平成7年2月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(工藤巌君) 第17回県議会定例会が開催されるに当たり、所信の一端を申し上げます。
 これに先立ち、去る1月17日に発生した兵庫県南部地震により、不幸にして亡くなられた方々とその御遺族に対し、衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、あわせて、1日も早い生活の再建と復興を切に願うものであります。
 このたびの議会は、私にとりまして、最後の定例会であります。
 私は、平成3年4月、知事に就任して以来、県民とともに歩む県政の推進を基本姿勢として掲げ、常に、県民の皆様のさまざまな御意見、御提言を県政に生かすよう努めながら、豊かな自然の中に、活力と希望にあふれ、心の触れ合うふるさと岩手の建設に向けて、全力を傾けてまいりました。
 この間、県議会並びに県民の皆様から賜りました数々の御厚情、御支援に対しまして、心から感謝申し上げる次第であります。
 我が国を取り巻く情勢を見ますと、国際社会では、今もなお、戦火による難民や飢餓が絶えず、また、貧困や地球環境問題など、その解決のために人類全体が協調して努力しなければならない多くの課題を抱えております。
 一方、国内においては、国際化、長寿社会の進展、生活意識の多様化、あるいは環境保全への要請の高まりなど、経済社会情勢が大きく変化してきております。
 21世紀を目前に控え、私たちに求められておりますのは、時代の流れを的確にとらえながら、本県の進むべき道筋をしっかりと見定め、これまで築き上げてきた成果を一層実りあるものとして、次の世代に引き継いでいくことであると存じます。
 このため、平成3年11月、広く県民の皆様の参画をいただきながら、県政の基本指針として、みんなで築くふるさと岩手第三次岩手県総合発展計画を策定し、緑あふれる快適な県土の整備、未来をつくる活力ある産業の展開、健やかな暮らしを支える福祉の充実、はつらつと生きる心豊かな人づくりの4つの基本方向に基づき、各般の施策の積極的な展開に努めてまいりました。
 この結果、高速交通幹線を初めとする総合的な交通網や下水道などの基盤整備が進むとともに、産業技術の高度化に対応した各種試験研究機関の整備などによる産業の活性化、さらには、少子・高齢社会に対応した保健医療・福祉の体制や教育立県を目指した教育環境の充実など、生産、生活両面にわたる定住条件の整備が進み、本県の子供を育てる環境や居住環境が全国的にも高く評価されるなど、県勢は着実に発展してきているものと存じております。
 また、全国健康福祉祭を初め、三陸・海の博覧会、アルペンスキー世界選手権大会、国民文化祭と相次いで開催された4大イベント、さらに、昨年のファミリンピック、全国ボランティアフェスティバルについては、まさに県民を挙げた取り組みによりまして、大成功をおさめ、国内外の方々に大きな感動を与えるとともに、岩手の存在感が強くアピールされ、ここで生まれた県民の新たな自信と誇りは、これからの県勢発展のために大きな力になっていくものと確信いたしております。
 私は、今後におきましても、このような県民の地域づくりに対する意欲を結集しながら、全国との格差の是正や県土の均衡ある発展という、本県にとりましての基本的な課題を初め、経済社会情勢の変化に伴う新たな諸課題にも積極的に取り組むことが肝要であると存じております。
 以下、3県総に掲げる4つの領域に従って、県議会並びに県民の皆様とともに進めてまいりました県政を顧みるとともに、今後の課題について申し上げることといたします。
 第1は、県土の整備についてであります。
 産業経済活動の活発化を図り、豊かで快適な県民生活を実現するためには、環境や景観に十分配慮しながら、交通網や都市、農山漁村を通じた環境の整備など、生産、生活基盤の充実整備を図ることが重要であります。
 このため、交通網の整備については、東北横断自動車道釜石秋田線、三陸縦貫自動車道などの高速交通幹線の整備を促進するとともに、交流ネットワーク道路や新幹線関連道路など内陸部と沿岸部を結ぶ道路の整備、さらには、隣接県との交流を促進する道路の整備に努めてまいりました。
 また、東北新幹線盛岡以北の本格着工が実現するとともに、盛岡-秋田間の直行特急化事業が順調に進むなど、高速鉄道の整備も進展してきております。
 さらに、東北新幹線盛岡以北について、八戸までのフル規格による建設が決定されるとともに、宮古-盛岡間及び宮古-久慈間が地域高規格道路に指定されるなど、県土の均衡ある発展に向けての条件が着実に整ってきていると存じております。
