平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(平野ユキ子君) 民主・県民会議の平野ユキ子です。
 質問を始めるに当たり、まず、会派の先輩・同僚議員の皆様の温かい御配慮により、今期5度目の一般質問の機会を与えられましたことに心より感謝申し上げます。また、順番をお譲りいただいた佐々木博議員の特段の御配慮に心より感謝いたします。
 質問を始めるに当たり、今回、余りにも内容が盛りだくさんになりましたために、勢い少々早口となるところがあることを、あらかじめ御了承くださいますようお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先日の本会議において、増田知事は、3期12年の総括として、御自身で評価されての知事演述をされました。確かに、知事が就任された平成7年から19年までの12年間は、20世紀から21世紀への変革の時期であり、国の内外の情勢も変化が著しい時期でありました。殊に、国内の情勢を言えば、知事が初めて就任された平成7年に地方分権法が成立。これにより地方分権改革が本格的に動き出したかに見えましたが、平成12年に施行された地方分権一括法は、実際は補助金改革や税源移譲は進まず、制度上にすぎないものになりました。そして、その後のいわゆる三位一体改革は、国の財政再建を主体としたものとなり、地方にとって自治を確立できる内容とはならず、地方分権の推進は画餅になった感があります。一言で言えば、格差が拡大し、地方にとってますます厳しい状況となっているのが現状であります。
 そのような情勢の中、知事はこれまで12年間、岩手の行政のリーダーを務めてこられたわけです。増田知事は、改革派の知事として全国報道されることが、これまで歴代の知事の中で一番多かったのではないでしょうか。さわやかでクリーンな知事として、岩手のイメージアップに貢献していただいたと思っております。とはいえ、県政においてはさまざまな不安要素があり、これから総括として幾つか質問させていただきます。
 初めに、県民がひとしく憂慮しているであろうと思われます財政問題と競馬問題についてお伺いいたします。その後、各部局の問題として部局ごとに、知事の3期12年間の総括としての所見をお伺いいたしますので、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず、先日発表された2007年度一般会計当初予算6、965億3、400万円についてお伺いいたします。これは、知事選を控えた骨格型予算とはいえ、前年比5.9%減の予算規模となっており、6年連続の減額予算であります。新規県債発行額と借金返済―元金償還額との差、プライマリーバランスは116億円の黒字になったという発表でありますが、県の借金総額である県債残高は1兆3、877億円に上り、依然、危機的状況であります。増田県政の始まった12年前の県債残高は約7、000億円であったことに比べると2倍に上り、次期県政へ大きなツケを残すこととなりました。このままですと、来年度は予算に占める義務的経費が52%と半分以上を占める予算内容であり、政策的経費に充てる自由度がかなり狭まり、次期県政を担う新しい知事が、政策運営上、かなり困難であろうと憂慮するところです。こうした状況になったことについて、知事はどのように感じておられるのか、まず、この点をお伺いいたします。
 また、今回示されましたプライマリーバランスから、利息を考慮せずに単純に計算しても、完済し終わるのに、何と120年以上かかるという計算になります。この膨大な借金をどのように返済していくのか、その方針も勇退前に示すのが県民に対する誠意ではないかとの声がありますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
 また、私が県議会議員になった当初の年度に発生した森のトレー問題により、国へ返還しなければならない補助金もいまだに尾を引いております。これも次期県政へ決着を先延ばしのままとなっております。どのように対処されるのでしょうか。
 さらに、これまで、県の出資法人、肉牛生産公社の清算に当たっては、県に約15億2、000万円の債権放棄を強いる結果となりましたが、これからさらに林業公社の整理が控えており、憂慮されるところです。このように、これまで処理を先送りしてきた問題で多額の財政負担を後世代に残すことになるようですが、次期県政を担う新知事がこうしたツケを負わされることをどのように考え、対応するのかをお示しください。責務として果たすべきことではないかとの声がございます。
 また、何といっても競馬組合の問題が今議会の大きな課題として控えております。私が議会に上がりました初年度、地方競馬の危機的状況が明らかになり、岩手競馬存続の危機状況が県民に知れるところとなりました。県ではさまざまな改善策、再生案を競馬組合に提示、改善を促す努力をしてきたところですが、組合の旧態依然とした体制は変わらず、結局、競馬再建スキームもただの数字合わせの非現実的なもので、さらに傷を広げた形で今日に至っています。副管理者をかえ、対策に現実に動き出したかに見えたのですが、それも今から見れば空白の2年間であったとの声が聞かれます。県議会の再三再四の意見にもかかわらず、現実的改善は見られなかったのが現状です。対応がおくれたとの感は否めません。このようになるまでほうり出しておいた責任は管理者としてどのようにとり、対処をいかがするか、お考えをお聞かせください。
 今議会に、最後の策として競馬組合への330億円の融資問題が提出されるところです。このうち、県負担として297億5、000万円を岩手競馬経営改善推進基金積立金として2月補正予算に計上しています。その内訳は、構成団体の比率に従っての融資額のうち、財政力の弱い奥州市と盛岡市へ自主財源の不足分を県でさらに融資するというものです。このため、県では、両市への融資額を加えた額の基金297億5、000万円を造成、その財源として主要3基金を取り崩してこれに充てるとされています。もともと主要3基金というのは非常時に備えるためのものです。災害時や非常事態に備えるための基金を、こういう目的に使用していいのか、県民の理解が得られるのか、疑問です。
 先ごろ、県内6カ所で開催されました競馬フォーラムでも疑問の声が多く出たところですし、融資に当たっては慎重を期すようにとの要望も出されたと聞いております。しかし、それでは、果たして岩手にとって競馬を廃止してよいのだろうかというと、またしても再考せざるを得ません。
 私は、任期上半期において出資法人等調査特別委員会に属しており、競馬問題に係る視察に行きましたが、その節、山形の上山市を訪れたときのことが忘れられません。そのとき、上山は競馬を廃止した直後でしたが、実にまち全体が冷え込んでいるのがひしひしと伝わってきました。上山は温泉を備えた観光地であり、観光の目玉として天守閣を備えたお城もあるのです。が、観光客はなく、まち全体に人影がない、つまり経済的冷え込みを感じました。
 もし、競馬を廃止したら、盛岡市、奥州市にとって、経済的にも、今、数値にあらわれている以上の打撃があるような気がいたします。もちろん、馬事文化の継承が寂れるという文化的・歴史的なマイナス面もありますが、経済的にも思わぬ波及が出るのではないかと思います。こうしたさまざまな面における影響や波及についてどのように考慮しているか、また、しっかり調査したのか、伺います。
 まさに、進むも地獄、退くも地獄の泥沼状態に陥った競馬問題、もっと早くに有効な手段を講じておればと悔やまれますが、知事は管理者として、その責任をどのようにおとりになるというのでしょうか、お聞かせください。
 次に、教育の問題について伺います。
 増田知事は、3期の12年間の任期中、自立した地域社会の形成を目指し尽力してきたと拝察いたしますが、特に今期においては40の政策を打ち出し、その七つの重点施策の中で、新しい次代を担う教育先進県づくりを標榜されております。その取り組みの評価をどのように自己評価されているか、お伺いしたいと思います。
 先日の県議会開会時本会議当日、教育委員会委員長が実に半世紀ぶりの方針演述を行いました。その中で委員長は、冒頭、学力の低下やいじめの問題について触れ、昨年発生した高等学校における未履修問題について陳謝し、教育の信頼回復に努める旨、述べられました。
