平成20年9月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(佐々木博君) 民主・県民会議の佐々木博です。当面する県政課題を中心に順次質問いたしますので、簡潔で明快な御答弁をお願いいたします。
 最初に、新しい長期計画について伺います。
 9月補正で新しい長期計画の策定に要する経費として649万7、000円が計上されました。次期総合計画については、知事自身が、平成20年度からその策定に着手することを明言されていたところであり、その計画期間や構成といった計画のあり方について検討が進められていたところであります。今回、一定の方向性が定まったことから、その策定作業に本格的に着手されるとし、その策定の方向性として、1、策定時期については平成21年度をめどとすること。2、計画期間はおおむね10年とし、構成はおおむね10年の長期ビジョンとマニフェストサイクルと連動したアクションプランの両建てとすること。3、計画策定に当たっての基本的な考え方としては、長期的な岩手の将来を展望した上で、この10年間の持つ意義・役割を明らかにし、県民一人一人が、それぞれの希望を実現するための県民主体の計画としていくものであり、したがって、策定に当たっては、仕事や暮らしの現場の声を広く受けとめる機会を最大限に確保することなどにより、県民運動としての展開を図っていくことなどが示されております。
 そして、具体的な取り組みとして、仕事や暮らしの現場の声をいわて希望メッセージの募集という形で意見聴取する。未来を担う若い世代の声を首都圏在住の県内出身大学生との懇談や未来のいわて作文・論文コンクールで聴取することなどが挙げられています。
 私は、現在の基本計画が実態と大きくかけ離れていることもあり、策定に着手することに異論はありません。ただ、時代の変化が目まぐるしい現在、10年後の日本、そして我が岩手の姿を展望するといっても、それは余りにも不透明なのではないでしょうか。
 今の総合計画は2万5、000人を超える県民と733の企業・団体の参加を得て作成されたものですが、基本構想、基本計画、地域計画、実施計画と詳細で非常にボリュームがあります。
 私は、昨年の本会議での一般質問、あるいは本年の予算委員会において、今の不透明な時代に現総合計画と同じような詳細でボリュームのある10年もの長期計画を策定するのは不可能であり、また、その必要もないのではないか。むしろ任期ごとのマニフェストに沿った実施計画、次期計画ではアクションプランと呼んでいるようですが、これで十分ではないかと発言してきました。
 長期計画の策定を決断した理由と知事が考える新しい総合計画の長期ビジョンとはどのようなものを想定されているのかお伺いします。
 次に、広域振興局体制の整備の基本的考え方について伺います。
 平成18年4月から広域行政の圏域を県南、沿岸、県北、県央の四つの広域振興圏に見直すとともに、他の3広域振興圏に先立って、県南広域振興局が設置されました。この目的は、地方分権改革や市町村合併の進展、人口減少、少子・高齢化社会の到来など、地域を取り巻く環境が大きく変化していることから、この変化の方向性にしっかりと対応し、分権型社会の構築と産業の振興による自立した地域を確立するためであります。そして、先行した県南広域振興局の検証結果を見ると、幾つかの課題はあるものの、期待された成果が上がっており、まずは上々のスタートと評価できると思います。
 ただ、県南広域振興圏は、広域の市町村合併が進展し、産業も活発で、4広域圏の中で最も広域行政を展開しやすい地域であり、だからこそ他の圏域に先立って県南広域振興局がスタートできたのです。したがって、他の圏域でも同様にうまくいくかというと、いささか疑念がないでもありません。
 特にも、広域振興局体制への移行と市町村優先の行政システムの確立は、いわば表裏一体の関係にあるわけですが、市町村優先の行政システムの確立には市町村の行財政基盤の強化が必要であり、そのためには、市町村合併の一層の進展と市町村へのさらなる権限移譲が必要と思われます。
 実際、本県における市町村別の権限移譲の実績を見ても、平成12年度から20年度までの累計で、第1位が花巻市の942件、第2位が一関市の816件、第3位が奥州市の751件で、広域合併したところに多くの権限が移譲されております。県南広域振興圏と比較して、他の3広域圏は、市町村合併も権限移譲も進展していないわけですが、このことが、平成22年度から4広域振興局体制に移行することの障害とならないのか、知事の御所見をお伺いします。
 あわせて、県内でも新たな市町村合併に向けての動きがありますが、知事は、合併新法の期限である平成22年3月に向け、あくまで市町村の自主性に任せるのか、あるいは合併実現に向け積極的に働きかけるお考えなのかお伺いします。
 また、広域振興局の設置場所については、来年の2月ごろまでには明らかにしたいとしていますが、このことについて住民は非常に大きな関心を持っております。なぜなら、市町村合併で中心部だけがにぎわい、周辺部は寂れたという現実を見ているからであります。
 そこで伺いますが、行政センターになったからといって一挙に職員を異動させるのではなく、地域経済を考慮して、暫時時間をかけて職員を異動する配慮も必要かと思われますが、御所見をお伺いします。
 次に、入札の適正な執行について伺います。
 入札で県職員によるミスが2件連続して発生しました。一つは、釜石地方振興局が7月16日に行った平山通(3)地区急傾斜地崩壊対策工事の総合評価落札方式条件付一般競争入札で、県による技術提案評価の一部に誤りがあったため、本来落札すべきでない業者が落札者となったものであり、もう一件は、盛岡地方振興局で9月4日に行われた一般国道282号相沢地区用地測量業務委託の条件付一般競争入札で、失格基準価格の計算を間違えたというものであります。どちらも県側の単純ミスであり、業者に責任はありません。
 その後、釜石においては、ミスが発覚したため、同振興局は、入札に参加した全者に事情を説明。
 最初に落札した業者との契約を解除し、当初2番目だった業者を8月20日、落札者として再決定しました。
 一方の盛岡地方振興局では、入札参加業者に対し、9月24日、説明会を開催したようですが、公正な入札の執行が確保されていなかったとして、入札を取り消し、再入札を検討していると報じられています。
 しかしながら、解除や取り消しは責めのある相手側に対してできる行為であって、責めのある者がない者に対してできる行為ではないはずです。しかるに、県が何ら責めのない相手方に対し、契約を解除あるいは入札の取り消しをするなら、それがなぜできるのか、根拠をお示し願います。
 また、釜石では、再入札をしないで再決定しておりますが、これは適正な方法と言えるのでしょうか。本年7月に盛岡地方振興局で圃場整備工事の条件付一般競争入札が行われ、A者が落札しました。ところが、その後、A者が民事再生手続開始の申し立てをしたため、A者と契約ができなくなりました。そこで、2番札の業者がA者にかわって契約できないか打診したところ、入札が適正に終了している以上、それは認められず、先例に従って再入札しなければならない旨、県から回答があったと伺っております。そして、実際、既に再入札も済んでいるようであります。
 釜石の件とこの圃場整備工事との違いは、発注側の県に過失があったかどうかということだけです。しかるに、なぜその後の対応が異なっているのか、御所見をお伺いします。
 また、盛岡地方振興局での入札の件については、9月24日の説明会では、とても納得のいく説明はなかったとの声もあるようですが、県は、マスコミの指摘報道のとおり、入札を取り消して再入札を行う考えなのか、今後の方針についてお伺いします。
 県の執行する入札は大変厳格で、一文字違っても失格となることから、ベテランでも入札時には大変緊張すると聞いておりますが、業者にばかり厳しく身内に甘いということのないよう、公正で透明な執行を強く求めるものであります。
 ところで、今回連続した県側のミスは、事業を執行する部門と入札を担当する部門が分かれていて、入札の内容をよく熟知しないまま執行したことが原因と思われます。増田知事時代に談合防止の一環としてこのシステムが採用されたのですが、入札の内容について問い合わせても要領を得ないときもあるなど、業界の評判も余り芳しくはありません。総務部で所管する今のシステムが本当にいいのか、再考の余地があるのではないかと思うのですが、入札の執行体制についての知事の御所見をお伺いします。
