令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(高橋こうすけ君) 自由民主党の高橋こうすけでございます。3回目の一般質問の機会を与えてくださいました県民の皆様、そして先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げ、質問に入ります。
 最初に、知事の政治姿勢について伺います。
 知事の政治姿勢に関しては、本定例会において、政務秘書の業務内容等について多くの問題提起がなされているところです。政務秘書にかかわる住民監査請求は却下されたと聞いておりますが、知事の政治姿勢のあり方については、その法的妥当性とは別に、県民の納得感が得られるような説明責任が求められると考えています。
 知事は、令和4年1月26日の知事記者会見において、記者の方から、ことし夏の参議院議員選挙に関する質問があった際に、特定の立候補予定者について、その方が参議院議員をそのまま続けていくことが、岩手県のためにもなり日本のためにもなると思うという趣旨の発言をされました。また、2月25日、そして昨日の本会議の場においても、知事から同趣旨の答弁がされています。
 公正公平であるべき岩手県知事として、知事の立場で情報を発信する記者会見の場等において、特定の立候補予定者の後押しをするような発言は間違っていると思いますが、知事の真意を伺います。
 次に、デジタルトランスフォーメーション―DXの推進について伺います。
 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、三密の回避や不要不急の外出行動の抑制など、国民生活に大きな制限をもたらした一方で、国民生活や経済活動維持の観点から、これまで進んでいなかった領域を含め、デジタル化を一層推進していく必要性を顕在化させました。
 国では、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針において、デジタル社会の目指すビジョンとして、誰ひとり取り残さない、人に優しいデジタル化を掲げるとともに、令和3年9月には、府省間の縦割りを超えた司令塔組織としてデジタル庁を設置し、デジタル社会の形成を強力に推進しています。
 こうした急速な流れの中で、デジタル技術に習熟していない傾向にある高齢者の方々や、財政規模やデジタル人材に限りがある小規模自治体がデジタル化に取り残されていくという懸念は、岩手県においてはより一層大きな課題と言えます。
 こうした課題に対応しながら、デジタル化による新しい社会をつくっていくに当たり、岩手県におけるDXの推進、デジタル社会実現の中核組織として、いわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議が設置されたものと認識していますが、今後において、単に状況調査や先進事例の共有にとどまらない踏み込んだ成果を期待しています。
 そこで、今後、構成団体にどのような役割を期待し、どのような成果を目標に取り組みを進めていくのか、今後のスケジュール感を含め伺います。
 次に、デジタルトランスフォーメーションにおける市町村との連携について伺います。
 県が実施した県内市町村のDX取り組み状況の調査結果では、DXの認識共有、機運醸成の取り組みとして、首長・幹部職員のリーダーシップが発揮されていると回答した市町村は3団体にとどまり、また、DXの全体方針を策定していない市町村の課題として、DXに対するトップの優先意識が低く、方針策定の内容に苦慮しているとの課題が挙げられています。
 DX人材の不足、財政状況など、市町村によってさまざまな事情を抱えていることは認識しておりますが、岩手県におけるDXを実現するためには、住民に一番近い存在である市町村における取り組みが急務であり、そのためには、まず、首長がDXの必要性について十分に理解をした上で、強いリーダーシップを持って取り組みを進めることが重要と考えています。
 そのためには、知事みずからが、市町村長との対話の中でDXの推進に関して強くメッセージを伝えていくとともに、市町村に対し、DX人材の確保を含めたさまざまな形での支援を行っていく必要があると考えますが、知事の考えを伺います。
 次に、県職員の働き方改革の推進について伺います。
 多様化する県民ニーズに対応した持続可能な県民サービスを提供していくには、県行政を支える職員のワーク・ライフ・バランスを確保した働き方が必要です。
 県では、県職員一人一人が、仕事と生活の調和を保ちながら働ける職場環境の実現に向け、岩手県庁働き方改革ロードマップを策定しています。
 岩手県庁働き方改革ロードマップでは、モバイル通信環境の整備や電子決裁・文書管理システムの本格導入によるリモートワークやペーパーレスの加速、育児や介護等との両立が必要な職員を対象としたフレックスタイム制の導入など効率的な業務遂行、柔軟で多様な働き方を推進することとしておりますが、このような取り組みはすばらしいことであり、ぜひ進めていただきたいと思います。
 そこで、岩手県庁働き方改革ロードマップの現在の進捗状況について伺います。また、今後、県職員の働き方改革の成果を県民に示すためにも、行政サービス向上にどのようにつなげていくかという視点も重要と考えますが、県の考えを伺います。
 次に、GIGAスクール構想における1人1台端末の整備について伺います。
 令和4年度から新たに実施される新学習指導要領では、全ての教科において、ICTを活用した教育と生徒の情報活用能力の育成が規定されています。
 また、新学習指導要領に基づき情報1が必修となり、令和7年度大学入学共通テストにおいても、情報1が入試科目として新設される予定であること、さらに、令和3年8月時点で全国の小中学校の9割以上で端末の利活用が進んでいることから、端末を利用した学びの連続性を保つためにも、高等学校での端末整備は必須であります。
