平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(佐々木宣和君) 自由民主クラブの佐々木宣和です。
3度目の一般質問の機会をいただきました先輩議員の皆様に心より感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。
平成28年台風第10号災害からの復旧、復興について伺います。
早いもので平成28年台風第10号災害から1年半が経過いたします。亡くなられた25名の方々に哀悼の意を表しますとともに、被災され、今も不自由な生活をされている方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
発災からこれまで、県当局におかれましては真摯に復旧、復興に取り組まれていることに敬意を表し、感謝申し上げます。
平成29年度について、台風災害復旧復興推進室は、本庁においては室長のもとに専任職員2名の体制、岩泉町においては総括課長級の現地対策課長以下、災害復旧コーディネーターを含め3名の体制により機動的な災害復旧支援業務を行っていただいております。また、本庁関係室課及び広域振興局の企画担当課長等17名を台風災害復旧復興推進室の職員として兼務発令し、全庁的な対応を行っていたと認識しておりますが、平成30年度は平成28年台風第10号災害における被災地の状況をどう捉え、被災者の皆様に向けてどのようなメッセージを持って人員体制を整備したのか伺います。
次に、河川改修事業について伺います。
平成28年台風第10号災害で壊滅的な被害を受けた安家川についてはこれから用地補償説明、契約に移る段階、小本川に関しては詳細設計、用地測量に入る段階だと聞いております。県の河川計画が決まらないと住宅の再建方法を決められないという意見も多く聞いております。2河川の工事進捗の見通しと、この河川への水位計、簡易水位計の設置計画を伺います。また、河川改修事業では河道掘削による大量の残土処理が発生すると思われます。その対応方法も伺います。
次に、平成28年台風第10号被災地における商工業者の状況について伺います。
国の小規模事業者持続化補助金(台風激甚災害対策型)と県、市町で4分の1ずつの地域なりわい再生緊急対策交付金は、被災した事業者に非常に力になったと思います。その取り組み状況と現状の被災事業者の状況をどう捉えているのか。何とか急場をしのいだ方々もいますが、今後、継続しての経営指導の応援が必要と認識していますが、いかがでしょうか。
次に、集落地域の維持について伺います。
平成28年台風第10号災害ではピーク時33地区の約430世帯、計約870人が孤立したと言われています。特に山間部の川沿いにある道路の復旧に時間がかかったためです。岩泉町では高齢化率も42%を超える中、今後は車の運転を控える方もふえると想定されることから、今後、どうやって集落を維持していくのかが課題になってくると考えられますし、これは他の市町村も人ごとではないと考えます。
私自身も現地を歩きましたが、孤立ではなく、独立とも言えるようにたくましく生活をされている方もいらっしゃいました。今後、高齢化の進展が見込まれる中で、住みなれた地域に住み続けたいという思い、そして、ある意味では独立しているという生活スタイルの多様性を確保できる集落機能を維持していくための取り組みをどのように進めていくのか伺います。
東日本大震災津波からの復旧、復興について伺います。
間もなく3月11日を迎えますと、東日本大震災津波から7年を迎えます。犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、被害を受けられた皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。
この間、県当局におかれましては、膨大な仕事量にもめげず、真摯に一つ一つの事業を積み重ねられた成果が今日の進捗につながっているものと敬意を表し、感謝申し上げるところです。
平成30年度は岩手県の復興基本計画の最終年度であり、いわて県民計画の最終年度でもあります。次の10年間の岩手県政の道しるべとなる次期総合計画を練り上げる年であり、岩手県の現状を確認し、これからの岩手を考えるスイッチとなる年と考えております。
さきのいわて三陸復興フォーラムにおいて、東京大学第28代総長であり三菱総合研究所の理事長でもある、宮城県の震災復興会議の議長も務められた小宮山宏氏から、プラチナ社会の実現と復興と題して基調講演があり、さまざまなヒントをいただきました。
20世紀の人類は物質的な豊かさと健康長寿を目指してひた走ってきた。物質文明の行き詰まりや高齢化社会は現代の課題であるが、これらは人類が長年の夢をかなえたがゆえに生じた悩みでもある。これからは、次の豊かさとして量ではなく質を求めるべき。プラチナ社会のプラチナには、エコはグリーン、健康はシルバー、ITはスカーレットなど、さまざまな輝きを持ったワンランク上の暮らしという意味が込められている。20世紀が、量的充足を求め、科学技術の進歩がそれを可能にした人類にとっての黄金の世紀、ゴールデンエイジだとすると、21世紀は、さらに量的充足を得て誇りを持って輝くプラチナの世紀だということだ。21世紀のビジョンは質の高い社会、量的な豊かさを維持、必要とあればさらに充実させつつ、もっと質の高い人生や生活、よりよいクオリティ・オブ・ライフを楽しめる社会だということです。
私も非常に感銘を受けたところですし、2015年9月に国連が採択したSDGS(持続可能な開発目標)、世界が共通して取り組む2030年の目標やCOP21からもわかるように、人類の持続性を考えると、具体的、現実的な未来の姿だと思いました。