 次に、建築士法の改正による県内経済に与える影響について伺います。
 耐震偽装の対策として建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法が、昨年6月20日施行されました。同法の改正は、偽装の防止には効果が大きかったものの、実体経済には悪影響を及ぼし官製不況を招いたと言われており、第一生命経済研究所の試算によると、2007年度の実質GDPをマイナス0.7%、金額にして約3兆8、000億円押し下げたと見られております。
 本県でも、建築確認に時間がかかり過ぎるなどの影響があったわけですが、本県の住宅着工にどのような影響を与えたか、また、建築確認のおくれなどはまだ続いているのかお伺いします。
 さらに、本年11月28日からは改正建築士法が施行され、新たに構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の資格が創設されます。そして、来年5月27日からは、一定以上の建築物について、これら新しく創設された有資格者による法適合のチェックが義務づけられ、それを欠くと建築確認申請が受理されないこととなります。
 ところで、先日この新たに創設された構造設計一級建築士と設備設計一級建築士の合格発表がありました。本県の合格者は、構造設計一級建築士が27名、設備設計一級建築士はわずか2名でした。構造設計や設備設計の従事者は、もともと一級建築士の有資格者が少ないと聞いておりますが、この新しく創設された資格を取得できないと廃業せざるを得ない方も相当数出るのではないかと危惧されるところであり、また、構造設計一級建築士はともかく、設備設計一級建築士がわずか2名では、3階以上で床面積が5、000平方メートルを超える建築物が対象とはいえ、余りにも少なく、設計業務に大きな支障が出るとともに、その結果、再び官製不況を招くことになるのではないでしょうか。
 設備設計一級建築士の不足に対して、県はどのように対処されるお考えかお伺いします。
 次に、県内中小企業に対する金融支援の強化について伺います。
 9月12日、内閣府が発表した2008年4月期から6月期の国内GDP改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.7%減、年率換算で3.0%減と1年ぶりのマイナス成長となりました。設備投資や輸出の減少幅が広がり企業活動が減速したことが主たる原因であります。世界的な景気減速の影響を受けて、内外需ともに停滞感が強まっており、政府が事実上認めた景気後退を裏づける内容です。
 加えて、今、米国に端を発したサブプライム問題による金融危機が欧米金融機関を中心に吹き荒れていますが、今後この影響が金融だけでなく、あらゆる実体経済に広がり、比較的傷が浅かったと言われる我が国経済にも波及してくると言われています。
 本県経済は、今でも原油を初めとする資源の高騰による原材料高、物価高で企業も消費も停滞していますが、これから年末、さらには来年とますます厳しさを増すと見込まれ、企業倒産もふえるのではないかと危惧されます。
 そこで、現在までの本県の企業倒産状況と今後の見通しについて御所見をお伺いします。
 次に、信用保証協会の保証承諾の状況について伺います。
 昨年10月から貸し倒れリスクを金融機関と分担する責任共有制度が始まりました。全国信用保証協会連合会によると、本年上半期の保証件数は前年同期比9%減の48万7、253件、保証金額も同10.7%減の約5兆7、342億円で、融資保証が急減しておりますが、制度変更により金融機関に貸し倒れリスクを負わせたことが大きく影響していると思われます。
 一方、本県の保証承諾状況を見ると、責任共有制度開始後も保証承諾は前年並みで推移し、むしろ本年7月には前年同月比で倍増しています。この要因は、同月から保証協会創立60周年の記念商品あゆみ60という利用しやすい制度を創設したことによると思われ、関係者に敬意を表するものであります。
 しかしながら、このあゆみ60は、本年7月から12月までの期間限定商品であり、期限が過ぎれば、全国と同様に保証承諾が急減するのではないかと危惧されるのですが、御所見を伺うとともに、このあゆみ60の期限を延長できないのかお伺いします。
 いずれ今の景気動向や金融を取り巻く環境を考えると、年末から来年にかけて資金繰りに困窮する事業者が相当数出るものと見込まれます。県では、中小企業経営安定資金保証制度に原油高対策を追加するなど、運転資金の融資による経営安定化の支援に機動的に取り組んでいますが、原油高以外にも対象を広げる、あるいは新たな融資保証制度を創設するなど、中小企業の経営安定化のため一層の金融支援に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、外国人観光客の受け入れについて伺います。
 6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震及び7月24日の岩手県沿岸北部を震源とする地震により県内観光施設は大きな風評被害を受けたわけですが、その被害対策として、岩手県観光協会が行う1億円1万人プレゼントキャンペーンに補助金を計上されたことに賛意を表するものであります。
 さて、今月から観光庁がスタートを切りました。少子・高齢化が進み、我が国の経済力や将来の見通しに明るい見通しが立たない中で、観光は、公共事業にかわって、地域を再生させ経済を活性化する潜在力を秘めた産業だと言われております。
 国では、我が国を訪れる外国人観光客を2010年までに1、000万人にする目標を掲げ、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開するなどしていますが、経済成長が著しい東アジア地域の観光客が飛躍的に伸びており、本県も、外国人観光客の誘致に積極的に取り組むべきと考えます。
 いわて希望創造プランでは、平成22年度の本県の外国人観光客の目標値を13.4万人回と設定しておりますが、昨年度の実績を見ると13万人回を達成しており、そのうちの11万7、000人回はアジアからの観光客で占められています。
 アジアからの観光客が前年度対比で2万人回、率にして23%も伸びた要因について伺うとともに、外国人観光客は、当初の想定を上回るペースで増加しており、既に平成22年度の目標値に近づいていることから、さらに高い目標値を設定して誘致に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 また、我が国を訪れる外国人観光客は平均4ないし6日間の日程で訪日すると言われております。
 したがって、成功事例を見てもわかるように、1県だけで誘客に取り組んでも効果は薄く、広域的な観光プランが必要であります。東北各県、あるいは北東北3県との連携はどのように行われているのかお伺いします。
 また、誘客にはインターネットの活用も有効と言われていますが、日本人の感覚でホームページの作成をしても余り見てもらえない、それぞれの国の人に作成を依頼したほうが効果が高いと伺っております。本県ではホームページの作成はどのようになされているのかお伺いします。
 次に、県営運動施設の整備と2巡目国体について伺います。
 県営運動施設の中心とも言うべき県営陸上競技場と県営体育館は、ともに昭和45年開催の岩手国体に合わせて整備されました。陸上競技場は昭和41年6月の完成、県営体育館は昭和42年7月の完成であります。したがって、両施設ともに完成から40年以上経過しており、老朽化が目立つとともに、陸上競技場は、公認規定が改正されたため、このまま手を加えなければ平成22年の更新時には第3種競技場への格下げとなります。
 スポーツ施設の充実は、多くの県民が望むところであり、県の総合計画などでも、国際的・全国的な規模のスポーツ大会等の開催が可能となる総合的スポーツ施設を整備すること。県民が高度な技術に直接触れることができる国際的・全国的なスポーツ大会の招致に努めることが盛り込まれ、平成12年から整備に着手することとなっていたのですが、厳しい財政状況のもと、凍結されたままになっております。
 端的に伺いますが、県は、県営の第1種公認陸上競技場を今後も所有する考えがあるのでしょうか、お答え願います。