 また、花巻空港の施設機能を強化するとともに、大型機の就航に対応する滑走路の延長に向けて官民一体となった取り組みがなされたことにより、関西国際空港への乗り入れが実現したほか、来年度から中型ジェット機が就航する運びとなったところであります。
 港湾については、釜石、久慈両港の湾口防波堤の建設促進に努めるとともに、活発なポートセールス活動などにより、その積極的な利用を図ってまいったところであります。
 今後とも、高規格幹線道路や東北新幹線盛岡以北の整備、空港機能の強化など高速交通幹線の整備を一層促進しながら、幹線道路、鉄道、港湾が一体となった交通網を整備するとともに、日常生活に密着した地域交通の確保を図る必要があると存じます。
 都市においては、住宅や公園など居住環境の整備を進めながら、景観に配慮した良好なまちなみの形成や中心市街地再開発などにより活性化を図ってまいりました。特に、盛岡都市圏においては、北東北における拠点性を高めるため、盛岡南地区や盛岡駅西口地区の整備を進め、また、北上中部、三陸の両地域においては、新たな拠点都市づくりに取り組んでまいりました。
 農山漁村においては、産業基盤の整備はもとより、生活関連道路や給排水施設などの生活基盤の整備を進めながら、豊かな自然や空間を活用した魅力ある地域の形成に努めてまいりました。
 特に、排水処理については、県内全域の整備構想を策定し、下水道や集落排水施設などの効率的な整備に積極的に取り組んでまいったことにより、下水道普及率は大幅に向上してきており、快適な生活環境の整備が着実に進展しているところであります。
 今後とも、広域的な交流を進めながら、都市と農山漁村地域を一体的な圏域として整備を進める必要があると存じます。
 情報通信網の整備については、高度情報化の進展に対応し、テレトピア構想等の促進、県民生活や産業分野における情報化システムの構築などに努めてまいりましたが、今後とも、マルチメディア時代の到来を十分視野に入れつつ、一層その整備を進める必要があると存じます。
 また、適正な土地利用の促進や水資源の確保などに努めるほか、潤いのある水辺空間の形成にも配慮しながら、治山、治水、砂防、海岸保全対策を進めるなど、良好な環境の保全と活用を図り、安全な県土づくりに努めてまいりました。
 さらに、県民の環境保全意識の高揚を図りながら、本県のすぐれた自然環境や景観が次代に継承されるよう努めるとともに、公害の未然防止を図り、フロン回収の促進やモデル的な産業廃棄物処理施設の整備を進めるなど、地球環境問題にも配慮してまいりました。 この結果、県民の環境や景観に対する関心も高まってきているところであり、今後とも、美しい自然環境の保全と活用、さらにはすぐれた景観の創造等に一層の努力が必要であると存じます。
 第2は、産業の展開についてであります。
 豊かな生活を送ることができる活力ある地域社会を築くためには、本県の地域特性を生かしながら、多様な産業の振興を図る必要があります。
 私は、そのための基礎づくりとして、先端的、独創的な研究開発の拠点となる施設の整備、さらには、産業を担う人材の育成・確保が極めて重要であると存じます。
 このため、生物工学研究所を初め、工業、林業、水産業の各分野の試験研究機関を整備したほか、農業関係試験研究機関の再編整備に取り組むとともに、超電導工学研究所盛岡研究所の誘致や両磐地区における共同技術研究センターの設置など、高度技術に立脚した産業の展開を図るための研究開発体制の確立に努めてまいりました。
 また、農業、林業、水産業の担い手対策基金やふるさといわて定住財団を設立するとともに、職業能力開発短期大学校の整備を進めるなど、人材の育成・確保に努めてまいったところであり、本県の活力ある産業の展開に向けた体制の整備が着実に進展していると存じております。
 農業については、一昨年の未曾有の冷害や米の部分開放の決定という大きな試練のもとで、沖繩県での水稲種子緊急増殖を実施するなど、冷害に対する万全の対策を講じるとともに、低コスト稲作を推進する中で、待望のオリジナル水稲品種かけはし、ゆめさんさの生産販売が開始されたところであります。
 また、大規模区画圃場などの高生産性農業基盤の整備を初め、農産物の流通施設の設置や価格安定対策の実施など、生産、流通体制の整備を進めるとともに、担い手農家の経営規模の拡大を促進したほか、農業後継者の育成・確保対策の充実に努めてまいりました。
