平成13年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(中屋敷十君) 自由民主クラブの中屋敷十でございます。
 先輩、同僚議員の御高配により、新しい世紀の幕あけ最初の定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、通告に従いまして順次質問をさせていただきますので、知事並びに県当局からの誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
 さて、いよいよ増田知事が熱き思いで策定された岩手県総合計画、新しい岩手21世紀のシナリオが真に現実のものとして肌で感ぜずにはいられない21世紀を迎えたわけでありますが、私は、新しい世紀に大きな期待と希望をはせる気持ちは強いのですが、同時に、大きなうねりの中でえたいの知れない未知の世界へ流されているような不安を抱かずにはおられません。戦後の高度経済成長を支えてきた日本型システムが終焉を迎え、政治においても、これまでの中央集権型システムが制度疲労を来し、行政、財政、社会保障、金融システム、経済構造、教育などの構造改革に迫られ、一生懸命になって21世紀という新しい社会にふさわしい仕組みづくりにもがき苦しみ、また、相次ぐ少年犯罪や児童虐待などの社会問題が発生している現状にあるがゆえであります。
 かかる状況のもと、増田知事は本定例会初日の本会議の冒頭、今後の県政運営の基本方針についての所信を表明されました。21世紀という新たな世紀のスタートに当たり、20世紀を振り返りながら今後の県政運営に当たっての方途をあらゆる角度からとらえ、岩手県総合計画の着実な推進を図るとともに、政策評価等に基づく平成13年度の重点化方針、予算編成方針、主要施策の概要を岩手県総合計画に掲げる将来目指すべき五つの社会ごとに具体的に示し、生活者主権、地域主権の実現に挑戦しながら、夢県土いわての実現に向けて県民とともに歩むことで結んでおり、まさに理詰め論法で行政の立場からは100点満点に近い所信表明であるという感想を持ったところであり、素直に高く評価するものであります。しかしながら、岩手県総合計画が余りにも立派な計画なのかもしれませんが、私は率直に言って行政の最高責任者たる増田知事の演述としてはすばらしいと思うのですが、政治家増田寛也という面で、現下の政治状況や社会問題等にもう少し言及されてもよかったのではとの感想を抱いたところであります。そこで、まず最初にお伺いいたしますが、知事は、政治家増田寛也として現在の経済社会情勢をどうとらえ、今後どのような方向に進むべきであるとお考えか、多発する少年犯罪や幼児虐待など心が痛くなる社会問題も含め御所見をお示し願います。
 次に、道州制についてお伺いいたします。
 平成7年5月に成立した地方分権推進法に基づき設置された地方分権推進委員会のメンバーを初めとし、関係者の並々ならぬ努力により、昨年4月にはいわゆる地方分権一括法が施行され、国から地方への税財源移譲という大きな課題はあるものの、本格的な分権時代に向けてスタートが切られたところであります。知事は、就任以来、生活者主権、地域主権を掲げられ、まさに分権時代の到来を見据えた体制づくりに積極的に取り組まれ、過日の演述におきましても、分権時代に対応した行財政システムの確立という点に具体的に触れられ、その中で、環境問題や観光、教育、試験研究など多くの分野で県の枠を越え、県同士の広域的な連携等により県民サービスの向上が期待できることから、北東北3県を基本に、今後、東北各県との広域連携について具体的な取り組みや検討を進めていく旨を表明されております。恐らくこのお考えが基本となっているものと思われますが、昨年末に、県同士の広域連携に絡めて知事の道州制を視野に入れた各県への働きかけという新聞報道があり、私も大きな関心を持ったところであります。時代が大きな変革の時期を迎えていることは私も十分に理解するものであり、地方分権の推進に伴って市町村間の広域連携により一層の強化、さらには市町村合併への具体的な取り組みへとの流れはあるものの、住民の方々と接しているとなかなか具体的な議論とはなっていないことも事実であり、市町村間でも大きな温度差がある中で、知事のこの積極的な道州制発言は県民も大きな関心を寄せているところと思われますので、その真意のほどをお聞かせ願います。
 また、新聞報道によると、この知事の道州制発言に関連して、去る2月13日の盛岡市議会の市政調査会主催の研修会において、高橋出納長が分権時代における岩手の未来像と題して講演し、知事が道州制などと言ったのは口が滑っただけで、真意は都道府県の中で一緒にやれるような効率性を高められることを工夫しようということが真意であり、さらに、地方公務員として生きてきた人間としての勘からすると、国が市町村合併を強力に推進することで逆に中央集権化をねらっていると分析している旨の発言がなされたようであります。これまた大変興味深く拝読させていただきましたが、知事と出納長という県のトップ同士でありますので、当然分権時代に対応した県のあり方という点についても議論が交わされているとの認識に立って、ぜひ出納長からも道州制及び市町村合併についての具体的な考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、政策評価についてお伺いいたします。
 県では本年度から、試行ではあるものの政策評価システムを導入されました。私は、長引く景気の低迷に加え、厳しい財政事情のもと、これまでに事務事業評価制度や公共事業評価制度を積極的に導入しながら職員のコスト意識を高めるとともに、事業の必要性や効果等を不断に評価しながら、事業の効率化や重点化に取り組まれてきていることに対しその労を多とするものであり、加えて、岩手県総合計画策定過程から政策評価システムの導入を意識され、県民にわかりやすい形で207の主要な指標を掲げ、リスクを負いながらも積極果敢に各般の施策に取り組まれようとしている知事の姿勢を高く評価している一人であります。無論厳しい意見もあり、地元紙岩手日報に掲載された、検証県予算案で、県立大学総合政策学部の山谷清志教授は、政策評価は技術的には未成熟であり、予算編成に導入するレベルには至っていない。第一歩を踏み出した勇気は評価するが、県民が納得できるかは疑問だ。政策評価を機能させるには相当の努力と研さんが必要。人的スタッフと時間、お金が足りず、政策評価を重視する組織再編後に期待云々という論評もありましたが、この論評はあくまでも完全を目指しているものであり、私自身は、全国にも誇れるすばらしい取り組みであり政策評価制度の先鞭役を担っているものと考えているところであります。
