平成15年12月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇7番(平野ユキ子君) 民主・県民会議の平野ユキ子です。
 今期初めて県民の皆様方のおかげで当選させていただき、また、民主・県民会議の諸先輩の御配慮により、今定例会で一般質問の機会を与えられましたことに、まず御礼申し上げます。
 では、通告に従って順次質問させていただきます。
 先月、10月7日、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会は、学習指導要領の改訂を求める答申を河村建夫文科相に提出しました。この答申によれば、教える内容を制限している歯どめ規定の見直しを求め、さらに指導要領をすべての児童生徒が学ぶべき最低基準と明確に位置づけているのです。このことは、ゆとり教育が見直され、事実上、学力重視へと方針転換したことを示すものであり、学力低下を懸念する保護者の声や識者の意見に後押しされた形と言えます。現場の声に押されて来春からの実施に間に合うよう、現行の指導要領の部分改訂に踏み切らざるを得なくなったのが実情と見受けられます。この方向転換は歓迎すべきとは存じますが、施行以来、2年足らずでゆとり教育から学力重視へと方向転換することへの現場の先生方の戸惑いは、いかばかりであろうかと同情を禁じ得ません。この改訂について、県の見解並びに対応はどのようにするのかお聞かせください。
 80年代半ばまでは、世界で最も勉強する子供たちだった日本の子供が、ゆとり教育が言われ始めた90年あたりから、世界で最も勉強しないグループに入るという調査結果が次々と明らかになりました。分数のできない大学生、そして学力崩壊が叫ばれ、保護者たちの間でも不安が広がったのです。その力が文科省を動かしたとも言えるでしょう。
 学校週5日制の実施により授業時間数が減り、不安を感じる親たちが子供たちを塾に通わせるなど、ゆとりの教育のために経済的ゆとりをなくするという、笑えない実情も起きているのです。しかし、都会はさておき、岩手の多くの郡部では、塾に通うゆとりもないどころが、塾さえないのが実情です。現在、こうした実情を踏まえ、地方から優秀な人材を輩出するために、地方における学校教育の充実が急務となっています。
 文科省の指導要領に忠実に従っておりますと今回のような混乱を招き、何よりも地方教育の充実は望めません。そこで、岩手県は独自の学習指導要領を策定してはいかがでしょうか。すべて横並びの中央主導型の教育では、岩手に合わない部分もあります。地方自治の確立が叫ばれる今、教育の分野でも自治を確立し、学力全国ナンバーワンを目標に、レベルの高い独自の学習指導要領を策定していただきたいものです。岩手に来れば最高の教育が受けられると知れ渡れば、黙っていても全国から人がやってきます。医師が来ないなどの人材不足の悩みもたちまち解消することでしょう。あるいは、文科省の指導要領に従わなければならない理由があるのでしょうか、お聞かせください。
 さて、県では平成14年度から学習定着度調査を実施しております。この調査は、すべての生徒が身につけていなければならない基礎・基本の定着度をはかるためのものです。全員が100%定着しているはずの基礎学力が小学生で75%、中学生は65%、そして正答率が80%の子供の割合は、小学生は45.5%、中学生では何と24%という低さです。基礎学力でさえこの低さです。平成14年度の大学入試センター試験での岩手の受験生の平均は、全国下から2番。ここ10数年、こういう状態を保ち、全国のワーストワンを争っている状態です。現場で受験指導をなさる先生方は、年々学力の下がる生徒たちの指導に大変な思いをしております。岩手の学力を上げることは、今急務です。
 さて、確実に学力を上げるためには、客観的検証をするための学力テストの実施が必要です。前回の議会で教育長は、学習定着度調査について、これは競争をあおるものではないとの釈明をなさっておられました。しかし、競争のどこがいけないのでしょう。スポーツでも記録を伸ばすのに競争をするのではありませんか。正しい競争は個々の能力を伸ばし、研さんするもとになります。かつて点取り競争がもたらした弊害を恐れる余り、今は逆の弊害が出ています。生徒のやる気がなくなっているのです。かつて弊害をもたらした経験があるなら、それを生かして失敗しないようにするのが進歩ではないでしょうか。生徒のためには、競争させるべきだと考えられます。もともと学問とは楽しいものなのです。知識がふえるのは楽しいことです。楽しいとわかれば、生徒は黙っていても勉強します。そして本来、競争とは他者とするものではなく、結局自分とするものです。これは指導の仕方の問題と思います。この点について、教育長の御所見をお伺いいたします。
 また、学力向上というと、えてして英、国、数、理、社の主要5教科のみを重点科目に考えがちですが、本当の学力は、それ以外のスポーツなどの体育、音楽、書道、美術、そして技術家庭などの教養科目の連携なくしては生まれてきません。殊に、これらの教養科目は、人が生涯かかわる教養としての豊かな心を養うものです。これに道徳など徳育をプラスして、初めて本当の教育が成り立ちます。これらを本当に育てるためには、学校のみではなく、親を初めとする地域の住民との連携・協力体制が必要です。そこで開かれた学校が必要になってくるのです。
 教育長を初め、教育委員会の皆様は、開かれた学校づくりのため、御尽力を惜しまず、民間人の校長採用や中高一貫教育の導入等、さまざまな改革へと御努力なされていると拝察いたします。しかし、大切なのは、これらの改革が小手先に終わらぬようにすることです。真に開かれた学校づくりを目指して地域ぐるみで子供たちを教育していくためには、親や地域の声がすぐ反映されるように、各現場に権限委譲がなされることが必要です。よいリーダーを持った企業はよい成績を上げます。よきリーダーとして現場での意見を取捨選択し、即決反映させてよい成績を上げられるように、校長に権限を委譲することが必要であり大切なのです。
