令和4年2月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

○14番(佐々木朋和君) いわて新政会の佐々木朋和でございます。登壇の機会をいただいた先輩、同僚議員に感謝申し上げ、通告に従い質問させていただきます。
 2月21日に閉幕した北京2022オリンピック冬季競技大会では、本県ゆかりの選手が7名出場し、すばらしい活躍を見せてくれました。また、競技の結果だけではなく、岩手の若者の人間力のすばらしさにも注目が集まりました。
 スノーボード女子ビッグエアに出場した岩渕麗楽選手は、惜しくもメダルには届きませんでしたが、3本目に逆転を狙い、女子では初となるトリプルアンダーフリップに果敢に挑戦しました。競技後、岩渕選手が、挑戦をたたえる参加選手に囲まれるシーンがテレビに映し出され、今回のオリンピック屈指の名場面となりました。
 スキージャンプの小林陵侑選手は、ノーマルヒルの金、ラージヒルの銀と大舞台でその実力をいかんなく発揮しました。そして、混合団体において、スーツの違反判定で記録なしとなった同い年の高梨沙羅選手を安心させるためにハグをする姿にも、感動させられました。
 知事は、競技での活躍に加えて、すばらしい姿、スポーツマンシップを世界にアピールしてくれた岩手の選手たちに、どのような感想を持たれたでしょうか。所感を伺います。また、県民から選手へ感謝の気持ちを伝える場の設定も必要と感じますが、所見を伺います。
 知事は、2011年4月、発災からわずか1カ月余りで東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針を策定し、被災者の人間らしい暮らし、学び、仕事を確保し、一人一人の幸福追求権を保障すること及び犠牲者のふるさとへの思いを継承することを、基本方針を貫く二つの原則と位置づけました。そして、個人の尊厳を基本価値とし、誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、沿岸全漁港の再生、いわて学び希望基金の設立等を他の被災県に先駆けて打ち出し、各種政策が被災者に寄り添う形で展開することを目指してきました。
 その取り組みの方向性は、発災から11年たった今も続いており、ことしの知事演述にも、誰ひとりとして取り残さない、三陸のビルド・バック・ベター、よりよい復興が語られています。
 今、新型コロナウイルス感染症対応真っただ中ということは承知していますが、対応を開始して2年がたったということも事実であり、対症療法のみでは希望をつなげない事業者も出てきております。大災害級の蔓延となっている新型コロナウイルス感染症対策においても、政策に継続性や方向性を与えるバックボーンとなるような柱が必要ではないでしょうか。
 飲食業の事業者に、アフターコロナにおいて需要は必ず戻る、そのときに岩手県の魅力を伝えるあなたの店が必要なのだ。誰ひとりとして倒産させないと伝えるべきではないでしょうか。
 多額の借り入れを行い事業継続に不安を感じている観光事業者に、ビルド・バック・ベター、新しい生活様式に対応したよりよい社会像を示すべきではないでしょうか。
 地域活動や伝統芸能を支える人たちに、行事やお祭りの再開に向けて、今やるべきことを提示するべきではないでしょうか。
 また、教育の現場でも、来年度はコロナ禍3年目に突入です。新入学した中学生や高校生が卒業する年です。コロナ禍で我慢をした3年間ではなく、いわての復興教育のように、このコロナ禍でもできること、コロナ禍だからこそ学ぶべきもの、得られるものを提示し、大人には意義のある3年間だったと定義をしてあげる義務があるのではないでしょうか。
 知事には、震災時の経験を生かし、事業者やコロナ禍にあえぐ人たちに希望を与え、ウィズコロナの中、多感な時期を過ごす子供たちの成長のために、新型コロナウイルス感染症からの再生に向けた原則や理念、アフターコロナのあるべきよりよい社会像を早期に示すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、新型コロナウイルスのオミクロン株への対応について伺います。
 政府は、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針の改定で、保育所には原則開所を求め、市町村の代替保育事業への補助等対策を講じました。また、小中高校においても、国は、臨時休校前の時差登校や分散登校、オンライン学習を組み合わせたハイブリッドな学習形態の導入を求めました。
 本県にあっても、学校において感染拡大の傾向にあり、児童生徒等の学びの保障が懸念される状況にあります。県内の公立学校におけるこれらの体制整備の進捗はどのようになっているのかお示しください。
 県は、集団接種について高齢者にとどまらず18歳以上に枠を拡大していますが、保育士、教職員、介護職員、公共交通機関職員などのエッセンシャルワーカーに接種を促すだけではなく、事業者や関係団体と連携して、県集団接種において、希望するエッセンシャルワーカーを優先的に接種対象とするなど、職域接種枠を設けてブースター接種を推進するべきと考えますが、所見を伺います。
 前回、時短要請を行った8月においては、全国的に時短営業に取り組んでいましたが、効果は限定的との見解を出している県も出てきました。また、国の基本的対処方針の変更により、認証店において酒類の提供は県の判断となっており、県の裁量の幅も出てきております。
 前回の岩手緊急事態宣言及び時短要請について、県は蔓延防止効果があったとしていますが、この宣言の発出等により全県への経済的な影響はさまざまあったものと認識します。
 県は、前回の時短要請をどのように総括し、今回の対応、今後の時短要請の判断においてどのように生かしているのか伺います。また、今般の岩手緊急事態宣言は、前回の宣言と規制内容が違いますが、その理由もお示しください。
 県のいわて旅応援プロジェクトについて、事業者からは、Go To トラベルの再開が見えない中、県内経済を動かす助けになると評価をする声が聞かれます。一方、配分額の執行について、コロナ禍の中どれほど進んでいるのか実態把握も進めるべきですが、現状を知るのは難しい状況にあります。
 その原因は、精算スキームです。現在の制度では、各宿が指定の様式に打ち込みを行い、いわて応援クーポン事務局に提出。締め日は月1回で、約1カ月後に振り込まれます。事業者によっては数カ月分まとめて申請されることもあり、最終締め日は3月18日で、事業の最終的な執行状況がわかるのは年度末ぎりぎりのタイミングとなります。
 事業者からは、予約の流れがとまらないようタイミングよく追加枠を出してほしいとの声が聞かれますが、精算による把握がおくれるため、追加枠の支給がおくれ、予約の流れが分断される状況にあります。雇用調整助成金を使い業務の効率化に努めている事業者にとって、精算業務の煩雑さは改善すべき事由です。
 事務局の状況としても、請け負った旅行会社が、団体旅行ニーズが減っているため対応できていますが、2019年のいわてふっこう割のときには、事務局を請け負う事業者が見つからず苦労していた状況でした。回復期における補助制度継続を見据えて、事務局業務の効率化の観点からも精算業務の効率化は進めるべきです。
 他県においては、Go To トラベルにおいて、第三者機関業務を行っている予約サイトを県民割事業に取り入れている事例があります。このサイトを活用すれば、Go To トラベルとの切りかえ時においてもスムーズに移行でき、宿泊事業者は予約、履行確認、精算作業がネット上のクリックのみで行え、事務局も予算の執行状況がタイムリーに確認できます。
 今般、令和3年度一般会計補正予算案により80億円余が追加計上されていましたが、いわて旅応援プロジェクトの2022年度の継続と今後の方向性について伺います。
 県は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、これまでさまざまな事業を立ち上げ事業者支援を行ってきました。臨時交付金対象事業はある程度枠づけされており、各県ともに同じような事業を展開していますが、その制度のたてつけや要件は県ごとに異なります。
 令和3年12月28日で締め切られた観光宿泊施設整備補助については、国の地域観光事業支援を活用し、感染症対策、新たな需要対応に対しての補助金として4億4、000万円が予算措置されましたが、2億4、000万円余、55.5%の執行となりました。
