか、その理由を考えれば一目瞭然だと思われますが、そうした点を踏まえ、知事は地域振興ということをどのようにとらえているのか、振興されるべき地域とはどのような地域を指すのか、振興される必要のある地域にこそまさに振興局が必要と考えるわけですが、知事の考えをお伺いいたします。
 次に、広域振興圏設定による政策実現についてお尋ねしますが、四つの広域振興圏を設定することで県と市町村との適切な役割分担による質の高い行政サービスの提供や地域経済の強化による県民生活の維持・向上は実現すると述べておりますが、あたかも四つの圏域設定によりすべての地域課題が解決するような感がありますが、四つの広域振興圏を設定することで本当に県民生活の維持・向上は実現するのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 また、広域振興圏設定の見直しについてお尋ねいたします。
 7月の一般質問で政和・社民クラブの久保孝喜議員への答弁の中で、新しい広域振興局体制への移行にかかわって、ただ、これは、県民、特に県北、沿岸の県民の皆さんがその気にならなければ機能しない仕組みでありますから、そういう県民の意思に反して、県北、沿岸の住民の意思に反して強行するということはあってはならないと考えておりますと述べております。それは、広域振興局体制への移行時期だけのことなのか、広域振興圏設定のあり方も含めて見直しを検討する余地があるのか、知事の考えをお伺いいたします。また、知事は、そうした住民の意思をどうとらえているのでしょうか。
 次に、振興局再編と県北・沿岸振興のかかわりについてでありますが、今回の振興局再編は、結果的には現在の振興局機能の弱体化をもたらすのではないのでしょうか。ひいては県北・沿岸振興と逆行するのではないかとの懸念がありますが、どのように考えているのか御所見をお伺いいたします。
 また、パブリックコメントでは、広域振興局体制への移行について、廃止、センター化による地域サービスの低下、地域経済への影響を懸念する意見が最も多かったわけでありますが、パブリックコメントの結果について県はどのような認識を持っているのでしょうか。また、あわせて、これら懸念に対する今後の対応についてもお伺いいたします。
 次に、低入札についてお尋ねいたします。
 初めに、県発注公共事業の低入札増加の実態と原因等についてでありますが、昨年7月からそれまでの指名競争入札から条件付一般競争入札に切りかわったわけでありますが、今年度の4月から7月末までの普通会計における工事の平均落札率の状況を見ると79.3%に低下しており、工事の品質確保、下請業者の保護等の観点からもその影響が懸念されるところであります。近年の低入札の増加の実態と原因、その影響をどのように分析しているのかお尋ねいたします。
 また、こうした低入札による種々の問題が全国的なものとなっているため、本年9月12日付で国交省、総務省から、こうした低入札にかかわって、いわゆる予定価格の不当な切り下げや事前公表の取りやめを含む8項目の緊急要請が都道府県に対して通知されたわけであります。その内容と本県の対応についてお伺いいたします。
 次に、入札制度見直しについてでありますが、こうした低入札増加の実態や国からの通達を受けて、県は、9月19日に開催されました県営建設工事入札契約適正化委員会において入札制度の見直しを検討していると述べておりますが、その見直しの内容についてお尋ねいたします。
 低入札の最後に、低入札価格調査制度についてでありますが、私は、こうした低入札の増加を助長している要因の一つとして、低入札価格調査制度における調査基準価格及び失格基準価格の設定に問題があるのではないかと思っておりますが、県の見解をお伺いいたします。
 次に、県北・沿岸地域における第1次産業の振興についてお尋ねいたします。
 知事は、いわて希望創造プランにおいて県民所得の向上を最重要課題に掲げているわけでありますが、県内総生産を見ますと、平成18年度では総額4兆5、310億円のうち第1次産業が3.8%、2次産業が24.6%、3次産業が58.5%と、第1次産業の総生産に占める割合は極めて低く、生産額も総じて減少傾向にあり、第1次産業従事者の多い県北・沿岸地域の所得水準は一向に改善されておりません。そうはいっても、第1次産業は県北・沿岸地域の基幹産業であり、所得向上のためにはその振興が極めて重要でありますので、私は、農業における畜産分野、特に日本短角種の振興と水産業におけるサケの振興策に絞って、以下、質問させていただきます。
 まず、県北・沿岸地域農業の重要な作目、日本短角種についてでありますが、肉牛資源としてだけではない多様な価値、国内第1位の生産量、放牧地で子育てができ、夏山冬里飼育、自然交配、そして輸入飼料への依存度が小さいため飼料高騰にも強く、現在の安心・安全といった消費者の志向にも合致した大変有力な作目であると思っております。
 こうした日本短角種も、牛肉の輸入自由化以降、飼養頭数の減少が続いてきたと認識しておりますが、飼料高など最近の環境変化の中で飼養の現状はどうなっているのでしょうか。また、その現状を踏まえて、今後どのように振興していくのかお尋ねいたします。
 次に、さけ増殖事業の振興についてお伺いいたします。
