平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(飯澤匡君) それでは、柳村典秀議員が本質問で取り上げた岩手県競馬組合の経営問題について、関連質問をいたします。
 最初に、改訂実行計画に関してお伺いいたします。
 さきの2月定例会において、競馬組合への融資議案に対し、平成18年度を存続のための最後の機会ととらえ、競馬組合ともども、県民の多様な意見を踏まえるとともに、将来のあるべき姿を見据え、新年度当初から実績に合わせた売り上げ計画の見直しや徹底的な経費の削減を前提とした改訂実行計画の見直しを開始し、平成18年度第1・四半期をめどに新たな計画を策定するとともに、その確実な実行を通じ、競馬組合の今後についてこれまで以上に真剣に取り組まれたいとの意見が附帯意見として付され、議案は可決されました。その第1・四半期の期限はすぐそこに来ております。
 6月19日までの平成18年度の事業の進捗状況は、発売金額が県内施設で対前年比91%、県外施設で87.1%、広域発売で127.1%、合計、対前年比は96.7%となっており、現実的には厳しい数字となっております。附帯意見で示しているように、将来のあるべき姿を見据えつつ、実績に合わせた売り上げ計画の見直しは急務と考えます。4月から県から組合に出向している今泉事務局長は、去る5月に盛岡市内で講演され、岩手競馬再生への道について、企業が長期低迷から再生した例を出しながら、基本コンセプトを変えていく、競争原理を持ち込む、新しいサービスをつくり出すことをやっていけば十分に再生可能と述べられたそうですが、まさにこの考えに沿った新たな計画が策定されることを望むものであります。
 そこでお伺いいたしますが、第1・四半期の実績の評価と今後の改訂計画の見直しについての基本的な考え方をお示し願います。
 次に、地全協改革についてお伺いします。
 昨年の12月定例会で同僚の亀卦川富夫議員が一般質問の中で指摘した地方競馬全国協会の改革――地全協の改革がそれ以来大きく動き出しております。地全協の改革は、地方競馬全16主催者が単年度赤字計上している結果を重く見て、全国地方競馬の改革を断行することが目的であります。現在、地方競馬の改革と地全協組織自体の改革が並行して議論されており、これらの改革は、改正競馬法の真髄と言っても過言ではありません。
 地方競馬の改革の方向は、現在、地方競馬の主催者が抱える諸問題、すなわち主催者ごとに馬や厩舎を抱える高コスト体質、個々の主催者に投資に限界があり商圏が限定されている。限られた馬のレースによるおもしろみに欠けた興行などの問題を地方競馬全体の問題としてとらえ、地方競馬主催者間の連携のさらなる強化と民間活力の導入を推進することが改革の方向と定めております。また、地全協組織の改革についての基本方針は、1、地方競馬の主催者の意見も踏まえつつ、地方主催者の意思が反映される組織への変更をすること、2、地方競馬の改革にあわせて、地方主催者の行う競馬事業の改善に資するような業務を新たに実施すること、3、競馬の中立・公正及び効率的事業運営確保のための業務を引き続き実施することとし、地方競馬の問題の解決を支援し、地方競馬の再生に資する組織に移行することを目的としております。当初はこれらの改革案に懐疑的であった各主催者も、政府の進める特殊法人改革整理合理化計画に地全協改革も含まれたことで、年度がかわってから農林水産省が本腰を入れて積極的に主催者ごとに働きかけをしていることもあって、改革に向けて急激に加速度がついてきたと伺っております。
 そこでお伺いいたします。これらの一連の動きに対する知事の所感と、岩手県競馬組合がどのような観点でこれらの地全協改革と向き合っていくのか、位置づけをどこに置かれるのか、お知らせ願いたいと思います。さらに、今後行われるであろう改訂実行計画の策定に地全協改革の中身にどこまで踏み込んでいくつもりなのか、また、踏み込んでいくに当たって、仮に障害があるとすれば一体それは何が想定されるのか、具体的にお示し願いたいと思います。
〇知事(増田寛也君) ただいまの競馬組合の経営問題についての御質問にお答え申し上げます。
 まず1点目は、第1・四半期の実績の評価と、そして改訂計画の見直しについてのお尋ねでございます。
 今シーズンから導入した新たな取り組みがございますが、その中で、三連勝式のかけ式発売、これは今、全体の発売実績の37%と、一定の割合の支持を得ております。また、インターネット発売の方でございますが、これは前年度行われておりませんが、前年度までの電話のみによる投票にこのインターネット投票を加えて、前年比この部分を240%伸ばす、こういう計画を立てました。これに対して実績は293%と、計画を上回る実績を上げております。しかし、全体の発売成績は、前回開催の6月19日までで前年比97%、計画比で90%と大変厳しい状況にございます。
 計画の見直しの基本的な考え方でありますが、まず、徹底したコスト削減というものが必要でございます。このコスト削減とあわせて、第1・四半期の発売実績を踏まえた売上高の設定など、より実現可能性を高めた計画とすべく、現在、鋭意見直し作業を進めているところでございます。
 次に、地方競馬全国協会の改革についてであります。
いわゆる地全協でございますが、これは、特殊法人の改革の一環として、地方競馬主催者の意思と責任で運営される地方共同法人に改組されることが決まっておりまして、現在、国でそのための具体的な検討が進められている、こういうことでありますが、改組した後の地全協は、地方競馬の全国的な開催日程、そして番組編成の企画・立案・調整など、新たな業務も実施することになるとは聞いておりますけれども、特に開催日程や番組編成の調整といいますものは各主催者の経営に直接影響が及ぶ事項でございまして、これまでどおり各主催者に経営責任があることを考慮いたしますと、引き続き各主催者の運営の自主性が尊重されることが必要と考えております。現時点では改革の具体的な内容が明らかにされておりませんので、競馬組合がこの改革にどのように対応していくのか具体的には申し上げられる段階にはございませんけれども、私は、基本的には、地方競馬は各主催者が連携して経営改善に取り組んでいく必要がある、このように認識しておりまして、国が今進めております地全協の改革の方向性に沿いつつも、他の道県や主催者との連携も図りながら、岩手競馬の再生に向けて望ましい対応となるように取り組んでいく考えでございます。
 なお、こうした地全協の改革の具体化の進捗度合いというものを考慮しますと、それよりも現在我々で作業しております改訂実行計画の見直し作業が先行する、こういうふうに考えておりますが、今後、地全協の改革の具体的な内容が明確になった段階で、岩手競馬の再生にとって望ましいものは積極的に取り入れていきたい、このように考えております。
