平成12年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第11号、第12号に反対の討論を行います。
 認定第1号は、1999年度岩手県一般会計歳入歳出決算であります。普通会計ベースで見ると歳入決算額は9、434億円余、うち県債発行額は1、474億円余で、構成比15.6%、県債残高は1兆1、882億円余となりました。歳出決算額は9、187億円余で、普通建設事業費が3、343億円余、構成比36.4%、うち県単独事業は1、356億円余で14.8%を占めています。反対する第1の理由は、自民党政治に追随し従来型の公共事業大盤振る舞い、大型開発優先の県政を推進し、財政危機を一層深刻にしてきたことであります。この間、大船渡地方振興局の談合事件、県発注工事のほとんどが予定価格の98%以上で落札される談合的体質の実態が明らかになりました。これは、公共事業を食い物にするものであり、断固とした対応と解決が求められているものであります。増田知事は一昨年の部課長研修において、国の事業のやり方を見るとあれは参考に値しない、国を参考にすると岩手県を悪くすると述べ、公共事業のばらまきを全部見直しをかける意気込みを表明しました。私は増田知事のこの発言を注目し、その実行を議会でも繰り返し求めてきましたが、その期待は完全に裏切られた感じであります。最近、長野県、栃木県で公共事業の見直しを主張した無党派の知事がオール与党の候補を破って勝利し、従来型の公共事業を見直す新しい動きが広がっています。むだと浪費の公共事業、大型開発を勇気を持って見直し、県民が切実に求める暮らし、福祉、教育優先の県政への転換を図ることを強く求めるものであります。
 反対する第2の理由は、深刻な不況と雇用危機のもとで十分な対策がとられてこなかったことであります。平成11年の事業所企業統計調査によると、この3年間で2、785事業所、全体の3.9%の大幅減少となり、従業員は2万3、406人、調査以来初めて減少しました。平成11年の商業統計調査では、2年間で小売業は461店減少し、年間販売額では大型店が売り上げを371億円増加させた一方で、全体では2、569億円の減少となっています。ここには深刻な不況の実態が示されています。しかしながら、県の中小企業対策は716億円余で、歳出全体の7.7%、金融対策を除けば71億円の0.8%という深刻なものであります。岩手県経済の主役である中小企業対策は、技術支援、流通対策、経営対策の総合的対策を抜本的に強化すべきであります。雇用危機打開についてもサービス残業の根絶を初め、大企業のリストラ、誘致企業の一方的撤退や閉鎖を安易に許すことなく、職場と雇用の確保に全力を挙げるべきであります。無秩序な大型店の出店、進出についても地元商店街と地域経済を守る立場から、あらゆる手だてと対策を市町村と協力して講ずるように求めるものであります。
 反対する第3の理由は、福祉の充実、介護保険の改善に背を向けていることであります。歳出に見る民生費の構成比は6.2%で、東北6県の平均の6.5%を下回っています。秋田県では乳幼児の医療費助成をことしから就学前まで拡大しましたが、岩手県はいまだに4歳未満で、所得制限もあり、償還払いというやり方であります。秋田県、青森県では保育料の第3子無料化を実施し、県として保育料の軽減策をとっていますが、岩手県では何もなく、東北で最も高いレベルの保育料となっているのであります。特に深刻なことは、ことし4月から実施された介護保険の問題であります。10月から高齢者の保険料徴収が始まりましたが、10月の普通徴収の状況は、40保険者で納入者の割合は85.9%、4、285人が未納となっています。10月からの保険料の支払いのために在宅リハビリをやめてしまったという深刻な声も寄せられています。既に県内13市町村が独自に利用料の軽減、免除の対策を実施していますが、重過ぎる保険料・利用料のために必要な介護サービスが受けられない高齢者を一人もつくらないような恒久的、抜本的対策を国がとるべきであり、県も独自に必要な対策をとるべきであります。
 反対する第4の理由は、農林水産行政のゆがみであります。米、野菜、ワカメの暴落で今農民と漁民は文字どおりの存亡の危機に直面しています。10町歩規模の大型農家は新食糧法のもとで、米の暴落と減反によって180万円の減収を強いられています。しかるに、岩手県政はこうした県民の切実な願いにこたえないばかりか、公共事業優先のゆがみを拡大しています。農政部の決算額は1、194億円余でありますが、その62.9%、751億円余が農業土木事業であります。林業では77.6%、水産では69.5%が公共事業であります。今求められていることは、再生産できる農業、漁業の価格補償の確立であり、急増する輸入の規制、セーフガードの発動であります。土木業者が潤う農林水産行政ではなく、農民、漁民の生産を守る行政こそ推進すべきであります。大規模林道川井住田線横沢-荒川区間についてはそのルート見直しとトンネル化の検討会が開かれるとのことであります。これは大規模林道の必要性を改めて検討すべきことを示すものであります。
 反対する第5の理由は、県民の行き届いた教育実現への願いに背を向けていることであります。本来、子供たちは授業をわかりたいと願っています。ところが、受験のための競争教育と詰め込みによってその願いが踏みにじられています。小・中・高で2、146名に及ぶ不登校、830人の高校中退にその深刻さが示されています。ところが、県教委は生徒減少を理由に高校統廃合計画を推進し、高校入試制度についても受験生に新たな競争と負担を押しつける改悪を進めようとしています。受験生に対して英語の質疑応答を含めた面接の実施と点数化、内申書、いわゆる調査書の評価を500点として生徒の特別活動も点数化する入試制度は、受験競争の一層の激化と混乱をもたらすものではないでしょうか。中学校の校長会も強く求めている、選抜ではなく選考方式で、進学を希望するすべての生徒が入学できる、世界では当たり前の改革こそ進めるべきであります。地域住民が反対する高校再編統廃合の計画も強行することなく見直すべきであります。体罰事件、セクハラ事件など身内への甘い体質も改善すべきであります。
 認定第11号と第12号は、港湾整備事業と県民ゴルフ場事業の特別会計決算でありますが、むだと浪費、赤字体質の事業であり、その見直しを求めるものであります。
 以上、申し述べまして私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
  
日程第48 議案第35号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第48、議案第35号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕
〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第35号は、収用委員会の委員であります岩崎康彌氏及び野村弘氏の任期が、12月24日で満了となりますので、野村弘氏を再任し、新たに八木橋伸之氏を任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第35号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第35号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第35号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
  
日程第49 発議案第1号地震防災対策特別措置法の改正についてから日程第56 発議案第8号輸入わかめの増加への対処措置の実施についてまで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第49、発議案第1号から日程第56、発議案第8号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第8号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第8号までは、原案のとおり可決されました。
  
    閉 会
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第8回県議会定例会を閉会いたします。
   午後2時8分 閉 会

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