 沿岸漁業の最重要魚種であるサケの増殖事業についてでありますが、サケの漁獲量は、平成8年には最高の7万トンを達成し、平成4年には240億円の水揚げ金額となるなど、本県水産業の重要な柱となっております。しかしながら、平成19年の漁獲量は2万6、000トン、金額は98億円にとどまり、サケに依存した漁業者、漁協などの経営はより厳しい状況にあります。さらに、生産基盤であるふ化場の老朽化が進み、稚魚の飼育に支障を来している状況や、流通加工業など関連の業種においては、地元のサケを加工原料として確保することが難しい状況などがあるやに聞いております。
 こうした中、県のさけ増殖事業の予算はこの3年間でほぼ半減しており、現在、漁獲量の低迷など厳しい状況に置かれているサケ増殖への支援がますます後退するのではないかと危惧しているところであります。特にも、沿岸北部は中南部に比べ養殖業の規模が小さい地域なので、漁業生産におけるサケ資源への依存度と期待感には極めて高いものがあります。サケの資源は、多くの先人の努力のもと、今日ある姿まで築き上げてきたもので、この資源を沿岸地域の発展のため、安定的な漁獲量が確保できるよう、しっかりとした体制をつくり、取り組んでいく必要があると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、低迷しているサケの漁獲量の推移についてお示し願うとともに、不振の原因をどのようにとらえ、今後どのような対応をしていくのかお示し願いたいと思います。
 最後に、県立病院の経営のあり方についてお尋ねいたします。
 全国でも下位に位置する人口当たりの医師数を初め、極めて脆弱な医療環境の中、特に県北・沿岸部の県立病院の存在は、地域の人々の医療、福祉、安心・安全にとって言葉にできぬ貢献があったものと実感するものでございます。その上で、幾つかの課題について質問させていただきます。
 まず、県立病院の病床利用率の低下についてお尋ねいたします。
 医療局は、病床利用率の低い病院のベッド数を大幅に削減する方向で検討に入ったと言われております。その対象となっている病院は、久慈、宮古、大船渡、遠野など、各医療圏域内でそれぞれ唯一のいわゆる総合病院であります。一度病床を削減すれば、将来的に医師を確保してもふやすことは不可能となり、将来の圏域内の医療サービスがさらに低下するのではとの多くの懸念が指摘されております。特にも久慈地域は、同じ人口規模で二戸、一戸、軽米、九戸と四つの県立病院等がある二戸地域とは違い、総合的医療機関としては県立久慈病院しかなく、さらに産婦人科なども二戸に集中させるなど、同じ県北でもこうした歴然とした医療体制の格差がある中での医療局の方針、考え方に多くの疑問を持つものでもあります。
 そこで、これらの病院の病床利用率がここ数年著しく低下しているその原因についてどのように分析しているのかお尋ねいたします。
 次に、7対1看護体制についてお尋ねいたします。
 そうした病床利用率が大幅に低下した病院を中心に、10対1から7対1看護体制に移行する方針であると聞いているわけでありますが、7対1看護を実施することで、利用者、病院側双方にとってどのようないい結果が期待できるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、電子カルテの導入実態と利用者サービス低下等への対応策についてお尋ねいたします。
 医療局では、各県立病院に順次電子カルテを導入しているわけでありまして、新たに建設される県立病院は開業と同時に電子カルテを導入するということであり、久慈病院など既存の病院では、初めに部分導入し、段階的な導入を図っていると伺っております。電子カルテの導入により、利用者のサービス低下、医師の過度の負担が指摘されているわけでありますが、その実態と対応策をお示し願います。
 次に、病診連携についてお尋ねいたします。
 全国的に医師不足問題が顕在化している中、特に県北地域にあっては、人口10万人当たり医師数も県平均を大きく下回るなど、極めて危機的な状況にございます。また、軽症にもかかわらず、休日、夜間に病院を受診する、いわゆるコンビニ受診が増加していることが勤務医の病院離れの一因とも言われております。
 このため、病院と診療所との連携を強化し、患者さんの症状に応じた適切な機能分担を図っていくべきだと考えますが、病診連携の推進についての実態と医療局の考えをお示し願います。
 以上、私の一般質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、西田先生の絶対矛盾的自己同一ということに絡んで、私の政治家としての立場と行政の長としての立場について御質問をいただきました。この絶対矛盾的自己同一というのは、相反する二つの対立物が、その対立をそのまま残した状態で同一化する境地ということだそうでございますけれども、私は、政治家の立場と行政の長の立場というのは相対立しているわけではなく、多くの場合、政治家が行政の長を行うわけでありますが、その政治家の考え方として、行政の長としての仕事は公正、中立に行う、しかし、行政の長としての仕事以外については政治家として自由に行うというふうに考えておりまして、特に私としては矛盾を感じてはおりません。
 一方、麻生太郎総理大臣の所信表明演説を聞いていますと、私の所信表明演説では、ある政党がどうのこうのとか、政党についての言及とかはしていないのでありますけれども、かなり所信表明の中で、行政の長というよりは、政党の代表というか、政治家としての立場で演説されていたなと。だから、そういうやり方をする人はいるんだなというふうに感じておりまして、その場合、政治家の立場と行政の長の立場が矛盾したりすることもあるのかもしれませんけれども、私は、そういうスタンスはとらないようにしようと思っておりまして、政治家の仕事と行政の長としての仕事の間に、特に矛盾は感じておりません。