 さらに、確実な業績を上げるためには、短期間で転勤をしないようにしていただきたいと思います。二、三年、ひどいときは1年で校長が転勤してしまうという今のシステムでは、改革や学力向上は望めません。少なくとも、五、六年はその現場にとどまり、結果を出していただくようにお願いいたします。そして、効果があったか、結果を見るための客観的な検証として学力テストが必要なのです。教育委員会は、各現場に客観的検証に基づいた学力向上のため、その他のための指導をお願いいたします。
 教育委員会は、現場で何かあったとき、決して管理するのではなく、堂々とすべてを明らかにして是は是、非は非として判断し、現場を支えていく姿勢が必要ではないかと存じます。
 県の教育委員会は、国の指導下より独立して自治を確立し、岩手独自の高い学習指導要領に基づいた教育目標を掲げ、その手法は各現場に任せる、そして支え指導していく。このようにして岩手の学力向上を目指していただきたく提言いたします。
 以上の点、教育長の御所見をお伺いいたします。
 学力ナンバーワンというはっきりとした目標を掲げるのは、あいまいさがなく取り組みやすい目標です。そして実はこれは岩手の教育の目指す創造力にあふれ、独創的で生きる力を子供たちにはぐくむ教育につながります。学校本来の仕事は、次世代に知識を伝えることです。文科省は、子供の創造力が大切というが、創造力と思いつきとは違う。既存の知識の組み合わせを抜本的に変える能力が創造力なのです。古今東西の天才は、皆、膨大な知識を蓄えた上で仕事をしている。慶大の榊原英資教授はこのように述べて、学力を上げることの大切さを説いています。何も知識がないところには、何の考えも生まれてきません。多くの知識があって、初めて独創的な発想が可能になるのです。いわゆる温故知新ということでしょう。この点について教育長の見解をお伺いいたします。
 岩手は、古来、多くの偉人を輩出してきました。これらの人材をはぐくんだのは教育であるということは言うまでもありません。資源に乏しい日本がここまで豊かになれたのは、ひとえに人材の育成に励んだこれまでの日本の教育のおかげであります。今こそ、学校とは学問をする場であるという基本に立ち返らなければならないと思いますが、以上の点について知事の見解をお聞かせください。
 また、先ほど徳育に関して触れましたが、今岩手の子供たちのみならず、日本の子供たちに欠けているものとして、国を愛する心をはぐくむ教育を挙げたいと思います。近ごろは、修学旅行や研修旅行などで学生が海外に行く機会がふえております。ところが、日本の子供たちは、自分が日本人であるという自覚と誇りを持つように教育されていないことを感じます。これは外国では考えられないことです。これからの国際社会に巣立っていく子供たちのため、日本人としての自覚と誇りを持ち、自国の歴史に正しい認識を持ち、日本のよき文化や伝統にすがすがしい誇りを持つよう指導することが大切です。
 私の経験によれば、こうした指導をすると、それまで投げやりな感じの生徒も見違えるようにやる気が出てくるという、うれしい効果があらわれます。日本がすばらしい国であると知り、自覚と誇りを持つと生徒たちの目の輝きが違ってきて、自信にあふれてくるのです。日本人としての自覚と誇り、そして自国を愛する心をはぐくむ教育は、失われた日本人の心を取り戻すため、今、国民全体から求められています。
 一番最近の内閣府の世論調査、平成14年の12月に行われたものですが、75.5%の人が国を愛する心をはぐくむ教育は必要であると感じていることがわかりました。これは、そうは思わないとする人12.1%、よくわからない12.4%をはるかに上回る結果であり、多くの人が感じていることを物語っています。日本に生まれてよかった、日本という国を誇りに思うがゆえに、日本人として世界に貢献できるように頑張りたい。このような心を育てることが大切です。本当に自国を愛することのできる人は、他国をも大切にできる。これが正しい国を愛する心です。正しい愛国心は、人をそして国をよくするものです。真の国際人となるには、日本の民俗と歴史を、伝統をしっかり身につけ、正しい日本語をよく学ぶことが必要ではないでしょうか。母国語である日本語も正しく使えずには正しい外国語が身につくわけがなく、たとえ外国語を上手に話せたとしても、日本人としてのアイデンティティーを抹殺したのでは、国際社会ではよい働きはできません。
 郷土の誇る偉人新渡戸稲造は、当時の日本人としては珍しいほど豊かな国際性を身につけました。しかし、みずからをはぐくんだ祖国日本の歴史や文化に対する愛と誇りを失いはしませんでした。むしろ、海外の異なった文化との出会いを通じて日本を見直すとき、日本のよきものを洞察できたと言えるでしょう。
 以下は、新渡戸稲造博士の言葉です。
 国や人が国際化あるいは国際人になるということは、愛国心の延長上にある。自国への愛国心を持たない者は、相手の人も国についても正しく理解ができず、外国人との間に健全な国際関係は成り立ち得ない。
 新渡戸稲造博士の言葉にある愛国心の延長上にある国際人たり得るための教育を青少年に施すことが、今、徳育の一環として求められていると思います。この点について、知事の見解と方針を伺います。
 また、学力のみならず個性を伸ばすための教育としては、少人数学級指導が大切ですが、少人数学級への取り組みについては、一昨日の及川幸郎議員の一般質問に際して知事より前向きの答弁をいただいておりますので、割愛させていただきます。
 次に、中心市街地活性化問題の一環としての県立図書館の後利用について質問させていただきます。
 今、県では、現在の県立図書館を盛岡駅西口に建設中の(仮称)駅西館へ全面移転して、岩手県図書情報総合センターとして県の一大総合情報基地にするため、着々と進めているところです。
