平成14年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 継続議案であります議案第19号岩手県立盛岡農業高等学校産業教育施設改築(建築)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについて、今、議案の撤回が提案されました。この件について質問いたします。
 この議案は、私がさきの6月県議会で取り上げたものであります。盛岡農業高校の寄宿舎改築工事でありますが、これは県民と生徒たちの強い要望にこたえたものであり、私自身もその実現を求めてきたものであります。しかし、工事を請け負った落札業者について、独自の調査を踏まえ、工事経歴書を偽造した建設業法違反の疑いを指摘しました。
 6月県議会では、県土整備部長の答弁は、現在事実関係を調査中であり、お答えを差し控えますということでございました。
 議案撤回の理由は、工事請負予定者である大蔵建設株式会社が、建設業法第28条第3項の規定による営業停止処分を受けたこととしています。
 そこで質問いたします。
 一つ、県土整備部の調査の結果はどうなったのか。
 二つ、調査結果を踏まえ、この間、どう対応されてきたか。
 三つ、この件について、県に対しては、いつ、情報もしくは告発がなされ、6月県議会までにどう調査、対応がされたのか。工事発注者である教育委員会とは、どう協議されたのか。
 県警本部長に質問いたします。
 この件について県土整備部から告発を受け、9月3日には、大蔵建設等を建設業法違反の容疑で書類送検をしていますが、書類送検の内容について示していただきたい。
 教育長に質問します。
 教育委員会として、この間の対応と問題点について、どう受けとめているか示していただきたい。
 総務部長にお聞きします。
 この工事の入札について、談合がなされたのではないかという告発が寄せられていると思いますが、告発の内容と調査、県の対応はどうなっているでしょうか。
 最後に知事に質問します。
 県が発注する公共工事に関して、建設業法違反と談合疑惑が指摘されていることは重大な問題だと考えますが、この間の事態を知事としてどう受けとめているでしょうか。この事件の背景には、建設業界の深刻な談合体質とそれを容認する県の姿勢があると思いますが、どう考えているでしょうか。
 公共事業にかかわる不正と談合防止について、どう取り組もうとしているか、お聞きをいたします。

〇議長(谷藤裕明君) 斉藤信君に申し上げます。
 ただいまの質疑のうち、撤回議案に係る分以外の談合関係についての発言がありましたけれども、議題外にわたっておりますことから、これ以外の部分についてのみ執行部に答弁をさせます。

〇23番(斉藤信君) 今の議長のお話ですけれども、議案撤回の理由について、県の説明は営業停止処分をされたということを理由にしているわけです。私はその前後から、営業停止以上の重大な問題がこれにはあるのではないかと、本来もっと重大な理由がここで議論されるべきではないかということで、私はこの理由にかかわって談合の問題も指摘しているので、県が提起した理由にとどまらない問題が私はその後発展をしていると思いますので、ぜひ答弁いただきたい。

〇議長(谷藤裕明君) 斉藤信君に申し上げますけれども、議案第19号にかかわる部分ということで、議題外の問題ということで判断をいたしましたので、御了承願います。
 議事進行いたします。

〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 建設業は、県民生活や産業活動に直結をする社会資本整備の直接の担い手として、これまで本県経済に重要な役割を果たしてきたわけでありまして、今回の虚偽申請ということにつきましては、建設業許可制度の根幹を揺るがすとともに、建設業界に対する県民の信頼を損ないかねない、悪質でありかつ重大な犯罪行為でございまして、まことに遺憾であるというふうに思っております。
 今後、再びこのようなことが繰り返されることがないように、県としてもこうした業界団体の指導強化をして、不良不適格業者の排除の徹底を図るなど、技術と経営にすぐれた建設業の振興に努めていく考えでございます。

