平成10年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号並びに第11号、第12号に反対の討論を行います。
 認定第1号は、1997年度岩手県一般会計歳出歳入決算であります。反対する第1の理由は、むだと浪費、自然破壊の公共事業を含め、ゼネコン奉仕の公共事業を推進し、県財政の危機的状況を一層拡大したことであります。
 増田知事は、奥産道雫石東八幡平線の工事の断念を表明しました。私は、これを歓迎するものであります。また、広域基幹林道夏湯湯田線も中止の方向が示されています。これらは、原生林の伐採事件とか、自然保護団体からの環境破壊の警告を受けて中止に追い込まれたものであります。県が進める公共事業の中には、こうした事業のための事業、貴重な自然環境を破壊するだけの事業が少なくありません。私が決算特別委員会で取り上げただけでも、奥産道沢内村道の安ケ沢線、大規模林道川井住田線、広域基幹林道芋野線、四ノ宗山線など、イヌワシ、クマタカなどの絶滅危惧種の繁殖、生息を脅かす山岳道路が少なくないのであります。重大なことは、科学的専門家による調査と検討も行われず工事を進めていることであります。また、公共事業評価委員会にかけられた広域基幹林道にもかかわらず、クマタカやイヌワシなどの環境調査を記述せず、隠していたことは重大であります。こうしたやり方は、5年ごとの事業を対象とする公共事業評価委員会を欺くものであり、奥産道の工事断念の教訓を理解しようとしないやり方であります。是正を強く求めるものであります。
 港湾整備事業も、その見直しが強く求められています。計画に対する貨物取扱量の実績は、久慈港で7・3%、宮古港で26・5%、釜石港で60・9%、大船渡港で76・3%であります。既に過大投資の実態は明らかであります。ところが、大船渡港湾整備事業は、現在でも7割程度の利用状況にもかかわらず、新たに420億円も投入して、13メートルバース2基を含めた新たな港湾整備を進めようとしていますが、深刻な財政危機のもとで、なぜ大規模開発を進めようとするのでしょうか。運輸事務次官OBでJR東日本の社長を務めた住田正二氏は、宮古港も大船渡港についても、今の施設で困るという事情は全く見受けられない、新しい施設に膨大な投資をしなければならない必要性は、残念ながら理解することはできなかったと述べています。さらに深刻なのは、既に当初事業費を超えた106億円を投資している小本港湾整備事業であります。整備目的も必要性も完全に破綻しています。必要があるなら、宮古港を利用すべきであります。当初事業費1、300億円の久慈湾口防波堤の工事も、現在の深刻な国、地方財政のもとで、その緊急性や必要性の見直しが求められているのではないでしょうか。
 反対する第2の理由は、自民党政治に追随した福祉に冷たい県政だということであります。
 入院給食費への助成は、全国30都府県で実施され、県都の盛岡市でも実施されていますが、増田県政は、厚生省の言い分どおりに入院と在宅患者の負担の公平なるものをオウム返しにして県民の願いに背を向けています。国保税は97年度の市町村決算で、黒字が56億4、000万円余、基金のため込みが102億5、300万円余となり、合わせて国保加入世帯1世帯当たりで7万4、000円もの黒字と基金のため込みとなっています。一方で、高過ぎる国保税を払えず、滞納者が急増し、全県で2万3、353世帯、10・8%、滞納額は65億円に及んでいます。盛岡市の場合は、滞納者が22・9%、8、524世帯、滞納額20億7、800万円余となっています。さらに、滞納者から保険証を取り上げ、3カ月程度の短期保険証の発行は、増田県政になってから1・8倍、1、729件にもなっています。異常な国保税のため込みをやめ、国保税の引き下げを指導すべきであります。金の切れ目が命の切れ目となるような保険証の取り上げは絶対にやるべきではありません。
 子供たちの学童保育も、ことし4月から法制化されました。しかし、全国42都道府県で県単独助成を行っているにもかかわらず、岩手県は何もやっていないのであります。59市町村のうち、学童保育事業に取り組んでいるのはわずか17市町村、71クラブであります。せめて法制化にふさわしく、全国並みに少人数学童保育や障害児学童保育への県単助成を行うべきではないでしょうか。
 介護保険が2000年4月から実施されようとしていますが、重大な不安と問題が解決されていません。最大の問題は、保険料、利用料を払えない人、低所得者が、介護保険、介護サービスから除外されかねないことであります。国民年金の免除者は県内4万1、000人で20・1%、未納者は2万5、000人余で12・4%にも及んでいます。国保税の滞納者も1割、2万3、000世帯であります。減免制度がどうしても必要と提起しましたが、県民の不安にこたえる答弁はありませんでした。1、145人の特養ホームの入所待ちの実態は、保険あって介護なしとならざるを得ないものであります。在宅福祉の要であるホームヘルパーの確保は、今年度末で目標の76・1%にしかなりません。286人が不足です。ところが、厚生省は、今年度からホームヘルパーへの補助を人件費補助から事業費補助方式に変更して、25%、3億9、200万円も補助金を削減したのであります。こんな福祉の切り捨てで介護保険がうまくいくはずはないではありませんか。