〇14番(飯澤匡君) 地全協の改革にどのように呼応していくか、確かにまだ素案が示された段階ですので、そこの中に具体的にどのようにしていくかお答えするのは大変厳しいかと思いますけれども、実際問題、場外間の発売というのは岩手競馬でも120%と。これは、岩手競馬組合のみならず、広域間の連携というのはさらに進んでおります。実は、この地全協の改革には余り乗り気でなかった特別区大井競馬場ですら重大な関心を持っているというふうに最近随分変わってきたようでございます。このように、岩手競馬の改訂計画、独自でやりつつとは言いながら、やはりこの部分についても大きな関心を持って、そして視野に入れながら行っていただきたいと思います。
 それから、5月に岩手県競馬関連産業労働組合が設立されました。その目的は、調教師や組合との対立ではなく、みずから参画したいと。まさに自分たちの身分を保身するのではなくて、競馬組合もこれら現場の声を真摯に受けとめるというような体制づくりも私は必要だと思います。今までは競馬組合は、ややもすればいわゆる財政競馬の中で経済的に逆に依存をしていて、競争意識の低下、それから責任所在のあいまいさというものがあったのは否めないところでございまして、これからは顧客本位、競馬ファンの立場に立ち、質の高いレースとサービスの提供、そして自己責任、収益向上を目指して、常にコスト意識を持ちながら業務のあり方を見直して経営全体に責任を持つ。そして競馬番組についても、すぐれたものは勝ち、劣ったものが負ける優勝劣敗という、やはりそういう競技性というものを確かにするような形で、知事は、さらにコストを下げるというような考え方、その前提も確かに必要ですけれども、やはり基本のコンセプトも大胆に変えていく、そういう姿勢も大事ではないかというふうに思います。
 地全協の改革については、その一助として御提案を申し上げたつもりでございますけれども、ぜひ大きな視野でもって、大局観を持ってこの競馬組合の改革というものに取り組んでいっていただきたいというふうに思います。御所見があればお伺いいたしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 今、議員の方から何点か御指摘がございました。特に地全協の改革は、岩手競馬にとりましても大変大きな影響をもたらすもの、このように考えておりますし、それから、私どもも広域場間での連携による発売なども従前から試行しておりますが、地全協のこうした改革の中で、他の主催者との連携をより強めて、地方の主催者の立場で主張すべきは主張するという視点を取り入れていく必要がございますので、最後に議員の方から特に御指摘が重ねてございました、高い、広い視野に立っての今後の方向づけというものに努力をしていきたい、このように考えております。
〇議長(伊藤勢至君) ただいまで柳村典秀君の一般質問、そして関連質問が終わりましたが、少々お待ち願います。
 一般質問を継続いたします。渡辺幸貫君。
   〔43番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)
〇43番(渡辺幸貫君) 民主・県民会議の渡辺幸貫であります。
 最初に、地方の自立につながる行財政改革についてお尋ねいたします。
 政府は、与党と協議をしながら財政の改革を進めておりますが、その柱の一つは、83兆円規模の財政をめぐる問題であります。地方へは昨年4.7兆円の補助金削減と3兆円の税源移譲が決まりましたが、補助率の引き下げが中心で、地方の自由度が高まらない内容でありました。全国知事会など地方6団体が求めた補助負担金廃止案のうち、実際に削減されたのは38%ということで、おのおの問題点が残されたわけであります。交付税の原資は、所得税や法人税など国税5税の一定割合ですが、実際には一般会計から加算し、膨らむ需要に応じるため、特別会計で借金をして上乗せされております。特別会計の借入金はもう50兆円を超しているということであります。竹中平蔵総務大臣の私的懇談会は、現在の複雑な交付税の算定基準を見直して、自治体の人口と面積に応じて金額を決める新型交付税を提言されました。
 こうした流れの中で、地方歳出の3割近くを占める人件費の削減がまず必要だということで、全国的には5年間で4.6%を超す職員の純減を目指しておりますし、岩手県でも平成21年度までに17年度の6%を削減するとし、将来的には4、000人以下の組織体制を目指すとしております。また、民間に比べて割高な職員給与の引き下げや不透明な手当の廃止などが行われ、こういった改革とあわせて、自治体は、ばらまき型福祉政策や公共事業などにも大なたを振るわざるを得なくなりました。5兆円規模の税源移譲をこれから3年ぐらいでやることによって、地方歳出の削減などにより、人口20万人以上の市の半分は不交付団体になると言われております。国と地方の財布をなるべく分け、小さな政府を目指すということであります。
 全国知事会など地方6団体は、交付税の原資を国税5税の一定割合に限定し加算しないかわりに、地方固有の財源という性格を持たせた地方共有税に衣がえするよう提案しております。地方債発行の自由化を進めていくという中で、7割補てんの過疎債のように、現在、自治体が地方債を発行するためには原則として国の同意が必要で、国はその補てん保障をしておりますが、竹中懇談会が提案する再生型破綻法をことしの秋までにつくって、国は保障せず、地域が最後まで責任を負わなければならないということも含めて検討されるそうであります。しかし問題は、地域の財政力格差であります。人口1人当たりの都道府県税は、首位の東京都で最下位の沖縄県の2.6倍に達しております。仮に道州制を進めた場合に、東京都への国からの事務移譲の度合いを高めるが、逆に、地方税ではおぼつかない県などへの事務移譲は抑えることなども考える方が現実的なのかもしれません。財政力格差を埋めるためには、やっぱり地方交付税に期待したいと私は思うのですが、今後この流れを知事はどのような考え方でとらえておられるのか、お伺いいたします。
 岩手県を見ますと、本年1月に実施した県民調査で、実に46%が生活に不満を抱いているということですし、子供の授業料すら払えないという実態が回答されております。北海道夕張市が財政再建団体への申請を正式に行ったようでありますが、県内でもある町が財政再建団体になるのではないかと報じられております。財政再建団体になれば、地方債の発行はできるけれども保育料や国民健康保険などが引き上げられ、独自の事業も行えず、補助金もカットされるという大変厳しい状態となります。格差と不安におびえる社会になっているのではないでしょうか。依然として箱物優先の政策がとられ、生活重視への政策転換が十分ではないからではないでしょうか。県下の市町村で、合併もままならず、そして今後の見通しが立たないところはどれぐらいあって、どのようになされようとしているのか、お伺いします。
 次に、教育問題についてお尋ねします。
