平成29年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 3 号)
平成29年10月13日(金)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
政策地域部長 藤 田 康 幸
理事兼科学ILC
推進室長兼国際監 佐々木   淳
副部長兼
政策推進室長 南   敏 幸
副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 鈴 木   敦

政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
評価課長 竹 澤   智
調整監 葛 尾 淳 哉
政策推進室
管理課長 佐々木 ユ カ
市町村課総括課長 臼 井 智 彦
参事兼調査統計課
総括課長 伊 勢   貴
情報政策課
総括課長 菊 池 芳 彦
地域振興監 菅 原 健 司
県北沿岸振興課長 竹 花 光 弘
交通課長 大 坊 哲 央
地域連携推進監 鈴 木 暁 之
ILC推進課長 熊 谷 郁 夫
台風災害復旧復興
推進課長 植 野 歩 未
国際室長 佐々木   隆
国際監 高 橋 雅 彦

復興局長 佐々木   信
副局長 内 宮 明 俊
副局長 千 葉 一 之
復興推進課
総括課長 熊 谷 正 則
まちづくり再生課
総括課長 和 村 一 彦
産業再生課
総括課長 小 原 由 香
生活再建課
総括課長 工 藤 直 樹

警察本部長 友 井 昌 宏
警務部長 高 石 将 也
生活安全部長 羽 澤 武 志
刑事部長 照 井 光 弘
交通部長 佐 藤 力 也
警備部長 中 野 和 朗
警務部参事官兼
首席監察官 勝 又   薫
警務部参事官兼
警務課長 吉 田 良 夫
生活安全部
参事官兼
生活安全企画課長 津 田 勝 則
刑事部参事官兼
刑事企画課長 山 田   剛
交通部参事官兼
交通企画課長 大和田 俊 文
警備部参事官兼
公安課長 新 家 勝 昭
警務部参事兼
会計課長 中 村   茂
総務課長 金田一 正 人
交通規制課長 高 橋 敏 樹

会計管理者 新 屋 浩 二
会計指導監 清 水 雅 典

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也

監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇佐々木朋和委員長 これより本日の会議を開きます。
初めに、放送設備のふぐあいが解消されておりませんので、本日も引き続きポータブルマイクにて対応させていただくことといたします。そこで、委員の皆様には、議会記録作成の都合もありますので、マイクの使用につきまして御協力をお願いいたします。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第35号及び議案第36号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、政策地域部、復興局及び警察本部関係について、延べ22人の質問者を予定しておりますので、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇藤田政策地域部長 お許しいただければ、政策地域部関係の決算の説明に引き続きまして、IGRいわて銀河鉄道株式会社の貨物線の使用料についての資料をお配りさせていただきまして御説明したいと考えておりますので、お取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。〔参照〕
配布資料
〇佐々木朋和委員長 ただいま執行部から資料の配付の申し出がありましたので、これを許します。
最初に、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇藤田政策地域部長 それでは、平成28年度の政策地域部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
資料がなくて恐縮ですけれども、初めに、政策地域部所管の事務事業に係る総括的な評価と今後の取り組み方針について御説明申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みにつきましては、被災地域を運行するバス路線の維持を図るための支援、被災市町村に対する復興に向けた人材確保等の支援を行ってまいりました。
また、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興への取り組みといたしましては、平成28年台風災害復旧・復興推進本部会議の開催を通じまして、各部局の施策の調整、被災市町に対する緊急交付金の交付による支援等を行ってまいりました。
次に、三陸創造プロジェクトといたしましては、ILCの実現に向けた取り組み、それから三陸ジオパークを核とした交流人口の拡大、海洋再生可能エネルギー研究拠点の形成などに取り組んでまいりました。
次に、いわて県民計画に掲げる取り組みについてでございますけれども、まず、希望郷いわての実現に向けまして、社会経済情勢の変化による新たな県政課題等に対応した政策形成のための調査検討のほか、県産品の販路拡大や観光客の誘客拡大など、さまざまな分野における対外的売り込み活動などに取り組んでまいりました。
次に、広域振興圏の振興に向けましては、広域振興局体制のもと、各圏域の特性に応じたさまざまな取り組みを行ってまいりました。
次に、いわてを支える基盤の実現に向けましては、鉄道、バス事業者への経営安定に向けた支援、効率的な地域交通体系の構築に取り組んだほか、携帯電話の利用可能地域の拡大に対する支援、ICT利活用の検討などに取り組んでまいりました。
さらに、政策評価システムの活用による効果的、効率的な施策の推進、統計数値の把握、分析などによりまして政策形成支援機能の充実に努めてまいりました。引き続き、政策評価制度に基づきまして、各施策の成果や課題等の検証を行いまして、その結果を次の施策に適切に反映させていくなど、より効果的な政策の推進に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
なお、本年4月の組織再編に伴いまして、環境生活部から国際交流関係業務が政策地域部に移管されまして、また、文化スポーツ部に文化、スポーツ関係業務がそれぞれ移管されておりますので、ただいまから御説明申し上げますのは、現在、政策地域部が所管しております内容であることを御了承願いたいと思います。
それでは、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。政策地域部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費、2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、3款民生費のうち、2項県民生活費の一部でありますが、これらの支出済総額は93億7、610万円余でございまして、翌年度への繰越額は7、922万円余、不用額は1億9、274万円余となっております。
それでは、決算の内容につきまして、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書によりまして御説明させていただきます。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に御説明させていただきますので、御了承願います。
事項別明細書の164ページと165ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費でございますが、支出済額17億39万円余となっておりますが、これは、財務会計や税業務などのオンラインシステムや通信ネットワーク等、それから庁内の行政情報システムの管理のほか、いわゆるマイナンバー制度の運用に伴うシステム整備に要した経費でございます。
次に、166ページと167ページをお開き願います。2項企画費1目企画総務費でございますが、当部関係の支出済額4億1、124万円余のうち、文化スポーツ部に移管した文化、スポーツ関係業務6、293万円余を除く3億4、830万円余の主なものについて御説明申し上げます。まず、備考欄の政策地域部とある部分の上から二つ目でございますけれども、いわて三陸復興のかけ橋推進事業費につきましては、復興支援ポータルサイト等を活用して、復興支援マッチングや県内外企業とのネットワーク強化、情報発信等に要した経費でございます。三つ飛びまして、高等教育機関連携推進費につきましては、雇用創出、若者定着の促進を図るため、県と地方大学の連携によりまして市町村の地方創生総合戦略の推進を支援するとともに、地元中小企業と岩手県立大学による共同研究に要した経費でございます。その次の拡張国体・大会推進大作戦につきましては、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を契機に、県民参加による全県的な盛り上がりの醸成や地域活性化を図る取り組みに対する支援等に要した経費でございます。次に、168ページと169ページをお開き願います。2目計画調査費のうち、当部関係の支出済額は2、995万円余でございますが、その主なものについて御説明申し上げます。備考欄の政策地域部とある部分の一番下、復興局と書いてあるすぐ上でございますけれども、地域経済分析システム普及促進事業費につきましては、自治体等の取り組みを情報面から支援する地域経済分析システム─リーサスを県内に普及させまして、地方創生の取り組みに地域住民の積極的な参画の推進を図るために要した経費でございます。次に、170ページと171ページをお開き願います。4目科学技術振興費の支出済額1億9、477万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、備考欄の上から三つ目の科学技術普及啓発推進事業費につきましては、将来を担う子供たちが先端科学に触れる機会として、いわてサイエンスシンポジウムの開催等に要した経費でございます。下から三つ目の洋上ウィンドファーム事業化促進事業費につきましては、沿岸北部における洋上風力発電の事業化に向けた研究会の開催や調査等に要した経費でございます。その次のプロジェクト研究調査事業費につきましては、ILCの実現に向けまして、国内外への情報発信や立地条件等に関する調査研究等に要した経費でございます。その次の次世代産業創出事業費につきましては、次世代産業の育成を図るため、大学等に潜在する研究シーズを生かした産学共同研究や、海洋エネルギー産業創出に向けた体制の構築、研究開発費に対し助成したものでございます。
次に、172ページと173ページをお開き願います。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額34億5、007万円余のうち、文化スポーツ部に移管した文化、スポーツ関係業務1、338万円余を除く34億3、668万円余の主なものについて御説明申し上げます。まず、備考欄の下から三つ目の地域経営推進費につきましては、広域振興局におきまして、市町村やNPO、民間との協働のもと、圏域の振興を図るために要した経費でございます。174ページと175ページをお開き願います。備考欄の一番上の携帯電話等エリア整備事業費補助につきましては、携帯電話の利用可能地域の拡大を図るため、市町村が行う整備事業に対して助成したものでございます。その次の県北・沿岸振興費につきましては、県北・沿岸圏域の振興を図るため、地域資源の活用による地域活性化に向けた取り組み等に要した経費でございます。一つ飛びまして、三陸総合振興推進費につきましては、持続可能な地域社会の構築に向けまして、地域資源を生かした観光などの産業振興や三陸ブランドの確立などに係る取り組みに要した経費でございます。その次の三陸ジオパーク推進費につきましては、三陸ジオパークを核とした三陸地域の振興を図るため、観光、教育分野での活用や情報発信等に要した経費でございます。その次のいわてへの定住・交流促進事業費につきましては、被災地の復興や過疎地の活性化を担ういわて復興応援隊の受け入れ等に要した経費でございます。四つほど飛びまして、いわてまるごとプロモーション推進事業費につきましては、県産品の販路拡大や観光客の誘客拡大に向けまして、さまざまな分野における戦略的な対外的売り込み活動に要した経費でございます。次に、2目市町村振興費の支出済額16億233万円余のうち、主なものにつきまして御説明申し上げます。まず、備考欄の下から二つ目の市町村振興宝くじ交付金につきましては、市町村への貸付原資や交付資金とするため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして、市町村振興宝くじ等の販売収益金を交付したものでございます。その次の特定被災地域復興支援緊急交付金につきましては、平成28年台風第10号の影響により甚大な被害を受けた地域における災害からの早期の復旧、復興を支援するため、宮古市、久慈市及び岩泉町に対しまして交付金を交付したものでございます。次に、3目交通対策費の支出済額7億8、304万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、一番下の三陸鉄道運営支援事業費につきましては、関係市町村と連携しまして、駅舎、その他設備の整備、維持等に係る経費について助成したものでございます。176ページと177ページをお開き願います。備考欄の上から二つ目の並行在来線対策事業費につきましては、IGRいわて銀河鉄道株式会社による鉄道事業の経営を支援するため、県と沿線市町が連携しまして、車両更新に要する経費等につきましていわて銀河鉄道経営安定化基金に積み立てしたものでございます。その次のバス運行対策費につきましては、地方バス路線を運行するバス事業者に対しまして、国庫補助制度に基づきまして運行欠損額を助成したものでございます。
次に、5項選挙費でございますが、支出済額7億9、378万円余につきましては、県選挙管理委員会の運営、参議院議員通常選挙及び海区漁業調整委員会委員選挙の管理執行等に要した経費でございます。
次に、182ページと183ページをお開き願います。7項統計調査費でございますが、支出済額3億7、327万円余は、人件費及び一般管理事務並びに県単独で実施した統計調査及び国の委託により実施した統計調査に要した経費でございます。
次に、少し飛びまして、198ページと199ページをお開き願います。3款民生費2項県民生活費の支出済額14億4、074万円余のうち、環境生活部から移管した国際交流関係業務1億1、353万円余の主なものについて御説明申し上げます。1目県民生活総務費でございますが、200ページと201ページをお開き願います。備考欄の一番下のいわて創生人材育成・魅力発信事業費5、427万円余のうち、当部関係の支出済額は1、714万円余でございますが、国際交流人口の拡大と多文化共生のさらなる推進を図るため、高校生の北米派遣や中国雲南省との交流に要した経費でございます。次に、202ページと203ページをお開き願います。4目国際交流推進費の備考欄の三つ目の留学生等人材ネットワーク形成事業費につきましては、本県と海外との人的ネットワークを形成するため、県内大学等で学ぶ外国人留学生に対する支援や海外研修員の受け入れ等に要した経費でございます。
なお、政策地域部の繰越明許費は7、922万円余でございまして、その主なものは、情報化設備整備1、709万円余、プロジェクト研究調査3、141万円余などについて、計画調整に時間を要したことなどから繰り越したものでございます。
決算につきましては以上でございます。
引き続きまして、先ほどお配りさせていただきましたIGR貨物線路使用料についての資料を御説明申し上げたいと思います。こちらの資料につきましては、先般、総務委員会におきまして、IGRの貨物線路使用料の精算額について開示するようにといった要請がございまして、用意させていただいたものでございます。
まず、貨物線路使用料の支払いについての前提となる制度の概要につきまして最初に御説明させていただきたいと思います。
資料の左上の1の貨物線路使用料のところの(1)制度骨格でございますが、この制度につきましては、1でございますけれども、JR貨物が使用する軌道等に関する修繕費、人件費、業務費などの経費をJR貨物とIGRの運行実績に基づく走行車両比率等により案分いたしまして、JR貨物からIGRに支払われるものでございます。次に、2でございますが、JR貨物から支払われる使用料につきましては、国が、貨物調整金制度によりまして、その支払う使用料の一部をJR貨物に対して助成しているものでございます。
次に、(2)の対象経費でございますが、この貨物線路使用料を算定するときに対象とする経費につきましては、(2)の対象経費に掲げているものが算定の対象となっているところでございます。
(3)の算定等でございますけれども、経費を案分するに当たりまして、実績といたしましては、米印のところでございますが、JR貨物負担といたしましては約8割から9割という形になっております。
次に、貨物線路使用料の概算請求から精算までの具体的な手順につきまして、下側のフロー図に基づいて御説明させていただきたいと思います。
まず、左側の平成28年度から平成29年度、平成30年度と時系列に並べておりますが、平成28年度末の平成29年3月31日に平成28年度の1月から3月の分につきましてIGRからJR貨物に対しまして概算請求いたします。それから2の概算請求でございますが、これは平成29年度の4月から6月の分につきまして概算請求するものでございますが、1と2は、実際、今年度の4月10日にJR貨物に対して概算請求をしております。その請求に応じて、JR貨物からは一旦4月10日に支払いがなされているところでございます。
次の第2四半期に行きまして、7月10日でございますけれども、ここでは、平成29年度の7月から9月の分につきましてまず概算請求いたします。それと合わせまして、さきに概算請求した平成28年度分と平成29年度の4月から6月の分につきまして、ここで精算がなされた上で、支払いが7月になされるといった形になっております。
次に、第3四半期でございますけれども、ここでは、10月10日にJR貨物から支払いがなされますが、それは1の概算請求、平成29年度の10月から12月の分について概算請求いたしまして、あわせてさきに概算請求した平成29年度の7月から9月の分を精算いたしまして、それを合わせたものが10月に支払いがなされるといった形になっております。
その後、今度は第4四半期のところでございますが、平成29年度の1月から3月の分を平成29年度末に概算請求いたしまして、あわせて平成30年度の4月から6月の分を年度が越えてから概算請求をして、その二つの概算請求分が4月にJR貨物から支払われるといった手順でございまして、基本的には、概算請求をしたものがその次の支払いのときに精算がなされるといった仕組みになっております。
その上で、右上の貨物線路使用料の推移でございますけれども、平成14年度から平成28年度までの実績を記載させていただいておりますが、営業収入のうち線路使用料収入として幾らといった形でお示しさせていただいているものでございます。
ちなみに、平成22年度から平成23年度にかけまして14億円から約21億円まで線路使用料収入が上がっておりますが、これは、算定の経費の案分の仕方につきまして、JR貨物と調整をして適正な形での算定にしたことによりまして、平成23年度以降、21億円あるいは22億円といった形で収入がふえているところでございます。
ちなみに、この貨物線路使用料につきましては、冒頭、制度骨格で申し上げましたとおり、JR貨物が使用する軌道に関する費用を使用料収入という形で回収するということでございまして、貨物線路使用料のところで利益が上がるような仕組みにはなっていないところでございます。
先般の総務委員会では貨物線路使用料の精算額について開示を求められたものでございますけれども、この精算額につきましては、制度骨格で申し上げましたとおり、国の貨物調整金制度に基づきましてJR貨物が支払っているところでございまして、その開示のためには国土交通省とJR貨物の同意が必要であり、その同意につきまして調整いたしましたけれども、JR貨物からは、全国にある他の並行在来線との間での契約に影響を及ぼすおそれがあるといったことで同意が得られなかったところでございますので、精算額については開示できないところでございます。
説明については以上でございます。
〇佐々木朋和委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことがないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇阿部盛重委員 私からは大きく二つお伺いいたします。
まず、三陸総合振興推進費の三陸防災復興博(仮称)についてお伺いいたします。
復興に向けて、平成31年にはJR山田線の宮古-釜石間が三陸鉄道に移管されまして、その後、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催されると。そのタイミングで三陸防災復興博(仮称)を実施される運びでございますが、現状と今後の課題についてお伺いします。
〇鈴木地域連携推進監 三陸防災復興博(仮称)の現状と課題についてのお尋ねでございます。
まず、三陸防災復興博(仮称)でございますが、平成31年に予定されております三陸鉄道の一貫経営やラグビーワールドカップ2019の開催等を好機と捉えまして、三陸地域の交流人口の拡大と復興の先を見据えた地域振興を目指すものでございます。
これまで、開催の方向性や企画の骨子について三陸地域の13市町村と意見交換しまして、開催の方向性について理解をいただいているところでございます。また、企画の骨子についても、それぞれの市町村の状況や意見も伺いながら、現在、その具体化に向けた検討を進めているところでございます。
この催しは、三陸全体を会場といたしまして、想定する企画も多岐にわたることから、県、市町村、関係団体、企業、そして住民の方々など多くの関係者と連携しながら準備を進め、開催を通じて、三陸地域の魅力向上や地域の活性化など、開催後の地域振興につなげることが重要と考えております。
〇阿部盛重委員 開催の狙いとしまして大規模集客と防災モデルの発信などと伺っておりますけれども、そのほかの大きい狙いというのはありますでしょうか。
〇鈴木地域連携推進監 大規模集客等の取り組みについてのお尋ねでございますけれども、交流人口拡大のため、まず、三陸地域に県内外から多くの方々に足を運んでいただくような取り組みを柱といたしまして、さらに、この催しが終わった後に地域の資源として産業振興や人材育成につながるような取り組みも進めていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 予算から計画まである程度決まっているとの情報も流れているのですけれども、現状の推移と今後のスケジュール等でイメージ図と資料をいただいておりましたけれども、内容に変更はないでしょうか。
〇鈴木地域連携推進監 現在、そして今後の取り組みについてでございますけれども、現在、企画の具体化に向けた検討を進めているところでございますが、今後、市町村を初めとしまして関係機関との連携を進めるとともに、多くの方々にこの取り組みに参画していただくことが重要と考えております。このため、開催に向けた機運醸成と関係機関への周知を目的とした広報活動を今年度から行っていくこととしております。
また、開催の主体となります実行委員会につきましては、市町村や関係機関からの御意見も伺いながら設立に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 実行委員会で計画策定もし、実行の権限もあるということでよろしいのですね。
〇鈴木地域連携推進監 今お話しありましたとおり、開催の主体は実行委員会形式を想定しておりますので、実行委員会で計画等を策定しまして具体的な準備を進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 いずれにしても防災意識と復興に関する関心を高めて地域振興につながっていくものと思っておりますので、計画どおり進行されることをお願いします。
2点目ですが、科学技術プロジェクト研究事業費のILCについてお伺いいたします。
施設建設費など巨額コストの国際分担への課題と対策はどのようになっておりますでしょうか。
〇熊谷ILC推進課長 現在のところ、延長31キロメートルから50キロメートルという加速器を設置しましたトンネルの経費といたしましては1兆1、000億円と言われております。
コストの国際分担への課題についてでございますが、国の有識者会議の体制及びマネジメントの在り方の検証に関する報告書によりますと、現物拠出による設備分担においては、参加国担当分に係る不確実性対応リスクが参加国へ分散する一方で、機器間のインターフェースの管理、各国の多様な工程管理等からスケジュールの遅延やコスト増を招く可能性があるとされておりまして、実際の例として、大型国際共同プロジェクトである日本、EU、米国などによる国際熱核融合実験炉─ITER計画の場合、七つの参加極の国内機関の間で利害が対立するなどにより、スケジュールの遅延によるコストの増加が問題となったことが挙げられております。このため、国際的な研究者組織のプロジェクト実施計画では、資金拠出による予備費や共通基金を想定しながら、ホスト国に権限と負担が過度に集中せず、その他の参加国とのバランスも考慮しまして、ILCの建設と運営については、ホスト国の経費分担を50%程度までとし、残りをその他の参加国で案分するとされております。
最終的には各国政府間の交渉で決定することになるものの、各国政府の合意を得るためには、各国内においてサイエンスカウンシル─日本においては日本学術会議が想定されておりますが─による国としてのプロジェクトの承認や自国政府の資金確保に向けた議論の進展が不可欠とされたところであります。
〇阿部盛重委員 欧州の加速器関係者は、日本での実現に向けた活動準備などの動きを理解していない方が多いと聞きますけれども、海外に向けて幅広い情報発信が必要と言われておりますが、今までの海外向け情報発信の状況とこれからの海外向け情報発信戦略についてお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 海外向けの情報発信についてでございますが、建設候補地として、海外との連携、海外への情報発信は重要と考えており、平成27年度の世界7カ国からCERN、DESY等の九つの研究機関の広報担当者との意見交換を契機に、昨年度には職員がCERN、サクレー研究所、DESYを訪問し意見交換するなど、海外とのネットワークづくりを進めているところでございます。
また、あわせて積極的な情報発信にも着手することとし、リーフレットの英語版、フランス語版に加え、新たに平成27年度から外国人向けの電子版英語広報誌THE KITAKAMI TIMESを定期発行することとし、本年9月で34回の発信を行ったところでございます。これまで、自然豊かな本県を知っていただくこと、地元の熱意を伝えることなどを世界に向けて発信しております。アクセス数につきましては、岩手県国際リニアコライダー推進協議会のホームページの英語版ILCホームページの全体のデータとしてでございますが、平成28年の年間で2万2、000件を超えるアクセス数となっております。
加えて、さまざまな機会を捉えて海外へ情報発信することとしておりまして、昨年10月、フランスのストラスブールで開催された世界最大の国際会議と言われておりますIEEE─電気電子国際学会での東北、岩手の取り組み紹介や、昨年12月に盛岡で開催されましたリニアコライダーワークショップ2016での岩手県の紹介展示や企業セッション、海外研究者と中高生との意見交換など取り組みを進めているところでございます。今後も、積極的に海外に向けて地域情報を発信してまいります。
〇阿部盛重委員 建設期間が10年で、大体7年目で7、700人、建設後の運用10年目で外国人3、140人を含む6、300人と推計されているようでございますが、住宅及び教育施設及び医療関係等の生活環境はどのようなお考えで整備されているのかお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 住宅、教育施設、医療など生活環境整備への対応についてでございますが、ILCでは多くの外国人が居住すると想定されておりますことから、県としても研究者の受け入れ環境の整備について対応策を検討しております。
検討状況といたしましては、平成28年度は部局横断の副部長級の研究会を5回開催しまして、政府の誘致表明までに取り組むべき内容、及び運用を見据えた今後の県の施策の方向性などを検討したところでございます。今年度からは、個別分野の課題解決に向けた調査検討を行うため、研究会の下に六つの分科会を置きまして具体の対策を検討しているところでございます。
例えば、居住につきましては、IoTを活用した多言語対応による生活支援のワンストップサービスや地域の保育施設への受け入れのあり方、医療分野におきましては、施設内のサインや、病院だけでなく薬局での多言語対応、教育分野では、人数に応じた既存学校での受け入れのあり方やインターナショナルスクールの可能性など検討を進めておりまして、年度内に一定の取りまとめを行うこととしております。
〇佐々木朋和委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇阿部盛重委員 ぜひよろしくお願いいたします。いずれ、世界各国から人材、技術が集積された国際科学技術研究拠点ということで全世界から注目を浴びておりますので、よろしくお願いいたします。
〇高橋孝眞委員 一般質問で県の出資法人へのかかわり方について質問いたしましたけれども、その際は、県として運営評価レポートで情報公開をしております。これも情報公開条例に従って公表しているということでありました。県が出資する法人が関連する事業を運営している場合、関連事業別収支の提供と公開を当然私は求めるべきと思うわけであります。政策地域部が所管する法人につきましては公開する法人と公開しない法人があるわけですけれども、私は、所管する部署として、当然、同様に扱うべきであると思いますし、管理も同様に行うべきであると思うわけでありますが、この点どのように考えるのか最初にお聞きします。
〇大坊交通課長 ただいま、関連事業別収支の情報開示のお尋ねがございました。さきの一般質問で、私ども所管のIGRいわて銀河鉄道あるいは三陸鉄道につきましての部門別収支の公開のお話をいただいたところでございます。
IGRにおきましては、現在、部門別収支の公表はいたしておりません。一方で、三陸鉄道は部門別収支を公開しているというお話をいただいております。私どもといたしましては、基本的に企業情報の取り扱いにつきましては各事業者の判断に委ねられるものと考えておりまして、ただいま申しましたIGRあるいは三陸鉄道におきましては、それぞれの事業環境などを総合的に勘案いたしまして対応していると考えております。
〇高橋孝眞委員 行政改革推進法や第三セクターの経営健全化に関する指針におきましては、みずから積極的にわかりやすく情報公開をすることとなっているわけでありまして、それをなぜ県としてIGRに求めないのかお願いいたします。
〇大坊交通課長 ただいま、さまざまな指針に基づいての情報公開のお話がございました。私ども、このIGRの情報公開につきましては、議会からたび重なる御要請を受けまして、IGRには積極的な情報公開に取り組んでほしいということは要請しております。
一方で、IGRは会社法に基づく民間会社でございますので、やはりそこにある営業の自由や競争上の立場にも十分配慮しなければならないと考えておりまして、引き続き、そういう部門別収支に関しましての情報公開を一層促していくように要請してまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 求めているということですけれども、そうすると、県から見ますと求めているけれども出してこないのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
〇大坊交通課長 ただいまお話し申し上げましたとおり、私ども、一定の要請はIGRに差し上げているところです。繰り返しになりますが、IGRも一方では会社法人という独立した法人格を持った営業法人でございますので、その中で、企業情報、出せるもの、出せないもの、これは主体的に判断しているところでございまして、その流れの中で関連事業別収支の取り扱いを判断しているものと考えております。
〇高橋孝眞委員 そうすると、IGRは全然県の言うことを聞きませんよと、こういうことになるわけですね。
IGRは、県の出資割合が54.1%です。過半数を持っているということは、指導を聞かない社長ないしはそういう役員は解任してよろしいわけですよね。そうやって当たり前な運営をしていくこと。何も行政法上の関係で情報公開条例についてまでしかやりませんよというのではなく、会社法による法人でありますので、50%以上を握っているということから、当然私は、今、話をしたとおり社長の解任を求めたらいいのではないかと思いますが、この点についてはどのように考えますか。
〇大坊交通課長 私どもの出資法人としての立場、責任というお尋ねと思いますが、確かに過半の出資をしているということは一定の重みがございまして、この並行在来線を将来にわたってしっかり維持していくのか県の責務であろうと思っております。
一方、IGRにつきましては、まず、安全な運行、無事故でございますし、ことしで利用者500万人超えを4期連続達成しているということで、おおむね堅調な鉄道運営をしているところでございます。
ただいま経営陣の責任というようなお話がございまして、昨年、残念なことに着服不正事案や会計の不適切な処理といったものが起きましたが、そこにつきましては社内でしっかりと今、改善策に取り組んでいるところでございまして、現経営陣にはその取り組みをしっかりと行ってもらいたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 いや、そういう話では全然ありません。54.1%持っている、過半を持っているわけですから、人事権を持っていますよということを言っているのです。話を聞かない人間については解任したらいいだけですよ、当然解任できるわけですから。そして進めるべきだ、私はそういうふうに思うわけであります。
50%以上を握っているということは、内容的にきちんと整理して、黒字であるか赤字であるかを考えればいいわけであります。当然、公表していただいて、我々もどういう内容であるかを十分精査する義務、権利があると思っているのです。50%未満とは全然違うのだということです。最終責任は私ども県にあるのだと思います。そういう意味合いでは、三陸鉄道とは違うのです。三陸鉄道は十分に関連事業別の収支を公表しております。そういうふうにきっちりと私は県が管理していかなければいけないのではないかと思います。
何も関連事業が赤字だから悪いとか、そういうことではないと思うのです。関連事業をすることによって本体事業が黒字になる、利益貢献されるのであれば何もそう気にする必要はない。それをあえて隠しているというのは、何か問題があるから隠しているのではないかと思ってしまうわけです。そこを考えて、きっちりとこの収支の公表を求めていく、当然させていく。取締役である部長はどのようにこの点について考えますか。
〇藤田政策地域部長 少し整理して答えさせていただきたいと思いますが、IGRに対しましては御指摘のとおり県が過半の出資をしておりまして、沿線市町からも多くの出資をいただいております。また、県民の足を守る鉄道事業を担っていることから、公益性、公共性は一定程度持っている。そういったところに着目いたしまして、まず、制度といたしまして、地方自治法に基づく県議会への経営状況の報告、それから、県で定めている要綱に基づきまして、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表につきまして事業情報を公表しているところでございます。さらに、IGRは株式会社形態でございますので、会社法に基づいて決算書類や会計監査人の監査報告書なども公表しているところでございます。