 政策評価システムとは、まず住民を顧客と見立てて、顧客が期待している行政の成果を具体的な項目としてリストアップし、そしてそれぞれの項目について現状分析した上で、今後の目指すべき数値目標を設定する。そして、目標の達成度をしかるべき機関でチェックし、その結果を公開し、官民双方が進捗状況を監視していくことであると理解しており、要は、いかにして行政機関以外の人々が主体となって評価できる体制を構築するかということと、評価指標も住民にとっての意味を考えて設定し、住民にとっての便益の度合いで評価していくかという点が最大の課題であると考えております。そこで、お伺いしますが、岩手県総合計画に掲げる207の指標は住民側からの行政への期待という面を拾い上げ、現状分析を加えて設定された指標、言いかえれば成果主義に基づくアウトカム指標であると当局では自信を持って言い切ることができるものなのか、御見解をお聞かせ願います。
 また、新年度の組織機構の再編により、総合政策室に政策評価課を設置して、より具体的に政策評価システムの構築に向けて取り組まれるものと思いますが、最も大切な外部からの評価体制という点につきましてはどのような見解をお持ちなのかお示し願います。
 いずれ、ややもすると手続に重点が置かれていたこれまでの行政から、いかに住民という顧客の満足度を上げていくかという成果主義への大転換の時期を迎えているわけでございます。積極的な取り組みに大きな期待を申し上げるとともに、市町村に対する指導等についても御検討をお願いいたします。
 次に、職員の職務に係る倫理の保持に関する条例、いわゆる職員倫理条例についてお伺いいたします。
 過日、県当局から当面する県政課題についての説明がなされた際、職員倫理条例についても説明があり、本定例会に上程されたところであります。私は、内容の説明を受け、言い知れぬむなしさを覚えました。元県職員ということもあり特別の感慨を持つものかもしれませんが、県議会内においてもいろいろな意見がある問題であります。昨年4月に国家公務員倫理法が施行され、国家公務員の倫理保持の仕組みが整えられたわけでありますが、同法43条により、地方公共団体も国の施策に準じて地方公務員の職務に係る倫理の保持のために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと、県としても職員の倫理保持の仕組みについて、規律性を一層高める必要があることから条例の制定に至ったというもので、この背景には記憶に新しい大船渡地方振興局土木部の県道改良工事に係る談合疑惑問題で職員が競売入札妨害容疑で逮捕されるなど、相次ぐ職員の不祥事があるものと思われるのですが、だからと言って職員に条例で細かく縛りをかけることが、これからの新しい時代に対応した県政を推進する県職員のやる気や責任を醸成する大切な時期において、果たして良策であるのか私は甚だ疑問であります。基本的に地方公務員の服務等については、地方公務員法で信用失墜行為の禁止や守秘義務、職務専念義務等で制限されており、また、岩手県総合計画の基本計画においても、県行政を進める上での四つの方針、すなわち、ともにつくる開かれた県政、生活者の視点に立った県政、地域の視点に立った県政及び機動性と柔軟性を重視した県政を掲げて、現場重視の地域経営や県行政の分社化を推進しようとしているときに、職員の意欲をそぐおそれがなきにしもあらずであります。今回、私が指摘したような背景が一方にあるにもかかわらず、職員の倫理に関して、規則や要綱等ではなく条例で対応しようとしている真意は何なのかをお示し願います。
 また、この条例案は、いわゆる基本的な骨子部分のみ条例で制定し、職員の具体的な行動指針は職員倫理規則を定めて対応しようとしているものであり、まさに国のやり方を追随しているように思われ、地域主権を掲げ岩手らしさを推進する増田知事らしからぬ方途と思われますが、御見解をお示し願います。
 次に、いわて健康院構想についてお伺いいたします。
 健康院とは、岩手県総合計画の用語解説によると、都市生活者を初めとする多くの人々が、多自然居住地域などの自然景観、温泉、文化、人情などに接することにより、心身ともにいやされ健康を回復するような場を提供する仕組みとなっており、夢県土創造プロジェクトの一つである美しい国づくりの中でいわて健康院構想の推進を掲げております。また、岩手県保健福祉計画の健康安心・福祉社会づくり理念でも、いわて健康院構想の推進と相まって、一人一人に適した健康づくりを行うことが可能であるとし、まさに保健福祉の分野からグリーン・ツーリズム、エコ・ツーリズムといった都市と農山漁村の交流を含めた壮大な構想であり、極端な表現を用いると岩手県総合計画の各部門別計画のトータル版というような感じを受けるわけでありますが、この構想の策定状況はどのようになっているのか、構想の骨子、策定のスケジュール等も含めてお示し願いたいと存じます。
 増田県政2期目最初の知事演述において、自然保護や環境保全に並々ならぬ努力をする知事の一つの考えとしていわて健康院構想を打ち出され、だれもが岩手の自然や歴史、風土、人情に触れ、物と心の美しさを体感することにより、心身がいやされる環境を整備、提供していくという決意を表明されたことが強く印象に残っていることから、あえてお伺いするものであります。
 次に、県政懇談会についてお伺いいたします。
 知事は、これまで県内くまなく何度もみずから足を運び、県政懇談会を開催し、県民意識の把握に努められてまいりましたことは、心から敬意を表するものであります。新しい岩手づくりを進める基本的な施策の方向におきましても、県民への説明責任の徹底を図るとともに、県民意識調査や県政懇談会による県民の意見、提言を踏まえて施策の企画立案を行いたい旨の発言をされておりますが、現在進められている県政懇談会をどのように評価され、将来に向けて県政懇談会がどのような形であれば、より充実したものになるとお考えか御見解をお示し願います。
 また、現在、地域課題等について個々のグループ等との懇談会を多く開催されているようでありますが、その際に、県議会議員の出席は御遠慮願いたい旨の案内があるのですが、この考えはいかなる理由によるものなのか、あわせてお聞かせ願います。
