令和5年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(畠山茂君 希望いわての畠山茂です。当選後初めて一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。
 まず、沿岸振興について伺います。
 岩手県が行った令和5年度の県民意識調査結果では、県全体として幸福度を感じる割合は56.9%と過去最高を更新した一方で、沿岸広域振興圏では50.8%と5.8ポイント低下しています。
 東日本大震災津波後の沿岸地域の人口の推移を見ますと、県全体で約11%の人口減少に対して、沿岸地域は約21%減少と2倍の速度で人口減少が進んでおり、高齢化率は県全体が34.8%に対し、沿岸広域振興圏は40.6%となるなど人口減少、少子高齢化が深刻な状況にあります。
 令和5年11月に実施した、希望いわての会派による市町村ヒアリングでも、沿岸市町村からは、人口減少、少子高齢化が早い勢いで進展している危機感のほか、子供の年間出生数が近い将来、二桁から一桁に減少することもあり得るとの声がありました。
 また、10月期の県内の有効求人倍率は、内陸部1.37倍に対して沿岸部は0.94倍と1倍を下回っており、東日本大震災のグループ補助金により復興した事業者の倒産や新型コロナウイルス感染症による需要の低迷、そこに物価高騰が追い打ちをかける厳しい状況が続いております。私が住む宮古市でも、負債額が億円単位の水産加工業者や旅館の倒産があり、コネクター産業では大型のリストラが行われました。
 知事は、9月定例会の知事演述で、沿岸地域では復興道路や津波防災施設等の整備、まちづくりなどが進んだ一方、震災から12年たった今でもなお、被災地が抱えるさまざまな課題への認識を新たにしたところですと述べられています。知事は県民意識調査の沿岸部の数値動向の要因をどのように分析し、今後どのように沿岸振興に取り組んでいくのか、御所見を伺います。
 次に、三陸防災復興ゾーンプロジェクトの防災で世界とつながる三陸について伺います。
 防災で世界とつながる三陸の取り組みでは、現在、復興ツーリズムの取り組みとして、震災伝承施設や津波遺構などを活用した学ぶ防災などに沿岸各市町村が取り組んでおります。東日本大震災津波の教訓を後世に伝えることや復興の姿を多くの人に発信することは私たちの使命であり、防災、減災意識の向上は世界や国内の防災力向上に貢献することにもなります。
 一方で、復興ツーリズムを今以上に盛り上げるためには、沿岸市町村間のさらなる連携が必要と考えます。今後、復興ツーリズムの拡大に向けた県の取り組みについて、沿岸市町村との連携も含めて伺います。
 次に、三陸ジオパークについて伺います。
 三陸ジオパークは、本県沿岸部を中心に3県16市町村にまたがる日本一広大なジオパークであり、みちのく潮風トレイルや三陸復興国立公園、ユネスコ世界文化遺産などと連携することで、より多くの観光客を沿岸地域に呼び込む相乗効果が期待されます。
 ことし11月7日に開催された現地沿岸振興会議では、三陸ジオパークや潮風トレイルの今後の取り組みとして、久慈市から陸前高田市までを三陸鉄道で結び、競う競争から、ともに創造する共創へ、各自治体それぞれの点の観光振興ではなく、連携した線や面での受け入れ体制づくりが必要という認識が確認されたところです。
 観光振興は地域振興や地域づくりにつながるものと考えます。三陸ジオパークが平成25年に日本ジオパークとして認定されてからことしで10年目を迎えますが、三陸ジオパークを観光振興に活用する上での課題は何か、課題解決に向けてどう取り組んでいくのか伺います。
 次に、岩手県産品の農林水産物、食品の海外輸出促進について伺います。
 農林水産物、食品の国内需要は、人口減少や少子高齢化により市場の縮小が懸念されます。また、物価高騰の影響による原材料の高騰や消費者の買い控えなど、需要の拡大が難しい状況が続いており、これらを踏まえれば、海外にも目を向け、新たな市場の開拓が必要と考えます。
 国は、農林水産物、食品の輸出拡大に向け、令和2年4月に農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律を施行しました。令和3年に農林水産物、食品の輸出額は年間で初めて1兆円を突破し、令和7年に2兆円、令和12年には5兆円とする目標を掲げています。
 農林水産省が令和4年12月に公表した農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で掲げた重点品目の輸出産地リストに、本県からは牛肉、リンゴ、米、日本酒等の19産地が登録されています。
 岩手県の令和4年貿易等実態調査結果では、輸出額は、リンゴ、牛肉、日本酒が過去最高を記録し、農林水産物、食品全体で62億円で28%増と大幅に伸びています。岩手県内にはまだまだ伸びしろのある農林水産物、食品が存在すると考えます。いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランでは、令和8年度の農林水産物の輸出額の目標値を69億円に、加工食品の輸出額目標値を9億3,000万円にするとしており、さらなる農林水産物の輸出促進に向け、重点品目の拡大などが必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 岩手県の農林水産物、食品には伸びしろがあると思いますが、一方で、競合する商品との競争に負けない差別化やブランド力を高める商品開発が欠かせません。先日、県内22の清酒の製造業者が登録に取り組んできた岩手県の清酒が産地や品質の証明となる地理的表示保護制度―GIへ登録されたことが話題となりました。現在、県内ではそのほかに7産品が登録されており、今後、ブランド力の磨き上げには、GI登録を生かした地域ブランド化のさらなる取り組み必要と考えます。
 また、令和5年11月15日に行った東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査では、水産加工業者からHACCPの指導、商品開発、事業展開などの課題に自力では対応が難しい中小企業を支援してほしいという声も聞いておりますが、食品加工業者等の輸出拡大に向けた取り組みへの県の支援の状況について伺います。
 知事のマニフェストプラス39の中では、収益力の高い農林水産物の確立と国内外の販路拡大を掲げ、関係団体と連携したトップセールスにより全国的な販路拡大とアジア各国や北米等をターゲットに戦略的な輸出促進を図るとしています。
 そこで、令和4年12月にカナダで行った取り組みの成果や今後の取り組みのターゲットとする国、地域など、知事のトップセールスに向けた意気込みを伺います。
 次に、今後の水産振興について伺います。
 岩手県の三陸沖は大陸棚が広がり、黒潮と親潮が出会って潮目ができ、大量のプランクトンが発生して魚群が集まる世界屈指の漁場の一つです。しかし、近年は岩手県の主力魚種であるサケ、サンマ、イカの不漁が極めて深刻な状況となっています。水産加工業者の中には、原料の確保が難しく、例えば、サケは地元で確保できず、北海道から輸送費をかけて調達し、新巻ザケなどに加工して出荷しているところもあります。当然、輸送費などの原材料費のかかり増しや光熱費、燃料代等の物価高騰の影響を全て価格転嫁することは難しく、従業員の維持や給与の支払いもままならない状況もあると聞きます。
