令和6年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録 |
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〇20番(佐々木宣和君) 自由民主党の佐々木宣和です。
まず初めに、石川県能登地方での令和6年9月20日からの大雨による災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。繰り返し起きた災害に多くの方々が心を痛めています。一日も早く日常が取り戻されることを心からお祈りするものです。 それでは、一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。 まず、ことし8月の台風第5号と大雨による災害について伺います。 盛岡地方気象台によると、台風第5号と盛岡市を中心とした大雨で、久慈市下戸鎖481.5ミリメートル、盛岡市藪川231.5ミリメートルなどを観測し、県内5カ所で48時間降水量が過去最大となりました。 盛岡市では、8月27日の大雨で、1924年の観測開始以来最大の1時間降水量68ミリメートルを記録しました。毎年のように過去最大の降水量を記録するようになっています。 そして、農林水産関係や公共土木施設などの被害額は110億円余りに上り、国では、宮古市と岩泉町を局地激甚災害に指定する方針とのことです。 公共土木施設の災害復旧について、国庫補助対象以外の経費も生じるやに聞いていますが、県と市町村の被災箇所が隣接する場合は、市町村とともにどのように取り組んでいくのか伺います。 また、台風、豪雨災害によって繰り返し被害を受けている箇所もあることから、改良復旧が容易にできるようにするべきと考えますが、あわせて所見を伺います。 平成28年台風第10号や令和元年台風第19号による災害を経験した岩手県においては、これまで水位周知河川の指定拡大など、流域のあらゆる関係者が協働して行う流域治水の考え方のもと、ハード、ソフト両面から複合的な取り組みをしてきたと認識しています。 これまでの取り組みが、今回の台風第5号や、8月の大雨に対してどのような効果につながったのか、また、今後の課題等について伺います。 次に、道路整備について伺います。 8月27日の大雨災害による盛岡市藪川の国道455号の通行どめは15日間続きました。迂回路もありましたが、砂利道も含まれていたため敬遠する方も多く、また、タイヤがパンクしたという方もいました。そして、JRバスに関しても、14日間全便運休となり、病院に通われる方にも大きな影響がありました。 国道455号は、岩泉町、田野畑村、普代村の方々にとっては、県都盛岡市に通じるまさに命の道でありますが、本復旧に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。 国道455号のような主要路線が長期間通行どめになることはなるべく避けなければなりませんが、今回は、平成28年台風第10号災害の13日間よりも長い15日間の通行どめとなりました。道路を使う住民の方、市町村に、状況をよりしっかり伝える工夫が必要であると感じますが、所感を伺います。 次に、国道340号押角トンネル前後の道路改良について伺います。 今回の国道455号の不通を受けて、国道340号経由で盛岡市に向かう方も多くいました。また、令和元年台風第19号災害の際にも、迂回路として国道340号が使われました。これまで何度も質問を繰り返してきましたが、改めて、ことし4月に、起点から終点まで実延長213.5キロメートルを実際に車で走ってきました。陸前高田市の国道45号、気仙大橋西交差点が起点であり、そこから八戸市塩町の国道45号交差点まで9市町村を通ります。改めて、訴えている押角トンネル前後の約13キロメートル以外は、2車線が確保されていることを確認しました。 また、9市町村を走って気づいたことは、それぞれの地域でのバイパス化やトンネル化など、長年取り組んできた事業がつながり、広域での整備効果が発揮されている道路ということです。また、複数の路線が重なる道路でもあるので、災害時の多重性の確保にも極めて重要な路線です。 これだけ毎年のように台風、豪雨災害を受けている岩手県において、道路整備は県民の命を守る事業でもあると考えています。予算があるからできる、やれないではなく、ここまで整備したものはしっかりとつなげると聞きたいのですが、改めて、国道340号押角トンネル前後の未事業化区間約10キロメートル全体の整備方針について伺います。 次に、人口減少問題に関し、地方創生の取り組み10年について伺います。 本年は、地方創生の取り組みが本格的に始まって10年の節目です。ことし6月には、政府が検証報告書を出しました。地方への移住者の増加など一定の成果はあったが、人口減少や東京一極集中の流れを変えるには至らなかったと総括しています。 今後は、少子化対策や産業創出、自治体へのきめ細やかな支援に取り組むとともに、諸外国の少子化対策も参考に、国民と問題意識を共有していくとのことです。 都道府県の2040年の推計人口を、2013年時点の推計、2023年時点の推計の二つの推計を比較すると、47都道府県のうち、数字が改善した、増加もしくは減少が緩和したのは30都道府県で、岩手県を含む東北地方、四国地方、九州地方の17県で推計値が悪化しています。 県内に目を向けると、33市町村の中で、実に27市町村において推計値がより少なく、人口減少のスピードが加速しています。 改めて、この10年間の岩手県の人口減少対策について、その取り組みと成果をどう考えているのか、国と県で考えるべきこと、県と市町村で考えるべきことをどう整理して総括するのか伺います。 次に、幸福度について伺います。 先日、二戸市において地元の皆様からの意見を伺うタウンミーティングを自由民主党岩手県支部連合会の青年局で開催いたしました。県北・沿岸振興本部の基本方針について、今年度の取り組みを私から説明させていただき、参加者から御意見をいただきました。 産業技術短期大学校の設置に当たっては、就業先もセットで考えなければ効果が薄いことや、県立高校の建てかえ、また、ゾーンプロジェクトについては実効性が見えないなど、非常に厳しい意見をいただきました。 達増県政の政策の柱である幸福度、特に主観的な幸福度に関して、この県北・沿岸振興本部の資料では、県北地域、沿岸地域とも幸福と感じる割合が、達増県政の4期目が始まる直前、平成31年と比較して、いずれも上昇しているということを成果として書かれています。 しかし、令和5年においては、沿岸地域、県北地域とも幸福と感じる方の割合は下がり、令和3年は、市町村民所得も沿岸地域、県北地域で下がりました。幸福という切り口でソートをかけると、かえって政策の見直しなどに時間がかかるように思います。 改めて、幸福度を導入することによって、岩手県の政策は県民にとってどうよくなったのか説明いただきたいと思います。また、いわゆるプラチナ社会などについても県北地域の皆様に説明しましたが、全く理解が進んでいるようには思えませんでした。 10年間のいわて県民計画(2019〜2028)が始まり6年がたちますが、知事は、幸福度を初めとしてゾーンプロジェクトなどの考え方が県民に広まっているとお考えか、認識を伺います。また、そのために、認識や考え方が違う方に対して、接点を持って理解を促すように取り組まれているのか伺います。 次に、脱炭素社会の構築について伺います。 常任委員会等で県内の脱炭素先行地域に選ばれた宮古市、久慈市、紫波町の話を伺いました。それぞれ野心的な取り組みであり、自治体としての魅力向上、成長戦略としてカーボンニュートラルに取り組んでいるとの印象を受けます。また、岩泉町においては既にマイナスカーボンの状況にあり、基準年度の2013年度は107%削減、2030年度は150%削減、2050年度は200%削減を目指すとのことです。 また、先日、環境福祉委員会で宮城県の再生可能エネルギー地域共生促進税について話を伺いました。自治体が独自で設ける法定外普通税で、課税対象は、森林開発面積が0.5ヘクタールを超える太陽光や風力等の発電施設で、営業利益の20%程度に相当する額を徴収するというものです。ただし、課税による税収増を目指すものではなく、非課税の適地に再生可能エネルギー施設を誘導する目的とのことです。つまり、事業者は、地域と意思疎通を図り、合意や理解を得ることで非課税の認定を受ける形になります。震災後に太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー施設が急増し、景観や環境影響などを懸念する地域住民と事業者の対立が相次ぎ、制度化したと伺いました。 我が岩手県では、2030年までの10年間で県内の風力発電の電力量をおよそ4倍に引き上げる計画を出しています。