量的豊かさから質的な豊かさへの一つの動きとして、平成31年度からの10年間を計画期間として策定する次期総合計画に幸福度を入れるとあります。岩手の幸福に関する指標研究会の報告書によると、主観的指標、領域的実感、協調的幸福感、ソーシャルキャピタルを指標体系として設定するとあります。
岩手県が県全体の統一した幸福の価値をつくってしまうと、利便性や、満遍なく指標が満たされるものの価値が高くなること、つまりは幸福度が高いのは都市部ということにならないか懸念します。本来であれば市町村ごとに、理想を言えば各集落ごとに幸福度を考えることがベストであると思いますし、パラメーターがいびつであることが地域の魅力であり、多様性であるとも思います。岩手県として、統合的に幸福度を策定する意味合いをどう考えるのか伺います。
次に、震災後にできたつながりについて伺います。
震災後にはさまざまな主体から御支援をいただきました。世界各国、日本の自治体、企業、NPO、ボランティアの方々、岩手県出身で別の地域に居住している方々、本当に多様な主体からの御支援をいただいたものと心から感謝を申し上げるところです。
この関係性は、事業としての関係ではなく、心の交流であるがゆえに継続的なものとなることを信じています。
一方で、本県では依然として人口減が続いており、これからの岩手県を考えると、国内の多様な主体との関係性を今後も維持しつつ、国外とのつながりをさらに強めていくことが必要であると考えます。
具体的な例として、2020東京オリンピックに向けて、東日本大震災津波の被災自治体の海外交流を支援する復興「ありがとう」ホストタウンが発表されました。大船渡市はアメリカ、花巻市はアメリカとオーストリア、陸前高田市はシンガポール、釜石市はオーストラリア、野田村は台湾、宮古市はシンガポールが交流相手国とのことです。震災を通してできたきずなを深めることで、今後は具体的な事業につながっていく可能性も出てくると思いますが、市町村と海外の国との交流事業をどう支援するか伺います。
道路整備について伺います。
行政が提供するサービスの中で県民が最も満足感を感じるものが道路であると思うし、行政サービスの基本は道路であるとも思います。特に、沿岸部においては北上山系を越える交通の難所が多いため、昔からさまざまな要望が出されてきています。現在、復興道路の整備が急ピッチで進められており、昨年は震災後事業化された区間で初めての開通となった宮古-山田間が開通しましたし、3月21日には岩泉-田老間が開通します。平成32年に向けて開通ラッシュとなる復興道路を核として、それに関連する道路の整備は地域の悲願であり、活性化の核であると考えます。
まず、国道106号について伺います。
現在、国直轄で整備が進む106号線は、平成32年には事業化区間の9割が完成する見通しと聞いています。その中、平成28年台風第10号で被災した田鎖から茂市間の整備について宮古市等から要望を受けています。被災原因を踏まえながら、防災機能を高めていくための検討を行っていきたいと答弁をいただいていますが、進捗はどうか伺います。
また、国道106号については、宮古市と盛岡市、沿岸と内陸を結ぶだけではなく、秋田市につながる国道13号、国道46号と一体となって、岩手県、秋田県を結ぶ非常に重要な路線であります。毎年、宮古・盛岡・秋田間国道整備促進期成同盟会を開催し、整備を強力に促進すべく、連携して取り組んでいるところです。今後、平成32年に向けて整備が進む国道106号については、その重要性から、国土交通省直轄指定区間編入を目指し働きかけを強化していく必要性があると考えますが、所感を伺います。
次に、国道455号について伺います。
国道455号は、県都盛岡と岩泉町、田野畑村、普代村を結ぶ非常に重要な路線です。平成28年台風第10号では13日間の通行どめとなり、地域には非常に大きなダメージをもたらしました。二升石地区では、台風後約1年2カ月の間、片側通行どめとなっていましたが、平成29年10月に、廃線となった岩泉線の鉄道敷を一部利用して迂回路が完成しました。このことは住民にとって非常にありがたいことだと感じております。
国道455号の一つの難所は、ワカサギ釣りで有名な岩洞湖周辺だと感じます。岩洞ダムは昭和30年から5年間で2、000ヘクタールの開田計画を実現した国家プロジェクトであります。戦後の食料難を解決し、それにあわせて県は岩洞発電所を設置し、発電事業を始めました。農業用ダムのため洪水調整もなく、安定した電力収入を上げています。
〔副議長退席、議長着席〕
巨大化、過密化に悩む大東京の中心部から東北に首都機能を全面移転すべしとした北上京遷都の提案は、昭和46年に、松井達夫氏が代表を務める早稲田大学「21世紀の日本」研究会が、21世紀日本の国土像と国民生活像を求めた総理府主催のコンペティションに応じて行った諸提案の中の一つでした。新首都は地名に由来して北上京と命名されました。具体的位置は、北京、ワシントンなどと同緯度の北緯40度、東北は岩手県盛岡市の東北約20キロメートルの高原地域に置くという提案であり、その際に岩洞湖開発株式会社ができました。時を同じくして田中角栄元首相の日本列島改造論が発表されたこともあり、観光産業のメッカとなるべくうたわれましたが、残念ながら、その後は開発が進んでいません。
国道455号は昭和35年完成の岩洞ダム建設の際につくられた道路で、その線形がそのままに改良が進んできております。県からいただいた資料では、約19キロメートルの区間で、平成19年から平成28年までの間に人身事故が16件あるとのことです。私も昨年12月に人身事故の現場に居合わせましたし、年間何十往復としていますが、毎年必ず物損事故に遭遇しています。この現状を踏まえ、県当局では国道455号岩洞湖周辺の改良をどう考えているのか、所感を伺います。
