平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(折居明広君) 無所属クラブの折居明広でございます。
 会派を代表いたしまして、当面する県政の諸課題についてお伺いいたします。
 質問に先立ち、去る2月3日御逝去なされた増田知事の御母堂、故京子様に対して哀悼の意を表し、心から御冥福をお祈り申し上げます。
 私も両親を早く失っておりますので、知事の胸中、私なりに察することができます。万感こもごもあろうかと思いますが、それをばねにして県勢発展のため、より一層の御活躍を御期待申し上げます。
 知事は、就任してから間もなく1年になりますが、県都盛岡の住み心地はいかがでしょうか。忌憚のない御感想をお聞かせ願います。
 盛岡のまちは、浅野長政や蒲生氏郷など、戦国時代の名だたる武将が、三方に山を負い、三川貫流するまことに得がたき王城の地なりと嘆賞し、南部信直公へ、この地に居城を定めるべきと進言してできた城下町であります。盛岡城は慶長2年、信直の子利直によって築城されましたが、来年がそれからちょうど400年目という記念すべき節目の年であります。
 1月3日の日本経済新聞に、訪れるとしたらどの都市が一番好きですかという特集があり、盛岡が中都市の中で堂々6位にランクされておりました。1位は金沢でしたが、同じ城下町でも、盛岡の場合は石川啄木や宮沢賢治の思い出とも絡んで、みちのくの土着性の中にかいま見るハイカラという独特の要素が加わっていると解説されておりました。白鳥が飛来し、サケが遡上する豊かな自然と交通の結節点に位置し、多くの可能性を持つ盛岡のまちがより県都にふさわしく、さらに北東北の拠点中核都市へと飛躍するためには、盛岡市を中心とする都市圏をどのように整備すべきか、どうあるべきか、知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、予算編成に当たっての基本的な考え方についてお伺いいたします。
 平成8年度一般会計当初予算案の総額は8、071億3、700万円余と、当初段階としては初めて8、000億円を超え、前年度6月現計予算対比で4・4%の増であり、景気対策としての県単独事業も積極的に導入しており、公共事業でも一定の伸び率を確保するなど、増田色を強く反映させた積極的な予算案と言えましょう。しかし、積極型だからと言って喜んでばかりはおられない事情も見受けられます。長引く不況の影響で、県税収入が落ち込み、地方交付税や国庫支出金も頭打ちという中での予算編成でありますから、県債に大きく頼らざるを得ず、さらに財政調整基金など3基金を取り崩すなどして財源の確保に努めており、その結果、公債費比率が上昇し基金残高は減少するなど、今後に厳しい財政運営が予想されます。知事は、景気回復への足取りを確実にするため、限られた財源の中で可能な限り積極的な予算を組んだと述べておられましたが、私はその意欲と積極性を了とするものであります。しかし、景気の低迷を打開するために、積極的な財政政策をとることは古典的な手法であるとの指摘もあります。また、大規模な継続事業を多く抱えていることによって新規事業が圧迫され、増田色が薄まったのではないかとの見方もありますが、これらにこたえる意味からも、この際改めて予算編成に当たっての知事の基本的な考え方をお聞かせ願います。
 次に、本県における新産業の創造についてお伺いいたします。
 地方で雇用を創出するための施策といえば、これまでは企業の誘致が主体でありました。しかし、近年、円高の進展やアジア諸国における技術の進歩などに伴って、製造業を中心に海外への生産拠点のシフトが加速しており、国内工場の閉鎖や縮小などいわゆる空洞化が進み、本県も少なからずその影響を受けているとのことであります。そのような中にあって、地方でも企業誘致に頼ることのない雇用の創出が大きな課題となっております。新たな研究開発によって、地方独自の新技術を確立し、これを地方において企業化し産業化していく方途を開いていくためにも、研究開発基盤の整備された岩手大学工学部や工業技術センターなどと産業界を効果的に結びつけていくべきと思いますが、いかがでしょうか。そのためにも、まず個々の企業に意欲を持たせなければなりません。北海道東北開発公庫のアンケート調査によれば、将来、新技術、新素材という分野への事業展開を考えている地域内企業は2割程度と少なく、総じて東北の企業は新技術開発に及び腰であるとありました。私は、先月末に岩手県工業クラブなど3団体が主催する会合に出席し、関係者の方々と親しく懇談する機会があり、そのとき感じましたが、県はこのような企業人の集まりをさらに充実発展させるとともに、多くの意欲ある企業が容易に新技術の開発に取り組めるよう、金融面や技術面での支援策を強化していくべきではないでしょうか。新技術の開発による新たな企業化、ひいては産業の創造について、また、企業の取り組みに対する支援策など、知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、地熱熱水の有効利用についてお伺いいたします。
