平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(吉田洋治君) ただいま、我が会派の田村誠議員の一般質問のうち、岩手競馬存続に向けた包括的民間委託に関連いたしまして質問をいたします。
 政和・社民クラブでは、達増知事に対し、平成20年度予算編成に関する12の重点要望項目の一つに、地域資源としての岩手競馬再生に全力を挙げることを強く求めてきたところでございます。
 10月1日のマスコミ報道によれば、県競馬組合議会臨時会が9月30日に開かれ、民間委託拡大の最優秀企画提案として選定した日本ユニシス株式会社との交渉が現時点での打開策は見出せず、交渉決裂の可能性ありと報じており、岩手競馬の存廃に大きく問題を提起しております。
 そもそも民間委託につきましては、平成17年1月施行の競馬法改正により、競馬の実施に関する事務について委託先が大幅に拡大され、従来の都道府県もしくは市町村に加え、日本中央競馬会、私人、いわゆる民間に拡大、さらに平成20年1月から地方競馬全国協会にも委託することが可能と法改正がなされたことから、330億円の借財を抱える岩手競馬再生に向け、あらゆる努力が傾注されてきたものと思っております。
 そうした状況下、県競馬組合議会は、昨年10月25日、県競馬組合に対し、岩手競馬の存亡をかけた提言及び勧告を行ったのであります。
 その第1は、業務委託に当たっては、可能な限り競争原理によってコストの縮減を行うこと。賞典費の縮減については、その取り扱いに慎重に判断されたいこと。第2は、売り上げ向上のため、競馬ファンの期待にこたえる魅力ある岩手競馬の構築を図ること。第3は、場外発売所について費用対効果を再精査し、運営体制についても見直すべきもの。そして特記事項として、競馬事業の存廃基準は収支均衡であり、330億円の借入金償還の債務を負っていることから、第1点に、競馬組合の自主再建が可能であるかどうかについて12月20日までに競馬議会に報告されたいこと。第2点は、収支均衡が可能で継続が判断された場合でも、競馬組合業務の大幅な民間委託について可及的速やかに検討すべきこと。
 以上、五つの提言、勧告と同時に、この問題は事務レベルで解決できる段階でなく、管理者のリーダーシップによる判断が求められているとしたものであり、私は、この提言、勧告を重く評価し、岩手競馬再生を願いつつ、6月定例議会における一般質問において、達増知事を初め県当局に諸問題についてただしたところであります。
 以上の視点に立ちまして、以下、質問いたします。
 第1は、去る5月25日開催の第3回企画提案選定委員会において、日本ユニシスを最優秀企画提案と選定した事実を踏まえ、競馬議会が提言、勧告したとおり、管理者のリーダーシップを求めていることから、民間委託を実施するかどうかの最終判断について、構成団体の長の決断が求められております。したがって、管理者である達増知事みずからのトップ交渉を含む積極的な行動が打開策を見出す最善の策であり、同時にタイムリミットであると考えますが、民間委託に対する知事の基本的な考え方についてお伺いします。
 第2に、委託合意に至らない場合も想定し、現行どおり直営方式の準備も並行して行うとさきの競馬議会で報告があったと承知しましたが、4月5日から9月29日まで78日間の発売額は134億9、700万円、対前年比で89.9%、入場者数で95万6、900人、前年比92.6%と大変厳しい状況にあります。したがいまして、競馬関係者に対し、岩手競馬の現状を組合はどのように説明をしているのか。存続か廃止かの大きな議論の中で、昨年は必死の思いで乗り切ってまいりましたが、3度にわたるコストカットで現行方式の限界は認識しているはずです。ここを乗り切るためには痛みも生じます。仕組みを変えることが必要ではないでしょうか。その意識改革を求めるのが組合経営者の責任であり、義務ではないかと思うのであります。
 また、現在、企画提案の段階にとどまっているものを、今日の実績、情報に基づく実行計画策定が必要と思います。この岩手競馬再生の実行計画策定についてどのように進めていくのか、このことについてお伺いしたいと思います。
 お願いします。
〇知事(達増拓也君) トップセールスという言葉がございます。私も、企業立地でありますとか、また物産展、そうした岩手のすばらしいものをどんどん売り込んでいくことについてはトップセールスをどんどんやっていこうと思っておりますし、やっています。それは、相手に岩手の工業用地を買っていただく、また、農林水産物や工芸品、そういう岩手の物産を買っていただくということなんですけれども、岩手競馬については、岩手競馬あるいは岩手県競馬組合を売ろうとしているわけではございません。また、法律上、売ることはできません。なぜなら岩手競馬というのは、岩手競馬を経営している岩手県競馬組合という主体は特別地方公共団体であって、その構成員は岩手県と盛岡市と奥州市です。本質的には、岩手県競馬組合を構成するのは岩手県民なんです。岩手競馬の命運については、これはもう初めから最後まで岩手県民に責任があるのであって、だからこそ岩手県知事が岩手県競馬組合のトップの管理者を務めているわけであります。