こうした制度に基づいた情報開示を義務づけている一方で、IGRはやはり営利法人である会社法人でございますので、その営業の自由、あるいは事業運営の主体性、さらに事業運営上の競争上の地位や正当な権利、利益などを有しているわけでございまして、そういったところについてもやはり尊重する必要があると考えております。法令等に基づく一定の情報開示を超える部分につきましては、やはり営業の自由の一環といたしまして、競争上の地位といったものを尊重する必要があると考えているところでございます。
〇高橋孝眞委員 公表させる気があるのかないのかということです。当然公表させるべきだと思いますし、なぜそういうふうに隠すのかがわからない。監査法人が十分監査しているわけですから、公表しようがしまいがいいのではないですか、その中身的には。県が一緒になって隠しているという話になってしまいますよね。
もう一つあえて聞きますけれども、54.1%─過半数をなぜ県が握ったかということだと思うのです。私は、この鉄道事業をやる場合、かなり厳しい内容であると。事業そのものを存続させることはそのとおりですけれども、公共性がある、十分県としてかかわっていかなければいけない、そういう思いで50%以上の株式を持った、私はこのように思うわけです。そうであれば県議会に十分公表する、県民にも十分知らせていく、これは当たり前のことではないですか。部長、もう一度お願いします。
〇藤田政策地域部長 IGRに対して県が過半の出資をしているところに着目いたしますと、県が出資しているものは財源としては税金でございまして、その税金を毀損しないために、IGRの経営については全体としてうまくいっているのかどうかをチェックしていかなければならないと考えております。そしてまた、そういったことにつきましては取締役会の中でも議論がなされているところでございますけれども、その一方で、情報について対外的に公表するかどうかは、先ほど申し上げた制度と、それから一方で会社法人という法人形態の特性に鑑みて判断していくべきものだろうと考えております。
IGRの行っている関連事業につきましては旅行業といった形態がございますけれども、この辺の分野というのは他社との競争もございますので、そういった競争上の地位をやはり法人の判断として尊重していくことも必要だろうと思っております。その結果として三陸鉄道との間で情報開示の程度の違いが出てきているというのは、営業の自由、競争上の地位に着目したところで、法人自身の判断で結果として違いが出てきていると考えております。
〇高橋孝眞委員 話し方とすればそういうふうに回答するのでしょうけれども、実際には県が50%以上を握っている会社です。行政法上どうのこうのと、それはそのとおりです。ただし、会社法上、私ども県民が株主であるということです。株主である県民が、そういう社長の考え方だったら首にしてください、かえましょうと解任請求したらいいのですよ。特別大きな問題ではないんですよ。それを実行したらいいのではないですかと言っているだけです。そうでなければきっちりと公開したらいいのではないですかとだけ言っているのです。県がどの程度IGRを管理しているのかというのは全然わからないのです。どこまで経営の内容を知っているのかと思うわけです。
もう一つ通告しましたけれども、損益計算書の中に法人税、住民税の関係がありますけれども、当期利益、税引き前利益224万3、000円となっているわけです。実効税率につきましては35%で78万円。外形標準課税の関係があるので多くなって1、283万円ということになっていますけれども、では、これは法人税、住民税、事業税、それぞれどの程度の金額になっているのかということであります。逆に言うと、交際費を過剰に使って、そして損金算入で課税になっているのではないかと我々は思うわけです。それを全部隠しているのではないかと、さっきから言っているのはそういう思いなんですよ。そういう思いできっちりと管理しているのかどうか。そこを管理しているとすれば、何も全部公表したって問題ないでしょうと言っているところであります。
それともう一つは、税効果会計の関係から法人税等調整額があります。これがどういう理由でこのような金額を計上したのか、その点についてお願いいたします。
〇大坊交通課長 ただいま2点お尋ねがございました。損益計算書上の法人税、住民税、事業税の内訳、金額をお示し願いたいというお話でございました。
平成28年度決算における損益計算書によりますと、法人税、住民税、事業税といたしまして1、283万3、000円が計上されているところでございます。
これにつきましては、法人の活動から生じる所得に対しまして20%程度の税率が乗せられる法人税、法人税額を課税標準といたしまして、おおむね15%程度の税率が課せられる市町村民税と都道府県民税の合算額、資本金及び法人の活動から生じる所得等に対し、おおむね0.3から1.2%程度の税率が課せられる事業税、これらが計上されるものでございます。
お尋ねのありました金額ですが、実は、IGRに金額の公表の要請はいたしました。IGRからは、現に今は公表していない税金の額であるというのが一つ、もう一つは、開示するに当たっても、やはり会計事務所に確認をとらなければならないというようなお話をいただいておりまして、今、私どもの手元でお示しできる数字は持っておりません。
もう一つ、法人税等調整額の計上の内訳についてでございます。
こちらにつきましては、平成28年度決算における損益計算書によりますと、法人税等調整額といたしまして917万3、000円が計上されております。
これにつきましては、平成27年度の繰延税金資産2、440万1、000円余と平成28年度の繰延税金資産1、522万8、000円余の差額を計上しているとIGRから報告を受けております。
〇高橋孝眞委員 そういう内容ですと、決算の内容は一切チェックしておりませんよと私には聞こえますけれども、そういう解釈でよろしいのですか。
〇大坊交通課長 私ども、当然決算の内容、事業報告書等に目通しをしているところでございます。
一方、こういった財務諸表の詳細につきましては、基本的には会計監査法人が期中及び期末にしっかりと監査を行っている、あるいは会計事務所がしっかりと監査を行っているといったところでございまして、そういったIGR社内の統制、まず、こちらの動きを総体的にしっかりと捉えるというところで対応させていただいております。
先ほど部長からも申し上げましたが、やはり県としては、並行在来線を維持するという観点から、会社の経営方針でありますとか戦略あるいは重要な事業、契約、財産処分、社内統制といった根幹的な部分をしっかりと捉えて全体的な経営を行うのが役割だと思っておりまして、そういった中で財務諸表の取り扱いも対応させていただいております。
〇高橋孝眞委員 並行在来線を維持をするということについて誰も悪いと言っているわけではなくて、そのとおりやっていかなければいけませんよ。だからこそ公表してきちんとやるべきです。そのために54.1%の株式を県としてあえて持ったのでしょうということを言っているんですよ。そうでなければ少なくてよかったんですよ。あえて持っているのは、きっちりと管理していかなければいけないし、きっちりと運営していかなければいけない、将来きっちり維持していかなければいけない、そういうことですよ。そのためにやっているんですよ。
今みたいな回答をするのであれば担当者は要りませんからね。ただ単に報告書をもらえばいいだけですよ。一切管理しないなんていうのは全くばかげていると思うのです。まあ、管理しているんでしょうけれども、話ができないということなのだろうけれども。
いずれにしろ、最終的には、これは法人税も住民税も公表できないなどというのは、おかしい話ですよ。ここには、やっぱり我々が思うのは、交際費を勝手に使って、多く使っていないと否認をしている。それによって交際費の関係から税金部分が多くなってしまって、最終的に税金が多いですよね。だから、今度は調整額から崩してこなければいけませんでしたよね。こういうやり方になるのではないですか。
このように思わせていることに、この内容から見ると、私から見ると思うのですけれども、部長どうでしょうか。
〇藤田政策地域部長 県としてのIGRに対するチェックということでございますけれども、こちらは、既にIGRでも公表している損益計算書の中でも、法人税、住民税、事業税といった、まとめた形ではありますが、税負担として1、300万円近くといった形で公表はしているところでございます。
そして、今回IGRでは、各税目の金額については公表できないといったことでございまして、これは、やはり税目ごとの金額を出すと、そこから営業の詳細の中身が推測されるだろうということだと考えておりまして、先ほど申し上げました営業の自由といったところで、そのあたりを尊重する必要があるのだろうと考えております。
また、県としてのチェックということで、これは、まず、公表している財務諸表の中でも営業収益あるいは営業外収益、そしてトータルとしての損益といったものもわかるところでございまして、そういったところで、やっぱり経年経過の中で特徴的なところ、問題点がありそうなところについては、取締役会の中でも議論しているといったことでございます。また、先般ありました取締役会の中でも、特に次期中期経営計画を策定する中で、細かい実績とかといった資料もしっかり提示をして取締役会の中で議論していきましょうといったお話もございまして、そういった中できちんとチェックしていくといったことで考えております。
〇高橋孝眞委員 それでは、部長に聞きますけれども、なぜ50%を超える株式を持ったのか教えていただきたいと思います。
〇藤田政策地域部長 やっぱりIGRというのは長い距離で沿線を持っているといったことで、広域的な県民の足を守る鉄道ということで、広域的な自治体である県がしっかり維持していく必要があるだろうということで、過半の出資をしていると承知しております。
〇高橋孝眞委員 それでは、三陸鉄道は48%ですが、今の回答からしますと、三陸鉄道についても50%を超える出資をするべきだったと思うのですけれども、それはどういう違いがあるのですか。部長に聞きます。
〇藤田政策地域部長 先ほどのIGRの出資につきましては、基本的な考え方として先ほどお答えさせていただきましたけれども、出資者というのは、IGRも三陸鉄道につきましても、さまざま、多数おりまして、特にも沿線市町村との間での調整とかといった経緯の中で決まってきていると承知しております。
〇高橋孝眞委員 考え方とすれば同じようにするべきですよね。同じように、同じ鉄道事業を持っているわけですし、沿線の関係から見ましたら、同じような内容で市町村に出資を求めていくべきであり、50%を超える、超えないというのは、同じような出資割合にして管理すべきことだと思うのです。
今の50%を持った、持たないを考えるときに、私は、やっぱりIGRだけは、厳しい内容であるからきっちり管理しなければいけないということだったと思うので、事業別収支は、どこに公表しようが、実際は県がやっているわけですから何も恐れることはないのです。競争相手がいるのだったら、どうぞ出てきてやっていただきたいと言うぐらいのことでいいんですよ。何も問題ないのです。そのことによって県民が利益を得るようになったら、IGRが関連事業から撤退したっていいわけですし。県が利益を出さなければいけないわけではないんですよ。地域の方々が利益を出せるような仕組みになったら撤退すればいいんですよ。そのほうが県内経済にもっと効果があるのです。そのように考えます。
これは、隠していること自体に私は問題があると思っているんですよ。これを隠さないで公表させる、そういうことが私は部長の責任ではないかと思っているのです。(「知事じゃないの」と呼ぶ者あり)知事の責任……。そう思います。
もう一つ聞きますけれども、貸倒引当金が643万円計上されております。これは、不正事案によって回収できなかった未収金だと思うのですけれども、その回収は、多分自信があって前にいろいろ、問題がないですよねということで本人に対して刑事告訴をしなかったのだという認識をしておりましたが、計上して、貸し倒れ、計上はしているのだから、即、貸し倒れにしたというのは、監査人がそうしなさいということでしょうが、延滞か何か発生しているということからでしょうか。毎月5万円ずつ回収すると聞いていましたけれども、延滞がもう発生したので貸倒引当金に全額計上したということになるのでしょうか。
〇佐々木朋和委員長 高橋孝眞委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力願います。
〇大坊交通課長 ただいま、平成28年度のバランスシート上の貸倒引当金のお話がございました。お話のとおり、これは、残念なことに、昨年起きました銀河鉄道関係の着服不正事案の回収額に対する引当金でございます。
今、委員の御指摘がありましたが、延滞しているかどうかにつきましては、これまでのところ延滞という事実はございません。ただ、毎月5万円という形になりまして、640万円余の長期未収金になりますので、これに対しまして、貸倒引当金を積むようにという会計上の指導があったと聞いております。
〇高橋孝眞委員 最後にしますが、不正事案がありまして、再発防止策を当面県に報告することになっております。この再発防止策の報告の実施状況はどうなっているかと、部長に、今まで議論しましたけれども、事業別収支の公表はこれでもIGRに求めないのかどうか最後に聞いて、終わります。
〇大坊交通課長 ただいま不正事案に関します再発防止策の報告につきましてお尋ねがございました。こちらにつきましては、私ども、不正事案が起きてから、5月29日に、文書にてIGRに定期的な報告及び私どもがIGR本社に行って現地調査をすることにつきましての協力を要請しております。
直近では、8月31日付でIGRから文書にて報告がございまして、それを受けまして、私どもは9月8日にIGR本社にて帳票の確認及びヒアリング、社内の様子を見るといったような現地調査をしております。
内容につきましては、今回の不正事案から、IGRの社内の牽制機能が非常に不足している、チェック機能が不足しているということで、5月1日には、銀河鉄道観光の一部の権限を総務部に移して、新しく専任の者をつけております。7月1日には予算経理課という新しい組織に移っております。そちらの確認をしっかりしてまいりました。また、そこの担当者からもヒアリングを行っておりまして、今のところは問題がないと承知しております。
〇藤田政策地域部長 関連事業についての情報開示でございますけれども、まずは、法令、制度にのっとった情報開示は当然しっかりやってもらうことと、その一方で、株式会社形態という法人の特性に応じた営業の自由ということで、特にIGRの関連事業につきましては、他社との競合性はあるのだろうと思います。また、始めて年数がそれほどたっていないということで、これから軌道に乗せていく時期でもあると思いますので、そういった状況を踏まえながら対応していきたいと思っております。
一方で、経営のチェックにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、取締役会の中で、特に次期中期経営計画を策定していくといった課題がございますので、そういった策定の中でしっかりチェックをしていくといったことに努めてまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 私からは1点、県の定住・交流促進事業についてお伺いしたいと思います。
今、全国全ての都道府県で転入者をふやしていこう、移住の促進を強化していこうという取り組みが行われているわけでありまして、岩手県においても、社会減ゼロということを目指してさまざまな取り組みが行われていることは、私も承知しています。
定住・交流促進コーディネーターの配置、それから、首都圏におけるさまざまなフェア、懇談会も行っているようですし、ふるさと回帰支援センターには移住コンシェルジュを置いて、さらに、去年7月にはキャリアカウンセラーの方も常駐させて、いろいろ相談に乗っているということであります。
県もそれなりに頑張っていると私も承知、理解しているわけでありますけれども、実際に平成28年度のU・Iターンはどの程度あったのか、移住者がどの程度あったのか、まず最初にお伺いしたいと思います。
〇菅原地域振興監 U・Iターンの実績についてでございますけれども、平成28年度の移住者数は1、333人となっております。この数値でございますけれども、移住者の捉え方につきましては全国的に定まったものがございませんで、県独自の捉え方ということになりますが、ハローワークを通じて県外から就職された方、市町村の窓口等を通じて移住された方などを積み上げたものを移住者数としているところでございます。
〇佐々木努委員 通告していませんけれども、この1、333名という数字でありますが、ちなみに平成27年は1、387人と伺っていますが、若干減っている。さまざまな取り組みが行われているわけでありますけれども、減った要因、あるいはこの減少についてどのように県では捉えているのか教えていただきたいのですが。
〇菅原地域振興監 内訳を見ますと、主に就職関連の部分が昨年度に比べて落ちているということ。その一方で、市町村等の取り組みに関しましては、年々、各市町村も地方版総合戦略の取り組みの重要な課題として定住交流の取り組みを位置づけておりまして、市町村の取り組みについても伸びているところがございます。
就職につきましては、さまざまな首都圏と地方との状況というところがありますけれども、やはり商工労働観光部等とも連携をしながら、地方で働くことの魅力といったところを発信しながら、U・Iターンの促進につなげていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 ちなみに、この1、333名の例えば男女比とか、どこから、どういう圏域から来られたのか、それから、何を目的にといいますか、その転入の理由、移住の理由、そういうものについて県では把握されているのか伺います。
〇菅原地域振興監 移住者の属性ということでございますけれども、先ほど申し上げました移住者1、333人という数値につきましては、男女別や年代、出身地などのデータがございませんので、属性については把握できない状況となっております。
そのため、県では、移住者へのインタビューの実施でありますとか、あるいは首都圏の相談窓口でございますいわて暮らしサポートセンターにかなりの数の相談者がいらっしゃいますので、その方の傾向などを踏まえながら、移住の動向の把握に努めているところでございます。
いわて暮らしサポートセンターへの相談者の状況で申し上げますと、40代までの若者、子育て世代の利用が7割ということになっており、相談内容は、仕事が52%、住居が10%となっております。このような状況を市町村や関係団体と共有しながら、移住、定住の取り組みを推進しているところでございます。
また、何を求めて来ているかということでございますが、一般的にUターンの方については、やはり重要なポイントは仕事ということになります。Iターンの方については、やはりニーズが多様でございまして、例えば田舎暮らしをしたいでありますとか、復興支援のために岩手に来るとか、あとは、退職して岩手に戻ってくるとか─これはUターンになりますけれども、さまざまなニーズがございまして、きめ細かな対応をしていくことが重要であると考えているところでございます。
〇佐々木努委員 属性をしっかりデータとして把握して対策につなげていくのが、私は非常に大事だと思います。どういう方が、どこに、どこからやってきて、どういう暮らしをされているのか、移住を希望する人が何を求めて来ているのかを把握しないで、次の一手は打てないと思うわけであります。
さっき全国でどの都道府県も頑張っていると言いましたが、島根県などでは、これはちょっと島根県に失礼かもしれませんが、私としては、そんなに魅力のある観光地があるわけでもなく、岩手県とそんなに変わらない条件であるにもかかわらず、平成28年度のU・Iターン者は4、000人を超えていると。岩手県が1、333人ですか。この違いは、県全体としての取り組み、中でも、島根県では、各市町村に、転入時に、どこから、どういう目的を持って、何年この島根県に暮らすおつもりですかという調査をしっかりやって、それを県がデータとしてまとめて、全市町村で共有して移住者の支援につなげている、そういう取り組みを行っていると。
やっぱり実績を上げている都道府県は、そういう他県にはない取り組みを県が中心になって、先頭に立ってやっているということがあるのだなと改めて思いました。
私も直接島根県に行って聞いてみたわけではなくて、いろいろな本とかで調べた限りで、ほかにもっとさまざまな取り組みをもしかしたらしているのだと思いますけれども、そういうものを県としても参考にしながら、なぜ他県で転入者が伸びているのかを勉強して、これからの政策につなげていただきたいと思うわけです。
県で、島根県と同じように、市町村の協力を得て、そういうデータをまずは集める取り組みをされるおつもりはないか、お伺いしたいと思います。
〇菅原地域振興監 島根県の先行的な取り組みを参考にというお話でございましたけれども、移住、定住の推進に当たりまして、移住者の動向を把握していくことは重要だと考えております。
島根県では、各市町村窓口での転入届の提出時にあわせまして移住者の調査を行っているということでございますが、その取り組みについては承知しておりまして、市町村にも投げかけをしているところではございますけれども、その一方で、市町村の住民担当課の負担増となる面もございますので、まずは、市町村の御理解を得ていくことが必要だと考えております。
これにかわるものということで、先ほど申し上げました移住者へのインタビューでありますとか、移住相談者の状況の分析もしておりますけれども、今後におきましても、市町村との意見交換を深めながら、どうやったら移住者の動向等が深掘りできるのかということも、市町村とともに考えていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 前にもちょっとお話ししたかもしれませんけれども、私も役所勤務の時代に移住、交流の担当をしたことがありまして、10年以上前ですが、そのときは、岩手県は移住先、移住希望のトップのほうにいたということで、当時、本当に県の方々が一生懸命頑張って、何としても岩手に来てほしいという取り組みを、全国でも本当に3本の指に入るぐらい一生懸命取り組んでいました。
今、取り組んでいないとは言っていません。言っていませんが、他県のほうがもっと頑張っている状況でありますから、何とか岩手県も、他県に負けないような魅力のあるところだと私は思っていますし、来ていただければ、いろいろな情報発信をして、いろいろな支援策を講じれば、この移住の希望先として選んでいただける、そういう環境をつくれると思っています。
市町村にただ投げかけるだけではなく、市町村だって必死ですから。どこの市町村もみんな人口減少にあえいでいて、どうやって移住者をふやしていくか、みんな頭を悩ませているわけです。住民課の職員が、そんなの面倒くさいなんて、そういう問題ではなくて、もう自治体として生き残れるかどうかという状況だということを改めて市町村と話をして、さまざまな部署がかかわることですけれども、そこは移住、交流担当の部署で積極的に進めてほしいと思います。部長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇藤田政策地域部長 この移住、定住の問題につきましては、人口減少問題の対応の一つとして非常に大きな柱だと思っております。そういったことから、委員御指摘がございました島根県とか長野県といった移住、定住の分野でのトップランナー的なところの取り組みを、これから私どもとしてもしっかり勉強していきたいと考えております。
また、岩手県は、東日本大震災津波の被害を受けて、まだその復興途上という中で、限られたマンパワーではありますけれども、そういった中で、移住者あるいは移住を希望してくる方の訴求ポイントがどこなのかといったところを、不断に考えながら取り組んでいきたいと考えております。
〇田村勝則委員 私からは2点ほど質問したいと思います。
先ほど高橋孝眞委員からの質問もございました第三セクターのIGRいわて銀河鉄道についてでありますが、県出資等法人運営評価レポートの最後のページにございますけれども、現在のIGRの体制、社員の人数、そして新年度になってから採用された人数はどのぐらいなのか、まずお伺いしたいと思います。
〇大坊交通課長 ただいまIGRの人員のお尋ねがございました。平成28年度につきましては、県出資等法人運営評価レポートによりますと、平成28年7月1日現在、常勤職員数は225名となっております。
なお、平成29年度の採用人数は10名となっております。
〇田村勝則委員 三陸鉄道に比べて人数も多いわけですけれども、その中に県からの派遣もおられるわけですが、この派遣の根拠はどのようなことでありましたでしょうか、改めて確認いたします。
〇大坊交通課長 県派遣職員のお話でございます。現在、IGRには県派遣職員はおりません。県出資等法人運営評価レポートにはOBと書いておりまして、県退職者が、ただいま総務部長として就任しております。
〇田村勝則委員 わかりました。では、その点は了解いたしました。
実は、この事案を私が取り上げたのは、やはりIGRは県民の足として、県民にとりましては非常に重要な機関ではなかろうかと考えております。大いに黒字化を目指して、そしてまた、県民の足として信頼される交通機関の役割をしっかりと果たしていただきたいという思いから質問するわけです。
この事案が取り上げられるようになったのは、やはり社員の売上金着服問題、そしてまた、一転して黒字が赤字決算になったということが、県民の信頼を大きく損なうもとになったということでありました。
そこで、その事案を踏まえて、新聞報道によれば、知事は再発防止策、そして県民の信頼の回復というようなことを要請されました。これに対してIGR社長は、責任をとる形の減額ではないが、7、8月の2カ月間、月額の10%程度を自主返納した。その自主返納の意味は、改善等を含めて不退転の決意で取り組む姿勢を示すためと新聞でコメントされました。
しかしながら、私は一連の社長のコメントを見ても、本当に不退転の決意で会社の、知事の望む再発防止、県民の信頼回復に向けて取り組んでいるようには思えません。なぜかといいますと、ある機会に祝賀会あるいは宴会で、私はこの間に社長と2回お会いしておりますが、やはりトップというのは、先憂後楽といいますか、しっかりとリーダーシップを、これだけの大勢の社員を抱えているトップとして、責任を持って日常その姿勢を見せていかなければいけないのではないかと思います。
ちなみに、不退転という言葉は仏教用語でありますけれども、自分の志を遂げるために頑張るということの意味もあるわけです。そのような志をしっかりと持っているのであれば、自分の日常についても、しっかりと社員の手本になるような行動をしていかなければいけないのではないかと思います。
みずからが先に立って改善を図っていくべきであろうと私は思うのですが、残念ながら、一連の流れを見れば、専務取締役がトップとなるいわゆる改善チームをつくって今は対応しているということであります。その対応について、現在のところ、どのような会議が開かれ、そしてまた、県には8月31日ですか報告があったということですけれども、その中身について、改めて取り組み状況についてお伺いしておきたいと思います。
〇佐々木朋和委員長 田村委員に申し上げます。進行に御協力願うため、質疑は簡潔にお願いいたします。
〇大坊交通課長 ただいまIGRの社内に設置いたしました業務改善プロジェクトチームについてのお話でございます。このチームは、ただいま御指摘ありましたとおり、着服不正事案でありますとか不適切な会計事務処理といった問題の発生を受けまして、本年6月1日に設置しておりまして、専務取締役をチームリーダーにいたしまして、本社あるいは現業の部門中堅社員10名で構成しております。
主な内容といたしましては、不正事案をとらまえまして緊急総点検を社内で行いましたが、これを踏まえた具体的な業務改善をしっかり進めるという部分、もう一つは、最も根幹でありますサービスの向上でありますとか業務の適正化、合理化、効率化といった業務改善を図っていくことを目的に、9月末までに6回開催されていると報告を受けております。
検討状況につきましては、全社を対象といたしまして、不正事案に限らず、全ての業務改善点を抽出して、整理しております。その中で、短期に取り組みが必要なもの、あるいは中長期的な課題により分けまして、今はこの短期的な課題の解決に向けて検討を進めていると聞いております。
10月中には対応方針が中間報告となってまとまる予定としておりますが、柱といたしましては、信頼の回復、業務の効率化、情報共有の推進、一体感の醸成に向けての具体的な取り組みといったものを報告する予定と聞いております。
〔「社長にも業務改善チームできちんとやれよ」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則委員 私が言おうと思ったことを先に言わないでください。
業務改善というのは、いわゆる専務取締役がトップでありますから、では、その上にいる社長に対しては、どのような対応がなされているのかということをまずお伺いします。
〇大坊交通課長 このチームにつきましては専務取締役がトップではございますが、当然経営の最高責任者であります社長とは、この中身につきまして、あるいはプロジェクトの進捗につきましては、相互に情報共有を図っていると聞いております。
社長からも、社内の状況を見まして、その改善にめり張りをつけるというか、これは非常に重要だというようなサジェスチョンあるいは指示があると聞いております。
〇田村勝則委員 私の尊敬する方が出した本がございます。その中には……(「長いのではないか」と呼ぶ者あり)いや、短く言いますから。現場に足を運ぶ、そして、数字に目を通す、決断をする、この三つがトップとして大事だということを書いてあります。そういう意味からも、現状を見るとIGRの社長は少しその点が欠けているのではないかと私自身は考えます。
知事は、先ほどから議論されているように、法人に県施策推進上の役割を十分に果たしてもらうという意味合いから指導もできるわけですから、その辺しっかりと対応していただきたいと思いますが、1点目については以上で終わりますけれども、御答弁をお願いします。
〇大坊交通課長 ただいまは業務改善における社長の役割と申しますかリーダーシップというような御指摘かと考えております。
社長につきましては、こういう案件が起きて以降、記者会見の場などでも、社の業務に関しての最終責任は自分にあると表明しております。
こういった決意のもとで業務改善に組織的、継続的に取り組むという話を聞いておりますので、まずは、そういった再発防止あるいは信頼回復、さらなるIGRの業務の発展といったものに万全を期してもらいたいと考えております。
〇田村勝則委員 続いて2点目に入ります。県の情報セキュリティー対策についてお伺いします。
歳入歳出決算事項別明細書の164から165ページに情報システム管理費が掲載されておりますが、本年5月、世界的に流行したファイル復旧に対する身代金として大金を要求するランサムウエアによるサイバー攻撃が大流行いたしました。同じ時期に、本県に対して大量の不審メールが送信されたとの報道もございました。
県のシステム等への影響あるいは被害等についてはどのような状況であったのかお伺いいたします。また、平成28年度中に受けたサイバー攻撃等があれば、あわせてお伺いしたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 サイバー攻撃等の状況についてでありますが、まず、本年5月の県に対する大量の不審メールについてでございますが、当時、世界的に流行していたランサムウエアとは異なるものであったことは確認しております。
この大規模な標的型メール攻撃では、約2、000件の不審メールが職員宛てに送信されまして、複数の職員がそのメールに添付されたファイルを開いたことに伴って、不審サイトへの通信という試みが認められましたが、セキュリティー監視装置によりましてその通信は遮断され、ウイルス感染や情報漏えい等の被害には至っておりません。
さらに、平成28年度の状況についてでございますが、いわゆる情報セキュリティー事項関連といたしまして10件の事案を確認しておりまして、その内容につきましては、ウイルス感染には至らないまでも、不審メールの添付ファイルを開いたことによる、いわゆるヒヤリ・ハット事案が7件、実際に軽度の感染が確認された事案が2件などとなっておりますが、直ちにネットワークから切り離した上で必要な対応を行うなど、こちらも情報システムへの影響や情報漏えいの事案は発生しておりません。
〇田村勝則委員 インターネットを通じたサイバー攻撃等は、非常に巧妙化あるいは高度化している状況にあります。このような攻撃、脅威から県の有する情報資産やシステムを守ることは、これからは極めて重要になってくると思われます。
特にも、先ほど部長からの報告にもございましたマイナンバー制度による情報連携も、今後本格運用へと移行していくわけでございますが、平成28年度において、県では情報セキュリティーの強化対策としてどのような取り組みを行ったのか、再度お伺いしたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 情報セキュリティー強化の取り組みについてでございますが、平成28年度におきましては、国からの情報システム強靱化に向けた取り組みの要請も踏まえまして、インターネットを通じた攻撃から県の重要な情報システム、さらにマイナンバーを使う業務システムへの感染や情報漏えい等を防ぐため、従来のネットワーク方式を見直しまして、マイナンバーを扱う業務システムのネットワークと、さらに、国や全国の自治体を結ぶ専用の行政のネットワークがございますが、こちらのネットワークをインターネットから完全に切り離すような対策を講じたところです。
また、切り離した後のインターネットに接続する部分のネットワークにつきましては、新たに県と全市町村が一体となりまして、その接続箇所を1カ所に集約いたしまして、集中的にそのセキュリティー対策を行うために、岩手県情報セキュリティークラウドというものを構築しまして、運用を委託しているセキュリティーの専門家によりまして24時間365日の高度な監視を行う体制を構築したほか、セキュリティー装置の充実等も図ったところでございます。
こうしたシステム上の強化策は講じておりますが、日々巧妙化する、例えば先ほどお答えした不審メールといったものは、水際で全て防ぐことは困難でありまして、やはり不審なメールに添付されたファイルは開かないといったことも踏まえて、情報セキュリティーポリシーを全職員に徹底させるために、さまざまな機会を捉えて職員にそちらの周知徹底を図っているところでございます。
〇田村勝則委員 最後にして終わりたいと思います。県民の安全・安心という観点から、天災も非常に重要でありますけれども、こういう情報セキュリティー対策の確立も図っていかなければいけないと思います。今後も揺るぎない対策を進めていただくようにお願いいたしまして、終わります。
〇佐々木朋和委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時51分 休 憩
午後1時4分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
工藤洋子監査委員は、本日午後から20日まで所用のため欠席とのことでありますので、御了承願います。
質疑を続行いたします。
〇柳村一委員 交通対策費についてお伺いします。
公共交通利用推進事業費、バス運行対策費、地域バス交通支援事業費補助、地域公共交通活性化推進事業費補助の平成28年度の実績と課題についてお伺いします。
〇大坊交通課長 ただいま、交通関係の施策につきましての平成28年度の実績と課題についてというお尋ねがございました。
まず、公共交通利用推進事業費についてですが、この事業費につきましては、最近、急速に進む公共交通利用者の減少に対しまして、地域における公共交通活性化の取り組みを支援いたしまして利用の推進を図ろうとするものでございます。平成28年度におきましては、有識者によります活性化支援アドバイザーを12市町村に派遣するなど、地域内のバス交通体系の再編、あるいは公共交通計画の策定を支援しております。また、県内24のバス路線を対象といたしまして、市町村やバス事業者によります路線の改善検討会なども実施しております。
課題への対応についてですが、公共交通の利用推進につきましては、やはり起点となります市町村の取り組み、あるいはバス路線そのものの商品力の向上、いわゆるダイヤや運賃、待合環境といったものの向上が重要でございまして、今後とも関係者と連携しまして一つ一つ取り組みを着実に進めてまいりたいと思います。
次に、バス運行対策費についてでございます。