 令和3年6月28日に申し込みが開始され、令和2年5月14日まで遡及して受けられる制度ですが、マスク、消毒液、手袋など消耗品については、申請時からさかのぼり、使い始まっている分も含めて日々の購入と使用量、使用場所を表で提出しなければならず、事業者からは申請に二の足を踏むと指摘されました。他県の同趣旨の事業では、同じような提出書類を求められていない事業が散見されます。
 確かに、国民の血税による事業ですので不正はあってはなりません。しかし、今は災害時と同様の緊急時であり、被災者に寄り添う姿勢が必要ではないでしょうか。同じ財源を使い、同趣旨の事業をしながら、提出書類の煩雑さで事業者が申請を諦め、本県のコロナ禍を耐えようと努力する真っ当な事業者が、他県ではいただける支援を受けられないとしたら、事業者には不公平感が残ります。
 また、国からの補助を活用して他県に負けない施設整備や感染症対策を進めることは、アフターコロナを見据えた本県の観光戦略を考えたときにも重要と考えます。
 本県の事業者支援制度の補助要件、提出書類の設定について考え方をお示しください。また、今後の事業者支援について国にどのような要望をしていますか、あわせて、今後の県の事業者支援の方向性をお示しください。
 次に、医療体制の整備について伺います。
 2月28日現在、医療体制はフェーズ3となっており、400床の新型コロナウイルス感染症病床を確保、使用率は39.3%となっています。各病院は、一般病床を縮小して新型コロナウイルス感染症病床に充てています。1月に書面審議が行われた令和3年度両磐地域県立病院運営協議会において、県立磐井病院では、これまで4度の満床警報が発動され、受け入れの制限がなされたことが報告されました。病床使用率は、新型コロナウイルス感染症病床の増によりパーセントを低く保つことも可能ですが、一般診療への影響をはかる指標はなく、その影響が懸念されます。
 現在、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れは、ゾーニングが完璧にできる感染症指定医療機関以外でも、ゾーニングには病棟を1棟つぶさないとできない結核病床を持っている医療機関、その他の医療機関においても行われており、一般診療への圧迫の一因となっております。
 感染症指定医療機関であっても、最新設備を伴わない施設は、院内感染リスクも懸念されます。また、患者の移動を伴う二次医療圏内の機能分担は機能できているのか、二次医療圏内で完結できているのか検証も必要と思います。さらには、新しい生活様式に対応した情報システムの取り組みの加速化も重要です。
 県は、現在の一般診療への影響をどのように認識しているのか伺います。また、知事演述の中に、令和6年度を始期とする次期医療計画の策定に当たり、新興感染症などの感染拡大時における医療提供体制の確保に向けた検討を進めますと記述がありますが、新型コロナウイルス感染症対応で見えてきた次期計画策定に向けた論点、改善点もお示しください。
 コロナ禍の中、令和2年度県立病院等事業会計決算は、患者数が入院、外来ともに減少しているものの、患者1人当たりの収益の増加と新型コロナウイルス感染症対応に係る補助金の増加により24億9、100万円余の純利益、黒字となり、前年に比して519.6%の増となりました。
 一方で、県立病院内の事業者は、入院、面会の制限などにより、飲食店の時短要請と同じく商売の機会を奪われていますが、特別の支援を受けておりません。県立病院内の売店、飲食店は、利用者への利便性の向上のみならず、医療従事者への福利厚生の意味合いもあり必要なインフラであります。今後も、新興感染症により商売の機会を奪われるリスクがあれば、病院内で営業を行う事業者を募集することは難しくなります。
 将来にわたり県立病院内に売店や飲食店を確保できるよう、感染蔓延時の補償や特別支援を検討するべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、いわて県民計画(2019〜2028)及び第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の推進について伺います。
 コロナ禍の中、自粛を余儀なくされた2年間は、岩手県最大の課題である人口減少、震災復興に暗い影を落としています。コミュニティーの維持、経済規模の維持の大きな力となっていた関係人口や観光需要、インバウンドが途絶えました。その主体であるNPO法人や観光事業者は借り入れで急場をしのいでいますが、事業継続断念となれば、その分、岩手県はアフターコロナにおいてコロナ禍前のキャパシティーを失い、効果を維持できなくなります。
 また、全国企業短期経済観測調査雇用人員判断によると、宿泊、サービス業はマイナス17ポイントの人手不足であり、本県での新型コロナウイルス感染症を契機とした労働移動、人手不足も懸念されます。
 さらに、跡継ぎのいない高齢の個人経営の店舗などは、経営を諦め、地域から地域ならではの名店、味が消えていっています。
 また、地域のイベントや行事、祭り、伝統芸能等が制限され、次世代に継承していく場が失われています。ことし、来年のコロナ禍明けに再開できるのか、地域の力の減退が心配されます。
 数値で見ても、コロナ禍において、本県の合計特殊出生率は1.33と、目標である2024年、1.58から乖離し、全国平均1.34をも下回りました。
 社会減については縮小傾向にあるものの、東京23区の転出超過の恩恵は東京近郊に限られています。一方、高卒者などの県内就職志向が高まっていますが、東京近郊、大手企業では、コロナ禍を契機に急速にテレワークや働き方改革が進んでおり、アフターコロナにおいて、本県の雇用環境と東京近郊、大手企業の雇用環境の差が増大し、県内就職志向の反動が起こるのではないかと心配されます。
 本県の現場を歩けば、6年前に作成した人口ビジョンが示した2040年の姿が前倒しで迫ってきている実感を受けます。知事は演述の中で、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略のもと、人口減少対策にさらに力を入れると述べており、コロナ禍により人口減少対策を加速化させなければならないと認識をお持ちと受けとめました。
 しかし、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略のアクションプランでもある、いわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランの指標の変更は小幅なものとなりました。また、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの方向性についても、知事演述の中で具体性を持った言及はありませんでした。
 知事は、コロナ禍による変化が人口減少や震災復興に及ぼす影響をどのように捉えていますか。あわせて、知事は、令和4年度一般会計当初予算案の中に人口減少社会への対応として約5億円を措置し、自然減対策に三つの新規事業と三つの一部新規事業、社会減対策に四つの新規事業と二つの一部新規事業を盛り込みましたが、その事業選択に至った思いをお示しください。
 人口減少対策の一丁目一番地は、多様な雇用の創出とマッチングであると認識しています。
 知事は、演述の中で、北上川バレープロジェクトについて、働きやすくて暮らしやすいエリアとして発展を促し、若者が県外に出ていかずに北上川バレーに残る、帰ってくる、Iターンをしてくる地域としてダムの役割を担っていくことを示唆しています。
 確かに、人口流出を食いとめるダム機能は必要ですが、それだけでは県としての高卒者や大卒者の県内就職率の目標は達成しても、それ以外の地域にとっては、出ていく場所が首都圏から県央、県南圏域の一部地域にシフトしただけで、地域から担い手は出ていってしまいます。15歳未満人口の2011年と2021年を比較すれば、県央圏域の一部地域が増減率マイナス10%台以下、中部圏域の一部地域がマイナス10%台にとどまっているのに対して、他の県南圏域は20%台、沿岸、県北圏域は30%台以上の減少率となっています。この構図は、東京と地方の関係のミニチュア版であり、持続可能な発展の姿ではないのではないでしょうか。
 今後の雇用政策の方向性として、一つには、アフターコロナを見据えた、製造業にこだわらない各地域におけるIT等の非製造業の企業誘致支援制度の創出や地場企業の支援、労働環境の改善支援を積極的に行い、特に、医療、看護、福祉だけではない女性を意識した多様な職種の雇用の場の創出策を行うべきです。
