平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇知事(増田寛也君) 第5回県議会定例会の開会に当たり、今後の県政運営並びに平成8年度の主要な施策について、所信の一端を申し上げます。
 今日の国際社会においては、情報通信の高度化や輸送技術の発達に伴い、人、物、情報が地球規模で動く、地域と世界が直結する時代を迎えており、経済活動の分野で国境を超えた競争が激化しております。
 また、経済活動の地球規模での拡大は、人々の意識のボーダーレス化も促し、経済問題のみならず、環境、食料問題等についても、全地球的規模で対応すべき課題であるとの認識が広がっております。
 一方、我が国においては、戦後50年を経て、人々の価値観が揺れ動く中で、政治、経済、社会それぞれの分野で抜本的な見直しが求められる激しい変化、変動の時代に突入しつつあり、我が国の経済社会の先行きに不透明感が生じております。
 すなわち、海外諸国との競争激化等を背景とした産業の空洞化への懸念や雇用に対する不安が生じているとともに、阪神・淡路大震災や無差別テロ事件の発生を契機として、国民の安全に対する危惧が高まっております。
 また、少子・高齢化の進展に伴い、経済の活力の低下や福祉・医療などの国民負担の増大に対する不安が生じております。
 さらに、バブルの崩壊に伴い、いわゆる住専問題など金融機関の不良債権問題が発生しており、我が国経済の再建と構造改革を行うに当たって、その解決が必要不可欠な課題となっております。
 また、最近の景気については、緩やかながら回復の動きが見られ始めているとされながらも、厳しい雇用情勢等、懸念すべき点も見られるところであります。
 国においては、このような状況を踏まえ、新たな経済計画を策定し、自由で活力があり、豊かで安心できる経済社会の創造に取り組むとともに、新しい全国総合開発計画の策定をも進めているところであります。
 本県におきましては、これまで、総合的な交通網や下水道などの基盤整備が進むとともに、各種試験研究機関や保健医療・福祉の体制、さらには、生涯学習環境の整備充実が図られてきております。
 このような中で、県民の所得水準も向上し、人口がわずかながら増加するなど、県勢は着実に発展してきております。しかしながら、さまざまな面での全国との格差、あるいは県内の地域間格差が、依然として生じております。
 このため、私は、常に世界に目を向け、従来の発想にとらわれず、内外の経済社会情勢の変化に伴う諸課題に対し積極的に取り組むとともに、景気の動向についても十分に注視し、適切な対策を講じてまいります。
 そのような取り組みを通じて、全国に比べておくれている面はその底上げを図るとともに、県土の均衡ある発展を基本として、県民生活の質的向上に努めてまいります。
 すなわち、国内外の産地間競争に耐え得る地域経済の構築を目指すほか、安全で安心して暮らすことのできる県民生活を確保するとともに、人と自然との共生を図りながら、豊かな地域社会の形成に取り組んでまいります。
 次に、今後、県政を運営するに当たっての施策推進上留意すべき視点とその方向について申し上げます。
 第1は、多様な地域連携・交流の促進による自立的な地域社会の形成、すなわち連携と交流についてであります。
 国においては、現在、望ましい国土構造を構築するため、太平洋ベルト地帯から離れた地域における新しい国土軸の形成について検討が行われているところであります。
 一方、北海道・東北地域においては、行政と民間が一体となって、「ほくとう新国土軸」の形成を提唱し、広大な土地や多様な自然環境、さらには特色ある地域文化などのすぐれた特性を生かし、我が国の成長を支え、世界の発展にも貢献できる地域の形成を目指しているところであります。
 このような中で、北海道・東北地域の枢要な位置を占める本県は、広域的な連携を図りながら、その先導的な役割を積極的に担っていくべきものと考えております。
 このため、連携・交流の基礎となる、交通網の整備を図るとともに、産業経済活動や県民生活面での情報通信の高度化に努めてまいります。
 また、個性や多様性を重視した地域づくりを積極的に進めるとともに、従来の行政単位の枠を超え、産業、福祉、教育・文化など多岐にわたる地域連携を一層促進し、複数の地域が相互に補完し合いながら、総体として地域の発展が図られるよう取り組んでまいります。
 第2は、安全で安心感のある県民生活の確保、すなわち危機管理体制の強化についてであります。
 昨年の大震災や凶悪事件の発生を契機に、住民の安全性の向上に対する要請が高まっており、安全で安心して暮らすことのできる県民生活の確保が、県政の重要な課題となっております。