 地球温暖化等により主要魚種の令和4年度の水揚げ量は、サケが震災前の2%、サンマは7%、スルメイカは11%と大きく減少する一方で、海洋環境の変化等に伴い、マイワシ、サバ、ブリ等の水揚げ量が増加しており、また、令和5年11月14日のNHKのクローズアップ現代では、定置網にマグロがかかっても、漁獲枠の関係から泣く泣くマグロを放流せざるを得ない漁師の現状が報道されました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 各漁協や漁家は、主要魚種の減少、魚種の変化、マグロへの対応等へ苦慮しています。
 県は、令和4年3月に岩手県水産業リボーン宣言を行っていますが、激変する水産業の環境変化を受け、本県水産業の持続的な発展に向けて県はどのような認識を持ち、取り組んでいくのか伺います。
 次に、県の養殖産業について伺います。
 今や世界や日本では漁獲の半分が養殖、半分が天然ものとなっており、令和12年には養殖が漁獲量の3分の2を占めると予想されています。県内では、従来のワカメ、昆布、ホタテ、カキ等の養殖から銀ザケやトラウトなどの海面養殖、ホシガレイやチョウザメ、アワビ等の陸上養殖、ウニの畜養のほか、新聞報道では、ことしからアサリの試験養殖を始めるとの報道もあったところです。
 県は今後の水産振興を進める上でも、養殖産業について、目標や計画等を明確に持ち、取り組むべきと考えますが、県の考え方を伺います。
 次に、サケ漁の今後について伺います。
 岩手県内の秋サケは、県の集計によると、10月末の漁獲は前年同期の17.3%にとどまっています。県水産技術センターによりますと、今期の回帰の主群となる令和元年級の稚魚の放流数が2億匹弱と例年より少なく、近年の高い海水温の影響が見られるとしています。また、一般社団法人岩手県さけ・ます増殖協会によると、平成30年には約4億匹のサケの稚魚放流を行ったのに対し、令和5年は稚魚7,500万匹を放流する計画と伺いました。希望いわての会派による市町村ヒアリングにおいても、重要な水産資源であるサケの不漁が地元漁業協同組合の経営状況に大きな影響を及ぼしていると聞いているところです。
 県では、強い稚魚の育成や種卵確保に取り組んでいるところですが、先日の新聞報道によれば、北海道の卵に頼っている現状にあり、現場ではもっと抜本的な見直しも必要ではないかという声も出ていますし、有識者の中には、海水温度が変わり、今後、本州にサケは南下しないと予想する方もいます。今後のサケ漁の見通しについて、県はどのように分析しているのか伺います。
 次に、東京電力福島第一原発処理水の海洋放出の影響について伺います。
 農林水産省が令和5年11月7日に公表した9月の中国向け水産物輸出額は、前年同月比90.8%減で、マイナスは3カ月連続となっています。また、岩手県はアワビの生産量日本一を誇りますが、先日の報道では、ことしのアワビの価格は前年比で3割も下落しており、値を下げた理由として、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が挙げられています。
 宮城県では、令和5年9月11日に県として独自の水産事業者向けに約3億2,000万円を投じる支援策を発表しました。
 処理水の海洋放出により、中国の日本原産の水産物を全面輸入禁止する措置の影響が心配される中、県は影響をどのように捉え、今後どのような対応策を講じていくのか伺います。
 次に、鳥獣被害対策について伺います。
 ことしは連日のように熊の被害が報道され、人的被害は過去最多を更新していて、都道府県別の被害を見ると、岩手県と秋田県が突出して多い状況となっています。また、令和4年度の野生鳥獣による農作物被害額は約4億7,000万円で、特に鹿の被害は2億7,000万円に上り、前年度より6,000万円増加しております。被害額は氷山の一角で、報告されていない被害額もあり、地域の産直に伺いますと、鳥獣被害で農家をやめる方がふえていて、野菜商品を品ぞろえできない危機にあると聞きます。
 希望いわての会派による市町村ヒアリングでも、鳥獣被害対策について、さらなる取り組みや財政支援を要望する市町村が多かったところです。令和5年9月の決算特別委員会でも取り上げましたが、鳥獣被害防止総合支援事業によるわな購入などの推進活動は24市町村、鹿等の緊急捕獲活動は18市町村、電気柵等を設置する侵入防止策整備は10市町村と、それぞれの取り組みに温度差があります。
 また、県内33市町村が策定している被害防止計画を見ますと、目標を達成している自治体は少ないのが現状です。
 鳥獣被害対策は、一市町村だけで頑張っても、山はつながっている関係上、近隣市町村や県全体として取り組まなければ被害は一向に減らないと考えますが、県は各市町村や関係団体と協力して、今後どのような対策を講じ、どのような目標設定をして取り組んでいくのか伺います。
 次に、野生鳥獣肉、いわゆるジビエの活用について伺います。
 国は、鹿やイノシシによる農作物被害対策の一環として、ジビエの利用拡大に取り組んでいます。農林水産省は、令和7年度までに利用量を令和元年度に比べ2倍となる4,000トンとする目標を掲げていますが、令和3年度は約2,000トンで利用拡大が進んでいません。ジビエ利用は捕獲数全体の1割程度にとどまっている課題があり、農林水産省は、適切な衛生管理や流通規格に従ってジビエを扱える食肉処理施設に国産ジビエ認証を与える制度をつくって安全性をアピールして、消費者の安心感を高め、ジビエ普及拡大につなげる取り組みを行っています。
 県内では大槌町のジビエ会社MОMIJIが令和2年度からジビエに取り組んでおり、厳格な自社基準で品質管理を徹底し、県内外の飲食店や道の駅、百貨店でも販売しております。今年度は新工場が稼働してペットフードの販売も始めています。
 ジビエを地域のブランド商品として売り出す動きが全国で広がっており、県内においても、ジビエを活用した地域の産業振興や観光振興を図るべきと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、宮古─室蘭フェリー就航再開に向けた取り組みについて伺います。
 宮古─室蘭フェリーは平成30年6月、川崎近海汽船株式会社によって航路が開設され、運航当初は旅客利用数は好調だった一方で、収益性が高いトラック等の利用率が低迷し、残念ながら、令和2年3月末で宮古港寄港は休止となりました。その後は室蘭─八戸間の往復のみ継続していましたが、令和4年1月末で室蘭─八戸間も休止となっています。
 11月6日に行われた岩手の地域づくり・道づくりを考える大会の野村総研資料では、物流2024年問題によって、令和12年には岩手県は40%もの貨物が運べない可能性があるとされています。国は貨物輸送をトラックから鉄道や船へ転換するモーダルシフトを推し進めようとしており、あわせて、脱炭素の流れも追い風になると期待されます。