 多様な職種の雇用の創出をする上で、IT企業等、非製造業の企業誘致も有効な手段の一つであると考えますが、非製造業の企業誘致についての知事の所見を伺います。
 二つには、県内就職の促進だけではなく、各地域における地域内への就職、定着も重要と考えますが、地域内就職率向上に向けた取り組みについて、あわせて伺います。
 厳しい財政状況の中、ふるさと納税の活用は、財源確保に資するとともに、県の特色ある施策の宣伝となり、さらに、返礼品として使用することで県産品のアピールにもつながり、関係人口の確保にもつながる有効な手段です。
 私は以前より、ふるさと岩手応援寄付の寄附額の目標設定、クラウドファンディングの導入を提言していましたが、今般、県では、初めてクラウドファンディング型ふるさと納税を導入し、いわてこどもの森の施設整備費について、200万円を目標に令和4年2月28日締め切りで募集をしました。その結果はどうだったでしょうか。
 県は、豪華な返礼品より共感重視で取り組む方針ですが、コロナ禍の中、返礼品に力を入れることも事業者支援につながると思います。寄附金の目標設定やさらなるクラウドファンディングの設定も含め、今後の方向性をお聞きします。
 ILC誘致について伺います。
 令和4年2月14日に発表された第2期国際リニアコライダーに関する有識者会議によるILC計画の諸課題に関する議論のまとめにおいて、現時点においては、提案研究者コミュニティーが希望する誘致に関する日本政府の関心表明を前提とし、かつ、提案された規模によるILC準備研究所段階への移行を支持できる状況にはなく、時期尚早であると言わざるを得ないとの言及がありました。これに対し、知事は演述で、ILC実現に向けた取り組みが進展と発言していますが、誘致実現に向け作戦の練り直しは必要ではないでしょうか。
 まとめの中では、ILCを含めて複数提案のあるヒッグスファクトリーの整理、巨額の投資を行う本来の目的である科学的な成果、学術的意義を国民により具体的に示していくための工夫、新型コロナウイルス感染症や気候変動への対応などの喫緊の課題に直面している現状など、広い視野で社会の現状を理解し、現実的で実効性のあるプロジェクトの立案、クラウドファンディングの活用、ILC準備研究所のプロセスとは異なる方法による研究開発、国際研究協力の進め方などの指摘もありました。
 県は、このまとめをどのように分析し、今後の誘致活動へ生かしていくのかお示しください。
 次に、平泉の世界遺産の拡張登録について伺います。
 現在、2022年度末に文化庁への推薦書案提出が予定され、それに入る構成資産の決定に向け、平泉の文化遺産世界遺産拡張登録検討委員会が開かれる予定と聞いております。
 この間10年。2001年世界遺産暫定リスト登載から数えれば20年。県及び2市1町の陣頭指揮のもと、構成資産の関係者や地域住民は、登録に向けて活動し、努力を続けてきました。県及び2市1町は、検討委員会の議論を踏まえ構成資産を決定することとなりますが、でき得る限り、構成資産の関係者、地域住民の労苦に報いられるような真摯な対応が求められます。
 現在の世界遺産を構成する資産は全て平泉町にありますが、今般の拡張登録により一関市、奥州市の資産が加わる意味は、世界遺産としての文化的価値の向上だけではなく、複数自治体による世界遺産を後世に残し支える強固な体制づくり、情報発信や関連イベントの強化、今でも車で30分圏内に観光資源が豊富に点在する平泉を中心とした県南地域の観光周遊ルートのさらなる充実、ひいてはコロナ禍からの復活に資する本県全体の観光振興の推進につながります。
 県は、平泉の世界遺産の拡張登録の意義をどのように捉え、推薦書案の作成に向けてどのような対応を行っていくのか伺います。
 次に、東日本大震災津波からの復興について伺います。
 令和4年1月16日に発生したトンガ沖海底火山の噴火により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。
 本県においても、岩手県沿岸に津波警報が発表され、避難指示が出されました。実際の被害は小さく事なきを得ましたが、冬、深夜の避難について課題が浮き彫りになりました。避難所や避難場所に避難したのは、避難指示対象者計4万7、306人のうち、市町村が把握できたのは2、246人、4%ほどでした。徒歩避難が原則とされていますが、車での避難も1割あったと報道されています。
 県は、未来のための伝承、発信を復興の推進の柱の一つに据えていますが、それが日ごろの防災訓練にどのように生かされているのか検証が必要です。また、冬、深夜の避難には、身支度に予想以上の時間がかかり、防寒具など避難所にあるもの、家から持っていかなければならないものの事前整理も重要です。
 冬の深夜の避難は、避難弱者にとっては難しく、車で逃げざるを得ない状況であり、避難のための対策が必要との声も聞かれます。冬、深夜を想定した実地訓練や机上訓練も必要と感じます。
 県は、今回の津波警報及び避難指示をどのように総括し、今後の取り組みに生かしていくのか伺います。
 令和4年1月14日、県議会東日本大震災津波復興特別委員会において、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の篠宮拠点長から、原木林の再生へ向けた知見の発表をいただきました。セシウム137の半減期は30年であり、放置をしていては、短期、中期において原木として活用することは困難なこと。セシウムは地面の表層にとどまっており、表層の除去あるいはカリウムの散布により表土から樹木への移行を抑えられること。根、株の汚染状況に鑑みれば、萌芽更新よりも新たに植林することが望ましいこと。さらに、カリウムの多い土地に新たに植林することが望ましいこと。しかし、その場合には成長までに長い期間がかかってしまうことなど、率直に研究結果を発表していただきました。
 また、これら研究成果が最終的にまとまるには時間がかかり、それを待っていては20年後の半減期を待つのと変わらない印象を受けました。原木林の再生には、現在の知見を頼りに政策を展開するべきと考えます。
 県では、森林整備事業等を活用し原木林の再生に取り組んでいますが、さらなる整備には、原木林再生への道筋を示し、更新の意欲を喚起させることが必要です。例えば、短期、中期のために表層の除去あるいはカリウムの散布を行いつつ萌芽更新を行う。長期のために、伐採し植林を行うなどの方針を示し、原木林の更新を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 以上で質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、北京2022オリンピック冬季競技大会についてでありますが、北京オリンピックには、冬季として過去最多となる7人の本県ゆかりの選手が出場を果たし、世界の大舞台で、各競技において、それぞれが持てる力を存分に発揮されました。
 中でも、小林陵侑選手が、スキージャンプ個人種目で金、銀のメダルを、永井秀昭選手が、ノルディック複合団体で銅メダルを獲得したことは、本県スポーツ史に輝く偉業であります。また、スノーボードビッグエアで4位入賞を果たした岩渕麗楽選手は、超難度の大わざに果敢にチャレンジし、世界中の人々に感動を与え、今回のオリンピック屈指の名場面として語り継がれていくものと思います。
 本県ゆかりの選手の活躍は、本人のたゆまぬ努力と指導者や御家族を初めとした関係者の御尽力に加え、県が長年継続してきた選手の発掘、育成の取り組みが、目標としてきたオリンピックの舞台で実を結んだものであり、大変うれしく思っております。改めて、本県の潜在力、本県の可能性を感じました。
 日本中に大きな感動と勇気をもたらした本県ゆかりの選手たちは、私たち岩手県民の誇りであり、県民を代表して、心から感謝の意を表したいと思います。
 今後、北京オリンピック・パラリンピック選手10人の健闘をたたえる場を設ける予定でありまして、その際には、選手の皆さんに感謝とねぎらいを伝える機会としたいと思います。
 次に、アフターコロナの社会像についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の流行は、本当に大切なことは何かを人々に考えさせ、地方が、そして日本が、本来のあり方を取り戻す、獲得する、そういう可能性を拓いております。