 さて、移転した後の旧県立図書館、(仮称)内丸館の後利用についてですが、県の計画によりますと、公文書館にする予定で既に平成19年度までの計画に組み込まれていると伺いました。
 そこでお尋ねいたします。
 まず、そもそも公文書館とはどのような機能を持った施設でしょうか。都市公園である岩手公園内にある施設利用として、公文書館が望ましいと決めた理由とは何でしょうか。
 次に、公文書館としての利用用途が提案されるまでの経緯について伺います。
 計画策定に際して、事前に盛岡市及び商工会議所、商店街連合会などの地域の関係諸団体並びに地域住民に対するアンケートや聞き取り調査は実施されたのでしょうか。実施された場合はその内容についてもお尋ねいたします。
 私が独自で行った聞き取り調査では、ほとんどの地域住民はこの計画について知りませんでした。また、聞いたすべての人が公文書館の設置に反対でした。県立図書館のあるところは盛岡でも一等地です。まちの中心にあり、周囲を川と緑に囲まれたまさに憩いの場であり、肴町、大通そして材木町など盛岡の中心商店街にも近く、歩いて盛岡の各名所に行けるよい場所です。川沿いに沿っての散歩や不来方城の城跡である岩手公園の散策もできます。旧鉈屋町の南部杜氏の造り酒屋の並ぶ伝統的な通りから八幡通り、紺屋町、本町、寺町通り、伝統ある旧市街が続き、歩いて観光できる利便性を持ったところです。この川を挟む中心市街地は、盛岡の知的で文化的なイメージに合った歴史と文化を感じさせるところであり、盛岡市もこの点を重点的にとらえ、歩いて楽しめるまちづくり、これを中心市街地活性化事業の基本コンセプトにして、民間とともにまちづくりを進めているところです。
 折しも、国土交通省が北上川を歴史的な物流の交流軸ととらえ、地域の歴史、文化などの特色を生かした交流拠点となる構想・水辺プラザを打ち出し、河川整備を進めているところですが、盛岡市がその構想に連携して中津川流域の中の橋近辺、プラザ・おでってまで拡大して、歩いて楽しめるまちづくりを進めている状況です。その間近にある県立図書館は、後利用を考えるとき、この水辺プラザ整備事業との連携を図り、県民本意の施設として考えなければならないと思います。さらに、県都としての盛岡の機能を考えますとき、中心地にある県立図書館の後利用は、広く市民、県民、そして観光客のための憩いの場となるよう、もっと多くの人が利用できるような公益性と還元性のある施設づくりが望ましいと思いますがいかがでしょうか、見解をお伺いいたします。
 公文書館にしてしまいますと、あのあたりは人の流れがなくなり、デッドスペースになってしまいます。もっと楽しい盛岡の知的で文化的なイメージに合った施設にして、多くの人が訪れ交流できるようにすれば、あのあたりの中心市街地及び商店街への人の流れが多くなるでしょう。イオン盛岡ショッピングセンターの開業により、中心市街地の状況が厳しさを増している今、県都盛岡にふさわしい町中観光産業づくりを進め、雇用の創出を図らなければならない。盛岡市及び盛岡市民で、このようにともに進めているところでもあります。町中の一等地にある県立図書館の後利用につきまして、このような状況を考慮しますとき、建物を残しての利用用途が前提となっているのか、建物を壊しての別途利用の可能性はあるのかどうかについても、あわせてお尋ねいたします。
 県も市も、予算が逼迫している昨今、なかなか新規事業に取り組むのは難しい面もありますが、逆の発想で収益事業として取り組むことも不可能ではありません。立地条件のよさがそれを可能にします。
 以上の観点より、県立図書館の後利用については、県都盛岡市の中心市街地活性化の点から、もっと集客力のある施設づくりを目指すべきであります。広く市民、県民の声を聞いて利用用途を再検討していただきたいと存じます。関係部局の御所見を伺い、特段の御配慮を願います。
 次に、農業の問題についてお尋ねいたします。
 新食糧法の展開、輸入作物による国内農産物の価格低迷、労働力の高齢化による担い手不足など、近年の農業情勢は多くの諸問題を抱えております。また、天候に左右される農業は、ことしのような冷夏において著しくその生産性を下げ、農家にとって死活問題になります。こうした不安定な状況の中、農業の質的転換や改革が求められております。
 このような状況にかんがみ、新しい農業への試みとして、地域の起爆剤になるような収益性と付加価値の高い農業経営に取り組んでいる農業経営者がおります。大型施設による養液トマト栽培への取り組みがその一つであります。紫波にあるこのガラス温室では、コンピューターによる温度、湿度、そして炭酸ガスなどの完全管理のため、天候に左右されないので、販売価格の高くなる冬でも変わらず収穫でき、また、農法は栄養液栽培でガラス温室内の作業のため、高齢者や身障者でもできる軽い農作業であり、その点、地域の雇用にも貢献しています。これと水稲を組み合わせた複合経営の展開により、安定した農業経営を図ることができます。天候に左右されない新しい21世紀の農業として、明るく楽しく働き、地域に貢献できる農業を目指し、農業を魅力あるものに変革する試みとして注目に値すると思われます。こうした未来型農業への取り組みについて、県の積極的な支援をお願いしたく存じますが、農林水産部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、岩手、青森両県境にまたがる国内最大と言われる産業廃棄物不法投棄現場の処理状況についてお尋ねいたします。