 先ごろ、県内進出のある企業の工場長さんと懇談した際に、工場長さんが思わず漏らした次の言葉に私は正直驚きを禁じ得ませんでした。岩手に進出したので、地元の優秀な労働力に大変期待していた。学校からの推薦もあったので生徒をいざ採用してみると、マニュアルの内容を理解することはおろか、満足に読むことすらできない状態である。一体彼らは高校を卒業するまで何を勉強してきたのだろうか。これでは仕事にならないし、採用自体を考え直さなければならないというような内容でした。かつて我が国が世界に誇れるものの一つに教育の分野があったはずであります。IMDの国際競争力ランキングでは、日本の大学教育は2005年において第56位でした。そして、このように教育水準の低下が著しい日本の中でも、我が岩手県に至っては、大学入試センター試験において全国最下位に低迷していると報じられています。なぜこのように著しい学力の低下が起きているのでしょうか。教育界では何が起こっているのでしょうか。
 我が国の義務教育は、史上2回目の危機を迎えていると言われております。第1の危機は、1930年代から敗戦に至るまでの教育の全体主義化、そして第2の危機が現在の教育への信頼の揺らぎや学校や教師への信頼の低下であります。個性の尊重が叫ばれ、行き過ぎた平等主義とゆとり教育が推し進められた結果、教師は真に教えることを忘れ、子供たちは、人生を生き抜くために必要な基礎的な学力や人間としての素養をしっかりと身につけないまま義務教育を終える結果となってしまっているのではないでしょうか。
 我が岩手県は、戦後の高度成長期において、一貫して首都圏工業地帯へ優秀な人材を供給してきました。かつては宮沢賢治や石川啄木、さらには原敬、米内光政など4人の宰相を輩出した偉人のふるさとでもあります。青年期から壮年期へと向かう我が国の屋台骨を支え続けたのがまさに岩手県人であったのであります。現在と比べてもはるかに貧しい社会経済環境にあったにもかかわらず、なぜ優秀な人材を輩出できたのか。それは、現在よりも教育の基盤に確固たるものがあったからではないでしょうか。
 私の出身地である江刺の旧稲瀬村において、明治時代の村の教育予算は全予算額の半分以上を占めていたと言われています。もちろん現在は行政需要の内容も格段に複雑多様化しており、当時との単純な比較はできませんが、破格の数字であったとの感を強くいたします。ましてや今日、経済のグローバル化により国際競争力は一段と激化し、中国やインド、東南アジアなどの新興国をも巻き込み、大競争時代の様相を呈しております。しっかりとした義務教育の基礎が培われていない状態で、我が国、そして本県が果たしてこのような厳しい競争に伍していけるのか、大きな不安を覚えるものであります。
 失われた学校や教師への信頼を取り戻すには、一体どのような取り組みが必要となるのでしょうか。私は、ゆとり教育の見直しや、教員採用時における工夫や研修の充実などももちろん必要と考えますが、本県においては、特に子供たちには、仲間と競い合い、切磋琢磨し合えるほどよい環境、そして教師には、子供たちとともどもに切磋琢磨することはもとより、たゆまぬ能力の向上と、その成果に見合った処遇が不可欠であると思うのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今日、本県の、特に山間部を中心に過疎化や少子化の影響による生徒の減少は著しく、小学生の数は10年前と比較して22%減となるなど、学校の存立そのものが危ぶまれるような状況となっております。わずか1人から3人の生徒に数人の教師を配置している例もあると聞きますが、これでは、好ましい競争環境はおろか、最低限の学習内容さえ確保できず、生徒、教師の双方にとって到底望ましい環境とは言えないのではないでしょうか。また、広い地域に少人数の学校を数多く分散配置することは、財政の面や教員の人材資源の活用の観点からも好ましいものとは言えず、昨年度、三位一体改革の論議の中で義務教育国庫負担金の負担割合が改められたことからも、速やかに改善すべき課題なのではないでしょうか。すなわち、小・中学校の生徒数確保に向けた統合再編は絶対に避けて通れないと思うのであります。
 県教育委員会はこれまで、市町村立小・中学校の統合再編は市町村の問題であるとして慎重な立場をとってまいりました。平成12年度に地方分権一括法が施行された後においては、県と市町村とは対等な立場となったため、ますます物申すことが難しくなっているのではないかと思います。しかし、県教育委員会が地域と大きな摩擦やあつれきを生じさせながらも2次にわたる県立高校の再編整備を断行したことからもわかるとおり、確固たる教育基盤を確立し、充実した義務教育を実現するためには、市町村も蛮勇を振るい、小・中学校の統合再編を推進すべきではないでしょうか。また、県教育委員会も座して静観するのではなく、市町村教育委員会と協同連携し、ときに必要な指導を行いながら小・中学校の統合再編を推進すべきと考えますが、今後、小・中学校の統合再編をどのように進めていくのか、県教育委員会のお考えをお伺いいたします。
 確固とした学校教育の基礎の上に教師のたゆまぬ研さんと努力があってこそ、本県の義務教育はかつての輝きを取り戻すことができるのではないでしょうか。このようなことからも、県教育委員会が教職員の給与に成果主義の考え方と能力給を取り入れようとされたことは一歩前進で、大いに支持したいと思います。教育現場では、教職員組合の90%を超える者が反対したとも聞いておりますが、教職員組合が言う、人が人を評価するのは難しい、あるいは教育は教師集団による協同作業であり、そもそも成果主義にはなじまないという論議がありますが、果たして現在の社会の中でこのような論議がまかり通るのでありましょうか。生徒たちには試験を強いて、教師みずからは試験を忌避する。これでは筋が通りません。仕事における成果と能力を正当に評価し、さらなる研さんのインセンティブを植えつけることは、今や我が国社会のスタンダードとして受け入れられているのではないでしょうか。
 そこで、教職員への新昇給制度の導入について、私は、県教育委員会としてぜひとも頑張っていただきたいと思いますが、この際、県教育委員会の意気込みをお聞かせ願います。
 英語教育の推進についてお伺いします。
 世界が大競争時代を迎えつつある今日、英語は、パソコンによる情報処理と並んで現代の読み書き能力とも呼ぶべきものとなっております。冒頭でお話し申し上げた県内進出企業の工場長さんは、これからの時代には英語が話せる即戦力が欲しいとも語っておられました。最近、小学5年生に対する英語の導入が種々論議されているところですが、県教育委員会ではいち早く英語大好きジュニアハイスクール等の事業に着手されたとのことですが、導入した学校では半数以上の生徒が英検3級を取得し、中には2級、準2級を取得する生徒も出ていると聞いております。課題は教える先生ではないかと心配しますが、県教育委員会では、このような成果を生かしながら、今後の英語教育の推進についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