次に、国道340号について伺います。
現在、復興支援道路の一部として整備が進む押角トンネルは、宮古市和井内地区から岩泉町大川地区を結ぶ延長3、094メートルのトンネルです。この前後の道路改良に関しては、長年、岩泉町、宮古市からも要望が出ているところですし、昨年の11月4日には、宮古市の新里トレーニングセンターにおいて、宮古市民、岩泉町民など約1、050人が集まり、早期の整備を県に要望していくことを決議として採択したところです。
押角トンネル前後の道路改良に関して、県当局としてどう考えられているのか伺います。また、押角トンネルの工事進捗についてもあわせて伺います。
ビッグデータの活用について伺います。
県では、国の内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が構築した地域経済分析システム、いわゆるビッグデータ解析のための道具であるリーサスを活用し、ふるさと振興の関連部局において、政策立案や事業効果の検証などを行っているところと承知しています。
また、市町村のふるさと振興の取り組みを支援し、リーサスを県内に広く普及させるため、県として、今年度、地域経済分析システム普及促進事業により、市町村職員向けリーサス研修や、一般の県民や学生などを対象としたふるさといわてを元気にするアイデアコンテストを実施しているところと聞いております。
いわゆる政府が考える地方創生の鍵となるツールとして私も注目しているところですし、データ量が少ないといった問題点はあるものの、昨年の12月6日には、宿泊者情報であるいわゆるFrom-to分析、経営者平均年齢、事業所立地動向、有効求人倍率のデータもアップデートされ、徐々に使いやすくなっているように感じます。
もとより、観光振興施策の立案に当たっては、本県を訪れる観光客の発着地や交通手段、周遊ルートなどのデータ分析が不可欠と考えますが、From-to分析を初めとしたリーサスを活用する上での課題認識を含め御所見を伺います。
また、リーサスを中小企業者への経営指導に活用することで、経営力向上の取り組みなどにも効果的であると考えますが、現状と今後の可能性について所見をお示しください。
農林水産業の振興について伺います。
1次産業の活性化は岩手県の大きな課題と考えています。全国的にもそうですが、生産物に付加価値をつけて収入をふやすため、生産者がさまざまな事業体と協力して6次産業化に取り組む動きがあります。特に、震災後に岩手県の農林水産物の魅力を再認識し、新たな挑戦をしようと取り組まれている方が多くいらっしゃいます。
ふるさといわてを元気にするアイデアコンテストについて、非常におもしろいアイデアが出されたので、紹介いたします。
岩手大学の学生のアイデアで、テーマは豆腐です。地域外からの移入が多い商品を、岩手県の強みである農林水産業と結びつけることで、サービス業や卸売、小売業等にも波及効果を与え、地域経済の活性化、所得の向上につながる。岩手県の豆腐の1、000人当たりの購入点数は全国1位で、岩手県内の豆腐の需要は確実にあるものの、ほとんどが県外で生産されたもので、県内での生産量は1割以下です。そこで、県内で消費が多い豆腐を、県内で生産が増加している大豆を利用して地産地消型の豆腐を生産するというものです。つまりは確実な消費者ニーズがあるものを内製化することで、岩手県の仕事、収入につなげていくということで、非常におもしろいアイデアだと感動しました。
今はいろいろな地域でこの6次産業化や農商工連携等が取り組まれています。確実に売れる商品を生み出すためには、生産、製造する当事者のみならず、流通関係者など多様な連携が必要と考えますが、御所見を伺います。また、流通関係者などからの評価を踏まえ、商品改良につなげるなどのPDCAサイクルの仕組みが必要と考えますが、御所見を伺います。
海洋資源の持続可能性、資源管理、温暖化というキーワードで岩手県が大きく影響を受けているものが秋サケの漁獲量の大きな減少です。
秋サケは、河川で生まれて海で成長し、産卵のため生まれた河川に回帰します。岩手県では、昭和50年にふ化場の整備が進み増加し、昭和59年には4億尾放流体制が整い、これに伴い漁獲量は増大し、最大で平成8年に7万4、000トンまでとれました。平成11年以降、放流数は変わらないものの、漁獲量が段階的に減っている傾向にあります。平成28年は、ふ化場の復旧過程で放流数が少なかった稚魚が4年魚、5年魚で回帰する年で、漁獲量はピーク時の7分の1以下の1万トンを下回りました。
震災による放流数の減少や放流時の水温環境、平成28年台風第10号災害によるふ化場の被災などの影響により、平成29年度においても種卵の確保が困難な状況が続いていると承知しています。
まず、平成28年台風第10号で被災したふ化場の状況、平成30年度の種卵の確保対策、ふ化放流数の計画を伺います。
漁獲量減少の要因とされるのは、ふ化場の被災だけでなく、サケが北上する時期に三陸沿岸の表面温度が高目に推移していることに加え、春先から初夏にかけての水温が短期的で急激に上昇する傾向が見られており、その時期に稚魚が十分成長できなかったことが消耗要因の一つと聞いています。