 地熱資源はクリーンで再生可能なエネルギーであり、資源の乏しい我が国においては、長期的視点に立って取り組むべき重要なテーマであります。平成6年6月に、通産大臣の諮問機関である電気事業審議会が、長期電力の需給見通しについて中間報告を出しておられますが、それによれば、電源構成のうち、地熱は西暦2000年度には1992年度の2・5倍、西暦2010年度には11・6倍とするものと標榜されております。この目標を達成するためには、新規施策の推進に最大限の努力が必要でありますが、今まで実施してきた事業の成果を生かし、それを他の地域に波及していくことも重要なことと考えます。本県は、以前から地熱資源開発に積極的に取り組んでおり、日本で初めての松川地熱発電所や葛根田地熱発電所があり、地熱資源開発の各種調査も実施されているなど、日本有数の先進県であります。そのようなわけで、本県では昭和55年から15年間、国からの委託を受け地熱熱水供給事業実証調査を実施いたしており、雫石地域には全国的に例を見ない大規模な供給施設も設置されております。私はこれを有効活用しながら、石油代替エネルギーとしての地熱の技術開発や地熱発電所の立地促進に努めるとともに、地域振興にも大いに役立てて地熱先進県としてのイメージアップを図っていくべきと考えるものであります。本県では、国の実証調査の成果を踏まえて、平成7年度から県単独で地熱熱水の有効利用の促進に取り組んでおられますが、これまでの状況と今後の見通しについてお聞かせ願います。
 次に、環境保健センターの整備についてお伺いいたします。
 高齢化の進展、成人病の増加、自然環境の保全など多くの課題を抱えながら、さらに21世紀に向けて県民の健康を守りすぐれた環境の保全を図っていくためには、科学的な裏づけを持った対策を的確に講じていく必要があり、その裏づけ業務を担う県の衛生研究所や公害センターの果たす役割は、今後ますます重要になっていくものと考えます。しかしながら、これらの課題に対応していくためには、食品や水質などの検査業務を主体とした現状の体制や設備では限界があると思われます。このたび、県では衛生研究所と公害センターを統合し、環境保健センターとして整備するとのことでありますが、両機関の再編整備に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。私は、これからは健康の保持、増進に役立つ調査研究とともに、その成果を広く県民に普及することこそ重要であると考えます。知事は演述の中で、県政を進める上での新たな視点として、人と自然との望ましい共生の実現ということを掲げておられましたが、こうした観点からも自然環境の保全に関する調査研究に取り組むなど、緑豊かな県土を築くための礎として環境保健センターを機能させるべきではないでしょうか。平成8年度は調査事業でありますが、立地場所についてはどのように考え、それをどこに整備しようとしておられるのか、現時点での見通しについてお聞かせ願います。
 次に、県立大学の整備についてお伺いいたします。
 本県がこれからの時代に的確に対応し、真に豊かな地域社会を築いていくためには、進取の気性に富み、豊かな人間性と国際的視点を持った人づくりを進めていく必要があり、その意味でも、現在整備中の県立大学の果たす役割は極めて大きいと考えるものであります。
 さて、県立大学の開学まであと2年余りとなり、開学準備事務も順調に進んでいるとのことでありますが、今、この県立大学に最も関心を持っているのは、この大学を受験しようとしている生徒とその御父兄方ではないでしょうか。
 そこでお伺いいたしますが、県立大学の入学者選抜に当たって、県は基本的にどのような考え方で臨まれるつもりなのかお聞かせ願います。また、県立大学には全国から多くの受験生が集まってくると思いますが、県立大学設置の趣旨からすれば、県内の子弟が相当数入学できるような措置も必要かと思いますが、県内子弟の確保に関してどのように対応されるつもりなのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、松くい虫被害対策についてお伺いいたします。