 県教育委員会では、授業での無線LAN環境や生徒所有のスマートフォン等の積極的な活用を促すと聞いていますが、データ分析やプレゼンテーション資料の作成等はスマートフォンだけでは対応できないことから、令和4年4月から高校で始まる新学習指導要領への対応のためには、スマートフォンではなく、1人1台のPCまたはタブレット端末を早期に整備し、その中で日常的に個人用のPCまたはタブレット端末を活用した学習環境を確保する必要があります。
 令和3年8月に文部科学省が公表した調査結果によると、岩手県は、令和4年度中に高等学校の3学年分の整備が完了しないこととなっていますが、感染症や災害等で学校が臨時休校や分散登校となる可能性や、情報能力活用育成の観点を考えると、令和4年度には1年生のみならず、2、3年生においても1人1台端末の環境の構築が必要と考えますが、見解をお伺いします。
 また、仮に全ての2、3年生に1人1台端末が行き渡らない場合には、端末の整備状況により生徒間で学習の進度に不均衡が生じないような配慮が必要であると考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、教員のITリテラシーの向上について伺います。
 県内において、実際に1人1台端末等のICTを活用した授業を実践している学校では、生徒の多くが、理解を深めることができたという感想を持っており、とても反応がいいことが見受けられます。
 一方で、学校現場の教員の方々は、さまざまな世代の方が混在し、必ずしもICTになれ親しんでいない層も一定数いることが想定され、整備された端末をどのように活用していいかわからない、操作に手間取りアナログで行った場合よりも時間がかかってしまうといったケースも懸念されます。
 そこで、導入校における教員が実際に使いこなせているのかなど、教員がどのような受けとめをしているのかを把握した上で、県教育委員会として、教員のITリテラシーの向上に資する取り組みを積極的に実施していく必要があると考えますが、取り組み状況を伺います。
 また、GIGAスクール構想は、生徒の深い学びだけではなく、教員にとっての業務効率化、働き方改革に資する取り組みであってほしいと考えますが、教育長の見解を伺います。
 次に、さきの質問にもありましたが、1月16日に発生したトンガ沖火山噴火に伴う津波警報の発表に関して伺います。
 その日、岩手県沿岸地区で津波警報が発表されて、約4万7、000人に避難指示が出ました。県の発表によれば、市町村が把握できた避難者は最大で2、000人ということでしたが、単純計算で、避難された方は対象者に対して約4%にとどまっていることになります。避難指示が出されたのが冬の深夜だったこと、地震を伴わない中での警報だったこともあり、避難にちゅうちょした住民が多かったものと推測されます。しかし、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた本県の沿岸地区において、ともすれば命の危険が伴う状況下で、4%という割合は、余りにも低いものと感じざるを得ません。
 新聞報道によれば、政府においては、日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震について、最悪想定を前提とした日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の改正を目指しており、積雪など寒冷地特有の課題を念頭に置きながら、住民の避難行動の促進や避難訓練の実施のあり方を検討していく必要があります。
 知事は、県民の命を守る立場として、今回のトンガ沖火山噴火に伴う津波災害の教訓をどう捉え、来るべき日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に備え、今後、県民にどのようなメッセージを発していくのか、考えを伺います。
 次に、避難所における感染対策について伺います。
 現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況下においては、避難所における集団感染の心配も避難行動をちゅうちょする要因の一つとなり得ます。
 県では、令和2年7月に、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営ガイドラインを策定して市町村の取り組みを支援しており、このガイドラインに沿って、事前の体制整備については進められているものと認識しております。
 しかしながら、住民のちゅうちょない避難行動を喚起するためには、各避難所における新型コロナウイルス感染症対策が万全であることはもちろんのこと、常日ごろからこうした避難所の安全性を発信し、住民の安心感を醸成していく必要があると考えますが、取り組み状況について伺います。
 次に、避難所における行政と民間の連携のあり方について伺います。
 一般に、避難所としては学校、体育館、地区活動センターなど公共的な施設が指定されている状況にありますが、今後、大災害の際には、例えば、民間の宿泊施設や郊外の広い駐車場を備えたスーパー、ホームセンター等の民間施設についても活用が期待できると考えられます。こうした民間施設については、ライフラインが寸断された際にも、非常用電源や仮設トイレが提供されることが期待できます。
 災害時の民間施設の活用については、企業側にとって、施設の管理やシステムに起因するトラブルが生じた場合の損害への負担をどうするかなど一定のリスクも想定されますが、社会貢献の機会の創出という観点から大いに有益な側面もあり、こうした企業側にとってのメリット、デメリットを十分に踏まえながら模索していく必要があると考えます。