 岩手県民は、岩手競馬から逃げるわけにはいかない。だから、私も、知事就任以来、逃げずに、常に先頭に立って岩手競馬の経営の問題、馬インフルエンザのような危機管理に対しても先頭に立ち、一貫して先頭に立って、岩手県民が全体として果たすべき責任を、それは民主的な地方自治のプロセスにのっとって果たしていかなければならないわけですから、知事が先頭に立って果たしてきたつもりでありますし、そして今もその姿勢に変わりはなく、これからも変わりはありません。
 また、去年4月の統一地方選挙、その直前に今のこの岩手競馬の新計画に基づく売り上げに応じたコスト管理を徹底させることで、赤字にならなければ存続オーケー、逆に言うと、存続のためには赤字を出してはならない、これ以上県民に負担をかけてはならないという条件で競馬の存続が決まった直後に、去年の統一地方選が行われ、知事選挙においても、次点になった候補者は、即時廃止を主張していました。そしてまた、即時民営化を主張していた候補者もいました。しかし、廃止も、また即時民営化も支持は伸びず、私が当時公約として掲げていたのは、過去の経緯をきちんと検証し、それに基づいて合理的に経営を進めていくということでありました。
 それが、昨年、競馬議会の支持もいただいて、平成19年度新方式に沿って競馬の経営を行い、それまで一度もできなかった単年度の黒字を達成、そして、ことし平成20年度も、競馬議会の了承をいただいた現行方式による予算に基づき、ことしも黒字の達成が見込まれております。
 そうした中で、岩手県民として主体性を持って、よりよい経営のあり方を追求するという中で大幅民間委託の可能性を追求しているところでありまして、最初から、県民が主体性を持った選択でなければならないと思っておりましたし、今でもそう思っております。
 そして、あらかじめ決めた手続に従って作業は粛々と進んでいると考えております。基本的に何の瑕疵もなく、何の問題もなく進んでいると考えております。あとは、岩手県民が民主的なプロセスのもとで筋の通った判断を今後もしていけばいいだけの話でありまして、そういう意味で、私は、岩手が直面するさまざまな問題の中では、岩手競馬というのはそれほど大きな問題だとは思っていません。岩手県民の知恵と力を結集できれば、必ず克服できる問題だと考えています。
   日程第2 認定第4号平成19年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第18 報告第12号平成19年度決算に基づく岩手県工業用水道事業会計に係る資金不足比率の報告についてまで
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第2、認定第4号から日程第18、報告第12号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。川窪総務部長。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) ただいま議題とされました議案等について御説明いたします。
 認定第4号は、平成19年度岩手県一般会計歳入歳出決算を認定に付するものであります。
 平成19年度の一般会計決算は、歳入総額7、310億9、900万円余、歳出総額7、212億2、500万円余で、差引残額98億7、300万円余から繰越財源額70億6、900万円余を差し引いた実質収支は28億400万円余の黒字となっているものであります。
 認定第5号から認定第14号までは、平成19年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計ほか9特別会計の歳入歳出決算を認定に付するものでありますが、各特別会計とも、実質収支は黒字となっているものであります。
 報告第7号は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づき、平成19年度決算に基づく健全化判断比率について報告するものであります。
 報告第8号及び報告第9号は、平成19年度決算に基づく流域下水道事業特別会計及び港湾整備事業特別会計の資金不足比率について、それぞれ報告するものであります。
 報告第10号から報告第12号までは、平成19年度決算に基づく公営企業会計の資金不足比率について、それぞれ報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、各決算を御認定くださるようお願いいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時45分 散会

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