 次に、大変恐縮ですが、地域課題について何点かお伺いいたします。
 まず、岩手県農地管理開発公社が所有する雫石町南畑地区農地の活用方策についてであります。
 知事は岩手県農地管理開発公社、いわゆる農管公社の理事長でもありますので、経緯は御承知と思いますが、簡単に申し上げますと、昭和46年から54年にかけて県営農地開発事業で造成した農地において、農事組合法人南畑組合が酪農とブドウ団地の経営を行っていたが、赤字経営から脱却することができず、昭和58年に当時の雫石農協は南畑の経営再建を断念、農管公社に対し農地の取得を要請し、同年、農管公社は雫石町農業委員会の申し出を受け、県営簗川ダム水没農家の代替地として売却できるという見込みのもとで当該農地を取得したが、水没農家は、簗川ダムの計画の大幅なおくれや農業情勢の変化から代替地の取得意欲を失い、結果として農管公社は売り渡し相手が見つからないままに長期間保有を余儀なくされるに至ったものであります。その後、平成元年に、このような状況を打破するために、雫石町は農管公社及び農協と一体となり、当時大きな話題にもなりました都市住民の新規就農を目指したコテージむら計画を策定し、丸紅株式会社と提携し、当該地を整備し分譲を進めてきたが、分譲も思うどおり計画どおり進まず、63ヘクタールのうち契約が成立したのは2.8ヘクタールのみであり、しかも平成6年には丸紅がこの事業から撤退するに及び、まさに計画が宙に浮いた形となっている現状にあります。農管公社がこの事業に要した経費は、既に包括外部監査等でも公表のとおり、すべて借入資金で対応しており、平成11年度末における投資額は16億9、000万円にも上り、早期に処分することが大きな課題となっております。現在、農管公社が所有する売り渡し未済の土地が52.7ヘクタールもあり、雫石町としてもこの状況を大いに懸念し、平成10年度には農管公社とともに都市と農村の交流施設を中心とした土地利用計画案を策定し、県にも支援を要請してきたところでありますが、県としてはこの状況をどのように認識され、農管公社に対し今後の活用方策をどのように指導していくお考えなのかお聞かせ願います。
 次に、森の駅整備計画と一般県道雫石東八幡平線の活用についてあわせてお伺いいたします。
 一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道が平成10年11月に知事の決断により工事再開断念という結果を踏まえ、その代替として岩手山周辺地域振興ビジョンが平成11年8月に策定され、その後、同ビジョンにおける環境学習、教育の推進を図るための主要な振興施策として平成12年12月に森の駅整備計画が策定されたところであります。この間、盛岡地方振興局を中心に、関係部局の担当の方々には、直接町村へ足を運び住民から意見を聞きながら具体的な方向を示されたことに、衷心より感謝の意を表するものであります。しかしながら、誠意や努力には感謝申し上げるものでありますが、住民の民意という観点から申し上げますと必ずしも納得できるものではなく、中核施設である北駅、南駅は緑のダイヤモンド計画で整備されるビジターセンターそのものであり、サテライト施設として位置づけられているものも既存の施設を誇大に評価したのみで、各ゾーンを結ぶ森の小道にしても既存の歩道を単に有効活用する程度に見受けられます。雫石町、松尾村両町村では、岩手山の火山活動の活発化という現実の対応と風評に加えて、岩手高原スキー場の営業休止や東八幡平スキー場の撤退といった厳しい状況にあり、この森の駅整備計画に大きな期待を寄せる観光事業者や地元住民が多いわけでありますが、県当局として、この森の駅整備計画の最大の目玉は何であり、今後観光振興という面でどういう効果が期待できるのかお考えをお示し願いたいと思いますし、あわせて平成13年度における主要事業についてもお聞かせ願いたいと存じます。
 関連して、一般県道雫石東八幡平線の網張から松川間の活用についてお伺いいたします。
 本年1月23日に当該路線の活用計画検討委員会主催による地元住民からの意見を聞く会があり、私へも御案内をいただき出席させていただいたところであります。住民の方々からは、それぞれの立場からいろいろな意見や提言があったところでありますが、私は、何ゆえに検討委員会が第4回目の検討会で網張側に近い箇所からzz案、z{案、z|案の車の乗り入れ箇所を設定し段階的に移行させる方向という結論を出した後に住民から意見を聞く会を実施したか、甚だ疑問を抱いたところであります。検討委員会が住民の意見を聞いて県に対して提言するとなれば、当然のごとく結論を出す以前に住民意向を把握のために実施するべきであり、ただ単に形式として行ったとしたら、ゆゆしき問題であると思いますが、県当局としては、この点についてどのように解釈されているのか、お示し願いたいと存じます。
 また、森の駅整備計画の森の小道整備と当該未整備区間の歩道は密接にかかわることと判断されますが、林業水産部と土木部とは具体的にどのような調整を図られているのか、お聞かせ願います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をいたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 中屋敷十議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、経済社会情勢についての認識と今後の進むべき方向についてお尋ねがございましたが、近年の経済のグローバル化や情報化などの進展によりまして、経済社会を取り巻く情勢は、大変、大きく変化をしております。20世紀の我が国の発展を支えてきたいわゆる55年体制、そして、護送船団方式による中央集権などのシステムから脱却することが、強く求められているところでございます。特に1990年代は、一般に失われた10年と、このように言われておりまして、不況の長期化や構造改革への対応のおくれ、また、少子・高齢化への不安などを背景に、社会全体が方向性を見失い閉塞感に包まれた時期でもあったと、このように考えております。この状況は、21世紀に入った現在も、いまだ脱し切れていないことは、議員各位、御案内のとおりでございますし、社会的にも少年犯罪の凶悪化や児童虐待の増加など、21世紀を担うべき大切な子供たちの切実な問題は、まことに憂慮すべき状況になっているわけでございます。