 次に、二元代表制に対する基本的な認識についてでありますけれども、9月30日の競馬組合議会での発言は、トップ対談などをして、民間委託を決断するべきという質問に対して、基本的には組織を挙げて判断すべきであり、その組織には競馬議会や県民・市民も入り、その力を最大限に生かして最善の判断をすると申し上げた上で、民間委託拡大を実施するかどうか、まだ決まっていない段階であることから、競馬議会に平成21年度予算案という形でお願いする最終チェックは、民間委託方式、現行方式のいずれにせよ、岩手競馬の経営のあり方の最終チェックであるとの趣旨で申し上げたものであります。
 現在、地方自治体に採用されている二元代表制は、議会の議員と首長を住民が直接選ぶことにより、より幅広い住民意思を行政に反映させるとともに、相互牽制と均衡による公正な行政運営を保障するために採用されているものと理解しております。
 議決権などの重要な権能を有している議会と、そして首長は、行政の運営に当たって、お互いの権限と責任において政策的に議論を深め、県民の負託にこたえていくべきものと考えております。
 団体の意思決定に係る議会の議決権限は、地方自治法第96条に制限列挙されている事項についてのものであり、それ以外の権限は執行機関に属するとされています。首長と議会の関係の中で言えば、首長が法に従い提出した議案に対して及ぶものであるとされております。
 今回の競馬議会で出された岩手競馬の民間委託拡大に関する検討状況についてというものは、議決議案ではなく、執行部からの報告事項でございまして、今回取り上げられた発言は、その質疑の中での発言でありますことから、議会権限の軽視の問題といった範疇のものではないと考えております。
 次に、近く想定される総選挙に対する私の発言の真意についてお尋ねがありました。
 そもそも選挙は、主権者の意思と力が示される、民主主義にとって最もかけがえのない大切なものと考えます。
 私は常々、県民の皆様の主体的な選挙への参画が進み、それぞれにとってよい選挙が行われることが、岩手における民主主義を一層成熟させていくとの思いから、政治家としてそのためのお手伝いができればよいと考えてきたところでございます。
 今後も、私に何ができるか、何をするべきかについて、さまざまな意見を伺いながら、自由に考え、行動させていただきたいと考えているところであります。
 次に、知事室の祭壇についてでありますが、知事室の引き出しや本棚の中に思い入れのあるものを置いているだけでございまして、県庁舎の施設・設備を損なったりするおそれがあるものではなく、また、県職員に対しても、何らの強制も勧誘もしておりませんので、問題はないと考えております。
 次に、霊に関する考えについてでありますが、手塚治虫さんの漫画、火の鳥の中に、人は死ねば宇宙の大生命の一部になるというようなことが書かれているんですけれども、私は、霊というのはそういうものだと考えております。
 次に、いわて希望創造プランと次期総合計画についてでありますが、まず、マニフェストとの関連や位置づけにつきましては、いわて希望創造プランは、私がマニフェストに掲げた基本的な考えや施策を織り込み、それを県として推進するため、総合計画の後期実施計画として策定したものでありまして、このプランの策定を先行させたのは、次期総合計画の策定には、ある程度の期間を要することや、また、県民所得の低下などの緊急的な課題に速やかに対応する必要があることから、まず、喫緊の課題に道筋をつけるべきとの考えからであります。
 また、次期総合計画として策定していく新しい長期計画については、おおむね10年を計画期間とする長期ビジョンと4年間のマニフェスト・サイクルと連動したアクションプランによる構成としていきたいと考えておりまして、長期ビジョンは、マニフェスト・サイクルを超える計画として、10年後を見据え、知事がだれであるかといったことにかかわりなく、県民一人一人が、この岩手の地で、将来どういう生活を送りたいか、それぞれの希望を実現するために地域社会がどうあるべきかなどといった観点から、県民の皆様が望む岩手の未来を描いていくものと考えております。
 アクションプランは、長期ビジョンの実現に向けた具体的な取り組みを示すものであり、実施計画に当たるものと考えておりますので、次期アクションプランについては、全く新たに策定するものではなく、今のいわて希望創造プランを見直しながら策定していくこととしているところであります。
 次に、総合計画がマニフェストと重なる部分についてでありますが、現在の総合計画は、自立・参画・創造による持続的な地域づくりを理念に掲げ、地域に住む人々を含めた多様な主体が、適切な役割分担のもとに力を合わせ、創造的かつ持続的な地域づくりを進めていこうとする計画であると理解しております。
 一方、私は、マニフェストにおきまして、岩手の歴史は、人としての正しい道を歩もうとする志を持った先人たちの歴史であり、人と人とのつながりの中で地域を守ってきた歴史であるとの認識のもと、岩手にふさわしい理念として、公正、自立そして共生、これを掲げたところであり、この考えは、総合計画の理念と相通ずるものと考えます。
 マニフェストに危機を希望に変える2大戦略として掲げた新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略についても、総合計画の基本構想に盛り込まれています分権型社会の構築と産業振興による自立した地域を目指した4広域振興圏の設定、地域の個性を大切に育てながら地域らしさを追求していく、いわて地元学の実践の考え方といったことと、それぞれ重なり合っていると考えております。
