平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号2003年度岩手県立病院等事業会計決算に対し反対の討論を行います。
 昨年度の決算は、県立病院職員の努力にもかかわらず、損益で8億5、499万円余の赤字となり、累積損失が107億円余となったことは残念であります。重要なことは、全体として厳しい状況の中でも、小規模病院である伊保内病院が、前年度と比べて4、200万円余も赤字を減らし、わずか1、190万円に改善していることであります。4年前と比べて10分の1以下に赤字を減らしているのであります。千厩病院や東和病院が5年以上連続して黒字を記録し、総務大臣表彰や全国自治体立優良病院表彰を受けていることは極めて重要であり、この経験・教訓から学ぶべきであります。
 また、県立病院の経営を考える場合、医師も診療科も充実している広域基幹病院で見るべき成果を上げることが重要であります。花巻厚生、宮古、福岡の各病院の赤字は真剣に改善を図るべきであります。しかし、県医療局は地域住民の願いや要求にこたえて、経営も改善しているこうした病院から学ぶことなく、県立病院の縮小・リストラを進める県立病院改革プランと実施計画を策定しました。
 その第1の問題は、小規模な地域の五つの病院を診療所化しようとしていることであります。これは、県下にあまねく良質な医療の均てんをという県立病院の創業の精神を踏みにじるものであります。小規模病院でも伊保内病院のように入院患者が増加し経営を画期的に改善している病院があります。また、どこでも地域医療だけでなく救急医療でも紫波病院が年間1、908人、伊保内病院が1、528人など、かけがえのない役割を果たしているのであります。こうした小規模な病院を守り地域医療を担うことこそ県立病院が果たすべき仕事であります。また、診療所化してかえって赤字をふやすことになりかねず、病院としての機能と役割を生かすべきであります。実際に診療所化の予定の5病院の赤字は3億円余で、中央病院の黒字3億1、000万円余で解消されるものであります。
 こうした県立病院の診療所化、縮小・リストラ計画に対し、関係市町村で人口の6割、7割を超える、病院守れの署名が15万人を超えました。医療局はこの県民の声にこたえるべきであります。
 第2の問題は、改善すべきむだと浪費の構造には手がつけられていないことであります。昨年二戸病院が新築されました。建設事業費が税抜きで100億円余となりました。これは1床当たりの単価が3、334万円となるものであります。日本経済研究センターの研究員のリポートによると、国立病院の1床当たりの単価は1、609万円、民間病院の単価は704万円、自治体病院は2、126万円となっています。二戸病院の1床当たりの単価は民間の4.7倍、国立の2倍となっています。最近盛岡市内に新築された民間病院の単価も800万円程度となっており、それと比較しても4倍であります。厳しい財政事情の中で県立病院の建設費は異常な過大投資と言うべきものであります。
 また、医療器械の増加額は36億円余となっていますが、自治体病院共済会の落札は12件中8件で落札率は99.33%から100%という異常なものであります。1、000万円以上の入札でも随意契約が少なからずあり、一般競争入札でも参加業者が1社のみのケースも少なからず見られます。こうした医療器械の入札・購入の改善こそ図るべきであります。
 第3の問題は、県立釜石病院と釜石市民病院の統合問題であります。改革プラン、実施計画では検討事項となっていましたが、9月13日、突然統合が発表されました。しかし、その内容は決算審議で明らかにしたように、釜石市民病院の廃止だけが示されたものであります。統合と言っても県立病院の病床はふえず、市民病院の入院患者が追い出されるだけであります。救急搬送の患者は昨年度までは市民病院の方が多く、市民病院が廃止されるなら県立病院だけでは対応不可能となってしまいます。市民病院の診療所化も示されていますが、県も設置するつもりがなく市も設置の意思がありません。診療所化自身が根拠のないあいまいなものであります。これでは必要な地域医療の切り捨て、撤退と言うべきものであります。市民病院の医師15人、107人の看護師を含む210人余の雇用確保についても全く保証のない統合計画であります。こうした統合計画は根本的に再検討すべきであります。
 第4に、中央病院のあり方が検討されていますが、センター病院としての高度医療と地域医療支援という機能と役割、地域がん診療拠点病院としての機能強化と緩和ケア病棟の設置は重要な課題であります。
 また、高度医療が展開される中で、1病棟で毎日10人前後が入院、退院する戦場のような状況となっています。そのために日勤の看護師さんは帰宅が毎日9時過ぎになるのが常態となっています。9日夜勤という事態も生じています。こうした厳しい状況の中で育児休暇、産休取得の看護師もふえ、大変な状況であります。2病棟の2人夜勤の解消はもとより看護師の増員による抜本的な改善を図るべきであります。
 最後に、昨年の医療局職員の採用試験で、調理師5人の採用を明記し、5人の合格者を発表しながら1人しか採用しませんでした。3月まで採用を待っていた合格者は途方に暮れました。これは県が雇用拡大を最大の重点課題として取り組んでいるときに、青年に対する、県民に対する背信行為と言うべきものであります。厳しい反省と救済措置を強く求めるものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、認定第1号平成15年度岩手県立病院等事業会計決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号及び認定第3号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、認定第2号及び認定第3号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   日程第37 発議案第1号地方競馬に対する支援対策の抜本的強化を求める意見書から日程第45 発議案第9号教育予算の拡充、義務教育費国庫負担制度の堅持及び学級編制基準・教職員定数の改善を求める意見書まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第37、発議案第1号から日程第45、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第6号最低保障年金制度創設と年金制度改善を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第6号最低保障年金制度創設と年金制度改善を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第1号から発議案第5号まで、及び発議案第7号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第5号まで、及び発議案第7号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   日程第46 議員派遣の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第46、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
 議事日程第5号中 日程第46 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的派遣場所期間派遣議員
第59回国民体育大会秋季大会埼玉県
熊谷市
平成16年10月22日から平成16年10月24日まで工藤 大輔 議員
高橋 雪文 議員
亀卦川富夫 議員
第124回全国都道府県議会議長会定例総会兵庫県
神戸市
平成16年10月25日から平成16年10月27日まで菊池  勲 議員
平成16年度秋期欧州地方行政視察ドイツ連邦共和国
フランス共和国
イタリア共和国
平成16年10月30日から平成16年11月11日まで関根 敏伸 議員
第4回都道府県議会議員研究交流大会東京都平成16年11月10日から平成16年11月11日まで阿部 敏雄 議員
新居田弘文 議員
平野ユキ子 議員
ザ・グレート・サスケ 議員
千葉  伝 議員
柳村 岩見 議員
高橋 雪文 議員
柳村 典秀 議員
阿部 富雄 議員


〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました4件についてでありますが、会議規則第114条の2第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   閉 会

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第9回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後3時37分 閉 会


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