 このため、地域防災の観点から、情報収集、伝達体制の確立に努めるとともに、地上消防力と連携した広域的かつ機動的な航空消防防災活動の展開や、防災資機材の整備を図るなど、消防防災体制の充実に努めてまいります。
 また、洪水、土石流、がけ崩れ、高潮、津波等による災害の未然防止対策に加え、特に地震対策として橋梁の耐震性の向上を図るとともに、交通や通信手段の多重性に配慮するなど、災害に強い県土づくりを進めてまいります。
 さらには、地域社会の犯罪抑止機能を高めるなど、防犯体制の強化を図ってまいります。
 第3は、人と自然との望ましい共生の実現、すなわち自然との共生についてであります。
 生活水準の向上や地球環境問題を背景に、人々の自然志向や環境志向が高まってきており、こうした人々のニーズに積極的にこたえ、人と自然との共生を実現していくことが重要であります。
 このため、本県の豊かな自然環境の適正な保全を図ってまいります。
 また、県土・環境の保全に重要な役割を有する中山間地域等については、人々が安心して暮らせる条件の整備や、自然との触れ合いの場としての条件づくりなど、地域の特性に応じた整備を図ってまいります。
 第4は、国際的視野に立った地域経済の構築、すなわち国際化時代への対応についてであります。
 今日、情報通信・輸送技術の発達や自由貿易体制の拡大に伴い、人、物、情報等の国境を超えた交流が活発化する中で、国際的な視野に立った地域社会を形成することが重要な課題となっております。
 このため、ウルグァイ・ラウンド合意に基づく新たな国境措置の実施などに伴う国内外の産地間競争に打ち勝つ農林水産業の構築に向けて、経営基盤の整備や効率的かつ安定的な経営の育成などに取り組んでまいります。
 また、海外諸国との競争や経済変動に強い、創造力と技術開発力のある商工業の振興を図るため、起業家の支援や内発型の産業の振興に努めてまいります。
 さらに、国際交流の一層の活発化を図るため、外国人や外国の文化・慣習についても、十分に受け入れることができるような社会を築き、外国人にも暮らしやすい地域の形成に努めてまいります。
 第5は、豊かな長寿社会、思いやりのある福祉社会づくり、すなわち福祉の充実についてであります。
 少子・高齢化の進展に伴い、将来の暮らしに対する不安が高まっておりますが、こうした不安を解消し、すべての県民が、健康で生きがいを持ち、安心して生活できるような、思いやりのある福祉社会を形成することが重要であります。
 このため、生涯を通じた健康づくりの推進や地域医療の充実に努めるとともに、ひとにやさしいまちづくりやボランティアが活動しやすい環境づくりを推進してまいります。
 また、介護を要する高齢者や障害者に対する支援体制の整備に努めてまいります。
 さらに、高齢者の知識、経験を生かす場の確保や障害者の社会参加を促進するとともに、子供を安心して産み健やかに育てることのできる環境の整備を図ってまいります。
 第6は、創造性と国際感覚に富み社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成、すなわち人づくりについてであります。
 国内外ともに変化が激しく、また、グローバリゼーションが進展する中で、活力ある地域社会を築くためには、創造性と国際感覚に富み社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成することが重要であります。
 このため、多様な学習機会を提供する生涯学習環境の整備を図るとともに、個性を重視した学校教育や、国際理解教育、情報教育等を推進してまいります。
 さらに、生涯スポーツや地域における多様な文化活動の振興を図ってまいります。
 第7は、男女共同参画社会の形成、すなわち女性の社会参加についてであります。
 豊かで安心できる地域社会を創造するためには、1人1人の個性が尊重され、その持てる能力に応じて社会の中でさまざまな役割を有し、意欲的に社会に参加することができる公正な機会が保障された男女共同参画社会を形成する必要があります。
 このため、男女の固定的な役割分担意識の是正に努めてまいります。
 また、現在、その大部分を女性が担っている育児や介護に対する支援や、生涯にわたる学習機会の整備に取り組むなど、女性が主体的に社会参加し、その能力を十分に発揮できるような条件整備を図ってまいります。さらに、女性の各種審議会委員等への登用にも努めてまいります。
 以上、今後、施策を推進する上で留意すべき視点について申し上げましたが、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画につきましては、このような基本的な考え方のもとに、策定をしてまいりたいと考えております。
