平成16年2月定例会 第6回岩手県議会定例会 会議録

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〇17番(千葉康一郎君) 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。
 質問に先立ち、去る2月16日に御逝去されました我が会派の代表でございます故及川幸郎先生に対しまして、謹んで哀悼の誠をささげ、心から御冥福をお祈り申し上げます。
 さて、昨年春の統一地方選挙で初議席を与えていただき、初めての一般質問でございます。まずもって、この機会を与えていただきました先輩・同僚議員各位に深く感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問いたしますが、一般質問最終日であり、既に行われました質問と重複する点が多々あろうかと思いますが、再確認の意味を含めまして質問いたしますので、知事並びに当局の誠意ある明快な御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、本県の財政運営についてお尋ねいたします。
 最初に、現在の経済状況についてであります。
 我が国の経済は、ようやく不況から抜け出し全体として明るい方向に向かっているとのことでありますが、これは、景気のマクロ指標の改善は大企業の一部の製造業が支えているのであり、中小企業やその他製造業では、景気回復の実感に乏しいと指摘されているところであります。また、地域経済も依然厳しい状況が続いているというのが実態であり、依然としてデフレも継続しており、景気の低迷にあえぐ中小企業の倒産がこれを物語っております。
 こうした中で、多くの民間企業は生き残りをかけて人員の大幅削減や賃金カットを断行しており、これに伴って失業者は後を絶たない状況であり、極めて深刻な事態と言わざるを得ません。
 そこでお伺いいたします。知事は、このような我が国経済の状況をどのようにとらえ、今後の見通しについてどのように展望されておられるのでしょうか。あわせて、本県経済の状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、財政運営の基本方針についてお伺いいたします。
 増田県政9年間の財政運営を検証しますと、国の経済対策事業に呼応した影響もありますが、残念ながら財政力指数は悪化してきており、平成16年度予算案を一目見ても、本県財政は、自立どころか、深刻な借金財政に陥っていると言っても過言ではないと思います。
 そこでお伺いいたします。私は、財政の要諦は入るをはかって出るを制すと考えておりますが、知事は、今後本県の財政運営の基本をどこに置き運営するお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いします。
 知事は昨年、行財政運営の健全化を至上命題として行財政構造改革プログラムを示されましたが、経済状況は不透明で、国の構造改革の行方も定まらず、地方財政制度も機能不全に陥っている現状の中、これで計画どおり改革を進めていくことができるのか、甚だ疑問であります。
 今回の予算案も、プログラム実施後の中期財政見通しの財源不足額59億円が、地方交付税の大幅減額などによって260億円程度まで拡大したため、より一層の歳出削減と財源の確保に努めて財源不足の解消を図っておられます。これまでの状況を勘案すると、平成17年度以降も歳入面での劇的な改善が望めないのは明らかであり、歳出面の思い切った削減が迫られていると思うのであります。
 今後の経済情勢によっては、プログラム自体の見直しも必要になると考えられますが、プログラムの推進に当たり、知事の強い決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、三位一体改革についてお伺いします。
 平成16年度の国の地方財政計画を見ますと、地方交付税総額が平成15年度に比べ1兆1、832億円、6.5%減少しており、一方、国庫補助負担金の見直しにより、義務教育費国庫負担金や在宅福祉事業費補助金など、約4、749億円が一般財源化され、これを税源移譲予定特別交付金や所得譲与税の創設により対応することとされております。
 この見直しは、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002などに基づき三位一体の改革と位置づけられておりますが、地方交付税総額が1兆1、832億円も減少していることを思えば、国の負担軽減を地方にしわ寄せしているにすぎないと考えるものであります。
 そこでお伺いいたします。地方分権を推進する知事は、この見直しをどのように見ておられるのでしょうか。また、国庫補助金負担金の一般財源化による県への影響をお示し願います。
 補助金負担金の一般財源化と地方交付税の減額は、財政規模の小さい自治体ほど大きな痛みを受けるのではないでしょうか。平成17年度以降も同様の方法で地方への負担がますます重くなることが予想されますが、県内市町村への影響と今後の対応について、県はどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、税収の確保対策についてお伺いします。
 平成16年度予算案における歳入を見ますと、平成15年度の6月現計に比較して、県税収入は32億2、300万円増加しているものの、地方交付税で145億3、000万円、国庫支出金では150億5、800万円減少しており、これを借換債を含む県債70億円で補っております。
 県税収入は3年ぶりに増加に転ずる見込みであることはまことに喜ばしい限りであります。しかし、平成14年度の決算では、県税の収入未済額は22億7、500万円となっております。景気は今なお低迷し、税収は期待できないこの時期だからこそ、貴重な自主財源である県税の収入確保に特に意を用いなければならないと考えるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、県税の収納率向上や県民に対する納税意識の醸成など、具体的にどのように取り組まれているのか、また、今後どのような取り組みを行おうと考えておるのかお伺いいたします。