〇県土整備部長(猪股純君) 工事経歴書を偽造した建設業法の違反の疑いについてでありますが、県が実施した調査の結果は、建設業法に規定する変更などの届け出に当たり、大蔵建設株式会社が県に届け出た工事経歴書の一部の工事について工事費を水増しし、あるいは存在しない工事を記載して提出してきたこと、及び建設業法に基づく報告徴取に対し、請負代金を変造した契約書の写しを提出するなど、虚偽の報告を行ったことが確認されたものであります。
 次に、これまでの対応についてでありますが、これらの調査結果を踏まえ、虚偽の全容を明らかにするため司法当局の捜査にゆだねることとし、7月29日に告発したものであります。
 なお、県では、同社に対し再度の立入検査の実施、工事状況確認のための関係書類の提出を求めるなど、再三にわたって事実確認への協力を要請したものの、その報告徴取に応じなかったことなど不誠実な対応がなされたことから、7月29日に建設業法に基づく指示処分、8月29日から7日間の営業停止処分を行ったところであります。
 この指示処分に基づき、7月31日から2カ月間、その後県警が書類送検をしたことにより、9月7日から11カ月間、県営建設工事請負資格者の指名停止の措置を行ったところであります。また、業界団体に対しましては、8月6日に建設業法の遵守と再発防止について要請を行ったところであります。
 次に、県への虚偽記載に関する情報につきましては、6月上旬に情報提供がなされたものでありまして、県では、直ちに大蔵建設株式会社に対し、情報提供のありました建築工事13件の契約書の写しの提出を求めたほか、これらの工事について現地調査等、内容の確認を行ってきたところであります。
 また、教育委員会への情報提供についてでありますが、6月中旬に同社から提出された建築工事13件の契約書の内容に疑義が生じたことから、これらについて調査を行っている旨、教育委員会に対して情報提供をしたところであります。

〇総務部長(小原富彦君) この工事に係る談合情報についてでありますが、談合情報の内容は、JVの組み合わせと落札者が談合により決定されたというものであります。
 県では、談合情報について談合情報対応マニュアルを策定して対応しておりますが、このマニュアルに沿って私ども総務部と県土整備部、それから所管の教育委員会の部課長で構成する県営建設工事公正入札調査委員会を開催いたしまして、談合に関与したと名指しされた関係者に対し、面談による聞き取り調査を再三にわたり実施するなど、事実の確認に努めたところでありますが、談合の事実は確認できなかったところであります。
 以上のことから、この談合情報に関しまして、今後の調査については法的な権限を有する機関へゆだねることが適当というふうに判断し、公正取引委員会東北事務所及び県警捜査第二課に通報し、調査を終了したものであります。

〇教育長(五十嵐正君) お尋ねのありました議案の取り扱いについてでございますけれども、工事を請け負った落札業者の一方が、建設業法上の虚偽の届け出の疑いがあるとの情報を得てから担当部の調査の状況を把握するとともに、関係部と協議を行いながら対応してきたところでございます。
 まず、当該業者とこの契約の取り扱いについて話し合いを行いましたが、契約解除の意向は示されず、合意解除する方向に至らなかったものであります。その後、営業停止処分がなされたことから、関係部と協議を行い、仮契約を解除し、これにより議案を撤回するに至ったところであります。
 今回のこのような事態を招いたのは、当該業者が建設業法上の虚偽の届け出を行ったことによるものであり、その結果として、教育環境の計画的な整備改善等におくれを来したことは、非常に残念なことであるというふうに考えております。

〇警察本部長(熊崎義純君) 御質問の事件につきまして、盛岡地方検察庁への送付事実でございますが、二つございまして、第1に、本年1月31日、建設業法に規定されている経営事項変更の届け出に当たり、届出書に添付する工事経歴書の各欄中、建築一式工事については13件中12件に、土木一式工事については30件中22件に、請負代金額の水増しあるいは架空工事を記載し、同工事経歴書に虚偽の記載をしてこれを提出した。
 第2に、本年6月10日付けで岩手県が建設業法に基づき報告を求めた件で、工事経歴書記載の建築一式工事に関し、請負代金虚偽や架空工事の工事請負契約書12通を提出し、虚偽の報告をしたというものであります。

〇議長(谷藤裕明君) これをもって質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。本件は、継続審査となっております議案第19号岩手県立盛岡農業高等学校産業教育施設改築(建築)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてでありますが、提出者から撤回の申し出がありましたので、会議規則第19条の規定により、これを承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(谷藤裕明君) 起立全員であります。よって、本件についてはこれを承認することに決定いたしました。
   
