平成9年9月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号並びに第3号に対し、反対の討論を行います。
 認定第1号は、1996年度岩手県立病院等事業会計決算であります。私は、28の県立病院が、県民の生命と健康を守る上で重要な役割を果たしていることを正しく評価するものであります。同時に、医師、看護職員など、医療局の皆さんが文字どおり、日夜にわたる献身的な取り組みをされていることに心から敬意を表明するものであります。しかしながら、県立病院、医療局のあり方には改善を要する課題、問題も数多く残されています。
 第1に、看護婦さんの一番切実な課題である2人夜勤体制の解消が進むどころか後退していることであります。現在、95病棟中49病棟、52%で2人夜勤となっていますが、この間の定数の増員が2人夜勤の解消に結びついていないことは問題であり、改善を強く求めるものであります。さらに、日常業務だけで12時間労働となるなど、深刻な状況が残されるもとで、委員会、研修会が数多く開催され、深夜勤務明けでも参加させられるなど、事実上のサービス残業が強要されていることも改善されていません。あわせて、医療局の研修会参加者への復命書となっている研修受講結果報告書は、3カ月後、6カ月後の努力目標まで書き込ませるなど異常なものとなっており、こうした締めつけも改善すべきであります。ヒューマニティー21計画では、基本方針として、心の通う患者中心の医療の展開、働きがいのある人間尊重の運営と二つのスローガンを示し、人間性に立脚した事業運営を基本とし、人を大事にする病院づくりを目指しています。県立病院のこの基本方針に立ち返って、改善すべきは断固改善すべきであります。
 第2に、医療制度の改悪による9月1日からの医療費の大幅値上げによって、県民も県立病院も重大な影響を受けています。県民の怒りと悲鳴とも言える声は、連日のように新聞の投書欄に報道されました。県立病院の外来患者については、9月の約3週間で1日当たり1、455名、7・4%の減少となりました。政府・自民党は、来年度医療費の4、200億円の削減、2000年に向けた差別医療の制度化、参照薬価制度、定額制、高齢者保険制度の創設など、驚くべき医療制度、社会保障制度の改悪を進めようとしており、県民の生命と健康を守る上でも、県立病院の医療と経営を守るためにも、こうした医療制度の改悪を絶対に許してはなりません。患者の医療費自己負担がふえ続けている中で、昨年の8月から200床以上の14の県立病院で、紹介以外の初診患者から上乗せ初診料を徴収したことは、悪政に悪乗りしたものであります。8カ月間で上乗せ徴収された患者数は9万1、074人、9、401万円となっています。一方で、紹介率は14病院の平均でわずか5・4%にとどまっており、特別初診料の目的、口実は完全に破綻していると言わなければなりません。
 第3に、医療体制の充実と医師確保対策の問題です。
 医師不足、医師確保問題は、全県的な課題と言うべきものでありますが、県立病院でも104名の不足となっています。医療法上の医師必要数に対し50%台の県立病院が5病院、60%台が4病院となっています。特に標榜診療科253のうち、常勤医師のいない診療科が33もあり、この一刻も早い解決を強く求めるものであります。
 第4に、メディカルサポートへの出資は、直ちにやめるべきであります。そもそも、メディカルサポートは昭和61年4月、県民、医療関係者には秘密裏に、県内外の大手医療機器業者、薬品、設計業者と医療局によって発足したものであります。発足当初から、医療局の出資について一部業者と癒着するものとして厳しく指摘されてきました。また、医療器械購入では、実際上癒着というべき状況もありました。現在、発足した当時の医療局長がメディカルサポートの社長となっていますが、みずから天下り、癒着の組織をつくったと言われても仕方ないものであります。医療局には他の委託業者もあり、メディカルサポートだけに出資し、特別に援助し続ける理由も根拠もないと言わなければなりません。医療局の出資をとりやめるよう、強く求めるものであります。
 第5に、96年度、6億4、000万円の黒字となったことは率直に評価するものでありますが、労働条件の改善と結びついて経営の改善が図られるよう求めるものであります。
 経営上の問題では、消費税の負担額が7億円、累積で36億円となっており、これは、累積赤字80億円の45%を占めるものであります。今年度は、5%増税によって約12億円の負担が見込まれていますが、自民党政治の悪政が県立病院の赤字の最大の原因と言わなければなりません。
 次に、認定第3号、1996年度岩手県工業用水道事業会計決算についてですが、公営企業債の繰り上げ償還によって金利負担、収支の改善を図っているものの、96年度も103万円余の赤字、累積13億361万円の赤字となっています。赤字の最大の原因は、先行投資の名のもとでの過大投資にあります。工業用水道の契約率は計画給水量に対し、第三北上中部は29・4%、第二北上中部は33・2%にとどまっています。今回の決算審議においては、与党議員からも、早池峰ダムなどにおける多額のダム負担金と計画水量の再検討を求める質問、提言も出されました。バブル時代の発想ではなく、科学的、合理的根拠に基づいた事業を進められるよう改善見直しを求めるものであります。
 公債費について、206万円の予算に対し26万円の決算は大きく乖離したものであります。これまでの惰性に陥らず、公債費の内容と予算執行のあり方を改善すべきであります。
 以上、申し述べまして反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号及び認定第3号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、認定第1号及び認定第3号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成8年度岩手県電気事業会計決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、認定第2号平成8年度岩手県電気事業会計決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第34 議案第29号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて及び日程第35 議案第30号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(那須川健一君) 次に、日程第34、議案第29号及び日程第35、議案第30号を一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕

〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第29号は、教育委員会の委員であります上山司光氏の任期が10月10日で満了となりますので、その後任として新たに西井信弘氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 議案第30号は、公安委員会の委員であります佐藤光氏の任期が10月10日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に同意くださるようお願いいたします。

〇議長(那須川健一君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第29号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第29号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、議案第29号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
 次に、議案第30号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第30号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、議案第30号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第36 発議案第1号地球温暖化防止の促進についてから日程第42 発議案第7号新しい米政策の確立についてまで

〇議長(那須川健一君) 次に、日程第36、発議案第1号から日程第42、発議案第7号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第7号までを一括して採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第7号までは、原案のとおり可決されました。
   
   閉 会

〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第11回県議会定例会を閉会いたします。
   午後2時20分 閉 会


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