 そこで伺います。民間企業との防災協定の現状としては、物資供給などが主として想定されますが、避難所としての活用も進んでいけば、住民が避難する場合の選択肢がふえ、また、一つの避難所における密集の軽減にも効果があり、住民の安心へとつながると考えますが、県の考えをお伺いします。
 次に、関係機関との情報の共有について伺います。
 東日本大震災津波のような大規模災害においては、刻一刻と変化する災害関連情報について、国、県、市町村を初めとする災害対応機関が、その壁を越えて速やかに共有し、可視化することで、災害現場における支援活動は、その迅速性、的確性を格段に上げることができます。
 例えば、国と県を例にした場合、情報伝達手段が口頭、電話、ファクス、メールによるデータのやりとりであるとすれば、県側も国側も、それを受け取ったり入力したりするための時間のロスがあるほか、人的リソースを割いていることになります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで伺います。現状では、例えば、県から国に対しては、避難状況や住居被害状況を自システムからどの省庁のどのシステムに提供しているのか、逆に、国から県に対しては、国が把握している浸水域や建物被害推定、衛星画像等を自システムにどう取り込んでいるのかなど、自治体で把握している災害情報と国等の関係機関の情報をどのように共有している状況でしょうか。
 現状で、自治体と関係機関が同一システムにより連動している状況にない場合、今後どのような改善を予定しているのか伺います。
 次に、専門チームの受け入れを想定した訓練のあり方について伺います。
 大規模災害時には、自衛隊、消防庁、関係省庁等の関係機関より職員派遣の支援を受けるほか、必要に応じ、被災情報等の地図化と提供を通じ、情報共有、連携を支援する専門チームであるISUTに派遣要請を行うことが想定されます。
 こうした非常時に、被災自治体において速やかに派遣職員の受け入れ態勢を構築し、連携した対応を即時に開始するためには、常日ごろ、自治体職員自身においても、ISUT等の専門チームと一体となってデータを分析、解析し、行動に移していくためのスキルを磨き上げていく必要があると考えます。
 そこで、ISUT等の専門チームと県職員との連携に向けた受け入れ態勢や訓練等の現状について伺います。
 次に、消防の体制整備について伺います。
 私は、8歳のときに自宅を火事でなくしています。その日は元旦であるにもかかわらず、消防団の方々に助けていただいたことを今でも鮮明に覚えています。あのとき命を助けてもらっていなければ、今の私はここにいなかったかもしれない。当たり前の生活があり、何かあったときにすぐに対応していただける。住民の当たり前の生活の裏の見えにくいところで、いつも生活を支えてくれているのが消防団の皆さんです。私は、この経験があったからこそ、小さいころから消防団というものを身近に感じることができました。
 消防団は、地域防災力の中核となる存在ですが、団員数の減少が激しく、特に20代、30代の入団者が近年激減してしまっています。消防団員が減少傾向にあるのは、人口減少もその一因であり、岩手県でも、18年後の2040年には、県人口が100万人を割り95万8、000人、うち65歳以上の人口比が41.2%という調査予測も出ています。
 近年、全国的に大規模な自然災害が発生しており、消防団活動が、従来の消防活動や予防、啓発活動にとどまらず、救助活動や避難誘導に広がりを見せている中で、消防団にはさまざまな役割が求められており、その活動が長期化することも想定されます。
 高齢化により個々の団員の活動内容にも限界が出てきている中で、新しい団員、特に若い担い手を確保していくことは急務です。
 また、活動服や防火衣、防寒衣等、基本的な装備がまだ十分ではないという声がいまだに強く、消防団員が安心して活動できるよう、今後においても、その装備の改善、充実を図っていく必要があります。
 そこで、消防団と連携して幼少期から地域貢献の意識づけや防災、減災に関する教育の機会を設ける、学校の授業に取り入れる等の啓発活動を検討するとともに、引き続き、現場の声を反映した装備品等の充実等により、安心して活動できる環境整備を図っていくなど、将来の消防団員の担い手をふやす取り組みをぜひ検討してほしいと思いますが、県の考えを伺います。
 次に、消防団の待遇改善について伺います。
 昨年、消防庁の有識者検討会─消防団の処遇改善等に関する検討会の中で、消防団員の処遇改善の必要性が明記されたことを踏まえ、消防庁において、非常勤消防団員の報酬等の基準等を定めた通知が発出されました。この基準は令和4年4月1日から適用となるため、今年度中に消防団員の報酬等の見直しを検討していただきたいというものです。
 住民生活を支えてくれている消防団員の皆様に、その御苦労に見合う報酬が確実に行き渡るとともに、消防団が今後もしっかりと運営していけるようにするために、各市町村が消防団と円滑に協議を行って進めていけるよう支援していただきたいと思いますが、現状と今後の取り組みを伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。
 岩手県では、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている中小事業者の事業継続を支援するため、新型コロナウイルス感染症対策や業態転換に取り組みながら事業継続を図ろうとする中小事業者に対し、地域企業経営支援金やいわて飲食店安心認証制度などの取り組みを行っており、対象業種を幅広く設定し、さまざまな支援メニューを講じていることは、評価するものであります。
