平成15年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成15年3月3日(月)

1開会午前10時4分

1出席委員別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 大沼勝
 議事課長 平澤石郎
 議事課長補佐 浅田和夫
 主任議事管理主査 八重樫典彦
 議事管理主査 近藤光宏
 議事管理主査 浅沼聡
 議事管理主査 多田繁
 議事管理主査 田丸裕佳子
 議事管理主査 嵯峨俊幸

1説明員
 副知事 高橋洋介
 総合政策室長 佐藤勝
 首席政策監 法貴敬
 政策推進監 久保協一
 政策評価課長 中田光雄
 地域振興部長 飛澤重嘉
 地域振興部次長兼地域企画室長 池田克典
 市町村課長 菅野文也
 情報システム課長 高前田寿幸
 総務部長 小原富彦
 総務部次長兼総務室長兼総合防災室長兼危機管理監事務取扱 長澤忠雄
 参事兼財政課長 菊池秀一
 人事課長 藤尾善一
 税務課長 荒竹宏之
   

〇大沼議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、千葉浩委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 千葉浩委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員千葉浩委員委員長席に着く〕(拍手)

〇千葉浩年長委員 ただいま紹介のありました千葉浩であります。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に水上信宏君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました水上信宏君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇千葉浩年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました水上信宏君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました水上信宏君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 水上委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長水上信宏君委員長席に着く〕(拍手)

〇水上信宏委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました水上信宏でございます。
 委員会の運営につきましては、ふなれな者でございますが、各委員の御協力を賜り運営をスムーズに進めたいと思いますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に飯沢匡君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました飯沢匡君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました飯沢匡君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました飯沢匡君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 飯沢副委員長、ごあいさつをお願いします。

〇飯沢匡副委員長 ただいまは副委員長に御推挙賜りまして、まことにありがとうございました。
 力不足ではございますが、委員長を補佐いたしまして、円滑な議事運営に努力をさせていただきたいと思います。委員各位の特段の御指導、御協力をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)

〇水上信宏委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案35件についての審査の方法でありますが、お手元に配付いたしてあります日程案のとおり、本日から7日まで、10日及び11日の7日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案35件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、11日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。議案第1号から議案第21号まで、議案第23号、議案第27号、議案第28号、議案第30号から議案第36号まで、議案第44号、議案第45号、議案第47号及び議案第49号の以上35件を一括議題といたします。
 これより平成15年度予算の総括説明を求めます。

〇小原総務部長 それでは、予算の総括について御説明申し上げます。
 本県の財政を取り巻く環境は、県内景気の低迷による県税収入の減少や、国の構造改革による地方交付税と国庫支出金の減収が見込まれる一方で、公債費が大幅に増嵩し、大規模プロジェクトの事業費が増大するとともに、新たな行政課題への機動的な対応が求められるなど、これまでになく厳しい状況にあります。
 このような中にあって、平成15年度当初予算は、4月に知事選挙が行われることから、骨格予算として編成したものの、財政の健全化の推進を基本とし、中期財政見通しや平成15年度地方財政計画等に留意しつつ、歳入に見合った歳出規模となるよう、歳出の抑制に努め、政策評価結果を一層徹底するとともに、新たに政策形成・予算編成システムを導入し、行政ニーズに即した政策立案と予算編成事務の簡素合理化を図るなど、限られた財源の効果的な活用を行いながら編成したところであります。
 この結果、当初予算の規模は8、170億2、700万円余で、前年度当初予算対比で5.9%の減となるものであります。
 次に、歳入歳出予算の概要について申し上げます。便宜、お手元の予算に関する資料で説明させていただきます。
 1ページをお開き願います。平成15年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から13諸収入までであり、その総額は2、879億2、100万円余で、前年度当初予算に比べると5.1%の減で、歳入に占める割合は35.2%と前年度よりも0.2ポイント増加しておりますが、ほぼ前年度と同程度となっております。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、14県債であり、その総額は5、291億6、000万円余で、前年度当初予算に比べると6.3%の減となっておりますが、歳入に占める割合は64.8%と、これもほぼ前年度並みの水準となっております。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれの所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明いたしますので、款別歳出については説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 3ページをお開き願います。平成15年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず人件費は、表の右端の増減率欄をごらんいただきますとマイナス2.6%となっておりますが、これは、人事委員会勧告に沿った給与改定による減額などによるものであります。物件費は、いわて情報ハイウェイの管理経費の節減等により2.8%の減、また、維持補修費は、教職員住宅に係る管理費の減等により1.0%の減となっております。4ページの扶助費は17.1%の減となっておりますが、支援費制度の創設などにより措置費が県予算に計上されなくなったこと等によるものであります。補助費等は2.6%の減でありますが、これは、利子割交付金、地方消費税交付金が減少したことなどによるものであります。普通建設事業費は18.2%の減となっており、そのうち単独は23.9%の減となっておりますが、これは、いわて子どもの森の整備の終了などによるものであります。次に、5ページの災害復旧事業費は7.3%の減となっております。公債費は9.3%の増となっておりますが、これは、国の経済対策に呼応した補正予算債や地方財源不足としての財源対策債、東北新幹線建設に係る県債等についての償還額が増加していることによるものであります。積立金は、昨年積み立てました森林整備地域活動支援交付金基金への積立金などが減少したこと等により40.0%の減となっております。出資金は、いわて銀河鉄道に対する出資金が減少したことなどに伴い68.6%の減となっております。貸付金は、商工観光資金などの貸付金が減少したことなどから6.1%の減となっております。
 一般会計歳入歳出予算の概要は以上のとおりでありますが、先ほど冒頭御説明いたしました予算に関する説明書について、ちょっとそろわない前に説明したようでございますので、もう一度説明させていただきます。
 予算に関する資料でありますが、1ページのところでございますが、平成15年度一般会計歳入歳出予算総括表の第1表歳入のうち、自主財源は、県税、それから地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から13の諸収入までであり、その総額は2、879億2、100万円余で、前年度当初予算に比べると5.1%の減で、歳入に占める割合は35.2%ということで、前年度よりも0.2ポイント増加しておりますが、ほぼ前年度と同程度となっております。
 また、依存財源の方は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、14県債でありまして、その総額は5、291億6、000万円余で、前年度当初予算に比べると6.3%の減となっておりますが、歳入に占める割合は64.8%と、これもほぼ前年度並みの水準になっているところであります。
 特別会計の方につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
 なお、歳入、その他につきましては、長澤次長の方から説明申し上げますので、御了承願います。
 以上で総括説明を終わります。

〇長澤総務部次長 それでは、歳入、その他について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号平成15年度岩手県一般会計予算についてでありますが、第1条は歳入歳出の総額を8、170億2、760万円余と定めるものであります。第2条は債務負担行為の限度額などを、第3条は地方債の限度額などをそれぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は職員の給与について、歳出予算の流用を定めたものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。便宜、お手元の予算に関する説明書で御説明いたします。
 予算に関する説明書3ページをお開き願います。まず、1款県税1項県民税は223億8、000万円余で13.3%の減となっておりますが、これは、1目個人県民税及び2目法人県民税が長引く景気の低迷等により、3目利子割は高金利の定額貯金満期のピークが過ぎたことなどにより、それぞれ減収と見込んだものであります。
 次に、4ページの2項事業税は209億6、300万円余で4.9%の減となっておりますが、これは同じく景気の低迷等により、企業の業績見通しが前年度を下回るものと見込んだことによるものであります。
 次の3項地方消費税は、地方財政計画などをもとに118億4、800万円余、4.5%の減と見込んだものであります。
 次に、6ページをお開き願います。4項不動産取得税は27億8、100万円余で、税率の引き下げなどで3.9%の減と見込んでおります。
 5項県たばこ税は27億2、800万円余で、税率の引き上げなどにより5.4%の増と見込んでおります。
 次の8ページをお開き願います。6項ゴルフ場利用税は4億7、300万円余で13.1%の減、そして次の7項自動車税は207億7、000万円余で2.3%の減とそれぞれ見込んでおります。
 10ページに参りまして、8項鉱区税と11ページの9項狩猟者登録税は、最近の課税実績等を勘案し、それぞれの収入見込み額を計上したものであります。
 次に、12ページの10項自動車取得税は40億6、200万円余で6.0%の減となっております。
 13ページの11項軽油引取税は195億6、600万円余で4.0%の減となっておりますが、これは景気動向による物流の影響を見込んだことによるものであります。
 次に、14ページの12項入猟税は、狩猟者登録税と同様、課税実績等を勘案し計上したものであります。
 次に、13項は旧法における税であります。
 以上、県税の合計額は1、056億7、100万円余で、前年度当初予算額に比べ67億1、000万円余、6.0%の減となるものであります。
 次に、16ページの2款地方消費税清算金は252億4、300万円余で1.5%の減となっており、次の3款地方譲与税は、1項地方道路譲与税が37億2、200万円余、次のページの2項石油ガス譲与税が3億600万円余、次の3項航空機燃料譲与税が1、300万円余と見込んだところであります。
 次に、20ページの4款地方特例交付金は21億4、200万円と、前年度に比較し124.1%と大幅にふえておりますが、これは、国庫補助負担金の一般財源化に伴う措置が講じられたことにより増加するものと見込んだところであります。
 次の5款地方交付税は2、444億5、500万円余で、7.7%減で計上しております。これは、15年度地方財政対策で総額が減少したこと、及びその一部が14年度に引き続き臨時財政対策債に振りかえられたことなどによるものであります。
 次に、22ページ、6款交通安全対策特別交付金は6億2、400万円余と計上したところであります。
 次の7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、24ページから26ページまでの2項負担金は、総務、民生、衛生、農林水産、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金を計上したものであります。
 27ページでございますが、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、2目民生使用料では、し体不自由児施設使用料、次のページの5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、29ページの7目土木使用料では、空港施設使用料、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料、9目教育使用料では、高等学校及び県立大学の授業料などが主なものであります。これら使用料の総額は88億3、700万円余で、前年度より1.6%の減となっております。
 次に、31ページに参りまして、2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生使用料で、食品営業許可や堵畜検査に係る手数料のほか、34ページの8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などで、その合計は35ページ記載のとおり総額29億6、000万円余で、前年度とほぼ同額になっております。
 次に、36ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託15億8、400万円余、10節の生活保護39億円余、それから37ページの3目農林水産業費負担金では、1節の農業共済等事務18億6、700万円余、4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業などがその主なものであり、その総額は583億3、900万円余で前年度より11.4%の減となっております。
 次に、39ページ、2項国庫補助金でありますが、54ページまで進んでいただきまして、その総額は802億3、000万円余で15.0%の減となっております。
 次に、55ページに参りまして、3項委託金でありますが、その主なものは1目総務費委託金では、統計調査に係る国庫委託金、次のページに参りまして、5目農林水産業費委託金では、障害防止対策に係る国庫委託金などで、総額は11億1、100万円余で16.4%の減となっております。
 次に、58ページをお開き願います。10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は7億4、500万円余を見込んでおります。
 次のページの2項財産売り払い収入は、土地の売り払いなどが減少することにより、前年度に比較して70.5%減の6億9、800万円余と見込んでおります。
 次に、60ページに参りまして、11款繰入金1項特別会計繰入金は3億8、000万円余となっております。
 次のページの2項基金繰入金は385億5、200万円余となっております。主なものでは、県債の償還に充てるため県債管理基金から280億円、県立高等学校の校舎整備など公共施設等の整備に充てるため、公共施設等整備基金から40億円繰り入れることにしており、前年度と比較して25億3、900万円余、7.1%の増となるものであります。
 次に、62ページの12款繰越金は整理科目であります。
 63ページ、13款諸収入1項延滞金、加算金及び過料は1億7、900万円余を計上しており、64ページ、2項預金利子は4、700万円余と見込んでおります。
 65ページ、3項公営企業貸付金元利収入は114億8、700万円余で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、次の66ページ、4項貸付金元利収入は、総務、民生、衛生などの各行政部門における貸付金元利収入であり、合計額は、68ページに記載してございますが、712億4、700万円余となっております。
 下の5項受託事業収入の総額は、次の70ページのとおり39億9、800万円余となっております。
 次に、71ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入34億5、900万円余を見込んでおりますし、72ページ、7項利子割精算金収入は500万円余、73ページ、8項雑入の総額は、77ページまで進ませていただきまして、その総額69億6、700万円余と見込んでおります。
 次に、78ページ、14款県債でありますが、その総額は、80ページにございます。1、381億6、000万円余であり、臨時財政対策債の増加などにより、前年度に比較して48億1、800万円余、3.6%の増となっております。
 次に、大きく飛びまして302ページをお開き願います。302、303ページでございますけれども、県債の現在高見込みでありますが、平成14年度末では、前年度末現在高見込み額の計、303ページの計の欄の左から二つ目でございます。1兆3、405億1、700万円余、平成15年度末では、同じく計の欄の右端になりますが、1兆3、622億7、400万円余と見込んでおります。
 以上で私の説明を終わらせていただきます。

〇水上信宏委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、代表質疑、自由質疑の順に行うことになっております。代表質疑は、交渉団体である各会派1人ずつとし、発言時間は、答弁を除き各会派ともそれぞれ30分となっておりますが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっております。また、自由質疑は、答弁を除き1人10分を限度とし、その指名順は、交渉団体である会派に属していない委員を優先することになっております。
 なお、総括質疑は、午後5時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより代表質疑に入ります。

〇藤原泰次郎委員 自由民主クラブの藤原泰次郎でございます。
 私は自由民主クラブを代表いたしまして、平成15年度当初予算につきまして総括的に質問させていただきますので、よろしく御答弁をお願いいたします。なおまた、一般質問でもいろいろありましたが、私は若干視点を変えていろいろお伺いいたしますので、よろしく御答弁をお願いいたします。
 まず、総合計画の進捗状況などについてお伺いいたします。
 長引く景気の低迷等で先行きの見えない経済社会情勢の中にあって、先週までの一般質問を通じて見ますというと、本県県政の羅針盤である岩手県総合計画に関して、その推進に向けた知事の積極的な姿勢がうかがえたところであります。今年度は増田県政2期目の最後の年度に当たるわけでありますが、前期計画のこれまでの進捗状況はいかがだったでしょうか。また、これをどう評価されているでしょうかお伺いいたします。

〇高橋副知事 総合計画の前期計画の進捗状況についてでございますが、計画に掲げます343の主要な事業のうち、13年度末現在では、325事業が事業着手ということになっておりまして、実施割合で申しますと95%ということになるわけでございます。また、11年度から13年度までこれまでに投資いたしました事業費は約1兆6、500億円余でございまして、全体事業費に対する割合は39%ということでございます。
 これを主要な指標の進捗状況等で見ますと、まず、主要な指標の進捗状況では、おおむね順調な指標――これは到達度中以上の指標を言っておりますが――、この割合が54%ということで半分を超えているという状況でございますし、また、総合計画の78分野の達成状況で見ますと、順調、それからおおむね順調とされた分野の割合は約6割ということになっております。また、総合計画の17の施策の達成状況を見ますと、順調、おおむね順調とされた施策の割合は約7割ということでございます。
 さらに、五つの社会ごとに主要な指標の達成状況を見ますと、おおむね順調とされておりますのが2の快適に安心して暮らせる社会、それから4のネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会、それから5の個性が生かされ、共に歩む社会ということでございまして、全体を申し上げますと、事業着手数、また投資事業費、それから主要な指標の達成状況等から申し上げたわけでございますが、全体としては、おおむね順調に推移しているのではないのか、総じて所期の成果を上げたものだと考えているわけでございます。ただ、大変厳しい経済情勢等を反映した大変厳しい状況の施策もございますので、計画の着実な推進に向けては、なお一層の努力を傾注してまいらなければならぬと思っているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 平成15年度当初予算は、厳しい財政状況を反映し、骨格予算とはいえ、2年連続で前年度に比べてマイナス5.9%と大幅な減少となっております。しかも、先般の代表質問の答弁では、知事は今後、財政健全化プログラムを策定するとの答弁まで披露されました。このような厳しい状況にあって、平成15年度においては、総合計画はどのように推進されるのでしょうか、今後の見通しとあわせてお示し願います。

〇高橋副知事 御指摘のように大変厳しい財政環境のもとで、15年度当初予算を骨格予算として編成したわけでございますが、そのような中でも県政にとって喫緊の課題でもございます緊急雇用対策、また、産業廃棄物不法投棄現場の環境再生、それから食の安全安心対策、これらにつきましては、その緊急性が高いということにかんがみまして、当初予算で措置をしたところでございます。この当初予算で措置したもの以外のものにつきましては、今後の補正予算におきまして具体的な施策を肉づけしていくというように考えているわけでございますが、15年度に推進しようとしている主な内容を五つの社会ごとに申し上げますと、まず、自然と共生し、循環を基調とする社会の実現に向けた取り組みにつきましては、青森県境において発生いたしました産業廃棄物の不法投棄事案について、全力を挙げて取り組み、循環型社会の形成に努めることとしておりますし、県民、事業者、環境団体、行政等が連携して環境に関する普及・啓発活動を展開することによりまして、環境と共生した地域社会の形成を図ることとしております。
 また、快適に安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みにつきましては、県民の食の安全及び安心の確保を図るため、食の安全・安心についての基本方針、それから計画を策定することとしておりますほか、災害医療支援機能を有する災害拠点病院の施設及び医療機器を整備いたしまして、災害時における医療を確保することとしております。
 それから、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会の実現に向けた取り組みにつきましては、岩手が持つものづくりの技術を生かした産業の集積など、地域資源を生かした産業の活性化と雇用の創出を図ることとしております。
 それから、ネットワークが広がり、交流・連携が活発に行われる社会の実現に向けた取り組みにつきましては、IGRいわて銀河鉄道株式会社の健全な経営と、それから充実したサービスの提供が図られるように支援してまいるほか、花巻沖縄線の交流促進のためのチャーター便の運航などを実施いたしまして、空港の利便性の向上を図ることとしております。
 それから、個性が生かされ、共に歩む社会の実現に向けた取り組みにつきましては、小学校1年生を対象に非常勤講師を配置するなど、少人数指導の徹底を図ることとしております。
 今後の計画の見通しでございますが、御指摘のような大変厳しい財政環境下にございますので、早期に財政の健全化を図りまして必要な財源を確保していくと、これが大前提になるわけでございますが、これまでの政策評価の結果を十分に踏まえまして、今まで以上に選択と集中を徹底いたしまして、重点的に施策を展開していくこととしておりまして、このような取り組みを行うことによりまして、総合計画の着実な推進を図りたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、県財政についてお伺いします。
 冒頭で申し上げましたように、平成15年度当初予算は、過去最高の緊縮予算として編成された平成14年度当初予算を、さらに500億円も下回る緊縮予算となりました。県税のみならず、国庫支出金など国に依存する歳入の今後の状況も気になるところであります。国は、国庫補助負担金の一般財源化を進めるとしていますが、平成15年度の状況はどうだったのでしょうか。また、一般財源化は本県にとって、どのような影響があったのでしょうかお聞かせ願います。

〇小原総務部長 国庫補助負担金の一般財源化について15年度の状況はどうか、どのような影響があったのかというお尋ねでございますが、国庫補助負担金制度は、全国的な行政水準の確保、あるいは国の政策と整合した事業の施行などの政策手段として大きな効果を発揮してきましたが、一方では、地方公共団体の自主的、主体的な行政運営の阻害や効率的な財政運営の阻害などの弊害も指摘されてきたところであります。
 このため、国庫補助負担金の整理合理化のあり方について、国、地方を通じて常に議論の焦点となってきたわけでありますが、いわゆる骨太の方針や構造改革と経済財政の中期展望、これらを受けて、平成15年度の国の当初予算においては、在宅福祉事業費補助金や義務教育費国庫負担金など、約2、300億円の一般財源化が行われ、このうち2分の1は地方特例交付金、そして2分の1は地方交付税の増額で財源措置することとされたところであります。
 この結果、本県分としては12件、34億1、500万円が一般財源化されたところであります。現時点ではこの財源措置される額については正確には未定でありますが、従来どおり国庫補助負担金として交付された場合の額と、一般財源化された後の額をそれぞれ試算してみますと、特例交付金では17億800万円制度としては入るところ、つまり17億800万円必要なところ12億4、500万円しか算入されない。また、地方交付税では17億800万円必要なところ12億7、100万円しか算入されず、全体では7割強程度の措置にとどまって、合計でおよそ9億円が本県の負担増になると試算されるところであります。
 これは、交付金が単純に人口案分方式で算定されることや、国庫補助負担金制度と異なって交付税は、御案内のとおり所要額が基準財政需要額に算入されるものの、交付額は基準財政収入額との差で決定されるということによるものであります。特に今回の義務教育費国庫負担金については、国においては三位一体の改革の芽出しであるということで評価しておりますけれども、地方がみずから主体的に判断することが不可能ないわゆる義務的、固定的な経費の一般財源化でございまして、地方の自主性の拡大につながるものとは言えず、期待外れの結果であると考えております。
 また、このようなやり方を見ていますと、国の構造改革は、国の財政負担の圧縮という国自体の財政改革に力点を置いているようにも見受けられ、真に地方の立場に立った取り組みとなっていないのではないかと危惧されるところであります。したがいまして、国においては、現在検討が進められております三位一体の改革が地方の行政運営にマイナスに働くことのないよう、その動向を注視しながら、地方の立場から積極的に発言していく必要があると考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、地方交付税の見通しについてお伺いいたします。
 平成13年度から地方交付税の身がわりとして臨時財政対策債が発行されるようになりました。肝心の交付税は減額の一途をたどっております。このまま交付税の補てんを借金で続けるのでありましょうか。今後の交付税の見通しについてお聞かせ願いたいと思います。

〇小原総務部長 地方交付税の補てんについて臨時財政対策債で続けるのかというお尋ねでございますが、臨時財政対策債は平成13年度から制度化されたわけでありますが、13年度から15年度までの間という、期間を限定した臨時的な財政措置とされ、その元利償還金の全額が後年度の基準財政需要額に算入されることとされているところであります。
 現在、国におきましては、三位一体の改革の一環として、地方交付税の総額を抑制する方向で、地方財政計画における歳出の計画的な抑制やその仕組みの見直しなどの改革に取り組んでいるわけでありますが、その中で臨時財政対策債については特に触れられておらず、期限を過ぎた平成16年度以降についてどうするのか、方向性が定まっていない状況にあります。地方交付税の原資である国税の収入見込み、あるいはこれまでの地方財政対策の流れからしますと、今後、交付税が増額されて臨時財政対策債が廃止されるとは考えにくい情勢にあるものと考えています。
 本県におきましては、多額の公債費を抱え、プライマリーバランスの均衡の早期回復が急務となっておりますので、15年度当初予算においても、県債発行の縮減に努めたところでありますが、交付税が減少して身がわりの臨時財政対策債の発行が多額になったことにより、県債発行を前年度より増額せざるを得なくなっております。このような臨時財政対策債制度の継続は公債費の累増を招くということから、財政健全化の大きな阻害要因になりかねないと考えております。したがいまして、地方財源不足については、当面は臨時財政対策債のような赤字地方債の発行ではなくて、地方交付税で全額措置するとともに、中長期的には地方分権を支えるにふさわしい財政基盤が確立されるよう、全国知事会等を初め、あらゆる場を活用して地方全体の声として、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、投資的経費についてお伺いします。
 一般質問でたびたび取り上げられたように、15年度当初予算における公共事業費は18.3%のマイナス予算となっております。長引く不況と景気の低迷が続き、県内経済も疲弊しており、特に景気回復の牽引車となるべき公共事業の積極的な展開が強く望まれますが、性質別に歳出を見ると投資的経費の割合が減ってきております。私は、良質の社会資本の整備を図るためにも、投資的経費が大切と考えておりますが、予算全体では義務的経費やその他の経常的経費とのバランスもあると思います。この点について、今後どのようにお考えになるのでしょうかお聞かせ願います。

〇小原総務部長 投資的経費についてでありますが、本県の財政は財源の確保が極めて厳しい状況にある一方、公債費の急激な増加により、義務的経費が増加し財政の硬直化が進行している状況にあります。また、今後とも多額の歳入不足が見込まれることから、持続可能な財政構造に転換するための健全化目標と本県の自立の道筋を明らかにしたプログラムを策定し、数値目標を掲げながら、歳出削減策や歳入確保策について、平成15年度から18年度までの4年間に集中的に取り組むこととしております。
 この中では、投資的経費、特にも公共事業については、これまでおくれている社会資本の整備推進を図るため、前倒しで実施したところでありますが、本来あるべき適正水準を超えているので、今後は、国において経済対策を大規模に行い始めた平成4年度以前の水準に、段階的に平準化していくことが必要であると考えております。そして、ハード中心の施策展開から、蓄積したストックの有効な活用を図るような、ソフト施策とバランスのとれた施策の展開を図り、真に重要な分野に対し財源を重点的に活用していくことが必要と考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、政策評価結果の予算への反映についてお伺いします。
 当初予算は、継続事業や経常的経費中心の骨格予算として編成されました。総合計画の推進を中心的に担うこととなる新規あるいは政策的な経費は、6月補正での措置ということになるわけでありますが、その際、政策評価を中心に据えた県政運営を進めるという考え方から見た場合に、平成14年度の政策評価の結果がどのように予算に反映されることになるのでしょうか、その基本的な方向なり考え方をお示し願いたいと思います。

〇佐藤総合政策室長 政策評価結果の予算への反映ということで、平成13年度から政策評価につきましては本格実施ということで、今、実施しているわけでございますが、この政策評価結果につきましては、各部局みずからが、この結果に基づきまして施策、事業の有効性あるいは効率性などの観点から、既存事業の徹底的な見直しを行うということにいたしております。と同時に、総合計画の着実な推進、それから当面する重要課題に的確に対応するため、より効率的な、効果的な施策を立案し予算に反映させるように努めているところであります。
 今回、政策評価のシステムと、それから予算編成を結びつけた政策形成・予算編成システムでございますが、政策形成予算の編成に当たりまして、このシステムを今回試行的に明年度予算に向けまして導入し、そして政策評価の結果を今後特に力を入れるべきとされた事項、あるいは各部局におきまして課題とされている事項、それらを踏まえて政策形成プロジェクトとして企画、立案いたしまして、手続的には政策評価・推進会議――これは内部の会議でございますが――、そこで審議をし、優先度が高く効果的であると判断されたプロジェクトにつきましては、政策的な経費として、そのまま予算化される仕組みをつくりまして、内部でそれに向けて努力したところであります。
 このように新しい政策形成・予算編成システムでございますが、政策評価の結果が政策形成の段階から予算編成まで確実に反映され、そして結果的に施策の選択と集中、重点化というものが一層図られていくものと考えております。
 なお、平成15年度の予算につきましては、骨格予算ということで、緊急性の高い事業、例えば緊急雇用対策であるとか、あるいは県境不法投棄対策、あるいは食の安全安心対策などのこれらの緊急性の高い事業とか、あるいは継続事業については当初で計上いたしましたが、ただいま申し上げました政策形成プロジェクトにつきましては、これから各部局でさらに練り上げまして、そして政策評価・推進会議の場で決定し、6月補正に肉づけをされるということになるものと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、特別養護老人ホームについてお伺いします。
 介護保険制度施行後、特養ホームへの入所希望者は増加し、待機者がたくさんいると聞いております。介護保険の基本的理念が在宅重視であることは承知しておりますが、施設の入所希望者への対応も必要であります。
 そこで、お伺いしますが、入所希望者の最近の状況はどうなっているのでしょうか。また、県では、入所が必要な方が入所できるようにするため、どのような方策を講じておられるのでしょうか。
 さらに、第2期介護保険事業計画の策定作業も最終段階に来ていると存じますが、施設への入所希望者が増加している中、施設の整備方針と今後の整備見通しはどうなっているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事 特別養護老人ホームへの入所を希望しております在宅の要介護者は平成14年9月末現在で1、745人となっております。そのうち要介護度が3以上の方が50.5%というような状況でございます。このような状況を踏まえまして、入所が必要な方が円滑に入所できるように、今般、岩手県社会福祉協議会高齢者福祉協議会が、県と協議をいたしまして岩手県特別養護老人ホーム入所に関する指針というものを策定したところでございます。県としては、要介護度、それから家族の状況等に応じまして、適切に入所できるように支援をしているところでございます。また、入所定員につきましても、現計画の整備分といたしまして、平成14年度から15年度にかけまして約300床増床させることとしたことなど、特別養護老人ホームの整備には努めているところでございます。
 それから、市町村が策定しております次期計画の中では、今後5年間に県全体で約800床の増床を行う計画となっておりまして、県としては、その計画達成に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。なお、平成15年度は、この市町村計画に基づきまして、約200床の増床が行われるということになってございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、特養ホームではありませんが、宮城県内のNPO法人が運営する施設において、入所者を監禁するなどの虐待疑惑が昨年12月に発覚し、宮城県では入所者に退所を促すとともに、1月下旬には立入調査を実施したという報道がありました。家庭での介護が困難となった高齢者が入所している特養ホームでは、そういった問題があってはならないと考えておりますが、県内ホームの運営状況はどうなっているのでしょうか。また、県では特養ホームの運営に対してどのような指導を行っているのかお尋ねいたします。

〇高橋副知事 特養ホームの運営状況でございますが、全体的には経営面ではおおむね健全に運営されておりますし、また、処遇面でも適切なサービスの提供に努めていると認識しているところでございます。もちろん委員御指摘のように、監禁とか虐待というものはあってはならないものでございまして、ただ、こういうような悪質な処遇事例というものは県内ではないものだと承知しているところでございますが、一方で、まだ身体拘束、このことにつきましては、これを廃止した施設は若干ずつ減少してはおりますが、昨年12月の調査ではまだ2割にも満たないという状況でございますので、この面につきまして指導を徹底していく必要があるのではないのかと考えているところでございます。
 それから、特養ホームにつきましては、老人福祉法に基づきます指導監査、これが毎年1回行われることになっておりますし、それから介護保険法によります事業者指導を原則として2年に1回実施するということになっております。さらに、何らかの不適切な事業運営が疑われるという場合には随時監査を行うということで、個別に指導を行うこととしているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、子育て支援についてお伺いします。
 核家族化が進行する中で、子育てをめぐる環境は大きく変化しております。本県においても、子育て支援の中核となる保育所や児童館等の整備が進められておりますが、家庭養育機能の脆弱化や地域連帯意識の希薄化が指摘されている中、これらの保育所等には、多様な保育ニーズへの対応、保護者に対する助言など、地域の子育て支援のために大きな役割を担うことが求められております。
 そこで、お伺いいたしますが、これらの施設の専門的機能を生かし、保護者の病気や育児不安等に対するため、一時的に児童を預かる体制や相談する体制はどのようになっているのでしょうか。
 また、学校週5日制の実施等に伴い、ニーズが高まっている放課後児童クラブの設置状況や利用状況はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事 まず、一時的に児童を預かる体制でございますが、保育所では、保護者の育児疲れとか急病、また、断続的な勤務等の場合に、一時的に児童を預かる一時保育促進事業を行っております。これは86カ所でやっておりますし、そのほかに乳児院や児童養護施設でも、短期入所をさせますショートステイ事業、これは8カ所、それから夜間に預かるトワイライトステイ事業、これも8カ所行って、これらで一時保育をやっているわけでございますが、児童が病気の回復期にございまして集団保育が困難な場合には、そういうような病後児に、回復期の児童に対応した機能を有する病院等におきまして、乳幼児健康支援一時預かり事業を――これは3カ所でございますが――実施しているところでございます。これらの事業を通じまして、子育て支援体制の整備に努めているところでございます。
 それから、相談体制でございますが、保護者の育児不安等に関する相談につきましては、保育所等に設置されております地域子育て支援センター、これは47カ所ございますが、これで対応しておりますほかに、専門的な内容につきましては、市町村の保健センター、それから児童相談所等との連携を図りながら、地域や家庭からの相談に応じているところでございます。
 次に、放課後児童クラブでございますが、設置状況は、平成14年度に42市町村、135クラブでございまして、前年度より設置市町村は10町村増加をし、クラブ数も26クラブ増加をしてございます。
 それから利用状況は、クラブを利用している児童は、平成14年の12月1日時点で4、973人、前年より約600人増加をしている。クラブ利用率も25.5%、前年度、13年度よりも2.5ポイント増加しているところでございますが、まだ未設置市町村がございますので、この解消を図るということを重点にいたしまして、多様なニーズに対応した子育て支援策を推進していかなければならない、そのように考えているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、交通問題についてお伺いします。
 地方バス対策についてでありますが、昨年2月の需給調整規制の廃止以降、本県においても不採算路線の休廃止が相次ぐ状況となっております。県では、その対策のため、岩手県生活交通対策協議会を設置し、その地方分科会で地域の実情に応じた対策を検討することとしておりますが、制度改正後の休廃止の申し出と検討の状況をお示し願いたいと思います。
 なお、市町村では、バス路線が廃止された後に廃止路線代替バスを運行している例がありますが、このような市町村の取り組みの状況はどうなっているのでしょうか、お示し願いたいと思います。
 また、県は、今後、地方バス路線の維持のためどのような対応をされるのか、その考え方についてもあわせてお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 バス路線についてのお尋ねでございますが、現在、バス路線の需給調整廃止に対応するために、県において、県の生活交通対策協議会、これは県と市町村とバス事業者で構成されておりますが、こういう協議会がございまして、この協議会に、昨年、平成14年2月1日から15年1月31日の1年間に、バス路線の休廃止の申し出がございましたのが72路線でございます。そのうち、この協議会等で検討して、利用者がほとんどいないということで日常生活に影響がないと、対策が不要と判断された路線が44線ございます。それから、廃止路線代替バスなどで対応されるものが7路線、残る21路線につきましては現在も検討中でございます。
 それから、以前から廃止路線代替バスを運行しております市町村ということでございますが、このバスを運行しておりますのが42市町村ございます。それから、このほかに8市町村でバス事業者に対する路線維持のための補助を行っておりますし、また、2町において集落のマイクロバスの運行等に助成している例がございます。ということで、総体として県内で44市町村が何らかの対策を講じているという状況にございます。
 それから、バス路線の廃止にどう対応するかということでございますが、今後の急激なバス路線の休廃止をできるだけ抑制して路線再編等を促したり、あるいは、市町村には患者輸送車でありますとかスクールバスを持っている例が多うございますので、そういった市町村保有のバスを活用する方策も検討いたしまして、効率的で地域住民のニーズに的確に対応した生活交通バス路線網を再構築すると、そういう観点から、対応策を現在市町村とともに検討しているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に携帯電話、いわゆる通じない地域の解消の関係でお伺いいたします。
 最近の携帯電話の普及状況は目覚ましいものがあります。本県においても、今やおよそ県民2人に1人が携帯電話を所持しているという、まさに県民に身近な通信手段として定着した感があります。しかしながら、県内の携帯電話利用可能エリアを見ますというと、北上川流域こそ、おおむねどこでも利用可能となっておりますが、奥羽山系や北上高地、沿岸地域では利用可能エリアが限られており、緊急時の連絡等に大きな不安を覚えているのであります。
 そこでお伺いしますが、本県における携帯電話不感地域解消に対するこれまでの取組状況と今後の対応についてお考えをお示し願いたいと思います。