 本県における松くい虫の被害は、昭和54年県南部に発生して以来、一時は猛烈な勢いで拡大する傾向にありましたが、懸命の防除努力によってここ数年間は沈静化に向かいつつあり、その労を多としていたところであります。しかし、平成6年夏の記録的な猛暑のため、7年には過去最大の被害量になってしまい、今までの防除努力が気泡に帰しかねない非常事態と危惧しております。国では、松くい虫被害対策特別措置法を制定し、被害対策の推進に努められておりますが、現行の法律は平成9年3月にその効力を失ってしまうとのことであります。このような非常事態の中で、法律が期限切れとなり松くい虫対策が後退することになれば、現在の被害地域はもとより、さらに拡大して県内全域に壊滅的な被害を及ぼしかねません。県では、今後、松くい虫被害をどのようにして防除していくつもりなのか、また、松くい虫被害対策特別措置法の期限切れについて、国へどのような働きかけをしていく御所存なのかお聞かせ願います。
 次に、岩手県地域防災計画についてお伺いいたします。
 昨年1月の阪神・淡路大震災を契機として、国は防災基本計画を25年ぶりに大幅に修正するとともに、全国の地方公共団体に対しても、地域防災計画の早急な見直しを求めたところであります。そのため、本県でも大規模災害が発生した場合に、適切な対応ができるように地域防災計画の大幅な見直しを行い、昨年12月の岩手県防災会議においてその修正案が決定されたのであります。その内容につきましては一部報じられており、また、先ほども触れられておりましたが、この際改めてその特徴と重要な部分でもお話し願いたいと思います。さらにまた、今後どのように計画の見直しや修正をしていかれる予定なのかもお聞かせ願います。
 阪神・淡路大震災から丸1年目に当たる1月17日早朝、岩手県と盛岡市が主催する防災訓練が盛岡市内の中心部で行われましたが、この厳冬期に初めて実施された防災訓練の成果と反省点、そしてまたそれらを踏まえて、市町村等を今後どのように指導していかれるつもりなのかお聞かせ願います。
 最後に、観光の振興についてお伺いいたします。
 観光産業は、旅行業、宿泊業、飲食業ばかりではなく、土産物としての各種県産品の製造から販売に至るまで、幅広い分野を包含した総合産業であり、県内経済に及ぼす影響も極めて大きいものがあります。しかしながら、近年、円高等により海外旅行が飛躍的に増加している一方で、国内旅行は伸び悩んでおります。関連業界いずれも苦戦を強いられているのであります。本県でも、昨年は特に宿泊を伴う県外観光客が減少しており、それが不況感を一層強めておるのであります。ことしは宮沢賢治、石川啄木の生誕祭など、県を挙げて観光振興に取り組んでおられますが、その後も例えば来年は盛岡の築城、すなわち開町400年に当たるなど、あるいは盛岡さんさ踊りの20周年に当たるなど、県下各地域の節目の行催事も踏まえながら、途切れることなく誘客キャンペーンを継続していくことが肝要であると思います。県は、さわやかトイレの整備など、観光基盤の充実にも努めておられますが、県内外からより多くの観光客を誘致するためには、さらなる施策の展開も必要でありましょう。平成8年度を初年度とする観光振興計画後期実施計画において、県はどのように観光振興策を展開していくおつもりなのかお聞かせ願います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 折居明広議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、盛岡の住み心地についてどうかというお尋ねでございますが、住んでみて、まず1番目には大変水がおいしいところであるというふうに感じたところでございます。また、深い歴史の重みの中で、大変豊かな自然環境に恵まれておりまして、四季折々の季節感がすばらしい魅力となっていると、このようにも感じております。しかし、その一方で、道路を初めとする都市基盤がなお一層充実されればさらに住みよい町になるのではないかと、率直にこのように感じているところでございます。