 確かに、先ごろ発生した必修科目の未履修問題では、岩手が不名誉に全国的にクローズアップされた形となりました。しかし、これは当然起こるべくして起こったことととらえられます。現場の先生方の勤務状況のハードなことは、私は現場におりましたから、よく知っております。もともと先生方には学習指導以外の雑務が多いのです。生活指導やクラブ活動の指導、また、各学校行事や諸事に関する雑務など、それだけでもオーバーワークです。それに加えて、年々低下する学力の現状。かつての学力レベルからすると、かなり低下した状態で高校へ入学してくる生徒たちを、高校の3年間で大学受験レベルにまで引き上げる大変さ。そして、国公立大学への合格者数で各学校が査定されるという過酷さ。勢い受験に必要な科目の時間数をふやし、詰め込みをしなければならないのです。こうした事情が未履修問題の背景にあります。
 実は、年々低下する学力の原因は小学校の段階から始まっております。本当の学力を上げるなら、義務教育の段階にさかのぼって、小学校レベルから引き上げるようにしなければなりません。文科省の定めた学習指導要領は、昭和52年からゆとりの教育の方針を打ち出し、数度の改訂を繰り返してきました。その都度、義務教育における学習の目標基準がどんどん下げられて、今日に至っております。目標の100%達成は事実上難しいことから、学習指導要領の改訂によって基準が下がれば下がるほど小・中学校の学習レベルが下がり、日本全国の学力レベルがいやが上にも低下したとの認識は、実は方々で聞かれます。すなわち、文部科学省の指導要領に忠実に従っておりますと、日本全体を含めて、そして岩手の教育の充実は望めなくなるのではないでしょうか。
 教育とは、学習面のみならず、音楽、美術などの教養科目やスポーツ、倫理や哲学などの心の教育も大切です。岩手には恵まれた大自然があり、このすばらしい環境を生かした人間としての心豊かな教育も可能です。本当の学力は、こういった教養科目や環境と連携しなければ生まれてこないと思います。このような教養あふれる学力と体育、心の教育等の両立は、小学校の段階から行えば十分に時間的なゆとりを持ってでき、まさにゆとりの教育となります。
 そこで、私が4年前に提言させていただいたことをもう一度提言したいと思います。岩手の教育の向上のため、岩手独自の教育方針、高いレベルの学習指導要領を策定してはいかがでしょうか。地方分権が叫ばれる今、教育の分野でも地方に合った独自の教育を確立すべきではないでしょうか。岩手が学力全国ナンバーワンになり、最高の教育が受けられると知れば、黙っていても、おのずと全国から人がやってきます。人は最高の教育を受けたいものですし、受けさせたいものです。医師不足、弁護士不足などの県政課題もたちまち解決するでしょう。これについて教育長のお考えをお聞かせください。
 本県は、学力テストを、宮城、和歌山、福岡の3県とともに全国に先駆けて行い、国の方針転換を主導する形となりました。これから義務教育における国庫負担金や補助金が減少の方向に向かいつつあることを考慮すれば、経済格差が教育格差に結びつくという悪循環にならないよう、地方においては教育により一層の努力を傾けなければなりません。都会でさえ塾に通える子供と通えない子供との間に学力の差が生じています。まして本県においては、塾に通うどころか、塾もない地域があります。学力に地域格差が生じないように、また、経済格差で学力に差が生じないように、公立学校の教育力と学力を向上させることが大切ですし、より一層の対策が必要とされるのではないでしょうか。教育長のお考えをお聞かせください。
 次に、医療の問題についてお伺いします。
 医療の問題は地方にとって深刻です。増田知事は、御自身の任期12年を振り返って、医療問題に対する行政上の手腕についてどう総括なさいますでしょうか。県立病院の財政上の問題と医師不足対策については出おくれた感じがありますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
 医師不足対策として現在取り組んでおられるのが、ドクターバンクの活用、女性医師への支援策とお聞きしております。殊に、2004年4月から厚生労働省が、医師に免許取得後2年間の臨床研修を義務づけたことを受け、岩手県医師確保対策アクションプランを策定され、総合的な医師確保対策を推進する中で、女性医師の働きやすい環境づくりに取り組むこととされました。女性医師を支援するための保育環境整備と、一たん、現役を退いた女性医師への職場復帰支援の研修体制の整備の2本立てということですが、どのような取り組みか、お伺いいたします。聞くところによりますと、本県のこの取り組みは全国で初めてとかで、よそからも問い合わせがあるとのことです。明るい話題ですので、その辺のところもお示ししてください。
 また、このような育児支援は、これから看護師さんのためにもぜひ拡大活用できるようにしていただきたいものです。昨年の診療報酬改定で、看護師の配置により医療機関が受け取れる入院基本料が見直されました。看護師1人当たりの実質的な患者数を7、10、13、15に区分、これまでなかった7対1は、従来一番手厚かった10対1より大幅に高い1、555点とされました。このため、看護師の取得合戦が既に始まっており、条件のよい首都圏へ看護師が偏在する方向へ流れています。医療面にも格差が広がる状況にあります。看護師さんの保育状況を改善する必要は大いにあると感じます。この点、いかがお考えでしょうか。
 また、保育支援といいますと、これから求められるものとして病児保育があります。突然の発熱など、子供はよく病気になるものですが、どうしても仕事を休めないときなどに必要なシステムです。この病児保育についても、今後取り組んでいただきたいと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
 また、6月議会で伺いましたことですが、後期高齢者医療制度に係る広域連合について、現在までの取り組み状況と今後の対応予定についてお示しください。高齢者の多い岩手県では大変気になるところです。
 次に、IT推進についてお伺いいたします。
 2000年、森首相が提唱したe-Japan構想にいち早く共鳴して、増田知事は2期目にいわて情報ハイウェイを構築、情報先進県としてIT推進を進めてきたと拝察いたします。しかしながら、あれから8年、情報基盤整備は他県にも比してむしろ立ちおくれてしまいました。これからますます情報通信基盤整備は重要となってくるでしょう。ITは、教育、医療、福祉などあらゆる分野で無限の利用が可能で、広大な県土を有する本県においては格差を埋める手段となるものです。いつでも、だれでも情報を受発信できる情報先進県をうたい、情報格差のない、いわゆるユビキタス社会を目指した知事ですが、このような現状に対して、これまでの取り組みについてどうお感じか、対応のおくれはなかったかどうか、お伺いいたします。
 また、岩手県では携帯電話の不感地帯がまだ多く存在している現状ですが、通信以外にもさまざまなサービス分野が拡充される携帯電話です。その不感地帯解消に向け、県は今後どのように取り組もうとしているのか、伺います。
 また、地上デジタル放送への移行に伴い、テレビ共同受信施設の改修や、小規模中継局の減少などによる新たな難視聴への対応が課題となっていますが、2011年7月24日の地上デジタル放送への移行に向けた県の取り組み状況をお聞かせください。
 次に、平泉世界遺産登録を目前に、県で策定している平泉文化遺産観光活用推進アクションプランについてお伺いいたします。
 平成20年7月の登録を見据えてのアクションプランですが、多岐にわたる観光面での活用が考えられ、産業の振興にも結びつくと期待されます。今後、県として、遺産登録を契機に観光や地場産業の振興など関連事業をどのように展開していくのか、アクションプラン策定に携わった県南広域振興局長も兼ねている企画理事からお伺いいたします。そして、県南振興局の取り組みを踏まえ、平泉の遺産登録に係る観光施策を全県的に波及させるためにどのように展開させるつもりか、商工労働観光部長よりお伺いいたします。
 ところで、県が平成9年度以降さまざまな支援事業を行ってきたいわて4王国についてですが、これは、岩手県を県北、沿岸、県央、県南の四つに分けた4王国として、それぞれの地区の特徴を生かした名称、穀彩王国、魚彩王国、湯雪王国、黄金王国と名づけて実行委員会が設立され、事業展開しているものです。この命名はなかなかにすばらしく、キャッチフレーズはさすがと感心したのですが、報道によれば、最近は王国から離脱する市町村もあるということです。殊に、県南観光の黄金王国は平泉文化を念頭に名づけたわけですが、ここから肝心の平泉が離脱するという状況が出来しています。平泉の世界遺産登録を目前に控えた時期、この4王国事業を県では今後どう支援していくおつもりか、お伺いいたします。