 さらに、適地適作による園芸品目の生産の拡大を図るほか、畜産については、新しい生産技術の開発や肉用牛の改良増殖の中心となる施設の整備を推進してまいりました。
 今後においては、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施が本県農業に大きな影響を及ぼすことが懸念されるところでありますが、経営体の育成や地域の農業資源を十分に活用した効率の高い地域ぐるみ農業の形成を図るとともに、中山間地域の活性化対策を強化するなど、新たな国際環境の中においても揺るぐことのない力強い農業の構築を図る必要があると存じております。
 林業については、県産材の安定供給体制を確立するため、林道網の整備を促進するとともに、木材高次加工施設の整備や県産材の需要拡大等に努めたほか、シイタケなど特用林産物の生産振興に取り組んでまいりました。
 また、多様な森林の維持造成を進めるとともに、森林の総合的な利用促進に努めてまいりましたが、今後とも、森林の持つ多様な機能に配慮しながら、来るべき国産材時代に備え、その生産基盤や林産物の供給体制の整備、さらには特色ある地域林業の形成を図る必要があると存じます。
 水産業については、沿岸漁場、漁港などの生産基盤の整備やアワビ、ウニなどの種苗放流を行い、また、ヒラメなどの新たな栽培魚種の開発を進めるとともに、つくり育てる漁業を推進するとともに、流通加工体制の整備に取り組んでまいりました。
 今後とも、生産基盤の一層の整備を図りながら、栽培漁業を推進するとともに、全国豊かな海づくり大会の成功に向けて、その準備を進める必要があると存じます。
 商工業については、魅力ある商店街の整備に努めたほか、地域交流センターや地域ソフトウェアセンターを設立するとともに、産学官の共同研究を促進し、研究者や技術者の養成を図るなど、テクノポリス開発計画や頭脳立地構想に基づく情報関連機能等の強化や北上川流域に高度技術産業の集積を促進してまいりました。
 今後とも、科学技術の振興を図りながら、研究開発機能の強化を初め、工業団地の整備や優良企業の導入に努め、本県工業の高度化を進めていく必要があると存じます。
 また、中小企業の着実な発展が図られるよう、経済社会の変化に的確に対応しながら、人材の育成・確保、経営力の強化、指導体制の充実などに努めてまいりましたが、特に、今後においては、創造的な企業活動を一層支援する必要があると存じます。
 さらに、観光客の多様なニーズに対応した魅力ある観光地づくりや観光サービスの向上を図るため、広域観光ルートやオートキャンプ場の整備のほか、観光地等の施設の整備を進めながら、各種キャンペーンの展開や首都圏での総合的な情報発信拠点の整備などを図るとともに、リゾート構想の促進に努めてまいりました。
 今後とも、観光客の誘致拡大や本県のイメージアップに努めなければならないと存じます。
 また、Uターン・Iターンの促進を図るとともに、女性や障害者等の就業機会の拡大や労働時間の短縮などを促進してまいりましたが、今後とも、魅力ある雇用機会の創出や人材の育成・確保に努める必要があると存じます。
 第3は、福祉の充実についてであります。
 県民が、生涯を通じ、安全で安心感を持ちながら暮らすためには、いつでも、どこでも、必要とする保健医療や福祉のサービス提供を受けることのできる体制の整備が必要であります。
 このため、高齢者保健福祉計画を策定し、地域の実情に応じた保健医療・福祉のきめ細かなサービス供給体制の整備や、それを支える人材の養成・確保に努めてまいりました。
 また、健康増進の普及啓発を図り、老人保健施設の整備を促進するほか、医療施設間の連携強化、救急医療の充実や心肺蘇生法の普及、さらには、リハビリテーション中核施設の整備や県立病院の移転新築、高度医療機器の整備など、保健医療体制の充実に努めてまいったところであります。
 今後とも、良質な医療サービスを提供しながら、県下各地域において、施設や人材を活用し、県民誰もが身近に参加できる健康、生きがいづくり活動が活発に展開されるよう努めるとともに、どこに住んでいても、緊急時に高度な医療を受けられるような体制の整備を一層推進する必要があると存じております。
 社会福祉の基底にあるものは、助け合いの心であります。このため、福祉意識の定着を図り、住民の主体的なボランティア活動を助長し、地域に根差した福祉活動の活発化に努めてまいりました。
 また、高齢者の生きがいと健康づくりを推進するとともに、ホームヘルパーなどの在宅福祉サービスの充実や特別養護老人ホーム、ケアハウス等の施設整備を進めてまいったところであり、高齢化の進展に対応した福祉体制が着実に整備されてきております。
