平成9年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第6号、1997年度岩手県一般会計予算に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、国民、県民の多数が反対している消費税の5%増税に追随し、すべての使用料、手数料、諸収入、計48件に消費税の2%分を転嫁し、県民に2、510万3、000円の新たな負担を押しつけるものとなっているからであります。橋本自民党内閣による消費税の5%増税、特別減税の廃止、医療制度の改悪による9兆円の増税、負担増は史上未曾有のものであり、国民の生活と経営を一層脅かすとともに、消費購買力の低下、中小企業の設備投資の低迷という深刻な不況のもとで、日本経済のかじ取りを根本から誤るものであります。
 増田知事は、昨年10月の総選挙で、消費税増税反対を最大の公約として掲げた新進党候補を公然と応援しましたが、消費税増税に対する態度を問いただした私の一般質問に対し、消費税5%増税は、昨年6月25日の閣議決定で確認したものという驚くべき答弁をいたしました。消費税5%増税問題は、昨年10月の総選挙の最大の争点となり、当時の与党3党も、税制のあり方について徹底審議することを公約したものであります。さらに、当選した衆議院議員の約7割が、消費税の凍結、据え置き、反対を公約したものであります。消費税問題は、増田知事の政治信念と政治姿勢を厳しく問う問題になったのであります。
 反対する第2の理由は、ゼネコン、県内大手企業優先の公共事業のばらまき予算となっているからであります。貴重な原生林地帯を破壊する奥産道などの山岳道路の建設は総点検し、直ちに凍結、中止すべきであります。420億円の事業計画となっている大船渡港湾整備計画も、バブルが破綻したもとで、その計画の根拠自身が再検討されるべきであり、宅地並みの工業用地の造成自身、計画の困難性を示すものであります。総事業費2、162億円に及ぶ県営ダムの建設も、その必要性、規模など、科学的に再検討し、見直すべきであります。農政、林業、水産業費の6割、7割が公共事業で占められていることも、県政のゆがみを象徴的に示すものであります。重大なことは、こうした浪費型の公共事業が、県単独事業の増大という形で県民に借金を押しつけて進められていることであります。97年度末の県債残高見込みは、ついに当初予算額を超え9、115億円にも及びます。これは県民1人当たり64万円、4人家族なら256万円もの借金となるものであります。今こそ、ゼネコン奉仕型の公共事業のばらまき、浪費構造を総点検し、防災対策や福祉、教育、住宅、生活環境整備など、生活基盤重視に公共投資の流れを変えることが必要であります。
 反対する第3の理由は、不況打開、大型店対策に極めて及び腰だということであります。県単独融資制度についてはこの間改善が図られ、融資枠が拡大されていることは評価できることであります。しかし、官公需の中小企業への発注比率を抜本的に高めるなど、特別の対策の強化が必要です。特に、大店法の規制緩和以降大型店の無秩序な進出は、地元商店街はもとより、地域経済とまちづくりにとって看過できない緊急重要な課題となっています。盛岡市周辺への三つの巨大ショッピングモール構想は、盛岡市内の商店街と城下町盛岡のまちづくりにとって死活的な問題であります。県は、大型店の出店届が出されてから対応するとしていますが、これでは対策になりません。まちづくりの立場で関係市町村、商店街、振興組合、また、住民とともに取り組みを根本的に強化することを強く求めるものであります。
 反対する第4の理由は、公共土木事業に偏重している農林水産業行政のゆがみが拡大していることであります。農政予算では61%、林業費で68・4%、水産業費では71・7%が公共土木事業となっています。全面的輸入自由化のもとで農林水産業が衰退縮小する中で、基盤整備の公共土木事業だけが拡大されるやり方は、県政のゆがみ、矛盾の象徴であります。特に、馬淵川沿岸地区国営かん排事業は約500億円の事業計画となっていますが、対象農家の6割から7割が基盤整備の必要がない、用水確保は現状のままでよいと答えており、根本的に見直すべきであります。
 県議会開会中に東和町が自主減反方針を決定し、県議会でも審議がされました。東和町の決定は、輸入をふやしながら減反、減反を達成しても米価の低落に見られる自民党農政と減反政策の破綻を厳しく指摘し、農政の根本的転換を求めるものであり、我が党は勇気ある決断として強く支持するものであります。県は、決して圧力やペナルティーをかけるべきではありません。
 反対する第5の理由は、福祉、教育の充実を求める県民の願いに背を向けていることであります。高過ぎる国保税が県民に押しつけられる一方で、国保税の基金は106億円、黒字は44億円、あわせて1世帯約7万円もの国保税の取り過ぎとなっています。乳幼児への医療費助成も増田知事の公約に反して、全国最低の状況であります。O-157による集団感染があったにもかかわらず、学校給食の施設、設備、人員の体制は最もおくれた状況にとどまっています。いじめ、不登校の増大など、新学習指導要領に基づく管理主義教育、差別と選別の教育も根本的に改善されるべきであります。
