平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、13号、15号から21号、23号、28号から33号について反対の討論を行います。
 議案第1号1996年度岩手県一般会計予算に反対する第1の理由は、5年目を迎えた不況、税収難の中で、310億円の基金を取り崩す一方、1、222億円もの県債の発行で、従来型のゼネコン、大企業奉仕の公共事業を大幅にふやしたことであります。特に持ち出しの大きい県単独事業は16%もの大幅な伸びとなりました。県民への借金、いわゆる県債は96年度末で7、800億円にもなります。来年度の県債発行額も当初予算で初めて県税収入を上回りました。これは結局、県民には1人当たり55万7、000円の莫大な借金を押しつけ、ゼネコン、大企業の仕事をふやすものであります。
 私は、大船渡港湾整備計画について、バブル時代の計画であり当初計画で400億円弱、最終的には600から700億円を上回る開発計画の見直しについて問いただしましたが、バブルがはじけた現状では納得できる答弁はありませんでした。久慈、宮古の港湾整備計画自身、見直しが迫られているのが現状であります。ゼネコン、大企業奉仕の県政の土台には、政官業一体の談合体質と、利権政治が横行していることを指摘しなければなりません。綾里川ダム建設工事の談合疑惑はその一端を示すものであります。県幹部職員の県外業者などへの天下りもその温床であり、規制と改善を強く求めるものです。岩手県土地開発公社の贈収賄事件は、県幹部職員の天下りと公社のあり方、県庁内のチェック体制の不備を示すものでありました。
 第2の理由は、不況打開の具体策を求める中小業者や労働者に背を向けていることであります。県単独融資制度は、限度額や融資条件は改善されてきたものの、その活用は融資枠の半分にとどまりました。アンケートによれば、中小業者の利用状況も自治体融資はノンバンクよりも低い5番目となっています。銀行の貸し渋り、県信用保証協会の対応の改善とともに、県の姿勢が問われる問題であります。大型店の進出も地元商店街との共存共栄どころか、大型店同士の競争の色彩をいよいよ強めています。大型店は既に売り場面積で県内44%を占め、70%を超えている北上市など、50%を超える市町村が10市町に及んでいます。無秩序な大型店の進出を抑え、地元商店街の振興とまちづくりに今こそ本格的に取り組むときです。
 人事院による寒冷地手当削減の動きは、岩手県の労働者の生活にとっても、地域経済にとっても重大な課題であり、県議会も全員一致意見書を採択いたしました。昨日まで県内53市町村議会で同様の意見書が採択をされ、全国でも北海道、秋田、青森、宮城など、1道6県含め573市町村で意見書が採択されています。北海道では、副知事が人事院と自治省に対し、寒冷地手当削減に反対する申し入れを行っています。私は増田知事が、北海道東北知事会に対して共同の取り組みを行うよう強く求めるものであります。
 第3の理由は、福祉切り捨ての予算となっていることであります。保育料対策では若干の改善はあるものの、全国31都府県に広がっている入院給食費への助成にかたくなに背を向けています。また、市町村にも圧力をかけていることは重大であります。県単医療費助成制度も所得制限の緩和と引きかえに、すべて現物給付から償還払いに改悪したために、重度障害者などの方々に新たな困難をもたらしています。高過ぎる国保税の問題では100億円を超える基金と、56億円の黒字を上げているにもかかわらず、引き下げを求める県民の願いに背を向け、409人に及ぶ保険証の未交付、1、051人の短期保険証の交付など、冷たい県政の典型と指摘せざるを得ません。地方自治法にいう住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持するという地方自治の本旨に立ち返り、福祉最優先の県政への転換を求めるものであります。
 第4に、米の輸入自由化、新農政、新食糧法という農業つぶしの3悪政治に追随し、減反推進の農政になっていることであります。世界的に食料危機に直面している今日、米の輸入自由化は、世界の食料を買いあさり、国内の農業を縮小、破壊する最悪の政治そのものであります。ところが、増田県政は米輸入分の減反の上乗せと、価格保証なき米価のもとで減反だけを推進しようとしています。これでは農民の営農意欲も農地も奪われかねません。住専問題に関連し農協系金融機関のあり方が問われました。農民の声、要求にこたえた農業生産を守る共同を強めることにこそ農協本来のあり方があります。金融自由化に対応して農協組合員に十分説明、討論しない大型合併の推進は住専問題の誤りを繰り返しかねません。農業予算の52%が土木事業に占められていることも、農政のゆがみを示すものであります。
 第5の理由は、いじめ、不登校が深刻な教育、社会問題となっているもとで、何らの解決策も打ち出されていないことであります。それどころか新学習指導要領に基づく超詰め込みと選別の教育、教師の多忙化と相まった管理主義の強化が、いじめ、不登校問題を一層深刻にしていると言わなければなりません。学校が利害関係のある業者から寄附を受けるなどということは、業者との癒着であり、県民、父母、生徒の学校への信頼を裏切るものであります。県教育委員会は、実態を調査し断固として改善すべきであります。
 最後に、増田県政は、来年度食糧費を削減したものの2億2、000万円余を計上し、官官接待の継続を公言しています。全国的に東京、宮城、秋田、高知など各都県で原則廃止の流れが広がっています。情報公開も13都道県に広がっています。こうした中で増田県政は、東京での接待の上限を外したままホステスつき接待まで容認し、2次会まで行われてきたことは重大であります。県は、社会通念上認められる範囲で官官接待を続けると言っていますが、それなら堂々と県民に情報を公開すべきではないでしょうか。県民に実態を隠したまま社会通念上認められる範囲と言っても、とても県民は納得できないものであります。県民が主人公の立場で、県民の税金による飲み食いをなくすことは県政のゆがみを正す緊急課題であります。観光旅行まがいの視察、研修も実態を明らかにし、みずから正すべきであります。
 議案第13号県立病院等事業会計予算は、地域住民と職員の声に耳を傾けない、一般診療の縮小となる一戸、北陽病院の統合推進、県立病院の再編成の動き、看護婦さんを含め深刻な労働条件が改善されずにいることから反対するものであります。
 議案第15号岩手県工業用水道事業会計予算は、大企業奉仕の計画による赤字が構造的となっており、議案16号から21号は県単独建設事業に市町村の負担を求めるものであり、反対するものであります。
 議案第23号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例案は、警察職員を増員するものであります。今日の警察は、長野県警の警備部係長が政党や労働組合に忍び込み窃盗を重ねていた事件に見られるように、警備公安警察に変称したものとなっています。警備公安警察を廃止して犯罪の取り締まりと交通秩序の維持など、本来の警察の責務に徹することこそ必要であります。増員すべきは残業で苦しむ県庁職員ではないでしょうか。
 議案28号から41号までは、使用料、手数料の引き上げを行うものであり、反対するものであります。
 以上、反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第1号、議案第13号、議案第15号から議案第21号まで、議案第23号及び議案第28号から議案第33号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第13号、議案第15号から議案第21号まで、議案第23号及び議案第28号から議案第33号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から12号まで、議案第14号、議案第27号、議案第40号及び議案第41号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第12号まで、議案第14号、議案第27号、議案第40号及び議案第41号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第44 発議案第4号放課後児童対策事業の法制化とその充実についてから日程第46 発議案第6号安全で安心な地域社会の創造に関する決議まで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第44、発議案第4号から日程第46、発議案第6号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、さようは決定いたしました。
 これより発議案第4号から発議案第6号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、発議案第4号から発議案第6号までは、原案のとおり可決されました。
   閉 会
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第5回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後1時42分 閉 会

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