 以下、各領域ごとに平成8年度の主要な施策について、申し上げます。
 第1に、基盤の整備について申し上げます。
 まず、交通網の整備については、高規格幹線道路や地域高規格道路の整備を促進するほか、県都圏と県内各都市間との90分交通を目指す新たな交流ネットワーク道路の整備や、新幹線関連道路の整備を図ってまいります。
 また、東北新幹線盛岡以北の建設や、盛岡-秋田間新幹線直行特急化事業の促進に努めるとともに、盛岡-八戸間の並行在来線等につきましては、沿線地域住民の利便性が決して損なわれることがないように最大限努力をしてまいります。
 花巻空港については、滑走路2、500メートル延長の早期実現に努めるほか、港湾については、釜石、久慈港の湾口防波堤の建設を促進し、また、大船渡湾の水質浄化に取り組んでまいります。
 次に、活力ある地域づくりについては、地域活性化事業調整費の内容を充実し、複数の市町村が連携して主体的に取り組む特色ある地域づくりを一層支援をしてまいります。
 また、新たに、平庭高原におけるオートリゾートの形成についての検討を行うなど、地域活性化のためのプロジェクトについて調査検討を進めてまいります。
 都市においては、下水道の整備促進に努めるとともに、盛岡南地区の整備を進めるほか、農山漁村においては、生活関連道路や給排水施設の整備を進めてまいります。
 県土の保全については、治山、治水、砂防、海岸保全など安全な県土づくりに努めてまいります。
 また、阪神・淡路大震災を教訓として、今般、見直しを行った地域防災計画に基づき、防災ヘリコプターを運航するなど、消防防災体制の整備に努めてまいります。
 環境の保全については、新たに自然環境保全指針の策定に取り組んでまいります。
 第2に、産業の振興についてであります。
 まず、農林水産業について申し上げます。
 農業の振興については、大区画圃場など生産基盤の整備や、バイオテクノロジーなどの先端技術の開発・導入を進めるとともに、地域農業の核となる農業者の育成に取り組んでまいります。
 また、農業研究センターの平成9年度の開設に向けて整備を進めるとともに、県産米の銘柄を早期に確立するほか、野菜産地の拡大や花卉の総合的な振興を図ってまいります。
 畜産については、新たに開設される種山肉用牛改良センターにおいて、優良牛の造成に取り組むなど、畜産物の低コスト・高品質生産を推進してまいります。
 特に、県土の大半を占める中山間地域については、生産・生活両面にわたる基盤の整備を図り、農産物の価格安定や新規作目の導入を一層進めるとともに、地域で広域的に取り組む営農活動や地域おこしなどを支援してまいります。
 また、この10月に開催される第6回全国食文化交流プラザを、本県の豊富な農林水産物や多彩な食の文化を全国に向けて発信する絶好の機会と位置づけ、その成功に向け、鋭意取り組んでまいります。
 さらに、本県の若い農業者の意欲の高揚を図るため、第8回全国農業青年交換大会を開催してまいります。
 次に、林業の振興については、担い手の育成や労働力の確保に努めるほか、林道網や木材総合加工基地の整備、ブランド化の促進など、本県の森林・林業が活性化されるよう、生産から加工、流通に至る総合的な対策を進めてまいります。
 また、シイタケ、木炭等の生産及び販路の拡大を促進するほか、多様な森林の整備を進めるとともに、森林公園の整備を図るなど、森林の多面的な機能の発揮に努めてまいります。
 水産業の振興については、漁業関係者と一体となって、ヒラメやマツカワの魚類栽培を推進し、つくり育てる漁業の新たな展開を図るとともに、低迷している秋サケの価格対策に努めてまいります。
 また、漁港・漁村の整備を計画的に進めるとともに、海洋法条約の批准に伴う新しい漁業制度の導入に当たっては、漁業者の意見を反映しつつ、的確な資源管理に努めてまいります。
 さらに、平成9年度に開催される全国豊かな海づくり大会については、その成功に向けて、準備に万全を期してまいります。
 次に、商工業について申し上げます。
 商工業の振興については、本県に蓄積されてきた技術や人材等を活用した、内発型の工業振興を図るため、独創的・先端的な研究開発を推進してまいります。
 また、研究開発力を有する中堅中小企業群の育成、ベンチャー企業等の新規創業の資金的な支援、地域に密着した市場競争力を有する本県ブランドの確立に努めてまいります。
 さらに、優良企業の誘致に努めるほか、北上川流域における高度技術産業や産業支援サービス業の集積をより一層推進するとともに、本県流通機能の強化を図るため、魅力ある商業集積や物流拠点の整備を促進してまいります。