 宮古港は県内の4重要港湾の中で唯一、高規格道路と直結しております。今後は盛岡南地区物流拠点の整備、宮古盛岡横断道路の2カ所のさらなる整備も視野に、フェリー再開に向けた航路や運航会社の可能性もさまざまな観点から検討してほしいと思います。
 そこで、現在のフェリー再開に向けた取り組みの状況と再開の見通しについて、見解を伺います。
 次に、クルーズ船誘致に向けたポートセールスについて伺います。
 宮古港におけるクルーズ船の寄港は、コロナ禍からようやく回復基調にあり、ことし過去最多の8隻を予定しています。クルーズ船の寄港は、地域ブランドの発信や乗船客のオプショナルツアーによるバス需要のほか、個人観光客の交通機関の利用や飲食や買い物などの経済効果も期待されます。
 一方で、クルーズ船誘致は全国で競争が激化しており、クルーズ船の大型化などさまざまな対応が求められています。現在、宮古港の歓迎のおもてなしは、市内の伝統芸能や児童生徒のお出迎え、地元商店のブース出店等を実施していますが、余りにも港周辺が殺風景であり、岩手県の海の玄関口として何らかの環境整備が必要と考えます。青森県では、近年、青森港に国内外のクルーズ船が年間20隻以上寄港し、東北地方では最も多い寄港数となっていることから、ことしの5月に青森港クルーズ船寄港促進アクションプランを策定し、青森港に寄港するクルーズ船100隻、クルーズ旅客数10万人を目指す取り組みをスタートさせました。
 岩手県においても、おくれをとらないよう、早急なポートセールスの取り組みを期待したいと思いますが、県としてクルーズ船誘致のビジョンや誘致の取り組み状況を伺います。
 次に、宮古港の藤原ふ頭工業用地の利活用について伺います。
 宮古港の藤原ふ頭工業用地は、岩手県の臨海部工業用地として指定されておりますが、長い間、企業誘致実績がなく、塩漬けのままになっています。県内重要港湾の取り扱い貨物量、コンテナ取り扱い貨物量の推移を見ても、宮古港の低迷は数字からも明らかになっています。低迷する地域経済を考えますと、早期の工業用地の分譲が望まれますが、分譲に向けた現在の取り組み状況と今後の計画を伺います。
 次に、海洋レクリエーションのリアスハーバー宮古の利活用について伺います。
 この施設は岩手県が整備した県内唯一のマリンレジャー施設であり、体験型観光が脚光を浴びる中、年間の利用者数は、コロナ禍を除くと延べ2万人平均で、高校生のヨット部の活動やシーカヤック教室などを行っていますが、近年は利用者が固定していると考えます。リアスハーバー宮古は、国土交通省からマリンチック街道のモデルルートとして、全国23のルートの一つに東北地方で唯一、みやこ海の駅として選ばれました。そこで、さらなる利用促進を図り、地域活性化につなげる取り組みが必要と考えますが、県の認識を伺います。
 次に、公共交通維持について伺います。
 鉄道、バス、タクシーなどの公共交通は、地域住民の通学、通院、買い物など、日常生活に欠くことのできない移動手段であるとともに、観光など地域間交流の促進を図る上でも重要な役割を担っています。
 しかし、近年の公共交通機関の利用状況は、人口減少や少子高齢化、マイカー利用の増加などにより需要が低迷しており、本県の広い面積をカバーするコストや過疎化の進展により、各自治体では公共交通維持費の負担が年々増加し、大きな負担を強いられています。
 昨年7月にJR東日本が利用者の少ないローカル線の区間別収支を初めて公表しました。本県関係では、大船渡、釜石、山田、八戸、花輪、北上の6路線10区間が該当し、今後、持続可能な交通のあり方について沿線自治体と協議を進めたい意向が示され、住民や自治体の不安が高まりました。
 ことし10月1日には経営が苦しいローカル線のあり方を議論する再構築協議会の制度の運用が始まっています。岩手県は昨年11月にJRローカル線維持確保連絡会議の初会合を開き、6路線の沿線15市町の首長らが出席して、JR東日本や国に対し要望活動を行うことや、沿線自治体でつくる首長会議等で路線維持や利用促進策を検討していくことを決めていますが、県内JR沿線自治体首長会議等の開催状況を見ると、まだ開催されていないところもあり、取り組みに温度差があるのではないかと危機感を感じます。
 そこで、改めてJRローカル線維持確保についての知事の御所見を伺います。
 次に、地域のバス路線維持について伺います。
 多くのバス会社が経営赤字に陥っている中、新聞報道によると、運転士不足や燃料高騰、コロナ禍の経営悪化などを理由に、県内で住民や学生が利用している広域的な基幹路線の廃止が報道されました。県では、広域生活路線や幹線路線等に支援をしながら、地域住民の生活の足である路線バスの維持に取り組んできたと認識していますが、一方で、地域公共交通網形成計画等を策定している市町村は、33市町村の中で20市町村にとどまっております。人口減少と過疎化が進む中、県として今後、地域のバス路線維持にどう取り組んでいくのか伺います。
 次に、不登校児童生徒の出現率低減に向けた取り組みについて伺います。
 文部科学省は令和4年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表しました。岩手県は不登校児童生徒が小学校、中学校、高等学校を合わせると2,588人と過去最多を更新しました。特に小学校の増加が目立ちます。また、いじめ認知件数は8,256件で過去最多を更新しており、1,000人当たりの認知件数は全国に比べて高い状況にあります。
 県教育委員会では、不登校児童生徒を発生させないため、魅力ある学校づくり等に取り組んでいると認識していますが、県教育委員会における不登校児童生徒の出現率低減に向けた取り組み状況を伺います。
 次に、不登校児童生徒への対応状況について伺います。
 令和5年度の別室登校状況は、小学校、中学校、高等学校の合計で443人となっており、保健室や空き教室に登校している状況と伺いました。また、令和4年度の不登校児童生徒2,588人の中で教育支援センターに通所している児童生徒は121人、率にして4.7%になっています。
 文部科学省の令和4年度の問題行動・不登校調査結果から、不登校の小中学生の相談状況は、約4割が専門家らの相談や支援を受けられていない実態が明らかになっています。
 県は令和5年度から、教育支援センターのない町村や体制拡大が必要な自治体に対して職員の人件費を支援していますが、令和5年5月現在で、県内33市町村で設置済みは23市町、未設置は10町村となっており、不登校児童生徒の受け皿のない自治体もあります。
 また、教育相談件数の状況を見ますと、令和4年度の県内のスクールカウンセラーは80名で、相談件数は3万5,596件、スクールソーシャルワーカーは24名で、相談件数は1,297件となっています。
 県教育委員会は、不登校児童生徒の対応状況についてどのような認識を持ち、どのように取り組んでいくのか伺います。
 不登校問題は、学校だけでなく家庭や地域、社会全体の問題であると思います。私の周りを見ても、不登校児童生徒がそのまま大人になり、ひきこもりになっている方々もいます。令和元年3月の内閣府の発表では、15歳から39歳のひきこもりは全国に約54万人いるとされています。岩手県内のひきこもり調査は、平成30年度に民生委員、児童委員にアンケート調査を実施し、県内に1,616人、うち10代が60人、20代が183人とされていますが、令和4年度に国が行ったひきこもり全国調査では、ひきこもりの定義に該当する割合は有効回答の2%あり、岩手県内のひきこもり推計は、平成30年度の調査結果の10倍はあると私は思います。