 次に、WTO農業交渉と本県農業政策についてお尋ねいたします。
 まず、WTO農業交渉の認識と本県農業施策への対応についてであります。
 WTO新ラウンドの大きな柱である農業交渉は、全農産物の関税の大幅引き下げを主張するアメリカやEU――欧州連合と輸出補助金の撤廃等を主張する途上国、そして、米など品目によって柔軟な対応が必要であるとする日本などとの対立で、平成16年末を合意期限としてきたスケジュールは、決着のめどが立たないまま現在に至っているようであります。
 日本などは、食糧安全保障や環境保護を考慮すれば助成や保護を単純に削減するわけにはいかなく、とりわけ日本のような輸入国にとっては、輸入量の激増は国内の農業生産活動を縮小させ、耕作放棄地の発生を生み、さらに、環境や国土保全など多面的機能の後退を招くことになります。
 日本は多面的機能維持のために、助成を国内政策としてだけでなく貿易ルールに反映させるべきであること、及び関税の上限設定は行わないことを強く主張しているところでありますが、これが可能かどうか、現農業交渉の大きな争点の一つであり、いずれにしても私は、日本にとっては非常に厳しい内容の決着になるのではないかと予想しております。つまり、そうなりますと農業市場のさらなる開放につながり、今後の食料基盤の維持確保は後退すること必至であり、何よりも農業担い手の生産意欲の減退は深刻なものになると思われます。
 そこでお伺いしますが、県は、このWTO農業交渉の行方をどのように考えておられるのでしょうか。また、今後交渉結果次第によっては農業市場の開放も想定されますが、その場合の本県農業への影響とその対策について、あわせてお伺いします。
 次に、今後の自由化に耐えられる農業の構築方策についてお伺いします。
 自由貿易主義体制の中で、自由化の波に耐えられる足腰の強い農業の再構築は喫緊の課題であると思います。昨年7月、県や岩手大学などが、本県農業を担う経営感覚にすぐれたトップリーダーを育成しようといわて農業者トップスクールを開校したところ、認定農業者や新規就農者約70人が受講し、トップクラスの農業者等から先進事例などを学んだようであります。私は、この産学官連携の取り組みを高く評価するものであり、これが足腰の強い本県農業を支える担い手を育成する方策の一つであると大いに期待しておるところであります。
 私は農業者の一人であります。常にこの言葉が脳裏に焼きついて離れることはありません。それは、明治の元老で第4代内閣総理大臣をされた松方正義の言葉であります。それは、農業栄えんば、商工盛んなるにしても、国家繁栄せざるべしという言葉であります。食料がなければ人類の生存も民族の繁栄もない。農業をおろそかにせず、自給を確保し、誇りを持って生産に励めと施政方針演説の中で農業重要論を述べたのであります。
 これからが農業にとって本当の厳しさが到来するものと思い、これに耐えられる人材の育成確保はもちろんのこと、土地基盤等の条件整備、自然の制約を受けない先進的な生産施設の整備等、それに所得補償制度の確立などが重要であると考えますが、県のお考えをお伺いします。
 次に、中山間地域の振興策についてお尋ねいたします。
 まず、中山間地域等に対する認識についてでありますが、これまで歴代の知事は、県土の均衡ある発展を図るため、県央部や平場地域と中山間地域、その中に過疎あるいは山村、辺地、豪雪地といった特定地域もありますが、これらの地域を含めて中山間地域等と呼びます。この中山間地域等の生活面や経済面などの格差是正を県政の最重要課題として位置づけ、さまざまな施策を部局横断的に、そして積極的に推進されてきたところであり、また、同時に中山間地域等の市町村にあっても、国、県の支援を受けながら、県央部や平場地域に追いつこうと各種の政策を講じ、住民と一丸となって鋭意これに取り組んでこられたのであります。その御努力に敬意を表するものであります。
 その成果は、道路などの生活基盤分野にあらわれてはきているものの、大方は依然として地域間格差は解消されず、農林水産業を初め、2次、3次産業の停滞、地域の担い手である若年層の流出、そして少子・高齢化による活力低下、さらには、コミュニティーの崩壊寸前といったまことに厳しい事態に直面している現状であります。
 知事は、毎年市町村要望や県政懇談会を初め、機会あるごとに県下を回り、直接市町村長や県民の方々から生の声を聞き、現地を視察されておりますが、この今置かれている中山間地域等の現状をどのように受けとめておられるのか、率直な御感想をお聞かせ願います。
 次に、県政運営の中での中山間地域等の位置づけと振興策についてお伺いします。
 申すまでもなく、中山間地域等は、県央部や平場地域と比較しても、自然的、社会的な面で大変厳しい状況下にあります。反面、この地域は、国土の保全や水源の涵養、自然環境の保全といった重要な役割をも担っているのであります。このことから、国、県、市町村が一体となって地域間の格差是正を進めてきたところでありますが、その格差は一向に縮まらず、ますます拡大しているのではないかという感は否めないのであります。
 中山間地域等は県土の約8割を占め、半数の県民が生活しております。この地域の振興策は、やはり人口問題や産業構造、また生活環境や保健・福祉・医療、そして教育といった分野など、総合的に分析し、施策を体系化して進めるべきであると思うのであります。県政運営の中で中山間地域等をどう位置づけるのか、その上で施策をどう構築すべきかではないでしょうか。
 中山間地域等は農業分野が大宗を占めております。やはり食料供給基地でもあるし、環境保全地域でもあります。そして、人間機能の回復地域でもあると思います。農業生産を維持することによって、中山間地域等の定住環境などが保全されるし、逆に、定住条件が確保されることによって、農業生産を長期的に支える若い担い手も集うのであろうと考えるものであります。
 東京大学大学院の小田切助教授が次のように語っておられます。中山間地域の動きは、人の空洞化、つまり地域の青年が地域外に流出することから始まって、おおむね1世代を経て土地の空洞化につながっていく。さらに進めば、村が空洞化し、地域の空洞化に至るとのことであります。
 岩手県の場合は、今まさに人の空洞化の段階にあり、髪を整えるくしの歯が抜けるように、この地域から若年層がどんどん減少しているのであります。1世代おくれで西日本の中国山地の後を追い始めているという指摘もあります。
