〇決算特別委員長報告
平成27年11月2日
 去る10月21日に行われました決算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には佐々木茂光君が選任されましたので、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 決算特別委員会は、去る10月15日の本会議におきまして設置され、平成26年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計の歳入歳出決算11件及び企業会計決算3件、並びに議案2件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、10月21日から8日間にわたって委員会を開き、知事の出席を求めて総括質疑を行った後、各部局ごとに、主管部局長等から決算及び議案の内容等について、詳細な説明を聞き、質疑を行い、その後、10月30日の午後に、世話人会を開催し、意見の取りまとめをいたしました。
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知のとおりでありますので、省略させていただき、以下、各決算及び議案につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、議案第47号平成26年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第48号平成26年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについてにつきましては、いずれも原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、認定第1号平成26年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、次の意見、すなわち、平成26年度における本県財政は、景気が緩やかな回復傾向にある中で、企業収益の改善及び復興需要を背景とした県税収入の持ち直しがあったものの、復旧、復興事業の本格化に伴い土木費、農林水産業費等が増加し、厳しい運営を迫られたものとなった。
 また、平成26年度末の普通会計における県債残高は1兆4,729億円余と前年度末に比べ420億円余減少したものの、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は20.4%であり、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を超える状況が続いているところである。
 さらには、依然として高い水準で推移する県債の償還や社会保障関係経費の増加等により、これまでにも増して厳しい財政運営を強いられることが予想される。
 このような中、県では、平成26年度を本格復興推進年と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業を最優先に取り組んできたところであるが、さきに県が公表したいわて復興レポート2015によれば、県民の復興に対する実感は、進んでいるという回答が増えてはいるものの、おくれている、ややおくれているという回答が依然として半数を超えていることから、県民がより一層、復興を実感できる取り組みが求められる。
 したがって、今後の財政運営に当たっては、県民が復興を実感できるよう、本格復興をさらに加速するため、復興を担う人材の確保など体制面を強化しつつ、国との連携による一層の財源の確保や、あらゆる角度からの歳入確保に全力を傾け、徹底した歳出の見直し、より効果的な事業の選択など、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
 また、緊急雇用創出事業等における一連の事案から得られた教訓を今後に生かし、厳正かつ適切な業務運営に万全を期されたい。
 あわせて、このような認識のもと、東日本大震災津波からの一日も早い復興はもとより、人口減少対策を含むふるさと振興、厳しさを増す医療、介護、福祉の充実、学校現場におけるいじめ対策の充実、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功など、喫緊の重要課題に対する具体的な取り組みを着実に推進されたい。
 なお、政策等の評価の実施に当たっては、政策等の成果をより適切に評価し、課題解決につながるような指標に見直すなど、評価の実効性を高めるよう改善を図られたい。
平成28年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい旨の意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第13号平成26年度岩手県立病院等事業会計決算につきましては、次の意見、すなわち、医療を取り巻く環境が一層厳しさを増す状況にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 平成26年度の経営収支は、地域の医療機関との役割分担や連携を進めたこと等による在院日数の短縮、薬剤処方日数の伸び等による通院回数の減少などにより、入院・外来患者数が減少したものの、診療報酬改定による診療単価の伸び、新たに開発された抗がん剤等の治療薬や内視鏡検査件数の増加などにより、経常損益において5年連続して黒字を計上するなど、経営努力が認められる。
 一方、新たな地方公営企業会計基準に対応するため、退職給付引当金の一括計上や旧病院等に係る減損など286億4,667万円余を特別損失としたことから、総収支は273億6,622万円余の純損失となり、累積欠損金が437億7,038万円余に増加している。
 このような状況において、引き続き、医師、看護師等の確保及び定着支援策を推進し、診療科の偏在の解消、適正な医療資源の配置等、良質な医療を提供できる環境を整備するとともに、他の医療機関との連携促進など地域医療を支える体制のさらなる強化が期待されており、特に、被災沿岸3病院の再建については、早期の開院に向けた着実な取り組みが望まれる。
 今後の事業運営に当たっては、岩手県立病院等の経営計画2014-2018を着実に実行し、医業収益の確保はもとより、病床の適正管理、材料費の抑制、医療費に係る個人未収金の縮減、施設、設備の効率的な整備などにより、引き続き経常利益の確保に努めるとともに、地域医療構想の策定や新たな公立病院改革ガイドラインなどによる経営を取り巻く環境の変化にも対応し、経営計画に掲げる安定した経営基盤の確立に向けた取り組みを、なお一層、積極的に推進されたい旨の意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成26年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第12号平成26年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、認定第14号平成26年度岩手県電気事業会計決算及び認定第15号平成26年度岩手県工業用水道事業会計決算につきましては、いずれも認定することに決定いたしました。
 以上をもって報告といたします。