平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第2号から第8号、第10号から第13号に反対の討論を行います。
 これらの議案は、人事委員会の勧告に基づく過去最大の県職員の給与の引き下げを行おうとするものであり、増田知事が招いた県財政の危機的状況を理由としたさらなる給与の引き下げを行おうとするものであります。
 反対する第1の理由は、今回の人事委員会の勧告に基づく給与の引き下げが5年連続で、しかも過去最大のものとなっていることであります。月例給では2年連続でマイナス1.9%、期末・勤勉手当は5年連続でマイナス0.25カ月分、平均年収ではマイナス3.1%の19万5、000円の減収を強いるものとなっています。総額では51億円の減収であります。この5年間の減収額は40歳の係長、配偶者と子供2人で、給与削減分を含めて61万5、000円にも及びます。県職員全体では137億円であります。これは耐えがたい痛みというべきものであります。
 第2に、こうした給与の引き下げを4月にさかのぼって実施しようとしていることであります。これは、不利益は遡及しないという法理を無視したものであります。県職員の給与は県条例によって定められています。人事委員会の勧告でも、本年の給与改定は公務員の給与水準を引き下げる改定であるため、公布日の属する月の初日から施行することとし、遡及することなく施行すると述べていたものであります。これは12月1日から施行するということであります。ところが、人事委員会も県も、調整の名のもとに4月からさかのぼって給与の引き下げを実施しようとしていることは、全く論理的に通らないことであります。これでは、4月からの給与は仮払いということになり、条例で定められた給与の支給という原則にも反することになります。
 第3に、5年連続になる県職員の給与の引き下げは、公務員労働者の労働基本権を制約し、その代償措置として設置された人事委員会の役割を否定するものとなっていることであります。このことは、ILO国際労働機関も代償措置が適切に機能しているという、日本政府の主張を却下していることにも示されています。
 第4に、ことしの春期賃上げの状況は、県労政能力開発課の調査でも、昨年比平均賃金で1.17%、354円の賃上げとなっています。加重平均では1.22%、7、824円の賃上げであります。また、盛岡市の物価は上昇しており、標準生活費も昨年と比べ4人世帯で5万7、680円上昇しています。こうした中で、なぜ過去最大の引き下げとなるのか。調査の仕方に問題があるのではないかと思います。もっと実態に合った調査をすべきであります。
 第5に、5年連続の給与引き下げのもとで、県財政の危機的状況を理由にさらに県職員に15カ月に及ぶ給与の引き下げを求めることは、県職員の生活を守る上でも人事委員会制度を守る上でも、二重の問題をはらむものであります。給料の減額措置は、係長級で3カ月で2万円、15カ月では10万円の削減となり、全体では6億円の削減であります。
 そもそも、県財政の危機的状況は、県の行財政構造改革プログラムにおいても、財政見通しの甘さ、身の丈を越えた社会資本整備、コスト意識の欠如と指摘しているように、2期8年間で県の借金を倍加させた知事自身に責任のあることであります。改善するべきは、最大のむだと浪費である大型開発、公共事業にこそメスを入れるべきであります。670億円の簗川ダムや202億円の津付ダム、318億円に膨れ上がった花巻空港整備事業、420億円の大船渡港湾整備事業などのむだにはメスを入れるどころか、さらにむだを重ねて、その犠牲を県職員に押しつけることは絶対にやってはならないことであります。知事こそ5、000万円に及ぶ高額の退職金にメスを入れるなど、みずから責任ある態度を示すべきであります。
 第6に、今回の県職員の給与引き下げによるマイナスの地域経済への波及効果は105億9、000万円を超えるものであります。5年連続引き下げの経済波及効果は265億9、500万円、市町村職員を含めるなら386億円となるものであります。また、こうした公務員賃金の引き下げは民間の賃金引き下げの理由とされ、賃金引き下げの悪循環を引き起こしています。県公務共闘会議の試算によれば、県職員に準拠する労働者を含めると賃金の引き下げは143億円に及び、年金受給者への影響を含めると46万県民に約230億円の被害、影響が出ると指摘しています。結局経済の6割を占める消費の後退を招き、地域経済を一層困難な状況に追い込むものであります。不況のときこそ公務員の賃金はその防波堤の役割を果たすべきであります。
 以上、申し述べ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第2号から議案第8号まで及び議案第10号から議案第13号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第2号から議案第8号まで及び議案第10号から議案第13号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 これより議案第1号及び議案第9号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第1号及び議案第9号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、50人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、12月1日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第14号から議案第28号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表その2のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表(その2)
(第5回県議会定例会 平成15年11月28日)
総務委員会
1 議案第14号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
2 議案第15号
3 議案第16号
4 議案第17号
5 議案第18号
6 議案第19号
7 議案第21号
8 議案第27号
9 議案第28号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 第5款
環境福祉委員会
1 議案第14号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第4款
2 議案第22号
3 議案第24号
4 議案第26号
商工文教委員会
1 議案第20号中
   別表第4の改正関係
2 議案第23号
農林水産委員会
1 議案第14号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
   第2条
2 議案第28号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
県土整備委員会
1 議案第20号中
   他の委員会付託分以外
2 議案第25号
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後8時2分 散 会


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