 次に、盛岡市を中心といたします都市圏の整備についてでございますが、この都市圏におきましては、これまで東北新幹線などの高速交通網が整備をされまして、また、産業、教育文化、医療、福祉、情報などの都市機能が集積をいたしておりまして、本県の中枢としての役割を果たすとともに、北東北の拠点としての機能が高まってきているところでございます。今後、この圏域が、県内はもとより、北東北における拠点性を高めるためには、この圏域の有しております地理的、歴史的、文化的な個性や特色を大切にしながら、盛岡南地区や盛岡駅西口地区の整備を促進しまして、新しい都市軸の形成を図るとともに、高度情報、学術研究、レジャー・余暇サービス、教育、文化、保健医療などの高次な都市機能の一層の整備充実に努め、魅力ある都市づくりを進めることが重要であると、このように考えております。さらに、隣接県の各都市との多様な連携や交流の基盤となります交通網の整備を促進するとともに、盛岡市など、関係市町村との連携を一層密にしながら、盛岡西リサーチパークや地域交流センターの整備を進めまして、北上川流域テクノポリス開発計画や頭脳立地構想の一層の推進を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
 次に、当初予算編成における基本的な考え方についてでございますが、平成8年度は私にとりまして初めての本格的な予算編成の年でございまして、また、3県総後期実施計画のスタートの年といたしまして、景気回復の足取りを確実にするとともに、21世紀に向けて、躍動感にあふれ、心豊かな地域社会づくりを進めるために多様な施策を積極的に推進する必要がある重要なときである、このように考えております。こうした中にございまして、一方、本県財政は、現下の経済動向から、自主財源の大宗をなしております県税や地方交付税の伸びに多くを期待できない、また、歳出面におきましても、公債費等の義務的経費の増加が見込まれておりまして、極めて厳しい環境下にあるものと、このように認識をしております。このため、県単補助金の廃止、縮減など、経費全般の徹底した節減合理化を図ったところでございまして、従前にも増して事務事業の優先度、緊急度などによる選択を厳しく行いながら、新規、政策的事業も取り込み、新たな行政需要にも適切に対処するなど、創意工夫を凝らし、こうした限られた財源を有効に活用しながら、県民福祉の向上に向けまして可能な限り積極的な予算編成に努めたところでございます。
 次に、本県におきます新産業の創造などにつきましてでございます。
 近年の円高などを背景といたしました生産機能の海外移転、産業の空洞化などに伴いまして、我が国産業全体が構造的な転換点を迎えているということは御承知のとおりでございます。本県におきましても、工業出荷額や企業立地件数の伸び悩みなど、工業を取り巻く環境は厳しさを増している一方で、技術革新や高度情報化などの進展が企業の新たな成長を促していくものと、このように考えているところでございます。したがいまして、今後は、企業の誘致と地場産業の育成を2本柱としてまいりました従来の工業振興施策に加えまして、第3の柱といたしまして、地域における独創的な研究開発の推進、そして、第4の柱といたしまして、技術力と研究開発力を持った企業の育成、集積を推進することが重要である、このように認識をいたしております。このため、平成8年度予算におきましては、大学のすぐれた研究成果の産業化を推進いたします産学官による研究開発制度を新たに創設するほか、工業技術センターの研究開発予算を今年度に比べまして約40%増に拡充をいたすなど、本県におきます独創的な研究開発の推進と、その成果の企業への技術移転を強力に進めていきたい、このように考えております。また、昨年4月に施行されました中小企業創造活動促進法に基づきまして、新技術の研究開発に取り組む中小企業に対する補助金を、これは今年度に比べ4倍に拡充するのを初めといたしまして、事業意欲の高い、いわゆるベンチャー企業の資金調達を支援するための新たな投融資制度の創設を図るなど、新技術の開発による新たな企業化を強力に支援をすることというふうにしております。さらに、本県から約100の企業が参加いたしております東北ベンチャーランド運動や、参加予定事業を大幅に上回る参加者でスタートいたしましたいわて起業家大学などを通じまして、本県企業の技術開発や新分野進出、そして新規創業を促進するための機運醸成についても積極的に取り組みまして、産業構造の転換に対応した本県工業の振興を図っていく考えでございます。