この事業につきましては、国と連携した補助によりまして、広域的、幹線的な本県のバス路線に対しまして、その運行欠損額を補助するものでございます。国が2分の1、県が2分の1の補助割合で行っております。平成28年度におきましては、県内51路線、国と県を合わせまして4億6、750万8、000円、うち2分の1、県が2億3、375万4、000円を補助しております。
また、地域バス交通支援事業費補助につきましては、複数の市町村にまたがる路線で、ただいま申しました国の補助要件に満たないが、一定の輸送量を持つ準幹線的なバス路線に対しまして運行欠損額を市町村とともに補助するものでございます。補助額450万円を上限といたしまして、県が2分の1、関係市町村が2分の1の補助割合となっております。平成28年度におきましては、県内の17路線に対しまして、県と関係市町村を合わせまして5、069万8、000円、うち県が2、534万6、000円を補助しております。
この事業の課題についてでございますが、本県のバス路線につきましては御案内のとおり利用者が非常に減ってきており、これが路線の収支の悪化につながっていることに伴いまして、例えば減便あるいは路線の休止ということでサービス水準が低下する。サービス水準が低下するとさらに利用者が減る、いわゆる負のスパイラルといった状況が続いておりまして、なかなかこういった補助だけの財政支援では負のスパイラルを断ち切るのは難しい状況になっております。
したがいまして、広域的な幹線路線とそれにつながります市町村内の地域交通を一体的に捉えて、全県的な交通ネットワークの再構築を図ることが重要と考えております。このような中、本年7月に国、市町村、バス事業者、関係団体、有識者による地域公共交通活性化検討会議を設置いたしまして、本県の交通ネットワークの再構築に向けてその抜本的な取り組み方向を議論しております。本年度中にこの方向性の取りまとめを行う予定でございますが、検討会議では、まず利便性を確保した上で、効率性と生産性の高い交通ネットワークの再構築を通じ、負のスパイラルを断ち切りまして、持続スパイラルへの転換を図りたいということで検討を進めております。
引き続きまして、地域公共交通活性化推進事業費補助でございます。
この事業につきましては、市町村が地域公共交通体系の再編や地域公共交通の利用促進の取り組みを行う場合、県が500万円を上限に事業費の2分の1を補助するものでございます。平成28年度は、平成27年度の繰越事業も含めて6事業の支援を行っておりまして、うち2事業、797万円が平成29年度に繰り越しとなり、4事業、591万2、000円が平成28年度決算額となっております。平成28年度におきましては、大船渡市、釜石市における地域公共交通網形成計画の策定を支援したほか、一関市におけるデマンド型乗り合いタクシーの試験運行、あるいは二戸市の中心市街地における循環バスの実証運行といった事業を支援しております。
この事業における課題への対応についてですが、この事業につきましては、地域公共交通の再構築の支援といった意味では一定の効果を得ていると考えておりますが、その効果的な活用に向けまして、市町村における一層の主体的な取り組みが求められると考えております。先ほど申しました7月に設置した検討会議におきましても地域内の公共交通のあり方を議論しておりますが、地域における総合的な戦略あるいは推進体制をしっかり整えた中で、この再編を加速するツールとして地域公共交通活性化推進事業の運用が図られるように制度を検討してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 県も認識されているように、公共交通利用推進事業というのは、バスに関して言えば経営安定化に対する支援でしかないわけでありまして、どちらかというと利用者のためではない、バス会社のための支援になっているので、果たして利用者にとって利便性が向上する事業なのか、ちょっと問題があると思います。
その中で、公共交通利用推進事業や地域公共交通活性化推進事業費補助などで県もそれなりに取り組んでいらっしゃると思いますけれども、今の説明ですと、利用者の利便性やバスの効率性については検討されているようですが、本当に利用者の側に立ってやっているかどうかというのがちょっと……。もう少し踏み込んで利用者側に向けていったほうがいいと思うのです。
近年の状況ですと、乗り合いバスの輸送人員は35%、地域の鉄道も25%ほど減っています。路線の廃止なども8、000キロメートルと、どんどん公共交通が衰退していると思うのですけれども、そこについて、地域公共交通網形成計画の策定を今始められていますけれども、実際、市町村の取り組みはどのようになっているのかお伺いします。
〇大坊交通課長 ただいま、バス路線の再編、効率化に向けまして、利用者の視点というお話がございまして、これは非常に大きな論点であると考えております。先ほど負のスパイラルというお話をしましたが、やはり起点となるお客様が使いやすくて乗りやすいバス路線でないと利用が進まないということですので、先ほど申しました検討会議の中では、そういった部分を視点に置きながら、公募による県民の委員にも参画していただいておりますので、意見をいただいて来年度の取り組みにつなげていきたいと思っております。
また、地域公共交通網形成計画は市町村単位で策定するものでございます。各地で策定の取り組みが進んできておりますが、これの支援も地域公共交通活性化推進事業で行っております。今、8市町村が策定しておりますが、さらにこれを進めまして、地域における公共交通の戦略であるマスタープランをしっかり立ててもらうことが必要と思っていますので、そこに利用者視点を加えながら、さらなる交通網の活性化を応援していきたいと思っております。
〇柳村一委員 地域公共交通網形成計画は市町村単位で行われるわけですけれども、市町村単位ですとコミュニティーバスやデマンド交通などさまざまな手法があります。県は、市町村で計画したものを結びつけて公共交通をうまく回していかなければいけない立場になっていると思いますので、例えば単独でその計画を立てられたとしても、その交通網が生きなければいけない。そこの部分を県としてどのような形で支援していくお考えかお伺いします。
〇大坊交通課長 ただいま、コミュニティーバスあるいはデマンド交通といった交通手段の組み合わせのお話がありましたが、先ほどお話ししました検討会議の中でこれも一つの視点となっておりまして、今、コミュニティーバスは市町村の中で完結している。極端な話でいくと、市町村境まで行って折り返している。もうちょっと行くと病院に行ける、あるいは、もうちょっと行くと商業施設に行けるという部分を、折り返してきているものもございます。ある程度広域の生活圏の中で、地域交通ネットワークをお互いに連携しながら効率を高めていくのが重要な視点と思っていまして、前回の第2回検討会議でその議論をいたしました。ある程度生活広域圏でのネットワークについて、市町村が連携を図れないかという部分をこの検討会議の中で十分議論していきたいと思っております。
〇柳村一委員 御検討をお願いします。国土交通省は、高齢者の移動手段として自家用有償運送の活用を推進するとしておりますけれども、バス運行対策費などはとにかく事業所に対して補助して何とか維持するということですので、今後は、バスだけではない、さまざまな交通弱者に対する交通施策が必要と考えますので、その検討会議の中でも一生懸命議論していただきたいと思います。
次に、並行在来線対策事業費についてお伺いします。私は、経営でなくて利用促進の観点からお伺いします。
平成28年度のIGRいわて銀河鉄道の利用実績と、過去の利用者数の推移はどうなっているのかお伺いします。
〇大坊交通課長 IGRの利用実績についてのお尋ねでございます。
IGRにつきましては、平成14年12月に開業以来、通年営業は平成15年度からになりますが、実質開業初年度─平成15年度に525万3、000人、新駅が2駅開業した平成18年度の502万5、000人を除きまして、最少輸送人員となりました平成17年度468万2、000人を初めといたしまして、しばらくの間400万人台の年間輸送実績が続いてきております。平成25年度におきましては7期ぶりの500万人超えとなります523万6、000人になりまして、以降、4期連続輸送人員が500万人超えとなりまして、平成28年度は517万3、000人の輸送人員となっております。
〇柳村一委員 利用者数はそう落ち込んでいるわけでもなくそのままのようでございますけれども、広域的な交通基盤の維持の確保という部分でIGRいわて銀河鉄道の運行本数を実績と達成度に挙げていますけれども、なぜ利用者数ではなく運行本数にしたのか、その理由はあるのでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいま、政策目標的な部分のお尋ねかと思います。
その運行本数を挙げたという部分につきましては、やはり並行在来線というのは広域的な移動のインフラでありますので、一定の輸送量を維持するという目安で運行本数を設定させていただいております。
なお、利用人数につきましてはバスと合わせまして、三セク鉄道、バスの1人当たりの年間利用回数という指標を設定しております。平成28年度の目標値18.8回に対しまして実績値が17.4回、達成度はDとなっております。IGRは比較的堅調でしたが、バスや三陸鉄道といった他の交通網では利用者の回復がなかなか軌道に乗っていないといった部分でこのような結果になっているところでございます。
〇柳村一委員 並行在来線の対策事業費というのはバスと同じように事業者に対する補助ですので、バスと同じように人が乗らなくてもどんどん事業費を補助している部分では、事業者は痛まないので、目標も運行本数ではなく利用者数を設定して、事業者に対しても努力するという目標をしっかりと掲げてもらわないと、バスの二の舞になるのではないかと思いまして質問しました。
前にIGR線からJR線へ南下する乗り入れの部分で検討をお願いしたわけでございますけれども、乗り入れの利用者や乗りかえの利用者についての調査などはされていますでしょうか。
〇大坊交通課長 IGR線からJR線、あるいはJR線からIGR線への乗り入れ、乗り継ぎといった部分でございますが、御提案いただきまして、その可能性についての協議をいろいろと行っておりますが、実際にそういったデータの収集は、IGR、JRともに現状では残念ながらとっていない状況でございます。
〇柳村一委員 利用者の利便性を考えると、どういうお客様がどういう利用をされているかというのをまず調べなければ利便性がどういうものかとわからないわけですから、もしそういう提案があって、それが営業に対して利益をもたらすのであればそういうことから始めてもらって、しっかりと、ああ、これだったらできますというようなことをIGR側にもやってもらって、その上での県が相互乗り入れのお願いという部分になると思いますので、そこら辺は検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいま御指摘のあったとおりでございまして、本県は、第三セクター鉄道に限らずバスもそうですが、そういったマーケティング的な視点、基本となる数字の捕捉、お客様の声を拾い上げるといった部分になかなか手が回っていない部分がございます。今の御指摘を十分踏まえまして、各事業者にお伝えしたいと思います。やはり事業環境も非常に変わってきておりまして、岩手医科大学が移転するというような環境変化もございますし、現状、IGRは朝の通勤時間帯については直通乗り入れしているのですが、夕方の帰宅時には直通乗り入れがないということで、お客様からも非常に要望がありますので、こういったところも捉まえまして、少しでもIGRの活性化につながるようにしてまいりたいと思っています。
〇佐々木宣和委員 平成28年台風第10号関係のお話を伺いたいと思います。
本当に早いもので、台風第10号災害から1年1カ月余り経過したところでございます。さきの8月30日には慰霊式を開催いたしまして、知事、議長にも出席いただきまして、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りしたところでございます。
改めて、台風第10号災害は21人のとうとい命を奪いまして、いまだに2名の方が行方不明のままでございます。住家被害4、272棟、非住家では2、614棟が被災。県全体で道路が寸断されて、55路線122カ所が通行どめとなったところでございまして、岩手県全体の被害総額が1、440億円ほど。ポイントが2点ありまして、東日本大震災津波からの復興途中の被災であること、また、岩泉町、久慈市、宮古市の3市町で被害の8割、また、岩泉町でその4割方を占めるということで、非常に局所的な災害だったところでございます。県当局におかれましては、発災直後に現地災害対策本部を設置して、9月下旬には台風災害復旧復興推進室を設置するなど、これまで真摯に復旧、復興に取り組まれていることに敬意を表し、感謝申し上げるところでございます。
質問の1点目ですけれども、現地災害対策本部、台風災害復旧復興推進室のこれまでの取り組みについて、時間軸でどう変化していったのか、人員体制を含めてお示しください。また、今後のこの組織の取り組みについてお示しください。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 現地災害対策本部、台風災害復旧復興推進室の取り組みについてでありますが、平成28年台風第10号災害は、特に岩泉町で甚大な被害を受けたことから、発災直後の平成28年9月2日、岩泉町に盛岡広域振興局長を本部長とする現地災害対策本部を設置し、本部長以下職員6名に災害復旧コーディネーター1名を加えた7名の体制により、町災害対策本部への出席による災害状況の把握や、自衛隊、警察、消防などとの業務調整、政府関係者の現地視察への対応等に取り組んだところでございます。
次に、台風災害復旧復興推進室でございますが、発災から約3週間後の9月23日に設置され、本庁においては室長1名のもとに専任職員3名の体制、岩泉町においては総括課長級の現地対策課長以下、災害復旧コーディネーターを含め3名の体制により機動的な災害支援業務を行ってきたところでございます。また、本庁関係室課及び広域振興局の企画担当課長17名を台風災害復旧復興推進室の職員として兼務発令し、全庁的な対応を行っております。
今後は、災害公営住宅など被災者の住宅再建が進むことや各災害復旧工事が本格化することから、引き続き被災市町と緊密に連携し、復旧事業の推進に取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 発災から2日後には現地災害対策本部をつくっていただき、その後も本当に真摯に向き合っていただいて感謝申し上げるところでございます。特に、台風災害復旧復興推進室に関しましては、さまざまな部署との連携が非常に重要になってくると思います。そしてまた、岩泉町は財政規模が余り大きくないところに本当に大きな災害を受けたところで、今後も町との連携が非常に重要でございます。
次の質問ですけれども、被災自治体の財政に関して伺いたいと思います。
岩泉町は年間予算80億円のところに440億円の被害額を出すような災害だったということで、県では特定被災地域復興支援交付金8億3、100万円を計上するなどしていますけれども、現状、被災自治体の財政状況をどう把握しているのか。あわせて、災害復旧事業の執行状況も伺います。災害復旧は基本的に3年で終わらせないといけないと聞いていますけれども、どう考えても町単独では非常に厳しいように感じておりますが、御回答をお願いいたします。
〇臼井市町村課総括課長 まず、平成28年台風第10号災害の被災自治体の財政状況についてでございます。
被害が甚大であった宮古市、久慈市、岩泉町につきまして、平成28年度決算に基づく財政指標を見ますと、実質公債費比率など健全化判断比率につきましては全て早期健全化基準を下回っておりました。また、基金残高につきましては、ことし9月現在で約131億円の見込みで、被災前の平成28年6月時点と比較して約11億円の増となっております。このうち、宮古市と久慈市の基金残高につきましては被災前の水準を超えて回復している一方、岩泉町につきましては被災前と比較して基金全体で約8億円の減となっておりまして、今後、実施される復旧、復興事業に伴う影響を注視していく必要があると思っております。
いずれにいたしましても、岩泉町を初め3市町におきましては、今後も多くの財政需要が見込まれるところでございます。まだ費用が未確定であり、市町において対応方針を検討している事業も残っておりますことから、引き続きそれぞれとの連携を密にいたしまして、国への特別交付税の要望や、また、財政支援のあり方等について検討してまいりたいと思っております。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 続きまして、災害復旧事業の執行状況についてでありますが、8月末時点の公共土木施設における災害復旧事業の発注状況は、県の所管施設で、発注予定592カ所に対して195カ所、32.9%が発注済み、市町村の所管施設では、発注予定1、299カ所に対して595カ所、45.8%が発注済みとなっており、県と市町村を合わせて41.8%が発注済みとなっております。
委員御指摘のとおり、災害復旧事業は3カ年度以内での完了が原則とされておりますが、台風第10号による被害は広域かつ甚大であり、被災地域によっては3カ年度内の完了が厳しくなることも予想されます。このため、岩泉町では、設計や工程管理の一部を外部に委託するコンストラクション・マネジメント方式を導入して災害復旧工事の事務の効率化に努めているところでございます。また、県におきましては、近接する複数箇所を極力集約したロットで発注することや、東日本大震災津波の復旧、復興工事に適用した制度を台風第10号災害復旧工事にも適用することなどにより、工事の発注や施工におくれが生じないよう取り組んでいるところでございます。
このような取り組みを進めてもなおおくれが懸念される場合、国からは、災害復旧事業が期間内に完了しない可能性が生じた場合は、繰越制度もあり柔軟に対応できると伺っているところでありまして、今後も地域の実情を丁寧に国に伝えながら対応してまいります。
〇佐々木宣和委員 本当にとてつもない量の工事をこなしていかなければいけないということで、町も町で手いっぱいで、県も県で事業をどんどんやっていかなければいけないところでございます。特に、国と県、また岩泉町と連携をとってやっていっていただきたいと思います。
一般質問でもお話しした内容ですけれども、東日本大震災津波もあって台風第10号災害もあって、今まで以上に人口流出に拍車がかかってくるのではないかと懸念しています。
岩泉町で、復興ビジョン、町の復興計画を策定した際に全戸に対するアンケート調査をしたようでございまして、その中で、現在の居住地以外に住みたいという希望がある方が97戸、その中には台風で被災していない方が37戸もいるようです。そしてまた、岩泉の町外に居住を希望している方は28戸いるそうでございます。このアンケート調査は4、545戸中1、974戸の回答で、岩泉町の43.4%の方からの回答なので、実際にはもっと多い数字になるのだろうと思っています─そもそも全壊した家屋が450戸ありますので。
そういった中で、高齢化も著しく、地域に住んでいる人がこれまで以上に岩泉町がよくなるのではないかという期待感が上がる施策も必要だと思っております。ただ、町自体も復旧工事を今一生懸命やっており、パワーが足りないところもあると思っているんですけれども、今まで地域に住んで生活していた人が元気になるような施策を打たないといけないと思っておりますが、部長に所感を伺います。
〇藤田政策地域部長 ただいま、台風第10号災害の被害を受けた地域が元気になるようにといったことでございますけれども、台風第10号災害からの復旧、復興につきましては、現在、本格的に進めているところでございまして、特に住宅再建をしっかりやっていかなければならないと思っております。
アンケートの中でも、どういった形で再建するかまだ決めかねている方も結構いらっしゃいます。その要因の一つとして、河川改修計画がまだ明らかになっていないことから決めかねているといったことも伺っておりまして、そういったところを県としてもしっかり早期にやっていくということと、情報提供を正確にやっていくといった形で支援していかなければいけないと思っております。
その上で、地域の活性化ということでございますけれども、例えば龍泉洞は三陸ジオパークの一つになっておりますけれども、そういった地域資源を活用した交流人口の拡大、あるいは、私も愛用しておりますけれども、龍泉洞の水を使った化粧水、そういった地域資源を活用した商品開発、さらに、そういったものの首都圏への販路拡大といったことで、マーケットを拡大させながら地域の消費を拡大させていく、そういったことで産業振興などもやっていかなければいけないと思っていまして、県としてもできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 これから復旧、復興をきちんと積み上げていくところだと思っていまして、メディアに出るときは明るいニュースばかりですけれども、現地にはなかなかそういう空気感になっていない方もたくさんいらっしゃるということで、何とか県としても町に寄り添って、復旧、復興、そしてまた発展が見込まれるような形で取り組んでいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、私も最初に、平成28年台風第10号豪雨災害からの復旧、復興の課題についてお聞きします。
被災者の状況把握と見守りの取り組みはどうなっているか。
被災者の生活実態として、被災した自宅、応急仮設住宅、みなし仮設住宅等にどういうふうに今、居住されているか示してください。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 初めに、平成28年台風第10号災害の被災者の状況把握と見守りの取り組みについてでありますが、特に被害の大きかった岩泉町においては、応急仮設住宅での生活を余儀なくされる被災者の方々が多くいらっしゃることから、町の保健師が宮古保健福祉環境センターや岩泉町社会福祉協議会の協力を得ながら、訪問による健康調査及び保健指導のほか、被災世帯の巡回、見守り、被災者の集いの場の開設を継続して行っております。
また、生活支援相談員6名を町及び町内関係団体に配置し、被災世帯の巡回、見守りや相談支援などの取り組みを行っているほか、社会福祉協議会やNPO法人など支援関係者による岩泉町被災者支援連携会議を毎月開催し、各関係団体が連携して被災者支援に取り組んでおります。さらに、NPO法人等関係団体が協働し、多様な課題を抱える方への生活相談支援も行っていると伺っております。
続きまして、被災者の生活の実態についてでありますが、被災者生活再建支援金の加算支援金等を活用して被災した自宅を補修して居住している世帯が多いものと認識しておりまして、補修に係る加算支援金を活用している世帯は9月1日現在で県全体で416世帯となっております。また、仮設住宅に入居している世帯については、同じく9月1日現在で、台風第10号災害により新規に整備した応急仮設住宅に入居している世帯が147世帯、東日本大震災津波時に整備した応急仮設住宅に入居している世帯が38世帯、みなし仮設住宅に入居している世帯が26世帯で、合計211世帯となっております。
〇斉藤信委員 岩泉町へは何度も私、行ってきましたけれども、そもそも保健師が十数人配置されて本当に地域と密着した取り組みをされていますし、6人の相談員も巡回しているということで、そういう点は大変努力されているなと。
ただ、被災した自宅で生活している方々が多くて、自宅を補修した人もこれからする人も。今、加算支援金の世帯数を出されましたけれども、まだ加算支援金を申請していないのだけれども、自宅を補修する予定だと、これはどのように把握されていますか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 岩泉町が平成29年8月時点で行った調査によりますと、元地再建、あるいは補修を行う方が、対象406世帯のうち203世帯で補修をして今現在住まわれているという状況にあります。
〇斉藤信委員 私が聞いたのは、加算支援金をまだ受けてないけれども補修の予定だと。基礎支援金と加算支援金、加算支援金の受給はまだ半分です。それで私、聞いたのですけれども、わかりませんか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 岩泉町におきましては、先ほど委員おっしゃいましたとおり、補修で加算支援金を受給している方が416世帯(後刻「247世帯」と訂正)でございます。それ以外に、全壊世帯、それから大規模半壊の世帯が586世帯、岩泉町にはございますので、それ以外の方々が……。
大変失礼いたしました。加算支援金を受給されている岩泉町の方は、9月1日時点で247世帯、先ほどの416世帯というのは全市町村の合計でございます。その247世帯に対しまして、岩泉町では、全壊世帯、それから大規模半壊世帯で仮設住宅に入居している方も含めて586世帯ありますので、その差の方々が一部これから加算支援金をもらうという世帯でございます。
〇斉藤信委員 こういうことなんですね。基礎支援金の申請が1、030件で、加算支援金が538件なんですよ。ですから、実際に再建に着手したというのは約53%ということなので私は聞いたのです。これは後でまた正確に。
それで、住宅確保が大変大事だということですが、災害公営住宅の整備の予定はどうなっているでしょうか。
それと、特に小本川、安家川の河川改修とのかかわりで移転対象世帯は今どのぐらいになっているのか。
あわせて、集落の維持の対策、それはどういうふうに進んでいるでしょうか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 災害公営住宅の整備予定についてでありますが、岩泉町においては、現在、町内4地区の10カ所で災害公営住宅建設のための用地取得を進めておりまして、一部では取得済みとなっている土地もあると伺っております。町においては、早ければ年度内に着工を行い、平成30年度内に全ての災害公営住宅を完成することを目標にしていると伺っております。
次に、移転対象世帯と集落の維持についてでありますが、岩泉町が本年8月に取りまとめた住民意向調査によりますと、全壊等406世帯のうち、災害公営住宅への入居希望74世帯のほか、被災した場所とは別な場所への自力での再建希望が32世帯、町が整備する移転地への再建希望が13世帯となっております。また、住宅再建の意向が未定の方が24世帯おりまして、今後の河川改修の進捗状況等によりまして、この中からも元地からの移転が必要となる世帯が発生すると見込まれます。
岩泉町におきましては、災害公営住宅の建設のほか、希望する方への移転用地の整備も行う予定でございますが、いずれの場合も、町内の岩泉地区、小川地区、小本地区、安家地区の4地区それぞれの地区内での移転が可能となるようできる限りの配慮を行うこととし、集落やコミュニティーの維持に努めていく方針と伺っております。
〇斉藤信委員 特に被災者は本当に地元に対する愛着が強いという感じを受けておりますので、さまざまな形の住宅再建の支援をぜひ強化していただきたい。
二つ目でありますけれども、東日本大震災津波からの復興の課題で、特定被災地公共交通調査事業が実施されています。この実施状況、そして被災地の交通確保対策はどうなっているでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいま、特定被災地域公共交通調査事業についてのお尋ねでございました。
この事業につきましては、東日本大震災津波直後の平成23年度から制度化されたものでございまして、被災地の公共交通につきまして10分の10の補助、6、000万円の上限ということで、これまでの間、被災地の交通を支えてきた重要な制度でございます。当初、5年間という形で平成27年度までの制度でございましたが、私ども県として延長を要望いたしまして、平成32年度まで延長となっております。
これの実施状況につきましては、平成28年度におきましては、7市町村67路線に対しまして2億5、457万5、000円の補助が行われております。平成29年度におきましては、6市町村65路線に対しまして2億4、851万4、000円の補助が行われております。
続きまして、被災地域の交通確保の関係でございますけれども、御案内のとおり復興まちづくりが着々と進んではいるものの、まだ面的な整備が流動的な状況にございます。こういった中で、公共交通網も、まちの形に応じて、今、変化しながら再構築している状況でございまして、特に被災地におきましては、高齢化が進み、近くのバス停に歩いて行けない方、あるいは高台団地に移転したという部分におきまして、従来の大きなバスが入れないような場所も結構ございます。そういったところにつきましては、機動性のあるコミュニティーバスやデマンドバス、あるいは団地内でのバスターミナルシステムといった部分にきめ細かい交通施策が必要と考えております。
したがいまして、県といたしましては、市町村をしっかり支援するという意味で、有識者によります活性化支援アドバイザーを派遣しながら、地域交通の再構築を応援する、あるいは、先ほどお話しいたしました特定被災地域公共交通調査事業をしっかり活用いただきながら、地域内、被災地での交通体系の構築をしっかりと応援してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 結局、この特定被災地域公共交通調査事業というのは大変重要な役割を果たしていると思うけれども、条件が、仮設団地を回ると。だから、昨年までは野田村もやっていましたけれども、ことしから野田村はこれがなくなりました。今、陸前高田市にしても、中心商店街がつくられる、病院が高台にそれぞれ整備される、そういう形でまちの姿が復興によって変化しているので、それを回る新たな交通体系が必要だと思うのです。
ですから、一つは、この特定被災地域公共交通調査事業を拡充させるというか発展させるというか、新しい市街地や病院などを回るものにも活用できるようにしなければならないし、もう一つは、それがだめだというなら、これは実証運行をやっているわけですから、実証運行で明らかになった公共交通のあり方を政策提言して、復興は10年で終わりませんから、恐らくさらにあと10年ぐらい新しいまちづくりを形成していくという取り組みになると思うのです。そういう新たな復興の公共交通体系の確保のための調査事業の新たな構築も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいま、被災地の交通の再構築につきましてさまざまな御提案をいただきました。
特に特定被災地域公共交通調査事業につきましては二つ問題があると思っておりまして、一つは、期間が延長になりましたが、平成32年度までであります。ただいま委員御指摘のとおり復興まちづくりはまだまだ続くものでございますので、この期間の延長が一つ重要であると思っております。もう一つは、委員御指摘のとおり施策の拡充ということでありまして、現在、応急仮設住宅がどんどん集約化されていく中で、応急仮設住宅のみではなく、新たな生活拠点─災害公営住宅あるいは高台の団地を結ぶような制度設計にすべきではないかということで、私ども、本年6月の政府要望にもこの点を要望したところでございます。
なお、実証試験でありますので、当然その成果、評価を踏まえて新たな政策提案をしていくのも一つの視点であろうと思いますので、委員御指摘の点を踏まえまして、今後、国に被災地の現状とともにお伝えしたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、東日本大震災津波からの復興の応援職員の確保について、昨年度の実績、今年度の状況、来年度の見通しを示してください。あわせて、台風第10号関係でも、特に岩泉町などは技術職員を強く求めていますが、この点もつけ加えて答えていただければ。
〇臼井市町村課総括課長 まず、東日本大震災津波に係る応援職員の確保状況についてでございます。
平成28年4月1日現在での確保状況は、必要数734人に対して確保数672人でございますので、充足率は91.6%。また、最新の平成29年10月1日現在での確保状況につきましては、必要数676人に対しまして確保数が626人で充足率は92.6%となっておりまして、単純に比較いたしますと、充足率は1.0%向上している状況でございます。
また、来年度の見通しでございますけれども、現在、必要数について被災市町村に対して尋ねて回答を取りまとめているところでございまして、現時点で具体的にはお示しできませんが、復興事業の進捗に伴いまして平成27年度をピークに必要数は減少しておりますので、今後もそういった状況が続くのではないかと考えております。
一方で、土地区画整理事業などの一部の復興事業については長期化も想定されますし、また、地域コミュニティーの再生、被災者の見守りなどを継続的に取り組む必要のある事業もございますので、引き続き応援職員の確保が必要と考えておりまして、私ども、昨年度から始めた県内沿岸被災地視察事業、また、全国を直接訪問いたしまして要請活動に引き続き取り組んで、来年度も充足率の維持向上に努めていきたいと考えております。
続けて、台風第10号災害の人的支援の状況でございます。
現在の状況といたしましては、宮古市、久慈市、岩泉町それぞれで必要数26人に対しまして15人が確保されている状況でございます。これは、ことし10月1日現在でございます。また、土木職員が特に必要となっているところでございますが、例えば岩泉町におきましては、土木職員14人に対して11人の確保ができている状況でございます。
こういったことにつきまして、県としても、内陸市町村からの人的支援をお願いしたり、また、全国を訪問する際に、台風第10号によって我々が被災していることについてもあわせて説明することで全国からも応援をいただけないかとお願いしておりますし、また、県の任期付職員を平成30年度に11人ほどの採用を目指しておりますので、そういった方を派遣することによってこちらについても人材確保に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、二つまとめてお聞きします。
JR山田線の復旧について、釜石-宮古間の復旧状況、新駅の設置、駅舎等の整備の状況はどうなっているでしょうか。盛岡-宮古間の復旧の見通しとJR山田線活用の対策はどうなっているか。
もう一つは、Uターン者の状況と若者定住対策ですが、Uターン者の状況、復興支援員、地域おこし協力隊の状況と県内定着の状況、若者定住対策について示してください。
〇大坊交通課長 まず、JR山田線の釜石-宮古間の復旧状況等についてでございます。
現在、流出した区間、4工区8キロメートルにつきましてはJR東日本の東北工事事務所が、また、流されていない非流出区間、4工区47.4キロメートルにつきましてはJR東日本盛岡支社が復旧工事を行っております。
JR東日本におきましては、平成27年10月に宮古市に工事事務所を開設いたしまして、閉伊川の橋梁や大槌川の橋梁といった非常に難しい工事の地区から工事に着手しております。現在は閉伊川の橋梁等も完工し、橋脚復旧あるいは盛り土作業、線路の復旧なども進めており、平成30年度末の開業を目指しておおむね工事は順調に進んでおります。
今後、電気、信号通信関係の工事にも着手いたしまして、平成30年度の半ばまでには工事を完了させ、残る半年間で信号試験、試運転などを行い、平成30年度末の開業を目指していると聞いております。
新駅、駅舎等の整備につきましては、宮古市におきまして、JR山田線沿線の八木沢、払川地区の2カ所に新駅を設置することが計画されております。この路線は平成30年度末に三陸鉄道に移管されますが、それに向け、現在、この2駅の実施設計を三陸鉄道が行っており、来年度、工事に着手する予定と聞いております。
また、駅舎の整備、再建でございますが、大槌町、山田町におきましては、駅を復興まちづくりの拠点施設と位置づけ、新しい中心市街地に駅を復旧させるという計画としており、周辺の施設などとも十分機能連携して、例えば観光拠点機能みたいなものの併設なども計画していると聞いております。
続きまして、JR山田線の盛岡-宮古間の復旧についてでございます。
この路線につきましては、平成27年12月に土砂が崩落いたしまして、運休が続いております。この間、昨年9月から崩落斜面の所有者であります林野庁が本格的に工事を進め、本年4月からは、この土地を借り受けて鉄道事業を行っておりますJR東日本が軌道部分あるいは斜面の下部の工事を進めており、今月末には工事が完了すると聞いております。せんだってJR東日本の発表がございましたが、運行の再開日は11月5日となっておりまして、約1年11カ月ぶりの再開となります。