 不登校はその後のひきこもりのきっかけともなるものであり、ひきこもりの未然防止のためにも不登校対策は重要です。
 そこで、知事のマニフェストプラス39の中では、一人ひとりの子どもに寄り添った学びといじめや不登校への対策推進を掲げられておられますが、多様化、複雑化する背景を抱える不登校児童生徒への対策についての知事の御所見を伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 畠山茂議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沿岸振興についてですが、令和5年度の県民意識調査によれば、畠山茂議員御指摘のとおり、幸福と感じる割合は県全体で微増傾向にありますが、沿岸圏域では5.8ポイント減少しております。
 10の政策分野に関連する57の調査項目がありますが、沿岸圏域は安定した就職環境や商店街のにぎわいなど、仕事・収入分野の項目の満足度が低い状況となっています。
 また、調査時期の令和5年1月から3月までの有効求人倍率を見ると、沿岸地域は県平均を下回り、特に、久慈地域、大船渡地域は1倍を下回っていることから、産業の振興やまちのにぎわいの創出に向けた取り組みを一層強化していく必要があると受けとめています。
 こうしたことから、新たな交通ネットワークや地域資源を生かした企業誘致や、地場企業等の業容拡大など地域の産業振興による安定した就職環境の充実、起業、創業による新規出店や事業承継の促進に向けた取り組みの強化、三陸ジオパークや三陸鉄道、豊かな食などの地域資源を生かした交流人口の拡大などを進めております。
 ことし7月に開催した三陸復興防災会議2023の基調講演で、講師である藻谷浩介氏からは、海がきれいで食べ物がおいしいので、日本で一番修学旅行が来るのが三陸であるという状況をつくることができる。岩手県はアジアの中で強い競争力が持てる県。山と海があって、イタリアやスイスのような要素があり、三陸には大きな力がある。三陸で満ち足りて暮らし、好きなときに都会や世界で遊ぶ豊かな未来は必ず実現できるなどのお話をいただいたところであり、引き続き、沿岸地域の振興に取り組んでまいります。
 次に、トップセールスについてでありますが、県では、JAいわてグループや関係機関、企業等で構成する、いわて農林水産物国際流通促進協議会を組織し、アジアや北米地域をターゲットに県産農林水産物等の輸出拡大に取り組んでいます。
 昨年、カナダで行ったトップセールスでは、オタワなど主要4都市において、農業団体、商工団体とともに、在外公館等と連携し、レストラン関係者や流通業者、政府関係者を対象に、米やリンゴ、牛肉、日本酒等の品質の高さやおいしさをPRしたところであり、カナダへの令和4年度の輸出額は前年度に比べ、米が約13倍、リンゴや牛肉が約3倍と大幅に増加いたしました。
 また、今年度は日本食の需要が拡大しているマレーシア、シンガポールで、市町村や農業団体、商工団体等と県産農林水産物や日本酒などの県産品フェアと観光プロモーションを組み合わせたトップセールスを行うこととしています。
 トップセールスは、直接的な販売効果に加え、認知度やブランド力の向上、現地事業者等とのこれまでのつながりの強化や新たなネットワークの構築など、販路拡大につながる重要な取り組みであることから、今後も関係機関、団体等と連携しながら、県産農林水産物を初めとする県産品の輸出がさらに拡大していくよう、積極的に取り組んでまいります。
 次に、JRローカル線の維持確保についてでありますが、ローカル線は地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有するとともに、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であります。
 県では、昨年11月にJRローカル線維持確保連絡会議を開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと、路線ごとに沿線自治体首長会議等を立ち上げ、県及び沿線市町が連携を強化して、さらなる利用促進に取り組んでいくことについて、沿線市町と認識を共有いたしました。
 これを踏まえ、これまでに山田線、北上線、釜石線及び花輪線において、沿線自治体首長会議や関係首長出席のもと、利用促進協議会が開催され、利用促進の強化などを確認しているところです。また、大船渡線及び八戸線においても、開催に向けて調整が進められています。
 県としては、路線ごとに状況が異なることから、沿線市町の意向も十分に踏まえながら、引き続き、沿線自治体会議や利用促進協議会等を通じ、沿線市町と連携しながら、鉄道の維持確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、不登校児童生徒への対策についてでありますが、不登校の背景や要因について、文部科学省では、児童生徒の休養の必要性を明示した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の趣旨の浸透等による保護者の学校に対する意識の変化に加え、コロナ禍による生活環境の変化や学校生活において交友関係を築くことが難しかったことなど、登校意欲がわきにくい状況にあったことなども考えられるとの見解を示しており、本県においても同様の認識であると承知しております。
 また、学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、不安や悩みを相談できない子供たちがいることや、不安や悩みが従来とは異なる形であらわれる可能性があることから、周囲の大人が子供たちのSОSの早期発見に努め、組織的対応を行い、必要に応じて医療、福祉などの外部の関係機関につなげていくなど、一人一人の子供に寄り添ったきめ細かい相談体制が重要とされております。
 これまで県教育委員会では、魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、市町村の教育支援センターの設置や拡充による相談支援体制の強化、フリースクール等民間団体との連携会議の開催などの取り組みを実施してきたところです。
 県教育委員会では、さらに市町村教育委員会と連携しながら、校長のリーダーシップのもと、専門職を含めたチーム学校による未然防止と早期発見、早期対応の取り組み、教育支援センター等による相談支援体制の充実、フリースクール等民間団体などとの連携の強化、教育振興運動やコミュニティスクールなど地域ぐるみの取り組みを進めることとしており、不登校等を経験した生徒等の受け入れを行っている私立学校も複数あることから、知事部局としても多様な学びの機会の確保のため、必要な支援を行ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承願います。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、復興ツーリズムについてでありますが、コロナ禍における移動制限を背景に、県内の学校が教育旅行の行き先を県外から県内に変更したことを要因に、三陸沿岸地域への教育旅行の入り込みが増加したところであり、5類移行後におきましては、コロナ禍前に本県を教育旅行先としていた県外の学校等に対する本県への教育旅行の再開の働きかけや新たな誘致を積極的に進めていかなければならないと考えております。