 ところで、平泉が世界遺産登録されることを受け、県内外から観光客が予想され、対応しようというやさき、花巻空港発着の福岡線の路線減の決定は出ばなをくじかれた感がございましたが、一方、花巻空港ターミナル新ビル着工の開始は朗報であり、早目の空港整備を望むところです。2007年度県当初予算に盛り込まれた新ビル着手に伴い、県土整備部では、現在の港湾空港課から分離して空港課を新設、国内定期便の利用促進、国際チャーター便の誘致などを行うとしています。また、商工労働観光部では、観光課に平泉の世界文化遺産登録を見据えた観光客誘致などを担当する沿岸県北・平泉観光産業特命課長を配置すると聞いております。さらに、県南広域振興局経営企画部内には世界遺産推進課を新設するとのことですが、これらの連動・連携をどのように行い、効果的な振興策としていくのか、お伺いいたします。
 さて、増田知事は、平成11年に、総合計画において日本の環境首都を目指すことを目標に掲げました。いち早く環境問題に取り組んだ姿勢を高く評価したいと思います。殊に、青森県境産廃不法投棄問題においては大変意欲的に取り組まれ、おかげで、国の定めた目標の平成24年度までには原状回復される見通しが立っているところです。御自身でもこれは高く評価しているようですが、関係各位の御努力に感謝したいと思います。
 一方、環境首都を目指す先進県の取り組みについては低く評価しておられるようです。このあたりの整合しなかった原因についてどう考えるか、お聞かせください。
 今、新たな環境問題として六ヶ所村原燃再処理施設の放射能汚染が県民を不安にさせています。こういった不安にこたえて、県におかれましては、国や原燃に対して、真の説明責任を果たすよう、毅然とこれからも要望していただきたく、再度お願いいたします。
 また、本当に不安を取り除くためには放射能の除去装置が不可欠と思われます。特にトリチウム、クリプトン85の除去は技術的に可能なのですから、ぜひ、除去装置の設置を国に要望していただきたく、お願いいたします。海の安全を守ろうとする岩手県民の姿勢は、一般消費者から高く評価されています。海産物を中心とする日本の食事が世界的にも健康的と認められ、日本食が一番と世界じゅうが認める時代です。この貴重な資源を守ろうと頑張る県民の声に、遅きに失しないよう対策をお願いいたします。この点に関し、御意見をお伺いいたします。
 中心市街地の活性化についてお伺いします。
 昨今、景気は上向いていると言われますが、依然として地方にその実感はなく、一方で都市と地方の格差の問題がクローズアップされております。私は、都市と地方の格差問題で象徴的なものが、地方都市の中心市街地の空洞化問題であると考えますが、本県でも、各地で衰退・空洞化が深刻な状況になっているのではないかと憂慮しております。国においては、昨年、全国的な地方都市の中心市街地の衰退状況を踏まえ、いわゆるまちづくり三法の抜本的改正を行い、また、県でも有識者による岩手県中心市街地活性化懇談会で今後の施策方向性を議論していると承知しています。
 この間、私は、中心市街地の活性化問題を、地方経済活性化の視点や持続的なまちづくりの観点から、早急に対策を打つべき喫緊の重要課題ととらえ、昨年6月議会において対応方向をお伺いしたところです。まちづくり三法が抜本改正されたといっても、大規模集客施設の立地を中心とした郊外開発はいまだ加速しており、中心市街地も急速に衰退が進んでいくのではないかと危惧しているところであります。私は、県として、地方の実情を踏まえながら、中心市街地活性化の施策を積極的に展開していくべきと考えており、特に、大規模集客施設の適切な立地誘導については、福島県のような条例をもって広域調整を図るべきと考え、質問いたしましたが、その後の有識者懇談会の提言なども踏まえて、県として、今後、大規模集客施設の立地誘導制度について、どのような方向で対応していくのか、お伺いします。
 さて、中心市街地活性化に向けては、まちが魅力を取り戻すことが重要であると考えます。今回のまちづくり三法の改正の中では、中心市街地活性化法が抜本的に改正され、国の認定を受けた基本計画を持つ市町村が、選択と集中のもと、重点支援を受ける仕組みが創設されました。この認定は相当ハードルが高いと聞いておりますが、日本全国の都市間競争の中で、本県でも盛岡市や久慈市が認定に向けて果敢に取り組みを行っております。
 特に、盛岡市では4月から始まる朝の連続ドラマ「どんど晴れ」などを契機とした観光誘客などとも連動させた取り組みが期待され、また、県の玄関口、県都としての役割から、まちの顔となる中心市街地の活性化は、県内全域の観光、特に平泉の世界遺産登録にあわせた観光客の流れを県北・沿岸を含む全県に波及させる効果もあるのではないかと考えております。
 そこでお伺いしますが、県内市町村の中心市街地活性化基本計画の国の認定に向けたこのような取り組みを県としてどのようにとらえ、また、この取り組みを加速するために、県として今後どのような支援を行っていくのでしょうか。
 このように、県内の各都市の個性的な取り組み、国の基本計画認定への取り組みを支援し、まちの魅力を取り戻し、中心市街地の活性化を図ることは、広く県内経済の活性化にもつながるのではないでしょうか。
 冒頭述べましたように、やはり増田県政の次期へ残された課題は、格差という一言に尽きるのではないかと感じます。格差は、今後も是正すべき大きな課題であると感じています。最後にこの点についてどうお考えなのか、知事にお伺いいたします。
 終わりになりましたが、クリーンでさわやかに岩手の改革のイメージを全国にアピールされた増田知事に対し、心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。12年間本当にお疲れさまでした。
 さて、私は4月の県議選に出馬しない決意をいたしました。いま一度、この一般質問の機会を与えてくださいました会派の先輩・同僚議員の皆様に心から御礼申し上げます。また、今期4年間私を支えてくださいました県当局の皆様に対し厚く感謝を申し上げます。そして、何よりもこの4年間私を支え、励ましてくださいました支援者の皆様方、広く県民の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ここに心よりの御礼の気持ちをささげまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 平野ユキ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 内容が盛りだくさんでしたので、私も若干早口になりますけれども、丁寧にお答え申し上げます。
 まず、財政状況についてでございますが、私の任期を大きく前半、後半と分けますと、前半の方では、県民生活の向上や将来の基盤となるインフラ整備の促進を優先すべき、このように判断いたしまして、ちょうど国の経済対策がとられていたわけでありますが、その経済対策に呼応して、社会資本整備を前倒しで進めてまいりました。この結果、当然ながら、県債残高が大幅に増加もしたところであります。これにつきましては、当時の判断としては、その後の景気回復による税収増、あるいは国が公共事業を行う際に、後年度交付税を上乗せをする、そういう措置を行うということを言っておりましたので、それによって償還する考えでございましたが、景気の低迷が長期化する―これは予測の範囲を超えておりました―また、交付税につきましても、想定を超えた大幅な減額といったことがございまして、年々、本県の財政状況が厳しさを増してきたところであります。
 こうしたことで、収支不足が解消に向かう見通しを得るに至らなかったことは、大変残念に感じておりますが、平成15年度から、行財政構造改革プログラムを策定いたしまして、それに基づく取り組みを進めております。18年度には、県債残高が減少するなど、財政健全化の道筋をつけるように取り組んできたわけでありまして、来年度当初予算につきましても、骨格予算でありますが、そうした基本的な考え方のもとに予算案を取りまとめたところでございます。
 それから、県債の返済についてでありますが、当分の間、現在のような高い水準での償還が続くものと見込まれますが、将来世代に過重な負担となることのないように、毎年度の新規発行をできるだけ抑制しながら、プライマリーバランスの黒字を今後とも維持して、県債残高を順次縮小させていくことが必要と考えます。
 公共団体は、社会資本整備を行う際には、起債を行って資金調達をするという仕組みでありますので、起債残高をゼロとすることを目標とするわけにはいかないのですけれども、しかし、公債費比率や経常収支比率など、各種の財政指標に十分留意しながら健全な財政運営を行っていく、これはもう当然の前提でございます。
 いずれにしても、発行済みの県債につきましては、償還計画に沿って償還していく必要がありまして、その財源確保のためにも、歳出全般にわたる不断の見直しや中長期的な収支見通しを踏まえた財政運営を行っていくことが重要と考えます。
 それから、出資法人に関する財政負担についてであります。