 このような状況下にあって、今後取り組むべき方向についてでございますが、私はまず、地方みずからが率先して既成の枠組みを大胆に変革して、時代に対応した新しいシステムを地方が構築をしていくと、このことが大変重要であって、こうした地方での小さな動きが、志を同じくする他の地方にも伝わって、いずれは国をも動かす大きなうねりとなることを期待しておりますし、また、青少年の問題につきましては、まず、家庭において基本的なしつけを行うことが第一でございまして、その上で結の心を生かしながら、青少年は地域社会からはぐくむという観点に立って、家庭、学校、地域などが一体となって、地域社会の教育力を高めていくことが重要であると考えております。
 次に、道州制についてでございますが、この道州制そのものにかかわる議論につきましては、古く昭和28年の第1次地方制度調査会の答申以来、これまでさまざまな形で行われてきております。官、民、それぞれのいろいろな団体からもこの件についてはさまざま提言がございましたが、地方分権が大きな潮流となる以前は、どのような道筋でこれを実現していくかというよりも、むしろ、制度論としての地方自治のあり方に関心が向けられていたように思っております。しかしながら、明治以来の長い年月の中で培われてきた国民の意識、いわゆる俗にお上意識のようなものですが、そうした国民意識や地方自治法施行以来、半世紀の歴史の中で定着を見ている現在の自治制度というものを考えた場合には、そうした制度論からのみ地方自治のあり方を論ずることには一定の限界があるのではないかと、このように感じております。
 地方分権時代の今日、日常生活圏や経済圏が、もう既に県域を越えて一層の広がりを見せている時代にありまして、地域に暮らす生活者の視点で、県という組織は何をすべきかということを考えたとき、制度としての自治の姿がどういうものであれ、県内のみでは解決できないさまざまな広域的な課題に対して各県が力をあわせて対応していかなければならないと、このように考えております。こうした思いから、北東北の知事サミットを開催して、観光面での連携や環境問題への対応などに取り組んでいるところでございますが、これに呼応して、宮城県を初め本県と県境を接する地域におきまして、広域的な取り組みが広がりを見せていることを大変心強く思っております。
 私は、21世紀という新しい時代を迎えて、市町村を中心に据えた地方分権が一層進展していくことを念願しているわけでございますが、地方分権の進展と連動して、県の枠を越えたさまざまな広域行政が一層活発に展開されて、その成果が積み重ねられ東北全体に広がっていったときに、国と地方の役割分担が明確になって、道州制を含め新しい地方自治の形が見えてくるのではないかと、このように考えております。
 このような大きな流れの中で、まずは東北各県の知事に広域連携の呼びかけを行って、その具体的成果を一つ一つ広げていく取り組みを積極的に進めていく考えでございます。
 次に、いわゆる職員の倫理条例についてでございますが、私は、昨今の国、地方を通じた公務員を取り巻く諸情勢、そしてここ数年来の県職員による不祥事の発生を省みたときに、高い公務員倫理の確立と日々の業務や活動、地域の皆さんとともに積極的かつ活発に行うという、この両面の要請にこたえるためには、まず職員の行動規範となる明確なルールを確立して、県民の疑惑や不信を招くことのないようにすべきものと考えたところでございます。やはり、税金を扱うということでの公務員に対しての国民全体からの厳しい視線、透明性の確保という要請が非常に高まっておりますし、それからまた、これは官民を問わずですが、全体として今、社会の倫理観というものが崩壊をしつつあるわけで、その中で公務員もその例外ではなくなってきているという現状もございます。その中で、少なくともこの岩手において、県民すべてが、そしてまた特に公務員は高い倫理観を保持しながら、やはり仕事に専念をすべきというふうに思っております。
 また、県民とともにつくる開かれた県政というものを推進していく上で、地域のニーズに応じたきめ細かな業務運営や市町村を初め地域のさまざまな団体がございますが、そうした団体との一体的な活動や交流そして連携といったものが、今後、より一層、重要になってくるものと考えております。
 今までより以上に、現場に入る必要性がこれから高まると思いますし、また、そうして現場に入っていかないと本当にいい仕事はやっぱりできてこないと、そういうことだと思いますので、そうしたためにも、地方公務員法に定められた倫理原則のみならず、そうした新しいそういう局面に対応した職員の具体的行動の規範となるものが必要であると、このように考えております。
 こういった現状がございますので、今回、条例という形式をとって提案をすることとしたわけでございますが、これは、全体の奉仕者としての職員の自覚とあるべき姿を県民の皆さんに改めて明らかにするとともに、より高い規律性を確保する中で、職員が存分に思い切って地域で活動ができるように、県民の代表である議会の議決を経て定めることが最もふさわしいと、このように考えたからでございまして、また、この4月からは再編後の新しい本庁組織がスタートするわけでございますが、その際、職員が心新たに職務に取り組んでいけるよう、期待してのことでございます。
 また、この条例に基づく職員の具体的行動基準につきましては、全職員に共通する規範となるこれを規則として定めることとしてございますが、今後、この規則を定める際には、議員の皆さんを初め、地域活動や事業活動を行っている有識者の皆さん方からも、地域での活動や交流の実戦を踏まえた御意見をお伺いしながら、本県の実情に即した内容となるよう、取り進めてまいりたいと考えております。
 次に、県政懇談会についてでございますが、私は知事就任以来、県政推進の基本は、県民に開かれたわかりやすい県政の推進であると、こういうふうに考えまして、さまざまな機会をとらえて、県民の皆さんの御意見などを直接お聞きして、これを県政に反映させるよう努めてきたところでございます。
 この県政懇談会では、平成7年度から11年度までに約1万1、000人の方々から地域の課題や現場の状況をお聞きして、環境、人づくり、地域の活性化など、おおよそ約3、300件に及ぶ御意見や御提言をいただいたところでございますが、これらを県の総合計画を初め各分野の計画や施策、事業に可能な限り反映させるよう努めてきたところでございます。その結果は、平成7年度から10年度までの4年間にいただいた案件では75%、また、11年度では81%が提言の趣旨に沿って県政に反映されている状況でございまして、その提言の内容ですとかその県政への反映状況、そうした詳細につきましては、すべて公表しているところでございます。
