平成8年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号並びに第11号、第12号に反対の討論を行います。
 認定第1号1995年度岩手県一般会計歳入歳出決算に反対する第一の理由は、県民の税金によるむだ使い、いわゆる官官接待が減少したとはいえ、引き続き横行していることであります。95年度の食糧費の支出総額は2億627万9、000円、前年比48・8%の減となりました。県民の厳しい批判を浴びて約半分に減ったことになりますが、しかしながら、増田県知事の適正に執行するという官官接待容認の姿勢のもとで、東京事務所で、そして本庁で、いまだに2億円を超える官官接待が行われていることは、他県と比べてみても異常なものであります。特に、総務部が予算を超えて食糧費、官官接待を行っていたことは重大であります。95年度1件もなかったビール券を、廃止することなく、引き続き容認したことも増田県政の官官接待に対する態度を示すものとして象徴的であります。この間、衛生研究所、花巻振興局、花巻土木事務所の3カ所で、県職員のカラ出張が明らかとなりました。これは、いずれも2月、3月の時期、予算消化的な出張の色合いの濃いものであります。発覚しただけで、3件11人、返納額が56万3、627円となっています。
 私は、決算審議において、独自の調査に基づき、本庁出張者のいない東京での官官接待の疑惑、議会開会中の県職員の出張問題など、数多く取り上げてきました。一部を除き、県当局の具体的で説得力ある答弁はありませんでした。厚生省官僚が来県した際の官官接待も、5万円以上で5件、約48万4、000円余ありました。特に出張旅費の支出については、半分以上が復命書のないものでした。東京事務所では、請求書の書きかえが広範に行われていたのであります。情報は非開示にして、懇談会はやった、出張はあったとオウム返しに答えるだけでなく、県が責任ある調査委員会を設置し、みずから調査し、県民の前にその具体的結果を明らかにすべきであります。そして、予算消化的な出張はきっぱりとやめるべきであります。
 第2の理由は、県の公共事業のゆがみの問題であります。
 奥産道雫石東八幡平線、そして奥産道安ケ沢線の問題が大きな社会問題となっていますが、どちらも貴重な原生林地帯を伐採し、道路、トンネルを通そうとするものであります。特に、松川工区では既に大きな地滑り、崩落が起きているのであります。自然環境の保全という点からも、公共事業のむだ使いをなくすという点からも、根本的な見直しが求められています。この際、奥産道や林道など、公共事業の総点検を行い、公共事業のむだ、浪費を大胆に洗い出すことが必要です。県営建設工事を見ると、2、093億2、300万円の事業費のうち、ゼネコン、いわゆる県外業者が380億400万円、18・2%を受注しています。これは前年より0・4%の増加であります。県内企業の受注分でも、県内大手10社で約30%を占めています。県の官公需の契約実績でも、県内中小企業の契約実績は金額で77・4%にとどまっています。ゼネコン奉仕、県内大手企業優先の公共事業のゆがみを正し、真に住民と地元業者が潤う公共事業に改善を図るべきであります。
 こうしたゆがみの背景には、県幹部職員の関連業界への天下り問題があります。土木部の幹部職員の場合、この5年間で17人が退職をし、公社に7名、県内企業に1名、県外企業に9名再就職、いわゆる天下っていますが、こうした関連業界への天下りはきっぱりと禁止すべきであります。
 第3の理由は、米自由化を容認し、農民に減反を押しつける県政の問題であります。新食糧法のもとで米価は下落、減反は拡大という深刻な事態に農民は追い込まれています。95年度の稲作所得は、前年比31・3%も減少しました。米価は94年比で約6%値下がりしています。輸入野菜の急増で、野菜農家も価格が長期低落し、O-157の影響などで大きな打撃を受けています。米自由化、新食糧法に基づく農政は完全に破綻しています。
 日本共産党は、何よりも1俵当たり2万円の政府買い入れ価格で300万トン買い入れ、米価の下支えを提案していますが、これはわずか4、000億円あればすぐに実行できるものであります。ガット・ウルグァイ・ラウンド対策と称して、1、000億円余の農政部予算のうち52%も土木事業につぎ込むやり方を改め、農業生産を守る農政にこそ転換を図るべきであります。そして、今から政府に対してWTO協定の改定を強く求めるべきであります。
 第4の理由は、福祉切り捨て、暮らしと営業に冷たい県政ということであります。全国31都府県が実施している入院給食費への助成について、増田県政は、国、厚生省言いなりで、障害者や低所得者などの切実な願いに背を向けています。高過ぎる国保税の問題でも、100億円を超える基金がため込まれ、黒字も44億円となっているにもかかわらず、引き下げの願いに背を向けています。それどころか、400人を超える保険証の未交付、1、051人の短期保険証の発行など、まさに冷たい県政と言わなければなりません。県単融資制度でも、95年度は活用が融資枠の半分にとどまり、減額補正をするという残念な結果となりました。95年度は大きく改善されていますが、銀行、信用保証協会の貸ししぶりが厳しく指摘されたところであります。
 第5に、O-157による集団感染に見られるように、学校給食の施設設備、人員体制が文字どおり安上がりで前近代的な最もおくれた危険な状況のまま放置されてきたことであります。これは、教育切り捨ての地方行革の結果でもあります。
 最後に、県債残高は前年比1、089億円余増加し、95年度末で7、028億円余となっています。96年度末にはさらに7、896億円余となる見込みであります。県民には借金を押しつけ、福祉や教育を切り捨てる一方、ゼネコンや県内大手企業向けの公共事業をふやし続けるやり方は、根本的に転換を図る必要があります。
 認定第11号港湾整備事業特別会計歳入歳出決算は、20億7、205万円余を一般会計から繰り入れている一方で、例えば宮古港湾の場合、貨物取扱料は計画のわずか29・8%であります。久慈、宮古の工業用地の分譲は半分以下となっています。赤字、借金体質の港湾整備計画は、バブルがはじけたもとで、これから進めようとしている大船渡の場合も含め、根本的に見直しを図るべきであります。
 認定第12号県民ゴルフ場特別会計決算は、この3年間、利用者が減少を続け、91年オープン以来、一貫して維持管理費が使用料を上回り、95年度も1、079万円の一般会計から繰り入れをしております。構造的な赤字体質であり見直しが必要であります。
 以上、申し述べまして反対討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
   日程第34 議案第20号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第34、議案第20号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕
〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第20号は、収用委員会の委員であります小野寺金彦氏、村田敬太郎氏、中谷眞也氏の任期が12月24日で満了となりますので、小野寺金彦氏を再任し、新たに金野煕氏及び予備委員であります尾沢重遠氏を任命するため、また、予備委員として新たに渡邊朝子氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(堀口治五右衛門君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第20号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第20号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、議案第20号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
   日程第35 発議案第1号中小企業の研究開発等に対する支援についてから日程第39 発議案第5号放課後児童対策事業の法制化とその充実についてまで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第35、発議案第1号から日程第39、発議案第5号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号から発議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第5号までは、原案のとおり可決されました。
   
   閉 会
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第8回県議会定例会を閉会いたします。
   午後2時1分 閉 会

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