 昨年の国体は秋田県で開催されました。国体開催の基本方針として、現下の厳しい財政状況を考え、競技施設については、既存施設の活用に努め、施設の新設等は大会開催後の有効活用を考慮し、必要最小限にとどめることとされていますが、秋田では、県営の総合プール、野球場、武道館の新設や陸上競技場の改修、市町村への補助金など、施設整備に約300億円投じられています。国体のようなイベントでもなければ思い切った投資ができないというのが本音だと思います。
 平成28年には本県で2巡目の国体が開催されますが、それに向けて、スポーツ団体を初め多くの県民から、全国大会規模の陸上競技を初め、サッカーJリーグ、ラグビートップリーグや各種国際大会も可能で、スポーツのだいご味や夢・感動が実感でき、豊かなスポーツ文化の振興が図られる複合的な競技施設の建設が強く要望されています。
 平成28年になると、今の県営陸上競技場はちょうど築50年となり、耐用年数も迫ってまいります。第1種公認競技場に改修するだけでも約17億円必要だと伺っていますが、耐用期限が来るものを改修しても投資効果は高まりません。
 香川県立丸亀競技場や平成23年の国体に向け現在建設中の山口県維新百年記念公園陸上競技場を見ても、収容人員3万人程度の施設で建設費は80億円程度であり、盛岡市でも応分の負担を覚悟していると伺っております。この機会を失すると、将来にわたって県民が望む運動施設ができないのではないかと強く危惧するものであります。
 英断をもって複合的な競技施設の建設を決意されることを強く望むものでありますが、知事の御所見をお伺いします。
 最後に、岩手競馬について伺います。
 まず、民間委託の交渉状況等について伺います。
 民間委託拡大につき日本ユニシスと協議中ですが、ユニシスから具体的なプランの提示を得られないまま、進展しておりません。管理者でもある知事は、ユニシスとの協議を進めるとともに、来年度の開催に向けた準備を具体的に進める時期になっていることから、現行方式による開催の準備についても同時並行して取り組むとしております。
 しかしながら、他の主催者との間での受託・委託の日程セットを初め、来年度の開催に向けて具体的交渉が進めば進むほど、大幅なレース数の削減などを行うとしている日本ユニシスとの交渉が成り立つ余地が小さくなります。したがって、日本ユニシスとの交渉について最終期限を決めて臨まざるを得ないと思うのですが、それは、ぎりぎりいつと想定されるのかお伺いします。
 また、あくまでも私の主観ですが、当初の企画提案の後、6月以降は全く事業内容面での提案が行われていないという経過、さらには、今回の日本ユニシスの社長からの文書回答についても、公開されていないので真意は不明ですが、組合から要請した賞典費など3項目に対する回答がなく、時間的な制約があることを理解しているはずであることを考えれば、ユニシスの岩手競馬受託への熱意が感じられないと思います。この状況の中で、しかも残された日程が限られている中で、知事は、ユニシスとの交渉をどのように進めていく考えなのか、今後の交渉の見通しについて伺います。
 次に、民間委託が成り立つかどうかの内容面の論点について伺います。
 ユニシスからの具体的提案がいまだないと言っても、当初のユニシスの企画提案内容は公表されておりますので、その内容を踏まえて2点お伺いします。
 一つ目は、来年度の売上規模を200億円としていることです。ことしの売上見通しについては、懸念したとおり、第1期が終わった時点で売り上げを21億円近く減額修正しました。昨年度は3回も減額修正しております。岩手競馬の発売額は平成3年度がピークで690億円でした。それが年々減少し、本年度の見込みは修正後で240億円。最近の傾向から見れば、来年度すぐ200億円にはならないとしても、景気が後退している現状を踏まえると、近いうちに200億円という売上規模も、想定される数字だと受けとめる向きもあると思います。
 しかし、ユニシスの企画提案では、同時に賞典費を14億円台にまで大幅に削減することになっておりますが、その賞典費の中でどのような数と内容のレースを実施して200億円という売上規模を確実に達成しようとしているのでしょうか、この点は疑問も感じます。組合ではこの200億円という来年度の売り上げ規模を問題視していますが、この点についての管理者としての知事の見解や対応方針をお伺いします。
 二つ目は、組合が問題視している収益保証の割合が0.25%と低いことについてです。今の岩手競馬の現状では、融資した金が確実に返済されることを期待するのは現実には無理だと感じている人もいると思いますし、日本ユニシスに対して、多くの金額を組合の収益として保証せよと言うわけにもいかないと思います。確かに収益保証は多いにこしたことはありませんが、0.25%という収益保証の割合が交渉の中で絶対的な障害になるものなのか、管理者としての知事はどう考えておられるかお伺いします。
 競馬関係の質問の最後に、収支均衡の見通しについて伺います。
 組合の説明では本年度収支均衡を維持できるとしておりますが、その中身を見ると、地方財政法施行令の改正により本年度は公営競技納付金の納付の必要がなくなった一方で、昨年度納付した公営競技納付金が1億9、900万円還付されることとなっております。今年度の修正後の計画では、その収入を含めた形での収支均衡を予定することになっておりますが、そうなると、来年度は、この2億円がないのですから、実質マイナス2億円からのスタートとなります。来年度の収支均衡については、それだけ今年度よりも厳しい環境に置かれるわけですから、競馬組合としては、今年度の収支をさらに改善して、この2億円の還付金を少しでも多く来年度の財源に使えるように残す努力をすべきですし、今年度よりもさらに厳しい環境になることを関係者にも十分に理解していただいて、民間委託の結論がいずれになるにせよ、甘い計画とならないように、実効性のある平成21年度計画を策定しなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
 私は、今もし岩手競馬が廃止となると、事業整理の関係費用やスタンドの撤去費等で100億円の負担が生じると見ておりますが、これでは余りにも県財政に与える影響が大き過ぎます。したがって、経営主体のいかんにかかわらず、岩手競馬を破綻させず継続させなければなりません。
 競馬組合管理者としての知事の強力なリーダーシップに期待して私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい長期計画についてでありますが、私は、知事就任後、次期総合計画を策定することも選択肢の一つとして検討したところでありますが、次期総合計画を策定するためには、ある程度の期間を要しますこと、また、県民所得の低下など、緊急的な課題に適切かつ速やかに対応する必要があることなどから、まず、喫緊の課題に道筋をつけていくため、総合計画の後期実施計画としていわて希望創造プランを策定したところであります。
 また一方で、先を見通しにくい時代だからこそ、本県の長期的な将来像を県民の皆さんと共有し、その実現に向けて努力することが重要であること、マニフェストは緊急的な課題への対応が中心になりがちでありますが、人づくりを初めとした長期的な視点で取り組むべき政策課題も少なくないこと、そして、知事としての新しい視点を取り入れた総合計画を策定し、より政策の実効性を高めていくべきとの声があったことなどから、次期総合計画を策定すべきとの思いを強くし、今般、新しい長期計画を策定することとしたところであります。
 この新しい長期計画は、おおむね10年の長期ビジョンとマニフェスト・サイクルと連動した4年間のアクションプランによる構成としていきますほか、長期ビジョンについては、今後、県民と一体となって希望ある岩手づくりを進めていくため、本県の長期的な将来像を県民の皆さんとともに描いていくことはもとより、施策の選択と集中を徹底し、より簡素でわかりやすく、県民がみんなで実現させていくような計画にしていきたいと考えております。