運行再開後のJR山田線の活用についてでございますが、現在、運行再開に合わせまして地元盛岡市や宮古市が再開イベントを行うと聞いておりますし、もともとこの路線につきましては、内陸から沿岸、三陸鉄道につながる基幹路線でございますので、沿岸の観光施策あるいは三陸鉄道との連携といったことで、運休前にやっておりましたJR東日本と三陸鉄道との相互乗り入れの企画列車、あるいは、例えば宮古市におきましては2月の毛ガニまつりと連携したイベント企画、こういったもので盛り上げていくと聞いております。
〇菅原地域振興監 まず、U・Iターン者の状況についてでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたとおり、平成28年度の移住者数は、ハローワークを通じて県外から就職された方、市町村の窓口等を通じて移住された方などを積み上げたもので1、333人となっているものでございます。
次に、復興支援員、地域おこし協力隊の状況等についてでありますが、平成28年度におきましては、復興支援員は、県34名、8市町村で142名の計176名が活動したところでございます。県の委嘱した復興支援員について申し上げますと、現在までに退職者が27名おりまして、そのうち約7割の19名が県内へ定住したところでございます。
また、地域おこし協力隊につきましては、18市町村で80名と拡大しておりまして、平成28年度までの任期終了者18名のうち、全国平均と同程度の約6割の11名が県内に定住しているところでございます。
県では、復興支援員や地域おこし協力隊を対象に、任期後の定着も視野に入れながら、活動のスキルアップ、あるいは隊員のネットワークづくりのための研修会の開催、企業の支援制度や各種セミナーなどの情報提供を行っているところでございまして、引き続き市町村、関係団体と連携し、本県の定住につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
また、若者の定住対策についてでございますが、やはり若者の移住、定住を促進するためには、やりがいを持って働きたいと思うような魅力のある仕事の確保といった部分が重要な要素の一つと考えております。このため、商工労働観光部と連携いたしまして、昨年度から本県の移住相談窓口でありますいわて暮らしサポートセンターにキャリアカウンセラーを追加配置いたしまして移住と就職の一体的な相談機能を強化したところでございますし、あわせて、若者や子育て世代をターゲットとしたセミナー等を開催しているところでございます。
今後も、関係部局と連携しながら、若者の定住につながるように取り組んでまいりたいと考えております。(斉藤信委員「住宅対策は」と呼ぶ)
失礼しました。
住宅支援など移住者への個別の支援につきましては市町村の役割が重要と考えておりますけれども、県内市町村におきましては、例えば、釜石市が雇用促進住宅を取得いたしまして、新婚世帯やU・Iターン者などを対象といたしました定住促進住宅として活用している例でありますとか、また、葛巻町、一戸町が若者や子育て世帯向けの定住促進住宅を整備している例がありますほか、空き家バンク制度を活用した取り組みも広がっているところでございます。
県といたしましては、市町村に対して、このような住宅施策を含めた県内外の移住施策情報を提供するとともに、今年度から、県外からの移住者が空き家バンク登録物件の改修を行った場合、それに対して市町村が支援をする場合に、市町村に対する補助を新たに設けたところでございまして、また、市町村との連携を強化して、若者の定着、そして住宅の確保につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 それでは、私から、まず最初に平成28年台風第10号の災害復旧についてお聞きいたします。
今回の台風第10号災害は、直近の数字では被害額1、428億円となっております。岩泉町では、東日本大震災津波の10倍以上の被害となって、この間、特別交付税とか自治振興基金あるいは県単の支援策も行われました。これが十分な財政措置が行われたのかどうかをまず1点伺いたいと思います。
それで、先ほどの議論の中でも財政支援のあり方について今後検討していきたいという答弁がありました。前向きの答弁だったと思いますけれども、現時点で財政支援のあり方についてどのような検討がされているのか、もし公表できれば答弁いただきたいと思います。
それで、今回の台風第10号災害は、東日本大震災津波からの復興の途上での被害となって、私たちも東日本大震災津波並みの財政支援を行うべきだということを国に対して求めてきました。県も国に対して求めてきましたけれども、国に求めた支援の中で、実現されたもの、また、実現できなくて途上にあるものはどういったものがあるのか、具体的に答弁いただきたいと思います。
〇臼井市町村課総括課長 まず、平成28年台風第10号災害に対する財政措置に関してでございます。
本年8月末時点で調査を行ったところ、被害が甚大であった宮古市、久慈市、岩泉町の平成28年度の復旧、復興に係る事業費につきましては、翌年度繰り越し分も含めて約360億7、000万円ということでございました。うち、一般財源の当年度負担額といたしましては約66億5、000万円といったところでございました。
これに対しまして、平成28年度の財政措置でございますけれども、こちらは台風災害以外と台風災害の峻別が難しいもので、合わせた額になってしまいますけれども、3市町に対する特別交付税の額が約65億3、000万円、また、県から出しております特定被災地域復興支援緊急交付金が約8億3、000万円措置されているほか、自治振興基金の貸付決定額といたしまして約3億7、000万円ということでございますので、一定の財政措置はなされているのではないかと考えております。
一方で、引き続き多くの財政需要が見込まれるところでございます。その財政支援のあり方でございますけれども、現時点では費用が未確定であったり、市町において対応方針を検討している事業も残っておりますので、まだ明確なことを申し上げられませんけれども、やはり昨年度、緊急交付金を交付したとき、また特別交付税の要望を行ったときに想定していなかった財政需要などもあるかと思っておりますので、そういった財政需要も踏まえまして、市町との連携を密にしながら、そのあり方について引き続き検討していきたいと思っております。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 続きまして、国への財政支援要望の実現状況についてでありますが、発災以来、被災した市町とも連携して国に対する財政措置の要望等を行ってきたところでありまして、その結果、サケ・マスふ化場の災害復旧事業における国庫補助率のかさ上げや小規模事業者持続化補助金の新たな支援枠の創設、光ファイバーやテレビ共同受信施設等の復旧に対する補助制度の適用などが認められたところでございます。
一方で、幅広い財政需要に対応できる弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設や被災者生活再建支援制度の支給範囲の拡大など、いまだ実現していない項目もございます。
今後も引き続き、被災した地域の実情を国に伝えまして、必要な財政措置等について強く求めてまいります。
〇高田一郎委員 わかりました。まだまだ被災地の状況を見ますと、岩泉町などでも復興計画がつくられていますけれども、とてもとても3年以内に復旧が完了するなんていう状況にはありません。財政支援とか人的な支援がどうしても必要でありますので、そこを引き続き強化して対応していただきたいと思います。
それで、今回の台風第10号災害で、県もかなり国に対して財政支援を求めて、今答弁があったように、サケ・マスふ化場の復旧に向けた補助率を引き上げるとか、あるいは情報通信網の復旧問題についても、国の制度がなかったので、これも補助制度を創設するなど、大変大きな役割を果たしたのではないかと思います。
ただ、被災地などで、東日本大震災津波も含めて自由度の高い補助金をぜひ創設してほしいということについては、なかなか実現されなくて、県は、国がやらないのであれば県がやるということで、先ほども紹介があった県単独の特定被災地域復興支援緊急交付金8億3、000万円を決断していただいたということで、被災地を回りますと、こういう自由度の高い支援金を交付していただいたということで大変感謝されています。
地域の実情に応じて対応することは非常に大事なので、こういう交付金は非常に大事だと思うんですね。これで、それぞれの被災自治体ではどういう事業が行われたのかについても答弁いただきたいと思います。
〇臼井市町村課総括課長 特定被災地域復興支援緊急交付金の使途についてでございます。
同交付金は、地域経済の早期回復支援のための経費とかといったものを根拠に算定しておりまして、実際に、例えば中小企業が被災したときに、金融機関等からお金を借りるときに保証料を払わなければいけないのですけれども、それに対する補助などに使われているほか、委員御指摘のとおり、こちらは、復旧、復興に係る経費でございましたら、特段使途の制限は設けておりませんので、その算定根拠としたもの以外でも、特に単独事業となっております林道とか河川の災害復旧、また、災害廃棄物の処理等に活用されていると聞いております。
〇高田一郎委員 今お話がありましたように、なかなか国の支援スキームのないところで、被災地に寄り添った交付事業を行ってきたということで大変歓迎されているということも先ほど強調しました。
東日本大震災津波などでもこういったことを求めてきたけれども、なかなか実現できなかった、今後の災害対応にしても、やっぱりこういう自由度の高い支援金、補助金は大変大事だと思います。
今回、岩手県が、国がやらなければ県がやるということで決断をして、やって、大きな成果を上げたと思うんですね。こういったことを大いに国に発信して、国の支援策についても、こういった自由度の高い支援制度が実現できるように、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
それで、今回、情報通信網の関係で新たに補助制度が実現できて、これに着手しているということを伺っておりました。この復旧の見通しがどうなっているのか。
それから、私が農林水産委員会で岩泉町を訪れたときに、ちょうど龍泉洞が再開した直後でありました。お客さんが結構来ていましたけれども、やっぱり誘客を拡大していくためには、被災地の現状を大いに内外に発信していく、そういう情報発信とか誘客の支援についても力強く取り組んでいく必要があるかと思いますけれども、この点での対応についてお伺いしたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 情報通信網の復旧状況についてでございますが、平成28年台風第10号災害により情報通信網に甚大な被害を受けた岩泉町と久慈市についてお答えさせていただきます。
岩泉町は、光ファイバー網、携帯電話基地局関連の仮復旧は終えておりまして、地域住民のインターネット環境等は復旧しているところであります。今後、道路の復旧工事等とも絡みますので、そういったところとの調整を図りながら本復旧に取り組んでいくと伺っております。
なお、テレビ共聴施設につきましては、一部、町で応急的に配布したBSアンテナでの視聴にとどまっているところもあるということですが、こちらの共聴施設の復旧工事についても、全ての発注を終えておりまして、年内または年度内には復旧する見込みと伺っています。
久慈市につきましても、岩泉町と同様に仮復旧は全て終えておりまして、今後、本復旧に取り組んでいくと考えています。
あと1点、補足ですけれども、今回の補助制度の関係ですが、今回の台風第10号災害を受けて新たなものとして補助制度ができたのではなく、従来からあった既存の補助制度の要綱を見直した形で、今回の岩泉町と久慈市の補助を対象にしていただいたということを説明させていただきます。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 続きまして、復興情報と誘客支援の取り組み状況についてでございますが、復興情報の発信では、発災から6カ月後となる本年3月と1年後の本年8月に、いわてグラフといわてわんこ広報室におきまして、それぞれ台風第10号災害からの復興状況や龍泉洞の再開などについて特集を組んで情報発信したところでございます。
また、岩手県台風第10号災害復旧復興インスタグラムを本年2月に開設いたしまして、これまで732本の復興情報等の画像を投稿し、リアルタイムの復興情報の発信に取り組んでいるところでございます。
次に、誘客支援におきましては、被災市町へ送客するバスツアーの運行支援、旅行雑誌等への広告掲載、三陸鉄道企画列車の運行、三陸ジオパーク・スタンプラリーなどの実施のほか、三陸ぐるっと食堂in KUJIなど、被災市町におけるイベントの開催など、関係部局及び広域振興局と連携して誘客支援の取り組みを行っております。
〇高田一郎委員 わかりました。
次に、携帯電話の不感地域の解消についてお伺いいたします。
台風第10号の災害復旧に取り組んだ教訓でもあると思いますけれども、一つは、不感地域の現状、実態がどうなっているのか。それから、市町村からの要望、そして、平成28年度の整備の実績について、まずお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 携帯電話の不感地域の実態等についてでございますが、まず、本年3月の時点で県内の携帯電話不感地域は18市町村で188地区となっておりまして、その中で不感地域の解消を希望する地域は14市町の124地区、さらにその中で市町村が国の補助制度を活用して市町村立で基地局を整備するという要望のあるところが8市町の47地区と把握しております。
次に、市町村の要望、平成28年度の実績ですけれども、平成28年度の国庫補助制度を活用した基地局の整備につきましては、宮古市など6市町から13地区の要望があったところですけれども、この事業を実施するには、携帯電話事業者の賛同を得て実施することが前提となっておりまして、その賛同を得て実施したものとしては、遠野市の2地区で実施したという実績となっております。
〇高田一郎委員 わかりました。平成28年度の実績は、13地区の要望に対して、整備されたのがわずか2地区ということですけれども、これは、どうしてこのぐらい少ないのかということですね。このままの状況でいけば、要望地域124地区に対して二つ、三つの地区となれば、50年も60年もかかるような状況なのかと思います。これが一つ。
それから、不感地域が188地区あって、要望地域が124地区、この差はどのように見たらいいかということもお伺いしたいと思います。
それから、今回の台風第10号災害を経験しまして、山間部といいますか孤立集落が各地に生まれて、避難勧告などを行っても、そういう情報が伝達されなかったということが各地でありました。この情報手段の確立は非常に大事な、防災上大切な対策だと思うのですけれども、県の地域防災計画の中身を見ますと、27市町村、331地区が孤立集落になっているという地形もあります。この中で、いわゆる不感地域はどういう現状になっているのか、もしわかればお伺いしたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 まず1点目の市町村要望に対する2件という実績の少なさという部分ですが、先ほどの答弁でも若干触れましたけれども、この事業につきましては、市町村が国の補助事業を活用して自前でつくるという希望があるところを県で取りまとめて要望するのですが、その際に、いわゆるauですとかドコモですとか、携帯電話事業者に、そこに携帯電話の基地局を市町村が整備して、そこから携帯電話事業者が電話を通しますよという同意を得る必要がございます。やはりこういった不感地域は、携帯電話事業者からすれば、経営上、条件不利地域という扱いになりますので、携帯電話事業者のほうでなかなか賛同を得られないというのが、少ない実績にとどまっている実情だというところでございます。
ただ、平成29年度におきましては4市町の5地域ということで、若干採択に前向きになっていただいているところもありますので、ここは、引き続き事業者に要望していきたいと思います。
あと、二つ目の不感地域の188地区と解消を要望する124地区の差の部分ですけれども、この把握については、市町村からの回答を踏まえて把握しているものでありますが、一つの町に参考に聞いてみたのですが、やはり不感地域の中でも、地元、そこに住んでいる方が希望されていない地域もあるようで、市町村としては、その地域に住む方の要望も踏まえて解消を希望する地域を整理していると伺っております。
三つ目の孤立集落の関係ですけれども、携帯電話の不感地域の把握につきましては、先ほども申しましたが、毎年度、市町村を通じて把握しております。その際に、孤立集落と関連づけた形での把握は行っておりませんので所在はわからないところですが、参考としてですが、委員御指摘のとおり、県の地域防災計画に孤立化想定地域として331地域が掲げられております。
この孤立化想定地域は平成20年10月時点で取りまとめた地域でありまして、情報政策課で把握している、先ほど言った本年3月時点の不感地域188地区と参考までに突合させてみましたが、若干数字が前後する可能性は当然ありますが、情報政策課で把握している188地区の不感地域の中で、この平成20年当時に定めた孤立化想定地域に該当する地域は、11市町村の70地域程度が対象となっているものと考えております。
〇高田一郎委員 いずれ不感地域解消の要望地域が124地区あって、毎年二つか三つぐらいの─来年は四つですか、その程度の進捗ということですね。本来は携帯電話事業者の責任でやらなければいけないのですけれども、国や県や市町村の財源を使ってやるというのは、本当にどうなのかなという思いがあります。
決して携帯電話事業者というのは経営的に赤字になっているものではないと思うので、私は、もっと県の高いレベルで事業者に対して強く要望、働きかけるべきではないかと思うんですね。
今回の東日本大震災津波や台風第10号災害を経験して、情報通信網の整備は非常に大事な課題だと思います。台風第10号でも、情報が伝わらなかった集落がたくさんあるという経験にも照らして、ここはやっぱりトップも含めて関係者に要望していくべき課題ではないかと思うのですが、これは、部長、どうでしょうか。
〇藤田政策地域部長 この携帯電話の不感地域につきまして、やはり携帯電話を初めとする情報通信というものは、既に日常生活の中で密着している部分もありますし、また、災害とかといった危機管理の場面でも非常に重要なツールになってきているといったこともございまして、不感地域の解消は大変重要なことだと思っております。
携帯電話事業者側としては採算性というところがあるのかもしれませんけれども、私ども、機会を捉えて、携帯電話事業者に対しまして、これまでも要請してまいりましたけれども、今後も引き続き要請してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 では、よろしくお願いいたします。
最後になりますけれども、いわゆる復興特区法に基づいて、この間、地方税について課税免除が行われてきました。しかし、平成32年度まで、この間延長されることになりましたけれども、平成31年以降は、その減収補填率は4分の3にされようとしております。この影響額はどの程度になるのか、この点についてお伺いいたします。
〇臼井市町村課総括課長 東日本大震災特別区域法、いわゆる復興特区法に基づく地方税の課税免除に関する影響額についてでございます。
まず、御案内のとおりでございますが、復興特区法に基づく市町村税としては固定資産税、また、県税としては事業税、不動産取得税等ございますけれども、その減収補填につきましては、課税免除を受ける最初の年度以降5年度分を対象といたしまして、委員御指摘のとおり、平成30年度までの投資に係る減収額はその全額が、また、平成31年度、平成32年度の投資に係る減収額は4分の3が震災復興特別交付税で補填されるものでございます。
まず、実績といたしまして、直近3カ年における復興特区に係る固定資産税の減収額でございますけれども、平成26年度が5億1、400万円、平成27年度が9億6、300万円、平成28年度が12億3、100万円となっておりまして、また、今年度の見込みでございますけれども12億8、800万円となっております。
4分の3の減収補填率が適用される平成31年度と平成32年度の影響額でございますけれども、企業の投資の有無によって変動いたしますので現時点で見込むことが困難でございますが、いずれにいたしましても、県といたしましては、地方税の課税免除に係る減収分について、従前と同様に補填するよう国に対して要望しているところでございますし、引き続き関係部局と連携しながら、被災地の実情をしっかりと国に対して説明していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 先ほど斉藤委員からお尋ねのありました台風第10号災害被災者に係る被災者生活再建支援基金加算支援金の今後の申請申し込みにつきまして、先ほど岩泉町の部分のみ申し上げましたが、全県の数字を御説明申し上げます。
9月1日現在、県全体で、生活再建支援金基礎支援金の支給が行われている世帯は1、030世帯であり、加算支援金の支給が現在行われている世帯は538世帯となっております。
したがって、両者の差である492世帯のうち、災害公営住宅に入居する方を除いた方々が、今後、加算支援金の申請を行う可能性がある世帯となっております。
〇臼澤勉委員 私からは、まず、広域振興局体制の運営といいますか、ハクセル委員が総括質疑でも取り上げておりましたけれども、広域振興局絡みで少しお聞かせいただきたいと思います。
まず、現在、広域振興局にふるさと振興監を配置されておりますけれども、まさに市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略を支援していると思いますが、これまでの活動実績、成果はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇菅原地域振興監 まず、ふるさと振興監の活動実績等についてでございますけれども、県では、市町村等と連携した人口減少問題の解決に向けた取り組みを推進するため、平成27年度に本庁各部局のほか、各広域振興局の本局にふるさと振興監を配置したところでございます。
県内市町村におきましては、平成20年度末までに地方版総合戦略を策定しておりますが、その策定に当たりましては、市町村の窓口として、ふるさと振興監を初めとする広域振興局の職員が、有識者会議の委員となりまして、県の考え方や総合的な意見を述べるとともに、個別の相談に応じるなどの支援を行ったところでございます。
また、県の人口ビジョン及びふるさと振興総合戦略の策定に当たりましても、人口減少問題対策に係る市町村の意向を把握することにより、県、市町村が連携を図りながら策定することができたものと考えております。
また、市町村の地方版総合戦略の推進に当たりましても、アンケート調査などによりまして、その取り組み状況や課題の把握に努めているほか、必要に応じて、地域経営推進費等を活用しまして、市町村の総合戦略に掲げる事業の支援を行っているところでございまして、今後も、ふるさと振興監を中心に、市町村との意思疎通を図りながら、ふるさと振興に取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 まずプランができたということで、そして、ふるさと振興監を中心に支援をしていくということでございますが、やはり財源も大事になってきます。地域経営推進費は、私の認識では、予算額が大体横ばい傾向で推移しているやに承知しておりますが、十分に各市町村、地域のニーズに即した施策が展開されているのか、取り組みの成果と評価をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇菅原地域振興監 地域経営推進費の取り組み成果と評価についてでございますけれども、平成28年度は、県事業といたしまして117事業、1億8、393万円余を執行したほか、市町村等が実施した127事業に対しまして2億2、309万円の支援を行ったところでございます。
予算額につきましては、もう横ばいということで、厳しい財政状況の中で何とか財源を確保しながら運用しているところでございますけれども、この中で、県事業であれば、例えば県南広域振興局におきまして、国際リニアコライダーに対する地元の機運醸成を図るための中学校への出前授業等を実施したほか、市町村事業では、沿岸広域振興局におきまして、釜石市が実施したラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けた英語ボランティアの育成に対して支援するなど、広域振興局長の判断のもと、地域課題に的確に対応したきめ細かな施策が展開されているものと考えております。
また、今年度は、新たに定住自立圏等の国の支援制度の活用ができない市町村における広域的な取り組みを支援するために、地域経営推進費の市町村事業におきまして、広域連携事業を創設したところでございます。
今後とも、広域振興局において、地域経営推進費を効果的、効率的に活用し、地域の特性を生かした地域振興が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 人あるいは予算を配置して対応しているということでございますが、そもそも広域振興局が設置された当初の思い、理念が、まさに現場に人も、予算も、権限も配置しながら、本当に市町村あるいは住民と一緒になって、目線を合わせて取り組んでいこうということでスタートしたと認識しております。
首長とか、いろいろ県内を回っての私の認識は、やはり何か最近、市町村なり住民との目線が少し、距離感が遠のいてきているような印象、そういう声も聞きます。首長の懇談会とかといった中でも、産業振興とか観光振興に広域振興局の取り組みを強化してほしい、さらに積極的に一歩踏み込んで一緒に取り組んでいこうという声も非常に強いと、期待感を込めてそういう声があると思いますが、どう対応していくお考えなのか、そういった要望に対しての県の取り組み姿勢をお伺いいたします。
〇菅原地域振興監 広域振興局の取り組みの強化についてでございますけれども、広域振興局につきましては、産業振興による地域経済の活性化を主眼として設置したものでございまして、先ほど御質問のありました広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費、その他、広域振興局が直接予算要求できる広域振興事業等の予算を活用いたしまして、例えば、県央圏域では台湾やタイをターゲットとした誘客プロモーションの実施、県南圏域ではものづくり人材の育成、沿岸圏域では水産加工業のカイゼン導入による生産性の向上、県北圏域ではアパレル産業の振興など、圏域の特性やニーズを踏まえた産業振興や観光振興の施策を展開しているところでございます。
このように、広域振興局におきまして圏域の課題に即した主体的な取り組みを展開しているわけでございますが、これとあわせまして、例えば、盛岡広域振興局では、管内市町におけるタイとの交流やつながりを踏まえて実施したタイへの誘客プロモーションにつきまして、今年度は、本庁も参加し全県的な取り組みとして発展させるなど効果的な施策展開を図っているところでございまして、今後も、広域振興局と本庁との連携を十分に図りながら、産業振興等の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 本当に期待しているという声が強うございますので、私は、広域振興局長の権限というか裁量といった部分も出せるように、もう少し上積みができないものかと思います。そのためにも、当然、本庁のそういった改革も進めながら、予算を削減したり、カイゼンの取り組みを進めながら、ぜひいろいろやっていただきたいと思います。
次に、過疎対策事業債についてお伺いいたします。
平成29年度から新たに陸前高田市と野田村が過疎地域に追加指定されておりますが、平成27年の国勢調査の結果に基づきまして、まさに人口減少率とか高齢化比率、若年者比率、財政力指数を踏まえて、今後この過疎自治体の財政状況はさらに厳しさを増してくると思います。そして、過疎対策事業債に対する需要も大きくなってくると思いますが、平成28年度の現状を県はどう評価しているのか、そして、今後の見通しをどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇臼井市町村課総括課長 過疎対策事業債の現状についてでございます。
平成28年度におきましては、一部地域指定を含め県内22市町村が過疎関係団体でございました。県内市町村の過疎対策事業債の発行額は約183億円でございまして、平成27年度と比較して約8億円、4.3%増加しております。また、この5年間の推移を見ても、基本的には増加傾向にあるものと考えております。
今後の見通しでございますけれども、総務省が策定しております平成29年度の地方債計画におきましても、過疎対策事業債の計画額は4、500億円ということで、前年度比300億円、7.1%の増となっておりまして、全国的にも過疎対策事業債に対する需要が高まっていくことを見込んだものとなっているものと考えられます。
本年3月に過疎地域自立促進特別措置法が改正されまして、委員御指摘のとおり、陸前高田市及び野田村が過疎地域に指定されたことに伴い、県内市町村の過疎対策事業債の需要はさらに増加するものと見込まれるところでございます。
県といたしましても、過疎市町村が過疎対策事業を円滑に実施できるよう、引き続き、全国過疎地域自立促進連盟を通じて、過疎対策事業債の必要額が確保されるよう要望してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県内33市町村のうち約3分の2が過疎市町村でございます。地方税収の割合を見ても、過疎市町村が税収割合10.3%足らずでございますが、ほかの非過疎市町村は、9市町村ありますが28%ということで、やはり大きな税収の開きがございます。財政力指数を見ても、過疎市町村が0.28、非過疎市町村が0.53ということでございますので、ここら辺の税収あるいは財政基盤の確立は非常に大事な、今後さらに一層重要になってくると思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。
そういった中で、今後そういった過疎問題の解決に向けた切れ目ない対策が重要になってくると思いますが、県はどう対応していくお考えかお伺いします。
〇菅原地域振興監 過疎問題への対応についてでございますけれども、県では、岩手県過疎地域自立促進方針におきまして、過疎地域の自立に向けた基本的な方向として、地域資源を最大限に活用し、地域の個性や特性を生かした地域ならではの価値を高める取り組みを展開することにより、自立的な地域社会の構築を目指しているところでございます。
この実現に向けましては、県及び市町村の過疎計画に基づきまして、産業の振興や生活環境の整備、高齢者等の保健、福祉の向上など、ハード、ソフト両面の総合的、計画的な過疎対策を展開しているところでございます。
特に、過疎地域におきましては、人口減少や高齢化が顕著であり、大変厳しい状況であると認識しております。地域資源を生かした産業振興でありますとかU・Iターンの促進、地域コミュニティーの活性化といった人口減少に立ち向かうためのふるさと振興の取り組みを市町村と連携して全力で取り組んでいくことにより、過疎地域の振興を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 過疎対策、人口減少対策、ふるさと振興対策は、まさにふるさとを消滅させないという取り組みだと私は思います。先ほどの広域振興局の絡みでも御質問しましたが、県内ほとんどの市町村が過疎地域でございますので、広域振興局の役割は、まさにそういったところにあるのだと思います。ですから、本当に、予算がなければ、やはり汗を流すしかないし、知恵を出すしかないので、同じ目線に向かってぜひ取り組んでいただきたいと思います。
最後に、広域幹線のバス路線維持についてお伺いいたします。
先ほど柳村一委員からも御質問がありましたので、重複しないところでお伺いしますが、主要施策の成果に関する説明書で、広域的なバス1路線当たり平均乗車密度、計画目標3.9に対して平成28年度実績は3.5ということでございました。原因をどう分析し、どう対策を講じる考えかお伺いします。そして、震災前の水準の4.0を目指すと言っておりますが、この達成見通しをどのように捉えておりますか、お伺いいたします。
〇大坊交通課長 ただいま広域的なバス1路線当たりの平均乗車密度についてのお尋ねがございました。
平均乗車密度は非常に低下してきておりますが、やはり原因といたしましては、いわゆる負のスパイラルが加速していることが挙げられると思っております。具体的には、先ほど申し上げましたとおり、利用者の減少が進みまして路線の収支が悪化する。収支の悪化に伴いまして、運行水準が下がり、サービス水準が下がることにより、さらに利用者が減るというような状況が続いております。
この負のスパイラルをどこかで断ち切るというのが、路線の利用の向上を図る一番の施策だと考えておりまして、広域的な幹線路線とそれに連なります地域内の公共交通を一体的に捉えまして、需要に応じた適切な交通モードの導入あるいは路線の効率化、生産性の向上などに総合的、戦略的に取り組んで、全県的な地域公共交通ネットワークの再構築を図る、これが重要な課題であると考えております。
したがいまして、本年7月に地域公共交通活性化検討会議を設置いたしまして、その取り組み方向を議論いただいております。本年度中に方向性の取りまとめを行う予定でございますが、地域公共交通活性化検討会議におきましては、利便性、効率性、生産性の高い交通ネットワークの再構築を通じまして、負のスパイラルから持続スパイラルへの転換を図ることを狙いとしておりまして、検討結果を適切な対応につなげながら利用の回復を目指していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 先ほども答弁でありましたけれども、現在補助を受けている路線は、国庫が51路線に県単17路線ということでお伺いしておりました。事前にいただいた資料を改めて見ますと、例えば国庫補助の平均乗車密度5.0を下回っている区間が全体の51路線に対して40路線ということで、8割ぐらいが平均乗車密度5.0を下回っているような状況となっております。4.0以下のところは31路線ということになりますが、それぞれの路線を私なりに眺めますと、結構都市部といいますか盛岡市周辺の路線もございます。
何を言いたいかというと、先ほど負のスパイラルの話もございました。私は、取り組みによってはもっと伸びる可能性、余地があるのではないかと見ておりますが、そこら辺の所感をお伺いいたします。
〇大坊交通課長 ただいまの平均乗車密度が下がっている路線は、過疎地だけではなくて都市部にも広がっているという部分がございます。まさにこの平均乗車密度を上げていく部分につきまして、先ほどの地域公共交通活性化検討会議で今議論を進めているところでございます。
やはり負のスパイラルをどう打ち破っていくかとか、あるいは一つのキーワードとすれば、生産性を上げるためにどう取り組んでいくのかといった部分でございまして、今、非効率に長い路線とかがございまして、輸送密度が2を切る乗り合い要件を満たしていないところも結構ございます。こういったところは、大型の路線バスではなく、例えばデマンド交通であるとか、適切な交通モードを入れることによりまして全体の効率が上がるといったことも地域公共交通活性化検討会議で議論しております。そういったところも組み入れながら、生産性の向上といったキーワードも切り口に対応してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 生活支援交通は非常に重要な足でございますので、今お話がありましたとおり、私も多様な形態があっていいのではないかと思っております。デマンド交通であったり、乗り合いであったり、コミュニティバス、さらに言うならば、福祉有償運送であったり過疎地の有償運送であったり、そういったさまざまな形態がございます。多様な取り組みが地域の交通ネットワークに入っていけば、もっともっと住民のニーズに合ったような取り組みができていくのではないかと思いますので、ぜひそこら辺の検討をしていただきたいと思います。