その中で、ことし3月、陸上風力発電事業に係る環境影響評価ガイドラインが出され、いわゆるレッドゾーン、イエローゾーンが示されました。さきに触れたように、今後の成長戦略として再生可能エネルギー、風力発電等をより導入しようと考えている自治体にはどう映ったのか。また、事業予定地の一部がレッドゾーンにかかることが判明した事業者からは、県からイヌワシ対策を求められ負担が大きくなったとも聞いています。これでは、岩手県は再生可能エネルギーに後ろ向きと捉えられかねません。宮城県の条例が地元との合意という前提を確保しているのに比べ、岩手県の場合、強制力はありませんが、レッドゾーン等を地図上に示していることで事業可能性を狭めているのではないかと危惧します。 県は、レッドゾーン等を示した以上、市町村による地球温暖化対策推進法に基づく再エネ促進区域の設定を支援すべきとも考えますが、県の見解を伺います。 自然環境を生かす取り組みとして、先日、普代村から県へ、自然環境保育に取り組む施設への支援制度の創設について要望がありました。普代村では、令和2年度に移住者誘致施策による自然環境を生かした保育を村の持続可能な仕事モデルとして構築し、令和3年4月から、県内初となる森のようちえん、民間型認可外保育施設つちのこ保育園を開園しました。子育て環境の充実はもちろんですが、子育て世代の移住者誘致の促進と保育スタッフとしての地域おこし協力隊などの定住、定着に向けた就業先ともなっているとのことです。 豊かな自然環境を生かした地域の売りとなり得る取り組みであると考えますし、知事も、市町村要望において、長野県の取り組みを引き合いに出し触れておられましたが、県としてどう支援していくのか伺います。 また、岩手県では、いわて森のゼミナール事業などの森林、林業に関する理解を深める事業や小学校などでの水生生物調査の支援など環境学習に力を入れてきました。さきの森のようちえんを含め、小学校、中学校、その先まで環境学習を継続して行うことができるようになれば、そして、そこにSDGsや脱炭素とも連動させながら、最後は大学のような学術機関にまでつながれば、大きく地域をアピールできるものになるのではと期待しています。 さらに、県北地域においてそのような環境学習の循環の拠点ができれば、再生可能エネルギーの話ともあわせて、いわゆるプラチナ社会にも通じる話となると考えます。 以上のことから、年齢問わず生涯を通じて環境学習ができる環境をつくることが重要と考えますが、県の所感を伺います。 都市部から地方に一定期間移住し活性化に取り組む地域おこし協力隊が、岩手県内でふえています。私も、地元の行事などで活躍している方にお会いすることが多く、地元紙での特集記事の中で、ある方が、岩泉町は頑張れば夢をかなえられる場所とのコメントもありました。また、岩泉町では、協力隊の方同士での結婚によって、5人の新しい命が生まれたとのことです。 令和5年度の協力隊の活動人員は266名で、隊員の定住率は64.3%となっています。課題としては、任期終了後の定住率の向上、ミスマッチによる任期途中の退任などが挙げられています。 夢を持って、こんなことがやりたいと思って来ていただいた方々が、3年で御飯が食べられるようになるかというと、非常に難しい部分はあると私は感じています。そして、なれない地域での生活による負担もなるべく軽減するように、地元の方々とのコミュニケーションをとることにプラスして、協力隊のネットワークを強くすることも大事であると考えています。また、自治体によっては、募集するけれども、応募が来ないという課題もあります。 これだけ多くの方々が岩手県に夢を持って来ていただいているものを、つなげていくこと、北上市での半導体産業のクラスターをつくるように、地域おこし協力隊が、大学やNPOなど関係する方々としっかりとしたネットワークをつくり盛り上げていくことが重要と考えますが、県の所感を伺います。 次に、産後ケアについて伺います。 自由民主党会派の政策チームで、今年度、周産期医療体制調査検討プロジェクトチームを立ち上げました。これまで、県医師会、産婦人科医会等との懇談会、まんまるママいわてでの産後ケアに関する勉強会を行いました。意見交換の中では、岩手県の全ての妊婦が平等に産後ケアを受けられるように、県立病院でも産後ケアを受けられる体制を整備することについての話も出たところです。助産師の確保や適切な報酬体系の構築、県と市町村の役割分担など、サービス提供体制の整備が喫緊の課題となっています。 産後ケアは、虐待やメンタルヘルスの問題にも対応できるセーフティネットとしての役割も期待され、県内各地の実情に応じた対応が求められていますが、産後ケアの施設を今後どう整備していくのか、また、市町村との連携について県の考えを伺います。 いわてリハビリテーションサテライトの整備について伺います。 県は、ことし5月からリハビリテーションのあり方検討会を立ち上げ、現状課題を分析の上、関係機関と対応を検討しているものと承知しています。ことし2月に環境福祉委員会で雫石町のリハビリテーションセンターに伺いました。令和5年度の専門医の圏域別の配置を見ると、沿岸圏域には一人もいないことや療法士も少ないことなどを確認いたしました。 先日の宮古地域県立病院運営協議会でも発言がありましたし、具体的に宮古市の市町村要望にも入っています。検討会での検討状況について伺います。 次に、中小企業、小規模事業者振興について伺います。 岩手県では、大企業が0.2%、中小企業が13.9%、小規模事業者が85.9%を占めています。本県事業者は、東日本大震災津波やたび重なる台風災害、そしてコロナ禍といった多くの試練に直面してきました。 これらの困難を乗り越えるため、商工会や商工会議所などが各種施策の活用支援を展開してきたところです。特に、震災や災害からの復興支援に加え、現在は、物価上昇、人手不足など、ますます厳しくなる経営環境に対応するため、各種施策の推進が重要となっています。 事業者が各種施策を活用し事業継続や雇用確保を図ることは、人口減少社会での本県経済の維持においては重要だと考えます。さらに、各種施策を中小、小規模事業者に浸透させるには、事業者に身近な商工会、商工会議所の伴走支援が重要な役割を果たしており、特に、経営革新計画の認定数では、商工会の支援によって東北地域で最も高い実績を上げております。 一方、商工業小規模事業経営支援事業費補助において、人件費補助金の俸給単価は、経営指導員で東北平均の87.9%、経営支援員では73.8%にとどまり、職員1人当たりの補助も、他の東北各県と比べ格段に低い状況が続いています。 そのため、指導員等の給与水準の引き上げがままならず、既に小規模事業者支援に携わる人材の確保が困難になりつつあります。この状況が続きますと、中小、小規模企業に対する支援が滞り、本県経済を支える小規模事業者が、さらに厳しい状況に陥ることが懸念されます。 このため、商工業小規模事業経営支援事業費補助の増額が早急に必要と考えますが、県の所見を伺います。 〔副議長退席、議長着席〕 また、小規模企業振興基本法が成立し、成長発展のみならず、事業の持続的発展を原理原則として位置づけるようになり、商工会、商工会議所も大変な状況にあります。 地場産業を育てるために、今後、これら支援機関にどのような機能を求めるのか伺います。 ことし5月に東日本大震災津波復興特別委員会で、公益財団法人さんりく基金DMO事業部―三陸DMOセンターに伺いました。委員の方々からは、三陸DMOセンターの予算や広域での企画力、販売力などについての質疑がありました。 改めて、さんりく基金の体制を見ると、副知事をトップに役職者の大部分が県の兼務職員であり、三陸DMOセンターに関しては、盛岡駐在が観光・プロモーション室長以下5名となっており、実質的に宮古市にある三陸DMOセンター専任で動けるのは2名のみであります。評議員や理事及び監事に名立たる方々の名前が入っていますが、限られた人員で成果を出すのは非常に難しいと感じました。 今後、三陸の観光地域づくりを推進するためには、三陸DMOセンターの体制強化が必要と考えますが、県の所感を伺います。 また、ことし3月の予算特別委員会で、観光におけるデータ活用を県が旗振り役となって進めるとの答弁をいただいていますが、いわて観光DMP―いわて観光データマネジメントプラットフォームの活用状況と今後の取り組みについて伺います。 近年、本県のサケ、サンマなどの主要魚種の水揚げ量は激減し、大不漁と呼ばれる状況にあります。特にサケは、沿岸地域の経済を支える重要な水産資源であり、かつて、平成8年度には約7万トンの漁獲を記録しましたが、その後は2万トン台にまで減少、さらに、震災後は、海洋環境の変化などによると思われますが、減少を続け、令和5年度には、漁獲量はついに134トンと昭和38年以来、最低の大不漁となっています。 