〇飛澤地域振興部長 委員お話しのとおり、携帯電話の普及は急速に進んでおりまして、まさに日常生活のインフラと呼んでもいい部分があろうかという状況でございますが、携帯電話のサービスエリアの拡大につきましては、原則的に民間通信事業者が取り組むということが基本になっておりまして、本県の山間部あるいは沿岸部につきましては、事業者の採算性の確保が困難ということで、携帯電話のサービスが受けられないという地域が多い状況にございます。
 県といたしましては、こういった市町村の要望等を踏まえまして、これまで民間通信事業者にサービスエリアの拡大を要請したり、あるいは国庫補助事業の積極的な導入を図って、市町村に移動通信用の鉄塔施設の整備を促進してまいりました。平成3年度から今年度までに15地区の整備を行っておりますし、来年度につきましては、現在審議をいただいている予算に盛り込んでございますが、3地区の整備のための事業費を盛り込んでいるところでございます。
 今後の取り組みといたしまして、民間事業者への要請あるいは従来までの国庫補助事業の導入を促進するといったことのほかに、事業者の採算性の確保が困難な、いわゆる条件不利地域のサービスエリアの拡大に向けまして、県と市町村と民間通信事業者が一体となって取り組む新たな整備手法と申しますか、そういった仕組みを検討いたしまして、携帯電話の不感地帯の解消に努めていきたいと、そのように思っております。

〇藤原泰次郎委員 次に、最近における県内の経済情勢についてお伺いします。
 先般、政府が発表いたしました2月の月例経済報告によりますと、景気の現状について、引き続き一部に持ち直しの動きが見られるものの、このところ弱含んでいるとして、先月まで3カ月連続で下方修正していた基調判断を据え置いたところでありますが、所得環境の悪化から個人消費の落ち込みが続くとともに、生産も低迷するなど厳しい状況となっております。このような状況から、昨年初めから緩やかに回復してきた我が国経済は、さらには腰折れするのではないかとの懸念が強まってきているところであります。
 一方、本県の景気動向に目を転じますと、今春卒業予定の高校生の就職難が深刻な状況にあるほか、最近においても、県内第3位の大手スーパーの倒産が発生するなど、本県の景気の先行きは不透明な状況が続いております。景気の自律的回復の一刻も早い実現を、県民はひとしく待ち望んでいるものでありますが、県においては、最近における県内の経済情勢をどのように認識しておられるのか、今後の見通しとあわせてお示し願いたいと思います。

〇佐藤総合政策室長 最近の県内経済情勢でございますが、昨年上期には、本県製造業の中でウエートの高い電気機械の一部に回復の兆しが見られたことなどから、県内景気に一部持ち直しの動きも見られたわけでございますが、下期にかけましては、世界経済情勢の先行き懸念であるとか、あるいは株価低迷の影響などによりまして、国内経済の持ち直しに向けた動きが、ただいま御指摘がありましたとおり弱まってきたということを受けて、本県におきましても、生産活動を初めとして回復の動きが弱くなってきている状況にあります。
 このような中で、本県における最近の主要な経済指標を見てみますと、個人消費の関係で大型小売店の販売額、それから乗用車の新車登録台数など、これはこのところ低調に推移しております。また、雇用情勢も、有効求人倍率は若干改善の動きが見られますけれども、全国を下回る水準で推移するということで、依然として厳しい状況にあります。また、大型倒産あるいは企業の撤退というものが続いている状況にあるわけでございます。
 以上のことから、本県の経済は低迷状態が長引き、厳しい状況が続いているものと認識をいたしております。
 今後の見通しでありますが、国におきましては、いわゆる総合デフレ対策など昨年の10月から暮れにかけまして取りまとめて、さらには平成14年度の補正予算を編成するなど、景気の回復に努めているわけでありますが、本県におきましては、中小企業に対する一層の支援体制の充実強化を図る、それからベンチャー企業とかあるいは地域資源を活用したコミュニティ・ビジネスの育成、さらには情報サービス、物流、環境産業などの誘致というようなことで、雇用の創出、拡大に向けた取り組みをなお一層積極的に進めていく必要があり、また、そのようにしていくということにいたしております。
 こういう施策の実施などによりまして、景気の回復が図られる、あるいは強く期待するというものでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、企業誘致の状況についてお伺いします。
 長引く景気の低迷を受けて、企業の国内投資意欲は冷え込んだままであります。企業誘致はどこの自治体においても苦戦を強いられております。本県においては、北上川流域地域を中心とした企業集積などにより、工業出荷額の伸びはこれまで全国平均を上回って推移してきたところでありますが、平成13年度の工業出荷額は約2兆2、600億円と、前年度に比べ約1、900億円も落ち込んだと伺っております。これは、製造業の海外シフト等による企業立地の減少や工場の閉鎖、撤退などを背景としたものであり、本県工業を取り巻く環境は、厳しい状況が続いているものと認識しております。
 そこでお伺いしますが、最近の企業誘致実績並びに今後の見通しをどのようにとらえられているのでしょぅか。また、誘致企業の閉鎖、撤退の状況と撤退後の空き工場の活用状況についても、あわせてお示し願いたいと思います。

〇高橋副知事 企業誘致実績と今後の見通しでございますが、今年度のこれまでの立地件数は、製造業が10件、それから、流通関連業また情報関連業等が7件の計17件でございまして、参考までに申し上げますと、操業時雇用予定が610人でございます。最終計画ベースでは1、134人と、こういうことでございまして、前年実績の15件を上回る立地件数となっております。
 その特徴といたしましては、自動車部品や物流メーカーのまとまった立地がありますし、また、助成制度が呼び水になりまして、昨年度に引き続きまして、コールセンターの立地を見たことなどが挙げられるわけでございます。
 今後の見通しでございますが、委員御指摘のように、企業は中国等の低コストの地域に生産拠点をシフトしてきているわけでございまして、国内における製造業の立地というものは、当面、厳しい状況が続くものと見込まれるわけでございますが、県といたしましては、企業誘致に当たりましては、自動車関連業それから今後も国内展開が期待される業種、例えばコールセンター等の情報関連業、それから流通関連業、環境関連業など、これらのターゲットを絞りまして、重点的に誘致を進めていきたいと、そのように考えております。
 それから、誘致企業の工場閉鎖等の状況でございますが、昨年度は御案内のように、アイワ岩手それからアルプス電気を含めまして24件、離職者が2、168人も出たわけでございますが、今年度はこれまでに7件、離職者が215人となっているところでございます。
 最近は企業の立地形態も多様化してきておりまして、特に早期の操業開始それから初期投資をできるだけ抑えると、そういうことを目的にいたしまして、空き工場に対する需要が大変高まってきております。
 そういうことで、県におきましては、工場用地と同じように、企業立地推進課でやっておりますホームページ等に工場跡地という欄を設けまして、これを掲載いたしまして積極的に情報を提供しているところでございます。その結果、昨年度以降、これまでに9社の企業を空き工場等に誘致をいたしまして、最終計画ベースでは410人の雇用創出を図ることができたと、こういうことでございます。これは非常に有効でございますので、今後も大いに進めていかなければならないと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、商店街の活性化についてお伺いします。
 消費者ニーズの多様化、大型店の郊外進出などにより、中小商業を取り巻く環境は大きく変化し、さらには長引く景気低迷によって商店街は人通りを失い、空き店舗がふえ、シャッター通りと呼ばれるところが出てくるなど、その競争力と経済力は低下の一途をたどっております。空洞化が進む中心市街地の活性化のためには、商店街の活性化が不可欠なものであり、商店街がこれまで担ってきた商業集積としての機能や地域コミュニティーの核としての機能を回復するため、新たな展開が強く求められているところであります。県は、今後、どのように商店街の活性化に取り組まれていくお考えなのか、お伺いいたします。

〇高橋副知事 商店街の活性化でございますが、御案内のように、にぎわいと活気がある商店街、これをつくり出していくためには、商店街の方々が地域住民の生活ニーズを的確にとらえまして、生活者の視点に立った商店街づくり、そういうものを進めていくことが何よりも大事だと考えております。また、これらの取り組みを実効あるものにしていくためには、商店街がまちづくり機関、TMOでございますが、これらなどと連携を図りながら、地域が持つ固有の文化とか歴史とかそれから資源、そういうものを生かした町並みづくりを一体的に進めていくことが必要ではないのかと考えております。
 こういう観点から、現在、それぞれのTMOが歩行者通行量ですとか、年間販売額とか空き店舗の減少数などの具体的な数値目標、これを設定した事業推進計画、アクションプランですが、これを作成いたしまして、この計画に基づいて創意工夫を凝らして活性化に向けた取り組みを行っているところでございます。
 具体的な例を申し上げますと、例えば宮古市では、昨年閉鎖いたしました旧宮古サティの活用策をアクションプランに位置づけまして、地元資本による共同出資会社、これを立ち上げて、ことし秋のリニューアルオープンに向けて、TMO、市など、関係者が一体となって取り組んでいるところでございますし、水沢市では空き店舗数の半減、これを目標に掲げまして、TMOが空き店舗を活用して新規創業を促すチャレンジショップを開設して、参加した延べ20名の中からこれまで3名の方が独立し、開業に至るというような成果も出ているところでございます。
 今後におきましては、このような意欲的な取り組みを一つ一つ成功事例として積み重ねていくことが大事でございまして、その積み重ねを各地の取り組みに波及させていきますとともに、また、消費者の声を取り入れた商店街づくり、さらには郊外型の大型店にない個性と魅力のある店づくりなど、ハード・ソフト両面にわたる取り組みを積極的に展開いたしまして、商店街の活性化を図ってまいりたい、そのように考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 国では、水田農業の未来を切り開くため昨年12月に米政策改革大綱を決定し、水田農業政策、米政策の改革を実行するとしたところであります。特に、生産調整につきましては、昭和46年に本格実施されて以来、幾たびとなく見直しが行われてきましたが、残念ながら米価の低落に歯どめをかけることができませんでした。今般の改革の主役はあくまで農業者であり、生産調整につきましては、遅くとも平成20年度に農業者、農業者団体が主役となるシステムに移行するとされておりますが、何よりも重要なのは、農家が意欲と展望が持てる政策でなければならないということであります。
 そこでお伺いしますが、県では、農業者、農業者団体が主役になるシステムへの移行に向けてどのように対応しようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。

〇高橋副知事 今般の改革の焦点となっておりました米の生産調整につきましては、平成20年度までに農業者、農業者団体が主役となるシステムに移行することとされたところでございます。このシステムでは、客観的な需要予測に基づきまして、農業者、農業者団体の主体的な判断に基づいて生産調整に取り組むことになるわけでございますので、みずからの経営判断で、売れる米づくりを行う経営感覚にすぐれた農業者を育成いたしますとともに、これらの農業者が中心となった体質の強い、持続的な水田農業の確立を図っていく、これが極めて重要だと、そのように考えているところでございます。このため、県では、先般、県内キャラバンを実施したところでございまして、現在も各種研修会に出向きまして、まずはみずからの経営をどうするのか、これを集落全体としてどのような方向を目指すのかを十分に話し合っていただく、これが非常に大事だということで、この点について今、全力を挙げて誘導しているところでございます。そして今後は、この集落での合意形成をもとに、みずからの発想と戦略による水田農業の将来ビジョンを策定するように指導しているところでございまして、県としては、地方振興局を中心に、関係機関・団体が一体となって、このビジョンの実現に向けた実践活動を支援してまいる考えでございます。
 なお、国では、16年度あたりから新たな対策を実施する予定と聞いておりますが、これを導入するためにも将来ビジョンの策定というものに当面全力を挙げたいと、そういうことでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、平成16年度からの生産調整は、これまでの転作目標面積の配分から生産目標数量の配分に転換され、この目標数量は、販売実績等の客観的な需要予測を基礎に設定するとされておりますが、このような状況のもとでは、今後、なお一層、産地間の競争が激化するであろうと考えるものであります。
 自主流通米価格形成センターで入札が開始された平成7年以降の状況を見ますと、本県の主要品種であるひとめぼれは、同年の平均指標価格が1俵当たり2万68円だったものが、平成13年度の平均では1万5、903円と2割の減、一時的に上昇したことはあるものの総じて低落傾向にあり、14年産米についても同様の状況にあると聞いております。これに対し新潟魚沼コシヒカリを例に挙げますと、1割の減にとどまっておりますが、このような産地間での価格の開きが出ている要因をどうとらえておられるのでしょうか。また、今後、一層激化するであろう産地間競争に打ち勝つためには、どのような手だてを考えておられるのか、お伺いいたします。

〇高橋副知事 まず、米価の産地間格差の要因ということでございますが、御案内のように、国民1人当たりの米の消費量は減少してございまして、米の需給は大きく緩和してございます。したがって、米価も全国的には総じて低下してきている状況でございます。そういう中でも、コシヒカリにつきましては、昭和31年誕生以来47年の歴史がございまして、消費者への浸透度が高いということ、また、多くの地域で作付されて安定した供給が見込めるということもございまして、卸売業者には根強い需要がございまして、特にも新潟魚沼コシヒカリは最も古くから作付され、有名ブランドとして確立していることもございまして、価格の低下は比較的緩やかなものとなっていると、そのようにとらえているところでございます。
 このような中で、当県が産地間競争に勝ち残っていくためには、まず、県産米の中心でございますひとめぼれ、これは御案内のように、食味ランキングにおきましても、全国で4銘柄しかない8年連続の特A評価を得ているところでございますので、この新潟産の魚沼コシヒカリにもまさるとも劣らない良食味、これを一層、消費者に浸透するようPRに努めていかなければならない、そのように思っております。さらに、近年の食の安全・安心、これに対する消費者の関心が大変高まってきている状況がございますので、これらを踏まえまして、消費者と生産者との間に安全・安心を基軸としたいわゆるフェイス・ツー・フェイス、顔の見える関係を構築していくことが重要であると、そのように考えております。
 そういうことで、県としては、関係者の理解と協力を得ながら、農薬使用基準の徹底はもとより、生産農家全戸での栽培履歴の記帳なり特別栽培米等の生産拡大を促進していきたいと。それから、既に加工米飯でのトレーサビリティーシステムを導入しているわけでございますが、このような取り組みを県下に広く拡大をしてまいりますとともに、消費者や卸売業者の産地見学会を実施するなどの取り組みを強化していきたいと、そのように考えているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、公共事業の早期発注についてお伺いします。
 公共事業は、県民生活や地域の産業活動を支える社会基盤を整備する上で重要な役割を果たしており、とりわけ、本県のように四国4県にも匹敵する広大な県土を有し、地形的にも気象的にも厳しい条件下にあっては、大きな意義を持っているところであります。
 また、公共事業のあり方について、社会経済の変化や時代のニーズに必ずしも適応したものになっていないという批判はありますものの、景気を下から支えているという側面もあり、経済対策においても、その果たす役割は依然として大きいものがあると考えております。
 そこでお伺いしますが、低迷状態が長引き一段と厳しい情勢が続いている県内経済において、景気の回復に向け民間活動の活発化を促進させる観点から、県ではどのような方針のもとで公共事業の施行促進の取り組みを行っているのでしょうか。また、今年度の取り組みの成果はどのようなものであったか、あわせてお伺いいたします。

〇佐藤総合政策室長 公共事業についてでございますが、景気を下から支える効果という、下支えの効果がございますということでお話がございましたが、県におきましても、国とともにこの観点からも機動的な事業執行というものに取り組んでまいりました。特にも、公共事業の地域経済に与える影響、これが大変大きい、それからもう一つは、地理的な条件といたしまして積雪寒冷地であると、そういうことから、本県におきましては、従前から公共事業の早期発注に努めているところであります。上半期の契約目標、これを設定するなどいたしまして、計画的、効果的に発注を進めております。
 平成14年度におきましては公共事業発注計画、これを取りまとめるに当たって、県内の景況や地理的な条件を踏まえまして、上半期、4月から9月末まででございますが、契約目標を率で80%に設定し、そして早期契約を推進したところであります。この結果、9月末上半期の契約実績、これは契約率にいたしまして81.4%ということで、契約目標を金額で21億6、800万円、契約率で1.4ポイント目標を上回ったという実績を上げております。
 公共事業についての予算を可能な限り早急に県経済に注入いたしまして、経済の活性化を図るという所期の目的、これは達成できたものと考えております。
 公共事業につきましては、厳しい今日の財政事情も踏まえまして、今後さらに政策評価の結果による事業の見直しを通じた重点化を図るとともに、ゼロ国債、ゼロ県債の活用などによりまして、年度を通じた切れ目のない事業執行を進めていく必要があるものと考えております。

〇藤原泰次郎委員 次に、食の安全・安心についてお伺いいたします。
 県では、近年のこの食品流通の広域化、国際化が進む中でさまざまな事件が発生していることを受け、食に対する県民の不安を払拭し、信頼感を確保するため、昨年11月に食の安全安心プロジェクト・チームを設置されました。プロジェクト・チームでは、消費者の視点に立ち、生産から流通、消費の各段階にわたる総合的な食の安全・安心の確保に向けて、県の今後取り組むべき施策の基本方針案の検討や、条例制定による消費者、事業者等が参加する委員会の設置に向けて、検討準備をされてきたと聞いております。
 そこでお伺いしますが、プロジェクト・チームの現在までの活動経過はどうなっているのでしょうか。また、この委員会の今後の開催と県の推進体制の整備などについてはどう予定されておられるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。

〇高橋副知事 プロジェクト・チームの活動状況でございますが、まず、プロジェクト・チームでは、消費者団体との懇談とか関係団体からの意見聴取を行うなど、また、さらには全国食品安全自治ネットワーク、それから農林水産省等関係機関からの情報収集、また、県政モニターを活用した食の安全・安心に関するアンケート調査などの活動を実施しておりますほかに、現在まで5回の検討会議を開催いたしまして、先般の条例の検討それからその設置の準備、さらには基本方針の検討とか県の推進体制の検討などを行ってきたところでございます。
 この外部委員会でございますが、3月20日に第1回目の委員会を開催する予定でございまして、この第1回目の委員会に食の安全及び安心の確保に関する基本方針を諮問することとしてございます。
 なお、この外部委員会の中で予定しております一般消費者からの委員公募は2人を予定しておりますが、3月6日から開始する予定でございまして、公募委員につきましては、4月に開催予定の第2回の委員会の方から参加していただくこととしておるところでございます。
 それから県の推進体制でございますが、ことしの4月に環境生活企画室に食の安全安心推進監を設置いたしまして、職員3人体制で食の安全安心委員会の運営、基本方針の策定、また、リスクコミュニケーションなどに取り組むこととしておりますが、この体制につきましては、委員会での議論も踏まえまして、必要に応じて充実・強化を図っていくというような考え方でございます。
 なお、全庁的な推進体制につきましては、県議会での議論も踏まえまして、年度内に推進本部のようなものを立ち上げる方向で検討しているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、院内感染対策についてお伺いします。
 昨年1月に、東京都内の病院で、入院中の患者7人が死亡するという院内感染の事故がありましたが、その後も全国的に院内感染の発生事例が報じられております。病気を治すために入院した病院で、逆に別の病気に感染し、最悪の場合死亡するという事態は、あってはならないことであります。
 そこでお尋ねいたしますが、県内の院内感染の状況はどうなっているのでしょうか。また、院内感染の防止に向けた県の取り組みの状況についてお示し願いたいと思います。

〇高橋副知事 院内感染の県内の状況でございますが、最近では、平成11年に盛岡市内の病院において、ダニによる疥癬の集団感染、それから盛岡市内の診療所において、人工透析患者に急性肝炎が続発をいたしまして、人工透析に係る処置を経路とした院内感染と考えられる事例があったというような状況でございます。
 このような院内感染が発生した場合には、感染症法に定められた疾患につきましては保健所に報告が義務づけられておりまして、御指摘のようなケースの場合も、県内の医療機関の協力を得て状況を把握いたしまして、その動向について、医療機関等に情報を提供して注意を喚起しているところでございます。
 院内感染に向けた県の取り組みといたしましては、院内感染対策は、やはり何といっても手洗いの励行とか清掃等院内の環境整備、それから医療従事者の教育などによる予防対策が基本でございますので、これまで県内外の重大な院内感染事例の発生を踏まえまして、適正な院内感染対策の充実について、各医療機関等に対して通知をし対策の徹底を図っているところでございますし、また、平成5年度からは、院内感染対策を保健所が行う医療機関に対する立入検査の重点項目といたしまして、院内感染対策委員会の設置それから院内感染対策マニュアルの策定等について、各病院ごとに指導をしているところでございます。さらに、看護師を対象とする研修会を実施しておりますし、また、国が実施しております医師、看護師等を対象とする院内感染対策講習会への受講を勧めるなど、各医療機関における取り組みの徹底を支援しているところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、汚水処理施設の整備状況についてお伺いいたします。
 知事はさきの所信表明の中で、岩手県総合計画における夢県土いわての創造に向け、その施策の一つとして、快適な暮らしの実現に向けて汚水処理施設の整備を推進すると述べておられ、大変心強く感じた次第であります。
 生活環境基盤としての下水道は、欠くことのできないものであります。汚水処理施設の整備によるトイレの水洗化は、清潔で快適な生活環境が確保されるものであり、このことは、どの地域でもひとしく求められているものと考えます。しかしながら、本県で汚水処理施設が利用できる地域はまだまだ少ないのではないでしょうか。県では、2010年度における汚水処理施設の整備率を80%まで向上させることを目標として掲げ、市町村においても積極的な整備を進めてきているところでありますが、県全体の汚水処理施設の整備状況と今後の取り組みについてお示し願いたいと思います。

〇高橋副知事 汚水処理施設の整備状況でございますが、平成13年度末におきます本県の汚水処理施設整備率は、平成12年度から3.9ポイント伸びまして53.2%となっておりまして、全県域汚水処理実施計画の目標値に対しまして、1.3ポイントほど上回っているという状況ではございますが、ただ、全国の73.7%に比べればまだまだ低い状況でございます。
 今後の取り組みでございますが、現下の厳しい財政状況におきまして、汚水処理施設の整備を促進するため地域の特性に配慮いたしますとともに、経済性や効率性の観点から、公共下水道、集落排水、合併処理浄化槽等の役割分担の再点検、それから連携整備によりまして、一層のコスト縮減を図っていく必要がある、そのように考えております。
 今後とも、県の総合計画における平成22年度の目標でございます整備率80%の達成に向けて、市町村と一体となって汚水処理施設の整備促進に積極的に取り組んでいく考えでございます。

〇藤原泰次郎委員 若干今にも関連はいたしますが、考え方も含めてお伺いいたします。
 中山間部を抱える本県においては、効率的に汚水処理施設の整備を進めるためには合併処理浄化槽が適しており、この整備促進を図るため、市町村がその整備や維持管理を行う特定地域生活排水処理事業が、本県においても導入されているところであります。私は、個人設置の事業に比べ個人の負担が少なく、また、維持管理の徹底が図られることから、この事業の一層の推進を図るべきものと考えるところであります。県は、この事業の促進に向け、どのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。

〇高橋副知事 特定地域生活排水処理事業でございますが、本県では、平成13年度に浄法寺町など5町村が導入いたしまして、平成14年度は9町村が事業実施ということで、中山間地域を中心に14市町村が拡大をしていく、そういう状況でございます。
 県といたしましては、13年度に下水道事業債償還基金補助制度の対象にこの特定地域生活排水処理事業を加えまして市町村の負担を軽減するほか、市町村と共同で事業導入の手引きを作成して、事業導入をこれまで支援してきたところでございます。
 平成15年度の政府予算案におきましては、大変厳しい財政環境の中でございますが、この特定地域生活排水処理事業が347.5%と大幅に増加をしているところでございますし、また、国庫補助要件も緩和されているわけでございまして、県といたしましては、このような国の動きに呼応いたしまして、事業導入に向けた説明会や研修会を開催いたしますなど、事業導入促進に一層努力をしているところでございまして、平成15年度は、現在実施中の9町村に加えまして新たに3町が事業の導入を予定すると、こういう状況になってございます。これらの市町村の要望に応じまして、国庫それから県費予算の確保に努めますほか、今後も本事業のさらなる普及を進めつつ、他の整備手法との連携を図りながら、県目標でございます整備率80%の達成を目指して、厳しい財政状況下ではございますが、これらも勘案しながら達成に向けて努力をしてまいらなければならない、そのように考えておるところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、高校再編についてお尋ねいたします。
 平成12年1月に策定されました県立高等学校新整備計画で再編を計画している高校について、平成14年4月に、千厩高校と千厩東高校との統合及び花巻南高校の総合選択制への改編を行い、本年4月には花巻農業高校と北上農業高校との統合、岩泉高校小川校の本校への統合、また、花北商業高校の総合的な専門高校への改編を行うこととしているものと承知しております。
 この再編計画の大きな特徴は、総合学科高校などの新しいタイプの高等学校を積極的に導入することであり、平成16年度には、紫波高校を初め4地区において総合学科高校が導入される予定と聞いております。計画が目指している生徒一人一人の個性、能力を最大限伸ばせるような活力ある学習環境の構築が、これにより大きく推進されるものと期待しているものであります。
 そこでお伺いいたしますが、再編は計画どおり進んでいるのでしょうか。また、総合学科高校の場合、普通科目ばかりではなく、専門科目を含む多様な教科、科目を準備しなければならず、それに応じた施設設備の整備が重要と思われますが、その状況はどうでありましょうか、今後の見通しを含めてお尋ねいたします。

〇高橋副知事 まず、高校再編計画の進捗状況でございますが、県立高等学校新整備計画で統合や改編を計画いたしました12地区のうち、10地区はほぼ計画どおり進んでいる状況でございます。14年度、15年度は委員が御指摘のように、各地域で統合や改編を行ったところでございますが、16年度には紫波、北上、一関それから久慈の4地区におきまして総合学科高校への改編を行うために、現在、これらの地域の関係者等で構成をいたします整備検討委員会で、具体的に準備が進められているところでございます。また、総合学科高校への改編を計画しております一戸地区におきましても、地域の同意が得られ、現在、整備検討委員会において、系列や教育課程等の協議が進められている状況でございます。その他の残る2地区につきましては、地域の理解がいまだ十分とは言えないわけでございますので、今後とも話し合いを継続いたしまして、できるだけ早期に理解を得て、生徒のために活力ある教育を整備できるように努めてまいる考えでございます。
 それから、総合学科高校の施設整備の状況と今後の見通しということでございますが、総合学科高校の施設整備につきましては、多目的ホールとか小教室など、多様な学びの場の確保が必要となるわけでございまして、整備に当たりましては、現有施設の有効利用を基本としながら、新しい教育にふさわしい施設整備となるように努めているところでございます。
 16年4月に総合学科高校への改編を計画している4地区のうち、北上、一関及び久慈地区につきましては、現在、校舎や産振棟の増改築を行うなど整備が進んでおるところでございます。また、紫波地区につきましては、校舎等の改築に要する予算を今議会に提案させていただいておるところでございまして、15年度、16年度の2カ年で整備を進めることとしておるところでございます。

〇藤原泰次郎委員 次に、本県における最近の人口動向についてお伺いします。
 政府が昨年発表した将来推計人口によりますと、我が国の人口は2006年でピークに達した後、減少傾向に転じるものと予測されており、我が国は、間もなく人口減少時代に突入しようとしているところであります。また、近年、東京への人口の再集中が進んでおり、政府の都市再生政策の影響等もあってか、その動きが最近一層強まってきていることから、本県を含む地方の人口の動向への影響も懸念されているところであります。
 このような状況の中で、県においては、本県における最近の人口動向をどのように把握しておられるのか、また、今後の見通しについて、総合計画における将来見通しを踏まえてどのようにお考えなのか、あわせてお示し願います。

〇佐藤総合政策室長 人口の動向についてでございますが、最近の人口動向、国の状況を見ますと、全国の人口が平成18年、2006年ですが、1億2、774万人をピークに減少過程に入るということが予想されております。こうした中で、地方では既に人口が減少している都道府県がございまして、平成7年から平成12年にかけての国勢調査の結果によりますと、本県も含めまして、既に23道県で人口が減少している状況になっております。
 本県の人口の動きを見てみますと、昭和40年以降、自然増の減少が、これは出生数と死亡者数のその差がプラスで本県の場合来ているわけですが、これがだんだん増の数が減少してきた状況にあります。そして、それがついに平成10年から11年にかけましては、自然減に転じるという形になっております。近年にありましては、社会減も、その減の数が徐々に縮小されてきましたが、最近におきましてはこれが増加傾向にあるということで、本県の総人口は減少基調で推移しているということで見られます。
 平成14年の本県の総人口、これが10月1日を基準といたしますと140万8、079人ということで、これは平成13年が141万3、099人ですから5、020人の減、率にいたしまして0.4%の減ということになっておりまして、これが12年から13年、前年同期と比べますと数も率も上回っている状況にあります。
 お尋ねのありました総合計画との関係でございますが、県の総合計画におきましては、本県の総人口について計画策定、平成11年ですが、計画策定後緩やかに減少していくものと予想いたしておりました。自然減の方は、自然増減、これは高齢者のその割合が高いということから自然減がふえていって、そして一方では社会減が圧縮されていくというようなことで、緩やかな減少を想定いたしましたが、若干ここに来ましてその状況と違いが出ておりますが、先ほど御説明したように違いが出ておりますが、ただ、県の総合計画の人口見通しのその幅の中に実績が今現在おさまっているということで、全体としては総合計画が想定した条件が幾らか状況が変わっておりますけれども、人口見通しの範囲内で推移していると見ておりますし、今後もおおむねこのような形で進んでいくのではないかと見込んでいるものであります。

〇水上信宏委員長 藤原泰次郎委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時3分 再 開

〇水上信宏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇藤原泰次郎委員 次に、市町村合併についてお伺いしますが、この問題については一般質問でも何度も取り上げられておりますので、観点を少し変えてお尋ねいたします。
 新聞報道によりますと、市町村合併の取り組みについては西高東低の状況でありまして、東日本では西日本に比べ合併に向けて関係市町村が検討を行う協議会の設置が少ないようであります。特にも本県の場合は、2月に入ってようやく最初の協議会が両磐地域で立ち上がった状況でありますが、本県の協議会設置の状況が全国的に見て少ないという理由はどの辺にあるとお考えでしょうか。
 また、市町村合併については、上からの押しつけではなく、住民を含めて地域で活発な議論を行い、それを踏まえて主体的にその方向性を決めていくことが何よりも大事なことでありますが、問題は、当事者である市町村が住民の意向の把握や住民との対話の機会を十分持っているかという問題であります。住民の考え方を把握する方法の一つとして、住民へのアンケートの実施や懇談会の開催が有効ではないかと考えますが、県として市町村のこれらの取り組みをどのように支援していかれるのかお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 合併に関するお尋ねでございまして、合併協議会が本県でなぜ少ないかという問題ですが、いろんな見方ができるかと思いますが、一つは、本県の場合、昭和の大合併が相当程度進んだということが挙げられるのではないかと思っておりまして、ちなみに、比較的面積の大きい県の例を、市町村数を見てみますと、一番近い福島県が90、岐阜県が99、長野県が120、鹿児島県が96、そういったように市町村数が非常に多いということがありまして、本県で昭和の合併が進んだこともあって、本県においては、合併問題が出た段階で市町村には、できれば現状維持と申しますか、そういった気分が強かったのではないかという感じがいたしております。
 それから、2点目として、合併協議会の性格と申しますか、合併協議会のとらえ方、あるいは協議会に対する構え方、そういったものがちょっと違うのかなと。と申しますのは、他県においては合併協議会、一から議論をする場として二つとか三つとか、多いところでは四つの協議会に参加して一から議論するケースが結構見受けられますけれども、本県の場合には熟度が高まってある程度枠組み等の議論がなされた段階、あるいは相当程度熟度が高まった段階で合併協議会というものが設置されるといったところがございまして、そういった合併協議会に対するとらえ方が違っているのかなと。そういった意味では一般的に言う本県のスロースターターと申しますか、そういった点が出ているのかなという感じがいたしております。ただ、最近になって各地域におきまして、いろんな議論なり動きが活発になってきておりますので、本県の、最後はなすべきはなすという県民性もございますので、方向性が決定すれば取り組みが一段と加速してくるのではないかと考えております。
 それから、2点目の住民の意識を把握するための手段、協議を深めるためのきっかけというお話で、住民アンケートとか懇談会の開催といったものは非常に有効だと思っておりまして、これらに対しても県といたしまして、情報提供なり合併推進アドバイザーの派遣でありますとか、職員も地方振興局、本庁挙げてそれぞれ各地域に、私自身も何度か行っておりますし、そういったことで支援をしていきたいと思っておりますし、また、地域活性化事業調整費等によって、あわせて財政支援もしていきたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 ただいまの市町村合併の問題は、一面ではもっと強く指導しろという意見もあり、一面ではまた、その指導性がということも問われ、いろいろ難しい点あるわけでございますが、その辺はやはり世論の動向も見きわめながら、さらにはまた、県としての対応についても十分検討された中で、いろいろ対処すべきものと思うわけでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、最後になりますが、道州制についてお伺いいたします。
 北東北3県では、平成9年に開催した第1回知事サミットを契機に、県外事務所の合同化や産業廃棄物税の導入など、青森県及び秋田県と連携した取り組みを積極的に進めてきたところであります。また、昨年4月には、若手職員を構成員とした北東北広域政策研究会を設置し、昨年末に北東北3県の一体化により地方分権化実現への姿勢を示す道州制を目指すとの研究会の報告書骨子案が出されたところであります。
 さらに、知事は、2月13日に開催された衆議院憲法調査会小委員会において、道州制や都道府県合併については、全国一律ではなく多様な選択肢が示された上で、これを地方が選べるようにすべきであり、現行憲法の範囲内でも取り得る手段は多いとの意見を述べられております。
 私も、今後、市町村合併が進み市町村が行政の中心的機能を担うことになれば、県は市町村を補完、支援する機能や、県境を越えた、より広域的な課題への対応など新たな役割を担うこととなり、広域自治体の新たなあり方として、道州制もその選択肢の一つであると考えるものであります。
 そこで、お伺いしますが、道州制については、県レベルではさまざま議論が進んでいるようでありますが、今後、地域や民間レベルでも議論していく必要があると思いますがいかがでしょうか。

〇佐藤総合政策室長 道州制についてでありますが、この道州制も含めた新たな都道府県のあり方につきましては、国家的な課題として議論すべき問題がたくさんあるということで、一方では住民の目線に立った地域に合った制度を構築していくことが重要でありますので、ただいま御指摘ありましたように多様な選択肢の中から、地域がふさわしい制度を選択できるような柔軟な仕組みとなるように、地方としても国に対して働きかけをしていくという必要があると考えております。新しい都道府県のあり方についての議論というのは、これまではどちらかといえば行政中心ということで行われたわけでありますが、住民による幅広い議論というものは欠かすことのできない道筋であると考えております。
 今後におきましては、御提案のありましたとおり、地域住民、NPO、民間企業、学識経験者などを含めた具体的な検討の場を設置いたしまして、県のあり方について幅広く地域から主体的に議論を積み重ねるというふうにいたしまして、こうした議論が実のあるものになるように、県としても北東北3県での広域連携事業の具体的な成果や、その考え方などにさらに取り組みまして、積極的にこれをまた示していきたいと考えております。