 私は、この県政懇談会は、住民の県政に対する積極的な参画の一つの機会というふうにとらえておりまして、今後とも可能な限り現地に出向いて、地域の課題やこれからの岩手づくりについて、青年や将来を担う子供たち、NPOを初め各地域でさまざまな活動を実戦している団体など、幅広い層の多くの方々と意見を交わすなど、時間の許す限り、これからも大事にして実施をしてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、出納長及び関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔出納長高橋洋介君登壇〕
〇出納長(高橋洋介君) 道州制と市町村合併の基本的な考え方についてでございますが、私は、今般の地方分権改革におきまして、国と地方の関係が見直され、対等・協力の関係という新しいルールが確立されたところでございますが、地方制度のあり方につきましては議論が先送りされたものと、そのように認識しておるところでございます。したがいまして、今後、地方分権が進んでいったときに、国、都道府県、市町村の役割とそれを担う地方制度のあり方が大きなテーマになってくるものと、そのように考えておりまして、道州制の議論はその地方制度のあり方を考えていく際の一つの選択肢とはなるものと、そのように考えられるところでございますが、まずは、昨年4月から新たな一歩を踏み出しました分権改革を着実に進めること。例えば、現在、本県が取り組んでおります東北各県との広域連携の具体的な成果というものを、目に見える形で示していくことが何より大事であると、そのように受けとめております。
 また、多様化、高度化する住民ニーズに的確にこたえ、住民が真に豊かさを実感できる地域社会を築いていくために、住民に最も身近な自治体であります市町村が、地域における総合的な行政を主体的に担っていく必要があるものと考えております。
 少子・高齢化の進展、国、地方を通じる厳しい財政状況など、市町村を取り巻く環境が大きく変化してきている中で、みずからの判断と責任のもとに、生活者の視点に立った望ましい行政を展開していくためには、分権時代にふさわしい効率的な行政体制の整備、確立が求められておりまして、市町村合併を含めた市町村のあり方については、それぞれの地域で大いに議論していただきたいものだと、そのように考えているところでございます。
   〔企画振興部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇企画振興部長(佐藤徳兵衛君) まず、総合計画に掲げる主要な指標についてでありますが、総合計画を着実に進めていく上で重要なことは、行政として何を行ったかということではなくて、その結果として、県民の豊かさや暮らしやすさが、総体としてどのように向上したかという施策の成果を重視する行政の推進であると考えております。このため、計画では、県民や企業、行政など、みんながそれぞれの役割を果たしながら社会づくりを進めていく数値目標として、207の主要な指標を設定したところであり、本年度の政策評価におきましても、県が進める各施策の有効性や的確性を評価する方法の一つとして用いたところであります。
 総合計画策定時におきましては、こうした成果主義の考え方に基づき、可能な限り県民の生活や地域の視点に立ってわかりやすく、また、施策の効果が県民生活の中でわかるような指標の設定に努めたところでございます。しかしながら、県民の視点から、より正確に総合計画の成果をあらわすためには、社会経済情勢の変化にも対応しながら、計画策定時には設定することができなかった新たな指標の開発など、指標の見直しを行う必要があると考えております。
 その見直しにつきましては、それぞれの指標について、目標数値や項目そのものの妥当性を検証するとともに、県民の環境保全活動や文化・スポーツ活動といった既存の統計資料からは得られにくい生活活動に関するデータの指標化を検討するなど、総合計画審議会に設置した総合計画推進委員会の意見をも踏まえながら、適時適切に取り組んでまいりたいと考えております。このことにより、計画に掲げる主要な指標の精度を高め、効率的な事業の推進を図るとともに、指標がより県民に身近でわかりやすくなるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて健康院構想についてでありますが、この構想は、健康に関する本県のすぐれた特性を積極的に活用しながら、県内外の人々が岩手の自然、文化、農業等の営みや人情などに触れ、心身をいやし、健康の維持、回復に役立てることができる仕組みづくりを推進するとともに、都市と農山漁村の交流を促進しようとする幅広い内容を目指しているものでございます。現在、この構想策定に向けて庁内にワーキンググループを設置し、心のいやしを含めた健康増進や健康をキーワードにした地域振興、さらに県外への情報発信といったテーマを柱とするいわて健康院の具体的なイメージとともに、県内各地域の既存の資源を健康という視点で見直し、それを心身の健康づくりや地域づくりのプログラムに活用するための推進方策などを検討しており、平成13年度を目途に構想を策定したいと考えております。
