平成13年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第11号、第12号について反対の討論を行います。
 認定第1号は、2000年度岩手県一般会計歳入歳出決算であります。
 反対する第1の理由は、大型開発・公共事業優先の県政を推し進め、県債残高1兆2、024億円に及ぶ県財政の危機的状況を一層深刻にしたことであります。
 大型開発の実態は、普通建設事業費3、269億円余で、構成比35%、東北6県のどこよりも高く、東北平均を3.2%も上回る規模であります。その中身は、港湾整備事業に見られるように、貨物取扱量は4重要港湾で目標に対して41.1%、久慈港においては、既に321億円を投じたにもかかわらず貨物取扱量はわずか35万トン、目標の6.4%にとどまっています。大船渡港湾整備事業も、現在事業を進めている157億円で凍結しようとすることは当然のことであります。花巻空港の滑走路延長、ターミナルビル建設も、利用者が50万人台に停滞している中では、その緊急性、重要性が問われる事業であります。減反が拡大されている中で、農業関係の公共事業は638億円余、林業、水産の公共事業は278億円となっており、農林水産業の振興とは結びつかない公共土木事業偏重となっています。
 その結果、1兆2、024億円の借金を増大させたことは重大です。これは、県民1人当たり85万円、4人家族なら340万円となるものであります。自民党政治に追随し、従来型の大型開発、公共事業を優先する県政を、県民の暮らし、福祉、教育を守る県政に根本的に転換すべきであります。
 反対する第2の理由は、深刻となる雇用・失業問題、中小企業の倒産など、県民の雇用と地域経済を守る対策が極めて不十分だったことであります。
 昨年度の有効求人倍率は0.49、ことしの10月には0.39にまで急落しています。一番の問題は、国民、県民の暮らし、消費購買力を高めて景気を回復する対策が自公保政権に全くないことであります。その一方で、大企業の人減らし、リストラを推進し、不良債権処理の名のもとに、地域経済と密着した岩手信用組合など地域金融機関と中小企業を破綻に追い込む冷酷な政治、不況をますます深刻にする政策を推進しています。
 今、増田知事と県政に求められていることは、不況打開、景気回復のために、県民への負担増ではなく、県民の福祉、医療、暮らしを守る対策を講じることであります。
 同時に、内部留保を1兆円以上もため込んでいる大企業の一方的リストラ計画の見直し、撤回を堂々と求め、県民の雇用と地域経済を守る確固とした立場で対応することであります。
 サービス残業の根絶、労働時間の短縮、賃下げなしのワークシェアリングによる雇用拡大など、必要なやるべき課題をやり抜くことであります。
 緊急雇用対策交付金事業は、緊急の失業対策として重要な役割を果たしましたが、これまで実人員で7、600人の雇用拡大がなされたとはいえ、雇用期間が平均27日にとどまっており、改善が必要であります。県内労働者の8割、事業所数の99%を占める中小企業対策はわずか685億円で、決算総額の7.2%にとどまっています。二、三倍に引き上げるべきであります。
 県官公需の中小企業向け比率は79.2%、県営建設工事の県内業者への発注比率は73.1%にとどまっており、抜本的に改善すべきであります。
 岩手信用組合が金融庁の過酷な指導で破綻に追い込まれましたが、年末を控え、まじめな業者が融資を引き続き受けられるよう、具体的で万全の対策を講じるよう改めて求めるものであります。
 反対する第3の理由は、農林漁業など岩手の第1次産業が深刻な危機に直面していることであります。
 昨年度の農業粗生産額は2、849億円で、前年比79億円減少し、総合計画の基準年次と比べると284億円、約1割も減少しています。さらに現在、BSE、いわゆる狂牛病問題で、岩手の畜産は存亡の危機に直面しています。
 狂牛病の汚染、汚染した肉骨粉をもたらした責任は、言うまでもなく政府にあります。1996年のWHOの勧告を無視して何の対策もとってこなかったことは本当に重大です。農家の被害、関係業者の損害は、基本的に国の責任において解決されるべき問題であります。この点で国の責任を追及できない増田県政の弱腰は正すべきであります。
 1年償還で使いがたい大家畜経営維持資金は改善すべきであります。
 また、消費者の信頼回復と消費拡大に真剣に取り組む必要があります。特に学校給食での県産牛肉活用の取り組みを強化するよう求めるものであります。
 狂牛病問題で県内に1人の犠牲者も出さないよう、農家の実態と要望を踏まえた対策を講じるよう強く求めるものであります。
 反対する第4の理由は、福祉、介護の充実に冷たい県政だということであります。
 昨年度実施された介護保険は、計画予算に対し給付額は82.4%にとどまり、95億4、600万円が不用額となりました。この介護サービスの給付額は、逆算すると県内平均2、868円の保険料が2、085円となるものであります。
 居宅介護サービスは限度額の32.4%にとどまっています。この最大の要因は、保険料、利用料の負担が重過ぎることにあります。県内市町村では既に22市町村で利用料を軽減し、6市町村で保険料の軽減に取り組んでいますが、抜本的な低所得者対策を講じることは急務であります。
 特養ホームの在宅の入所待機者は、この間に2.6倍の1、163人に及んでいます。特養ホームの緊急増設が必要であります。
 就学前までの乳幼児医療費助成の取り組みは、宮城県でも来年度から実施することを知事が表明し、岩手県以外の東北各県で取り組まれることになりました。子育て環境日本一を掲げる岩手も来年度から実施となるように強く求めるものであります。
 国保税の滞納者1、425世帯に保険証が未交付となっています。金の切れ目が命の切れ目とならないよう具体的な改善を求めるものであります。
 反対する第5の理由は、行き届いた教育を求める県民の声に背を向けていることであります。
 山形県は、すべての小学校で21人から33人学級を、青森県でも小学校の1・2年生は33人学級、中学校1年は35人学級に来年度から取り組もうとしています。秋田県は、既に今年度から小学校1・2年生で30人程度の少人数学級に取り組んでいます。
 21世紀を担う子供たちにこそ行き届いた教育が必要です。小学校1・2年生で30人学級を実現すれば222人の教員をふやすこともでき、就職難打開、雇用確保、そして学校の活力にもなるものであります。この点では、各県のように増田知事の決断とイニシアチブを強く求めるものであります。
 認定第11号は港湾整備事業特別会計決算であり、既に述べたとおり、不要不急の大型開発の過大投資であり、反対するものであります。
 認定第12号県民ゴルフ場特別会計決算は、使用料が4、948万円余、維持管理費が8、570万円余で赤字体質となっており、一般会計からの繰り入れは1億228万円余となっています。根本的な見直しが必要であります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(谷藤裕明君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第47 議案第35号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第47、議案第35号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋副知事。
   〔副知事高橋洋介君登壇〕

〇副知事(高橋洋介君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたしたいと思います。
 議案第35号は、収用委員会の委員であります安達孝一氏及び渡邉朝子氏同じく予備委員であります津志田武氏及び長澤由喜子氏の任期が12月24日で満了となりますので、各氏を再任するため議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願いいたします。

〇議長(谷藤裕明君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第35号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第35号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、議案第35号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第48 発議案第1号政治倫理の確立のための県議会の議員の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例から日程第55 発議案第8号骨髄液への健康保険適用についてまで

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第48、発議案第1号から日程第55、発議案第8号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(谷藤裕明君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号から発議案第8号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第8号までは原案のとおり可決されました。
   
   閉 会

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第12回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後3時11分 閉 会


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