 次に、市町村合併等の進展と広域振興局体制への移行についてでありますが、県が広域振興局体制への移行により、市町村のエリアを越えた広域的な役割に重点化していくためには、市町村が基礎自治体としてその役割を将来とも適切に果たすことができるよう、合併や権限移譲によってその行財政基盤が強化されていることが望ましいものでありますが、現下の景気低迷や地域間の所得格差拡大などの情勢のもとで、いわて希望創造プランにおける重点目標であります県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出への歯どめなど喫緊の課題に対応するため、より広域的な観点からの効果的、効率的な施策展開が待ったなしであること、さらには、県として、極めて厳しい財政状況の中で、限られた経営資源を生かす視点での簡素にして効率的な行財政構造を再構築しなければならないことなどから、引き続き市町村合併や権限移譲の促進を図りつつ、広域振興局体制への早期の移行を進めることとしたものであります。
 次に、市町村合併についてでありますが、平成22年3月末の合併新法の期限も踏まえますと、市町村は、合併推進構想をもとに、各地域において合併協議会などを設置して将来のまちづくりや合併の是非等についてオープンな議論を行う時期に来ており、それぞれの市町村において住民本意の議論がもっと盛んに行われるべきと考えております。
 合併推進構想策定以来、これまでに200回以上にわたり各地域において説明会や意見交換会を開催し情報提供を行ってきたところでありますが、今後とも市町村と連携し、住民が的確に判断できる材料を提供することなどにより、合併協議会などが設置されるよう、地域の議論を積極的に促してまいりたいと思います。
 次に、入札に関する2件の事務処理ミスと入札執行体制との関係についてでありますが、今回の2件の事案は、本庁と振興局との間での事務処理の詳細部分についての不徹底や事実関係の初歩的な確認ミスによって生じたものであり、関係の皆様に申しわけなく思っております。
 これらについては、総務部が入札事務を担当していることと直接の因果関係があるとは考えておりませんが、いずれにしても、こうしたミスを繰り返さないよう、再発防止を徹底したいと考えております。
 なお、入札事務の担当部局については、工事の発注部局と分離し、よい意味での相互牽制のもとに円滑に執行していく観点から総務部に担当させているところであり、今後とも、発注部局と必要な連携をしっかりとりながら適切な事務の執行に当たってもらいたいと考えております。
 次に、複合的な競技施設の建設についてでありますが、平成28年の2巡目国体の開催は、本県におけるスポーツの振興にとりましては大きな契機となるものと認識しております。
 お尋ねの複合的な競技施設の建設については、国体の競技会場の選定動向を踏まえつつ、県の財政状況を勘案し、さらには現行の体育施設のあり方などを十分考慮して総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、岩手競馬について、日本ユニシスとの交渉の最終期限についてでありますが、来年度の競馬運営の基本となる開催回数及び開催日数については12月末までに農林水産大臣に報告することとなりますが、このためには、例年、新馬の購入がほぼ終わり、広域受託及び広域委託発売の調整が始まる10月ごろから、馬主など競馬関係者や他の地方競馬主催者との調整はもとより、関係委託先との調整を進め、来年度の大まかな収支見通しをもとに開催日程等を固めていく必要がございます。また、日本ユニシスへの委託が実現するとすれば、これまでの事業計画の内容を大幅に見直すこととなり、馬主や厩舎関係者、現在の取引先等への影響も大きく、その見通しを一日も早く示す必要があるところです。
 このため、来年度の開催に向けた準備作業を円滑に進めるためには、遅くとも10月中には民間委託を拡大するかどうかを最終的に判断し、平成21年度の事業運営方法を決定する必要があると考えております。
 次に、今後の交渉の見通しについてでありますが、民間委託拡大を実施するためには、日本ユニシスから具体的な実行プランが示され、その内容が現行の運営方式と比べてよりよい方式であると競馬関係者はもとより県民や議会の皆様に納得いただけるようなものであることが必要であり、重ねて具体的な内容を早急に示していただくよう協議しているところであります。
 速やかに具体的な実行プランが示され、その内容がだれもが納得できるものであれば、関係者との協議・調整もスムーズに行われ、10月中の最終判断に間に合う可能性もあると期待しているところであり、スケジュール的には非常に厳しいものの、もうしばらく日本ユニシスとの協議を行ってまいりたいと思います。
 次に、賞典費の水準と収益保証についてでありますが、本年5月時点での日本ユニシスの企画提案では、売り上げ規模を今年度の修正後見込みよりも約17%も減少させる200億円と設定しており、そのこと自体も問題点の一つと考えておりますが、賞典費については、今年度の修正後見込みに比べ、さらに約31%減少させる案となっており、賞典費を特別に厳しく切り込む考え方となっていましたため、そのような水準では馬資源の確保に支障が生じると懸念されるほか、そもそもレース自体が成り立つのか非常に心配をしております。
 したがって、このような賞典費の水準で、具体的にどのようなレースを組み立てて競馬開催を行おうとしているのか、また、200億円の売り上げ確保ということも果たして現実に実現可能なのかどうか、そこをしっかり見きわめることが不可欠であり、そのためにも、馬主を初め競馬関係団体等に対し意向確認や協議・調整を行う必要がありますことから、少なくとも、1、年間レース数、開催日程などの競走体系、2、賞金や各種手当の水準など賞典費の具体的な内容、3、初年度の基本的な収支見通し、この3項目については早急に提示いただくよう要請しているところであります。
 また、収益保証については、組合としては売り上げの1%程度を期待しておりましたけれども、いずれにしても、もともと多額の収益保証を求めているものではございません。また、売り上げが一定額を下回る場合には減額するルールとすることなども含め、さまざまな調整の余地があると考えていたところであります。
 ただし、330億円の融資のもとでの事業継続であることを踏まえますと、ユニシス案の0.25%では、売り上げが400億円を超えて初めて構成団体への元金返済が可能となることになり、県民、市民に御納得いただくのは難しいと思われますことから、少なくとも新計画を策定した当時よりも売り上げが増加した場合には構成団体への元金返済が可能となるような仕組みには持っていきたいと考えております。
 次に、来年度の収支均衡の見通しについてでありますが、今年度の途中から売り上げの減少に下げどまりの傾向も見られてきておりますが、御指摘の2億円の還付金収入の減少などから、来年度はさらに厳しい経営環境となることが見込まれ、収支計画も相当厳しく見積もらなければならないことについて、競馬関係者や取引先企業と十分に共通の認識に立って、収入の拡大に向けてあらゆる方策を講じるとともに、支出面でも関係者の理解と協力をいただき、経費の見直しや業務の効率化をさらに徹底していかなければならないものと考えております。
 このため、今年度は、より多くの収益を確保するために、今月中旬に予定されている岩手競馬最大のグレードレース競走である南部杯を中心にさまざまな増収策を展開するとともに、引き続き経費の見直しや業務改善の徹底を図り、少しでも多くの留保資金を持って平成21年度を迎えられるよう取り組んでまいりたいと思います。
 また、今年度売り上げが好調だった薄暮競馬の開催などの増収策について、その効果を十分検証し、来年度の開催計画に反映させるとともに、他主催者との広域受託・委託発売の連携強化によるさらなる増収を目指して、今月から他主催者との協議に入ることとしております。
 民間委託拡大の成否にかかわらず、このような取り組みは全力で進めていく必要があると考えておりまして、来年度に向け、収支均衡が達成できる事業計画を取りまとめ、それを確実に実現するよう、私が先頭に立ち、関係者一丸となって競馬事業の存続を確かなものとしてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 広域振興局体制における行政センターへの移行方法についてでありますが、行政センターにつきましては、原則として本局に業務を集約し、県民の身近な業務を担うべき役割に応じた体制を整備することとしておりまして、これに伴う業務量の配置に応じて職員数の移動も予定されるところであります。
 一方、県の職員は、地域で生活することによって、衣食住などさまざまな消費活動を通して地域経済とかかわりを持っていますことから、職員数の移動に伴う地域経済への影響につきましては県としても考慮しなければならないものと考えております。