 こうした考えは、東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みの中で学び、培った経験に基づき、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標とするいわて県民計画(2019〜2028)と軌を一にするものであり、安心して生きがいを感じながら仕事と生活を両立される生き方の実現に向けた環境を整備し、大都市部から岩手への新しい人の流れの創出を進め、持続可能な地域社会を目指していくことが重要であります。
 このため、令和4年度当初予算案では、アフターコロナを見据えた三つの重点テーマを設け、人口減少社会への対応では、子育てを応援する機運醸成に向けた県民運動の展開やU・Iターンの促進、デジタル化の推進では、AI人材の育成やスポーツ指導などさまざまな分野におけるDXの推進、グリーン社会の実現では、本県初となる水素ステーションの設置のほか、本県の優位性を生かした森林資源の循環活用や温室効果ガス排出量の削減に向けた官民一体の取り組みの推進など、重点措置分として総額10億円を超える新規事業を盛り込んだところであります。
 また、来年度策定するいわて県民計画(2019〜2028)の第2期アクションプランでは、今般の新型コロナウイルス感染症対策の経験やさまざまな分野における若者の活躍などの岩手の潜在力も踏まえながら、オール岩手で県民の幸福度を高めることができるよう、県の方向性や戦略を示していきたいと思います。
 次に、人口減少対策についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、婚姻数や出生数の減少など人口減少への影響が懸念されており、被災地においては、観光入り込み客数の落ち込みなどにより、観光産業を初めとするなりわいの再生に支障が生じております。
 一方で、感染症に対する大都市のリスクの高さが際立ち、地方への移住に関する関心の高まり、テレワークを初めとする多様な働き方の加速など、個人の意識、行動変容が起きています。
 この機を捉え、県としては、令和4年度一般会計当初予算案において、人口減少社会への対応を重点課題の一つに掲げ、自然減対策として、安心して妊娠、出産できる環境の充実を図るため、結婚支援を強化するとともに、新たに、産後ケア事業の実質無償化、社会全体で子育て支援を行う意識の啓発や機運の醸成を盛り込みました。
 また、社会減対策としては、本県への新たな人の流れの創出や地域の魅力の向上を図るため、若者への移住支援金の支給、AIを活用した就職のマッチング、空き家の取得、改修への支援など、移住、定住の一層の促進に加え、災害公営住宅も含めた県営住宅におけるお試し居住を盛り込んだところであります。
 こうした取り組みに加え、新たな交通ネットワークを生かした関係、交流人口の拡大などを図ることにより、被災地も含め、新型コロナウイルス感染症を乗り越え、未来を展望しながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを着実に実現してまいります。
 次に、企業誘致についてでありますが、県では、自動車、半導体を核としたものづくり産業の集積を進めるとともに、より多様な雇用の場の創出に向け、ITや物流などの非製造業を含めた幅広い産業の企業誘致を展開しているところであります。
 こうした中、近年、サイバーセキュリティーを専門とするIT企業の本店移転や企業のバックオフィス業務を受託するBPO―ビジネス・プロセス・アウトソージング企業の進出に加え、グローバル物流企業が東北最大級の物流施設の建設を決定するなど、ITや物流を中心に、ものづくり企業以外の立地も活発化しています。
 県としては、引き続きさまざまな産業を対象に企業誘致活動を展開していくとともに、さらに多様な人材の働く場を確保していくためには、企業の本社機能等の地方移転を進めていくことも必要であり、全国知事会等を通じて、地方に移転した企業への税額控除の大幅拡充などのさらなる促進策を国に働きかけながら、雇用の場の創出を進めてまいります。
 次に、地域内への就職、定着についてでありますが、地域内就職率の向上に向けては、若者が、生まれ育った地域で、みずからが希望し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる環境を構築していくことが必要であります。
 若者が希望する仕事は多様であり、圏域内で全ての受け皿を確保していくことは容易ではありませんが、市町村と連携しながら、それぞれの地域のすぐれた資源を生かした雇用創出を図り、また、そうした地域の魅力を地元の子供たちに知ってもらう取り組みをさらに強化し、地域内就職率を高め、県内就職率の向上につなげていきたいと考えます。
 こうした考えのもと、食産業や水産加工業における新商品の開発や販路拡大、また、観光業における国内外からの誘客促進などの取り組みを引き続き進めていくとともに、コロナ禍におけるデジタル化の急速な進展を背景に、若者の起業が進んでおり、起業支援の取り組みを強化することで、U・Iターンを含めて、より多くの若者の地元定着を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、エッセンシャルワーカーへの新型コロナウイルスワクチン接種についてでありますが、県内では、学校や教育、保育施設に加え、高齢者施設にもクラスターが発生しており、感染拡大防止の観点から、社会機能を維持するための業務に従事する方々、いわゆるエッセンシャルワーカーへの接種の加速が求められております。
 こうした状況を踏まえ、県では、エッセンシャルワーカーの方々への早期の接種券の送付や予約の追加受け付けなどについて、市町村に要請するとともに、県の集団接種も実施しております。
 議員から御提言のありました県の集団接種を活用したエッセンシャルワーカーへの接種については、現在、特別支援学校の教職員への接種を実施しており、その他の方々についても順次進めてまいります。
 また、県の1、2回目の集団接種で実施した中小規模の企業や団体等を対象とした団体接種についても、接種間隔が6カ月を経過する段階で、3回目を対象とする県の集団接種の中に組み入れられるよう検討を進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響及び次期医療計画の策定についてでありますが、感染拡大のスピードが極めて速いオミクロン株により、学校や教育、保育施設を中心に多くのクラスターが確認され、感染者の急増に加え、医療従事者またはその家族が濃厚接触者等となり職場に勤務できないことなどから、医療現場の負荷が高まっており、さらなる感染拡大による手術や検査、救急医療などの一般医療への影響が懸念される状況と認識しております。
 新興感染症などの感染拡大時における医療提供体制の確保の検討を行う際には、平時から感染症指定医療機関等における感染制御の施設整備や感染状況の把握、管理を支援する情報システムの活用と新型コロナウイルス感染症の入院医療のように、感染症指定医療機関にとどまらず、一般の急性期機能を担う医療機関を含めた体制確保などが論点として挙げられますが、重症者を受け入れる医療機関が1カ所しかないような医療資源が少ない地域においては、一般医療の確保と感染症拡大時における病床確保のバランスをどのようにとるのかは、今後解決すべき課題と考えております。
 こうした課題も踏まえ、一般の医療提供体制を確保しながら、感染拡大時を想定した転用可能な病床やスペースの確保、専門人材の確保、医療機関の連携や役割分担の検討が必要と考えており、県としても、国の動向を注視しながら、今般の新型コロナウイルス感染症への対応から得られた知見等を踏まえ、医療提供体制の構築に向けた検討を進めてまいります。
   〔復興防災部長戸舘弘幸君登壇〕
〇復興防災部長(戸舘弘幸君) まず、前回の岩手県独自の緊急事態宣言及び時短要請の総括等についてでありますが、県では、昨年のデルタ株による感染拡大への対応として、令和3年8月12日に岩手緊急事態宣言を行い、県民の皆様に不要不急の外出自粛等を要請いたしました。宣言後、8月20日には新規感染者数が過去最高を記録し、病床使用率が76.6%となるなど感染が拡大いたしましたことから、さらなる感染の拡大による医療の逼迫を避けるため、感染拡大の起点となりがちであった飲食店における感染リスクを抑制する目的で、8月30日から9月12日までの期間、盛岡市の飲食店等に対し、営業時間短縮を要請いたしました。
 これらを受けた県民の皆様の適切な行動により、全国的にかつてない感染拡大が起こっていた中で、感染拡大を抑制し、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除することができました。