〇藤原泰次郎委員 平成15年度は骨格予算ということで、いろいろ当局としても難しい点あったかもしれませんが、そうした平成15年の予算の編成に際しましては、この6月のたしか補正も組まれるわけでございますので、積極的な行政の推進のために一層御努力をお願い申し上げまして、私の長時間にわたる質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。

〇工藤大輔委員 自由党の工藤大輔でございます。
 平成15年度の予算審議に当たり、会派を代表いたしまして総括的に質問させていただきますので、若干重複する部分もあろうかと思いますが、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
 まず、財政問題について何点かお伺いします。
 平成15年度の当初予算を見ますと、長引く不況や景気低迷のため、昨年度に引き続き県税収入が大きく減少するとともに、主要な財源である地方交付税や国庫支出金についても、国の構造改革の影響等を受けて大幅な減収となっており、歳入の確保が難しい中、極めて厳しい予算編成を強いられたものと拝察します。
 本県の歳入構造は、地方交付税や国庫支出金などの依存財源の割合が高く、平成15年度当初予算では64.8%を占めております。県の歳入が国の動向に大きく左右される面があることは否めない事実であり、国の地方財政対策が本県の予算編成にとっても非常に重要なウエートを占めているところであります。今回の地方財政対策については、通常収支の不足を臨時財政対策債の増額などで補てんするという、借入金に大幅に依存した財源措置が講じられており、地方にとって極めて厳しい内容となっておりますが、県は平成15年度地方財政対策をどう評価しているのかお伺いします。
 また、公共事業の採択に当たっての考え方についてお伺いします。
 平成15年度当初予算において、公共事業費は1、495億円と前年度当初予算に比べて336億円、また18.3%の減となり、骨格予算という点を考慮しても、非常に大きな減少となっております。しかしながら、このような厳しい状況下にあっても、地域が必要とする社会資本の整備を進めていかなければならないわけですが、今回、公共事業費全体のボリュームが圧縮される中にあって、それぞれの実施地区の採択に当たり特に意を用いた点についてお伺いします。
 また、全体として社会資本の整備がおくれている地域について、その振興を図るためには、採択の考え方の中で一定の配慮が必要となると考えますが、これについてもお伺いします。

〇高橋副知事 15年度地方財政対策に対するお尋ねは総務部長の方から答弁をさせまして、私の方から公共事業の採択に当たっての考え方についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、公共事業の実施地区の採択に当たって特に意を用いた点ということでございますが、社会資本の整備は、現下の大変厳しい財政環境のもとにありまして、真に必要なものについて効率的、効果的に進めていかなければならぬと思っているわけでございます。公共事業の実施に当たりましては、重点化による早期完成ということが、効果の早期発現、また、工事中の環境及び周辺地域への負担軽減に有効でございますから、まず継続箇所を重点的に整備すると、これが大事だと考えているわけでございます。さらに、新規地区の採択に当たりましては、公共事業評価によりまして透明性、客観性の確保を図りながら、必要性や緊急性を勘案して箇所数を絞り込んでいるということでございます。
 それから、社会資本整備のおくれている地域の採択でございますが、公共事業評価の中で、地域の生活、産業振興に資する事業につきましては、評価項目における必要性の項目の中で、過疎地域、準過疎地域、振興山村地域等を対象として評価点の加点を行っております。また、道路改築事業では、自動車交通量を便益算定の基本としているわけでございますが、交通量の少ない過疎地域においては、費用便益比の算定に当たりまして、地域修正係数というものを設けまして、この割り増し補正をしているということでございます。いずれこれからも事業の選択と集中によりまして効率的、効果的な執行を図ってまいらなければならぬと考えているところでございます。

〇小原総務部長 15年度の地方財政対策に対する評価についてでありますが、15年度の地方財政計画は、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、歳出全体にわたり徹底した見直しを行うことにより、初めて2年連続のマイナスとなる86兆2、107億円、前年度対比で1.5%減の計画として策定されたところであります。この中では、通常収支に係る財源不足額は13兆4、457億円ということで、対前年度比で26%の増ということで見込まれております。過去最高の不足額になっております。この補てんに当たりましては、交付税特別会計借入方式を廃止して、財源対策債等による補てん額を除いた額について国と地方で折半をして、国負担分については一般会計からの繰り入れ、それから地方負担分については臨時財政対策債により補てんされる仕組みになったというところであります。
 この結果、地方交付税総額は18兆693億円と、前年度より1兆4、756億円、7.5%の減となる一方で、臨時財政対策債は5兆8、696億円ということで、前年度より2兆6、435億円、81.9%の増と大幅にふえておりまして、借入金に依存した地方財政対策ということができるかと思います。このため、本県におきましても、臨時財政対策債が大幅に増加したことから、プライマリーバランスの均衡の早期達成という目標に大きな影響を及ぼすことになったと考えております。
 また、義務教育国庫負担金等の一般財源化がなされたわけですけれども、その内容は義務的経費等であり、地方の裁量で節減が困難な経費であるということに加えまして、地方の負担が8分の1生ずるということで、本県に交付される実額ベースで試算すると、国庫負担金の実績どおりの交付が見込まれないということで、結果として、私ども地方の負担額の増加をもたらすということになるものであります。
 以上のことから、今回の地方財政対策、これは地方の自立につながるものとは到底言えず、私どもが期待いたしました三位一体の改革とはほど遠いものであると評価せざるを得ないと考えております。

〇工藤大輔委員 公共事業に関しましては、バランスのとれた発注の形態、また、地域性を考慮した整備について今後とも詰められますよう要望したいと思います。
 次に、主要3基金についてお伺いします。
 今回の当初予算の主要3基金の取り崩し額は330億円で、前年度よりも50億円の増となっております。これは、先ほども触れましたとおり、主要な財源である県税や地方交付税の減に伴い必要な財源を確保するための措置でありますが、この結果、主要3基金の残高は平成15年度末で420億円程度と見込まれるところであり、このまま進行しますと、あと一、二年で基金が底をつくという懸念もあります。私は、県民等のさまざまな行政需要に的確に対応していくためには、ある程度の基金残高を確保していく必要があり、基金の取り崩しに頼った財政運営は限界に来ているものと考えますが、県は今後の主要3基金の活用と残高確保について、どのように進めていくお考えでしょうか。
 また、基金取り崩し以外の財政確保対策についてお伺いします。
 まず、県有未利用地の処分についてですが、県では平成11年12月に県有未利用地等の処分活用に係る指針を策定し、一般競争入札等による処分を積極的に推進してきているようでございますが、最近の売却実績はどうなっているのでしょうか。低迷する経済情勢や土地需要の減退を反映して、入札を実施しても応札者がないものや、予定価格に全く届かないものが多くなっているとも聞いています。県有未利用地の処分による財産収入は貴重な自主財源であることから、さらなる処分推進を図る必要があると考えますが、県は今後どのような方針で処分を進めていこうとしているのかお伺いします。

〇小原総務部長 まず、今後の主要3基金の活用と残高確保、どのように進めていくかということでありますが、平成11年度に中期財政見通しを策定したわけですが、ここでは主要3基金については、それぞれの設置目的に沿って取り崩し、積み立てを行うこととして、17年度末では300億円程度の残高を確保するということにしていたところであります。しかしながら、長引く経済の低迷の中にあって、歳入に大きなウエートを占める県税、地方交付税が、15年度当初予算において、13年前の平成2年度決算額に類似するまで落ち込むような状況になっておりまして、財源の確保が極めて厳しいということであります。こういったことから、中期財政見通しの想定を超える事態になっておりまして、歳入歳出ギャップを埋めるため多額の基金取り崩しを余儀なくされたということが15年度当初であります。この結果、主要3基金の残高は、本年度末で約748億円、15年度末では約424億円と見込まれておりまして、今後の財政需要を考慮いたしますと、これ以上の取り崩しは難しい状況になっていると認識しております。
 今後は、この主要3基金の取り崩しに依存することなく、歳入歳出ギャップを解消して健全な財政運営を行っていく必要がありますが、そのためには、持続可能な財政構造に転換していくということが不可欠になるわけであります。したがいまして、中期財政見通しを全面的に見直しいたしまして、財政健全化のための具体的な方策と本県の自立の道筋を明らかにしたプログラムを策定いたしまして、15年度から18年度までの4年間に集中的に取り組むということにしております。その中では、基金取り崩しに頼らない歳入確保策と歳出削減策について具体的な数値目標を掲げて、この4年間においては基金の取り崩しを行わないことを前提に取り組んでいくという考え方でございます。
 それから次に、県有未利用地の処分についてでありますが、県有未利用地等の処分については、11年度に策定いたしました県有未利用地等の処分・活用に関する指針に基づきまして、将来とも公用あるいは公共用として利用する見込みのない土地、あるいは貸付地につきまして、所在市町村への処分、あるいは一般競争入札等により積極的に処分を進めております。13年度においては、15物件を対象として処分を進めた結果、旧花巻警察署敷地など5物件、約7万6、100平米を1億9、100万円余で処分しております。また、14年度においては、14物件を対象に処分を進めてきましたが、2月末現在、盛岡市本宮にございます旧農業試験研究センター繭品質評価分室跡地など4物件、約6、600平米を7億4、900万円余で処分しているところであります。最近の経済情勢や土地需要の減退を反映いたしまして、事業用地ですとか宅地として利用価値の低い物件につきましては、応札者がいない、あるいは応札があっても予定価格に届かないといったものが出てきておりまして、処分が進まないという厳しい現状にあると受けとめております。
 したがいまして、今後においては一般競争入札における処分を行う際には、路線価ですとか近隣の公示地価、あるいは基準地価格など既に公表されている土地取引に係る評価額を参考資料ということで提示いたしまして、入札にふなれな県民の方々でも参加しやすい工夫を行って進めていきたいと考えておりますし、これまで処分に至った未利用地が事業用地や宅地として利用価値が高い物件であったことを踏まえまして、各部局の財産主管課を構成員といたしまして、庁内に管財業務連絡会議というのをつくっておりますが、そういった場で物件別の立地条件等を検証するなど、これまで以上に全庁的に連携を図って、順次売却条件を整備して処分を進めるということのほか、新聞広告あるいはホームページ、市町村の広報等も広く活用いたしましてPRに努めて、自主財源確保のための未利用地処分の一層の推進を図っていきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 知事の答弁でも低経済成長が続くと予測されており、地価が急激にアップするということも見通しが立たないわけでございますので、今後とも自主財源の確保に積極的に努められ、そして持っている県有財産は有効的に利用されますよう要望したいと思います。
 事務事業評価についてお伺いします。
 県では、平成9年度に事務事業評価を導入し、平成13年度には政策評価や事務事業評価など既存の評価手法を統合して、政策評価システムとして総合的、体系的な評価を行ってきているところでございます。昨今のように厳しい財政環境の中では、これまで以上に職員がコスト意識を持ち、限られた財源の効率的、効果的な活用を図っていく必要があります。
 そこで、お伺いしますが、平成14年度においては、事務事業評価をどのように実施し、その結果が平成15年度予算にどのように反映されているのでしょうかお伺いします。

〇佐藤総合政策室長 事務事業評価の結果と、それから15年度予算にどのように反映したのかというお尋ねでございますが、事務事業評価につきましては、平成14年度――今年度におきましては、政策評価から事務事業評価、そして予算編成へという一連の流れを考慮いたしまして、まず政策評価を年度前半に実施いたしまして、その結果をもとに各部局において、重点化すべき事業の財源を確保する観点からも、事務事業評価を徹底して行って既存事業の見直しを行ったところであります。事務事業評価に当たりましては、必要性であるとか、効果、効率性、代替性などの評価基準に基づきまして、可能な限り指標を用いて客観的に評価を行ったところであります。
 15年度の予算に向けましては、既存事業の見直しに取り組んで、そして見直しにより生み出された財源、これをプロジェクト事業に活用するという政策形成・予算編成システム、これが14年度、15年度の予算に向けて試み的にこのシステムを導入したわけですが、今現在、15年度予算が骨格予算であるということもありまして、このプロジェクト事業につきましてはさらに練り上げまして、そして明年度の補正の段階で肉づけという形で、よりそれが反映されることに努めていきたいと考えております。財政状況は大変厳しいわけでございますので、この事務事業評価も、財源を確保する観点からも徹底して行い、財政の健全化に向けて努めてまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 次に、県政懇談会についてお伺いします。
 この件につきましては、さきに一般質問においても取り上げられたところであり、知事は、就任以来389回の県政懇談会を開催し、5、000件もの意見、提言が寄せられたとのことであり、その約8割が県政に反映されたということでありました。実際に県政懇談会における提言が契機となって立案、実施された施策はどのようなものがあり、どのくらいあるのでしょうか。その具体的な事例についてもお聞かせ願いたいと思います。
 私は、県政の推進に県民の意見を聞くということは非常に重要なことであると思う一方、地方振興局の機能強化を進めている中、自由懇談形式の県政懇談会はある程度地方振興局長にゆだねるべきであり、知事が出席する懇談会につきましては、特定のテーマについて関係者等と意見交換し議論を深めるために行っている知事と特定課題を語る会を重点的に開催していくべきではないかと思いますが、この点についても御見解をお伺いします。

〇佐藤総合政策室長 県政懇談会でございますが、これは知事の基本姿勢であります、県民に開かれたわかりやすい県政の推進ということで、県民の意向を広く把握いたしまして、これを県政に反映させることを目的に開催しているわけでございますが、平成13年の県政懇談会で寄せられました意見、提言は全体で700件あります。そのうち趣旨に沿って措置したもの、これが36.9%に当たる258件、それから施策の実現に努力しているもの、これが46.9%に相当する328件となっております。県政懇談会で寄せられた意見、提言は、道路や河川の改良、改修など県民生活に密着したものが多いわけでございますが、中には県が現在立案あるいは調査に着手している施策に関するもの、それからそれらの意見、提言を契機に具体化が促進され、実施に至る施策もあります。その例といたしましては、ターミナルケアの体制づくりだとか、今、環境パートナーシップ、これは設立いたしましたが、こういうものの契機となったものが意見、提言の中にございまして、そういうふうに何らかの形で施策の立案、実施につながっているという状況でございます。
 今後の県政懇談会のあり方についてでございますが、今後におきましては、ただいま委員から御意見ございましたが、それも踏まえまして、まず開催方法なども見直したいと考えております。一層の工夫を加えながら、引き続き県民の皆さんの意見、提言をきめ細かくお聞きする、あわせまして寄せられた意見、提言は県政に十分反映するように努めてまいりたいと考えております。
 また、地方振興局長が地域住民の意見を聞くことも非常に重要であります。これまでも地方振興局単位で懇談会を開催してきたところでありますが、今後は、これまでのものに加えまして、銀河系いわてモニターとの懇談会の充実など、地域における住民意向の把握にもさらに努めていきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 次に、市町村からの事務の返上についてお伺いします。この問題につきましては、先日の総務常任委員会でも質疑がございましたが、私からも御質問したいと思います。
 先般の新聞報道において、田野畑村が国や県からの処理を要求されている事務のうち、過剰な関与があるものや非効率な事務については来年度から返上していく方針を固めたと報じられたところであり、また、この問題につきましては、県町村会でも取り上げられ、同調する意見があったとのことでございます。行政が行っている事務事業が、本当に効果が出ているのか、また、費用対効果の面でも効率的になっているのかどうかなどといった観点からの見直しは、県や市町村を問わず常に行っていかなければならないことであります。県では、今回の田野畑村の取り組みに係る基本的考え方や、ねらいをどのように把握されているのでしょうか。
 また、田野畑村が具体的に返上しようとしている事務にはどのようなものがあるのか、それを実際に返上した場合の節減効果はどれぐらいの金額になると試算しているのかについてもお伺いします。

〇飛澤地域振興部長 田野畑村における行革についてのお尋ねでございますが、村におきましては、最近の合併論議でありますとか財政状況を踏まえて行政改革を進めているところでございまして、その取りまとめた大綱の中でうたっておる項目として、非効率的な事務の見直しという項目がございまして、国、県の過剰な関与があると思われる事務でありますとか、あるいは国、県が直接執行した方が効率的と思われる事務については、国、県への制度改正要望を積極的に行い、村の事務量を軽減し、職員の削減を図るという項目がございまして、その中でそういうふうに言っているわけでございますが、この項目につきましては、今後、村の方において来年度以降、具体的に検討を進めていきたいと言っているものでございまして、実施した場合の効果でありますとか、その事務の範囲、そういったものは具体にまだ明らかになっていないところでございまして、その場合の効果についても、全体像をまだ把握していないという状況にございます。
 いずれ、こういう取り組みは非常にこういう環境下では大切なことでございまして、私どもも村の方から相談がございますれば、それをよく相談に乗って、協議すべきは協議し、よりよい方向に進むようにしていきたいと思っておりますし、また、こういう財政環境下ですと、いずれの市町村においてもこの事務事業の見直しと申しますか、行政改革、不断からやっぱり大切なことでございますので、これを進めていただきたいと思っておりますが、その際に大切なことは、住民に身近な行政サービス、これはできる限り一番近い自治体でございます市町村で行うことが望ましいと考えておりますので、事務事業の見直しに当たりましては、常に住民視点に立って進めていただきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 財政環境が厳しくなる一方で、このような声というものは次第に大きくなってくるものと思います。そういった中でも小規模町村ほど負担増にならないように、今後とも相談の上、改善できる点については改善していってもらいたいと思います。
 次に、住民基本台帳ネットワークシステム――住基ネット――についてお伺いします。
 住基ネットにつきましては、個人情報の保護の問題など、稼働前からさまざまな問題点、課題が指摘されてきたところでありますが、昨年8月にシステムが稼働してから約半年が経過し、さらに、本年8月には住民基本台帳カードの発行などのサービスが新たに始まることとなっております。平成15年度の当初予算では、住基ネットシステムの運営費として約2億円を計上しておりますが、その主な内訳についてお伺いします。また、平成16年度以降のランニングコストはどのぐらいになるのか、現時点での見込みで結構ですのでお伺いします。
 このシステムの運営に約2億円という多額の県費を投入するわけですが、これに見合うメリットが本当にあるのでしょうか。これまでの経緯や他の地方公共団体の対応、今後の動向等を踏まえ、現時点でこのシステムをどのように評価しているのかお伺いします。

〇飛澤地域振興部長 住基ネットワークシステムについてのお尋ねでございまして、まず、このシステムの運営費の内訳でございますけれども、機器等の維持管理費が約8、400万円、それから指定情報処理機関への交付金が約7、500万円、それから通信回線使用料が4、600万円となってございます。それから、16年度以降のランニングコスト、運営費ということでございますが、単年度当たり約1億8、700万円と試算をいたしてございます。それから、これらの経費につきましては、地方交付税の措置が講じられているものでございます。
 それから、効果ということでございますけれども、県といたしましては、その本人確認情報の利用によりまして、申請等の審査事務の効率化といった点が挙げられると思いますし、市町村におきましては住民票情報の送信による関係市町村間の転入通知等の省略による事務の簡素化でありますとか、それから住民にとりましてはその住民票の写しの添付省略等の負担軽減といった点等が挙げられますけれども、本年8月にその住基ネットシステムが全面稼働いたしまして、具体的にこれらの効果がそれ以降出てくるのかなと考えております。
 それから、個人情報の保護の問題でございますが、これは非常に大切でございまして、現在この個人情報の保護対策に万全を期しているところでございますが、国の方におきましても現在、個人情報保護法案、国会に上程するように進めているところと伺っておりまして、これら法案が成立いたしまして、国民の間にございます、さまざまな懸念を払拭していただきたいと考えております。本年8月にはこのネットシステムが全面稼働いたしまして、住民基本台帳カードの発行でありますとか、住民票の写しの広域交付が始まるわけでございまして、住基ネットシステム全体の評価につきましては、このシステムが全面的に稼働したその結果で見て検証していきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 このシステムの全面稼働時に現場とトラブルがないように、また、しっかりと個人情報の保護が図られますよう、さまざま相談等していただきまして連携をとってもらいたいと思います。
 次に、水と緑を守る取り組みについてお伺いします。
 環境首都を目指す本県にとって、豊かな水と緑を将来の世代に伝えることは、我々に課せられた使命の一つであります。こうした中、北海道・北東北知事サミットの合意事項である、北東北の豊かな水と緑を守る取り組みに基づき、青森県では、平成13年12月に青森県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例を制定し、また、秋田県においては、本年2月議会に秋田県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例を提案していると聞いています。森・川・海が連携した施策を展開するとともに、上流地域と下流地域の連携を図るということは重要であると考えますが、本県における条例制定の取組状況についてお伺いします。
 また、現時点において、条例の方向性や骨子についてはどうお考えになっているのでしょうか。制定時期についてもあわせてお伺いします。

〇高橋副知事 まず、条例の取組状況でございますが、昨年12月27日に環境生活部を中心といたしまして、総合政策室、それから農林水産部、県土整備部の職員によって構成されます水と緑推進プロジェクト・チームを設置いたしまして、時期としては、できればことし中にも議会に条例を提案したいということで、目下、鋭意検討を進めているところでございます。
 条例の中身でございますが、条例の名称といたしましては、青森県、秋田県と合わせまして岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例とする方向で今、検討しているところでございます。
 それから、条例の方向性でございますが、これは、豊かな水と緑を将来に伝えることによりまして、自然と共生し、循環を基調とする社会を実現することを基本理念といたしまして、県民の参加も得ながら森・川・海の一連性を持った施策を推進して、水源から海に至る本県の豊かな森林と水資源を保全、創造するという政策推進型の条例としたいと考えております。今、水源から海に至る本県の豊かな森林と水資源を保全、創造するという観点に立って、将来を見越した施策を基本的かつできるだけ具体的に示すということを中心に検討しておりまして、例えば森林の持つ多面的な機能、それから河川が本来有する水質浄化機能とか、海岸、漁場が持つ水質浄化機能、また、健全な水循環の確保とか、それから上流地域と下流地域の連携・交流の促進等々の項目について目下検討をしているわけでございます。なお、行為規制等につきましても、その必要性につきまして多方面から検討しているという段階でございます。

〇工藤大輔委員 環境首都を目指しているということでございますので、これについても積極的に取り組まれますよう、そして環境だけではなくて、やはりこれにかかわる産業首都も目指してもらいたいと考えますので、第1次産業の方にも力強く力を傾注してもらいたいと思います。
 次に、焼却行為に対する規制に係る取り組みについてお伺いします。
 昨年4月1日に施行された県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例において、家庭ごみの野外焼却禁止や法規制対象外の小型焼却炉の使用禁止については、県民の日常生活に密接にかかわる事項であり、また、市町村との連携も不可欠であることから、来年の4月1日からの施行とされたところであります。あと約1年程度の期間に迫ってきておりますが、県民、事業者等への周知や理解、また、市町村との連携は順調に進んでいるでしょうか。円滑な施行を図るため、今後の啓発・普及をどのように進めようとしているのかお伺いします。
 また、小型焼却炉の使用が禁止された後は、その焼却炉自体の処理の問題が出てくると思いますが、それらが放置されたままでは新たな土壌汚染などの環境問題が生じることも懸念されます。市町村によっては、かつて補助を行って小型焼却炉の普及を促進していたところもあり、この処理に当たっては適切な対応をとる必要があると思いますが、県はどのような支援をしていくのでしょうか。既に自発的に小型焼却炉の使用をやめている家庭などもありますので、今からでもその回収等に取り組むことができれば、使用禁止に係る啓発活動の一環としても、非常に効果的ではないかと考えますがいかがでしょうか。
 さらに、県立学校を初めとする県の施設においても、焼却炉を有しているところがあると思いますが、県立施設における焼却炉の使用状況と、現在使用していない場合には焼却炉の処理をどのように行ってきているのかについてもお伺いします。

〇高橋副知事 まず、県民等への周知と市町村との連携の進捗状況ということでございますが、各種広報媒体の活用とかパンフレット等の配布による周知を実施いたしまして、それからさらに、市町村、地方振興局との連携した住民説明会、また、地域を巡回する職員による訪問活動等を通じましていろいろと周知等に努め、幅広い普及・啓発に努力をしてきたところでございます。市町村とは、そのように担当課長とか担当者への説明会とか意見交換会をいろいろと開催いたしますとともに、ブロック別にも打合会を実施いたしまして、ごみ処理態勢の整備の促進等に取り組んできたわけでございまして、これらの取り組みの結果、市町村とは非常に連携のぐあいはよくなっているということで、市町村の御理解のもとに、それぞれの地域の実情に応じた取り組みが積極的に行われているものと考えておるわけでございますが、やはりまだまだ県民各層への浸透は十分ではないと考えておるところでございます。
 したがって、今、地方振興局と周知方法の検討を進めながら、市町村の協力も得まして周知状況の検証を行っておる段階でございまして、今後、この年度内にこれらの結果を踏まえました一層きめ細やかな普及・啓発計画というものを策定していきたいと思っているわけでございまして、施行まであと1年ということでございますので、市町村と連携しながら、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、小型焼却炉の廃棄処理の関係でございますが、まず条例施行後におきまして小型焼却炉の不適正使用や解体物の不法投棄、不適正放置等が考えられるわけでございまして、小型焼却炉の回収、処分というものを進めていかなければならぬ、これはそのとおりでございます。一般家庭において不要となった小型焼却炉は一般廃棄物でございまして、市町村の事務となるわけでございますので、市町村におきまして適正な回収、処理、処分が行われるように、処理方法等のガイドラインを示して現在指導しているところでございますが、回収、処理を実施しているのは22、それから検討している市町村が17ということで、まだそれらに対応していない市町村もございますので、引き続き指導を強めていかなければならぬと思っておりますし、それから住民等の要望の把握とか回収・処理方法の検討も、19の残った市町村についてやっていかなければならぬと思っているところでございます。
 それから、県立施設における使用状況なり処理ということでございますが、まず県立学校におきましては、平成10年5月の調査では、92校で合計140基の焼却炉が設置されていたわけでございます。その後、ダイオキシン類対策の一環といたしまして、すべての使用を廃止いたしまして、平成11年度と12年度の2カ年でこれらの焼却炉の解体処分は行ってございます。また、合同庁舎や県立病院などの県の施設におきましては、現在ほとんどの焼却炉の使用を廃止しておりますが、一部の機関、保健所とか家畜保健衛生所等で、基準に合うように改修工事を実施するなどして、現在12基の焼却炉が使用されているということでございます。使用を廃止いたしました焼却炉の解体、保管、処分に当たりましては、関係法令や廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱、これに基づきまして引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 小型焼却炉の件ですけれども、まずこういった条例等は県でつくりました。ただ、それらのごみに対する回収等については市町村ですよという形では、余りにも市町村の負担が大きくなってくると思いますので、今後、検討をしてもらいたいと思います。
 次に、障害者福祉サービスに係る支援費制度についてお伺いします。
 本年4月から、障害者福祉サービスについては、これまでの、行政がサービスの受け手とサービス内容を決定する措置制度から、障害者みずからがサービスを選択し契約により利用する支援費制度に移行されますが、実施主体となる市町村の状況によっては、サービス基盤の確保について地域間格差が生じる懸念があるのではないでしょうか。例えば、身体障害者及び知的障害者の訪問介護事業は、現在、必ずしも全市町村で実施されていない状況にありますが、支援費制度への移行を目前にして、こうしたサービス基盤の確保について円滑に準備が進んでいるのでしょうかお伺いします。
 また、支援費制度に係る申請は、既に昨年10月から市町村で始まっておりますが、制度改正の趣旨や具体的な手続についての利用者に対する周知は十分になされているのでしょうかお伺いします。

〇高橋副知事 支援費制度の関係でございますが、まず、サービス基盤の確保の準備が進んでいるかということでございます。御指摘のとおり、利用希望がない等の理由で居宅介護事業が実施されていない市町村があるわけでございまして、平成14年度の居宅介護実施市町村は、身体障害者対象事業実施が49市町村、それから知的障害者対象事業実施が28市町村となっているところでございます。昨年10月から事業者の指定申請を受け付けておりまして、2月末現在で、居宅介護、デイサービス、短期入所、グループホームの居宅サービスにつきましては約280件の申請が出されておりまして、そのうち介護保険事業者からの申請は約70件という状況でございます。
 今後とも市町村間でのサービス提供基盤にできるだけ格差が生じないように、サービス提供体制の整備を図ることとしておりまして、居宅介護及びデイサービスについて県の指定基準より緩い要件を市町村が認めることができるそういう基準該当事業者の仕組みの活用なり、介護保険事業者の一層の参入促進を図りながら、できるだけそういうような格差が解消できるように努めてまいりたいと考えております。
 それから、利用者への制度周知でございますが、県ではいろんな広報媒体を活用いたしまして、広く県民にお知らせをしておるわけでございますが、そのほかに障害者団体、それから障害者相談員、民生委員の方々に説明をするなどいたしまして周知を図っておりまして、地域におきまして、それぞれの地域で利用者や家族の方々に、個別具体的な相談なり支援を行うようにお願いをしているところでございます。
 市町村におきましても、このような制度周知のほかに、施設等への訪問や制度概要の文書による個別通知を行うなどいたしまして、個別の対応に努め周知徹底を図っているところでございます。利用者の方々が、この4月から居宅サービスを利用するためには、3月中に市町村に申請していただくことが必要であるわけでございまして、市町村には一層の制度周知をお願いしておりまして、県としても、ラジオ広報、それから障害者団体への説明など引き続き周知徹底に努めてまいる考えでございます。

〇工藤大輔委員 市町村は今後、障害者の生活設計に合わせた形での準備をすることが、また、これは一種の責任があると思いますので、制度が変わったとしても選択の余地がないということにならないように、県としてもさまざまな形で支援されることを求めます。
 次に、身体障害者補助犬制度の推進についてお伺いします。
 昨年10月に身体障害者補助犬法が施行され、盲導犬、聴導犬、介助犬に対する社会的認識が徐々に高まってまいりました。本県におきましても、昨年の2月議会において県立盲学校での取り組みについて取り上げましたところ、早速、盲学校の児童生徒が盲導犬と触れ合い理解し合う機会を設けてもらいましたし、また、補助犬シンポジウムの開催、また、来年度からは給付事業の対象を補助犬全体に拡大する意向であり、私はこのような県の取組姿勢を評価するものであります。補助犬制度についての県民の理解を深めるためには、補助犬の頭数がふえ、県民がその存在を身近に感じられるようになることが肝要であり、県内の補助犬の増頭に向け今後さらなる取り組みが必要ではないでしょうか。
 そこで、お伺いしますが、県内障害者の方々からの補助犬に対する需要はどの程度あるのでしょうか。また、それに対して県はどのように取り組んでいくお考えなのでしょうか。目標頭数や年次別の給付計画はあるのでしょうかお伺いします。

〇高橋副知事 補助犬制度でございますが、まず補助犬に対する需要でございます。補助犬のうち介助犬、それから聴導犬につきましては、昨年10月から施行されている身体障害者補助犬法によって明確に位置づけられたものでございますが、県内では補助犬のうち盲導犬8頭が現在活動しておりまして、盲導犬の給付希望について市町村、それから県視覚障害者福祉協会、県立盲学校を通じまして2月に調査をいたしましたところでは13名の希望者がございます。介助犬、聴導犬については現在のところ具体的な給付希望は寄せられていないと聞いております。
 それから、今後の取り組みでございますが、岩手県障害者プランでは、盲導犬の拡充に努めるというようにしておりますが、具体的な数値目標は、設定はしておりません。補助犬は、障害者の自立と社会参加に大きな役割を果たしておりますことから、身体障害者補助犬法の制定を契機といたしまして、今後、関係機関等と連携をして、一層の制度周知を図りますとともに給付希望者の把握に努めて、計画的な給付に努めていきたいと考えております。
 なお、平成15年におきましては、これまで給付を盲導犬のみとしていたものから、介助犬、聴導犬を含めた補助犬として拡大いたしますとともに、盲導犬の給付につきましては、早期の社会参加を実現するためにも、若い世代への給付にも取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

〇工藤大輔委員 盲導犬については需要が出てきたということをわかりましたし、介助犬、また聴導犬についてまだまだこれは障害者の理解が足りないのではないのかということを感じました。訓練施設が県内にはないということのようですので、こういったことこそ、例えば青森県、秋田県3県合同で訓練施設を設けるなどの取り組みも必要ではないかと思いますので、検討を願いたいと思います。
 次に、消費生活相談の状況等についてお伺いします。
 近年、消費者を取り巻く環境は、経済社会のグローバル化やIT化、さらには規制緩和の進展等により大きく変化するとともに、消費者ニーズも多様化し、多種多様な商品やサービスが出回っております。また、長引く不況下において、多重債務者が増加し、自己破産を申し立てる債務者も多く、このような多重債務者を食い物にするやみ金融業者が横行し、被害者も急増しています。
 そこでお伺いしますが、県民生活センターにおける最近の消費生活相談の件数や相談内容はどのような状況でしょうか。いわゆる、悪質商法に係る相談状況も含めてお示し願います。また、相談への対応、特に警察等関係機関との連携は十分に図られているのかについてもお伺いします。さらに、これら悪質商法対策を初めとする消費生活に関する知識の普及・啓発について、県はどのように取り組んでいるでしょうか、お伺いします。

〇高橋副知事 消費生活相談でございますが、まず、消費生活相談及び悪質商法の相談状況でございます。
 平成13年度に受けた相談件数は、過去最高の8、633件でございまして、前年度に比べて30%の増加でございます。平成14年度に入りましても、4月から11月までの件数は6、952件、18.5%の増加でございますので、今年度は1万件を超すのではないかと考えているところでございます。
 平成13年度の相談内容は、多重債務を中心とした金融関係、これが2、602件で最も多いわけでございまして、その次にワン切りとか有料情報の不当請求などの通信関係に係る相談が1、022件という状況でございます。このような傾向は平成14年度でも変わってはおりません。
 それから悪質商法の相談内容は、電話で高額な教材などを売りつける資格商法、それから高齢者に被害が多いSF商法とか、それから主婦をねらった内職商法などでございまして、平成13年度の相談件数は3、509件で、前年度に比べまして11.1%の増加でございます。平成14年度4月から11月までは2、501件ということで、5.9%の増加ということでございます。
 それから悪質商法対策でございますが、相談があった場合には適切かつ迅速に対応をしておりますが、クーリングオフ制度の助言なり苦情解決に向けたあっせん、それから苦情の多い事業者への指導を行っているところでございます。
 悪質な事例につきましては、警察それから市町村、弁護士会等と密接に連携を図りながら被害の防止に努めておりますし、また、被害の拡大が予想される事例につきましては、マスコミに情報を提供いたしまして注意を喚起してもらう、そういうことも取り組んでございます。
 また、何よりもこういうものは起きる前の未然防止ということが何よりも大切でございますので、消費者情報誌くらしのひろばの発行なりホームページ、それからテレビ、ラジオなどの広報媒体による情報提供のほかに、消費者講座を開催するなどいたしまして、消費生活に関する知識の普及・啓発に努めているところでございます。