 小池百合子環境相は10月21日の閣議後の記者会見で、青森、岩手両県境で発生した国内最大規模の産業廃棄物不法投棄問題で、環境基準以下の産廃撤去は国庫補助の対象にしない考えを明らかにしました。県内に不法投棄された産廃のうち、環境基準を下回る産廃は全体の約1割に当たる2万9、000トンで、処理費用は約19億円に上ると見られます。突然のこの発表に県民はひとしく憂慮したと存じますが、環境生活部長や室長を初めとする産廃不法投棄緊急対策室の皆様が、国に対して一歩も引かぬ構えを示したことに心強く感じているところです。その毅然とした応対に環境省はまさに朝令暮改、1日で大臣発言を事実上修正し、22日に、基準以下でも崩落や悪臭などの補助要件となる支障やおそれのある場合は補助対象とするとの見解を示し、一歩譲った形となりました。しかし、今後の対応としても煩雑なさらなる手続が必要となっており、憂慮にたえないところです。
 県がこのたび発表いたしました40の政策の中でも、二つの緊急課題の一つに取り上げられており、県としても緊急かつ重要課題に位置づけております。一昨日来の新聞報道等によりますと、本県にキャッピングの先行着手が認められ、施工業者も決まり、いよいよ11月中の着手を目指すという状況で、県民としては愁眉を開く思いでおります。しかし、予算的にも行財政改革の折から憂慮すべきものと思われます。これまでの関係諸氏の御苦労を慰労するとともに、今後の見通しと県の対応について環境生活部長の御所見を伺います。
 最後に、県立中央病院の診療待ち時間について伺います。
 さきの9月定例議会の医療局決算特別委員会におきまして質問させていただきました件でございます。
 県立中央病院の診療待ち時間が異常に長く、患者にとっては苦痛になっていることを指摘いたしまして改善を要望いたしました。特にも、予約制度という待ち時間を少なくするための制度を取り入れたにもかかわらず、もとに戻った状態で、相変わらず改善されないという状態です。これは医療局の体質的な問題があるのではという趣旨で質問したのですが、その後早速ミーティングを開き、改善について話し合いがあったと伺いました。この点、医療局の素早い対応に心から感謝いたします。しかし、問題は改善されたかどうかです。その後の聞き取り調査では、どうも余り改善されている様子がないのですが、いかがでしょうか。
 すぐにもとに戻るというのは、やはり体質的な問題があるのではないでしょうか。県立病院の赤字決算につきましても、昨日も一般質問の中で取り上げられておりました。累積赤字をため続けるという病院経営のあり方が、このように患者を無視した姿勢に反映されるのではないかと感じられます。県民の立場に立った経営をお願いしたいものです。決算特別委員会でも申し上げましたように、これはすぐにでも改善できることと存じますがどうでしょうか、再度お尋ねいたします。
 次の点をお聞きいたします。
 予約の取り方ですが、どのような取り方をしているのでしょうか。あらかじめどういう患者が来るかわかっているのですから、1人当たりの患者にかかる時間はわかるので予約というものが成り立つと思いますが、いかがでしょうか。この点お答えいただき、引き続き待ち時間の改善を求めます。
 当選いたしましてから、県当局の御配慮や会派の皆様方のおかげで、県内をあちこち視察しながら、改めて岩手県の広さを感じるとともに、現場で働く皆様方の一生懸命励む様子に触れてまいりました。岩手はやはり人材の宝庫です。こうした現場の方々の御努力が県政に生かされ、岩手の未来が明るいものであることを信じて、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平野ユキ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 教育問題について二つお尋ねがございます。
 まず、本県の教育についての私の基本的な認識を申し上げますが、この岩手県におきましては、人づくりを大切にしてきた土壌が今日までしっかりと受け継がれていると考えております。自然環境の厳しさ、それから時代の逆境、地域の貧しさに耐えながらも、そうした中で先人の皆さん方が人づくりということを大切にしてきた。そして、さらには、地域の教育力、総体としての地域という意味でございますが、そうした岩手という地域の持つ教育力が多くのすぐれた人材を育ててきたと考えております。
 その中で、学校教育の役割でございますが、本県の児童生徒を創造性に富んだ多彩なそして多様な人材に育てていく上で、学校教育というのはその基礎づくりを担うわけでございますので、大変重要であると。学校においては、児童生徒一人一人に社会生活を営む上で必要な基礎・基本を確実に身につけさせるとともに、個々の多様な才能さらには創造力を伸ばしていくことが大きな役割であると考えておりますので、この学校教育の果たす役割というのは、大変大きなものがあると考えております。
 今、この学校教育の現状を見ますと、各学校におきましては、習熟度別の指導や小学校における教科担任制など、その実態に応じて特色ある教育活動を展開してきているということで、それぞれの教育現場で努力はされていると思っておりますが、学習定着度状況調査は、今年度分はまだ今集計中でございますので、昨年度分の結果が明らかになっているその結果などを見ましても、必ずしも満足できる結果になっていないということはございます。こうしたことから、この学校教育のさらなる充実を図る必要があると考えております。この各論については後ほど教育長からいろいろ話があると思いますけれども、やはり私から見ましても、こうした学習定着度状況調査の結果などを重く受けとめていく必要があると考えております。