 また、マニフェストにおいて政策の6本の柱としてお示しした取り組みの多くが、基本計画の中で、施策の体系として掲げた五つの社会を構成する取り組みと共通しているものでもございます。
 次に、地域振興のとらえ方と振興局についてでありますが、地域振興とは、地域の個性を生かした多様性と創造性にあふれた魅力ある持続可能な社会を実現するために、地域を支える人づくりや地域経済基盤の強化、文化の振興・継承、地域医療などのセーフティネットの形成等、総合的に地域力を高めていくことであると考えております。
 振興されるべき地域についてでありますが、身近なコミュニティ、また市町村など、それぞれの地域において、それぞれの主体が地域振興に取り組んでいく必要があると考えておりますが、私といたしましては、県の立場で振興していく地域として今重要なのは、より広域的な視点で地域の資源や人材を結集し、全国的な地域間競争に打ち勝つことができる戦略的な枠組みとして設定した4大広域振興圏と考えております。
 また、地域振興のための行政機関のあり方についてでありますが、議員御指摘の国の例については、例えば、かつての北海道開発庁、今の国土交通省北海道開発局でありますが、戦後の国民経済の復興に資するため、北海道開発を総合的に推進する観点から、道路、河川や農業生産等の基盤整備を総合的に行う国の出先機関として、特に設置されたと承知しております。
 岩手においては、地域振興施策について、広域的、専門的な観点から機動的、効率的に展開できる体制として広域振興局を各圏域ごとに設置し、全県的に振興を図ろうとするものでありますが、特に県北・沿岸圏域を重視して取り組んでまいりたいと思います。
 なお、地域間格差の実情や各圏域の地域特性に的確に対応していくためには、その内部組織において、特に産業振興機能面での効果的な体制を工夫していくべきものと考えております。
 次に、広域振興圏設定についてでありますが、私は、知事選に際し、希望王国マニフェストにおきまして、危機を希望に変える2大戦略の一つとして、県北、県央、県南、沿岸の四つの広域振興圏をフロンティアとする新地域主義戦略に基づき、市町村やNPOを含む民間団体等と連携した地域経営を県民の皆様にお約束した経緯がございます。
 県が広域の枠組みで地域振興に取り組むということについては、去年の知事選挙の際にも広範な支持をいただいたと感じております。
 広域振興局体制への移行時期はもちろん、組織体制の最終決定に当たっては、県民の皆様の声に十分配慮していきたいと考えておりますが、4広域振興圏は、より広域的な視点で、地域の競争力、自立性を高めていく上で最適な枠組みであると考えておりまして、いわて希望創造プランには、圏域ごとの目標と施策を盛り込み、取り組んできているところでありまして、広域振興局体制への移行に当たっても、この4広域振興圏を基本としたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、広域振興圏設定による政策実現についてでありますが、広域振興圏につきましては、人口減少、少子・高齢社会の到来など、地域を取り巻く環境の変化に的確に対応し、自立した地域を実現するため、産業の連続性や類似性、隣県との経済的な関係なども視野に入れて、広域行政の圏域を県南、沿岸、県北、県央の四つとし、広域的・専門的な行政サービスの提供や産業振興の取り組みにより、しっかりとした成果を上げていくことを目指して設置したところであります。
 これに伴い、県南広域振興圏におきましては、先行して広域振興局体制に移行し、これまで以上に現場主義による取り組みを展開した結果、権限移譲などにより市町の行財政基盤が強化され、異業種交流による食産業プロジェクトの立ち上げや、販売、受注、生産面での共同事業の展開など、効果的・効率的な産業振興施策の展開が可能となったところであります。
 したがって、質の高い行政サービスの提供と地域経済の強化による県民生活の維持・向上の実現は、県南広域振興圏の場合と同様に、県北・沿岸などの他の広域振興圏におきましても、圏域が一体となった地域振興施策を効果的・効率的に展開し、地域の可能性を最大限に引き出すことによってこそ可能であると考えております。
 次に、振興局再編と県北・沿岸振興についてでありますが、広域振興局体制への移行は、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめなどの、いわて希望創造プランの重点目標に対応するため、産業振興を中心として、広域的、専門的な観点から機動的、効率的に施策展開できる体制の構築を目指すものであります。
 特に、第1次産業を中心とする県北・沿岸圏域におきましては、県央・県南圏域と比較し、雇用吸収力の高い製造業の集積度合いが少なく、求人が不足している状況にあり、また、すぐれた農林水産物や観光資源を有しているものの、これらの地域資源を生かした取り組みが必ずしも十分ではなく、さらなる格差の拡大が懸念されますことから、産業振興の強化は喫緊の課題であります。
 このため、広域振興局体制の構築に当たっては、組織力を最大限に発揮できるよう、各地方振興局に分散している人的資源も集約し、重点化すべき分野に再配分するとともに、県北・沿岸圏域の産業構造などの地域特性に対応したものとすべきものと考えており、先ほど知事が、特に県北・沿岸圏域を重視して取り組むと答弁したとおり、広域振興局体制への移行により、県北・沿岸振興の取り組みをさらに強化してまいる考えであります。