 そのため、広域振興局体制の検討を進めるに当たりましては、行政センターへの移行に伴う地域経済への影響についてできるだけ最小限にとどめるよう配慮するとともに、広域振興局全体の地域振興策を展開する中で対処する方向で検討してまいる考えであります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 盛岡地方振興局において入札しました一般国道282号相沢地区用地測量業務委託の入札取り消しについてでありますが、今回の取り消しによりまして入札に参加された方々に多大な御迷惑をおかけし、また、建設関連業務委託の入札制度の信頼を損なったことに対しまして、まずもっておわびを申し上げる次第であります。
 再発防止に向けまして、入札公告及び入札条件の書式を改善したところでありまして、また、入札事務の担当部とより一層緊密な連携を図りながら取り組んでまいります。
 まず、入札を取り消した根拠でありますが、行政実例によれば、例えば入札の手続に違法があり、契約の内容の重要な要素に影響を及ぼすなど軽微とは言えない瑕疵がある場合には、入札全体を取り消して再度の入札を行うとされております。今回の入札手続におきましては、入札日前に一部の入札参加者から業務区分の問い合わせがあり、本来、測量業務と回答すべきところを補償コンサルタント業務と回答したことによりまして、入札に参加された方々が二通りの異なった業務区分を適用して応札が行われた可能性があること。さらには、当日の入札におきましても、失格基準価格の決定に用いる制度適用価格につきまして、本来の業務と異なる補償コンサルタント業務の算定式を用いて行われたこと。これら一連の入札手続につきまして、行政実例を参考に判断した結果、公正、公平な入札環境を提供できていなかったものとしまして入札手続全体を取り消したものでございます。
 なお、今後こうしたことが発生しないよう、制度適用価格の算定に使用する業務区分を入札公告及び入札条件に明示したところでございます。
 次に、当該業務委託の今後の方針についてでありますが、これまで入札参加者全員に先ほど答弁申し上げた内容につきまして説明を申し上げ、入札の取り消しを通知したところであります。再入札の手続を現在速やかに進めたいということで作業をしているところでございます。
 次に、改正建築基準法施行の影響についてでありますが、まず、本県の新設住宅着工戸数の状況ですが、昨年6月20日に法が改正されて以来、7月から10月までの対前年同月比で、戸建て住宅などの木造では70%、マンションなどの非木造は30%、合計では50%台まで減少しておりましたが、昨年11月からことし6月まででは、木造で約98%、非木造で51%、合計では85%となっております。非木造につきましては、景気低迷などの影響によりまして法改正前の水準にはないものの、全体では法改正直後と比べまして回復傾向が見られてきたものと考えております。
 次に、建築確認の状況についてですが、一般の木造戸建て住宅につきましては、申請受け付けから確認済証の交付までに法改正前と同じ7日間を要しております。非木造などの構造計算適合性判定が必要となる大規模建築物につきましては、昨年12月から申請窓口における事前相談の実施や、ことし4月から開始した申請の処理状況をホームページでお知らせするなど、建築確認の円滑化に向けた取り組みを進めてきたところであります。その結果、昨年12月には申請受け付けから確認済証の交付までに77日間を要し、法定日数の70日間を超えておりましたが、ことし4月から8月までの平均処理日数は62日間となっている状況でございます。今後とも、引き続き建築確認の円滑化に取り組んでまいります。
 次に、改正建築士法施行の影響についてでありますが、御指摘のとおり、県内の設備設計一級建築士の資格を有する建築士は2名でございまして、他県に比べて少ない状況でございます。
 建築物の安全性確保のため、法改正によりまして、平成21年5月27日以降に3階建てかつ5、000平米以上の建築物の設備設計を行う場合には、この資格を有する建築士によって建築基準法への適合性を確認する、いわゆる法適合チェックが導入されます。この制度は、設備設計に高度な専門知識を有する建築士の関与を外部委託を含めて求めるものでありまして、資格を有する建築士が建築士事務所にいない場合でも業務を遂行できるものです。また、県内におきまして、平成19年度に建築確認がなされた非木造の建築物約900件のうち、仮に法適合チェックを適用するとした場合、対象となる建築物は14件、約1.6%と想定されます。したがって、法改正によりまして直ちに県内の建築士事務所の経営に直接的な影響を与えるということは少ないのではないかと考えております。
 しかしながら、法が施行された段階では、設備設計を行う場合、法適合チェックの対象建築物以外であっても、資格を有する建築士がいる事務所に依頼されることが懸念されることから、県内で従来から行われてきた設備設計業務の形態に少なからず影響があるものと考えております。
 県では、このため、建築関係団体に対しまして設備設計一級建築士の資格取得に向けて、積極的な講習会への参加を要請するとともに、国に対しまして、受講者の負担軽減を図るため、県内において資格取得の講習あるいは技術力向上のための講習会を開催していただくよう要望しているところでございます。今後とも、建築関係団体と継続して意見交換を行うとともに、国に対して資格取得の支援措置などを強く要請してまいります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 釜石地方振興局において発注した急傾斜地崩壊対策工事の件についてでございますが、これは落札決定の誤りであったものでございますけれども、こうした誤りの発生につきましては、入札参加者の方々に多大な御迷惑をおかけし、また、県民の入札契約事務に対する信頼を損なうものでございまして、関係の皆様方に深くおわび申し上げたいと存じます。
 これらの再発防止に向けまして、事務執行の各段階における十分なチェックの徹底をしっかり行ってまいりたいと存じます。
 この件につきましては契約直後に契約を解除させていただきましたけれども、その根拠につきましては、工事請負契約は私法上の契約に属し、民法の規定が適用されますことから、当事者の合意により契約を解除することができることとされております。今回、総合評価落札方式における技術評価の採点に誤りがあり、本来、落札者とすべきでない者を落札者として決定したことから、相手方に謝罪と説明を行いますとともに、合意をいただきまして工事請負の解除契約を締結いただいたものでございます。
 この、ただいま申し上げました釜石局の案件と、それから御指摘がございました盛岡地方振興局の別の工事、圃場整備工事との違いについてでございますけれども、釜石地方振興局のケースは、開札の結果といたしまして、落札者となるべき者が客観的に明らかに存在しているにもかかわらず、その本来の落札者とは異なる者を県側のミスによって落札者としてしまったものでございまして、そうしたことから、誤った落札決定を取り消し、本来の落札者に落札決定をし直す必要があったものでございます。
 なお、その際には、行政実例によりまして、当該入札に参加した者全員の同意を得るべきものとされておりましたことから、今回の事例におきましても、入札参加者全員の同意をいただきまして本来の落札者に決定し直したところでございます。
 一方、盛岡の圃場整備工事のケースにおきましては、入札手続はすべて適正に行われまして本来の落札者に正しく落札決定されたものでございまして、その後に当該落札者が民事再生手続開始の申し立てを行いましたことから契約が締結できなくなったものでございます。この場合には再度入札をやり直すことになるものでございまして、この事案につきましてもそうしたルールどおりに対応させていただいたものでございます。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 本県の企業倒産状況と今後の見通しについてでありますが、ことしに入ってからの県内における企業の倒産件数は、9月末現在で89件、負債額で444億円余となっております。前年同月と比較すると、件数は11件、14.1%増、負債額は262億円余、143.6%の増となっており、特に倒産の大型化が顕在化しており、負債額10億円以上の大型倒産が9月末現在で8件発生しております。