 第3に、農林漁業のゆがみが拡大していることであります。
 米の暴落、減反拡大の一方で、農政の決算は、約1、200億円のうち67%、約800億円が公共土木事業に占められています。林業、水産業も同じです。農家が一番求めていることは、価格補償、所得補償の充実で、安心して農業ができることであります。ゼネコン、土建業者のための農政ではなく、農民と農業の発展に役立つ農政への転換が必要であります。
 第4に、子供と教育に冷たい県政となっていることであります。
 異常な詰め込み教育と過酷な受験競争、管理主義教育のもとで、不登校が1、803人、高校中退が831人にも及んでいます。国連子どもの権利委員会は6月、日本政府に対して、児童が高度に競争的な教育制度のストレスにさらされていること及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより発達障害にさらされていると勧告し、改善を求めました。子供の最善の利益を求める子どもの権利条約の立場に立って、受験中心の教育を改め、諸外国では常識となっている30人以下学級を一刻も早く実現すべきであります。
 第5に、食糧費の不正支出にかかわって全庁調査が実施されました。しかし、その結果は、1億5、000万円10%が不正、3億7、700万円25%が不明というもので、灰色調査、黒塗り調査に終わりました。全国的にも例のない、適正を証明できない不明分25%を返還の対象としなかったことは県民に対して無責任な対応で、身内をかばう対応と言わなければなりません。食糧費が4年前の4億円から昨年度は9、831万円余に4分の1に減少したことは、県民の監視と追及の成果であります。
 認定第11号、第12号は、港湾整備事業と県民ゴルフ場の特別会計決算であります。これは、むだと浪費の事業、赤字拡大の事業であり、反対するものであります。
 最後に、今、県政に求められていることは、不況打開の気力もない、策もない小渕内閣自民党政治の悪政から、県民の生命と安全、健康を守るという地方自治の原点に立って、県民の暮らしと福祉、教育を守る県政を推進することであります。日本共産党は、県民が主人公、県民の利益を第一に、県政の民主的刷新を求め頑張り抜くことを表明をして討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第44 議案第30号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第44、議案第30号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕
〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第30号は、収用委員会の委員であります田村彰平氏及び乙部良一氏の任期が12月24日で満了となりますので、新たに安達孝一氏及び予備委員であります渡邉朝子氏を任命するため、また、予備委員の高桑星氏が退任いたしますので、新たに予備委員として坂本富雄氏、津志田武氏及び長澤由喜子氏を任命するため議会の同意を求めようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(那須川健一君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第30号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第30号収用委員会の委員及び予備委員の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、議案第30号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第45 発議案第1号臍帯血移植実施体制の早期整備についてから日程第50 発議案第6号「2,4,5-T系除草剤」埋設処分地問題への対応についてまで
〇議長(那須川健一君) 次に、日程第45、発議案第1号から日程第50、発議案第6号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号から発議案第6号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第6号までは原案のとおり可決されました。
   
   閉 会
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第16回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時12分 閉 会

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