 次に、パブリックコメントの結果に対する認識についてでありますが、パブリックコメントでは、広域振興局の行政サービスの面での利便性の低下、行政センター化した場合の地域経済への影響などの懸念がある一方で、県北・沿岸圏域においては、重点的な予算配分や人員配置を行うべきとの提案なども含む400件以上の意見が寄せられたところであり、基本的考え方の素案段階ではございましたが、広域振興局体制に対する県民の方々の関心の高さがうかがえたところであります。
 今後、いただいた意見なども踏まえ、さらに検討を進め、具体案をお示しし、県民の皆様から御意見もいただく考えであります。
 なお、議員が御指摘の御懸念につきましては、広域振興局体制への移行に当たっては、行政サービスの面におきましては、サービスの受け手に近いところで実施することが効果的な業務は行政センターの所管とするほか、これまで地方振興局が担ってきた役割にかんがみ、市町村との役割分担を整理しながら、地域への行政サービスを極力維持できるよう努めるとともに、地域経済への影響につきましては、できるだけ最小限にとどめるよう配慮するとともに、広域振興局全体の地域振興施策を展開する中で対処してまいる考えであります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 低入札増加の実態と原因等についてでございますが、普通会計におきまして、調査基準価格や制度適用価格を下回った札が1者以上あった入札、また、平成19年6月までは最低制限価格制度を運用しておりましたので、その最低制限価格を下回った札が1者以上あった入札、これらを合わせて低入札と考えまして、その状況を見ますと、平成17年度が248件で全入札件数に占める割合が13.1%、平成18年度は322件で17.9%、平成19年度は352件で20.5%となっております。
 なお、低入札によって失格となった者が1者以上発生した件数から見てみますと、平成17年度が232件で12.3%、平成18年度が308件で17.1%、平成19年度は169件で9.8%となっております。
 このような状況が生じている要因につきましては、公共工事の減少が続く中で、価格競争がより強まっていることによるものと基本的には考えておりまして、建設業の経営環境が厳しさを増している状況にあると認識しております。
 なお、工事品質への影響につきましては、品質等のフォローアップや工事成績の調査におきましては、これまでのところ、工事の品質低下等の問題の発生は報告されていないところでございます。
 次に、9月12日付の国からの通知内容等についてでございますが、この通知の内容といたしましては、前金払い制度の適切な運用、早期の発注、工事請負代金支払い手続の迅速化、予定価格公表の適切な対応、適切な競争参加条件の設定、低入札の調査基準価格の適切な見直し、予定価格の適切な設定、単品スライド条項の適切な運用の8項目となっております。
 これらのうち、入札にかかわる項目についての本県の対応についてでございますが、予定価格の公表に関しましては、国からは、事前公表の取りやめか事前公表を行う場合の理由の公表を要請されておりますけれども、本県では、多くの都道府県と同様に事前公表としておりまして、これは、予定価格の漏えい等による不正行為の防止のほか、受発注者双方の入札手続の簡素化や入札手続の透明性の向上等のメリットがありますほか、工事費内訳書の提出などにより、事前公表について指摘される問題点への対応策も講じておりますことから、事前公表の仕組みを継続することが適当と考えているところでございます。
 また、競争参加条件の設定につきましては、条件付一般競争入札におきまして、業種・等級別区分、地域要件、施工実績要件及び技術者資格要件など、発注する工事ごとに必要な条件をきめ細かく設定しているところでございます。
 また、低入札対策に係る調査基準価格につきましては、本県では、国のモデルに準拠して設定してきておりまして、先般行われました国のモデル改正を踏まえ、見直しについて検討しているところでございます。
 予定価格の設定につきましては、個々の工事案件ごとに設計書等に基づき適正に定めているところであります。
 御指摘の入札制度見直しの検討状況についてでございますが、9月19日の県営建設工事入札契約適正化委員会におきまして、委員から低入札対策の今後の対応について質問があり、事務局から、調査基準価格について、国のモデル改正に伴う見直しを検討しているということ、また、現在、低入札工事のフォローアップ調査や新制度による低入札対策の検証作業を行っているところであって、その状況を踏まえつつ、必要があれば制度の見直しを検討していくという説明を行ったところでございます。
 そこで、低入札価格調査制度についてでございますが、現在の制度を導入した昨年7月から昨年度末までの間に、普通会計において、低入札で失格となった者は144者、また、今年度も4月から8月までの間におきまして74者が低入札失格となっておりまして、現在の調査基準価格や失格制度は、低入札の防止に一定の効果を発揮していると考えてはおりますが、調査基準価格に係る国のモデル改正などを踏まえまして、調査基準価格の算定式などにつき、必要な見直しを行う方向で検討を進めているところでございます。