 また、県内においては、先駆的に植物栽培や花壇づくりを通じて高齢者のリハビリを行う園芸療法や、温泉浴や農業体験等を組み合わせて県外の参加者を募る健康ツアーが実施されているほか、一関地方振興局では、一関地方健康の郷構想を策定し地域づくりに活用するなど、既に健康院を具体化する取り組みが行われており、構想自体の策定とともに、このような取り組みを県内各地に広げながら、いわて健康院の実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県政懇談会についてでありますが、この懇談会は、知事との対話のように公募方式で市町村単位で開催しているものや、ふれあいトークのように、県内各地でさまざまな活動をしている団体を知事がお訪ねしたりするものなど、懇談目的によって開催方法を変えてそれぞれ実施しているところであります。このうち、知事との対話につきましては、地元選出の県議会議員の皆様及び市町村長の御出席をいただいているところでありますが、ふれあいトークにつきましては知事が直接現地を訪問し、団体の活動状況の視察や実地体験などを行いながら、活動する上での課題などをお聞きしているものであり、その団体の活動現場を懇談会場としていることから極力訪問人数を限らせていただき、知事及び開催地を所管する地方振興局長に限って懇談をさせていただいているところでございますので、どうか御理解をいただきたいと存じます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 政策評価における外部からの評価体制のあり方についてでございますが、本県の政策評価は、限られた行政資源を最大限に活用しながら、社会経済情勢の変化や住民ニーズに的確に対応した行政運営を行うために、成果重視の行政運営の転換、効率的で質の高い行政の実現、行政の政策形成能力の向上、そして行政の説明責任の徹底を目的といたしまして本年度から実施しているものでございまして、企画、実施、評価、いわゆる一般的にプラン・ドゥー・シーという形で言われるわけでございますけれども、こういった行政のマネジメント・サイクルの中で、ともしますと、これまで重視されてこなかったシーの部分、評価の部分を明確に位置づけまして、総合計画の着実な推進を図ろうというふうに考えているものでございます。
 もとより、政策評価には客観性が求められるところでございまして、本年度は総合計画の主要な指標の進捗状況といった客観性のあるデータに県民意識調査の結果を加味し、各部局の自己評価から評価担当部門の総合評価を経まして、政策評価、推進会議によりまして評価結果を取りまとめたところでございまして、その際には、政策評価の開始時点と結果がまとまった時点で外部からの意見といたしまして、本年度は県総合計画推進委員会から意見をいただいたところでございます。
 平成13年度の本格的な実施に当たりましては、先ほど議員からもございましたけれども、政策評価課という先端組織をつくり体制の充実を図ることとしているところでございまして、評価の信頼性を一層高めるために、引き続き県民意識調査を実施いたしますとともに、評価の過程に有識者等にも参加いただく方法なども考えることといたしているところでございますが、その際の外部のそういった方々にどういった形で御参加いただいたらいいのかということにつきましては、総合計画推進委員会との兼ね合いもございまして、現在、検討中でございます。しかしながら、いずれ透明性や客観性の一層の確保に向けまして、評価機能の強化、こういったものにつきまして、平成13年度は努めてまいりたいと考えております。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 社団法人岩手県農地管理開発公社が保有する雫石町南畑地区の農地の活用方策についてでありますが、当該農地につきましては、議員の御指摘がございましたように、これまでその活用についての取り組みが行われてきたところでありますが、農業情勢や経済情勢が大きく変化したことなどもありまして、現在、多くの未利用地を農管公社が保有している状況にございます。当該農地の保有は、公社の経営にも影響を与えておりますので、健全な経営のためにも早期にこれを処分し、資金の回収を図ることが必要であると考えております。
 また、当該農地はまとまった一団の土地でありまして、雫石町におきましては、当該地域の活性化を図るため公社とともに土地利用計画案を作成し、その具体化について検討を進めているところでありまして、県といたしましても、この取り組みへの支援について検討しているところであります。
 当該農地の活用につきましては、本年度実施されました包括外部監査におきまして、公社の経営の健全化のためにも、早急に土地利用構想を策定するなどして有効活用を図り、資金の回収に努められたいとの意見が提出されたことも踏まえまして、引き続き地元雫石町と協議を重ねながら、農管公社を指導してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長本山芳裕君登壇〕
〇林業水産部長(本山芳裕君) まず、八幡平森の駅整備計画についてでありますが、本計画は、議員御指摘のとおり、平成11年に盛岡地方振興局が策定した岩手山周辺地域振興ビジョンに掲げられている三つの振興方向、具体的には、一つ目が環境学習・教育の推進、二つ目が観光を初めとする産業振興、三つ目が新しい交流回廊の創造でございますが、そのうち1番目の環境学習・教育の推進に関する事業の具体化を目的とするものであり、この圏域における豊かな自然環境資源等を自然博物館、いわゆるエコミュージアムとして整備することをいわば目玉として策定したものであります。このため、施設整備につきましては、貴重な自然環境を保全しつつ、来訪者の案内のための中核的な施設として松尾村及び雫石町にそれぞれビジターセンターを新設するとともに、学習拠点として森林科学館を再整備するほか、周辺地域の歩道等を整備することとしたところであります。これらの施設を生かして、地元の方々による山の案内人やボランティアガイド等が都市部からの来訪者との人的交流を促進することにより、近年のエコツーリズムの高まりもあり、観光振興の面においても一定の寄与をするものと期待しております。
 13年度の主要事業につきましては、森林科学館の基本設計を行うとともに、北駅に位置づけられている柏台ビジターセンターの実施設計を行い、基礎工事に着手することとしております。