栽培漁業の優等生と評され、秋サケ漁は本県水産業を牽引してきました。今、循環型の資源確保を担うサケの増殖事業に大きなゆがみが生まれていることに危機感を覚えます。このような状況に対応するためには、長期的な視点から国と連携し、地球温暖化も含め、仮に海の条件が変化しても対応できる健康な稚魚を生産し、放流していくことが重要と考えます。県は、健康な稚魚の生産、放流にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、森林環境税の創設について伺います。
世界的な温暖化対策の流れがある中、また、長らく地方が国に対して要望していた森林整備の安定財源確保が相まって、ようやく形になったと非常に喜ばしく思っております。
林野庁の資料によりますと、課税開始は平成36年度から、森林環境譲与税は前倒して平成31年度からスタートするとのことであり、また、配分基準に関しては、私有林の人工林面積が10分の5、林業就業者数が10分の2、人口が10分の3となっております。特に、人工林面積が配分基準全体の2分の1を占めていることは、広大な面積を持つ岩手県にとって大きなメリットになるものと期待しておりますし、人口減少が進む地方にとっては、新たな税配分の考え方の指針となるものと期待しているところです。
森林環境税の事業を実施するに当たっての課題は、市町村を主な事業主体と考えていることから、市町村の実施体制整備が整うか、森林組合ごとの取り組みの濃淡もあると考えるし、民間の事業者がどのぐらい対応できるのか。そもそも山で働く方々が確保できるのかということもあります。
そして、岩手県の林業において人工林は約45%、残りの約55%は天然林で、その大半は広葉樹であることから、針葉樹、広葉樹両方を生かすことで、初めて林業振興になるものと考えます。
森林環境税創設を契機として、地方における林業活性化、持続可能な林業の構築が期待されるところでありますが、それに向けては、新たな主体となる市町村、その担い手となる森林組合等の林業事業体の体制整備が喫緊の重要な課題となりました。
県は、長年にわたり林業行政を牽引してきたところであり、その経験と蓄積したノウハウを十分に生かしながら、知事にはリーダーシップを発揮していただき、林業振興につながるように取り組んでいただきたいと考えますが、所感を伺います。
太古の昔、岩手県は、地質、土壌、気候、降雨量等自然環境の中で生まれた多様で豊かな森林であったと思います。ことしは明治150年。150年以上の森林は岩手県にどれほど残っているのか、そして、その前400年の江戸の森は幾ら残っているのか考えたとき、多様な森林を育むことは岩手の大きな財産になると思うし、林業は長期的な視点を持つべきと考えます。
戦後の日本は、森林資源を早期に造成するため拡大造林を進めてきました。しかし、木材の輸入自由化や1980年代以降の木材価格低迷等により森林所有者の経営意欲が減退した結果、手入れの行き届かない森林が生まれています。いわての森林づくり県民税は、そのような森林を健全な森林に誘導することを目的として実施してきました。そして、その成果が出ていると思います。
いわての森林づくり県民税を導入以来十数年が経過するわけですが、これまでの県民税を活用した森林整備の成果と、森林環境税の創設に伴って県民税の役割をどのように考えていくのか、改めて伺います。
スポーツ振興について伺います。
本県出身のスポーツ選手の目覚ましい活躍は本当にすばらしいと思います。平昌オリンピックでは、スキージャンプの小林潤志郎選手、小林陵侑選手、スノーボードの岩渕麗楽選手、ノルディック複合の永井秀昭選手が大活躍しました。また、パラリンピックでは、アルペンスキーの高橋幸平選手、クロスカントリーの阿部友里香選手の活躍が期待されます。そしてまたプロ野球の世界では、昨シーズンは銀次選手はベストナインを獲得、菊池雄星投手はベストナインに加え最多勝利投手、最優秀防御率の投手2冠を獲得し、日本球界を代表する左腕になりましたし、大谷翔平選手はいよいよメジャーリーグに挑戦することになりました。大谷選手の記者会見を見て誇らしい気持ちになった県民はたくさんいることと思います。
このような岩手県出身選手の活躍は、いわてスーパーキッズを初めとするさまざまな取り組みが成果を出しているものと考えます。全国大会を積極的に誘致することによりスーパーキッズの向上心を刺激し、競技力向上につながると考えますが、知事の所感を伺います。
また、競技種目が多様化する中で、確実に世界で活躍できるトップアスリートを発掘し、育成するためには、支援対象の重点化が必要と考えますが、県の考えを伺います。
最後に、次期総合計画について知事の考え方を伺います。
今回取り上げたプラチナ社会の定義を考えると、2050年には人工物の飽和を迎えるであろう世界において、地球環境、特に温暖化に対応し、現代社会が抱えるさまざまな問題を課題解決しながら新しい社会と価値観をつくることです。エコロジカルで資源の心配がなく、老若男女が全員参加し、心も物も豊かで、雇用がある社会。全ての人が豊かな生活を送れる社会。ネガティブな要素をポジティブに考えること。例えば高齢化社会は、人類長年の夢の長寿を達成し、さらに元気で生きられるように自立支援をするロボット等の新しい産業を生み出します。人工物の飽和は、物が売れなくなるのではなく、例えば都市鉱山からの資源循環という新たなビジネスを生みます。
岩手県でプラチナ社会を実現するためには、マクロな視点での課題解決のモチベーションを全国、全世界で共有し、多様な連携をつくり、アクティブな交流をし、テクノロジーを使って効率化し、今ある資源の魅力を最大化し、持続可能、循環可能な事業をつくり出すことです。もちろん、多様な選択肢を確保することも重要です。
岩手県をハブにして多種多様な組織、個人が有機的に連携していくことで、初めて可能になる、とてつもないハードルが高い話ですが、実行力があり、行動力がある人間が集まり引っ張ることができれば、将来に向けた期待感につながります。