 これらの取り組みにつきまして、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会において見解を取りまとめていただいたところ、感染拡大防止の取り組みとして適切だったとの総括とともに、今後の対応の方向性として、公共施設等の利用制限や飲食店等への時短要請について、一定の条件のもと緩和することも考えられるとの御意見をいただきました。
 2回目となる今回の岩手緊急事態宣言の内容につきましては、この見解や昨年11月に全面改定された国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を踏まえ、オミクロン株の特性も考慮しつつ、これまでの知見を生かして、社会経済活動への影響の軽減を図りながら、効果的な感染対策を実施する内容としたところでございます。
 次に、トンガ沖海底火山の噴火による災害対応についてでありますが、今回、令和4年1月16日未明の津波注意報の発表を受け、全ての沿岸市町村が同時刻に避難指示を発令し、また、津波注意報が解除された後に避難指示を解除しており、避難指示の発令は適切に行われたものと認識しています。
 一方、トンガ沖火山噴火に伴う津波警報という未経験の事態であったことや、津波警報等の発表が深夜の時間帯であったことなどが要因となり、適切な避難行動につながらなかったとの指摘があるところでございます。
 県では、今回の災害対応を検証するため沿岸12市町村のヒアリングを行ったところであり、市町村からは、防潮堤等のハード整備への過信が避難意識に影響を及ぼした可能性があること、夜間であることや避難場所の寒さを敬遠し、避難をちゅうちょした方がいたこと、津波注意報の解除前に避難所から帰宅する避難者がいたことなどが、避難行動における課題として挙げられています。
 現在、県が進めている地震・津波被害想定の中で、これらの課題への対応も含め減災対策としてお示しすることとしたいと考えておりまして、引き続き、市町村と連携し、適切な避難行動となるよう促してまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、いわて旅応援プロジェクトについてでありますが、先般、82億円を増額し、追加提案した令和3年度一般会計補正予算案については、いわて旅応援プロジェクト第2弾の実施期間の3月11日以降への延長、また、来年度における割引対象地域のさらなる拡大や事業期間の延長を見据えた第3弾としての実施に必要となる経費を増額補正しようとするものであり、第3弾の開始時期や制度の詳細につきましては、現在、国と調整を進めているところです。
 議員から御提案のあった第三者機関が行う予約サイトの利用につきましては、現在の県民割では、福島県と兵庫県の2県が導入していると承知しております。
 県としても、利用状況の随時の把握や円滑な予算管理に努めていく必要があると考えておりますが、インターネット環境が整っていない事業者も少なくないといった課題もあり、今後、第3弾の具体的な実施方法を構築していく中で、関係団体からの意見も伺いながら検討を進めてまいります。
 次に、事業者支援についてでありますが、コロナ禍の影響を受ける事業者に対しましては、より効果的な支援を迅速に行っていく必要があることから、事業実施に際しての補助要件や提出書類の設定につきましては、わかりやすく、煩雑とならないような工夫をし、また、常に見直しを図っているところです。
 国の補助事業はもとより、コロナ禍が長期化する中、県単独事業につきましても、他の都道府県と類似の事業が多くありますことから、今後も、他県等の取り組みを参考としつつ、関係団体等の意見を事業に反映するように努めてまいります。
 今後の事業者支援のあり方につきましては、国に対し、観光事業者の感染防止対策や施設維持等に対する十分な支援策を講じることや、事業者の実情に十分に配慮した幅広く手厚い、大胆な経済支援を講じることなどについて、全国知事会などを通じて働きかけを行っております。
 県といたしましても、今般の第6波による県内の新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が及ぼす影響を踏まえ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のさらなる増額について、国に強く働きかけながら、市町村や関係団体と連携して、追加事業の構築や既存事業の拡大、拡充を含めた検討を進めてまいります。
   〔医療局長小原勝君登壇〕
〇医療局長(小原勝君) 県立病院内の売店、飲食店についてでありますが、国や県、市町村では、新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少し、経営に支障が生じている事業者を支援するため、家賃に対する補助など経営支援を行ってきたものと承知しています。
 一方、県立病院内で営業している売店や飲食店などの中には、国等の支援制度の要件を満たすことができない事業者もあることから、医療局では、国等の制度に準じる形で不動産使用料の減免を行っているところです。
 売店や飲食店などの院内テナントは、患者、来院者の利便性の向上や病院職員の職場環境の向上に寄与する施設であり、できる限り事業を継続していただきたいと考えており、職員が積極的に売店や飲食店を利用するよう働きかけを行うとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の動向を踏まえながら、当該事業で生計を立てている個人事業主への不動産使用料の減免要件の緩和など、引き続き必要な支援策について検討してまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) ふるさと岩手応援寄付についてでありますが、昨年12月から本年2月まで、クラウドファンディング型ふるさと納税による寄附の募集を行い、本県を含む全国16都道府県、66名の方々から90万6、000円の御寄附をいただいたところでございます。
 県ではこれまで、多くの方々から共感いただけるような寄附項目を設定するとともに、県産品の普及拡大の観点から返礼品の充実を図ってまいりました。これらに加え、本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内事業者の販路確保を支援するため、返礼品を約4倍にふやしたほか、定期便型返礼品の試行的な実施や新たにふるさと納税ポータルサイトをふやすなど、寄附受け入れの拡大を進めてまいりました。
 令和4年度におきましては、1億3、000万円余の寄附を見込んで予算を計上しており、また、個別に目標額を設定するクラウドファンディング方式を積極的に活用していくとともに、訴求力のある寄附項目の設定や返礼品の充実を図ることにより、岩手を応援したいとする方々の裾野の拡大につなげてまいります。
   〔ILC推進局長高橋勝重君登壇〕
〇ILC推進局長(高橋勝重君) ILC誘致の実現についてでありますが、今般の有識者会議では、研究者との意見交換や文部科学省からの情報を踏まえて、ILC計画に関する諸課題の現状等を専門的見地から整理し、見解を取りまとめたとしており、日本政府の決断を促すには至らないものの、関係国政府間の議論の進展につながるよう、今後の研究者の取り組み方向等についても具体的に議論されたものと捉えています。
 高エネルギー加速器研究機構は、こうした議論のまとめを受け、関係国の研究機関が連携してILC準備研究所にかわる枠組みを構築し、加速器の研究開発を行う方針などを公表しており、重要な技術開発とILC誘致実現に向けた国際的な機運の醸成を図り、国内でも、基礎科学分野の世界的な研究所を設けることの意義などについて、理解促進の活動を強化していくこととしています。
 ILC誘致の実現に向けては、こうした研究者の活動を評価し、日本が世界的に高いプレゼンスを有する基礎科学分野のさらなる発展を目指して、その多様な社会的効果も念頭に、社会全体、政府全体で取り組み、日本政府が機を逃さず決定することが必要と考えます。
 県としては、引き続き、研究者の活動を支援しながら、推進団体や知事会、広く経済界等と連携を図り、超党派国会議員連盟の動きとも連動し、日本政府の主導による国際的な議論の推進と省庁横断の連携体制の強化を国に働きかけてまいります。
   〔文化スポーツ部長熊谷正則君登壇〕
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 平泉の世界遺産の拡張登録についてでありますが、拡張登録を実現することは、奥州藤原氏が平泉に表現しようとした仏国土─浄土の本質的価値をより示すこととなり、世界遺産の価値の向上につながるとともに、県民の歴史、文化に対する理解の促進や地域の活性化が期待されます。