 さらに、少子化の進行に対応し、保育所の機能の充実を図るなど、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを進めてきたほか、障害者の社会経済活動への参加を促進するため、県民の福祉交流施設ふれあいランド岩手を整備するとともに、授産施設の整備やグループホームの設置を進めたほか、障害者文化芸術祭の開催などにも努めてまいりました。 今後とも、少子・高齢社会への適切な対応を図るため、いわゆる新ゴールドプランやエンゼルプランに沿って、保健医療・福祉サービスを一層拡充するとともに、児童の健全育成のための拠点施設の整備、さらには、県民誰もが安全かつ快適に暮らせる環境づくりを目的とした人に優しいまちづくりの推進などを図る必要があると存じます。
 また、安全な県民生活を確保するため、交通安全思想の普及や交通安全施設、久慈地区における運転免許センターの整備など、交通安全の確保に努めるとともに、防災行政情報通信ネットワークの整備や救急業務の高度化など、消防防災体制の充実強化を図ってきたほか、暴力団対策など犯罪の防止や消費者の保護と啓発に努めてまいりましたが、今後とも、総合的な防災対策や交通安全等を一層推進するとともに、消費生活の安定を図る必要があると存じます。
 第4は、人づくりについてであります。
 21世紀に向けて、活力ある産業の展開を図るとともに、長寿社会に対応した地域社会を築いていく上で、基本となるのは、人間性豊かな人づくりであり、また、県民誰もが、この岩手の地で生涯にわたり、楽しさ、喜び、あるいは満足感を持って学び続けることができる環境をつくることが大切であると存じます。
 このため、生涯学習推進センターの整備に取り組むとともに、学校開放講座や長寿学園の開催、さらには、生涯スポーツの推進や各種スポーツ施設の整備を進めるなど、生涯学習社会の構築に向けて、広くその環境整備に努めてまいりました。
 学校教育の充実については、基礎的、基本的内容を重視し、児童生徒の個性に応じた指導の充実に努めるとともに、学校不適応の問題にも取り組みながら、みずから主体的に学ぶ児童生徒の育成に努めてまいりました。また、県立学校への社会の変化に対応した学科の設置や養護学校高等部の整備などを進めるとともに、特色ある私立学校づくりの支援に努めるなど、教育諸条件の整備を進めてまいりました。
 さらに、国民文化祭の成果を県内の芸術文化活動の振興につなげるとともに、美術館や歴史・文化に関する研究機関の整備についても取り組んでまいりました。
 今後とも、社会の変化や県民のニーズの高度化等に的確に対応しながら、学校、家庭、地域社会が一体となって、それぞれの持つ教育の機能を高めていくとともに、文化に親しむ環境の整備や柳之御所遺跡など県民共有の財産である文化財の保護と活用に努める必要があると存じております。
 また、新しい時代に対応した人づくりを進めていく上で、大学等の高等教育機関の果たす役割は極めて重要であると存じます。このため、平成10年の開学を目指して、県立の4年制大学の整備に向けた具体的な取り組みに着手したところでありますが、今後とも、時代に合った特色のある高等教育機関の整備充実について積極的に取り組んでいく必要があると存じます。
 さらに、青年や少年の船を実施したほか、青少年を取り巻く環境の浄化について地域と一体になって取り組むなど、次代を担う青少年の健全育成に努めるとともに、女性の船や海外研修を実施するなど、女性の社会参加の促進に努めてまいりましたが、今後とも、一層青少年の健全育成と男女共同参画社会の形成に努めなければならないと存じます。
 国際交流の推進については、県民の国際交流活動を支援する中心的な施設となる国際交流プラザの整備や海外からの技術研修員の受け入れの拡大などを進めてまいりましたが、今後とも、国際交流活動の一層の推進を図り、世界に開かれた地域づくりに努める必要があると存じます。
 以上、これまで進めてまいりました主な施策と今後の課題について申し上げましたが、今回提案いたしました平成7年度予算案は、諸般の事情を考慮し、いわゆる骨格予算としてこれを編成したものであります。
 今後とも、国、地方を通じ、厳しい行財政環境が続くものと予想されますので、絶えず財政の健全化を進め、行政改革の着実な推進によって機動的で、かつ、効率的な執行体制の整備に努めるとともに、綱紀を厳正に保持しながら、職員の資質の向上と士気の高揚を図り、多様化、高度化する行政需要に積極的に対応することが肝要であると存じます。