 加えて、産業経済活動の情報化に対応し、インターネットの利用環境の整備を図るとともに、インターネットを活用した工業技術情報ネットワークの形成を進めてまいります。
 観光の振興については、宮沢賢治・石川啄木生誕記念事業や地域伝統芸能全国フェスティバルを実施してまいります。
 雇用の安定と促進については、若年労働者の県内定着とUターン・Iターン等を促進するとともに、障害者や高齢者の就業機会の拡大に努めてまいります。
 また、新たに技能フェスティバルを開催するほか、職業能力開発短期大学校の整備を図ってまいります。
 第3に、福祉の充実について申し上げます。
 まず、保健医療の充実については、疾病の早期発見のための各種健診・検査の充実や、障害者に対するきめ細かな保健医療の推進に努めてまいります。
 また、循環器疾患専門の医療施設の整備や医療施設間の連携強化を図るほか、久慈及び大船渡両地域への高次救急医療施設の整備や、衛生研究所と公害センターの再編整備を進めてまいります。
 県立病院の整備については、一戸・北陽病院の移転新築事業に着手するほか、引き続き胆沢病院、久慈病院の移転新築整備を図ってまいります。
 社会福祉については、介護福祉士養成校の整備を促進し、福祉人材の養成・確保に努めるほか、ひとにやさしいまちづくりやボランティア活動の支援に取り組んでまいります。 高齢者福祉については、ホームヘルプサービスやデイサービス等を総合的に提供する在宅複合型施設の整備を促進してまいります。
 また、新たに介護機器移動展示車を導入するほか、高齢者の知識・経験を社会に生かすため、高齢者地域活動促進センターの設置を進めてまいります。
 児童福祉については、児童の健全育成のための拠点施設の整備に向けて取り組むとともに、延長保育・休日保育等の特別保育事業の拡充に努めてまいります。
 障害者福祉については、新たに介護グループの活動への支援を行うなど、障害者の自立支援を一層促進するとともに、重度の知的障害者更生施設の拡充を進めてまいります。
 県民生活の安全確保については、警察活動基盤の整備充実や捜査活動等の科学化を図り、犯罪の防止に努めるほか、交通安全思想の普及啓発に取り組んでまいります。
 第4に、人材の育成について申し上げます。
 生涯学習については、生涯学習推進センターによる情報提供、研修の実施など、生涯学習環境の整備に努めてまいります。
 学校教育については、国際理解教育、情報教育等の一層の充実など、特色を持った、魅力ある学校づくりに努めるほか、いじめや学校不適応等の諸課題に取り組んでまいります。
 県立の4年制大学については、平成10年の開学を目指して具体的な取り組みを行ってまいります。
 体育・スポーツについては、生涯スポーツの振興や競技力の向上に努めるほか、平成10年の国民体育大会冬季大会、平成11年の全国高等学校総合体育大会の開催に向けた準備態勢を強化してまいります。
 文化の振興については、県立美術館の整備を図るとともに、柳之御所遺跡の整備に向けた調査検討を進めてまいります。
 青少年の育成については、青年海外セミナーや少年洋上セミナーを実施するほか、新たに青少年指導者を対象にした海外研修を行うなど、創造性に富み、国際的視野を持った青少年の育成に努めてまいります。
 女性の社会参加の促進については、男女共同参画社会の形成に向けた調査検討を一層進めるとともに、女性洋上セミナーや海外派遣を実施し、地域のリーダーを養成ぬしてまいります。
 また、職業能力の開発促進や、育児休業制度の普及促進など、女性を取り巻く労働環境の整備に努めてまいります。
 国際交流の推進については、県立国際交流プラザの活用や、いわてフレンドシップセミナーの開催のほか、海外からの技術研修員や自治体職員の研修受け入れ、留学生等への支援など、多様な国際交流、国際協力活動を推進してまいります。
 以上、県政運営の基本方向と平成8年度における施策の概要について申し上げたところでございます。
 予算編成に当たりましては、厳しい財政環境にはありながらも、最近の景気動向に配慮し、国の施策に呼応しながら、積極的に諸施策を盛り込んだところであり、その適正な執行について、最大の努力を傾注してまいります。
 また、国、地方を通じ、今後とも、行財政環境は厳しい状況が続くものと予想されますので、絶えず、財政運営の健全化を進め、行政改革の着実な推進による効率的かつ機動的な執行体制の確保に努めてまいります。
 さらに、職員の資質向上と士気の高揚を図り、綱紀を厳正に保持しながら、多様化、高度化する行政需要に積極的に対処してまいります。
