令和6年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録 |
前へ | 次へ |
〇27番(佐々木朋和君) いわて新政会の佐々木朋和です。質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝申し上げ、通告に従い質問させていただきます。
県は、2024年度から2028年度までの5年間の中期財政見通しにおいて、収支ギャップが2025年度以降、99億円から最大190億円程度生じる見込みであることを公表いたしました。また、来年度の予算編成で全ての事務事業をゼロから見直して財政の健全化を進めながら、削減した分を重点課題の人口減少対策へ充てる方針を示しました。 〔議長退席、副議長着席〕 そこで、冒頭、東京一極集中の是正と新たな財源の確保を絡めて議論したく、質問させていただきます。 本年8月に福井県で開催された全国知事会議において、人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言が決議されました。 その議論の過程で、人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなくという書きぶりについて、東京都の小池知事が、人口や産業の集中を日本全体の人口減少に関連づけた主張は因果関係が不明確として文言の削除を要求したのを発端に、東京都知事と他の知事との間で激しいやりとりがあり、結果として、この文言に対して意見の一致が見られなかったことについては残念に思います。 達増知事もその場で議論に加わっておられますが、御自身の発言の内容や意図について、小池知事の見解に対する御自身の考え方、スタンスとともにお示しをいただきたいと思います。 この後の質問については、質問席で行いますので、よろしくお願いいたします。 〔27番佐々木朋和君質問席に移動〕 〔知事達増拓也君登壇〕 〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。 先般の全国知事会議において、東京一極集中問題に関し、多数の知事による活発な意見交換が行われた中で、東京都の小池知事からは、大事なのは人口や産業の集中是正ではなく、地方と都市の共存共栄であり、日本経済の成長にとって、国内でのパイの取り合いは、本質的な解決にならないといった趣旨の発言がありました。 小池知事の発言を受けて、私からは、地方に人の流れを生み出し、地方が成長することが、日本の持続的な成長につながるという考え方に基づき、日本経済をよくしていくためにも、東京都の経済をよくしていくためにも、バランスのとれた人口の行き来というものをつくっていく必要があるという旨を発言いたしました。 全国知事会議では、人口減少社会への戦略として、私が座長を務めるセッションも開催しましたが、そこで講演をいただいた冨山和彦氏も、日本経済の成長には、GDPの7割、雇用の8割を占める地方の中小企業の生産性向上が重要であると指摘しています。 地方の生産性向上には、若者、女性を初め多くの多様な人材が地方で活躍することが必要です。東京都にとっても、過密に起因する大規模災害や感染症拡大のリスクへの対応、全国的にも低い可処分所得、可処分時間の改善は、東京都の持続的な成長につながることから、現在のように極端に偏った地方からの人口の転出超過の状況を変え、地方と都会でバランスのとれた人口構造に転換していくことが重要であると考えます。 〇27番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。 では、今述べていただきましたローカル中小企業の振興については後ほど質問させていただくとして、東京都とそれ以外の道府県という構図を今御答弁いただきましたが、私からは地方財政の面から議論をさせていただきたいと思います。 いわゆる水準超経費について伺いたいと思います。水準超経費とは、都道府県では東京都のみとなっております地方交付税、普通交付税の不交付団体における財源超過額を示しており、標準的とされる行政サービスの水準を示す基準財政需要額を超えた経費に充当されることが想定されるものです。 令和6年度の地方財政計画における水準超経費はおよそ3兆円。地方一般財源総額65.7兆円の5%近い規模となっております。 この財源をもとに東京都では1、245億円の予算をかけて18歳以下の子供1人当たり月5、000円の支給を行ったり、約650億円を支出して、私立、都立高等学校、都立大学の授業料実質無償化を展開。都知事選においては、第1子の保育料無償化を公約に掲げるなど、他の自治体ではとてもまねできないレベルの給付施策が実施され、あるいは、されようとしております。 このような施策の実施が可能となる裏づけとしての地方間での財政力格差の現状について、当局の見解を伺います。 〇総務部長(千葉幸也君) 地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ、さまざまな行政課題に対応しながら一定水準の行政サービスを安定的に提供していくためには、地方一般財源総額の確保、充実のみならず、偏在性が小さく安定性を備えた地方税体系の構築等により、地方の財源を確保することが重要です。 地方自治体の財政力を示し、指数が高いほど財源に余裕があると言える財政力指数で見た場合、令和4年度決算では、全国の都道府県平均0.49、本県0.35に対し、東京都は1.06となっており、東京都においては、こうした財政力も背景として各種施策を展開しているものと考えております。 財政力の大小により団体間で実施される施策に格差が生じることがないよう、さらなる偏在是正等の措置が必要であると考えております。 〇27番(佐々木朋和君) 今、総務部長に示していただいたとおり、本当は地方交付税には、全ての地方団体が一定の水準を維持し得る財源を保障するとともに、団体間の財源の不均衡を調整する地方財源の均てんという役割があります。 これまでも平成26年度の地方法人税の創設、平成31年度の特別法人事業税、特別法人事業譲与税の創設など、地方一般財源の充実を企図した取り組みや地方税の偏在是正の取り組みが行われてきましたが、過度な東京一極集中が是正されない中で、結果として、東京都の税収は激増し、水準超経費は平成26年度の1兆円から令和6年度には3兆円と、10年間で3倍に増加しております。 これらの状況を踏まえ、まずは、近年の地方財源の偏在是正制度への評価と本県への影響について伺いたいと思います。 〇総務部長(千葉幸也君) 佐々木朋和議員御指摘のとおり、令和元年度に特別法人事業税、譲与税が創設され、人口を譲与基準とし、不交付団体に譲与制限を設けるなど、偏在是正の措置が講じられてまいりました。 単純な比較はできないものの、これにより本県では単年度で数十億円程度の増収となっており、この偏在是正の取り組みについては、一定の評価ができるものと考えております。 一方、いまだに都市と地方との税収格差など、自治体ごとの財政力に大きな違いが見られることから、より偏在性が小さく安定性を備えた地方税体系の構築や、財源保障、財源調整機能を有する地方交付税の充実など、地方の安定的な財政運営が可能となるよう、全国知事会とも連携しながら、国に引き続き要請してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 今、一定の評価というお言葉をいただきましたけれども、令和7年度の地方財政収支の仮試算を見れば、地方の努力によって地方税収は増加していますが、地方交付税、地方特例交付金等は減少しておりまして、歳入の増加を抑制しております。 これと東京都の、言葉は悪いですが、大盤振る舞いを見比べれば、現行の地方交付税制度や地方税制度のもとで講じられている偏在是正制度では十分な効果が発揮されていないことは明白であり、抜本的な対策を講じる必要があると考えます。 その一案として、関係人口に着目してはどうかと提案したいと思います。 関係人口は、地方への新しい人の流れをつくるための重要な施策の柱とされており、特定の地域に関心を持って多様な形で継続的なかかわりを持つ人々のことです。本県でも震災発災以来、県外や世界に多くの関係人口を持つに至り、岩手県の強みの一つになっておりますし、第2期ふるさと振興総合戦略の四つ目の柱に、岩手とつながるを掲げ、社会減対策の柱の一つにも据えてその拡大に取り組んできております。また、知事もマニフェストプラス39にて、関係人口の拡大から移住、定住につなげる施策を提言されております。 その成果と課題について、まずは端的に伺いたいと思います。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 本県での関係人口の量的、質的な拡大を目指し、遠恋複業課による外部人材と県内企業、団体とのマッチング、お試し就業やお試し居住機会の提供、地域おこし協力隊やふるさと納税制度の活用、SNSによる情報発信等の取り組みを進めており、岩手にかかわる人々や岩手に何らかの拠点を持つ人々である関係人口は、年々増加しているものと受けとめております。 