 次に、土木部との調整でありますが、現在、土木部において、一般県道雫石東八幡平線の活用計画を検討しておりますので、今後、その策定状況を見ながら、森の駅整備計画の整備方針で事業を進めるに当たり、関係部局との密接な連携を図る等の旨も記載しているところでございますので、調整の必要が生ずれば所要の対応をしてまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 一般県道雫石東八幡平線の網張から松川間の活用についてでありますが、昨年8月、有識者や公募委員等で構成する一般県道雫石東八幡平線活用計画検討委員会を設置いたしまして、活用計画の検討をいただいてきたところであります。この検討に当たりましては、今後のあるべき活用計画につきまして、委員会が議論してきた内容を地元の皆様方に説明を申し上げ、御意見をいただいた上で、これを踏まえながら、委員会としての活用計画に関する提言をまとめることとしたものであります。このような趣旨で委員会は、昨年8月から12月までの間に、現地調査も含めまして4回開催され、未整備区間と整備済み区間の一部を段階的に歩道として利用するという活用計画のおおよその方向性が取りまとめられましたことから、本年1月、雫石町と松尾村において、地元の皆様の意見を聞く会を開催したところであります。その後、去る2月26日に開催された第5回の委員会におきましては、1月23日、24日、両会場でいただきました御意見やアンケートの結果なども踏まえまして、委員会としての活用計画案が取りまとめられましたことから、本年度内に県に対して計画案として提言をいただくことになっております。県といたしましては、この提言を受けまして活用計画を策定する予定でありますが、今後は、さらにさまざまな手法で県民の皆様方の御意見をお聞きしながら、計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
〇16番(中屋敷十君) 大変どうもありがとうございました。また、出納長まで答弁をいただいたというのは、私議員になってから初めてでございまして大変ありがとうございました。いずれ時代の大きな変革の時期でございます。地方分権の推進という立場の中でもいろいろ乗り越えていかなければならない課題たくさんあるわけでございます。その中でやはり私は先ほども質問したとおり、政策評価という面では本当に敬意を表しているところでございます。初めから岩手県総合計画の中にこういう成果主義という形の中でああいう指標を示して、逆に言えばリスクにもなるわけです。この目標数値を達成しなかったらどうなのかと、やっぱり知事の英断だと思われますし、その取り組まれる皆様の政策評価システムの確立というのは、やはり大変岩手県はすばらしいと思っていますけれども、ぜひ、プラン・ドゥー・シーという話ですけれども、それはやはり外部で評価されなければあくまでも、まだこれからでしょう、いろんなシステムをつくっていく中で、やはり県民の意識は聞いたと、意向は聞いたけれども、やはり指標策定のその精度というものを高めなければならないと思いますけれども、やはりその中に基づいて、県側だけで評価してもそれは手前みその話だと思うんです。我々議会も一生懸命そういう外部の評価の一部を担わなければならないと思いますし、またしかるべき、外国なんかでは外部監査、委員会などという形のものもやっておりますけれども、ぜひそういった形での精度の高め方、また、外部での意見の聞き方というものをぜひお持ちいただきたいなと、さらに検討をお願いしたいと思います。
 恐縮でございますけれども地域課題について再質問させていただきたいと思います。農管公社の問題でございます。
 これは、かねてから地元ではいろいろうわさがあったわけでございます。大きな課題であると。例えば、県の総合運動公園の誘致もこの課題解決のためにも一つの大きな手段ではないかといった形もございました。しかしながら、やはり実態は実態でございますので、ただ、先般の包括外部監査でも公表されたわけでございます。これは積極的に取り組んでいかなければだめなわけでございます。確かに経済社会情勢も厳しいと、いろんな形でこの土地の処分、52.7ヘクタールというのは大きな面積でございます。一気に土地利用計画を図るというわけにはいきません。ただ、実際は具体的には町と農管公社がいろんな、具体的に、例えば先ほども一部触れましたけれども、都市と農村の交流施設計画という中で具体的な案も出ております。しかし、それが実現可能かどうかということはやはり一番農振、農用地なものですからその部分をいかに農振、農用地を除外するかということが一番最初の問題だと思います。そういった意味で農政部長、どのようにこれ、もう一点ですけれども、地元との協議に臨まれるおつもりなのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。本当に難儀な仕事であります。また、これは要望ですけれども、知事は理事長さんなわけでございますので、これは土地利用計画いろいろ定められると思いますけれども、ぜひトップに立っていろんな調整についても御配慮をお願いしたいと、かように思う次第でございます。
 それから、何度もしつこいようですが、奥産道に絡めてこの既存の整備された部分の活用でございますけれども、確かに地元住民の意見を聞く機会があって私も出ました。実際私はz|案の段階移行ということは考えておりませんでした。今まで一番奥まで行ける場所のz|案がやはり3番目です。z|案というのは網張から一番遠い箇所ですね。そこまでは乗り入れ可能だろうと思っておりましたら、やはり自然環境とかいろんな問題で段階移行と。また、どれだけ入り込みがあるかわからないと、車両の乗り入れがあるかわからないということで、その検討委員会では段階移行でいこうということですけれども、私は地元、雫石だけしか知りませんけれども、住民のほとんどは第z|案か、むしろまだ奥産道を通してくれというまで意見が出ているんです。そういった中でちょっと、地元では大変不満な部分もあると思うんですけれども、それを踏まえてそれでは、この間の新聞を見ますと第5回の検討委員会でも段階移行ということで答申するというような、県の方に意見を出すというような形の記事を見たんですけれども、その第5回の、先ほど意見も踏まえてということで御答弁あったわけですけれども、その住民の結果、声、アンケートというのはどういうふうな取りまとめでその同委員会で判断されたかと。これは検討委員会ですからということじゃなく、声と言えばそれまでなんですけれども、事務局を持っているのは土木部でございますので、ぜひその住民の声、判断というものをどのように評価され判断されたかということをお聞かせ願いたいと思います。
 以上でございます。
   〔農政部長佐藤克郎君登壇〕