 そこで重要なことは、そうした人の空洞化をいかに阻止するか、特に、若年層の流出をどうとめるかであります。やはり若年層の定着のためには、就労の場の確保、生活環境の整備など、文化あふれる魅力ある地域、そして、安心して暮らせる地域社会づくりを総合的視点に立って進めることが、何よりも重要であろうと考えます。
 そこでお伺いします。県は県政運営の中で中山間地域等をどう位置づけておられるのか、また、今後中山間地域等にどのような施策を講じ、県土の均衡ある発展を図ろうとしておられるのかお伺いいたします。
 次に、県民の地域保健・医療・福祉についてお尋ねいたします。
 国の第4次医療法改正などにより、医療を取り巻く状況が大きく変化して、今、県立病院の経営は極めて厳しい状況下に置かれていることは先刻承知をいたしておるところであります。町村の国保病院などにあっても、医師の配置状況はいまだ地域的偏在が大きく、へき地不採算地域では、恒常的な医師不足が続いている状況であり、県立病院のみならず、地方自治体病院においても厳しい経営を強いられている状況にあります。
 したがって、県立病院の病床の休廃止、診療所化の対象となっている地域にあっては、医療、特にも入院のほとんどを県立病院に依存せざるを得ず、命と健康を守る唯一のとりでとなっているのであります。
 また、地域によっては、高齢化率が高く、しかも高齢者のみの世帯が年々増加している状況の中で、近くに入院できる病院がなくなることは、患者にとってまさに不安の一言に尽きるのであります。県は、このような県民の不安をどのように解消するのか。
 また、同様に重要なのは、疾病予防に、そして福祉対策にどう取り組むかであります。急速な高齢化の進展、慢性疾患の増加による疾病構造の変化、保健医療サービスに対する県民ニーズの高度化や多様化等に対応し、安心して暮らせる地域社会の実現のためには、いかにして地域の保健・医療・福祉を確保充実していくかという予防と医療そして福祉の両面から、総合的に地域保健・医療・福祉対策を市町村と一体となって構築することが喫緊の課題であろうと思うのでありますが、県はどのように考えておられるのでしょうか。
 また、これらの取り組みについてもあわせてお伺いいたします。
 次に、情報通信等の格差是正についてお尋ねいたします。
 県民の豊かな暮らしの実現にとって、情報通信基盤は不可欠なものとなっており、生活関連情報の入手のみならず、市町村の電子自治体化などにより、ますます重要性を増してきております。しかしながら、県内の山間地や沿岸部などにおいては、いまだ高速インターネットや携帯電話が利用できない地域、テレビ、ラジオの難視聴地域も多く存在しております。
 そこでお伺いいたします。県は、このような地域間格差の解消にどのように取り組んでいくのでしょうか。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 まず、ゆとり教育と学びのすすめについてお伺いいたします。
 今、日本の教育は政治や財界の発言権の影響力の強まりもあって、矢継ぎ早のラジカルな改革が進められて大きく変わろうとしております。私は、これまでの学習指導要領では対応し切れないさまざまな教育課題が惹起され、その結果、ゆとり教育の集大成として、平成14年度からの完全学校週5日制や新学習指導要領が実施されたものと認識しております。
 ところが、このゆとり教育のための教育内容と大幅な時間削減や総合的な学習時間の導入、目標に準拠した評価、いわゆる絶対評価の実施などによって、学校の時間が窮屈になっております。その結果、総合的な学習の時間や、いわゆる絶対評価への対応をめぐって、全国の学校現場では混乱が起きているとのことであります。
 こうした中で、2学期制を導入する教育委員会や土曜日に補習を行う学校がふえているようであります。文部科学省はゆとり教育を進める一方、学びのすすめ、つまり学力重視の成果を発表し、教育委員会と学校にそれぞれ諸方策の実施を求めております。
 そこでお伺いします。私は、ゆとり教育と学びのすすめは全く矛盾していると思いますが、教育長の率直な御所見をお伺いいたします。
 最後に、養護学校教育についてお伺いします。
 県内の県立盲・聾・養護学校17校への平成15年度の在籍者は、知的障害、肢体不自由、病弱の各養護学校と盲・聾学校を合わせて1、293名となっております。そのうち東磐井郡からの入校生は合計で48名となっておりますが、ほとんどが知的障害児童であり、地理的に一番近い前沢養護学校へ32名、ほかに、花巻、気仙、盛岡の知的障害養護学校に合わせて4名が入校している状況であります。
 また、養護学校への就学が望ましいと判断されても、通学距離等の事情によって養護学校へ就学できず、地元の小・中学校に就学している児童生徒や、県外の施設に入所している児童生徒の数を合わせると、さらに多くなっております。
 東磐井郡内には養護学校がないため、学校に通う児童生徒は、雨の日も風の日も、また厳寒の雪の日も遠距離通学を余儀なくされており、本人はもとより、保護者には精神的、肉体的、さらには経済的にかなりの負担となっている現状であります。このようなことから、東磐井郡内の町村から県に対して、養護学校の分校あるいは分室の設置について強い要望が出されております。
 ところで、先般、民主・県民会議の会派所属議員による県外調査で、東京都世田谷区の認証保育制度による待機児童解消への取り組みについて調査をしてまいりましたが、中学校の空き教室を活用しての保育所設置でありました。中学生は、家庭科の時間に隣の保育所児童のお世話など、いながらにしてボランティア、保育実習の体験ができるというものであり、その中から命の大切さや子育ての重要性といったものを学びとるということでありました。
 今、県は、県民一丸となって財政再建に取り組もうとしておるさなかであり、新たな施設の建設は非常に厳しいことは承知しているところでありますが、東磐井郡内の切実な要望をかなえる方法の一つとして、小学校の空き教室の活用も考えられます。小学校内に設置することにより、通常の学級で学ぶ子供たちにとっては、障害のある児童生徒から多くのことを学び、思いやりや助け合いの心をはぐくむなど、人間形成にとっても効果は大きいものと考えるものであります。これこそが、現在重要視されているインテグレーション、つまり統合教育であります。