具体的には、県内の地域おこし協力隊隊員数は令和元年度の201人から令和5年度は266人に増加、本県へのふるさと納税寄附件数は令和元年度の35万件から令和5年度は137万件へ増加、本県への単年度ごとの移住者数は、令和元年度に1、100人台であったものが令和5年度には1、800人台へ増加するなど、一定の成果につながったものと受けとめております。 一方で、こうした取り組みは全国自治体でも同様に展開されておりまして、岩手県とゆかりのある関係人口の方々が、さまざまな形で本県とつながりを深めるための取り組みをより差別化させ、岩手県の魅力を強く発信しながら実施していくことが重要と認識しております。 〇27番(佐々木朋和君) ただいま御答弁いただきましたけれども、課題という部分については、地方間の競争になっているということの半面、一方で、私は関係人口というものが法律に基づく概念ではないために、基本的な定義がいまだに明確ではなく、具体的な施策、効果測定が難しいことから、信頼性のある形で数値として押さえられていないといったことがあるのではないかと思っております。 関係人口を法律上明確に定義し、その上で、例えば1人の住民が居住地以外に一つだけ関係住民登録する制度を法制化し、地域の意思決定に参画しつつ、個人住民税の一部を当該市町村に移転するほか、地方交付税の算定上の基礎数値等として活用するなど、関係人口を地方財政制度上も検討すべき課題としてはどうかと考えますが、知事の見解をお示しいただきたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住んでいても一定の行政サービスが受けられるよう財源を保障するための制度でありますが、普通交付税の算定は、定住人口を基盤とする割合が高いことから、本県のような定住人口の減少が進む地域においては、地方交付税を含む実質的な一般財源が減少していく見込みとなっています。 こうしたことから、条件不利地域等の実情を踏まえ、地域の財政需要が適切に地方交付税の算定に反映されるよう、国に要望してきたところであります。 また、都市と地方の双方に生活拠点を持つ二地域居住を促進する初の関連法の施行を本年11月に控え、1人の住民が居住地以外に一つだけ住民登録する制度については、有識者が必要性を提言しているほか、他県において、能登半島地震を契機とした検討も行われているものと承知しています。 このほか、令和2年10月に開催された経済財政諮問会議において、二地域居住を前提とした地方税のあり方について民間議員から提言があり、国においても地方財政制度を含めた議論が行われています。 本県のようないわゆる人口流出地域において財政運営が厳しい状況となる中、関係人口を地方財政制度上の要素として捉えていくことは課題の一つであると認識しておりまして、今後においても、全国的な議論の動向も注視しつつ、全国知事会等とも連携を図りながら、地方財政制度の充実、拡充について国に対し引き続き要請してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) ぜひ、先ほども述べましたけれども、岩手県は震災を機に、関係人口ということで多くの応援者が岩手県外にもいらっしゃいます。そういった中にあって、岩手県からこういった考え方を発信していく、また、地方財政の中での分配の話ですから、国としても変更しやすいというか、さらに財源がかかるというわけではありませんので、ぜひとも知事会で議論を深めて、岩手県からこの動きを発信していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、人口減少対策について伺います。初めに、事務事業のゼロからの見直しと重点化について伺います。 来年度の予算編成で、全ての事務事業をゼロから見直して財政の健全化を進めながら、削除した分を重点課題の人口減少対策へ充てる方針が出されたことを質問の冒頭に申し上げました。 県は、令和5年9月の岩手県人口問題対策本部会議において、人口減少問題についてマクロ的視点から分析を行い、新たに令和6年度以降の少子化対策として有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策の三つの柱、令和6年度以降の社会減対策として、八つのポイントを挙げ、後に、岩手とのつながりの維持、強化、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上、ニューヨークタイムズ紙への掲載を契機とした交流人口、関係人口の拡大を三つの柱に、地域の実情を踏まえた対策を加えた方向性を打ち出しました。 岩手県の最重要課題である人口減少対策について、より詳細な分析が加わり、重点化するべきところが明確になり、総花的な政策になりがちな人口減少対策にめり張りがつくと期待をしておりましたが、本年度予算の政策推進プランの構成事業の廃止、休止は3.4%、終了が2.9%、継続事業は75.1%でありました。 端的に伺います。令和6年度当初予算編成において、自然減・社会減対策ほか四つの重点事項については、シーリングによる財源捻出の3倍相当の額の予算要求を認めるとされておりました。その重点事項である自然減・社会減対策は、旧来の人口減少対策で示した方向性よりも限定されたものだったのでしょうか、伺います。 もしそうだとしたら、それにもかかわらず大胆な事業のスクラップ・アンド・ビルドが起こらなかった原因をどのように捉え、令和7年度当初予算編成にどのように生かしていくのか伺います。 〇政策企画部長(小野博君) 令和6年度の人口減少対策関連事業につきましては、強化のポイントとして、少子化対策、社会減対策それぞれの三つの柱に加え、プラスワンとして市町村や地域的な取り組みの支援、強化の方向性を打ち出し、予算編成の重点化の方針とあわせ、めり張りのある事業展開を図り、前年度を上回る221億円の予算が措置されたところでございます。 また、事業のスクラップ・アンド・ビルドにつきましては、政策等の評価に関する条例に基づき、令和5年度の政策評価及び事務事業評価を実施し、令和6年度の政策等の立案、予算編成等に反映させてきたところであります。 この結果、政策推進プラン構成事業におきましては、52事業が見直しと評価され、その全ての事業で実際に見直しが図られたほか、5事業が縮減と評価されたのに対し、実際は6事業が縮減、2事業が廃止、休止と評価されたのに対し、実際は24の事業が廃止、休止されており、複数年にわたる取り組みが必要な事業や、また、国等と連携した継続が必要な事業等もある中で、必要なスクラップ・アンド・ビルドが図られているものと認識しております。 令和7年度の当初予算編成に向けましては、政策評価結果や令和6年度岩手県一般会計予算附帯意見等を踏まえ、また、予算要求上のインセンティブも活用しながら、積極的な見直しや再構築を行い、最大限の事業成果を生み出せるよう努めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) ただいまの御答弁では、スクラップ・アンド・ビルドは適切に行われたという評価だったわけでありますけれども、やはりそこは、果たしてそうだったのかというところをしっかりと見ていかなければいけないと思っております。 また、令和7年度に向けては、さらなる事務事業のゼロからの見直しという方針も出されておりますので、それに見合った見直しが行われていくのか、我々も議会の場からしっかりと見ていかなければいけないと思っております。 そういった中で、事業の重点化については、示された方向性や価値観に基づいて、実際に事業を立案する職員まで落とし込まれているかが重要だと思います。さらには、限られた予算の中で結果を出していくためには、先ほど方向性を示していただきましたが、その事業が示された方向性や価値観の範囲内にあるだけではなくて、真に効果的か、芯を食っているかというところが重要であり、これをチェックしていくのは、常に県民と接し、県民のニーズを肌で感じながら、選挙という関門をくぐり抜けて、県民から負託をいただいた我々県議会議員の仕事だと認識しております。 そのような観点から、昨年度の予算特別委員会では、確かに人口減少対策ではあるものの、i―サポの食事券等は、本当に芯を食っているのかと疑義が生じる事業に議論が集中し、附帯意見に具体的な事業が盛り込まれたものと理解しております。 常に県民と接し、県民のニーズを肌で感じながら、選挙という関門をくぐり抜けて、県民から負託をいただいたという点では、執行側である知事に予算編成の中で同じような役割が求められていると私は思います。 知事は、予算編成の知事査定において、どのような視点で事業を精査されているのか伺います。あわせて、令和7年度当初予算編成に向けて、現時点で見直し、重点化するべきポイントをどのように捉えているのか伺いたいと思います。 〇知事(達増拓也君) 経済、社会活動が多様化、複雑化する中、県民の行政に対するニーズも多様化、複雑化しており、それらのニーズを的確に把握しながら、県民一人一人に寄り添ったきめ細かな施策を展開することが重要であります。 