 県と関係市町では、これまで有識者等から示されている浄土思想との具体的な関係性の明確化などの課題の解決に向け、発掘調査を初めとした調査研究を進めているほか、研究会やフォーラムの開催により、研究成果や取り組み状況について、地域住民との共有に努めてきたところです。
 今後、今月開催予定の第18回平泉の文化遺産拡張登録検討委員会において、これまで示されてきた課題への対応状況等について協議を行う予定としており、引き続き、文化庁の指導、助言を得ながら、関係市町と連携して拡張登録の実現に向け取り組んでいきます。
   〔農林水産部長佐藤隆浩君登壇〕
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) シイタケ原木林の再生についてでありますが、県ではこれまで、県内全域でシイタケ原木林の放射性物質濃度検査を実施しており、原木シイタケの出荷制限地域においても放射性物質濃度の低い森林が確認され、原木林として活用される事例が出てきています。
 また、検査の結果、国が定めたキノコ原木として利用できる基準を満たす森林の位置を把握しており、その周辺の森林は、原木林としての活用が可能と見込まれることから、森林所有者等にこうした情報を提供し、活用を促していきます。
 さらに、国が他県で行った原木林再生に係る調査によりますと、放射性物質濃度が高い土壌であっても、カリウム濃度が高ければ、樹木が成長の過程で放射性物質よりもカリウムを積極的に吸収するため、樹木の放射性物質濃度が低くなる傾向があることが報告されています。
 こうしたことから、県では、原木林として活用可能な候補地を絞り込むため、今年度から、出荷制限地域内の土壌中のカリウム濃度を調査しており、来年度から調査箇所をふやすこととしています。
 県では、こうした取り組みにより、原木シイタケの出荷制限地域においても、生産者が安心して利用可能な原木を確保できるよう、原木林の再生を進めてまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 公立学校における蔓延防止の体制整備についてでありますが、県立学校においては、学級、学年閉鎖等が長期化する場合に、オンラインでの指導や課題の送受信等を実施しているところであります。また、やむを得ず登校することのできない児童生徒に対しては、オンラインで授業を配信するなど、各学校の実情に応じて、非常時においても学びを継続していく体制整備に努めているところです。
 市町村の小中学校については、各学校に1人1台端末が整備されていることから、非常時において、端末を家庭に持ち帰ってオンラインによる指導ができるよう、市町村教育委員会において準備を進めているところです。市町村によって準備状況に差があるものの、自宅にいる児童生徒をオンラインでつないで双方向でやりとりしながら授業を行う事例もあり、非常時においても児童生徒の学びをとめない体制を早急に整備するよう取り組んでいるところと承知しています。
 県教育委員会では、継続的な学校運営の確保に向けて、事務局内に情報収集・相談窓口班とオンライン活用・業務支援班を編成し、市町村教育委員会と連携して児童生徒の学びの保障に努めているところであり、また、保健所業務が逼迫していることから、保健所との連携を図り、濃厚接触者の特定や連絡調整などの業務支援を行い、地域の社会活動への影響の低減が図られるよう努めているところです。
〇14番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。幾つか再質問させていただきます。
 まず、アフターコロナの社会像についてでございます。
 知事からは、今の状況を都心から地方へというチャンスと捉えて取り組んでいくという話がございました。その心意気については評価させていただきます。
 一方で、コロナ禍において、県内の事業者も、多くの借金を抱えたり、また、地域コミュニティーも大きなダメージを受けていると思います。そういった部分について、例えば国の新型コロナウイルス感染症対策の支援がいつになるかわからないですけれども、県としても、第2期アクションプランにも入れ込むという話もございましたが、経年で支えていくという姿勢を見せることが重要なのだろうと思っております。
 そういった意味で、第2期アクションプランでの宣言や指標等を期待したいわけでありますけれども、第2期アクションプランはいつぐらいに発表していくものか、また、例えば復興推進プランのように、コロナ禍後の経済等の再生プランとして別建てでやるなどして県民にわかりやすく提示する、あるいはプロジェクトとして新たに立てていくことも必要なのではないかと思いますけれども、現時点の知事の構想をお話しいただきたいと思います。
 次に、補助制度の要件緩和についてでございます。
 商工労働観光部長から御答弁いただきました。事業者に寄り添う形でというお言葉はいただいたのですけれども、これまでの補助制度を見てきても、どうしても他県と比して厳しい補助要件あるいは提出書類が目についてしまいます。
 私が今回例示したのはその一つでありまして、事業者に寄り添っていくという部分から制度設計を行い、発信していただきたいと思うのですけれども、補助要件を決めていくといった場面で、どういったプロセスを経てこのような条件が追加されているのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
 次に、県立病院の施設内の売店、飲食店についてです。県では、家賃補助などを行っていく、これからも不動産についての使用料の減免なども考えていくということでしたけれども、調べてみますと、もともと県立病院内の不動産の使用料、家賃は低く設定されております。これは、だからいいじゃないかということではなくて、そういった部分も含めて、閉鎖された空間で商売をやるということで、そのリスクの中で家賃とか不動産使用料を低く設定していると思うのです。その上での、今回、病院内に患者なり面会者が立ち入るのは制限されていますから、いわゆる飲食店の時短要請と同じような状況なのではないかと思っております。
 例えば、国の支援制度や今回でいうと事業復活支援金、あるいは県の経営支援金などもありますが、時短要請を受けたところは、さらにプラスして協力金が与えられている状況もあります。新型コロナウイルス感染症対策の補助金によって県立病院自体は黒字化に転じました。そういった中にあって、同じく協力して病院事業を行っている県立病院の中に入っている事業者だけが、その恩恵を受けられないというのは、今後の関係にも響きますし、また、これから新興感染症が出てきたときに、そういった補償もないというのであれば、事業者は、リスクを考えて誰も手を上げなくなってしまうのではないかと危惧しているわけであります。
 その点も踏まえて、今後の支援策の方向性について、もう一度御答弁いただきたいと思います。
 次に、人口減少対策でございます。
 知事から御答弁がありました産後ケアについて、あるいは社会減対策について、私も今まで、企業側への努力を促すような、採用力の強化をしていただきたいというお話もさせていただいていましたが、今回そういった企業の採用力を強化するような事業も新たに盛り込まれたのは、評価させていただきたいと思います。
 一方で、自然減対策については、普及啓発が非常に多いと感じました。例えば、子育てにやさしい企業認証については、任期付職員を雇って企業にDMを送るという事業があったりします。しかしながら、こういった普及啓発という事業そのものについて、少ない財源の中で効果はいかほどなのだろうかと思います。
 i−サポについても、事業者へのさらなる呼びかけをして、入会していただく方をふやそうという取り組みもありますが、これは子供、子育て支援のほうで、保健福祉部で行っておりますけれども、例えばこういったものを商工労働観光部に移管して、事業者とつながりのあるところで推進していくなど、ただただ普及啓発を行うというよりも、私はもう少しやり方を工夫すべきではないかと感じました。
 また、住宅ストックリノベーション事業についても、空き家の利活用を若者だけではなく移住者にも広げようというところでありますけれども、昨年のこの事業についても予算の執行率が悪いという中で、範囲を広げただけで活用されていくのか、そういった潜在的なニーズというところにも私は疑問を感じました。