また、今期のサケ回帰予報を見ると昨年とほぼ同水準の漁獲量が予測されているなど、沿岸地域の基幹産業である水産業は苦境に立たされています。 一方、近年、これまでの岩手県では余り水揚げされなかった南方系の魚種がふえているとのことで、漁業者はもちろん、水産加工業者などの関係者においては、このような増加している魚種の有効利用に活路を見出すことも考えていく必要があると思います。 近年、県では、海洋環境の変化によりどのような魚種が漁獲されているのでしょうか。また、増加している魚種の有効利用に向けて、県としてどのように取り組むのか伺います。 森林、林業の振興について伺います。 ことしから森林環境税の課税が開始されます。個人住民税の均等割の枠組みを用いて1人年額1、000円が課税されます。森林環境譲与税は、森林経営管理制度を踏まえ、市町村による森林整備等に必要な地方財源の安定的確保のため、いわての森林づくり県民税は、公益的機能の維持増進及び持続的な発揮のために実施する森林環境保全に関する施策のために制度が設けられました。 県民負担は、森林環境譲与税が6億円程度、いわての森林づくり県民税が7億5、400万円、県、市町村の収入は、森林環境譲与税が19億100万円、いわての森林づくり県民税が市町村への徴収取扱費を除き7億2、100万円です。 私が強く訴えたいのは、森林環境譲与税の考え方です。いわての森林づくり県民税のスタート時に言われていたことでもありますが、森林の整備、公益的機能維持は日本国として取り組むべきであり、国民一人一人がひとしく負担をして、それをもって財源を森林面積で配分すること、つまりは、森林の持つ公益的機能の理解を共有することが重要であり、それは、すなわちローカル地域が都市部に貢献していることを理解してもらうことであります。 いわての森林づくり県民税は第4期終了後のあり方を検討しているとのことですが、森林環境譲与税といわての森林づくり県民税の両方を活用するなど、森林の公益的機能の維持増進等の取り組みをさらに面的に広げるべきと考えますが、県の見解を伺います。 県庁舎の木質化について伺います。 令和3年10月に公共建築物等木材利用促進法の改正がありました。脱炭素社会の実現に貢献するため、木材利用促進の対象を公共建築物から民間を含む建築物一般に拡大したものです。 また、県は、政策的議員提案条例として制定された岩手県県産木材等利用促進条例に呼応し、岩手県県産木材等利用促進基本計画及び行動計画を策定し、県の公共施設における県産木材の率先利用や普及啓発などの施策を推進しています。そして、公共建築物の木造率は、令和元年度、令和2年度と全国で岩手県が第1位でありました。雫石町のグランドセイコースタジオや田野畑村の道の駅たのはたなど、県内各地にはほれぼれする建築物があります。 さて、昨今、県庁舎のあり方の検討状況について、巨額の負担を伴うものであり慎重な議論がされています。新たな岩手県のシンボルにどのようなメッセージを込めるか、脱炭素に果敢に取り組む象徴的な建物をつくる、林業にかかわる方が誇りを持てるような建物をつくる、域内経済循環に資する建物をつくる、これらを踏まえて、100年先、この先の未来を見据え、県民が誇りを持てる建物をつくるべきであります。 そのために、どう準備をして組み上げればいいか、可能性を検討すべきであると考えますが、知事の考えを伺います。 三陸沿岸道路を基軸とした沿岸部の産業発展戦略の策定について伺います。 ことし7月末に自由民主党青年局の復興支援事業チームイレブンが来県し、北は北海道から南は沖縄県まで、全国各地から60名を超える国会議員や地方議員の仲間に岩手県に視察に来ていただきました。盛岡駅をスタートし、浄土ケ浜、田老観光ホテル、東日本大震災津波復興祈念公園と、新たにできた道路を通り駆け足で案内をさせていただきました。また、バスの車内では、これまでの復興の取り組みについて、県が作成した資料をもとに魂を込めて皆様に説明させていただきました。 改めて、全国から多くの支援をいただいたことに報いるためには、この先の三陸地域の発展を、沿岸市町村と岩手県とで将来ビジョンを共有し、それを内外に発信しながら取り組んでいくことが大切です。 以前も質問させていただきましたが、三陸沿岸ゾーンプロジェクトに関して、中長期であるがゆえに、目標、指標を設定しないのはなかなか理解されません。改めて、震災後にできた三陸沿岸道路を背骨として、それに連なる事業、キーワードとして、観光、三陸DMOを核とした入り込み客増のための連携、物流、港湾活用、フェリー航路休止もありましたが、道路ができたことによる効率化、また、今、大変な状況にある水産業、それぞれの分野で最大限に三陸沿岸道路を活用した合理的連携をして取り組んでいくべきであり、きっかけとして、自治体も力を入れている道の駅、特産品の開発などから広げていくべきと考えます。 統計値を切り張りする計画ではなく、県として、市町村を初めとする方々と目標を一緒につくることは大きな動きになると思いますが、知事の所感を伺います。 昨年から知事は、14年ぶりに市町村要望に出席されています。ことしは2年目となります。昨年の一般質問では、コロナ禍や物価高騰による地域の実情や人口減少対策等について、市町村長の生の声を直接聞くことができ、よい機会であった。市町村からの要望内容については、新型コロナウイルス感染症対策や主要魚種の不漁対策など、その時々の時勢に沿って変遷しているものもあれば、道路整備など継続的なものがあり、市町村の課題に沿った要望が出されているものと考えておりますとの答弁がありました。市町村長に聞くと、やはり決裁権者である知事にお話をすることができることは、ありがたいとの声があったところです。 過去の答弁では、地域事情に精通する職員が対応するほうが合理的であるとの理由で、広域振興局長に任せていました。2年目の市町村要望に関して、ことしはどのように感じられたのか、また、市町村からの要望に対して、知事がリーダーシップをとって対応を検討するように指示したものはあったのか伺います。 次に、マニフェストプラス39の工程表について伺います。 前回の一般質問では、マニフェストプラス39の各項目について、財源の問題や既存の施策との関連等を全庁で検討しているところであり、市町村を初め、関係団体とも連携、調整を進めながら、その具体化を図ってまいりますとの答弁でした。 今年度の予算では39の項目について一定程度示されたところですが、まだ、いつ、何をするのかというものは見えてきていません。市町村要望においても、首長からマニフェストプラス39に関する要望、期待も直接お聞きになられたでしょうし、本日の私の質問の中にも具体的な項目もありました。 私は、政治家の仕事は日程を決めることと教えられたことがあります。知事任期は387日が経過しました。県議会議員も同様ですが、残りは1、073日となります。マニフェストプラス39の実現に向けた工程表を示していただきたいですが、知事の所見を伺います。 以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。 まず、幸福とゾーンプロジェクトについてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標に、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げている背景には、藤原清衡公の中尊寺建立供養願文の理念や宮沢賢治の世界観が、岩手の風土や県民性として広く浸透しているということがあります。 最近では、県内の市町村や企業、団体において、幸福、ウエルビーイングに注目する取り組みが進んでいます。例えば、「半導体well−being」な街−研究会の立ち上げや、盛岡市のインパクトスタートアップ宣言など、幸福、ウエルビーイングを重視する流れが広まっています。 幸福に関する県の事業としては、県民意識調査を毎年度実施し、幸福実感等について、これまでに延べ4万5、000人を対象に御回答をお願いしているほか、幸福のトレンドや幸福関連指標を含む県の施策等を紹介するいわて幸福白書の作成や県民参加型の幸福ワークショップの開催、広報誌いわてグラフで幸福を守り育てるための取り組みの紹介などを行っています。 県の政策との関係については、主観的幸福感に関連する12の領域をもとにした10の政策分野と政策分野ごとの幸福関連指標を設定して、幸福を守り育てる施策を展開しているところであります。 これにより、県民一人一人に寄り添った施策立案や推進が可能になるとともに、毎年度、いわて幸福関連指標の達成状況に加え、県民意識調査で把握した県民の実感を反映した総合評価を実施し、施策のブラッシュアップや見直しにつなげております。 また、北上川バレー、三陸防災復興、北いわて産業・社会革新の三つのゾーンプロジェクトについては、それぞれ関係する市町村や大学、企業、団体と連携して、岩手の新しい時代を切り開いていく分野横断的、先導的な施策を推進しています。 