〇工藤大輔委員 次に、障害者の雇用促進についてお伺いします。
 昨年12月に、岩手労働局が公表した平成14年の岩手県の身体障害者及び知的障害者の雇用状況によりますと、法定雇用率が適用される一般民間企業の本県の実雇用率が1.66%となっておりますが、この状況をどのようにとらえているのでしょうか。本県においては第1次産業の割合が高く、障害者の方々が働ける場が少ないため、より深刻な状況にあるのではないでしょうか。国では、特定求職者雇用開発助成金制度を設けておりますが、職業訓練を受けた方の就職も進んでいない状況であり、県としてもさらなる対応が必要と考えます。
 県では、障害者の雇用促進に向けて、来年度どのように取り組もうとしているのかお伺いします。

〇高橋副知事 障害者雇用促進についてでございますが、県内の一般民間企業の実雇用率は、平成11年から13年まで3年連続して1.64%であったわけでございますが、平成14年度は0.02ポイント上昇いたしまして、御指摘のように1.66%になったところでございます。この本県の実雇用率1.66%は、全国値では1.47%で0.19ポイント高いわけでございますし、東北各県の中では最も高い雇用率となっておるわけでございます。ただ、そうは申しましても、平成14年の法定雇用率未達成企業の割合が51.8%となっているわけでございますので、適用事業所の半数以上が法定雇用率に達していない状態が平成11年以降続いていると、こういうことでございますから、事業主の理解を得ながら、障害者の方々の雇用をより一層促進する必要があると、そのように考えてございます。
 雇用促進に向けた取り組みでございますが、まず、法定雇用率制度の指導機関でもございます岩手労働局や社団法人岩手県障害者雇用促進協会と連携をいたしまして、障害者雇用の啓発それから就職面接会の開催等によって、事業主の障害者雇用に対するより一層の理解を深め、雇用の促進に努めているところでございます。
 それから、また本年度から実施している宮古地区チャレンジド就業支援センターへの助成を引き続きやるわけでございますし、県内4カ所における身体障害者に対するOA事務系の職業能力開発を継続して実施するということでございます。それから、地方振興局の地域雇用相談員が企業訪問等を通じまして、特定求職者雇用開発助成金や障害者雇用機会創出事業、トライアル雇用でございますが、これらの国の助成制度につきましての周知に努めていく。それとまた、就職支援センターの窓口におきましても、助成制度の情報提供を行っております。さらに、県では、障害者雇用の促進を目的とした入札制度の改正に取り組んでいるところでございまして、今年度は、庁舎管理と物品購入の競争入札参加資格者登録におきまして、障害者の法定雇用率を達成している企業等に対する優遇措置を講じたところでございます。来年度からはこれを広げまして、新たに県営建設工事請負契約の競争入札参加資格者登録におきましても、法定雇用率を達成している企業等に対する優遇措置を講じることとしているところでございます。

〇工藤大輔委員 さらなる取り組みを期待しますとともに、雇用全体で見ましても、第1次産業に基幹する割合の高い本県にとって、完全失業率が全国平均より高いということは末期的な状況ではないのかと思いますので、県としても最重要課題として取り組んでもらいたいと思います。
 次に、農林水産分野の担い手の育成についてお伺いします。
 農林水産業については、それぞれの分野ごとに担い手育成のための基金を設け、それぞれ担い手や後継者の育成のための事業に取り組んできています。しかし、近年、低金利が続く中で基金の運用益の確保が困難になってきており、従前どおりの事業実施に支障を来たしている基金もあるのではないでしょうか。
 また、困難な状況にある担い手の育成に関しては、基金事業とは別に、県においてもさまざまな事業を実施しており、運用益の減少により、事業を縮小せざるを得ない基金については、例えば県事業と基金事業の一本化を図るというような考えもあるのではないかと思います。県事業と基金事業の役割分担も含め、今後の担い手基金のあり方、役割をどのように考え、担い手の育成にどのように取り組もうとしているのかお伺いします。

〇高橋副知事 担い手育成基金の関係でございますが、まず運用益の確保状況でございます。
 委員御指摘のように、農林水産業の担い手育成に係る基金につきましては、低金利時代の中で大変厳しい状況にあるわけでございます。そういうわけで、基金の運用に当たりましては、安全かつ有利な公社債等への乗りかえに努めているところでございまして、今後は運用財産の活用等による財源確保も図っていく必要があるのではないのかと、そう考えているところでございます。
 県事業と基金事業の役割分担のお話もございましたが、基金事業につきましては、担い手育成対策の柱をなす事業となるものでございまして、研修それから組織活動への助成、新規参入促進など、担い手に直接かかわる事業を実施しております。県事業の方では、基金事業を補完して効果を高めるための推進活動を行っておりまして、例えばU・J・Iターンの相談会の共同開催というようなことも実施をして、連携できる部分では連携をしてやっているという状況でございます。
 それから、今後の基金のあり方につきましては、このように限られた財源の中で、緊急性や優先度を明確にしながら、県事業との連携のもとに、重点的かつ効率的に事業を推進してまいらなければならないわけでございまして、今後の担い手育成につきましては、農林水産業の振興を図る上で極めて重要な課題でもございますので、それぞれの基金の特色を生かしながら、技術や経営の習得など、意欲ある担い手に対する支援、それから新規参入者の受け入れ促進などに積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。

〇工藤大輔委員 次に、林業問題についてお伺いします。
 森林整備地域活動支援交付金制度が平成14年度に創設されたところでございますが、本年度中の県内の協定締結予定面積は、対象面積15万1、400ヘクタールのうち約4万9、000ヘクタールで、3分の1程度にとどまる見込みであると、さきの本会議において答弁がございました。この制度は、森林所有者に、間伐など山の管理に目を向けさせるためには一定の効果があるものと思いますが、私は、森林整備を進める上で多額の事業費に見合う効果が期待できるのか、疑問を持っています。県としては、この制度をどのように認識し、推進していく考えかお伺いします。
 また、県産材の需要拡大についてお伺いします。
 県産材の需要拡大については、県内各地において、公共施設や公立小中学校の木造化の取り組みなど、一定の成果が上がってきておりますが、景気の低迷が続く中、本県でも住宅着工戸数が年々減少し、また、住宅の木造率も減少傾向にあります。私は、住宅など民間への県産材の需要拡大を進めていくためには、加工、流通から販路の確保対策まで講ずる必要があろうと考えます。県は、県産材の需要拡大に向けて、今後どのように取り組む考えかお伺いします。

〇高橋副知事 森林整備地域活動支援交付金制度は、確かに2月補正では3分の1しか利用がなくて、7億円ほど減額をしたわけでございます。この制度は、本来、近年の木材価格の低迷なり経営コストの増大などから、森林の経営、採算性が大変悪くなっていると、そして十分な手入れが行われない、そういう森林が増加をして、森林の荒廃が進むことが懸念されている、そういう状況を踏まえまして、森林施業計画の対象とする森林において、必要な施業を行うことによって森林の有する多面的機能、それを持続的に発揮するという観点から、森林の現況調査とか歩道の整備、それから森林整備の実施に必要不可欠な取り組みを行って、森林整備を推進するということで設けられたものでございます。
 この制度の導入によりまして、地域における取り組みが促進されまして、森林所有者の森林整備への意欲が高まって共同による森林施業、それから森林組合への施業委託が促進されることによりまして、森林施業計画に基づいた計画的、一体的な森林施業の実施が期待されることから、本制度の趣旨、目的等につきまして周知活動を展開し、この制度の積極的な活用によりまして本県の森林整備に役立っていきたい、そのように考えております。
 ことしは最初でもございますので、十分に森林経営者の方々に周知をする時間がなかったということもあったのではないのかと、そのように考えているところでございます。
 次に、県産材の需要拡大でございますが、まず、需要拡大に向けての取り組みの状況でございますが、いずれ、この県産材の需要拡大の推進のためには、木材乾燥施設とか集成材加工施設、プレカット施設などの高次加工施設の整備が大変重要でございまして、気仙とか遠野地域に見られるような、森林組合なり木材加工業者などの地域の関係者が一体となった取り組みに対しまして、支援を行っているところでございます。
 また、公共施設への県産材利用に向けた取り組み、これを進めてまいりました結果、一戸町のコミュニティーセンターとか紫波町の上平沢小学校が木造で建築されるということもございまして、木造化の取り組みというものは広がっていると認識しております。
 さらには、住宅への県産材の利用促進を図るために岩手県木材需要拡大協議会、それから岩手県産ブランド材協議会などの関係団体と一体となりまして、県内外での県産材フェアや、住宅資材展示会を通じまして、積極的にPRを行っているところでございます。
 今後の取り組みでございますが、木材関係団体が連携した県産材の安定供給へ向けた取り組みなり、品質の高い製品を安定的に供給できる加工施設の整備、それから、販路拡大に向けたPR活動に対して支援を行ってまいります。それから森林所有者、もっと大事なのは建築設計者とか大工さん等の工務店、この方々が大変大事でございますが、それからまたさらには消費者までが連携して住宅をつくる仕組みづくり、これらを進めまして、地域の木材を地域で使うという、そういう地産地消への取り組みを進めまして、県産材を積極的に地域で利用した住宅の普及というものを図っていきたいと思っております。
 また、これらの取り組みとあわせまして、公共施設の木造化をさらに促進いたしますほか、関係機関それから団体などが取り組む県内外での県産材フェアやいわて住宅祭などを通しまして、積極的にPR活動を展開して、住宅への需要拡大に向けた取り組みを強力に進めてまいる考えでございます。

〇工藤大輔委員 需要拡大に努めるという一方、昨年5月、建設リサイクル法が施行され、再利用という観点も同時に今求められていることとなります。いずれにしましても、県産材の需要に対しましては積極的に努められますよう、御要望します。
 次に、いわてブランド21推進事業についてお伺いします。
 県では、本県の豊かな農林水産資源と地域に継承された伝統技術等を活用し、21世紀のいわてブランドの創出、育成を図るため、平成9年度から毎年度1品目を選定して、その育成に取り組んできているところですが、6年目に入り、これまでの選定した品目について成果はどのようになっているのか、具体的にお伺いします。
 今年度は、全国一の生産量を誇る木炭を選定したところですが、輸入増加の著しい安価な中国産木炭や、既に高級木炭として定着している紀州備長炭などとの差別化について、今後どのように取り組み、本県産木炭のブランド化と消費拡大を進めようとしているのか、お伺いします。

〇高橋副知事 いわてブランド21推進事業でございますが、これまでの主な成果を具体的にということでございます。
 この事業では、平成9年度から毎年度、秋サケ加工品、ひっつみ、それから県産オリジナル清酒、干しシイタケ、大豆加工品を選定いたしまして、また、14年度には木炭を含めまして合計6業種を選定して、本県のブランドとして育成するためにアクションプランを策定し、また、アクションプランに基づいた新商品開発、販路の開拓について関係団体を支援しているところでございます。
 秋サケ加工品につきましては、大阪や福岡の卸売市場で、主に高鮮度イクラが高い評価を受けて新たな取引が生まれてございます。それから、ひっつみにつきましては、関東において大手量販店との取引が増加をするなど、特に県外における販路の拡大が見られるところでございます。それから、県産オリジナル清酒につきましては、吟ぎんがの商品化を契機といたしまして生産量が約4倍に拡大をいたしまして、首都圏や県内での知名度が高まってございます。干しシイタケにつきましては、県内で初めて全国の商社を対象とした入札会を開催したことによりまして、品質に対する評価が向上して、これまでの約1.4倍の高値で取引されているということでございます。大豆加工品につきましては、関西の見本市に初めて出展をいたしまして高い評価を得ておりますほか、県産大豆にこだわった商品開発にも今取り組んでいるところでございまして、このように、県内外に今後とも広くPRをいたしまして、また、地産地消運動とも連携を図りながら消費拡大に努めていきたいと、そのように思っております。
 今年度に選定した木炭でございますが、岩手の木炭は品質にばらつきのある輸入木炭に比べまして、燃焼時の発熱量が高くて火もちがいいと、それから煙が少ない、こういう特徴がございまして、備長炭に比べまして、消臭それから吸湿機能が高いということですぐれた特性を備えているわけでございまして、これらの特性を明確にして、差別化を図ってブランド化を進めることが非常に大事だと思っております。
 今、スローライフということもいろいろと国民の中に提案されているわけでございますが、そういうような動きの中で、木炭から岩手の自然豊かな山里を連想させるということなど、岩手ならではのイメージづくりを醸成していきますとともに、また、若手デザイナーとかミニコミ誌の編集者、こういう方々をアクションプラン検討会のメンバーに加えて、新しい視点それから若い感性、こういうものを取り入れました斬新な意見に基づいたアクションプランを策定していきたいと、そのように思っております。
 それから、消費の拡大に向けて包装単位、やはり燃料用木炭では包装単位の小型化が必要でございますし、また、パッケージデザインも工夫しなければならないと。それからさらには、この特性を生かしたライフスタイルに適応した衣料品とか化粧品、インテリア等への用途開発、それに若い世代にも受け入れられて生活に溶け込んでいくような、消費者のニーズにきめ細かく対応した商品というものの提供に努めまして、新たな需要を喚起していくことが必要だと、そのように思っております。
 県内では、県産品愛用運動それから地産地消運動を展開しているわけでございますが、これらを通じて、県産木炭というものを大いにPRいたしまして消費の拡大を図りますとともに、県外では、アンテナショップとか物産展等への出展によって新たな販路を開拓していきたいと、そのように思っております。

〇工藤大輔委員 次に、受注希望型指名競争入札についてお伺いします。
 受注希望型指名競争入札は、業者の受注意欲を反映できること、入札参加者が増加し競争性が高まること、業者の入札参加の機会が拡大することなど、受注者、発注者の双方にとってのメリットもあるという観点から、平成14年2月から、本庁に加え、地方振興局においてもこの入札方式を試行実施しておりますが、これまでの試行状況、結果をどのように把握しているでしょうか。また、その試行結果を踏まえ、今後の本格運用についてはどのように考えているのかお伺いします。

〇小原総務部長 受注希望型指名競争入札についてでありますが、この入札制度については13年1月から本庁で実施して、14年2月から地方振興局で試行しているというものでございます。
 14年度は12月末現在、本庁でこれは電気、管、それから防水、通信工事でありますが、これで25件を実施いたしました。また、地方振興局では土木B級対象の工事でありますが、20件を試行したところであります。
 これまでの実施結果を見ますと、本庁執行分の電気工事、地方振興局の土木工事においては、全資格者数のおおむね8割の入札参加がございまして、受注意欲を喚起する意味から、効果はあらわれていると考えております。また、通常の指名競争入札ですと、10社指名ということにしておりますが、この受注希望型指名競争入札では、入札参加者は1件当たりの平均が本庁で11社、それから地方振興局で15社となっておりまして、入札参加の機会が拡大するとともに、確実に競争性が高まっていると考えております。
 今後の本格運用についてでありますが、地方振興局で試行した土木工事につきましては、今年度いっぱいで試行を終了するということで、詳細に試行結果を分析いたしまして、業者の皆さんからも意見を聴取した上で、来年度、本格実施をしてまいりたいと考えております。
 また、その他の業種、例えば本庁における建築工事、地方振興局の電気、管工事、こういったことですが、これらについても業者数、あるいは工事の特殊性、専門性、こういったものを踏まえながら、導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 競争性が高まる余りに、低価格の落札だとか手抜き工事等が発生しないように、また、地元の発注率の向上に努められますよう、御要望を申し上げます。
 次に、民間企業等の職務経験者の幹部職員等への登用についてお伺いします。
 県は、高度な専門性を備えた民間の人材を活用していくため、昨年の10月に、一般職の任期付職員の採用等に関する条例を制定したのに加えて、この2月には新・人材育成ビジョンを公表し、今後の職員の育成方針等を明らかにしましたが、このビジョンの中で、人材確保の方法の一つとして民間企業等の職務経験者の採用を取り上げ、今後拡大する方向で進めるとしております。
 私は、県が民間企業等の職務経験者をさまざまな方法で確保していくことは、その専門性や民間手法の活用などが大いに期待されることから、これからの県政を推進していく上で非常に有効であると考えます。
 そこでお伺いしますが、今後、県は、幹部職員への登用も含めて、民間の人材の活用をどのように進めていくお考えなのでしょうか。また、現在のところ、どのような採用予定状況なのかお伺いします。

〇小原総務部長 民間経験者の人材活用ということでありますが、県民のニーズが多様化、高度化している中で、県民に対して、より質の高い行政サービスを提供して県民満足度の向上を図るためには、私どもがこれまでやっております採用試験制度に加えまして、民間企業におけるさまざまな経験あるいは特殊専門的な能力を有する人材を確保して活用する、こういった方策を講ずることが必要になってきております。
 民間からの人材登用について、これまでの取り組みを申し上げますと、県の施策推進上、重要かつ緊急な課題に対応するために、それぞれの施策分野においてすぐれた能力、経験を有する者を非常勤職員として任用したケースとして盛岡以北の並行在来線対策、それから、岩手山火山対策のための非常勤任用が挙げられるところであります。
 また、庁内での専門家の養成が施策推進上間に合わないといった分野、あるいは、高い専門性を必要とする分野において任期付で研究員を採用したものとして、イヌワシ等の希少猛禽類研究のために、環境保健研究センターの主任専門研究員として民間の研究所から採用した例があります。さらには、平成13年度から実施しております民間企業等経験者採用試験、新しい制度でありますが、これによって本年度は大手損害保険会社から1名採用し、また、15年度、来年度は大手都市銀行、それから民間の研究機関等に勤務している3名を採用予定としているところであります。このほか、15年度においては、新たに設置するIT推進室において、本県の情報化戦略の策定等の業務に充てるため、任期付職員として、外部の専門家を課長級のIT指導監ということで採用することとして、現在その選考を進めているところであります。
 今後におきましても、さまざまな県民ニーズに対応して、県民満足度の高い行政を目指して民間経営者採用の職種の拡大を図るなど、そしてまた、必要に応じて幹部職員の任用を進めることに取り組んでいきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 最後に、指導力不足教員の事務職員としての受け入れ等についてお伺いします。
 教育委員会においては、専門性や社会性に問題を有し、児童生徒を適切に指導できないなど、教員としての責務を果たしていない指導力不足教員について、研修を行ってもその状態が改善されない場合には、配置転換、職種変更、退職勧奨等の措置を講じる方針とのことであります。一方で、知事部局では、先ほども触れましたが新・人材育成ビジョンを策定し、県民の満足度の向上を目指して、職員の能力を一層高める方針を打ち出したところであります。
 こうした中で、適性を見た上とはいえ、指導力不足教員を事務職に職種変更してまで受け入れることは、事務の現場に困惑や違和感をもたらすのではないかと思い、私はこの措置が果たして有効に機能するのか、また、県民の理解が得られるのか疑問を抱かざるを得ません。県の考えをお伺いしたいと思います。
 関連してお伺いしますが、知事部局においては、県職員としての資質、能力が不足している職員についての問題というものは生じていないのでしょうか。あるとすれば、どのように対処しているのかお伺いします。

〇高橋副知事 前段の方は私から、後段の方は総務部長の方から答弁させます。
 まず、教員の職務、これは申すまでもなく、児童生徒の人格形成にかかわって重大な影響を与えるものでございまして、児童生徒への指導が不適切な教員が存在する場合には、任命権者である県教育委員会において適切な人事管理を行うことが求められるものでございます。こうしたことから、今般、県教委におきましては、指導力不足等の教員の判断、研修に関する手続等について、取扱要綱を定めたと聞いているところでございます。
 これによりますと、指導力不足等教員と判定した場合には、その教員に対して総合教育センター等において、指導力や資質の向上を目的とした研修を一定期間実施いたしまして、その改善を図った上で職場に復帰させるということになっております。しかしながら、このような研修を行っても、指導力不足等の状態が改善されない場合があるわけでございますので、そのような方には、配置転換、職種変更、退職勧奨などの適切な人事上の措置を講じることとしているものでございます。したがいまして、事務職員等へ職種変更をする場合には、その教員が新たにつく職に必要な能力、資質等を有していると認められる場合に限って措置されるものでございまして、いやしくも県民の御理解が得られないというような運用ではなく、この問題は厳格に運用されるべきものだと、そう考えておるところでございます。

〇小原総務部長 知事部局において、職員の資質能力に問題が生じていないかということでありますが、県職員につきましては、体系的な研修あるいは職場におけるOJTなどにより能力の向上を図るとともに、適性に合った人事配置に努めているところでありますが、心身の故障等により職務の遂行に支障が生じ、あるいはこれに耐えられないといった状況に陥った職員については、まず、その健康回復に向けて適切な治療等について指導を行うとともに、本人の健康の回復状況を見ながら、担当業務の質、量あるいは配置がえなどについて配慮をしているところであります。しかしながら、回復の見込みがない場合には、公務能率の維持あるいは適正な業務執行の確保の観点から、退職の勧奨や場合によっては地方公務員法に基づく分限処分も含め、個別、具体に対応することとしているものであります。
 県といたしましては、県民の付託を受け、公務を担うにふさわしい職員を公正な競争試験により選抜しているところでありますが、採用後も新・人材育成ビジョンを基本に、貴重な人的財産として大切に育成していくよう、努めていきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 公務員法の絡みもあり、これについては大変難しい問題なのかなということもわかりますけれども、やはり県民から理解がもらえるような形や、また、県民から期待の多い県職員でございますので、人事配置や人材育成については、今後なお一層、努めてもらいたいと思います。
 また、今、この県職員や教員というものは大変人気が高く、なりたくてもなれない仕事でもございますので、そういった観点からも、例えば次の世代の若い人たちに期待を持って仕事をさせるというのも、まさに必要ではないのかとも思います。
 最後になりますけれども、いずれ今回の財政状況を見ますと、本当に厳しい中でかなり大変な予算編成だったという感を持っていますが、今まさに即時即決が必要な、例えば合併問題だとか雇用問題、産廃施設の問題、教育、例えばあとはベンチャー企業や中小企業の育成等、本当に必要な事業が待たれている状況であり、これらの県民の期待にこたえられますよう、今後とも一層、事業を推進されますように御期待申し上げ、質問を終了したいと思います。

〇長谷川忠久委員 政和会の長谷川でございます。
 平成15年度予算審議に当たりまして、政和会を代表して総括的にお伺いをいたします。積極的な御答弁をお願いいたすところでございます。
 まず、財政問題についてでございます。
 平成15年度当初予算は、長引く不況等の影響から、県税収入は前年度から67億1、100万円の減と、大幅な減収でございます。地方交付税及び国庫支出金についても423億500万円の大幅な減額がなされるなど、前年度当初予算対比5.9%減と、2年連続の減額となっております。いわゆる骨格予算とはいえ、超緊縮型予算となっておるところでございます。
 また、この内容から見ますと、公債費が1、467億円とさらに増大し、義務的経費比率は46.9%とさらに5割に近づき、財政の硬直化が一層進み、本県の財政状況はまさに危機的状況にあると考えるのでございます。
 そこでお伺いしますが、地方公共団体の財政力を示す指標として財政力指数が用いられますが、本県財政力指数の推移及び今後の見通しはどうなのか、まずお示しをいただきたいと思います。

〇小原総務部長 財政力指数の推移と今後の見通しについてでありますが、財政力指数は、地方公共団体の財政力を示す尺度として、普通交付税の算定に用いる基準財政収入額、これを基準財政需要額で割った数値の過去3カ年分の平均値により算定されまして、1に近く、1を超えるほど、財源に余裕があるとされる指数であります。この指数が1以上の団体は普通交付税が交付されないということで、現在は東京都のみとなっております。
 本県の財政力指数の推移についてでありますが、平成3年度以降増加いたしまして、平成10年度に、細かい数字で恐縮ですが0.30746と過去最高のピークを迎えましたが、以後、毎年度減少して、平成13年度は0.26051と、ピーク時の平成10年度に比べて15.3%減少しております。これを全国で見ますと、全国平均のピークは平成3年度の0.50786となっておりまして、以後、減少に転じまして、平成13年度は0.40501と、ピーク時に比べまして20.3%減少しております。本県の順位は、平成3年度の全国平均のピーク時では40位でございましたが、平成10年度以降は37位という形で推移しております。
 今後の見通しについてでありますが、この指数が先ほど申し上げましたとおり、基準財政収入額を基準財政需要額で割った数値の過去3カ年の平均ということでございますので、県独自に将来を推計するということはちょっと計算上困難であります。しかしながら、この財政力指数は、基準財政収入額の大宗を占める県税収入の動向に左右されるということになりますので、これまでの推移あるいは長引く景気の低迷による税収動向等からすると、指数が上昇するということは今のところ期待できないということで、今後もこのままの状況で推移するものと見込まれるところであります。

〇長谷川忠久委員 次に、経常収支比率についてでございますが、さきの一般質問で菊池雄光議員が質問いたしていたわけでございます。しかし、そのときの答弁は、地方交付税であるとかあるいは景気が悪いとかという、そういう理由であったわけでございますが、平成7年度の本県の経常収支比率が78.3%、全国11位であったわけでございます。しかし、平成13年度は90.4%、全国31位と、20番も順位を下げておるわけでございまして、急激に悪化をいたしている。これは、不況であるとかあるいはまた地方交付税が少なくなったという国家的な要素であるとか、そういうことだけでは説明できないような気がいたしておりまして、経常収支比率の低下の要因について何か本県独自の要因があるのではなかろうかと、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。

〇小原総務部長 経常収支比率低下要因の本県としての理由、要因についてというお話でございますが、御案内のとおり、経常収支比率、計算式の分子が人件費、扶助費、公債費ということで、分母が県税、地方交付税等の収入なわけですけれども、本県の場合、いわゆる分子の公債費増による要因が極めて大きいと考えております。
 これまでも御答弁申し上げているんですが、国の経済対策に呼応して実施した公共事業の財源として活用した補正予算債、あるいは地方財源不足対策としての財源対策債、これらに加えまして、本県特有ということで東北新幹線あるいは県立大学、農業研究センター等の試験研究機関、こういったものに対する整備に伴う県債の発行、これが分子の数字を上げ、したがって、そういったものの償還額が急激に増加しているということが、経常収支比率のパーセンテージを上げているということの最大の原因だと思っております。

〇長谷川忠久委員 それでは次に、公債費の今後の見通しについてでございます。
 平成15年度当初予算の歳出の内容を見ますと、過去に発行した県債の償還費である公債費については、昨年度より125億円、9.3%、大幅な増加となっておるところでございます。一般会計の大幅な減少に対して、突出した伸び率を示しておるわけでございます。公債費の大幅な増加は、一般財源に乏しい本県にとって財政の硬直化を一層進めることにつながり、今後の施策展開に著しい足かせとなると考えられるところでございます。
 そこでお伺いしますが、公債費の増加の原因、公債費の推移及び今後の見通しについてお示しを願いたいと思います。

〇小原総務部長 公債費の増加の原因ということでございますが、国の経済対策に呼応したさまざまな公共事業の財源として補正予算債を初め財源対策債、それから本県特有の整備のために発行した県債ということで、近年、償還額が急激に増加しているということのためだと考えております。
 また、平成元年度以降の公債費の決算額の推移、これを見ますと、おおむね毎年度増加をしてきておりますが、特に平成12年度以降は、前年度から100億円を超える形で増加しておりまして、平成10年度で894億5、500万円であったものが、平成15年度当初予算では1、467億1、400万円ということで、平成10年度に比較して1.6倍という形で急激な伸びになっております。これは、平成10年度以降の国の経済対策の大幅な増加、あるいは平成9年度に完成した県立大学、12年度にピークを迎えた東北新幹線の整備、これらに充てた県債の元金償還が始まったことなどによるものと考えております。
 今後の見通しでありますが、平成16年度以降も増加いたしまして、平成20年度に1、700億円程度となりまして、ここが償還のピークになるものと、現状では見込んでいるところであります。

〇長谷川忠久委員 そういう見方もできると思うのでございますが、私は、それはちょっと悲愴的な見方ではなかろうかと実は思っておるわけでございます。
 私は、この財政力指数は多分本県の実力をあらわしているだろうと、こう思っておるわけでございます。財政力指数、御説明のとおり、現在はEランクですね。御案内のとおり平成10年度ぐらいまでピークでございますけれども、これちょっと数字が違いまして、私のあれでは0.30823、0.30746と言いましたけれども、ちょっと違うわけでございますが、それでも7年度当たりはDランクなんですね。11年度以降は全部Eランクになっております。ただ、全国的にEランクが七つあったのが15にふえておりますから、私は本県の実力を多分あらわしているのだろうと。その間、例えば県民の1人当たりの分配所得、四十二、三位だったのが、三十七、八番に上がったと、こういうことでございまして、財政力指数も国家的な要因もあるわけでございますけれども、それは多分本県の財政というものの実力を正確に、正しくあらわしていると思うのでございます。ただ、平成7年度を基準にいたしまして、例えば公債費比率ですと、平成7年度13.5%と、30位なんです。13年度は21.0%で43位と、急激に順番を落としていると、悪化していると、こういうことですね。経常収支比率も平成7年度78.3%と、11番です、全国的に。そして平成13年度は31番ですね、90.4%と、こうなっておるわけでございます。これは多分、その間、岩手県の実力は結構上がったのではなかろうかと思っております。佐藤総合政策室長なのか飛澤地域振興部長かわかりませんけれども、例えばその間の1人当たりの分配所得であるとか、県内の鉱工業の出荷額であるとか、商業の販売額であるとか、そういうものはどうなっているんですか。多分、私は頑張った、がんばらない宣言ではなく、頑張ったせいでこういう財政状況になったのではないのか、そのように思うのでございますが、こういう見方は間違っているのでしょうか。

〇佐藤総合政策室長 今の委員の公債費あるいは経常収支比率については、これは私の立場ではございませんが、鉱工業出荷指数とかあるいは分配所得、あるいは県民所得、国民所得に対する割合であるとか、それらは着実に、確実に上がってきておりまして、したがいまして、総所得に占める鉱工業出荷の状況も、いわばこれまでは右肩上がりという状況で来ております。これ、今、数字を持っていませんのであれなんですが、そういういう状況です。

〇長谷川忠久委員 答弁は必要ございませんが、その辺室長、後で資料をお願いいたしたいと、こう思っておりまして、多分そうなっているのではなかろうかと思うんです。一生懸命皆さんが頑張ってまいりまして、その結果、財政がちょっと悪化してしまったなと、実力以下の、平成7年度ごろは実力以上の財政力だったんですよ。ところが今は実力以下の財政になっておるわけでございまして、これは多分、一生懸命頑張ったせいだと、その間、我々の県民の豊かさが上がったとか便益性が上がったとかという結果ではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。その辺の資料があればいただきたいと思っております。
 次に、公共事業についてお伺いをいたします。
 平成15年度当初予算では、公共事業費は対前年度比18.3%減と、大きく減少をいたしているわけでございます。私は、公共事業は社会資本整備を進める上で、欠くことのできないものであると認識をいたしております。
 かつて、国において、将来の情報通信の高度・高速化に対応するための光ファイバーケーブルの敷設を断行しなかったことが、その後の情報通信分野においてアメリカや韓国に大きくリードを許し、景気低迷の一因となったことから見てもわかるように、必要な事業は将来を見据えて実施するという勇断が必要であろうと考えております。本県においては、これからの地域社会、産業構造等を見通した先見性のある公共事業は必要であり、一律に縮減すべきものではないと考えておりますけれども、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

〇佐藤総合政策室長 公共事業についてでありますが、これまでも県民生活あるいは地域の経済を支える社会資本の整備を進める上で、大変重要な役割を担ってきたわけで、本県にとっては、これまでと同じようにその必要性が高いという認識はしておりますが、一方では、公共事業についてこれまでの状況を見てみますと、国の経済対策などに対応した、いわば先行的に投資をして拡大してきた事業量、ボリュームと申しますか、これが現下の厳しい財政状況を踏まえまして、適正な規模に戻すこともまた必要ではないかという考えに今立っているわけでございますが、したがいまして、率直に申し上げて、当面、予算額で見た場合に、拡大はかなり困難な状況にあるわけでございます。しかし、実施に当たりましては、単に一律に削減ということではなくて、まさに本県全体あるいはその地域地域の将来を十分に見据えて、ただいま委員が御指摘のとおり、必要な事業は将来を見据えてというお話がございましたが、真に必要かどうか、あるいは優先度が本当に高いものかどうか、そこを見きわめながら、重点化を図りながら実施をしていく必要があると、こう考えております。
 こうしたことから、公共事業の推進に当たりましては、コストの縮減であるとか、全国一律の実施基準の見直しによる地域の実態に即したいわゆるローカルスタンダードの導入であるとか、環境と共生しあるいは積極的に環境を創造していくような視点での事業の実施など、新しい要請にも果敢に取り組んでいきたいと、こう考えております。
 このように、事業内容や実施のあり方、これは常日ごろ不断に吟味いたしまして、これからの時代に十分に対応しながら、質の高い社会資本整備を進めていくべきものと考えております。

〇長谷川忠久委員 公共事業を論ずるときには、大型とか小型とかということで、どうも大型事業がいけないとかという風潮があるわけでございますけれども、私はそんなことは絶対にないと思います。今、公共事業の中で間違っているのは、多分景気を意識して公共事業をやっていると、こういうことではなかろうかと思っておりまして、景気プラス先見性ですよ。これからの産業構造がどうなるかと、こういう観点から社会資本の整備をしていかなければならないと、こういうことであって、大型とか小型とかというのは関係ないと私は思っておるわけでございまして、その辺に留意をしていただきたいと、こう思っておるわけでございます。
 次に、道州制についてお伺いをいたします。
 知事は、2月13日に開催された衆議院憲法調査会小委員会において、道州制や都道府県合併については、全国一律ではなく多様な選択肢が示された上で、これを地方が選べるようにするべきであると。現行憲法の範囲内でも取り得る手段は多いとの意見を述べたということでございます。また、記者会見等において、2005年までが市町村の合併に力を入れる時期で、2010年ぐらいが都道府県制をどうするか議論する時期ではないかとし、道州制への移行を示唆するような発言をしております。
 そこでお伺いいたしますが、今の都道府県制から道州制に移行した場合、具体的にどのようなメリット、デメリットがあるのかお示しを願います。
 また、最近、北東北3県合併についても取り上げられておりますが、道州制と北東北3県合併の相違点についてお伺いをいたします。