 住宅政策については、例えば山形県などでは、3世代同居に支援を行う、それによって若者の住宅支援になると同時に独居老人も減らしていこうといった対策を行っております。私は、そういった新規事業にニーズが少ないであろうところに振り分けることも、一つの人口減少対策、財源の少ないところでやるべきではないかと思うのですけれども、この点についてももう一度所感を伺いたいと思います。
 次に、非製造業の企業誘致について、あわせて地域内就職率の向上についてでございますが、必要性については感じていると御答弁いただいたと思っております。その中で進めていくためには、市町村からも非製造業の企業誘致に対する支援、具体的な補助なども創設すべきではないか、創設してほしいという声もいただいております。その点についてはどうでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
 また、地域内就職率の向上については、各地域の就職率について、いわて県民計画(2019〜2028)の第1期アクションプランの中で、地域振興プランでは指標がありますけれども、政策推進プランのほうには載っておりません。私は、県全体の施策として、各地域、圏域ごとの就職率にも目を配りながら、全体の県内就職率の向上を図っていく、こういった部分を政策推進プランにも盛り込むべきではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
 次に、ILC誘致についてです。
 今、見解を述べていただきましたけれども、この中で、今回、有識者会議からヒッグスファクトリーについて、全世界で一つのような大きな規模ではないかという話が出てきておりました。FCC―将来円形衝突型加速器を含めて一つではないかというような指摘に対して、KEK―高エネルギー加速器研究機構も、その動きも見ながら検討していくというような方向性の話にも聞こえます。
 そういった中で、ILCについて、これから学者の世界の中では、ヒッグスファクトリーを進めていく中で、今計画に上がっているFCC―将来円形衝突型加速器も含めて一つという形で優先度が議論されていくという方向なのかどうか、この辺についてどのように感じていらっしゃるのか伺いたいと思います。
 世界遺産の拡張登録についてです。
 これから平泉の文化遺産拡張登録検討委員会で議論されますけれども、その中で、これまで県と2市1町が拡張登録になるであろう各施設、機関の関係者の皆さんとともに進めてきたこれまでの努力に配慮した決定をするべきだと私は思っております。委員会の中で両論のような形で出てきた場合には、私は、多くの施設が入るような形で県、2市1町が判断していくべきと考えますけれども、県の方向性について再度答弁をいただきたいと思います。
 最後に、原木林の再生についてでございますが、カリウムの濃度検査を行っている中で、できそうなところをピックアップしていただいているのは、大変心強い取り組みであると思います。私は一歩進んで、そういったことを1年1年積み上げていくことも大事ですけれども、先ほど言ったような中期、長期のプランを立てて、例えば中期のプランでは、10年後に向けて萌芽更新をやっていきましょうとか、あるいは長期のプランでは、カリウムの多い地域に森林を再生していきましょうなどと、計画を立てて、見える化して進めるべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 新型コロナウイルス感染症の流行によって打撃を受けている事業者の皆さんにかかわる今後のビジョン、計画ということでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の流行が収束したあとは、岩手県であれば、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる地域振興、経済振興、この消費拡大、事業者の皆さんの収入拡大につながるような事業を、アクセルを目いっぱい踏み込んでV字回復を図ることが基本になると考えます。
 一方、新型コロナウイルス感染症の流行がさらに長期化していく場合でありますけれども、ここ2年間の日本全体としての基本は、感染対策をしながら経済も回すということをやれば、事業者の皆さんも一定の所得、収入を得られるだろうということではあったのですが、しかし、実際にこの2年間やってみて、波が6回起きていて、波がないときにある程度、平年並みの収入を得るケースもありますが、その時期を利用して波のときの収入の減を補うぐらいの収入が得られていないのが実態です。長期化すればするほど事業者の皆さんの収入減が構造化して、事態がどんどん悪化していくというのが、2年間経験してわかることだと思います。
 したがいまして、これは流行が始まった直後から各方面から言われていることでもありますけれども、アメリカ、ヨーロッパ、諸外国並みの大規模な財政出動によって、事業者の皆さんの収入の落ち込みを完全に補うくらいの支援金、給付金を全国的に行うことが、いよいよ求められてくるのだと思います。
 そうした思い切った政策を踏まえながらV字回復のアクセルを踏んでいくようなビジョン、計画を立てていければと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 補助要件につきまして、特に県単独事業等を行っていく場合には、限られた財源を有効に使うことが非常に大事だと思っておりますので、一定の要件は必要だと思っております。
 ただ、一方で注意したいと思っておりますのが、観光振興が目的の支援という観点から考えると、その対象がどんどん狭まってくるのですが、類似の観光以外の事業者も支援するような仕組みを横に広げて考えれば、より広い事業者が対象になるものもありますので、部局連携をしっかりしながら、困っている方々を多く支援できるような要件設定に努めていきたいと思います。
 一方で、提出書類等の件につきましては、我々も、今回の新型コロナウイルス感染症の対応でさまざまな事業をやっている中で、確認に必要な書類ということで提出書類を決めていくわけですが、いざ事業者等から、これは大変だという話を聞いて、ここまでは必要ないとか、気づく点も多々あります。この辺は、関係団体等を通じた意見交換などを頻繁に行う中で、今後も気づいた点の改善に努めていきたいと思います。
 次に、地域内就職率の話でございますけれども、今のいわて県民計画(2019〜2028)は、10年の長期ビジョンのもとに、復興推進プラン、政策推進プラン、地域振興プラン、行政経営プランというたてつけになっておりまして、4圏域ごとに地域振興プランをつくっております。そこでしっかり4圏域とも目標を定めてやっています。もちろん政策推進プランを進める上で、地域振興プランの達成状況等を見ながらやっていきますので、同じ指標を政策推進プランにも載せることについては、どういう形で政策推進プランと地域振興プランを連携させていくべきか、県民の方々にわかりやすく見せるためにはどうしたらいいのかというあたりは、検討すべき点だと思います。そういうことを含めまして、それぞれの役割とわかりやすさを検討しながら、今後の対応を進めていきたいと思います。
〇医療局長(小原勝君) 店舗の支援についてでございます。
 病院内の店舗は、スペースの大きさですとか客層ですとか、さまざまな制約がある中で、特に、この事業、この店舗だけで生計を立てている個人事業主の方々が、例えば、国の支援制度の一般的な要件であります、売り上げベースで単月50%減や3カ月で30%減といった状況に至るまで耐えられないといったことも多々あろうかと思います。
 今後の患者数の動向など、しっかりと病院の状況も見据えながら、どのような支援策ができるかをしっかり検討してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から人口減少対策、自然減対策について御質問いただきました。i−サポや子育てにやさしい企業認証など、普及啓発型という形での問題意識で受けとめております。
 今、i−サポについても、例えば、理容業組合と連携した取り組みを進めておりますけれども、今後展開していくに当たっては、個々の企業とさらに連携した取り組みが必要であろうと我々も考えております。
 また、子育てにやさしい企業認証もそうですけれども、議員から御指摘いただいたとおり、これは保健福祉サイドのみならず、商工サイド、企業とより連携した取り組みが求められていると考えておりますので、いただいた指摘等を踏まえまして、我々も今後進めてまいりたいと思います。