 次に、医療対策についてお尋ねします。
 まず、老人病院と呼ばれる療養病床について伺います。73年の老人医療無料化により総合病院のベッドが高齢者でふさがったことにより、70年代後半から全国で老人病院が急増しました。介護施設はほとんどなく、病院が高齢者介護の受け皿となった。また、診療報酬が出来高払いだったため、薬漬け、検査漬けを生み、過度な治療で老人を不幸な結果にし、社会問題化していました。そのため長期療養を必要とする患者のための療養型病床群が創設されました。そして、医療の量に関係ない定額払い制も入院医療に導入され、むだの排除や療養スペースの拡大が進みました。2000年の介護保険開始で療養型病床群は医療保険型と介護保険型に分けられ、翌年の法改正で療養病床と名称が変わり、それが2012年度までに介護型が廃止、療養保険適用の25万床は6割に削減されます。例えば軽度の区分1の患者は来月から診療報酬が大幅に引き下げとなり、政府が正式にこの方針を打ち出したことし2月以降、医療機関の経営への影響は大きく、動揺はおさまらないと聞きます。療養病床を持つ病院は医療の充実した老人保健施設へ転換する方針だそうで、それにより収入は大幅に減り、働く職員の給与に影響し、一方では1人当たりの居室面積基準が老健では療養病床より広いため、4人部屋を3人部屋にするなど改築も必要となっています。また、ある病院では介護型ベッドの4割を医療型に変更し、急性期病院との連携を強化したり、在宅療養する高齢者の急変に対応するなど、医療必要度の高い患者を集める方針です。
 一方、介護保険適用の施設に転換するには自治体の同意が必要で、予算不足で難しい。現時点では大半の病院が方針を決めかねており、福祉施設に入ることができない介護難民が出るとの懸念も根強くあります。社会的入院の解消は、介護保険制度施行時からの既定方針であり、多くの療養病床がまともに医療を行わず、快適な居住空間として努力してこなかったツケとの指摘もあります。岩手県では、この医療か介護かの老人病院の岐路に対し、現状をどうとらえ、ふえ続ける患者にどう対処するつもりなのか、お聞かせください。
 次に、老人保健施設について伺います。
 社会的入院の解消の受け皿として注目されている老人保健施設は、いわば特別養護老人ホーム待ちの中間施設でありますが、入所期間が長期化するなど、その役割自体が揺らいでおります。家族の介護力が低下している中で、在宅介護の難しい認知症の高齢者がふえています。老健の入所期間は原則3カ月ごとに見直されるため、頻繁に老健を渡り歩く待機者も珍しくないそうです。短期入所などの公的サービスやボランティアなど地域の力を活用しないと、在宅に戻すことは難しいことです。療養病床の削減で特養老人ホームの待機者が今まで以上に老健に押し寄せるであろうと思います。利用者のニーズに合わせて中間施設という老健のあり方を見直すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、特別養護老人ホームについて伺います。
 ある調査報告によると、終末期ケアに積極的に取り組み、急変しやすい患者に24時間対応する嘱託医がいると答えた特養は全体の半分以下という調査結果だそうです。なぜなら、昼夜を問わず電話がかかるなど大変なのに報酬が見合わない側面があるからです。厚生労働省はこの春、介護報酬で特養みとり介護加算を設けるなど、終末期ケアの支援に乗り出しました。特養で亡くなる人は全国的に約3割、重度の人が年々増加し、病院での長期入院も難しくなるため、今後、特養でのみとり体制が求められています。岩手県の特養における医師のあり方など、医療の体制の実態をどうとらえ、今後の見直しをどう考えているのか、お伺いします。
 次に、農業問題についてお尋ねします。
 最初に、米の生産・販売についてお伺いします。岩手県産ひとめぼれの価格は、平成7年には60キログラム当たり2万2、000円だったものが、平成17年には1万5、000円と大幅に下回って推移しており、米の消費量が伸びない中では、こうした傾向は今後とも続くものと見込まれ、農家、特に大規模な米専作農家ほど所得確保が難しい状況にあります。こうした中にあって、平成19年から品目横断的経営安定対策がスタートしますが、この対策は意欲と能力のある担い手を対象とし、その要件としては、経営面積が、認定農業者4ヘクタール、集落営農20ヘクタール以上のものに限定されるものであります。この支援内容は、これまでの品目別の価格政策ではなく、米、麦、大豆等について、過去の生産実績に基づく支払いと、当該年の生産量、品質に基づく支払いが行われる。いわゆるげた対策と、価格が下落した場合に下落した収入分の9割を補てんするいわゆるならし対策の二つの助成からなっております。小麦の収穫期が梅雨に当たる我が国において、政府が求める品質、基準をクリアするために農家は大変な苦労をしておりますが、収量、品質とも外国産に太刀打ちできない現状にあります。こうした状況を踏まえて、この対策は今後とも、我が国の麦、大豆の生産者が再生産可能な所得を確保できる手だてとなるのでしょうか。また、いわゆるならし対策においては、米、麦、大豆について、それぞれの品目の基準収入に対する当該年度の収入の増減額を合算した上で、その減収分について補てんされる仕組みでありますが、これは、米が暴落しても麦、大豆の価格が高騰すれば相殺されて、結果としては補てんが発動されないのではないかということも懸念されます。このようなことを考えると、私は、この品目横断的経営安定対策は本当に担い手の安定に資するものとなるのか、甚だ疑問に思われるのですが、御所見を伺います。
 国の政策だけに頼っていては大きな改善は難しく、産地としては生産性の向上や販売対策にみずから取り組むことが必要と考えます。県内の幾つかの農協では、こうした事態を先取りして、販売戦略として、農薬や肥料の使用量を慣行の2分の1に抑えた特別栽培米の生産を行ってきました。しかし、この栽培法は農薬の使用回数に制限があることから、雑草の取りこぼしがあった場合は除草作業に人力を要することとなったり、突発的な病害虫の発生などにより収量や品質が低下することなどが懸念されます。特別栽培米は安全・安心をアピールすることはできますが、残念ながら、農家にとっては負担が大きい割に価格に反映されていない状況にあります。消費者にアピールするような特色ある米づくりは必要ですが、農家に対する負担が大きいのでは、生産意欲がそがれることになります。消費者に対して安心・安全な米をアピールすることが有利販売につながるのであれば、食品衛生法の改正により、先月29日にいわゆるポジティブリスト制度も施行されましたが、これを逆手にとって、岩手の米の安全性を積極的にアピールする方法もあると考えます。例えば農薬の残留分析をして安全性をアピールするとか、県独自の安全基準を設定するとか、特別栽培にこだわらない方法で有利販売につなげるやり方もあるのではないでしょうか。県は、今後、米の低価格に対応する労働生産性の向上やコストの低減策、さらには販売対策をどのように進めようとしているのか、その基本的な考え方について伺いたいと思います。