 地方分権の推進については、地方公共団体が自主性、自立性を発揮し、活力に満ちた個性豊かな地域づくりを展開できるよう、県としても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今日、国内外ともに変化の激しい時代の中にあって、今の私たちに求められているのは、従来の発想にとどまることなく、自由で新鮮な発想のもとに地域の将来像や発展方向を考えることであります。
 したがいまして、21世紀に向けて、理想的な地域社会を築き上げていくためには、住民みずからの発想と主体的な行動のもとに、行政はそれを積極的に支援をし、地域の人々と一体となって、地域づくりに取り組むことが重要であると考えております。
 このため、私は、常に県民の皆様と語り合うことを基本としながら、また、住民に最も身近な行政を担っている市町村との連携を図り、多様な施策を積極的に展開をしてまいります。
 21世紀の岩手のあるべき姿とは、人々が生きがいを持ち、かつ、安心して暮らせるような、躍動感にあふれ、心豊かな地域社会であると考えております。
 私は、その実現に向けて、今後とも、全力で取り組んでまいる決意であります。
 最後に、議員の皆様と県民の皆様の御理解と御協力を心からお願いを申し上げ、私の所信表明を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   日程第7 議案第1号平成8年度岩手県一般会計予算から日程第48 報告第1号職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第7、議案第1号から日程第48、報告第1号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。上田総務部長。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 議案第1号は、平成8年度岩手県一般会計予算であります。
 予算編成の基本となる主要な施策につきましては、知事から申し上げたとおりでございます。
 当初予算の編成に当たりましては、国、地方を通じて厳しい財政環境下にあることにかんがみ、行財政運営全般について見直しを行うとともに、国の予算編成方針、地方財政計画等に留意し、健全財政の堅持を基調としながらも、県民福祉の一層の向上を図るため、各般の施策を積極的に推進するよう配慮したところであります。
 以下、その概要について御説明いたします。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を、それぞれ8、071億3、738万6、000円と定めるものであります。
 これを前年度当初予算に比較しますと、910億1、107万1、000円の増となっております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 第1款県税につきましては、1、181億6、100余万円を計上しており、前年度当初予算に比較しますと、29億1、400余万円の減となっておりますが、この見積もりは、平成7年度の税収の最終見込みを基礎として、平成8年度の経済見通しによる経済指標、地方財政の収支見込みにおける税収の伸び及び県内経済の動向等を勘案して見込んだものであります。 第2款地方譲与税につきましては、103億3、300余万円を計上しており、前年度に比較して、9、900余万円の増となっております。
 第3款地方交付税につきましては、2、323億7、400余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して、132億3、100余万円の増となっております。
 第4款交通安全対策特別交付金につきましては、6億5、000万円、第5款分担金及び負担金につきましては、108億9、100余万円を計上しております。
 第6款使用料及び手数料は、114億8、900余万円を計上しており、前年度当初予算に比較して、5、200余万円の増となっておりますが、これは、使用料、手数料の適正化を図ったことなどによるものであります。
 第7款国庫支出金につきましては、1、895億3、700余万円を計上しており、これを前年度当初予算に比較しますと、151億8、400余万円の増となっております。
 第8款財産収入につきましては、24億2、400余万円、第9款寄附金につきましては、1、200余万円をそれぞれ計上しております。
 第10款繰入金につきましては、320億7、000余万円を計上しておりますが、これは、県債管理基金及び公共施設等整備基金等からの繰り入れを行うものであります。