 県内の中小企業者は、昨年来、原油・原材料高の中、厳しい資金繰り等を余儀なくされており、岩手県中小企業団体中央会などの調査においても深刻な経営状況が続いていることが確認されており、今後このような状況が継続すれば、これまでのペースを上回る倒産が発生する可能性もあると考えております。
 次に、信用保証協会の保証承諾の状況についてでありますが、信用保証協会の7月の保証実績は、あゆみ60の保証実績が好調なことから、昨年と比較して増加しております。
 信用保証協会としては、あゆみ60は期間限定商品であり、期間内に多くの中小企業者に利用してもらうという趣旨から、現時点では期間の延長は考えていないと聞いております。
 なお、期間終了後においても、保証実績が急減することがないよう、今後見込まれます国の中小企業金融対策に連動して、既存の制度を活用したセーフティネット保証を促進するなど、中小企業者に対する融資に不都合が生じないよう配慮する意向であると聞いており、県としても、信用保証協会と連携して中小企業者の金融の円滑化に積極的に努めてまいります。
 次に、中小企業への金融支援についてでありますが、県においては、昨年12月に原油高対策として中小企業経営安定資金の貸付対象の中に、原油高により経営の安定に支障を来している中小企業者を追加し、その信用保証料については、中小企業経営安定資金の一般対策より0.05から0.1%の引き下げを行ったところです。
 一方、国におきましては、10月1日から政府系金融機関の償還期間の延長などのセーフティネット貸し付けの拡充を行うとともに、セーフティネット保証の対象業種に新たに15業種を追加し、計185業種を対象としたところです。
 また、原材料価格高騰対応等緊急保証の導入を検討しており、原油のみならず、原材料価格や仕入れ価格の上昇を売価に転嫁できていない業種の追加などの作業を進めているところです。
 県においても、国の動向等を踏まえながら、今後どのような追加支援が可能かどうか、関係機関と十分協議しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、外国人観光客の増加についてでありますが、これまで国が強力に推進してきましたビジット・ジャパン・キャンペーンによります東アジア地域を中心とした情報発信やキャンペーン事業、また東北観光推進機構と連携した東アジア各地域で開催される国際旅行博等における出展及び現地旅行エージェントへのセールス活動、さらには韓国の愛好者を対象としたゴルフ・スキーの交流事業の実施などの成果によるものと考えているところです。
 今後の目標値の設定につきましては、外国人観光客の半分以上を占めます台湾からの誘客が、平成18年度対比102%と横ばいの状況でありますことから、これらの推移を見ながら設定していきたいと考えております。
 次に、外国人観光客誘客の方策についてでありますが、北東北3県では、平成4年に北東北三県観光立県推進協議会を組織し、平成14年に北東北三県・北海道ソウル事務所を開設したほか、平成18年には北東北三県観光立県推進協議会に国際観光部会を設置し、広域観光の推進を図っているところであります。
 また、東北各県との連携につきましては、平成19年6月に東北観光推進機構を設立し、東北観光戦略を策定し、キャッチフレーズ・ロゴマークの作成、広域観光モデルルート・コースの開発などを行い、海外における誘客活動を積極的に行っているところです。
 また、外国人向けのホームページにつきましては、本県や北東北3県観光ホームページでは、英語、中国語、韓国語にも対応しているところでありますが、これらは、日本語版を翻訳したものを掲載しているところであります。
 一方、北東北3県・北海道が共同で設置しておりますソウル事務所のホームページは、事務所開設当初は日本で作成したホームページを使用しておりましたが、その後、現地事務所職員のアドバイスによりまして、韓国の方々がよりわかりやすいものとなるよう、現在は韓国において作成しているところです。
 ホームページによる海外への情報発信は極めて重要であると認識しておりますことから、更新の際には、ソウル事務所の例などを参考にしながら、ホームページの充実を図っていきたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 今後、第1種公認陸上競技場を県が所有することについてでありますが、県内の第1種公認陸上競技場は、昭和41年に整備した県営運動公園陸上競技場、平成9年に北上市が整備した北上総合運動公園北上陸上競技場の2カ所があります。
 県営の陸上競技場は、本県のスポーツ振興のシンボルとして多くの県民に利用されるとともに、競技力向上においても、その果たしてきた役割は大きいものと認識しております。
 しかしながら、他県の第1種公認陸上競技場の状況を見ますと、現在の公認規則に合致する第1種公認陸上競技場が二つ以上ある県は兵庫県のみにとどまっている状況にあることや、いずれの県営体育施設も、議員御案内のように、老朽化が進んでいることなども勘案しながら、第1種公認陸上競技場の所有のあり方を総合的に検討していかなければならないと考えております。
〇32番(佐々木博君) 再質問をさせていただきたいと思います。
 最初に知事に伺いますけれども、まず一つは、新しい長期計画についてであります。
 将来の岩手県が、こういう岩手であってほしいとか、あるいはこういったところに住みたいだとか、そういった願いというのは、それはもうすべての県民が持っていますので、それを一つのビジョンとしてまとめるということについては、大変意義があることだと私も思います。
 ただ、私は、以前の総合計画、やっぱり一番の問題というのは、余り細かくいろいろ書き過ぎてしまって、全然それが実態に合わなくなってしまっている。多少のところであればローリングしながら修正もできたでしょうが、恐らく修正も不可能なぐらい大分乖離してしまったために、ローリングもしないでそのまま放っておかれたというのが途中の経過ではなかったか、私自身はそのように考えているんですね。
 ですから、今度、10年後の県民が望む岩手県の姿というものを一つのビジョンとして長期計画につくりたいということはよくわかるわけでありますが、要するに、つくり方の中身の問題だと思っているわけです。
 いい例が、ことし3月にアメリカの証券会社のベアスターンズが吸収されて、アメリカは大手証券会社が5社あったわけでありますが、御承知のとおり、2社残ったところも持ち株銀行会社になってしまいましたから一社もなくなってしまった。だれもことしの初めにはそんなこと一つも考えなかっただろうと思いますが、それぐらい目まぐるしく変わっているのが、実は今の世の中でありまして、4年先のことだって、本当にきちんととらえながらやっていくのは大変なことだろうと思います。まして、10年先だと本当にいろいろ大変なんだろうと思います。
 そういった中で、何を10年後のビジョンとして、長期計画として入れて考えていくか。やはり余り細々とした数字だとか、それからそういったものを余り入れてしまうと、なかなか後で修正がきかなくなって大変になるのではないか。それよりは、むしろ、もし10年間の長期計画をやるのであれば、こういった岩手だという、少しラフな形でもいいですから、みんなが、こういうものを目標にして頑張ろう程度のものにとどめておかなければいけないのではないか。
 どうも役所というところは、別に県だけじゃない、どこもそうですけれども、一般的に計画をつくるのが好きな人間が多くて、よく計画はつくるんですけれども、その後、きちんとそれが評価されているかというと、割とその辺は緩いところがある。これはどこでもあるのではないかと思っています。
 ですから、ひとつその辺のところの取り組み方、つくる内容について、私としては、そういった形での長期計画というものでなければいけないのではないかというような気がしますが、そのことについてまず御所見を一つお伺いしたいと思います。
 それから、もう一つは、複合的な競技施設のことでございます。