 そこで、お伺いいたします。県は、養護学校教育のあり方をどのようにお考えでしょうか。また、東磐井郡内の県立養護学校の分校あるいは分室の設置をどのようにお考えでしょうか。あわせてお伺いいたします。
 以上で私のこの場からの質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 経済状況についてのお尋ねでございます。
 政府の2月の月例経済報告によりますと、国全体としては景気回復基調が続いているということになっておりまして、平成15年の10ないし12月期の実質経済成長率が1.7%という高い伸び率となっています。しかし、回復の動きは、大企業を中心とした自動車や電子部品製造業などの一部業種でございますし、また、地域的には東海と関東地方に偏っていると、このようなその中での特徴がございます。今後、世界経済も回復が続いておりますので、我が国経済も民需中心で緩やかな回復過程をたどるものと見込まれるわけですが、こうした全体の傾向と、それから構造改革というのが着実に実行されて、そしてこうした景気回復が今おくれている地域、それから業種に波及するように期待をするものでございます。
 本県の景気動向につきましては、個人消費や住宅建設が依然として低迷をしておりますけれども、一部持ち直しの動きが見られるものは生産活動の電子部品と輸送機械の分野でございます。この分野は一部に持ち直しの動きが続いております。ただ、それは雇用には十分につながってきておりませんで、有効求人倍率は依然として低い水準にございます。さすがに昨年3月は0.44ということで大変低い数字でございましたが、それを底に改善傾向が今、見られていますけれども、そういうような状況でございます。
 今後、本県でもごく一部に見られる持ち直しに向けた傾向、それが全体として広がっていくように、こうした地域、東北の地域、地方や中小企業でも景気回復の動きが実感できるような、そういうものとなることを期待しておりますが、一方で、県では地域産業の振興、雇用創出など今回の予算にも計上したそういう施策を推進することによって、国内の景気の動向に大きく左右されない自立した地域経済、産業構造の構築に努めていきたいと考えております。
 それから次に、財政運営の基本方針についてでございますが、基本方針は三つございます。一つは、県税等の収入に見合った財政支出となるような歳出規模の適正化ということでございまして、これについては内部努力、組織・職員体制のスリム化などと同時に、投資的経費の規模の見直しなどにも今後重点的に取り組んでいきたい。それから、二つ目は、公債管理の適正化でございまして、このことによって18年度のプライマリーバランスの均衡の達成を実現したい。3点目は、中長期的な税源の涵養でございまして、これは先ほど申し上げました地域経済の活性化策と結びついてまいりますが、こうしたことによってこの3点を財政運営の基本と据えることによりまして、今後、持続可能な自立した行財政構造を構築していきたい。あわせて、こうした努力だけでは足りませんで、国に対しても地方財政措置について所要の財源の確保を強く働きかけていきたいと考えております。
 それから、次のお尋ねでございますが、今回の県で行っております行財政構造改革プログラムでございますけれども、この行財政構造改革プログラムが国の三位一体改革の影響を受けて、途中段階では大幅な財源不足に見舞われたわけでございます。平成16年度当初予算ベースで平成18年度までの財政を見通した場合に、国の地財対策が非常に内容が不明であるといったようなことがございますので、大きく変動する可能性はありますが、昨年暮れの三位一体改革の初年度のようなことが行われますと、今後約440億円から680億円程度の財源不足というものが見込まれるところでもございます。最大このぐらいになることを覚悟しなければならない可能性もございます。
 そこで、この行財政構造改革プログラムに盛り込んでいる歳出削減、それから歳入確保の取り組みを確実に実行していくということと、それから各年度の予算編成の段階で、特定目的基金の見直しや他会計資金の活用などを行うといったようなことを今後考えていきたいと思っております。また、先ほど言いました、国に対しても所要の財源の確保ということを求めていきます。こうしたことによりまして、平成18年度のプライマリーバランスの均衡は達成できると、達成させなければいけないと思っておりまして、行財政構造改革プログラムに数値的な見直しを行う必要が生じる場合はあるだろうと思っておりますが、プログラムの基本的な考え方、これについては見直しをせずに今の考え方で進めていきたいと考えております。
 それから、三位一体改革でございますけれども、この三位一体改革については、再三この議会でも申し上げておりますが、地方への国の関与や縛りをそのまま温存したまま、交付税の大幅な削減ということでございまして、地方の方に自己責任のみを押しつけた、そういう改革とは言えない内容になっていると思っております。特に問題でございますのは、地方の現場の創意工夫を十二分に生かすことができる、そういう可能性の高い公共事業関係の補助負担金や奨励的補助金のほとんどが税源移譲の対象とならなかったと、そして裁量の余地が拡大しなかった、ここに大きな問題があると思っているところでございます。
 全体としては大変残念な結果になったわけでございまして、このことが地方の自治体に大きな影響を及ぼしておりますけれども、本県市町村に及ぼす影響について申し上げますと、今回の地方交付税と臨時財政対策債の合算額で、全体で12.0%地財計画上は落ち込みが生じておりますので、今年度の本県市町村分のこの実績額が地方交付税と臨時財政対策債あわせまして市町村分が2、162億円でございますので、この地財計画どおりの数値を掛けますと減少額が約259億円、大体260億円ですね、ここまで落ち込むと。今、市町村の方でちょうど予算編成、盛んになされているところなので、まだ全体の数字を把握してございませんが、比率で言うとこのぐらいが減少する額と試算をされるわけでございます。