 しかし、長期間続く新型コロナウイルス感染症の状況により、県内では、経営状況が悪化し、過大債務を抱えている企業がさらに増加するという危険な状態が続いており、今後も継続的な支援が必須であると考えます。
 今後、新型コロナウイルスが変異を繰り返し、感染拡大が長期化する中で、新型コロナウイルス感染症対策のあり方も刻々と変化していくことが予想されます。
 事業者支援の継続に当たっては、対象業種の範囲のあり方や支援金額の上限を大きく超える損害を受けた事業者に対する支援のあり方など、事業者の声を丁寧に吸い上げながら、不断に制度設計を見直していくなど、きめ細かい支援をお願いしたいと考えておりますが、事業者支援の今後の展望についてお伺いします。
 次に、若者の就業支援について伺います。
 令和3年6月定例会の一般質問において、私が、学生時代の就職活動で、せっかく岩手県内の企業に就職したくても、岩手県の企業の情報がとても少なく苦労したという経験をお話しさせていただきました。大学、短大等へ進学を希望する県内高校生の約7割が県外へ進学する中で、私のように、地元の岩手県に戻り就職したいという生徒は相当数いると思われ、そのニーズにしっかりと応える形で岩手県の就職情報を県外に発信していくことが重要と考えております。
 そこで、若者に向けた県内での就業支援について、これまでの具体的取り組み状況と来年度以降の取り組みの方向性を伺います。
 次に、長期的視点に基づく就業支援のあり方について伺います。
 県内高校生の約2割が就職、約8割が進学を希望する中、先ほど述べたとおり、現状では、大学、短大等へ進学する生徒の7割が県外へ行くことになります。
 私は常日ごろ、若者には岩手県にずっと残ってほしいということを前提にするのではなく、一度県外に出た上で、さまざまな経験をし、広い視野を養った上で、改めて岩手県のよさを認識してほしい、そして、また岩手県に戻ってきてもらいたいと考えています。
 過去の自分に置きかえると、進学を希望した際に、その先の就職のことはほとんど考えておりませんでした。しかし、これからの学生には、就職先について何らビジョンがないまま進学するのではなく、地元企業の魅力を知ってもらった上で進学を考えていくという視点が必要であると考えています。
 行政側においても、このような学生の視点にしっかりと対応するよう、まさに種をまくような長期的な視点のもとで就業支援の取り組みを若者へアプローチしていくことが重要と考えておりますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、森林、林業施策の推進について伺います。
 戦後、先人が荒れた国土に木を植えてくれました。全国的に見ると、こうして築かれた人工林の半数が50年生を超え本格的な利用期を迎えており、例えば国の木材の自給率が平成14年度の19%から令和元年度には38%と2倍に向上するなど、各地で林業の成長産業化に向けた動きが出てきています。
 また、森林は、地球温暖化防止を初め、水源涵養、国土保全等の重要な役割を果たしており、このような森林の機能の維持向上を図るためには適正な森林整備が不可欠ですが、森林所有者の高齢化や経営意欲の低下などにより、間伐等の森林整備におくれが生じている現状があります。
 そのような中、令和元年度から、森林経営管理制度や森林環境譲与税の譲与がスタートし、市町村が公的に森林の経営管理の集積、集約化を進めることにより、林業の成長産業化と森林の適切な経営管理の実現を図る仕組みが整いました。
 森林資源は、切って、使って、植えてと持続的に循環利用することにより、雇用確保や経済効果が発揮できる貴重な資源であり、山村地域にとって、森林経営管理制度を活用し林業の成長産業化を図ることは、地方創生につながる大きなチャンスとも言えます。
 そこで伺います。市町村では、森林環境譲与税を活用し、県の支援を受けながら森林経営管理制度の取り組みを進めていると伺っていますが、県における市町村に対する支援の状況と今後の取り組みについて伺います。
 次に、地籍調査の推進について伺います。
 森林の経営管理に関連して、森林所有者の不在村化や世代交代が進む中、土地の境界の確認が困難な森林がふえてきており、このままでは多くの森林が、間伐等の森林整備をしようとしてもできない事態になりかねないと考えますが、県内の林地における地籍調査の実施状況と今後の取り組みの方向性について伺います。
 次に、県産木材の利用促進について伺います。
 森林はCO2を吸収するだけではなく、森林から産出される木材を建築物などに使うことは、吸収したCO2を貯蔵することとなり、さらに、最終的に木材をエネルギー利用することは、化石燃料の代替となります。このような森林資源の循環を確立し、成長の旺盛な若い森林をふやして木材利用を拡大していくことは、2050年カーボンニュートラルに貢献することになります。
 このような背景を受け、令和3年10月1日には、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律に改正され、木材利用促進の対象が、公共建築物から民間を含む建築物一般へと拡大されることとなり、県においても一層の取り組み強化が求められます。
 県では、2月2日に知事をトップとし、各部局長で構成するいわて県産木材等利用推進本部を設置し、同月16日に第1回目の本部会議を開催しました。
 県においては、重点施策を推進するために、知事をトップとするさまざまな推進本部を設置している状況にありますが、今回設置した推進本部については、単に取り組み状況を部局間で共有することで終わるのではなく、県産木材の利用促進策を各行政分野でどのように盛り上げていくのか、まさに県を挙げた取り組みが求められます。