〇佐藤総合政策室長 道州制についてですが、広域的な行政といいますか、そういうものも視点に入れた新しい都道府県のあり方、これを検討していく上での最も重要なことは、自己決定であり自己責任、この原則に基づいた地域主権型の社会を確立するという観点から、国と地方の新しい関係、これを築いて、それにふさわしい枠組みを構築していくことだと思います。こうしたことから、道州制あるいは連邦制などにつきましては、過去にさかのぼればこれまでもさまざまな議論、提案があったわけでございますが、今日で言うところの新しい国と都道府県のあり方、これにつきましては、その行き着く先が道州制であるのかあるいは連邦制であるのか、今、地方分権一括法が施行されて地方分権が進む中にあって、その検討が緒についたといいますか、スタートしたということで、今後幅広く議論されていくのだろうと、こう思います。
 具体的なメリット、デメリットあるいは道州制と現在の都道府県制との比較、あるいは道州制と北東北の合併という比較論というのはなかなか難しいかと思いますが、いずれ、これらの問題につきましてもこれから幅広く議論されていく中で、真のいわば自治の原点に立って検討されていく必要があるものという見方をしているわけでございます。
 北東北3県の連携につきましては、これまでもいろんな具体的な成果を出してまいりましたし、これからもさらにその成果を一つ一つ積み重ねていきたいと、こう考えております。
 北東北3県の具体的な取り組み、これを積み重ねながら、これをさらに東北全体につながるような、あるいはそのあり方について何らかの方向性を示し得るような、そういうことも踏まえながら今後さらに連携を強めていきたいと、広く議論をしながら進めていきたいと、こう考えております。

〇水上信宏委員長 長谷川委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時2分 休 憩
   午後3時20分 再 開

〇水上信宏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。

〇長谷川忠久委員 次に、市町村の財政状況等についてお尋ねいたします。
 去る2月7日に、地方自治体の予算編成の指針となる平成15年度地方財政計画が閣議決定をされたところでございます。計画では、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入の大幅な減収等による過去最大規模の財源不足額の圧縮と借入金の抑制を図ることを基本といたしまして、計画の規模の抑制を図ることとされたところでございます。その結果、計画総額は対前年度比で初のマイナスとなった昨年度に引き続き、2年連続のマイナスとなったところであり、県と同様に、県内各市町村でも予算編成で歳出の絞り込みを余儀なくされたところでございます。
 この地方財政計画の内容を見ますと、地方税や本県市町村の基幹的な歳入である地方交付税が減額となる一方、いわゆる赤字地方債である臨時財政対策債の大幅な増加によって、地方債への依存度がますます高まり、本県市町村の財政運営が今後、より一層厳しくなることが予想されるところでございます。
 そこで、お伺いいたしますけれども、これからの地方分権の時代にあっては、それぞれの市町村が創意工夫を凝らし、地域の実情に応じた経営を進めていくことが非常に重要と考えられます。その基盤となる本県の市町村財政の状況や課題について、県はどのように認識をされておられるのでしょうか。また、今後さらに厳しくなると予想される財政運営について、県はどのように助言していこうとしておられるのか、基本的な考え方をお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 市町村財政の状況についてというお尋ねでございますが、市町村の財政状況、平成13年度決算と12年度の決算で比較いたしますと、決算規模が、歳入が地方交付税の減等によりまして1.4%減の6、534億円余、歳出が普通建設事業費などの抑制などによりまして1.3%減の6、357億円余となっておりまして、12年度決算に引き続いて――これは地方財政計画と同じでございますが――2年連続のマイナスとなってございます。
 それから、財政指標を見ますと、弾力性を見ます経常収支比率が1.1ポイント高くなって81.9%となっておりますし、公債費負担比率が0.6ポイント高くなって19.5%となってございまして、厳しいという状況になっております。また、地方債残高も平成13年度末で7、756億円と前年度よりも1.8%増と、指標が引き続いて悪化の傾向をたどっておりまして、年々本県市町村の財政構造は厳しさを増してくるのではないかと考えております。
 当面の課題でございますけれども、これは先ほども田野畑村で申し上げましたけれども、いずれ各市町村、地域、地域に合った行政改革を不断に進めていただきたいということと、あわせて財源の計画的、重点的な配分などによりまして、機動的、効率的な財政運営の取り組みを積極的に進めていただきたいと思っておりまして、県といたしましても税収の確保でありますとか、受益者負担の適正化など財源確保に努める一方で、優先順位についての厳しい選択をして事務事業を見直して、歳出の徹底した再検討ということをいたしまして、財源の重点的かつ効率的な運用に努めていただきたいと考えております。

〇長谷川忠久委員 例えば、県と市町村の財政を比べてみますと、数字上は、これは市町村の方が圧倒的にいいんですよね。公債費比率、経常収支比率、財政力指数も圧倒的に市町村の方がいいわけでございます。数字だけですよ、数字はいいと。ただ、そういうことを考えていくと、県の方が市町村に、数字だけを見てすべてを市町村の方に負担させるということも考えられないこともないわけでございまして、そういう点でぜひ県の考え方を統一しておいていただきたいと思うわけでございます。
 先ほど道州制等についてお話をお伺いしたわけでございますけれども、道州制ということのメリット、あるいは県のメリットということを考えていきますと、県の方がその市町村に対して柔軟にフレキシブルに対応できるということがあるわけでございまして、あながち道州制がいいという論理に果たしてなるのかどうかという問題については疑問が私はあるわけでございまして、その辺をお考えいただきたいと思っておるわけでございます。
 次に、市町村合併に対する県の支援についてお伺いをいたします。
 市町村において合併問題を議論する前提として、地域の将来像を立案する際、市町村のみでは困難な場合があると聞いておるわけでございます。そこで、市町村が将来像を立案する場合の県の支援、協力はどうなっているのかについてお伺いをいたします。

〇飛澤地域振興部長 市町村の合併の取り組みに対する支援ということでございますが、県におきましては昨年も、地域の将来像などについて住民の皆さんに十分わかっていただくような資料提供を心がけてほしいということで、将来の財政見通しあるいはいろんな施設、あるいは職員数だとかいった将来見通しを立てられるようなシミュレーションなどモデルをつくりまして市町村や地方振興局に配布いたしまして、そういった取り組みを促したところでございますし、引き続いて地方振興局を重点に各市町村の求めに応じまして、さまざまな講師派遣でありますとか、あるいは資料作成などの支援をしているところでございます。
 今後の取り組みということでございますが、計画づくり、あるいはその機運の醸成でありますとか、あるいはその合併の仕組みに対する理解、制度に対する理解、さまざまな市町村あるいは住民の方々からの要望があろうかと思いますが、いずれ合併支援プランに盛り込んである内容をかなり、どういう場面でもいずれ対応できるようなメニューがそろっておりますので、地域、地域によってその要望が違うわけでございますけれども、そういった個別の具体の要望にはできるだけきめ細かな対応をしていきたいと思っております。今後、必要な支援は引き続いてやっていきたいと思っております。

〇長谷川忠久委員 今の時代は本当に財政が大変窮迫しているということもありまして、住民の方々に納得していただけるような絵が大変かきにくいと、将来像を立案するに際してかなり苦労しているのではなかろうかと思っておるわけでございまして、これがやはり県の支援がなければ、市町村だけの財政で、幾ら市町村の財政がいいからといって描けるものではないと思っておるわけでございます。そういうシミュレーションも結構であるわけでございますけれども、シミュレーションだけではなくて、本当にその市町村が描かなければならない夢みたいなものを、一緒になって描くような努力をお願いいたしたいと思っておるわけでございます。
 次に、二つ三つ飛ばしまして、支援費制度の施行に向けた準備状況についてお伺いをいたします。
 今年の4月に障害者福祉サービスの制度が、従来の行政処分である措置から、障害者の自己決定、自己選択を尊重する支援費制度に改められたわけでございます。工藤大輔委員もお話ししておりましたが、県、市町村とも、その円滑な施行に向けて着実に準備を進めていると思われますが、利用者の支給申請やサービス提供事業者の指定状況はどうなっているでしょうか。
 また、支援費制度は、障害者が事業者と対等な立場に立って契約することを基本としておりますけれども、契約締結に当たって意思表示が困難な障害者への支援や、計画に伴う苦情の解決の仕組みはどうなっているのでしょうか。
 さらに、支援費制度への移行に伴い、施設サービスを確保した入所待機者を解消するとともに、施設の地域生活支援機能を強化する必要があると考えるのでございますが、県は施設の定員管理や今後の施設整備計画をどのようにお考えでしょうか。

〇高橋副知事 支援費制度についてでございますが、まず、第1点、支給の申請状況でございます。居宅介護、デイサービス、短期入所などの居宅サービスの利用見込み者数は約2、900人ということでございまして、2月15日現在の申請者数は約1、700人、申請率は6割という状況でございます。
 それから、施設サービスの利用見込み者数は約3、700人でございますが、この1月末現在の申請率は4割ということになっておりますが、ただ、この施設サービスの方々はほとんどが現在入所者の方でございますので、15年度末までに支給決定を受ければいいということになっておりますから、ここはまだ4割でもそういうような関係で問題は余りないということでございます。現在、各市町村におきまして、支給申請者の障害程度などの調査を行っておりまして、3月中に支給決定事務を終える予定で頑張っている状況でございます。
 それから、事業者指定の状況でございますが、事業者の申請数は、施設サービスが約80件、居宅サービスが約280件という状況でございます。県では、すべての市町村におきまして居宅サービスが提供されるように、サービス提供事業者の確保に努めることといたしまして、介護サービス事業者に参入を呼びかけているところでございます。この事業者の指定事務につきましては、現在、施設に係る事務はすべて終了しておりまして、居宅につきまして3月中旬の終了をめどに作業を進めておるところでございます。ただ、国が介護サービス事業者の参入基準を示したのがちょっと遅かったために、指定事務がおくれておりまして苦戦をしているという状況でございます。
 それから、契約支援のお話がございました。支援費制度におきますサービス利用は契約によることになるわけでございます。そのため、県において関係者の御協力をいただきながら、サービスごとの契約書の参考例を作成いたしました。また、そのほかに契約事務の手引や知的障害の方々を対象とした解説書を作成してございます。意思能力にハンディのある方々の契約につきましては、市町村社会福祉協議会において実施している地域福祉権利擁護事業、それから成年後見制度の活用を進めているほかに、家族や親族、民生委員などに契約の場合の立会を求めることなどによって支援を行うこととしております。ただ、契約について利用者から相談があった場合に、市町村が的確に対応できるように県としても支援してまいりたいと考えております。
 それから、苦情があった場合の解決でございます。これにつきましては、社会福祉法に基づいて各事業者に対応していただくということが原則でございますが、それとともに県社協に設置されております福祉サービス適正化委員会を活用していただくことになるかと思います。なお、市町村初め、サービス提供に関係する方々が、これらの苦情に的確に対応してサービス向上につなげることができるように、苦情解決事務の指針の策定を現在進めているところでございます。
 それから、4点目の施設の定員管理及び施設整備計画でございますが、入所型施設の待機者数は、平成14年10月現在で、身体障害者療護施設102名、それから重度身体障害者授産施設14名、それから知的障害者更生施設(入所)が59名ということで、これら含めて計179名という状況でございます。県の障害者プランでは、身体障害者療護施設を除きまして、新たな入所型施設の整備は計画をしていない状況でございます。地域生活支援の観点から、これらの方はグループホームとか通所授産施設を中心とした整備を行うこととしているところでございます。このようなことは、昨年末に出された国の障害者プランでも同様でございまして、新たな入所型施設の整備については抑制の方向が示されているという状況でございます。したがって、既存施設の定員増につきましては、地域における需要とか設備運営状況等を総合的に勘案して、個別に御相談に応ずるということになろうかと思っております。

〇長谷川忠久委員 次に、介護保険についてお伺いをいたします。
 介護保険制度は平成12年4月の制度施行から間もなく3年を経過しようとしております。制度運営はおおむね順調に進捗をしているようでございます。この間、介護サービスの利用者は平成12年4月末の2万4、211人から2年半後の平成14年10月末には3万5、415人とほぼ1.5倍に増嵩しておりまして、介護サービスの利用は大幅な普及、拡大が図られてきているようでございます。今後は介護サービスの質の向上が大きな課題になるのではないかと考えておるのでございます。
 そのためには、今後の介護を担う人材の育成が重要と考えます。とりわけ制度のかなめであるケアマネジャーと在宅介護の柱であるホームヘルパーについて、マンパワーを養成するということ、質の向上が必要だということがあるわけでございますが、県としてどう取り組んでおられるのかお考えをお尋ねいたします。

〇高橋副知事 介護保険でございますが、ケアマネジャー、それからホームヘルパーの養成についてでございますが、これまでにケアマネジャーは約2、600人、ホームヘルパーについては1万6、000人以上が所定の養成研修を修了しておるわけでございまして、在宅介護の充実を図るという観点から、積極的に養成に努めているところでございます。
 それから、これらケアマネジャー、ホームヘルパーの資質の向上についてでございますが、ケアマネジャーにつきましては、平成14年度から現任研修を基礎研修、それから専門研修に細分化をして実施しておるところでございます。また、ホームヘルパーにつきましては、従来のサービス提供責任者に対する研修に加えまして、平成15年度からはリーダー研修、テーマ別研修を実施する予定でございまして、職責、さらには業務経験に応じた研修の充実に努めたいと考えております。さらに、地域ケア体制の核となりますリーダーの養成、それからケアマネジャーの相談窓口の設置等、きめ細やかな支援体制の整備に努めることとしておるところでございます。

〇長谷川忠久委員 実は措置費から支援費という形になりまして、今も、副知事が苦戦している部分もあるというお答えだったわけでございますけれども、報道によりますと――知事でございますけれども――2年後、御存じのとおり介護保険制度が見直しされるということになるわけでございますが、支援費制度でなく障害者施策も介護保険の方に編入した方がいいのではないかという発言をしたというふうに新聞の方で報道されておるわけでございます。実は私もこの4月から支援費制度になる施設を運営するわけでございますけれども、今、措置費として1億6、000万円ぐらいいただいておるのですが、2、000万円減るんです。1億4、000万円ぐらいになるんです。その2、000万円分リストラしなければいかぬというようなことになっているんですね。何とかしなければいかぬということで、これはやめるわけにもいきませんので、しますけれども、かなり苦戦をしているのが施設の現状なんです。個別に相談に応ずるというその態度はそれでいいのかどうなのかということ、県としてはちょっと不遜なのではないのか。やはり施設の実情に応じて、相談に応ずるんではなくて一緒に支援費制度が軟着陸するように相談をいたしたいとか、何かそういうようなことの方が私は親切なような感じをいたしておるわけでございます。答弁は求めません。
 次に、沿岸南部地域において進められているエコタウン事業の状況についてお伺いをいたします。
 沿岸南部地域では、釜石市や大船渡市において長年培われた製鉄やセメント関連の基盤技術などの産業蓄積を生かした環境産業の振興を通じた資源循環型地域づくりに率先して取り組んできたところでございます。国のエコタウン事業を導入するには、その推進の基本となるエコタウンプランの策定が必要とされるものであり、地域承認に向けて関係市町、県を初めとする関係地方振興局、関係企業などが一体となって取り組んできたところでございます。その結果、水産資源バイオ・ケミカルリサイクル事業や、バイオマス・次世代燃料等資源化事業など3本の主要プロジェクト事業を柱とした、海と共生する地域づくりを基本理念としたプランを取りまとめ、昨年8月から国との事前協議を開始し、現在も早期の承認に向け協議を継続していると聞いておるわけでございます。
 そこで、まず国のエコタウン事業の動向についてお伺いをいたします。また、本県のエコタウンプランの承認の見通し――地域指定でございますが――、どうなっているのかお伺いをいたします。

〇高橋副知事 エコタウン事業でございますが、まず、国の動向についてでございます。御案内のように国のエコタウン事業は、ゼロエミッション構想を推進するために平成9年度に創設した事業でございまして、9年度から13年度の5カ年間を事業期間として、その間に全国で15地域が承認されたわけでございます。ただ、その後、地域からの要望が多いということで14年度も事業が継続されておりまして、これまで2地域が承認され、全体で17地域ということの承認地域になっているわけでございます。
 15年度の予算の状況でございますが、14年度は、これは経済産業省と環境省の両省で連携してやっている事業でございますが、あわせて14年度はおおむね101億円の予算措置がされていたわけでございますが、15年度の当初予算はあわせておおむね31億円ということになっております。
 県では、昨年8月にさんりくエコタウン構想案を取りまとめまして、現在、地域承認に向けて経済産業省、環境省と事前協議を行っておるわけでございますが、国からは、この事前協議の過程で、全体的に構想の熟度が国の求める基準に達していないなどと指摘をされておるわけでございます。これは、一つは、必要なプロジェクト事業が釜石市に集中しておりまして、沿岸南部地域という広域で取り組むことの必然性が不明確であるというような点。それから、このプランの承認に当たっては、全国の他の地域でまだ取り組まれていないモデルとしての独創性とか先駆性が求められておりますし、そのほかでは主要プロジェクトにおけるリサイクル技術の先導性というものが必要だというようになっておるわけでございます。それから、3点目として資源循環型社会のまちづくりに欠かせない地域住民の具体的な取り組み、また、運動が不十分だというような指摘を受けているわけでございます。これら事前協議の段階で指摘されております課題につきまして、現在、鋭意、地元市町等と詰めの検討を行っているところでございますが、今後は、できる限り速やかに国の承認基準を満たせるように、市町とともどもになって努力をしてまいりたいと考えておりますが、なかなか承認については率直に申し上げて予断を許さない状況ではないかと思っております。

〇長谷川忠久委員 努力をするが予断を許さないということでございますが、どうも今のお話を聞いていると、ちょっと無理だというような答弁に聞こえるわけでございます。
 次に、漁業共済制度についてお伺いをいたしたいと思います。
 近年の本県漁業は、4年連続の秋サケの不漁や安価な輸入水産物の影響による魚価の低迷など、年々厳しさを増しております。特にも、本県漁業の基幹であり、多くの沿岸漁業者が従事する養殖業にあっては、ワカメやホタテガイの減産に加え、平成14年には1月、7月、10月と相次ぐ低気圧と台風による被害が発生するなど、生産者は厳しい自然環境の中で懸命に生産に取り組んでいるところでございます。漁業共済制度は、このような被害に対して漁業経営を補償する極めて重要な制度でありますが、近年の加入状況と支払い状況はどうなっているのかをお伺いいたします。
 また、共済制度の普及に当たっては、市町村によってはホタテガイなど漁業共済掛金に助成支援をしている場合があり、また、今般、共済制度の内容も大きく改正され、漁業者にとって加入しやすい内容になったと聞いております。今後、県では共済制度改正を受けて、漁業共済の普及をどのように支援していくのか、お示しを願いたいと存じます。

〇高橋副知事 まず、近年の漁業共済の加入状況、それから支払い状況でございますが、直近の14年度の加入状況は、養殖を行っている漁協単位で見ますと、ワカメでは26漁協すべて、それから昆布では19漁協中12漁協、それからホタテガイでは23漁協中12漁協が加入している状況でございます。
 また、14年度の支払い状況は、ワカメでは25漁協で4億3、000万円、昆布では10漁協で2億5、000万円、それからホタテガイでは10漁協で1億3、000万円となっておるところでございます。
 次に、漁業共済の普及に対する支援でございますが、国では、漁業共済を漁業者のニーズに即した見直しを行うということで、それによって幅広い加入促進を図るため、14年6月、漁業災害補償法を改正したわけでございます。この改正内容は、漁業者がより加入しやすいというようなことで、共済種目の区分の見直し、また、契約要件の緩和等がなされたわけでございまして、さらに、県においては共済契約締結要件でもございます加入区について、昨年11月にその変更を行ったところでございます。漁業共済は、漁業経営の安定に資する上で大変重要な制度でもございますので、県としても共済組合と協力をして新制度の周知などによりまして一層の加入促進を図ってまいりたいと考えております。

〇長谷川忠久委員 口は出すけれどもお金は出さないということに理解をしたのですが、よろしいんでしょうか。
 次に、東北自動車道ですけれども、釜石秋田線の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
 昨年12月6日の道路関係四公団民営化推進委員会の最終報告となる意見書が小泉首相に提出されたのを受けまして、国では直ちに取り組むべき事項の決定や新たな整備手法の検討がなされているとのことでございますが、この具体的な内容及び今後のスケジュールはどうなっているのか、また、これらを踏まえると、釜石秋田線の整備は今後どのように進められるとお考えなのかお伺いをいたします。

〇高橋副知事 先ほどの漁業共済で、口は出すが金は出さないのかという話もございましたが、その金の点につきましては、いろいろとほかの制度の関係もございまして大変難しい問題でもございます。そういうことでございますので、部局審査の方で十分にお話しをいただければと思います。
 東北自動車道釜石秋田線の見通しの関係でございますが、いずれ政府・与党協議会での決定事項については、国では御案内のように推進委員会から出された意見書を受けまして、平成14年12月12日に政府・与党協議会を開催して、直ちに取り組むべき事項と、平成15年度予算に関連する事項と、それからスケジュールを決定したわけでございます。その内容は、まず、直ちに取り組むべき事項といたしまして、建設コストの削減、それからファミリー企業の抜本的な見直しを決めました。また、平成15年度予算に関連する事項といたしまして、新直轄方式の導入などが盛り込まれているわけでございます。この新直轄方式につきましては、新会社による整備の補完措置といたしまして、必要な高速道路を建設するため、国が4分の3、地方が4分の1と、それぞれその負担割合によりまして整備をするというものでございまして、これに伴って新たに必要となる財源につきましては、地方負担を考慮いたしまして国から地方へ税源移譲を行うということになっているわけでございます。
 また、今後のスケジュールといたしましては、この新直轄方式の具体的な路線、どこを対象にするか、それから区間、これらを決める国土開発幹線自動車道建設会議を6月から7月に開催いたしまして、新会社などの新しい組織のスキームの概要決定を11月から12月に行って、関係法案の国会審議を経て平成17年度中の民営化を目指すというスケジュールになっているところでございます。
 したがいまして、この釜石秋田線の今後の整備の方向性は、この国の決定を受けまして、国土交通省では現在、具体的な制度設計を行っているところでございまして、今後どのように進められていくかということにつきましては、その国の制度がどうなっていくのか、これを見なければならないということで、現段階では明確に申し上げられる状況にはないわけでございます。いずれ県といたしましては、これら国の具体的な制度設計などの対応を見きわめながら、釜石秋田線の整備促進が図られるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇長谷川忠久委員 次に、一般国道283号仙人峠道路の見通しについてでございます。
 仙人峠道路は、国の権限代行と県により整備が進められておりますが、昨年10月、最長となる仙人トンネルが貫通をするなど工事の進捗が図られているところでございます。この仙人峠道路は、釜石市の活性化に大きく影響する重要な事業と考えておりまして、一日も早い開通を望むものでございます。ついては、この仙人峠道路の完成は平成18年と伺っておりますが、この工事の見通しについてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 仙人峠道路につきましては、現在、国と県でそれぞれの役割に応じまして積極的に連携して整備を進めているわけでございます。国の施行区間では、最長の仙人トンネルが14年10月に貫通をいたしまして、また、今年度末からは3、000メートル級の滝観洞トンネル、これが2、996メートルでございますが、この滝観洞トンネルの掘削工事に着手する予定と聞いておりまして、事業の進捗が一層図られる状況にございます。
 それから、県事業の方では、既に秋丸トンネルの本体工事がほぼ完了しておりまして、現在、アクセス道路となる国道283号の上郷道路の工事に着手をするなど順調に進捗し整備が進んでいるということでございまして、今後の見通しといたしましては、この仙人峠道路は本県の内陸部と沿岸部を結ぶ横断軸としての大変重要な路線でございますので、国との連携を図りながら、計画どおり18年度の供用を目指して事業の進捗に努めてまいる考えでございまして、そういう見通しのもとに進めていくつもりでございます。

〇長谷川忠久委員 若干安心をいたしました。滝観洞トンネル、あと3年で大丈夫かなと実は思ったりいたしていたわけでございまして、力強い御答弁をいただいたわけでございますが、そのついでに力強くお願いをいたしたいんですが、これ、でき上がっても無料ですよね、283号ですからね、一般国道の権限代行でつくっているわけですから。無料だというふうに、ついでに力強く御答弁をいただければと思うわけでございますがいかがでしょうか。

〇高橋副知事 力強くということもございましたが、何せこの仙人トンネル、4、000メートル級の最長大トンネルということでございまして、それをどのように管理していくかということでもいろいろと技術的な問題も大変多いわけでございます。また、どこが管理するかという主体の問題もございまして、いろんな管理にかかわる問題がございます。当然この料金問題もその中の一つとして、あわせて十分にこの将来の管理のあり方の中で、国とも協議しながら検討していきたいと考えております。

〇長谷川忠久委員 何か政治家・高橋洋介さんが手堅い官僚に後戻りされたような感じをいたしまして若干残念に思っておるわけでございますが、副知事という立場でございますので、政治家だと思っておりますので、ぜひ住民の要望を背に頑張っていただきたいと思います。
 次に、三陸縦貫自動車道の整備についてでございます。
 三陸縦貫自動車道は、昨年8月、山田町民の待望久しかった山田道路約8キロメートルが開通し、地域の交通の円滑化に多大なる貢献を果たしているところでございます。三陸縦貫自動車道の早期完工を期待しております。
 そこで、現在事業中である高田道路、大船渡三陸道路、釜石山田道路の進捗状況とその他の区間の整備でございますけれども、その見通しについてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 三陸縦貫自動車道の整備でございますが、高田道路につきましては、これは大船渡市側の用地買収がほぼ完了いたしまして、今月下旬に――3月20日を予定しておりますが――現地で起工式が行われる予定でございます。それから、大船渡三陸道路につきましては、既に約9キロメートルが一部供用されているわけでございまして、この残区間につきましては平成17年度の完成を目指して鋭意工事が進められているという状況でございます。それから、釜石山田道路につきましては、平成5年度に事業化されまして平成13年度から南側の一部用地買収に着手をしている状況でございます。
 今後は、引き続きこの事業区間の整備促進を図りますとともに、基本計画区間であります陸前高田市以南、それから大船渡市三陸町から釜石市間、それから山田町から宮古市間の整備計画への格上げを関係機関に強く働きかけてまいらなければならぬと思っているところでございます。

〇長谷川忠久委員 よろしくお願いをいたします。
 次に、ISO14001の取り組みについてでございます。
 申すまでもなく、21世紀は環境の世紀と言われております。環境の保全は、私たち個人のレベルにとどまらず、社会経済全体としてひとしく取り組むべき大命題でございます。システムそのものを環境に対する負荷の少ないものにつくりかえていくことが強く求められているわけでございます。このようなことから、環境に対する負荷の低減は、県民、企業、行政のそれぞれの分野が、その活動において中心に据えるべき重要な基本理念になっているところであり、環境マネジメントシステムの国際的な規格であるISO14001は、その理念を実現するための有力な手段であると考えられるものでございます。
 県では、その認証を平成12年2月に他に先駆けて取得され、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを運用しておりますが、その認証を取得して以来、今日までの取組状況はどのようなものでしょうか。
 なお、県内の事業所等におきましても、環境配慮の観点から認証を取得する事例がふえつつあると聞き及んでおるところでございますが、県内民間企業や市町村への環境マネジメントシステムの浸透を図るため、県としてどのように取り組まれているのかをお伺いいたします。

〇高橋副知事 ISO14001の県としてのこれまでの取組状況でございますが、平成12年2月に本庁の知事部局、それから盛岡地区合同庁舎、そして警察本部におきまして認証を取得して以来、その範囲を徐々に広げてまいりまして、県の教育委員会、各合同庁舎、工業技術センター、農業研究センター、さらには財団法人クリーンいわて事業団等の関係団体にも順次拡大しながら、組織を挙げて環境負荷の低減に取り組んできたところでございます。
 ISOの目標達成状況でございますが、個別の項目では、なお未達成のものもあるわけでございますが、その大部分が達成されているところでございまして、ISOの取得によりまして、環境保全に関する職員の意識というものが定着をいたしまして、各事業分野における環境負荷の低減への配慮が徐々にではありますが浸透しつつある。それから、職場内において省エネルギーなり省資源対策が徹底してきた等の効果も出てきたのではないかと考えておるところでございます。
 また、取得後3年を経過いたしまして、この2月7日に県庁や各合同庁舎、それから県警の認証が更新されるということになるわけでございますが、これは無事に更新をいたしました。そしてさらに、15年度におきましては、環境保健研究センター、それから県病がまだやっていませんでしたが、胆沢病院とか東和病院などへのISOの取得範囲を拡大することを予定してございます。ただ、高等学校とか病院、県立大学等まだまだなかなか難しい機関、公所もございますので、これらについても引き続き拡大に向けて努力をしていかなければならぬと思っております。
 次に、民間企業等への浸透を図るための取り組みでございますが、県内のISO14001認証取得団体数は、平成15年1月末現在で161でございまして、このうち市町村が14ございます。順調にこれは増加をしているということでございまして、これまでもこの認証取得のための各種研修会なり、それからグリーン購入基本方針においても、その取得を考慮事項の一つとして位置づけるなどによりまして支援を図ってきたわけでございます。今後においては、これらの支援、誘導をもちろん引き続き行うわけでございますが、特に中小企業等にも取得が容易なように地域版の環境スタンダードといたしまして、この4月から運用が開始される予定のIES――いわて環境スタンダード――につきましても同様の支援を行っていきたいと、それによって認証取得の範囲を拡大させていきたいと考えております。

〇長谷川忠久委員 次に、ツキノワグマ対策についてお伺いをいたします。
 現在、ツキノワグマは全国的に減少が懸念されており、環境省のレッドデータブックでは、西日本地域など六つの地域個体群が絶滅のおそれのある地域個体群に指定されております。また、ワシントン条約の附属書に掲載されている絶滅のおそれがあり保護が必要な種で、国際間の商業取引が規制されている国際希少野生動物種でもあります。このように、ツキノワグマが国内のみならず世界的にも希少なものとなっている中で、本県を含む北東北地域ではツキノワグマが現在でも生息していること自体、本県の自然の豊かさを象徴しているとも言えるわけでございます。
 しかし、一方では、昨年、水沢市でもありましたが、ツキノワグマがまちの真ん中に出没し、人に危害を加えるおそれが生じたところであり、また、県内各地域では農林業への被害もあると聞いておるわけでございます。このような人とツキノワグマとのあつれきの問題を解決していくためには、農林担当部局や環境担当部局のみならず、市町村やさまざまな関係者が連携して取り組んでいく必要があると考えております。例えば、紫波町においては、絶滅のおそれのあるツキノワグマの保護と農作物等への被害防止対策として、地域ぐるみで実のなる広葉樹を植林するなどの活動が展開されておりますが、人とツキノワグマとのすみ分けを図る上で、大変注目しているところでございます。また、県では、人とツキノワグマとの共存を目指し、専門家を交えてツキノワグマ保護管理計画の策定に向けて検討していると聞いております。
 そこで、お伺いいたしますが、この計画は、鳥獣保護及び狩猟に関する法律に基づく特定鳥獣保護管理計画と理解しておりますが、ツキノワグマ対策について本計画を策定する目的や意義はどのようなところにあるのでしょうか。また、具体的にどのような取り組みを行おうと考えているのか、関係機関の連携体制も含めてお伺いをいたします。

〇高橋副知事 ツキノワグマの保護対策でございますが、御指摘のように、現在、保護管理計画を鳥獣保護法に基づいて策定をしているところでございます。いずれこれは今後、3月14日に開催予定の環境審議会に諮問するということで進めておるわけでございますが、この保護管理計画は、県内に生息するツキノワグマの地域個体群の長期にわたる安定的な維持、そして人身被害の防止、さらには農林業被害の軽減を図って、人とツキノワグマとの共存を図ることを目的とするものでございます。この目的に向けまして、科学的な知見を踏まえながら、専門家と幅広い関係者の合意形成を図りつつ計画を策定いたしまして、この計画に基づいて、いずれツキノワグマ対策、保護管理対策を総合的に講ずるということで、保護管理を広域的、継続的に推進していくところにこの計画策定の意義があるわけでございます。
 保護管理事業、ツキノワグマ対策でございますが、これの若干今、検討している中身を申し上げますと、いずれ保護管理計画に基づいて、生息環境の整備、被害防除対策、それから個体数管理、これを三つの柱として計画の中で位置づけております。
 生息環境の整備につきましては、森林整備事業を活用した天然性林の保全・管理、それから緑の再生特別対策等を活用いたしました休止牧野における広葉樹林の造成、それから既存の保護樹林帯、それから防風帯の保全等、ツキノワグマの生息環境に配慮した森林の維持・再生を促進するという内容になっております。
 被害防除対策につきましては、まず人身被害の防止につきましては、入山者に対する自己防衛意識の啓発とか、それから廃棄農作物や生ごみ等を捨てますと、どうしてもツキノワグマを誘引すると、誘ってくるということになりますので、そういう要素を排除するということとか、農業被害の防止につきましては、電気さく導入の促進とか、飼料作物に係る転換作物の検討を行うとか、それから林業被害の防止につきましては、適切な防除方法の指導等、これらを考えて検討していくこととしております。
 それから、3番目の柱の個体数管理につきましては、ツキノワグマの生息数を、過去の生息調査の状況から1、100頭と今、生息数は推定をしているわけでございます。特に人身被害の防除は、これは図らなければなりませんので、地域個体群の長期にわたる安定的な維持を図るために有害捕獲、それから狩猟によって適切な個体数の調整は行っていかなければならぬというような考えでございます。それで、県内には北上高地と北奥羽と二つの大きな地域個体群があるわけでございまして、年間の捕獲上限数を北上高地地域個体群では100頭、それから北奥羽地域個体群では60頭に設定をする考えでございます。なお、それといろいろ話題になっております人身に対する危害が切迫していて緊急を要する場合で一定の要件に該当するときには、捕獲許可事務を希望する市町村が処理できるようにしたい、そういうようなこともこの中に盛り込んでいきたいということで今進めているところでございます。
 各地域において保護管理の推進について連携を図るためには、地方振興局、市町村、それから関係団体の情報交換なり連絡を円滑に行う体制づくりというものが大切でございますので、これらも促進していくこととしておりますし、地域住民の理解や協力、これも非常に大事でございますので、関係機関、また、団体と連携をいたしまして、ツキノワグマの生態に関する情報なり被害予防についての方策などの普及・啓発を推進するため、県、市町村、また関係団体の担当者を対象とした研修会も開催することとしているところでございます。

〇長谷川忠久委員 用意いたしました質問は全部終わったわけでございますが、時間がもったいないので副知事にナンバーツーとしての心構えというものを、後学のためにお伺いをいたしたいと思っておるわけでございます。いろいろ成功された政治家であるとか武将であるとか、例えば竹中半兵衛とか黒田官兵衛もそうなんでございますが、例えばナンバーツーとしてずっと過ごされた、毛沢東に対する周恩来のような方もおられるわけでございます。高橋副知事は多分望めば何回かトップに立つチャンスもあったと思っておるわけでございますが、ナンバーツーとしていまだ敏腕を振るっておられるわけでございます。時には知事をいさめ、あるいはまた職員、いろいろと御指導をされながら岩手県政の潤滑油としてお働きになっていることに対しまして、本当に心から敬意を表するものでございます。知事と職員の間に問題に対する濃淡であるとか、理解の深さとか、そういうものに若干違いがあるなと、相違があるなという感じをいたすわけでございますけれども、そのようなとき副知事はどのようなお考えのもとにナンバーツーとしての職責を果たされているのか。そういう心構えについてお話をいただければ大変ありがたいと思うわけでございますがいかがでしょうか。