そのような認識のもと、予算編成に当たっては、必要性、重要性、新規性、独自性、効率性、公平性、財政規律等、さまざまな視点から多角的、多面的に検討することが重要であり、毎年度の予算編成に臨んでおります。 令和7年度当初予算については、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る必要な取り組みの着実な推進と、人口減少対策など、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項を最優先課題と捉え、政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築を行い、最大限の事業成果を生み出せるよう、めり張りある予算編成を行ってまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 知事が選挙公約で挙げられたマニフェストプラス39について伺います。その中には、沿岸地域へのリハビリテーションセンターのサテライト施設の整備や、スポーツ医・科学センターの建設、県北地域への産業技術短期大学校の設置、各種路線の整備等、まとまった予算が必要なものもあります。 限られた予算の中でどのように予算確保し進めていくか示す時期に来ていると思いますが、所見を伺いたいと思います。 〇知事(達増拓也君) マニフェストプラス39に盛り込まれた施策はそれぞれ熟度が異なっており、その進捗状況に応じて、例えば、福祉と生活を支える一元的な相談支援体制の構築などのように、随時その計画等をお示ししているところであります。 佐々木朋和議員御指摘のとおり、建設投資には相当規模の事業費が必要となりますので、引き続き国費や有利な地方債の活用に加え、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでの財源確保の取り組みを一層強化するとともに、事務事業の精査を通じためり張りある予算編成を行いながら、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、マニフェストプラス39を初めとした必要な施策の推進に取り組んでまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 今の点で再質問させていただきます。めり張りをつけてということですが、知事が掲げるこのマニフェストプラス39の事業については、先ほど私も申し上げました、シーリングで余った分について3倍予算を認めるといったことの中に入っていくものなのか、また別なことなのか。 県の予算編成の中で、その立ち位置が見えにくいと思っておりますが、その点については、知事はどのようにお考えでしょうか。 〇知事(達増拓也君) そこは、人口減少対策に資するもの、デジタルトランスフォーメーションに資するもの、グリーントランスフォーメーションに資するもの、安全・安心、そういった危機対応関係のもの、それらを優先するという、先ほど述べたような視点でやってもらえばいいと思っています。 〇27番(佐々木朋和君) ということは、そちらのほうを重点にするけれども、逆に言うと、知事の進めるマニフェストプラス39については、何%分のシーリングで削減分に入っている中から捻出していくというイメージなのでしょうか。 〇知事(達増拓也君) 一つ一つについて申し上げていけば、例えば、マニフェストプラス39の最後は財政規律をきちんとやって無駄遣いをしないようにということで、それはまさに全体に共通する内容なのですけれども、マニフェストプラス39は、人口減少対策に資するもの、そして、またそれと非常に関係が深いデジタルや環境にかかわるもの、そして、目の前のさまざまな喫緊の課題に対応するものというところに重点を置いて選挙に臨んで準備したものでありますので、そういう意味では、このマニフェストプラス39が、取り立てて取り残されていくわけではないと考えております。 〇27番(佐々木朋和君) 取り立てて取り残されていかないということを聞いてほっとはしましたけれども、やはり、今、知事が選挙で当選されて、本格的に予算組みをする次年度に向けての予算編成を迎えるわけですから、ぜひとも、このマニフェストプラス39の中でも、これは進めるという達増知事の色を出して、県の予算編成の中でしっかりと位置づけて進めていくと、そういったことが県民の皆さんにも見える化していくところなのではないかと思います。 また、知事の査定の中にあっては、私は芯を食ったという表現をしましたけれども、そういった目線で、方向性の中に入っていたとしても、これは範囲の中に入っているけれども、ちょっとどうかなというところは、ぜひとも積極的に判断をされて、何をやるかということも大事ですけれども、何をやらないかということも、こういった厳しい財政状況では、重点化していくには必要なことだと思いますので、しっかりと行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次の質問に入らせていただきますが、昨年度のマクロ分析に続き、本年度は、さらにミクロの視点から分析がなされております。 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の令和5年12月改訂に際して、このマクロ分析による少子化対策、社会減対策の新たな方向性に対応するために、女性の雇用、労働環境関連のKPIを加えたことは大いに評価をいたしておりますが、詳細分析に対応したさらなる指標の追加が必要に感じます。 さらに、追加だけではなく変更や整理も必要です。現在は、令和6年度以降の少子化対策、社会減対策の方向性として、それぞれ三つの柱プラスワンが示され、事業立案の指針となっておりますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略には四つの柱があり、さらに、その上位計画として、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランには10の政策分野が示されており、重点項目が埋もれてしまわないか懸念を抱きます。 今後、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、コロナ禍が明けて見直しを加えるタイミングも来ると思います。コロナ禍によって我々の社会や価値観も大きく変わった分野もあります。 この見直しの機会を小幅な変更でおさめるのではなく、新たな人口減少対策の方向性や新たな生活様式に合致するように、KPIの追加や整理に臨むべきと思いますが、所見を伺います。 〇政策企画部長(小野博君) 第2期ふるさと振興総合戦略は、国の総合戦略を勘案し、いわて県民計画(2019〜2028)の人口減少対策に関する取り組みを踏まえてまとめたものでございます。総合戦略のKPIや第2期政策推進プランの具体的推進方策指標などを踏まえた政策評価の仕組みに基づきまして、人口減少対策の推進におきましても、PDCAサイクルを確実に機能させているところであります。 また、一昨年度の第2期政策推進プランの策定に当たりましては、先ほど佐々木朋和議員からお話しいただきましたように、県議会での御意見等を踏まえまして、女性活躍の観点から、女性の全国との賃金格差をいわて幸福関連指標に新たに追加するなど、そうした視点も踏まえて見直しを行ったところでございます。 KPI、それから、指標目標値につきましては、佐々木朋和議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行やコロナ禍におけるDXの進展など、社会経済情勢の変化を踏まえた見直しが必要でありますことから、現在、その作業を進めております。 また、人口減少対策につきましても、社会経済情勢や国の動向等も踏まえながら、施策の展開、充実強化を図りまして、必要に応じて事業の効果測定に有効な指標の追加、また、整理について弾力的に対応してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 前向きな答弁と捉えさせていただきたいと思います。 私は、毎年分析を行って、より、この人口減少という未知の課題に対してアプローチをしていっている姿を大変評価しております。一方で、それに対して、事業の立案をして、あとは、大方針と事業立案と評価の仕方がしっかりと連動していくことが、精度の高い政策につながると思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。 そのミクロ的な視点の要因分析の途中経過でありますけれども、若い世代の男性のアンコンシャスバイアスが強い傾向にあるとの報告がありました。知事も、性別に関するアンコンシャスバイアスを解消することがますます重要になっていると人口問題対策本部会議で述べられております。一方で、事業立案の段階でどのように落とし込んでいくのか、難しい分野でもあります。 現状、どのような取り組みの方向性をお考えなのか、知事に所見を伺います。 〇知事(達増拓也君) 先月開催した第2回人口問題対策本部会議においても、男女の役割分担意識といったアンコンシャスバイアスが根づいていることが明らかになっており、本県における進学、就職期の若者、女性の転出超過への対策のためにも、意識改革を通じてこれを解消していくことが大きな課題です。 