 出資法人については、それぞれの出資法人ごと、それぞれの案件ごとに、課題が明らかになった時点で、できるだけ将来に問題を残すことがないように、県としての財政負担を初め、県内産業の影響などを勘案しながら最善の対応方策を早急にとる、こういう考え方で臨んでまいりました。
 その上で、すべてを私の任期のうちに解決を図りたいと考えていたわけでありますが、ただいまの議員御指摘いただきました林業公社のように、今後、国の新たな支援を引き出すことも含めて長期間をかけて取り組んでいく必要のある課題というものも残りました。引き続き、県として適切な事業運営に努めることが必要と考えます。
 いずれにしても、こうした負の財政的な課題については、県民に対してその全貌を示しつつ、早急な対応を行って、解決を図っていくことが重要と考えております。
 次に、競馬問題であります。この点につきましては、大変皆様方に御心配いただき申しわけなく思っているところでありますが、何といいましても、現在のような結果に至っているわけでありまして、岩手競馬をめぐる環境変化、これは経済情勢もあると思いますし、それからファンの動向もあるわけでありますが、こうした環境変化に対する認識が甘かったと言わざるを得ないわけであります。
 競馬組合は、これまでの運営の考え方としては、単年度赤字が発生する場合もあり得るということを前提に、その赤字が発生した場合は、民間金融機関からの有利子の資金調達で当面の赤字を補てんしておいて、施設整備等による売上拡大によって、後年度、その黒字で事後的に返済をする、こういう考え方でおりましたし、現実の再建計画もこういう考え方をとってきたわけでありますが、昨年11月に策定した新しい改革計画でありますが、その計画では、過去のこうした考え方の反省に立ちまして、売り上げが拡大していく見通しの計画をやめまして、競馬組合みずからが収支均衡を基本とする事業存廃の基準というものを設定して、新たな赤字の発生を防ぐ仕組みに転換する、こういうふうにしたところでございます。
 この新計画の考え方というものは、従来の競馬事業の運営の考え方を180度転換させているものでありますので、こうした新計画の考え方につきまして県民の理解をいただくということが、今一番重要なことでございます。そして、その上で県民負担を最小のものとして、競馬の再生に向けた道筋をつけるということを管理者としての私の責任と考えておりまして、その実現に全力を尽くしていく考えでございます。
 それから、廃止した場合の影響あるいは効果ということでお尋ねがございました。
 この競馬が昭和39年の設立以来、現在まで約407億円の利益金を構成団体に配分してきた、そして2、500人の競馬関係者の存在、また年間100億円と見込まれる直接的な経済効果といったようなことによる地域経済の発展への貢献、さらには、馬事文化、馬事振興、そして健全な娯楽の提供と、大きな面で重要な役割を果たしてきたわけでありまして、仮にこの事業を廃止した場合には、こうした伝統ある事業を閉じるということによりまして、岩手の馬事文化の衰退等への影響ということもあると思いますし、372億円の廃止に伴う直接的な費用負担ということもございます。また、先ほど申し上げました雇用や100億円規模の経済波及効果、まちのにぎわいが失われるといったさまざまな面での間接的な影響も懸念されます。
 このようなことを考えますと、やはり赤字が拡大しない、増大しないということを条件に、この競馬事業を継続することが、県民負担を最小にして最善の方策、このように考えているものでございます。
 次に、教育問題についてでありますが、40の政策の中では、地域に開かれた学校づくりや指導体制の充実などを初め、平泉の文化遺産の世界遺産登録など、文化の振興面にもその中で取り組んでおります。
 これまで、すべての県立学校への学校評議員の設置、自己評価の実施、それから高校再編や中高一貫教育の推進、民間人校長の登用、すこやかサポート非常勤講師の配置による少人数教育の充実、こういったことに取り組んでまいりました。また、平泉の文化遺産の世界遺産登録についても、昨年末に政府からユネスコの世界遺産センターに推薦書が提出されますなど、その40の政策に掲げております目標に対しての到達度は高いと認識をしております。
 しかし、児童生徒の学力向上について、指導体制の充実に努めてきたものの、4県の統一学力テストや学習定着度調査を開始してその結果を分析してみますと、子供たちの基礎学力が学年の進行とともに低下する傾向があるということがわかってまいりました。また、学校不適応への対応についても、不登校生徒数は減少しておりますが、依然として小・中学校合わせて1、000名を超える状況があるといったようなことで、こういった問題についてややおくれている状況にはございます。
 今後も、これらの課題に重点的に取り組んでいく必要があると認識しております。
 それから、医療問題でありますが、これは、もう県民の生活に直結する重要課題でありまして、何としても質の高い医療を提供する必要があると考えまして、県立病院の診療機能の充実や療養環境を向上させる、それから大船渡と久慈の県立病院に救命救急センターを整備して、岩手県高度救命救急センター―これは医大でございますが―と合わせた救急医療体制を確保したり、総合周産期母子医療センターを中心とした周産期医療体制を構築したり、あるいは医療情報ネットワークを構築するなどによりまして、基幹となる広域的な医療提供体制の整備を行ってまいりました。
 岩手医大附属循環器医療センターの整備などによる高度専門医療体制の充実にもまた努めてきたところでありますが、こうした中で、県立病院の事業運営につきましては、医療制度改革や診療報酬改定の影響などで経営環境が大きく変化してきておりまして、患者数や収益の減少が顕著になって、経営も急速に悪化してきております。
 平成15年度に県立病院改革実施計画というものを策定して、その上で、平成16年度から病棟休止や診療所化による病床規模の適正化、それから県立病院群の一体的・効率的な運営などの取り組みを進めておりまして、今後も、現在進めている改革のスピードアップを図って、さらに新たな改革・改善にも取り組んでいく必要があると考えます。
 それから、3点目の医師確保でありますけれども、これは、昭和の時代から随分医師確保につきまして本県で取り組んできたところでありますが、近年、医療がさらに高度化・専門分化化する、それから、医療事故や医療訴訟への対応といったようなことに加えまして、平成16年度からの新医師臨床研修制度などの影響もあって、過疎地域のみならず、全国的な医師不足、特に勤務医不足が加速してきたと認識しています。
 そのため、県では、平成17年3月に医師確保対策アクションプランを策定して、医師の勤務環境を向上させるなどの取り組みや、昨年配置した医師確保対策室の面々による即戦力医師の確保といった努力を行っております。また、国に対しても、医学部の定員増や各種財政措置など抜本的な対策を強く要望してまいりまして、昨年8月に国が示した新医師確保総合対策では、岩手医大の医師養成数の増員への道などが開かれたところでございます。
 今後も、こうした国に対しての強力な要望ということを行って、さらに、県としても引き続き総合的な医師確保対策に取り組んでいく考えであります。
 情報通信基盤の関係でありますけれども、平成10年に県のイーハトーブ情報の森構想、そしてその後、岩手県高度情報化戦略、高度情報化アクションプランというものを策定して、広大な県土を有している本県の地理的ハンディを克服するために、その時々の目標を定めて、その情報通信技術の有効活用と基盤の整備促進に取り組んでまいりました。
 また、平成12年から運用を開始したいわて情報ハイウェイを活用して、遠隔医療などの医療情報ネットワーク、それから防災情報システムなどを構築するとともに、県の行政機関をネットワーク化して、行政自身が情報通信のヘビーユーザー、最大の顧客となることによって、民間の設備投資を促進してきたところであります。
 しかし、条件不利地域を抱えている本県の場合には、どうしても採算面から民間事業者が投資をしにくいのが現状でありまして、その結果、整備のおくれが見られているわけであります。
 今後、ユビキタス社会というふうに言われておりまして、いつでも、だれでもこうした情報通信技術の恩恵を受けられる社会の構築が望まれるわけでありますので、県では、平成22年度までの次期の高度情報化アクションプランを策定して、電子カルテシステム、自動車保有関係手続のワンストップサービスなど、さまざまな利活用を促進しながら、市町村や民間事業者と連携して、こうした情報通信技術を使いたい県民が使える環境の実現を目指して、積極的に取り組んでいく考えであります。