 また、価格のみの競争ではなく、工事の品質確保を重視していく観点から、総合評価落札方式をさらに拡大することについて検討したいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、日本短角種の現状と振興策についてでございますが、消費者の食の安全・安心や健康への関心の高まりに伴い、近年、日本短角種の評価が向上するとともに、最近の輸入飼料価格の高騰を背景に、自給粗飼料で飼養可能な日本短角種の有利性が改めて見直され、子牛価格や枝肉価格が上昇しつつあり、久慈地域などでは飼養頭数が増加しておりますものの、県全体では減少傾向で推移しているところでございます。
 このため、本県独自に開発した粗飼料多給肥育技術の活用によるプレミアム短角牛肉の生産を拡大するとともに、繁殖から肥育までの一貫生産体制の整備や、北東北3県の連携による家畜改良に取り組んでいるところでございます。
 また、販売面では、関係団体と一体となって、うまみ成分が豊富で健康志向にマッチした短角牛肉の積極的なPR等に努めるとともに、外食産業等への販路を拡大し、日本短角種の生産振興を図ってまいります。
 次に、サケの増殖事業の振興についてでございますが、秋サケの漁獲量は、平成8年の7万トンをピークに減少に転じ、平成11年に3万トンを下回って以降、近年は2万トン台で推移いたしております。
 この原因は、回帰率の低下によるものでございまして、その要因の解明に向け、国の研究機関との連携のもと、調査・研究を行ってきたところであります。この結果、えさとなるプランクトンの発生量の多い年や、いわゆるサーモンロードとなる5度から13度までの表面水温の面積が広い年に、稚魚の生残率が高くなる傾向がわかったほか、ふ化場での過密飼育や適期前の放流が多いことが指摘され、健康な稚魚の育成管理が課題となっております。
 このため、国の試験研究機関及び関係団体と連携し、飼育管理マニュアルの改訂や技術研修の充実、さらには、ふ化場の飼育能力診断と改善指導などにより飼育技術の向上に努めているところでございまして、今後とも、こうした取り組みにより、サケの回帰率向上に努め漁獲量の増大を図ってまいります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 県立病院の経営のあり方についてでありますが、まず、病床利用率の低下の原因については、平成19年度の病床利用率は、一般病床と療養病床を合わせて79.1%であり、前年度と比較して1.9ポイント減少し、延べ患者数で前年度に比べ4万4、609人、3.1%の減少となっており、このうち大船渡、宮古、遠野、久慈病院の4病院で延べ2万9、783人、7.6%の減少となっております。
 その主な要因としては、循環器科を初めとした医師の退職や大学への引き揚げなどの影響で、新入院患者が2、086人、2.6%減少したこと、さらに、クリニカルパス―標準診療計画の推進により、平均在院日数が年々短縮されることなどが病床利用率低下の要因と考えております。
 次に、患者7人に対して看護師1人を配置するいわゆる7対1看護についてでありますが、現在、多くの病院で取得している10対1看護に対して7対1看護を取得した場合、1日当たりの配置看護職員数は、日勤帯、昼間の時間帯ですが、日勤帯で9人から10人が16人から17人と7人程度多くなることから、ベッドサイドケアの充実などにより、患者さんの状態や個別的ニーズに応じたより手厚い看護が受けられるとともに、医療安全の面からも大きな効果が期待できることや、収入面では、入院基本料が高く設定されることにより、収益の増加につながるものと考えております。
 しかしながら、7対1看護配置基準の取得には看護師の大幅な増員が必要となることから、当該看護体制の必要性、あるいは経営に与える影響などを十分検討しながら対応していかなければならないと考えております。
 次に、電子カルテ導入の実態とサービス低下等への対応策についてでありますが、電子カルテについては、医療情報の蓄積と共有により、医療の質や患者サービスの向上、医療の安全、さらには業務の効率化等を目的に、平成18年度に移転新築した磐井・南光病院への導入を皮切りに計画的に進めているところであり、平成20年度には二戸病院に、21年度には春に開院予定の中部病院―仮称であります―や久慈、胆沢病院へと順次拡大を予定しているところであります。電子カルテ導入当初におきましては、医師自身が情報や指示の入力を直接行うことになることから、時間を要し、患者さんに御迷惑をおかけしておりますが、徐々に改善されるものと考えております。
 これまでも、導入前はもとより、導入後においても、現場の医師などの意見・要望を踏まえながらシステムの構築に取り組んでまいりましたが、今後においても、操作性を高めるなど、必要な機能の強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、病診連携の実態についてでありますが、すべての県立病院に地域医療福祉連携室を設置し、県立病院と開業医との役割分担に対応した患者の紹介と逆紹介の推進を図っており、平成19年度に開業医等から広域基幹病院等に紹介を受けた患者は延べ5万9、072人、紹介率31.6%となっており、前年度と比較して6、305人、5ポイント増加し、逆に広域基幹病院等から開業医等へ逆紹介した患者は延べ4万4、066人、逆紹介率23.5%となっており、前年度と比較して1、704人、2.2ポイント増加しております。
 また、地域医師会との定例的な症例検討会や各種研修会の実施、開放病床の整備やMRI等の医療器械の共同利用など、施設開放の取り組みを進めております。