日程第4 認定第1号平成13年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第32 報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告について

〇議長(谷藤裕明君) 次に、日程第4、認定第1号から日程第32、報告第2号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原総務部長。
   〔総務部長小原富彦君登壇〕

〇総務部長(小原富彦君) 本日提案いたしました各案件について御説明いたします。
 認定第1号から認定第3号までは、平成13年度の県立病院等事業会計、電気事業会計及び工業用水道事業会計の各決算の認定であります。
 これらの公営企業会計の決算につきましては、地方公営企業法第30条の定めるところに従い、監査委員の審査に付し、その意見をつけて認定に付するものであります。
 議案第1号は、平成14年度岩手県一般会計補正予算の専決処分に関し承認を求めるものであります。これは、台風6号に伴う大雨洪水災害対策として緊急に予算補正の必要が生じたことにより、専決処分したものであります。
 議案第2号は、平成14年度岩手県一般会計補正予算であります。これは、台風6号に伴う大雨洪水災害の復旧に要する経費のほか、国庫補助事業の決定等に伴い事業費に追加及び変更を要するもの等、事業執行上今回計上を要するものについて、総額で282億600余万円を補正しようとするものであります。
 補正の主なものは、介護予防拠点施設整備事業費補助4億7、000余万円、国民健康保険広域化等支援基金積立金1億6、800余万円、緊急地域雇用創出特別基金事業費補助4億8、600余万円、ほ場整備事業費17億5、900万円、国営土地改良事業費負担金33億3、800余万円、道路改築事業費18億4、600余万円、直轄道路事業費負担金30億5、300余万円、直轄河川事業費負担金11億6、000余万円、団体営農地等災害復旧事業費29億7、500余万円、河川等災害復旧事業費97億2、500余万円等であります。
 次に、債務負担行為の補正は、大家畜経営維持資金の償還期限の延長に伴う利子補給ほか5件を新たに追加するとともに、盛岡駅西口複合施設整備事業ほか4件の期間及び限度額を変更しようとするものであります。
 また、地方債の補正は、児童福祉施設整備ほか10件を新たに追加するとともに、災害援護資金貸付金ほか19件の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第3号から第8号までは、平成14年度の特別会計予算6件の補正でありますが、これは、それぞれの事業計画の変更等に基づいて所要の補正をしようとするものであります。
 議案第9号から議案第14号までの6件は、予算の補正に伴う建設事業に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第15号は、情報公開条例の一部を改正する条例でありますが、これは、国の例に準じて、独立行政法人等に関する情報に係る開示の取り扱いを定めようとするものであります。
 議案第16号は、一般職の任期付職員の採用等に関する条例でありますが、これは、地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律等の規定に基づき、一般職の任期付職員の採用等に関し、必要な事項を定めようとするものであります。
 議案第17号は、国民健康保険広域化等支援基金条例でありますが、これは、国民健康保険事業の運営の広域化及び国民健康保険の財政の安定化に資する事業に要する経費の財源に充てるため、国民健康保険広域化等支援基金を設置しようとするものであります。
 議案第18号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例でありますが、これは、地方税法の一部改正に伴い、連結納税の承認を受けた法人に課する法人県民税及び法人事業税について単体法人を納税単位とするため所要の改正をするとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 議案第19号は、平成14年の台風6号に伴う大雨洪水災害による被災者に対する個人の事業税の減免に関する条例でありますが、これは、平成14年の台風6号に伴う大雨洪水災害による被災者が納付すべき平成14年度分の個人の事業税を減免し、もって災害の被災者の災害復旧を助長しようとするものであります。
 議案第20号は、看護職員修学資金貸付条例の一部を改正する条例でありますが、これは、看護職員修学資金の償還免除に係る対象施設の範囲及び業務の従事期間等について所要の改正をしようとするものであります。
 議案第21号は、岩手県男女共同参画推進条例でありますが、これは、男女共同参画の推進に関し基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進しようとするものであります。
 議案第22号及び議案第23号は、財産の取得及び処分に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第24号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 次に、報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 報告第2号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
   

〇議長(谷藤裕明君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時33分 散 会


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