 したがって、この三位一体の改革の内容が地方財政にとりまして、とりわけ市町村財政の運営にも少なからぬ影響が生じていると考えているところでございまして、この三位一体改革、ことしの6月に骨太の方針第4弾が出されると聞いておりますので、それまでに本来のあるべき姿に向け軌道を修正する必要がございますので、こちらの方からの提言も含めて、強くこうした財源確保について国に働きかけをしていきたいと考えております。
 それから、中山間地域の振興策でございます。
 この中山間地域は、今、議員がお話しございましたとおり、依然として都市とそれから平地地域に対しての中山間地域というこの比較をしてみますと、さまざまな指標で格差がございます。また、人口の減少や高齢化が進行している状況にもあるということでございます。しかし、一方で、私も県政懇談会を初め、さまざまな機会にあちこちお伺いさせていただいておりますが、遠野市の綾織地区の地域営農システムの確立と女性の皆さん方の農村レストランの開業ですとか、山形村のバッタリー村の山村文化の伝承活動、久慈市の端神集落のくるま市の開催、室根の牡蠣の森を慕う会の植林活動、葛巻の高家嶺の森のそば屋の地域食を活用した起業化、それぞれの地域で一方で創意工夫に満ちた取り組みが行われておりまして、全国的にも高く評価されている取り組みが数多く出てきております。それらは担い手である若者や女性、高齢者が充実感を持って、その中で中心になって活躍している。そして、何よりも創意工夫による他の地域にない取り組みによってそれぞれの地域らしさというもの、いわゆる総体で言えば岩手らしさということになると思いますが、それをみずからの創意工夫で追求をしているということであろうと思っております。今そういう中山間地域の現状がございます。
 県全体の純生産額の約4割をこの中山間地域で産出をしているということがございますし、農林業が有する水源涵養や洪水防止などの多様な役割を果たしているということもございますので、この中山間地域が県民生活や経済活動にとりましても重要な地域であると認識をしておりますし、また、先ほど申し上げましたような、いわばオンリーワンの地域づくりができるところでもあると思っております。そこで、多彩な生産資源がございますし、豊かな自然や景観が美しく保たれ、そして地域に根差した伝統芸能や食文化も色濃く残っている。生産や観光資源の宝庫であるととらえて、今これから申し上げます六つの視点でこういう地域の活動を積極的に行っていく。それを県が支援していく必要があるのではないかと思っています。
 一つは、いわて地元学の手法を活用した地域づくり活動、地元の宝探しのようなことを行って、それを地域づくりに結びつけていく。それから、二つ目は、どぶろくなどの伝統的食文化なども活用したふるさと再生特区、遠野市が行っていますが、あのような構造改革特区の手法を活用したふるさとづくりを進めていく。それから、三つ目は、観光と結びつけたグリーンツーリズムを促進していく。四つ目は、地域のさまざまな気象状況や変化に富んだ地形を活用した1次産業をそこでしっかりと展開をしていく。5番目は、産直販売や農村レストラン、それから農林漁家民宿などのいわゆる起業活動をそこで展開していく。6点目は、木材、風力などによるクリーンエネルギーの活用。こうした六つの点を今申し上げましたが、こうしたような創意工夫による住民主体の地域づくりや起業活動に向けての地域の努力、それを県として支援をしていきたいと思っておりまして、この地域で従来から社会資本整備なども進めてまいりましたが、そうしたことも今後も進めるなどによりまして、今後とも個性豊かで活力に満ちた中山間地域の形成を図っていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねは、関係部長に答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、一般財源化の状況でございます。
 国の平成16年度予算におきまして、国庫補助負担金23件4、749億円が一般財源化されております。これに対しまして所得譲与税が創設されまして2、198億円、15年度の改革分の2、051億円とあわせまして、全体で4、249億円の所得譲与税が創設されております。また、税源移譲予定特例交付金といたしまして2、309億円が財源措置をされております。
 これを本県について見てみますと、国庫補助金23件のうち15件、県の事業ベースで見ますと21事業の全部または一部が一般財源化されたところでございます。影響額についてでございますが、年度によりまして関係事業費の規模の違いがありますので、単純に前年度予算額をベースに算定するということはできないものでございますが、単純に前年度6月現計予算と比較をしてみますと、21事業に係る国庫補助金の減と言いますものが39億5、500万円となります。これに対しまして本県に配分されます所得譲与税は23億7、000万円と見込んでおります。また、税源移譲予定特例交付金につきましては27億3、500万円と見込んでいるものでございます。
 次に、税収の確保対策でございます。
 県税の収入未済額の縮減、これは行財政構造改革プログラムの中でも喫緊の課題として位置づけておりまして、目標収入率を設定して取り組んでおります。収入未済額の約半分を占めます個人県民税につきましては、実際に徴収を行っております市町村に対しまして、共同での納入催告、滞納者への訪問徴収といったような対策を講じておりますし、収入未済額の2割を占めます自動車税につきましては、滞納の初期段階に職員全員で整理に当たります、いわゆる初動集中整理、あるいは土曜、日曜日におきます納入窓口の開設、こういったことなどの取り組みを行っているところであります。特に、納付に誠意のない滞納者に対しましては、厳正な態度で早期の差し押さえを執行するということといたしておりまして、今後、滞納件数の多い盛岡地方振興局へ徴税対策特命課長の配置、あるいは迅速な滞納整理を支援するための電算システムの導入、こういったことによりまして執行体制の強化を図って、収入確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、納税意識の醸成につきまして、県民の税に対する理解、協力を得るために、リーフレット、ポスターの作成、あるいはテレビ、ラジオでの広報を実施しておりますが、今後収入率の向上のために特に期限内納付といったものを内容とした広報を重点的に行うことといたしております。