 また、本年7月にJR東日本が中心となって、国、県、市町村、関係事業者等で構成する東北復興ツーリズムネットワークを設立したところであり、今後、このネットワークを活用して、多くの方々に東北地方、そして、本県沿岸部を訪れていただくよう取り組んでいきたいと考えております。
 こうした取り組みを進めていくに当たって、近年の教育旅行は探求型の体験プログラムを重視していることから、市町村や三陸DMОセンターなどと連携し、三陸鉄道による震災学習列車や、漁業者が案内する海の体験・食の体験を初めとしたコンテンツをパッケージ化して、PRしながら誘致活動に取り組んでいるところであります。
 さらに、年明けから実施する、いわて冬旅キャンペーンにおきましても、防災学習や体験イベントとの連携を図っており、こうした取り組みを通じて、復興ツーリズムの拡大を進めてまいります。
 次に、三陸ジオパークについてでありますが、三陸の雄大な海岸線の成り立ちや地質、また、人々の暮らしに根づいた文化や食などのつながりを感じることができる三陸ジオパークは、三陸ならではの観光資源であり、このすばらしさを国内外に発信していくためには、環境分野と観光分野が連携して取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このような考えのもと、昨年度、三陸DMОセンターを所管する公益財団法人さんりく基金と三陸ジオパーク推進協議会との間で、交流人口の拡大による三陸地域の振興や震災伝承、防災教育、情報発信などを連携、協力して推進することを目的とした協定を締結したところでございます。
 この協定のもと、三陸ジオパークをテーマとした観光フォーラムの開催や、三陸観光ポータルサイトを活用した情報発信、さらには、SDGsをテーマとした教育旅行プログラムの開発などに取り組んできたところであり、先般の再認定に際し、調査員から広大なジオパークのモデルとも言えるとの話もいただいたと聞いております。
 今後におきましても、ウェブやSNSを活用した情報発信や、みちのく潮風トレイル等と連携した雄大な自然や豊かな文化を体感できる体験型ツアーの造成などの取り組みを進め、国内外に多様な価値を発信し、交流人口の拡大につなげていきたいと考えております。
 次に、食品加工業者の輸出拡大についてでありますが、県内の食品加工業者等が新たに輸出に取り組む場合、国ごとの商慣習や輸出規制などの情報の習得、各国のニーズに合わせた商品開発、HACCP等に対応した設備投資を初め、個々の企業の力では解決が難しい課題が数多くあると認識しております。
 このため、県としては、国ごとの商慣習などの情報について、ジェトロと連携したセミナーの開催や、産業創造アドバイザーや工業技術センターによる商品開発支援、さらには、国の支援制度の活用による衛生管理講習会の開催や専門家派遣などによるHACCP対応等に係る環境整備支援などを行っております。
 こうした取り組みを通じて、食品加工業者の海外市場への参入を拡大していくとともに、ことし9月に岩手県酒造組合が主体となって県産の日本酒が地理的表示、いわゆるGI指定を受けたことを契機とし、海外向け岩手県産日本酒の産地ブランド化を進めるなどにより、食品加工業者の輸出拡大に向けた支援を進めてまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、輸出促進に向けた重点品目の拡大についてでありますが、県では、県産農林水産物の輸出拡大に向け、輸出に意欲的な産地や事業者が、国の輸出関係事業を活用していくことができるよう、採択要件となる輸出事業計画の策定や生産者、輸出事業者等で組織するコンソーシアムの設立を支援しているところです。
 また、国事業に優先的に採択されるよう、国の農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略に基づく重点品目の輸出産地リストへの登録を支援しているところです。
 これまでの取り組み等により、国の輸出産地リストに登録された本県の品目数は、11月末現在、米、リンゴ、牛肉、日本酒など7品目19産地となっています。
 今後も、輸出に意欲的な産地や事業者が国の輸出関係事業を活用できるよう、輸出産地リストへの登録を支援するとともに、バイヤー招聘やフェアの開催などにより、県産農林水産物を初めとする県産品の輸出が拡大するよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、水産振興についてでありますが、本県の水産業は、沿岸地域の基幹産業であり、東日本大震災津波により被害を受けた生産基盤が着実に復旧、復興してきた中で、サケ等の主要魚種の不漁は、漁業者を初め漁協や水産加工業者などの経営に深刻な影響を及ぼしています。
 このため、水産業リボーン宣言に基づき、関係者が一丸となってサケ等の主要魚種の資源回復や増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入の取り組みを進めていくことが重要と考えています。
 サケ資源の回復に向けては、現在、種卵の確保を進めており、北海道等からの提供を合わせ約5,000万粒と目標の約6割を確保しているほか、ウニ資源の畜養、出荷では12漁協に取り組みが拡大しており、サケ、マス類の海面養殖では、来年度の水揚げに向け、今年度より3地区多い9地区で取り組みが進められています。
 県としては、引き続き、こうした取り組みを支援しながら、本県の水産業が活性化するよう、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、養殖業についてでありますが、主要魚種の水揚げが大幅に減少する中、安定的な収益の確保に向け、海洋環境の変化にも左右されにくい海藻や貝類等の養殖を振興していくことが重要であります。
 本県においては、東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けた養殖施設について、復興計画等に基づき復旧整備を図るとともに、養殖生産量の回復に向け、生産規模の拡大や漁協の自営養殖などを推進してきたところです。
 また、サケ等が不漁となる中、県内では、サケ、マス類の海面養殖の取り組みが拡大するほか、ホタテガイに比べ貝毒の影響が少ないとされるアサリ養殖の事業化に向けた実証試験を今年度から開始したところです。
 県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに、養殖ワカメやサケ、マス類の海面養殖の生産に係る目標を掲げ、養殖技術の開発普及や海面養殖用種苗の安定供給に向けた体制づくりなどを進めており、引き続き、養殖生産の拡大など、本県の新しいつくり育てる漁業を積極的に進めてまいります。