例えば、北上川バレープロジェクトでは、半導体、自動車関連産業を中心に、令和元年から令和5年で89社が新規立地しています。三陸防災復興ゾーンプロジェクトでは、東日本大震災津波伝承館の来館者が100万人を突破し、防災学習の場としての定着が進んでいます。北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトでは、未利用資源を活用したバイオ炭の農地施用の社会実装やハスクレイを活用した地域熱循環システム構築研究が進むなど、幅広い県民の参画により成果があらわれています。 ゾーンプロジェクトで目指す姿の実現に向けては、大学や市町村、企業、地域等、多様な主体と連携した取り組みが重要です。いわてネクストジェネレーションフォーラムで、若者に北上川バレー地域の将来像を描いてもらう取り組みや、昨年開催した三陸復興防災会議2023での三陸地域の魅力発信、北いわて産業・社会革新コンソーシアムでの産学官連携の推進など、各ゾーンでビジョンの共有や意見交換が行われており、今後もこうした動きをさらに広げ、各ゾーンの特徴を生かした持続可能な地域社会の構築につなげていきたいと考えます。 次に、県庁舎の木質化についてでありますが、現在、専門家から成る有識者懇談会で議論いただく中で、脱炭素化とあわせて県庁舎の木質化の視点も重要であるとの意見をいただいております。 公共施設の木質化は、二酸化炭素を建築物に長期間貯留させることで地球温暖化防止に貢献し、また、県産木材の利用を通じて、地域の林業及び木材産業の振興や本県経済の活性化につながります。 いわて県産木材等利用推進本部を設置し、私自身が本部長として、県立高校や駐在所、県営住宅等への県産木材の率先利用を進めてきたところです。 本州一の森林面積を有する森林、林業県である本県は、昨年開催した全国植樹祭のレガシーとして、健全で豊かな森林を次の世代へ引き継ぎ、林業の持続的な発展や森林に対する県民の理解を深めていくことが重要であり、これらの理念を県庁舎整備に反映するため、来年度から策定を開始する整備基本構想、基本計画の中で、他県の先進事例も参考にしつつ、具体的に検討してまいります。 次に、沿岸部の産業振興に係る総合的な戦略の策定についてでありますが、佐々木宣和議員御指摘のとおり、三陸沿岸道路の全線開通による効果は非常に大きく、大幅な移動時間の短縮や輸送コストの軽減が図られています。 県では、いわて県民計画(2019〜2028)のアクションプランである第2期復興推進プランに基づき、新たに整備された交通ネットワークを活用した物流体制の構築や魅力ある観光地づくりの推進、基幹産業である水産業の再生、中小企業の経営力の強化など、地域資源を活用した産業振興や交流人口の拡大に取り組んでおり、毎年度、施策の評価を行い、個別の事業の実績や成果を検証しながら取り組みを進めています。 三陸防災復興ゾーンプロジェクトについては、防災ツーリズムや港湾の利用促進、クルーズ船寄港誘致、近年の主要魚種の不漁問題等に対応した新たな水産物の販路、物流モデルの構築、海業のビジネスモデルの構築支援等に取り組んでおり、それらの事業の多くについては、目標も指標も掲げているところです。 これらのプランやプロジェクトは、東日本大震災津波復興委員会や地域連携懇談会、三陸振興協議会等、有識者、関係団体等で構成されるそれぞれの会議体において、その推進や評価の審議等がなされておりますが、今後の沿岸部の産業振興に係る総合的な戦略や施策のあり方についても、こうした場を通じ御意見をいただき、必要な対応を検討していきたいと考えます。 次に、市町村要望についてですが、今年度は、全ての市町村要望に出席し、物価高騰や人口減少対策等の喫緊の共通課題やそれぞれの特有の課題について、市町村長や市町村職員の生の声を直接聞けたほか、私も自分の考えをさまざま述べることができ、有意義であったと考えています。 市町村によっては、要望事項を説明する際に動画を活用するなど、さまざま工夫を凝らすようになってきており、説明の手法についても質的な充実が図られてきたと感じています。 また、要望内容については、日常的に地域の実情やニーズを把握し、それぞれの地域課題に精通している広域振興局長から私を含めた幹部職員に報告を行い、全庁的な情報共有や議論を経て翌年度の予算編成につなげています。 今後においても、県と市町村が連携してさまざまな政策課題等の解決に取り組んでいくため、よりよい市町村要望のあり方について検討してまいります。 次に、マニフェストプラス39についてでありますが、先ほどの岩崎友一議員への御質問で御答弁申し上げたとおり、マニフェストプラス39の各項目に掲げた内容については、既に実施しているものや予算を措置して事業に着手しているもの、検討会やワーキンググループなどで具体的な検討を進めているものなど、それぞれ実行に移しています。 既に実施しているものとして、例えば、項目1、子育て支援策の展開と拡充では、全国トップクラスの子育て支援策の展開、項目2、子どもの居場所・遊び場づくりでは、大船渡市のこども家庭センターDACCO(だっこ)やオープン間近の遠野市のとぴあ子ども木の空間、木製遊具の設置、項目10、中小企業の振興では、賃上げ環境整備支援の実施、項目11、地域の産業を担う人材の育成・確保では、いわてグリーン農業アカデミーの設置、項目31、自然災害への対応と社会資本の長寿命化では、基幹河川の改修や日常的、応急的な道路の維持、修繕、項目32、持続可能な地域交通の確保では、乗り合いバス運転手を確保する取り組みへの補助を実施しており、さらに、項目3、4、6、12から23、25、26、29、33から39に掲げる内容についても、順次実施しています。 また、事業に着手しているものとして、項目9、福祉と生活を支える一元的な相談支援体制の構築における福祉総合相談センターと県民生活センターの一体的整備などがあります。 さらに、検討会やワーキンググループなどで具体的な検討を進めているものとして、項目5、持続可能で希望ある医療体制の構築、項目7、リハビリテーションセンターのサテライト施設の整備、項目8、スポーツ医科学センターの建設と活用の検討、項目24、中山の園の整備、項目28、三陸振興を総合的にプロデュースするまちづくり会社の設立、項目30、道路ネットワークの整備などがあります。 このように、マニフェストプラス39にお示しした内容を進めているところであります。 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。 〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、自然保育の取り組みについてでありますが、いわゆる森のようちえんなど自然環境や地域資源を活用した体験活動を重視する自然保育は、生命、自然についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培う上で、有効な取り組みの一つであると考えております。 佐々木宣和議員御紹介の普代村のつちのこ保育園については、県ではこれまで、業務のICT化に対する補助により運営を支援しているほか、保育料の無償化により保護者の経済的負担の軽減を図っているところであります。 また、本年度は、新たにいわての森林づくり県民税を活用して、園が行う子供が森で遊ぶ機会を提供するための森林整備や森での自然遊びイベントの開催などの活動を支援しているところであります。 県としては、こうした補助の活用や長野県などにおける先進事例の紹介などにより、豊かな自然環境を生かした自然保育など、地域における特色ある保育の取り組みを支援してまいります。 次に、産後ケア事業についてでありますが、本県の周産期医療において、分娩機能が集約化される中、身近な地域できめ細かなサービスを受けられる環境の整備という点で、産後ケアの推進は重要であると考えております。 産後ケア施設の整備に当たっては、設備及び助産師等専門人材の確保などの課題があることから、市町村の意向や他県の状況等も参考にしながら検討する必要があると考えております。 また、宿泊型も含めたきめ細かい産後ケアを受けられる環境の構築に当たっては、施設整備だけで実現できるものではなく、母子保健法上の事業実施主体である市町村において継続的な事業化がなされることにより、持続的な運営が可能になるものと考えております。 そのため県としては、医療機関や民間事業者との調整、地域の既存施設の活用や助産師等の人材の確保などの市町村における産後ケアの提供体制の構築を支援することが重要との考えのもと、市町村の意向を踏まえながら、地域の関係者等とも議論を進め、地域の実情に応じた産後ケアの充実が図られるよう市町村の取り組みを支援してまいります。 