東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害の2度の大きな災害を受けた岩手県は、復旧、復興そして発展に向けて確かな方向性を求めています。そしてそれはプラチナ社会です。
パーソナルコンピューターの父と呼ばれる科学者アラン・ケイの言った私の大好きな言葉、未来を予測する最もよい方法は未来をつくること、トライアルを繰り返し、チャレンジし続けなければなりません。
ことしは、次の10年間の岩手県政の道しるべとなる次期総合計画を練り上げるときです。知事は、プラチナ構想ネットワークの会員でもありますが、このプラチナ社会の実現に関してはどのように考え、県政にどのように反映するつもりなのか、所感を伺って私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、平成30年度の平成28年台風第10号災害に対する人員体制についてでありますが、被災地におきましては、今後、被災世帯の住宅再建や道路、河川等の災害復旧工事等が本格化するなど、依然として対応すべき課題が多いと認識しておりますが、それぞれの課題に対応すべき庁内の部局が明確になってきており、今後は、各部局における災害復旧事業等の実施や、地域振興の枠組みの中で対応が可能と判断されますことから、今年度末をもって台風災害復旧復興推進室を廃止することといたしました。
一方で、被災自治体との連絡調整は引き続き緊密に行っていく必要がありますので、岩泉町への職員の駐在は継続することとし、また、本格化する復旧工事に対応するため、現地の土木センター等において、用地取得事務や災害復旧事業等を行う職員を増員することといたしました。
平成30年度当初予算案におきましても、平成28年台風第10号対応予算として総額172億円余を計上しておりまして、引き続き、東日本大震災津波からの復興とともに、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組んでまいります。
次に、森林環境税を契機とした林業振興についてでありますが、現在、国が創設を目指している森林環境税においては、森林現場や森林所有者に最も身近な市町村が森林整備の新たな主体として位置づけられ、地域の林業経営体と連携し、多面的な機能を有する森林の保全に取り組んでいくことが期待されているものと認識しております。このため、県では、市町村による森林整備を支援するため、間伐等の実施に必要なノウハウの提供や助言等を行うとともに、市町村と連携する林業経営体の育成に向けて、引き続き、路網整備や高性能林業機械の導入等を重点的に支援してまいります。
今後、森林環境税の導入を見据え、市町村等との連携を強化するとともに、県産材の安定供給体制の構築や広葉樹を含めた県産材の需要拡大等に継続して取り組み、本県森林資源の適切な管理と林業の成長産業化を推進してまいります。
次に、全国大会の誘致と競技力向上についてでありますが、国内外のトップ選手が参加する大会を本県で開催することは、多くの子供たちが、高度な技術や戦術、競技に対する真摯な姿勢などに直接触れる機会を得ることで競技への興味、関心を抱き、上達への意欲が高まるなど、競技力の向上に大きな効果をもたらすことが期待されます。
県では、昨年10月に、いわてスポーツコミッションを設立し、大会の誘致などに積極的に取り組んでおり、スポーツクライミング第1回コンバインドジャパンカップに加え、このたび、2年後のクライミング・アジア選手権2020の本県での開催が決定したところであります。クライミング・アジア選手権2020には、本県出身のトップ選手の出場も有望視されており、子供たちを初め、広く県民の関心が高まることが期待されます。
今後においても、スポーツコミッションを中心に、市町村や岩手県体育協会を初め、競技関係団体などとしっかり連携しながら、全国大会にとどまらず、世界のトップアスリートが集う国際大会の誘致にも積極的に取り組んでまいります。
次に、プラチナ社会の実現についてでありますが、プラチナ社会を実現するための運動の核となっているプラチナ構想ネットワークによりますと、プラチナ社会とは、エコロジーで、資源の心配がなく、老若男女が全員参加し、心もモノも豊かで、雇用がある社会とされています。
県におきましては、幸福をキーワードに、健康や仕事、コミュニティー、自然環境など、県民が幸福と感じる要素を踏まえて、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどに着目しながら次期総合計画の策定を進めていますが、プラチナ社会の考え方は、こうした方向性と軌を一にするものと認識しております。
このような認識のもと、次期総合計画の策定過程におきましては、岩手県がプラチナ社会実現の先駆けとなれるような政策づくりができるよう進めていきたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、安家川と小本川の河川改修事業についてでありますが、河川用地内での河道掘削等については一部先行して実施しておりますが、用地の取得が必要となる河川改修事業については、現在、地域の皆様への説明会を進めているところであり、その中で、被災した方々の早期の生活再建の参考となるよう、できるだけ具体的な河川改修計画をお示ししてまいります。
なお、事業の完成につきましては、2020年度を目標に取り組んでいきます。
水位計については、現在、安家川の日蔭地区と小本川の赤鹿地区にそれぞれ1基を設置しておりますが、小本川上流部の穴沢橋地点において同等の性能の水位計を新設し、ことしの5月からの運用を予定しております。