 そこで、本部長の立場である知事にお伺いします。知事は、いわて県産木材等利用推進本部の取り組みを通じ、岩手の県産木材の魅力をどのように伝え、各行政分野にどのような取り組みまたは波及効果を期待しているか伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋こうすけ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の政治姿勢についてでありますが、長野県の知事特別政務秘書に係る訴訟の判決において示されているとおり、知事という特別職に属する公務員は、担当する職務の性質上、その政治活動が職務と何ら矛盾するものではなく、かえって、政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であります。
 定例記者会見の場においては、私から政治的なことを知事発表として述べたことはなく、今後も行うことはありませんが、記者との質疑応答で政治的な質問があった場合には、可能な限り回答することとしており、御指摘の定例記者会見においても、記者から質問があったため回答したものであります。
 特に、国政選挙については、地方選挙も同様ですが、民主主義国においては、政治的に最も重要なものであり、現職である木戸口英司参議院議員に引き続き議員として活躍していただきたいということを回答したところであり、同じ趣旨で今定例会の一般質問でも答弁しているところです。
 行政上の事務執行に関しては、私は、今までも公平中立、不偏不党に努めてきたところであり、今後もそのように対応してまいります。
 次に、市町村との連携についてでありますが、自治体DXは、デジタル技術やデータを活用し、住民の利便性向上や新たな価値の創出等に資する取り組みでありますが、業務の見直しや各種システムの再構築など市町村事務の大きな変革も必要となる取り組みであることから、その実現には、首長や幹部職員の理解のもと、組織全体で推進していくことが重要であります。
 このため、今年度においては、県・市町村トップミーティングや県市町村連携会議の議題として、デジタル社会の構築やDXの推進を設定し、県の方針や市町村の取り組み状況を共有し、今後、具体的に連携して取り組んでいくことを確認したほか、県内の小規模自治体が着実にDXを推進できるよう、モデルとなる複数の自治体を選定し、DXの認識共有、意識醸成のための首長に対する説明や職員研修を行うとともに、取り組み方針や工程表の作成を支援しているところであります。
 また、来年度は、各分野のDXを推進する外部の専門人材や有識者をDX推進コーディネーターとして設置することとしており、セミナーや研修会を通じた市町村人材の育成を初め、DX人材の確保が困難な市町村へのコーディネーター派遣など、市町村支援を拡充し自治体DXを推進してまいります。
 次に、トンガ沖火山噴火に伴う津波警報への対応についてでありますが、今回の津波警報への対応については、トンガ沖火山噴火に伴う未経験の事態であったことや、津波警報等の発表が深夜の時間帯であったことなどが要因となり、適切な避難行動につながらなかったと指摘されています。
 昨年12月に国が公表した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に係る被害想定において、まさに冬の深夜の時間帯に日本海溝沿いで巨大地震が発生した場合に、最大約1万1、000人の犠牲者が想定されていますが、一方で、早期避難により犠牲者が大幅に減少することも示されています。
 県では、今回の津波警報への対応で得た教訓を踏まえ、避難意識の向上に向けた普及啓発や防災教育を引き続き推進してまいります。県民の皆様には、改めて、津波防災対策の基本は適切な避難であり、空振りをいとわずに、指定緊急避難場所等へ早期に避難するようお願いしたいと思います。
 次に、県産木材の利用促進についてでありますが、県では、令和5年の全国植樹祭の開催や開催後の展開を見据え、県産木材の利用促進に向けた施策を全庁的に推進するため、知事を本部長とする、いわて県産木材等利用推進本部を新たに設置しました。
 推進本部では、県民に広く県産木材についての関心と理解を深めていただくため、関係団体等と協働し、木にふれる、木を知る、木を使う、木を伝えるの四つの行動に取り組む県民運動の展開などを今後の取り組み方針として決定したほか、全国植樹祭の開催に当たっても、岩手県の豊かで多様な森林資源の魅力などを県内外に発信してまいります。
 また、県立学校など公共施設の木造化、木質化や保育所等における木育の推進、住宅での県産木材の利用促進等に取り組むとともに、新たに、民間商業施設等の木造化、木質化などを支援することとしており、こうした施策を積極的に展開することにより、さまざまな分野において、県産木材のさらなる利用促進につなげていきたいと考えております。
 県産木材の積極的な利用は、地域経済の活性化や地球温暖化の防止に貢献するだけでなく、木に囲まれた豊かな暮らしを実現することで、移住、定住の促進や子育て支援にもつながる取り組みと考えており、本州一の森林面積を有する森林、林業県として、県産木材の幅広い利用に向け、全庁挙げて取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) いわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議についてでございますが、本会議は、社会のデジタル化を通じて、地域経済の活性化や快適な暮らしの実現を目指し、産学官金を構成員として設置したものであり、経済界、産業界には、積極的なDXの導入と企業間の連携、高等教育機関には、DX人材の育成と企業の高度化支援、金融機関には、DXを進める企業の育成と支援などの役割を連携して担っていただきたいと考えております。