次に、リハビリテーションセンターのサテライト施設についてでありますが、県では、本県のリハビリテーションのあり方について、本年5月に、リハビリテーション関係者で構成する検討会を設置し、現状と課題、専門医、専門職の確保、育成、リハビリテーション医療体制に係る検討を進めてまいりました。 検討会では、リハビリテーションを提供している医療機関は内陸部に集中していること、脳梗塞等の脳血管疾患や骨折等の運動器疾患などのリハビリテーション治療のため、沿岸地域から盛岡地域へ受療する患者が多いこと、特に沿岸南部の患者が多い傾向となっていることなどから、沿岸地域におけるリハビリテーション医療の充実が必要との意見をいただいているところであります。 また、リハビリテーション科専門医や医学療法士、作業療法士などの専門職の確保のほか、医療従事者の教育、研修を行う体制が必要との御意見もいただいているところであります。 今後においても、必要とされるリハビリテーション機能や規模などについて、既存の病院施設の活用なども含め、引き続き専門家の意見を聞きながら検討を進めてまいります。 〔企画理事兼商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、商工業小規模事業経営支援事業費補助についてでありますが、県内事業者を取り巻く経営環境が厳しい中で、事業計画の策定や経営改善、事業承継など、商工会を初めとする商工指導団体による伴走支援の果たす役割は、今後さらに重要になっていくと考えております。 このような考え方のもと、今後、頻発する自然災害の影響を受ける事業者への支援、また、生産性の向上による利益率の向上や経営革新計画の策定に取り組む事業者への支援などを進めていく上で、経営指導員等の給与水準の引き上げを早急に検討する必要があることから、待遇面を含めた商工指導団体の体制強化について、関係部等と調整を進めてまいります。 また、国に対する予算要望はもとより、全国知事会や国の審議会など、さまざまな場面におきまして、商工指導団体の体制強化の重要性、また必要性を引き続き強く要望してまいります。 次に、商工会、商工会議所の今後の機能についてでありますが、物価高騰等により厳しい経営環境が続いている中、適切な価格転嫁や人材確保、生産性向上による賃上げへの対応など、県内の中小企業者は多くの課題に直面しており、まずは、こうした課題解決に向けた伴走支援を展開する必要があると考えております。 また、商工会連合会では、毎年、いわてビジネスイノベーションアワードを開催し、例えば、田野畑村商工会が、飲食店の後継者とともに補助金活用や村外からの利用者拡大などを成功させた伴走支援による事業承継の優良事例や、また、複数のITツールの組み合わせにより、無人で自転車修理を受け付ける新サービスの構築などに取り組んだ企業の優良事例などを表彰しております。 こうした取り組み事例を広く情報共有、普及拡大するとともに、ベテラン経営指導員が有する支援ノウハウを広域的に若手職員に継承していくことで、県内の商工指導団体の経営支援能力が一層向上し、県内中小企業の成長に資するものと考えております。 次に、いわて観光データマネジメントプラットフォームの活用状況等についてでありますが、令和6年8月時点における利用機関数が53機関、その内訳は、市町村27、市町村観光協会15、DMO7、県関係機関4となっております。 現在、観光庁や日本政府観光局の宿泊統計や旅行・観光消費動向などのオープンデータの追加を進めるとともに、広く観光関連事業者を対象に、いわて観光マーケティング実践塾2024を開催し、地域のマーケティング人材の育成を進めているところです。 今後、各利用機関の分析ニーズ等に応じたデータの提供方法の対応など、さらに利用機関をふやしていく活用方法の検討を行いつつ、利用の有償化に向けた対応も進めていくこととしております。 〔県土整備部長上澤和哉君登壇〕 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、災害復旧の取り組みについて二つのお尋ねでありますが、公共土木施設の災害復旧事業の申請に当たっては、激甚災害に指定された災害や地すべり、橋梁など特定の復旧工法等の箇所を除き、測量設計に係る経費は国庫補助対象外であり、市町村にとっても負担になっているものと認識しております。 また、県と市町村の被災箇所が隣接する場合については、例えば、河川施設と道路施設のいずれか効用の大きい施設に係る災害復旧事業として申請するほか、市町村管理の被災箇所が、県の管理区間の復旧事業の取りつけ範囲と判断できる場合は、県が市町村管理区間も含めて申請するなどの調整を行っております。 あわせて、復旧工事の実施においても、早期の復旧に向けて、発注計画の調整等、連携を図っていきます。 次に、繰り返し被害を受けている箇所に係る災害復旧については、原形復旧を基本としつつ、施設の材質や形状、構造などの質的な改良を施すほか、被害の状況に応じて抜本的な改良も可能となる改良復旧事業の導入など、国の制度を活用しながら再度災害防止に取り組んでいるところでございます。 引き続き、市町村の災害復旧に係る技術的助言を行いながら、連携を図るとともに、国への制度の柔軟な対応について機会を捉えて要望してまいります。 次に、これまでの河川の洪水対策の効果と課題についてでありますが、県が指定する水位周知河川においては、避難判断水位に達するおそれがある場合には、県から市町村へのホットラインにより迅速な避難を促しています。 平成28年台風第10号で被災した岩泉町小本川においては、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算等を活用した河道掘削や築堤などの治水対策の進捗により、平成28年の降雨と同規模の総雨量を記録しましたが、河川事業を導入した区間では、住宅等の浸水被害はありませんでした。 また、久慈市の滝ダムでは、事前放流と洪水調節により、下流の河川の氾濫を防ぐとともに、水防活動や避難行動の時間を確保したところです。 近年、気候変動の影響により水災害が激甚化、頻発化する中で、県では、流域治水の考え方のもと、ハード対策とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策に取り組んでおり、これらの対策を推進するため十分な予算の確保等の課題があります。 引き続き、必要な予算の確保を国に働きかけながら、流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策に取り組んでいきます。 次に、国道455号の本復旧についてでありますが、国道455号では、8月27日からの豪雨に伴い、盛岡市上米内から藪川間の約33キロメートルが全面通行どめとなり、このうち藪川地区は、9月11日まで全面通行どめを継続したところです。 藪川地区では、舗装面やのり面の異常が発生し、道路のり面の急激な崩落が発生するおそれがあり、全面通行どめを継続しておりましたが、現地では、計測機器でのり面の監視を続け、急激な崩落のおそれがないことを確認したことから、大型土のうや警報装置の設置などの安全対策を実施して、片側交互通行としたところです。 現在は、現地の監視を継続するとともに、災害査定に向けて復旧工法の検討を進めており、一日も早く全面開放できるよう取り組んでまいります。 次に、道路通行どめの情報の周知についてでありますが、県が管理する道路において全面通行どめなどの規制が発生した場合、市町村等の関係機関にはファクスで通知を行い、道路利用者には、道路情報板での表示や現地への看板設置のほか、ホームページやSNSにより情報提供を行っています。 今回の大雨災害では、国道455号の通行どめの影響が大きいと判断し、通常の周知に加え、岩泉町の情報提供システムを活用し、通行どめの箇所や迂回路等について町民に周知したところです。 一方、国道455号が重要な路線であることから、今回は、より詳細かつ適時な情報提供を関係市町村から求めたものです。 今後は、地元市町村が必要とする適時な情報や提供方法について確認するなど、平時から市町村との連携を強化してまいります。 次に、国道340号の改良についてでありますが、国道340号は、北上高地を縦断する唯一の緊急輸送道路として、防災面においても重要な役割を担う路線であることから、県ではこれまで、宮古市と岩泉町間の押角峠工区などの整備を進めてきたところです。 押角トンネル前後の未改良区間約13キロメートルについては、幅員が狭く、急カーブが連続していることから、整備が必要な区間と認識しており、早期の整備効果の発現が期待できる宮古市和井内―押角工区、岩泉町浅内工区として、合わせて約3キロメートルの区間を事業化し、整備を進めているところです。 