岩手県北自動車では、盛岡-宮古間において、ヤマト運輸の貨物を運ぶヒトものバスを1往復運行しております。国では9月から、過疎地域を抱える人口3万人未満の市町村を対象に、乗り合いバスに350キログラム未満の貨物の重量制限を撤廃したという動きもございますし、貨物用トラックにお客を乗せることも可能になったということです。まさに、私も再三シェアリングエコノミーの話を取り上げさせていただいておりますが、そういったライドシェアとか、あるいは人と荷物を運ぶようなシェアリングの視点が今後ますます重要になってくる、ポイントになるのではないかと見ております。
県では、路線バスの再生に向け、地域住民の最後の足の確保に向けどう取り組んでいくお考えか、最後にお伺いいたします。
〇大坊交通課長 ただいま路線バスの再生等についてのお話がございました。先ほど申し上げました地域公共交通活性化検討会議をこの7月に設置したところでございますが、キーワードの一つが生産性の向上となっております。
例えば路線の効率化等により生み出されました車両でありますとか運転士、資金等の交通資源を必要な需要路線に充てること、また、お話にございました貨客混載など交通資源を幅広い用途に活用しながら収益性を高めること、こういった取り組み、いわゆる生産性を向上させることによりまして、バス事業や路線の再生を図ることを地域公共交通活性化検討会議での検討項目の一つとしております。
限りのある交通資源をさまざまな需要、用途に応じて有効活用していくことにつきましては、バス事業、路線の生産性の向上と地域経済の活性化、あるいは日常生活の利便性確保につながる取り組みと認識しておりまして、地域公共交通活性化検討会議などを通じまして議論、研究を深めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、そういったいろいろ工夫して生まれてきた資源を次の必要なサービスのところに配分していっていただきたい。福祉施設を回ると、障がい者の輸送、足の確保のニーズなども結構多いんですね。ただ、一方で許可を取るのに、なかなか厳しい審査であったり、そうそう簡単に許可がおりない部分もあり、できれば福祉有償輸送とかといった分野にもそういった資源がもし回っていくのであれば、ぜひそういった部分にも手当てしていっていただきたいと思います。要望して、終わります。
〇飯澤匡委員 まず冒頭に、私が総務委員会で資料を求めて、総務委員長から決算特別委員会の委員長に申し送りされまして、提出していただいたこと、心から感謝申し上げます。ただ、この資料が私の本当に思っていた資料とは全く違うものでありましたので、まことに残念ではありますけれども、この点について後に数点伺います。
まず最初に、ILC実現に向けた今後の取り組みについて端的に質問しますので、端的に、要点をまとめて室長が答えてください。
LHCが標準理論を覆す新粒子を発見したと7月に発表されました。これはまだ暫定発表にとどまっておりますけれども、これがILCに与える影響についてどのように分析しているかお伺いします。
それから、2点目は、今もう文部科学省から既に財務省への理解を得るというような、政府の中では物事が進んでいるように一見思われますけれども、財務省も非常に勉強してきて、これはなかなか逆にハードルが高くなってきたとも聞いています。これに対する岩手県の働きかけ、特に戦略的な具体的活動についての方針を教えてください。
〇佐々木理事兼科学ILC推進室長 まず1点目、LHCでの標準理論を覆す新粒子の発見があったのではないかという件でございますが、これは、この5月に研究会で発表されたものでありますが、結論から申し上げますと、標準理論では説明できないデータが得られている可能性があるということ、一方で、統計的ゆらぎの範囲とも考えられ、今後の多くのデータの取得が必要だと研究者間では評価されておりまして、研究結果の積み重ねが重要だと言われております。
いずれにいたしましても、LHCの研究成果そのものをILCが補完するというような関係がございますので、LHCの研究そのものが今後どういう計画で、どういう成果が得られるかを確認しながら、ILCの意義等を改めて確認し、整備に向かっていくと考えております。
それから、財務省への理解の働きかけですが、これにつきましては、やはり国として可否の判断の材料を提供するべく、文部科学省が今、有識者会議を設置して議論しておりまして、議論すべき四つの大きな項目につきましては、おおむね検討を終えております。やはり所管する省庁がしっかりとしたデータを持って、必要性あるいは研究の今後の見解等について説明するべきものと基本的には思っておりますので、そういったスタンスのもとで、今、研究者もステージングということで、実現に向けて検討しております。
この有識者会議でも、今年度後半にはこういったことも確認することになっておりますので、有識者会議で必要な対応、議論等が進められて、文部科学省がしっかりと材料を集めて、財務省あるいは国等との議論に進んでいくものと思っております。
私どもとすれば、超党派の国会議員連盟あるいは東北ILC推進協議会等と連携しながら、しっかりと東北の取り組みの状況あるいは経済波及効果などを提示するなど、連携するべき関係機関とは連携して、国へ働きかけていくことと考えております。
〇飯澤匡委員 今、文部科学省がいろいろ省内の問題があってなかなか集中できないような環境がまだ続いていると。そこで、財務省も多額の費用を、ステージングの状況によって縮減はされるけれども、財務省は財務省で、LHCの結果をよくよく見ながら、このILCの必要性については非常に勉強しているということであります。
ただいま室長が申されましたように、国会議員連盟への働きかけですとか、今回の総括質疑でも、知事への思いとか活動についてお話がありましたが、これだけでは足りないと。やはりしっかり物にするためには、お金を持っている財務省への働きかけもいろいろなルートを通じてやっていかなければならないと思っておりますので、その点はこの辺にとどめておきます。
次に、IGRの経営に関しての県の監視体制強化についてお伺いします。
きょう提出された資料については、冒頭、部長からもお話があったように、JR貨物輸送実績に基づいた線路使用料の精算額について公表できないということは、非常に残念であります。県として把握しているかどうか、これは財務に与える影響についてきちんと把握しているのかどうか、この点についてお伺いします。
〇大坊交通課長 ただいまJR貨物線路使用料の精算額についてのお尋ねでございます。
先般、総務委員会におきまして、JR貨物線路使用料の精算額の開示というお話をいただきました。その後、私どもはIGRにその精算額につきまして、当然、その推移と数字も含めまして確認しております。
ただいまお尋ねの中で経営に与える影響というお話がございましたが、今の計画値では、お手元の資料にありますとおり26億円から27億円で近年推移しておりますが、通年で見るとこのような線路使用料の収入が見込まれるという回答をいただいております。
〇飯澤匡委員 ですから、影響を与えるかどうか、県の監視体制の見地から、あなた方はどういう判断をしているかということを聞いているのです。
〇大坊交通課長 ただいま経営に対する影響というお話でございました。繰り返しになりますが、通年で見ますと、例年どおり26億円から27億円の線路使用料収入が見込まれるということを見れば、これまでのような線路使用料により経営が支えられると考えております。
〇飯澤匡委員 影響はないということをおっしゃられましたから、これは後々に財務状況、12月の取締役会では、恐らくそれも含めて報告があるでしょうから、それでちょっと間違ったことがあったら大変なことになりますからね。それをまず指摘しておきます。
それで、以前にも多くの委員から質問がありましたが、県が54%を出資して、なおかつ、昨年は大きな見込みの違いによる赤字が発生した。この財務状況を見ますと、営業費用が収益より上回る、そして営業外費用も収益より上回っている。これは経営体としてまるで失格なのではないですか。
それで、この数年の推移、収支の状況を見ますと、経常利益は、菊池社長になってからどんどん減っている。そして、純利益も─純利益は、いろいろな部分がありますからあれですが、私が注目しているのはこの経常利益です。どんどん費用が増しているんですよ。この状況について県はどのように把握し、この経営の体制についてどういう評価をしているか、その点についてお伺いします。
〇大坊交通課長 ただいまはIGRの経営の推移につきましてのお尋ねでございます。
やはり近年、IGRの事業環境が非常に厳しくなってきているということがございまして、その一つの大きな要因は、寝台特急が全廃になったのが非常に大きなところでございます。収入が非常に大きく減ってしまったという部分でございます。
これに対しまして、平成26年度から、IGRにつきましては、この減収分に対応するために関連事業に力を入れております。ことしで3年目となりますが、今、この関連事業につきまして、営業を軌道に乗せる段階でございまして、その中で必要な投資等が経費の中にあらわれてきているという経過局面であろうかと考えております。
いずれ、関連事業につきましては、昨年のいろいろな着服不正事案もございましたので、我々も経営をしっかり見ていくという部分でとらまえながら、IGRの経営が適切になされるように支援していきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 では、もう余り長くやってもしようがないので、いずれ、現在のIGRの経営体制については、社長の独断専行が大きく社員の信頼を裏切ることになっていると聞いています。今回の不祥事案についても、それから見込み違いの収支についても、社長は朝礼でこう言っていますよ。私は全く責任がない。私は全く責任ないんだと。こういう状況の中で経営改革とかができるのでしょうか。
先ほど減俸を申し出たと言いますけれども、そんな状況ではないですよね。もっと思い切ったことをやらなければ。それをきちんと監視するのが県の仕事だと思います。
先ほど大坊課長が申されましたけれども、線路使用料については減額されるのはもう大分前からわかっていることです。それに基づいて経営戦略を打たなければならないのに、何もやっていないからマイナスになっていく。
そして、関連事業ですけれども、部長は伸び代があるものもあると言いますが、では、大坊課長に聞きます。あなた方はきちんと関連事業の収支についても把握しているのだったら、何の事業が一番伸び代がありますか。そういうことはきちんと判断しているのでしょう。きちんと目を通しているとこの間、総務委員会で聞いたから。何の事業がきちんと伸び代があるのか、ここではっきり言ってください。
〇大坊交通課長 ただいま関連事業のお尋ねがございました。繰り返しになりますが、昨年度、着服不正事案が起きまして、私どもも、議会のたび重なる御要請も受けまして、経営の監視を強めようということで、先ほど申しましたとおり、9月上旬にはIGRの本社に行きまして、現地の帳票なども見て調査しております。その中で、もちろん関連事業の動向についても私どもはしっかりと把握しているところでございます。
伸び代というお話をされましたけれども、詳しい数字は出せませんが、おおむねの概況を申し上げますと、開業時から展開しております不動産事業につきましては堅調に推移しておりまして、おおむね収支が相償うという状況でございます。
なお、観光業につきましては、平成25年度から力を入れ始めておりまして、平成27年度におきましては、粗利ベースではありますが前年度の2.4倍ぐらいの伸びをしている。平成28年度におきましては、前年度ベース、粗利で15%程度の伸びを見せている状況でありまして、着実に営業の基礎はできてきているのかととらまえております。
なお、飲食店につきましては、青山駅、滝沢駅で展開しておりますが、正直申し上げまして、競合も周辺に多く、なかなか苦戦をしている状況でございます。
さらに……(「コンビニがあるでしょう、コンビニが」と呼ぶ者あり)コンビニエンスストアにつきましては、一戸駅と、八戸自動車道折爪サービスエリアに展開しておりますが、こちらは、主に高速道を中心にして、去年7月に開業しましたが、ことしは通年営業ということもありまして、いろいろな帰省客の御利用などもいただきまして、順調に推移しているということを聞いております。
IGRにおきましては、この関連事業に力を入れてことしで3年目でありまして、中期経営計画もことしが見直しの時期になっておりますから、関連事業をしっかりとここで評価をして、営業の軌道に乗っているものはさらに伸ばす、あるいは営業の軌道に乗り切らないものについてはどうするかといった部分をしっかりと判断するものと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にします。判断するものと聞いておりますではないんですよ。あなた方は軌道修正する義務があるのではないですか。これほどの不祥事が2件続いて、いいですか、先ほど来質問がありますように、ステークホルダーは県民なんですよ。ですから、県出資等法人運営評価レポートにも書いてありますけれども、県が、法人のマネジメントでは定期的な状況把握をしながら、指導監督の一層の強化を図る、このようになっていますが、実際問題、送り込まれた新しい専務取締役は、今、社長とは、おまえあっちへ行っとけと、全く経営にも参加できないような状況と聞いています。こんな状況でいいのでしょうか。
私が最も恐れるのは、こういうトップと社員の心が離れて、何か大きな事故が起こったりということが一番心配なわけです。この状況の中で一番かわいそうなのは社員ですよ。それをしっかり県は監視を強化していかないと。今の交通課長の話は、この関連事業についても、中身がつまびらかになったらとんでもないことになりますよ。それだけ申し上げておきます。
いいですか、部長には言わないですけれども、しっかり見ていてください。あなたは取締役なのだから。中身をやっぱりきちんと見ていただきたい。そして、しっかり軌道修正をしてやっていかないと、本当の県民の足という責務を達成できなくなる可能性がある。ですから私は何回も何回もこの質問をしているわけですから、どうぞよろしくお願いします。終わります。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、政策地域部関係の質疑をこれで終わります。
政策地域部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時10分 休 憩
午後3時29分再開
〇佐々木朋和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ12人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇佐々木復興局長 平成28年度の復興局関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、復興局所管の事務事業に係る取り組み状況等について総括的に御説明いたします。
復興局は、東日本大震災津波からの復興に向けて、次の五つを施策の柱として重点的に取り組んでまいりました。
第1は、復興の取り組みの着実な推進であります。
平成26年度から平成28年度までを計画期間とする第2期復興実施計画を着実に進めるため、復興委員会や総合企画専門委員会等の開催のほか、復興意識調査や復興ウォッチャー調査などを実施しながら復興の取り組みを推進してまいりました。
また、平成29年3月には、第2期復興実施計画の取り組みを踏まえ、さらなる展開への連結期間における第3期復興実施計画を策定し、公表いたしました。
第2期復興実施計画に掲げる事業の平成28年度の進捗状況につきましては、本年4月に復興実施計画(第2期)の施策体系・事業に基づく進捗状況(確定値)を公表しており、第2期復興実施計画に掲げる延べ409指標のうち、進捗率が80%以上の指標が327指標、80.0%となっております。
一方で、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされていることから、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行うため、第3期復興実施計画に掲げる事業について、関係機関と連携を図りながら最後までしっかりと取り組んでまいります。
第2に、復興まちづくりにおける課題解決と市町村支援であります。
復興事業の円滑かつ迅速な実施を支援し、早期の住宅再建を図るとともに、快適で魅力あるまちづくりを促進するため、復興整備計画の作成や移転元地活用促進の支援に取り組むとともに、被災者の今後の生活設計や再建等のための情報提供として復旧・復興ロードマップを公表いたしました。
第3に、被災者に寄り添った暮らしの再建であります。
内陸及び県外へ避難している被災者の住まいの意向調査や再建方法の相談支援を行うため、いわて内陸避難者支援センターを設置し、恒久住宅への移行促進に取り組むとともに、被災世帯の多くが希望している持ち家の建設、購入に係る資金を市町村と共同で補助し、早期の住宅再建を支援しました。
また、沿岸4地区の被災者相談支援センターに相談員を配置するとともに、司法書士やファイナンシャルプランナーなどの専門家を派遣して、被災者の生活再建に向けたライフプランの作成を支援するなど、被災者からの相談や問い合わせに対し、きめ細かい支援に取り組みました。
第4に、なりわいの再生による三陸創造であります。
被災事業所復興状況調査を実施し、事業所の復興状況を的確に把握しながら各種施策の効果的な推進につなげたほか、産業再生特区制度による事業者の税制特例措置の活用を促進しました。
また、沿岸地域の産業振興を促進するため、被災者等の起業などを支援するとともに、専門家によるきめ細やかな経営指導を行ったほか、基幹産業である水産加工業の人材確保のために必要な宿舎の整備等に要する経費を市町村と共同で補助しました。
第5に、復興に係る情報発信ときずなづくりであります。
県内外での復興フォーラムやいわて復興未来塾の開催、いわて復興だよりの発行など、積極的な情報発信により国内外の皆さんとの連携やつながりを深め、震災の記憶の風化防止に取り組んだほか、震災の事実と教訓を国内外に伝承するため、いわて震災津波アーカイブを構築するとともに、陸前高田市内への震災津波伝承施設整備に向けた検討を進めました。
今後におきましても、復興実施計画に基づき、多様な主体の参画や交流、連携により、復興事業の総仕上げを視野に復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら復興を推進してまいります。
引き続きまして、復興局関係の決算について御説明いたします。
復興局関係の一般会計歳出決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページの2款総務費のうち、2項企画費の一部、3款民生費のうち、5項災害救助費の一部、16ページと17ページに参りまして、12款公債費の一部でありますが、これらの支出済総額は265億4、939万円余であり、翌年度繰越額は6、457万円余、不用額は7億1、372万円余となっています。
決算の内容については、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略し、主な事業の内容を中心に御説明いたします。
歳入歳出決算事項別明細書の166ページ、167ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、右側備考欄下段の復興局関係205億8、225万円余の主なものについて、1ページめくっていただきまして、169ページの備考欄の上から2行目、震災津波関連資料収集・活用等推進事業費は、東日本大震災津波からの復旧、復興の状況を後世に残し、その教訓を今後の防災活動等に生かすための震災津波関連資料の収集や、いわて震災津波アーカイブの構築に要した経費です。四つ飛びまして、さんりくチャレンジ推進事業費は、被災地での起業等に係る事業計画策定や初期費用の補助、販路開拓などの支援に要した経費です。一つ飛びまして、東日本大震災復興交付金基金積立金は、県が実施する東日本大震災復興特別区域法に規定する復興交付金事業に要する基金の積み立てに要した経費です。
なお、167ページの繰越明許費欄に記載しております6、457万円余は、169ページの備考欄の上から4行目、震災津波伝承施設整備事業費において、施設の基本設計業務に不測の日数を要したことにより繰り越したものなどです。
次に、2目計画調査費の備考欄の最後に記載しています復興計画推進費は、復興委員会の開催や復興意識調査、復興ウォッチャー調査など、復興計画の進行管理、推進に要した経費であります。
次に、210ページ、211ページをお開き願います。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、備考欄に記載しています復興局関係58億5、360万円余の主なものについて、まず、復興局関係の二つ目の救助費は、応急仮設住宅の維持修繕や解体撤去、民間賃貸住宅の借り上げに係る経費など、被災者への応急的な救助に要した経費です。一つ飛びまして、災害援護資金貸付金は、東日本大震災津波により被災した世帯に対し、生活の立て直しに資するための貸し付けを行う原資を市町村に貸し付けるために要した経費です。一つ飛びまして、仮設住宅共益費支援事業費は、応急仮設住宅における集会所等に係る水道料金や電気料金等の共益費を負担したものです。その次の被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、被災者生活再建支援金の加算支援金を受給して住宅を建設または購入した世帯に対し市町村が補助する場合に、その費用の一部を補助したものです。
次に、362ページ、363ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち1億266万円余が復興局の所管ですが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金であります。
以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 私から、大きく2点についてお伺いいたしたいと思います。
まず、復興交付金でありますけれども、これは、国からダイレクトに被災した13市町村に来るお金と、岩手県に来て、岩手県が案分、配分を決めて交付したものとに大きく分かれると思います。そういう中で、本年5月23日現在まで17回にわたって交付金が配付されてきました。一つの例として、宮古市の場合、平成23年から平成24年までは第1回から第5回まで、あとは各3回ぐらいずつなってまいりまして、17回にわたって国からダイレクトに来た配分、交付金は625億9、000万円、そして、岩手県を経由して岩手県の案分によって配付されましたのが264億8、000万円、合わせて890億円が宮古市に交付されてきたわけであります。
伺いたいのは、県を経由して13被災地に配分したということを知らない県民が多いと思って、大変残念に思っております。せっかく矢面に立っている広域振興局が大船渡市、釜石市、宮古市、久慈市に四つあるわけですから、県の働きの大きな枠組みを示すということから、こういうことをまず被災地の皆さんに教えていくべきだと私は思うのですが、どういうやり方か何か県民に対して説明してきたことがあるのでしょうか、まずお伺いいたします。
〇和村まちづくり再生課総括課長 県及び市町村に交付された復興交付金の額やその事業の計画については、国から事業執行が可能となる旨の連絡があった都度、ホームページやマスコミに知らせておるところでございます。さらに、復興事業の進捗状況については、社会資本の復旧・復興ロードマップや復興実施計画における主な取り組みの進捗状況で定期的に情報発信に努めているところでございます。
県では、市町村と連携しながら、復興交付金を活用し、災害公営住宅や道路の整備などさまざまな復興事業に取り組んでいるところであり、引き続き復興事業の進捗状況等の情報発信に努め、市町村と一体となって一日も早い復興に取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 市町村と一体になってというのはいい言葉ですが、県独自がどういうことをやってきたかを積極的に知らしめるべきだと思うのです。よく言われますのは、県は何をやっているのだろうと。さっぱり動きが見えないと言われる場合がよくあります。
東日本大震災津波からの復興については、当初、県が基本計画を立てた際、大きく三つを基本に復興計画を立てました─発災から1カ月後です。安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の3点です。それは非常によかったと思っております。その後、被災した13市町村が、現地対応に慌ててあたふたしていた部分もあるのでしょうけれども、相次いで3カ月後、6カ月後、遅いところは1年後にそれぞれの地域の復興計画を樹立されました。前にも言いましたけれども、県が一番先に基本計画を示してよかった、このように思っております。
そして、そのときにそれなりの担当を決めたと思っております。例えば、県立の学校なり病院なり、あるいは県営の漁港なり、県土に絡むもの等は県がやります。これは当然のことであります。そして、各市町村の復興計画は各市町村が立案してください、こういうことに仕分けしてきたように思っております。
そういう中で、各市町村の復興競争といいますか知恵比べといいますか、そういうところが問われてきたと思っております。市町村は、それぞれが持っております、例えば都市計画によるもの、あるいは土地区画整理事業あるいは防災集団移転促進事業あるいは漁業集落環境整備事業などなど、いろいろな事業を組み合わせて事業展開してきたものと思っておりますが、この認識については間違いありませんか。そして、どういうふうに市町村と確認をとりながらやってきたのか、まずお伺いします。
〇和村まちづくり再生課総括課長 事業の役割分担につきましては、委員おっしゃったとおり、県の管理する分については県が管理し、市町村が管理しているものは市町村が行うということですけれども、いずれ市町村の復興事業と県の復興事業は関連がございますので、それぞれの事業につきまして、それぞれ関係部門で協議しながら進めております。
〇伊藤勢至委員 そういう中で、各市町村がいろいろな手法を組み合わせた結果、土地のかさ上げを選択した地域が多いようでありまして、13市町村のうち7市町村がかさ上げを選んでおります。そのかさ上げの状況も、0.5メートルから普通が大体3メートルから7メートル。そして大きいかさ上げといいますと、大槌町の赤浜地区が11メートルのかさ上げであります。そして、最大のかさ上げは陸前高田市の最大16メートルとあります。16メートルのかさ上げ、これはいかほどのものかといいますと、電柱の一番高い地上部分で13.5メートルといいますから、電柱1本分以上も高いかさ上げをする、これを当該市の長が決定してやってきたと思っております。
陸前高田市につきましては、私どもも何回か視察に参りまして、市街地を一望できる高台から視察したときもありました。世界最大級のベルトコンベアーが何台も並んで、そしてそのベルトコンベアーの最後のところには、国内最大級の90トンダンプカーが相当な台数、まさに蛇に群がるアリのような状況で動き回っておりました。これはすごいものだと思いましたが、同時に、これは時間がかかるだろうと思ったところであります。その完成目標は、早いところでは大体平成27年度ですが、平成28年、平成29年、平成30年ぐらいで大体そろっているのですが、陸前高田市は平成32年となっております。
先般、中心商店街が再起したと聞きまして喜ばしく思っているのですが、これはかさ上げが終わってから、まず道路部分に上下水道を設置して、電柱を立てて電気を配電して、そして成っていくわけでありますので、これから埋め立てをしていくところはどうしても遅くなる。その決定をしたのは、それを選んだのは、県ではなくて当該市町村ということでいいわけですね。確認です。
〇和村まちづくり再生課総括課長 土地の確保につきましてはいろいろな手法がございますけれども、その中から陸前高田市の場合は土地をかさ上げするということで決定したと確認しております。
〇伊藤勢至委員 それぞれの首長が相当な苦渋の決断のもとに出した結果だと思いますから、それは尊重して、できるだけ早く完成するように祈るものでありますけれども、そういう長大な計画を示したならば、いつごろ終わるというのも本当は一緒に市民に説明をしなければならなかったのではないかと私は思っております。
日本語の熟語の中に起承転結というのがありますけれども、これは、まず起こった原因はどうなのか、そして承ですが、承るということですね。状況がどうなのかを確認する。転、転化の転です。それをどういうふうに結論に結びつけるか。そして結、結果が生まれるわけでありますが、人間のさがとして、時間がたつと承、転が消えてしまいまして、原因と結果だけを追求するようになってくるのです。
したがって、例えば避難場所に避難した人たちは、応急仮設住宅はいつできるんだ、いつなんだと言います。そして応急仮設住宅に移転した際は、その人たちは今度は災害公営住宅はいつできるんだと。これが恐らく沿岸のみならず、県民性といいますか日本人の特性だと思います。ですけれども、行政というのは、承と転の部分をしっかりとポイントとして押さえて、次なる人たちにも伝えていかなければ上手に伝わっていかない、このように思うのです。
宮古市駐在の沿岸広域振興局副局長は、発災以来、現在の副局長で3代目です。それがいい悪いの話ではありませんが、ポイントを職員もしっかり押さえておかなければ、原因がどこにあって今どこに向かっているのかをお互いがわかっていないと、承と転が欠落して結ばかり求めてはいけない。どういう事情、どういう経過があってこうなっているのかを人がかわろうともみんなで共有していかなければならない、私はこのように思っているのですが、どうお考えですか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 事業を行う際につきましては、再建を望んでいる方々のためにも、いつでき上がるのかをきちんと示す必要があると思います。そのためにも、社会資本の復旧・復興ロードマップにおきまして、いつ工事着工し、それがいつ終わるかというのを示しております。また、区画整理につきましては、各市町村が、事業のスタートはもちろんですけれども、その途中でも住民の方々に説明していると聞いておりますので、いつ終わるのかということはできるだけ……、もし変更があれば変更があった段階できちんと説明していると聞いております。
〇伊藤勢至委員 被災地の皆さんは、言ってみれば希望がない状況で毎日を迎えているわけです。ですから、明るい情報はいち早く欲しい。そういう中で、明るい情報を届けたいけれども、どうしてもこういうことでおくれていますということも正しくお伝えしなければ、そこを飛び越えていってしまうと、何だ、あのときは何月の完成と言ったのが何でここまで延びたのだ、こういうことになるのです。これは人間のさがだと思います。特に被災された方々は、よりどころがないので必ずそういうふうになると思っていますから、何度も何度も説明をして理解してもらって、言って聞かせて、そして見せてです。だから、1回文書を出しました、社会資本の復旧・復興ロードマップを出しました、それで全部伝えたということには決してなっていない。したがって、四つの広域振興局があるのですから、最前線に立って、今どういうふうになっていますということをかんで含めるように説明してほしい。これが大事なことです。
現在の仕事、業務を続けるのは行政の継続性ですから、誰がトップであってもやっていかなければならない。だけれども、続けてやってきたものを、人がかわったからといってやめるわけにはいかないのです。そういう継続性はあると思いますので、今の原因が何で、どういう状況になって、それを抑える、変えるためにどういうふうになって、今どの結論を目指している。このポイントは、やっぱり県職員たる皆さんは、トップから職員の皆さんまであわせて理解して、そして説明をしていく、そのように思うのですが、復興局長、どうでしょうか。
〇佐々木復興局長 ただいま委員から御指摘のありましたことについては、私どもも市町村を訪問して首長の方々と意見交換した際に同様のことを御指摘いただくこともございまして、同じように認識しております。特に社会資本の復旧・復興ロードマップは現在は半年ごとの更新となっておりまして、市町村によってはもっと短い頻度で更新しているところもございますので、県のロードマップと市町村の公表しているものがちょっとずれているという御指摘もいただいております。
ただいま今年9月末時点でのロードマップについて見直しを行っているところでありまして、やはりやむを得ない事情により延伸が見込まれるところもございますので、そういうところについてはあらかじめ市町村にもしっかり説明し、委員から御指摘がありましたとおり、結果だけではなく、なぜ延伸になっているのか、そして、その上でいつぐらいの完成が見込まれるのか丁寧に説明し、また、住民の方々にも御理解いただけるような説明を尽くしていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 まさに千年に一度の災害と言われていますが、そういう中で起こりやすいのは、市町村は、当たりどころがないときは県が悪いと言う。県は、自分たちが及ばないときは国が悪いと言いがちです。だけれども、これを言ったらおしまいです。それぞれが持っている役割の中で最善を尽くして復興に尽くしていく、これが皆さんの役割だと思いますし、それを我々もサポートしていかなければならない。何たって我々は予算を持っていないのですから。予算を持っているあなた方が立案してそれを実行していく。それを県民にかんで含めるように説明していく、ここが大事だと思います。
13市町村は、県を経由しての補助金を結構もらっているのです。だけれども、そういうことを市町村の広報などで県から何ぼ何ぼもらいましたというのを挙げた市町村はありません。そういうことまで考えて、やっていることを正しく報告するのは何も悪いことではないと思っておりますので、市町村の主体性を考える余りに県の働きが隠れてしまってはいけない、このように思っておりますので、どうぞ県庁マンは自信を持って復興に邁進していただきたい、このようにお願いして終わります。
〇佐々木茂光委員 今、大変実のある、被災地にとっては非常に熱いものを皆さんも受けられたと思います。東日本大震災津波から6年、7年たつとこれぐらい被災地に差が出てくることも皆さん承知されただろうし、今言われたように、なぜおくれているのか、この日までやるとおまえたちは言ったろうということから、そして今、当たりどころがないというのは本当にそのとおりです。上を向いても下を向いても全然変わらないのです、自分たちの身の置いているところが。それがいろいろな面で役所のほうにそういう声も届いているかと思います。いずれそういうところをさらにしっかり、一日でも早い復興を皆さんも願っていると思います。それに合わせて、気持ちを絶やすことなくしっかりと取り組んでいただきたいと私も思うところでございます。
私は、震災津波伝承施設の整備にかかわる件でお尋ねしたいと思います。
これは復興祈念公園のまさに中核をなす施設の一つということで、非常に大きな役割がその中に含まれていると思います。この施設─施設と言うのは私、余り好きではないのですけれども─そういう場所に、こういった教訓を伝える、いろいろ津波の大変さ、その規模の大きさなりを教訓として伝えていくためのものとして、その役割がどのようなところにあるのか、まず最初にそれをお尋ねしたいと思います。
〇和村まちづくり再生課総括課長 伝承施設の役割につきましては、まずはその事実を伝えるということで、今回あった津波の事実、これまでも繰り返しあった津波の事実を伝えることでございます。あと、津波の際に人間がどのような行動をとったか、また、その行動によってどのような結果になったかを伝えること、それらを見ながら、施設に来た方々が今後、自分はどうすればいいのかということを学ぶ場所だと考えております。また、復興に向けて歩んでいる我々の姿を見せることによりまして、県の復興に対して支援してくださった方々に対して感謝を示すものであると考えております。