 次に、環境分野でありますけれども、これは特に重点的に取り組んでまいりました。緊急課題とした青森県境の産廃不法投棄事案への取り組みと循環型社会の形成については、産廃特別措置法の創設を実現して、行政代執行による撤去や排出事業者の自主撤去など、現場の早期原状回復と原因者の責任追及に取り組みますとともに、この事案を教訓として、循環型地域社会3条例を整備して、産廃の発生抑制や再利用の促進に取り組むなど、行政主導で速やかに対策を講じてまいりまして、目標をおおむね達成することができたと考えております。
 一方、もう一つの重点施策の環境首都を目指す環境先進県につきましては、ただいま申し上げました緊急課題に加えて、県民、事業者、行政が一体となった持続的な取り組みも盛り込んでおりまして、いわて森林づくり県民税ですとか、第2クリーンセンターの整備などは順調に推移したのですが、電力自給率、それからペレットストーブ普及、一般廃棄物のリサイクル率の達成度が伸び悩みました。
 これらの分野といいますのは、民間の積極的な取り組みや県民の生活様式の転換を進めることが前提となるわけでありますが、やはり意識改革も含めて、それらを十分に引き出すまでに至らなかった、このように分析しておりますし、また反省もしているわけであります。
 こうした環境問題への対応は、官民挙げて連携して取り組んでいくことが重要でありますので、今後、意識啓発を一層進めるとともに、新エネルギーの普及促進にも積極的に取り組んでいく必要があると考えているわけであります。
 最後に、格差についてでありますが、県民生活の最も基本となる教育や医療などの分野については、県民一人一人が、居住している地域にかかわらず、必要とする一定のサービスを享受できなければならない、このように考えております。
 また、所得につきましては、市場経済のもとである程度の格差は生じるものであると思いますが、重要なことは、その格差が固定化されることのない柔軟な社会が構築されること、このように認識しております。
 今、格差が社会的な課題として議論されているわけでありますけれども、その原因を分析し、県民が、豊かで安心して暮らせる社会の実現に向けて最大限の努力をするということが、知事の役割と考えております。
 私は、次期県政の最大の課題は、実は人口減少問題であろうと考えておりまして、人口減少によって生ずることが懸念されるこの地域経済の縮小の問題ですとか、それから社会保障面での負担増加、さらには中山間地域の振興などの諸課題がございます。こうした問題を抱えつつ、人口減少下でいかに地域を維持し、発展させていくのか、岩手を発展させていくのか、これが今後の最大の課題だと思うのですが、格差に対しての答えというものも、今申し上げましたこの人口減少下で、したたかに生き抜く術を見つけ出すという中にこのヒントが含まれているのではないか、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 世界遺産登録を契機とした観光や地場産業の振興についてでありますが、平泉の世界遺産登録は、本県へこれまで以上により多くの観光客の入り込みを図り得るチャンスということのみならず、国際化への対応も含め、本県観光と観光産業の質的な向上を図る絶好の契機とすべきものと考えているところであります。
 策定した平泉文化遺産観光活用推進アクションプランは、ホスピタリティーの向上に向けたハード、ソフトの両面にわたる観光客の受け入れ態勢の整備、新たな広域観光ルートの設定やガイダンス機能の整備などによる魅力ある観光地づくり、奥州藤原氏の時代、平泉は東北文化の中心に位置していたという視点での新たな平泉のイメージ形成、インターネットなど新たなメディアの効果的な活用等による情報発信・誘客活動の展開の四つの柱で構成されており、平泉周辺地域はもちろんのこと、県内全域、東北地域への波及効果も視野に入れた総数60の事業を掲げているところでありますが、県、市町村、民間事業者の役割分担、十分な連携をとりながら、これらの事業の着実な推進を図ることとしております。
 また、地場産業の振興についてでありますが、奥州藤原氏の時代に端を発するとも言われる南部鉄器、浄法寺塗、秀衡塗、岩谷堂笥は、いずれも漆を原料として用いている本県の伝統的工芸品でありますが、近年、売り上げの減少や後継者難などの課題を抱えている中で、平泉の世界遺産登録は、こうした本県の伝統的工芸品を国内外に広く発信する絶好のチャンスでもありますことから、最も効果的と思われる時期において、漆文化に関するイベント等の開催を検討するなど、他の地場産業振興策ともあわせまして、これらの地場産業の活性化に向けた取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 女性医師の働きやすい環境づくりについてでございますが、県では、県医師会の女性医部会を中心とした検討会からの御提言を受けまして、女性医師の働きやすい環境づくりのため、本年度から、新たに岩手県女性医師就業支援事業を開始したところでございます。
 この事業は、県医師会に相談窓口を設置いたしまして、急な呼び出しでありますとか研修会出席などの際に保育に当たる方を確保する育児支援と、育児等により離職した女性医師が安心して職場へ復帰できるよう新技術の取得等の研修を岩手医科大学で実施いたします職場復帰支援から成っているところでございます。
 この事業につきましては、先ほど御指摘もありましたように、他県からの問い合わせもいただいておりまして、県内外から関心をいただいております。現在、数名の女性医師の方々を対象に、県医師会において、支援内容について具体的な調整を行っているところでございます。
 今後、御利用される方からの御意見もいただきながら、さらに女性医師の働きやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護師確保と育児支援についてでございますが、国では、病院及び診療所に従事する看護師の離職防止でありますとか、再就職の推進を図るために、院内保育施設の運営経費に対して補助を実施しており、本県では、昭和49年から導入しておりまして、看護師等の育児支援を行っているところでございます。
 県内のいわゆる院内保育施設は、この補助制度を利用しております17施設のほか、国立病院機構も含めますと27施設が院内保育所を運営しているところでございます。
 なお、近年、子供さんの就学も視野に、地域の保育所を利用する傾向にありますためか、院内保育所の利用者は減少傾向にあるといった状況でございます。
 今後、看護師等医療従事者の職場定着と再就職の推進を図るという観点から、引き続き、院内保育所運営事業の補助を実施してまいりますとともに、一般保育所の利用が増加しているといったことにも着目いたしまして、延長保育でありますとか、休日保育等の保育サービスを充実するよう市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、病児保育への支援についてでございますが、県内では、現在4市村の五つの医療機関併設型の施設で実施されておりますが、利用者の性質上、利用児童数の見込みがなかなか立てにくいということもございまして、市町村における取り組みが拡大しない状況にございます。
 こうした状況も踏まえまして、国におきましては、平成19年度から、保育所が主体となってみずからの保育園内、あるいは子供さんの自宅などで病児・病後児を保育する新たな補助制度を創設する予定と伺っております。
 県では、病児・病後児保育の取り組みは、子育て支援の観点からも重要と考えておりまして、いわて子どもプランにおいて、平成21年度までに、これは病児・病後児保育合わせてでございますが、22カ所の目標を掲げ推進を図っているものでございます。先ほど申し上げましたような国の動向も踏まえながら、事業を実施する市町村の実情に応じた取り組みを支援することとしてまいりたいと考えております。
 次に、後期高齢者医療広域連合の取り組みと今後の対応予定でございますが、まず、これまでの取り組みでございますが、昨年9月1日に岩手県後期高齢者医療広域連合設立準備委員会を設置し、規約案の策定など、広域連合設立に向けた諸準備を進めてまいりました。その結果、本年2月1日に、県内すべての市町村が加入する岩手県後期高齢者医療広域連合が正式に発足したところでございます。平成20年度の後期高齢者医療制度の施行に向け、スタートが切られたということでございます。