このため県では、経済団体などと連携し、いわて女性活躍エグゼクティブアドバイザーによる経営者の意識改革に向けたセミナーの開催、いわて女性の活躍促進連携会議女性の就業促進部会による男性経営者との学習会、意見交換会の実施、いわて男女共同参画センターによる企業、団体等への出前講座の開催、家事、育児の分担を見える化する家事・育児シェアシートの作成、普及、専門家の派遣による若者、女性に選ばれるモデル企業の創出など、さまざまなアプローチにより取り組んでいるところです。 このような取り組みを行政、企業、県民が連携して積極的に展開していくとともに、育児休暇のさらなる取得や、総実労働時間の削減といった男女の働き方改革の面からのアプローチも強化していくことで、性別にかかわらず、一人一人が生き生きと活躍できる社会を実現してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 人の主観、内面にかかわることですので難しいとは思いますけれども、ぜひ先進的に取り組まれて、岩手県から、また新たな政策として全国に発信できるような取り組みになることを期待したいと思います。 次に、最低賃金引き上げとローカル中小企業支援について伺いたいと思います。 岩手地方最低賃金審議会で、最低賃金の引き上げ額が過去最大59円、引き上げ率でも全国2位の答申が出されました。本県の人口流出への歯どめに一定の効果がある事由と評価いたします。また、知事の働きかけも重要な役割を果たしたと評価いたします。 一方で、中小企業を含めた県内事業者が賃上げに耐え得るようしっかりと支援をしていかなければ、失業者がふえ、本末転倒の事態となりかねません。県には、国に支援策の拡充を求めることはもとより、県としてもしっかりと県内事業者を支える体制整備をお願いしたいところです。 エネルギー価格、物価高騰等に伴う事業者の影響調査によれば、本県中小企業者は厳しい状況にあり、価格転嫁を実現した事業者が一部転嫁を含めて63.8%であるものの、人件費引き上げ分を転嫁できた事業者は31.5%にとどまり、その一部価格転嫁できた転嫁率も10%未満が42.9%、10%から30%未満が35.8%という状況であり、価格転嫁への機運の醸成が必要です。 また、昨年度から今年度9月分の給与引き上げまでが期間の物価高騰対策賃上げ支援金の申請状況は、9月19日現在、申請が1万8、241人分、支給実績が1万6、925人分と確保枠4万人の半数以下となっております。支援金の要件である時給50円以上の賃上げのハードルが高いという声も聞かれましたが、今後、それを上回る賃上げに対応していかなければならない中小企業へ継続的な支援が不可欠です。 物価高騰対策賃上げ支援金の制度設計や活用状況をどのように評価していますか。残予算の今後の活用も含め、お示しをください。また、全国知事会議では、人口減少に歯どめをかけるためには、地方中小企業の労働生産性の向上が重要であるとの指摘があったとお聞きしております。それを受けての知事の中小企業支援の方向性をお示しください。 〇知事(達増拓也君) 物価高騰対策賃上げ支援金については、民間の調査結果をもとに、県内の2、000事業所が1時間当たり50円以上の賃上げを行うと見込んで予算化したところでありますが、令和6年9月19日現在、見込みを上回る2、562事業所からの申請を受け付けております。 このように、価格転嫁が厳しい小規模事業所を中心に、多くの事業所に活用いただいている状況から、賃上げの促進に効果を上げていると考えております。 一方、引き続き中小企業を取り巻く経営環境が厳しい中で、最低賃金が大幅に引き上げられることなどを踏まえ、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す経済対策を国に働きかけながら、商工指導団体を初めとした関係団体等との連携のもと、今後の対応を検討してまいります。 また、中小企業支援の方向性については、全国知事会議での冨山和彦氏の講演における提言のとおり、日本全体のGDPの7割、雇用の8割を占める地方の中小企業の労働生産性の向上が、人口減少対策を進める上で特に重要であります。 このため、物価高騰対策賃上げ支援金とあわせ、中小企業等賃上げ環境整備支援事業費補助金などにより、経営革新を図りながら生産性向上に取り組む中小企業に対する伴走支援を展開しているところであります。 中小企業の生産性向上を進めるに当たっては、商工指導団体が果たす役割が大きいことから、今後も、これらの体制の維持、強化を図りながら、中小企業を取り巻く環境に対応した必要な施策を展開してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 今の答弁で、予想を上回る申し込みがあったということでありました。事業所数ということでしたけれども、ということは、今回の予算の執行に当たっては、残予算は余り見込まれないということでよろしかったでしょうか。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 対象人員数につきましては、対象の2、000事業所に1事業所当たりの上限とする20人を単純に乗じた4万人と見込んでおります。それに見合った予算を確保しております。 対象人員が御指摘のように下回っておりますけれども、その要因といたしましては、20人未満の事業所が全県で89.3%を占めております。20人未満にもさまざまありまして、全部が20人ではございませんので、予算は想定よりも多く確保したということです。 それは、県内にある企業のおおむね5%か6%が50円以上の賃上げをすると見込んだところでございます。もっと多い事業所が賃上げする可能性もありますし、そこのあたりは十分な予算を確保したということです。残額は生じるのではないかと思っておりますけれども、見込みを上回る事業所が50円以上の賃上げをしているという状況でございます。 〇27番(佐々木朋和君) この賃上げについては、この要件は1年間その賃上げで行けばいいということなのですけれども、企業にとってはそうはいかないわけで、上げたものを下げるということはなかなかできない。また、してもらっても趣旨としては困るというところの中で、やはり継続的な支援が必要なのではないか。財源もかかりますけれども。 その点について、例えば残予算を使って、あるいはそれに足して、今後に向けて同様の制度、あるいはブラッシュアップした制度を行うという検討はされているのか、お伺いしたいと思います。 〇企画理事兼商工労働観光部長(岩渕伸也君) 今回の事業の残予算をそのまま引き続き活用することは、予算の仕組み上、難しいと考えております。 一方で、先ほど知事が答弁申し上げましたとおり、やはり県内の中小企業を取り巻く環境が厳しい中で、大幅に引き上げますので、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を目指す経済対策を国に働きかけながら、商工指導団体等を初めとした連携のもとで、今やるとはっきり言えませんけれども、今後の対応をしっかりと検討してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 明言ができないだけで考えているのだということが伝わるような答弁でした。 知事が述べていただきました設備投資の分についても、1億円の予算で200万円の上限なのですね。そうすると、広い県内で33者分ということです。これについても、それで十分なのかという議論があろうかと思います。 先ほどの知事会議の講演会の中でも、ローカル中小企業の振興が重要だという話もありまして、それについて知事も賛同されていると認識しております。ぜひとも、国に働きかけるとともに、県としてもしっかりと財源を確保して取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 また、当面、人口減少局面が続く中で、本県の労働生産人口を維持していくためには、外国人労働力に頼らなければならない状況は避けがたい現実です。 本県同様に半導体産業の集積が進む熊本県では、外国人材に選ばれる熊本を目指して、地域住民と外国人の誰もが安心・安全に暮らせる多文化共生のまちづくりを進めています。市町村が行う外国人受入連絡協議会の設置や、住民交流型の地域日本語教室の開催等を積極的に支援しており、その結果、現在までに県内六つの市町村で協議会が立ち上がり、15市町村で日本語教室が運営されています。 隣県の山形県、秋田県、宮城県でも取り組みは進んでおり、予算を拡充しております。宮城県では、知事がリーダーシップを発揮し、大崎市に公立の日本語学校を設置するとお聞きしており、同じくILC―国際リニアコライダー実現に向けて取り組む隣県として見習うべきものもあるのではないでしょうか。重点項目化し予算を拡充するべきです。 本県では、ちょうど多文化共生推進プランの策定時期となります。