 次に、サケ漁の見通しについてでありますが、本県の秋サケの漁獲量は、令和4年度で約450トンと震災前の約2%となっており、県水産技術センターによる今年度の秋サケの回帰予報では、約300トンとさらに減少が予測されています。
 また、サケ稚魚の放流実績は、平成30年度まで約4億尾でしたが、令和3年度以降は1億尾未満となっており、秋サケの回帰は今後さらに減少することも懸念されるところです。
 一方、県水産技術センターの研究において、大型のサケ稚魚を放流すると生き残る割合が高まり、回帰率が向上するとしており、サケ資源の回復に向けては、稚魚の生産に必要な種卵の確保とともに、大型で強靭な稚魚の生産と適期に放流していくことが重要であります。
 このため、県では、種卵について、北海道などに提供を働きかけし、先ほど御答弁申し上げたとおり、現在、目標の約6割の種卵を確保するとともに、改良した餌を活用した大型で遊泳力の高い強靭な稚魚の生産を推進しており、引き続き、サケ資源の早期回復に向け、関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、中国の輸入停止措置の影響等についてでありますが、漁業団体からは、アワビの10キログラム当たりの事前入札価格が11月漁獲分で9万7,000円と前年に比べ約3割低下、12月漁獲分で7万6,000円と前年に比べ約4割低下したと聞いています。
 また、一部の水産加工業者で輸出が困難となっているほか、取引がキャンセルになるなどの影響が生じていると把握しています。
 県では、影響を受けた漁業者や水産加工業者の損害については、被害の実態に即して迅速かつ確実に賠償が行われるよう、東京電力や国に求めるとともに、引き続き、ALPS処理水の海洋放出による影響把握や、漁業者等からの相談に丁寧に対応していくこととしています。
 さらに、新鮮で安全、安心なおいしい県産水産物を県外にPRし、需要を喚起していくための緊急的な取り組みについて、早期に着手できるよう検討を進めており、今後とも、関係機関、団体等と連携しながら必要な対策を講じてまいります。
 次に、鳥獣被害対策についてでありますが、県では、市町村と連携した野生鳥獣の被害防止対策を強化していくため、今年度、新たに市町村等と鳥獣被害防止対策会議を設置し、現地の被害状況や取り組みの情報共有、新たな被害防止技術の検討等を行うとともに、ICTを活用した効率的な捕獲実証、被害防止対策の助言を行うアドバイザー派遣などを実施しています。
 また、県が主体となった広域捕獲活動について、久慈地域で実施したほか、今後、遠野地域で実施することとしており、さらに、国事業を活用し、市町村が取り組む有害鳥獣の捕獲や侵入防止柵の設置、里山周辺の除間伐などの活動を支援しています。
 本県では、今年度のニホンジカの捕獲目標を2万7,000頭と昨年度に比べ2,000頭引き上げたところであり、9月末現在の捕獲頭数は約1万頭と、過去最多となった前年同期を上回っており、引き続き、市町村、関係団体と連携しながら野生鳥獣による農作物被害防止に積極的に取り組んでまいります。
 次に、ジビエの活用についてでありますが、捕獲した野生鳥獣を食肉として利用することは、野生鳥獣による被害防止対策のほか、地域資源の有効活用につながると考えています。
 本県の鹿肉等は、放射性物質の影響により、国から県全域を対象とした出荷制限を指示されており、鹿肉等の利用に当たっては、県が策定する放射性物質検査の実施等を定めた出荷・検査方針に基づき、適切な管理や検査を行うなど、放射性物質の基準値を下回る鹿肉等のみが流通する体制の整備が必要とされています。
 県ではこれまで、大槌町内の食肉処理施設を対象とした出荷・検査方針の策定や鹿肉の放射性物質検査、食肉処理施設の整備を支援してきたほか、今年度は、沿岸地域の市町村等を対象に、ジビエ利用の研修会や事業化に向けた相談会等を行っているところです。
 県としては、野生鳥獣の食肉利用に関心を示す市町村等に対し、出荷制限の一部解除に向けた適切な管理、検査体制の整備や食肉処理施設の整備、ジビエを活用した特産品や地元飲食店のメニュー開発に活用可能な事業の導入を支援することとしており、引き続き、ジビエを活用する取り組みを推進してまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、宮古─室蘭フェリー航路再開に向けた取り組みについてでありますが、本年10月に開催した宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議において、宮古盛岡横断道路や三陸沿岸道路の利便性や機能強化の状況、内陸部の大規模物流拠点の整備状況等を共有するとともに、今年度は企業訪問の対象を首都圏まで拡大し、荷主企業等27社に宮古港の優位性などをPRしてまいりました。
 現時点では、再開の具体的な見通しを確認するには至ってはおりませんが、引き続き、宮古市等と連携しながら企業訪問を行い、新たな貨物の掘り起こしに努めるとともに、得られた企業動向等をフェリー運航会社と共有し、航路再開に向け取り組んでまいります。
 次に、クルーズ船誘致に向けたポートセールスについてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランや第2期岩手県ふるさと振興総合戦略において、クルーズ船の寄港拡大に関する主な取り組み方向や具体的な施策、数値目標を定めております。
 これらに基づき、港湾所在市等と連携して、クルーズ船社や旅行会社等へポートセールスを行うとともに、今年度においては、クルーズ船の誘致等に関する連携協定を締結している横浜市と合同で、ツーリズムEXPOジャパン2023に出展し、クルーズ船社等に向けて、道路整備に伴いオプショナルツアーの圏域が大幅に拡大したことや、県内の魅力ある観光資源等についてPRしてまいりました。
 今後も、宮古港を初めとする本県港湾へのクルーズ船の寄港により交流人口の増加や観光振興が図られるよう、さまざまな機会を捉えてポートセールスを行い、さらなる寄港拡大に向け取り組んでまいります。
 次に、藤原ふ頭工業用地の利活用についてでありますが、藤原地区の工業用地の未分譲地については、関係部局や宮古市との合同によるポートセールスを行うとともに、本年7月に開催した企業ネットワークいわて2023in東京において、企業等101社に対し、インターチェンジに直結する宮古港の優位性や三陸沿岸道路等の利便性についてPRを行っております。
 今後も、これまでの取り組みを通じて宮古港に関心を示した企業等を中心に、関係部局や宮古市と連携してポートセールスを行い、藤原地区の工業用地の分譲の促進に努めてまいります。
 次に、リアスハーバー宮古の利活用についてでありますが、リアスハーバー宮古は、ヨット競技の普及等を目的に設置したところであり、県立宮古高等学校、県立宮古商工高等学校のヨット部の活動や、指定管理者が実施するシーカヤック教室、ハーバーまつり等のイベントに利用されております。