 ただいま教育長は大変名答弁をされて、さすが法貴教育長だなと感銘したわけでございますけれども、岩手県は、確かに財政難で、いろいろな施設が計画からおくれていますが、私は、その中で一番犠牲にされているのが運動施設ではないかと思っているんですね。今ある長期計画だって、平成11年から22年までの計画でしょう。運動施設は平成12年度から、計画をつくった次の年から着手することになっていたんですよ。それを何にもやっていないですよね。本当に運動施設がずっと犠牲になってきているのが、私は、それがやはり岩手県の県政の中で目立つ、バランスが悪いと思っています。そう思うでしょう。
 それで、例えば高校野球、みんな夏、甲子園を目指して頑張るわけでありますが、ほとんどの高校生は、甲子園には行けなくても、あの県営野球場でやることが我々の甲子園だというような思いでやっているんですよ。やっぱりそういった施設を提供していかなければいけない。
 陸上だってそうなんですよ。やっぱりね、みんなインターハイを目標にやっているけれども、なかなかインターハイに出られるわけじゃない。だけども、みんな毎日練習しているのは、県のそういった一番いいところで頑張りたい、そういった思いで、高校生だけじゃないですけれども、みんなそうやって取り組んでいるわけですよね。
 それに対して今までの運動施設に対する政策というのは、私は、余りにもお粗末過ぎたと思うんです。そして、現実に何かいい競技を見せようとしたって、これは興行ですから、ある程度人数が集まる場所じゃなければ持ってなんかこれませんよ。サッカーのJリーグしかり、ラグビーのトップリーグしかり、何でもそうですけれども、やはりある程度観客が集まらなければ、これは興行の人たちも来ないんですよ。ですから、これをやらなければ、岩手県の子供たちにいいものを見せたいといったって、これは絵空事で、絶対物にならないのです。
 ですから私は、やれと言ったって、今の財政状況でなかなか厳しいということは私もよくわかっているけれども、こういったときに英断をもってやはり取り組むべきじゃないかということを希望して申し上げているわけでありますので、もう一度、このことについて知事の御所見を伺いたいと思います。
 それから、入札についてであります。県土整備部長なのか総務部長なのかわかりません。答弁はどちらでもいいんですが、まず、総務部長、先ほどの釜石の件の取り扱いで、再入札をしないで決定したことは問題ないとおっしゃっています。多分あなたがおっしゃっていることは、これじゃないかな。地方財務実務提要というのがあって、ぎょうせいから出ていて、県庁はみんなこれを持っていて、加除式のものだから、これに従っての答弁だと思うんだ。県土整備部長も多分これに従っての答弁だと思いますが、これにはこう書いてあるんですよ。入札をしない場合は、それは例外なんだ、あくまでもね。原則はやっぱり入札して決めることが原則だと書いてあるわけです、これについてはね。
 それで、解除についてもそうですが、それは、あなたがおっしゃるとおり、入札が終わった後は、請負契約は契約法の分野ですから、両者対等の解釈をしなければいけない。全くそのとおりであります。しかしながら、両者対等で解釈しろとはいっても、残念ながら発注者のほうがはるかに力が強い。だから、発注者からそれを要求されれば、それにノーと業者が言えますか。現実に。
 やっぱりそこが問題なんです。それを、同意をいただいたから解除して、しかも原則は、入札をやるのが原則でしょう。これにはそう書いてあるんですよ。それを入札しないで、それで決めたということ、それは、やはり今まで先例として行ってきたことと比べて、私は問題があると思うんです。
 それから、もう一つの測量の委託の問題ですが、瑕疵があったから取り消したとおっしゃっているわけだけれども、入札というのは、いつの時点で終了ですか。恐らく、どこどこ会社が落札ですと言うのか、候補者ですと言うのかわかりませんが、そういって次の入札に移った時点で、入札というのは適法に終了しているんだと思うんですね。そして、入札が終われば、あとはさっき総務部長がおっしゃったとおり、契約法の世界ですよ。契約法の世界というのは、基本的には民法とか商法の世界ですから、とてもじゃないですが、瑕疵のあるほうが、過失のあるほうが過失のない者に対して取り消しするということは、私は認められていないと思うんだよね。やはりそれはおかしいと思うんですよ。
 それで、確かに地方財務ハンドブック、私も入札についていろいろ勉強してみました。実は入札って余り詳しく書いている本がなくて苦労したんですけれども、ただ、一つのヒントというのは、地方自治法234条第5項で、契約は文書、書面を交わさなければいけないということになっているんですね。書面を交わして成立だと。したがって、書面を交わすまでは契約としては成立しないという考え方、それはそのようであります。しかし、それまでは何もないという話じゃないですよ。書面を交わすまで、お互いに契約する義務が生じると書いているんです。
 ですから、入札が終わった段階でもう何もなくなっているのではなくて、その後は、お互いに契約を交わす義務があるわけですから、それを過失のあるほうが過失のないほうに対して取り消しだと言えるということが、私はおかしいのではないかと思っています。
 加えて言えば、この9月4日という日にほかにも何件か入札があったわけですが、今これ、条件付一般競争というのは、たしかまだ試行の段階ですよね。ところが、ある業者が第1落札者だったんだけれども、資格確認の書類が不備だということで、同じ日、同じ入札会場で、ばさっとそこは失格とやられているんですよ。業者側に何か責があればすぐばっさりやられるんです。だけど、反対の立場になると、何とか取り消しをしてくれないかなとか、そういったふうに持っていく。これは、双方対等で考えるという立場に立つと、何かやはり私は、皆さんにすかっと納得していただけるような話ではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。この点についても改めて御所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私は、動物占いでは、ペガサスという動物占いで一番大ざっぱな性格でございまして、大ざっぱにいきたいと思っております。動物占いという言葉自体、既に死語になっていて、それほど世の中の移り変わりは激しい中で、中長期的な見通しは非常に不確実だとは思いますが、同時に、価値観の混乱ということも起きていて、何が正しいのか、人としてどう生きるのがいいことなのかということも非常に不確かになっているというのは非常によくないことだと思っておりまして、ここは、この岩手から、人間かくあるべし、地方自治かくあるべし、そして、この岩手というものは、結局この地球上において何なのかというようなことを県民みんなでつくっていくということができればいいのではないかと考えております。
 地球人類5、000人に1人は岩手県人でございまして、地球人類の5、000分の1を代表するのが岩手県民であります。今、地球全体が混乱していると言ってもいい状況の中で、未来に向けて岩手からきちんとしたビジョンを発信していければと思っております。
 体育施設のことでありますけれども、確かに総合計画には、総合運動公園施設の整備ということが書いてありまして、思えば10年ぐらい前、国道4号を車で走っていますと、紫波町でしたか、矢巾町でしたか、両方でしたか、総合運動公園を紫波にでしたか、矢巾でしたか、そういう看板も立っていて、そういう期待が十数年前あったということを覚えております。
 それだけのはっきりした計画をなぜ実施しなかったのか、また、実施しなかったことに十分な理由があるのだとしたら、なぜそういう計画を立ててしまったのか。これは、長期計画のあり方とも関係する問題ですので、そういう観点からも検討が必要なのかなとも思いますけれども、改めて、そういう岩手の中において、体育運動施設というものがどのように岩手の中にあり、そして、県民が体育、運動、スポーツに積極的に自己実現を図っていけるようにすべきかということを考えていきたいと思います。
〇総務部長(川窪俊広君) 入札のミスによる御迷惑をおかけしているということでございますので、これまた大変申しわけないことでございます。入札の関係でミスを県側でしてしまいまして、それに基づきまして何らかの決めごと、例えば落札決定でありますとか、そういうことをしてしまった際の問題でございますが、これは、入札というものが、いわば各者競争されているという状況の中で起こしている間違いでございますので、例えば、先ほど私が答弁申し上げました釜石地方振興局の落札ミスに関して申し上げれば、間違って落札決定をし、そして契約まで行った直後に解除をお願いすることになってしまった方には、そういう意味で大変御迷惑をかけてございます。