 今後の取り組みでございますが、40の政策の中でも新しい時代を担う人づくり教育先進県というものを重点施策の中に掲げているわけでございますが、例えば小学校での少人数指導を充実すると。昨日、30人学級を求める関係の皆様方が来られました。この少人数指導あるいは少人数学級を含めた少人数教育というものを充実させていく必要があるだろうと思いますし、それから中高一貫教育、これもいろいろなタイプで今推進をしていこうということをやっておるわけでございますが、こうした中高一貫教育を推進するといったようなこと、そのほかいろいろな取り組みが必要だと思いますけれども、そうしたことを取り入れて、この新しい時代を切り開く、心豊かでたくましい人づくりに、これからしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 それから、もう一つのお尋ねは、国を愛する心をはぐくむ教育についてということで、新渡戸稲造博士の考え方なども引用されて今、議員のお考えをお話しになられたわけでございますが、今日、政治・経済・地球環境など実に多くの分野におきまして、国際的な連携や国家間の相互の依存が一層拡大するなど、いわゆるグローバル化というものが急速に進展をしているわけでございます。こうした中で、やはり岩手県民一人一人、こうした地域にある我々一人一人も大きな国際社会の一員であるということを強く自覚をして、そしてあらゆる文化や歴史風土を持つ人々とともにこの地球の中で生きているという意識の醸成が強く求められていると考えております。共生というこの考え方を我々一人一人が常に意識をしていく必要があろうかと思います。
 この意識の醸成を図るためには、やはり異なる文化や歴史を持つ他の国や地域についてよく学び、その人々の心を理解するということが大切であり、このことについて今、議員が御指摘になったと思っております。これをさらに一層深めていくためには、何よりも我が国の、あるいは我が地域の歴史や先達の残してくれた芸術、文学、民話など、そうした貴重な財産を学び、これらを大事にする心を培って、やはり日本人としての誇り、国や郷土を愛する心情をはぐくむことが重要である。そのためにも学校教育の果たす役割が大変大きいし、また重要であると、このようにも思うものでございます。
 そこで、こうした心、国や郷土を愛する心情、心というものをはぐくむことによって、初めて国や地域の多様な文化や伝統をより一層理解し、これを尊重する姿勢の形成につながっていくと思いますので、そうした学校教育の場において、こうした子供、児童生徒の心情をはぐくむことに意を注いでいきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 県立図書館の後利用についてのお尋ねがございました。
 まず、公文書館の機能、そして現図書館への設置理由でございますけれども、公文書館は公文書館法という法律に基づきまして、一定期間が過ぎた歴史的史料としての公文書を保存・公開し、県民に郷土あるいは県政への理解を深めてもらうこと。公文書等の散逸、消滅を防止いたしまして、調査研究、データベース化を促進する。企画展、研修会等の開催あるいは市町村との公文書収集利用におけます連携を図る。情報公開の一層の推進を図るため、行政文書等の適切な管理を行う。こんなようなことを目的といたしまして、国及び地方公共団体が設置するということとされているものでありまして、現在、全国28の都道府県で設置をしているものでございます。
 現図書館に公文書館を設置するという理由につきましては、図書情報総合センター駅西館、新しいところに開館されました後も現図書館で継続して展示される郷土資料というのがございます。これは図書約1万点、あるいは歴史風土関係のジオラマ、こういったものでございますが、そういう郷土資料等との連携によりまして、より豊富な情報提供サービスが可能となること。そして、公文書館を新たに設置する場合に比べまして、類似施設をリニューアルするということで経費がかなり節約できるということ。そして、公文書館は多くの人が利用する公共的な施設でありますので、高齢者等の利用も考えまして、交通アクセスにすぐれた場所であるというようなこと。このような点を考慮いたしまして、現図書館への活用ということを決めたわけでございます。
 その提案されるまでの経緯あるいはアンケート等の実施についてでありますけれども、昭和63年に公文書館法が制定されまして、歴史史料としての公文書を適切に管理する公文書館の重要性が広く認識されたわけでありまして、平成9年度でございますが、県におきまして、県民の生涯学習に対するニーズの多様化、情報技術の急速な進展に対応して設置されます今回の岩手県図書情報総合センターでありますが、これに文書資料部門として公文書館の設置を計画したところでございます。
 それを受けまして、平成11年8月に岩手県総合計画を策定いたしましたが、その岩手県総合計画に岩手県図書情報総合センターの文書資料部門といたしまして、公文書館の設置を位置づけたところでございます。翌月――9月でございますが、機能の類似性と施設の効率化の観点から、県立図書館や公文書館などを統合して整備をいたします岩手県図書情報総合センター整備基本構想を策定いたしまして、翌年――12年1月でございますが、この文書資料部門――公文書館機能でございますが、この設置場所といたしまして県立図書館の後の利用を想定いたしました、岩手県図書情報総合センター整備基本計画というものを策定したところでございます。
 この図書情報総合センター整備基本計画の策定に当たりまして、県内市町村図書館と視聴覚障害者団体へのアンケート調査を実施したところであります。行政資料の積極的な収集を希望する意見、あるいは県内の古文書解読講座の実施を要望するような意見が提出されております。
 図書館後の公益的な利用及び現在の建物の存続というお尋ねでございます。
 現図書館でございますが、これは新たに開設されます駅西館とあわせまして、岩手県図書情報総合センター内丸館として整備をするものであります。これは、先ほど申し上げましたが、公文書館の機能のほかに、郷土資料の展示、新聞・雑誌等の閲覧スペース、あるいはマルチメディアブースなどの設置を予定しているものでありまして、歴史史料の研究者だけではなく市民、県民の憩いの場として利用するというものも想定しているものでございます。