外国人材に選ばれる岩手を目指す視点で、災害や病気のときにも安心して暮らせる環境づくり、地域の人たちと交流しながら外国人材も御家族も、日本語が学べる環境づくりに取り組んでいけるようなプランをつくっていくべきと思いますが、所見を伺います。 〇ふるさと振興部長(村上宏治君) 次期多文化共生推進プランの策定に当たり、外国人材に選ばれる岩手という視点のもと、災害時や病気などの際の対応、日本語の学習環境の充実などに取り組んでいくことは、重要な考え方であるものと認識しております。 県ではこれまで、外国人を対象とした防災訓練や災害時多言語サポーターの育成に取り組んできたほか、地域日本語コーディネーターによる地域の日本語教室の開設支援、居住地域に日本語学習環境のない外国人等の日本語学習機会を確保するため、オンラインによる日本語講座の提供等を行ってまいりましたが、次期プランにおきましても、こうした取り組みの充実は必要であるものと考えております。 人口減少が進む本県において増加傾向にある外国人県民等は、ともに地域づくりに取り組んでいく重要なパートナーであります。アンコンシャスバイアスをなくし、国籍等に関わらず、岩手県を支える人材の確保、定着について、市町村と連携を強化しながら、岩手県が外国人材に選ばれる地域となりますよう取り組みを推進していくことが重要でありまして、今後、パブリックコメント等によりさまざまな御意見も伺いながら、新しいプランの策定を進めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 人口減少の中で外国人県民の重要性というところ、また、選ばれる地域を目指すというお言葉をいただきまして、よかったと思っております。旧来までの役割、目的等にプラスして、そういった意味合いも強くなっているということをぜひ御認識いただきまして、その分、予算の拡充も必要かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、農業施策について伺います。 令和6年度における圃場整備の状況は、受益面積66地区、5、458ヘクタールのうち40.6%の進捗となっております。経営体育成基盤整備事業は、調査着手から事業採択までに3年から7年、完了まで7年から14年かかります。現在の事業実施期間にある66地区の後には、計画調査期間地区が27地区。合意形成期間の地区が29地区残っていますが、2020年農林業センサスによると、岩手県の基幹的農業従事者の平均年齢は69歳であり、また、農業就業人口が減少する中で、基盤整備完了後の農地をどのように守っていくのかが喫緊の課題です。 農業従事者が高齢化、減少傾向にある中で、基盤整備をどのように進めていくのか、国に対して予算の重点配分や事業の早期完成を求めることはもちろんですが、県としても政策に工夫が求められます。 時間がかかる大規模圃場整備事業を選ぶ理由は、農家の負担割合が少ないからであり、調査から着手、完了まで比較的短く整備が完了する中規模、小規模な制度について、農家の負担割合を軽減するような補助を検討する。または、市町村と協調してRTK基地局を基盤整備事業完了に合わせて設置したり、田んぼの傾斜を無人草刈り機が入れるような仕様とするよう指導するなど、省力化に資するICT活用のための取り組みを進めることも有用と考えます。 県は、現状をどのように分析し課題解決に向けて取り組んでいるのか、今後の方向性を伺います。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 農業従事者の減少、高齢化が進行する中、農作業の省力化や効率化など、担い手がスマート農業の導入等による生産性の高い農業に取り組むことが可能となるよう、基盤整備を着実に進めていくことが重要であります。 また、本県は中山間地域の農地が多く、他県に比べ整備単価が高い傾向にあり、近年では建設資材等の価格が高騰していることから、整備コストの縮減を図ることが必要と考えています。 このため県では、ロボット草刈り機に対応する緩傾斜のり面や水位を自動制御する給水施設等のスマート農業が可能となる整備を圃場整備と一体的に実施するほか、中小規模の整備地区では畦畔撤去などの負担の少ない簡易な整備を支援しています。また、整備が完了した地区では、市町村等によるRTK基地局や自動給水施設の設置支援にも取り組んでおります。 さらに、整備コストの縮減に向けまして、計画調査から設計、施工までの各段階におけるコスト縮減策を今年度内に策定することとしておりまして、県としましては、建設コストの縮減と予算のさらなる重点化を図るとともに、国に対し、十分な予算を措置するよう繰り返し求めながら、スマート農業が可能となる水田の大区画化や中山間地域でのきめ細かな整備など、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう取り組んでまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 農業者の皆さんも、高齢化が進む中で今のスピードの基盤整備ではなかなか間に合わないのではないかという危機感、また、時間がかかるからということで基盤整備を諦めてしまうところも出てくるのではないかといった懸念があります。そういった中では、既存の事業もですけれども、例えば、先ほども言っていただきましたが、小規模、中規模の基盤整備について、さらなる上乗せをしていくといったことでもそういった対策にはなるのではないかという思いもしておりますので、ぜひともさまざまな角度から検討いただければと思います。 2024年度産米のJA概算金について、本県ひとめぼれが過去最高額、昨年より大幅増の1万7、000円、銀河のしずくも1万7、500円となりました。資材や燃料価格の高騰によって依然厳しい経営が強いられている農家の現状に鑑みれば、物価上昇に見合った価格で取引が続いていくように注視しつつ、県産米のブランド化に注力していかなければなりません。 一方、県産米の全体のブランド力向上のためのフラッグシップ米として期待を受ける金色の風ですが、全量買い取りとなっているものの、価格は公表されず、食味ランキングについても、作付面積1、000ヘクタール以上などの要件を満たさずに評価対象外となっております。 金色の風そのものは、全農岩手県本部が設定している相対基準価格は全国の中で第7位と聞いており、市場評価は高いのですが、フラッグシップ米としての役割は十分に果たされているのでしょうか。 また、金色の風そのものの品質についても、高値で取引されている反面、倒れやすく、収量を考えるとひとめぼれのほうが経済性にすぐれているとの声も根強くあります。関係団体からは、高温耐性を持つ県オリジナル品種育成の要望も上がっています。 県の金色の風のフラッグシップ米としての役割も含めた評価と品種改良の現状、新たなフラッグシップ米の品種育成の考え方をお示しください。 〇農林水産部長(佐藤法之君) 本県では、金色の風を県産米のフラッグシップと位置づけ、県と農業団体等がともに高品質、良食味米の安定生産に取り組んできたところです。 これまでの取り組みにより、米のヒット甲子園でトップナインに3年連続で選出されたほか、高価格帯米を販売する米穀専門店を中心に取引され、高い評価を得るとともに、県産米のブランドイメージの向上に貢献しているところであり、こうしたフラッグシップ米としての評価をさらに高めていくため、食味や品質にこだわった金色の風〜雅〜や減農薬等に関心を持つ消費者向けの特別栽培米の生産拡大に取り組んでいます。 一方、収量が上がりにくいことや倒伏しやすいことなどが課題となっていることから、県では、公益財団法人岩手生物工学研究センターと連携しながら、金色の風の改良を進め、現在、収量や倒伏のしにくさ、食味等を調査し、今後、農家の圃場での特性調査を実施することとしておりまして、早期に成果が得られるように取り組んでまいります。 〇27番(佐々木朋和君) よろしくお願いしたいと思います。 次に、地域医療と福祉体制の充実について伺います。 本年度からスタートした岩手県保健医療計画では、人口減少と患者の受療動向により、入院、外来ともに減少傾向にある中、疾病・事業別医療圏を新たに設定し、拠点病院を設けることとしました。 さらに、岩手県立病院等の経営計画では、基幹病院をセンター、機能集約・強化、ケアミックス・連携強化の三つに、地域病院を準広域、地域密着の二つに機能分化し、ハイボリューム化を進める一方で、地域病院は守り、県立病院全体としての令和12年度10億円の黒字化を目指す方針が示されました。 他県においては、統廃合を含む大胆な経営健全化策がとられる中、本県においては紫波地域診療センターの廃止のみの判断となりましたが、今回のハイボリューム化によって、医師確保や地域病院への応援体制にどのような効果が出ると期待しているのか。あわせて、経営健全化に向けて、ハイボリューム化による受療動向の変化を含めたプラスの影響と、県立病院全体への一般財源からの繰入金の変化についてお示しいただきたいと思います。 〇医療局長(小原重幸君) ハイボリューム化の効果についてでありますが、新専門医制度開始以降、専攻医や専門医は、症例数や手術数が多く指導医が充実している病院を研さんの場として選ぶこともあり、症例数等の集積を進めるハイボリューム化の取り組みは、今後の医師確保、定着に確実につながっていくものと考えております。 