〇佐々木茂光委員 まさにそういう形でないと、観光客ではないですけれども、来ました、行きましたというものでなく、しっかりとそこで学び取れるような形、見せる側とすれば、展示するものにも工夫を凝らしながら、まさにそれが五感に伝わるような示し方が必要と思うのですが、その辺の内容等についても御協議されているでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 内容につきましては、一つは、その強さを伝えるということで、今回の津波で被災しました消防車の展示や、大きなスクリーンを使って津波の映像を映す、あと、その事実といいますか、どのようなことをやったかを時系列に示すものとか、実際その当時使われた国の災害対策室を展示して、どのようなことが行われたかなどを示す予定になっております。
〇佐々木茂光委員 そういった中に、地元の方々の声─死んだ人は声を出すことはないですけれども─、生き延びた方々の思いなり気持ちなりをどこかで示すことのできる場所というのは何かあるのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 まだこれは予定でございますけれども、できれば生存者の方々から実際どのようなことがあったかということを証言していただきまして、それを聞くようなコーナーをつくりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 極力そういう、本当の声と言うとちょっとあれですけれども、その辺が一番重要な気がします。その中に、当然ガイドする人、それからいろいろ説明を加える人も配置されるのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 ガイドする方につきましては、地元の市町村と協議いたしまして、そういう方を養成するような形で考えていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 その周辺には、震災遺構ということで、陸前高田市は雇用促進住宅、それからタピック45と四つぐらい残す形になりますよね。当然津波の被害の大きさ、規模を目で見ていただくことももちろん大事なことと思うのですが、その遺構の利活用というのはどのように考えているのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 公園内には四つの震災遺構がございます。その四つの遺構につきましては、被害の程度や破壊力の大きさなどの津波の脅威を後世に伝える貴重な資料であると考えておりますので、遺構の周囲に安全対策を講じた上で外部から見学する、いわゆる見守り遺構として活用していこうと考えております。
〇佐々木茂光委員 見守り遺構というのはどういうことなのですか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 その施設の中に入るのではなく、その周辺からそのものを見てその脅威を感じるということで、中には入らず周辺から見るだけとなっております。
〇佐々木茂光委員 津波の脅威は感じないでしょう、外から見ただけでは。あの中の様子というのを見たことがありますか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 見ておりません。
〇佐々木茂光委員 見ていないのは、本当に見守りというのは宮守と同じ話になってしまうのだけれども、それでは強さというのは感じないのではないかと思いますけれども、そういうふうに思いませんか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 タピック45の場合、その高さが十分理解できると思いますので、それだけでも十分脅威というのは伝わると思っております。
〇佐々木茂光委員 タピック45は上がれることになるものなのでしょうか。
今、何で私が震災遺構にこだわって話をしているかというと、その姿を見せるというのは、その目線に立って初めてその脅威なり強さというものを伝えることができると思うのです。極端に、津波の高さだけ見せるのなら、何も建物を残さなくて、くいを打って墨でも塗っておけばそれでも十分、ああ、ここまで来たのだというのなら、それで十分だと思うのです。ちなみに、震災遺構について維持管理はどういう形になっていくのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 震災遺構の維持管理につきましては、公園内の遺構の保存や管理のあり方について、遺構の所有者である陸前高田市と協議の上、それぞれの遺構の具体的な保存や管理、活用について検討を進めていくこととしております。
〇佐々木茂光委員 とりあえず残しましたと。今、残っているわけですね。その辺の利活用については、県と市と、どのような方法で残すかということはこれから協議するということでよろしいのですか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 いずれ震災遺構につきましては、これから市町村と協議しながら詰めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 私が言うのもあれですけれども、やっぱりしっかり中を見せて、あの目線から津波の高さを見るほうが非常にインパクトがあると思います。直接水をかぶるわけではないからですけれども、あの高さから町並みが見えてくるということです、下手をすると堤防と同じ高さぐらいになるから。このぐらいの高さで津波が来たというのが逆に目で確かめることができると思います。ただ単に外から見守り、宮守じゃないですけれども、そういうような感覚だったら要らないです。だったら別なものに切りかえた形で保存してもらったほうが、まだこれからのまちとしての利活用を考えたときにいいと思います。ただそれを外側から眺めるのだったら、朽ち果てていくのをただただ眺めるだけでしょう。
中学校もそうです。ことし、私たちは還暦で、気仙中学校の中に入ろうということで、今、工事中だからだめだと言われたけれども、まずいいから入ろうと。とりあえず中に入って、我々の母校もそういう形で将来的には入ることもできないということを言いながら、我先になってみんなで見てきました。自分たちはそこを学び舎として学んでいるから、そのときの津波の高さというのがみんな記憶の中にあるのです。そうすることによって、来る人たちも感じるものが丸きり違います。私たちの校歌の中に、愛宕の山とあるのです。今、あそこが今泉地区の大きな造成地になって、110メートルあったのが今、40メートルぐらいまで頭を落とされてしまった。まさに校歌を歌う機会もなくなるのです。愛宕の山の裾近くって、その愛宕の山がなくなったのです。浦松原の松原も、一本松、1本です、今。
だから、そういった思いを乗せるのは、やっぱりそこの場所から、その目線から、被災地、自分たちの潰されたところを見るということ。これは自分たちもそうだけれども、ほかから来る人たちも、そこで初めて教訓たるものは授かっていくのではないかと思います。
そういったところ、参考になるか、有識者の方々が大勢いるそうでございますけれども、そういったところにもそういった議論が必要ではないかと思うところでありますので、申し添えておきたいと思います。それについて何かお話ありますか。私もそう思うとか、では、そういうふうに考えてみましょうとか、お願いします。
〇和村まちづくり再生課総括課長 確かに震災遺構につきましては体感することが重要だと思っておりますが、震災遺構の活用につきましては、建築基準法等の関係法令に基づきまして、来訪者の安全を確保することが必要だと考えておりますので、その点を含めながら検討したいと考えております。
〇佐々木茂光委員 いずれ建築基準法なり、いろいろ決まりがその中にあると思うのです。それも、考え方、捉えようだと思うのです。危険と言うとちょっとあれですね、今々崩れそうに傾いているという状況にもないし、いずれその辺をしっかりと協議の話の中に入れていただいて、いかに……。
要は、維持していくということは金のかかっていくことだから、その維持費をどのような形で捻出するかという話に行くのであればまた違うと思うけれども、最初からそういう観点を持たないで、これは皆さんで見守っていきましょうでは、朽ち果てていくのを見守るだけでは、全然生きた遺構にも何にもなっていない。そういったところをしっかりと印として形として残すからには、手を加え何を加えしながらでも、しっかり皆さんの目に届くような形で生かしておくべきだと私は申し添えておきたいと思います。
一番気になるのは、その周辺もそうですが、来訪者─ほかから来られる方々のいざというときの避難をどのように考えているのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 施設来訪者の安全確保につきましては、高田松原津波復興祈念公園の基本計画におきまして、津波のおそれがある場合、高田地区のかさ上げ市街地や今泉地区の高台市街地に徒歩で避難することを基本としております。安全かつ速やかに避難ができるよう、市民ワークショップや有識者等の意見を参考としながら明確な避難経路や案内誘導のあり方について検討を進め、昨年9月に公園全体の基本計画を取りまとめました。引き続き、国や陸前高田市と連携しながら、安全な避難が図れるよう調整したいと考えております。
〇佐々木茂光委員 ずっと聞いているのですけれども、原則、徒歩ということだったでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 避難の場合は、原則、徒歩でございます。
〇佐々木茂光委員 私からしてもそうですが、あそこを通り過ぎて、では、ここを見ていこうという人は徒歩では来ていないですよね。見てのとおり、あそこから例えば東側、西側、そして高台に歩くというと相当な距離を歩かなければならない状況だと思うのですが、その辺、これはあくまでも原則、徒歩という形で、崩れる話ではないのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 交通事故等のおそれや、徒歩による避難者の円滑な避難を妨げるおそれがあることから徒歩での避難を基本と考えているものでございますが、障がいのある方、高齢の方など、歩くこと、走ることが難しい来訪者の安全がきちんと確保されるように、関係機関とも調整しながら丁寧に検討していきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 来るのは1人2人ではないですよね。これからかなりの人があそこに出入りするだろうと見ているところですが、大体にしてあそこから逃げられた人は、みんな車が詰まって詰まって取り残されて、波に追い越されたような格好で亡くなっているのです、市内のほうの方々は。そういうふうに考えると、明らかにこれは避難する道路だというものが目に見える形で、しっかり道づくりというか避難路づくりというのはしたほうがいいのではないかと思います。
その辺、参考になるか、参考にしていただければいいと思うのですが、最終的に施設管理者は県になるか国になるか市になるかということになりますけれども、あの一帯を管理していく立場の人たちがそういう目線に立たないと、また同じようなことを繰り返すと思います。その辺、検討の上にも検討を重ねていただきたいと思います。
〇和村まちづくり再生課総括課長 安全につきましては非常に重要な項目ですので、国、県、市ときちんと協議しながら、本当に単純にわかりやすい標識といいますか、そういう経路を確認できるように確保したいと考えております。
〇佐々木茂光委員 わかりました。以上で質問を終わります。よろしくお願いいたします。
〇岩崎友一委員 今の津波伝承施設の避難路の関係で関連ですが、今回の東日本大震災津波で、例えば大槌でも、津波が来る前は自主防災組織の避難訓練は徒歩でやっていた。実際、東日本大震災津波が発災した2011年3月11日、どうやって逃げたかといえば、車で逃げたのです。避難訓練は徒歩でやった。ただ、いざ津波が来るとなってサイレンが鳴って、あおられる形になって早く逃げなければという心理になれば、人間はどうしても車を使ってしまった。車を使ったことによって渋滞が発生し、このままでは亡くなるということで、車をおりて上に逃げる。そうすると、前の車に誰も乗っていないので、ずっと渋滞するわけです。そのうち津波が来て全員のまれて亡くなるというのが今回の津波の犠牲者が多かった理由の一つでもあると思うのですが、やはり津波伝承施設でありますので、しっかりとその津波の教訓というものが生かされなければ、全く意味がない施設になってしまうと思います。
今のまちづくりの中で、そういった教訓を生かして、道路を広くして、同じような津波が来たら車で逃げようというまちづくりをしている市町村、地域もあるというのは皆さんも御存じだと思います。その辺をしっかりもう一度考えていただいて、本当の意味で津波の恐ろしさを伝える施設として後世に引き継げるようなものにしていただきたいと思いますが、これは復興局長の答弁をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
〇佐々木復興局長 伝承施設に来ていただいた方々がいらっしゃるときに万が一地震が起こり、津波が起こった際に人的な犠牲が出るということは絶対に避けなければならないことだと私も考えております。委員から御紹介のありましたとおり、今回の大震災津波では、車で避難した方がいて、その車が避難の支障物になったということもございます。そういったことについてはこの伝承施設でも事実として伝えることになると思いますし、また、来館された方々にも、来ていただいた段階で、万が一今ここに津波が起こったらこうしてほしいということがわかるような掲示ですとか、場合によってはそういったリーフレットを用意しておくとか、そういうソフト面での対応も考えられると思っております。そこら辺については、道路の整備は市で行う部分もございますので、そういったこととあわせて、国、県、地元市が連携して、どういったハード面、ソフト面での対応が図られるかを今後さらに詰めていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 徒歩で逃げる、そういった考えありきではなく、今、私が言ったような観点からもしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
〇田村勝則委員 時間も押しているようですから、端的に1点お伺いいたします。
復興に向けた事業所の復興状況の調査結果が資料として配られております。この中身、実績、成果についてどのような考え方をお持ちであるかということと、今後のきめ細かい施策というものに当然、県、広域振興局、自治体、そして事業者がしっかりとした連携の中に取り組むべき状況になっていくと思うのですが、その点についてあわせてお伺いいたします。
〇小原産業再生課総括課長 被災事業所復興状況調査を踏まえた今後の施策等についてですけれども、事業再開の状況につきましては、今回、再開済み、または一部再開と回答した事業所の割合が83.8%という推計になっております。この結果については、被災地の区画整理等が進みまして、事業再開の環境が整ったことにより、こちらの割合は上がったものと考えております。
しかしながら、仮設施設で営業しておりまして、これから本設移行を予定していると回答した方がまだ111社ございます。そちらについては、市町村、関係部局と連携しまして、グループ補助金、産業再生課の商業特区復興推進計画の導入等につきまして、各事業者が必要とする支援策についてそれぞれ個別に確認しながら、仮設から本設への円滑な移行の推進に取り組んでまいります。
また、今回の調査で事業再開について検討中であると回答した事業者もまだ一定数ございますので、その方々については、その意向について随時確認しながら必要な施策について支援してまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 まさしく今、御答弁いただいたような中身で取り組んでいただきますようにぜひお願いしたいと思います。
念のために、現在の課題という項目でここに示されておりますが、これは実は事業者にとっては一つだけではないのです。重複している。それと、ここにはありませんけれども、働いても働いてもなかなか余裕ができなくて、それこそ過重労働をかなりしている事業所もたくさんございます。そういう点等も個別にいろいろとこれから多分対応していっていただけるものと思いますけれども、しっかりと現場の声を受けとめていただいて、連携を図り、沿岸活性化のために御努力いただくようにお願いいたします。所感があればお伺いし、終わります。
〇小原産業再生課総括課長 課題がいろいろ重複していることについてはまさにそのとおりでございまして、取引先の減少、販路の喪失が今回52%ということで課題として最も高い割合になっておりますが、実際こちらの中身を聞きますと、例えば水産加工業の方々は、そもそも原料がないので、その原料をつくるところから苦労している。そうするとさらに販路もなかなか開拓できないということで、複合要因のようにいろいろな課題が交じり合っているのはそのとおりでございます。それぞれ一つ一つ課題につきまして、農林水産部、商工労働観光部にいろいろな施策がございますので、連携しながらやっていきたいと思いますし、仮設でやっている方々のそれぞれの意向については市町村でもしっかり確認しておりますので、そちらについても本設に移行される方が円滑に移行できるように支援してまいります。
〇菅野ひろのり委員 私からは、先ほどの田村勝則委員と重複するところはありますが、水産加工業における支援対策について伺いたいと思います。
私は、東日本大震災津波の発災当時、新橋のオーロラビジョンで震災の様子を拝見していました。そして、ここに来させていただいて2年間、皆様方から出していただく資料、その結果の数値、そして現場を拝見させていただくと、当時の経過を知らないからこそ客観的に見えるところがあると思っていて、その観点から質問したいと思います。
先ほど、販路の喪失が課題だということを小原総括課長がおっしゃいました。そして、今、対策をしているのが販路拡大アドバイザー、プロモーターということを先日、復興局長が答弁されていたと思います。確認ですが、今の支援対策で復興局として捉えているのはこの二つでしょうか。また、今の対策は不十分だと思いますが、どのようなものが必要だと考えていますでしょうか。
〇小原産業再生課総括課長 販路開拓に向けた取り組みですけれども、先日、総括質疑のときも質問があったところですが、まず販路拡大アドバイザー、プロモーターの配置、それから食の商談会の開催、各種商談会等への出展支援も行っております。実際のところは販路拡大の前の商品開発からやらなければならないというところがありますので、水産加工業関係の販路拡大、商品開発関係については、国の施策の水産加工業販路回復取組支援事業についても水産加工業者の方に御紹介しながら支援策を講じているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 確かにおっしゃるように、さまざまな機会の創出や国の事業を活用したものが行われていると感じました。販路拡大アドバイザーもそうですし、岩手県産─第三セクターになると思いますけれども─がフェアの開催で年間1億円ぐらいの実績を上げているということでありましたけれども、これは岩手だけではなくて他県も同様の課題がある。結局、ハード面の整備はできたけれども、人も少なくなって、今、サケ、マス、イカがほとんどとれなくなってきている中で原材料の確保も難しくなってきている。これは、私は、岩手県だけではなかなか解決しづらい問題になってきているのではないかと考えています。
産業再生課は、東北経済産業局と水産加工業を主体とした被災地における地域活性化協議会に参加されていると思いますけれども、その中で、やはり大事なのは地域ブランドをつくっていくことだということがまず一つ挙げられています。岩手県では三陸創造プロジェクトの中でも三陸というキーワードをつくってやっていかなければいけないと書いていますけれども、ILCもそうですし、県南の三陸、仙台と連携しながら、包括的な地域のブランドを築いていく必要があると思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
〇小原産業再生課総括課長 今の三陸ブランドの水産加工業の戦略については農林水産部でもいろいろ考えていると思いますけれども、チーム化というかグループで三陸地域という大きなくくりで商品開発等をやらなければいけないというのは東北経済産業局でも考えているところでございまして、国のほうでもチーム化による水産加工業等再生モデル事業というのがございまして、県を越えた複数県なりのグループを組んで、その中で新しいブランドをつくりましょうとか販路開拓をしていきましょうという取り組みも今、始まっておりますので、そういうものについても適宜情報交換しながら支援してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 復興局長にお伺いしたいのですが、先ほど農林水産部やほかの部署と連携しながらということもおっしゃっていました。そうしますと、復興局が考えるなりわいの再生というもの、水産加工業者がもとの生活に戻れたのだというような復興という意味合いではどういうふうにそのゴールをお考えでしょうか。といいますのも、先日、東日本大震災津波復興特別委員会でもいただきましたこの資料、ふるさと岩手・三陸の創造。やはり復興のその先に、沿岸地域、水産業に携わっている方のどういった生活があるかというビジョンが恐らくあるのだろうと思っています。そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木復興局長 ちょっとお答えしづらいような質問と思うのですけれども、水産加工業者も県内に多数あり、震災前に置かれていた状況、売り上げの状況はそれぞれですし、また、今、置かれている状況もそれぞれだと思いますので、それを一口で、こうなれば水産加工業にとっての復興のゴールだというのはなかなか申し上げづらいところがあると思います。いずれ、それぞれの業者が、自分たちの思い描くこういった商売をやりたいのだと。震災前に戻すということを目標に掲げている方もいるかもしれませんし、さらに国内外に販路を拡大して進めていきたいと考えている方もいらっしゃると思います。実際、新たな取り組みを行って震災前よりも業績を伸ばし、販路を拡大しているところもございますので、行政といたしますと、それぞれの業者が思い描くゴールに向かって我々も一緒にそれを支援していくということかと考えております。
〇菅野ひろのり委員 なぜこのような質問をしたかというと、先日、宮古市の岩手缶詰の従業員の解雇もありました。農業関係ですと、例えば牛であれば買ってきて育てることができますけれども、水産業に関しては完全に自然相手ということで、なかなか漁業者のみの力では難しい。そして地域に人も少なくなってきている中で、今、量をしっかりと確保するためには広域的な連携が必要になってきて、また、岩手は港湾の整備も進んでいます。やはりそういった長期的な視点というかマクロ的な視点でこの三陸地域、岩手をどうつくっていくのかというところを復興局には旗を振ってもらって、ぜひそういった方々のなりわいの再生にこれからも尽くしていただきたいと思います。所感があればお聞きして、終わります。
〇佐々木復興局長 なりわいの再生につきましては、復興基本計画においても三つの原則の一つに掲げているところでございまして、なりわいの再生がなければ、安定した生活を営むこともできないと思います。そういった意味で、なりわいの再生が、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの事業者が思い描くゴールに向かって進めるよう、行政としても支援していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 できるだけ簡潔にお聞きしたいと思います。
被災者生活再建支援金の延長を求める取り組みについて総括質疑で聞きました。昨年は12月に協議を始めて、12月中に決まったと。ことしは9月に協議をやっているけれども、いろいろな資料を求められて進んでいないと。この具体的な見通しを示してください。どんな資料を求められて、その資料はもう集まっているのかどうなのか。何でことしはこんなに時間がかかるのか。これが第1点。
あと、第2点に、これも総括質疑で取り上げましたが、出たばかりの暮らしの安心ガイドブック、我が家のくらし再建プランのしおりについて、これは、聞いたらホームページでしか出していないということなので、補強するところはしっかり補強していただきたい。
例えば、被災者生活再建支援金の申請期限は平成30年4月10日までと。注釈しているのはここなんですよ。期限までに市町村、県を経由して都道府県会館まで送付されること、こういう注釈はあるけれども、1年ごとに延長できる、協議中ですというものがないんですよ。きちんとそういうことをやらないと、ホームページだから、これはすぐ直せますから、誤字脱字もありましたから、ぜひ、きちんとそこは直ちにわかりやすくやっていただきたい。
そして、個人版私的整理ガイドラインの活用状況、これは期限がないと思いますけれども、どうでしょうか。
〇工藤生活再建課総括課長 まず、被災者生活再建支援金の協議についてでございますけれども、昨年度、御質問にありますように、12月に要請して協議を始めて、12月に調ったところですが、昨年度より早目に要請を行ったところでございますが、今年度は協議に時間を要しております。
具体的には、協議をしている先、支援金の事務を行っている都道府県会館から、昨年度は求められなかったような資料を求められております。具体的には、再延長を必要とする理由の精査、それから、全ての申請が完了すると見込まれる時期といったことについて、それぞれの市町村ごとにということで確認を求められております。現在、市町村にそれをお願いしておりまして、それを踏まえて回答して、また協議を進めることになっております。
それから、見通しについてでございますが、昨年度は都道府県会館との協議を12月に行ったところ、今年度は、被災者の方々に早目に周知できるように協議開始時期を9月に早めたところでございますが、今申し上げましたように、都道府県会館あるいは、具体的な指示は国から出ておりまして、各地の復興の進展に伴って延長が認められるやむを得ない事情の説明が必要ということで時間を要しているところでございますが、できるだけ早期に延長決定になるよう、説明に努めながら協議を進めてまいります。
それから、2点目、我が家のくらし再建プランのしおり等に、加算支援金の申請期限を平成30年4月10日までと掲載していることについてでございますけれども、お話のように、県のホームページに掲載しているものでございまして、確定している内容を掲載しているところでございます。
お話しいただいております被災者生活再建支援金の申請期間が、やむを得ない事情により期間内に申請することができないと認められる場合に、1年を超えない範囲で繰り返し再延長できるとされていることにつきましても、しっかりと被災者に対してホームページ上などで周知を図っていくとともに、再延長が決定された場合は、御指摘ありました誤字脱字はもちろん、速やかにホームページの内容の更新をするなどして周知していきたいと考えております。
それから、3点目、個人版私的整理ガイドラインでございますが、これは、個人の二重債務問題に対応するために、金融機関や学識経験者等で構成された個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会によりまして、金融機関関係団体の自主的な準則として策定され、平成27年8月から適用されているものでございます。これを利用することによって、一定の要件で債務の免除が受けられるものでございますが、この適用期限につきましては、明示的には設けられておりません。
しかし、このガイドラインに基づく事務手続を行っています一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会によりますと、このガイドラインについては、東日本大震災津波の影響によって既往の、それ以前からの債務を弁済できない方を対象としたものであるということで、震災からの復興状況等を踏まえながら、事前の告知を行った上で、適用を終了することが予定されているとされているところでございます。いずれ適用期限については、明示的には設けられておりません。
〇斉藤信委員 個人版私的整理ガイドラインは、東日本大震災津波の対応ですからいつまでもということではないと思います。ただ、これは期限がないというので、これまでに債務整理の成立が361件、協議中が4件ですから、1、120件の申請に対して32.5%。私は、申請に対して成立件数が大変少ないと思いますが、これから住宅再建を希望している世帯が少なくないので、引き続き徹底していただきたい。
2番目、商店街の再生とまちづくりについてお聞きします。
被害の大きい大槌町、山田町、陸前高田市、こういうところの中心市街地の再生状況はどうなっていますか。仮設店舗の本設移行、仮設の今の状況、今後の本設移行の状況はどう把握されているでしょうか。
仮設施設有効活用等助成事業、いわゆる仮設をやめるときに処分の費用が出るというものですけれども、これはもう来年度で終わりとなっています。この延長が必要と考えますが、この取り組みはどうでしょうか。グループ補助金継続の見通しも含めて示してください。
〇小原産業再生課総括課長 まず、被害の大きかった市町村の復旧、復興の状況でございますが、御承知のとおり、山田町では平成28年11月にオールが開業いたしまして、陸前高田市では本年7月にアバッセたかた、それから、大船渡市ではキャッセン大船渡が4月に開業いたしました。
やっぱり大型店舗が開業しますと、今まで、まちのイメージがわからないというところで事業再開に二の足を踏んだり、ちゅうちょされていた方なども、ああいう大型店舗ができてくると、周辺でまた頑張ろうという気持ちになっている方も多いようで、順次、区画で戸建て店舗の整備も進められておりまして、商店街の整備に向けた動きが加速しているところでございます。
それから、仮設の状況でございますが、中小企業基盤整備機構が整備し、市町村に譲渡しました仮設店舗に入居しております商業、サービス業者は、ことし3月末現在で517事業者だったところ、6月末では394事業者まで減少しておりまして、区画整理事業等の進展に伴い、仮設店舗から本設への移行が進んでいるところでございます。
また、被災事業所復興状況調査におきましては、仮設店舗で営業している事業者のうち、本設再開を予定していると回答した方が今年度は63.4%で、昨年度調査では75.8%でございましたので、12.4ポイント減少しております。こちらについては、本設への移行が進んだことによって、回答の数値が減少したものと考えております。
それから、仮設施設有効活用等助成事業につきましては、当面、平成30年度末までに事業完了するものということで、平成28年2月に延長の方針が示されたところでございます。しかし、皆さん御承知のとおり、区画整理事業等の進捗状況によって、仮設施設の撤去が平成30年度末で全て終わるのはなかなか難しい状況でございますので、こちらについては、助成期間の延長と助成要件適用への柔軟な対応を、運用の柔軟化とあわせまして国に対して要望しているところでございまして、今後もこの要望は続けてまいりたいと考えております。
それから、グループ補助金につきましても、今後もまだ活用される方が相当数いらっしゃると考えられます。平成28年度以降の5年間の国の復興財源フレームを平成27年6月に設定いたしましたときに、復興の基幹的事業と位置づけられており、平成28年度から平成32年度までの5年間、一定の枠は確保されているものと認識しておりますので、当分の間は事業継続されるものと考えておりますが、こちらについても、柔軟な対応、延長等については、引き続き要望してまいります。
〇斉藤信委員 では、最後ですが、復興基金を活用した状況の実績、基金残高、今後も継続が必要な事業とその経費は幾らになっているでしょうか。
それと、復興交付金事業について、これは総括質疑でしたか、議論がありまして、平成32年度までで特別会計が終わると。復興交付金は、これまで約8、000億円が県、市町村で交付されていると思いますけれども、まだまだ復興が続く、おくれるという状況だと思うので、この点を本当にどう打開していくのか、県のお考えをお聞きしたい。
〇熊谷復興推進課総括課長 復興基金の状況についてでありますが、平成28年度までに計203億円余の事業に活用し、そのうち平成28年度は約28億円の事業に活用したところでございます。
復興基金の残高と見通しでございますが、平成28年度末の基金残高は約100億円となっており、今年度は、9月現計予算で約49億円を充当する予定となっておりますので、平成29年度末の基金残高は約51億円と見込んでおります。
これら復興基金を充当している事業のうち、住宅再建や中小企業被災資産の復旧補助のほか、応急仮設住宅の共益費など、被災者、被災企業への支援については、今後も継続が必要な事業と考えております。
〇和村まちづくり再生課総括課長 復興交付金につきましては、国のほうで平成32年度で終了となっております。現在、いろいろな工事でおくれが目立ってきているところでございますが、工法等の見直しによりまして、できるだけ平成32年度に終わるように進めております。
〇斉藤信委員 終わろうと思ったら、ちょっととんでもない答弁があったので。
一つは、復興基金については、必要な事業があるので、今の時点で、これからどのぐらいの経費が必要なのか。平成29年度末の残高が約51億円でしょう。本当にこれはいつまでやれるのかということがあるわけです。その点。
あと、復興交付金は平成32年度までやり切りますと、そんな格好のいいことではいかないでしょう。いかないと答弁しているんですよ。それは、復興交付金事業で最大限交付されることが望ましいけれども、復興事業はそんなにいかないでしょう。
〇熊谷復興推進課総括課長 最初の復興基金のお話でございます。先ほど申し上げましたとおり、平成29年度末の基金残高は51億円ほどと大分少ない状態になります。このような基金の状況につきまして、庁内で共有しまして、今後の事業見込みをさらに精査しつつ、他財源あるいは他制度の活用等についても、今のうちから検討してまいりたいと思います。
〇和村まちづくり再生課総括課長 県及び市町村では、復興創生期間内に事業が完了するよう最大限努力しているところでございますが、復興創生期間を超える可能性のある事業につきましては、その要因や事業期間など実態を把握した上で、国とも協議していく必要があると考えております。
〇臼澤勉委員 私からも端的にお伺いします。
まず初めに、復興完遂年の総括についてお伺いします。
平成28年度を復興完遂年と位置づけておりましたが、事業の成果、そして、どんな課題を解決できたと総括しているのか。平成28年度事業は当初予定どおり進んだのか。復興完遂をなし遂げられたのか。所感をお伺いします。
〇熊谷復興推進課総括課長 本格復興完遂年の総括についてでございます。
第2期復興実施計画期間におきましては、第1期復興実施計画における基盤復興の取り組みの成果を土台にしまして、災害廃棄物処理分を除いて実質的な事業費ベースで、第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進めてきたところでございます。
平成28年度は、本格復興期間の最終年度としまして取り組みを進め、三つの原則ごとの主なものを申し上げますと、安全の確保では、陸前高田市におきまして県内最大規模の防潮堤、これは長さ2キロメートルに及ぶ二つの防潮堤でございますが、こちらがほぼ完成いたしました。
また、生活の再建では、沿岸7市町村で全ての災害公営住宅の整備が完了いたしました。県立病院では、大槌、山田の両病院が開院しました。公立学校では、大槌町で四つの小学校と一つの中学校を統合した大槌学園や、釜石市鵜住居の高田東中学校の校舎が完成しております。
さらに、なりわいの再生では、4漁港の復旧事業が完了し、県管理の漁港31港全てが復旧を完了しました。また、中心市街地の商業施設では、山田町のオール、あと、開業は4月になりましたが、陸前高田市のアバッセたかた、大船渡市のキャッセン大船渡の整備が進んだところでございます。
それまでの2年間と合わせまして、本格復興期間全体では、409指標のうち、進捗率80%以上の指標が全体で80%となったところでございます。
一方で、まだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、一部の社会資本等の整備については、復興まちづくり事業など他事業との調整、あるいは施工条件の変化や台風などやむを得ない事情によりましておくれが生じている事業もありますので、これらの事業につきましては、第3期復興実施計画において、途切れなく取り組んでいけるように盛り込んだところでございます。