 最後に、官官接待の継続、カラ出張疑惑、県民サービスと職員に犠牲を強いる行政改革の推進は直ちに総点検し、見直すべきであります。来年度の食糧費は、今年度末見込みが1億2、700万円にもかかわらず、2億290万円も計上されていることは異常なことです。たび重なるカラ出張疑惑について、県は監査中、調査中を理由に答弁不能に陥りました。増田知事を先頭に責任を持って調査し、改善を図るよう強く求めるものであります。また、沖繩問題が日本の平和と進路にとって焦眉の課題となっていますが、増田知事が今こそ沖繩県民への連帯を表明し、海兵隊の撤去、米軍基地の整理縮小を提言すべきことを強く求めるものであります。
 議案第16号岩手県港湾整備事業特別会計は、バブル経済時の港湾開発を推進しようとするものであり、議案第17号県民ゴルフ場事業特別会計は、赤字体質の事業となっており反対するものであります。
 議案第18号岩手県立病院事業会計予算は、定数の増員などの前進面もありますが、県立病院95病棟のうち、47病棟で2人夜勤体制が残されており、さらに研修や委員会などで看護婦さんの労働条件は改善されたとは言いがたい状況です。新胆沢病院でのPPC体制は、2人夜勤を3病棟で広げるなど改善すべきであります。昨年8月からの特別初診料の徴収は、県民への負担をふやす一方で外来患者の抑制に結びつかず、その目的に照らし破綻していると言わなければなりません。パラマウントベッドの談合疑惑、メディカルサポートとの癒着構造など、総点検すべき課題は残されています。
 議案第20号岩手県工業用水道事業会計予算は、累積赤字が13億円余に上っており反対します。
 議案第21号から25号は、県単独事業における一部負担を市町村に求めるものであり反対です。
 議案第32号から第49号、第51号から第55号、第57号から第68号、第70号、第71号、第74号から第84号は、消費税の増税分を転嫁する条例改正であり反対するものであります。
 以上、反対の理由を述べ、反対討論といたします。御清聴ありがどうございました。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第6号、議案第16号から議案第18号まで、議案第20号から議案第25号まで、議案第32号から議案第49号まで、議案第51号から議案第55号まで、議案第57号から議案第68号まで、議案第70号、議案第71号及び議案第74号から議案第84号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、議案第6号、議案第16号から議案第18号まで、議案第20号から議案第25号まで、議案第32号から議案第49号まで、議案第51号から議案第55号まで、議案第57号から議案第68号まで、議案第70号、議案第71号及び議案第74号から議案第84号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第7号から議案第15号まで、議案第19号、議案第27号、議案第56号、議案第72号及び議案第86号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、議案第7号から議案第15号まで、議案第19号、議案第27号、議案第56号、議案第72号及び議案第86号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第84 発議案第1号岩手県議会委員会条例の一部を改正する条例から日程第92 発議案第9号平和憲法50周年決議まで
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、日程第84、発議案第1号から日程第92、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第3号及び発議案第5号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立多数であります。よって、発議案第3号及び発議案第5号は、原案のとおり可決いたしました。
 次に、発議案第1号、発議案第2号、発議案第4号及び発議案第6号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(堀口治五右衛門君) 起立全員であります。よって、発議案第1号、発議案第2号、発議案第4号及び発議案第6号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   
   閉 会
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第9回県議会定例会を閉会いたします。
   午後1時46分 閉 会

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