 今後の対応でございますが、この広域連合としては、今後、本年4月をめどに、広域連合議会議員選挙でありますとか、議会の設置など組織体制の確立を図るということ、さらには、保険財政運営の基幹となります保険料率の設定など、具体的な仕組みづくりを進める予定となっておりまして、県としても、来年の4月1日からの後期高齢者医療制度の円滑な施行に向け、これまで同様の協力・支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 携帯電話の不感地域解消についてでありますが、携帯電話の通信網整備につきましては、第一義的には民間通信事業者がみずから取り組むべきものでありますが、採算上の問題から事業者単独による整備が進まない過疎地域等について、市町村からの要望を踏まえ、通信事業者との調整が図られた箇所について、国庫補助制度の活用や、県単独補助事業である携帯電話エリア拡大推進事業を活用して、不感地域の解消に努めてきたところであります。具体的には、平成3年度から18年度までに34カ所の不感地域の解消が図られたところであります。
 また、昨年10月に始まった番号ポータビリティー制度を背景といたしまして、通信事業者各社がエリア整備に積極的に取り組んでいるところでございますので、県といたしましても、市町村要望箇所に関する情報を提供しつつ、事業者に対し整備の促進を要望してきております。
 しかしながら、市町村からの不感地域の解消要望は現在も強く、昨年8月に市町村を対象に、19年度から22年度までの4年間における事業実施希望を調査しましたところ、10市町で26カ所の実施希望があったところであります。今後は、通信事業者と調整を図りながら、国庫補助制度等を活用しながら重点的に整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地上デジタル放送への移行に向けた県の取り組み状況についてでありますが、本県の課題は大きく二つあると考えておりまして、まず第一に、山間部の共同受信施設、714施設あるわけでございますけれども、このうちの六百数十カ所のデジタル化改修と、それからもう一つは、テレビ中継局が建設されない地域の補完手段の確保であります。
 まず第一に、山間部の共同受信施設デジタル化改修についてでありますが、19年度政府予算によりますと、山間部の共同受信施設において地上デジタル放送を受信するための改修を行う場合に、所要経費の一部を支援する交付金制度、3分の1でございますけれども、これが盛り込まれたところであります。
 しかしながら、県が強く求めてきた市町村等に対する国の人的支援制度の創設は見送られ、実質的に市町村や共同受信組合の費用負担や対応業務が増大することが予想されますので、県としては、引き続き関係県等と連携の上、あらゆる機会をとらえ、国及び放送事業者等に対し、適切な情報提供や技術指導など必要な対応を強く求めていく考えであります。
 なお、市町村に対する取り組み支援の一つとして、来る3月8日、総務省東北総合通信局、岩手県地上デジタル放送推進協議会、それに県が連携いたしまして、辺地共同施設のデジタル化改修等に係る説明会を開催する予定であります。
 次に、テレビ中継局が建設されない地域の補完手段の確保についてでありますが、県内放送事業者にありましては、経営体力の限界を理由に、複数のアナログ小規模中継局エリアにおいて、中継局を建設せず共同受信施設等で補完したい考えと聞いておりますけれども、設置経費の負担や設置時期等については明らかになっておらず、こうしたエリアでは既存の情報基盤がないことが多く、共同受信施設の設置がおくれた場合、新たな難視聴地域となることが危惧されるところであります。
 県としては、これまで、テレビ放送を視聴してきた県民の方々が、アナログ放送の停波によってテレビを見ることができなくなるという事態にならないよう、国に対し放送事業者への指導を強く求めるとともに、県内放送事業者に対しても適切な対応を求めてまいる考えであります。
 また、市町村に対しましては、昨年設置いたしました市町村情報化サポートセンターによる支援を強化し、国の支援策を活用した共同受信施設のデジタル化改修を促進してまいる考えであります。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 平泉の世界遺産登録に係る観光施策の全県波及についてでありますが、先般、県内の旅行業、運輸業、商工団体などで構成する平泉の文化遺産を活用した観光振興検討会議を立ち上げまして、その中で、平泉の文化遺産と県内各地の歴史・文化資源、イベント等を関連づけた広域的な旅行商品の造成や、地域間をつなぐ二次交通、さらには、県全体としての受け入れ態勢や効果的な情報発信、これらにつきまして具体的な検討を行うこととしたところでございます。
 また、県北・沿岸地域におきましては、新たに観光アドバイザーの派遣により、宿泊業の経営力強化、観光産業の人材育成など、地域での受け入れ態勢の強化に向けて取り組むこととしております。
 今後、平泉と県内各地を組み合わせましたモデルコースの設定など旅行商品の造成を進める中にあって、特に本年は、7月から9月にかけてJR6社と共同で実施する北東北大型観光キャンペーン等を効果的に活用しながら、平泉の世界遺産登録の効果を全県に波及させるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、いわて4王国についてであります。黄金王国を初めとするいわて4王国の取り組みに対しましては、平成9年度以降、県としてさまざまな支援を行い、それまで観光資源とされなかった雑穀など地域固有の食文化や体験素材を、地域からの提案により旅行商品としたことで誘客の増大が図られたほか、冬期間の観光客誘致による観光の通年化に貢献するなど、各エリアの地域特性を生かした広域的な観光の推進に成果を上げてきたところであります。
 しかしながら、王国発足以来約10年が経過したわけでございますが、会員数の減少や効果的な事業展開に向けた課題も見られるところであり、王国自体の広域観光の推進に向けた事業の見直しや、広域的な連携の枠組みなどについて検討をする必要があると考えております。
 一方、平泉の世界文化遺産登録という本県の観光振興にとって絶好の機会を迎え、平泉効果を全県に波及させるためには、いわて4王国を初めとする広域観光組織の果たす役割は非常に大きいものがあり、県といたしましても、王国のこの機能強化に向けた取り組み、あるいは広域的な旅行商品の造成に向けた活動、これらにつきまして引き続き必要な支援を行い、全県波及に向けた取り組みを強めていきたいと、このように考えております。
 次に、県の新しい組織の連携についてでありますが、空港課との連携につきましては、特にも国際チャーター便の誘致活動に向けて、航空会社やエージェントに対するセールス活動の面で一層連携を強化してまいる考えであります。
 また、県南広域振興局の世界遺産推進課と商工労働観光部の特命課長につきましては、今年度策定した平泉文化遺産観光活用推進アクションプランの推進をしていくに当たって、県南広域振興局は、主に平泉や県南広域振興圏のエリアにおける種々の取り組みを進め、商工労働観光部は、平泉を訪れた観光客に県内各地を周遊してもらうなど平泉効果を全県に波及させるということを担うものであり、十分に連携を図りながら、アクションプランの実効性を高めていく考えであります。
 平泉効果の全県波及に向けましては、県の組織間の連携はもとより、民間サイドとの連携が不可欠であります。先ほど申し上げました観光振興検討会議を初めといたしまして、県内のさまざまな主体と連携を強めながら、観光、関連産業の振興にしっかりと取り組んでまいる考えであります。
 次に、中心市街地活性化についてであります。
 大規模集客施設の立地誘導につきましては、現在、有識者による岩手県中心市街地活性化懇談会で議論をいただいているところであり、3月末に最終的な提言がなされる予定となっております。これまでの懇談会の中では、大規模集客施設の適切な立地誘導については、基本的に改正都市計画法で対応した上で、県があらかじめ立地が望ましい地域を明らかにし、一定規模以上の施設に関する立地届出制度を整備すること。また、施設立地に関し、土地利用計画の変更などがある場合、立地市町村と周辺市町村が事前調整を図る県主催の広域まちづくり会議を設置するほか、立地する施設に対し、地域貢献活動の計画提示を求める制度の整備など、具体的な意見をいただいているところでございます。
 これまでの懇談会の経緯を踏まえますと、本県における大規模集客施設の適切な立地誘導に関し、何らかの制度的な対応が必要と考えており、今後、最終的な懇談会提言を踏まえながら、具体的な制度のあり方、内容について検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、市町村の中心市街地活性化基本計画認定の支援についてでありますが、新たな中心市街地活性化法により基本計画の認定を得ようとする市町村は、現在、県内で6団体と把握しており、そのうち、中心市街地活性化協議会を設立するなど具体的な取り組み段階にあるのは盛岡市、久慈市の2市であります。国の計画認定に当たりましては、具体的数値目標を設定した上で総合的なまちづくり計画を策定する必要があるなど高いハードルが設けられておりますが、このような中で、多様な主体が参画する協議会を立ち上げながら取り組みを行うことは、地域の熱意、主体性のあらわれであり、また、県内地域のモデル地区としての先導的役割を期待しているところであります。