また、児童生徒に対します租税教育の推進といいますものが重要な取り組みと考えておりまして、租税教室を開催するほか、学習副教材の配付、そういったものによりまして税の役割、納税の大切さ、そういったものへの理解が深まるように努めているところでございます。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君) WTO農業交渉の行方と本県農業施策への対応についてでありますが、WTOにおきましては、昨年9月、メキシコの閣僚会議での交渉決裂以来、その後の交渉の進め方などについて各国との協議が行われてきたところでありますが、先般、交渉グループごとの新議長の選任を終え、今月下旬から交渉を再開することとされております。交渉の成り行きにつきましては、これまでの交渉の経過からしましても予断を許さない状況にあり、交渉の結果いかんでは安価な輸入農産物が拡大し、稲作を初めとする農業経営や生産構造改革の取り組みに支障が生ずるとともに、主要先進国の中でも最低の自給率となっている我が国の食料安全保障や、国土保全などの農業の多面的機能の維持にも影響を及ぼすことが懸念されるところであります。
 県といたしましては、こうした厳しい状況を乗り越えていくために、国際競争にも耐え得る体質の強い生産構造への変革と、県産の農産物に対する消費者の支持と信頼を得るための安全で安心な食の提供が喫緊の課題であると思っております。こうしたこともありまして、現在、県下全域で集落水田農業ビジョンの策定に取り組んでいただいているところでございますが、この実践活動を通じまして体質の強い担い手を中心とした農業構造への変革をさらに加速化し、産業としての競争力を高めるとともに、消費者から信頼される安全・安心な食を提供する産地形成に努めてまいる考えであります。
 次に、今後の自由化に耐えられる農業の構築方策についてでありますが、まず、人材の育成の観点からの農業者トップスクールについてでありますが、昨年7月から岩手大学等と連携して岩手農業者トップスクールを開設し、経営感覚にすぐれた経営者の育成に努めているところでありますが、このスクールの受講者からは講義や講演を通じていろんな声が寄せられております。一つには、単に農産物を生産するだけの生産者から経営者に変わらなければならない、そういう意識改革が図られたということでございます。それから、消費者ニーズを重視した生産の必要性を特に認識した。さらには、県内の先進的な経営者とのネットワークができたと、こういったいろいろな声が寄せられておりまして、大変好評でありましたことから、来年度も引き続き開設することにしておりまして、本県農業のリーダーとして活躍していただける農業経営者の育成に努めてまいりたいと考えております。
 また、土地基盤や生産施設などの経営基盤につきましては、厳しい財政状況下にはありますが、米政策改革を踏まえた担い手育成に必要不可欠な圃場整備や、生産効率の高い園芸施設の整備などに重点的に取り組んでまいる考えであります。
 さらに、担い手が安心して農業生産にいそしんでいただくため、こうした担い手のリスクを軽減する経営所得安定対策の早急な導入が重要であると考えておりまして、県といたしましては、現在見直しが進められております国の食料・農業・農村基本計画にこうした施策が位置づけられ、早期に実現されるよう国に提案してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君) 県民の地域保健医療についてでありますが、本県の保健、医療、福祉のあるべき姿につきましては、市町村を初めとし、県民の皆様から広く御意見をいただき、平成11年度に岩手県保健福祉計画を策定いたしました。そして、その計画に沿って各般の施策に取り組んできたところでございます。その後、4年を経過し、まさしく議員御指摘のような諸課題のほか、国際的な広がりを見せるSARSなど新たな感染症への対応、それから健康増進法の施行によります健康づくりに関する国民的な運動の展開など状況は大きく変化し、新たな取り組みも必要となっております。
 これらの状況を踏まえまして、新たな視点に立ち、来年度、岩手県保健福祉計画の保健医療に関する部分を見直す予定でございます。見直しに当たりましては、県の医療審議会や市町村、関係団体で構成される保健医療圏ごとの地域保健医療協議会において、それぞれの立場から多様な議論をし、共通認識に基づき主体的な地域保健医療の確保に取り組むということが大事であると考えておりますので、市町村、関係団体を初め、県民の皆様方の御協力をいただきたいと存じております。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君) 情報通信等の格差是正についてであります。
 情報通信や放送の基盤整備につきましては、事業者が取り組むのが基本でありますが、採算性の確保が困難な条件不利地域におきましては、整備がおくれている状況にございます。県といたしましては、市町村の要望あるいは地域の状況等を踏まえまして、通信事業者に対して基盤整備の促進について毎年要望しているところであります。また、誇れるいわて40の政策におきましても、情報通信基盤の整備を積極的に推進することとして掲げてございます。特にも高速インターネットの整備や携帯電話の不感地域の解消につきましては、高速インターネット基盤整備事業あるいは携帯電話エリア拡大推進事業を活用いたしまして、条件不利地域の市町村の情報通信基盤の整備を支援していくこととしております。
 また、テレビあるいはラジオの放送基盤整備につきましては、平成18年から本県でも開始される予定の地上デジタル放送の動向等を注視しながら、国庫補助事業や市町村総合補助金によりまして市町村を支援していくことと考えております。今後とも市町村と連携して、これらの事業も活用しながら情報通信等の格差是正に努めていく考えであります。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) ゆとり教育と学びのすすめについてでありますが、いわゆるゆとり教育は、完全学校週5日制のもとで、各学校が教育内容の精査、厳選から生ずる時間的、精神的ゆとりを、学ぶ側にも教える側にも与えて、しっかりとそれを活用し、子供たちに、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、みずから学びみずから考える力を育成することを基本的なねらいとするものであります。