 県では、リアスハーバー宮古の利用促進策について指定管理者との意見交換や、施設の機能、利用方法、イベント予定等をホームページで発信するとともに、小中学校及び各自治体の教育委員会への個別訪問、指定管理者と連携した学校長会議でのPR等を行ったところ、今年度、新たに内陸部の中学生によるレジャー体験が実施されるなど、その成果があらわれてきています。
 今後も、指定管理者や宮古市等と連携し、リアスハーバー宮古の利用拡大に取り組んでまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 地域のバス路線維持についてでありますが、人口減少や新型コロナウイルス感染症による利用者の減少、燃料費高騰、運転士不足など、地域公共交通を取り巻く状況が厳しい中にあっても、通学や買い物など日常生活に必要不可欠な移動手段を維持、確保していくことは重要と考えております。
 県では、国や市町村と連携し、バス事業者に対して広域的なバス路線の運行欠損額に対して補助しているほか、補助路線が廃止された場合に、市町村が必要な代替交通を確保する取り組みに対する補助を行っております。
 また、市町村が行う地域公共交通計画の策定や公共交通の再編に伴うデマンド交通の実証運行等に対し、経費への補助や有識者派遣による技術者助言などの支援を行っております。
 本年度中に、県の次期地域公共交通計画を策定することとしており、国や市町村と連携し、本計画に基づく取り組みを進めることにより、持続可能な地域公共交通の維持、確保を図ってまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、不登校児童生徒への対策についてでありますが、不登校の未然防止のためには、児童生徒が学校が自分にとって大切な意味のある場になっている、自分という存在が大事にされている、心の居場所になっていると実感でき、また、いじめや暴力行為などが許されない学校、学級づくりを行うなど、児童生徒にとって魅力ある学校づくりが大切であると認識しております。
 このため、県教育委員会では、校長など管理職を対象とした学校運営に関する研修、全ての教員を対象としたいじめや不登校の理解や未然防止に関する研修、スクールカウンセラーによる教員を対象とした心のサポート校内研修、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーによる学校等からの相談対応などに加え、平成22年度以降、これまでに、国立教育政策研究所の委託を受け、花巻市、盛岡市、滝沢市、宮古市において魅力ある学校づくり調査研究事業を実施し、その成果を広く県内の学校に周知するなど、チーム学校による魅力ある学校づくりを推進しております。
 今後も、不登校の未然防止に向け、各種研修等の実施による教員の資質能力の向上や教育相談体制の充実等、魅力ある学校づくりの推進に取り組んでまいります。
 次に、不登校児童生徒への対応状況についてでありますが、不登校の要因は多岐にわたり、児童生徒一人一人の状況に応じた教育相談体制の充実を図るとともに、学校内外の居場所づくりなど、教育機会の確保に取り組んでいく必要があると認識しております。
 このため、県教育委員会では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SОSダイヤル相談窓口の設置、教育支援センターやフリースクール等民間団体との連携を図る、不登校児童生徒支援連絡会議の開催など、これまでの不登校対策に加え、今年度から新たに、教育事務所管内を統括するエリア型カウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの常勤化、1人1台端末等を利用したこころの相談室の開設、市町村の教育支援センターの設置や拡充による相談支援体制の強化などに取り組んでいるところです。
 県教育委員会としましては、今後、さらに不登校児童生徒の教育相談体制の充実や居場所の確保を進めていくため、県の教育支援センターの機能等の見直しを図るとともに、フリースクール等民間団体や地域などとの連携を強化しながら、児童生徒の一層の支援に取り組んでまいります。
〇2番(畠山茂君 それぞれ丁寧な御答弁をいただきました。大変ありがとうございます。何点か再質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、宮古港の港湾振興、フェリー再開に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
 宮古港の振興計画の中には、宮古港長期構想計画というものがあります。その核になるのは、フェリー就航であって、フェリー就航が始まらないと宮古港の整備もなかなか進まないと私は認識をしております。そこで確認したいのは、フェリー就航に当たっては、県のスタンスとして、今までの宮古─室蘭航路に固執し、あるいは、川崎近海汽船株式会社という会社に固執した再開を目指しているのか、いや、そうではなくて、先ほども演壇でも言いましたけれども、物流の2024年問題、あるいは道路の整備、そしてまた、脱炭素の追い風が吹いているわけですけれども、航路も、あるいは運航会社も含めて、幅広い意味で再開に向けたさまざまなチャレンジをしていくという方針なのか、まず、その点を確認したいと思います。
 それから二つ目に、クルーズ船の誘致についてもお聞きしたいと思います。
 今、新型コロナウイルス感染症の収束でインバウンドがかなり本格化しています。そしてまた、俗にいうニューヨークタイムズ紙の報道で、岩手県も観光客が増加傾向にあると思っています。その中で、岩手県の観光の窓口は、空はいわて花巻空港で、陸は新幹線の駅があって、私は、海はクルーズ船の宮古港ではないかと思っています。
 答弁では、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの中でも目標を定めていますけれども、令和6年度の目標は6隻、令和7年度は8隻、令和8年度に10隻という目標設定を持っているわけですけれども、演壇でも言ったとおり、宮古港だけですけれども、今年度は、もう8隻の実績があって、来年度も8隻の予定が入っております。そういった意味で、青森県のように、年間100隻とまではいきませんが、せめて10隻ではなくて、倍の20隻を目指すとか、また、先ほども言ったとおり、クルーズ船は戦国時代、全国で誘致合戦でありますので、いわて県民計画(2019〜2028)よりもっとレベルのある、青森県のように寄港促進に特化したアクションプランをきちんとつくってやっていかないと、なかなか誘致の増加は難しいのではないかと私は思っておりますので、そういったアクションプランをつくる予定はないのか、この辺の受け入れ体制はどのように考えているのかも改めてお伺いしたいと思います。
 それから3点目に、水産振興の関係で、クロマグロの漁獲枠についてもお聞きしたいと思います。
 先日の新聞記事にも出ましたけれども、水産庁は令和5年11月29日に、太平洋クロマグロの2024年の漁獲枠について、国内配分案を漁業者や行政関係者に提示しましたということで、本県では大型魚が55.1トンで前年比で0.2トン増、小型魚はことしと同じで78.8トンとなっています。来年の2024年6月ごろに最終決定を見込んでいるということでありましたけれども、例えば、宮古市だけでも、お聞きしますと、令和5年度だけで既に1万尾を放流しているというお話を聞いています。そこで、県は、クロマグロの漁獲枠拡大について、どのような認識を持って、どのような取り組みを検討しているのか、その点も改めてお聞きしたいと思います。