県立病院としては、奨学金養成医師を中心に医師の増員を図り、地域病院への応援体制を充実させるとともに、勤務履行後の定着を進め、地域病院の常勤医となる人材の育成も進めてまいります。 また、経営の視点からは、診療報酬上、スタッフの配置数や一定の症例数があることによって届け出ることのできる施設基準等もあり、ハイボリューム化によって、圏域を越えた積極的な患者の受け入れや、より高い診療単価の獲得を図るほか、サイバーナイフ等の新たな医療器械の導入により、県外に流出している患者の取り込みも図ってまいります。 繰入金に関しては、不採算地区医療や救急、精神といった政策医療の分野が多いことから、今回のハイボリューム化による大きな影響はないものと考えております。 〇27番(佐々木朋和君) 今、受療動向の変化について、圏域を越えて積極的に取り組んでいく、また、県外へ患者を逃さないといったような決意の言葉もあってよかったと思っています。 また、さらに、ハイボリューム化をしたからには、また県立病院がこれほどそろっている県はありませんので、ぜひ他県からも積極的に受け入れられるような取り組みをしていただきたいと思います。 また、繰入金については、そのままだという話もありました。医療を守っていくという視点では理解するところですが、県立病院そのものの黒字化の外に繰入金の問題ということもありますので、しっかりとこの辺も検証しながら、繰入金について、将来的にどの程度にしていくのか。冒頭申し上げましたが、これから財政が厳しいという中にあって、どこまで持ちこたえられるかというのがあると思いますので、しっかりと検討していただきたいと思います。 岩手県立病院等の経営計画では、全ての県立病院でオンライン診療を行うとされておりますが、現行の法律の中でどのようなことを想定しているのか。医師の負担、患者の負担、県立病院経営、それぞれの観点からの影響をお示しください。 〇医療局長(小原重幸君) オンライン診療についてでありますが、医師法第20条では直接の対面診療を原則としていますが、国の通知において、離島、僻地などの往診または来診や慢性期疾患など病状が安定している患者は、オンライン診療が行えるものとされているところであります。 さらに、オンライン診療が適正に推進されるよう、国が定めたオンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針におきましては、居宅等と医療機関の距離、移動手段などのため頻繁な移動が難しい場合、遠隔地の専門性の高い医師との連携が必要な場合、感染リスクの軽減につながる場合などの具体例が示されているところであります。 県立病院等の次期経営計画では、患者、家族の通院等に伴う負担軽減や医師の診療応援に係る移動時間の削減などを目的として、特に県立病院間の連携や介護施設等との連携のほか、通院困難や特殊事情を抱えた在宅患者との連携におきましても、オンライン診療の取り組みを進めることとしております。 オンライン診療の実施により、患者等におきましては、地域で専門的医療や栄養指導が受けられるメリットや感染リスクの軽減などに加え、遠隔地の家族に対する病状説明への活用が期待できるものであります。 また、医師におきましても、移動時間の軽減等により働き方改革へ寄与するものであり、また、経営面では、通常診療の充実や医師の交通費の削減につながるものと考えております。 引き続き、患者ニーズや病状などを踏まえて、全病院でオンライン診療を実施できるよう取り組んでまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 法律の縛りはありますけれども、ある一定程度進めることができるという印象を受けました。ぜひ進めていただきたいと思います。 疾病・事業別医療圏と新たな拠点病院の設定、基幹病院、地域病院の役割分担により、患者の通院や応援医師の通勤にも変更が生じます。 本年度で第2期いわての産業や医療を支える社会資本の整備による活力ある県土づくりの推進、社会資本総合整備計画が終了となりますが、新たな医療を支える道路の整備が必要と考えます。検討状況はどのようになっているのか伺います。 〇県土整備部長(上澤和哉君) 本年3月に策定された岩手県保健医療計画(2024〜2029)における疾病・事業別医療圏の設定については、医療のデジタル化の推進や復興道路などの整備状況を踏まえたものであると承知しております。 また、県の道路整備においては、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、二次保健医療圏外への搬送も含めた救急搬送ルートの整備を推進しているところでございます。 今後の社会資本総合整備計画の策定に当たっては、新たな疾病・事業別医療圏を踏まえた拠点病院へのアクセス状況などについて、関係部局とも情報交換しながら、引き続き地域医療を支援するため、必要な道路整備の進め方を検討してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) また、緊急を要する心血管疾患、脳卒中圏域の広域化に伴い、夜間飛行可能なヘリコプターの整備の必要性も検討するべきと思いますが、所見を伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 国内におけるドクターヘリについては、安全性の確保を第一とした有視界飛行を行っておりまして、運航開始以来、一度の人身事故もなく運航が続けられてきたところであります。 夜間飛行につきましては、視界の確保が難しいことに加えまして、操縦士等の人員確保や騒音対策が必要となるなどの課題がありまして、国内におけるドクターヘリの夜間運航は、制度上は認められているものの、現在までに実施している都道府県はないところであります。 広大な県土を有する本県において、医療機関への迅速な患者搬送に重要な役割を担っているドクターヘリの夜間運航については、県としても、救急搬送の有効な手段と認識しているところでありますが、現時点におきましては、今申し上げました課題もありますことから、今後の新しい技術の進展や国の動向などを注視しながら検討してまいります。 〇27番(佐々木朋和君) いずれ、県立病院だけの整備ではなくて、その周辺環境の整備をすることによって、医療圏の広域化というところへの県民の心配にもしっかりと応えていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、医療的ケア児の支援について伺います。 医療的ケア児支援法の家族の離職防止という立法趣旨からすれば、県内どこに住んでいても、受けたいときに訪問介護やデイサービス、日中一時預かり、ショートステイなどの各種サービスを受けられる環境が理想ですが、現状、医療的ケア児が実際に活用できるサービスは限られています。 私の住む両磐地域においても、ショートステイを受け入れている施設があっても、重度心身障がい児は受けられない、施設入所の順番待ちの方を優先してショートステイを利用させているという現状です。 県も、在宅超重症児(者)短期入所受入体制支援事業費補助金にて、超重症児・者を受け入れた医療型、福祉型短期入所事業所へ市町村と連携して補助する等支援を行っておりますが、新規で手を挙げる事業者は少なく、在宅超重症児(者)短期入所事業所機器整備費補助金を活用し、新たに受け入れ体制を整備、拡充した事業所は、令和元年度が2件、令和5年度は1件にとどまっております。 県は、県内どこに住んでいても受けたいときに訪問介護やデイサービス、日中一時預かり、ショートステイなどの各種サービスを受けられる環境を整備していく上で、課題をどのように認識しているのか伺います。あわせて、今後の施策の方向性についても伺います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 医療的ケア児等にも対応できる事業所を確保するためには、医療的ケアの複雑さや個々の疾病にも対応できる専門的スキルを持つ看護職員の配置が求められるなど、人材育成や人的体制の確保が課題であると考えております。 そのため、県ではこれまでも看護職員を対象とした医療的ケア児支援者育成研修や、医療的ケア児支援センターによる出張講座などの実施により、事業所における医療的ケア児への対応力向上に取り組んでまいりました。 また、事業者のさらなる参入を促すため、今年度は地域で医療的な見地から助言などを行う医療的ケアアドバイスチームを創設し、地域の中核的な医療機関との連携体制の構築により、医療面の不安の軽減を図ることとしております。 さらに、医療的ケア児支援センターにおいては、医療的ケア児及びその御家族と地域の事業者とのマッチングの機会を設けるなど、担い手の拡充を図りながら、当事者のニーズを踏まえたサービス提供に向けた環境整備を進めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) さまざま取り組んでいただいていることには、感謝を申し上げたいと思います。