 さらに、必要に応じ、地域開業医等から診療応援を受けており、平成20年4月現在では、17病院で48人となっております。
 医師不足の中で地域医療を確保するためには、県立病院と地域開業医との連携がますます重要になってくるものと考えており、今後ともより一層病診連携を推進してまいる考えであります。
〇23番(嵯峨壱朗君) 何点か質問させていただきます。
 余りこのことについては再質問とかをする予定はなかったんですけれども、要するに祭壇は知事室にはないとうことでいいですね、そういう理解で。
 それと、それこそ霊の話をしてもしようがないと私も考えるんですけれども、余りよくわからなかったので、後で教えてください、何かの機会に。いろいろな考え方があるでしょうから。
 6月の久保孝喜議員の質問のときの答弁ですけれども、確認になるかと思いますが、あれは、先ほど話した県北、沿岸の住民の方々のそういった強い要望等があれば時期も考え直す余地があるというふうな答弁だったのかなと思って実は私は理解していたんです、そういった理解でいいのかどうか。
 この四つの広域圏の設定がそれ自体はいいものだというふうに考えておられるんでしょうから、考え方の相違としてしようがないですけれども、実際には、同じ四つという形であっても、現在でも地域差があるわけです、広域圏ごとに。それを同じような形でとらえていいものかという素朴な疑問があるわけです。県北・沿岸地域というものに対して特に力を入れていくという話はお聞きして、大変ありがたく思いますけれども、何かもっと、単純に四つのあり方とちょっと違った位置づけがあってもいいんじゃないかなという気がしているんです、四つに分けたとしても。
 そういった考え方はないのかというのをお聞かせ願いたいと思います。
 それと、入札制度のところですけれども、種々見直しをしていくという話と理解しましたけれども、これはいつごろまでにとか、そういったものがもし用意されているものであればお聞かせ願いたいと思います。
 それと、短角牛のところですけれども、ほとんど答えになっていないような気がして私は聞いていたんですけれども―つまり具体性がなかったという意味です。具体的じゃなかったような気がしました。
 例えば繁殖の問題もあるでしょうし、肥育と消費の話だったような気がして聞いていましたけれども、そういった課題等もあるかと思うんですが、そういったことに対してはどういうふうに対処しているのかということも、特に繁殖の部分についてお聞かせ願えればと思います。
 それと、サケですけれども、ずっとこういう議論をしています。健苗確保のためにいろいろなことをしていくということでしょうけれども、3分の1になっているんですね、種苗の改良も含めて。そしてどうなるかというと、放流の種苗が減っていくと。そうすると、4年後、5年後に回帰するサケの量にも影響があると。実際に回帰率が岩手県は極めて低いわけです。そういったことにもきっちりと対応していくべきだと思っておりますけれども、その辺もう一度お聞かせ願えればと思います。
〇知事(達増拓也君) 祭壇についてでありますが、祈るときのよすがとするという意味では私にとっては祭壇でありまして、ただ、そういう祈りをささげない人にとっては祭壇ではないでしょうから、私以外の人にとっては祭壇ではないと言っていいんだと思いますが、記者会見で聞かれて祭壇があると言ったことは事実と言っていいと思います。
 4大広域圏についてでありますけれども、去年の統一地方選、私は知事選挙としてやっていたわけでありますが、岩手を四つの広域に分けて、県がその広域の視点で地域振興に取り組むということについては、県北、沿岸も含めかなり広範な支持があったし、また、それはもうすぐ始めてくれという強い意向が民意としてあると感じました。
 ただ、示された懸念としては、広域の端のほうにある地域、隣の圏域あるいは隣の県と接するようなところが取り残されたり、また、ちゃんとその広域振興の中に組み込まれないのは困るという不安、心配はあちこちで伺いましたので、公約の中にも、マニフェストの中にもそういったところは特段の施策を講じるというようなことを書いたつもりでありますし、そのこととあわせて、四つの広域圏で地域振興ということについては全県的な大きな支持をいただいたんだと思っております。
 なお、そうした広域の中でのさらなる役割分担、広域の中での政策の司令塔を担う部分、広域の中で産業のいろいろな主力、広域の中で観光の目玉、そして隣の広域や隣の県との連携の中での重要な役割を果たしていく、そういうのは、早く四つに分けた地域振興をスタートさせないと、そういう役割を担ってどんどん地域が振興されていくということも始まらないわけですので、そういう意味ではできるだけ早く始めたほうがいいんだと思っております。
 ただし、そこはちゃんと、選挙の信任は得ているといいながら、やはり実際に実施していく場合には県民の意見を伺いながら慎重に進めるべきということで、今、パブリックコメントをやったりしているというところでございます。
〇総務部長(川窪俊広君) 調査基準価格の算定式の見直しなどを検討中と申し上げたところでございますけれども、この点につきましては、できるだけ早く方針を固められますように、現在、作業を進めているところでございます。その内容を取りまとめましたら、速やかに関係の業界の皆様方への説明を十分に行わせていただきたいと思っておりますし、また、必要な周知期間をとるということですとか、あとは役所側のほうも準備作業ですとかシステムのテストランなども必要になりますので、そういったことを行いました上で円滑に実施に移せるようにやっていきたいと考えているところでございます。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 短角牛の関係とサケの関係について再質問をいただきました。