〇農政部長(佐藤克郎君) 農管公社保有農地の活用に係ります地元との協議ということでございますが、雫石町の作成いたしました土地利用計画案、これにおきましては農業以外の活用が構想されております。ただいま議員の方からお話ございましたように、いわゆる農振法を初め関係する法制度、これとの調整といったことが出てくると思われますので、関係部局とも十分連携を図りながらこれに対応していくということが必要ではないかと思っております。また、この農地を活用するに当たって、やはり幅広く検討していくということも必要ではないかということで、例えば外部の識者の方々、そういった方々から御意見を聞くといった機会も必要ではないかというふうに考えておるところでございます。いずれこうした取り組みに当たりましては、今後、雫石町と連携協議をし、そして地元の意向を十分伺いながら対応していきたいというふうに考えております。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) いわゆる奥産道の網張-松川間の活用計画についてでありますが、地元町村における意見を聞く会では、御指摘のようにハード、ソフトにわたりまして、さまざまな御意見、御提言、要望等をいただいております。なお、御承知のようにそのときの主な御意見としては、活用性を重視して、車道整備済みのほとんどの区間をマイカーに開放する案、先ほどお話ございましたが、これは第z|案に該当いたします。そういったものがよいとする御意見とか、あるいは保全性を重視して整備済み区間の中間部付近でマイカーの進入を規制する案がよいとするものもございましたし、あるいは段階的に利活用する案がよいという御意見など、さまざまな御意見がございました。これらの御意見や会場でのアンケート結果などを取りまとめましたものを2月の第5回委員会を開催するに当たりまして、事前に各委員にお配りした上で、委員会当日においてもこの内容を詳しく説明を申し上げたところでございますが、過去4回までの委員会でいろいろ議論を重ねられてきた内容と共通する点が大変多かったと、つまり説明会であった御意見、お話がそういった同じような議論が過去4回の委員会で相当繰り返されております。そういったようなこともありまして、結果として、第4回の委員会で取りまとめられましたおおよその方向性と同じ結論になったものというふうに理解をいたしております。平成13年度には関係機関との調整なども行いながら、さらに皆様方の御意見をお伺いし、それらのことを踏まえて県としての当面最も望ましい活用計画の策定を目指して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〇16番(中屋敷十君) 今、奥産道の既存部分の活用部分ということで、確かにそういう意見があるでしょう。ただ、1点だけ私疑問なのが、この中止になった原因というのは、たまたまトンネルの水質調査だったと、それでその前はすべて環境調査等も整っておったということは、既存部分で通ってもいいという環境影響評価をなされて、多分道路が通った時点での大体影響評価されているわけでしょう、アセスを。その結果は、じゃ全くうそだったということなんですか。だからあの段階移行でやるのだということなのか、時代が変わったからその当時の環境アセスは今は通用しなくて、新たにこう決めてあの総量規制なりで車両の乗り入れを段階的に見ながらやっていくのか、私この点はちょっとわからないんですよね。アセスをやって、環境庁もこれはトンネルで通していいということを環境アセス、影響評価をやっているわけでしょう。それが今になってだめだということはどういうことなんですかね。これちょっとわからないんですよ、私。それ明確にわかればいいんですけれども、環境庁もよかったですよ、管理者側もいいですよ、この道路はトンネル方式でということで、あのトンネルでいくよということで水質調査やったわけでしょう。湿原に影響を与えてはだめだということで。そうしたら環境アセス、今通っている部分ですから車は通ってもいいということになっているんじゃないですかね。私その辺ちょっと疑問なんですよね。この1点を、活用計画もいいんですけれども、さらにもっとその時代を越えて環境の時代ですから縛りが厳しくなったからこうやっているんだということなのか、これはちょっと確かめたいと思います。これで、しつこくはやりません。
 本当に再質問でございますのであれですけれども、一つ私言い忘れたのは職員の倫理条例の問題でございます。この点については私はきょう、私以外で過去ではない、きょう初めてですね。いろんな意見がございます。ただ、本当に今の御答弁でもわかるようなわからないような、具体的な中身はどうなのかなと。地元に入っていろんな、職員は大切な時期になってきている、確かにそのとおりだと思います。開かれた県政の中で、この中で本当にそういう縛りで逆に懸念されるのが職員の意欲で、こういう規則があるからこれは入ってはだめだよという形で、むしろ阻害するような条件にならないのかなと、こう危惧される部分があります。それが全く今回、そういう具体的なものは規則で定めるから条例ではわかりませんということになれば、ちょっとこれは審議の対象にならないのかなという感もいたしております。それはいろいろ条例の策定と同時に議会にも説明ともども、規則も一緒にともどもやるという話も伺っておりますけれども、それでわからないままこの2月定例会で上程されたものをそのまま通していいのかというのは、いや、これはみんないろいろと疑問の点が多いんじゃなかろうかと思います。この点につきましては私の関連質問で我が会派の佐藤正春議員が質問をそのことでやりますので、疑問を呈してやめますけれども、ぜひその奥産道のアセスとの関係はどうなっているか、この1点だけ、一応締めます。
   〔土木部長竹内重徳君登壇〕
〇土木部長(竹内重徳君) 御指摘ございましたように、奥産道につきましては当時環境影響調査を全部やりまして評価をいたしております。ただ、今現在ある環境基本法等に基づいた県の環境アセスメント条例に基づいたアセスメントには当時のものはなっておりませんでした。調査の精度はそれなりに高いものをやったというふうに考えておりまして、御指摘のように環境庁とも協議をいたしまして、一応基本的にはそういう方向で進もうということになっておりましたが、御案内のように私どもの大変な不手際がございまして、あの地域の環境を大変乱したという結果になったわけです。それを契機にもう一度考えましょうというのが私どもの考えでございまして、今までやった部分につきましては、それら種々検討した結果、今までやった分は適切に活用していこうと、それから残った部分についてはこれからの工事の延伸を断念したというのが我々の基本的な考えでございますので、その辺は変わっておりませんので御理解を願いたいというふうに思います。

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