 一方、文部科学省から出された学びのすすめは、子供たちの確かな学力の向上を目指すための指導に当たって考えるべき重点あるいは具体的な方策を示したものであります。したがいまして、ゆとり教育と学びのすすめは、いわば軌を一にするものでございまして、ともに子供たちに基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、それをもとにみずから学びみずから考える、いわゆる生きる力をはぐくむことを目指したものであります。
 次に、養護学校教育についてでありますが、県教育委員会では、昨年12月に策定いたしました岩手県特別支援教育推進プランに基づき、明平成16年度には盲・聾・養護学校の再編整備に関する検討委員会を設置いたしまして、本県における新しい盲・聾・養護学校のあり方等に関する具体的な検討に着手することといたしております。また、現在、国におきましては、盲・聾・養護学校について、障害種ごとの学校から、地域において障害のある子供の教育を柔軟に行う特別支援学校――これは仮称でございますが――へと制度を改めることなどの検討が今現在行われているところであります。したがいまして、今後の盲・聾・養護学校のあり方について、こうした国の動向を注視するとともに、障害の重度重複化や多様化などを踏まえた適正配置などを進めること、複数の障害種に対応できる学校を設置することなどについて、全県的な視野から総合的に検討していきたいと考えております。
 また、お話しのありました東磐井地区にあっては、現在、養護学校が設置されておらず、40人を超える児童生徒が他地域の養護学校等に在籍しているというそういう事情につきましては、十分認識いたしているわけでありますが、御質問にもありました同地区への小学校の空き教室を活用した分校、分教室の設置につきましても、この検討の中であわせて考えていくことにしたいと考えております。

〇17番(千葉康一郎君) 数点再質問いたします。
 まず、農業振興政策について農林水産部長にお伺いしますが、農林水産部長には既に御承知のことと思いますが、昨年9月3日に福井、鳥取、香川、佐賀、熊本の5県の知事によって、これからの我が国の農業を考える知事会議というのが開かれたわけでございます。設立されたわけなんですけれども、この世話人は鳥取県知事と伺っておりますが、これはWTOの市場開放に対抗するために、守りの農業から攻めの農業へ、そして、農業の創意工夫を促す農業支援の仕組みづくりをといったことを主張しているようであります。この中でも、特に輸出促進に関して必要な支援措置を講じるとともに、過去の検疫結果から実施されている禁輸措置を把握した上で、輸出解禁に向け積極的に交渉すべきとの提言をまとめ、また、WTO交渉では、米などの関税引き下げやMAのさらなる増加につながる妥協は我が国の国益を大きく損ねるとして、政府に真に国益にかなう交渉を行うべきとの緊急アピールを採択したようであります。
 そこで伺いますが、これらの我が国の農業を考える知事会議に岩手県知事への参加の誘いはなかったのかどうかお伺いします。出張が多過ぎるのではないかという指摘もあるようでございますが、岩手県は農業県だと言う知事、このような会議には積極的に参加すべきと思うのであります。部長に、こういう会議の出席要請があったのかなかったのかということをまずお伺いしたい。
 この知事会議では、特に輸出促進に関して積極的な提言をされたとも聞いております。ところで、県とJA全農いわてで平成14年度から県産リンゴの輸出促進に取り組んでおられまして、平成14年度はJAいわい東のふじ、王林28トンが、また昨年はやはりJAいわい東のリンゴ67トンが台湾へ試験輸出されたということでございますが、昨年12月24日から25日の2日間にわたって、また県とJA全農いわての職員が、このことで台湾政府・関係機関など5カ所、それに市場、量販店3カ所を訪問視察し、今後の需要と消費者ニーズなどの調査をしてこられたようでありますが、私は、この取り組みは本当にいい取り組みだと思っております。
 そこで、その調査の結果はどうであったか、また、今後の方向なり見通し、輸出促進は大いにすべきだと思いますが、ひとつ農林水産部長にお伺いしたいと思います。
 次に、前にも質問いたしておりますが、先進的な農業生産施設の整備についてであります。
 市場開放に備えての足腰の強い農業、これは言われるわけなんですが、と同時に、魅力ある農業、そして誇れる農業を実現するためには、自然に左右されない施設園芸、これもその一つではないかと考えます。
 今、先進的なガラス温室による溶液栽培での野菜の周年栽培というものに取り組もうとする担い手で構成する法人が出てまいりました。何せこれは当初の施設整備に多額の投資があるわけですが、そういうことで、投資するということからちゅうちょしているようでありますが、これからは、やはりやる気のある農業者等の育成とトータルな支援が必要であろうと思います。県はどのように考えておられるかお伺いします。
 次に、県立病院の産婦人科の医師確保等について、医療局長にお伺いいたします。
 去る2月26日の新聞朝刊に、県立千厩病院 産婦人科4月から休診、東磐井、医師不在に、近隣へ通院、広がる不安と、こういう記事が1面トップで大きく報道されたわけです。これはごらんになっていると思います。(「議長、議事進行」と呼ぶ者あり)まさに寝耳に水であります。
 千厩病院の産婦人科に本年8月までに予約されている患者さんは約100人もおられるとのことであります。東磐井地方には、人口は6万人余りの住民がおりますし、唯一の産婦人科であります。平成14年度は入院延べ8、139人、外来では延べ7、691人、分娩は266件という高い稼働率であり、大きな役割を果たしてきているのであります。こうしたもとで医師が不在となり、産婦人科が休診となることは、現在利用されておられる患者さんやこれからの住民にとって極めて重大な問題になっております。