未事業化区間約10キロメートルについては、まずは事業中工区の早期発現が図られるよう整備に注力した上で、引き続き、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組んでまいります。 〔政策企画部長小野博君登壇〕 〇政策企画部長(小野博君) 人口減少対策についてであります。 県では、平成27年度に策定した岩手県ふるさと振興総合戦略などに基づき施策を展開してきたところであり、これまで、自動車、半導体関連産業の集積や県外からの移住、定住者数の増加、待機児童数の減少や仕事と育児の両立に向けた環境の整備などの進展が見られるところです。 一方、東京都の有効求人倍率が本県を上回る中で、社会減が継続するとともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に見舞われる中、本県の合計特殊出生率が過去最低の1.16まで低下し、また、コロナ禍を経て、再び人口の東京一極集中が加速しています。 こうしたことから、第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組んでいるところでありまして、全国トップレベルの子供、子育て環境の実現に向けた各ライフステージに応じた総合的な施策の拡充に加え、若年層の県内就職やU・Iターンの促進による移住、定住施策の強化などを図っています。 人口減少対策につきましては、東京一極集中の是正に向けた対策や保育の無償化など全国一律での対応が必要なものは、国の責任において取り組むべきものであります。ことし8月の全国知事会議におきまして、新たに人口戦略対策本部が設置されたところでございます。県として、こうした動きと連動しながら国に働きかけてまいります。 また、地域の子供、子育て施策は、住民に最も身近な自治体であります市町村が果たす役割が大きく、県は、市町村を支援するとともに、U・Iターンの促進に向けた取り組みや雇用、労働環境の整備など、広域での取り組みが効果的なものにつきましては、県において、市町村等と連携しながら進めるなど、県の持つ専門的、広域的な機能を果たしていくことが重要であると考えております。 さらに、県内市町村それぞれで異なる人口減少の要因もありますことから、今年度は、人口の少ない小規模町村に対し、地域課題の分析や少子化対策の立案等について専門家等と連携した伴走型支援をモデル的に実施しているところでございまして、より一層重層的な体制で、市町村との緊密な連携を図りながら人口減少対策に取り組んでまいります。 〔環境生活部長大畑光宏君登壇〕 〇環境生活部長(大畑光宏君) まず、脱炭素社会の構築についてでありますが、環境と共生した再生可能エネルギーの導入を促進していく上で、地球温暖化対策推進法に基づく再エネ促進区域の設定は、重要な取り組みの一つと考えております。 このため県では、市町村が地域の再生可能エネルギー導入ポテンシャルを最大限活用しつつ、環境保全に配慮して促進区域を設定できるよう、令和5年3月に、促進区域を定めるに当たって考慮を要する事項等を示した促進区域の設定に関する岩手県基準を設定したところでございます。 このほか、県単独補助事業により、市町村の地球温暖化対策実行計画の策定を支援する中で、促進区域の設定を促し、助言等を行っておりますほか、県市町村GX推進会議におきまして、他県市町村での区域設定事例を紹介するなどしており、引き続き、こうした取り組みにより市町村の実情に応じた区域設定を促進してまいります。 また、令和7年度以降、県と市町村が共同で促進区域を設定することが可能となりますことから、今後、市町村との意見交換等を進めていくなど共同設定のあり方も検討しながら、県内で促進区域の設定が積極的に進められるよう取り組んでまいります。 次に、環境学習の環境の整備についてでありますが、本県の多様ですぐれた自然環境を保全し、次世代に引き継いでいくためには、県民等を対象に環境学習の機会を提供し、持続可能な社会づくりの担い手の育成につなげていくことが重要と認識しております。 このため県では、小学生に地球温暖化対策の重要性を伝える知事出前授業や全国2位の参加者数を誇る水生生物調査参加団体への支援などを実施しておりますほか、環境学習交流センターを核に、体験学習等の開催や環境アドバイザーの派遣、SNSによる情報発信などにより、幅広い世代を対象とした環境学習の機会の提供に取り組んでいるところであります。 今後とも、幅広い世代のニーズを踏まえるほか、大学や企業、団体等との連携も進め、環境学習の内容の充実を図っていくとともに、森林などさまざまなフィールドを活用し、子供から大人まで県民一人一人が、身近な環境問題への関心を高め、学び、体験することができる環境づくりにも取り組んでまいります。 〔ふるさと振興部長村上宏治君登壇〕 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) まず、地域おこし協力隊についてでありますが、隊員が増加する中、佐々木宣和議員御指摘のようにさまざまな課題も生じてきたことから、本県では、地域おこし協力隊経験者を構成員とする一般社団法人いわて地域おこし協力隊ネットワークを令和4年1月に設立し、県内全域の協力隊員及び受け入れ市町村の支援体制を構築しているところです。 これまで、職員向け相談窓口の設置、任期終了後の起業、就業に向けたセミナーを開催するほか、受け入れ市町村向けの研修会において、優良事例の共有や担当者間での意見交換等を実施し、隊員と受け入れ市町村双方の支援を継続的に行ってまいりました。 今後におきましても、隊員や受け入れ市町村の課題把握に努め、研修会の充実や各種交流機会の創出などを通じ、岩手県に来ていただく地域おこし協力隊の方々が、不安なく、希望を持って活動できるよう、いわて地域おこし協力隊ネットワークを中核とし、さまざまな関係団体との連携を強化しながら環境整備に取り組んでまいります。 次に、DMOセンターの体制強化についてでありますが、三陸DMOセンターは、宮古市においてセンター長と旅行会社勤務経験を有する職員1名の計2名が従事しているほか、県との兼務職員である商工労働観光部観光・プロモーション室長がDMO事業部長として、また、観光・プロモーション室の担当課長及び室員5名が事務局員等として配置されており、県庁で現地機能を支える体制としております。 現在、DMOセンターの役割や機能をさらに発展させるものとして、まちづくり会社の設立に向けた検討を進めておりますが、その基礎となるDMOセンターの取り組みを強化していく必要があると考えておりまして、さんりく基金全体の運営を含め、これまでの成果や課題を十分検証した上で、事業執行のための適切な組織体制について検討してまいります。 〔農林水産部長佐藤法之君登壇〕 〇農林水産部長(佐藤法之君) まず、増加している魚種の有効利用についてでありますが、近年の海洋環境の変化等により、本県では、マイワシやブリ、シイラ、タチウオなどの暖かい海にすむ魚種の水揚げ量が増加しています。 これらの魚種は、県内の消費者にとってなじみが薄く、安価で県外へ出荷される場合が多いことから、県内での認知度を高め、単価の向上や加工原料としての活用を図っていくことが必要であると考えています。 このため県では、加工原料としての成分分析を行い、水産加工業者を対象に成分特性や加工方法等を学ぶセミナーを開催しています。 また、増加している魚種等を対象とした新たな販路や物流のビジネスモデルの構築に向け、国内外の飲食店等のニーズ調査や販路開拓、魚種の特性を生かした加工品や調理の手間を省いた簡便商材の開発等に取り組んでいます。 今後は、増加している魚種の有効利用に向け、生産分野と流通、加工分野との連携をさらに深めていくこととしており、海洋環境の変化に対応した水産業が展開されるよう積極的に取り組んでいきます。 次に、森林の公益的機能の維持増進についてでありますが、いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的に、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐などに活用しており、これまで、公益上重要な伐採跡地への植栽など、取り組みを拡充しながら進めてきたところです。 また、森林環境譲与税は、林業経営の効率化と森林管理の適正化を一体的に促進することを目的とし、市町村では、森林所有者への経営意向調査などに活用しており、県では、市町村による取り組みが円滑に進むよう、専門職員の配置による技術的な助言などを行っています。 このように、県では、いわての森林づくり県民税と森林環境譲与税を活用した取り組みが県内全域に広がるよう、市町村等と緊密に連携して取り組んでおり、第4期終了後のいわての森林づくり県民税の検討状況も踏まえながら、今後も、本県の豊かな森林の公益的機能の維持増進が図られるよう取り組んでいきます。 