 今年度におきましては、構成団体のトップを対象に、県のDXアドバイザーによる講演会を実施し、DX推進の機運醸成を図るとともに、産業振興や行政サービスの効率化を具体的に推進する部会に構成団体が参画し、デジタル化、DXの必要性や課題解決の対応について検討を行ったところでございます。
 こうした検討を踏まえ、来年度は、企業や団体トップを対象としたセミナーの開催や、新たに構築するDXポータルサイトによる構成団体等の情報発信、デジタル化、DXに係る表彰制度の新設など、引き続き、DX推進の機運醸成に積極的に取り組んでまいります。
 また、県のDXアドバイザーの派遣によるデジタル人材の育成のほか、大学等研究機関と各分野との連携や各分野間の連携が進むよう、企業と大学等によるAI、ロボティクスなどの共同開発が早期になされるよう支援に取り組んでまいります。
 行政のDXにおきましては、国の手順書に示されている令和7年度までの自治体情報システムの標準化、共通化にも着実に取り組み、本県における一層のDXの推進を図ってまいります。
   〔総務部長白水伸英君登壇〕
〇総務部長(白水伸英君) 県職員の働き方改革の推進についてでありますが、岩手県庁働き方改革ロードマップに基づき、業務効率化の推進や勤務環境向上のための取り組みを進めておりまして、ことし1月には、子育て、介護等の事情を有する職員を対象にフレックスタイム制度を導入したほか、職員1人1台端末のノートパソコンへの更新を完了し、庁内の会議等のペーパーレス化を進めるとともに、電子決裁・文書管理システムの本格運用に向けた試行を開始したところでございます。
 行政サービス向上の観点からの取り組みといたしましては、押印の見直しについて今年度中に規則改正を行い、押印を要する3、378手続のうち、約97%の手続の見直しを行うこととしております。加えまして、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金の申請や県職員採用試験申し込みなどの際の電子申請・届出システムの利用件数は、今年度1月末時点で約1万5、000件となっているところでございまして、今後も、各種手続のオンライン化の拡充等による行政サービスの向上を図ってまいります。
   〔復興防災部長戸舘弘幸君登壇〕
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) まず、避難所における感染対策についてでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症の流行下における災害発生時に、避難する住民の安全・安心を確保するため、令和2年7月に新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営ガイドラインを策定し、市町村に示すとともに、毎年度、市町村職員を対象に開催している災害救助法等事務担当者研修会においても説明し、市町村が避難所の新型コロナウイルス感染症対策に取り組むよう働きかけています。
 これを踏まえ、全ての市町村において新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営を行うとしており、このうち25市町村においては、こうした取り組みについて、ホームページや広報誌への掲載、防災に関する出前講座などにより住民に周知しています。
 県としては、災害発生時に住民が新型コロナウイルス感染症を心配することなく避難するためには、避難所の感染症対策に関する周知も重要であると考えており、全ての市町村において住民への周知がなされるよう、未実施の市町村に対し働きかけており、今後も研修会などを通じて促してまいります。
 次に、避難所における行政と民間の連携のあり方についてでありますが、本県では、令和4年1月1日現在、指定避難所1、640カ所、指定緊急避難場所2、606カ所が指定されており、そのうち民間の施設を指定しているのは20カ所程度となっています。
 新型コロナウイルス感染症対策の観点からも、より多くの避難所を指定していくことは重要な課題でありまして、市町村では、ホテル等宿泊施設との協定締結や学校の空き教室の活用など、避難所の増設等に努めているところであります。
 県では、先行事例の情報共有を図るなど市町村の避難所の増設等を支援しており、引き続き、災害時における避難所等の確保を促進してまいります。
 次に、関係機関との災害情報の共有についてでありますが、県では、平成28年4月から災害発生時、住民が必要とする避難指示や避難所情報を迅速かつ的確に伝達し、県、市町村及び防災関係機関が災害情報を共有することを目的とした岩手県災害情報システムを、平成28年4月から運用しています。
 国との災害情報の共有につきましては、これまで、人的、物的な被害状況をファクスやメールにより国に報告してまいりましたが、国の令和3年度補正予算において、消防庁の被害情報収集・共有システム整備費が措置されましたことから、県災害情報システムにより自動収集できるよう、県災害情報システムを同システムと連携させるための費用を県の令和3年度2月補正予算案に盛り込んだところでありまして、令和5年度の運用開始に向け作業を進めていくこととしています。
 また、現在の県災害情報システムの運用上、国の保有する衛星画像や各種観測、予測情報などのデータについては、閲覧はできるものの、県災害情報システムに取り込むことはできない現状となっていますが、大規模災害時には、必要に応じ、内閣府及び国立研究開発法人防災科学技術研究所の職員で構成するISUTの派遣を国に要請し、国が保有するデータを災害対応に活用できるよう連携を図っていくこととしています。