一方で、受け入れをしてくれる施設がなかなかふえない、また、コロナ禍もあって、高齢者施設で単発で受けていただけるところが、思ったほど手を挙げていただけないという現状にあるのかと思います。 そういった中にあっては、次に考えられるのは、広域を一事業者に担当していただくことです。例えば、訪問介護については、移動距離があるとなかなか費用的に大変だと。各地域に訪問介護等の事業所があればいいのですけれども、そういった事業所がない中にあっては、移動費の補助ということも検討すべきではないかと思います。その点については、検討状況等どのようになっているか伺いたいと思います。 〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 佐々木朋和議員から御紹介あったような事案についてですが、岩手県は非常に県土が広いですので、やはり訪問介護でありますとか、訪問看護、両方につきましては、都会と比べて移動に係る経費が非常に多くかかるということがございます。 一方で、障がい者支援事業や介護保険事業については、いわゆる公定価格という形で、事業者にかかり増し経費を転嫁することがなかなか難しいといった課題があります。広域的な展開というのは、やはり岩手県に限らず、僻地、山間地を抱える全国どこでも求められていると感じております。こういった障がい福祉サービス報酬、基本となる報酬のところで、そういった部分、特に昨今の物価高騰で事業所は移送費が大変だと伺っておりますので、まずは障がい、介護サービス報酬の引き上げ、遠隔地からの送迎に係る支援加算の新設等を国に対して県では要望しているところでございます。 まずは、国に対してこういった要望を行いながら、事業者のお声なども丁寧に伺いながら、県としての取り組みのあり方については検討してまいりたいと思います。 〇27番(佐々木朋和君) 要望していただいているということで、その点については感謝いたしますけれども、県としても、ぜひ取り組んでいただきたい。施設整備についての予算もとっていただいているわけですけれども、こういった社会情勢の中で伸び悩んでいるという部分にあっては、それこそ、予算をそちらに振り向けるとか、あるいは、事業者の負担軽減という意味では、研修についての補助といったことも考えるなど、事業者への支援をぜひとも拡充いただくことが、参入も促すことになるのかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、教育環境の整備について伺いたいと思います。 人口減少、少子化が進む中にあって増加傾向にあるのが、先ほども述べました、特別な支援を要する子供たちと不登校児童生徒です。子供たちの居場所をつくることは、将来の岩手を担う人材を育成すること、そして、保護者の離職を防ぐことによる今を支える世代の活躍にもつながる重要な人口減少対策の一つと私は考えます。 特別支援学校の高等部については、令和4年9月定例会の一般質問で、卒業後の自立や就労の実現に向け、職業教育にかかわる教育環境や人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要であることから、広域圏を単位として設置しているものとの答弁をいただいております。 一方で、医療的ケア児にとって、広域での移動は親子ともどもに負担が大きく、だからこそ小中では移動負担の少ない分教室に通っているという実情がある中で、答弁をいただいたような高邁な教育理念だけで片づけられない一面があります。 今、東磐井地域に住まう医療的ケア児の皆さんは、看護師のケアを受けながら県立一関清明支援学校千厩分教室に通うことができています。しかし、高校に上がると、車で50分離れた本校や分校に通わなければならなくなります。実際に通学困難を理由に高等部への進学を断念した生徒もおりました。 旧東磐井地域では、千厩町の医療機関で土日のみ日中一時預かりがスタートしましたが、ほかにレスパイトできる施設も少なく、学校に通えないことが生活の行き詰まりにつながってしまう現状です。 医療的ケア児支援法では、地方公共団体の責務のほか、学校設置者の責務を明示されています。それにあわせて、いわて特別支援教育推進プランの支えるの指標に、県立学校における医療的ケアが必要な児童生徒が、医療的ケア看護職員による医療的ケアを受けた割合100%を2028年まで継続することを掲げておりますが、この指標に、通学が困難でそもそも高等部を断念した子供はカウントされません。 県教育委員会の方針にも、医療的ケア児支援法の医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資することという目的が反映されるべきではないでしょうか。 さきの答弁で、今後の分教室設置の必要性については、令和6年度からの次期いわて特別支援教育推進プランの作成に当たり、各地域の状況の整理を行うとともに、市町村等からの御意見等を伺いながら検討を進めていくという言及がなされております。 また、岩手県立特別支援学校整備計画において、分教室における教育環境の充実─岩手中部、両磐、二戸の政策分野において、高等部分教室設置について検討すると言及しておりますが、改めて、県の方針と検討結果について伺います。 〇教育長(佐藤一男君) 特別支援教育を推進するに当たっては、障がいの重度、重複化や多様化等の状況を十分に踏まえつつ、障がいのある児童生徒等の一人一人の教育的ニーズに応じた指導、支援の充実を図っていくことが重要であると認識しております。 特別支援学校高等部分教室の設置につきましては、岩手県立特別支援学校整備計画に示しているとおり、生徒数の動向や全体的な学校配置のあり方、教育内容の充実の観点などを勘案し、総合的な視点により検討を進めることとしております。 また、令和6年3月に策定したいわて特別支援教育推進プランにおいては、特別支援学校における教育諸条件の整備、充実を掲げ、これまで各分教室の児童生徒数の動向や個々の障がいの状況等の情報の収集や分析に努めてきているところです。 引き続き、障がいのある児童生徒等の多様なニーズに対応した教育環境の整備、充実や学びの場の保障について、関係機関と連携を図りながら検討を進めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 検討結果をお聞きしたのですけれども、今検討中ということでしょうか。また、検討期間というのはどのように設けていらっしゃって、また、その方針について、いつ発表なさるのかお聞かせいただけませんでしょうか。 〇教育長(佐藤一男君) ただいま申し上げましたとおり、児童生徒数の動向等の情報収集、分析をしているところでございますが、過去10年間の千厩分教室の在籍者の数を見ますと、横ばいという状況になっております。それから、千厩分教室の生徒が、本校、一関清明支援学校の高等部に進学している方は6名であり、スクールバスで通われている。それから、千厩分教室には1名の医療的ケア児がいらっしゃるところから、現状で、こういう状況も踏まえながら、高等部設置が妥当なのかどうかということも含めて、総合的な視点から検討を続けていく必要があろうかと思っております。 〇27番(佐々木朋和君) 横ばいというお話がありましたけれども、ふえたからどうだということではなくて、やはりニーズがあれば検討していただきたいと思います。 また、学びやという、教育という目的があるのはもちろん承知しておりますけれども、広い県土の中にあって、また、先ほどの保健福祉部との議論の中でも、なかなかレスパイト的な受け入れをしてくれるところがないという県の状況の中にあって、高等部に通えないことがどれほどの影響があるものなのか。そういった部分もぜひとも勘案いただいて検討いただきたいと思います。 今、1人生徒がいらっしゃるという話でしたけれども、その方が、次の進路について考える十分な時間を持った中で結論を出すような優しさのある検討をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 また、その高等部の就労支援ですが、現代社会に合った取り組みがなされているのでしょうか。いわて特別支援教育推進プランにおいて、指標をいわて特別支援学校就労サポーター制度登録企業数に設定していますが、その数も増加傾向にあり、一般企業との連携が強化されていることは評価する半面、進路そのものは、一般就職が3割、ほかに就労継続支援A型、B型か生活介護、施設入所という選択肢になりがちだという声をお聞きします。 就労を通して我が子が社会とのかかわりを持ち、やりがい、生きがいを見つけてほしいというのが親御さんの思いです。そのためには、現代に合った多様な就労の選択肢があってよいのではないでしょうか。 本県では、花巻市のるんびにい美術館や盛岡市のヘラルボニーによる障がい者アートをビジネスに転換する取り組みが進められております。このような取り組みを他の分野にも拡大できないでしょうか。 例えば、ICT技術を活用した取り組みです。県内のあるテレビ局では、番組で使う字幕スーパーを全国の障がいのある方に委託でお願いしているとお聞きします。そのような発注元を県内に開拓することで、ICT技術を身につけた生徒の活躍の場が広がります。