〇臼澤勉委員 そういう状況の中で、現在、復興計画は、議会でも委員会でもいろいろ議論がございます。現在、私が聞いている限りでは、復興計画は県の総合計画に引き継がれる方向で検討しているように聞こえておりますけれども、国の計画期間と市町村の復興計画との整合性を図りながら検討すべきと私は考えますが、御所見をお伺いします。
〇熊谷復興推進課総括課長 次期総合計画における復興に関する計画の具体的内容につきましては、今後、総合計画審議会や東日本大震災津波復興委員会におきまして議論することになります。
今後10年間の岩手の未来を示す長期ビジョンがございますが、こちらに復興に関する一章を設け、復興の取り組みを示し、アクションプランでは、政策編や地域編とは別に復興に関する計画を策定し、現行の復興実施計画と同様に、具体的な施策や事業を盛り込むなどによりまして、切れ目のない復興の取り組みを進められるよう検討していきたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 私は、次期総合計画に盛り込むことはいいと思うのですが、復興計画をそこで終えるのとはまた違うのではないかと思っております。以前、2月定例会で知事が次のように答弁しております。国が平成32年までと位置づける復興創生期間と連動し、市町村における復興の取り組みの進捗との整合性に十分配慮する必要があると。いいですか、復興創生期間と連動し、そして、市町村の復興の取り組みの進捗との整合性に十分配慮する必要がある。そのとおりだと思います。そして、その上で、復興に関する県の計画については、県民的な議論を通じて策定してまいるという答弁をしておりました。
それぞれの市町村の復興計画は、例えば5年間のものであったり、8年あるいは10年という期間を定めている市町村がございます。10年の期間を定めているのは、久慈市、山田町、釜石市、大船渡市でございますし、陸前高田市は8年間の復興計画をつくりました。ただ、陸前高田市は何で8年の期間だったかというと、あのときの思いは、あの日、あのときに復興を終えるまで10年かかるとは言えなかった。一日も早く復興を終わらせたい、それを市民の方々に見せると。だから、無理といいますか、なるべく早く、県の復興計画をいち早くつくっていただきましたので、それに準じながらも、8年間という計画を頑張って今進めている状況です。
ただ、さまざまな条件から、私はおくれという言葉は使っておりませんが、やはりいろいろな事情があって、まだまだ事業が完了していない地区がございます。そういった中で、私は、県の復興計画の旗印を下げるべきではないと思うんですが、復興局長の御見解をお伺いいたします
〇佐々木復興局長 次期総合計画は県全体の総合計画でございます。そういった中で復興計画もそこと統合するということでありまして、復興計画をやめるということではございません。
その中で、次期総合計画における復興の位置づけを明確にするために、長期ビジョンにおいて一章を設けること、それから、実施計画についても、現行と同じような形で政策編や地域編とは別につくるということであり、今後、次期総合計画の中で復興についてどう取り組んでいくのか、県民の皆様方に見える形で計画をつくっていくということでございます。
〇臼澤勉委員 復興計画は、当然法律に基づいて、そして基本指針に基づいて定めております。さまざまな事業がその特例を受けながら復興計画に基づいて事業を進めていると理解しておりますが、知事が答弁しておりました県民的な議論を通じて、次期復興計画といいますか、これを策定してまいるという意味をもう一度、最後にちょっとお伺いいたします。
〇佐々木復興局長 次期総合計画の策定につきましては、総合計画審議会にこれから諮問し、そこでの議論を踏まえ、答申を受けながら、中間案あるいは成案化に向けてパブリックコメントなどを実施するものと聞いております。
また、私ども復興局におきましても、沿岸の市町村長や関係団体の方々に個別に御意見を伺ったり、復興委員会の委員の皆様方の意見をお伺いしながら進めてまいりますので、そういったことで、県民的な議論を踏まえて策定していくことと承知しております。
〇臼澤勉委員 国の復興期間、宮城県、福島県の復興計画はやはり10年間です。岩手県のみが8年間ということでもございますし、やっぱりその当時のいろいろな思いがあったと思いますので、ぜひ、さまざまな御意見を聞きながら御検討していただければと思います。
続きまして、先ほど佐々木茂光委員から震災遺構のお話がございましたので、私はここは省略いたしますが、ただ、私も同じような思いで聞いておりました。何のためにこの遺構を残すのか。
そして、これからラグビーワールドカップもありますし、国内外からも多くの方々が来ます。まさにこの遺構の意味、そして、我々が後世に残す使命は、やっぱりあの日、あのときの被害や津波の破壊力とか規模をリアルに感じてもらう、これはすごく重要なことだと思います。
そこら辺は、地元の市町村も、早くここの県のそういった姿勢を示してほしいという要望がございます。ぜひ、建物の中、気仙中学校であったり、定住促進住宅の中に入って、高さから感じていただくことがすごく重要になってきますので、そこは意見として申し上げておきたいと思います。
最後に、応急仮設住宅の集約の見通しについてお伺いいたします。
現在、市町村では応急仮設住宅の集約化計画に基づき集約化が進められておりますが、集約化の見通しはどのようになっておりますでしょうか。
〇工藤生活再建課総括課長 応急仮設住宅の集約の見通しについてでございますが、ことし3月末の社会資本の復旧・復興ロードマップでは、災害公営住宅は今年度末で約9割、来年度末で99.9%が完成する見込みでありますし、また、防災集団移転促進事業などの面整備事業についても、今年度末で約8割、来年度末で97%で宅地が供給される見込みとなっているところでございまして、応急仮設住宅の集約については、各市町村において、そうした災害公営住宅の整備や面整備の進捗状況、見通しを踏まえ集約化計画を策定するとともに、必要に応じて見直しを行いながら進めることになっております。
〇臼澤勉委員 現在、県有地のところに応急仮設住宅もあろうかと思いますが、県有地にある応急仮設住宅の撤去の見通しはどのようになっていますか。あわせて、集約後、原状回復を含めて、今、市町村とも検討が進められていると思うのですけれども、この検討の状況、今後の見通しについてお伺いいたします。
〇工藤生活再建課総括課長 県有地にあります応急仮設住宅の集約、撤去についてでございますが、県有地にある応急仮設住宅につきましても、そのほかの応急仮設住宅と同様に、各市町村において災害公営住宅の整備や面整備事業の進捗状況、見通しを踏まえて集約化計画を策定して、集約化や撤去を進めているところでございます。
そして、その集約後や入居者が退去した後の応急仮設住宅の撤去、原状回復等につきましては、市町村からの依頼を受けまして県が撤去し、原状に回復して、市町村に用地を返還することになっております。
個々の案件ごとに、市町村と県で解体の時期ですとか原状回復の方法など具体的な内容を検討しており、市町村有地以外の用地については、地権者との調整がありますが、必要に応じ、災害救助法の対象になるか国に相談するなどしながら対応しているところでございます。
今後も、そのように市町村と連携しながら対応していくこととしております。
〇臼澤勉委員 ぜひ市町村とも協議し、連携を図りながらやっていただきたいと思います。
県有施設の中でも、あの日の地震等で結構施設が、地中の管とか、もっと具体的に言うと、例えばモビリアなどにつきましても非常にダメージを受けておりまして、そのまま撤去して再利用という部分はなかなか難しい状況にございます。ぜひ、地元市でも、あるいは管理している当部でいろいろ課題があろうかと思いますので、今からいろいろとそこら辺の協議を進めてやっていただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 質疑がないようでありますので、復興局関係の質疑をこれで終わります。
復興局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇友井警察本部長 平成28年度の警察本部関係決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波及び昨年発生した台風第10号に伴う県警察の取り組みにつきまして御説明いたします。
東日本大震災津波により本県では4、673人のとうとい命が失われ、1、100人を超える方々がいまだに行方不明となっているほか、昨年の台風第10号におきましても、21人の方のとうとい命が失われ、2人の方がいまだに行方不明となっております。
また、被災地では、いまだ多くの住民の方々が不安定な生活環境のもとで暮らしておられるほか、復興事業に伴う人や車の流入増加などによって、各種犯罪やトラブル、交通事故の発生等が懸念されるところであります。
県警察といたしましては、引き続き、行方不明者の捜索活動を行うとともに、住民の方々の意見、要望等を踏まえつつ、情勢の変化に速やかにかつ適切に対応し、被災地における安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、警察業務の推進状況について御説明いたします。
県警察におきましては、県民の期待と信頼に応える力強い警察を平成28年の基本姿勢として、被災地における安全・安心の確保と次世代に託せる安心して暮らせる地域社会の実現を目指すため、活動重点といたしまして、県民の安全を脅かす犯罪の抑止対策の推進、少年の非行防止と保護対策の推進、悪質・重要犯罪の徹底検挙、交通死亡事故の抑止、テロ、災害等突発重大事案対策の推進、希望郷いわて国体等に向けた総合対策の推進、警察活動の基盤の充実強化の7項目を掲げ、県下全体の治安の維持に必要な各種施策を推進してまいりました。
それでは、平成28年中の県内の治安情勢について御説明いたします。
初めに、刑法犯の発生状況等についてでありますが、平成28年中における県内の刑法犯の認知件数は4、223件、前年比661件の減少となっており、戦後最少を記録しております。
一方、罪種別に見ますと、特殊詐欺被害につきましては、平成28年中の認知件数は110件、前年比で33件の増加、被害総額は約1億9、900万円、前年比8、700万円の減少となっております。被害者110人の方のうち6割が高齢者という状況にありますので、被害現金の送金等に利用される金融機関、コンビニエンスストア等と連携した水際対策に取り組むとともに、県警察の総力を挙げた取り締まりを行うことにより、検挙と施策の両面から被害防止を図っております。
また、侵入窃盗全体のうち、鍵をかけないで被害に遭っているいわゆる無施錠被害の割合が53.0%と全国平均より高くなっておりまして、その中でも、住宅を対象とした侵入窃盗の無施錠被害の割合が68.2%と、全国平均の48.6%を大きく上回っております。鍵かけ対策といたしまして各警察署で指定しました鍵かけモデル地区内におきましては盗難被害の発生が比較的少ないことから、関係機関、団体と連携した鍵かけモデル地区の拡大、被害状況の分析結果に基づいた被害防止情報の発信や防犯指導の強化等により、被害防止を図っております。
さらに、子供や女性に対する不審者による声かけ、つきまとい事案等も増加傾向にありますので、子供や女性に対する被害防止活動としまして、学校等の教育機関や女性が多い職場等での防犯教室、性犯罪被害防止教室を行うなど、防犯意識の高揚を図るとともに、早期に行為者を特定し、検挙、指導警告を行うなど、県民の安全・安心の確保を推進しております。
次に、平成28年中の県内の交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数は2、373件、死者数は73人、負傷者数は2、971人となっており、前年との比較では、発生件数が187件、死者数が7人、負傷者数が249人それぞれ減少しておりますが、死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は67.1%と、残念ながら全国平均を上回っております。
県警察では、高齢者の交通事故防止対策を重点的に推進しているところでありまして、参加、体験、実践型の交通安全教育、高齢者宅への家庭訪問や街頭での個別指導など、関係機関、団体と連携した交通事故抑止対策を強化しております。
平成29年の県の施策に関する県民意識調査の結果におきましても、交通事故の少ない社会づくりや犯罪への不安の少ない社会づくりが重要度の高い項目の上位にランクされておりますので、県民の皆様は、良好な治安の維持を強く望んでいらっしゃるものと思われます。
このような諸情勢を踏まえ、県警察といたしましては、東日本大震災津波等からの復興対応と安全・安心を実感できる地域社会の実現を活動の重点に、総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところであります。
続きまして、平成28年度の警察本部関係の決算について御説明いたします。
お手元の平成28年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願いたいと思います。第9款警察費の歳出予算現額は297億3、125万円余で、これに対する支出済額は273億7、869万円余、執行率は92.1%であります。支出済額は、前年度に比べますと8、448万円余、率にして0.3%の増となっております。
なお、翌年度繰越額の合計額は19億2、732万円となっております。これは、警察署、交番等の庁舎新築、交通安全施設整備などの明許繰越に係る事業費であります。
不用額は4億2、523万円余となっておりまして、その主なものは、警察施設整備事業費及び交通安全施設整備費における工事請負費等の執行残、経費節減等による需用費の残などであります。
次に、16ページをお開き願います。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費の中に警察施設の災害復旧事業費も含まれておりますが、詳細につきましては、後ほど歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
次に、一般会計決算の内容につきまして、平成28年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、第9款警察費の説明に際しましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明いたします。
歳入歳出決算事項別明細書の316ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は79.7%となっております。平成28年度における警察官の定数は、東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けました沿岸市町村の良好な治安の確保を目的としました15人の緊急増員を含め2、159人となっております。次に、318ページをお開き願います。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両、警備船、警察用航空機の維持管理などに要した経費であります。次に、第4目警察施設費は、治安の基盤をなします警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、320ページをお開き願います。第6目は、恩給及び退職年金の経費であります。
第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費は、各種犯罪の捜査、取り締まり、少年非行の防止や子供の安全対策などの安全・安心なまちづくり推進事業などに要した経費であります。次に、322ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動、交通の安全と円滑化を図るための交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理などに要した経費であります。
次に、350ページをお開き願います。警察施設の災害復旧事業に要しました経費につきまして御説明いたします。
第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費第1目警察施設災害復旧費の歳出予算現額は34億5、901万円余で、これに対する支出済額は17億5、003万円余、執行率は50.6%であります。
災害復旧事業の主なものといたしましては、釜石警察署大槌交番及び鵜住居駐在所等の新築、宮古警察署田老駐在所等の新築の事業を行っております。
なお、翌年度繰越額の合計額は15億6、871万円余となっており、東日本大震災津波により被災した警察署等の庁舎新築、昨年の台風第10号により被災した交通安全施設の復旧等、明許繰越に係る事業費14億3、896万円余及び台風第10号の影響により庁舎新築工事が遅延したことによる事故繰越1億2、974万円余であります。
不用額は1億4、026万円余となっており、その主なものは、委託料及び工事請負費の執行残であります。
以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇阿部盛重委員 私から、改正道路交通法の効果についてお伺いいたします。
認知機能検査を強化した改正道路交通法が施行から6カ月経過しましたが、成果をどう分析されているかお伺いいたします。
〇佐藤交通部長 改正道路交通法施行後の効果についてお答えします。
まず、改正道路交通法施行後の高齢運転者の交通事故発生状況についてでありますが、本年4月から9月に発生した高齢運転者が第一当事者となった交通事故よる死者数は11人で、前年比マイナス2人となっており、発生件数は暫定値で292件であり、前年比プラス10件となっております。
また、改正道路交通法の施行状況についてでありますが、改正道路交通法が施行された3月12日から9月末までに実施した認知機能検査の受検者数は1万3、030人であり、そのうち、認知症のおそれがあると判断され、診断書の提出義務のある方は479人おります。
現在までに診断書を提出して取消処分を受けた人は7人となっており、交通事故の当事者とさせることなく、重大事故の未然防止を図ることができたものと考えております。
一方、診断書提出命令を受けたものの、診断書を提出せずに自主的に運転免許証を返納された方は121人であり、返納者数は前年比で増加しております。
県警察といたしましては、改正道路交通法を的確に運用するほか、引き続き関係機関と連携を図りながら、高齢運転者による交通事故防止を図ってまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 成果があらわれてきているということですが、高齢運転者の運転免許証自主返納の件ですが、東北6県で考えると、山形県が1位ということで、本県が4位というデータになっております。自主返納を促進するためにどのような取り組みを今後されていくのかお伺いいたします。
〇佐藤交通部長 高齢運転者の運転免許証自主返納を促進するための取り組みについてお答えいたします。
改正道路交通法が施行された4月以降の高齢運転者の運転免許証自主返納件数は1、647件であり、538件、48.5%増加しております。
増加の要因といたしましては、改正道路交通法による効果や日曜窓口及び代理人による申請の受理などのほか、高齢運転者による重大事故の報道を受けた当事者意識の高まりも考えられるところでございます。
高齢運転者が年々増加する中で、加齢に伴い運転に不安を感じるなど、運転免許証の自主返納手続を広く知っていただくことは、高齢運転者の交通事故防止を図る上で重要と考えております。
県警察といたしましては、ホームページによる広報や運転免許証更新時の高齢者講習、各種交通安全教育等の場において自主返納の紹介をしているところであり、今後も、自治会や地域の会合など、あらゆる機会を利用して周知を図ってまいります。
また、運転免許証返納者へのタクシーチケットの交付といった支援の拡充につきましては、関係機関で新たに取り組みが検討されているとの報道もあり、そのような動向についても幅広く情報収集しながら、自治体及び公共交通機関等に対して働きかけを行うなど、関係機関、団体との連携を密にして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 次に、保安警察費のサイバー犯罪対策についてお伺いいたします。
インターネットサイトで商品代金をだまし取るなどの詐欺も増加しておる状況です。悪徳商法、不正アクセス、コンピューターウイルス、迷惑メール、仮想通貨等、また、インターネットバンキングの不正送金、サイバー犯罪などについて、どのように分析されて、どのような対策を講じようとしているのかお伺いいたします。
〇羽澤生活安全部長 サイバー犯罪についてでありますけれども、平成28年における全国でのサイバー犯罪の検挙件数は8、324件、前年比で228件の増加、当県警では29件、前年比5件の増加となっております。
また、平成28年に県警察に寄せられました不正アクセス、コンピューターウイルス、迷惑メールなどの相談は2、582件となっております。
これらの相談は、適宜、事件化の検討を行うとともに、事件に至らないものにつきましても、被害の拡大防止のため、相談者に対して指導、助言を行っているところでございます。
最近では、SNSのアカウントを乗っ取り、緊急にお金が必要になったなどの内容を送信してお金をだまし取る事例、さらには、海外サーバーを経由するなど、発信者は捜査が自分に及ばないよう巧妙な手口を用いております。
昨年、県警察では、ほかの県警察と合同で、インターネットバンキングの不正送金事案につきまして、不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反として外国人を検挙しているところでございます。
さらに、県警察では、県民の方がサイバー犯罪の被害に遭わないよう、未然防止のために、行政、通信事業者、インターネットカフェ事業者など、インターネットに関係する方々から成る岩手県インターネット防犯連絡協議会を設置しておりまして、それぞれの業種の特色を生かして被害防止活動を行うとともに、県警察のホームページでの広報、小・中・高校生から一般の方までを対象にしたサイバーセキュリティーカレッジを実施して被害防止に努めているところでございます。
このほか、警察官の対処能力向上のために、サイバー犯罪捜査検定制度による知識向上を推進しているほか、県警察学校におきまして、サイバー犯罪に関します各種教養にも取り組んでいるところでございます。
今後とも、県民の皆様がサイバー犯罪の被害に遭いませんように、関係機関、団体等と連携をとりながら、幅広い年齢層に対して諸対策を講じてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 犯罪者はいろいろな対応を考えて、また、いろいろな上手をしてくると思いますので、まず、警察官の対処能力向上をよろしくお願いいたします。
最後に、特殊詐欺被害防止サポーター制度についてお伺いいたします。
知識を有し、被害防止を推進している個人、法人に委嘱されて活動されている団体及び個人が25ありますが、現状の効果と今後の活動内容についてお伺いいたします。
〇羽澤生活安全部長 特殊詐欺被害防止サポーター制度につきまして、その効果と今後の活動内容についてお答えいたします。
特殊詐欺被害防止サポーター制度は、特殊詐欺の被害防止活動を推進していただける団体や個人の方をサポーターとして委嘱して、それぞれの業務の機会を通じまして、ふだん接することの多い県民の皆様に注意喚起していただくもので、現在までに23団体、2個人を委嘱し、ボランティアで御協力いただいているものでございます。
活動内容の事例について申し上げますと、生命保険協会岩手県支部では、外交員の方に対する研修会を開催し、営業先で被害防止のチラシを配布しながら、具体的注意を呼びかけていただいております。
岩手県タクシー協会一関支部では、車内へステッカーを掲示して注意を呼びかけているほか、銀行やATMに急ぐ乗客に声をかけていただき、被害を未然に防止していただいた事例を3件把握しているところでございます。
また、個人に委嘱しております民謡歌手の中川あい子さんは、特殊詐欺被害防止のかえ歌を創作して、民謡ショーで歌っていただくなどしております。
こうした活動を通じて、広く県民の皆様に特殊詐欺に関心を持っていただくことで、被害防止に効果があるものと考えております。
今後の活動内容についてでありますけれども、県警察といたしましては、サポーターの皆様に、犯罪情報の提供、そして、広報素材のアドバイスを行いながら、今後も連携して本制度のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 すばらしい制度だと思いますので、ぜひ団体数がふえるようによろしくお願いいたします。
いずれ安心して安全に暮らせるためには、本当に皆様方のお力が必要でございますので、今後ともよろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後5時28分 休 憩
午後5時53分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇佐々木茂光委員 大変時間が押しておりますので、すぐ質疑に入りたいと思います。
東日本大震災津波からもう6年7カ月になります。そういった中で、発災以来、震災による行方不明者、犠牲者の捜索にずっと当たっていただいているわけでありますが、現在の取り組み状況等についてお示し願いたいと思います。
〇中野警備部長 行方不明者の捜索活動の取り組み状況についてでありますが、これまで、県警察といたしましては、各月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動、そして節目となる3月と9月には、県警察本部及び内陸部警察署員を動員した集中捜索を実施しており、昨年度は、延べ48回、約750人を動員して捜索活動を行っております。本年度も、9月の集中捜索に東日本大震災津波を風化させない思いで警察学校初任科生を派遣するなど、9月末現在、延べ25回、約490人を動員して実施しております。
行方不明者御本人については平成24年12月を最後に発見に至っておりませんが、本年3月の集中捜索において行方不明者に関連する所持品を発見し、御家族にお返ししております。
〇佐々木茂光委員 それだけずっと月命日を外さず捜索していただいております。ただ、現場の捜索する場所等もだんだん限られてきているのかなと。というのは、まちづくり、町並みがそこそこ造成されたり工事現場に切りかわったりということで、捜索する方々も大変そういったところで苦労されていると思いますが、行方不明者家族の、一日でも早く戻ってくれ、見つけてくれという思いは確かに強いものがあると思います。そういった中でこれからまた捜索をしていく中で、今、警察の方々が抱えている課題がありましたらその辺を伺いたいと思います。
〇中野警備部長 今後の課題についてでありますが、被災地の復興工事の進捗に伴いまして、海岸線等における捜索可能な場所は限られてきており、捜索環境は困難になってきております。また、捜索の参考となる情報も入手困難となっているなどといった課題があると認識しております。これを踏まえた捜索活動を行っていく必要があるものと考えております。
〇佐々木茂光委員 7年もの長い間、警察の方々に捜索していただいている中で、私の周りにもいつまで探してくれるのだろうと言う方もあるし、まだまだ見つかるまで探してもらいたいという声も実はあります。ここでそれを聞いていいのか悪いのか私としても思うところがあるのですが、警察としての業務の中で、捜索というものは一事件として捉えた取り組みなのか、特化した形で、震災の行方不明者の捜索という位置づけをされているのか。というのは、本来の業務とは違うと言うと失礼ですけれども、警察の人たちはどう思ってやってくれているのだろうという声が実はあるのです。例えば、打ち切りの時期、ここまでは探したいとか、その辺、もし中にとめているものがあればお伺いしたいと思います。
〇中野警備部長 ただいま捜索を打ち切る時期について御質問がありましたが、行方不明者御家族の要望については減ってきてはおりますが、先ほど申し上げましたように、本年3月の集中捜索において行方不明者に関連する所持品を発見し、御家族にお返ししております。いまだに1、120名余の方が行方不明となっており、県警察といたしましては、引き続き被災された方々の心に寄り添いながら、捜索活動を含めて、復興のステージに応じたきめ細やかな被災地支援のための警察活動に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
いまだ心配するところがありまして、被災したときの警察官の身の安全。実は、私が避難するときもそうだったのですが、ある交差点に警察官が立っていました。私は、その前を何とかかんとかみずから抜けられたのですが、もしかするとその方は波にのまれた。最期は波に追われて、波にのまれて殉職されたということになると思うのですが、今、そういった警察官自身の命をどのような形で担保されているのか。例えば、消防団においては、警報が鳴ったら高台から観測せよとか、いろいろあります。やっぱり警察の方は、最後の使命として、例えば信号機が作動しなくなれば当然車もとまる。そういうことがあった中で恐らくあそこに最期まで立っていたのかと思うところもありまして、警察の方々の有事の場合の身の安全というものがどのように図られてきているのかお示し願いたいと思います。
〇中野警備部長 震災を教訓とした警察官の身の安全の確保についてでありますが、東日本大震災津波においては避難誘導中の警察官11名が殉職しており、県警察では、この反省、教訓をもとに、津波の発生が予想される場合には、避難誘導、避難広報等の災害警備活動を行いながら、津波到達予想時刻前には適時適切に高台や浸水予想区域外に退避するよう明確に指示しております。
発災時にこの指示が徹底されるよう、警察官一人一人が事前に津波浸水予想区域や避難場所、退避ルート、災害発生時の配置場所等を確実に把握するとともに、自治体と連携した津波避難訓練や自身の安全を確保した上での被害状況の報告訓練等を繰り返し行い、大規模災害に備えることとしております。
〇佐々木茂光委員 そういうふうに取り組み方を考えよう、そこは消防でもそうですが、消防精神なり警察の使命感というのが最後は邪魔をしていくのではないかと思うのです。その辺は徹底した形で、みずから生き延びないと誰も救えないということを、警察の方を初め、そういった仕事に当たられる方は常にそういうものを頭に置いた中での活動をこれからも展開していってもらいたいと思います。
特にありませんけれども、いずれそういった皆さんの思いによって我々県民の安全と安心が守られているということを皆様に期待するところもあります。よろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木努委員 私からは、大きく2点についてお伺いしたいと思います。
最初に、小型無人機、いわゆるドローンについて伺いたいと思います。
今、ドローン産業はすごい勢いで伸びてきてさまざまな分野で活用されているわけでありますけれども、一方で、おととしの4月、総理官邸にドローンが落下したことが大きな問題になって、その後12月に航空法が改正されて規制がかかったということであります。航空法の改正後も全国でさまざまな事故、事件があって検挙の事例などもあるわけですけれども、我が県ではそのような検挙の事例とか現在のところあるのでしょうか。
〇高石警務部長 ドローンの使用による検挙事例についての御質問でございますけれども、現在まで当県における検挙事例はございません。
〇佐々木努委員 今のは取り締まるほうの質問でしたが、今度は使うほう、活用するほうの質問をさせていただきたいと思います。
全国の警察でドローンの活用が進んでいることは御承知と思います。そういう中で、我が岩手県警においても昨年度、ドローンを購入したという話を伺っていますけれども、その目的、そしてこれまでどのような活用をされてきたのかを伺います。
〇高石警務部長 ドローンの導入についてでございますけれども、県警察では、昨年発生した台風第10号に伴う災害警備の教訓といたしまして、土砂災害等で道路が寸断された現場での被災者の捜索や、被災状況を確認する等の災害警備活動における有用性について検証する目的でドローン1機を配備いたしました。
なお、これまでのところ現場で活用した実績はございません。
〇佐々木努委員 そのドローンは、いつ導入して、現在どのような状況になっているのか教えていただけますか。
〇高石警務部長 ドローンにつきましては、本年3月に導入いたしまして、現在は県警察のほうで所有しておりますが、使用実績はございません。そういう状況でございます。
〇佐々木努委員 これも事前にお聞きしていたのですけれども、故障か何かでふぐあいがあるということですけれども、現在もそういう状況でしょうか。
〇高石警務部長 購入したドローンにつきましてはふぐあいがございまして、9月に修理を依頼しまして、10月末に修理が完了する予定でございます。
〇佐々木努委員 そうすると、3月に購入してからまだ何の活用もしていないということですね。ちょっと残念でしたけれども、そもそも平成28年度に導入するというのは、台風第10号災害を受けて補正予算なりで予算を措置して3月に買った、そういうことでよろしいわけですね。
〇中村参事兼会計課長 県警察の自主的経費ということで、こちらで持っているお金でドローン1機を導入させていただきました。もともとある、いわゆる自主的な経費がございまして、要はこちらで自由にと言えばあれですけれども、買える経費でございまして、それで導入させていただきました。
〇佐々木努委員 この歳入歳出決算書に載っていないということですか。
〇中村参事兼会計課長 いわゆる枠内の経費で購入したということでございます。
〇佐々木努委員 ちょっとびっくりしました。いずれ備品費で購入されたということですね。わかりました。
台風第10号災害もそうですけれども、全国の警察でもさまざまな災害に対応するためにドローンの導入を始めていまして、これからそういう災害現場でのドローンの活用というのは人命救助など、さまざまな面からも大事になってくると思っていて、ぜひ積極的にこのドローンの導入、活用を進めてほしいと私は思っておりましてこの質問をしたわけです。事前に聞くとせっかく買ったのにそのままになっているという残念な話だったので、間もなく修理から戻ってくるということでありますけれども、ただドローンを買ったから使えるというわけではなく、操縦する人がちゃんとした技術を身につけないと、逆に事故を起こしたりということにつながりますので、早急にそういう態勢を組んでほしいと思います。
長野県ではもうとっくに2011年にドローンの研究を始めて、既に交通事故の現場やさまざまなところでの活用を始めていますし、今度の東京2020オリンピックでも警視庁がドローンを使った警備を行うという方針も出されています。そのほかに、徳島県とかあちこちの県で、ドローンを警察が持たなくても、何か有事の際は民間の企業にドローンを使ったさまざまな活動の支援をしてもらう、そういう協定を結んでいるところもありますので、ぜひこれからドローンの活用方針をつくっていただいて、活用計画までいかなくてもいいかもしれませんが、そういう形でのドローンの活用を進めてほしいと思いますが、どなたに聞けばいいでしょうか。
〇高石警務部長 今後のドローンの活用についてでございますけれども、災害警備活動のほか、事件、事故現場における証拠保全等にも活用できる可能性があるものと考えております。
なお、民間事業者等との協定につきましては、現時点では締結しておりませんけれども、実施の必要性を含めて、民間事業者等の協力も得ながら、効果的な活用について検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 せっかく買ったドローンですから、有効活用をよろしくお願いしたいと思います。
次に、これは余り取り上げたくなかったのですが、警察職員の自殺対策について伺いたいと思います。
これは、私、6年間、この場で斉藤信委員と県警の議論を聞いていて一番嫌な話題でありまして、なぜこういう話題がこの6年間、いや、多分もっと前からやられていたと思いますけれども、何でこんなに長引くのかと思って、いつか聞いてみたいと思って今回聞くわけでありますが、最初に、この10年間で県警察の職員が何名自殺されたのかお伺いいたします。