 次に、災害発生時の国の専門チーム等との連携についてでありますが、県では、大規模災害に対応するため災害対策本部を設置する際、各部の総合調整、防災関係機関との連絡調整や本部長である知事の意思決定を補佐するため、災害対策本部支援室を設置しておりますが、毎年度当初に、災害対策本部支援室の関係職員と自衛隊、県の消防本部などの関係機関との共同による図上訓練を実施いたしまして、リエゾンの受け入れを初めとする国等の関係機関との連携訓練など、災害発生時の対応力の強化を図っています。
 また、内閣府では、災害時情報集約支援チームISUTの効果的な活用による的確な災害対応を実現するため、地方公共団体向けの研修を開催しており、こうした研修の受講や訓練の場を通じて職員のスキルアップを図り、ISUTを含めた国等との連携体制を強化してまいります。
 次に、消防団員の確保についてでありますが、県では、消防団員の確保に向け、若者、女性の加入に向けた広報活動や、いわて消防団応援の店登録事業による地域における消防団への理解促進などに取り組んでいます。
 幼少年期の子供に対しては、防火、防災思想の普及を図ることを目的として、県内に組織された400を超える幼少年消防クラブがあり、例えば、市町村の消防演習等において、地域の消防署や消防団が連携しながら、子供向けの催し物に工夫を凝らすなど、幼少年期の子供が、消防団等の行う地域の防災の取り組みに対し関心を高めるよう取り組んでいます。
 また、昨年12月には、国から、将来の地域防災力の担い手を育む必要があるとして、児童生徒に対する防災教育に積極的に取り組むよう通知があり、県といたしましては、県教育委員会、市町村教育委員会、関係機関等と連携しながら、防災教育に取り組むこととしています。
 消防団の装備品の充実については、国の補助制度を周知し、活用を促すとともに、県の消防団員確保対策費補助金により、消防団活動を安全に行うための装備品の充実や女性消防団員が活躍しやすい環境整備を支援するなどしているところであります。
 今後とも、県では、国、市町村及び関係機関と連携し、消防団員確保に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、消防団員の処遇改善についてでありますが、国は、年額報酬及び出動報酬の基準の策定、報酬等の団員個人への直接支給の徹底などを示した通知を昨年4月に発出したほか、国は、市町村がこれらの制度改正に対応できるよう、今般、地方財政措置を見直したところであります。
 消防団の報酬等は市町村条例で定められることから、県では市町村の消防団担当者を対象に、国の職員を招いた説明会を開催し、制度改正に係る説明や意見交換を行ったところであります。
 その結果、市町村では年額報酬の改定に係る条例改正について、令和4年2月時点で1市において既に改正済みであるほか、14市町が令和4年2月、3月議会で対応する予定となっています。
 また、その他の市町村においても、多くは令和4年度以降に改正予定としておりまして、引き続き、団員の処遇改善に努めるよう市町村に働きかけてまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、事業者支援についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が長期化する中、中小事業者の経営継続を図っていくためには、融資による資金繰り支援や売り上げ減少の補填といった直接的支援、いわて旅応援プロジェクトや買うなら岩手のもの運動などの需要喚起策、さらに、新しい生活様式に対応した本業支援を、国や市町村の対策と連動して効果的に展開していくことが重要と考えております。
 感染が急拡大した本年1月以降、原油高や資材不足による原材料価格の高騰も相まって、より幅広い業種の事業者がさらに厳しい状況に置かれており、今後、手元資金の減少や売り上げが回復しない状況の継続により、多くの事業者が、借入金の返済に支障を来すことや今後の事業継続に影響が及ぶことが心配されるところです。
 こうした状況から、現在の事業者の実情に応じたさらなる支援が必要と考えており、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のさらなる増額や大胆な経済支援を国に強く働きかけながら、県としての追加事業の構築や既存事業の拡大、拡充を含めた検討を進めてまいります。
 次に、若者の就業支援の取り組み状況についてでありますが、県では、就職情報マッチングサイト、シゴトバクラシバいわてやLINEアカウント、いわてとつながろうを活用するとともに、学生のU・Iターン就職支援を目的に活動している岩手U・Iターンクラブの首都圏等の加盟大学とも連携して、県内の企業情報や就職に関する情報の発信に取り組んでいるところです。
 また、県外に進学した学生を対象とし、岩手県の企業や就職環境の理解を含め、インターンシップや就職を促す交流会を実施し、学生と県内企業が直接交流する機会を設けるといった取り組みも行っております。
 令和4年度におきましては、これらの取り組みに加え、若者向けお試し就業・お試し居住体験の取り組みを拡充するとともに、新たに、帰省シーズンに合わせて新幹線駅などでのU・Iターン促進のプロモーションを実施するなどにより、県内企業の魅力や就職イベントの開催などの情報発信を切れ目なく行い、県外に進学した若者の県内就職の促進を図ってまいります。
 次に、長期的視点に基づく就業支援についてでありますが、若者の県内就職の促進に向けましては、小中学生段階から、地元の企業を知ってもらうための取り組みを展開しつつ、高校卒業後に岩手県を離れている期間においても、県内企業の魅力や就職に関するイベントの開催、情報発信を切れ目なく行い、岩手県から心を離させないようにしていくことが重要であると考えております。