また、障がい者スポーツやeスポーツの分野でスポンサードをいただける企業と連携して、世界で戦う選手を育成することもできるかもしれません。支援企業を募るなら、このような発想も必要ではないでしょうか。 県は、いわて特別支援教育推進プランの中の進路・就労支援の充実をどのように定義し、具体的にどのように進めようとしているのか伺います。 〇教育長(佐藤一男君) 特別支援学校におきましては、卒業後の自立と社会参加を見据え、生徒一人一人が自己の進路や職業を主体的に選択し、決定できるために必要な資質、能力を育むとともに、地域や企業、関係機関とのつながりを生かした取り組みを推進することが必要と捉えています。 特別支援学校と企業との連携協議会におきまして、登録している企業等の協力のもと、就労に関する相談会や職場説明会を実施し、企業等の関係者や卒業生が来校して、仕事内容の説明や就労に関する意見交換を行うなど、生徒の参加企業等への就労につなげています。 また、就労後に企業等から資格取得のサポートを受け、資格を取得し仕事の幅を広げたり、障がい者スポーツへの支援を受け、社会とのつながりや生きがいを見つけ、生き生きとした生活を送っているなどの例が認められます。 今後も、学校の教育活動全体を通じて生徒の生きる力を育むとともに、企業等とも連携を進めながら、個に応じた多様な就労の選択や活躍の場の広がりにつながる支援の充実に努めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) ただいま御紹介をいただいた事例のような取り組みが広がっていくように、ぜひとも取り組みを拡充していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、フリースクールの支援について伺います 群馬県では、不登校の子供などが利用する県内15のフリースクールに対し、上限100万円、補助率2分の1で運営経費などを支援し、子供の居場所づくりや学習支援の充実を図っています。長野県では、全国初となる信州型フリースクール認証制度を新設し、認証されたフリースクールの運営費支援を行うほか、研修や情報発信、連携促進などの支援も行うなど、全国でフリースクール等民間団体との連携について、市町村任せにしない県の支援が始まっています。 文部科学省の調べでは、フリースクールの会費は平均月3万3、000円とされており、家庭の負担軽減のためフリースクール側が会費を抑える場合も多く、持続可能な運営が課題となっております。 県も、不登校児支援には積極的に取り組んでおられますが、各地域において通学圏内にオルタナティブな学習の場をつくっていくことが重要と考えます。 県のフリースクール等民間団体との連携の方向性ついて伺います。 〇教育長(佐藤一男君) 不登校児童生徒の多様な学びの場や居場所の確保、フリースクール等民間団体等との連携を図るため、令和3年度から不登校児童生徒支援連絡会議を設置し、不登校児童生徒の支援に係る課題等についての意見交換や情報共有を行ってきているところです。 今年度は、7月にこの支援連絡会議が主催となり、不登校の子供を抱える保護者の支援を目的に、不登校支援フォーラム2024を開催し、学校、家庭、地域が一体となった子供たちへの支援に関する講演、本県の不登校施策の説明、フリースクールの代表者やスクールソーシャルワーカーなどによるパネルディスカッションなどを行い、保護者やフリースクール等民間団体の関係者等約90人が、多様な学びを実現する支援のあり方について理解を深めたところです。 さらに、来月には、今年度第2回目のフォーラムを開催し、不登校の経験者や保護者による体験談や教育支援センターによるアウトリーチ型支援の取り組み、フリースクール等民間団体による学習支援等の取り組みなどの発表を行うとともに、参加者による意見交換等により、広く不登校児童生徒への支援について理解を深めてまいります。 県教育委員会といたしましては、引き続き児童生徒の学びの場や居場所の確保のため、フリースクール等民間団体等との連携を強化しながら、児童生徒の一層の支援に取り組んでまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 意見交換と情報共有をしているところだということですが、ぜひともそれを具体的な施策に落とし込んでいく、支援のあり方について検討し、実際にそのような事業を行っていく、そういう方向に動いていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 最後の質問になります。県南地域に新設する工業高校における検討状況の進捗について伺いたいと思います。 令和6年度の検討状況と統合新設校の設置場所及び教育内容の公表についての時期をお示しください。また、令和8年度以降の開校とされておりますが、今の見通しとして、いつの開校を目指しているのか。統合決定当時は、1学年6学級を想定し、ITやAI等の専門学科を検討するとの方針でありましたが、今の社会の変化や人口減少の動向を踏まえて、現在の検討状況に当時からの大きな変更事項はないか、あわせて伺いたいと思います。 〇教育長(佐藤一男君) 県南地域に新設する工業高校の検討状況についてでありますが、現行の高校再編計画後期計画におきまして、令和7年度までの計画期間中に設置場所や統合時期、教育内容等の検討を進めることとしており、昨年度から設置場所の検討に、今年度から教育内容の検討に着手しているところであります。今後、統合時期など整備スケジュールについても検討を進めていく予定であります。 現時点におきまして、統合決定時、計画策定時の1学年6学級、AIなどの学科配置については変更は予定しておりません。今後、産業構造や社会の変化、生徒数の減少なども踏まえ、地域や産業界が求める人材育成ニーズに幅広く対応が可能となるよう、新たな工業高校について検討を進めてまいります。 〇27番(佐々木朋和君) 済みません、聞き取れませんでした。当時の6学級、AI等の学科ということを検討したということについて、今もその方針は変わっていないとおっしゃいましたか。 〇教育長(佐藤一男君) 変更は現時点ではございません。 〇27番(佐々木朋和君) わかりました。よろしくお願いしたいと思います。 学校の現場においては、施設整備を含めて人口減少に対応していかなければいけないというのはもちろんですけれども、先ほど申し上げた不登校の生徒たち、あるいは特別な支援を要する子供たちがふえてきている中にあって、その両面をしっかりとケアしながら、今の時代に合った学校教育となるように取り組んでいただくようお願い申し上げて、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって佐々木朋和君の一般質問を終わります。 〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。 午後4時19分 休 憩 出席議員(48名) 1 番 田 中 辰 也 君 2 番 畠 山 茂 君 3 番 大久保 隆 規 君 4 番 千 葉 秀 幸 君 5 番 菅 原 亮 太 君 6 番 村 上 秀 紀 君 7 番 松 本 雄 士 君 8 番 鈴 木 あきこ 君 9 番 はぎの 幸 弘 君 10 番 高橋 こうすけ 君 11 番 村 上 貢 一 君 12 番 工 藤 剛 君 13 番 小 林 正 信 君 14 番 千 葉 盛 君 15 番 上 原 康 樹 君 16 番 菅野 ひろのり 君 17 番 柳 村 一 君 18 番 佐 藤 ケイ子 君 19 番 高 橋 穏 至 君 20 番 佐々木 宣 和 君 21 番 臼 澤 勉 君 22 番 福 井 せいじ 君 23 番 川 村 伸 浩 君 24 番 ハクセル美穂子 君 25 番 高 田 一 郎 君 26 番 木 村 幸 弘 君 27 番 佐々木 朋 和 君 28 番 吉 田 敬 子 君 29 番 高 橋 但 馬 君 30 番 岩 渕 誠 君 31 番 名須川 晋 君 32 番 軽 石 義 則 君 33 番 神 崎 浩 之 君 34 番 城 内 愛 彦 君 35 番 佐々木 茂 光 君 36 番 佐々木 努 君 37 番 斉 藤 信 君 38 番 中 平 均 君 39 番 工 藤 大 輔 君 40 番 郷右近 浩 君 41 番 小 西 和 子 君 42 番 高 橋 はじめ 君 43 番 五日市 王 君 44 番 関 根 敏 伸 君 45 番 佐々木 順 一 君 46 番 岩 崎 友 一 君 47 番 千 葉 伝 君 48 番 飯 澤 匡 君 欠席議員(なし) 説明のため出席した者 休憩前に同じ 職務のため議場に出席した事務局職員 休憩前に同じ 午後4時42分再開 〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 〇副議長(飯澤匡君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。 〇副議長(飯澤匡君) 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋はじめ君。 〔42番高橋はじめ君登壇〕(拍手) |
前へ | 次へ |