 第12款諸収入につきましては、769億400余万円を計上しておりますが、その主なものは、公営企業等に対する貸付金の元利収入であります。
 第13款県債につきましては、1、222億8、700万円を計上しており、前年度当初予算に比較して、332億2、500万円の増となっております。
 次に、歳出について御説明いたします。
 第1款議会費につきましては、15億4、000余万円を計上しております。
 第2款総務費につきましては、384億8、200余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは、財団法人岩手県国際交流協会出捐金1億円、東北新幹線建設促進対策事業費22億2、200余万円、盛岡-秋田間新幹線直行特急化事業資金貸付金17億余万円、地域総合整備資金貸付金30億円、地域活性化事業調整費7億円、自治振興基金貸付事業費31億5、500余万円、総合防災センター施設等整備事業費2億2、300余万円、航空消防防災体制整備事業費1億7、200余万円等であります。
 第3款民生費につきましては、398億7、400余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは介護福祉士養成施設整備費補助4億500余万円、重度心身障害者(児)医療助成費11億7、200余万円、精神薄弱者更生援護費17億8、400余万円、老人保護措置費21億2、000余万円、老人福祉施設整備費27億3、800余万円、国民健康保険事業安定化推進費7億2、400余万円、特別保育事業費7億100余万円、児童保護措置費47億700余万円、生活保護扶助費39億5、900余万円等であります。
 第4款衛生費につきましては、216億5、400余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは特定疾患対策費4億8、900余万円、精神障害者入院等措置費5億3、500余万円、老人保健対策費72億4、500余万円、産業廃棄物処理モデル事業推進費5億3、600余万円、自然公園施設整備費3億5、200余万円、救急医療対策費7億3、700余万円、高次救急センター医療設備整備事業費1億5、600余万円、岩手医科大学附属循環器医療センター建設費補助11億400万円等であります。
 第5款労働費につきましては、75億5、500余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは財団法人ふるさといわて定住財団出捐金2億200万円、職業能力開発推進事業費4億1、400余万円、公共職業能力開発費9億8、100余万円、職業能力開発短期大学校整備事業費42億4、500余万円等であります。
 第6款農林水産業費につきましては、1、526億7、200余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは地域農業基盤確立農業構造改善事業費23億2、700余万円、農業研究センター(仮称)整備事業費86億2、800余万円、山村等振興対策事業費13億5、600余万円、花きセンター整備事業費12億5、100余万円、担い手育成畜産基盤総合整備事業費19億4、700余万円、県営畜産経営環境整備事業費14億2、300余万円、かんがい排水事業費43億3、700余万円、農道整備事業費43億6、000余万円、圃場整備事業費99億3、200余万円、中山間地域総合整備事業費27億3、600余万円、農業集落排水事業費36億7、800余万円、ふるさと農道緊急整備事業費30億6、100余万円、造林事業費27億600余万円、林道開設事業費38億400余万円、林業地域総合整備事業費11億3、600余万円、ふるさと林道緊急整備事業費58億7、700余万円、治山事業費55億6、200余万円、沿岸漁場整備開発事業費27億6、100余万円、漁港修築事業費64億900余万円、海岸保全施設整備事業費12億5、500余万円等であります。
 第7款商工費につきましては、531億9、300余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは商工業小規模事業対策費27億7、300余万円、商工観光振興資金貸付金90億5、200余万円、中小企業経営安定資金貸付金97億3、400余万円、工業立地促進資金貸付金84億6、200余万円、休廃止鉱山鉱害防止事業費9億2、900余万円、オートキャンプ場施設整備事業費6億5、800余万円等であります。