 人々の営みが果てることなく続いていく時の流れの中で、私は、今の時代を担う者の1人として、先人の幾多の努力によって築き上げられてきた郷土を、さらに豊かなものとして、しっかりと次の世代に引き継いでいくため、微力ではありましたが、全力を傾注して取り組んでまいることができたものと存じております。
 これもひとえに県議会並びに県民の皆様の力強い御支援のおかげであり、重ねて心から感謝申し上げる次第であります。
 我が郷土岩手には、大きな発展可能性があります。
 変化に富んだ広大な土地、清浄な空気と水、緑豊かな自然、ゆとりある良好な生活空間、歴史的、伝統的文化、すぐれた人材をはぐくんだ風土、さらには温かい県民性など、数多くのすぐれた特性を有しております。
 私は、この貴重な地域特性を大切にしながら、地域における県民の主体的な活動が結集され、快適で活力に満ちた個性豊かなまちづくり、むらづくりが展開されるならば、必ずや、この岩手の地に理想的なふるさとが築き上げられるものと確信いたします。
 今後におきましても、県民の皆さん1人1人が郷土を愛し、その未来を信じ、地域の個性や特色を生かした創造的で活力のある、まさに幸せを実感できるような地域社会の実現に向けて、力強く前進されるよう切に願う次第であります。
 以上をもちまして、私の所信表明を終わります。(拍手)
   日程第8 議案第1号平成7年度岩手県一般会計予算から日程第59 報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(佐々木俊夫君) この際、日程第8、議案第1号から日程第59、報告第2号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。上田総務部長。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第1号は、平成7年度岩手県一般会計予算であります。
 この予算編成に当たりましては、国、地方を通じて厳しい財政環境下にあることにかんがみ、行財政運営全般について見直しを行うとともに、国の予算編成方針、地方財政計画等に留意し、健全財政を確保しながら諸施策の推進を図ることを基調として編成したところでありますが、特に当初予算におきましては、諸般の情勢を考慮し、原則として新規または政策的経費は計上を見合わせ、いわゆる骨格予算といたしたものであります。
 以下、その概要について御説明いたします。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を7、161億2、631万5、000円と定めるものであります。
 これを前年度当初予算に比較しますと、496億3、446万4、000円の減となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 第1款県税につきましては、1、210億7、500余万円を計上しており、前年度当初予算と比較しますと137億2、500余万円の増となっておりますが、この見積もりは、平成6年度の税収の最終見込みを基礎として、平成7年度の経済見通しによる経済指標、地方財政計画における税収の伸び及び県内経済動向等を勘案して行ったものであります。
 第2款地方譲与税につきましては、102億3、400万円を計上しており、前年度当初予算と比較して2億8、400万円の増となっております。
 第3款地方交付税につきましては、2、191億4、300余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して126億8、600余万円の減となっております。
 第4款交通安全対策特別交付金につきましては、6億6、500万円、第5款分担金及び負担金につきましては、101億7、800余万円をそれぞれ計上しております。
 第6款使用料及び手数料は、114億3、700余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して2億6、300余万円の増となっておりますが、これは、高等学校授業料及び県営住宅使用料等、使用料、手数料の適正化を図ったことなどによるものであります。
 第7款国庫支出金につきましては、1、743億5、300余万円を計上しており、これを前年度当初予算に比較しますと346億4、200余万円の減となっておりますが、これは、公共事業等の新規着工に係る事業について、今回、原則として計上を見合わせたことによるものであります。