 まず、短角牛の関係でございますが、少し詳しく御説明させていただきますと、飼養頭数の関係につきましては肥育と繁殖がございますけれども、肥育につきましては前年比で108%ぐらいの数字になっておりまして、比較的順調に県全体でも伸びております。しかしながら、御指摘のように繁殖の関係がいま一つ伸びていないということで、前年比で大体94%ぐらいの水準になってございます。ただ、この繁殖につきましても、地域別にこれを見ますと、全県では先ほど申し上げましたような状況でございますが、久慈地域等におきましては103%程度まで伸びているという状況でございまして、今後、こういった特に繁殖雌牛の増頭と確保ということが重要な課題になっております。
 そういったようなことで、まず、その繁殖雌牛の増頭の関係では、具体的な繁殖雌牛の導入、それから保留ということを支援するということで、農畜産物振興機構、これは国の独立行政法人でございますけれども、この事業を活用して、こういった導入、保留に係る経費の支援、奨励金という形で支援をさせていただいていますし、それから、短角牛全体の底上げということで、議員御指摘のとおり、輸入飼料の高騰等に対応した形で自給粗飼料の給与の割合を高めていくということで、本県独自で開発をいたしましたデントコーンサイレージを非常に多くえさとして使う技術がございまして、これを今、積極的に進めているところでございます。具体的には、慣行のいわゆる肥育の方式に比べますと大体3割ぐらいえさ代が軽減できるということがわかっておりまして、これを今、積極的に進めるということで、そのデントコーンの栽培を拡大しているということでございます。
 それからもう一点、サケの関係でございますが、県の予算額については御指摘のとおり減少している状況にございますが、県全体の稚魚の放流数でございますけれども、これは昭和61年から昨年まで4億3、000万尾水準でほぼ一定してございます。国の財源、それから民間のほうからの財源、そして県の財源ということで、大体放流数は一定でございます。ただ、答弁の中でも申し上げましたとおり回帰率が下がってきておりまして、平成10年まではおおむね3%台だったものが、11年以降は2%台に低迷しているということでございまして、これを1%でも上げることができると漁獲量の拡大が期待できるということで、先ほど答弁申し上げましたような形での回帰率向上に向けての取り組みということを実施させていただいているところでございまして、実施に当たりましては、県と国の試験研究機関でこの8月にチームを設置いたしまして、具体的な試験研究も含めて取り組んでいるところでございます。
〇23番(嵯峨壱朗君) 今の知事の答弁で、選挙のときのマニフェストの話ですけれども、せんだっての競馬のところでもそうでしたが、そのマニフェストを有権者が全部見て判断しているわけではないと思うんです。ですから、確かに結果としてはそうとらえることも、選挙ですから、ただ、これは見る機会というのはなかなかないんです、実は。ですから、すべてそれを見て判断して、それで信任を得たという、これは信任を得た側からすればそうでしょうけれども、それがすべてなのかという疑問を非常に素朴に感じるんです。多くの有権者がそれを全部見られるというものでもないなという気がしているんです。その点の兼ね合いはどう考えているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) マニフェスト選挙のあり方についてはいろいろ議論があるところなんだと思いますけれども、ただ、マニフェストという言葉ができる以前から公約という言葉はありまして、そして、選挙というものは、基本的に公約を掲げて政策を明らかにしながらそれを選んでもらうということが強いんじゃないかと思います。最近、特に有権者の立場に立って、選挙をそういうものにしていこうという動きが強まっておりまして、ですから、有権者がマニフェストを全部読んではいないんじゃないかというような考え方を前提とすると、およそマニフェスト選挙でありますとか公約を掲げた選挙ということ全体を否定してしまうことにならないかという懸念を覚えるのでありますけれども、そういう意味では、特に去年の春の統一地方選挙は、岩手において、その前の統一地方選挙で増田知事がマニフェスト選挙というのを地方自治体としては初めてやったような格好、神奈川県とどっちが先だったか、いずれ岩手はマニフェスト選挙の先進県でありまして、さらなるマニフェスト選挙の成熟という流れの中で行われた選挙でありますから、やはりあのときの負託をいただいた以上、その公約、マニフェストというのを実現していくという方向性については県民に対して責任を果たしていかなければならないというふうに考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時18分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時34分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤大輔君。
   〔30番工藤大輔君登壇〕(拍手)

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