 県立病院の産婦人科の状況ですけれども、27病院でいろいろ標榜されておられますが、花巻厚生病院とか、陸前高田の高田病院、そこも平成16年4月から医師が不在になるということを伺っております。いずれも産婦人科がなくなることは、少子化が叫ばれるもとで、地域の発展にとってゆゆしきことであります。
 そこで伺いますが、千厩病院の後任医師対策を始めたのはいつの時点からであるのか、また、現在通院しておられる患者さんへの今後の対応をどのようにされるか、さらに、4月以降の医師の配置をどのように考えておられるのかお聞かせ願います。
 もう1点、情報通信の格差是正であります。
 これは、先ほど情報通信の関係で申し上げておりますが……(「これは関連質問じゃないでしょう、再質問でしょう」と呼ぶ者あり)再質問であります。

〇議長(藤原良信君) 千葉議員、発言中ですけれども、議事進行ですから。議事進行どうぞ。

〇46番(菊池勲君) 再質問だから、前段の質問に対する答弁の不足分の質問なら別だけれども、新しい質問ですから、これは再質問にならないのではないですか。これが45分の時間を与えたということならば話は別だけれども、30分の範囲の中で、先ほどの答弁では不足だから再度聞くということであって、新しい質問が30分の中に入りますかね、一般質問の中に。こんなルールはどこにありますかね、議長。

〇議長(藤原良信君) ただいま議事進行がかかりましたけれども、先ほどの千葉康一郎議員の質問の中で、県民の地域保健医療についてという項目がございました。その中で、地域保健医療についての中で、市町村との一体となった構築をということでございましたけれども、広く考えれば県立病院もかかわってきますが、これは予算特別委員会もありますので、その辺を留意いたしましてひとつ質問をしていただきたいと思います。そう申し上げておきたいと思います。
 再度申し上げますけれども、予算委員会の場面もありますので、お願いしたいと思います。

〇17番(千葉康一郎君)(続) 了解。
 それでは、テレビ等の関係もございますけれども、これは予算委員会の方で質問させていただきます。
 終わります。(「終わらなくてもいいんだな」と呼ぶ者あり)今回は終わります。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) 3点についてお尋ねがありましたので、お答えさせていただきます。
 5県知事会議に誘いがあったのかということでございますけれども、この誘いはございませんでした。いずれ、共通の政策課題について、各県が連携して取り組んでいくことは大変重要なことだと思っておりまして、本県におきましても、青森、秋田、岩手の3県が連携いたしましていろいろな農業の問題にも取り組んでいるところでございまして、さきに北東北食料基地宣言を行ったというようなことでございますし、それから農業研究での共同研究にも取り組んでいる、こういう3県が連携した取り組みをしているということでございます。
 それから、輸出の関係につきましては、農林水産日本ブランド輸出促進都道府県協議会というのがございまして、これは30の道府県が連携・共同しているものでございますけれども、これにも参加いたしまして、輸出促進のための情報交換などに取り組んでいるということでございます。
 それから、林業で緑の雇用の全国展開を図るために、「緑の雇用」推進県連合というもの、これは本県を含む8県で結成しているものでございますが、こうしたところで国への提言等も行っているところでございます。
 今後におきましても、こうした個々の政策課題ごとに、各県連携の必要性を検討し、適切に対処してまいりたいと思っております。
 それから、リンゴの輸出でございますが、昨年12月に試験輸出とあわせて現地調査を実施したところでございます。その結果でございますけれども、台湾では、リンゴ需要はこれまで贈答品が中心であったということでございますが、最近は家庭内消費が浸透しつつあるということで、さらに需要の増加が期待できるということでございました。
 また、リンゴにつきましては、全体として見ばえが重視されているということでございますが、特に本県の無袋栽培のふじが非常に評価されたというようなことでございましたし、それから、王林につきましては、リンゴが消費者に届くまで長期間を要するということで、完熟直前のグリーン色が好まれたというようなことで、いろいろな調査結果が得られておりますので、今後、これをベースにしてまた取り組んでいただきたいと思います。
 全体としては、試験輸出では、輸出経費等を控除しても十分なメリットがある、また、品質のよい県産リンゴに対する期待も大きいということで、将来性は十分あるものと考えておりまして、来年度から、台湾の輸入業者の県内招聘、それから台湾での販売促進フェアの開催など、本格的な輸出に向けた取り組みを強化してまいりたいと思っております。
 最後にもう1点、大型で自動環境制御などの高度な設備を備えたガラス温室で溶液栽培をするというようなことが全国各地で見られるようになってきておりまして、昨年のような本県の異常気象にも左右されることなく、品質のそろったものを周年安定的に生産できるということで、すぐれた栽培法であると思っております。
 議員からお話がありましたように、こうした大型の施設は多額の初期投資を伴うということでございますし、本県のような積雪寒冷地におきましては、冬期間の暖房費が相当かかるというような課題もありますので、計画策定の段階から作目の選択、栽培法、あるいは販路の拡大策などについて総合的に指導助言を行いながら、計画内容に応じた補助事業あるいは融資制度の活用も含めて、積極的に支援してまいりたいと考えております。

〇17番(千葉康一郎君) 最後に要望を申し上げます。(「要望はだめなんだ」と呼ぶ者あり)要望はだめですか。
 農林水産部長に、いずれ輸出促進を図りまして、この地域の農業振興が図られるように要望申し上げるとともに、部長の決意をお伺いしたいと思います。

〇農林水産部長(佐々木正勝君) これからのWTOの交渉経過ということもございますが、守りだけではなくて、やっぱり攻めという観点からも輸出について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


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