 第8款財産収入につきましては、51億3、200余万円、第9款寄附金につきましては、2、000余万円、第10款繰入金につきましては、79億1、800余万円をそれぞれ計上しております。
 第12款諸収入につきましては、669億500余万円を計上しておりますが、これは、貸付金の償還元利収入がその主なものであります。
 第13款県債につきましては、890億6、200万円を計上しており、前年度当初予算に比較して51億6、400万円の減となっておりますが、これは、公共事業等の新規着工に係る事業について、今回、原則として計上を見合わせたことなどによるものであります。
 次に、歳出について御説明いたします。
 第1款議会費につきましては、15億6、500余万円を計上しております。
 第2款総務費につきましては、336億3、400余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、オンラインシステム運営費11億900余万円、東北新幹線建設促進対策事業費6億6、400余万円、知事、県議会議員選挙執行費6億7、900余万円、参議院議員選挙執行費8億4、800余万円、国勢調査費5億6、000余万円等であります。
 第3款民生費につきましては、346億1、000余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、重度心身障害者(児)医療助成費11億6、800余万円、精神薄弱者更生援護費17億5、200余万円、老人保護措置費20億5、000余万円、老人福祉活動推進費18億1、900余万円、国民健康保険事業安定化推進費6億6、400余万円、児童保護措置費47億1、200余万円、生活保護扶助費40億600余万円等であります。
 第4款衛生費につきましては、205億2、900余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、母子保健対策費7億800余万円、精神障害者入院等措置費8億1、800余万円、老人保健対策費64億3、600余万円、産業廃棄物処理施設整備費18億4、500余万円、救急医療対策費7億3、100余万円等であります。
 第5款労働費につきましては、43億9、600余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、財団法人ふるさといわて定住財団出捐金4億6、000万円、認定職業訓練費2億8、200余万円、職業能力開発推進事業費4億800余万円、公共職業能力開発費10億2、700余万円、職業能力開発短期大学校整備事業費8億1、900余万円等であります。
 第6款農林水産業費につきましては、1、278億1、600余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、農業研究センター(仮称)整備事業費41億6、200余万円、山村等振興対策事業費12億1、100余万円、県営畜産経営環境整備事業費14億9、500余万円、かんがい排水事業費43億5、500余万円、農道整備事業費39億300余万円、圃場整備事業費98億7、300余万円、農村総合整備モデル事業費28億1、200万円、農業集落排水事業費40億2、300万円、防災ダム事業費15億500余万円、開拓地整備事業費14億5、000余万円、林業構造改善事業費18億8、700余万円、林道開設事業費33億8、800余万円、治山事業費54億1、300余万円、沿岸漁場整備開発事業費15億5、600万円、漁港修築事業費53億4、400余万円等であります。
 第7款商工費につきましては、448億6、100余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、商工業小規模事業対策費26億4、200余万円、商工観光振興資金貸付金78億1、800余万円、中小企業経営安定資金貸付金79億3、000余万円、工業立地促進資金貸付金101億2、100余万円、休廃止鉱山鉱害防止事業費9億3、300余万円、さわやか岩手イメージアップ大作戦22億6、800余万円等であります。
 第8款土木費につきましては、1、310億7、100余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、交通安全施設整備事業費30億6、900万円、道路改良事業費133億1、000余万円、緊急地方道路整備事業費83億9、100万円、橋梁整備事業費40億300余万円、中小河川改修事業費30億1、600余万円、砂防事業費32億5、600余万円、日向ダム建設事業費28億円、早池峰ダム建設事業費25億3、600余万円、港湾改修事業費22億5、100万円、街路事業費24億3、600万円、公営住宅建設事業費18億9、500余万円等であります。