〇20番(佐々木宣和君) それぞれ御答弁をいただきました。丁寧な答弁まことにありがとうございます。 知事に二つ答弁をいただいた中から再質問させていただきたいと思います。一つ目が、私の質問通告の13番、沿岸部の産業発展戦略の策定についてというところですけれども、おっしゃったとおり、それぞれの分野で目標値を設定しているというところはそのとおりで、これを何とか上げていくときに、連携したことでこの数字が上がっている、それぞれの協力があってその数字ができている形になっていくといいと思っているところがあります。やはり、震災でそれぞれの自治体と県との連携が深まったところがあって、さまざまな会議体等もあるような形になっていますので、そこの場で、三陸沿岸道路ができたという軸で、いろいろな議論ができるような形になっていくといいと思っています。 具体的に道の駅を挙げていますけれども、お客の入り込みは、それぞれの道の駅ではかっている部分もあるかと思いますので、それを共有していくのは、効果があるのではないかと思っているところでございます。 御答弁いただいた内容も、割と前向きなところもあるかと感じたのですけれども、改めて、この沿岸部、今なかなか産業が厳しい状況にありますから、自治体や商工団体も含めて、何か新しい今までやっていないことをやることによってモチベーションを上げていこうという空気ができるといいと思っているのですけれども、この点に関して再度御答弁いただければと思います。 そして、知事の政治姿勢の(2)のマニフェストプラス39の工程表というところで、39の分野において、それぞれ丁寧に御答弁いただいたと思います。その中で、財源を非常に大きく必要とするような部分が、どのぐらいの年月がかかるのかが見えるといいと思っています。 例えばリハビリテーションサテライトの話を聞きましたけれども、検討委員会が立ち上がって、それでどんな結果が出て、実際に建てるような流れに移っていくのかというところ。そこがまだ、検討委員会が何のために立ち上がっているのかというところも、リハビリテーションの全県的な考え方を整理するためということかと思います。それとリハビリテーションセンターのサテライトを建てることの相関関係というか年度感が、それはそれだけれどもというところもあるかと思うので、道路だったり公共施設だったりというところの時間的な軸を考えていくのかどうか。財政的な負担の話もありましたので、その辺に関しての工程表について、再度伺わせていただきたいと思います。 そして、人口減少対策、中小企業、小規模事業者振興、水産振興に関しても再質問させていただきます。 人口減少対策も答弁をいただきましたけれども、10年間の取り組みの成果というところで、前の予測値よりも悪くなっている。しかも、東北全体がなかなか厳しい状況というところは本当に苦しいと思いつつも、ただ、数字は数字ですので、その中でどのような前向きな取り組みができるのかということも思っているところでもあります。 その中で計画に関する話ですけれども、いわて県民計画は10年間で2019年から2028年、岩手県ふるさと振興総合戦略は2027年まででサイクルが少しずれているところと、また、市町村のそれぞれの計画、県でいう県民計画と総合戦略が一緒になっているところもあるし、別のところもあるしというところだと思いますが、この間も質問しましたが、組み上げていくと、社会減に関しては2万人ほどずれる。それぞれで立てるからずれるのは当たり前ですけれども、やはりこれだけ人口減少が進む中で、国と県と市町村も計画の上で意識合わせをしていかないといけないのではないかと思っております。 次期人口ビジョンの策定について、先ほど申し上げましたとおり、東北のブロック単位で何かしら考えていかないとまずいのではないかとも思っているのですけれども、この東北ブロック単位で考えることだったり県内33市町村と意識合わせをすることが重要であると考えますが、人口ビジョンに関して、県独自で策定することを含めて見解を伺いたいと思います。 次に、中小企業、小規模事業者振興というところで、商工会なり商工会議所に支援する予算の話を質問させていただきました。その中で、令和4年度から始まった中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助は、コロナ禍で交付金等を使ってやっていた事業ですが、これも、多少商工指導団体も使っていたようであると思っております。この予算に関して、来年度どう考えていくのかを伺いたいと思います。 最後に、水産業の振興でございますけれども、海洋環境の変化によって、海水温の上昇は昆布等大型海藻類にも大きな影響を与えておりまして、近年、冬場の海水温が高目に推移しましてウニ等が活発に活動することから、この時期に発芽した昆布等大型海藻類の芽を食べ尽くすことで、いそ焼けが発生していると言われております。 藻場は、水産生物の成長や産卵の場などの多面的な機能を持つほか、アワビやウニの餌場となることから、アワビ資源の減少やウニの身入りの低下が大きな課題となっています。 このため県では、藻場の再生に取り組むこととしておりましたけれども、私も漁港検診等、実際に現場を見ておりますが、これまでの取り組み内容とどのような成果があったのか、また、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。お願いします。 〇知事(達増拓也君) まず、沿岸部の産業発展戦略の策定については、今の再質問の中で、県と市町村の連携が重要であることと道の駅の活用が重要であるということをおっしゃられたと思いますが、それはそのとおりだと思います。そして、何か新しいことをやってモチベーションを盛り上げたいということも、そのとおりだと思います。 先ほど岩崎友一議員は、むしろ毎年同じことを続けることで経済効果をということがありましたけれども、同じことを続ける継続も大事ですし、また、新しいことを行っていくことも、それぞれ大事なのだと思います。 県、市町村の連携、そして道の駅の活用は、既にやっていることを、それぞれ担当の部長も答弁可能かとは思いますが、それを細かく今御質問する趣旨ではないと思います。戦略という次元で、そうした県と市町村の連携、道の駅の活用を取り入れていくこと、これは非常に重要だと思いますので、やっていきたいと思います。 そして、マニフェストプラス39の工程表について、どのくらいの年月がかかるのかということも、項目の1から39までそれぞれ担当が説明できますけれども、それを求めているわけではないと思います。 先ほど岩崎友一議員にも答弁しましたけれども、これは、庁議を経て県として組織的に決定した答弁であり、39の項目が具体的にどうなっているかについては、それぞれの担当部長が答えられるようにという打ち合わせもしております。それぞれの担当部局に照会した上でつくった答弁でありますので、そういう意味で、全ての項目については、担当の部長、課長、担当が決まって、県として組織的に取り組んでいる状況であります。質問の冒頭、質問する際に、岩崎友一議員も言及され、佐々木宣和議員も言及された、そもそも実行するつもりがあるのかとか、きちんとやっているのかということについては、まず、やっているということをお答えできると思います。 そして、マニフェストプラス39で書いた文言の中には、例えば箱物につきましても、場所についてはまだ決めていない、そして、内容についてもまだ決めていないようなことに関しては、県民的な議論の中で決めていくべきものと考えております。どのくらい時間をかけて作業を進めていくかについても、そうした県民的な議論の中で、県の行政組織として、また、県民とともに地方自治としてベストを尽くす形で、可及的速やかに、できるだけ速く実行することが基本ではありますが、同時に、民主的な手続を踏まえ、専門的な意見や、また、それに関連する一般の県民の皆さんの意見もいただきながら進めるということもあり、これらの原理原則を踏まえ、具体的に個別の項目に関しどのくらいの年月がかかるのかということは、さらなる質問があれば、担当の部局長から答えさせます。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業費補助についてでございますけれども、この事業は、御指摘ございましたとおり、コロナ禍におきまして中小企業の事業継続を何とか図るために、商工指導団体の相談体制あるいは商工指導団体からの専門家派遣ということができるように、交付金を使って実施してきたものでございます。 現在も、ゼロゼロ融資の返済が本格化していくとか、あるいは中小企業は、さらには賃上げするための生産性向上をしっかりとやっていかなければいけないわけですが、これは、1年で終わるというわけではございませんので、中長期的な時間のかかる取り組みだと思っております。 