 次に、地熱熱水の有効利用についてのお尋ねでございますけれども、本県に豊富に賦存しております地熱資源を活用した地熱熱水は、クリーンで再生可能な貴重なエネルギーでございますので、可能な限りその有効利用の促進に努めていく必要があると、このように考えているところでございます。このため、本年度からは、雫石地域におきます実証調査の成果を踏まえまして、専門家の方々で構成する岩手県地熱資源開発利用促進検討委員会を設置いたしまして、その指導、助言を得ながら、国の補助事業によりまして熱水造成コストの低減化調査や熱水利用施設群調査などを実施してきたところでございます。今後におきましては、この熱水造成コストの低減化、これが一番大きな問題でございまして、このコストの低減化を図るとともに、さらに地熱熱水利用可能性調査などを行いまして、地熱熱水の有効利用の促進に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。そして、これらの取り組みを効果的に進めるためには、国、県、そして地元の雫石町が一体となって取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、このような方向でなお一層の努力をしていきたいというふうに考えております。
 次に、環境保健センターの整備についてのお尋ねでございますが、環境保健対策を的確に推進するためには、地域の特性に即した科学的な知見を踏まえることが肝要でございまして、その業務を担っております衛生研究所、公害センターの役割は今後ますます重要になっていくものと、このように認識をしております。このため、現在の衛生研究所と公害センターを統合の上、環境保健行政の科学的、技術的中核機関として新たに環境保健センターを整備いたしまして、21世紀に向けて県民の健康を保持、増進するとともに、こうした本県の持つすぐれた環境の保全を図るなど、これから増大かつ複雑多様化する環境保健行政ニーズに的確に対応していきたい、このように考えているところでございます。
 その整備に当たりましては、従来から行っておりました試験検査、監視測定、調査研究、そして研修指導の各機能の充実強化を図るのはもちろんでございますが、新たに研究成果などを関係機関や県民に周知を図るための情報管理や普及啓発、そして企画調整の機能を設けたい、このように考えておりますし、また、ただいま御指摘のございました地域保健やすぐれた自然環境の保全を図るための調査研究にも取り組んでいきたい、このように考えております。この立地場所につきましては、現在地が狭隘なことから移転整備を計画しておりますが、移転先といたしましては、県下各地域から検体を搬入するための交通アクセスの問題、それから岩手医科大学など、関係機関と連携を図る上での利便性、こういったものを考慮いたしまして、盛岡市の盛南地区を候補地として取り進めていく考えでございます。
 次に、県立大学の入学者選抜に当たっての基本的考え方についてでございますが、この入学者の選抜に当たりましては、入学志願者の潜在能力にも配慮いたしまして、学力試験のみに偏らない多面的な選抜方法を採用したい、このように考えておりまして、具体的には、推薦入学や専門高校からの進学枠の確保などを含めまして、開設準備委員会において、現在、多角的な観点から検討を進めているところでございます。これは、県立大学が真に豊かな地域社会の形成を担う、創造力と人間性に満ちた人材の育成を目指しておりまして、そのためにはこうしたすぐれた学生の確保が極めて重要である、このように考えているからでございます。
 また、県内子弟を確保するための対応についてでございますが、地域の進学需要への対応と本県の発展を支える人材の育成という県立大学の設立の趣旨からすれば、将来性のある県内子弟ができる限り多く入学できるようにいたしたい、このように考えております。このため、入学定員の3割を目安といたしまして、県内の高校生を推薦入学により確保する。この3割というのは、専門高校を含めた数値でございますが、こうした形で県内の高校生を推薦入学により確保する、こういう方向で現在検討しているところでございます。 次に、松くい虫の被害対策についてでございますが、昭和54年に松くい虫被害が本県に侵入して以来、県と市町村を初め、関係者の懸命の防除努力が功を奏しまして、近年は被害市町村数をピーク時の半分に縮小させるとともに、被害量を1万立方メートル以下に減少させるなど、成果が上がっているところでございますが、議員御指摘のとおり、平成6年の夏は記録的な猛暑がございまして、平成7年には過去最高の1万4、000立方メートルの被害が発生いたしました。これまでのこうした防除努力の積み重ねが無になりかねない厳しい事態となっております。このため、県といたしましては、今回の被害増加を一時的なものに終わらせるよう、関係市町村と一体となって被害木の早期伐倒と消毒の徹底、そして薬剤の空中散布の的確な実施など、効果的な防除対策を総力を挙げて実施しているところでございます。また、8年度には、新たにきめ細やかな防除が可能な地上からの薬剤散布を実施するとともに、花巻市から東和町を経まして陸前高田市に至る未被害地域に幅2キロメートルの防除監視帯というものを設置いたしまして、これは我が国で初めての試みでございますが、こうした防除監視帯を設置いたしまして、徹底した監視と予防対策によりまして沿岸、県北のアカマツ地帯への松くい虫被害の拡大を阻止したい、このように考えております。