また、現在、国で開発中の、設置コストやランニングコストが安価である危機管理型水位計を8月までに安家川と小本川に1基ずつ設置する予定としております。
また、河川改修事業に伴い発生する残土の処理については、近隣の土捨て場の確保や他事業への流用に鋭意努めているほか、民間での活用も検討しながら、事業が円滑に進むように取り組んでまいります。
次に、国道106号の防災機能の強化についてでありますが、国道106号の田鎖から茂市間は平成28年台風第10号で被災しまして、発災から11日間、通行どめとなりました。現在、災害復旧工事において、護岸ブロックを大型化し、河床の安定対策をあわせて行うなど、災害に強い構造として質的改良を施しておりまして、年内の交通規制の解除を目標に工事を進めています。
当該区間の前後は、宮古盛岡横断道路として整備が進められており、当該区間についても同様に、規格の高い道路として整備することについては、別線整備の可能性も含め現在調査を行っており、おおむねのルートや構造を検討しているところです。
また、当該区間は、茂市地区において、国が現在事業を進めている工区と接続することになりますことから、国とも意見交換をしながら、どのような整備手法があり得るのかについてもあわせて検討を進めております。
次に、直轄指定区間編入についてでありますが、一般国道106号宮古盛岡横断道路の全線高規格化と国直轄指定区間の編入については、これまでたび重なる国への要望を行ってきており、平成29年度においても、春の政府予算要望時、秋の部単独要望時に加えまして、11月には、宮古市、盛岡市と合同で要望を実施したところです。
宮古盛岡横断道路は、三陸沿岸道路と一体となった規格の高い道路ネットワークを形成すること、延長約5キロメートルの(仮称)新区界トンネルを初めとする長大な構造物が多いことに加えまして、宮古港へのフェリーの就航に伴い、物流道路としての重要性が高まることなどから、交通の安全性、信頼性の面で高度な管理水準が求められると考えております。このため、今後は、物流事業者等と民間団体の協力もいただきながら、官民一体となった要望活動を展開してまいりますとともに、国とは、規格の高い道路ネットワークの平時、災害時を問わない安定的な輸送の確保の観点から、望ましい管理のあり方について実務レベルでの協議を行ってまいります。
次に、国道455号についてでありますが、岩洞湖周辺の地域は本州でも有数の寒冷地域であり、冬期の通行の安全対策に特に配慮が必要な区間であると認識しています。
当該地域では、これまで、すれ違い困難箇所の拡幅、線形不良箇所の改良等を行ってきたほか、ドライバーへの注意喚起のため、道路情報板や標識の設置、凍結抑制剤の自動散布、路線バス等の円滑な通行に必要な幅を確保する除雪など、冬期の安全対策を強化してきたところです。
今後とも、初期除雪の推進やきめ細やかな凍結抑制剤の散布など、適切な冬期道路管理に努めますとともに、交通事故発生状況や特性等の分析に基づき、効果的な安全対策を実施するほか、路線としての信頼性を高めるための改良の必要性についても検討してまいります。
次に、国道340号についてでありますが、まず、事業中の押角トンネルの進捗状況については、2月22日現在ですが、宮古市側で1、310メートル、岩泉町側で1、632メートルの合計2、942メートル、トンネル全体延長の約95%の掘削が完了しており、残る152メートルにつきまして鋭意工事を進め、この3月の貫通を見込んでおります。
今後、設備工事や舗装工事を実施して、2020年度の開通を目指します。
押角トンネルの前後区間につきましては未改良区間として残っておりますが、道路規格の連続性の確保や緊急輸送道路のネットワークとしての効果の発現の観点から、整備が必要な区間と認識しております。
今後、事業化を見据えながら、ルートや構造、優先区間の検討など、必要な調査を進めてまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、平成28年台風第10号災害に係る商工業者の状況についてでありますが、地域なりわい再生緊急対策交付金については、平成30年1月末時点で、宮古市、久慈市及び岩泉町の3市町合わせて460事業者に補助金が活用され、観光施設の復旧工事や誘客イベントなど3市町が実施した58件の事業と合わせ、518件の活用となっております。また、この台風に対応した国の小規模事業者持続化補助金につきましては、3市町合わせて133事業者が活用しております。
こうした取り組みにより、多くの被災事業者が事業再開しておりますが、特に甚大な被害を受けた岩泉町では、今年度中に復旧工事が完了しない被災事業者もあることから、来年度も交付金事業を継続するとともに、岩泉商工会職員の増員を維持できるよう、所要額を平成30年度当初予算案に計上しているところでございます。
さらに、再開した事業者につきましても、業績の回復に向けた支援が必要と認識しておりまして、引き続き、市町村及び各商工団体と連携し、経営相談や専門家派遣など、きめ細かな支援を行っていく考えでございます。
次に、観光振興施策の立案に当たってのデータ活用についてでありますが、本県観光やこれを取り巻く現状を的確に捉え、これに基づき施策を企画、実施していくことが重要と認識しております。このため、リーサスを初め、国の宿泊旅行統計調査や、県が実施している観光統計調査結果などから、観光客の発地や属性、訪問目的、手段、移動ルート、消費行動等のデータを収集、分析し、誘客拡大を展開しているところでありまして、例えば、本県を訪れる外国人観光客の約6割が、成田、羽田空港から入出国し、東北各地を周遊する割合が多いことを踏まえ、いわて花巻空港への国際チャーター便、定期便の誘致に取り組むとともに、東北各県とも連携し、海外向けの東北全体のプロモーションの展開や、鉄道、高速バスのフリーパスやレンタカーの利用促進に取り組んできたところであります。