 次に、農協の再編についてお尋ねします。
 去る22日に県農協中央会通常総会が開催され、JA経営をめぐる昨今の厳しい状況にかんがみ、経営資源――人、物、金――を一層高度に活用し、積極的な事業展開によって、組合員、地域住民に対するサービスの維持向上のため、安定的な経営基盤の確立を図るため、3年間で、現在17ある県内農協を6農協に再編することを決定しました。ここに至るまでの検討の中で、JAいわてグループ組織整備審議会の専門委員会委員長である鈴木JAいわい東組合長は、県内17農協のうち、昨年は9農協が赤字となり、大変な時代である。品目横断的経営安定対策のためにも、農協は行政と一体となって集落営農の牽引役にならなければならないと述べておりますが、農協再編で大農協となって、果たして、職員体制も含めて、地元農家との一体感の醸成や出資造成を求めたり、各自治体との連携ができるのでしょうか。逆に支障を来すのではないかと危惧するものです。農協は、合併が財務悪化克服のかぎを握るとしてきましたが、本来、債権の回収、資産の適正化などには、まず各農協が努力して、ある程度めどが立った上で合併するなど、今後の展開を考えるのが筋ではないでしょうか。過去に合併した農協の中には、それ以前の不良債権を処理できずに、財務悪化のまま今日に至っているケースが多いと推察されるからであります。自己責任を放棄せず、農協役職員の方々にはみずからのものとして再度の尽力を期待したいと思います。指導機関である県は実情をどうとらえ、財務整理のあり方はどう指導するのか。大農協化は本当に組合員にとって手助けになるのか。将来展望を含めて、現状分析並びに指導方針をお聞かせください。
 次に、競馬問題についてお聞きします。
 我が県議会は6月末までの改訂実行計画の見直しを求めておりますが、中央競馬や多くの地方競馬での売り上げが減少している状況下で、岩手のみが売り上げを伸ばす計画は不可能ではないでしょうか。なぜなら、平成18年度の岩手競馬開催計画132日のうち、6月19日現在、開催35日とおおむね4分の1が過ぎて、計画対比約90%程度の状況では、残り4分の3の開催で計画を達成するのは極めて難しいと考えますが、新しい改訂実行計画の見直しを含めて改めてお伺いします。
 次に、雇用の確保、馬事文化の継承などを存続の意義と位置づけておりますが、中央競馬では、コスト削減や勝ち馬投票券購入者のプライバシー保護の観点から、発売窓口を自動券売機にかえております。雇用確保とコスト削減や買いやすさとの間に矛盾はないのでしょうか。計画ではインターネット発売での売り上げ増加を見込んでおりますが、ソフトバンクのほか楽天とも交渉しているとのことであります。ライブドアの例もあることから、このような従来の倫理的な価値観と異なると言われているIT新興企業のインターネット発売に大きく依存することに心配はないのでしょうか。京セラ、KDDIという大企業を立ち上げてきた稲森和夫さんは、今、第一線を退き、若手経営者の指導塾を運営されており、塾生は4、000人を超えております。教えの中で、一番大切なことは、自分はこうありたいという人生観や、こういう会社にしたいという理念を大切にすることである。例えば経営が追い詰められ、1、000万円が足りない場合、それを得るには、今までの経営理念なり倫理観から一度外れて手を染めてしまうと、理念から少しずつ離れていっても平気になる。それが粉飾決算につながったりする。基本理念や倫理観を最後まで貫き通して、たとえ倒産の憂き目に遭ったとしても、世間は放っておかない。必ず立ち直ると説いております。見果てぬ計画を立て、財政貢献どころか繰り上げ充用という不足額がふえ続ける岩手競馬。このままでは、行き詰ったとき、県民が愛馬ののろしを上げてくれるのでしょうか。ここ3回の競馬議会で、副管理者名で発注された三連勝などのソフトウエア開発、東北映像との不透明な契約保証、降ってわいたパルソビル信託問題、いずれも報告事項としては議論されましたが、本来、これらの案件は金額的に議決事項ではないでしょうか。このままでは、議会のチェック機能も無視する岩手競馬が、一般県民のみならず愛馬を思う人たちからも見放されていくと感じますが、管理者でもある知事に基本理念を伺います。
 最後に、知事は、2006年度のスタートとなる4月、5月の2カ月間のうち、半分以上の32日を県外出張に当てたとの新聞記事がありました。競馬議会はこのごろ午後3時半の招集で、毎回夜7時以降までかかる審議となっております。山積する県政課題の処理など腰を据えて取り組み、先日の競馬議会にあったように、管理者である知事は非常勤などとおっしゃらずに頑張っていただきたいと思いますが、姿勢について伺います。
 以上で私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 渡辺幸貫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方交付税の今後のあり方についてであります。今後の地方分権改革を進めていくため、税財政面につきましては、今後さらに地方の自立的な財政運営が可能となるような制度構築を図っていくことが重要である、このように考えております。そのためには、国庫補助負担金の廃止や国税から地方税への税源移譲を行いますとともに、国の規制・関与の廃止・縮減を大幅に行っていく必要がある、このように考えております。また、今申し上げました税源移譲によりまして、交付税に依存しない自治体をできるだけふやして、全体として財政の自立度を高めていくことが重要でありますが、その場合でも、税源の偏在によりまして自治体間の財政力格差というものは残ることは避けられないというふうに思いますので、地方交付税の本来の機能でございます財源調整機能、そして財源保障機能を十分に発揮していくことが必要である、このように考えます。同時に、現行の交付税制度はしっかりとした見直しを行うことも必要でございまして、国の政策誘導的な機能は順次縮小して、制度の簡素化・透明化を進めることはもとよりでございますが、地方が相互に財源を融通し合うことによりまして、すべての自治体が国に依存せずに、住民に対して一定水準の行政サービスを提供できるように、先般、地方6団体が提言をいたしました地方共有税のような仕組みに再構築していくべきというのが私の考えでございまして、今後、国民の幅広い理解を得ながら、地方6団体が結束して、その実現を目指していくことが重要であると考えております。
 次に、岩手競馬についてのお尋ねでございます。