 県といたしましては、これらの取り組みに対しまして、協議会設立までの間、制度説明会の開催、関係者間の情報交換などコーディネート部分を担ってまいりましたが、今後におきましても、基本計画策定に関する基本調査や住民コンセンサス形成のためのシンポジウム開催など、認定に向けた具体的な取り組みについて積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 六ヶ所村原燃再処理施設についてでございますが、県民の不安を解消するためには、原子力政策に一元的な責任を担っております国と、事業者である日本原燃が十分な説明責任を果たすべきであるとの基本的な考えのもとに、これまでさまざまな機会をとらえて働きかけを行ってまいりました。これを受け、アクティブ試験開始後、これまで日本原燃では、3回にわたり、本県の沿岸地域を対象として新聞折り込みチラシを配布し、国においても、2回にわたり、県内市町村、漁業関係団体へパンフレットを配布するなどの対応がなされたところではありますが、なお一層、県民の理解につながるよう、わかりやすくきめ細かな情報提供を求めていきたいと考えております。
 また、放射性物質の除去装置につきましては、再処理工場の施設設備は、国が科学的、専門的な知見と責任のもとに安全性について審査し、認可したものと承知しております。したがいまして、県として放射性物質の除去装置に関して意見を述べる立場にはないものと考えておりますが、県議会の場においてこうした議論がなされたことにつきましては、国と日本原燃に対して伝えていく考えでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、岩手独自の教育方針の策定と学力向上についてですが、各学校においては、学習指導要領に基づいて教育活動を行っているところですが、県においては、本県の実態に合った教育活動が展開できるように県独自の学校教育指導指針を作成し、各学校が創意工夫に満ちた特色ある教育活動を行うよう指導しているところです。
 また、児童生徒の学力の現状を踏まえ、基礎学力の確実な定着と、目指す進路を実現できる学力の習得を最重点として、昨年度、平成18年度から20年度までの当面3カ年の学力向上プランを策定したところです。このプランでは、確かな学力を身につけた児童生徒の育成を目指して、児童生徒、家庭、地域、学校、行政が互いに連携協力しながら、学力向上に取り組んでいくこととしています。
 例えば、学校においては、学力面での達成目標の設定、指導のねらいが明確で、一人一人の習熟の程度に応じた授業の実施など、家庭においては、学習習慣や基本的生活習慣の確立など、地域においては、学校教育への積極的な参画など、本県独自の取り組みを進めているところです。
 次に、学力の地域格差対策についてですが、本県においては、学力向上を最重点課題としてとらえ、昨年度、ただいま申し上げましたように、学力向上プランを策定し、4県統一学力テストや学習定着度状況調査によって明らかになった課題を踏まえ、学力向上プロジェクトを中心にさまざまな施策に取り組んでいるところです。特に、基礎・基本の定着が必ずしも満足できる状況にないことから、個々の子供たちの理解や習熟の程度に応じた指導を徹底するため、少人数指導、少人数学級、すこやかサポート非常勤講師の配置による少人数教育の充実に取り組んでまいります。
 また、学習内容の習熟を図るため、地域のボランティアの方々の支援をいただきながら、放課後を活用した学習の機会の提供に努めてまいります。
 さらに、課題の多い英語と数学については、指導主事が直接学校を訪問し、教員の授業力向上の支援に努めていますが、平成19年度は、英語と数学それぞれ2チーム編成にして、その指導体制を充実して取り組んでまいります。そして、大学進学を目指す高校生が進路目標を達成できるように、県北沿岸地域人材育成事業、県政課題貢献人材育成事業、進学目標達成推進事業などの大学進学支援事業を推進して、その支援をしてまいります。
〇17番(平野ユキ子君) 再質問をさせていただきます。幾つか考えていたんですが、余りにも答弁が長いので、一つだけお伺いします。
 競馬問題に関することなんですけれども、先ほど、数字にあらわされている以外の影響とか波及はあるかというふうにお聞きしました。先ほどの知事答弁の中でお話しされていたことは、それこそ新しい岩手県競馬組合改革計画、11月に出たものですが、そこにも書いてあるようなことでございました。なぜ聞いたかといいますと、やめるとやめないのとの場合では、進むも地獄、退くも地獄と。これは及川幸子議員がおっしゃった言葉だと思いますが、本当にまさしく競馬問題をあらわすのに、そのとおりの言葉なんですけれども、そのどちらの地獄でも選ばなきゃいけない場合は、どっちの地獄がいいのかという、そういう比較の問題になるんじゃないかと思っております。
 やめる場合は、債務とか費用とかを合わせて372億円ということですが、そのほかに、この改革計画で見ますと、約100億円の直接的な経済効果の喪失とか、知事が、数字にはあらわれない地域経済の影響とか、まちのにぎわいの喪失といったようなことをおっしゃっておりましたが、それが372億円、と数字にあらわれていれば、それを考えるとしても、それに比べると、継続の場合は330億円の融資ということですから、金額だけ比べれば、継続の場合の方が負担が軽いと。372億円という損失をこうむる場合は、先週の代表質問で出ましたけれども、これに対して、構成団体の奥州市、盛岡市、これは負担が大変ですから、融資はできるのかという質問があったと思いますが、その場合、県で貸し付けることは難しい、つまりできないというお答えでしたから、やめた場合は、372億円を構成団体比率で割ると、県が204億6、000万円、奥州市が93億円、盛岡市が74億4、000万円という負担が即かかってくるということになるわけですよね。継続の場合は330億円の融資ということですから、確かにこちらも大変に金額が大きいのですが、これは、やめる場合と違って、捨てるわけではなく、融資ですから、返ってくる可能性もある。しかも負担が少なく、奥州市とか盛岡市のような財政力の弱い市にとっては、当面、すぐ払うべき金額は、奥州市が15億円で盛岡市が17億5、000万円にとどまるわけですから、非常に負担が軽いと言えるわけです。簡単に申しました。
 数字を比較すると、じゃ、継続の方がいいんじゃないかということで、知事は継続をお選びになっているわけですが、県民の理解はそこまで―県民の理解というよりは、つまり不信とか不満、これは競馬組合のこれまでの体質だと思うんですけれども、本当に330億円で済むのかとか。競馬組合改革計画によって競馬事業存廃の基準がありますから、330億円で済むのだろうと思うんですが、本当にそうなのかという不信とか不満とかがいっぱいもう県民の間にはたまっている。例えば、昨年のパルソビルの信託解約のときに、7億1、900万円ですか、あれはだれも思ってもいなかったわけで、そういったような事実がどんどん出てきていたのが今度の競馬問題なんです。ですから、県民はもう不信感を持っているということですから、問題は知事が、管理者たる知事にお伺いしますけれども、こういった問題について、継続に対して県民理解をどのように、どのような方法で県民の不安に対して理解を持ってもらうか。そういう方法を、どんな方法を考えていらっしゃるでしょうか。県民理解を求めることが一番大事ではないかと思っております。その点をお伺いしたいと思います。
 ちょっと、まだいいですか、もう一点。
 教育長にお伺いします。
 ことしのセンター試験集計結果、岩手県の高校生の受験生ですけれども、センター試験の結果、岩手県はどの位置に学力があるか、ご存じでしょうか。
〇知事(増田寛也君) お答えをいたします。
 ただいま議員の方から、今回、県の方で融資案ということで考え方をお示ししているわけでありますが、これまでの組合のつくりました計画に対して、あるいはその実行に対して、県民の皆様方から大変大きな不信感があるということで、今回の計画も果たしてそれでいくのかどうかという点について大変御懸念が示されたものと、こういうふうに受けとめております。