〇高石警務部長 県警察職員の自殺者数についてのお尋ねでございますけれども、平成19年度から平成28年度までの10年間で7人となっております。
〇佐々木努委員 この7人が多いか少ないか私もちょっと判断がつかないのですが、友井本部長はこれまで、平成21年は福岡県警察ですか、そして平成24年は京都府警察におられたということですが、他県でも同じような割合で─割合と言ったらちょっとおかしいですけれども─そういう事例は起きているのですか。
〇友井警察本部長 福岡県、京都府等の警察職員自殺の状況についてのお尋ねでありますけれども、現在、岩手県警察本部長という立場にございますので、他府県の状況につきましてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
〇佐々木努委員 わかりました。
本部長は3月に赴任されました。そういう中で、職員の自殺、メンタルヘルスの関係も含めてそういうものについては本部長も心を砕いていらっしゃると思うのですが、この10年間に亡くなった7人の方々のその原因等については把握されているでしょうか。あわせて、この10年間に、御自分が赴任された地で、当時は部下ではなかったかもしれませんが、同じ仲間が自殺されていたということについてどのような思いを持っておられるかお聞きいたします。
〇友井警察本部長 過去の職員の自殺事案につきましては、可能な限り原因の把握に努めているところであります。その原因につきましては事案によりさまざまであると認識しておりますけれども、志を立てて警察職員になられた方がその志半ばで断念したということはまことに残念なことであります。また、亡くなられた方の御功績を思いますと、県警察として失ったものは極めて大きいと受けとめております。
〇佐々木努委員 インターネット等で調べると他県でのさまざまな警察官の自殺の事例がわかるわけです。兵庫県で1カ月に3人続けて若い警察官が自殺したということもあったりして、実は私の知り合いに子供が警察官の方もいらっしゃって、岩手は大丈夫だろうかというようなことも話の中で出てくるわけですけれども、私も心配しています。
斉藤委員からは、多分これからまたこの後そういう話があるのではないかと思いますけれども、例えば警察署内のパワーハラスメントが理由で若い警察職員が命を失うようなことがあれば、それはもう絶対にあってはならないことだと思うわけです。例えば病気を苦にしてということであれば、警察官に限らずさまざまな職種の方がいらっしゃると思いますけれども、一番人の命の大切さをわかっているはずの警察の方々の中でそういうことが起きるということ、本当にそのようなことが起きているかは私にはわかりません。ただ、この委員会の場でこういう話が出るということは、そういうことがもしかしたらあるのかもしれない、そういう前提で話をさせていただいていますが、もしそういうことがあるとしたら、もう二度とそういうことが起きないようにしていただきたい。そして、そういう不毛な議論がここでなされないような環境を今度来られた友井本部長につくっていただきたいという思いで質問させていただいているのですが、これまでのさまざまなそういう事案について、二度と発生しないような対策をどのように講じていかれるのかお聞きしたいと思います。
〇友井警察本部長 今後の自殺防止の取り組みについてのお伺いと理解いたしました。
県警察といたしましては、職員の抱える仕事、家庭の事情、あるいは健康に対する悩みなどいろいろあろうかと思いますけれども、こういったことについて気軽に相談していただき、前向きに仕事ができる環境をつくっていく必要があると考えております。
そのために取り組んでいる施策といたしましては、例えば、個々の身上をきめ細かく把握するための定期や随時の面接を行っております。また、ストレスチェックに基づく心的状態の把握と環境の改善、あるいは生活相談や健康相談等の各種制度の充実などを図っているところでございます。これらを通じまして、業務面、メンタル面、あるいは私生活にもわたるサポート体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
今後とも、職員の悩みを軽減いたしまして、職員が公私ともに生き生きと勤務できるように、暮らしていけるように各種の対策を推進してまいります。
〇佐々木努委員 私も警察の仕事というのは本当に大変だと思っています。犯罪を取り締まるということは、まず人を疑うことから始めないとだめな仕事でありますし、それから、交通事故、殺人事件、さまざまな事件がある中で、現場に行ってそれを捜査するということについては、私みたいな気の弱い普通の人間にはとてもできない大変な仕事だと思っています。警察官にもさまざまな性格の方々がいらっしゃると思うのですけれども、やっぱり世の中をよくしようという思いで若い方が警察官を目指して警察の世界に身を投じているということだと思いますから、ぜひそういう方々、若い方々が希望を持って仕事ができるような環境をつくっていただきたいということをお願いして終わります。
〇城内よしひこ委員 私からは、1点お伺いしたいと思います。
特殊詐欺についてでありますが、先ほど阿部委員からも質問があったわけでありますが、過去3年間の現状と今後の課題についてお伺いしたいと思います。
〇羽澤生活安全部長 本県における過去3年間の被害の実情と、今後の課題、対策についてお答えいたします。
本県における過去3年間の被害状況についてですが、平成26年が認知件数が85件、被害額が約4億2、811万円、平成27年が認知件数が77件、被害額が約2億8、637万円、平成28年が認知件数が110件、被害額が約1億9、910万円となっております。なお、本年9月末現在の被害状況につきましては、被害認知件数が60件、被害額が約1億2、480万円で、前年同期比で、認知件数につきましては5件の減少、被害総額につきましても約1、170万円減少しております。
被害の主な特徴でございますが、平成26年は架空請求詐欺、平成27年はオレオレ詐欺、平成28年は還付金等詐欺がそれぞれ当県では多発いたしました。本年につきましては、有料動画サイトの未納料金があるなどの電子メールを送りまして、コンビニエンスストアで電子ギフト券を購入させます架空請求詐欺が多発している状況であります。なお、これにつきましては、未成年から高齢者までの幅広い年代の方が被害に遭っている状況にございます。
今後の対策、課題についてですが、県警察といたしましては、特殊詐欺に対する県民の抵抗力を高め、それを持続させることが重要と考えております。関係団体、機関と連携いたしまして、特殊詐欺被害防止広報センターからの電話による注意喚起、金融機関店舗外ATMへの人体センサー内臓音声案内装置の設置やATMからの振り込み制限、コンビニエンスストア全店舗での高額電子ギフト券購入者に対する注意喚起など、被害の発生状況に応じた対策を講じているところでございます。
今後、講じてきました対策の被害防止効果が向上するように見直しを図りながら、具体的な手口などに関する広報を強化いたしまして県民の抵抗力を高めるための啓発を行うとともに、県民総ぐるみで被害の未然防止を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ委員 これまでの一生懸命な皆さんの啓蒙活動が功を奏してきたのではないかと評価しておるところであります。とはいうものの、被害総額、金額は少なくなりつつあるものの、小口になって件数がふえてきている。巧妙になってきているのではないかと思っております。県警察からも資料をいただきました。この部分でも、先ほど本部長も冒頭お話しになりましたとおり認知件数であります。まさにこういった詐欺というのは、こういう形で数字にあらわれているのはもしかしたら氷山の一角でしかないのではないかと思っております。そういった意味でしっかりとした対策は今後も必要だと思いますし、そういう意味での氷山の一角以外のものというのは、今後、捉える要素、各自治体やいろいろな機関との連携を図りながら、全体の様相というのは捉えられないものかお伺いしたいと思います。
〇羽澤生活安全部長 手口は先ほども申し上げましたとおり年々変わっておりますし、また、全国的にも手口の特徴につきましてはそれぞれ特色がございます。当県におきましても、手口の変遷につきましては、関係機関と連携いたしまして県民の皆様に迅速な発信をしているところでございます。ただ、各種対策は講じておりますけれども、やはり新たな手口に対しましてまたそれ以上に見直しを図りながら、被害に遭わない工夫を随時していく必要があるということで、関係機関、そしてまた県民の皆様と連携を図りながら被害防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ委員 これはお願いになりますけれども、岩手県の被害者の6割以上が高齢者ということでありますし、中には、独居で、自分がどういう立場でどういう振り込め詐欺にひっかかっているかもわからないでその手口に乗ってしまっている方もある。また、半分認知症となった方で、大分お金を振り込んでから家族の方がようやく気づいたというケースもあるようでありますので、先ほどサポーター制度というのがありましたけれども、介護や医療といった分野の方々にも今後、協力を求めながらしっかりとした対策をとってほしいと思いますが、最後、その思いをお伺いして終わりたいと思います。
〇羽澤生活安全部長 委員御指摘のとおり、高齢者に非常に被害が多いのは事実でございます。現在も、県の担当部局のケアマネジャーや介護の関係の職員とも連携して一生懸命広報活動は実施しております。しかしながら、当県におきまして、アンケートをとった経緯がございますが、特殊詐欺は知っているけれども被害に遭ってしまったというケースがございます。やはりこの周知徹底につきましては、さらにきめ細やかに、幅広い年齢層の方たちに特色ある広報、啓発を今後継続していく必要がある。注意喚起につきましては、繰り返しになりますけれども継続することが重要と思っておりますので、さらに見直しを図りながら、工夫して対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇中村参事兼会計課長 先ほど佐々木努委員からお尋ねがございましたドローンの整備の関係でございますが、若干説明不足でございましたので、補足させていただきたいと思います。
平成28年度に整備いたしましたドローンの経費でございますが、歳入歳出決算事項別明細書の316ページ、317ページをお開きいただいて、こちらのページの下から5段目に18備品購入費と記載がございます。この経費の中で整備しておりますことを補足させていただきます。
〇斉藤信委員 それでは最初に、東日本大震災津波の行方不明者の捜索活動について、ダブらないようにお聞きいたします。
一つは、遺族の要望が強い陸前高田市の古川沼の捜索について、今後の捜索の可能性を示していただきたい。そして、震災から6年7カ月も経過いたしましたが、今後の捜索活動の方向性。それと、身元不明者の遺体について、これまでどのぐらい身元が判明して、現在どのぐらいまだ不明者が残っているのか、それはどう保管されているのか示してください。
〇中野警備部長 まず最初に、古川沼の捜索についてでありますが、平成24年以降、古川沼におきましては、機動隊員による潜水活動あるいは水中探索機を使用した捜索を6回実施しております。昨年11月11日の捜索では、海上保安部と連携し潜水捜索を実施しましたが、沼底に泥などが堆積し、大変困難な捜索環境でありました。今年度は、これまでのところ古川沼の水中捜索は実施しておりませんが、9月11日の集中捜索では、古川沼に接続する旧水門工事現場において、重機オペレーターの協力を得て、土砂を掘り起こしての捜索を実施しております。
今後の捜索につきましては、その時期や方法などについて、自治体や管理者、海上保安部等関係機関と協議、連携の上で対応してまいりたいと考えております。
次に、今後の捜索の方向性でありますが、今後も、行方不明者御家族の要望や、防潮堤工事に伴う排水作業などで新たに捜索可能となる場所が生じていることなども踏まえまして、これまでの手段、方法を見直すなどしながら、行方不明者御本人はもとより、所持品など、よすがとなるものであっても発見したいとの思いを持って、海上保安部等関係機関と連携のもと、捜索活動を継続してまいりたいと考えております。
〇照井刑事部長 身元不明の御遺体の身元解明の取り組み状況についての質問でございましたので、お答えいたします。
東日本大震災津波によります御遺体は、平成29年9月末までに4、672人を収容いたしております。そのうち4、616人、率にいたしまして98.8%の身元が判明しております。身元が判明していない御遺体は56体ございます。
県警察では、これまで、身元を確認するために、行方不明者の御家族や御親族の方々から提供していただきましたDNA型資料の鑑定や歯医者からの歯科カルテの照合、そして医療機関関係で保管しております検体のDNA型鑑定、また、似顔絵や御遺体の特徴、あるいは所持品等の情報公開などの活動を進めております。その結果、平成28年中に1人の方の身元を確認しておりますし、平成29年に入りましてから2人の身元を確認いたしまして御遺族に引き渡しております。
次に、今後の対応をどうするのかという御質問でございましたが、平成26年2月以降これまで、沿岸部を中心とした25カ所で、行方不明者を探しておられる御家族等にお集まりいただきまして相談会を開催しております。これは、行方不明者の情報収集と身元不明者の情報提供を行ってまいりました。このうち、内陸部で生活されている御家族もおられますので、盛岡市、滝沢市などで3カ所、内陸でも実施しております。
県警察では今後もこれらの活動を継続したいと思っておりますし、警察庁の身元確認用DNA型対象プログラムに移行するため、全国規模のDNA型照合などの作業をしております。身元の解明を進め、御遺族に寄り添った身元解明に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 いまだに1、123名が行方不明という東日本大震災津波ならではの被害の深刻さが今でも遺族の皆さんの心に突き刺さっているというか、まだ傷が癒えない状況でありますので、ぜひさまざま工夫して捜索活動を継続していただきたい。
次、二つ目に、県警本部職員の超過勤務と超過勤務手当の支給状況について、支給率を含めてお聞きします。不払い分があれば、不払い分というのは額ではどのぐらいになるのかも示してください。
〇高石警務部長 昨年度の警察職員の超過勤務でございますけれども、月平均1人当たりに換算いたしますと、超過勤務時間数が約22.8時間、支給時間数が約20.0時間、超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は約88%でございます。
また、不払い額とのお尋ねがございましたけれども、職員の超過勤務時間数及び時間単価には個々に差がございますので、一概には算出しかねるところでございます。
〇斉藤信委員 都合の悪いことは出ないんですね。22時間の超過勤務に対して20時間支給されたと。総額14億798万円の超過勤務手当が出ていますから、この比率で出るのではないですか。
〇高石警務部長 繰り返しになりますけれども、不払い額につきましては、職員の超過勤務時間数と時間単価には個々に差がございますので、一概には算出しかねるところでございます。
〇斉藤信委員 支給率は87.6%ということで、前年が85.3%でしたから、徐々にこれが縮小されているということは評価したい。しかし、不払い労働というのは違反行為ですから、県警察が違反行為をやっていたらだめなので、ぜひ全額支給を目指していただきたい。
次に、捜査報償費の実績と推移について示してください。減少しているとすれば、減少の理由も示してください。
〇高石警務部長 捜査報償費の実績、推移についてのお尋ねでございますけれども、5年間の決算額でお答えいたしますと、平成24年度が1、234万1、000円、平成25年度が1、149万円、平成26年度が1、067万9、000円、平成27年度が1、072万4、000円、平成28年度が1、040万7、000円となっております。
また、増加、減少の要因についてのお尋ねでございますけれども、捜査報償費の執行額につきましては、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるものでございまして、執行額の増減は事件捜査を行った結果でございますので、その理由については、個々の捜査内容を明らかにすることにつながりますことから、答弁を差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 都合が悪いのはそういう答弁ですね。5年間、確実に減っているんですよ。そして、この捜査報償費を私がなぜ問題にしているかというと、裏金の原資になっていたからです。これが指摘されるたびに減ってきているというところが私、大変大事だと思うのです。事件の話ではないですよ。確実に減っていますよ。そして、平成28年度は予算額が1、660万円だった。私はこれは多過ぎると言って、ことしの予算額は1、300万円に減りましたけれども、本当に私は、厳正にこの捜査報償費の実態、執行を検証するべきだと思います。
次に、県警察幹部職員の天下りの問題についてお聞きいたします。
昨年度末退職の県警察幹部職員の天下り、再就職の状況はどうなっていますか。
〇高石警務部長 まず、警視正以上の階級にある警察官の再就職先の状況につきましては、国家公務員法に基づき内閣が公表しております。その公表された資料によりますと、イオンモール株式会社、自動車安全運転センターに再就職しております。
また、警視正以外の幹部職員の状況につきましては、条例に基づき届け出があったものを公表しておりますが、公表された資料によりますと、株式会社たいよう共済岩手支店、岩手医科大学附属病院、セコム株式会社岩手統括支社、盛岡ターミナルビル株式会社、公益社団法人岩手県防犯協会連合会、一般社団法人岩手県タクシー協会盛岡支部に再就職しております。
〇斉藤信委員 岩手医科大学附属病院にまた天下り、再就職がありました。そうすると、前の刑事部長も岩手医科大学に天下っていましたが、今、複数名が、岩手医科大学には天下り、再就職しているということですか。
〇高石警務部長 元刑事部長が平成27年4月、岩手医科大学に再就職した事実につきましては承知しております。
〇斉藤信委員 私、県警本部長にお聞きしたい、新任ですから。
この間、岩手医科大学の元看板教授に覚醒剤を打たれたと愛人本人が週刊文春で告発した。これは覚醒剤事件と言ってもいいですよね、当事者ですから。しかし、これが捜査された形跡がないのです。捜査された形跡がないどころか、捜査の責任者である元刑事部長が翌年4月に岩手医科大学に再就職した、天下った。こんなことが許されるのかということで、私は繰り返しここで取り上げてきた。県警本部長はこのことについて報告を受けていますか。知っていますか。
〇友井警察本部長 これまでの定例会で委員から御質問のあった件につきましては、個別に議事録を読ませていただいて本日に臨んでいるところであります。
〇斉藤信委員 知っていると。だったら、覚醒剤事件が捜査されなかったのではないですか。そして、当時の捜査の責任者が岩手医科大学に天下るなんていうことは、これはまさに事件のもみ消しと言わざるを得ないのではないですか。県警本部長の認識をお尋ねしたい。
〇友井警察本部長 個別の事件の捜査をしているかしていないか、あるいはその捜査状況につきましては、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがありますことから、御答弁を差し控えさせていただきます。
また、御指摘の元刑事部長の再就職につきましては、特段、違法、問題になる点等は把握、承知しておりません。
〇斉藤信委員 そこで私はお聞きしたいのだけれども、いいですか、覚醒剤事件と言ってもいい、当事者が告発したその事件が捜査されていたら再就職できないでしょう。何で再就職したのですか。事件が発生している大学に捜査の責任者が再就職したということは、もみ消したということ以外に何もないのではないですか。そして、今回もまたこの岩手医科大学に病院長顧問として再就職しています。これは癒着ではないですか。
本部長、わかりやすく答えてください。捜査をしたかしないかではないのです。天下っているのです。捜査していたら天下りできないでしょうと私、聞いているんですよ。一般論でもいいから答えてください。
〇友井警察本部長 一般論にはなりますけれども、警察といたしましては、法と証拠に基づいて、犯罪の嫌疑がある場合には適正に捜査を行っているところでございます。
また、これは一般論ではございませんけれども、御指摘の元刑事部長による岩手医科大学への再就職につきましては、特段、違法、不法、そういった問題となる点は把握しておりません。
〇斉藤信委員 本部長、私、改めて聞きますよ、一般論で。覚醒剤事件が発生した大学に捜査の責任者の刑事部長が再就職するということはあり得ますか、一般論としてあり得ますか。
〇友井警察本部長 ただいまお尋ねのありました事例につきましてはかなり具体的な想定でございますので、一般論としてお答えすることはかなり困難と認識しております。
〇斉藤信委員 結局、もみ消して天下ったんですよ。そして、その癒着が深刻で、今回もまた同じところに別の警察官が天下った。これは深刻な癒着だと私は指摘しなければならない。こういうことはあってならないし、このことをきちんとやらなかったら、私は県警察の信頼は地に落ちると思います。これ以上は堂々めぐりなので、論戦は私、決着がついていると思うけれども、次に移ります。
私、3月の予算特別委員会で取り上げましたが、2月10日に行方不明になって、2月13日に水死体で発見された警察官の捜査、死因はどうなっていますか。
〇照井刑事部長 捜査、死因等についてのお尋ねでございます。
ことし2月、盛岡市内の北上川で遺体が発見された事案でございますが、身元確認の結果、当該遺体は本県警察職員であったという事実はございました。
委員から二つの御質問があったと理解しておりますが、1点目は、その後の捜査結果、状況でございます。
足取り等の捜査や死亡原因の捜査など、所要の捜査をきっちりと遂げております。事件性や自殺をうかがわせるようなものはございませんでした。
2点目でございますが、死因は明らかになったのかという御質問でございますが、検視や司法解剖などを実施しております。これも所要の捜査を遂げて、死因は特定しております。しかし、捜査の結果、先ほども申し上げましたが、事件性や自殺をうかがわせるようなものはございませんでした。
なお、死因を含めまして捜査の詳細につきましては、本人のプライバシーや死者の尊厳に関する内容でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 今の答弁は、私は、本当に微妙というか矛盾に満ちていると思うのです。事件性はない、自殺でもない。だったら何なのですか。私は、3月の予算特別委員会のときにも指摘しました。頭部は陥没していたのではないですか。自殺ではなかったら何なのですか。
〇照井刑事部長 繰り返しになりますが、これまで、足取り捜査を初め所要の捜査はしっかりとしております。事件性や自殺をうかがわせるものはありませんでしたということでございます。
〇斉藤信委員 私、今も指摘しましたけれども、解剖されたという話でしたね。頭部に陥没があったのではないですか。
〇照井刑事部長 頭部に陥没があったかどうかという御質問でございましたが、当該職員の死因等につきましては、先ほども申し上げましたが、本人のプライバシー、死者の尊厳に関することでございますので、この場で答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 自殺だったら今の答弁は説得力があると思います。自殺ではないと言うのだから。それで事件性もない。だったら何だと。私は、かなり具体的に頭部に陥没があったと。ならば、これはまさに事件性があったということが考えられるのではないですか。
そこで、私は、昨年9月に簗川大橋から飛びおり自殺した警察官の話も取り上げてきました。平成27年1月にも簗川大橋から飛びおり自殺した警察官がいた。同じ交通規制課です。そして、私が今、指摘している2月10日のこの警察官も交通規制課ではないですか。裏金の問題を苦にして、亡くなったかどうにかなったか。私は、背景にそれがあるからこの問題を取り上げているのです。同じ課の人間が3人も亡くなっているんですよ。私は、極めてこれは異常な深刻な事件ではないのかと。違いますか。私の質問は間違っていますか。どうですか、誰が答えるのですか。
〇勝又参事官兼首席監察官 ただいま自殺事案についてのお尋ねではございますが、これに関しましては、これまでも御答弁申し上げておりますとおり、委員指摘のさまざまな疑惑等につきましては、しっかり調査等を行った上で、先ほど委員御指摘のような不正はなかったということを確認しておりますし、これに関しては、特段、問題はないと思っております。
〇斉藤信委員 ここで聞いている人には全然説得力のない答弁だと思いますよ。交通規制課にかかわる3人がこういう形で不審な死を遂げているのですよ。私、2月定例会のときに徹底してこのことは監査してほしいと。吉田監査委員にお聞きします。これは監査されたでしょうか。
〇吉田監査委員 いたしておりません。
〇斉藤信委員 私は3月の予算特別委員会でもこの問題を取り上げて、交通規制課でこういう事件が続発している。裏金のそういう疑惑もあると。きちんと監査してほしいと改めて指摘しますから、しっかりやっていただきたい。
最後ですけれども、3月31日に盛岡市内で覆面パトカーが飲酒運転事故を起こしたということはないですか。
〇佐藤交通部長 委員御指摘の交通事故はございません。
〇斉藤信委員 もみ消しが多いのでまた繰り返し聞きますが、県警察の自動車工場でこれが修理されているのではないですか。そういう記録も確認しましたか。
〇吉田参事官兼警務課長 県警察の自動車工場で修理したかというお尋ねでございました。所管するのでお答えします。
そのような事実はございません。
〇斉藤信委員 いろいろもみ消しの例があるので、きょうは終わりますけれども、本当に疑惑を持たれるようなこと自体あってはならない。きちんと県警察が自浄能力を発揮して、新しい県警本部長の体制のもとで県民に信頼される警察活動に努めていただきたい。
〇小西和子委員 まず一つ目、交通事故防止対策についてお伺いいたします。
平成28年も発生件数、死傷者数ともに13年連続で減少しております。これは、皆様方の不断の努力の成果だと思っております。敬意を表したいと思います。
しかし、死者数は前年に比較して7人減少しておりますけれども、高齢者が関係する交通事故が多く、この目指す姿指標によりますと達成度はCとなっております。
平成29年の現状と主な取り組みについて伺います。
また、今年度の秋の交通安全期間中に6人が交通事故で死亡し、都道府県別で全国ワーストスリーだったことが報じられました。この状況をどのように分析しているのか、あわせて、どのような対策を講じているのかお伺いいたします。
〇佐藤交通部長 初めに、本年8月末現在の交通事故発生状況でございますが、発生件数が1、398件で、前年比マイナス137件、死者数が37人で、前年比マイナス15人、傷者数が1、738人で、前年比マイナス213人であります。
また、高齢者が関係する交通事故は、発生件数が561件で、前年比マイナス32件、死者数が16人で、前年比マイナス19人、傷者数が332人で、前年比マイナス27人となっており、死者に占める高齢者の割合は43.2%と、全国平均の53.4%を下回ったところであります。
高齢者が関係する事故を防止するための本年の取り組みといたしましては、歩行環境シミュレーター等を活用した参加、体験、実践型の交通安全教育の推進や反射材の直接貼付活動等による着用の推進に努めておりますほか、講習に参加されない方に対しましては、関係機関、団体と連携した高齢者在宅家庭訪問による個別指導を推進しているところであります。
また、運転者に対する歩行者保護意識の醸成を図るべく、運転者疑似体験型集合教育装置を活用した危険予測教育、横断歩行者妨害等の取り締まりを強化しているところでございます。
次に、秋の全国交通安全運動についてでありますが、関係機関、団体とともに総力を挙げて交通事故抑止に取り組んだものの、6人のとうとい命が犠牲となったところでございます。
期間中の交通事故死者は高齢者が4人と最も多く、いずれも歩行中であり、3人の方が夕暮れ時間帯に亡くなっております。
高齢者の死者数は、9月末では前年同期比で14人減少しておりますので、これまでの取り組みを継続することはもとより、例年、これからの時期は、同様の夕暮れ時間帯における高齢歩行者の道路横断事故が多発することから、指導取り締まりや警察官を多く出動させての街頭活動を強化するとともに、自治体を初め、関係機関、団体と連携しながら、交通事故による犠牲者を出さないという強い気持ちを持って、交通事故抑止対策を推進してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 全体で見ますと、対策が功を奏して死者数がどんどん減っているということであります。残念ながら、秋の交通安全期間中、なぜかそのときだけ死者数が多かったということがわかりました。高齢者のかかわる事故についても確実に減っているということでございます。
それでは、続きまして、平成28年の沿岸5警察署の交通事故の発生件数、傷者数は前年に比べて増加しておりますけれども、死者数は減少しております。高齢者の死者数が12人で、県全体に占める割合が4分の1でありました。平成29年の現状と主な取り組みについてお伺いいたします。
〇佐藤交通部長 沿岸5警察署の本年8月末現在の交通事故発生状況でございますが、発生件数は188件で、前年比マイナス68件、死者数は11人で、前年比マイナス5人、傷者数は240人で、前年比マイナス84人となっております。特徴といたしまして、16時から18時までの夕暮れ時間帯に多発しておりますほか、死亡事故は、車両同乗中の死者数が最も多く、全体の45%を占めています。
なお、高齢者の死者数は4人であり、前年比マイナス6人という状況にあります。
本年の主な取り組みでございますが、関係機関、団体等と連携した応急仮設住宅や災害公営住宅を初めとした家庭訪問による個別指導、交通安全教育班による地域の交通安全講習会の開催、コミュニティーラジオ局との協働による広報啓発活動等の諸対策を継続してまいります。
また、交通事故の発生状況等を踏まえ、白バイの集中投入を図るなど、交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 対策のほうも、参加型もありますけれども、在宅家庭訪問による個別指導等にも力を入れていらっしゃるというところ、そういう対策でどんどん事故件数等も減っているということでございます。まだ、被災地は復旧、復興工事のために車両が増加していると言われておりますので、交通事故の危険性が高まっていることから、先ほどの対策につきまして、さらに強化をお願いいたします。
続きまして、子供、女性を犯罪から守る対策についてでございます。
平成28年の声かけ等脅威事犯の認知件数が増加しておりますが、沿岸5警察署の声かけ等脅威事犯の認知件数は、少しですけれども減っております。平成29年の現状と取り組みについて伺います。あわせて、子供を犯罪から守る取り組みについてもお伺いいたします。
〇羽澤生活安全部長 県内の子供や女性に対する声かけ等脅威事犯の認知件数でございますけれども、平成28年中は574件で、前年から70件の増加、本年8月末では361件で、前年同期比で15件減少しております。
沿岸5警察署では、平成28年中は80件で、前年から8件の減少、本年8月末では47件で、前年同期比で9件の減少となっております。
特徴につきましては、平成28年、29年とも、道路上での被害が全体の約6割、児童生徒の下校時間帯における被害が全体の約6割を占めております。また、犯罪の行為の形態でございますが、声かけ、盗撮、容姿撮影及び被害者の後をついていくというつきまといの行為が全体の6割を占めている状況にあります。
増加の要因といたしましては、盗撮、容姿撮影及びつきまといが増加したこと、さらにまた、各種広報等によりまして、児童生徒、保護者及び学校関係者等の防犯意識が高まったことにより通報に結びついているものとも考えております。
取り組みにつきましては、この種の事案は性犯罪、誘拐等の前兆事案として大きく捉え、行為者を早期に特定いたしまして、事件検挙や指導警告等の先制予防活動を行うとともに、子供を犯罪から守るため、通学路における防犯ボランティア等と連携した制服警察官による顕示的活動や速やかな情報提供、防犯教室等を通じた被害防止の啓発活動を推進しております。
今後、教育委員会、学校等、そしてまた関係機関、団体のほか、広く児童、保護者等に対します情報発信活動を強化してまいりたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 こちらも確実に減っているということでございます。東日本大震災津波から6年7カ月が経過いたしました。ですけれども、沿岸部の子供たちの心の状態はまだまだ不安定だと聞いております。心身ともにダメージが大きく、大変な状況の中、さらに追い打ちをかけるような犯罪に巻き込まれるようなことがあっては絶対ならないと思っておりますので、対策等をよろしくお願いいたします。
最後に、平成28年のストーカー相談、ストーカー被害の認知件数、特徴、対策についてお伺いいたします。あわせて、平成29年の現状と対策についてお伺いいたします。
〇羽澤生活安全部長 平成28年中のストーカーの相談についてでありますけれども、相談、認知件数が333件で、前年比で34件増加しております。本年8月末では、相談、認知件数が181件で、前年同期比で52件減少しております。
特徴につきましては、昨年、本年とも、元配偶者や交際相手等の顔見知りからの被害が約8割を占めております。その態様につきましては、拒否をされているにもかかわらず、復縁を求めて面会や連絡を迫るような行為や被害者の家に押しかける行為が約6割を占めております。さらに、本年は、前年と比較いたしまして、しつこく何度も電話をかけたり電子メールを送ったりする行為が増加している傾向にございます。
ストーカー等の事案の対策につきましては、加害者への迅速な警告や検挙、被害者の避難等を行うなど、再び被害を受けることがないよう保護対策を徹底しているところでございます。
県警察といたしましては、被害が相談されないまま埋もれたり、支援がおくれたりすることがなく、幅広く県民が早期に相談できるように、関係機関と連携いたしまして、ストーカーの現状、そしてまた、相談窓口につきましても周知を図っていきますとともに、被害の防止に関しましての注意喚起を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 ストーカー事案のことですけれども、全国的には、殺人事件とか重大な事件に発展しているものもありますので、先ほどお話になりました平成29年の対策についても強化していただきたいと思います。
それから、ストーカー行為とか性犯罪というのは、決して減ってはいないと私は思います。実際に認知件数はそうであっても、減ってはいないのではないかと考えております。
性犯罪被害を届けているのは本当に氷山の一角でありまして、性犯罪というのは魂の殺人と言われておりますし、一生を台なしにされるものであります。本当に対策の強化をお願いしたいと思います。
毎回、ここで本部長にお伺いしておりました。子供、女性を守る決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇友井警察本部長 女性や子供を狙った犯罪につきましては、一たび発生すれば、地域住民に大きな不安感をもたらすものでございます。安全・安心を実感できる地域社会を実現する責務を負う県警察といたしましては、そのような観点から、関係機関へのタイムリーで広範囲な情報提供などを行いまして、県民の防犯意識の高揚と行為者の早期特定による再発、凶悪化の未然防止を図り、あるいはストーカー事案に対しましては、先般改正されましたストーカー規制法の趣旨も踏まえまして、被害者の安全確保を最優先とした諸対策を徹底してまいります。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑をこれで終わります。
警察本部の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時8分 散 会

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