 建物につきましては、現在の計画では、県立図書館は建設後30年余りを経ているものでありますが、今後の利用も可能ではございますので、建物を残し、必要な改修を行った上で利用するという計画になっているものでございます。ただし、現在、行財政構造改革プログラムを策定したところでございますけれども、大規模施設整備事業等の見直しもその中で行っておりまして、公文書館――文書資料部門でございますが、この整備につきましては凍結をする方向で検討しているものでございます。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 新しい農業の展開という観点から、ガラス温室による養液栽培のような、災害にも強いいわゆる未来型農業への県の支援についてでありますが、冷害等の気象災害を受けやすい本県におきましては、園芸など施設型の農業は極めて有効であると考えております。現に本県におきましては、昭和55年の大冷害を契機といたしまして、ビニールハウスなどによる施設園芸が定着し、本年の冷害におきましても、雨よけホウレンソウなどは平年並みの生産を上げる成果が得られているところであります。また、本県が園芸産地として、夏秋期に加えまして冬春期の野菜等を供給し、農家所得を向上させていくためにも、さらにこういった施設園芸を普及させていく必要があると考えております。
 お尋ねにありました、大型で自動環境制御などの高度な施設を備えた施設での栽培は、異常気象にも左右されることなく、品質のそろったものを周年・安定的に生産できるほか、省力的で快適な作業環境が確保できるなど、すぐれた栽培法であると考えております。しかし、こうした大型の施設は、多額の初期投資が必要であること、それから本県のような積雪寒冷地においては、冬期間の暖房経費が割高となることなどの課題もありますが、県といたしましては、このような先進的な施設園芸に意欲的に取り組む方々が安定した経営が確立できますように、計画策定の段階から、作目選択や栽培法、販路の確保対策などについて総合的に指導助言しながら、積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 青森県境の産業廃棄物不法投棄現場の処理状況についてでございますけれども、不法投棄をされました廃棄物を早期に全量撤去することとしておりまして、10月17日に県の実施計画案を国に提出いたしまして、早期同意を求めてきたところでございます。現在、国におきまして実施計画案の審査を行っているところでございますけれども、10月31日付で、当面緊急を要する汚染拡散防止のための表面遮水、いわゆるキャッピング工事につきましては直ちに着工して差し支えないという通知をいただきましたので、これを受けまして、入札等所定の手続を経た上で、最も汚染拡散のおそれが強いエリア、約2.4ヘクタールでございますが、この分のキャッピング工事に本日着手したところでございます。この部分につきましては年内に工事が完了なるように努めてまいりたいと考えております。
 実施計画案全体についてでございますけれども、これにつきまして遅くとも年内には国の同意をいただけるようにということで、国に対していろいろ要望、説明しているところでございます。本県では、廃棄物の全量撤去、撤去した全量を補助対象にしてほしいということで国に求めておるわけでございますけれども、環境省の事務当局の中には、必ずしも全量撤去を必要としないというような意向を示す向きも一部にございまして、今後あるいはまだ曲折もあるかもしれませんけれども、いずれ本県が提出いたしました実施計画案のとおり、年内に国の同意をいただけますように、さらに要望、説明を重ねてまいりたいと考えてございます。国の同意が得られましたならば、廃棄物等の撤去に向けた事業に着手をいたしまして、特別措置法の時限立法であります平成24年度までには全部の撤去を完了させるということを目指しているものでございます。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立中央病院の診療待ち時間についてでありますが、県立中央病院では23の診療科すべてで予約診療を実施いたしております。このうち脳神経外科など14診療科では30分刻みに4人から9人、また、診察前に尿検査を要する泌尿器科など三つの診療科におきましては、1時間刻みに9人ないし13人の患者数をあらかじめ予約枠と決めておきまして、診察の終了後、患者さんが次回の診察日、時間を調整して予約する仕組みとなってございます。また、皮膚科など六つの診療科では、診療日のみの予約を受け付けることといたしております。
 しかしながら、予約を受け付けるに当たりまして、予約枠が既に満杯となった場合でも、一定期間後の治療の経過観察が必要な患者さんの予約を入れるといったようなこと、あるいは患者さんで仕事の都合等で特定の日時を強く希望され、それに配慮する結果、予定枠を超えて受け付ける場合がございます。そういう実態にございます。また、予約なしで来院される患者さん、これは全体の20%ぐらいでございますが、予約率が80%ぐらいでございます。これらの患者さんにつきましては、予約者の合間を見て随時診察を行うといったようなこと、あるいは医師の側の都合でございますが、朝の病棟回診等により外来診療開始時間がおくれる場合がございます。また、救急患者さんへの対応あるいは病棟での重症入院者の処置等で外来診療を中断するといったようなこと、これらが診察時間がおくれ患者さんに御迷惑をおかけする原因となってございます。
 このような状況を改善するため、中央病院では院内で何度か改善策を検討し、一つとして、すべての医師が9時開始の診察時間を厳守すること。また、一部の患者数の多い診療科、消化器外科、耳鼻咽喉科など5科ですが、9時前からの診察を11月1日から開始、15分ほど早めまして実施いたしております。さらに、救急患者さんの診察や重症入院患者さんの処置等で外来診療の開始がおくれる、あるいは診療を中断するといったような場合には、その都度、口頭で事情をしっかりと御説明申し上げるといったような改善に取り組むことといたしたところでございます。