 第9款警察費につきましては、281億3、000余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、警察行政運営費220億9、000余万円、交通安全施設整備費14億6、200余万円等であります。
 第10款教育費につきましては、1、741億2、700余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、校舎建設事業費13億8、900余万円、生涯学習推進センター(仮称)整備事業費14億9、100余万円、県立大学整備事業費11億5、100余万円、私立学校運営費補助40億4、500余万円等であります。
 第11款災害復旧費につきましては、140億8、400余万円を計上しており、その内容は、農林水産施設災害復旧費35億9、600余万円、土木施設災害復旧費104億3、800余万円等であります。
 第12款公債費につきましては、642億8、200余万円を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては、367億1、400余万円を計上しており、その内容は、公営企業貸付金133億円、公営企業出資金5億5、800余万円、公営企業負担金115億800余万円、公営企業補助金28億2、400余万円、利子割交付金35億5、900余万円、自動車取得税交付金42億2、000余万円等であります。
 第14款予備費につきましては、3億円を計上しております。
 以上をもって第1条の説明を終わりますが、歳出に充当した一般財源の額は、県税、地方交付税等で3、795億4、000余万円となっており、その割合は53・0%になっております。
 第2条債務負担行為は、県庁舎管理費に係る冷房機器設置工事など64件について債務負担行為をしようとするものであります。
 第3条地方債は、庁舎施設整備事業など60件について、起債の限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の処置を講じようとするものであります。
 議案第2号から議案第12号までは、平成7年度の母子寡婦福祉資金特別会計予算、農業改良資金特別会計予算、県有林事業特別会計予算、林業改善資金特別会計予算、沿岸漁業改善資金特別会計予算、中小企業振興資金特別会計予算、土地先行取得事業特別会計予算、証紙収入整理特別会計予算、流域下水道事業特別会計予算、港湾整備事業特別会計予算、県民ゴルフ場事業特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第13号から議案第15号までは、平成7年度の県立病院等事業会計予算、電気事業会計予算、工業用水道事業会計予算であります。これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益収支及び資本収支等の所要額を計上したものであります。
 議案第16号から議案第20号までは、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第21号は、地方税法の改正等に伴い、県税条例の一部を改正する必要が生じたことから、専決処分をしたので、承認を求めようとするものであります。
 議案第22号から議案第49号までは、条例議案でありますが、これは、県議会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例及び県議会議員及び知事の選挙における選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例など、28条例の一部を改正しようとするものであります。
 議案第50号は、当せん金付証票の発売に関し議決を求めようとするものであります。
 次に、報告第1号及び報告第2号は、職員による自動車事故及び道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(佐々木俊夫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時12分 散 会

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