また、国内からの宿泊客については、首都圏からの割合が高いことを踏まえ、JR東日本やネクスコ東日本と連携した誘客プロモーションを展開するとともに、宿泊つきバスツアーや、内陸と三陸をつなぐツアーの商品造成を支援するなど、より広く、より長く、周遊、滞在する旅行商品造成の促進に取り組んできているところでございます。
今後も、さまざまなデータの収集、分析を行い施策に反映してまいりますが、リーサスは、平成27年4月から運用が開始されたこともありまして、提供しているデータの種類や量に限定的な面もあります。このことから、必要に応じ、県が実施している調査内容で補うなどし、活用していく考えであります。
次に、リーサスの中小企業の経営指導への活用についてでありますが、リーサスは、個々の企業ではなかなか対応し切れない多種多様で大量なデータの活用ができ、スピーディーな経営戦略の立案につながる有用なツールであり、その活用は、中小企業の持続的な発展を図っていく上で重要な取り組みと認識しております。
具体的な活用例といたしましては、製造業において、仕入れ、販売状況を分析した結果、地域外への販売力が課題であるとして、卸売業者との一体的な販路開拓を強化した事例や、地域商業では、周辺地域を含めた消費動向等の分析により、消費拡大の可能性のある業種を把握し、空き店舗対策等に取り組んだ事例、特産品に関する取り組みとしましては、特産品の分析等を行い、地元飲食店の活性化や海外への販路開拓に取り組んでいる事例などがあります。
今後におきましては、このような事例も踏まえ、市町村、商工指導団体等と連携し、その経営指導面での有効活用に向け取り組んでいきたいと考えております。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 集落地域の維持についてでありますが、中山間地域等における集落におきましては、人口減少や高齢化の進展によりまして、地域活動の担い手の不足や、日常の生活サービスの低下といったさまざまな課題を抱えているものと認識しております。
このような中、県内には、買い物や地域交通の確保などの生活サービスの維持や地域資源を活用した商品開発など、地域で抱えている課題に地域住民が主体的に取り組んでいる団体がございます。こうした団体の動きを各地域に広げていくために、県では、これらの団体を元気なコミュニティ特選団体に認定いたしまして、優良事例の普及啓発を行うとともに、人的、財政的な支援もあわせて行うために、地域おこし協力隊など、地域の担い手となる人材の育成のためのセミナーの開催や、国等の助成制度を活用した地域コミュニティー活動の支援、あるいは市町村が行う地域住民の日常生活に不可欠な地域交通の確保等に必要な事業への補助など、集落機能を維持していくためにさまざまな取り組みを行っているところでございます。
今後とも、市町村と連携しながら、地域住民が住みなれた地域に将来にわたって住み続けていけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
次に、幸福度を策定する意味についてでございますが、幸福は一人一人異なるものでございまして、県民意識調査におきましても、4広域振興圏別に異なる特徴があらわれております。こうした状況を踏まえまして、岩手の幸福に関する指標研究会報告書では、県民一人一人が感じる主観的な幸福感に関連する領域として、健康や仕事、コミュニティー、自然環境など、12の領域の設定が提言されております。
また、研究会報告書では、幸福のさまざまな要素を重視する観点から、地域ならではの視点を踏まえることも重要であり、指標の策定に当たっては、物質的な豊かさ以外の要素も考慮するとともに、人のつながりなどといった豊かさにも着目した旨が記載されてございます。
次期総合計画の策定に当たりましては、こうした研究会報告書の内容を参考に、地域ならではの視点を踏まえながら、一人一人の幸福を守り育てていくことを基本とすることが重要と考えておりまして、引き続き、総合計画審議会を中心に幅広く御議論いただきながら、次期総合計画における幸福の位置づけについて検討してまいりたいと考えております。
次に、市町村と海外の国との交流事業の支援についてでございますが、震災時の支援をきっかけに、県内では、例えば岩泉町では、台湾の嘉義県と小中学生の相互派遣の交流事業が始まったほか、陸前高田市におきましても、高田高校の実習船かもめの米国への漂着をきっかけにクレセントシティ市との交流が始まりまして、本年4月には姉妹都市提携が行われると聞いてございます。また、復興「ありがとう」ホストタウンにつきましても、相手国の選手、関係者とのさまざまな交流事業が大会終了後まで実施されるほか、その後におきましても、相手国と地域住民との継続した交流が期待できるものと考えております。
このような交流は、震災時に受けた支援への感謝を伝え、復興のプロセスを発信する好機であることに加えまして、交流人口の拡大を通じた地域経済の活性化にも大きく寄与する可能性がありますことから、今後も、各市町村における国際交流を促進していくことが重要と考えております。このため、県では、これまでも、県の国際交流協会とも連携しながら、市町村における国際交流の取り組みを広げていくために、県内における海外との交流事例を提供するとともに、市町村における交流イベントの際に要請に応じて県の国際交流員を派遣するなど、市町村を支援してきたところでございます。