 まず、平成18年度の売り上げ計画の達成見込みでございますが、これは、先ほど飯澤議員にもお答え申し上げましたが、発売実績は、前回開催の6月19日までで前年比97%、計画比90%と厳しい状況にございます。6月10日からの水沢の第3回開催でございますが、これにつきましては、前年比102%、計画比94%と若干回復の兆しは見られてきております。このため、発売成績が現在不振な盛岡、水沢を中心にいたしまして、これまで場外で開催しておりましたイベントがございますが、これを場内で開催するとともに、県内の主要企業、また団体などへの訪問営業を今行っておりまして、今後、こうした一層の販売促進に努めますとともに、6月中に取りまとめることとしておりますコスト削減策がございます。これについて取りまとめの上、着手可能なものから直ちに実現を図っていく、こういう考えでございます。
 18年度の計画見通しの全体につきましては、現在、競馬組合におきまして、今年度導入したインターネット発売、それから三連勝式のかけ式、広域場間場外発売の動向なども含めた第1・四半期の発売状況を十分に踏まえながら、鋭意検討しているところでございまして、これについては、今後、競馬組合議会にお諮りしながら、できるだけ早急にその見通しを明らかにしたい、このように考えております。
 次に、窓口発売の自動発売機への切りかえでございますが、これはファンのプライバシー保護や長期的なコスト削減に貢献すると考えられますが、他方で初期投資に多額の費用がかさむ、多額の初期投資を必要とするということがございまして、現在の競馬組合の財務状況から見まして、当分の間、こうした自動発売機への切りかえは難しい、このように考えおります。
 それから、インターネット発売についてのお尋ねでございますが、現在、ソフトバンクグループの株式会社オッズパークというところに委託をして実施しております。前回開催の6月19日までの電話投票を含むインターネット発売の成績は、発売額が1億8、600万円、前年比293%で――前年は電話投票でございましたが、そちらとの比較になりますが――今年度計画した水準が前年比240%というものでございまして、そこを上回っております。また、現在、楽天株式会社との発売委託についても、他の地方競馬主催者と合同で検討・協議を継続しているところでございます。
 このインターネット発売でございますが、世の中、今、IT化が大変進んでおります。こうしたIT化の著しい進展に伴いまして、JRAでも発売の全体の44%を占める。そしてじきに過半を占める、こういうふうに言われております。したがいまして、重要な発売ツールとして位置づけられるというふうに考えておりますが、これとともに営業活動の展開によります自場発売の促進など、他の発売の強化もあわせて図っていく考えでございます。
 なお、今後の委託先の選定でございますけれども、これは他の地方競馬主催者とも連携しながら、今お話がございました企業リスクについても十分に検討して適切に対応していきたい、このように考えております。
 それから、競馬組合の御質問の4点目で、再生に向けた基本的な理念、考え方でありますが、現在、競馬組合は、その再生に向けた道筋をつけるべく、経営改善の取り組みを進めているわけでございますが、その基本的な考え方と申しますものは、自助努力を基本として、構成団体の支援を受けながら岩手競馬の再生を目指す、こういうことにあると考えております。この基本的な考え方を実現していくためには、競馬組合議会はもちろんのことでありますが、競馬関係者、ファンの皆様方、そして県民の方々の御理解と御協力が不可欠、このように考えておりまして、ただいま議員の方から御指摘をいただきました点につきまして真摯に受けとめながら、今後とも岩手競馬の再生に全力を尽くしていきたい、このように考えております。
 それから、この4月、5月に私の県外出張が大変多かったという御指摘をいただいたわけでございますが、これは、中国への出張がございましたほか、全国知事会、全国自治体病院開設者協議会、それから郵政民営化委員会などの会議が年度当初に大分集中してございました。そのことによるものでございます。ただいま議員の方から御指摘をいただきましたが、山積しております県政課題の処理に腰を据えて取り組むということは極めて重要でありますし、また、当然のことであるというふうに認識をしております。また、最近におきましては、そうした山積する課題の中に、冒頭に御指摘ございました地方交付税問題ですとか、あるいは医師不足の問題など、やはり中央におきまして地方の実情というものを声高に主張しなければ解決につながらないようなさまざまな深刻な問題、こうしたものがますます大きくなってきているというものも一方で事実でございます。したがいまして、こうした点につきましては、地方の実情を主張しながらも、やはり県政の重要な課題に解決の道筋をつけるべく、じっくりと腰を据えて全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 今後において財政運営の見通しが立たない市町村についてでありますが、各市町村においては、昨年3月に国から示された行政改革の推進のための新たな指針に基づいて、定員管理の適正化や事務事業の見直しを内容とする平成17年度から平成21年度までの集中改革プランを策定することとされ、その中で中期財政見通しを策定しているところであります。きょう現在、既に25団体が集中改革プランを策定し、残り10団体についても本年度中に策定することとしておりますが、既に策定している25団体の21年度までの中期財政見通しというものについては、今後、財政運営の見通しが立たないと判断している市町村はないところであります。しかしながら、国においては骨太の方針2006の策定過程において地方交付税の抑制が打ち出されるなど、地方交付税に依存する割合の高い財政構造にある県内市町村においては、さらに厳しい状況も予想され、中期財政見通しの見直しが必要になる場合もあり得ますことから、県といたしましては、行財政改革の進捗状況を定期的にフォローアップするとともに、地方自治法に基づく技術的な助言をしてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医療対策についてでございますが、まず、療養病床の転換に係る現状等についてでございますが、今般の医療制度改革に伴いまして、国は、療養病床につきまして、全国で医療型、介護型を合わせて38万床ございますものを、平成23年度末までに、医療の必要性の高い患者を受け入れるものに限定し、医療型を15万床とする予定とされております。本県の療養病床は、平成18年3月末現在、医療型、介護型をあわせまして約3、600床となっております。かなりの病床数の転換が見込まれるところでございます。
 一方、本県における療養病床の延べ入院患者は、年間で平成12年の約82万人から平成16年には約120万人に増加しているところでございます。さらに、県内の65歳以上の高齢者数は、平成12年10月で約30万人、昨年10月で約34万人、平成22年には約36万人と増加が見込まれており、今後、特に後期高齢者が増加することも予測されているところでございます。これに伴って、健康づくりや介護予防に力を入れることはもとよりでございますが、医療や介護が必要な高齢者の増加が見込まれるところでございます。