〇高橋副知事 大変過分なお話をいただいたわけでございますが、確かに委員おっしゃられますように、今、知事は一生懸命全力で、ハイスピードで進んでいるわけでございまして、どうしてもトップのスピードが早過ぎればなかなか職員がついていけないというような状況が出てくるわけでございまして、これはどうしてもその考え方に、受けとめ方に濃淡が出てくるということはやむを得ないわけでございます。ただ、それではなかなかトップが考えていることが的確に実施されない、また、それが進んでいかないという状況にもなりますので、そういうときに私が何かの格好で出ればいいということだと思いますが、いろんなそういう状況が見えた場合には、それは私なりのいろんなポジションもございますので、そういう立場からそういうことをできるだけ極力埋めるように指導しているということでございます。それ以上に何かと言われますとあれですので、そんなところでお許しをいただければと思います。

〇水上信宏委員長 以上で総括説明に対する代表質疑を終わります。
 これより自由質疑に入ります。質疑はありませんか。

〇伊沢昌弘委員 社民党の伊沢でございます。
 2003年度の当初予算の審査に当たりまして、若干、総括的に質問させていただきたいと思います。
 初めに、今後の財政見通しについてお伺いいたします。
 新年度予算は、大幅な県税収入の落ち込み等によりまして、前年比マイナス5.9%、8、170億円余と地財計画のマイナス1.5%を大きく下回っておりまして、予算編成に当たっての苦労の跡がうかがえるものではないかと思っているところであります。しかし、県債残高は03年度末で1兆3、623億円――財源対策債を除けば8、700億円と説明を受けているわけですが――と見込まれております。県財政にとって大変な状況になったと言えると思います。
 このような中で、政府が進める構造改革と経済財政の中期展望で、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方について、三位一体の改革について早急に検討し、ことしの夏までには策定するとされているわけであります。地方への税源移譲を含んでいるとはいえ、国庫補助を一般財源化すると同時に、交付税の総額を抑えるとの方向になっているわけであります。これまでの経済対策等で投入した財政対策債への後年度負担分が本当に担保されるのか。何度となく私はこの間質問してきましたけれども、改めて疑問が大きくなったと思わざるを得ないわけであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、地方財源確保に向けた国に対するこれまでの働きかけの状況と、国が進める地方への税源移譲を含めた補助金、交付金の改革に対する御所見を改めてお伺いをしたいと思います。
 あわせて、今後の県財政見通しをどのようにお考えでしょうか。
 また、03年度予算は骨格予算であり、政策的な予算については6月議会で提案するとこの間説明をされています。具体的な施策については新たな知事が策定するものでありますけれども、補正予算として現在留保している財源についてお示しをいただきたいと存じます。

〇小原総務部長 4点ほどお尋ねありましたが、まず、国の補助金・交付金改革についてであります。国庫補助金については、15年度において義務的経費である教育費、国庫負担金などを先行廃止して一般財源化されたところでありますが、私どもとしてはこの国庫補助負担金の廃止、縮減を先行させることなく、あくまで税源移譲と一体で行われるべきであり、その際には国家公務員、それから地方公務員という形での人的移譲も含めて行われるべきであると考え主張してきたところであります。
 地方交付税については、昨年11月に塩川財務大臣が経済財政諮問会議に提出した資料では、地方交付税の財源保障機能を廃止すべきということが盛り込まれておりますが、私どもとしては、国が法令等により義務づける事務に係る経費については確実に財源保障すべきであると考えております。また、将来的には、投資的経費については、社会資本等を広域的に整備することを促進するという観点から広域単位で、また、経常的経費については、全国一律の最低基準の行政サービスを提供するといった観点から、基礎的自治体単位で財源を配分する仕組みとすることが必要と考えております。
 税源移譲については、国と地方の税収、それから歳出の乖離があるわけですけれども、これを解消するために、まずもって地方への税源移譲に取り組むべきであり、税源移譲により拡大するおそれのある地域間の財政力格差、これについては地方交付税の持つ財政調整機能の維持、あるいは現行地方税制の都道府県間の清算制度の見直し、こういったことで解消を目指すべきであると考えております。
 こうした考え方に基づいて国に対して働きかけを行っているところでありますが、本県を含む6県知事が連名で地方分権に対する緊急提言を行ったり、5県知事と榊原慶應大学教授が共同で地方財政制度改革地方分権研究会プランという形で取りまとめて政策提言を行ったところであります。また、全国知事会においては、本県も含む13府県の税財政担当部長をメンバーといたします地方分権時代における地方税財源のあり方に関する検討会において、近く報告書を取りまとめて政策提言を行う予定であります。
 今後とも、国と地方が対等の立場で議論すべく、こうした議論の場を通じて、地方分権時代における地方税財源の望ましいあり方について、地方の立場から国に対して積極的に主張してまいりたいと考えておりまして、そういったことで本県として明確な意思表示ができるよう、庁内に組織横断的な地方税財源構造改革の検討チームを設置して、一定の権限を持たせながら、柔軟そして迅速に検討に当たることとしているところであります。
 それから、今後の財政の見通しというお尋ねでありましたが、本県の財政は、地方交付税、県債などの国等への依存財源が65%を占めるということで、国における制度改正に大きな影響を受ける構造となっております。平成15年度当初予算では、国の借入金に依存した地方財政対策により、本県では地方交付税が204億円余り前年度から減少し、また、臨時財政対策債が263億円余増加したということで、16年度を一応目標の目安としておりましたプライマリーバランスの均衡が難しいといった状況に陥るなど、本県財政、大きな影響を受けることになったと実感しております。
 また、義務教育国庫負担金等の一般財源化がなされましたわけですけれども、この内容は、地方の裁量で節減が困難な経費ということで、さらには本県に交付される実額ベースで算出いたしますと、国庫負担金の実績どおりの交付が見込まれないということで、結果として本県負担の増加につながっていくものと考えられるところであります。
 本県の財政、このような地方財政対策が今後も続くということになりますと、財源の確保が一層困難になるということで、財政の硬直化が一層進行するという厳しい事態が想定されるわけです。また、国のこういった構造改革の状況を見ていますと、まず、第一義的に、国の財政負担の圧縮という、国自体の財政改革に力点を置いているということに見受けられまして、本当に地方の立場に立った取り組みになっているか、危惧されるところであります。
 こうしたことから、地方分権、真に支えるにふさわしい財政基盤が早期に確立されるとともに、当面は地方財源不足について臨時財政対策債のような赤字地方債の発行ではなく、地方交付税で全額措置して、一般財源化に当たっては地方に負担を転嫁しないよう、地方財政対策が講じられるよう、全国知事会を初め先ほど申し上げました分権研究会などの場を通じて、地方全体の声として国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、補正予算に係る財源でありますが、15年度当初予算、骨格予算ということで6月補正において肉づけを行うことにしているわけでございますが、したがいまして、6月補正予算の内容を、現時点でその規模あるいは具体的内容について申し上げる段階にはないわけでありますが、県税収入の大幅な減少に加えまして、地方交付税あるいは国庫支出金も、景気の低迷、国の構造改革の影響等を受けて大幅な減収が見込まれ、歳入の確保が極めて厳しい状況にあることから、15年度予算全体でもかなり抑制したものにならざるを得ないと現時点では考えております。
 当初予算を編成する際には、年度間を通じた予算規模をある程度想定いたしまして、補正予算として、当該年度新たな行財政課題にも対応できるだけの財源を留保することとしておりまして、今年度においても同様な考え方のもとに、6月補正予算において新規・政策的な経費の肉づけに適切に対応してまいりたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 過年度のときに6月補正をお聞きした場合には一定程度の額が出てきたんですけれども、これは出せないのでしょうか、改めてこれはお伺いしておきます。
 次に、今の予算編成にかかわる部分もあるんですが、機構改革に伴う本庁の機構見直しについてお伺いします。
 財政課を予算調製課に再編し、各部局の自主的、主体的な判断による事業執行体制を構築するため、予算調整事務を財政課から各部局に移管し、各部内で各課の予算要求を取りまとめ、部内の事業と予算の調整を行い、予算調製課に結果を通知して予算調製主査が予算案の調整を行う、チョウセイの字があっちこっち、違う字があるんですけれども、そういう形になるようであります。このことは、03年度予算編成に当たって、新たに立ち上げた平成15年度政策形成・予算編成システムによって、予算主義の体制から政策評価に基づく成果主義に移行したことを具体化するための手法であると理解をしているところであります。
 そこで伺いますけれども、03年度予算編成に当たって、新たなシステムに移行したことによる成果と課題についてどのような評価をお持ちでしょうか。また、新たな組織による予算案決定までの流れについて、去年の8月19日に、知事は記者会見でるる述べている部分があるのですけれども、私、まだ理解ができない部分があります。具体的にどのようになるのか、改めてお示しをいただきたいと思います。

〇佐藤総合政策室長 政策形成・予算編成システムについてですけれども、このシステムはお話がありましたとおり、成果主義に立脚した県政運営を確立しようということで、予算編成過程の透明性の確保であるとか、それから部局の政策形成能力の向上と同時に、責任体制の明確化などをねらいといたしまして、明年度予算に向けて今年度から試行的に実施したものであります。
 これまで、14年度の政策評価結果などを踏まえまして、各部局において政策形成プロジェクトを練ってきたわけでありまして、昨年11月に試行的といいますか予行的といいますか、プレゼンテーションも実際にやりました。平成15年度の当初予算は骨格予算ということで、今回これまで各部局におきまして練られてきた政策形成プロジェクトの具体的な施策は、これは6月補正での肉づけ予算に反映されていくものと考えております。
 今後は、6月補正予算までの間、各部局におきましてより効果的、効率的な施策となるよう政策形成プロジェクト、これは計画を推進する上でのプロジェクト、それから、現在各部局において抱えている課題を解決するためのプロジェクト、二つありますけれども、その中身を見直すことといたしまして、鋭意努力しているところであります。
 今後の課題といいますか評価ということでございますが、14年度はただいま申し上げましたように、初めて試行したということもありますので、これまでのところ、これからまた明年度にかけてプロジェクトを練り上げるわけなんですが、プロジェクト立案過程におきましては、なかなか継続事業の見直しが不十分であるとか、あるいは既存事業をどうやって見直しをし新規組み替えをするかとか、その辺がなかなかスムーズでない向きもあった。それから、部局間の連携を深めることを前提としたプロジェクトもたくさん想定したわけですが、なかなかその横断的なプロジェクトというものが時間も足りないこともありましたし、これから詰めていくべきものも相当ありますが、まだまだ未熟な部分があるのではないか、このように考えております。
 いずれ、この政策形成・予算編成システムが真に実効性あるものにするためには、県全体の財政フレーム、財政規模とかあるいは財源の見通し、県債の導入規模だとか、いずれ、そういう財政フレームと十分に調整を図りながら、各部局における政策立案機能の一層の強化、自律的な予算編成機能の確立を進めることが重要なポイントであるということで、引き続き各部局と連携いたしまして、効果的なシステムとなるように努力をしてまいりたいと、こう考えております。

〇小原総務部長 6月補正のお尋ねでありましたけれども、ただいま総合政策室長がお答え申し上げたとおり、政策プロジェクト事業が中心になるかと思いますが、今申し上げたような形で、これから6月に向けて議論をしてまいることになるわけですけれども、それらについては、何とか適切に対応できるような形で、経費の対応を私どもの立場として頑張っていきたいと思っております。
 それから新しい組織、これに基づく予算編成の流れという御質問でありますが、15年度からの新しい組織による予算編成に当たっての基本的な方針といたしましては、一つは、各部局があらかじめ配分されます予算枠の範囲内で、原則としてすべての予算について主体的に部局で判断して予算化を図ること、これが一つであります。
 それから財政課、来年度は予算調製課になりますけれども、予算調製課は歳入を所管いたしまして、毎年度の財源の状況を見ながら各部のただいま申し上げた予算枠の調整を行うとともに、最終的に全庁の予算案を取りまとめるということであります。
 それから三つ目として、予算枠の設定、あるいは予算案の決定等は、三役それから部局長以上で構成する政策評価・推進会議に付議し、そこで決定するということが大きな柱であります。
 こうした基本的な考え方のもとに想定されますスケジュール自体は、おおむねタイム的には従来どおりと考えておりますが、流れを申し上げますと、政策形成プロジェクトについては総合政策室の検討結果を踏まえながら、基本的には今年度と同様にプロジェクトの推進のための予算枠を確保いたしまして、政策評価・推進会議の場で決定することになります。
 また、政策形成プロジェクト以外の経費については、10月中旬ごろをめどに、予算調製課でもって次年度の予算要求の要領を策定しますが、この際に、これまでの各部局要求そして財政課調整、このやり方とは異なりまして、各部局に配分する予算枠の案を政策評価・推進会議に諮り決定して、この決定に基づいて、配分された予算枠をもとに、各部局では予算調整を行って部局としての予算案を固めるということになります。これらの部局案について政策評価・推進会議で協議して、全体の予算の原案を決定するという流れになるわけであります。
 さらに、国の予算ですとか地方財政計画の固まる例年ですと1月下旬ころですが、下旬ころに予算調製課において歳入の見込みを再度検討して、もし、財源が不足するような場合には、各部局の予算枠の再算定を行って各部局に通知して、各部局はこれを受けてあらかじめ部局で決定している優先順位、プライオリティーに基づいて必要であれば足切りを行って最終予算を作成、そして予算調製課で最終的に県全体の予算案を取りまとめると、こういった流れになるものと考えております。

〇伊沢昌弘委員 かなり難しいようで、今の主査制度が本当に各部が要望して芽出し的なものが全くなくなって、それぞれの部局が主体的になる。しかし、そこには枠があるということで、どうもちょっとかみ合わない気がしますので、改めてお伺いする機会があればお聞きしたいと思います。
 次に、障害者福祉についてお伺いをいたします。
 本年4月から障害者福祉サービスの多くが、これまでの措置制度から支援費制度に移行します。この制度は、障害者の地域生活支援に力点を置いたものであり、障害者やその御家族から期待をされている面もあるとは思います。しかしながら、支援費の基準、特にも施設に係る基準が、従来の措置費よりも低く設定されるのではないかと懸念されるところであり、先ほども御質問があったわけでありますけれども、施設におけるサービスの低下や施設職員の勤務条件の低下などについて不安の声が寄せられているわけであります。
 そこで、次の点について簡単にお伺いをしたいと思います。
 第1に、制度の移行に伴い減収となる施設が出てくるのでしょうか。
 第2に、減収となる施設があり、経営が苦しくなった場合、県として支援策をとることはできるのでしょうか。
 第3に、支援費の導入によって、施設利用者の負担はどのように変わるのでしょうか。ふえるのか、減るのか、変わらないのかであります。
 第4に、社会福祉事業団に委託をしている施設について、委託料が当初予算で大幅な減額となっています。支援費に移行する部分だと思うんですけれども、その理由と、できれば14年度、15年度の事業団の委託費、総体、支援費に変わってからの状況がどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

〇高橋副知事 まず支援費制度、第1点でございますが、制度の移行に伴って減収となる社会福祉施設があるかどうかということでございますが、現時点では対象施設79のうち、半数程度の施設で減収となる可能性があると、そのように見込まれております。ただ、この要因は、措置費制度で算定されている民間給与等改善費が廃止されることによるものと見込まれておりますが、ただ、支援費基準は入所者の障害程度区分によって異なっておるということと、また、重度重複障害の有無による加算制度もできておりまして、施設の収入そのものは、利用している人の状況により変動する可能性があると見込まれております。
 それから、そういう減収した施設への県の支援策ということでございますが、この支援費制度に移行することに伴いまして減収額の大きい施設につきましては、制度移行準備費用等を対象経費といたしまして、平成15年3月分の措置費に特別加算を行っております。32施設にやっております。
 それから、この制度移行に伴いまして、市町村からの支援費支払いに2カ月ぐらいの期間を要するということでございますので、この移行期のつなぎ資金が必要になってまいります。これにつきましては、社会福祉・医療事業団から融資を受けることができることになっておりまして、県内では10施設が利用予定でございます。
 なお、このつなぎ資金として、これまでの繰越金等を使用できるような弾力的な取り扱いを行うこととしておるところでございます。
 それから、施設利用者の負担の関係でございますが、施設利用者負担の仕組みは、前年の収入から必要経費を控除した額に応じて負担する仕組みとなっているわけでございますが、身体障害者施設それから知的障害者施設のうちの通所施設につきましては、算定方法に変更はございません。知的障害者施設の入所施設は、平成15年度から、これまでの必要経費として控除されていた日常生活費相当額の控除がなくなることとなっておりまして、その分、利用者負担が増加することになるわけでございますが、その激変緩和措置といたしまして、平成15年度は、日常生活費相当額の2分の1を控除することとされているところでございます。
 それから、4点目の管理運営委託料の減額でございますが、今までは県立施設の運営に要する費用の全額を委託料として県から出していたわけでございます。この支援費制度になりますと、社会福祉事業団が市町村から支援費をもらうと、それから利用者から利用者負担額をそれぞれ直接もらうという形になりますから、当然それに伴う金額はダウンするということでございまして、見かけ上減額になるということでございますが、14年度、15年度の数字の話がございましたが、ざっと私が聞いておるところでは、県の委託料が今15億円ぐらいになりまして、13億円ぐらい減額になっているはずでございますから、その分が支援費、利用者負担額と、こういうように考えていただければいいわけでございます。県から行っているこの予算上の委託料は、丸々事業団に対する県からの持ち出し額というか、上乗せ額と、このように御理解いただければと、そのように思います。

〇伊沢昌弘委員 数値的なことを聞いて申しわけありませんでした。原課の方でもお聞きしたいと思います。
 次に、包括外部監査の14年度監査結果についてお伺いをしたいと思います。
 15年2月7日に県出資等法人である岩手県住宅供給公社、社会福祉法人岩手県社会福祉事業団、三つ目が、財団法人岩手県文化振興事業団の監査結果が議長に提出をされて、私たちも見る機会がありました。それぞれの法人の財務状況や県の監督の適正性、さらには県支出に見合う公共的任務等について鋭い切り込みの報告となっておりました。今後、改善に向けて検討を要する項目もあるものと私自身が感じた次第であります。しかし、この監査は、財政的な県の負担と民間における同様の事業における負担を中心に比較をしている内容となっている面もあって、公的な分野でのこれまでのこの3公社、貢献度を無視しているのではないのかと私は重ねての印象を持ったわけであります。
 そこでお伺いをいたしますけれども、この監査結果報告書を受けた県としての所見と、今後の改善に向けた検討をどのように進めていこうとしているのか、それぞれの法人ごとについてお示しを願いたいと思います。

〇高橋副知事 包括外部監査で3法人の報告があったわけでございます。まず、住宅供給公社につきましては、公社の会計処理業務についての御指摘をいただいたわけでございますが、そのほかの監査意見として、組織それから運営の合理化のための御提言をいただいたものでございまして、この御提言については真摯に受けとめて対応を検討してまいると、そのように考えておるわけでございます。
 いずれ、会計処理や業務につきましては、もう既に適切な対応を公社に指導をしておりまして、現在、鋭意改善に取り組んでいるわけでございますが、この監査意見につきましては、いずれ住宅政策の推進なり民間との役割分担とか県民福祉等の観点から、幅広く検討していく必要があるわけでございまして、第三者で構成をいたします検討委員会をできるだけ早期に設置をいたしまして、住宅供給公社のあり方について検討することとしているところでございます。
 それから社会福祉事業団でございますが、これは、これまで国が示してきた社会福祉事業団の運営等の基準の取り扱いを改める通知がなされまして、地域の実情に応じた対応が可能になったことも踏まえまして、県と民間との役割分担という観点から、県立社会福祉施設のあり方を含め事業団の組織及び運営の合理化のための御提言をいただいたものだと、そのように受けとめているわけでございます。
 会計処理に関する指摘事項につきましては、もう事務的に作業中でございまして、これは早急に是正が図られると思っておりますが、この合理化に向けた提言につきましては、国の通知におきまして、事業団がこれまで地域における福祉サービスの担い手として貢献してきた実績等もございますので、今後とも、時代の状況に応じた役割が期待されていることも念頭に置きながら提言の趣旨を踏まえ、そのあり方を検討してまいりたいと、そのように思っております。
 なお、検討に当たりましては、施設入所者それから利用者のニーズに十分配慮いたしますとともに、報告書に掲げられた他県の事例等も含めまして、公立及び民間施設の状況等所要の調査を実施し、必要に応じて県民の皆さん、それから関係者の御意見も伺いながら幅広く検討していきたいと、そのように考えております。
 それから、文化振興事業団でございますが、フルコストを見ると大変県民の負担割合が高いのではないかとか、いろいろの指摘がなされておりまして、いずれ、民間活力の導入などによる効率的な運営が必要だという提言もなされているわけでございます。この提言につきましては、民間の類似事業の現状などを踏まえながら、県と民間との役割分担という観点から法人のあり方を見直すべきであると、そのような提言だと理解をしておりますが、いずれ、この監査結果を踏まえて、内部の検討委員会等を教育委員会に設置いたしまして、公的役割を踏まえながら、どういうように文化振興事業団があればいいのかと、それで文化施設の運営のあり方等についてそういう観点から検討を進めていきたいと、そのように考えております。当然のことながら、利用料方式も検討の対象に入れなければならない、そのように思っているところでございます。

〇伊沢昌弘委員 大変難しいものだと思うのですけれども、いずれ住宅の供給についても、着工率を含めて買う部分が少なくなっているのがあると思います。また、事業団については、やっぱり四六通知に基づいてやってきたものが一定程度変わったと。しかし、研修等を含めて公的な機関ということで役割を負ってきたのは大きいと思いますので、慎重な上にも慎重な対応をぜひお願いしておきたいと思います。
 次に、県境の産業廃棄物処理対策についてお伺いします。
 この問題については、この間の県における積極的な対応に敬意を表するものであります。
 予算の説明によりますと、県境不法投棄現場環境再生事業として総事業費135億円、事業期間を平成15年から22年の8年間と見込んで、初年度予算として28億7、500万円余を計上しております。
 そこでお伺いいたしますけれども、総事業費を135億円と試算した根拠についてお示しをいただきたいと思います。増減があるのではないかという思いから、この質問をするわけであります。
 あわせて、合同検討委員会による適正処理に向けた検討を行ってきていると承知をしておりますけれども、現時点までの検討状況についてお示しをいただきたいと思います。
 また、国において現在審議中の特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案によって県が行うこの除去新事業、代行で行う除去事業でありますけれども、これに要する費用について一定の国庫補助等が認められることになると伺っておりますけれども、この特別措置法の概要についてお示しをいただきたいと思います。

〇高橋副知事 産廃関係でございますが、総事業費を135億円という試算をいたしました。その内訳として、例えば汚染拡散防止に要する経費は15億円とか、廃棄物の撤去・処分に要する経費は90億円等々と積算をしたわけでございますが、この積算に当たりましては、現在までに把握している廃棄物の量をもとに積算をしておりますので、廃棄物の量なり工法が変わりますとこの額は変動すると、こういうものでございます。
 それから、合同検討委員会による検討状況でございますが、不法投棄現場の原状回復手法につきましては、この合同検討委員会の提言をいただきながら、県が決定することとしているところでございます。これまでのところ、基本的な対応方針といたしまして、特別管理産業廃棄物を優先的に撤去すること、それから、その他汚染を除去すべき廃棄物については、投棄された廃棄物の種類、量、投棄形態等が両県で異なるわけでございますので、それぞれの特性に応じた最も効果的な対策を講ずることと、こういう両県の考え方をお示しして御議論をいただいたところ、この基本的な対応方針についておおむね適当であるという旨の御意見、御提言をいただいているところでございます。
 具体的な対応策につきましては、この委員会の下部組織でもあります技術部会におきまして、原状回復に向けた除去手法、それから除去手法を検討するための調査内容及び評価について現在御議論をいただいておるところでございまして、今後は、両県それぞれが具体的な原状回復の実施計画案を示して提言をいただいて、これを踏まえて実施をしていくと、こういうことになるものでございます。
 それから、特別措置法の概要でございますが、これは平成10年6月以前に不適正処分された産業廃棄物による支障の除去等を、平成24年度までの10年間で行うことを目的とした時限立法でございます。手続的には環境大臣がまず基本方針、支障の除去等を計画的に、かつ、着実に推進するための基本方針というものを策定いたします。県は基本方針に即しまして、県の区域内における支障の除去等の実施に関する計画を、県の環境審議会それから関係市町村の意見を聴取いたしまして策定をし、環境大臣に対して協議をすると。そしてその同意を得て決定すると、こういう形になるわけでございますが、その過程では、環境大臣が総務大臣に協議をするという形になってございます。
 この決定された計画に基づいて県が事業を実施する場合には、産業廃棄物適正処理推進センターを通じての補助及び地方債の活用が可能である、これが内容でございます。県が実施計画に基づく支障除去等事業についてみずから実施する場合において、国はこれまでの、従来は3分の1でございますが、有害性の高い廃棄物については補助率を2分の1としておりますし、県の負担分につきましては、現在の情報では地方債において起債の特例が図られまして、起債充当率70%、交付税算入率50%の措置を講ずるものと、こういう内容になっておるものでございます。

〇伊沢昌弘委員 特別措置法もこれまでに手がつけられなかったもので、かなりそれぞれの自治体に対する負担が軽減されるということで期待をされるわけですが、やっぱり合同委員会を含めて、これまでの検討委員会の中で技術的な部分もまとまっていないという形の中で、今後、適正に処理されることを望んでおきたいと思います。
 最後に、新幹線盛岡-八戸間営業開始について関連してお伺いしたいと思います。
 新幹線盛岡以北の建設事業について、これまで県及び関係自治体が多額の地元負担を投入してきたわけであります。その総額についてお示しをいただきたいと思います。
 今後、財政負担に見合う県内経済への波及効果を確保する施策の展開が必要であると私は考えるものであります。県として、将来的な観光行政や県北への企業誘致等に対してどのように取り組んでいこうとするのか、お伺いをしたいと思います。

〇高橋副知事 東北新幹線の工事負担金でございますが、14年度まで岩手町では7億1、500万円、それから二戸市が9億3、000万円ぐらいで、これらを含めまして約952億円ということになっております。
 なお、15年度は、県分は12億円ということでございます。
 それから、開業後の観光振興施策ということでございますが、県といたしましては、この開業を契機に、将来的な観光行政の効果を高めたいということで、平成13年に東北新幹線銀河系いわて全線開通記念事業連絡会議を設置いたしまして、市町村なり観光関係団体と連絡をしながら、開業に向けた観光客誘致に取り組んできたわけでございます。インターネットとか雑誌等を活用した宣伝とか、それから首都圏での観光キャンペーンを展開してきましたし、また、郷土料理づくりとか炭焼きとか、いろんな体験を含めた新たな観光資源を取りまとめて旅行商品化を図るということもやってまいりました。また、ボランティアガイドの活用促進とか、おもてなしの向上に係る研修会の開催なども通じて、受入態勢の整備も図ってきたわけでございます。
 今後も、さらにより多くの方に本県を訪れていただくように、誘致活動に積極的に取り組んでまいらなければならないわけでございますが、具体的には、ことしの4月から6月までの3カ月間はJR6社と共同で、北東北デスティネーションキャンペーン、これを実施しておりまして、春から初夏にかけて誘客促進を図ることとしております。
 また、グリーンツーリズムとかエコツーリズム等の取り組みと連携をいたしまして、健康やまた自然とか本物志向、これらの視点に立った岩手の自然や文化、それから人情などに触れ合う岩手ならではの旅というものを商品として提案をしてまいりたいと、こういう取り組みを図ることによりまして、首都圏等からも大変多くの方々に本県を訪れていただきまして満足いただけるような、そういう観光振興に取り組んでいきたいと考えております。

〇伊沢昌弘委員 観光一つ取り上げて、私はこの費用対効果を県民にわかりやすくやってほしいと。誘致企業も聞いたような気がしたんですけれども、お答えがなかったのですが、やっぱり1、000億円からの投資をしたと、県債も多分あったと思うので、まくら言葉に、県債残高の中にこの新幹線の建設負担というのもあったわけですので、ぜひわかりやすいような形で、どれだけの効果があるのか今後示していただきたいと思います。

〇高橋副知事 失礼をいたしました。
 県北への企業誘致でございますが、これは非常に県政ではいつも御指摘を受ける大変重要な課題の一つでございまして、これまでも二戸地区それから久慈地区に拠点工業団地を整備いたしました。そして県北地域等を対象とする立地促進のための助成制度も設けました。さらに、県、市町村、それから土地開発公社等の関係機関で構成いたします誘致推進委員会に県北部会を設置いたしまして、特に重点的に取り組みを進めてきたところでございます。
 東北新幹線の八戸開業、それから新幹線関連道路、港湾整備など、産業を支える基盤というものが大変整備が進んできておりますことから、こういう立地環境が大変よくなっていると。それをセールスポイントとして売り込みを図っていきたいということが一つでございますし、そのほかには立地促進のための助成制度、これの拡充を考えていかなければならないのではないかと、このように考えております。それから、工業用地のリース制度の導入というものも図っていくということ、それから農林水産物等の地域資源を活用できる企業をターゲットとした誘致活動を行うということも含めまして、いずれ、関係市町村と密接な連携のもとに積極的な誘致活動に当たりたいと、そのように考えておるところでございます。

〇水上信宏委員長 先ほど長谷川委員から、執行部に対して資料の提出を求める旨の発言がありましたが、委員会として資料の提出を求めることとし、当職において執行部から提出があり次第、各委員に配付したいと思いますので御了承願います。

〇斉藤信委員 私は副知事を中心に聞きますので、室長や部長にはあした聞きますから、ぜひそのつもりで。
 増田県政の8年と県財政の破綻について。
 増田知事は、最近発表した選挙公約の中で、この4年間を変革と創造の4年間として、生活者の視点に立って、新しい岩手の創造のための土台を築いてきたと述べています。しかし、本当に生活者とって、県民にとって築かれたものは何でしょうか。増田県政の8年間は、国の経済政策に追随して大型開発を推進し、1兆3、400億円の借金をつくったことではないでしょうか。特に増田知事の8年間の借金の増大は7、400億円に及びます。これからの土台を築いたどころか、土台を崩したのではないでしょうか。

〇高橋副知事 なかなか難しいお話でございますが、増田知事が平成7年4月に知事に就任して以来の県政につきまして私なりに考えてみますと、東北新幹線盛岡以北の建設促進とか県立大学の開設など、県民の長年の悲願達成に向けた努力と同時に、当初から大変精力的に県内各地に赴いて、現場の県民の声をできるだけ県政に反映させるように努力してきた、そのように思っております。そういう姿勢が、これからの新しい時代にふさわしい地域社会のあり方を見据えた、岩手県総合計画に盛り込まれたのではないかと、そのように考えておりまして、その中で県行政の推進に当たっては、県民との信頼関係を何よりも大切にいたしまして、県民とともにつくる開かれた県政の推進など四つの方針を掲げて、現場視点、それから生活者視点の県政を大きく進めて、県民の意識調査などを通じた、満足度に基づいた評価による成果重視の行政に転換を果たしてきたということだと、そのように受けとめております。
 また、これからの岩手をつくるかぎとしましては、環境、ひと、情報、この三つの視点を掲げますとともに、地方振興局の機能充実を通じた市町村中心の地域づくりを進めるなど、施策展開の基本的な方向につきましても、従来とは一線を画した新たな道筋を開いたものだと、そのように考えております。
 いずれ、右肩上がりの経済が終えんをいたしまして、新たな経済社会に突入しておる現在でございますので、このような県行政推進の基盤づくり、それから時代に対応した施策の推進という大きな土台が築かれてきたのではないのかと、そのように認識しているところでございます。

〇斉藤信委員 知事自身が、今の深刻な県財政の危機について、県の政策的な判断もあったと、もう一つは、国の経済政策に追随してきた結果だと。増田知事の8年間、全くそのとおりではないですか。ひどいときには、決算額の4割が公共事業ですよ。私、この7、400億円の借金の責任というのを痛感するべきであると思います。
 それで、具体的にお聞きします。
 深刻な財政危機のもとで、公共事業の削減、見直しは当然のことです。問題は、むだと浪費、不要不急の大型開発を抜本的に見直すことです。来年度予算では、削減した公共事業の主な中身は何でしょうか。私がこれまで具体的に指摘してきた簗川ダム、津付ダム、港湾整備事業、花巻空港拡張、大規模林道や馬淵川沿岸水利事業など、大型開発の見直しは行われたのでしょうか。

〇高橋副知事 来年度予算を削減した公共事業の主な中身でございますが、公共事業全体では、御案内のように18.3%の縮減となったわけでございまして、このうち国庫補助事業につきましては、国における国庫支出金の削減の影響もございまして、ほ場整備事業それから緊急地方道整備事業等が減少し、前年度当初予算と比較をいたしまして153億4、000万円、14.8%の減少となっております。
 それから単独事業につきましては、ふるさと林道緊急整備事業を削減したことなどから、前年度と比較いたしまして177億5、900万円、28.6%の減少となっているところでございます。
 それから、大型事業の見直しということでございますが、県事業につきましては、地域づくりや産業振興、安全・安心の確保等、それぞれの目的を持って進めているものでございまして、県民の声に耳を傾け、環境に配慮しながら、社会状況の変化に対応して着実にその整備を進めているところでございます。
 なお、これらの事業につきましては、必要に応じて、事業評価制度にのっとって再評価を行うこととしておりますし、さらに、公共事業などのこれらの評価システムにつきましては、現在、条例化に向けての検討を行っているところでございまして、各種大規模公共事業についても、そのシステムの検討結果を踏まえて適切に対応していきたい、そのように考えておるところでございます。
 個別の例がいろいろございましたが、それらにつきましては各部の審査の際に、存分に御議論いただければと、そのように思っております。

〇斉藤信委員 結局、むだと浪費の大型開発には全く手がついていない。私は、これでは財政再建もできないし、切実な県民要求にもこたえられないと思いますよ。その見直しはみんな先送りですよ。本当にこういう姿勢でいいのかということを指摘しておきます。
 公共事業の中身を、大型開発優先から老朽校舎の改修や特養ホームなどの福祉施設の整備、県営住宅の増設、森林の整備など、生活、福祉、環境型に転換していくことが必要です。こうすれば、公共事業を減らしても中小企業の仕事をふやし、雇用も拡大することができますが、公共事業の中身は変わっているでしょうか。
 県予算の公共事業と社会保障の額、比率はどう推移しているでしょうか。私は、社会保障が主役となる県政に転換すべきと思いますが、いかがでしょうか。

〇佐藤総合政策室長 公共事業の中身の転換についてということですが、公共事業につきましては、県民の生活、地域の産業、これらを支える社会資本整備を進める上で大変大きな役割を果たしてきたということで、今後とも良質な社会資本の整備、とりわけ、まだ全国に比較して立ちおくれの目立つ下水道などの生活基盤整備については、積極的に進めていかなければならないものと、こう認識をしております。ただ、その実施に当たりましては、公共事業評価結果などを踏まえまして、その地域にとって真に必要な事業であるか、また、その地域にとって本当に優先度が高いものなのかどうかなどを見きわめまして、一層、事業の厳選やそれから実施地区の精査、重点化を図っていくことが重要であると、こう考えております。
 今後におきましては、コストの縮減、全国一律の実施基準の見直しによる地域の実態に即したいわゆるローカルスタンダードの導入であるとか、環境と共生し、それから積極的に地域環境の創造をしていくなど、地域の声を反映した、従前にとらわれない新たな視点での事業の創出にも努めていきたいと、こう考えております。