 しかしながら、これらの改善策のみではやはりまだ不十分とも考えられますことから、今後の対応といたしまして、現在、コンピューターによる予約システムを導入いたしておりますが、これは受付係が予約を受け付けるというシステムでございますが、これを改善し医師自身が予約を受け付けるといったようなことで、過剰な予約をできるだけ少なくする。あるいは今後改めて待ち時間の実態の調査、そして評価を行いまして、各それぞれの診療科ごとに、きめ細かく改善策を講じるよう努めてまいりたいと考えてございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 学習指導要領の改訂の方向についてでありますが、本年10月の中央教育審議会答申におきましては、生きる力を知の側面からとらえた確かな学力をはぐくむため、新学習指導要領に示されている共通に指導するべき基礎的・基本的な内容を確実に定着させること、各学校における創意工夫を生かした特色ある取り組みを充実させることが提案され、議論のありました学習指導要領の基準性の一層の明確化、すなわち学習指導要領が最低基準であることを明確にしたこと、総合的な学習の時間の一層の充実、個に応じた指導の一層の充実などが提言されたところであります。今回の答申によりまして、これまでの考え方が再確認されたもの、明確にしたものと受けとめております。県教育委員会におきましては、子供たちに基礎・基本を徹底し、生きる力をはぐくむという新学習指導要領のねらいの一層の実現を引き続き図ってまいりたいと考えております。
 次に、岩手県独自の学習指導要領の策定についてでありますが、学習指導要領は、学校教育について一定の水準を確保するため、つまり全国どこにおきましても同水準の教育を受けることのできる機会を国民に保障するために、法令に基づいて学校教育を、あるいは学校教育法の施行規則等に基づきまして国が定めた教育課程の基準であり、法規としての性質を有するものであります。各学校の教育課程の編成及び実施に当たりましては、これによるものとされているわけでございます。しかしながら、学習指導要領では、教科等の目標や内容等は基本的な事項にとどめられておりまして、学校や教師の創意工夫を加えた学習指導が十分に展開できるようになっております。各学校におきましては、すべての子供たちに指導が十分に展開できるようになっている。各学校におきましてそのようにしているわけであります。個性を生かす教育を充実する観点から、子供たちの実態に応じ、学習指導要領に示されていない内容を加えて指導を行うことも、また求められているものであります。
 次に、学校裁量の拡大、学校運営の自主性の確保、それと学力向上の関係でございますが、各学校におきましては、学校裁量の拡大が行われ、それに伴い学校長の自主的な判断と責任のもとに、リーダーシップを発揮し、その実態に応じ、子供たちに確かな学力を身につけさせるとともに、そしてそのために個に応じたきめ細かな指導を実施し、あわせて創意工夫を生かした取り組みなど特色のある学校づくりを推進しているところであります。その推進に当たりましては、各学校が自己点検・自己評価を通じて、その成果の検証を不断に行い、教育課程や指導方法を改善していくことが不可欠であると考えております。しかしながら、現状においては必ずしもこのことが十分とは言い切れない部分もあるわけでございまして、そのことから県教育委員会におきましては、学力の向上、これを今年度の重点事項として位置づけまして、学力向上に向け学習定着度状況調査などの事業で構成している学力向上プロジェクトを総合的に推進し、また、これらを進める上での留意点や各教科における指導の要点を具体的に示した岩手県独自の学校教育指導指針を定め、確かな学力の定着を目指して各学校が行う取り組みを支援しているところでございます。
 次に、学校におけるテストについてであります。このことにつきましては、子供たちが直面する課題を乗り越え、生涯にわたり主体的に生きていく上で、互いに刺激し合ったり切磋琢磨したりして学習することは、自分を磨き、そして自分を高め、また、新しい自分を発見することにつながります。教育上大変有効な手段であると考えております。しかし、一方では各学校で行われているテストの目的は、その時点での子供たちの学習状況を的確に把握し、その後の指導の改善に生かしていくことであり、単に点数や順位のみの比較ということではなくして、テストを専ら過度の競争の道具としてだけ使用すべきものではないと考えております。
 本県が実施している学習定着度状況調査は、各学校において、子供のつまずきを的確に把握し、その後の指導の改善につなげることにより、子供たち一人一人に基礎・基本を確実に身につけさせ、学力向上に資するとともに、子供たちの学習状況について県民に説明することをねらいとして実施するものであり、競争を促したり比較したりするためのものではないと考えているところでございます。
 学力を上げることの大切さにつきましては、変化が激しく将来を見通すことが大変難しい今日の社会におきましては、未来を切り開く担い手である子供たちを、心豊かで個性と創造性に富み、実行力のある人材に育てるためには、子供たちに基礎・基本をしっかりと身につけさせ、みずから学び、みずから考える力をはぐくんでいくこと、これは言いかえればまさに確かな学力の育成でありますが、このことが大変重要であると考えております。
 県教育委員会におきましては、そのため、先ほど申し上げた学力向上プロジェクトを総合的に今現在、推し進め取り組んでいるところであります。

〇7番(平野ユキ子君) 県立図書館の後利用について、多分皆さんもお聞き取りになれなかったのではないかと思いますが、余りにも早くて、音声も何を言っているのかちょっとわからなかったのでありますけれども、もうちょっときちっと明瞭に、意図はないとは存じますが、余りよく聞き取れなかったということを一言お伝えしておきます。