 こうしたことから、今後予定されております療養病床の転換に当たりましては、医療や介護が必要な高齢者が必要なサービスを受けられるようにしていくことが重要であると考えております。医療制度改革関連法案成立に当たりまして附帯決議があったわけですが、こうした附帯決議を受けまして、療養病床の転換を踏まえました地域ケア体制の整備に係る国の基本方針等が今後示されると伺っておりまして、これを受けて、県としても来年夏ごろまでに地域ケア整備構想を策定することとなる見込みとなっております。こうした国の動向を踏まえ、また、県内の関係者の御意見を伺いながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、老人保健施設のあり方についてでございますが、国においては、今般の介護報酬の改定におきまして、老人保健施設について、短期集中リハビリテーション実施加算の創設でありますとか、試行的退所サービス費の導入といった仕組みを取り入れておりまして、老人保健施設本来の役割とされてきました在宅復帰機能について報酬上の新たな評価を行ったところでございます。
 また一方、議員からも御指摘があったところでございますが、老人保健施設は、今般の医療制度改革において平成23年度までに行われる療養病床再編の受け皿の一つとしても位置づけられており、療養病床で長期療養を行っている高齢者が老人保健施設に移行していく可能性も想定されるところでありますが、この点の制度的位置づけについては、現状では必ずしも明らかになっていないところでございます。老人保健施設の今後の制度的なあり方につきましては、今後、国レベルでの検討がなされるべきものと考えておりますが、県としても、国の動向や県内の施設実態も把握しながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、特別養護老人ホームの医療体制についてでございますが、特別養護老人ホームにおきましては、協力病院を定め、休日、夜間の受け入れ体制について契約を交わしていただき、医療体制を確保していただいているところでございます。今般の介護保険における介護報酬の改定において、24時間連絡体制の確保やみとりに関する指針の策定など一定の要件を満たす特別養護老人ホームにおいては、本人または家族の同意を得ながらみとり看護を行った場合に報酬を加算することとされております。
 一方、医療保険における診療報酬上の新たな制度としまして、特別養護老人ホームにおける終末期ケアなどが評価される在宅療養支援診療所が設けられておりまして、本年6月1日現在、本県においては63の診療所がこの届け出を行っているところでございます。特別養護老人ホームの医療体制につきましては、終末期ケアにおける本人や家族の意思確認の問題等さまざまな課題があると考えておりますが、在宅療養支援診療所の仕組みの活用も含め、施設での適切な取り組みがなされますよう、医師会等の関係者の御協力をいただきながら、実施面での留意すべき事項等について配慮し、支援に努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、品目横断的経営安定対策についてでありますが、本県の麦、大豆につきましては、平成16年の生産費調査によりますと、現行の麦作経営安定資金や大豆交付金に加え、産地づくり交付金を含めることによって収益が確保され、再生産が可能となっている現状にあります。現時点では、品目横断的経営安定対策の交付金や産地づくり対策の詳細が明らかになっておりませんことから、明確な見通しを申し上げることは困難でございますが、現在公表されている情報をもとに試算いたしますと、麦、大豆とも、平成19年度から導入される品目横断的経営安定対策のうち、諸外国との生産条件の格差分を補てんする、いわゆるげた対策と産地づくり交付金に係る交付額はおおむね現行の助成水準と同程度にあると推定されますことから、いわゆるげた対策への加入を前提といたしますと、再生産可能な所得は確保されるものと見込んでおります。
 また、米、麦、大豆の価格下落による収入の減少分を補てんする、いわゆるならし対策につきましては、現行の担い手経営安定対策などに比べまして生産者の拠出金が軽減されるなどのメリットが拡大する中で、市場価格や収量の変動に伴う収入の変動を緩和することができますことから、担い手の所得の安定につながるものと考えております。
 県といたしましては、意欲と能力のある担い手が将来にわたり安定して農業を営めるような品目横断的な経営安定対策を導入することによりまして、足腰の強い農業生産構造が構築されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、米の生産・販売対策についてでありますが、米価が低迷している中で、稲作の収益性の向上を図るためには、経営規模の拡大と生産コストの低減が極めて重要な課題となっております。このため、経営規模の拡大に向けまして、これまで以上に担い手への農地や農作業の集積を促進し大規模経営体を育成するとともに、圃場整備や生産資材費の低減、集落営農を契機とした地域での効率の高い機械化体系への移行、さらには、労働時間の大幅な短縮が可能な直播技術の導入などにより、総合的なコスト低減の取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 また、販売対策につきましては、県産米の約8割を扱う大手米卸売業者から高い評価を得ているものの、消費者や量販店、外食産業などの実需者からの認知度が低いことが課題となっておりますことから、今後は、消費者、実需者をターゲットとして、一等米比率に象徴される高い品質と食味のよさ、また、新たにスタートしたポジティブリスト制度に対応した栽培履歴の記帳や農薬飛散防止対策の徹底、さらには、農業団体が行う残留農薬の自主検査などによる安全・安心を求める消費者ニーズへの的確な対応などを前面に打ち出しながら、農業団体と一体となって、マスメディアを活用したPRや量販店でのフェアの開催、あるいは生産者と消費者との交流などによりまして県産米の評価向上と販売促進に取り組み、米価が低迷する中でも勝ち残ることができる体質の強い米産地の形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、農協の再編についてでありますが、金融情勢の変化や農家経済の低迷などにより農協経営が厳しい状況にある中で、農協が今後とも健全な経営体として自立し、組合員の負託にこたえていくためには、経営基盤のより一層の強化が喫緊の課題となっております。農協の再編につきましては、基本的に農家組合員自身の話し合いにより進められるべきものと存じておりますが、現在、系統組織が取り組んでおります農協再編は、経営の健全性を確保し、経済事業を初めとした改革の推進によって経営基盤の強化を図る一つの有力な手段であり、そのことが組合員の利益の増進につながっていくものと考えております。