 また、一方で、本来は、そのまさに点数つけのミスさえなければ、普通にきちんと計算さえしていれば、本来ここの方が落札者であったということがはっきりしているケースにおきましては、そのミスさえなければ我が社が落札であったのにという方が、落札にならないまま契約も受けられないというのは、これまた大変大きな御迷惑をおかけすることになってしまうわけでございます。
 そういった、本当はこの方が落札者であったのにということがはっきりしていて、それを他の入札参加者の皆様方に御説明し、それはそうだったんだな、それが間違いで、本当はこの人だったんだということが御理解いただけるような場合には、やはり本来の落札者の方に落札決定し直すというのがあるべき対応であろうということで、この進め方は、岩手県としては前例もございましてそういうやり方でやらせていただいておりますし、また、行政実例の考え方にも即したやり方になっているものと考えております。
 これに対しまして、書いたものの間違い、あるいは説明の間違い、さまざまな過ちによりまして、入札に参加される方々が、それぞれ違う前提条件で札をお入れになったようなケースになりますと、本来の落札者の方というのが本当にどの方だったのかということが、他の入札参加者の方々から見て、そういう条件だったら自分は別の札を入れていたのにということがあり得るような場合につきましては、これは、入札そのものをやり直す以外に正しい結論を導くことが難しいのかなというような場合には、入札そのものを取り消してやり直さざるを得ないというようなことがございまして、そこは、間違いの内容によりまして一番、いずれにしても迷惑をおかけしてしまうことにはなるのですけれども、何とか、間違ってしまった中でも、それを結果的にどのような形で最終的に入札し、契約していくかということについて、最も望ましいやり方を選びながら対応させていただいているということでございまして、今回、いずれの件もそういう形で対応している。一方はまだ途上でございますが、いずれにしても、こういう間違いを発生させたことにつきましては、重々反省し、再発しないように取り組んでまいりたいと考えております。
〇32番(佐々木博君) 知事から長期ビジョンについての答弁があったわけでありますが、基本的に、私もアバウトなほうが大好きでありまして、アバウトで結構ですから、骨太のしっかりしたビジョンをひとつつくっていただきたいと思います。
 それから、県営運動施設についてでありますけれども、やはり、本当に本県ぐらい運動施設が貧弱な県はないと私は思っています。これは、多分私だけじゃない、ほとんどの方がそう思っているのではないでしょうか。財政がたとえ厳しいと言っても、やはりこたえていく責務があるのではないかと思っています。
 それで、この複合競技施設について言えば、盛岡市長もそれなりの腹も固めているやに聞いていますから、ひとつその辺の話もしていただきながら今後取り組んでいただければと、これは要望しておきます。
 それから、契約の関係ですけれども、今、総務部長から説明がありましたが、少なくともこの県でやっているものでは、契約者を2番札と間違えたような場合は、瑕疵は軽微なものとは言えず、入札手続全体を取り消して再度の入札を行うのが原則です。しかし、この事例ですよ、このような瑕疵は、地方公共団体側のミスによって生じたものです。一方的に入札手続全体を取り消すのは、適法に入札に参加した業者にとって酷なことであり、当該入札に参加した者全員の同意があれば、落札決定行為のみを取り消して落札者を変更することも認められるものと考えます、こうなっていますよね。ですから、あくまでも、やはり再入札が原則なんですよ。
 だから、例えば圃場整備だって原則どおりやっているわけでしょう。圃場整備、適法に入札を終わったと言ったって、民事再生を申し立てて契約ができなくなって、だれが見たって2番目がその次の落札者だというのがわかっていても、そうじゃなく取り組んできたというのは、やっぱりそういう手続を、それが原則だからそうやっていると思うんですよね。私はそう思います。
 それで、入札にはいろいろありますけれども、例えば一般競争、これは、どなたが落札するかわからないから、入札行為は申し込みだという解釈なんですね、民法の学者は。したがって、申し込みに対して承諾するのは発注機関であります。しかしながら、条件付一般競争だとか、あるいは指名競争入札、これにはもう発注者がだれであっても、それは能力があると認めて発注しているわけですよ。ですから、入札の公告が申し込みで、それに対して入札したことが承諾だと。したがって、入札が適法に終わった段階で契約しなければいけない義務が生じる。
 私は、民法の本を何冊か読んでみまして、これが入札に対する一般的な考え方じゃないかなと思いましたよ。ですから、入札が適法に終われば、あとは契約法の世界ですから、お互い当事者対等でやはり対処していかなければいけない問題で、県が一方的に取り消すだとかそういうのは、本当はいろいろな業者さん、やはり納得いかないと思いますよ。今後のこともありますから、こういった場合はこうやって対処するんだということをしっかりと明らかにしていただいて、今後、ぶれることのないようにやっていただかなければいけないと思います。
 それから、県の建設業務の入札執行事務処理基準というのがあるんですね。どこを読んでも、業者にいろいろ問題があった場合、こうだ、ああだと書いてあるけれども、発注者に問題があったときどうすると一つも書いていないんですよ。これは、やっぱり発注者も人ですから、間違いがあってはいけないとは言いません。間違いがあるのはしようがないんです。ただ、それに対して、やはり透明で公正に対応するということが求められると思いますから、そのことについてもう一度総務部長の御所見をお伺いして、私の再質問を終わります。
〇総務部長(川窪俊広君) さまざまなケースがございますが、いずれにしても間違いを役所側が起こすことによって御迷惑をかけるということにつきましては、あってはならないことということで、今後ともしっかりそこは対応してまいりたいと思います。
 今回の件につきましても、契約の当事者になる、ならないということについて御迷惑をかけてしまっていることに比べれば、県側のミスを犯したメンバーに対する対応が甘いのではないかという御指摘もあるかもしれませんけれども、その点につきましては、県の中で、いろいろ県民の皆様方あるいは関係の業界の皆様方に御迷惑をかけてしまったような過ちを犯した場合には、それぞれルールに基づきまして、内部的には必要な処分等を検討させていただくというようなことも考えておりますが、そこのところはまた、県として定めております基準やルール、前例に従いまして、適正に、厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
 また、御指摘がございました圃場整備工事のほうについては、再入札をしたのにという部分につきましては、圃場整備工事の件は、入札が終わった時点までは、本来の落札者が別におられたということではなくて、その契約をしようとしていた相手方が本来の落札者であったということでございますので、その後の時点における、いわば契約できない状況が発生してしまったということでございますので、落札決定時点において失格であることが明らかになっていた事例とは、またちょっと違う部分がございますので、そこのところは、それぞれの事案に応じまして正確に対処してまいりたいと思いますし、また、その対応の中身につきましても、いわば内輪で隠しながらやるようなことではなく、きちんと説明をし、必要な説明をしっかり公にしていきながら、信頼感をいただきながら今後の入札執行ができるように、再度、襟を正して努めてまいりたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時33分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時49分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平沼健君。
   〔34番平沼健君登壇〕(拍手)

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