 公文書館が多くの人が利用する施設としてとおっしゃっておりましたけれども、多くの人が利用する……、特定の人しか利用しないのではないかと思うのですが、県民のたくさんの人が利用する施設としての公文書館というとらえ方は、多分だれもしないかと思います。
 そして、今の御答弁をお聞きしまして、県立図書館の後利用につきまして知事にお聞きいたします。
 県都盛岡の発展、特にも中心市街地の活性化という点をかんがみまして、もっと集客力のある施設づくりを目指すべきであると思いますが、広く県民の声、市民の声を聞きまして、盛岡の県都としてのふさわしい文化的、公益的な事業のための施設としてなるように御要望、お願いします。昨日、一般質問の際に商工労働観光部長より、盛岡と連携を図り……、これは何も県立図書館跡地ということではなかったのですが、それにぴったりくるなと思いながら実はきのう聞いておりました。盛岡と連携を図って観光をかんがみた施設などに取り組むという、よい答えがございましたので、そういったこともあわせまして、もう一度公益性のある建物に後利用を考えていただくように、知事の見解をお伺いいたします。
 国を愛する心をはぐくむ教育の必要性について知事の答弁をいただき、これを受けて教育長は具体的にどのような教育方針、先ほど知事が日本人としての誇り、国や郷土を愛する心情をはぐくむ、国を愛する心をはぐくむ教育として学校教育の果たす役割が大切であるという一言がございました。これを受けて教育長はどのような具体的な方針をおとりになられますでしょうか。あるいはこれまでにも取り組んできたものがございましたらお聞かせください。

〇知事(増田寛也君) 図書館の跡地利用の関係について申し上げますが、総務部長の答弁が少し早口過ぎたようなんですが、もう一度、ここの部分だけ確認しておきますが、今の県立図書館の後利用ということで、公文書館の機能はそこに入れるというふうに決めたのは平成12年1月、これは図書情報総合センターの整備基本計画というところで、初めて設置場所も今の図書館の後利用ということで場所を落としたわけであります。このときは、具体的には県民あるいは市民の皆さん方に直接的な意見を聞くという形にはしておりません。まだ、パブリックコメントのような制度ができていない時期でございましたということと、それから、今、整備をしている西口の図書館の方の基本計画の策定ということで、県内の各地域の市町村図書館の関係者ですとか、視聴覚障害者団体にはアンケート調査を実施したんですが、それ以外の皆さん方には特にアンケート調査等はしなかったので、私どもの方であそこの後利用としてちょうど公文書館の整備が一方で必要だということがございましたので、それであの場所に決めたということでございます。
 今、いろいろ議員の方からもお話がございましたが、私思いますに、大規模施設になりますので、この行財政構造改革プログラム期間中は、この公文書館の整備については実は凍結をする方向で今、中で考えております。先ほど総務部長が言いましたように、いろいろな施設の見直し、重点化で、その整備については当面緊急性をかんがみて凍結をしたいと思っていますので、そういたしますと、今の時点で何があそこの跡にいいのかといえば、先ほどの計画だけしか私ども持っていないものですから、現時点では公文書館をつくるのが適当ということで考えておりますが、一方で間もなくあそこについては凍結をしようと考えておりますので、現図書館の利用については、今後やり方は少しこれから考えたいと思いますが、県民等の意見を聞くようなことをしたいと。その上で、今図書館を所管しているのは教育委員会でございますので、教育委員会とよく検討をしていきたいと考えています。

〇教育長(佐藤勝君) 国を愛する心の育成についてということで、具体的にはどのように進めているのかというお話がございましたが、先ほど知事から話が出ましたように、今後ますます強まるであろう国際的な連携であるとかあるいは国家間の相互の依存、これが深まれば深まるほど、その中にあって自分の国、日本を愛するあるいは自分たちの郷土を愛する、そういう心をはぐくんでいくことが大事ではないかということが言われましたが、学校教育におきましても、児童生徒の発達段階に応じまして、いろいろな場を通じて我が国の国土や歴史に対する理解、愛情などをはぐくむことに努めているわけであります。
 具体的には、例えば小学校の社会科であるとかあるいは道徳などの時間におきまして、我が国の歴史や伝統を大切にし、そして国を愛する心情を育てるようにと、あるいは中学生ぐらいになりますと自国を愛し、その平和と繁栄を図ることが大切であることを自覚させるというようなことを現実の学科の中で、あるいは学校の生活の場の中でいろいろ取り入れて進めているところでありますが、各学校においてこれからにおきましても適切な指導がなされるように、国を愛する心情を育てることは大変大切であるということで指導をしていきたいと、こう考えております。

〇7番(平野ユキ子君) 具体的にというところにちょっと不満を感じないわけでもありませんが、国を愛する教育ということで、その方向で行くという姿勢を感じましたので、ありがとうございます。
 増田知事を初め、各部局の皆様方の誠意ある答弁に感謝申し上げます。そして県立図書館跡地に関しましては凍結という方向で見直すことも検討できるという、見直しもあり得るというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

〇知事(増田寛也君) この場でまだ見直しをすると申し上げられないので、先ほど言いましたように、今持っております計画の中でそういう形で位置づけていますので、今現在は公文書館ということですが、県民の意見を聞くという手続をその当時しておりませんでしたので、やり方はこれから考えますが、県民の皆さん方の御意見を広く伺った上でそのあり方を考えていきます。

〇議長(藤原良信君) 次に、嵯峨壱朗君。
   〔9番嵯峨壱朗君登壇〕(拍手)


前へ 次へ