〇小原総務部長 公共事業費と社会保障関係費の推移についてでありますが、当初予算ベースではありますが、公共事業費は平成7年度以降増加し、平成9年度をピークとして以後減少に転じ、平成15年度当初予算では1、495億円余となりまして、平成7年度と比較して797億円余、34.8%の減となっております。
 一方、社会保障関係費は、平成7年度からおおむね増加傾向を示しながら平成14年度まで伸びてきたところでありますが、15年度当初予算では措置費が支援費制度に移行したことなどから、市町村負担分が県予算を経由しないこととなりまして、前年度より減少して889億円余となりました。しかしながら、平成7年度と比較しますと198億9、500万円、28.8%の増となっております。
 右肩上がりの経済成長が期待できない現在、これまでのような景気対策としての公共事業に過度に依存したハード中心の施策から、これまで蓄積してきました社会資本ストック、これの十分な活用を図りながら、環境、雇用、福祉などのソフト事業中心の施策への転換を図っていく必要があるものと考えております。特にも、社会保障は県民の生活の安定と安心を支える基盤となるものでありまして、今後とも制度の整備、改善を進めることが重要だと考えております。

〇斉藤信委員 増田県政の1期目の平成9年のときには、普通建設事業が3、713億円、構成比41.8%だった。そのときは、社会保障は798億円で9%、4.5対1でした。もう、財源がなくなったから公共事業は減りました。平成15年は、普通建設事業で見ると1、903億円、構成比23.3%、社会保障も減って889億円ということで比率は2対1になりましたが、これはどっちも減ってこうなったという関係です。社会保障も減っているということは残念な事態であります。私は、この比率が逆転されなければだめだと思いますよ。
 それで、増田知事は公約の中で、注目される一つの点、今後建設される学校や公共施設は県産材を活用すると公約しています。私も昨年の決算審議でそのことを取り上げました。来年度予算ではどうなっているでしょうか。具体的にどの学校から行うことができるか、検討されているのでしょうか。

〇高橋副知事 公共施設の木造化に向けた取り組みでございますが、平成15年度は松尾村に予定しております森林科学館、これは仮称でございますが、これを整備するに当たりましては、県産材を積極的に使用した木造施設とすることとしておるほかに、関係部局が連携をいたしまして、公共施設への県産材の利用を一層推進することとしておるところでございます。
 県立学校の校舎は、その主要な部分を3階建て以上で建築しておりますことから、建築基準法上、耐火構造にすることを義務づけられておりまして、木造で建築することは極めて難しいものと、そのように考えております。したがって、この校舎以外の木造建築物としては、セミナーハウスとかプールの上屋とか、弓道場とか吹奏楽部の部室等、これらを木造で建築していたわけでございますが、平成15年度は、残念ながらこれらの建設予定はないという状況でございます。それから、小中学校の校舎につきましては、平成15年度は3校、小学校が2校と中学校が1校計画されておりますが、残念ながらこれも木造での建設は予定をされていないという状況でございます。しかしながら、公立学校の校舎等の建築に当たりましては、床材とか壁の内装材としては木材を使用しておりまして、平成15年度に改築を予定しております紫波高校等におきましても内装材等に木材を取り入れまして、できるだけ県産材を活用していく、そういうことで努力をしてまいりたいと考えております。

〇斉藤信委員 どうも具体化が見えないので、やっぱり増田県政の姿勢が私は反映されたと思うんですよ。公約を掲げたことを私、評価しますから。県立学校でやると全国初めてになると思うんですよ。そのぐらい思い切ってやらないと、注目されないんです。
 浄法寺の庁舎がなぜ注目されたかというと、庁舎を木造でやったということが全国的な注目を受けるわけだから、そういう点で、本格的にこれは具体化を実践してほしいし、できない場合でも、今言ったような内装の木造化、県産材の活用はもう積極的にやっていただきたい。
 医療福祉の問題について次にお聞きします。
 医療、介護保険、年金、雇用保険の予定されている改悪が実行されれば、2兆7、000億円の国民負担となります。消費税の免税点の引き下げやビール、たばこなどの増税で1兆7、000億円の増税となりますが、合計4兆4、000億円の負担増、これは県民にはどういう負担増として試算をされるでしょうか。それの地域経済に及ぼす影響はどうとらえているでしょうか。
 在宅酸素療法の患者が医療費の増大によって、16人の方が中断したというのが一般質問での回答でした。ところが増田知事は、経済的理由で在宅酸素療法を受けられなければ生活保護を受ければいいという、驚くべき答弁。私は最低、最悪の答弁だと思いますが、生活保護を簡単に申請、受理されるのでしょうか。知事の発言は、私は撤回されるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 障害者3級までの医療費助成は東北各県で実施されていますが、内部障害の3級まで実施をするとしたら、どれだけの財源が必要でしょうか。在宅酸素療法の患者の障害者認定の状況はどうなっているでしょうか。東北各県で実施しているのに、岩手県でできない理由は何でしょうか。
 増田知事は選挙公約で、安心して暮らせる社会先進県を目指すとしていますが、これでは後進県ではないでしょうか。

〇高橋副知事 在宅酸素療法等につきましては私から、そしてその前の増税の影響につきましては総合政策室長の方からお答えをさせます。
 まず、内部障害3級まで対象を拡大した場合の所要額ということでございますが、障害1・2級の重度の方と比較をいたしまして、障害3級の方は在宅で療養されている場合が多くて、受けられる治療の内容も異なる、そのように考えられますことから、正確な所要額の把握は困難であるということでございます。単純に1・2級と同様の医療内容とした場合には、さらに約7、200万円の負担増が見込まれると試算をされております。それから、重度心身障害者(児)医療費助成事業は、障害が重度である方につきまして、医療の受診の機会を確保して生活の安定、福祉の増進を図ることを目的としているわけでございますが、このために助成事業の対象は、介助が必要とされる障害程度が1・2級の重度の方を対象としているものでございます。
 それから、在宅酸素療法患者の障害者認定の状況でございますが、身体障害者の障害程度の認定については身体障害者手帳制度によっておりまして、この制度は在宅酸素療法患者に着目した区分ではないために、その障害者認定の状況については把握できないということでございます。
 なお、呼吸器の機能に障害があって身体障害者手帳を所持している方々は、平成13年度末で932名という状況でございます。

〇佐藤総合政策室長 医療、介護保険等の見直しやビール、たばこ等、税制改正に伴う県民等に与える影響についてということでございます。
 本県経済に及ぼす影響を把握するということは大変困難ではあるのですが、県民負担の増減額、これはそれぞれ一つ一つ当たってみますと、まず、医療費の改定です。これは、国の試算をもとに推計すると、ちょっと荒っぽいのですが、170億円から180億円の負担増。それから介護保険料の改定につきましては、これも各市町村等からの報告をもとに試算いたしますと、16億2、300万円の負担増。これはならしますとということで、1年当たりにしますとこのぐらいになります。
 なお、雇用保険制度、これにつきましては新たな県民の負担増はないということと、それから年金額の改定につきましては、国において実際処理されているということで、県としては詳細をつかみ切れないということで、これは御理解いただきたいと思います。
 次に、税制改正ですが、税制改正も増税と減税、双方ございまして、それぞれを平年度ベースに直して差し引き40億円程度の負担になるということで、以上のことから、県民の新たな負担ということになりますと、税金は平年度ベースにした上での数字になりますけれども、把握可能な額といたしまして156億円程度になるのではないか。これも実際はすべて消費支出の削減に転嫁されるかどうかわからないわけですが、例えばそれがすべて消費支出の削減に転嫁されたものと仮定した上で、この156億円をもとにしまして10年連関表によりまして機械的にこの影響額を調べますと、合計で284億円程度の消費支出が削減されると、マイナスになるという形になっております。これが理論的な数字ということで、必ずしも単年度ですべて発生するということではないと思いますが、一応こういう数字が出ます。(斉藤信委員「委員長、計算合わないぞ、166億円、足すと計算合わない」と呼ぶ)156億円。

〇斉藤信委員 今、聞いていると計算合いませんよ。医療費の改定で170億円から180億円と言うんでしょう。後から正確にまた答えてください。
 それで、内部障害3級、私なぜ言うかというと、呼吸器障害の方々は2級の認定がないんです。1級しかないんですよ。あとは3級、4級なんです。だから、こうした方々を救済しようと思ったら内部障害3級を適用しなければだめだというので、全国の20道府県でやっているんです。県内の13市町村でも独自にやっているんです。私はそのことを指摘したわけです。だから、内部障害、本当に全国がやっているようにやるべきではないですか、副知事。また改めて、2級適用がないということを副知事は知っていますか。そのことを改めてお聞きします。
 次に、介護保険、特養ホームの整備について、増田知事は公約の中で、重度層の施設入所待機者を平成14年度より50%減らしますとしています。これでは、重度層ではない待機者、重度層の待機者の50%はいつまでも待機させられるということになりますが、これでいいんでしょうか。介護保険は保険料が強制的に年金から天引きされていますが、入りたい特養ホームに入れないとしたら保険制度が成り立たないのではないでしょうか。待機者の解消を目指すべきと考えますがいかがでしょうか。

〇高橋副知事 2級がないという話は私も今、初めて聞いたところでございます。いずれ県単の医療費助成事業、今般の医療制度改革に伴って今後相当の新たな財政負担増が見込まれているわけでございまして、これ以上の負担というのは現下の厳しい財政状況下ではなかなか困難でございますので、当面は既存の制度の適用で対応してまいりたいと考えております。
 それから、特別養護老人ホームの待機者の関係でございますが、この特別養護老人ホームの整備につきましては、保険者でもございます市町村等が介護保険事業計画において定める入所定員目標数をもとに整備することとしておりまして、現計画の整備分としては、平成14年度から15年度にかけて約300床を増床させる、それから次期計画の中では全体で、今後5年間で約800床の増床を行う計画となっております。そのほかにもグループホームとか老健施設というものもあわせながら、全体として考えていくということがよろしいのではないかというのが私どもの考え方でございます。

〇佐藤総合政策室長 ちょっと説明がまずかったかと思うのですが、税制改正に伴う分が、税率の引き下げ等の減収分が150億円、それから増収分が110億円で、マイナス40億円になりますから、したがってこれを入れますと156億円から10億円の幅をつくりましたので166億円ということになります。それで合うかと思います。お確かめの上、お願いいたします。

〇斉藤信委員 それは後で詳しく数字は見させてください。
 内部障害2級、呼吸器障害の場合は適用ではないという、こういうことを知らないで冷たい答弁しているということは残念ですね。それで、増田知事が重度層の50%解消するという政策は、これは今のおくれた現状追認ですよ。県はそうではないと、きちんと解消を目指すというふうに受けとめていいのか。
 児童虐待対策について、児童虐待の相談件数の推移、児童養護施設の入所状況、被虐待児の占める状況はどうなっているか。
 児童福祉司の配置は県の取り組みの姿勢を示すものだが、なぜ国の交付税措置の17人から4人も少ない13人の配置になっているのでしょうか。これでは全国最低ではないでしょうか。

〇高橋副知事 まず、児童虐待の相談件数でございますが、本年1月末現在で150件、これは前年同期が149件でございますから、これはほぼ横ばいということでございます。
 それから、児童養護施設の入所状況は、本年2月1日現在で320人、そのうち虐待を主たる理由とする児童は46人で、何らかの虐待を受けた児童は97人ということでございます。
 それから、児童福祉司の配置でございますが、これにつきましては、平成13年度に相談件数が増加いたしましたので、昨年4月に福祉総合相談センターの児童福祉司を2名増員いたしまして、全体で13名の体制としたところでございます。なお、児童福祉司1人当たりの相談件数で言いますと、13年度、全国平均が16.8件、本県では15.7件ということになっておりまして、1.1件全国平均より下回っているという状況でございまして、今後もこの配置につきましては相談状況を見ながら対応してまいりたいと思っております。

〇水上信宏委員長 さっき一つ答弁漏れがあるような言い方だったけれども……、その前の質問に。(斉藤信委員「私がね、聞いたことね」と呼ぶ)

〇高橋副知事 特養ホーム、重度層だけという話ですが、待機者の中では大体重症者が半分、それよりも軽度の方が半分ということでございますから、この重度の半分の方は、もうこの方々については全部入れるようにしなければならぬということを言っているわけでございまして、残り半分を全然やらないとか、そういう話をしているわけではないわけでございます。これにつきましては岩手県の社会福祉協議会高齢者福祉協議会が県と協議いたしまして入所に関する指針を策定したわけでございますが、この指針に基づいて要介護度なり家族の状況等に応じて、いずれ適切に入所できるように県としては支援していくと、こういうような考えでございます。

〇斉藤信委員 増田県政の、お年寄りにも子供にも冷たい姿を私は示されたと思いますよ。具体的にはまた部局でやります。
 実効ある雇用対策についてお聞きします。
 県内の残業をなくせば2万3、000人、1、800時間の国の目標を達成すれば2万4、000人の雇用拡大に結びつく。長時間労働を是正して雇用を拡大する取り組みを進めるべきと思いますがいかがでしょうか。
 サービス残業について、岩手労働局は237件の是正指導を行ったと報告されていますが、どういう内容か承知しているでしょうか。
 県内の昨年の失業率は5.8%、失業者は4万3、000人で、前年から8、000人の増となりました。最悪の状況ですが、常用雇用を拡大する具体的対策はどうなっているでしょうか。特に深刻な青年、学生の失業対策はどうなっているでしょうか。

〇高橋副知事 労働時間の短縮に向けた取り組みにつきましては、労使双方に対しまして、例えば労務管理に関するセミナーの開催とか、労働時間・退職金制度調査結果を、この前まとまったわけですが、こういうものを提供するとか、長期休暇制度を普及・推進するゆとり創造月間を周知するとか、雇用・労働時間に関する労働相談の実施をするとかいうようなことで啓発活動を行っておるところでございます。今後におきましては、県と岩手県労働問題協議会が共催して開催しております雇用・労働フォーラムなどにおきまして、労働時間短縮と雇用の拡大についてこれを取り上げまして、労使双方の理解のもとに、労働時間縮減が一層図られるように努めてまいる考えでございます。
 それから、サービス残業の是正指導につきましては、これを岩手労働局に照会したわけでございますが、具体的な指導内容とそれに対する企業の是正状況についてはお知らせいただけなかったということでございます。
 それから、常用雇用の拡大策でございますが、本県において安定的な雇用の場を確保していくためには、各産業分野において、地域に根差した足腰の強い内発型産業などを創出、育成いたしまして、自立した地域経済を築いていくことが何よりも重要であると考えております。
 このため、既存の中小企業対策といたしまして、新事業分野への進出など経営革新に意欲的に取り組む中小企業の育成、それから新規創業を促進するため、創業ノウハウの習得を目的としたいわて起業家大学、それから、より専門的な指導を行ういわて起業家大学大学院の開催などによります創業支援、さらには、独創的な研究開発に取り組むベンチャー企業に対する専門家チームによる重点支援、そしてインキュベーションファンドによる投資・株式公開支援、さらに、コミュニティ・ビジネスの育成によりまして、地域住民が地元の資源を利活用して、これを就業につなげていくというようなこと、さらに、ものづくり技術、岩手が持っているこういうものの強みを生かしまして自動車関連産業等の一層の集積の促進、それから雇用吸収力の高い産業分野の企業誘致、これも当然でございます。これらのほかにやはりどうしても1次産業、この面での雇用の確保ということも非常に大事でございますので、産地直売、それから地域の食材をふんだんに使った農家レストランとか加工品を開発するアグリビジネス、こういうものを支援していく。さらに、Iターン、Uターンを含めました1次産業への新規就業者の確保、定着に向けた支援、これらも図っていかなければならぬというようなことでございまして、1次産業から3次産業を通じた大変多様で厚みのあるような産業構造をつくり上げていかなければならぬと考えておるところでございます。
 それから、特に深刻な青年・学生の失業対策でございますが、地方振興局の地域雇用相談員が雇用に関する情報の収集や提供を行っているところでございます。それから、県内企業との面談の場を提供いたします、いわて就職面接会を盛岡、東京、仙台で、年間全体で5回開催をしておりますし、また、岩手県U・Iターンフェアにおきまして、主に首都圏に住む本県出身の学生に対しまして県内企業の求人情報を提供している。それから、東京のいわて銀河プラザ、大阪、札幌、名古屋の県外事務所に設置しております岩手県Uターンセンターにおきまして、県内に就職を希望する学生に対しまして求人情報の提供なり就職相談も行っております。それから、大学生が就職活動を早目に進めることができるように、卒業年次以前の学生に企業情報を提供するいわて就職ガイダンス、これを今年度から盛岡で開催しております。それから、インターンシップ推進事業を実施いたしまして、企業と学生のマッチングも支援しておりますし、職業能力開発につきましては、主として新規学卒者を対象とした職業訓練を行っておりますほかに、離転職者を対象にIT技術なり介護サービス、建設機械運転等の職業訓練を実施しているところでございます。
 高校生の方につきましては昨年の9月と、それからことしの1月から2月にかけて地方振興局と職安、さらに、各高校が連携をいたしまして事業所を訪問して求人開拓を行いました。県立学校63校に進路相談なり求人開拓を行います就職支援相談員を配置して、延べ540社856人の新規求人を開拓したところでございます。これからも労働局、教育委員会等と連携、協力いたしまして、未内定生徒全員を対象とする職業相談、それから若年者トライアル雇用を行う未内定者ジョブサポート事業を積極的に活用いたしまして、生徒が希望する職業につくことができるように、きめ細かな支援を展開してまいりたい。それから、未就職の高校卒業生を試行的に雇い入れた事業主に対して給与の一部を助成する新規高卒者ふるさと就職支援事業を創設することとしておるところでございます。

〇斉藤信委員 具体的には部局でやりたい。岩手に就職先がないので青年、学生が帰ってこられない、岩手から離れるという、そのために人口減少が続いているというショッキングな報道がありましたけれども、これは本当に抜本的な対策を講じていただきたい。
 最後ですが、30人学級の実現について。
 昨年の決算審議で私、副知事に聞きました。知事、副知事は山形県など全国に広がっている30人学級の取り組みと経験について研究されているのでしょうか。来年度の少人数学級に取り組む全国の状況についてどう把握されているでしょうか。
 山形県の取り組みについて私は一般質問でかなり具体的に紹介しましたが、副知事はどう受けとめたでしょうか。
 すこやかサポートは非常勤とはいえ講師を新たに県単独で配置したのは部分的改善です。しかし、40人学級の枠の中では110人台のクラスが学級減になるなど根本的な問題が解決されない。父母、教師、県民の意見を聞いて少人数学級に踏み込むべきではないかと思いますがいかがでしょうか。少人数学級の取り組みを県は否定しているのでしょうか。増田知事は教育先進県を目指すと言っていますが、これでは教育後進県となってしまうのではないでしょうか。

〇高橋副知事 30人学級のお尋ねでございますが、まず全国の取り組み、それから経験についての研究ということでございます。現時点で把握しているデータによりますと、少人数学級を計画している各県の状況では、小学校1年生など低学年を中心に実施するものが多いということでございますし、また、1学級当たりの人数規模については30人から38人程度までの編制基準がそれぞれ設けられておって、これは各県によって異なっている。さらに、全県一律の基準を設けたり、あるいはモデル校を指定いたしまして、限られた学校で実施するなど、さまざまな取り組みが計画されているところでございます。各都道府県の中には来年度から少人数学級等に取り組む県もあるわけでございますが、それぞれの地域の教育課題なり施策の効果等を踏まえて、少人数学級や少人数指導など、少人数教育に向けてさまざまな工夫によって対応しているものだととらえております。
 それから、山形県の取り組みにつきましてお尋ねがあったわけでございますが、その後、私もその内容を見させていただきました。いずれこの山形県の取り組みにつきましては、各都道府県において、先ほど申し上げましたように少人数学級なり少人数指導のいずれによっても、それぞれきめ細かな指導によって有意義な取り組みが行われているということでございまして、山形県でもその効果を上げておるものだと聞いておるところでございます。
 それから、少人数学級に踏み込むべきではないかということでございますが、いずれ私ども、少人数学級の取り組みを否定しているのか――否定をしているというようなことではございませんが、本県で今年度実施いたしました岩手県少人数指導支援事業によって、基本的生活習慣の確立なり基礎学力の定着において具体的な効果があらわれてきているところでございます。したがって、来年度においても、県単措置のすこやかサポート推進事業について、従前の30人超を25人超に拡充をいたしますほか、国の加配措置等を最大限に活用するなど、さらに本県独自の改善を加えながら、少人数指導の充実に努めてまいりたい。少人数指導でも少人数学級についても、それぞれその取り組みの効果は認められるものでございまして、いずれ本県においては、より子供たちへの指導の効果が大きくて、また、教員の資質向上にも結びつくものと考えておりますことから、少人数指導の方でそちらの充実を進めてまいりたいということでございます。

〇斉藤信委員 私、議会を通じて都道府県に調査をしました。来年度から新たに少人数学級に踏み込む県が三重県、和歌山県を含め7県ですよ。22から、若干の誤差はあると思いますけれども7県ふえるんです。東北は4県やっているんです。私は、より少人数指導の方が効果があるというあなたの根拠、これを示していただきたい。今もう全国過半数の都道府県が独自に10億円、20億円支出して少人数学級に踏み込んでいるというのが全国の状況ですから、しっかり答えていただきたい。

〇高橋副知事 少人数指導の方がより効果があるということを申し上げたわけではなく、それぞれがその地域、地域によって効果があるということを申し上げているわけでございます。15年度の私どもの調査では、少人数指導をやっているのが25都道府県、それから少人数学級が26都道府県という状況でございます。

〇水上信宏委員長 先ほど提供することといたしました資料が届きましたので、事務局をして配付させていただきますので、御了承願います。

〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 県税収入や地方交付税、国庫支出金が減額し、公債費が増加していくため基金も取り崩すという、深刻な新年度予算になりました。知事選挙前の骨格予算とはいえ、公共事業費18%減には関係業界から嘆きの声が上がっております。さて、今後大変な利払いに追われますが、副知事は、本県が財政危機を脱するのはいつごろにしたいと想定しているか、最初にお伺いいたします。

〇高橋副知事 今、いつごろまでに財政危機を脱するかというお尋ねでございますが、これをいつごろと申し上げるのは大変非常に難しい状況でございます。この財政問題、本県のみの努力では難しい部分もあるわけでございますが、財政の健全化は県政の最重要課題であることは変わりないわけでございますので、いずれ平成15年度のできるだけ早い時期に、財政の健全化と自立の道筋を明らかにしたプログラムを策定いたしまして、平成15年度から18年度までの4年間に集中的に取り組むことによって、持続可能な財政構造に転換したいと考えておりまして、そのあたりを一つの目標の目安として、財政構造改革に全力を挙げて取り組んでいかなければならぬと思っております。

〇小野寺好委員 次に、中小企業に対する金融についてでありますが、緊急地域雇用創出特例交付金その他はなかなか効果が出ておりませんで、本県の失業者数は深刻な状況にあります。雇用状況の改善は、根本的には中小・零細企業や個人商店が元気になって雇用を伸ばすことに尽きるわけでありますが、消費の低迷、弾力性に欠ける金融が大きな阻害要因になっております。貸し渋り、貸しはがしで中小・零細企業をさらに苦境に追い込んだりもしております。このため国は、政府系金融機関のセーフティネット貸付制度の拡充とともに、国のセーフティネット保証を一般保証とは別枠で、あわせれば保証可能額が2倍になるようにしましたが、実務手続を行うのは地元信用保証協会、金融機関であり、企業経営者はここの窓口で大変苦労しています。これに対し県は、円滑な融資のために何かしているのでしょうかお伺いいたします。
 また、県は中小企業振興費を517億円計上し、原資預託することにしていますが、これが中小企業への融資の実効性を上げるために県はどのような手段を講じていくか、特に信用保証協会への関与はどの程度考えているかお伺いいたします。

〇高橋副知事 まず、円滑な融資のための施策ということでございますが、いわゆる大型倒産、不況業種などによりまして経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給を図る国の制度といたしまして、セーフティネット保証、セーフティネット貸し付けなどの金融セーフティネット対策が設けられているわけでございます。県といたしましては、この金融セーフティネット対策が円滑に利用されるように、これまでも信用保証協会や金融機関等に対しまして、中小企業者に対する金融支援について協力を要請してきておりますほか、市町村、それから商工団体等を通じまして中小企業者への周知にも努めてきているところでございます。
 特にも、いわゆる大型倒産発生時には、関係機関で構成いたします対策会議を開催いたしまして、相談窓口の設置など、中小企業者からの相談体制を整備いたしますとともに、金融機関等へは担当部長等が直接出向いて、中小企業者に対する金融支援について、理解と協力をお願いしてきているということでございます。また、中小企業金融連絡会議の開催などを通じまして、中小企業者の資金繰り等について商工団体、金融機関等を交えて意見・情報交換を行いますとともに、信用保証協会、それから金融機関等に対し、金融セーフティネット対策の趣旨を踏まえた円滑な資金供給を要請しているところでございます。
 それから、県単融資制度の実効性を上げるための手段ということでございますが、御指摘のように平成15年度におきましては、貸付原資といたしまして517億円余の予算を計上しているところでございます。県といたしましては、この県単融資制度の実効性を高めますために、金融機関、信用保証協会に対し、県単融資制度内容等につきまして直接説明する機会を設けまして、利用の促進を図っておりますほかに、商工団体、市町村とも連携をとりながら、制度の周知を図っているところでございます。
 また、金融機関、信用保証協会、商工団体で構成し3月中旬に開催予定をしております地域融資動向に関する情報交換会などの機会をとらえまして、県単融資制度の利用を通じた、中小企業者に対する資金供給の円滑化について協力要請を行うこととしております。さらに、信用保証事業支援費補助によりまして、信用保証協会の協力を得まして、県単融資制度信用保証料率を0.7%に据え置いております。これによりまして中小企業者の負担を軽減して制度の利用促進を図っているところでございます。ただ、そうは申しましても、長引く不況の中で、県内中小企業者は売り上げの減少等によりまして資金繰りが困難になってきているという状況がございますので、今後とも、商工団体の経営指導を通じまして経営体質の強化に努めるとともに、金融機関、信用保証協会と商工団体との十分な連携を図りながら、中小企業者の資金繰りに支障が生じないように努めてまいる考えでございます。
 それから、特に信用保証協会への関与ということがお尋ねがございました。県はこれまでも信用保証協会と連携をしながら、中小企業者に対する資金供給の円滑化のために県単融資制度の利用促進を図ってきたところでございますが、今後とも、可能な限り中小企業者の事情に沿った保証対応を行うように信用保証協会に要請してまいる考えでございます。

〇小野寺好委員 次に、雇用創出についてでありますが、働く場がないと言われておりますけれども、農林水産業は後継者不足であります。かつての高度経済成長期に第1次産業から移動した労働力をもとに戻すべきでありますが、賃金格差は歴然としていて、今の第1次産業の賃金では他産業従事者のような生活は望めません。1次産業を守り地域雇用を創出するには、行政の補助で当面の賃金格差を埋めるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

〇高橋副知事 1次産業において地域雇用を創出すると、これは大変、先ほども申し上げましたように重要な課題でございますが、そのためには、まず、第一義的には就労の場、就労のパイをふやすということが肝要であると考えるものでございます。現在、地元の新鮮な農林水産物を提供する産地直売、それから地域の食材をふんだんに使った農家レストランとか、加工品の開発などのアグリビジネスが展開されておりまして、こうした取り組みを支援することによりまして、地域雇用の創出を図っているところでございます。ちなみに、アグリビジネス関係では現在約3、500人の方々が常勤、非常勤で雇用されているという状況もございます。それから、森林・林業につきましては、地球温暖化防止が世界的な課題となっている中で、適切な森林管理が求められているわけでございますので、国では緑の雇用担い手育成対策事業を創設いたしました。本県もこの事業を積極的に活用して、緊急雇用対策で森林産業に従事した者を本格雇用へと誘導いたしまして、林業就業者の確保に努めることとしております。
 また、さらに近年のこの厳しい雇用情勢の中で、I・Uターンを含めた1次産業への新規就労者数は、ここ数年、わずかながら増加傾向にございますので、引き続き積極的な広報活動なり就業支援などを行って、1次産業への新規就業者の確保、定着へ向けた取り組みをより一層強化してまいりたいと考えております。

〇小野寺好委員 次に、ひとにやさしいまちづくりについてでありますが、県都・盛岡の駅周辺の歩行者バリアフリー化については前にお伺いいたしましたが、その後進展しているでしょうか。
 また、駐車場についてでありますが、略称交通バリアフリー法、ハートビル法の谷間にあるためになかなか対応がおくれていると思いますがいかがでしょうか。具体例ですけれども、車いすを使う障害者を乗せた方が、盛岡駅前の民間コイン式駐車場に車を入れた後、車いすを押して出ようとしたところ、上り階段が狭く急であることに気がつきました。車いす対応であるか否かあらかじめ表示されていれば難儀せずに済んだはずであります。そのようなマークの普及はできないものか、また、民間へのこうした改善要請はできないものかお伺いいたします。
 次に、公営住宅のバリアフリー化についてでありますが、盛岡市内の県営アパートの4階に住むある高齢者が、四つんばいになって時間をかけて上り下りしています。手すりをつけることはできないものかと県土整備部に聞きましたら、そのような予定はないので、1階があいたら移ってもらうしかありませんとのことでありました。副知事も同様にお考えでしょうかお伺いいたします。
 高齢化が進んでいますが、なるべく外に出るように、寝たきりや閉じこもりにならないように配慮してあげたいものでありますが、特に冬場の雪や氷は大きな障害で、どちら様も自宅の雪かきが精いっぱいで高齢世帯までは手が回りません。積雪寒冷地での高齢者、障害者の外出に関してでありますが、除雪、排雪について副知事はどのような所感をお持ちでしょうかお伺いいたします。

〇高橋副知事 まず、盛岡駅駅舎周辺等のバリアフリーの進捗状況でございますが、盛岡駅駅舎のバリアフリー化につきましては、盛岡市とJRが連携して進めているところでございまして、西口に通ずる2階自由通路につきましては、平成14年4月に駅舎側の階段を撤去いたしまして段差の解消が図られております。それから、自由通路に通ずるエスカレーターにつきましては、平成14年9月に着手をいたしまして、平成15年6月完成予定と市の方から聞いておるところでございます。そのほかに、駅舎内に7カ所設置を予定しておりますエレベーターにつきましては、平成15年度に3カ所整備する予定と市から聞いておるところでございますし、また、現在工事中のタクシー乗り場向かいの駅前地下通路に接続するエレベーターにつきましては、今月末に完成予定と聞いております。
 それから、駐車場のバリアフリー化でございますが、ひとにやさしいまちづくり条例では、駐車場はバリアフリー化を図るべき公共的施設としておりまして、施行規則で占用区画やスロープ等の設置に係る整備基準を定めておるところでございます。収容台数が30台以上の駐車場は、特定公共的施設といたしまして、新築等の際に知事に届け出ることを義務づけておりまして、事務を委任している市町村におきまして指導、助言を行っている状況でございます。駐車場設置者への指導につきまして盛岡市に確認したところでは、駐車場法に基づく届け出や建築確認申請の際に、ひとにやさしいまちづくり条例の遵守について指導しているということでございます。
 盛岡駅周辺の駐車場のバリアフリー化については、交通バリアフリー法に基づいて、現在、盛岡市が策定を進めております盛岡駅周辺地区交通バリアフリー基本構想の中で検討されるものと考えております。
 それから、車いす利用者に対する案内表示のお話がございました。一般的に車いす使用者が駐車場を利用できる場合には、国際シンボルマークが使用されているところでございまして、県でもひとにやさしいまちづくり条例に基づきまして、公共的施設においては、このマークの使用を進めているところでございます。今後は、バリア発見隊の点検活動などを通じまして、この案内表示の改善を促進していきたいと思っております。
 それから、公営住宅の県営アパートのお尋ねがございましたが、多分御指摘のあったアパートは湯沢団地ではないかと思うわけでございますが、お尋ねのような実態については県土整備部の方でも具体的に承知していなかったようでございまして、いずれ早々に調査をいたしまして、適切な対応をさせたいと思っておりますので、後で具体的な情報を教えていただければと思っております。
 なお、県営住宅のバリアフリー化につきましては、高齢者、それから身体障害者等の入居者の方々が安心して安全に生活していただけるように、建てかえとか住戸改善事業等のこれらの事業を通じて進めてきているところでございまして、平成13年度末で全管理戸数の39%に当たる約1、960戸がバリアフリー化しておるところでございます。徐々に進んでおるという状況でございますが、いずれ引き続き着実にバリアフリー化を進めてまいりたいと思っております。
 それから、4番目に高齢者の世帯等の除雪のお尋ねがございました。自分で除雪が困難な高齢者等の世帯があるわけでございますが、これらの方々に対しましては、従来から近隣の方々が相互に助け合いながら除雪をしてきたところでございまして、最近では、県内各地で企業とか、福祉施設関係者とか、中・高生などが自主的に雪かきのボランティアを組織して支援活動を展開しているところでございます。今後においても、このような取り組みについての意識を啓発して、こういうように地域で支え合う活動が活発に展開されて、だれもが住みなれた家庭や地域で安心して暮らしていけるような社会づくりを促進していかなければならぬと考えております。

〇小野寺好委員 次に、予防費についてでありますけれども、昨年の予算特別委員会で、子供のインフルエンザ予防接種の補助制度の姿勢をお伺いいたしましたところ、平成6年の法律改正で子供が外されたこと、及び13年の法律改正で高齢者が対象になったこととの説明をいただいたのみでありました。この予防接種は自由診療で結構な費用負担が伴うため、ついためらってしまいます。ことしは特にインフルエンザが流行し、他県ではウイルスが脳に達し死亡する例もありました。けさの新聞報道で盛岡市は一部助成をするとの方針を決めたとのことであります。改めてお伺いいたしますが、県として希望者への子供のインフルエンザ予防接種の補助制度を考えてはいかがでしょうかお尋ねいたします。

〇高橋副知事 これは前もお尋ねがあったわけでございますが、いずれ子供の予防接種については、かつてその効果、また、副作用について議論がなされまして、平成6年には法律に基づく予防接種から除外された経過があるわけでございます。ただ、厚生労働省の乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究におきまして、ワクチンが脳炎、脳症に有効であるかを含め、その有効性と安全性に関する研究が進められておりまして、厚生労働省ではその結果に基づいて、法制化も視野に入れて検討することとしております。そういうことでございますので、現時点において本県では補助制度の創設は考えておりませんが、今後、厚生労働省の動向を注視してまいりたいと思っております。