 それから4点目に、不登校問題に関してもお聞きしたいと思います。
 不登校問題に関して、別室登校の児童生徒について伺います。宮古市の18歳の高校生が岩手日報へ、被害者に考慮した別室登校にという題で投稿した記事を紹介いたします。内容は、文部科学省の調査では、不登校のきっかけとして、いじめ、嫌がらせなどを挙げた児童生徒は、小中学生とも25%を超えている。いじめが原因で教室に登校できなくなった生徒が保健室などの別室登校をすることで加害者との接触を避けることは、一見、被害者に寄り添っているかのように見えるが、なぜ被害者側が安心して教室に行けず、学習の権利を奪われなければならないのかという問いかけの投稿でございました。
 これも新聞記事なのですが、文部科学省が令和5年11月10日に、全国で前年比22%増の不登校急増を受けて、居場所づくりの拡充を図るため、公立小中学校の空き教室で不登校児童生徒の学習指導などをする校内教育支援センターを全国で6,000校に新設する補正予算29億円を計上しました。
 そこで、改めてお聞きしたいのですが、県教育委員会として、別室登校の児童生徒への配慮はどのように行われているのかお聞きしたいと思います。
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、宮古港へのフェリー航路再開に向けた方針についてでありますが、県としては、フェリーの就航を契機とした室蘭市や室蘭商工会議所等との交流や、室蘭市等と一体となった活動が重要と考えていることから、フェリー航路の再開について、まずは、室蘭市、宮古市と連携し、フェリー運航会社に働きかけていくとともに、県内の港湾で唯一インターチェンジに直結する宮古港の優位性や、宮古盛岡横断道路や三陸沿岸道路の全線開通後の利便性について、企業訪問等を通じて積極的にPRしてまいります。
 なお、現在、物流業界においては、2024年度からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制等の働き方改革や、脱炭素化に向けた取り組みへの対応が求められており、今後、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトが進む可能性があるものと考えております。
 また、本年、国が我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議において取りまとめた、物流革新緊急パッケージにおいても、フェリー、RORO船等の輸送量などを今後10年程度で倍増に取り組むこととされていることから、これらを踏まえた北海道と本州間の物流の動向の変化について注視してまいります。
 次に、クルーズ船誘致の取り組みについてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン等で設定した目標値は、コロナ禍の影響で外国船社クルーズ船の国内への寄港再開が見通せない時期に設定したものでありますので、今後、クルーズ業界の動向やポートセールスで得られた船社の反応等を踏まえ、その見直し等を検討してまいります。
 また、宮古港を初めとする県内港湾へのクルーズ船の寄港拡大を図るため、まずは、既存のアクションプラン等で定めたポートセールスを展開していくとともに、寄港促進に特化したアクションプランについては、港湾所在地等の意見も伺いながら、その必要性を検討してまいります。
〇農林水産部長(藤代克彦君) クロマグロの漁獲枠についてでございますけれども、近年、本県沿岸にクロマグロ大型魚の来遊が増加しておりまして、漁業者の皆さんからは、大型魚の漁獲を希望する声が多く寄せられております。県としては、こういったクロマグロの漁獲枠を拡大していくことが重要だと認識しております。
 ただ、一方で、クロマグロは国際的な資源回復の取り組みが進められておりまして、国全体の漁獲可能量をもとに、毎年、各都道府県に対し、30キログラム未満の小型魚と30キログラム以上の大型魚に分けて漁獲可能量が配分されているという状況でございます。
 畠山茂議員御指摘の新聞報道にありました来年度の小型魚78.8トン、そして、大型魚55.1トン、対前年比で見ますと、大型魚で0.2トン増という配分案でございますが、さらに、今年度の漁獲実績を踏まえて、来年4月以降に追加の配分が見込まれているところでございます。
 また、今年度の状況を見ますと、追加配分ということで約30トンほど追加があったところで、これに対して、県といたしましては、まずは大型魚をとりたいという声が多いことから、小型魚と大型魚について、枠を若干振りかえて対応するとともに、さらに、国に対して、大型魚の漁獲可能量の追加配分、そして、配分方法の見直しを要望しているところでございます。
 引き続き、クロマグロの漁獲可能量の拡大を国に要望するなど、関係機関、団体と連携しながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇教育長(佐藤一男君) 別室登校の児童生徒への配慮についてでございますが、各学校におきましては、校長のリーダーシップのもと、学級担任、養護教諭などが中心となって家庭との連携を図りながら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職も含めたチーム学校として組織的に対応しております。
 例えば、児童生徒が学校に行くことはできるが、自分のクラスには入れない場合や、少し気持ちを落ち着かせてリラックスした場合に利用できる学校内の空き教室とか保健室などを活用して、児童生徒のペースに合わせて相談に乗ったり、学習のサポートを行ったりするなどの対応が行われております。
 また、県教育委員会、県立学校におきましては、オンラインやICTを利用しまして、校内の別室を活用した居場所づくりに努めるなど、不登校児童生徒に対する教育機会の確保に取り組んでおります。
 引き続き、市町村教育委員会とも連携を図りながら、別室登校を初め、児童生徒の安心できる居場所づくりに取り組んでまいります。
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって畠山茂君の一般質問を終わります。
   
〇副議長(飯澤匡君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時40分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時2分 再開
〇副議長(飯澤匡君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。川村伸浩君。
   〔23番川村伸浩君登壇〕(拍手)

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