 内容については、確かに、廃止というのもとる道としては出てくるわけでありますが、県民負担を最小化するという観点から言いますと、赤字なき事業継続―事業の毎年毎年の赤字がこれまで出ておりましたけれども、それを、関係者間で合意して、赤字を出さない体質改善を行うというルールを設定いたしましたので、そのルールを19年度から貫徹することによって、赤字のない状態で継続するということが県民負担を最小にするという考え方に私どもは立って、その内容について、今、それぞれ県内の各所で説明会を開いたり、それから、その考え方について組合のホームページなどに掲載したり、あるいは個別に御関係の皆様方にいろいろお話をしたりということで、理解を得るよう努めているところでございます。これは、今後あらゆる段階で、仮に4月以降、事業を継続するといった場合にも、どういうルールのもとでこの競馬事業を私どもが続けていくのかということを、常にその原点のところを求められることではないかというふうに思っておりますので、まだ、その点について、確かに県民の理解が十分でないところがございます。そうした点について十分な理解を、あるいはその内容、考え方の基本が県民の皆様方に伝わっているとは必ずしも考えておりませんので、これからも、どういう手段をとるかということはいろいろあると思います。チラシをまた作成して配布するということも一つの手段だと思いますし、それにしても、インターネットなどの手段を活用することもあると思いますし、それから、マスコミの方の取材に積極的に答えるといったようなこともあろうかと思いますが、でき得る限りさまざまな手段をとらえて、活用して、私どもの考え方を県民の皆様方にお伝えをしていきたい、このように考えております。
〇教育長(照井崇君) 入試センターの方からは、各県別の試験の結果の状況については公表されておりませんが、受験者の自己採点結果を民間の大手予備校が集計した状況によりますと、残念ながら、本県の受験者の採点結果は全国最下位レベルにあるという状況にございます。
〇17番(平野ユキ子君) 今、教育長の御発言どおり、実はことしのセンター試験の集計結果、もちろん民間の集計結果ですから、それが絶対とは申しませんが、これは、いつもセンター試験の結果を集める結果でございますので、ほぼ信用できるのではないかと思いますが、私は4年前に、その結果が最下位を争っているというような状況だから学力向上を目指してほしいと訴えたのですが、4年前は最下位を争っている状況、つまり最下位には届いていなかったという感じなんですが、ことしは何と全国最下位で、しかも断トツです。教育長がお話しになった英語と数学は5ポイントも、下から2番目を離して下なんですね。国語などは30何番台というのもありますけれども、非常に下がってしまっている。これは、基礎定着度テストからすると、子供の能力が衰えていることではないんですね。低学年ではすぐれているものが、だんだん学年が上がると定着度が衰えてくるというようなお話がありました。ですから、私が訴えているのは、基礎の定着に拘泥するよりは、この間、教育委員会委員長の演述の中にも、基礎の学力をしっかり定着させてということがございましたけれども、いつまでも基礎に拘泥しているよりは、基礎とともにやはりレベルの高い、学力の高いものを与えていくことが必要ではないかと思うんですね。これは、文科省の学習指導要領に従っていると、できないことなんです。先ほど申し上げましたけれども、昭和52年からゆとりの教育が始まって、レベルが下がってきたというお話をしましたけれども、段階的に10年に1回ぐらいずつ下げていますが、実は、昭和52年の前から内容を軽くする動きがあって始まっているんですね。ですから、昭和52年といいますと、今から30年ぐらい前です。30年ぐらい前の教育が、今現在、社会現象としてあらわれていると言っても過言ではないと思いますので、それからさらに学力が下がっていますから、これからの子供たちはどんどんさらに学力が下がるのではないかと私は危惧しております。ですから今から、遅きに失していると思わずに、岩手の独自の学習指導要領を策定するなり、岩手独自の学習指導、そして教育の向上を目指していただければと思いますので、お願いいたします。この点に関しまして、御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、先ほどお伺いしました知事の競馬問題に関する御発言でございますが、やはり私は、県民理解ということが今一番必要とされているのではないかと思います。知事は管理者なのですから、その県民理解を取りつけて、競馬継続という方を支持しておられるのではないかと思いますので、それが数値上に見ましても、県民にとって、本当にどちらが負担が軽くて、そしてどちらが先があるのかということを、県民に対して理解がいくように示していただきたいと思います。御所見をお伺いします。
〇知事(増田寛也君) ただいま議員の方から、さらに県民理解を得るように努力をしろ、こういう御趣旨というふうに思います。おっしゃるとおりの話でございまして、この問題について、大変巨額の融資案件ということでございますので、さまざまな県民の皆さんからも御意見をいただいておりますし、その他の行政運営に支障がないのかどうかについても、大変御懸念の声が寄せられているわけでございますが、この今提案している方法が、その他の部分についての行政運営にも、実は一番支障がないと私ども考えております。県民の最小負担ということで練り上げたものでございますので、十分まだ理解が行き届いていないということについて、真摯に反省しつつ、今後も県民理解を得るべく最大限努力をしていきたい。また、どういう方策をとれば県民理解がさらに広がるのか、十分考えた上で実行に移していきたいと考えております。
〇教育長(照井崇君) 学力向上対策は、まさに本県の教育の最重要課題でございますので、先ほど御紹介した学力向上3カ年プランにおいても、学力の正確な把握に基づいて、学習時間の確保とか、授業の内容の改善であるとか、特に、今御紹介のありました英語と数学のアップに向けての取り組みとか、それから生徒の希望に応じた進路が確実に実現できるよう、あらゆる手だて、手段を講じて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 特に、中学校についてこのたび、いわばぜひこの中学校の、特に3教科なんですが―国語、数学、英語、最低これだけは身につけてほしい、さらにこれだけ身につけることが望ましいというような中核となる力といいましょうか、そういったものを明確に示して、それをいろいろ学習で確認できるGアップシートというようなものを開発しまして、こういったものなどにも取り組みながら、いずれ本県の学力の向上に、ただいまの学校、教育委員会、家庭、地域、すべて挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(伊藤勢至君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時38分 休憩
出席議員(44名)
2番 高 橋 博 之 君
3番 五日市   王 君
4番 小田島 峰 雄 君
5番 三 浦 陽 子 君
6番 中 平   均 君
7番 ザ・グレート・サスケ 君
8番 木戸口 英 司 君
9番 高 橋 比奈子 君
10番 高 橋 雪 文 君
11番 嵯 峨 壱 朗 君
13番 阿 部 敏 雄 君
14番 亀卦川 富 夫 君
15番 関 根 敏 伸 君
16番 野 田 武 則 君
17番 平 野 ユキ子 君
18番 大 宮 惇 幸 君
19番 千 葉 康一郎 君
20番 新居田 弘 文 君
21番 平   澄 芳 君
22番 工 藤 勝 子 君
23番 平 沼   健 君
25番 阿 部 富 雄 君
26番 斉 藤   信 君
27番 飯 澤   匡 君
28番 田 村   誠 君
29番 工 藤 大 輔 君
30番 佐々木 順 一 君
31番 佐々木   博 君
32番 及 川 幸 子 君
33番 樋 下 正 信 君
34番 柳 村 岩 見 君
35番 小野寺 研 一 君
36番 小野寺   好 君
39番 伊 沢 昌 弘 君
40番 小 原 宣 良 君
41番 佐々木 一 榮 君
43番 渡 辺 幸 貫 君
44番 高 橋 賢 輔 君
45番 千 葉   伝 君
46番 佐々木 大 和 君
47番 藤 原 泰次郎 君
48番 菊 池   勲 君
49番 藤 原 良 信 君
51番 佐々木 俊 夫 君
欠席議員(2名)
42番 伊 藤 勢 至 君
50番 佐 藤 正 春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時55分 再開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小野寺研一君。
   〔35番小野寺研一君登壇〕(拍手)

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