 具体的な合併に向けましては、個々の農協におきまして不良債権の処理や自己資本の充実など最大限の自助努力が必要であると考えておりまして、このような考え方のもとに、JAバンクグループにおきましても、各農協が金融機関としての財務の健全性を確保するため、平成17年度から19年度までの3年間を取り組みの集中期間として不良債権の処理を進めているところでございます。
 県といたしましても、引き続き検査等を通じて、農協における的確な自己査定や法的措置を含めた債権の保全、回収による不良債権の圧縮など財務改善に向けた早期の取り組みを指導するとともに、県農協中央会等との連携を密にしながら、今回の農協再編により、農業者の期待にこたえる農協組織が確立されるよう、系統組織の主体的な取り組みを促進してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、小・中学校の統合再編についてですが、本県においては、少子化の進行により学校の小規模化が進んでいますが、小規模校は、教師と児童生徒との人間的な触れ合いが深まり、一人一人に目が行き届きやすい反面、固定化された集団のため、教育指導面や児童生徒の人間関係、また、教職員の配置など、さまざまな面での課題も指摘されております。
 現在、県内各地域において小・中学校の統合再編が進んでいますが、統合再編により人間関係の固定化が解消され、多様な仲間との交流による社会性の育成、お互いから学び合う機会による学習意欲や自主性の向上、教員配置の増加や部活動の選択幅の拡大などによる学校教育の充実などの効果が報告されています。一方で、通学距離、通学時間の増加が児童生徒の心身に与える影響や、クラブ活動などの学校の教育活動への制約などの影響も見られるところです。
 もとより小・中学校の統合再編は、設置者である市町村が、児童生徒の健やかな成長を促し、豊かな人間性をはぐくむ上で必要な教育環境の整備や教育効果の向上などを目指して取り組むべきものでありますが、県教育委員会としては、児童生徒数の減少が進む中で、学校の活性化や教育指導の充実、教育水準の維持向上を図る観点から、小規模校の統合を図ることも有効な施策の一つと考えております。今後、市町村教育委員会に対して、県内の先行事例などの情報提供や助言などを行うとともに、学校統合を計画する場合には、保護者や地域住民の皆様の十分な御理解と御協力をいただきながら進めるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、新昇給制度についてですが、この制度は、公務員の給与決定は能力と業績に基づいて決定されるべきものとの考え方に基づき、このたび給与関係条例並びに人事委員会規則が改正され、従前の定期昇給に当たる部分はそのままに、特別昇給に当たる部分については、能力、業績を評価した上で昇給を決定しようとするものです。しかし、この新昇給制度及びそれに伴う教職員評価制度について、市町村教育委員会や学校現場の教職員の理解が必ずしも十分ではなく、また、評価の内容や方法の検討に当たっては十分な時間をかけて行うべきとの意見や要望が多く寄せられているところです。
 もとより学校教育は、教職員相互の連携協力で教育活動が行われていること、また、その成果が直ちにはあらわれにくいものも多いことなどから、そうした学校現場の実情に十分配慮しつつ、その実態に合った評価の内容や方法とすることが必要であると考えております。この評価制度の導入により、頑張っている教職員や努力している教職員を積極的に評価し、その意欲を一層高めるとともに、評価を通じた指導、助言により、教職員一人一人の自己啓発を促し、資質能力の向上を図るなど、学校における教育活動や教育力の一層の充実向上につなげていきたいと考えております。現在、県内各地区において、市町村教育長、県立学校長などを対象に説明会を開き、制度導入の趣旨やその内容についての周知、理解を図るとともに、評価の内容や方法について御意見を伺っているところです。今後も引き続き市町村教育委員会や学校長、職員団体との話し合いを進め、いただいた御意見を踏まえてさらに評価の内容や方法について必要な見直しを行い、できるだけ早い時期に円滑に評価を実施できるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、英語教育の推進についてですが、地方分権研究会主催の4県統一テストにおいて、中学校第2学年の英語の正答率が最下位となっております。これは、基本文型の習熟が十分でないことや、語彙力が不足しているため書くことの領域が特に落ち込んでいることによるものと考えております。
 このため、英語教育の推進に当たりましては、教員の指導力の向上を図ることはもとよりのこと、子供たちの聞くこと、話すこと、読むこと、書くことの4領域のバランスのとれた英語力を育成することが重要と考えております。また、子供たちの発達段階に応じた適切な指導を行うため、小学校では、聞くこと、話すことを中心とした英語活動を導入すること、中学校では、書くことの指導強化を図るとともに、4領域のバランスのとれた英語力を身につけさせること、高等学校では、大学入試に十分対応できる英語力や実践的コミュニケーション能力を身につけさせることにより、将来、国際的な活躍が期待される岩手の人材育成を図っていきたいと考えております。
 具体的には、小学校においては、早い段階から英語になれ親しませるために、現在、県内のほとんどの小学校で英語活動に取り組んでおりますが、これをさらに充実させるため、本県も含めた6県共同で開発した英語教材を学校に提供してまいります。中学校においては、子供たち一人一人の学習の到達度に応じた事後指導の徹底を図るとともに、著しい成果が見られる英語大好きジュニアハイスクール事業について、指定校における効果的な少人数指導のあり方や、学校で工夫して作成した教材などを紹介した事例集を配布し、その成果の普及を図ってまいります。また、教員の指導力の向上を図る授業力ブラッシュアッププラン事業により、中学校、高等学校において、書くことの領域を重点に取り上げた授業改善研修を実施してまいります。そして、すべての中学校、高等学校において、ALTと生徒との英会話により、聞くこと、話すことなどの実践的コミュニケーション能力を育成してまいります。さらに、中学校、高等学校が連携した授業研修会を開催し、英語の学力向上担当の指導主事が授業に関する指導を直接行うなど、英語教員の指導力の向上を図ってまいります。

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