 なお、松くい虫被害対策の根拠法でございます松くい虫被害対策特別措置法の取り扱いにつきましては、現在、林野庁で検討されていると聞いておりますので、被害先端地域でございます青森、秋田、そして岩手の北東北3県が連携を密にいたしまして被害の実態を説明するとともに、抜本的な対策を確立するように国に対して強く要請をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、岩手県の地域防災計画の修正の特徴についてでございますが、見直しに当たりましては、さきの阪神・淡路大震災で得られました教訓などを踏まえまして、緊急初動特別班の設置、衛星通信など複数の情報伝達手段の確保、そして北海道、東北8道県における相互応援協定の締結など、職員の早期参集や情報通信、防災関係機関との応援、協力体制を重点的に見直すとともに、情報収集、物資輸送などにおける防災ヘリコプターの活用についても明確に位置づけるなど、大規模災害時における応急対策を中心に見直しを実施したところでございます。今後におきましては、専門家の意見や各種調査の結果を活用しながら、公共施設の整備や安全確保などの災害の未然防止対策、災害の復旧を迅速に行うための対策についても引き続き見直しを進めてまいりまして、災害に強い県土づくりに取り組んでまいりたい、このように考えております。
 次に、一・一七合同防災訓練、さきの1月17日に行いました合同防災訓練についてでございますが、本訓練においては、災害発生時の危機管理体制として地域防災計画に盛り込みました各事項についてそれぞれ実地に検証を行ったところでございまして、特にも緊急初動特別班の参集訓練では、対象職員の約8割が30分以内に参集いたしました。また、携帯電話を使用しての通信情報連絡訓練では、当日沖繩に出張いたしておりました私のところにも確実に情報が伝達されまして、迅速な初動体制の確立に一応のめどがつくなど、一定の成果を上げたものと、このようにとらえております。
 一方、避難所における寒さ対策の充実など、対策を構ずべき事項も明らかになったところでございまして、今後におきましては、これらの点も踏まえ、地域の実情に即した防災体制の整備に積極的に取り組むよう市町村などを指導してまいりたいと考えております。 次に、観光の振興についてでございますが、私は、本県の観光の基本は、恵まれた自然環境を最大限に生かした振興を図ることが重要であると、このように考えております。このため、3県総の後期実施計画におきましては、自然と人間との共生に配慮しながら、新しい視点に立った観光振興策を展開することとしているところでございます。幸い本県は豊かな自然、四季折々の風土、地域固有の歴史や文化、祭りなどの多彩な観光資源に恵まれておりますので、農村、漁村での自然との触れ合いや地域独自の食材を利用した体験型観光の育成など、滞在型、拠点型観光の振興に努めてまいりたいと、このように考えております。
 また、イベントにつきましては、本年実施することとしております宮沢賢治、石川啄木生誕祭や平成9年の全国豊かな海づくり大会、そして平成10年の全国菓子大博覧会などの大規模イベントを展開するなどいたしまして、交流人口の増大に努めていきたい、このように考えております。
 さらに、旅行関連産業との提携やテレビなどのマスメディアによりまして、本県の持っております観光の魅力を全国に発信していきたい、このように考えております。
 また、首都圏や関西圏を中心に現在まで展開をしております各種観光宣伝につきましても、今後はさらにそれに加えまして、花巻-福岡間の新しい空路の開設に伴いまして、九州圏を対象とした観光客の誘致拡大を一層強力に進める、こういったようなことも行いまして本県観光の振興に積極的に取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時36分 散 会

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