〇小野寺好委員 盛岡市と滝沢村の境にある県立みたけ養護学校でありますが、隣接する県立みたけ学園との関係で、古くから学校給食の実施を求める声が出ております。現地訪問をし、また、保護者の声を聞きましたが、希望がかなうめどは立たず、歴代の校長は教育行政と福祉行政の連携について悩んできているようでありますが、ここに至っている現状の根拠と今後の見通しをお尋ねいたします。
 次に、新エネルギー導入、省エネルギーの促進でありますが、今議会に条例案を提出し、また、クリーンエネルギーフェアを開催するなど、県の前向きな姿勢に一定の評価をいたしたいと思います。昨年夏の同フェアでは企業の売り込み姿勢だけが目立ち、県の新エネ、省エネ姿勢は希薄に感じられましたが、今後の啓発と普及の成果をどのようにチェックする御予定でしょうかお伺いいたします。

〇高橋副知事 県立みたけ養護学校の学校給食でございますが、このみたけ養護学校は、みたけ学園と併設した学校として開校いたしまして、大部分の児童生徒は学園からの通学であったため、昼食は学園に帰ってとっていたわけでございます。近年、みたけ養護学校は自宅通学生が大幅にふえまして弁当を持参しております。あわせて学園から通学している児童生徒も学園でつくった弁当を持参して、一緒にミルク給食を実施しているのが現状でございます。県の教育委員会では、今年度、岩手県特別支援教育プラン策定委員会を設置いたしまして、特別支援のあり方について審議をしている最中でございまして、この委員会の最終報告を受けまして、完全給食未実施校における完全給食の実施についても検討することとしているところでございます。
 それから、新エネルギー、省エネルギーでございますが、昨年の7月に開催したフェアでは、企業による出展もあったわけでございますが、そのほかに森と風の発電所、それから親子ソーラーカー工作教室など、小・中学生からシルバー世代まで、楽しく実感を伴って遊ぶことができるようなコーナーを設けまして、そういうことで3日間の期間中の来場者が約7、000人、大変多くの県民が訪れて新エネ、省エネの最新機器に触れる機会も提供できたと思っております。
 この開催期間中に実施したアンケートでも、大変このイベントが参考になったと答えた人の割合が70%を超えるというようなことで、大きな効果があったと思っているわけでございます。しかしながら、来場者からは、夏場でとても暑かったということもございまして、開催時期、また、PR不足についての御指摘もございました。したがって、これらの反省点を踏まえまして、今後、費用対効果などの観点もさらに重視して、類似イベントとの共同開催なども含めて、より開催効果が上がる方法を今、検討しているところでございます。
 また、県ではこれまでも環境家計簿を全戸に配布いたしまして、省エネの全県的取り組みを展開しておるところでございますが、その成果を競うコンクールに多数の応募が寄せられたところでございまして、家族ぐるみでの取り組みが着実に広がっていると考えております。
 今後は、今定例会に提案しております条例案の中でも、新エネルギーの導入及び省エネルギーの必要性についての理解を深めることができるように、エネルギーに関する学習の推進及び普及・啓発について必要な措置を講ずることとしておりますし、また、これら新エネルギーの導入、省エネルギーの状況について毎年度調査し、公表することとしているわけでございますので、この普及・啓発の成果をこの中でも十分検証してまいりたいと考えております。

〇小野寺好委員 本県は科学技術立県を標榜しておりますが、新年度ではどのような成果を期しているのでしょうか。特に雇用につながるようなものがあるかどうかお伺いいたします。
 科学技術立県としては、市町村の電子自治体化も進めなければなりませんが、町村への支援の要否、役場と県、役場と住民のネットワークはいかがでしょうか。
 また、電子県庁を構築中でありますが、県のセキュリティーはかなり甘いとの専門家の指摘があります。県は善良なコンピューター事業者としかかかわってこなかったと思いますが、1月25日のサイバーテロのように世間には害意を抱いた有能な技術者が多いという実態をどのように意識して対策を講じているのかお伺いいたします。

〇飛澤地域振興部長 科学技術についてのお尋ねでございまして、一般に科学技術と申しますと、研究は、基礎研究、応用研究、実用化研究、企業化研究ということでいろんなステップがございますし、基礎研究から企業化までは一定の資金と時間を要するということもございまして、基礎研究が雇用に直結するというためには、やはり一定のタイムラグと、それから長期間の研究が必要だということが言えようかと思いますが、当面、平成15年度の科学技術の振興につきましては、電子材料あるいは金属材料、情報通信の分野におきまして、岩手大学、県立大学のすぐれた技術シーズに関する基礎的な研究の活性化に取り組みまして、研究開発成果の産業化を意識いたしまして、産学官による共同研究を一層強化していきたいと考えてございます。
 具体的な例で申しますと、岩手大学の固有の技術でございますトリアジンチオールの研究というのがございますけれども、これは実用化に至っておりますけれども、これをナノテクの分野におきまして本年度から16年度までの3カ年計画で、電子材料の研究開発を重点的に進めまして、県内企業への技術移転等を図りたいと考えてございますし、また、高機能鋳鉄の研究につきましては、ピストリングメーカーの県内の立地が決定したという部分もございますし、それに加えて自動車エンジン部品という広い市場に向けた産学による実用化研究を進めているところでございまして、今後の雇用創出について波及効果が期待できるものと考えてございます。これは3月1日の地元紙に比較的大きく掲載されておりますので御存じかと思いますが、ごらんをいただければと思います。
 それから、情報通信分野の研究につきましては、今年度開所いたしました地域連携研究センターを中心に県立大学等と企業との共同研究を強化いたしまして、インターネットセキュリティー技術や3次元画像処理技術の商品化など、市場競争力になる実用化技術の展開を期していきたいと思っております。
 それから、電子自治体に関しまして町村への支援ということでございましたが、県内市町村の状況は取り組みに非常に温度差がございますし、また、進度にも相当違いがあるということでなかなか、共同してシステム開発をするなり、あるいは管理をするなりといった方向で進めていきたいと思っておりまして、現在、県の電子自治体推進準備会というものを設立いたしまして、そういう共同化に向けた取り組みを進めておりますが、いずれそういった方向で進めていきたいということで、現在、総務省の委託事業を活用いたしまして、県内市町村の申請・届け出等の調査・分析を実施しているという段階でございます。
 それから、行政と住民とのネットワークあるいは行政間のネットワークというお尋ねでございましたけれども、平成15年度までにいわて情報ハイウェイ等を活用した相互行政ネットワークを整備いたしまして、県と市町村とを相互に接続したいと思っておりますし、この電子自治体が有効に機能するためには、これはもちろん家庭や事業所までのネットワークの高速化ということも重要でございますので、民間事業者等の採算性の確保が困難な中山間地域等におきましては、ADSLなどのブロードバンド環境の整備が立ちおくれているという状況を見ますと、県といたしまして民間事業者に対しまして、一層のブロードバンド環境の整備を要請していきたいと思っておりますし、今年度実施しておりますブロードバンドサービスの導入可能性調査の結果を踏まえまして、新たに県、市町村、民間事業者が一体となったブロードバンド環境の整備の仕組みというものを検討していきたいと考えているところでございます。
 それから、3点目といたしまして、県庁の情報セキュリティーの問題お話ございました。大変重要な問題でございまして、県としても情報セキュリティー対策の強化は重要な課題ととらえてございまして、現在、県の対応といたしまして、外部からの攻撃を検知して管理者に通報するシステムの導入でありますとか、それからファイアウォールの設置でありますとか、それから今、委員お話がございました、外部から侵入するウイルス感染を検知いたしまして自動的にウイルスを除去するシステムの導入、そういったものの対策を講じておりまして、いずれこのセキュリティー確保に万全を期していきたいと思っております。ちなみに平成14年度の1年間で1万1、000件のウイルスを駆除したという記録もございますので、本県のこういったファイアウォールでありますとか、ウイルスを除去するシステム、そういったものが期待どおり稼働していると思っておりますが、今後ともセキュリティーの確保につきましては万全を期していきたいと思っております。

〇小野寺好委員 次に、県への物品納入、サービスの提供、請負契約等についてでありますけれども、最低入札価格について、どのような方針であるか伺います。近年、不況の中で受注のための低価格競争が激化しており、必ずしも行政の経費削減に資するとばかりも言えない状況になっております。適正な競争、民間業者の育成という点で、どう配慮していくかお伺いいたします。

〇小原総務部長 最低価格入札についてでありますが、景気の低迷が長引く中で、今後、受注のための低価格競争が激化することが予想されるところでありまして、県としては、適正な競争を確保しながら、正常な取引関係がゆがめられるような入札を排除するということで、地元業者の育成の観点も踏まえながら、適正な制度の確立に努めているところであります。
 まず、委託業務についてでございますが、平成14年3月に地方自治法施行令が改正されまして、測量設計や庁舎管理などのいわゆる委託業務についても最低制限価格制度や低入札価格調査制度を採用することができるということになりました。調査基準額等の算定方法についてまだ確立していないということで、現在、国土交通省において算定方法の検討を行っておりまして、この結果を参考にしながら、早急に導入を図るよう検討してまいりたいと考えております。
 また、物品購入については、これらの制度を採用することが、これらというのは、ただいま申し上げました最低制限価格制度、低入札価格調査制度でありますが、これらを導入することができるとされております印刷物につきましては、本県の場合、比較的少額の発注のものが多く、全体的には適正な価格形成が図られておりまして、また、納品時における十分な検収によりまして適正な履行の確保がなされるということから、当面、制度の導入は必要がないものと考えております。
 低価格入札の影響が最も大きい県営建設工事についてでありますが、最近、低入札価格調査件数が増加する傾向にございまして、落札率も60%を下回るものが発生するなど、今後、件数の増加とともに落札率も一段と低下して、いわゆるダンピング受注のおそれが生じ、さらには、結果として粗悪工事を招くようなことも懸念されるということから、本年1月に低入札価格調査制度のより適正な実施に向けた見直しを行ったところであります。
 具体的には、直接工事費あるいは共通架設費、あるいは現場管理費など工事費目ごとに厳密な事前調査を行う仕組みを導入する。それから、工事所管部門と私ども総務部門とによる二重チェック体制の整備だとか、あるいは着工から工事完成までの各段階におけるチェックの実施、こういった改善を図ったところであります。今後とも発注者の立場として低入札価格調査制度のメリットを生かしながら適正に運用し、極端な安値受注を排除する一方で、優良な県内業者の受注機会の拡大を図ってその育成に努めてまいりたいと考えております。

〇水上信宏委員長 委員の皆さんに申し上げます。定足数を確保するため離席されないよう御協力願います。よろしくお願いします。

〇小野寺好委員 高齢者及び障害者に優しい住まいづくりの推進でありますが、公営住宅については先ほども触れたとおりでありますが、民間個人住宅では近年、ミニエレベーター、ミニエスカレーターなどが設置されておりますが、かなりの費用がかかっております。こうした個人宅の設置事業費に対し、どの程度の補助が可能かお伺いいたします。
 時間が余ったときのために二つあと用意したんですけれども、これで終わります。

〇高橋副知事 民間個人住宅へのミニエレベーター等の関係でございますが、県では、要支援及び要介護高齢者や3級以上の身体障害者の在宅での充実した生活を支援するということで、これらの世帯に対しましてトイレ、浴室等の改善、手すりの設置などの基本的な住宅改修に重点的に補助しておるところでございまして、残念ながらこのミニエレベーター、ミニエスカレーターは補助の対象外ということでございまして、現段階ではこれらを補助対象に含めることについては考えていないところでございます。
 なお、この現行の補助制度でございますが、これは補助基準額の上限が110万円ということでございまして、そのうち介護保険制度等からの給付が本人負担を除いて18万円、それから県、市町村の補助額がそれぞれ30万円ということで、最大で78万円の助成をしているという状況でございます。

〇阿部富雄委員 県においては行政情報化について、いわて情報ハイウェイを基盤とした県、市町村、学校のIT化を進めてきました。地方自治体の情報化に当たっての大きな課題は、行政におけるネットワークの推進を図ることです。中央各省庁のLANを相互に結ぶ霞が関WANが平成9年1月に開始し、平成13年には都道府県及び政令都市を結ぶネットワークが整備されました。平成15年度までには全国3、300の自治体を結ぶ総合行政ネットワークの整備が予定され、霞が関WANとの接続も計画されるなど、地方自治体と国が一つの行政情報の共有化環境としての行政基盤の整備が図られようとしています。市町村においては、個人情報保護の立場から他のオンラインとの接続を禁止しているところもあります。懸念される個人情報保護を担保し、総合行政ネットワークとの整合をどう図っていくのかお聞きします。
 市町村の電子自治体の促進は、財政的、人的負担が大きく、独自に電子自治体を構築することは困難であるとする自治体にはどのような支援を行っていくのかお聞きします。
 電子県庁の推進には、行政文書の電子化が不可欠です。特に行政文書目録を最新の内容に維持できる環境にすることが求められますが、電子化に当たっては、過去の文書を含め、どのような範囲まで行うのか。
 また、電子文書は改ざん、偽造など行われやすいものと思われますが、原本性の確保はどのように行われるのかお聞きします。
 電子自治体を構築する上で重要なことは、組織認証と個人認証基盤の構築です。認証機関はどういう形で立ち上げるのか、本人確認はどのような方法により行おうとしているのかお聞きします。

〇飛澤地域振興部長 行政の情報化についてのお尋ねでございまして、まず1点目、総合行政ネットワークとの整合性をどう担保するかということでございますが、総合行政ネットワークは、国あるいは地方公共団体を相互に接続いたしまして、電子文書をやりとりするということでございますので、行政専用のネットワークでございますので、セキュリティー対策に万全を期していきたいと、そのように思っております。
 他のオンラインとの整合性というお話でございましたけれども、総合行政ネットワークを経由して外部から個人情報等を扱う市町村のシステムにアクセスできないよう、市町村と行政ネットワークとの接続点に不正侵入を防止するシステム、いわゆるファイアウォールを整備することにしたいと、そう思っております。
 また、県内におきましても、個人情報保護の観点から、条例によりまして他のオンラインとの接続を禁止している市町村もございますので、条例改正等、所要の措置を講じるように、市町村と協議をしながら理解を得てまいりたいと、そのように考えております。
 それから、電子自治体の促進に向けた支援ということでございましたが、先ほども質問がございましたけれども、できるだけ財政的な負担を軽減化しようということで考えてございまして、市町村のシステムの共同開発、共同管理と、そういったことができるような方向で、現在、市町村と協議を進めているところでございます。
 それから、行政の情報化に当たって、その文書を含めどのような範囲までやるかと、それから原本性の確保をどうするかと、行政文書の扱いについての御質問でございますが、電子県庁を実現するためには、総合的な行政文書管理システムの開発が不可欠であるということでございまして、今年度そのための基本設計を行っておりまして、来年度以降の開発に向けて検討を進めている段階でございます。
 電子化を行う範囲ということでございますが、文書そのものにつきましては、原則として本システムの運用開始後に発生したものを対象といたしまして、保存期間が1年以上のものすべてを対象にしたいと。目録につきましても、その範囲で電子化をするということを考えてございます。
 また、過去の文書につきましては、保存しております文書の量が膨大であるということもございますので、文書そのものを電子化することは費用対効果の面から適当ではないと、そういうことでございますけれども、目録につきましては、電子化されれば検索システムを用いることが可能でございますので、県民の利便性の向上あるいは行政事務の効率化の観点から、その方向で検討していきたいと、そう考えております。
 それから、原本性の確保ということでございますけれども、行政文書管理システムの開発に当たりましては、岩手県情報セキュリティポリシーに基づきまして、一つは、電子文書の保存・管理について責任及び権限を明確にするということ、あるいはアクセスを監視し記録して改変履歴を残すといったような、アクセス管理を適切に行うといったことを検討しておりまして、いろんな工夫をいたしまして原本性を確保していきたいと、そのように考えているところでございます。
 それから、4点目の組織認証とか本人確認の、個人認証の問題でございますが、電子認証、行政手続のオンラインによる申請、届出等に対しましては、通信の相手が本人であること、あるいは通信内容が改ざんされていないことを認証する電子認証基盤が構築される必要がございます。
 組織認証でございますが、本県におきましては認証局の運営等に係る諸規程を整備いたしまして、昨年の7月に岩手県の認証局を設置したところでございまして、今後は県の各組織における組織認証業務の必要性を検討しながら、公印に相当するICカードを順次追加していきたいと、そう思っております。
 それから、公的個人認証の問題でございますが、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律が昨年の12月に公布されまして、2年以内に公的個人認証サービスが開始されるということでございますが、詳細につきましては、現在、国において検討中でございまして、来年度、15年度中には国の全国での実用試験を行う予定と伺っております。
 県といたしましては、今後、国からの公的個人認証サービスの詳細の提示を受けまして、適切に対応してまいりたいと、そう考えてございます。

〇阿部富雄委員 次に、循環型社会の創造における13年度の施策の評価では、良好な大気環境の保全の分野以外の分野ではおくれており、特にゼロエミッション型社会の構築の分野では、ごみの自家焼却が16年4月から条例で規制されることから自粛される傾向にあり、県民1人当たりのごみの排出量が増加しています。条例規制を控え、一層の分別推進や分別の細分化などにより、リサイクル率を高めごみの量を減らすなど、適切な対応が望まれるところですが、どのような事業を実施していこうとされているのかお聞きします。
 また、川や海におけるきれいな水域の割合、すぐれた水指標や地下水の環境基準達成率、到達度、改善度とも大きく後退しています。平成14年4月1日に施行された生活環境保全条例では、生活排水対策の推進、土壌及び地下水汚染の防止に関する規制を規定していますが、どのように展開していくのかお聞きします。

〇高橋副知事 まず、ごみの減量化のための対応でございますが、そのためには、まず第一に大事なのは減量化のための啓発でございます。そういうことで、県ではこれまでも買い物袋持参運動、それからごみの減量化・リサイクルについての啓発紙を全世帯に配布するなどいたしまして、意識啓発を図ってきたところでございます。
 それから、次に大事なのが資源ごみの回収の促進等でございまして、これにつきましては、例えば大手スーパーに分別ボックスを設置いたします資源ごみ改修拠点事業とかそれから町内会、子供会による集団回収の普及促進を図ってまいりますとともに、容器包装リサイクル法による分別収集品目の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、現在、市町村と共同でごみの減量化・リサイクルの推進のための研究会を設置しておりまして、この中でごみの減量化等のための施策を検討しているわけでございますが、この研究会で、市町村のごみ処理量の約4割を占めます事業系一般廃棄物の排出抑制対策なり流通・小売段階での対策が必要だと、そのような現状分析が示されたわけでございまして、この現状分析に基づきまして、平成15年度では、具体的にエコ事業所(仮称)認証制度とかエコ・ショップ(仮称)認証制度というものを設けまして、環境に配慮した活動への取り組みをさらに高めていきたいということも予定しているところでございます。
 それから、生活排水対策と土壌・地下水汚染対策の具体的な展開ということでございますが、生活排水対策につきましては市町村が中心となってやっているものでございます。県としては、まず新全県域汚水適正処理構想に基づいて各種汚水処理施設の整備の促進に努めますほか、この生活排水対策を所管する市町村を支援しながら、生活排水対策が一層推進されるように努めてまいりたいと、そのように考えおります。
 それから、条例の土壌・地下水汚染対策については平成14年度から施行いたしました。有害物質を取り扱う工場・事業場に対して毎年敷地内の土壌・地下水の測定、それから工場廃止に当たって敷地内土壌の測定を義務づけているところでございます。
 現在、条例に基づいて立入調査等を行って土壌・地下水の測定の履行確認を行いますとともに、廃止工場などの汚染の可能性の高い土地の周辺に関しては、地下水の常時監視の一環として重点的にモニタリングを行いまして、汚染の早期発見に努めているところでございます。
 また、土壌汚染対策法が本年の2月15日から施行になったわけでございますが、条例は汚染の未然防止、早期発見の観点での取り組みが主眼でございますが、これに対しまして、土壌汚染対策法は既に起こってしまった土壌汚染への対策が中心となってございます。この未然防止、早期発見の生活環境保全条例と汚染対策中心の土壌汚染対策法を組み合わせることによって、より効果的に汚染対策を講じることができると考えておりまして、今後とも汚染の早期発見、早期対策に向けて監視指導等に努めてまいる考えでございます。

〇阿部富雄委員 次に、全農岩手県本部は、14年度の花卉販売額目標50億円、出荷量は切り花で前年実績比108%の1億50万本、鉢花で同106%の390万鉢とする花卉事業推進方針、出荷販売計画策定のもと取り組まれてきました。
 そこでお聞きしますが、本年度実績はどう見込まれるのでしょうか。また、県は花卉生産についてどのような振興策をもって臨まれているのかお聞きします。
 花卉の中でも、本県産リンドウは、作付面積、生産量とも全国1位で、生産量の全国シェアは65%を占めています。リンドウ産地として成熟期を迎えているものの、多くの課題を抱えおり、再構築を図る必要があります。全国の産地との競争や生産量が飛躍的に伸びたことによる単価の低下、県内産地間の出荷時期競合による価格の低下、病害の発生も多く見受けられるようになってきました。消費者ニーズにこたえる品種の提供、需要期に供給できる品種など新たな品種の開発や、県内産地のリレー出荷体制、有利販売体制のための市場への分荷調整が求められていますが、これらにどう対応されていくのかお聞きします。
 病害対策については、県内試験機関でも取り組まれていますが、その実用化のめどはどうなっているのか、今後の研究はどう進められていくのかお聞きします。

〇高橋副知事 花卉振興でございますが、平成14年度の系統の取り扱い実績の見込みでは、過去最高の昨年度に続きまして100万ケースを達成して、販売額は過去最高の48億円となる見込みでございます。
 それから、花卉の生産振興対策でございますが、花卉につきましては需要の伸びが見込まれるわけでございますので、生産を一層拡大して農業所得の確保を図るということが重要でございます。このために、本県の夏期冷涼な気象条件を生かしながら、基幹となるリンドウのほかに小菊、それからトルコギキョウ、ユリなどの生産を拡大いたしまして、多様な消費者ニーズに対応する多品目花卉産地の形成を図ってまいる考えでございます。
 具体的に申し上げますと、県オリジナル品種の開発を行いますとともに、種苗生産体制の強化によりまして優良種苗の安定供給に努めるほかに、省力化のための定植機、防除機等の導入なり、また、周年生産のための簡易ビニールハウス、高規格ハウスの整備等について支援をしてまいる考えでございます。
 それから、リンドウについてでございますが、品種開発と種苗供給体制につきましては、これまで県オリジナルの12品種を開発いたしまして、その普及拡大によりまして日本一の産地が形成されてきたところでございます。現在、これらの品種に加えまして、ピンク系の品種や7月の盆前に開花する極わせ品種の開発に取り組んでおりまして、多様な消費者ニーズにこたえ得る産地の確立を図ることとしております。
 また、種苗の供給体制につきましては、近年の夏期高温の気象条件下におきましても、優良な種苗がより安定的に供給できるように、県農業研究センターに温度や湿度を制御できる施設を整備するなどいたしまして、これを強化してまいる考えでございます。
 それから、リンドウの流通・販売関係につきましては、本県のリンドウは北海道から沖縄まで、全国市場に出荷されておりまして、責任産地としての役割を果たすことが求められているわけでございます。このために、品種の組み合わせや施設化による作期の拡大を図りますとともに、関係団体の連携のもとに、一層の生産拡大によって出荷ロットを確保して、全県域での分荷調整機能を強めながら、各市場へ長期安定供給を進めてまいる考えでございます。
 それから病害対策でございますが、リンドウの主要病害といたしましては、花腐菌核病とか褐斑病などがあるわけでございまして、これらにつきましては、農研センターにおきまして防除時期とか効果の高い薬剤の選定などの防除技術を確立して、生産現場の防除に活用されてございます。
 今後でございますが、数年前から県南部を中心に葉が枯れる新しい病害として黒斑病の発生が増加しておるわけでございまして、この黒斑病の発生生態の解明と防除技術の確立に取り組むこととしております。また、茎や葉にこぶができるこぶ症につきましては、これまで実施してきました病害試験に加えまして、東北農業研究センターの協力を得ながら、栽培管理面、土壌肥料面なども含めた総合的な観点から、その原因究明に取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、病害防除につきましては、産地にとって大変生産性を大きく左右する重要な課題でございますので、できるだけ早期に防除技術を確立するように取り組んでまいる考えでございます。

〇阿部富雄委員 平成14年の県内の企業倒産は126件、うち建設業が49件で、建設業の占める割合が高くなっています。県内の建設工事等の官民発注割合は、国土交通省建設統計月報によると13年は公共事業が66.5%となっており、公共事業に依存していることが伺えます。また、本県における公共事業の推移を見ると、国の経済対策が始まる直前の平成3年度最終予算額は1、659億円となっており、その後、公共事業に依存した経済対策のため事業費は大幅に増額され、平成10年度のピーク時には3、187億円と、平成3年度に比較して2倍近くまで達し、まさに公共事業バブルとも言える状況でありました。その後は減少傾向となり、平成14年度最終予算額は2、036億円、ピーク時であった平成10年度の63.9%の水準、平成15年度当初予算は骨格予算ですが1、495億円、46.9%と半分以下の水準になっています。
 一方、建設業者の許可件数は、平成13年度は5、067社、8万7、399人が就業しており、県内従業員総数73万2、000人余の約12%となっています。
 建設業の特徴は、倒産企業が発生すると、その従業員等により複数の業者が参入するという状況にあります。今後、公共事業の抑制が見込まれる状況にあって、こうした公共事業依存型の建設業のあり方、建設業を取り巻く状況をどのようにとらえているのかお聞きします。
 国においても、建設業の再編促進策などが取り組まれていますが、本県の建設業をどのように方向づけていくのか、あわせてお聞きします。

〇高橋副知事 建設業を取り巻く状況は、御指摘のように本県の建設投資は減少傾向にあるわけでございまして、中でも民間投資の減少が著しいわけでございまして、それを公共投資が支えてきたという面があるわけでございますが、その肝心の公共事業も、厳しい財政状況の中で減少しているということでございます。したがって、そういう中で投資額と業者数のバランスが崩れてきておるわけでございまして、建設業を取り巻く環境は大変大きく変化しているわけでございます。そういう中で、建設業は新たな競争が生まれているわけでございまして、そういう競争の中で、時代の変化それから時代の要請に的確に対応できる企業経営をそれぞれの企業が真摯に、真剣に取り組んでいくことが、今まさに求められているのではないかと認識しているわけでございます。
 このような建設業を取り巻く厳しい環境の変化を踏まえまして、国においては、大手ゼネコンの再編促進策に引き続きまして、地方の中小建設業のあり方について、今年度より検討を始めたところでございます。県では、企業を適正に評価できる入札参加資格の見直し、入札制度の改善、不良不適格業者の排除など、技術と経営にすぐれた企業が伸びることのできる環境づくりを進めてきたところでございますが、今後はこのような時代の変化、要請に本県建設業が的確に対応できるように、企業連携、新分野・新市場開拓など、経営基盤強化に向けた取り組みが必要であろうと、そのように考えております。
 県としても、国の中小建設業のあり方の検討を注視しながら、本県建設業の振興についての具体的なプログラム策定に向けて建設業界と意見交換を行うなど、本県建設業の振興が図られるように努めてまいる考えでございます。

〇阿部富雄委員 平泉文化の世界遺産登録関連事業については、平泉町と県がそれぞれ担当区分をし、取り組みが行われています。
 世界文化遺産登録指導委員会は、世界遺産の中核地域、コアゾーンの候補地として、猫間が淵と金鶏山付近、約14ヘクタールの追加史跡指定が必要とする案を示しました。追加指定に係る14ヘクタールの土地については、どの部分を公有化するか未定であるため、取得に要する金額は現時点で不明ですが、現行の補助率で公有化する場合、町負担分として10%が求められることになります。平泉町は、厳しい財政状況が続く中で、世界遺産登録に向けた関連事業の推進に苦慮しています。
 本県の史跡の公有化の補助については、国8割、県1割、市町村1割という負担となっていますが、史跡公有化事業に関する他県の補助状況を見ると、財政基盤が弱い、地元の負担が大きいことなどを理由に、三重県は明和町の斎宮史跡等の公有化に15%補助、福岡県は太宰府市の太宰府史跡等の公有化に16%を補助している事例もあります。他県の事例のように、県の負担分をふやし、財政援助をすべきと考えますが、対応方についてお聞きします。
 平泉町では、世界遺産推進室を設置し、登録関連事業の推進や資料収集、申請に必要な事務などに取り組んでいます。世界遺産登録関連事務を迅速かつ確実に行うため、県に職員の派遣を要請していますが、これの対応についてお聞きいたします。

〇高橋副知事 史跡の公有化につきましては、原則として整備に必要な範囲について行うこととしておりまして、平泉町に対して10%のかさ上げ補助を実施しているわけでございますが、委員御指摘のとおり、他県では10%を超えるかさ上げ補助を実施しているところもございますが、県では柳之御所遺跡の公有化につきまして20%を負担しておりまして、ほかの市町村との均衡なり県の財政状況を考えると、平泉町へのかさ上げ補助率を上げるということは困難だと、そのように考えております。
 なお、平泉の文化遺産の世界遺産登録は、県としても大きな課題としてとらえておりますので、国、県の関係機関との連絡調整なり周辺遺跡の調査等、今後とも本登録に向けて積極的に支援してまいりたいと考えております。
 それから、職員派遣要請の対応でございますが、平泉町から県教委に派遣要請がございまして、現在、県教委では派遣をする方向で前向きに検討していると、そのように聞いております。

〇阿部富雄委員 最後になりますけれども、県立磐井病院及び南光病院の移転新築事業については、本年1月に建築概要が示され早期完成を願うものです。建設場所決定により、問題も指摘されているところでございます。建設地は、一関駅や市街地から遠く離れていることから、通院の足確保が心配されています。
 そこで、新病院移転に伴い、重要な交通手段になると思われる路線バスの運行や病院構内でのバスの駐車スペース、さらには、バス会社が病院付近に営業所の移転を希望した場合、利用者の利便が向上するよう支援が必要と考えますが、今後、バス会社とどのように協議を進め、通院の足の確保をどのように図っていくのかお聞きいたします。
 また、建設地は標高55メートルに位置し、周辺は人家も張りつくことができない地形となっています。一般的には、開発に伴い新たな市街地の形成や地域の整備が図られるものですが、そのようなことを受け付けない地形で、薬局など、病院に関連する施設を建設する土地も確保できないなど、不満も寄せられています。病院敷地内に個別の薬局を入居させることは難しいにしても、薬をもらう患者さんのためには、薬剤師会との協議を進めて、処方から調剤までの流れを円滑にし、待ち時間を短縮するなど、利用者の利便性の向上を図っていくことが必要と考えますが、どのような対応を考えておられるのかお聞きします。

〇高橋副知事 まず、通院の足の確保対策でございますが、新しい病院への通院手段の確保のために、現在、設計作業の中でバス停留所の設置、それからバス、タクシーの十分な待機場所の確保等を考慮しながら、検討を進めている段階でございます。
 新病院の路線バスの乗り入れにつきましては、既に関係バス会社と協議の場を持って、路線の新設なり変更を検討したいとの前向きの意向がバス会社の方から示されているということでございまして、今後においても、バスの乗り入れや路線の変更等に必要な条件整備につきまして、バス会社や一関市とも十分連携を図りながらできる限り対応をしてまいりたいと、そのように考えております。
 また、薬局の関係でございますが、利用者の利便性の確保ということでございますが、この病院の施設内なり敷地内に個別の薬局を入れるということは、委員御案内のように禁止されているところでございます。新病院におきましては、地域の薬剤師会との連携を図りまして、薬剤師会が病院の中にカウンターを設けまして、そして薬をもらう必要のある外来患者さんに対して、調剤薬局の紹介なり処方せんを調剤薬局にファクス送信する、そういうサービスの充実を図る等をいたしまして、利用者が不便を来たすことのないように考えていきたいと、そのように進めているところでございます。

〇吉田昭彦委員 大分時間が経過しておりますので申しわけございませんが、1点だけ簡潔にお伺いしたいと思います。
 御案内のように、きょう3月3日、70年前のきょうが三陸大津波があった日でございます。また、けさほどは、震度4あるいは3ということで大きな地震があったわけでありますが、そういうことを前提にいたしまして、1点お伺いいたしたいと思います。
当局では、地震津波防災対策検討委員会で平成13年度それから14年度、2カ年にわたって検討されたわけでありますが、その経過を踏まえまして、どのように新年度で対処されようとしているかお伺いしたいわけですが、予算書を見ますと、骨格であるがゆえに予算措置はされていないのかと思ったわけでありますが、しかし、先ほど来副知事の説明にもあったように、緊急性のものは当初予算で措置したということでありますが、この津波防災対策、まさに沿岸部にとっては緊急を要することではないかと。
 皆さんもおわかりかと思いますが、国の地震津波調査研究推進本部では、今後20年以内に81%の確率、あるいは30年以内には98%の確率で、宮城県沖の地震が発生するという予測をされております。そういうことからして、この津波防災対策については大変緊急を要することではないかと思うわけでありますが、新年度の予算措置についてどのような考え方をされておるか、お伺いしたいと思います。

〇小原総務部長 津波避難対策検討委員会の検討結果を踏まえて予算の対応ということでございますが、この検討委員会、13年の9月に設置以来、昨年の10月まで延べ5回開催いたしまして、今後の津波避難対策の基本的な方向について検討してまいりました。
 昨年の12月の末に、会長である首藤県立大学教授から報告書を提出していただいたところでございます。この報告書では、ただいま委員の方からもお話があったとおり、今後30年以内の発生確率が98%ということで発表されている宮城県沖地震ですとか、70年前の昭和三陸津波地震のこういった地震津波について、現在の防波堤などの構造物による土地状況の変化、これらのシミュレーションも含めて、加味して、津波浸水予測図を県の方で作成して、そしてそれをもとに市町村ないしは地域が、ハザードマップも含めた津波避難計画を作成するということが一つあります。
 それから、この市町村、地域が作成する津波避難計画については、県がそのもとになる指針を定めるということ、それから、各市町村が独自で設置しております津波の観測機器、例えば波高計ですとか監視カメラですとか、そういったものをネットワーク化して、データの共有化を図るべきだということが提言の柱になっております。
 県といたしましては、こういった津波防災対策の推進、防災対策の中でも今お話のとおり緊急性も含めて最重点課題だと、最重点の施策の一つだと考えておりまして、6月補正予算において検討委員会からの提言の早期具体化、これに向けた取り組みについて予算化を検討してまいりたいということでございます。

〇吉田昭彦委員 前向きに検討され予算措置をというお答えがありましたので、これで終わりたいと思いますが、ぜひとも緊急性、優先度を考えられまして予算措置をされるように、改めてお願いを申し上げて質問を終わります。

〇水上信宏委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇水上信宏委員長 質疑がないようでありますので、これで総括説明に対する質疑を終わります。
 副知事ほか執行部の皆様、御苦労さまでした。
 なお、あした以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時52分 散 会


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