 第8款土木費につきましては、1、502億7、100余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは交通安全施設整備事業費31億7、500万円、道路改良事業費132億8、000余万円、緊急地方道路整備事業費148億9、100万円、新交流ネットワーク道路整備事業費67億円、地方特定道路整備事業費122億2、100万円、橋りょう整備事業費41億900余万円、中小河川改修事業費40億1、700余万円、砂防事業費32億7、800余万円、日向ダム建設事業費26億3、000万円、早池峰ダム建設事業費27億9、300余万円、港湾改修事業費25億7、000万円、街路事業費25億3、300余万円等であります。
 第9款警察費につきましては、315億400余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは警察行政運営費225億8、000余万円、警察署庁舎整備事業費7億余万円、待機宿舎建設事業費7億4、100余万円、ヘリコプターテレビ中継システム整備費5億6、100余万円、交通安全施設整備費14億8、300余万円等であります。
 第10款教育費につきましては、1、882億7、300余万円を計上しておりますが、その事業の主なものは校舎建設事業費12億300余万円、校舎大規模改造事業費25億8、500余万円、文化財保護推進費1億8、300余万円、美術館整備事業費1億6、900余万円、冬季国体関連スポーツ施設整備費補助3億4、100余万円、インターハイ関連スポーツ施設整備費補助21億4、100余万円、私立学校運営費補助41億8、900余万円等であります。
 第11款災害復旧費につきましては、131億8、900余万円を計上しております。
 第12款公債費につきましては、711億6、300余万円を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては、374億6、100余万円を計上しており、その内容は、公営企業貸付金148億円、公営企業負担金150億1、700余万円、利子割交付金20億4、500余万円、自動車取得税交付金42億6、100余万円等であります。
 第14款予備費につきましては、3億円を計上しております。
 以上をもって第1条の説明を終わりますが、歳出に充当した一般財源の額は、県税、地方交付税等で4、151億2、900余万円となっており、その割合は51・4%になっております。
 第2条債務負担行為は、県庁舎管理費に係る電気設備改修工事など68件について債務負担行為をしようとするものであります。
 第3条地方債は、東北自治研修所建設負担金など71件について、起債の限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の処置を講じようとするものであります。
 議案第2号から議案第12号までは、平成8年度の母子寡婦福祉資金特別会計予算、農業改良資金特別会計予算、県有林事業特別会計予算、林業改善資金特別会計予算、沿岸漁業改善資金特別会計予算、中小企業振興資金特別会計予算、土地先行取得事業特別会計予算、証紙収入整理特別会計予算、流域下水道事業特別会計予算、港湾整備事業特別会計予算、県民ゴルフ場事業特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第13号から議案第15号までは、平成8年度の県立病院等事業会計予算、電気事業会計予算、工業用水道事業会計予算であります。これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益収支及び資本収支等の所要額を計上したものであります。
 議案第16号から議案第21号までは、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第22号から議案第38号までは、条例議案でありますが、これは行政手続条例及び生涯学習推進センター条例を新たに制定するとともに、岩手県職員定数条例など15条例の一部改正等を行おうとするものであります。
 議案第39号は、公平委員会の事務の受託の協議に関し、議決を求めようとするものであります。
 議案第40号は、当せん金付証票の発売に関し、議決を求めようとするものであります。 議案第41号は、日本かつお・まぐろ漁業信用基金協会の会員になることに関し、議決を求めようとするものであります。
 次に、報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時3分 散 会

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