 このような考え方のもと、小中学生を対象とした企業見学会等の実施や、高校在学中には、県内就業・キャリア教育コーディネーターによるキャリア教育支援、就職情報誌いわてダ・ヴィンチ2022の全ての高校生への配布などを行い、岩手で働く意識の醸成を図っているところです。
 来年度は、新たに普通高校の生徒も含めた県内企業との交流イベントの開催や、女子学生を対象とした県内企業の若手社員との意見交換会なども行うこととしており、こうした取り組みを通じまして、より多くの若者や保護者等に県内企業の魅力を理解してもらうことに努め、U・Iターンの取り組みと一体的に展開し、若者の県内就職を促進してまいります。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) まず、森林経営管理制度についてでありますが、県では、市町村における森林経営管理制度の適切な運用を支援するため、林業普及指導員等の専門職員に加え、森林、林業関係業務に精通した森林管理システム構築推進員を広域振興局に配置し、各市町村の実情を踏まえた技術的な助言等を行っています。
 また、森林所有者に対する経営意向調査等の具体的な進め方に関する研修や、市町村が配置する地域林政アドバイザーの養成研修などを開催し、市町村の業務が円滑に進むよう支援しております。
 さらに、今年度から、森林情報をデジタル化し、市町村を初め広く林業関係者が森林情報を効率的に利用できるよう、森林クラウドシステムの整備に着手し、令和5年度からの運用開始を目指しているところです。
 今後とも、市町村が森林経営管理制度をしっかりと運用し、地域の森林を適切に管理していけるよう、市町村の取り組み状況に応じてきめ細かく支援してまいります。
 次に、地籍調査についてでありますが、県内の林地で、地籍調査が必要な面積は約7、900平方キロメートルあり、うち約6、800平方キロメートルについては、令和2年度までに調査が完了し、進捗率は86%となっています。
 地籍調査は、市町村が土地所有者と現地を確認し、1筆ごとの土地の境界や面積などを調査、測量するものでありますが、土地所有者が高齢で、急峻な斜面の林地などでの立会が困難なケースや、登記簿上の所有者や相続関係人の所在が不明なケースなどが増加しており、調査の妨げとなっています。
 このため、国は昨年度、現地での関係者の立会を求めず、航空写真等で境界を確認する手法や、公図と現況写真などをもとに、法務局と協議し境界を確定する手法など、新たな手法で調査を効率的に行うことを可能としたところです。
 県では、調査が完了していない市町に対し、こうした手法の積極的な活用を促すなど、指導、助言を行うとともに、国に対し、必要な予算の確保を働きかけ、地籍調査が速やかに完了できるよう支援してまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、1人1台端末の整備についてでありますが、県立高校の生徒用端末については、県予算による段階的な整備を進め、全生徒数の7割となる約1万6、000台の端末の整備が完了したことから、生徒個人が所有している3割の端末と併用することで、1人1台端末環境となるものです。
 特に、令和4年度からは、高等学校での新学習指導要領の実施が始まるとともに、義務教育段階でGIGAスクール構想により整備された端末で学んだ生徒が進学してくることから、県立高校においても、1人1台端末環境での新たな学びを積極的に推進していく必要があると認識しています。
 生徒個人が所有している端末が不足するような場合にあっては、生徒間で学習環境に不均衡が生じることがないよう、これまでに整備した端末等のほかに、コンピューター教室の端末も利用することとしており、引き続き、授業等でのICTの効果的な活用を進め、新学習指導要領の柱である主体的・対話的で深い学びを推進していく考えです。
 次に、教員のITリテラシーの向上についてでありますが、県立高校のICTの具体的な活用例では、オンラインで海外とつながり、英会話を通じて対話的に学んだり、インターネットを活用してさまざまな情報を収集し、探究活動の成果発表資料をグループで編集することや、オンラインアンケートを活用して生徒の意見や回答を瞬時に集計し、クラス全体でリアルタイムに共有し議論することなどにより、協働的な学びを深めている実践例があります。
 このような先導的な取り組み事例を広めていくため、指導主事やICT支援員による学校への訪問支援を行うとともに、県立総合教育センターによるオンライン授業実践研修や情報モラル研修等を通じて、教員のITリテラシーの向上に取り組んでいるところです。
 また、先月、県教育委員会が主催した全ての学校種を対象とした教育研究発表会では、一部の教員による集合型の実施形態をライブ配信やオンデマンド配信に変更したことにより、より多くの教員に研究成果を周知することができたところです。
 あわせて、教員が学校において研究発表を視聴することができたことにより、教員の移動時間が削減され、働き方改革にもつながっています。
 一方で、ICTを十分に活用できない教員もいることから、令和4年度においては、市町村教育委員会と連携して、教員のICT活用を広域的に支援するGIGAスクール運営支援センターを新たに設置することとしており、ICT支援員や教員研修の充実とあわせて、教員のITリテラシーの向上に取り組んでまいります。
   
〇議長(五日市王君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時36分 散 会

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