そうした中におきまして、先ほど来答弁しているとおり、商工指導団体の果たす役割が非常に重要でありまして、恒常的な支援体制の整備が重要であると考えておりますので、商工業小規模事業経営支援事業費補助とあわせまして、今後、事業内容を検討してまいりたいと考えております。 〇政策企画部長(小野博君) 人口ビジョンなどの策定についてでございますけれども、まず、国との関係でございますが、県の人口ビジョン、それから、岩手県ふるさと振興総合戦略につきましては、御案内のとおり、国の長期ビジョンや総合戦略などを踏まえ、これを勘案しながら策定、また改訂しているものでございます。 これらの目標達成に向けては、県と市町村が連携、協働することが重要であります。人口ビジョンや総合計画の策定、改訂に当たりましては、市町村と意見交換を重ねてまいりましたほか、これまでの成果や課題、市町村の意見等を踏まえまして、より具体的で実効性のある施策を盛り込んできたところでございます。 また、東北各県との関係でございますけれども、北海道東北地方知事会でありますとか東北地方の企画担当部長会議で、やはり人口減少対策は共通の課題でございますので、例えば、人口ビジョンをどういう感じでつくっていきますかなどといった意見交換もしております。人口減少対策をテーマに、さまざまな意見交換を重ねているところでございます。 そして、計画の内容、サイクルの問題についてでございますけれども、次の人口ビジョンあるいは戦略などの策定に当たりまして、他の策定主体との関係、考え方あるいはそれぞれの計画策定の経緯など、それぞれ状況がございまして、これを整理するのは困難な状況もございますけれども、それだけに、特に市町村との関係では、県でどういう考えに基づいてビジョンあるいは戦略をつくっていくのかについて、より一層緊密な連携を図って、目標あるいは課題などについて十分に共有しながら進めてまいりたいと考えております。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 藻場再生についてでございます。 県では、アワビ、ウニ等の資源の回復、増大に向け、ウニの間引きや海中林の設置などのソフト対策と、ブロック等の投入による藻場造成のハード対策を一体的に進めています。 これまで、県内5地区で海中林の設置等を支援するとともに、宮古市田老地区など4地区の10漁場において、地元漁業者と連携したウニの間引きとブロック投入等による藻場造成に取り組んでおりまして、今年度は、新たに宮古市重茂地区の3漁場で、ブロック等の投入に必要な漁場環境の調査等を進めております。 昨年度、宮古市田老地区等で投入したブロックには、昆布等の海藻の繁茂が確認されておりまして、今年度、ブロック投入が完了する2漁場を生かしながら、藻場の再生に向け取り組み地区のさらなる拡大を図ることとしております。 このため、国に対して、必要となる予算を安定的かつ十分に措置するよう要望するとともに、藻場造成に必要な予算の確保や重点化を図りながら、藻場の再生が着実に図られるよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。 〔「議長、関連」と呼ぶ者あり〕 〇22番(福井せいじ君) ただいま佐々木宣和議員が質問した中で、8月27日の盛岡市を中心とする豪雨災害について質問したいと思います。私ども自由民主党岩手県連盛岡支部が調査に参りました。その上で確認したいことが3点ありますので質問したいと思います。 今回の災害においては、岩手県と盛岡市の管理公署にまたがる河川被害が発生しました。今災害における復旧費用は各管理行政機関が担うものでありますが、復旧工事は、岩手県、盛岡市が一体となって取り組むものだと思います。 今後どのように連携するかお示しいただきたいと思います。また、米内川の復旧時期の目途、スケジュールについても、わかればお示しいただきたいと思います。 2点目でありますが、大雨被害は綱取ダムにも及びました。ダム貯水池上流の公園付近にも土砂が堆砂しておりますが、この撤去の対応についてお示しいただきたいと思います。また、この撤去の目途についても、わかればお示しいただきたいと思います。 3点目でありますが、今回の盛岡市の大雨被害は、橋梁崩落など想定を超えた被害があったと私は感じました。今後、激しい気候変動において被害の規模や場所などが特定できない災害が発生することが想定されます。また、既にそういった事例が見受けられます。 このような大雨に備えた河川の洪水について、どのような対策を県は今後とっていくのか、お示しいただきたいと思います。 〇県土整備部長(上澤和哉君) まず、河川復旧工事に係る盛岡市との連携についてですが、県と盛岡市が連絡調整を行い、早期復旧を目指し応急的な対応を行ったほか、管理区分の明確化や復旧計画について連携をとりながら進めているところです。 具体的には、河川管理者である県において、盛岡市が管理する林道橋等に滞留した流木の除去を実施したほか、盛岡市管理の道路の被災箇所の一部を県の河川管理区間の取りつけ範囲として、県が災害申請することとしたなどの調整や、盛岡市管理の水道施設の応急工事に係る国土交通省への事前協議の調整等について、連携して行ってきたところでございます。 引き続き、今後の復旧工事の実施においても、公共土木施設に加え、隣接する林道や農地の被災箇所等の調整など、早期の復旧に向けて盛岡市と連携を図っていきます。 なお、具体的な復旧スケジュールでありますが、県が管理する公共土木施設等につきましては、これから災害査定を受けて、それを待って工事を行っていくことになります。具体的なスケジュールは今お示しできませんが、査定後、速やかに着手できるように取り組んでまいりたいと思っております。 次に、綱取ダム貯水池上流の公園付近に堆積した土砂の撤去についてでありますが、今回の出水により貯水池上流部に土砂が堆積し、川からの流水が閉塞しているとともに貯水容量が減少していること、また、公園の親水施設も埋塞していることから、今回、補正予算案として土砂撤去費用を追加提案させていただいておりまして、緊急的な対応を実施する予定でございます。 ただ、貯水池の上流ということで、水辺ですので、その施工の時期等については、渇水期等、現地の施工が可能な時期等を見計らいながら、早期の復旧等について対応してまいりたいと思っています。 次に、今後の大雨に備えた河川の洪水対策についてでありますが、岩手県においても、1時間に50ミリメートル以上の雨が発生した箇所が40年間で約3.2倍に増加しているほか、令和元年、令和4年、ことし8月では、1時間雨量で既往最大を更新する雨が発生するなど、近年、経験のない豪雨による災害が頻発しております。 このような気候変動の影響によりまして激甚化、頻発化する水災害に対し、流域のあらゆる関係者が協働して行う流域治水の考え方を踏まえ、引き続き、河川改修や堆積土砂の撤去などのハード対策と洪水浸水想定区域や水位周知河川の指定などのソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策に取り組んでまいります。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって佐々木宣和君の一般質問を終わります。 日程第2 議案第32号令和6年度岩手県一般会計補正予算(第5号) 〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第2、議案第32号令和6年度岩手県一般会計補正予算(第5号)を議題といたします。 提出者の説明を求めます。千葉総務部長。 〔総務部長千葉幸也君登壇〕 〇総務部長(千葉幸也君) ただいま議題とされました案件について御説明申し上げます。 議案第32号は、令和6年度岩手県一般会計補正予算(第5号)であります。 これは、令和6年8月15日から9月2日の大雨被害に対応した道路、河川の災害復旧経費など、早急に対応が必要となる予算を計上するものであり、総額47億1、200万円余の増額補正を行おうとするものであります。 補正の内容は、道路維持修繕費1億9、900万円余、河川整備基本方針策定費2億200万円余、河川海岸等維持修繕費1億2、200万円余、砂防設備修繕費200万円、ダム管理費5、000万円、林道災害復旧事業費補助1億1、100万円余、河川等災害復旧事業費40億2、400万円であります。 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。 〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後6時25分 散 会 |
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