 また、連携するという視点で申しますと、自然減対策は、来年度当初に産後ケア事業について新たに盛り込ませていただきました。あとは、市町村と連携する結婚、新生活の支援事業も拡充するということで今回盛り込ませていただきました。
 こちらは、まさに市町村と連携して取り組みを進めていくものでございまして、自然減対策に関しましては、県のみならず、市町村、企業など、そしてNPO団体など、さまざまな団体と連携した取り組みが求められていますので、そうした視点を持ってこの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇政策企画部長(石川義晃君) ただいま保健福祉部長からお話しさせていただきました人口減少対策のうちの自然減対策は、先ほど答弁申し上げたとおり、企業との連携にしっかり取り組む必要があるかと思います。
 i−サポの企業への周知は、議員御指摘のとおりでございますけれども、それに加えまして、人口減少とか人手不足といったものについて、共通の危機感を企業の皆様もお持ちでございます。あるいは、それにかかわって従業員への結婚支援に関心がある企業、こういった方々にしっかり我々からも働きかけ、現場に刺さる形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(田中隆司君) 社会減対策についてでございます。住宅政策の中での答弁とさせていただきますが、社会減対策として実施する空き家の利活用については、県内居住者のみならず、県外からのU・Iターンを促進する施策として位置づけておりまして、令和4年度一般会計当初予算案に、住宅ストックリノベーション事業費ということで、一部新規事業として盛り込んでいるものでございます。
 具体的には、市町村が運営する空き家バンクの利活用促進のために、市町村職員を対象とした研修会等の開催によるバンク登録の増進、それから、若者世代や県外移住者を対象とした空き家バンクに登録された空き家の取得、改修に係る市町村補助事業への支援といったことを内容としております。
 この事業の実効性を高めるには、市町村との連携、市町村での補助事業の予算措置といったところが重要であると思っておりまして、こうしたことから、この事業は令和3年度に創設した事業でありますが、創設した令和3年度当初から、全市町村を訪問いたしまして制度のPRを行ってきたところでございます。
 この結果、補助事業を創設する市町村ですが、今年度は3市町村しかなかったのですが、来年度は20市町村に拡大する見込みになっております。
 あと、市町村アンケートを踏まえた内容による研修会をこれまで2回開催して、3月中にもう一回開催することにしております。
 議員から御指摘もありましたが、この事業を対象として、県外移住者を加えたこと、それから、空き家の取得に加えて改修にも適用を拡大したことも含めて、市町村に対して、この制度のさらなる周知に努めていきたいと考えております。
 それから、3世代同居のお話もいただきました。これについては、県では、現在、住宅政策の総合的な計画になる岩手県住宅マスタープランの改定作業を進めております。この中で、同居や近居などの多様な住まいを柔軟に選択でき、子供、子育て世代や高齢者等が住みやすい住宅の確保等に努めていくこととしておりまして、これについても市町村と連携して取り組んでまいりたいと思います。
〇ILC推進局長(高橋勝重君) ヒッグスファクトリーに関する世界的な研究戦略ということでのお尋ねでしたけれども、KEK―高エネルギー加速器研究機構が公表しましたILC誘致の進め方についてでも、ICFA―国際将来加速器委員会での意見交換等を通して、ヒッグスファクトリー実現に向けての世界的な研究戦略再構築に関する検討を進めると言及しております。
 このヒッグスファクトリーについて、有識者会議では、文部科学省から、フランスでヒッグスファクトリーについて国際的な議論が必要ということを意見交換の中で言及があったということで話がありまして、それについては、有識者会議の中では、FCC―将来円形衝突型加速器とILCを比べた場合に、スケジュール的にも予算的にもちょっと違ってくるものですから、FCC―将来円形衝突型加速器の計画がフランスにあるからといって、ILCと競合するとか、あるいはFCC―将来円形衝突型加速器が将来できるからILCをつくらなくてもいいとか、そういった議論にはならないでしょうといった出席委員からの指摘もあります。
 いずれ、KEK―高エネルギー加速器研究機構が申しているこれからの検討は、相手もあることですから、これがどう進むのか、私から確定的なことは申し上げられませんが、今後の進め方についてKEK−高エネルギー加速器研究機構と意見交換した際に、私からは、いずれ世界が次期コライダーとしてILCを最優先として自国政府にも積極的に働きかけてくれるように、この3月のICFA―国際将来加速器委員会の会議ですとか、あるいは夏に控えていますアメリカのスノーマスプロセスといったところでしっかり主張してほしいということと、建設候補地としてできる限りのお手伝いをすると申し上げております。
〇文化スポーツ部長(熊谷正則君) 平泉の拡張登録の取り組みについてでございます。
 現在、各資産の有識者から指摘されている課題に対しまして、論理的な説明ですとか価値を立証する物証が得られるかなどといった課題について調査を継続しつつ、課題の整理を行っている段階と承知しております。
 引き続き、文化庁の助言を受けながら、拡張登録の実現に向け取り組みますが、まずは、今月開催を予定しております検討委員会で課題の整理を行うということですので、それに向け、2市1町と緊密に連携しながらしっかり対応していきたいと思います。
〇農林水産部長(佐藤隆浩君) シイタケ原木林の再生について御質問いただきました。
 原発事故以来、原木の確保がままならないということで、大変御苦労されている生産者がおります。これまでなかなか手をつけられない、決定的な対策等が打てなくて、さまざま試行錯誤しながらいろいろやってまいりました。
 県が行ってきました検査、国の調査といったことで、先ほど答弁いたしましたカリウムの濃度の関係などもそうでございますが、10年たってだんだんわかってきたこともございます。
 今後、こういったことも踏まえまして、中短期的あるいは長期的といった視点でどんなことができるか、あるいはやっていかなければならないか、こういったことをスケジュールとかプランという形で示せるかどうかも含めまして検討してまいりたいと思っております。
〇14番(佐々木朋和君) ありがとうございます。1点だけ、非製造業の企業誘致について質問させていただいたつもりでしたが、御答弁がありませんでしたけれども、関係市町村からの要望に対して、県は、検討するというような答弁もしているようでございます。現在の検討状況をお知らせいただき、ぜひとも創設していただきたいと思いますが、最後に答弁を聞いて終わりたいと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 企業誘致は、市町村の産業振興施策や誘致戦略等を踏まえまして、県と市町村が連携して、適時、的確な対応を図っていくこととしております。
 今後も、企業ニーズなどを十分に踏まえつつ、限られた財源を効果的に活用できるよう、全県的な視点に立った上で、しっかりと市町村と連携してそういう支援に取り組んでいく考えでございます。 
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時36分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 上 原 康 樹 君
3  番 小 林 正 信 君
4  番 千 葉   盛 君
5  番 千 葉 秀 幸 君
6  番 岩 城   元 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 武 田   哲 君
10  番 高 橋 穏 至 君
11  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 千 葉 絢 子 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
35  番 佐々木 茂 光 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時58分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。千葉秀幸君。
   〔5番千葉秀幸君登壇〕(拍手)

前へ 次へ