来年度は、こうした取り組みを一層加速化するために、地域の国際化の担い手の育成に向けた研修会や、市町村や関係団体との国際化推進会議を各広域振興圏で新たに開催することとしておりまして、市町村と海外との交流を総合的に支援してまいりたいと考えております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、6次産業化の推進についてでありますが、安全・安心で高品質な県産農林水産物を活用した魅力ある商品づくりを推進するためには、商品の企画から販売までの各段階において、専門的知識やノウハウを有する多様な関係者と連携することが重要であります。このため、県では、商品の企画段階から食のプロフェショナルチームアドバイザーによる指導、助言の支援を行っているほか、商品の試作段階では、流通関係者や消費者からの評価を商品に反映させるため、バイヤー等による試食会や量販店でのテスト販売などを実施しております。また、商品完成後は、流通関係者等からの意見を商品のさらなる改良に生かす機会として、各種商談会やコンクールを開催するなど、魅力ある商品づくりに向けた取り組みを支援しております。
このような取り組みの結果、生産者とパティシエ等との連携による県産果実を使用したスイーツや、首都圏レストランとの連携による県産水産物を使用した贈答商品など、地域の農林水産物を生かした高品質で魅力ある商品が開発されているところであります。
今後におきましても、多様な関係者の連携と評価の反映により6次産業化の取り組みをさらに推進し、消費者にアピールできる魅力ある商品づくりに向けて取り組んでまいります。
次に、海産資源の持続可能性についてでありますが、まず、サケふ化場の状況については、平成28年台風第10号によりふ化場9施設が被害を受け、6施設は昨年度内に復旧し、被害が甚大だった3施設は、今年度、復旧整備を行っているところです。このうち、野田村の下安家ふ化場は既に昨年9月に稚魚生産を開始しており、岩泉町の小本ふ化場及び宮古市の松山ふ化場は、ことし2月に竣功後、近隣ふ化場で育成していた稚魚を収容し、種苗放流することとしております。
また、平成30年度のサケ種卵の確保対策と放流計画については、引き続き関係団体と連携し、遡上する親魚を最大限に利用するとともに、状況に応じて定置網で漁獲されたサケを親魚として活用するなどにより種卵を確保し、計画している4億尾水準の稚魚放流を進めてまいります。
健康な稚魚の生産、放流については、引き続き、ふ化場での適正な飼育密度管理の徹底、適期放流などを指導するとともに、新たに高水温でも回帰する北上川水系のサケを使用した稚魚生産技術の開発に取り組み、海水温の変動に強い種苗生産を推進し、持続的なサケ資源の造成に努めてまいります。
次に、いわての森林づくり県民税の成果と今後のあり方についてでありますが、まず、いわての森林づくり県民税を活用した森林整備については、平成18年度の制度創設から平成28年度までに約1万5、000ヘクタールの施工地を確保し、森林整備を進めてきたところであり、水源の涵養や土砂流出防止など、森林の公益的な機能の向上につながっているものと考えております。
また、森林環境税の創設を踏まえた今後の県民税のあり方については、国の森林環境税の使途等を精査し、本県の県民税との関係を整理するとともに、県民税の第3期における取り組みの成果や課題を踏まえ、県民の皆様を初め、事業評価委員会や県議会の御意見なども伺いながら、具体的な検討を進めてまいります。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) 今後の選手の育成のあり方についてでありますが、オリンピックや国際大会などを舞台に活躍する選手を育成するためには、その成長過程のそれぞれの段階に応じた適切かつ効果的な支援が必要であります。
県では、平成19年度からスーパーキッズ事業を立ち上げ、運動能力にすぐれた小中学生の個々の適性を見きわめ、スキージャンプの小林陵侑選手などのように、将来の可能性に応じた競技種目の選択につなげてきたところであります。
近年、ワールドカップなどの国際大会において、本県の中学生や高校生が目覚ましい活躍を見せておりますが、多くの選手は、競技団体において、スーパーキッズを含め早い年代から将来性のあるタレントを発掘し、一貫した指導体制のもとでその才能を開花させたものであります。
こうした競技団体は、オリンピックなどで活躍できる選手を育て上げることが期待されるため、これらの団体の活動に対して重点的に支援をする事業を当初予算案に盛り込んだところであります。
また、日本代表に選出されるためには、さまざまな国際大会を転戦し、海外での実績を積み重ねることが必要となり、その遠征費は多額となりますが、基本的に選手みずからが負担せざるを得ない状況にあります。このため、日本代表に選出され十分な支援が受けられるまでの間、オリンピック等の国際大会で表彰台を狙うレベルの若手トップ選手を対象に、遠征費等に対して支援する事業を当初予算案に盛り込んだところであります。
2年後に迫った東京2020オリンピックを見据えながら、この岩手の地から国際舞台で活躍するトップ選手の輩出を目指して、競技団体等と連携しながら積極的に取り組みを進めてまいります。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時33分 散 会

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